06/07/20 第29回独立行政法人評価委員会調査研究部会議事録 独立行政法人評価委員会 調査研究部会(第29回)             日にち:平成18年7月20日(木)             場 所:厚生労働省省議室 1.開会 ○部会長  定刻になりましたので、ただいまから第29回独立行政法人評価委員会調査研究部会を 開催させていただきます。今回は武見委員、清水委員、中村委員が御欠席でございます。 それではまず初めに事務局から本日の議事につきまして、簡単に御説明をお願いいたし ます。 ○政策評価官   政策評価官でございます。短期間に集中的な御審議をありがとうございます。本日は 独立行政法人医薬基盤研究所について、平成17年度の業務実績評価をお願いしたいと思 っております。よろしくお願いいたします。 2.医薬基盤研究所の個別項目に関する評価について ○部会長   それでは独立行政法人医薬基盤研究所につきまして、平成17年度業務実績の評価を行 います。実際の評価に移りますが、本日の進め方につきまして、事務局より御説明をお 願いいたします。 ○政策評価官   お手元の資料の山の中に、参考資料の1という形で独立行政法人医薬基盤研究所の役 職員の報酬・給与等についてという資料を用意させていただいております。この資料の 8ページですが、職員と国家公務員及び他の独立行政法人との給与水準、年額の比較指 標として、事務技術職員及び研究所職員についてまとめさせていただいております。  また、17年度における医薬基盤研究所の随意契約につきましては、500万円以上とい う形で整理をさせていただいた中で、金額ベースで随意契約金額が4億124万余円、総 契約の金額に占める割合として12.4%になっているということをまず御報告したいと 思います。  その上で、実際に法人の方からの説明に基づき御評価をいただくということでござい ますが、手順といたしましては、前回までと同様、まず理事長の方から重点的な事項に ついて御報告をお願いし、その後に個別項目を4つに分けてそれぞれ法人からの説明、 質疑、そしてシートへの記入という形で進めていただければというふうに思います。  また、机の上には昨年度の個別評価についての評点結果を置かせていただいておりま すので、御参照いただければと思います。また、シートの中で「評価の視点」に基づい て固まりごと、それぞれまとめさせていただいておりますが、この部会において基盤研 の「評価の視点」を御議論いただいた際に、その個別の中期目標、中期計画に基づく評 価指標とは別にという形で、文章をまとめていただいております。その文章についても 参考までに机の上に置かせていただいております。御確認をいただければと思います。 私の方からは以上でございます。 ○部会長  それでは医薬基盤研究所理事長から法人の平成17年度の事業のうち、特に重点的な事 項につきましての御報告をお願いいたします。 ○基盤研理事長  医薬基盤研の理事長の山西です。どうぞよろしくお願いいたします。  御存じのように、この医薬基盤研究所というのは、評価していただく平成17年度が初 年度であります。この初年度にかかわります一番重要なことは、組織体制の整備という ことだと思います。これに特に重点をおいてこの1年やってまいりました。  通常、独立行政法人というのは国からダイレクトに移行したり、特殊法人から移行し た場合が多いのですが、この医薬基盤研究所に関しましては、三つの組織、すなわち国 立医薬品食品衛生研究所、それから国立の感染症研究所、それから独立行政法人の医薬 品医療機器総合機構、この三つの組織を一緒にして、新たな独立行政法人を立ち上げた わけであります。そのため、古い組織の考え方を乗り越えまして、みんなで同じ意志に 基づいて進んでいくということが一番重要なことだと思いまして、それに力を注いでま いりました。  まず組織の整備ですが、この研究所の業務としまして、三つの柱があります。一つは 基盤的研究部、二つ目が生物資源の研究を行う生物資源研究部、これは彩都の場所以外 に筑波の薬用植物資源研究センター、霊長類医科学研究センターと、このように全国に 散らばっております。三つ目が研究開発振興を行う研究振興部であります。この三つの 業務の柱が我々の研究所はあります。  その業務を統括していくには事務が非常に重要な役目を果たしますので、総務部とそ れから企画調整部と、二つの事務組織をもっております。特に我々の研究の重要な柱と しまして、産官学の連携というのは非常に重要な我々のパートでありますので、この業 務全体の企画立案、産官学の連携、目標管理とか研究評価などを行う企画調整部という のを新たにここで立ち上げたわけであります。これが組織の整備でございます。  二つ目が研究体制の整備であります。この基盤的研究部に関しましては、前の組織、 国立試験研究機関から引き継いだものが少ないですが、二つほどのプロジェクトが動い ておりました。それに新たに17年の4月から二つのプロジェクトを外部から評価の後に 入れたものがありまして、非常に小さい組織で発足いたしました。17年の末からですが、 この組織をさらに広げていくために、大学とか製薬企業等の関係者と意見を踏まえまし て、新たに、これは17年度の最後の方ですが、生活習慣病とか免疫病とか、バイオイン フォマティクスとか、こういう研究を立ち上げつつあります。  これはいずれの場合にも我々は外国誌を含めまして公募制をとりまして、外部の評価 委員を含めました評価委員の非常にシビアな評価のもとに評価をして、特にプロジェク トリーダーというのを採用してまいりました。また、この研究部に関しましては任期制 をとっておりまして、プロジェクトリーダーは5年、研究員は3年、ただしその評価に よっては延長もあるというようなことで、公募し、評価し、採用してまいりました。  三つ目が業務管理体制の確立であります。この法人におきましては、広く内外の意見 を吸収しながら、私が戦略を定めまして、組織内に浸透させていくというのが重要だと いうふうに思っております。そこで外部の組織、有識者による委員としまして、運営評 議会、基盤的研究等の外部評価委員会、これはまたお手元にその評価の内容もお配りし ていると思いますが、その評価委員会、それから基盤的研究評価委員会、それから実用 化研究評価委員会など、委員会を設置いたしまして行ってまいりました。  さらに内部におきましては、皆の意思を統一するために幹部会、それから将来構想検 討委員会、それからプロジェクトリーダーに集まってもらう懇談会、こういうものとと もに内部の評価委員会を立ち上げまして、こういう組織をもって業務の管理体制の確立 を1年間やってまいりました。  続きまして組織統合に伴う職員との意見の交換ですが、先ほど私が申しましたように、 この我々の研究所というのは全国に散っております。本部は茨木市の彩都にありますが、 それ以外に筑波地区にも随分たくさんの研究員もおりますし、それから北海道、種子島、 和歌山と非常に散っておりますので、私個人もいろんなところをお訪ねさせていただい て、意見を交換しまして、我々のポリシーというのを皆さんに説明いたしまして、皆さ んの理解を得て、それで1年間進めたつもりであります。特に大きい組織であります筑 波地区に関しましては何回も足を運びまして、皆さんと意見を交換し、我々と同じ意思 のもとに進んでいくということを説明し、理解をしてきたつもりであります。  続きまして産官学連携の推進でありますが、これは我々にとって非常に重要なパート でございます。先ほど申し上げたとおりであります。これは大学とか製薬企業等の連携 が重要であります。そのためにこの国から引き継ぎました、実はトキシコゲノミクスと いうプロジェクト、それからプロテオミクス解析プロジェクトというのは、この発足よ り前から進んでおりますが、この組織の成果を着実に得るということに努めてまいりま した。  また平成17年度には製薬企業6社からの受託研究として、新たな疾患モデル動物プロ ジェクト、これはいわゆる病気を持った、主にマウスですが、マウスをもって将来これ で製薬とか創薬にかかわるような研究に役立つというような、このような産官学連携の プロジェクトも立ち上げました。  それとともに非常に重要なのは、研究振興部において、これはいわゆるファンディン グエージェンシーですが、ここにおきましてもいわゆる産業界の方とともにいろいろと ディスカッションをしてどのようにアクティビティを上げていくかということを検討し てまいりました。その他、種々の研究成果に関しましては、後ほどその係のものが御説 明を申し上げますので、評価のほどをよろしくお願いしたいというふうに思います。あ りがとうございました。 ○部会長   ありがとうございました。それでは御質問等ございましたらいただきたいと思います が、いかがでしょうか。 ○酒井委員   新しい研究所で大変意欲的に取り組まれた1年だという御報告を受けて、個別の成果 を期待しているのですが、従来それぞれ三つの組織であったものが一つになって、理事 長から見て一番大きな、従来にない大きな成果というのは何であったかということを一 言で聞かせていただくとどういうことになるでしょうか。 ○基盤研理事長   一言で言わせていただきますと、私は一番重要だったのは、私は実は個人的にも国の 機関におったりしましたが、いわゆる製薬メーカー等々との連携ということは非常に重 要なことと思いまして、随分その委員会にも出席させていただいたり、それから製薬メ ーカー等の集まりの講演会にも行かせていただいたり、それから製薬メーカー等の方が 訪ねてこられて懇談をしましたり、そういうことでいわゆる産官学の連携、これを重点 におきまして、これがやはりこの独立行政法人になった一番の成果につながることだと いうふうに私は思っております。 ○部会長  ありがとうございました。はい、岩渕委員どうぞ。 ○岩渕委員   逆にマイナスが、これだけの寄せ集め組織だと随分あるのではないかと思うんですが、 その点はどうですか。 ○基盤研理事長   マイナスというのを言うのをなかなか難しいんですが、もちろん先ほど私が申しまし たように、意思統一をするというのはなかなか難しいところでありました。旧組織では ある業務に特化した、例えば感染症研究所は感染症の業務、それから食品衛生研究所は いわゆる食品、それから薬に対するチェックするような業務、こういうふうに特化して おりましたので、なかなか意思統一が難しいということでありました。それは初年度な かなか理解を得られないということもありましたが、いろいろと懇談し、それから私が 説明して意思統一ができるようになったというふうに私は思っております。 ○岩渕委員  ただ漏れ伝わるところによりますと、運営とか人事面も含めて、やや偏りがあるとい うような話も聞いているのですが、具体的な話はこの場でするのもいかがかとは思うの ですが、そういう意味で言えば、最初だからということもあるんでしょうけれども、特 定の色がちょっと出過ぎているという、そういう話も結構聞こえてくるものですから、 その点は今後運営で注意していただきたいと思います。例えば特定の大学とか、色彩が ちょっと強過ぎるとか、そういうふうなことです。 ○基盤研理事長   これは説明いたしますけれども、先ほど申しましたように、特定の大学を名指しでや ったようなことはございません。特に、立ち上げの最初の時は、もちろん公募制にした のですが、特に17年度の公募に関しましては、海外誌、それから日本の国内のいろんな 雑誌でやりまして、随分たくさんの応募がありました。その応募の中から随分大学の関 係者が応募してこられたのですが、その中から評価をしていただいて、これは外部の評 価委員を随分入れて評価をしたのですが、評価していただいて、それで点数をつけて、 その結果がそういうふうになったということがありまして、今後ともそういうことは私 は全く意図を考えておりません。 ○岩渕委員  だから配慮をしてくださいと言ってるだけの話です。 ○部会長  その他、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは第1グル ープの評価シート、右下の項目番号1〜5までの実績について御説明をお願いしたいと 思います。よろしくお願いいたします。 ○基盤研企画調整部長  それでは平成17年度の業務実績について報告をさせていただきます。主な内容につき ましては平成17年度の評価シート説明資料がございますが、こちらの方にまとめており ますので、説明用資料を中心に御説明をさせていただきたいと思います。資料は1枚に スライドを2枚載せておりまして、それぞれのスライドの右下に番号をふっております ので、その番号をページ番号ということでさせていただきたいと思います。説明用資料 の1ページの目次にありますように、概要と実績報告書のパートから資料については構 成させていただいております。  先ほど理事長から全体について御説明をさせていただいておりますが、設立初年度と いうことで、2ページに示しますように前の組織からの移転、あるいは新たな研究チー ムの立ち上げなどによりまして、基盤研の組織を整備してまいっております。  それから3ページ目ですが、基盤研の中期計画に示されている基盤研の業務である基 盤的研究、それから生物資源研究、それから研究開発振興の三つの具体的業務を開始さ せていただいているところでございます。  具体的に平成17年度の業務報告でございますが、4ページ目でございます。パート1 は業務運営の効率化など、基盤研の全体的事項でございまして、評価いただく項目は5 項目でございます。まず項目の1として、機動的かつ効率的な業務運営の主な内容でご ざいますが、5ページのとおりでございます。  5ページでは基盤研の業務運営体制といたしまして、連絡調整を行う幹部会、それか ら業務運営の将来構想を検討する将来構想検討委員会、それから基盤的研究部において はテーマごとのプロジェクトチーム制を採用しておりますので、それらのリーダー連絡 会等を設けまして、業務の進捗状況を把握し、理事長のトップマネジメントの体制を整 備する他、効率的な業務運営を行うために各種内部委員会を設けております。また外部 専門家からの意見等をいただくための各種委員会も設置しております。基盤研は新しい 組織でございますので、種々の意見を取り入れることができるなど、機動的な運営体制 ができたものと考えております。  7ページをごらんいただきたいと思います。基盤研におきます評価、進行管理でござ います。運営評議会、外部評価委員会の外部評価と幹部会、内部研究評価委員会におけ る内部管理、評価を組み合わせまして、年度計画の進捗管理、経営評価を行う体制を整 備しております。  8ページでございますが、人事・給与管理システム、会計システムなどの整備をさせ ていただいておりまして、業務の効率化を進めております。この項目につきましては、 幹部会や内部の委員会などの整備、プロジェクトチーム制の採用、計画の進捗管理、人 事・給与管理システム導入など、設立初年度といたしまして機動的効率的な業務体制づ くりができたものと考えております。  次に9ページ、項目の2です。業務運営の効率化に伴う経費節減等でございます。平 成17年度は一般管理費、事業費ともに平成17年度の計画予算内の執行となっておりま して、策定目標が達成されております。また、経費削減対策でございますが、設立初年 度ということで、具体的には比較が困難なのですが、研究所の車の運用コストの削減で ありますとか、銀行支払いの集約化、あるいは共同利用の促進などによりまして、削減 対策を実施しております。予算内の執行が達成できておりますし、経費節減対策の実績 などもございますので、着実な成果が得られたものということで考えております。  10ページでございますが、項目3の戦略的事業展開、外部評価でございます。11ペー ジに示しますように、運営評議会では基盤研の業務運営全般について御審議いただいて おり、成果の広報でありますとか、生物資源バンクなどについて御意見をいただいてお ります。  基盤的研究等の外部評価委員会では基盤研が行っております基盤的研究、生物資源研 究について評価をいただいておりまして、評価結果については参考資料の18ページに載 せさせていただいております。各研究につきまして広い観点から御意見をいただいてい るところでございます。  基礎的研究評価委員会では、基礎研究推進事業の事前評価などの他、重点をおくべき 分野などについての御意見を踏まえまして、研究課題の公募等を行っております。また、 実用化研究評価委員会ではベンチャー等の実用化研究支援事業の事前評価等について御 意見をいただいております。このように幅広い分野の外部専門家からの御意見をいただ いておりまして、対応する体制が整備できているというふうに考えております。  次に項目4の情報公開、成果の普及、活用の促進でございます。主な内容を絵にして ございますので、15ページをごらんいただきたいと思います。基盤研全体のパンフレッ トの他、個別内容のパンフレットも作成しております。ホームページの開設などにより まして、業務内容の発信をしているところでございます。ホームページのアクセス数は ホームページの内容の充実に伴いまして増加しておりまして、8月からの8カ月で約35 万件に達しているところでございます。  次は16ページですが、この1月に大阪の医薬基盤研究所の本所の一般公開を実施させ ていただいております。研究内容の紹介の他、機器の展示説明、それからDNAの抽出 や液体窒素を用いた実験など体験型のイベントを実施させていただいておりまして、1 日で663名という大変多くの方にお出でいただいております。アンケートでも大変好評 をいただいております。この他、基盤研フォーラムなどの各種の講演会なども開催して おり、多くの方々に参加していただいているところでございます。  17ページでございますが、査読付論文投稿数でございますが、17年度につきましては 68報でございます。このうち、インパクトファクター2以上のものは41報ということ になっております。中期目標は60報となっておりますが、十分クリアできております。  学会発表は197回ということでございまして、国内、海外とも積極的に実施させてい ただいております。特許出願は3件、品種登録は1件でございまして、初年度として十 分な成果が上がっているものというふうに考えております。また、特許権の実用化につ きましても、実施許諾1件、品種登録の関係の試験栽培は1件というふうになっており ます。このように項目4、情報公開、成果の普及、活用の促進につきましては、成果を あげ、十分な進捗状況になっていると考えてございます。  次に18ページでございますが、項目の5、外部研究者との交流、共同研究の推進、施 設及び整備の共用に関してでございます。15社との共同研究である毒性学的ゲノム研究、 それから20社との共同研究である疾患関連たんぱく質解析研究を、これは引き続きの研 究でございますが、引き続いて推進してきておりますが、理事長からも御説明しました ように、17年度には6社との受託研究で新たに疾患モデル動物プロジェクトを開始させ ていただいております。  19ページを開いていただきますと、疾患モデル動物プロジェクトの概要でございます。 放射線の研究等の際に蓄積されました免疫不全のSCIDマウスや変形性骨変性症など の自然発症のマウスがございまして、それを疾患モデルということで医薬品等の研究と して扱える系統に改良しようということの共同の研究でございます。  今度は18ページへ戻っていただきまして、この他、大阪大学との連携大学院について 協議を進めておりまして、18年度から2講座が開設に至っているところでございます。 また、産業界との連携につきましては、共同研究規定などの整備をしておりまして、共 同研究等の受け入れに当たりましては、内部研究評価委員会に諮るなど、公正中立な審 査体制を構築しております。  その結果でございますが、共同研究6件、受託研究7件、寄附金6件、施設利用など 41件というふうな実績になっております。このように共同研究の促進など、企業等のニ ーズを踏まえたものということを考えておりますので、十分な実績は上がったものと考 えております。パート1につきましては以上でございます。 ○部会長  御質問等ございますでしょうか。 ○田宮委員  いろいろ実績について御報告いただきましたが、17ページの論文のところで少しお伺 いさせてください。インパクトファクター2以上が60%で目標を超える業績を挙げてら っしゃるんですが、その中でファーストオフィサーがこの研究所に所属するというのが どのぐらいあるか、これはあくまで参考までに、私もこの研究所のあり方はこの間議論 に出ましたが、あくまで大学のサポートというところが中心とこの文章にもありますが、 そう考えると、どこまで研究所独自の仕事で、どこまでが連携の仕事と難しいと思うん ですが、その辺の業績を見る時の参考までに、もしおわかりになれば教えていただけま すか。大体でいいのですが。 ○基盤研企画調整部長  すみません、68報のリストについては参考資料に載せているのですが、フャーストネ ームの報文についてはちょっとチェックしておりませんので、チェックしまして御報告 させていただければと思っております。 ○田宮委員  全体としましては、この研究所は論文を独自にそこでファーストとして出すことを目 指しているのか、むしろよい論文を大学が書けるようにすることを目指すのか、どちら かというのがよくわからないんですが。 ○基盤研理事長  全くインディペンデントでございまして、大学等でやったものを引きずった研究は、 もちろん1年目ですからありましたけれども、既に進んでいたプロジェクトもありまし て、この研究所独自の研究が進んでいるということで、大学と特別な引っ張っていると いうことは。 ○田宮委員  引っ張っていると申しますか、あくまでサポートの側の役割が強いのか、その研究所 が研究を新たに生み出すというところを中心に。 ○基盤研理事長  当然、研究所のプロジェクトにのっとった目標に定めたものに対する論文を書いてお りますので。 ○田宮委員  ではこの論文のメインはあくまで研究所の研究ということでよろしいですか。 ○基盤研理事長  はい、そうです。 ○田宮委員  わかりました。 ○基盤研企画調整部長  基盤研としては独自といいますか、先端的な研究を進めるということでございますが、 それをすることによって企業とか大学等の研究のサポートといいますか、支援にもつな がるということになろうかと思っております。 ○田宮委員  はい、わかりました。 ○市川委員  今の学との関連系との話ですが、産との連携のことについてお尋ねしたいんですが、 この医薬という言葉からして産と連携されるのは非常に大事だということで、最初にお っしゃられたとおり最も大事なポリシーとしてやられているということですが、その前 に産との連携をするその時のスタンスですね、要するに産業界が医薬を目指して行って いる活動ということと、それから医学の研究所はそれをサポートしていくというか、今 の言葉を使うとそういうことですが、いわゆる連携をする時のスタンス、その辺をどの 辺におかれているか。最初のイントロダクションのお話と関連するのだけれども、それ が一点です。  どういうスタンスで今後進めていくかということ、それがゆえにいろんな基盤的研究 とか、生物資源研究とか、これはいろいろされることのつながり方ですね、それをどう 使うかとか、あるいはどういうふうに提供していくか、それに伴ってこの評価のところ に産業界の方が随分入られているわけだけれども、その方々は1年目の時においてそう いうことに対して十分満足をされたかどうかということがもしわかれば、まだこれから 先の話ですから今何を求めるということではないのですが、その評価等において何かコ メント的に将来像につながることがあればということをお聞きしたいのですが。 ○基盤研理事長  私のスタンスとしましては、やはり我々は、特に基盤的研究部におきましては独自の 研究をすべきだと思っております。我々の研究が、もちろんいろんなところで公表させ ていただいて、講演会等々行きまして、それで産業界の方も随分来られて、いろんな報 告会を行っておりますが、そういうところからぜひ一緒にやりたいというのを我々は歓 迎するというスタンスでもっております。特に我々は大学に対してサポートするとか、 そういうことは特別考えてなくて、特に産業界に関してはそういうふうに思っておりま す。  それと生物資源に関しましては、これは前から続いている研究ですが、例えば細胞バ ンクというのがありますが、ここ等ではHS財団を通じまして随分産業界に我々のクオ リティ高い細胞を供給するという体制もとっておりまして、随分引き合いがあるという ことになっております。それと例えば霊長類のセンターでも、随分産業界の方が我々の 持っております疾患のサルを使って共同研究を進めておりますから、我々がこういうも のがあるということを公表することによって、産業界に非常に役立つような我々の一つ の基盤研究を行いたいというのが我々のスタンスでございます。 ○市川委員  基本としては研究所を一つの方向へもっていって、それを産業とか学のいろんな人た ち絡んで来るということです。今より積極的に何かをしていくということですか。 ○基盤研理事長  私はどこかのサポートじゃなしに、我々が研究することによって連携できるというふ うに思っています。 ○市川委員  はい、ありがとうございました。 ○岩渕委員  この連携大学院というのは具体的にどういうようなことをするのかというのと、大阪 大学以外とやっているのかどうか。 ○基盤研理事長  連携大学院は、18年度から先ほど説明しましたようになりました。これは大阪大学の 大学院の教授または助教授に我々のプロジェクトリーダーがなりまして、そこで大学院 の学生を我々のところにとれるようなシステムをつくりました。それで現実に大学院の 学生が来て、基盤研で研究を行っております。当然我々の計画に基づいた研究に興味が ある大学院の学生ということになりますが、行っております。他の大学とはまだ具体的 に話を進めておりませんけれども、これから新たなプロジェクトも立ち上がってまいり ます。そしてそのプロジェクトを御紹介いたしますと、このプロジェクトは実は外国の 方も随分研究に入って来るプロジェクトでありまして、他の大学でも同じようなことに 興味ある大学もあると聞いておりますので、他の大学とも連携大学院を組みたいという ふうに思っております。 ○岩渕委員  そうするとこれはなぜ大阪大学だったのかというのがどうもよくわからないのですが、 何か理由があったのですか。 ○基盤研理事長   これは出身者が大阪大学の医学系、薬学系研究科の方が来られたからということにな ります。 ○岩渕委員  だからその連携の仕方も含めて、だからそういうような特定の大学にちょっと偏り過 ぎているという批判が内部からも出てきているということなんですよね。だからそのあ たりのところは、まあ先ほど理事長として何も考えてないとおっしゃっていましたが、 そう言われないような形での配慮というようなこともこれから考える必要があるのでは ないですか。 ○基盤研理事長  考えるようにします。先ほど申しましたが、次のプロジェクトを含めて考えていくつ もりであります。それと連携大学院というのは、1対1だけじゃなくて、私たち1と複 数の大学の連携を行うことができますので、ぜひ今後やっていきたいというふうに思っ ています。 ○部会長代理  理事長さんは冒頭で研究所の性格上、所員の意見交換の場を重視するというふうにお っしゃったのですが、その後のスライドではそこに言及されたものがありませんでした ので、評価シートを使って質問をさせていただきます。1-1の業務の実績の第1の(1) の第1番目の○の終わりの方に、理事長が霊長類医科学研究センター、薬用植物資源研 究センターに出向き、現地職員との意見交換を行ったと記されております。このような ことは機能的効率的な業務運営を進める上で非常に重要なことだと思います。そこでこ の研究所の全員が情報を共有して、一体感を高めるために、その他にどのような意見交 換の場を設定されたのかということをお伺いしたいと思います。  これと関連しまして、評価シートの3ページのところの○の3番目のところに、所内 セミナー形式による基盤研懇談会を月1回程度開催と書かれておりますが、ここでいう 所内というのはどういうふうにとらえていらっしゃるんでしょうか。全体、あるいは大 阪本所というとらえ方なのか、それをお伺いしたいと思います。 ○基盤研理事長  1番の御質問と関連するんですが、もちろん私が訪問しまして、全職員と懇談をいた しました。これは名寄とか種子島は残念ながら一回しか行くチャンスがなかったんです が、実はかなりの所員の方が筑波地区に集まって来られまして、それでいろんなシンポ ジウムを開くチャンスがあるんです。これは薬用植物の話なのですが、その時にお会い するチャンスもありまして、お話しすることもあります。それで意見交換を行ってきた。  それから彩都シンポジウムですが、これに関しましてはいわゆる本所だけでなくて、 筑波地区の方も来ていただいて、どういう研究をしているということを皆さんでディス カッションするということにしております。現在それは進んで、来年度の間にいろんな プロジェクトがその紹介をし、ディスカッションするチャンスがございました。 ○部会長代理  所内というのは? ○基盤研理事長  所内というのは変なんですが、いわゆる基盤研究所全体という意味で所内ということ です。 ○部会長代理  そうすると他の離れた施設の所員はどういう方法で参加できますでしょうか。その懇 談会に。 ○基盤研企画調整部長  大阪におります所員はそういう機会に集まることが可能なのですが、筑波地区等はな かなか全員が来ることは不可能でございますので、懇談会の時の例えばビデオをとって お送りするとかということで、どういう業務をやっているとか、どういう話があったと かいうことがわかるような形では運用はさせていただいております。また先ほど理事長 が御説明しましたように彩都シンポジウムの際にも筑波の霊長類、薬用植物から何人か お出でいただいて御説明していただく、あるいはディスカッションしていただくという ような機会を設けさせていただいております。ということで研究所内部での共同研究み たいなものはいくつか始められつつございます。 ○部会長代理  私の経験を一つ申しますと、テレビ会議システムを採用しまして、例えば大阪本所で 行われているこの懇談会、セミナーにも他の離れたところの所員もテレビで参加して質 問もできるというような場をつくって非常に効果的であったという経験があるのですね。 そのようなことは御検討なさってますでしょうか。 ○基盤研企画調整部長  実はそういう話もございまして、一応検討させていただいておりますので、具体的に どういう形、まあ回線数とか相互の回線によっては何か時間のラグとかヘルとかいろい ろございますので、そういうところも筑波地区の関係の方々といろいろ具体的な方法に つきましては相談させていただきたいと思っております。 ○酒井委員  簡単で結構ですが、一つは8ページの効率的な事務運営ということですが、こういっ たシステムをつくられたというのは、何か特別な意図があったのでしょうか。独法機関 の事務運営としてはこれはかなり標準的なものなのでしょうか。例えば科研費等の機関 管理をこういうふうに独立して、例えばやるとか、ここに何かその意図がおありになっ たら簡単に教えていただきたいのと、18ページの共同研究と受託研究というのは、これ はどういうふうに違うものなのでしょうか。プロジェクトという名前があって(15社) とあるのですが、例えばゲノム研究プロジェクトに15社が参加しているというような意 味でございましょうか。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○基盤研総務部長   先ほどの業務のシステムでございますが、一般的には給与システムは他の独法のを多 分使われていると思います。それとあとは会計システムも場合によっては導入している ところもあるかもしれませんが、うちは要するに会計課の職員というのが規模的にちょ っと足らないような程度でございますで、そのシステムを入れて、より事務の効率化を 図ろうということでしております。ちょっと他のところとの比較というのは私の方もし ておりませんが、大体そういう感じではないかなと思っています。 ○部会長  二点目はいかがでしょうか。 ○基盤研企画調整部長  18ページの関係でございますが、まず15社、あるいは20社につきましては、例えば 15社につきましては、医薬品安全性予測のための毒性学的ゲノム研究プロジェクトとい うことで15社が共同研究費を出して参画していただいているという状況でございます。 次のたんぱくにつきましては、具体的にはちょっと共同研究の仕方が違うのですが、ヒ ューマンサイエンス振興財団が20社をとりまとめた形で基盤研とヒューマンサイエン ス振興財団との共同研究という形式上なっておりますが、実態上は20社との共同研究と いう形でございます。  それで共同研究と受託研究でございますが、実態的にはそんなにアレなんですが、受 託研究といいますのが、企業等の委託社の方から受託者の研究のために基盤研の方に委 託するということで、その委託内容が基盤研の業務趣旨と合っているという前提での受 託研究で、共同研究は共同研究をある程度一緒にやるということで。 ○酒井委員  プロジェクトに例えば15社参加されているそうですが、そこのことが共同研究という 意味でもないのですね。 ○基盤研企画調整部長  違います。例えばその6社の疾患モデル動物研究プロジェクトは受託研究という扱い でさせていただいております。ですから受託研究費の範囲内で研究を実施するという形 にさせていただいております。共同研究の方は基盤研の方の共同、ある程度人材なり、 お金等を出してやっているという状況でございます。ただ、実態的には余り変わらない と思いますが。 ○岩渕委員  11ページのところの評価委員会というのが外部評価委員会、これは何か随分評価委員 会が多い、確かに幅広く、しかも遠隔地離れていたり、いろんな事情はあるのでしょう が、これはずっとこのままこれだけの評価委員会を続けていかれるつもりですか。これ だけの人を抱えて。 ○基盤研理事長  お答えいたしますが、最初の基盤研研究等の外部評価委員会というのは、先ほど申し ました部としましては、基盤研究部のプロジェクト、それから生物資源のプロジェクト、 これに対する評価委員会でございます。三つ目の基礎的研究評価委員会は、これはいわ ゆるファンディング、我々は行っておりますので、ファンディングのための基礎的研究 の部門の評価委員会、それから実用化研究評価も実用化のためのファンディングを行っ ておりますので、それに対する評価委員会でありまして、目的が全然違う評価委員会で あります。 ○岩渕委員  いや、これだけの回数がどうしても必要なのですか。 ○基盤研理事長  はい、そうなんです。これはどうしても公正に評価するためには、余り一回で終わる というようなことはできませんので、事前評価を含みまして、評価委員会を行うという ことでございます。 ○部会長  よろしいでしょうか。それでは評価シートの記入の方をお願いします。10分程度でよ ろしくお願いいたします。 (評価記入)  それでは次に進んでよろしいでしょうか。では次に第2グループの評価シートの項目、 6〜12までの実績につきまして御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○基盤研企画調整部長  それでは第2グループについて御説明をさせていただきたいと思います。説明用資料 の20ページからでございます。この部分につきましては基盤研が自ら行っております研 究であります基盤的研究と生物資源研究について御評価いただくものでございます。20 ページにございますが、カッコでふったものにつきましては一つの項目となっておりま すので、基盤的研究については4項目、それから生物資源研究につきましては3項目の 評価をいただくことになります。自己評価に当たりましては外部研究評価委員会、先ほ どの参考資料の方の結果の点数、あるいはコメント等も考慮して自己評価をつけさせて いただいております。  最初ですが、医薬品安全性予測のための毒性学的ゲノム研究、21ページです。項目6 でございます。研究の概要ですが、22ページをごらんいただきたいと思います。医薬品 を開発する際には医薬品の安全性の確保が重要でございます。遺伝子発現情報から医薬 品候補物質の毒性を予測することができますれば、毒性試験の効率化やあるいは安全性 の向上など、医薬品の開発の促進に役立ちますので、15社との共同研究を継続して実施 させていただいております。  具体的には150の化学物質を対象にいたしまして、ラットの毒性試験のデータと、そ の際の遺伝子発現解析のデータを蓄積いたしまして、毒性の判別予測でありますとか、 類似薬の予測などに用いようとするものでございます。このデータベースができますと、 この分野につきましては世界最大規模になるものと考えております。  17年度は5年計画の4年目ということになっております。17年度の主な成果ですが、 データベースのデータが着実に蓄積が進められたということもございますし、また23 ページですが、化学物質によって遺伝子の発現の時点についてはいくつかのパターンが あることがわかってきております。また24ページに示しておりますように、適切な遺伝 子セットを見ることによりまして毒性の予測、有無の予測が可能であることなどがわか ってきております。順調にデータの蓄積と解析が進んでおりますので、17年度につきま しては十分な成果が得られたというふうに考えているところでございます。  次に25ページ、たんぱくの研究でございます。項目7でございます。26ページをご らんいただきたいと思います。ヒト試料を用いた疾患関連たんぱく質の解析研究でござ いますが、患者さんと健常者の間で発現するたんぱく質の違いを見つけ出して医薬品の シーズ等に必要とする20社との共同研究でございます。ヒューマンサイエンス振興財団 が中心となって実施しているところでございます。  25ページに戻っていただいて、17年度の成果といたしまして、8疾患、疾患ごとに平 均約1,200のたんぱく質の探索・同定・定量を行ったということでございますが、ここ は1疾患ごと10検体弱を対象といたしまして、1検体当たり百数十個のたんぱくを解析 するということで、トータルで1疾患当たり平均1,200個のたんぱくの探索・同定・定 量ができたという意味でございますが、その実施をしております。  またヒト組織の解析に向けた試験的探索を実施しておりますし、またデータベースの 構築を開始しているところでございます。また、低発現のたんぱくについても検討を進 めているところでございます。  27ページでございますが、これは疾患関連たんぱくの解析研究につきましては、しっ かりとしたサンプルを提供いただくことが必要でございますので、研究協力機関、これ は8機関ございますが、ここからそれぞれの疾患で解析がうまくできるように、品質の よい試料を提供していただいているところでございます。  次は28ページですが、データベース、バイオインフォマティクスの構築に着手してい るところでございます。  次に29ページをごらんいただきたいと思います。たんぱくに関しまして二つ目のテー マでございますが、疾患関連たんぱく質を有効利用するための研究でございます。疾患 関連たんぱく質の中から創薬に有用なたんぱく質を探索するための研究ということにな ります。平成17年度には30ページにございますが、目的クローンを効率的に選択可能 となる外来たんぱく質を多分子発現できるファージディスプレイ・ベクターの構築が行 われたということでございます。  31ページでございますが、他種類の抗体遺伝子を効率よく増幅できるプライマル設計、 増幅条件の最適化を行いまして、in vitroで迅速な疾患関連たんぱく質の抗体を得る技 術が確立したという成果を得ております。また32ページでございますが、ペプチドのフ ァージライブラリーの作成によりまして、細胞内に効率よく移行するペプチド工法がい くつか得られているという様な状況でございます。二つのたんぱく質の関連研究を全体 を通しまして計画におおむね合致した成果が得られているというふうに考えているとこ ろでございます。  次に33ページでございます。ワクチン、免疫抗体に関する研究でございます。項目は 8となります。新世代ワクチン・抗ウイルス剤開発基盤研究の概要でございますが、34 ページでございます。新型インフルエンザ、SARS等、新興再興感染症への対応につ いては大変重要な課題でございまして、新しいワクチンの開発が求められているわけで ございますが、このような新世代の新しいワクチンの開発に向けまして、アジュバント や投与法、ベクター等の開発を行う研究でございます。  35、36ページですが、平成17年度にはヘルペスウイルスの感染動態解析におきまし て関与するコレステロールが宿主細胞への侵入過程に重要であること、ヘルペスウイル スの粒子形成や侵入に関与する可能性のある遺伝子を同定したという他は、新世代の多 価ワクチンの開発に向けた研究におきまして、外来遺伝子挿入のターゲットとなり得る 領域を同定することができて、さらに他のウイルスの遺伝子の組み換えにも成功してお ります。特許も申請中ということでございます。  37ページは新世代抗体産生基盤研究でございますが、感染症の治癒にはリンパ組織に おけます免疫反応の役割は重要でありますことから、人工リンパ組織を用いた免疫系賦 活システムの構築に向けた研究を行っているところでございます。  38ページでございますが、T細胞、B細胞の移植組織への移行につきましては、樹状 細胞の添加により増強されること、移植組織は二次リンパ組織と類似した組織構造を持 つことなどを示すことができました。ワクチン免疫研究としまして、計画におおむね合 致した成果が得られているというふうに考えております。  39ページでございますが、遺伝子導入技術の研究でございます。項目は9です。遺伝 子たんぱく質の機能解析に基づく医薬品開発、新規ワクチンの開発に当たりまして、遺 伝子を導入し、制御する技術が重要であるということでございまして、画期的な遺伝子 導入技術の開発などに向けました研究を行っております。  41、42ページになりますが、さまざまな標的認識が可能となるような従来型のアデノ ウイルスを改良し、また、各種幹細胞への導入効率が飛躍的な改善するといった十分な 成果が得られているところでございます。  次に43ページでございます。これから生物資源研究の部門に入ります。43ページに つきましては、遺伝子、バイオ細胞、実験用小動物のバンク事業でございまして、項目 10となります。図の方で御説明させていただきたいと思いますが、47ページをごらんい ただきたいと思います。遺伝子バンクではヒト疾患関連遺伝子を収集するとともに、カ ニクイザル等の相補遺伝子のクローン化、収集を行っており、またマイクロアレー化、 データベースの整備などの関連研究を行っております。  48ページにありますように、分譲数は49件と書いてございますが、済みません45件 のミスでございまして、45件の実績がございます。また3,000サンプルを大学や企業に 提供させていただいております。  次に細胞バンク、49ページでございます。寄託された細胞を正常確認や汚染除去等を 行いまして、情報とともに品質のよいバイオ細胞を企業や研究機関に提供する、あるい は関連の提供を行っております。50ページにございますように、17年度末現在920株を 保有しておりまして、約3,100アンプルを分譲しております。分譲数といたしましては 理研のバンクをあるいは上回るものの規模でございます。国内の大学や企業の他、海外 にも提供しており、種々の疾患や医薬品開発などの研究に利用されております。  次は51ページでございますが、ホームページによる情報発信を行っております。右側 の方ですが、ヒト由来生物資源の研究資源化に当たりましては、研究問題が重要でござ いますので、倫理問題に関する検討状況をホームページに公開を行っております。  次は52ページですが、実験用小動物でございます。実験用小動物の部門では、疾患モ デル動物の開発と、それから胚・精子の凍結保存による系統維持、供給、それからそれ らの関連の研究を行っております。  53、54ページにございますように、腎疾患モデル動物の病態解析でありますとか、レ ンチウイルスベクターを用いたトランジェニック動物の作成でありますとか、精子凍結 保存法などの研究について成果が得られております。バンク事業全体としましては計画 に比べまして十分な成果が得られたと考えているところでございます。  なお、バンク事業に関しましては、ヒューマンサイエンス振興財団と連携をして実施 させていただいているところでございます。  次に55ページから薬用植物でございます。項目11でございます。また絵の方で御説 明をさせていただきたいと思いますが、57ページをごらんいただきたいと思います。薬 用植物は医薬品、あるいは医薬品の成分として、また有用な遺伝資源として重要でござ います。薬用植物資源研究センターは国内の唯一の薬用植物センターでございまして、 薬用植物資源の収集、保存、情報の整備などの他、薬用植物資源の量的確保、医薬品の 開発など、薬用植物資源の活用などについての研究を行っております。  58ページでございますが、これも薬用資源の確保の観点からの研究でございますが、 国内生産基盤の確保のため、ナイモウオウギの栽培の機械化の研究を行いまして、生産 の大幅な省力化に成功しております。  59ページでございますが、遺伝子組み換えのオウレンの効率的作出法を新たに確立さ せていただいております。また、60ページでございますが、熱帯地方の感染症でござい ますリーシュマニアにつきまして有用な薬用植物エキスを見いだして、漢方のシュンコ ウというのがございますが、それがリーシュマニアの有効であるということで、現在特 許を出願しております。薬用植物につきまして、計画に比べまして十分な成果が得られ ているというふうに考えているところでございます。  次に61ページからでございますが、霊長類でございます。項目12でございます。霊 長類につきましては、疾患研究、あるいは医薬品開発に当たりまして欠かせない資源で ございます。霊長類医科学研究センターは国内の唯一の理科学研究用の霊長類センター でございまして、カニクイザルを研究資源として維持供給するとともに、創薬でありま すとか、医科学研究に資する疾患モデルなど、霊長類資源の高度化の研究を行っており ます。  17年度の成果例でございますが、63ページでございますが、医科学研究用霊長類の繁 殖、育成等の研究を行っておりまして、17年度におきましては効率的な交配時期を特定 することができるとともに、子宮内膜症が繁殖効率を低下させるということを見いだし ております。  64ページでございますが、研究用リソースといたしまして、31株の霊長類の不死化細 胞株を構築しております。細胞マークから提供の予定で考えております。  65、66ページでございますが、MRI、それから超音波診断装置、これは人等で使わ れているわけでございますが、霊長類にも応用するということで、霊長類の画像解析技 術を確立しておりまして、心筋症や心室中隔欠損症などのモデルの抽出に成功している ところでございます。  67ページでございますが、これは霊長類のタマリンでございますが、急性C型肝炎用 症状を発症するモデルということで開発を進めているところでございます。霊長類につ きましても計画に比べまして十分な成果が得られているというふうに考えております。  基盤的研究、あるいは生物資源研究につきましては、17年度は新規の立ち上げ、ある いは東京から大阪へ基盤研の移転などの要素も考慮いたしますと、全体的には初期の研 究成果が得られているのではないかと思っておりまして、また18年度に向けて準備がで きたものと考えているところでございます。以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。それでは御質問等をいただきたいと思いますが、いかがで しょうか。 ○市川委員  非常に膨大な実験例がいろいろ提示されて、フォローしていくのがちょっと大変だっ たのですが、大変すぐれた研究をされていらっしゃるように思います。しかしところど ころ自己評価Bということを厳しく採点されてらっしゃるわけですが、これは外部及び 内部評価委員ですかね、何かそういうところのある評価点の基準で出されていらっしゃ ると思うのですが、この自己評価Bということは、他のものがAというのもあって、B というのがありますね。要するにどういうポイントがBであって、なるほどこれはBで あるなというふうな理解を自己評価的にされたのか、あるいはされていらっしゃるかと いうことですね。  研究でなかなか自己評価をどこをAにして、どこをBにするかというのは、少しスパ ンが長いものもたくさんあるわけなので、その時点その時点での評価というのはかなり 主観的なものも入ってくるのかなというところもあって、論文数とか、そういうことじ ゃなくして、ある評価がなされているのかなという気がするのだけれども、その辺いか がでしょうか。 ○基盤研企画調整部長  実は全部Aにしようかと思っていますが、やっぱり最初なのでちょっと厳しめに評価 させていただいた結果でございます。研究につきましてはBがつきましたのがたんぱく の研究でございます。これは一つは外部評価の点数が3.3ということで比較的低かった ということと、それから疾患関連たんぱく質の研究の方で新規の関連たんぱく質を見い 出すということになっていたのですが、確定まで至らなかったということで、ちょっと 厳しめではございますが、Bということにさせていただきました。  それからワクチン抗体産生の方のプロジェクトもBとさせていただいたのですが、免 疫細胞の関係のプロジェクトの方が外部点数が3.1ということでちょっと低かったとい うこと、ただトータルとしては二つの平均点としては3.5でかなり高い方だと思うので すが、ということになるのですが、今年度の業務はおおむね計画に合致しているものの、 計画を上回っているとまではということでBということにさせて、ちょっと厳しめです が、させていただいたところでございます。 ○市川委員  これは基本的には要するに技術開発というものを評価の基準におかれているわけです か。それともプロダクトというか、研究所におけるあるゴール、それが達成したことに よって評価は高いというように考えて、されてらっしゃるのかということですが、基本 的にはこれは全部技術開発になってますよね。今までのところ。 ○基盤研企画調整部長  ここでは具体的にはちょっと年度計画を参考にして、進捗状況を見て、それぞれの研 究についてはそれなりの成果が得られているとは思ってはいるのですが、年次計画に比 べてどうかというところで、ちょっとそこの関係でたんぱくとワクチンの抗体産生のト ータルとしてはBくらいかなということでございまして、ここは自己評点につきまして は年次計画との比較をちょっとウエートを置かせていただいた感じでございます。 ○市川委員  じゃあその年次計画は毎年毎年ある程度評価に基づいて変えていくということになる わけですか。 ○基盤研企画調整部長  5年後の中期目標になりますが、それを達成するためのマイルストーンということで の年次計画ということでございますので。 ○市川委員  この辺研究所の評価ってなかなか難しいところがあるような気がするので、これを素 直に信じるとBですねということになるわけですが。 ○部会長  はい、ありがとうございました。他に御質問はございますでしょうか。 ○部会長代理  22ページに書いてあります安全性予測システムの構築というのは、私も非常に大きな 期待をもって見せていただいているのですが、試験化合物150というのは、そして17 年度はそのうち30個という、これが唐突に出てきたという感じがいたします。それらは どういう構造の化合物で、選択された根拠、それからどういう社会的ニーズを反映して いるのかというようなことが、どこかに公開されているのかどうかというようなことを お尋ねしたいと思います。 ○基盤研企画調整部長  150の医薬品の安全性の観点から、研究開発の段階、あるいは市販後において安全性 の観点からドロップアウトした医薬品がございますが、いろんな理由はあるわけですが、 その中で肝毒性、あるいは腎毒性というものがかなりの数にあがっていますので、それ を対象にいたしまして、今回の毒性学的ゲノム研究ということをしております。そうい う観点から毒性が見られる、あるいは毒性に関係しそうだといわれる物質を150物質選 んでおりまして、医薬品関係ですと現在医薬品成分として使われているのが約2,000く らいかなと思っておりますが、そこで毒性が指摘されているというものを見ますと、肝 毒性等が指摘されているものに関しまして、ほぼ網羅しているのではないかなと思って おりますので、今後新しい候補物質が出て来れば、これらの物質と比較することによっ て、研究開発の段階での有用な安全性に関するデータが得られると思っております。  あとはここら辺に関しましては、今年最終年度でございますが、かなりデータが蓄積 されてきておりますので、一部成果等については学会等で発表させていただいておりま すが、研究内容をとりまとめまして、今年度中に一度大規模な成果発表会を行うという ふうな予定をしておりますし、あるいはデータ量がものすごく膨大でございますので、 これらの概要をまとめた形での報告をまとめさせていただこうということで準備させて いただいているところでございます。 ○部会長代理  じゃあどういう化合物かというリストはまだ公表はされていないのでしょうか。 ○基盤研企画調整部長  全体的には、例えば実は開発中止化合物というのは、これは企業が独自で持っている 開発を途中でドロップしたものでございますので、ここら辺はある程度参加企業は15 社ございますが、合意が得られないとそのまま物質名等も公表しにくいのかなと思って おります。ただ、今年度は最終年度でございますので、公表する内容等につきましては、 どういう方法で公表するのかということは今公表の準備の検討を進めさせていただいて おります。ですから全体のリストについてはまだ公表しておりませんが、一部学会発表 で行いました四塩化炭素でありますとか、そういうものについてはこういうのでやって いるよということでは公表はさせていただいております。 ○部会長代理  ありがとうございました。 ○部会長  他には御質問はございますでしょうか。 ○酒井委員  個々の研究結果並びに成果については御説明をいろいろいただいたのですが、基盤的 研究部と生物資源研究部、さらに研究センターが二つあるというような構成になってお りますが、この間の交流というのですか、こういう研究をやったことがこちらの例えば センターの研究に非常に前向きになるとか、また一つの研究部に対してアイデアが他の センターで出る、また人の交流が各アレで行うというようなことはあり得ることですか。 ○基盤研理事長  御指摘をありがとうございました。私はそれを目指しておりまして、先ほどの交流会、 ディスカッションの場ですが、そこもすべての方が出席できるようにしておりまして、 ちょっと余談ですが、その後実は懇親会を毎度やるのですが、そこなんかで若い人同士 とかが話し合いまして、共同研究が進みつつあります。例えば筑波に霊長類センターが ありますが、ここの霊長類センターと一緒に基盤研の今研究をやっているグループが、 一緒にそこでサルを使った研究をしたり、それからES細胞というのを細胞バンクでや ろうとしていますが、それを遺伝子導入のグループと一緒に研究をしたり、そういうい わゆるディスカッションの場から生まれた研究が次々と進みつつあります。 ○部会長代理  スライドの60にありますリーシュマニア症の治療薬の研究ですが、これは私も興味が ありますが、大阪の本所の方々の中にも非常に関心をお持ちになる方もいらっしゃると 思うのですが、この研究はどういうきっかけで始まったのか、また今はどういう共同研 究機関と御一緒になさっているのかというようなことで、わかりましたら教えていただ きたい。 ○基盤研理事長  薬用植物のセンター長に答えさせます。 ○薬用植物センター長  御質問のリーシュマニアの研究のきっかけですが、現在の研究はHS財団の国際共同 研究プロジェクトということで進めさせていただいているものです。その前にはだいぶ 歴史はあるようですが、現在の研究はHS財団の研究プロジェクトということで、製薬 会社何社か加わっていただいて、それと後は大学の先生を交えたプロジェクトというこ とで進めさせていただいております。本当の最初のきっかけというのは、現在主にペル ー、パキスタン、ミャンマーの現地の研究機関の方々と協力をさせていただきまして、 現地の植物資源、これは現地の研究者の方に採集、それから同定をしていただいて、あ るものは日本に持ち帰って、またあるものは現地でエキスをつくって、それの成分の研 究というような形で進めさせていただいております。 ○部会長代理   ありがとうございました。 ○部会長  よろしいでしょうか。それでは評価シートの方の記入をお願いいたします。 (評価記入) ○部会長  次に進んでよろしいでしょうか。では次に評価シートの項目13〜16までの実績につい て御説明をお願いしたいと思います。基盤研究所の評価は今回初めてでございますので、 少しゆっくりと御説明をいただきますと大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお 願いいたします。 ○基盤研研究振興部長  それでは私の方から研究所の外部で展開をしております研究開発事業について説明を します。お手元のスライド集の68ページからです。中期目標は4項目あります。初めに 国民の要請に即した振興、適切な案件をいかに採択するのか。まず有望案件を発掘する 必要がある、そのため知財マップなどを作成、活用しました。  特に今年度は再生医療に関しまして、国内外の特許情報に基づいて基本特許と派生特 許といいますが、派生特許間の相関関係について整備を図ったところです。またベンチ ャーキャピタルを通じまして、情報の収集を図りました。その他、例えばマガジンでネ ーチャーメディスンですとか、ランセットといいましたマガジンの場合には創薬に近い 研究成果が掲載されることもあります。その中から日本人研究者に関する情報を収集し まして、ヘッドハンティングに今後つなげたいと考えています。さらにパーソナルコミ ュニケーションも大変重要であります。持ちこまれる案件につきましては、いずれも丁 寧にかつ公平に相談にのるようにしています。もちろんプロジェクトとして採択するか どうか、これはあくまでも客観的に行います。  次に知的財産の創出及び製品化の促進について、70ページです。プログラムオフィサ ー制度の実施、評価方法の改善、外部委員によるより客観的な評価などに努めてまいり ました。現在研究所では大学等の40プログラム及びナショナルセンターのプロジェクト を押し進めています。各プロジェクト内の研究はバラバラではダメで、各プロジェクト の研究代表者は創薬に向けて統一的にプロジェクトを推進するものと位置づけています。 振興管理については後ほど御説明をします。  この他、我々はベンチャーによる医薬品開発や、オーファンドラッグデバイスの開発 促進も進めています。各事業の趣旨、目的につきまして、次のページ71ページです。い ずれの事業も創薬という出口を守備範囲にしておりまして、科研費などは守備範囲が全 く異なります。ちなみに中期計画でうたわれている内容はファンド運営の方法、あり方 に関するものが中心でありまして、72ページにございますように、目的たる具体的成果 に向けた、いわば手段であります。そこで各プロジェクトの成果は今どのような状況に あるのか、その進捗状況を次に御説明したいと思います。73ページです。  ここでは昨年度、特に成果が目立ったと思われる中から一部を示しています。横軸は 薬の開発につきまして、創薬ターゲットの探索から承認に至る流れを示しています。各 プロジェクトの矢印の起点は、各プロジェクトの事業の開始時、終点は昨年度末時点を 示しています。一点申し上げておきますと、ここにある以外にも現在製薬メーカーなど と特許使用許諾について交渉中のものなどがありますが、いずれも微妙な時期でありま すので具体的に記載はしておりません。それではここに記載しているもの中で概略を説 明したいと思います。  まずマラリア薬です。これは毎年世界で100万人以上の死亡者を出す寄生原虫感染症 です。研究会シジに安価で大量供給が可能な薬剤候補を見いだしていました。93ページ の参考資料の3をごらんください。早速マウスや日本ザルを調べましたところ効果が確 認されまして、また安全性も問題がありませんでした。そこで民間企業を探しまして、 最近手を挙げる企業が現われまして、共同で全臨床試験を進めることになりました。こ のように我々のファンドは大学の成果、シーズを民間による市場化につなげていくトラ ンスレーショナルな役割を担っております。  次に73ページに戻りまして、多発性硬化症治療薬についてです。参考資料は94ペー ジです。患者さんの数ですが、欧米ではかなりの数でありまして、最近我が国でも増え てきております。現在の治療薬は全身的な副作用が強くて十分な投薬が行えない場合も ございますし、インターフェロンβも保険適用になりましたが、何しろ高くつきます。 そこで糖脂質の一種でありますOCH、これがリンパ球に、ちょっと難しく言いますと、 Th2シフトと呼ばれる変化を生みまして、効果があることがわかりました。こうした成 果を受けまして製薬メーカーが加わることになり、昨年度前臨床に進みました。  次にメタボリック症候群に関するものです。そもそもメタボリック症候群とは、血液 中の糖や脂肪を分解する体の代謝が正常でなくなる症候群のことをいいます。本プロジ ェクトはなぜそうした異常に至るのか、その病態の解明から研究を始めました。その結 果、95ページですが、参考の5にありますように、カロリーの取り過ぎが悪循環を引き 起こして、どんどんとインシュリン抵抗性に進んでいく過程が明らかになりました。ま た、活性をもちますのがアディポネクチンと呼ばれる物質で、それが12〜18個集まった 多量体であるということも明らかにすることができました。そこで昨年度は民間企業が 加わりまして、そのアディポネクチンの多量体を測るという、その診断薬の開発を進め ることになりました。現在、臨床治験の準備中であります。  さて、73ページに戻りまして、プロスタノイド作動薬について御説明をします。例え ば難病の一つに潰瘍性大腸炎という病気がありますが、これにプロスタノイド作動薬、 AE1の734を投与しますと、炎症を抑制することができます。参考資料の96ページを ごらんください。このように炎症像が著明に低下しております。こうして当プロジェク トでは動物モデルを用いた実験で効果があることを証明し、また安全性を確認してまい りました。その結果を受けまして、昨年度は人に対する臨床治験を開始したところです。  次に再び73ページに戻りまして、動脈閉塞性疾患の遺伝子治療についてです。マウス を用いた実験では新しい薬、これはセンダイウイルスベクターと呼ばれるものが基本に なっておりますが、この投与群で良好な血のめぐりの回復を示しました。血流の回復と 申します。参考資料の7、97ページです。そうした結果、本年初めに臨床研究プロトコ ールが厚生労働省から承認を受けまして、人に対する投与試験が開始されることになり ました。ちなみに類似薬としまして、アデノウイルスベクターが既にある中で、センダ イベクターの開発意義は何なのか、この辺につきましては参考の8にまとめております。 また、主任研究者との話し合いで研究対象や疾患を絞ったりもしまして、できるだけこ の研究が散漫にならないように、そのようなこともしたところであります。   次に抗体薬プロジェクト、これは昨年始めたばかりですが、既に産婦人科の乳がんの 診断薬の承認が下りたところです。ちなみにこのプロジェクトの意義ですが、91ページ、 参考の1にありますように、抗体薬は今後大変重要であります。反面、我が国オリジナ ルと言えるものは余りない、残りはすべて海外で開発されたものです。そうした現状に 鑑みまして、抗体薬プロジェクトを立ち上げました。事業の内容は参考資料の2にあり ます。今後、10種類の治療薬リードと20種類程度の診断系のリードを見つける計画で あります。目標達成に向けて努力をしたいと思います。  次に73ページの下の円内にありますような、動脈硬化症治療薬を初めとするさまざま な我が国の保健医療上重要な薬剤の探索を行っています。これらの中にも既に製薬メー カーから一緒にやりたいと申し出のあるプロジェクトや、次年度に向けてフェーズ1の 準備を進めているもの、薬の構造の最適化が着実に進展しているものなどがありますが、 時間の関係で詳細は割愛します。  このように各プロジェクトはおおむね順調に推移していると考えておりまして、着実 に成果を上げつつあります。加えて査読付の論文数、特許出願数は中期目標期間前の5 年間に比較しまして、それぞれ11.5%、53.4%増加しておりまして、個別評価シート14 の4にあります中期目標にうたわれた10%程度以上増加させるとの目標を達成してい るところであります。  さて、当研究所のファンドは次の74ページですが、まず基礎的研究推進事業ですが、 既に申し述べましたように、大学等の成果を企業による実用化に橋渡しするトランスレ ーショナルな研究を行います。次に研究振興事業はそれよりもさらに実用化段階の研究 です。また、次のページに示していますが、死の谷と呼ばれる資金的に厳しい時期を乗 り切らせるという意義もあります。稀少疾病用薬品等開発振興事業ですが、これは文字 通りオーファンドラッグデバイスの開発を助成するものです。  ところで各プロジェクトを創薬に向けて着実に進めていくには、大学等の専門家に加 えまして、製薬メーカーなどがいずれかの段階で参加してくることが多くの場合望まし いといえます。したがって76ページですが、産と学が結びついた体制のプロジェクトを 採用する、あるいは今は熟度が低い場合であっても、いずれは企業の参画を促していく、 こうした産学の連携を進めていくことに我々のファンドの意義があると考えています。  さて、ファンドの方針について三つ申し上げたいと思います。77ページです。一つは 研究開発に関して重点課題を提示してメリハリをきかせる、いわば選択と集中です。そ して大切なことは、決して我々ファンドは受け身ではダメで、人材を発掘して、その上 で全国的に優秀なラボを展開しているというバーチャルラボの意識をもって、各プロジ ェクトに能動的に臨む姿勢であります。  二つ目は評価の徹底と振興の管理、三つ目は国民に対する説明責任を十分に果たすと いうことです。振興管理につきまして、次のページですが、評価を毎年度行います。す なわち実地調査を行いまして、その結果等を専門員及び評価委員会に提出して、必要な 面接評価を実施します。その結果を踏まえて実地指導を行います。また次年度の契約額 にも反映をさせますし、一昨年は評価に基づいて中止をしたプロジェクトもありますし、 昨年度も実施体制がとれないと判断されるものについては中止を決定しました。  次からは先ほどに御説明したような成功例を文章でまとめたものです。ところが先ほ ど方針についてメリハリと申し上げました。次年度のテーマは評価委員や製薬協などに 実施しましたアンケート結果に基づきまして、論理的創薬を掲げるとともに、総合科学 技術会議の方針を受けまして、若手育成を盛り込んだところです。82ページです。  さて、次からは実用化支援事業の現状です。これは濃い赤の矢印の起点がプロジェク トの開始時でありまして、終点が現在、薄い赤の矢印が今後の予定です。一昨年始めま したプロジェクトはおおむね治験に入っております。したがって当事業の目的を果たし てきていると考えています。  さて、次はオーファン助成金交付後の開発状況についてです。助成したもののうち、 半数を超えるものが実際に医薬品として承認をされておりまして、一定の成果を上げて きていると判断しています。87ページは利用しやすい資金の提供についてです。やはり 時代はITでありまして、このITの時代にマッチした方式の採用に努めてきました。  次は承継業務の適正な実施についてです。貸付金につきましては、償還計画に沿って 回収を実施しました。また出資法人の現状ですが、存続7社につきまして、技術面及び 財務面から専門家による評価を実施したところ、存続が妥当であるとの結論でした。90 ページです。  これまでのところ、遺伝子治療用の新規ベクターの開発、ウェルナー病の遺伝子診断 法の確立などの成果を上げてきております、現在、治療薬の治験が順調に推移している ものや、今後開始予定のもの、また製薬メーカーとライセンシング交渉中のものもあり まして、もう少し長い目で見ていきたいと考えております。  いずれにしましても医薬品の開発の成功確立は候補化合物から見ましても12,000分 の1、全臨床開始から見ましても7分の1という、大変リスクを抱えている分野であり ますが、そうしたリスクを十分認識しまして、そうかと言って萎縮しすぎることなく、 ある程度のリスクをとることも必要です。この数年の努力がようやく実りまして、成果 が出てきているように思います。今後ファンドとしての社会的使命を果たしていくべく 努力をしてまいりたいと、こう思います。以上です。 ○部会長   ありがとうございました。それではただいまの御説明につきまして、御質問等をいた だきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○市川委員   ファンドを用いていろいろな研究に関して具体的な成果というか、応用ということに、 まああるいは創薬という言葉でしょうか、そういうところに向けていくつか後押しをさ れてらっしゃるという理解をしたのですが、実際におっしゃられた能動的に関与すると いう、いわゆるバーチャルラボの感覚の中で、それらのプロジェクトに対して能動的に 関与するという能動性というのは、どういう形で研究所においてはなされていらっしゃ るのか。  例えば個々に関してはそれぞれはかなりすぐれた研究でありますね。かなりの評価を 得ていて、かなり企業との間にタイアップされている研究でもあるわけですね。その一 方において、ファンドで後押しをしてあげる、そしてそれが治験に行ったり、それが何 かに行ったりという格好になっていると思うのですが、十分にそれは成果として私はわ かりますけれども、研究所として一体そこでより早く時間的な速さ、あるいは資金的な 豊かさということはよくわかりますが、何かもう少しそのファンドの出し方というのか、 この独立行政法人としての何かがあるのかという気がちょっと個人的には思うのです。  これに関して云々ではないのですが、これは何か後押しをしているという、グイグイ という感じがちょっとするのですね。今出された成果とおっしゃっている部分はね。そ うでもないのかしら。何か個々の研究に関して言うならば、それぞれがかなり独立し、 かなりいろんなところのファンドを得ている。繰り返しますが、そういう研究が多いと 思うので、基本的に当然ですがオリジナルで発生した研究ではないですね。 ○基盤研研究振興部長  日米で科学技術のレベルについてよく議論になるわけですが、我が国で大変重要だと 言われているのはファンディング機能ですね。公平かつ公正で、透明な運営をなされる ファンドというものが極めて大切なのです。それがしっかりとしている合衆国というの は、そういう面でやはり非常に懐の深い幹の太い科学技術の基盤ができているわけです ね。我々のファンドはそうした意味で創薬という出口に特化した、その辺にミッション をもったファンドとして存立しているわけですね。  そして我々はまさに昔のファンドは金を出すという感覚があって、それではダメで、 もう少しファンド自身の成果というものが問われる時代になっているわけです。そうし ますと、やっぱり研究者にお金を出す時にもしっかりとして、まさに全国的に最も優秀 なグループである、最も優秀な研究者である、そうした人にまずお金を出して、特に我々 の場合は助成金ではなくて、これは委託費ですから、我々が委託をしてやってもらうと いうことですね。契約に基づいてやってもらう。  そしてその後もただ、やってもらっていて見ているだけではダメで、やっぱり我々の 契約に基づいて、きちっとその目標に向かって進んでいるかどうかということを確認し ていかないといけないわけです。そして場合によってはその研究はこの我々の目標から すると、少し違うからやめていただく、こちらに特化してくださいという話もやらない といけないわけです。これはそれぞれのプロジェクトについてまさに緻密にやっている わけです。綿密にやっているわけですね。そうしたことがまさに能動的な関わりという ことです。  まさにそのプロジェクトの発掘、そしてある場合にはもうそろそろ治験に移ったらど うでしょうか、ある場合には製薬メーカーなどと話をしたらどうでしょうか、大学だけ で抱えておける段階ではないんじゃないでしょうか、資金的な問題もあるから、製薬メ ーカーと一緒にやられたらどうでしょうとか、そういうアレンジとか、さらにその研究 内容については、この辺はもう必要ないんじゃないでしょうか、これは先ほど御質問が ございましたが、評価委員会がありまして、外部の評価委員会があるわけで、そこに実 地調査を踏まえておかけして、専門家の御意見もいただく、そうした意見を踏まえてま さに実地に伺って、そこはやめてほしい、ここはもう少し力を入れて欲しい、それが能 動的な関わりである。  これはアメリカなんかやっているんですね。我が国もそういうことをやっていかなく ちゃあいけない、特にこれは目標が非常に明確なファンドですので、例えば科研などの ように新しい知を創造する部分のウエートの大きい、発見する部分の大きいものについ ては、それはまた少し色彩が違うかもしれませんが、我々の場合は出口が明確です。医 薬品を開発するというターゲットが明確ですから、そのターゲットに向けてどうしてい くかということですからね。そういう意味でより能動的にかかわっていかねばならない と、こう思っています。 ○市川委員  一般的な話は私もよくわかるという言い方は悪いけれども、おっしゃっているとおり だと思うのですが、その能動性というところで、ファンドを出されて、その部分は例え ば個々の研究に関して、どれを取り上げてもいいけど、何かそれに関してどの部分が私 たちは評価すべきか、例えば仮にこれだけの額がこれだけのものとして持ち込んだとい うその部分ね、それが少し見えるような格好にしていただかないと、例えばの話、私は これは身近なのはプロスタノイドだけれども、これはかなり身近な立場におるんですが、 実際この研究に関して、これはもちろんすぐれた研究だし、これを云々するつもりは全 くないんですが、話として今おっしゃられた部分の、実際これは企業としての研究も進 んでらっしゃるわけだし,そのおっしゃっているところの理念というのとちょっと違う ようなところもあるわけですね。  だからこれを挙げるつもりは全然ないけれども、要は形として何かもうちょっと能動 性というのをちゃんと基盤をおいておかないと、もちろん立ち上げる時にはこういうこ とをやっていますというのはわかりますが、ただ、私がわかるのだったらオーファンの 云々とか、こういうのはある程度わかるんですよね。自分のもう何かどんどん研究所と してはやっていただきたいという感じはするのだけれども、ある程度実績があって、あ る程度動かれていることに対して、どうであるということ、あるいはここに新規化合物 があって、その人は本当に科研費も何も得られなくて非常に困っているという方に関し てのいいものを見つけた、それがいくつか入ってるということはおっしゃっていらっし ゃる部分もちょっとありますけれども、その辺のところが、ちょっと外から見た時に、 評価しようとした時に、本当に科研費とどこが違うんだろうなというところが明瞭にわ かるように今後も説明をいただければということを申し上げたわけで、おっしゃってい る云々に関してはかなり皆さん御理解だと思うのですが、要はそこがないと実際に、フ ァンドという意味が,本当に国民の方からしてプラスになっているのかというところで、 放っておいても企業はやるんじゃないかというところのものを押しているのだったなら ば、それはそれで違うので、だからその基盤の種をまいたことによって、ケイブがさら に押し上げてくるというような産官学連携のイメージというものは本当はあるとか、何 かその辺のところが欲しいなという気がします。  ○基盤研研究振興部長  結局、大学にシーズがある、これはかなりたくさんシーズがあるのですね。しかし、 じゃあそれを企業はすべてのシーズを引き受けて、そしてその市場化につなげていける かといいますと、それほど莫大な資金的なものというのは、まずないわけですね。もう 少し大学のシーズを少し企業が、これだったら一緒にやれるなというところまで育てて やる必要があるわけです。そこに我々のトランスレーショナルなファンドの役割がある と、こう考えています。  それで先ほど御説明しましたように、最初は大学だけでやっていた、そしてある程度 研究を進めていくと、それは発表会などで発表します、そうすると企業は見ておって、 こういうのは一緒にやりたいなというものが出て来る、そして企業はくっつく、これは 我々の先ほど申し上げました産学連携を進めていっているという意味ですね。そうして そのことが産学ついてきたということが、一つの成果であろう、そして本当にそれが医 薬品になってくれば、これは具体的な成果だということになってきます。  ただ、これは先ほど申し上げましたように、医薬品の開発というリスクを考えますと、 民間の企業が実際にやる中でも12,000分の1、臨床試験に入っても7分の1という成績 ですから、最終的にいくのはそのいくつかに淘汰されると思いますけれども、やはりそ うやって民間企業がくっついて、実際に具体的創薬の流れにのっかっていくという道筋 をつけてあげる、これが我々のファンドの一つの使命だと、こう考えています。 ○部会長  他に御意見はございませんでしょうか。あるいは御質問はございませんでしょうか。 ○田宮委員  今の能動的なファンディングということは大体わかったように思うのですが、いくつ か言葉の質問と、具体的にもう少し教えていただきたいところがあります。一つはプロ グラムオフィサー制度の実施というのは、日本に確かに今まで余りなかったところでい いと思うのですが、具体的にはどのぐらいのプログラムオフィサーがいらして、その方 が職員として常勤なのかとか、具体的にどの程度の規模でやってらっしゃるのかを伺い たいということ、それからヘッドハンティングという言葉が出たのですが、具体的には そのシーズの中から選んで、そこのファンドをつけるようにプロモートするというか、 ヘッドハンティングというのは具体的にどんな意味で使われたか教えてください。 ○基盤研研究振興部長  まず第一の御質問ですが、体制の問題だと思います。我々は行政といいますか、むし ろファンディング機能に特化した組織であります。そしてそこに何人かの職員が配置さ れておりまして、それぞれ技術的なものに依拠した職員がかなりおります。具体的にい いますと、この基礎的研究推進事業の課長は薬剤師さんです。また私は医師免許がござ います。技術的という面の素養があるということです。それからその他、顧問、これは 途中で事情があってお1人はおやめになりましたが、当初はお2人おられました。それ から技術参事、これは薬剤師さんです。それからプログラムオフィサー、これがお1人、 これは医師の方がおられる。  今、都合7人申し上げたかと思いますか、その他、やはり大きな方針とかいう決定に は所としての方針決定ということになりますので、理事長や理事のもとでお話を進めて います。もちろん理事長は感染症の専門家として著明な方でありますし、理事も薬の分 野で著明な方であります。そうした中で具体的な大きな方針を決定して、その上で我々 が運営しているということになります。今後さらに内部の体制の充実に努めていきたい と思っております。  ヘッドハンティングにつきましては、先ほど申し上げましたが、いろいろな方が我々 のファンドに情報を持って来られます。そうした中でこの人はと思われる方については、 ぜひこういうファンドがありますから、自分でプロジェクトとして一回応募されません かという、こういう意味でありまして、決してその方がプロジェクトとして応募されて も、そこで贔屓はしません。それはきちっとファンドの外部評価委員会にかけて、そこ は同じ土俵の中でやってもらうわけですが、そういうプロジェクトとして一回自分で薬 というものに向けて努力してみませんかと、そういうことで意識を持っていただいて、 プロジェクトを自分でつくってもらう、あるいは我々そのお手伝いをすることはいいと 思うのですね、そういうことは私どもの言うヘッドハンティングであります。よろしい でしょうか。 ○田宮委員  はい、わかりました。 ○部会長  他に御質問はございませんか。 ○政安委員  たくさんの評価委員会を設けられているのですが、評価委員会で実際に評価した内容 をどのようにフィードバックされているかというのを、具体的にお教えいただけたらあ りがたいのですが。 ○基盤研研究振興部長  評価委員会は毎年行っておりまして、その中で各プロジェクトについて、我々がまず 実地に調査に行って、その実地調査の結果、それから専門委員の評価の結果、それを踏 まえて提出します。そしてその外部評価委員会の十数人、ここの参考資料集の中にもご ざいますが、その方々に評価をいただく。今後継続していく必要があるプロジェクトか どうか、そして具体的成果を挙げているのかどうか、そうしたことを見ていただくわけ です。  その結果、いろんなコメントが出ます。ある場合にはこれは中止した方がいい、ある 場合にはこれは減額した方がいい、つまり一つのプロジェクトの中にもいくつか柱があ ったりするわけですね。その中でこれはもうやめた方がいい、そういう部分を削りまし ょうとか、ここをもう少し、ここに重点を置いてくださいという注文が出ます。それを 踏まえて我々さらに実地指導に行きます。そしてお話し合いを進める。そしてある場合 には切る、ある場合にはこれを進める、こういうことをしているということです。 ○政安委員  はい、ありがとうございました。 ○部会長  よろしいでしょうか。他に御質問はございますしょうか。 ○田宮委員   今の御質問に関連するのですが、そうするとその評価委員会の中にはどうしてこのシ ーズを取り上げて力を入れられたかという過程ですか、先ほどの能動的なアプローチで いろんなところをサーベイして、そこにターゲット化した理由みたいなものを明記され て、それで議論されてらっしゃいますか。 ○基盤研研究振興部長  採択から評価に至るまで一貫した見方が必要であるということで、この外部評価委員 会が採択の段階からかかわっていただいております。ですからまさにその採択の段階の 考え方をわかっている方々が次の評価は行うということになるわけです。 ○田宮委員  そうしますとできれば私たちにもこの成果例を挙げていただいた時に、どうしてこれ を選ばれたのかみたいなことが簡単にでもちょっと、口頭で説明が少しはあった部分も あったのですが、何か一覧みたいに、どこか資料はありますか、そういうのがあるとも う少し具体的に能動的にこれをシーズを見つけているという、そこの役割が見えて来る ような気がするんですが、いかがでしょうか。 ○基盤研研究振興部長  ファンドで応募する場合には広く全国的に応募しますので、もしもその後のかかわり について進行管理について能動的にかかわっているということで私は申し上げたつもり なのです。最初に公募を行います。それはいろいろと保健医療上重要な医薬品の開発と いうことで公募します。そして保健医療上重要であるかどうか、我が国の国民にとって それが開発されることが必要かどうかという観点でまず審査がなされる。ですからそれ で採択をされる。その後、我々はただお金を出すだけではなくて、きちっとその振興管 理をしていくということですね。それが薬の開発に向けて順調に進んでいっているのか どうかということをきちっと管理をしていく、能動的にかかわっていく、ただ、お金を 出しっぱなしではダメだという、そういうことを申し上げているわけです。 ○政策評価官  事務局からものを申し上げるべきかどうか、先ほど来迷っておりましたが、全体の流 れから一言発言をお許しいただきたいと思います。先ほど来委員の先生方の御質問及び 法人の方からのやりとりの中で、これは事務局として最初に申し上げるべきであったか なと反省をしております。冒頭、部会長からもお話がございましたように、これまで法 人の概要説明等はお聞きいただく機会はございましたが、実績に基づく事業をお聞きい ただくという意味では初めの機会でございます。それに基づいての評価作業ということ でございますので、そもそも基盤研ってどんなところで、どんなやり方をしているのか という部分での事実確認及び御質問、あるいは意見という部分と、具体的に17年度の評 価をいただくということでございますので、例えばで言えば、17年度にAがどうした、 Bがどうしたという固有名詞も含めた何が具体的にどうなったのか、ということのやり とりを通じて御評価をいただくという二つの側面が、実はこの場にはあるのかと思いま す。  先ほど法人側からの説明の中にありましたように、確かに創薬という事案を扱ってい ること、あるいは研究から実用化に向けてのフェーズを、そのトランスレーションとい う形でかかわっていると意味で、非常にいろんな意味で関係方面に微妙な、あるいは関 心事の高い発言も固有名詞になれば出て来るかというふうに思います。本評価委員会の 運営規定−これは評価委員会、親委員会の方でお決めいただいているものですが−にお いては、基本的にこの評価委員会、調査研究部会の議事そのものは非公開でございます が、ここで行われました内容及び資料につきましては基本的に公開ということで、事後 対外的には公表されますし、議事録についても若干のタイムラグはありますけれども公 表される。  ただし、これは他の部会で具体的に例があったわけでございますが、例えばマーケッ トに影響を及ぼすおそれがあるとか、あるいは個別非常に事情のある場合においては、 この場において、やりとりをした上でその発言の議事録上の扱い、あるいは対外的な公 表の扱いについては、その部会においてお決めをいただいた上で、例えば議事録から削 除をする、あるいはこれについての議事録の公開はマーケットの影響がなくなる時期を して公開をする。場合によって、他の部会の例から申し上げると、今日の案件について はマーケットへの影響があるので、この時期までは少し議事録の公開を延ばしてほしい ということを法人あるいは所管課の方から御提案申し上げ、部会長以下が御了解いただ ければ、その扱いを入り口において確認した上で議論をするというようなこともござい ます。  何を申し上げたいかというと、具体的な17年度の事業で、あるいは個別の例でという ところにおいて、何かあれば今後委員の先生方からの御質問あるいは法人側からの説明 の中でそこまではちょっと、ここでは当然評価をいただく前提として具体的な例あるい は固有名詞をある程度申し上げないと、評価いただくイメージがわかないという部分も ありましょうし、されど評価書を超えた段階での公表についてはという部分がでてくる ようならば、それはその時点で進行の中でお話し合いをいただき、扱いをお決めいただ きながら具体的に話をする。そういう意味では今日も、一般論としての基盤研について のお尋ねあるいは御確認をいただくと同時に、固有名詞、あるいは具体例という意味で の質問・説明について、必要があれば、今申し上げたような公開・非公開の扱いも御議 論をいただきながら深めていただければと思います。  長くなりましたが、本来この基盤研という研究法人を御評価いただく際、あるいはそ れについてのやりとりを具体的に事業に基づいて行う際、冒頭、事務局として申し上げ るべきことを申し損ねたというふうに反省をしておりまして、この場で口を挟ませてい ただきました。 ○部会長  どうもありがとうございました。 ○酒井委員  その場合、セキュリティであるとか、倫理であるとか、場合によっては利害関係の問 題については、一般的にどんな取り決めといいましょうか、ルールでやってらっしゃい ますか。 ○基盤研研究振興部長  採択する場合に、倫理面についてもまずちゃんとした審査を受けているかどうかとい うことを確認しますし、それから評価委員会の中にも、特に実用化の方につきましては、 法律家とか、経営面もしくは倫理の専門家、こういう方に入っていただいているという ことです。 ○部会長  よろしいでしょうか。先ほど評価官の方からも御指摘がございましたが、個別の問題 については先ほどお話のあったような形で取り扱いできるかと思いますので、そのあた りも含めて意見交換できればというふうに思っておりますのでよろしくお願いいたしま す。他に御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは評価シートの 記入の方をよろしくお願いいたします。 (評価記入) ○部会長  次に進んでよろしいでしょうか。では最後になりますが、第4グループの評価シート の項目17〜18までの実績につきまして御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○基盤研総務部長  それでは第4グループにつきましては、二つの評価シートになっております。評価シ ートは17−1でございます。それからパワーポイントにつきましては99ページが1枚 目のところでございます。それで1につきまして財務内容の改善ということでございま す。財務の関係に関しましては、別途説明の機会というものが設けられているというこ とでございますが、ここでは一応要点について御説明させていただきたいと思っており ます。  その下の100ページのところにございます、1としまして平成17年度計画に比べまし て、収入で1,269万6,000円上回り、支出で7億2,241万4,000円下回ったということ で書かれております。この7億2,000万ほどの支出を下回ったことについて御説明をさ せていただきたいと思っております。  つきましては資料が別に配布されているかと思いますが、平成17事業年度概算報告書 説明資料というものがお配りをさせていただいているかと思いますが、そこの1ページ です。これが法人単位の決算報告書ということで、100万円単位の報告書が書いてござ います。収入のところは省かせていただきまして、支出面のところで若干7億という金 額の御説明をさせていただきますが、まずは支出のところ、業務経費、ここで△の4億 8,100万円、それから施設整備費で△の5,500万、それから借入金等償還、それから借 入金利息、これは当初計画どおりということになりました。それから一般管理費でござ いますが、ここは5,500万、それから人件費は1億3,100万ということで、それぞれ当 初計画を下回る結果となりました。  当初計画を下回る要因につきましては、5ページに17事業年度にかかる経費の予算と 決算ということで、17年度予算と決算額と対比させてございます。まず人件費について ですが、1億3,100万円と計画を下回る結果となっておりますが、一般退職手当の3,800 万というのがございます。3,800万の退職手当のものが入ってございます。実質いわゆ る9,300万円、計画を下回ったことになります。  この要因につきましては、設立初年度ということもありまして、研究員が計画数より 12名ほど下回ったことになります。この要因につきましては、当所としては今後有能な 研究員の確保をするために、専門誌等を活用し、国内外へ広く精力的に募集を行ってき ました。その結果、17年度末においては設立当初に対しましてプラス5名の研究員を確 保し、新たなプロジェクトを立ち上げてまいりました。今後、18年度以降は精力的に有 能な研究員の確保に努める計画でおります。  次に一般管理費のところですが、5,500万と計画を下回る結果になっております。こ れにつきましては、人件費で説明させていただきましたが、設立時にいわゆる研究員の 確保が十分になされなかったということで、いわゆる共通経費の減による影響で1,200 万となっております。また、経費の節減の一環として検討された研究用資産の無償譲渡 による固定資産節税が実施されて、△4,700万の減額することが可能となりました。  その他、医薬品総合機構時ですね、事務所の借り上げから自己所有の事務所に変更と なりましたことによる施設等の保守料、それから清掃委託費等の共通経費がプラス300 万円の増額となりました。  次に業務経費でございますが、業務経費には霊長類センターにおりますサルの飼育管 理の委託経費、それから事業費、それから設備整備費、基礎研究等推進事業費が含まれ ておりまして、先ほどのサルの委託金につきましては当初計画どおりになりました。そ れから事業費につきましては4,400万円、設備整備費につきましては△9,800万と当初 計画を下回る結果となりました。  これにつきましては設立時に研究員の確保が十分できなかったことに伴い、新たなプ ロジェクトを段階的に立ち上げていくことになり、プロジェクトを進める上で必要不可 欠となる事業費とか、あるいは設備整備費が当初計画を下回る結果となりました。特に 設備整備費のマイナスの額につきましては、NMRの実験棟の建設予定地の変更により 当初計画していたNMR機器のリース料が発生しなかったことによる要因が大きくマイ ナスの額を占めております。  受託研究費につきましては、△の6,700万円と、当初計画より下回る結果となりまし たが、これにつきましては未成受託等があり、研究費を翌年度以降に繰り越しているた めに生じた額となっております。  それから基礎研究推進事業費につきましては、3億1,600万と当初計画より下回る結 果となりましたが、これにつきましては稀少疾病用、いわゆるオーファンの医薬品等の 指定品目が例年より少なかったことにより△2億2,000万になります。総合機構時に常 勤顧問として採用されていた人が退職され、設立時に当初の所在する大阪で勤務の可能 な有能な顧問を募集しておりましたが、なかなか補充することができず、欠員状態とな ったために△5,700万円となりました。現在も大阪で勤務の可能な有能な顧問を募集し ておりまして、事業の充実を図るべく進めております。  その他、共同研究として委託しておりました研究に伴う特許関係経費につきましては 経費の必要時期の想定が難しく、17年度につきましては△3,200万円と残額が生じまし た。その他、17年度計画に計上しておりませんでした疾患ゲノムデータベースに係る機 器等の購入が発生いたしましたので、プラス800万円となりました。  それから消耗品等経費につきましては、前年度実績がございませんので、対比対象と して表現するのは難しいのですが、経費節減については職員の意識改革等できることか ら実施してまいりました。先ほど最初の方で御紹介させていただきましたタクシーへの 利用に切り換えるとか、あるいは銀行の手数料の無料化に努めたりしてございます。そ の結果、予算額に対しましては△の1,500万円となりました。だから関係会社の清算等 によりまして、承継等業務費が△500万円と当初計画より下回る結果となりました。  以上が7億の下回った要因といいますか、説明をさせていただいたわけですが、次に パワーポイントの100に戻りまして、3のところに運営費交付金以外の収入の確保とい うことで、参考までに載せてございます。昨年17年度は18億2,481万円確保した形に なっております。それから財務に関係しましては、監事監査及び監査法人からは監査報 告に適正に処理されているという報告をいただいております。当所としては財務内容の 改善についてはほぼ予定どおりといいますか、できたものとしてB評価をしたものでご ざいます。  それから次のその他業務運営の項目でございます。資料としましては101ページのも のです。その他業務運営に関する重要事項、まず最初に研修の実施でございます。当研 究所は医薬品等の開発に資する共通的技術の開発を行う基盤的技術研究として冒頭資料 の方にございましたように、基盤的研究部につきましては7プロジェクトが立ち上がっ ております。それから研究に必要な生物資源の供給及び研究開発を行う生物資源研究と しまして、細胞とか遺伝子、動物、それから薬用植物、まあ動物はいろいろございます が、5セクションがある。  それから他分野に混ざっている状況でございますので、そのためそれぞれのプロジェ クトや研究分野にあった国内外の専門家を招へいし、講演セミナーを開催した他、当研 究所の彩都ライフサイエンスパーク周辺のところでございますが、地域と設立されてい る研究機関等との合同セミナーが開催されておりまして、研究者を参加させるなど、研 究者の資質や能力の向上を図る目的で研修の提供を行いました。  それから学会の参加及び発表でございますが、新たな知見を身につけ、技能の向上を 図るため、国内外の学会等に積極的に参加させました。それから他、実験に従事するも の、所内の取り扱い規定とか、あるいは関連する法律等の研修を開催し、必要な専門知 識の取得に努めました。  次に新たな人事評価制度でございますが、職員の意欲向上を目的として、評価目標達 成状況を報酬や昇給、昇格に適切に反映するために、他の独立行政法人の実施状況とい うものを調査しまして、人事評価制度の骨子案を作成し、幹部会で議論した、その結果 全職員に意見の募集を行い、今後18年度におきましては試行的に実施する準備を行った ところでございます。  次に職員の採用状況でございますが、パワーポイントの資料では102ページです。職 員の採用状況で基盤的研究部の常勤の研修者の採用に当たっては、研究者の流動的で活 性化された研修環境を実現するために、公募による有能な人材を確保する必要があり、 当研究所のホームページはもとより、国内外の専門誌、例えば海外はネイチャーとか、 あるいは国内では実験医学に掲載し、広く募集に努めたところでございます。  また採用形態につきましては、ここにも記述されているとおり、プロジェクトリーダ ーは5年の任期、それから研究員については3年の任期を付して採用を行うことといた しました。なお、応募者からの人選に当たっては公正性、中立性を確保するため募集分 野ごとに外部専門家を含めた構成の人事委員会を、研究員については研究所職員による 人事委員会を開催し、プロジェクトリーダー3名、それから研究員5名を採用決定した ところでございます。  次に17年度末の常勤職員数ですが、資料の103ページです。中期計画におきましては、 人事にかかる指標に95名とされております。当初の人員計画は事務職の出向者、それか ら研究職の移行者を含めて80名で基盤的研究部は研究職15名を採用という計画でされ ておりました。17年度末、84名で欠員11名になっておりますが、現在は4月に4名ほ ど採用されており、また今後10月には新たなプロジェクトが立ち上がるということで、 3名の研究者を採用する予定でおります。  次にセキュリティの確保のところでございます。資料は104ページです。当研究所は さまざまな科学物質、それからRI等を使用していることや、貴重ないわゆる研究成果 の報告書等が保管されております。防犯体制を厳重に行う必要があるということで、警 備会社による24時間体制で警備に当たらせております。それから各室においても部外者 の出入りを制限する目的で、個人にそれぞれIDカードを発行して、施設管理システム を導入しております。  それから情報システムについては、情報資産の損失あるいは漏洩を防ぐ目的で情報、 セキュリティ規定を整備して運用を行っているところでございます。  最後の施設及び整備に関する事項でございますが、17年度においては事務所移転に伴 うLAN関係の追加工事、それから国から現物出資された研究施設等で経年劣化の著し いボイラーの更新工事とか、あるいは灌水設備が整備されてないため、被害があった薬 用植物研究センターの北海道研究部の灌水設備設置工事を行いました。それから本所に 建設予定でありましたNMR実験棟建設工事については、建設予定地について調査しま したところ、重量に耐える地盤でないということが判明いたしまして、建設場所を変更 することになりました。  以上、これまで御説明をさせていただきましたが、当所の評価としては2番目のシー トにつきましては、おおむね実施ができたというふうに思っておりますので、B評価と させていただいたところでございます。以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。それでは御質問等ございましたらいただきたいと思います。 ○部会長代理  スライドの102のところで、研究員の採用ですが、国内外から広く募集とありますが、 海外からは何人ぐらいの応募がありましたでしょうか。それからまた現在研究所員の中 の外国籍の方はどれぐらいいらっしゃるのかを教えてください。 ○基盤研研究振興部長  海外からの応募は5名程度ございました。その他、問い合わせみたいなものはかなり にのぼりまして、最終的に正式な申請がありましたのは5名であったと思います。 ○基盤研理事長  少しつけ加えますが、今後、18年10月から採用予定ということを説明させていただ きましたが、そのうちのプロジェクトリーダーは現在日本人ですが、海外で研究されて いる方が決定しましたし、それから一緒にやる研究員はいずれも外国籍の人です。それ と研究所に何人ぐらい海外からの外国籍がいるかといいますと、共同研究を含めまして、 一緒に研究しているんですが、東南アジア、それからアメリカからも現在お1人研究に きていますし、現在の数はちょっと掴めませんけれども、少なくとも学生を入れますと 3〜4人の人は研究所で従事しております。 ○部会長   ありがとうございました。他に御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは評価シートの方の記入をお願いいたします。 (評価記入) ○部会長  それでは総括といたしまして何か御質問御意見等ございましたらお願いしたいと思い ます。 ○部会長代理  私は昨年度の中途で委員になりましたので、医薬基盤研究所の中期計画が練られた経 緯はよく承知しておりません。そのため、基盤研設立のベースとなった岸本忠三先生を 主任研究者とする画期的な医薬品等の開発促進のための基盤技術開発研究等のあり方に 関する研究の最終報告書、その中で提唱された研究所と対比させてみますと、いくつか 気づいたことがありました。それらは平成17年度の事業実績の評価とは直接関係ありま せんが、今後のことを考えますと、私自身が今理解しておいた方がよいように思います ので、三点ほど質問させていただきます。  第一点は、この岸本先生の報告書に現状と課題で、個人の体質に応じた医療、すなわ ちオーダーメード医療の実現が掲げられていて、患者の体質に応じた適切に使用するこ とのできる医薬品や医療用具が開発される必要があり、そのための技術開発が望まれる と述べられています。  一方、医薬基盤研究所の平成17年度の事業実績を見ますと、オーダーメード医療へ向 けたヒトゲノムの個体差へのアプローチが見られません。最近は薬剤応答性遺伝子や生 活習慣病関連遺伝子について、スニップスだけでなくてハプロタイプの分析のための標 準的な基盤技術の開発や臨床研究の場への橋渡し役が強く求められているように思いま す。基盤研はこういう社会的ニーズにも応えることが望まれるのではないかと思います が、御見解をお伺いしたいと思います。  第二点は、報告書の中の4、具体的な提案の中で、細胞情報伝達,セルシルナリング に着目した技術開発への集中が掲げられていますが、現在の医薬基盤研究所はこの開発 を急いでいらっしゃるというふうには余り見えないんですが、御見解はいかがでしょう か。  第三の質問は、報告書では研究所の人員やスペースについても踏みこんだ提言がされ ておりますが、どの程度確保できたか、あるいは確保できる見込みでしょうか。特に医 薬基盤研では研究開発振興という重要な業務が加わっておりますが、これはどのように 勘案されたのでしょうか。以上の三点について現状に至った経緯をお教えいただければ ありがたく存じます。 ○部会長  いかがでしょうか。 ○基盤研理事長  人は変わりますが、それに携わったものが順番に説明させていただきます。 ○基盤研研究振興部長   オーダーメード医療、あるいはオーダーメード医薬品といいますか、御質問がござい ましたのでお答えしたいと思います。2000年以降、5年間にわたってミレニアム事業を 私ども研究開発振興の方でやってまいりました。これについて5年目を経まして、昨年 17年から改めて今度はポストミレニアム事業ということで、さらにミレニアムの成果を 生かして薬の開発に取り組んでいただくという事業を始めております。  御案内のようにミレニアム事業での評価、これは総合科学技術会議の審議もされてお ります。5年間の間で具体的に薬ということまでなかなかいくのは難しかったわけです が、さはさりながらミレニアム事業を通じまして、スニップスと疾患とに関するかなり 膨大なデータベースができあがってきております。今後はこれを活用して、活かして、 今後医薬品の具体的な開発に取り組んでいただきたいと、こういう事業を昨年17年度か ら開始したところです。さらにその得られましたデータベースにつきまして順次公開し ていきたい、そして広く国民の皆さんに製薬メーカーも含めて活用していただきたいと、 そういうふうに思っております。  先ほどおっしゃっておりましたハップマップ計画で現在大体300万スニップスぐらい 全世界で調べてみたらあるだろうということでありますが、ハップマップ計画の成果に よりますと10分の1ぐらいにまとめあげられるということになっておりまして、大体 30万スニップスと疾患との関係で見ていけばいいのではないかというところも成果と して出てきております。そうしたことも含めて、今後医薬品の開発に向けて取り組んで いきたいと、こう考えております。 ○部会長代理   今お伺いしたようなことは、この計画のどこに書かれているんですか。 ○基盤研研究振興部長  これは計画の中で具体的に、実は研究開発振興のところは、先ほど申し上げましたけ れども、どのようにファンドの運営とかありようについて記載されている部分がほとん どですね。具体的に何をしますというところまで書かれておりません。そうしたことで 御承認をいただいたわけでありまして、まさにデュープロセスといいますと、ファンド 運営をまさに公平かつ公正な運営をしていくという、デュープロセスの部分が大切だろ うということで、そのデュープロセスの部分が計画の中にうたわれているものと私は理 解しております。  その中でその時々に何が最も求められているかというニーズを把握しながら、具体的 なテーマ設定をしてやっているということでありまして、したがってこの中にミレニア ムなりポストミレミアムをやりなさいとか、そういう具体的なテーマまでこの計画の中 にうたわれていないという、こういうことです。 ○部会長代理  ないのですね。じゃあ基盤的な研究ではおやりにならないのですか。 ○基盤研研究振興部長  内部につきましては、理事長からお答えさせていただきます。 ○基盤研理事長  今の基盤的研究部というのは、三つ目に人員のことも質問されましたが、非常に人員 が少なくて、なかなかそれに割くような余裕がありませんので、それで外部の方とのフ ァンディングで行うということにしております。  それでは次はシグナル伝達の話ですが、私は非常に重要だと思っております。それで 先ほど海外を含めて公募をかけると言いましたけれども、この公募がオフィシャルに4 月以降でなかったら、発足した以後でなかったらできなかったんですね。それで早速公 募をかけました。先ほど言いました外国の雑誌、日本の雑誌に公募をかけまして、随分 たくさんの海外を含めた応募がございました。それを選びまして、これは二つともシグ ナルです。一つは代謝シグナル、もう一つは免疫系のシグナル、二つのプロジェクトを 昨年の12月1日と本年の3月からプロジェクトとして立ち上げまして、アクティベート していこうというふうに思っております。  それと人員のこととスペースのことですが、スペースに関しましては、私が思います には、大学等に比べるよりも現在はかなりスペースを割いて研究を進めるようにしてお ります。人数の割にはかなりスペースがあると思います。ただし、これからもし人数を もっと入れるようになれば、これは今よりも若干スペースは少なくなると思いますが、 実は共同の研究設備等を別におきまして、全員で使うというふうにしていって、個々の 研究は十分にできるようなスペースを現在与えつつあります。人員に関しましては、先 ほど申しましたように、定員までまだいっておりませんけれども、極力補充すべく努力 してリクルートしていきたいというふうに思っております。 ○基盤研企画調整部長  オーダーメードの関係を少し補足させていただきますと、最初のトキシコゲノミクス のプロジェクトにつきましては、ラットにおきます遺伝子解析のプロジェクトでござい ますが、これに関して例えばこの一応5年間計画で17年度は4年目、18年度は5年目 でなりますが、この後どうするかというのは検討させていただいておりまして、例えば これはラットにおけます安全性の遺伝子バイオマーカーがいくつか見つかってまいりま すと、それが臨床の場でそれが使えるようなバイオマーカーであれば臨床の中の制度の 効率化とか、それに伝わってまいりますので、そういう意味では直接ではございません が、どのようになってくるのかなと思っております。国際的にはファーマコゲノミクス の一環で、FDAでも遺伝子マーカーの開発というのを大きく取り上げてございますの で、そういう意味ではスニップスとかハプロタイプの解析ほど直接的ではないかもしれ ませんが、個別化医療の一助になるのではないかなというふうには考えております。 ○部会長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。他に何か総括的なことで御質問御意 見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それではこれをもちまして各法人の 平成17年度業務実績の個別項目に関する評価は終了いたしました。評価シートを集約し たものにつきましては、総合的評価書の別添資料という形で公表することとなります。  起草委員の方々はお忙しい中を大変恐縮でございますが、この個別項目に関する評価 結果を踏まえ、総合的評価書(案)を作成していただくようお願いいたします。また国 立健康・栄養研究所、産業医学総合研究所及び産業安全研究所につきましては、あわせ て中期目標期間最終評価書案を合わせて作成していただくようにお願いいたします。次 回はそれらをもとにいたまして、総合的評価及び中期目標期間最終評価に関する審議を 行うことといたします。 3.閉会 ○部会長  最後に事務局から連絡事項等ございましたらお願いいたします。 ○政策評価官  長時間にわたり、また短期間に4法人分を集中的に御審議いただき、誠にありがとう ございました。それぞれ今部会長の方から御指示がございましたような形で作業を進め させていただきたいと思いますし、本日も含めましてこれまで個別法人の評価の作業に 当たりまして、御欠席になりました委員の方々には別途お時間をいただいて御説明をし、 評価シートへの記入をいただくような機会を設けております。また、別途財務諸表につ いてもそれぞれ法人からヒアリングをいただいて、あわせて最終的な年度評価をいただ く場には御意見をお諮りいただくような形で、17年度4法人の実績評価書及び先行3法 人についての中間目標期間、最終評価書について次回御審議いただき、可能であればお まとめいただくところまでの作業をお願いできればと思っております。  次回は8月4日(金)、15時から当省の会議室において開催を予定しております。お 忙しい中ではございますが、お願いを申し上げます。また繰り返しでございますが、次 回をもってある程度の区切りができるようには目指して頑張ってまいりたいと思います ので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。 ○部会長  それでは本日は長時間にわたりお疲れさまでした。本日の会議はこれで終了というこ とにさせていただきます。どうもありがとうございました。 (終了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)