06/07/20 第4回集中治療室(ICU)における安全管理指針検討作業部会議事録       第4回集中治療室(ICU)における安全管理指針検討作業部会                     日時 平成18年7月20日                        15:00〜                     場所 経済産業省別館1012会議室 ○事務局  定刻になりましたので、ただいまから「集中治療室における安全管理指針検討作業部 会」を開催させていただきます。田原室長が少し遅れて出席しますので、それまで私が 会議を進めさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中ご出席を いただきましてありがとうございます。本日は落合先生から欠席の連絡を、また石井先 生が15分ほど遅れるということで連絡をいただいております。  議事に入る前に、お手元の資料の確認をお願いいたします。最初に議事次第、作業部 会委員名簿、座席表、資料1として、第3回作業部会までの主な意見、資料2として、 「平成14年医療施設静態調査より」、資料3−(1)が報告書(骨子案)、資料3−(2)が安 全管理指針(骨子案)です。それから別紙として「集中治療を要する患者と管理の方法 について」があります。また、各委員の先生方の提出資料として、飯田先生の資料が9 枚、内野先生の資料が1枚、前川先生の資料が12枚、中島先生からの資料が1枚配ら れております。それでは平澤部会長に議事進行をお願いいたします。 ○平澤部会長  皆様、お暑い中、また天候がぐずついている中をお集まりいただきまして大変ありが とうございます。この検討作業部会も今まで3回やってまいりまして、委員の先生方に 大変熱心に討議をいただきまして、だいぶ方向づけが見えてきたと思います。前からお 話しているように、今年度中に是非これをちゃんとした形にまとめ上げることが必要で すので、全体のスキーマを今日辺りできちっとしていただいて更にその先の作業に進み たいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  早速議事次第に則って進行したいと思います。議事1は、これまで作業部会を3回開 催し、指針における目的や指針の基本的な考え方、また、ここは意見がいろいろあった のですが、この指針が対象とする医療機関や患者の範囲について議論してまいりました。 さらに前回第3回目におきましては、従来の診療そのものの安全対策に加えて、情報伝 達や医薬品・医療機器の安全使用に関する意見も出していただきました。資料1には、 そういうことを含めてこれまでの意見を取りまとめていただきましたので、まず事務局 よりご説明をいただきたいと思います。 ○事務局  資料1は第3回作業部会までの主な意見です。特に下線を引いてある部分は第3回検 討会の中で出された意見でして、そこを中心に説明いたします。  まず1頁の「指針の目的」ですが、3つ目の○に書いてあるように、施設基準にこだ わらずに、集中治療を受ける必要がある重症な患者の安全の確保を目的としてはどうか。 また「集中」という意味を規定してはどうかということで意見をいただきました。  2の「指針作成に当たっての基本的な考え方」については、第3回目では特に大きく 意見は出なかった所です。4つ目の○に書いてあるように、ICUという場所や施設に こだわるのではなく、患者の視点から指針を検討するべきではないかという意見をいた だいております。2頁の上から2つ目の○に下線を引いてありますが、第1段階として、 ICUというスペースにおいて、重症患者を診る場合の安全管理指針を策定することに してはどうかという意見が出されました。  3は「想定されるヒヤリ・ハット事例、医療事故」ですが、ヒヤリ・ハットと医療事 故、それぞれの要因としてICUにはさまざまな特徴があるという記載がされておりま す。  4が「指針の対象となる患者と医療機関等の範囲」です。患者の範囲をどのように規 定したらよいかということですが、患者の重症度には切れ目がないことをどのように考 慮したらよいか、集中治療とは「内科系、外科系を問わずに呼吸・循環・代謝などの重 要臓器の急性臓器不全に対し、総合的・集中的に治療・看護を行い、回復させるのが主 題」と考えてはどうかといったご意見をいただきました。  医療機関の範囲について、医療機関やICUの範囲をどのように考えるべきかという ところで、さまざまな意見が出ていたと思います。  3頁の5は「指針に盛り込む項目」で、3回目はこの辺りに話が集中したかと思いま す。まずスタッフについては、職種間の連携が重要であること、専任のリスクマネージ ャーの配置が望ましいが困難な面もあるのではないか、臨床工学技士の専任化が望まし い、あるいは専門性を高めた重症集中治療認定看護師を専従として配置してほしい等の 意見が出されております。  (3)の医療機器ですが、医療機器の範囲については、5年後を見据えて生命維事装 置とモニターに絞ったほうがよいのではないか。ICUの医療機器の保守管理について は、病院全体の医療機器の管理をする部門で行うことが望ましいのではないか。マニュ アルに関しては、現場で使用できるように情報提供が行われることが望ましいのではな いか等の意見でした。  (4)は医薬品です。ICUというのは特別なやり方をせざるを得ない場所であるこ とから、一般病棟と同じルールを適用することはできないのではないかという意見が出 されました。4頁目、医薬品の適正使用や正確な情報伝達のためには、医師が処方箋を 書いて確実に実施することが重要ではないかというようなご意見もあれば、緊急性があ ればICU内での口頭指示もやむを得ないのではないかといった意見もありました。さ らに、誤投与しやすい薬のリストを作成したらどうか。それから、薬剤師の関与によっ てICUの事故が減少するのであれば、指針に組み込むべきではないかという意見もあ りました。  (5)は感染制御です。国立大学病院付属病院ICU協議会の感染制御ガイドライン を参考にしたらどうかということが出ました。  (6)は情報共有です。医療従事者間の正確な情報伝達をどのように確保するのかが 課題ではないか。資料の標準化と情報の共有のためには情報化が必要ではないか。情報 伝達や指示、治療など既存のデータベースシステムからデータを取るような情報処理機 能があるほうがよいのではないかというようなご意見がありました。  最後(8)はさまざまな所のまとめですが、エビデンスを作りながら5年ごとに見直 しを図るべきではないか、数年後に見直しをする際の評価の指標が必要ではないか。イ ンフォームドコンセントの取り方を統一したほうがいいのではないかといったご意見が 出されたところです。 ○平澤部会長  ただいまの説明は、これまで3回行いました作業部会での委員の先生方の主な意見を まとめていただいて列挙したものですので、この中に書いてあることは、ある項目とあ る項目とは矛盾するかもしれませんが、それは先生方の意見をサマライズしたものなの で、ある意味仕方がないところがあると思います。この中に書いてあることで、非常に 大切なことなので自分が問題提起し、主張したのに取り上げてない、というようなこと がありますか。 ○飯田委員  表現の問題なのですが、例えば1頁の3つ目の○の下線部分の「施設基準にこだわら ずに」というのは、どういう意味で書いてあるのかよく分からないのです。2の4つ目 の○にも「こだわるのではなく」とありますが、どういう意図で「こだわる」という言 葉を使っているのか意味がわからないので、この辺の説明をしていただきたいのです。 後でまた議論になると嫌ですし、この言葉をどういう意味で使っているのか説明してく ださい。 ○事務局  診療報酬上の施設基準にこだわることなく、ということで記載したのです。そういっ たご意見があったように、事務局としては思っておりますが。 ○飯田委員  それに関して2つの意見があったと思います。施設基準がある所とない所とでは体制 もそれぞれ違うので、層別化して議論しなくてはいけないという意見もあったと思うの です。それが一緒くたになって全部同じでいい、一本でいいという話になると、対応も かなり違います。私も後ほど病院調査のデータをお示ししますが、施設基準も必要だと いう意味での「こだわる」でなければいいのです。考え方として本当は3つか4つに分 けたほうがいいのですが、そうもいかない。それをきちっとしておかないと、この意味 が独り歩きすると困りますので、よろしくお願いします。 ○平澤部会長  私がおぼろげながら覚えている感じでは、ここで「施設基準にこだわらず」というの は、施設基準をとっている所だけに限定するのではなく、という意味ではないですか。 ○飯田委員  それでいいのですが、だから一本で、特に対応は同じでいいでしょうという話では困 る、私は前からそう言っているのです。層別化が必要だという話を踏まえての意味であ ればいいのです。そこをきちっとしておかないといけないと、私は念をおしているので す。 ○平澤部会長  そういう認識でいいと思います。そして、後のほうにありましたが、それを受けて、 とりあえずICUという所を想定して作って、それをICU以外の所に次の段階でやり ましょうということで、この前のときに皆さんのコンセンサスを得たと思います。 ○飯田委員  その件についてはまた後でお話します。2頁目の2つ目の○で「第1段階として」と いう意味が曖昧で、よく分からないのです。私は、今年度のこの作業部会の中で層別化 して指針を作成していただきたい、時間切れでは困るということを初めから再三言って いるのです。この「第1段階」が今年度の話で終わってしまっては困るので、どうなの かと、これも念をおしたいのです。第1段階、いわゆる施設基準をとった所と、それに 近いものだけで作っておしまいでは困ります。それは非常に大事なのです。当然、施設 基準を持った、あるいはそれとほぼ同等の人的配備をした施設に関する安全管理指針は 非常に重要ですので必要ですが、それ以外の所の安全管理指針が必要だということを再 三申し上げておりますので、その点が今年度にできるかどうか。「第1段階」という意 味がこれでおしまいでは困るということを確認したいと思うのです。 ○平澤部会長  わかりました。これはたぶん先生方の共通な認識だと思いますが、両方一遍に作るの は大変なので、第1段階として、最初にICUというスペースにおいて重症患者を診る 場合の安全管理指針を作って、それを基に今年度中に、ICU以外の所で集中治療を受 けている重症な患者に対して治療を行う場合の安全管理指針も作る、そういう認識だと 思います。ですから、今年度中にICUの所とICU以外の所と両方作ることになると 思います。 ○飯田委員  それで結構です。 ○前川委員  4頁の教育のところが非常に短くて、たぶん後できっちりと工夫をするのだと思いま すが、今までのところ、あまりディスカッションされていないので、実際のときには、 是非ともこれを入れていただきたいと思います。 ○平澤部会長  これは作業部会で今までに出た主な意見ですので、これで総論のところが固まれば、 あとは、それをもって各項目について検討していく、ということになると思います。  先ほど言いましたように、これは先生方のご意見を列挙したものですから、解釈の仕 方は、今疑義があった所を指摘していただいて、みんなで確認しました。そういうこと でよろしいですか。 ○道又委員  これは要望です。3頁の(1)スタッフのところで、「病院の管理者によって考え方 の相違はあるが」の後を「専門性を高めた重症集中ケア認定看護師」にしてください。 あとは話の中で、「又はクリティカルケア専門看護師」という表現にしていただけませ んか、教育レベルがそれぞれ違うので。 ○平澤部会長  2つを列挙するということですか。 ○道又委員  そういう意味合いが含まれています。「専門性を高めた看護師」の中にはこれが含ま れているということを、ここに示していただきたいのです。 ○平澤部会長  もう一回おっしゃっていただけますか。 ○道又委員  「専門性を高めた重症集中治療」ではなくて、「専門性を高めた重症集中ケア認定看 護師又はクリティカルケア専門看護師」と。 ○平澤部会長  わかりました。ほかのところについてよろしければ、資料1にあるような意見を踏ま えて議題2にいきたいと思います。本日は後で「報告書(骨子案)」とそれを踏まえた 「ICU安全管理指針(骨子案)」が出てまいりますが、それを議論する資料として、 集中治療室に関する現状について、いくつかこの前からアンケートを取ったりして調べ ていただいておりますので、そのことについてご報告いただきます。それは4つあり、 まず集中治療室に関する現状について事務局から、それから、前からキャリーオーバー して今度ご報告いただけることになっていた飯田先生のアンケートと内野先生の薬剤師 のアンケート、最後に中島先生から今日お配りいただいた情報について簡単に説明して いただき、それを踏まえて(骨子案)にいきたいと思います。まず飯田先生に、全日本 病院協会で実態調査をしていただけるということで、第3回のときにその概要をかなり 詳しくご説明いただきましたが、そのアンケートがまとまったということですので、本 日はその概要を簡潔に説明していただきたいと思います。 ○飯田委員  A4の用紙4頁の、エクセルの非常に詳細な表のアンケートをこの前紹介しましたが、 その結果概要について報告いたします。  「調査の目的」は省きます。平成18年5月2日から6月20日までの間に、会員病院 2,140病院に配付しました。このうち一般病床を持つ1,400病院が実際の対象で、213 件回収、回収率は一般病床を持つ病院の15.2%です。  次の頁にいきます。運営主体はさまざまで、公的なものもありますが例外的で、公的 なものは少ないのです。  「病床規模」は、施設基準があるか無いかが今回のクロスの基で、本当はもっと詳し いデータがあるのですがエッセンスだけです。ばらつきがあると非常に問題なので、平 均値ではなくて中央値でものを言います。施設基準がある病院が32、これについては後 から紹介しますが、その病床の中央値は、施設基準がある病院は302、ない病院が104。  平均在院日数は、施設基準がある病院が15.1日、ない病院は20.2日です。  施設基準がある病院は32病院。そのうちICUの施設基準が30、SCUが3、HC Uが7。これは重なっておりますので、病院としては32です。そして、ない病院が175 です。  次頁に移ります。それぞれの施設の病床の中央値は、ICUが6、SCUが9、HC Uが7。それから、施設基準がある病院で重症患者を扱っている病室が191。全体の中 央値が301で、そのうち191が重症患者を扱っています。また、施設基準はないが独立 したユニットを持っている所が8。そうでない重症患者を扱っている病室が36。専従の 麻酔医は少なくて、ICU、SCUでも中央値で1名、HCUでも1名です。独立した 所では2.5と書いてあり、本当にそこだけかどうかというのは疑問がありますが、一応 そういう回答です。  専従の医師に関しても同様で、ICUでも1、独立の病院でも1です。専従医の専門 はさまざまですが、麻酔医、集中治療医が多いです。  次頁です。専門認定看護師は少なくて、ICUを持っている病院でも1名しかおりま せん。一般病院でも2.5名持っている病院がありますが、これはそこだけではなくて全 体だということです。  研修は飛ばします。当直体制もさまざまです。  いちばん下の1−15、看護体制はどうかというと、ICUでは「独立したユニットと して運営している」が回答26のうちの21。施設基準がなくても、独立した所でも11 は独立のユニットを使っておりますが、42は独立しておりません。  臨床工学技士ですが、ICUの施設基準はあっても中央値は2名、HCUが1名、独 立した所では2名います。  収容患者数、これも大きな問題ですが、ICUで月当たり42名、SCUが51名、H CUが61名。施設基準がある病院でも、一般病棟で222名の患者を重症患者として診 ています。また、施設基準がない病院では独立で33、それ以外は48。平均在室日数が 4.7、独立では7.5です。  次の頁は収容患者の基準を持っているかどうかです。ICUでは27のうち23が持っ ていますが、施設基準のない独立の所では、約半数以下しか基準を持っておりません。 また、その管理の責任者は、ICUを持っている所と持っていない所、ともに主治医が 大部分です。入退室決定者もそうです。  次の頁です。重症患者の重症度を、重症度評価AとBで分けてありますが、ICUの 施設基準を持っていても中央値が38、一般病棟でも18.5、HCUでも196という患者 を診ているわけで、ICUの施設基準だけでは片手落ちではないかと私は再三言ってい るのです。重症度Bでも同じです。施設基準のない病院では、重症度評価A、Bという のは届出をする必要がないので厳密には区別しておりませんので、この数字が低いのが 本当かどうかというのは問題がありますが、少なくとも書いてあるのは正しいと思いま す。  人工呼吸器、血液浄化装置、人工透析装置、これもICUだけではなくて、施設基準 を持っている病院でさえ一般病棟でもかなりの患者が使っていますし、独立したユニッ トでも使っています。それだけリスクがあるということです。さらに転倒転落、ドレー ン抜去、その他いろいろなトラブルが発生しています。いろいろなクロス集計があり、 今日はほんのエッセンスだけを紹介しました。これが先ほど来私が述べている、層別化 が必要だということの根拠です。 ○平澤部会長  大変簡潔にまとめていただき、ありがとうございます。大変なご苦労をしてアンケー トを取っていただきました。質問を受けたいと思いますが、私から1点。SCUという のは何ですか。 ○飯田委員  Stroke Care Unitです。 ○平澤部会長  アンケートの回収率が低いのですが、これで何かバイアスがかかってしまうという懸 念はありますか。 ○飯田委員  いま病院団体でこれだけ詳しいアンケートをとって15%というのは、いいほうだと思 います。 ○平澤部会長  そうですか。これを読むときに、全体としては、それでも尚こういうことに興味を持 っている病院のほうが回答してくれる確率が高くて、実態はもっと希薄である、集中治 療に関して整っていないということですか。 ○飯田委員  そうです。おっしゃるとおりで、回答するということは何らかの関心を持っているわ けです。少なくとも患者をそういう所で診ているという事実はあるわけです。もっと隠 れた患者はいると思いますが、それは出てこないのです。  少し補足します。ここで大事なことは、施設基準を持っている病院の中のICUとH CUと施設基準をもっている病院のその他の病棟で重症患者をどう診ているかというの は分かるわけです。それから、施設基準を持っている病院と持っていない病院との対比 ができるということでは意味があると思います。 ○織田委員  「施設基準あり」で一般病棟というのは、一般病棟で重症患者を診ている数を聞いた ということでしょうか。今回のアンケートの最初のところで、病床数の中央値が191に なっていますが。 ○飯田委員  例えば1頁の1−4で、ICUの施設基準を持っている病院の全体の病床数の中央値 が302。次の頁の1−7では、施設基準がある病院の一般病棟の中央値は191です。302 から191に減っているということは、191の病床で重症患者を診ている、そういう事実 があるということです。独立したユニットではありません。 ○織田委員  ちょっと多いような気もするのです。重症患者を診ているかどうかということですが、 「重症患者」の定義はどういう聞き方だったのですか。 ○飯田委員  重症患者管理ということで聞いておりまして、細かい定義はしておりません。 ○平澤部会長  そうすると、回答者が自分で、この患者は重症だと思っていれば重症であるというこ とになりますか。 ○飯田委員  そうです。 ○織田委員  自分で歩けない患者はすべて重症と見ている病院もあるという意味ですか。 ○飯田委員  いや、それはないでしょう、寝たきりの人は担送ですから。重症患者管理と安全管理 に関することで書いてくれと明記してありますので、それはありません。特に療養の病 床は外しておりますから。 ○平澤部会長  「重症患者」の定義はよく分からないところがありますが、アンケート結果について、 ほかに何かありますか。よろしければ、この件はこれで終わりといたします。飯田先生、 どうもありがとうございました。次に内野先生にご説明いただきます。 ○内野委員  私は薬剤師ですが、いちばん問題なのは、結局ICU病棟というものがどのように。 先ほど飯田先生がおっしゃったように、ICUの定義がわからない部分もありますし、 その中でどういう取扱いがされているのか、いろいろ運用の規定等がわからないのです。 日本病院薬剤師会では、毎年会員の施設6,700に対してアンケート調査をしていまして、 平成17年度にその中の1項として、ICUを設置している施設はいくつぐらいかとい うことで、914というこの数字が本当にICUなのかどうかは分かりませんが、一応914 あるのだと。そしてICUに薬剤師が関与している施設はどのくらいあるかということ で調査をしていまして、それが73施設ですから、914に対して8%ぐらいは薬剤師が 関与している。関与の仕方やその形態はわかりませんが、実際に薬剤師が常駐している 施設が13例あります。この施設はわかっておりまして、実際は国立大学病院等大学病 院がかなりのウエイトを占めている。ですから500床以上が多いと理解しています。  薬剤師が適宜関与しているという施設が60ありますが、「適宜」の具合が実際によく 把握できない。そこで、もう少し詳しいところを、これだけの施設ですから、全部もう 一回こちらから調査をかけて、実際にどういう関与をしているのかを調査したいという ことでアンケート用紙をつくってみました。7月末に発送して8月に結果を集計するこ とになっています。ICU内に薬剤師が常駐している13施設には全部実際の話を伺う。 そして、薬剤師が適宜関与している施設を、病床数から層別して20施設ぐらいで調査 したいと思っています。  実際の方法としては、郵送かメールで調査用紙を送付します。調査項目としては、当 然病院の概要、ICUの室数やその使用件数、医師数、薬剤師数。それから薬剤師の関 与として、常駐の有無、ICUの訪問頻度、在庫管理にどのように関与しているか。そ れからICUからの薬剤の請求、補充、薬剤の取り揃え、使用済み薬剤の管理、ICU 内の在庫管理、このような項目に関して調査したいと考えます。また、常駐している所 では注射薬の混合をしているのか、また、常駐時間によってどのように変わっているの か等いろいろなものを調査して、実際の指針の中へ反映していきたいと思いますが、大 体8%ぐらいの薬剤師が何やかや関与しているという数字です。 ○平澤部会長  ありがとうございました。常駐しているかどうかというのは、パッとわかっているの ですか。 ○内野委員  いや、そこの部分までは。年度調査では毎年調べていますが、私が知っている中では、 前川先生のおられる山口大学のカミヤ先生とお話して、薬剤師はもう数年前から常駐し ているというお話でしたし、前川先生がいちばん詳しいのだと言われました。 ○平澤部会長  「適宜」というのはどういう雰囲気なのですか。 ○内野委員  それがわからないのです。例えば医薬品管理として、定数配置で、週に1回とか毎日 行っているとか、そういう関与の仕方もあります。私の所では、1週間に1回は必ず行 くし、逆に、ある程度安定してきた患者には、注射薬の混合は全部うちのほうでやって 出す等いろいろなパターンがあるので、一概にこうだとは言えません。つまり、かなり 模索してやっているのが現状だと思います。 ○平澤部会長  今後調査をしていただけるということですが、委員の先生方で、ここに書いてある調 査項目のほかに、せっかくやっていただくのだから、こういうことも調べていただける と参考になるのではないかというようなご意見をお持ちの方はいらっしゃいますか。 ○武澤委員  どこに書いてあるのか分からないのですが、先生がいまおっしゃった中で、薬剤の混 合に関してはここで聞くのですか。 ○内野委員  たぶん下の「適宜関与している」というほうはやっていないし、「常駐している」と いうほうはかなりやっていると思います。 ○武澤委員  「適宜」だと、例えば、午前中は全部ICUで薬剤調製を行うが午後は来ないとかと いうのもあるでしょう。そうすると「適宜」でも、やっている所もあるのではないです か。 ○内野委員  ええ、私の所はそうです。例えば朝と晩の分は、安定していればやります。処方が変 わってしまうと無理ですが、ある程度固定されていれば、処方箋で全部やります。また、 そういうことは質問項目に入っているのです。 ○武澤委員  医者の処方の間違いを指摘した結果、投与方法が変わった等、薬剤師が関与すること によって処方なり治療が訂正されたことがあるかどうか、そこも聞かれたらいいと思い ます。 ○内野委員  処方監査によって改善された事例があったかどうかですね。その辺のとらえ方をする と、逆に一般病棟でも全部やっているわけで、ICUに限ったことではないという話に なってくるのです。 ○平澤部会長  そうですが、ICUのほうが多いとかそういうこともデータとしてあれば面白いかも しれません。 ○武澤委員  うちではそんな抗生物質の使い方はないとか、どこにどんな根拠があって、こんな間 隔で投与したのかとかと、厳しい指摘を受けるのですが。 ○内野委員  逆に言うと、感染制御のほうから、抗生物質の使用の仕方というのは薬剤師が組んで いて、使用基準のようなものについては、かなりリコメンデーションを出している部分 が多いと思います。 ○武澤委員  別に抗生物質でなくても、これにこんな薬は効かないのに何で使っているのか等と言 われるわけで、言われたほうはそれに対して、使いたかったら、ちゃんと根拠を示して やらなければいけない。だからそういうインタラクションがすごくあって、それがすご く建設的に進むのです。だから、別に医者のビヘイビアを変えなくても、それで疑義と いいますか、それを出しているものはどのぐらいあるのかとか、そういうものがあると いいと思うのですが。 ○内野委員  統計を取っていると、ICUだけではなくて、薬剤師の業務として全体の注射の混合 をやっていれば、その部分は今はかなり指摘しています。 ○武澤委員  ICUのラウンドへの薬剤師の参加がICU患者の生命予後を改善するというデータ もあります。せっかくの機会ですから、そのようなデータも取れるようにされたらいい と思うのです。 ○内野委員  わかりました。結局、施設的に100弱ですから、将来的にどうするという指針ですか ら、方向性としてこういうことをしたほうがいいのではないか、ということに乗せたい という部分はあると思うのです。 ○飯田委員  これからやるのであればお願いしたいのは、薬剤師が関与するだけではないのですが、 薬剤投与という意味では、いまの監査も入るのですが、処方監査、指示受け、実施をど ういう段階でどのようにやっているか、もっと言うとどういう人をどのように活用して いるか、一般病棟とICUはどう違うのか。本当はそれがいちばん知りたいのです。同 じだとおっしゃったけれど、運用が同じではないと思うので、その違いを調べていただ きたい。 ○平澤部会長  それは一般病棟のデータを取らないとICUとは比べられないから大変です。 ○内野委員  端的に言えば、私の所はICUも、一般病棟も、注射のほうも、やるときには同じで す。抗がん剤の調整もサテライトで全部、その病棟に行ってやっていますし、病棟によ って全部パターンが違うのです。 ○飯田委員  私が聞いているのは同じ場合はいいのです。そうじゃない、臨機応変に変更して追加 を出しますね。そのときに、どう薬剤師は関与できるのかと。あらかじめ分かっている ものは同じですから、そういうことを言っているわけではないのです。 ○内野委員  逆に言うと、いまの状況の中では、常駐していない限り不可能です。常駐していれば、 こういう施設では1日に4、5回混合していると思うのです、状況の変化によって対応 して。現実にそういう所はありますね、1日に4、5回注射薬の混合をやっている所は。 当然、その中で医師と、もっと言えば小児のICUに関して言えば、それこそ四六時中 3交代で付いてカリウムの濃度を見ながらやるというケースもありますから。そうなる と、常駐しているかどうかで歴然と差が出てしまうと思うのです。その辺は前川先生の ほうが詳しいのではないかと思いますが。 ○前川委員  おっしゃるとおりです。常駐している場合でも、うちも2人いるのですが、1人は在 庫管理的なことをやって、もう1人は混注をやるのですが、それも複数人数いないと24 時間は対応できないのです。だからナースがやっている所も基本的にはあります。完璧 にやるということは、いまの日本ではたぶん無理だと思います。そうすると、部分的に やるか、やらないかという形での質問でいいように思いますが。 ○道又委員  飯田先生もおっしゃいましたが、薬剤師がもしICUに関与しているというのであれ ば、ラインに薬剤を接続するのは、医師が指示をしてナースがやっているわけで、ほと んどはそこのやり取りで問題があっても解決していくというプロセスだと思うのです。 薬剤師が介入するようなことが実態としてあるならば、指導者とかコメントをちゃんと 出して問題解決をしていくメンバーの1人として役立っているかどうか、そういうこと が事例でもいいので出てくるということは重要なことだと思うのですが。 ○平澤部会長  まだご意見はおありでしょうけれども、内野先生には是非、いま出た意見を加味して アンケートを作っていただきたいと思います。 ○石井委員  日本医師会でいま全般的に集めているものの1つは、何か問題があるか無いかを含め て、ジェネリック薬品の導入が医療現場でどうなっているかです。ですから、できれば それを入れていただきたいのです。 ○平澤部会長  それは安全に関係がありますか。 ○石井委員  あると思います。何々という薬をオーダーしたのだけれど、それが何々じゃなくて 何々である。そういう部分がICUにおいてどういう実態なのか。 ○平澤部会長  それも今ホットなところですから是非お願いします。 ○内野委員  極端なことを言えば、病院では決まった薬しかありませんので、そこでジェネリック に切り替えるには、逆に言うと病院の委員会で決定しないとできないのです。 ○石井委員  わからなければ分からないで結構です。問いかけだけはしていただいて、もし分かる ものであれば教えていただきたいのです。 ○平澤部会長  大変でしょうが、よろしくお願いいたします。次回は9月になると思うので、そのと きまでにまとめていただき、結果をご報告いただきたいと思います。 ○内野委員  40施設弱ですので、8月いっぱいぐらいまでにはできると思います。 ○平澤部会長  それでは資料2に戻って、事務局から、平成14年度の医療施設静態調査集計結果を 報告していただきます。 ○事務局  資料2の1つ目の表は、施設基準を算定する施設数・病床数です。施設の総数が 9,187、病床の総数が164万床、その右のほうに書いてある施設とか病床は診療報酬上 の特定集中治療室の管理料の施設基準を通っている所ですが、これが645施設、病床が 5,194床、施設ごとのICUの病床数は平均8.1床です。特に200〜800床ぐらいまでの 所は平均8床という状況になっています。  2は、届出平均病床数ですが、「特定集中治療室の届出あり」が645施設、平均病床 数は全部で455床です。その下がICUの9月中1カ月間の延べ患者数ですが、いちば ん下の所を見ると、9月中の延べ患者数が、1日当たりのICUの状況で5.2人。右の ほうの「特定集中治療室の届出病床数」を見ると、1〜3床は、平均病床数が200床ぐ らいの所では1日当たり1人、4〜5床が、388床で2.6人。6〜7床は、450床ぐら いで4.1人。14床以上になりますと、700床ぐらいの所で15.2人の患者を診ていると いう実態です。  次頁は3「IABP及び人工透析の状況」です。1〜3床を同じように見ると、IA BPは0.4台、4〜5床以上で1〜2台を持っている。人工透析については、1〜3床 は7.5台、それ以上では13〜21台、平均的には14.3台持っているという状況です。し かし、これはICUに置いてあるわけではなくて病院の中にあるという位置づけです。  4が「IABP等実施件数月平均」、1カ月の状況です。開頭手術でいきますと、 1〜3床で1.2、平均が4.7という状況です。人工心肺を用いた手術についても、1〜3 床で0.8、それ以外では3.8が平均です。IABP実施件数の平均は、1〜3床で0.4、 全体平均は2.1です。 ○加納委員  「開頭」ではなく「開胸」ではないですか。開頭手術にIABPを使わないと思いま すので、開胸手術の間違いだと思います。 ○事務局  遅くなってすみません。ここはそれぞれの手術の件数をどのぐらい実施しているかを 見たもので、タイトルとは直接関係ございません。開頭手術が何件、人工心肺を用いた 手術が何件、そのようにご覧いただければと思います。 ○平澤部会長  3つが並べてあると、何か循環器系かと思うのですが、そうではなくて、こういう手 術をやっている所だと。 ○事務局  この表の趣旨としては、上のほうでは、生命維持装置が医療機関の中に平均的にどの ぐらいあるのか、またICUの病床数ごとに比べて見た場合にどういう分布になってい るのか。生命維持装置、それから生命維持装置に関係しそうな、あるいは重症臓器不全 等に関係しそうな手術の件数との比較をICUの病床数ごとに示して、こういう実態を 踏まえてご議論いただければということで整理したものです。 ○平澤部会長  これまで事務局と飯田先生、内野先生の資料についてご説明いただきましたが、もう 1つ、中島先生に出していただいた資料について簡単にご説明いただきたいと思います。 ○中島委員  前回と前々回、部会長から、ICUに関するインシデント等のデータはないかという 質問をいただきましたので、全く網羅的になっていなくて申し訳ないのですが、ポイン トとなるものを論文のタイトルだけ挙げています。これ以上に膨大なペーパーがICU に関しても出ており、たぶん武澤先生の頭の中にはたくさん入っているのだと思うので すが、ここに書いた4つを簡単に説明させていただきます。  1つ目は、ICUと一般病棟で薬に関する事故やインシデントの頻度がどうなってい るか、どちらが多いかといったことを見たもの、要するに薬に関するもののみの調査で す。この調査をした施設は、ハーバードの関連病院のマサチューセッツ総合病院ですが、 一般病棟に比べて、ICUでは1,000patients/dayのADVERSE DRUG EVENT(有害 事象)が2倍である、要するに多いという報告がなされています。ただしICUに入室 している患者に投与されている薬の数や医師の指示や処置の数は、一般病棟に比べて非 常に多いために、それを統計学的に調整すると、一般病棟と変わりがないということが 書かれています。ちなみにICUでのADVERSE DRUG EVENTの頻度は、 1,000patients/day19になっています。これは中で内科系のICUと外科系のICUで 分けても見ておりまして、内科系のICUのほうが少し薬剤のイベントが多いと書かれ ています。  2点目は薬剤師の関与に関するペーパーです。これもマサチューセッツ総合病院のデ ータですが、薬剤師を常駐させるかどうかというものではありません。ICUでドクタ ーやナースが患者のベッドサイドをラウンドして指示を出したりしますが、そこのチー ムメンバーとして薬剤師が参加することによって処方のエラーを検出して訂正したり、 また薬に関して薬剤師自らがアドバイスやコンサルテーションができることによって、 薬剤の有害事象が減っているという報告がなされています。先ほど武澤先生が少しおっ しゃった「NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE」にはICUに限定した死亡 率に関する論文もあるようです。  3番目に関しては、ICUでどのようなエラーが起こっているかを薬に限定しないで 見たものです。この調査がなされたのもハーバード関連病院のグリガム・アンド・ウィ メンズ・ホスピタルのICUですが、ここのICUでは患者のライフ・スレットニング (生命の危機に瀕するような事故やエラー)が決して珍しくないということですが、い ちばん大きな原因はメディケーションエラー、薬である。2番目に多いのがいわゆる処 置や看護業務上のスリップ(やり忘れ)やラプス(やってはいけないことあるいは違う こと)であって、いわゆるプロフェッショナルの判断や知識によるような事故は意外と 少ないということが書かれています。これはICUだけではなくCCUも合わせて見た 論文です。  4番目に関してはICUに限定したものではないのです。前回部会長も落合先生もお っしゃっていましたが、どういう指標でICUの安全対策を評価するのだということと 少し関係があるわけです。アメリカの第三者機関的なIHIというインスティテューシ ョンで今、全米の病院で10万人の患者の命を救う患者安全のキャンペーンをやってお り、すでに論文等で、こういうことをやれば死亡率が減るということがエビデンスとし て分かっているということで、(4)の下に書いてある6項目が挙げられています。  具体的には(1)CPRのようなチームを設けること。(2)アメリカで非常に多い急性心筋 梗塞の患者に対して、エビデンスに基づいて治療をする。(3)薬剤に関しては、アメリカ でも自宅、急性期病院、長期療養施設等いろいろな所でいろいろな薬が出たり変わった りしますので、正しい薬をどこにおいても正しく飲むために、薬剤の事故を防止する対 策をとる。(4)〜(6)は全部感染対策ですが、中心静脈ルート、サージカルサイト・インフ ェクションの防止、人工呼吸器に関連した感染防止。こういうことは全てきちんとやれ ば死亡率が下がることが分かっているので、この6つをやって、長期的に見てこのキャ ンペーンに参加している病院の患者死亡率が下がるかどうかでこの対策の効果を見てお りますので、我々の報告書にリファーして入れるようなデータが若干あるかもしれませ ん。また、今後指針の効果を評価するときの指標の1つとしても参考になるものでもあ ろうかと思って挙げました。  武澤先生からは、それ以外にもたくさんの論文を以前紹介していただき、例えばイン テンシヴィストを置いている所は死亡率が少ないというようなことはありますが、今回 網羅的には紹介できていません。 ○平澤部会長  4番をもっと詳しく見ようと思ったら、どこかからダウンロードできるのですか。 ○中島委員  それは可能です。 ○平澤部会長  では興味のある方はご連絡をください。 ○事務局  事務局からお送りいたします。 ○平澤部会長  貴重な情報を、どうもありがとうございました。これらの報告と今までのまとめを頭 に置いておいていただいて、本日の主たる議題である議題3「安全管理指針について」 に移りたいと思います。本作業部会の報告書の総論的なところ、また、それを踏まえた 上での指針(骨子案)について事務局でまとめていただきましたので、それについて説 明をお願いいたします。 ○事務局  資料3の(1)と資料3の(2)で説明いたしますが、これはこれまでの作業部会での先生方 の意見を踏まえ、平澤部会長と相談をして作成したものです。事前に送付しております ので、説明はできるだけ簡略にして、質問等があれば後ほどお答えしたいと思います。  全体は大きく2つのパートに分かれており、資料3の(1)が報告書です。これは安全管 理指針を作成するための前文あるいは説明書きで、これまでの経緯、どういう議論を経 て安全管理指針を作ったのかをまとめたものです。資料3の(2)は安全管理指針そのもの で、報告書でまとまった結論を反映して、医療機関のほうでそのまま使えるような形に まとめたいということで整理したものです。  資料3の(1)の「はじめに」は、これまでの経緯を書いたものです。2番目はICUの 現状を整理したもので、先ほど政策企画官から説明したようなことが触れられておりま す。3番目のところでは、診療報酬の施設基準の届出を行っていないような医療機関に おいても、集中治療室に患者を集めて医療を提供している所があるという話がありまし たので、そういう項目も設けております。その次はICUにおける医療事故等について ですが、これまで会議でご指摘いただいた点を踏まえて記載しております。必ずしもデ ータの裏付けがあるわけではないのですが、先ほど中島委員から指摘があったようなこ とも踏まえながら、さらに本日の議論も踏まえて整理をしていきたいと思います。ここ に書いてあるのは、これまでの議論を踏まえたものです。  2頁は指針作成に当たっての基本的考え方です。この指針は医療機関が重症患者に集 中的な医療を提供することに当たって、医療の安全を確保するために参考となる内容を まとめたものとしてはどうか。また、指針の内容は必ずしもエビデンスに基づいていな いところもありますので、今後は科学的根拠に基づいた見直しが必要になってくるので はないかということを書いてあります。指針が対象とする医療機関については、ICU を持っている医療機関を対象として作っていってはどうかという案です。そのICUの 定義は4−1の所にありまして、「集中的に高度医療を行うために設けた部門」で「集 中治療を要する患者」に対して、そういう部門で医療を提供する。そういう部門を集中 治療室と言ってはどうかと。  また、診療報酬における施設基準とは直接関係はないということで考えてはどうか。 また、集中治療を要する患者をある程度、一定数以上収容して集中医療を提供するとい うような場合について指針を取りまとめるというような形にしてはどうか。数が少ない ようなもの、この辺を議論いただければと思っています。そういうICUについては、 指針に準じて対応するという考え方としてはどうか。ここで言うICUというのは、い わゆる一般のICUを対象にしているのか。CCUだけかHCUなどは直接対象にしな いとしてはどうかという内容になっております。  次に集中治療を要する患者です。お手元に別紙として、資料3−(2)の後ろに1枚紙の 表、「集中治療を要する患者と管理の方法について」というのがありますが、これと併 せてご覧ください。集中治療を要する患者については、報告書案の3頁にありますよう に、「一時的に生命維持装置を装着し回復の見込みがある急性期の臓器不全患者」と 「これに準ずる回復の見込みのある急性期の重症患者ないしは急性の臓器不全を発症す る可能性の高い患者」としてはどうかと。それぞれの定義ですが、急性期の臓器不全の 患者というのは、肺・心臓・腎臓といった重要臓器の機能が一時的に著しく低下したも ので、生命維持装置を利用して集中治療を施すことにより、回復の見込みがある者とし てはどうか。また、これに準ずる重症患者は、具体的に重症急性膵炎、出血性ショック を起こすほどの多発性外傷等々を具体的に挙げており、こういう患者を対象にしてはど うかということです。  そして「集中治療を要する患者」には、単なる手術後の患者等は含まないが、いま申 し上げた定義に該当するのであれば対象とするというようにしてはどうかという内容に しております。表をご覧いただきますと、いま申し上げたのは(1)(2)(3)(4)としております が、そのうち(1)(2)(3)の所について、集中治療を要する患者と考えてはどうかということ です。また、この表を用意しておりますのは、そういう患者について集中治療室で管理 している場合、あるいは病棟で個別管理をしている場合があるというお話がありますの で、この指針の対象となる部分はどういうところを対象にすべきなのかについて、議論 をいただくために用意したものです。  資料の本文の3頁に戻りまして、生命維持装置については呼吸、循環、代謝を補助す ることを目的とした装置としてはどうか。  4頁は指針に対する評価、見直しについて、これまでご検討いただいたことを書いて おります。以上がこの指針の前文に当たる部分です。  続いて指針の本体ですが、資料3−(2)をご覧ください。目的については前回ご議論い ただいておりましたように、「集中治療室において医療事故を防止し、重症患者の安全 を確保することを目的とする」ということとしてはどうかとしております。基本的な考 え方や指針が対象でない医療機関については先ほど申し上げたとおりです。その結論的 なところをここに書いております。  2頁目は、そういう医療機関については、集中治療室では少なくとも1人の医師は常 時勤務しているというようにしてはどうか。また、その能力をどういうように考えるの か。看護師については、患者2人について1人以上の割合で看護師が常時勤務している というようにしてはどうか。あるいは交代勤務態勢を組めるようにしてはどうか。ある いは看護師の能力をどういうように考えるのか、というようなことが議論になるかと思 います。  また、医療機器の管理・保守点検の責任者を配置してはどうか。その職種についてど う考えるのか。医薬品の管理についても、同様に責任者を配置することについてどう考 えるのか。その職種についてどうするのか。また事務担当者について、医療従事者が医 療行為に専念できるように事務担当者を置くことについてどういうように考えるのか。 こういったようなことが論点になってくるかと思います。  システムについてはいくつかありますが、まず情報共有については3頁の冒頭にあり ますように、情報伝達方法の決定や各科・各職種間での定期的な会議のシステム作りが 必要ではないか。電子カルテなどのITの活用が必要ではないかということを書いてお ります。  また運営については、ICUに安全管理の責任者を配置することについてどういうよ うに考えるのか。また、その能力についてどういうように考えるのかということです。 また停電や災害などの非常時についてどういうような体制をとることが必要なのか。こ の辺の議論があるかと思います。  医療事故の情報収集・分析として、ここではちょっと順番が違っておりますが、上の 運営の所の3番目の○に書いてありますように、リスクマネージャーをICUに配置す るということについてどういうように考えるのか。そして医療事故等に関する情報を収 集・分析し、情報提供を全職員に周知する体制をどうしていくのかを議論していただけ ればと思っております。  感染制御の項目については、医療機関の中でいろいろな指針を作るときにICUの感 染制御対策を盛り込むことが望ましいのではないかとか、あるいは、手洗いの設備・備 品について配慮して標準予防策を遵守することが必要だとしてはどうか。あるいは、日 常的なサーベイランスについてどう考えるのか。院内感染が発生したときに対策を事前 に策定しておくことが必要ではないか。  4頁は教育です。医療従事者に対して実習を行うことが必要ではないか。また、その プログラムの内容については、ご覧のような例示があるのではないかということです。 物的環境ですが、医療機器等については患者の状況によってもいろいろと異なるが、常 備する医療機器を列挙してはどうかということで、(ア)ICU内に常備する機器、そ れから医療機関内に常備する機器を列挙しております。  5頁の医療機器の適正使用については、担当医師がその機器が正しく機能しているか どうかを使用に当って確認する必要があるのではないか。あるいは保守点検・保守管理 については、記録をしておくのが必要ではないかということです。医薬品については、 注意すべき医薬品を予めリストアップするというご提言もあったと思いますので、それ について議論いただきたいと思います。また適正使用についても、必ず処方箋を発行し、 緊急時には口頭指示によることもやむを得ないが、必ず記録を残して置くということを 書いております。保守管理についても、薬剤について薬剤師は一定の関与を行うという ことについて、どう考えるのかと表現しております。  面積あるいは6頁、空調、給排水、医療ガス、電源、この辺はあまりご議論をいただ いてなかったかと思います。ここでは前川先生の研究班報告書等を踏まえて少し書いて おります。その他インフォームドコンセントのあり方についてもどう考えるのかを列挙 しております。  こういう骨子案ということでたたき台になるわけですが、それぞれ本日ご議論いただ きまして、ある程度方向性を出していただければ、それに沿ってまた報告書を手直しを してまいりたい、あるいは指針の手直しをしてまいりたいと考えております。以上です。 ○平澤部会長  いまお聞きいただきましたように資料3は大きく2つの部分から構成されているわけ です。前半の4枚は本作業部会の報告書になる部分で、指針の解説、前文に相当するも の。後半の6枚は、安全指針、管理指針そのものとなっております。また全体の構成に ついては内容についてご議論をいただいた後に、改めてご意見をお聞きするということ にいたします。いろいろな意見があると思いますが、まず前半の4枚目までの報告書の 骨子案について、先生方はいまご説明いただきましたが、その前にお読みいただいてい ると思いますので、ご意見があれば承りたいと思います。 ○石井委員  2頁の3番の指針作成の基本的考え方に関して、2つ目の○に「必ずしも科学的根拠 に基づいたものではない」という言葉は、いささか強すぎませんか。経験識にしても医 療の実態に基づいても、これは医学という科学に基づいた文言であるはずなので。 ○事務局  これはすべてが科学的根拠に基づいたものではないという意味合いで書いたものです ので、ご指摘を踏まえて適切な表現に変えさせていただきます。 ○石井委員  今後見直すという文言が入っていれば、それで結構ではないかと思います。適時ない し随時なり。 ○事務局  いまのご意見をいただきまして、部会長と相談して整理していきたいと思います。 ○平澤部会長  広い意味でのエビデンスはあるが。 ○事務局  個別のデータがないという意味合いですので、適切な表現に改めたいと思います。 ○石井委員  もう1点、3頁の4−2の所のですが、これはICUを確かに謳っています。「集中 治療を施すことによって回復の見込みある者が対象者である」という文言が入っていま すが、いま医療、介護、特に療養型病床の縮小閉鎖と絡み、いろいろな地域の病院の実 態を聞きますと、救急医療の現場に慢性疾患や療養機能のケースが急性化して、もう一 度運び込まれて来る。それがまず救急の現場に、ずいぶん運ばれて来る。場合によって は1割とかという数字を聞いています。それが次に重症ベッド、ICUを含めた所に入 って来て管理せざるを得ない。それをどこまでどうやるのかが非常に数も増えてきてい るものですから大変困難です。現場の悲鳴が聞こえているのです。そういう問題がここ は、あまり楽観的すぎる。かと言ってどこまで言うかというのは、ここで検討するべき 問題なのかとうかは難しい問題ではあるのですが、ただ実態としてそういうのがあると いうことを頭に置いた上で、文言に多少、加えていただければと思います。 ○平澤部会長  いま石井委員が言われたことは、確かにいま救急患者の中に、いわゆるアキュート・ オン・クロニック・イルネスという、もともと具合が悪かった人がそれに加えてスーパ ーインポーズして、より重症な病症を発症してしまうということがありましたが、それ は確かに救急領域の問題になっています。それも回復の見込みが解釈の仕方でアキュー ト・イルネスが起こる前の程度まで回復させてあげるとか、という意味も含めてという ことにならざるを得ないと思うのです。もともとクロニックの人ですから、すっかりよ くなる見込みはない。ですからアキュート・イルネスがくる前の状態くらいというよう な感じも含んでということになるのではないかと思います。 ○前川委員  いま言われたとおりで、医療の現場は、それではどうするのかという意味合いで非常 に難しい現状です。そういう意味で、1つは国民の教育と言ったらおかしいのですが、 やはりどこまで命を救うかという部分。最後の1秒までということは昔ずいぶん言われ ました。これは私たちがICUの医師をやっていて外科系の先生から、最後の1秒まで対 応するようにとずいぶん言われました。しかし現場ではだんだん状況を把握していただ いて、ここまでいったらもう無理だろうということを納得していただいて、いまは医療 現場ではそういうのはなくなりました。ですが、今度は国民(患者サイド)から要求を されますと、どこまでやるべきなのかはと非常に難しい状況です。例えば慢性疾患のタ ーミナルに近い状態で急性増悪した場合にどう対応するか。  そこのところは、多分基本は、社会復帰というか、自活できるレベル。本来は多分そ の辺で線を引くべきだと思いますが、それでも絶対的な線は引けないように思います。 正直なところ、現場は大変混乱しているのが現状です。 ○平澤部会長  実際にアキュート・オン・クロニックの人がアキュート・イルネスを発症する前の状 態まで戻ってくれる可能性はなかなかないのですね、アキュート・イルネスを契機にク ロニック・イルネスがまた一段と悪くなってしまうという人がいる。この前アメリカの 集中治療の専門家が来て話をしたときに、エルタック(LTAC)、ロングターム・アキュ ート・ケア(long term acute care)を必要とする患者がいて、それの専門の病院がア メリカでもずいぶんできているという話がありました。日本でもそういう人たちが、表 現は大変悪いですが、ICUのベッドを占拠してしまうという状態になりかねないとい うところがあります。ただ、それはICUにおけるインテンシブ・ケアの対象となるの かどうかというのはなかなか、ベッドのキャパシティなどの兼ね合いで難しいところが あると思います。  石井委員が言われたのも、そういうこともあるから、それも頭に入れておいて議論を ということですね。 ○織田委員  前文のタイトルですが飯田委員がいろいろ言われて、結局前回までに集中治療室とい う言葉を削って、集中治療を受けている重症患者のという話ではなかったですかね。そ の次の骨子案についてはICUを対象としていますので、それでいいと思うのです。こ の前文に関しては、これまでの議論の中で、集中治療を受けている重症患者の安全管理 指針とするという話ではなかったでしょうか。 ○飯田委員  私もそれを再三申し上げているのですが、もう疲れてしまって言うのをやめたのです。 最後に言おうと思ったのですが。それが合意事項だったはずなのが、また変わっている ので。それは事務局にも申し上げているのですが、まだ訂正されていないので。やはり 合意事項はきちんと守っていただきたいと思います。 ○事務局  我々のほうでは必ずしもそういう認識ではなくて、ここの基本的な考え方の所や、あ るいは目的の所にありますように、重症患者の安全を確保するという目的であったと思 うのです。このタイトルについてどうこうするというようなお話はなかったように思っ ています。それでICUにおける安全管理指針についてというタイトルにしているわけ です。したがいまして、本日またご議論をいただいて変える必要があるということであ れば、それを踏まえて修正したいと思います。 ○平澤部会長  ほかの委員の先生方は、ご意見いかがですか。 ○飯田委員  その議論は最初からしていまして、最初はICUの後に「など」を入れようかという 議論をしたのですが、「など」ではなくいま委員が言われたようなことで重症患者管理に 変えたはずです。この議論はもう何回もしています。認識の違いとか何とかということ ではなくて、はっきりそういう議論をしていますから録音テープをもう1回聞いてくだ さい。  さらに、1頁目の○の最初の2行目も、「集中治療室など」と最初から入っています。 最初の検討会の目的でも入っています。ですから「など」がいいかという議論があった 上で、「など」ではなくて、部屋の問題ではなくて、患者管理が大事だからということ で私は合意したと。議論は何回もしているはずです。 ○平澤部会長  ちょっと整理しますが、織田委員がいま言われたのは、資料3、1つ目の○の前文に ついては集中治療を受けている重症患者の安全管理指針についてと、そのうちのパート 1といいますか、最初に検討すべきは集中治療室における安全管理指針で、それがきち んと出来上がった後で、それ以外の人たちには、このICUにおける安全管理指針をど うモディファイして適用するかという認識ですか、皆さん。いかがでしょうか。 ○北澤委員  私はそう思います。 ○平澤部会長  そういうことで。 ○道又委員  とにかく集中治療室というユニットというような限定をしているのではなく、集中治 療を受けている患者の、ということで合意したのではなかったでしょうか。 ○事務局  それはそうなのですが、安全管理指針自体は、その集中治療室を対象にした安全管理 指針を作っていこうと。ただ、その目的は重症患者の安全を確保することと。そういう ご議論だったように思いますので、こういうようにしております。本日のご意見がそう であれば、そういうように修文したいと思います。 ○平澤部会長  武澤委員、どうですか。 ○武澤委員  病院の各病棟にばらばらに重症患者がいて、患者が重症だから、それもこの安全管理 指針の対象にしてもいいかということになると思うのですが。それを1カ所に集めてあ る程度の規模で、統一した管理体系のもとで、統一した治療方針のもとで治療や看護を するのではなくて、それぞれの病棟に重症患者がいる状態をどう考えるかです。心臓外 科病棟にもいるし、他の病棟にもいると。そういうのも含めてこの安全管理指針を作る というのも1つの手だと思うのですが、病院の中でばらばらに重症患者をいろいろな所 で、各科で一般の患者を診ながら同時に重症患者を医師と看護師が見るというのは、や はり、安全管理の面からは避けたほうがいいと思います。ですから、結論から言うと、 題名はどうでもいいと。要するに病院として重症患者を現状ではばらばらで管理されて いても、全体として安全に重症患者を診るためには、こういうような組織、こういうよ うな管理体制が必要ですよということを、盛り込んだらいいのかなと。 ○飯田委員  だから私は、今回は安全の調査を報告していますが、これも箱(施設)単位になって いるのも私はどうも気に入らないのです。医療機関単位ですね。そうではないだろうと いう話を再三しているのです。病院全体のセーフティ・マネジメントに関しては、もち ろん病院単位の話はわかるのです。その話をしているのではなくて、層別化するという 意味では、いわゆる施設基準をとったICU、それとHCUも含めてもいいのですけれ ども。  それから、とっている病院でも、そうではない所でも重症患者を診ています。それは 各病棟でばらばらというのもあるだろうし、まとまったユニットで、いわゆる術後床と して、4床なら4床でいいのですが、ここでまとめて診ている所もあります。それから 施設基準は持っていないけれども、ICUにほぼ近いところもあるし、そうでなく、い わゆる術後床として、HCU的ですか。ハイケアユニットとして診ているところもあり ます。もちろん一般病床もあります。私は層別化してお話したつもりなのです。本当は 最後までやりたいけれどもそこまでは無理なので、せめて施設基準のある無しにかかわ らず、本当は層別化のある、無しで分けるのですが、いわゆる施設基準を持ったICU、 それから施設基準をもたないHCU的なもの。せめてそこまでは作っていただきたいと いうことを申し上げているわけです。  一般病棟でばらばらと重症患者を診ますよと、ここまでここで1年間できると思って いませんので、第3段目は、その次に考えればいいわけです。 ○平澤部会長  委員、最初のころは、ナースステーションの隣でというようなことも言われていまし たですよね。 ○飯田委員  ナースステーションの隣でも何だろうが、3床なら3床、4床なら4床、そこで診て いるものはあるわけです。ICUだって1床しかない所があるわけですから。そういう 意味では、そこでユニットとして基準を取っているか取っていないかは別としてそれを 診ているところがあるわけです。例えば病棟のどこにいるかわからない所で重症患者を 診ているのがありますが、そこを対象にしましょうとは言っていないのです。せめて、 病棟の中のどこか決まった所で、HCU的にハイケアユニットみたいなところで、診て いるものに関してはきちんと指針を作ってくださいということをお願いしているわけで す。 ○織田委員  私も最初に言い出してこんなことを言うのも何なのですが、私は飯田委員が言われて いるのはICUという名前ではなくても、ある程度重症患者を1カ所に集めて診ている 所のための指針と、そうではない一般病棟で重症患者を診ている所の指針を作ってくだ さいという。 ○飯田委員  両方あるのです、ですから。 ○織田委員  いまのご意見だと。 ○飯田委員  違うのです。3つあるのです。 ○織田委員  施設基準のある所と、そうではない、いわゆるICU、HCUの2つを。 ○飯田委員  ですから、本当は3つあって((1)施設基準を持ったICU、(2)施設基準を持たないH CU的なもの、(3)一般病棟でばらばらと重症患者を診ているところ)、でも3つはとて もできないと皆さんが言われるから。私は作ってほしいです。1年間できなければです ね、同じ議論をずっと繰り返しているわけです。時間がもったいないですから、でも、 それ(3つめ)は後でいいと、作ってほしいのですが。要らないと言っていません。 ○織田委員  そうすると、飯田委員は、現時点は施設基準のあるICUのための安全管理指針と、 それ以外のICUなりHCUの。 ○飯田委員  病棟なら病棟でHCU、ハイケアユニット等があります。せめてそこまでは作ってい ただかないと、この1年間で。本当は3段階でやってほしいのです。とても皆さんやる 雰囲気でないので折れたわけです。 ○平澤部会長  飯田委員がそう言われているのだったら、この前文の所を、室長、いかがでしょうか。 集中治療室(ICU)、やはり最初に戻って「などに」とすれば、それで済むことでは ないですか。それで最初はICUを頭に置いて、安全指針を作って、それをモディファ イしてハイケアユニットとか、そういうところのものにバージョンを作ればいいのでは ないですか。 ○事務局  ここの発想は、そもそもICUと言ったときに、皆さんは診療報酬の施設基準を満た しているところを念頭に置いて言われているような気がするのですが。我々はそういう ようには全然思っていなくて、HCUであってもICUであっても重症患者がいて、そ こで集中治療をやっている場合は、この管理指針に沿ってやっていただくという意味合 いで申し上げているので、ICUなどというと「など」は何なのかという話になります から、ICUの中に、いま診療報酬でいうHCUもICUだという定義をして、そうい うところもこの指針でやってくださいという話であれば、飯田委員の話にも合ってくる のではないかと思うのですが。 ○平澤部会長  先ほど飯田委員が言われた施設基準を満たしているICUと、そうではないけれども 一定の重症患者を集めて治療しているユニット、それから、各病棟でばらばらという3 つがあると。その3つはそれでいいのですね。そのうちの前の2つのことを、とりあえ ず対象にしているのだったら、ここで集中治療室について、こうこうこういうことを書 いてありますが、それだったら事務方が言われるように、これでもいけるのかなと思い ますが、いかがでしょうか。 ○飯田委員  なぜこだわるかと言うと、この文書には確かにそう書いてあるのでいいのですが、や はり施設基準の話になってしまうのです。ICUと言うと先入観がインプットされて。 集中治療室と言うとそうなってしまうのです。それだから私はあえて言っているわけで す。そうではないよということを言っている。  それからこの次に議論する安全管理指針の中でも、これを読むと専従の医師がいなけ ればいけないとか、結局ICUの施設基準を取っていない所はクリアできない内容です。 だから私は言っているわけです。きちんと2本書いてあればそんなことは言いませんが、 1本しかないわけです。これは無理なのです、これでは。いま言った1、2もクリアで きないので盛んに言っているわけです。特に名は体を表しますから、集中治療室とかI CUという名前を使うと、それが一人歩きするのです。それが怖いから私は、名前はど うでもいいのではなくて名前は大事なのです。 ○織田委員  ただ今日出された具体的なICU安全管理指針は、事務局としては施設基準を取って いるICUに関しての案ということですよね。 ○事務局  いえ、違います。全体です。最初の報告書の所にもありますように、ICUの診療報 酬上の基準を取っているかどうかということとは関係なく、ただICUの診療報酬の基 準を取っているような所が、ほとんどカバーされるということです。そういう所が対象 になるのはあると思いますが、区別をしているのではなくて、むしろ診療報酬の基準を 取っていないような所であっても重症患者を一定のスペースで診ている所については、 この安全管理指針を適用するという話になってくるかと思うのです。そういう意味で、 もし医師が常時1人いるのが難しいとか、あるいは、看護師が患者2人に1人は難しい というのであれば、そういうご議論をしていただければと思っています。 ○石井委員  いまのお話は、これであらゆる所を1つの基準でやっていこうとすれば、それは診療 報酬の裏付けがないところに人員をもっと配置しろとか、こうしたほうがいいとかとい うのは、これは財務の裏付けがあって初めてできる話が、いっぱいここに書いてあると 思うのです。そうであれば診療報酬を上げていただけるのですね。 ○事務局  順番は、歴史的には診療報酬における評価が先になっていますが、本来はICUはど ういうものなのかという定義をして、そのあるべき姿を示した上で、それを経済的な評 価をしていくのが道筋のような気がするのです。 ○石井委員  いや、経済的の裏付けがないときに、いま人員をどんどん増やしなさいとか、いくら 言ってもそれは実行できませんよ。 ○事務局  そういう意味ではございません。これはあくまでも参考というような位置づけにして いるわけで、経済的なことも念頭に置きながらも、ICUで安全な医療を提供するため には、こういう体制が必要だということを議論していただいて、それをまとめるのがこ の作業部会の目的だと考えております。 ○石井委員  医療安全の確保だとか、そういうことについては、日医の考えとして、財務の裏付け がなくてレベルを上げるというのは無理だということが基本にあります。だから、この レベルをこうするべきだ、人員はこうするべきだ、施設はこうするべきだということは 財務の裏付けをもって、ご議論すれば非常にポジティブな方向にいくのではないか、日 本の医療はいい方向にいくと私は思います。 ○事務局  これはこうすべきだということを言っているわけではなくて、安全な医療を提供する ためには、こういうことをしてはどうですかということを医療機関に投げかけるという ことですので。 ○平澤部会長  拘束力を持つかどうかというと。 ○石井委員  公文書として残せば、それが充足しない所はセカンドベスト、サードベストの話にな ってしまうようなことですから、そういう道筋を示すということは、その裏付けも一緒 に示していただかないと実際の病院管理者にとってはやりようがないのではないかと考 えます。 ○平澤部会長  資料3−(1)、2頁目の3、指針の作成に当たっての基本的な考え方という所の上のほ うの○の所の2行目に、医療の安全を確保するために参考となる内容をまとめたものと してはどうかということですので、これを基準にして、できるだけこれに沿うような形 にしていただきたいということで、こうしなさいとは書いていないので。 ○石井委員  いや、そういう方針を示すという点でお話しているのです。 ○平澤部会長  この時点で、この作業部会で診療報酬まで裏付けしたような形の指針にするというの は、ちょっと無理ですね。 ○石井委員  もちろん、この場でやるべきではないとは思います。 ○平澤部会長  別な形で。 ○石井委員  そこはエレガントにしていただかないと。理想主義に燃えてここで作りますと、それ はあらゆる医療機関を縛りますから。そこのところは頭に置いていただきたい。最終的 には財務の裏付けも、当然やってくるものかどうか考えて議論をするべきだと思います。 ○事務局  理想的で手の届かないような指針を作るという意味合いは全然、我々も持っておりま せん。ある意味、いま集中治療室を持っている医療機関がほとんど守れるような内容の ものを念頭に置いて、それで底上げを図っていくことがこの指針の目的になるのではな いかと思います。 ○織田委員  私が前回の会議が終わった時点で考えていたのは、やはり層別化するということでし たので、まず施設基準を取っている所に関する安全管理指針を出して、その中からハー ドの部分、施設基準とかという厳しいものを除いて、ある程度、それが望ましいという ような文言にして、それでソフトの部分は、ほとんど同じような内容のものを2段目と して、その下のICUやHCUのための指針として出せばいいのかなと考えていたので すが。 ○平澤部会長  具体的にはどういうことですか。資料3−(1)のこのタイトルはどうですか。 ○織田委員  資料3−(1)のタイトルに関しては、前回話があったように、集中治療を受けている重 症患者における安全管理指針という、全体にしていいのかなと。ただ、先ほどお話を聞 いたら、飯田委員は2つ目のものは、ICUやHCUに一応1カ所に集めているという ことを言われていましたので。そうだとすると、ICUにおけるでもいいのかなと。 ○飯田委員  いや、違います。誤解を招くといけませんので、タイトルはいまおっしゃったタイト ルにしてほしいのです。 ○平澤部会長  どうでしょうか。皆さん認識としては、前回は、集中治療を受けている重症患者の安 全管理に関する指針という認識ということでよろしいでしょうか、全体として。そうす ると、これで今日皆さんのコンセンサスを得たい。ここでいつも止まっていて、私、座 長の不手際ということになるのですが、先ほど織田委員が言われたようなタイトルにし て、それで、そのタイトルを受けてパート1として集中治療室における安全管理指針と。 パート2としてステップダウンユニットかハイケアユニットとか知りませんが、一定の 患者を集めたところでやるということを、この資料3−(2)を土台に少しモディファイし て作るという作業過程でいいということで、よろしいでしょうか。 ○事務局  報告書のほうはタイトルを変えるということは構いません。また、それに沿ってまた 内容を変えていきたいと思います。ICUにおける安全管理指針の別紙のほうなのです が、これは別にHCUを除いているわけではなくて、HCUであってもある一定の重症 患者を集めて集中治療をやっている場合には、適用しますよという内容にしたいと思っ ています。さらに、この中で層別化して患者の状態によって安全管理の状態は違うので すよ、と分けられるのであれば分けていただくことも考えられると思うのです。単に施 設基準を取っている、取ってないからというところで分けるのは、ちょっとどうかなと 思っているのです。 ○平澤部会長  施設基準を取っている取っていないではなくて、ハイケアユニットというのはステッ プダウン・ユニットですから、コンセプトとしてはICUで集中治療を受けている人よ りも重症度が軽い人を診るところなのではないでしょうか。ですから、そこにおける治 療内容はICUにおけるのとちょっと違ってくる可能性があると思います。 ○事務局  もしそうだとすればICUの定義を、記載しておりますように、臓器不全の患者がい るようなケースというようにして、HCUは、そうではない、もっと重症度が軽いとい う定義をして、そういう患者が入っているスペースで集中治療を提供している所と。そ ういう定義をして、それぞれの指針を作っていくと。そういうイメージであれば法整備 はできると思います。 ○平澤部会長  多分、そういうことだと思います。そういう全体のスキーマでよろしいですか。部会 長の私の不手際もあって、行ったり来たりしていますが。では、それをよく記録を取っ ていただいて。 ○飯田委員  1番のICUにどういう患者が入っているかという議論の話に戻るのですが、何か臓 器不全という言葉がずっと一人歩きしているような気がして。私が質問して第2回目ぐ らいの臓器不全とこだわらないという話になったはずなのですが。例えば、メジャーサ ージャリーでオーバナイトでレスピレーターにかかる人もいるだろうし、いろいろな患 者がいるわけです。実際にICUで診ている患者さんは。皆さんが言われているスデッ プダウンと言われている所でも同じような者も診ますし、そんなに明確なものではない はずです。むしろ人的配置や設備的配置のほうが大きいので。 ○平澤部会長  解釈の仕方で、術後、委員がそう言われたのは覚えていますが。手術の後、ベンチレ ーターを付けた人が一般病棟ではなくて、どうしてICUにいるかと言えば、その人は 臓器不全を発症してしまうかもしれないリスクがあるからICUで診ているのですよ、 そう解釈すればいいのではないですか。 ○飯田委員  ですから、3頁の4−2の最後の○、これに準ずる回復の見込みのある急性期の重症 患者と。これがよくわからないのです。メジャーサージャリーの術後を診るのがこれだ と言うのでしたらそれでいいのですが。何か臓器不全という言葉が重くのしかかってき て。ただ慢性で透析をしているのを入れろとは言いませんが。 ○平澤部会長  何でもないけれどもICUで、例えばウォッチしている、モニターを付けているとい うのは、その人が具合が悪くなる可能性が、ある程度あるからICUに入れて術後の患 者を診ているわけですよね。何か起こるかもしれないということを急性臓器不全になる、 発症する可能性が高い患者というように表現してあると読んでいただければいいと思う のです。 ○武澤委員  臓器不全という言葉は狭く限定されすぎています。臓器に関係しない重症患者もいま すので。例えば火傷にしても、そのときは臓器不全とは言わない。頭部外傷は脳不全と は言わないですよね。そういう意味では、もう少しいろんなタイプの重症性を包括する ような言い方にするということが大事です。 ○平澤部会長  コンセプトとしては、それでは火傷の人はどうしてICUで診ているかというと、や はり感染を起こして臓器不全を発症する可能性が強いから診ているわけですよね。 ○武澤委員  ですけど、臓器不全が全面に出ると、ちょっと違和感を持つ人だっているわけですよ。 ○平澤部会長  それでは、ここは臓器障害ですね。臓器機能障害という。そういう程度ですかね。 ○武澤委員  もう1つHCUやICUの施設基準というのは診療報酬から入ってきているわけです よね。これは何も患者の安全性とか重症度を十分に考慮しているわけではないので、そ こに最初からこだわる必要はないのであって、本当は、病院の患者の重症度に応じてど ういう治療を提供するのがいちばん安全か、という形の問題の立て方をすべきだと思う のです。最初は何とかICUを作るために診療報酬上の支援を行って作った施設基準な わけです。安全管理という概念から言うと、かなりずれてできている施設基準になって いるわけです。 ○平澤部会長  しかし全体としてどういうものを対象にしているかというときに、ほかに適切な、対 象とすることを言い表す言葉はないではないですか。例えば施設基準を満たしているよ うな、あるいは、それと同等のようなというコンセプトでまとめざるを得ないと思いま すけれども。 ○武澤委員  施設基準で本当に安全性というのは保証できるんでしょうか。 ○平澤部会長  安全ということではなくて、これが対象としている施設はどういう施設ですかという ことになれば、ある程度のICUのイメージを作るために施設基準を満たしている、及 びそれに準ずるようなICUということでいいのではないでしょうか。施設基準満たし ている、イコール安全と言っているわけではないのです。 ○武澤委員  そこは境界はないわけですよね。HCUと言うと、また定義があるじゃないですか。 看護師何人、患者当たり何人とかという基準があるわけです。HCUから外れてセミH CUみたいなのはどうするのですかという議論が出てくる。 ○平澤部会長  皆さんが共通のスタンダードとしてイメージを描きやすいのは、ある程度の基準があ るということも、これはしようがないのではないですか。 ○武澤委員  最初からこだわらないほうがいいような気がするのですね。施設基準は関係ないと。 ゆくゆくは、安全を守るためにはこういう施設基準を作らなければいけない、そのため には財政的なバックアップをしなければいけないという形で、全体で重症患者の安全性 を守るのだという枠組みになっていくと思うのです。だから、ここですべて決められる わけではないので。 ○平澤部会長  それは流れとしては、例えば前文の最後に、将来の展望とか、そういう形で付け加え るということでいいと思うのです。 ○飯田委員  2頁の4−1、最初の○の2行目ですが、「集中的に高度医療」というのは、あまり 適切ではないです。高度医療はやめたほうがいいです。もし入れるのでしたら高密度の 医療です。高度はちょっとまずいと思います。 ○平澤部会長  レベルという話ではなくて密度が濃いという意味ですね。 ○飯田委員  そうです。 ○平澤部会長  だいぶご議論をいただきましたが、報告書の骨子についてはよろしいですね。もうこ のことについては今後議論しないで、いま言ったスキーマでいきたいと思います。  それを踏まえた上で、いわばパート1として資料3−(2)の、とりあえず最初にやるべ き集中治療室における安全管理指針ということです。これは先ほどご説明いただきまし たが、また行ったり戻ったりすると大変ですので、最初から順を追っていきたいと思い ますがよろしいでしょうか。  目的の所はどうでしょうか。これは先ほどの報告書と連動しているような所がありま すので、基本的な考え方。これは先ほど石井委員がご質問なさいましたが、参考となる 内容をまとめたものにしてはどうかということですね。ですから参考ということですね。 それから指針が対象とする医療機関についてということですが。この3−(2)はICUと いうことですから、集中治療室を有する。ここは先ほど武田委員が言われた施設基準と いうのは特に書いてないのですが、何か。 ○事務局  先ほどの議論を踏まえて、ここは整理したいと思います。 ○平澤部会長  それは整理していただくとして、4番目のマンパワーの所です。表現は「人」という ことでいいのですか。何となく人というと、ちょっと収まりが悪いような気がするので すが。集中治療室内には少なくとも1人の医師が常時勤務していることとしてはどうか、 集中治療室の専任医師の能力はどのように考えるか。この常時というのは24時間とい うことですかね。 ○事務局  そのつもりで書いております。 ○前川委員  多分何年か先、5年なら5年先の見直しを含めて、今は少し緩くしておいて、それで 5年先に資格を取っていただきながらということを考えておけばいいと思います。私が まとめたほうは、何とかすべきである、何とかが望ましい、という言い方をしています。 こういう資格を取るのが望ましいという形にしておけば、例えば5年先には、それがす べてになるというように変わっていっても構わないと思います。それは5年であっても 7年であっても構わない。少し今回作ったものに対して改善が加えられるような、だけ ど今現在はあまり無理がいかないような形が良いと思います。 ○平澤部会長  委員が言われているのは、総論として、すべての表現について2本立にしろとかとい うことなのですか。医師という所ではなくて。 ○前川委員  医師の所です。例えば日本集中治療医学会の専門医をこの中に入れるとしたらですね。 ○平澤部会長  それは無理です。 ○前川委員  今現在は無理ですね。先ほど武田委員が言われたように、そういう専門医がいると、 やはり治療レベルがずいぶん違うとか。いずれそういうことが良くなっていくのであれ ば、その範囲は何も日本集中治療医学会の専門医だけでなくても、麻酔科医とか救急の 専門医に対して、その認定とかというオーダーでも構わないと思います。それは範囲を 少し広げておけば可能であると思うのです。 ○平澤部会長  (a)の具体的に○の所を、少なくとも1人の医師が常時勤務していることとしては どうかとありますが、その後に何か付帯条文を付けるというのは、そういうことですか。 ○前川委員  そうです。5年先ぐらいには、できれば日本集中治療医学会の専門医レベルがいるの がいちばん望ましいと思います。その範囲をいま言ったように、麻酔科医なり救急の医 師なり、その範囲は皆さんにある程度決めていただければいいと思います。いま現実は 無理だということはよく分かっております。 ○平澤部会長  現実が無理だということになりますと、どこかで5年先を見てまた考えるということ になっていますから、現時点でこの表現で、5年経ったらまた考えるということでよろ しいのではないですか。 ○前川委員  それでも構いません。皆さんがそういう意見であれば。 ○飯田委員  いまのことに関してですが、先ほどこれでいくのであれば常時はなかなか厳しいね、 という話をしたと思うのです。施設基準を取れる所は当然いるわけですが、そうではな い所が多いので、そういう所はどうするのかという話からきているわけです。  もう1つは、先ほど施設基準と指針はどう違うかという話がありましたが、指針は規 制、法的効力は全くないですけれども、ただ、これが国が作った指針として出れば社会 的規制になります。そうすると、これを守らなかった場合、何か起こったらどうするか という話になりますので、あまりそれをきつくされると守れない。守れるところはごく わずかなのです。600何病院しかないわけです。しかも5,000ベッドです。それ以外は どうするのですかといったときに、そうではないところでそのような患者を診たのです かといったときに、社会的規制が逆にそれが法的規制になります。私はこれが施設基準 になってはいけないとは言いませんが、そうするのであれば、きちんとした議論をして、 ガイドラインを実現可能なガイドライン。だから層別化してほしいというのは、そうい うところをクリアできる施設、病院、それに準じたもの、表現は適当でないかもしれま せんが、もっと劣るところもあると思いますので、実情にあったものをつくっていただ かないと、指針1本で出てしまうと、これは必ず社会的規制になります。何かあったと きに責任を取れないです。 ○前川委員  その辺はわかっております。ガイドラインというのは、マスコミの方もたくさんいら っしゃるので、しっかりと認識していただきたいのは、法的規制はないのですが、医療 の現場をより良くするためにつくるというのがガイドラインです。 ○石井委員  結局、ICUそのものではないと言っているのですが、この文書をそのまま読むと、 ICUの基準を言っていることですよね。 ○前川委員  これはそうですね、かなりそれに近いレベルを言っていますね。 ○石井委員  そこの区分けをきちんとしないと、文書だけ理想主義的になると、いま飯田委員がお っしゃったようなことが実際に起きているのです。ご承知だと思いますが、いま日本医 師会内で医師法第21条問題をどうとらえるかというのは、専門医でさえ即刻逮捕され る時代になって、現場が非常に萎縮診療になっています。結果的に患者をお断りしたり するということは、国民に対するサービスが低下するということです。これは非常に大 きな問題だというのが、我々の認識なのです。  ですから、あまりにハードルを上げて、全体のボトムアップのためになるのか、なら ないのかという点です。 ○前川委員  もちろんそれはわかっているので。 ○石井委員  いや、ちょっと待ってください。どちらかにしていただきたいのです。全体のボトム アップのための文言をつくるのか、それともトップのレベルを上げるための文言を考え るかによって、全く文言は変わってくるのです。 ○前川委員  安全ガイドラインは決してトップを上げるものではないです。 ○石井委員  であるならば、これは緩くしてください。 ○前川委員  ボトムアップで、ボトムの安全ガイドラインですから。 ○石井委員  専門家の方にその点をお願いしないと、そこのところは非常に大きな弊害を生みます。 ○平澤部会長  あと先生、もう1つ先ほどの繰り返しになりますが、これはとりあえずICUのこと を念頭に置いた文言ですから、そのことをご理解いただいた上で。 ○石井委員  これはICUだけの文言なのでしょうか。 ○平澤部会長  これはですね、少なくともいま議論しているのはそうです。それを踏まえて、ハイケ アユニットのものはモディファイすることに先ほどなったということです。 ○石井委員  それでは、その中身というのもよく検討して下さい。 ○前川委員  それはもう私もよく分かっていますし、医療裁判もいろいろやった経験もございます。 いまから法科大学ができてくれば、医療というのは本当にもっと厳しい時代に入るとい うか、国民にとっていい時代にはならないと根本的に思っておりますので、いま石井委 員がおっしゃったとおりなのです。その辺はよく分かっているつもりです。 ○平澤部会長  そういうことも頭に置いて、先に進みたいと思います。これは今日決まるわけではな いですし、どうかという問い掛けですから、それを見ていただいて、ご意見を言ってい ただきたいと思います。患者2人に1人以上の割合で、常時看護師が勤務していること としてはどうか。医療機器の管理・保守点検の責任者。 ○道又委員  看護師の○の2つ目のところですが、「看護師はICU専従とし、交代勤務体制を組 めるようにすることとしてはどうか」ということですが、これはどういうことなのでしょ うか。 ○事務局  2交代、3交代ということで、当然ということであれば当然なのかもしれませんが。 ○道又委員  そうですよね。これはICUであろうが、どこであろうが、交代勤務体制というのが あるので、これをここに組み込むというのは必要がないのかと思うのです。「看護師は 専従とする」というのがいいかもしれません。 ○平澤部会長  (c)、このマニュアルというのは、また別立てでこの作業部会でつくるということ ですか。 ○事務局  そういう意味で書いているわけではなくて、医療機関ごとに整備をするという意味合 いで書いています。場所が不適当なのかもしれませんが、人のところではなくて、物の ところに書いたほうが適当なのかもしれません。 ○加納委員  ご存じのように、明確に臨床工学技士が生命維持管理装置を中心とした保守点検をや る人と法的に定められていますから、他にそういう医療職種はないので、「等」ではな くて、臨床工学技士と特定していいと思います。これは1つの案ということで出ている のかと思います。それ以外に医師ということですか。 ○事務局  ええ。医師というのも。あと業者に委託するようなケースもあろうかと思いますので、 そういうことを念頭に置いています。 ○平澤部会長  (d)は先ほど内野委員がおっしゃいましたが、この辺りはどうですか。 ○内野委員  実際、管理というのがどの程度かによると思うのです。常時管理しているのか、実際 に常時いる人は看護師しかいないのだろうと思いますから、例えば薬剤師と看護師とで 協力してとか、そういう形がいちばんリーズナブルなのかと思います。  実際に取ってみないとわからないと思います。実態がわからないと。アンケートをあ る程度取ってからにしていただければと思います。 ○前川委員  先ほど間違えましたけれども、文言のところなのです。そういうものが望ましいとし ておけば、先ほど厳しいとおっしゃられましたが、それは絶対的なものではないので、 こういうところでも、そういうものが望ましいとしておけば、1日のうち何時間という のもいいでしょうし、1週間のうち2、3日というのもあり得ますので、少し文言のと ころを工夫されるといいと思います。 ○内野委員  置くことは重要だと思うのです、責任者を置いて管理をすると。それに対して、運用 に関してどうか、職種を入れるときには少し考えないと。 ○平澤部会長  事務担当者(病棟クラーク)をどう考えるか、ここは最終稿になるわけではありませ んので、システム、情報共有。 ○武澤委員  医薬品のところなのですが、責任者は薬剤師で看護師がやるわけにはいかないですよ ね。 ○前川委員  毎日のモニターとなると。 ○武澤委員  それは別ですよ。だけど最終的な管理者は薬剤師ということを明確にしておいたほう がいいと思います、もちろん看護師といろいろな共同業務があると思いますが。 ○前川委員  運用上の問題として、例えばICUの薬品管理は薬剤師がやると。 ○武澤委員  その辺が文言として薬剤師だけか。 ○前川委員  麻薬の管理なんて、ICUの中では医師が管理者でやっていませんか。 ○武澤委員  そんなところはないと思いますよ。 ○内野委員  管理者というのは病院に1人しかいませんから。現場に関して言えば、医師がしてい る部分はあると思います。 ○道又委員  処方は医師が、管理は病院に1人ですから。 ○前川委員  その辺のところは武澤委員と同じなのですが、現実の運用上の問題です。ICUが1 つのユニットとして考えたときには、薬剤師が常時いるわけではないので、現場で管理 者になるというのは非常に難しいと思います。当たり前のことですが、病院における管 理者は薬剤師だと思っています。 ○平澤部会長  どういう表現にするのか考えてください。システム、運営はどうでしょうか。 ○前川委員  ICUの中に置かれるリスクマネージャーは、薬剤師が入るかどうかは別として、医 師とナースと両方いたほうがいいと思います。少なくとも、濃密に関係のあるところと いう意味では、両方がいないと職域的にも難しいと思います。臨床工学技士が入るかも どうかも含めて、責任者という意味では1人でもいいかもしれませんが。 ○平澤部会長  それを文言に入れたほうがいいということですか。 ○前川委員  まさにチーム医療ですから、チームの責任者が集まって、実際のリスクマネージを行 うという形だと思う、責任者は1名だけで運用はそういう形でやるということですかね。 ○飯田委員  リスクマネージャーという言葉をどういう意味で使っているのか、10人も、20人も、 30人もリスクマネージャーがいる病院があるわけです、それはマネージャーなのでしょ うか、単なる担当者ではないですか。マネージャーという言葉、片仮名を使うとわから なくなってしまうのですが。 ○平澤部会長  でも、いま元の国立大学などで、1人いるのはジェネラルリスクマネージャーといっ て、各病棟にいるのはリスクマネージャーと呼んでいます。だから、リスクマネージャ ーは何十人といるのてす。 ○飯田委員  だから、それをどう思いますかと、違和感があるのです。名前を付けるのは結構です が、私はジェネラルリスクマネージャーではなく、セーフティーマネージャーと言いま すが、1人いればいいのではないでしょうか。 ○平澤部会長  病院の規模にもよると思いますが、すでに多くのところ、文科省のものでもジェネラ ルリスクマネージャーを置けと書いてあって、中島委員、その辺についてどうですか。 ○飯田委員  名前の付け方だと思うのです。医療安全推進委員、うちはマネージャーではなくて委 員で、各部署にいます。それをなぜリスクマネージャーと呼ぶのですかというだけの話 です。 ○中島委員  呼び方はそれぞれの施設で定着しているものがあるので、いまさら変えにくい部分は ありますが、ここではICUの患者安全のイニシアチブやリーダーシップを取って考え る人を決めておく必要があるという意味です。だから、安全担当者でも何でもいいと思 うのですが、独特のリスクマネージャーという表現よりは、誰もが理解しやすい言葉に 変えるほうがいいと思います。 ○平澤部会長  具体的にはどういうことですか。 ○中島委員  患者安全の担当者をきちんと定めるとか。 ○平澤部会長  集中治療室に患者安全管理担当者を配置することについては、どう考えるか、そうい うことでいいですか。 ○中島委員  それでいいと思います。私の個人的な見解としては、医者は外せないと思っているの です。前川委員がおっしゃったように、何でもナース任せ、師長さん任せで、師長に言 われると重い腰を上げるというところが、なきにしもあらずですので、それはケースバ イケースですが、最終的にリーダーシップを発揮できるディレクター的な役割というの は、医師が頑張らないと駄目だと思います。医者がこれになったからといって、日常業 務が防害されるということではなくて、日常業務の一環ですので、マストとするのか、 望ましいと柔かく書くのかは検討すべきだと思いますが、医師はキーワードだと思いま す。 ○平澤部会長  わかりました。できるだけ皆さんにわかりやすい名前にしていただいたほうがいいと 思います。 ○石井委員  患者安全という言葉はあまりなじまないと思うのです、医療安全というのが一般の用 語になっていると思いますが、違いますか。 ○中島委員  英語ではペーシェントセーフティーなのです。 ○石井委員  いや、日本語で。 ○中島委員  そのまま訳すと患者安全です。 ○石井委員  そうですか。 ○中島委員  患者から見ると患者安全ですんなり入る言葉で、医療をしている人たちにとっては、 患者安全も含めてトータルで医療安全にしたいということで、医療安全ですので、どち らでもいいのではないかと思います。 ○事務局  今回の法改正で、「医療の安全を確保する」というような言い方をしています。そこ には患者安全と、広く言えば医療従事者の安全ということも入ってくるのかと思います が、そこはまだ完全に概念が整理されているわけではありません。 ○石井委員  私はペーシェントセーフティーよりは医療の安全がいいと思っています。室長がおっ しゃったように医療従事者の安全というのも非常に大事ですから、両方必要だと思いま す。名前というのはきちんと実態を表したほうがいいと思います。 ○平澤部会長  そういうスタンスでお願いいたします。あと(c)の、ヒヤリ・ハット。ハットは 「ト」を平仮名で書いていませんでしたか。 ○事務局  これでいいと思います。 ○内野委員  集中治療室の安全管理責任者と、ここのリスクマネージャーというのは別に置くとい うことですか。 ○事務局  趣旨としてはそういう趣旨で書いてあります。同じで、1人でいいというご議論であ ればそうでしょうし、集中治療室全体の安全の責任者というものと、実務的なことをや るリスクマネージャーというものを、別々にお1人ずついらっしゃったほうがいいので はないかということで、こう書いているわけですが、それは別々ではなくて1人で十分 なのだということであれば、それはそれでよろしいかと思います。 ○内野委員  1人でいいと思います。 ○飯田委員  用語の問題なのですが、リスクマネージャーというと、皆さん医療の安全のことを考 えると思うのですが、そうではないのです。リスクマネージャーというのは組織防衛の 意味がかなり入ってきますから、安全であればリスクマネージャーという言葉は使わな いほうがいいと思います。セーフティーマネージャーにすべきだと思っています。安全 管理なのです。リスクマネージメントも大事なので、それは保険とか、訴訟対策とかは 必要ですから、そういうリスクマネージャーも必要です。セーフティーマネージャーと リスクマネージャーは分けてもらわないと困ります。 ○平澤部会長  リスクマネージャーという言葉は使わないようにしましょうという皆さんの意見だっ たので、この言葉はなくなりました。  感染制御、これはある程度出来上がっていますから、他のを使うということで。教育 はどうでしょうか。「物的環境」以下のところは、いままで具体的なことは議論してき ませんでしたので、ここは一つひとつ初めてやってもいろいろとご意見が出るでしょう から、持って帰っていただいて、ここから先は読んでいただいて、ご意見をいただけれ ばと思います。 ○加納委員  文言や言葉で直したほうがいいというのがありますが、それは別としまして、大事な 点というのは(イ)のところの○の2番目に、「呼吸循環等監視機器」とあり、これが 病院の中にあればいいという形になっていますが、これは(ア)ではないでしょうか。 これは集中治療に必須だと思いますので、これは上に上げたほうがいいと思うので、も しそれで異論がなければ、そうさせていただきたいと思います。 ○平澤部会長  呼吸循環等監視器機、心電図とかモニターというのは、ICUの中になくてはいけな いものではないかということ、確かにそうですね、ありがとうございます。皆さんに見 ていただくにしても、ここだけは今日この場で言っておいたほうがいいということはあ りますか。 ○中島委員  このカテゴリーで分けると、例えば気管チューブとか、ルート類の抜去的なものを予 防するということを入れるとすると、それはどこに入るのか私はよくわからないと思い まして。人、システム、物、その他と見るのですね。 ○平澤部会長  それはここの中で入るとすれば、ヒヤリ・ハットのところではないのですか。医療事 故等の情報収集・分析と言いますか、違いますかね。この医療事故等の情報収集・分析 を他と並べるというのも難しいことではあるのですが、それもお考えいただけますか。 ○中島委員  観察、モニター、何でしょうか。カテゴリーとしてはインシデントレポートの中に、 ルート、チューブ類とかありますが、そのようにすると医療機器はまた別のカテゴリー、 どこに入るか。 ○武澤委員  それはプロセスの安全性を見るのですが、ここに書いてあるのはほとんどストラクチ ャーです。もう1つ別に項目を。 ○平澤部会長  別立てで立てたほうがいいですかね、小見出しは何になりますか。 ○武澤委員  作業手順書みたいなものですかね、患者管理とか。 ○平澤部会長  5と6の間ですかね、難しいですね。システムがあって、5と6の間ですか、6の後 ですかね。中島委員、それに委員がいままで見ていらしたヒヤリ・ハットの分析の結果 がありますよね。 ○中島委員  はい。 ○平澤部会長  それで、ここに列挙すればいいようなものを後で連絡をいただけますか。 ○中島委員  はい。オーストラリアがたくさんICUのスタディーをやっていますので、また準備 をしたいと思います。 ○武澤委員  そういう意味では、薬のところも、オーダーして患者に実施されるまでにプロセスが あるわけですが、そこの安全性をどう確保するかというのはプロセス管理になってしま いますね。だから、ITを入れるとか、オーダーリングシステムというのはハードでい いと思うのですが、それでも漏れることはたくさんあります。その安全性をどう担保す るかというのが、プロセス管理だと思うので、院内感染もそうだと思うのです。そっち に入ってくると思うので、そういう分け方をしたほうがいいのではないですか。 ○内野委員  患者の流れがいちばん最初にくるのが本来の姿かもしれないですね。 ○平澤部会長  ただ、どういう全体のストラクチャーがあって、どういうものが使われているかがわ かった上でないと、流れはわからないのではないですか。 ○中島委員  武澤先生がおっしゃったように、クリティカルケアのペーパーにも、ordering or excursion of treatmentということで、治療の指示とか実施、もう1つはperformance levelという言葉が使ってありますので、いまおっしゃられたような診療プロセス管理 のような表現でいいのかと思います。 ○平澤部会長  もう1回まとめますと3−(1)のほうは、先ほどのご意見をいただいて、2つのことを 包含したような形にしていただくことにして、最初に決めることとしては、ICUにお ける安全管理指針ということで、今日いろいろとご意見をいただきました。次にそのこ とを議論したいと思います。報告書の3−(1)は大体固まったと思いますので、3−(2)の 内容について次回はやることになると思います。それまでに、今日初めて出てきて、皆 さんと十分にご議論をしていないところについて、ご意見がおありでしょうから、是非 事務局にお知らせいただいて、それをまとめて、主として安全管理指針のほうについて 次回に議論をすれば、だいぶ進むのではないかと思いますが、そういうことでよろしい ですか。何かございますか。 ○事務局  それでは、いまのお話にありましたように、ご意見がある場合はお盆前ぐらいかなと 思いますが、お出しいただけますでしょうか。それを踏まえてこちらで整理をして、先 生方にご相談をしながら、次回に資料を提出したいと思います。  次回の日程については、9月22日(金)の14時から16時ということで決めていま す。会場はまだ決まっていませんが、決まりましたらお知らせいたします。その次の第 6回目については、今後日程調整をさせていただきます。事務局からは以上です。 ○平澤部会長  いろいろご議論が出て、時間をオーバーしてしまいましたが、本日はこれで閉会した いと思います。大変お忙しいところをご出席いただきまして、ありがとうございました。 (紹介先) 厚生労働省医政局総務課医療安全推進室 主査 小川 03−5253−1111(2580)