06/07/20 第61回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第61回 労働政策審議会雇用均等分科会議事録           日時  平成18年7月20日(木)14:00〜16:00           場所  永田町合同庁舎第1共用会議室(永田町合同庁舎1階)           出席委員            労側委員:岡本委員、鴨委員、篠原委員           使側委員:吉川委員、前田委員、松井委員、山崎委員、渡邊委員           公益委員:横溝分科会長、今田委員、奥山委員、林委員 ○横溝分科会長   時間がまいりましたので、ただ今から第61回労働政策審議会雇用均等分科会を開催 いたします。本日のご欠席は佐藤委員、樋口委員、稲垣委員、龍井委員の方々でござい ます。  お手元に資料No.1がお配りしてあると思いますが、この中で委員の交替がございまし たのでご紹介いたします。使用者代表委員の川本裕康委員が辞任されまして、新たに社 団法人日本経済団体連合会労政第二本部長の松井博志委員が任命されておりますので、 ご紹介いたします。松井委員ご挨拶を一言お願いいたします。  ○松井委員   松井でございます。よろしくお願いいたします。 ○横溝分科会長   ありがとうございました。次に本日の議題に移る前に、雇用均等・児童家庭局長から ご挨拶がございます。よろしくお願いいたします。 ○北井雇用均等・児童家庭局長   本日の議事に入ります前に一言ご挨拶を申し上げます。平成16年9月からご審議を いただきまして、昨年末に建議としてお取りまとめをいただきました均等法と労働基準 法の一部を改正する法律についてでございますが、お陰様で同法律につきましては、本 年3月7日に第164回通常国会に提出をいたしました。そして参議院先議で審議が行わ れまして、4月28日に参議院本会議で可決をした後、衆議院に送られまして、6月15 日に衆議院本会議におきまして全会一致で可決・成立をしたところでございます。この 審議経過につきましては後ほど事務局からご説明を申し上げたいと思っておりますけれ ども、各委員の皆様方におかれましては、審議会での長い時間にわたるご審議、それか ら建議の取りまとめ、そして法案の要綱の諮問・答申に至るさまざまな場で、大変なお 時間をかけてご尽力を賜りました。またお忙しい中、国会審議におきましても参考人と してご協力をいただいた委員の先生もおられます。そのようなことで本当にお世話にな りましたことを、改めまして心よりここで御礼を申し上げたいと思います。本当にあり がとうございました。今後は来年4月1日の改正法の施行に向け、指針や省令について ご審議をいただくことになりますが、引き続きよろしくお願いを申し上げる次第でござ います。  また、均等法の審議の過程で、間接差別などの大きな審議がいろいろあったわけでご ざいますが、それに加えてパートタイム労働の問題が大きな論点となったところでござ います。この均等法の関係の委員会の附帯決議におきましても、パートタイム労働者の 均衡処遇に向けて、法制化を進めることといったような附帯決議も付いたわけでござい ます。そのようなことで政府に対策の強化が求められております。この経過等につきま しても詳しい内容につきましては後ほど事務局からご説明を申し上げたいと思いますが、 パートタイム労働の問題につきましては、最近の政府全体の中で、各種会議等におきま して、さまざまな指摘が多くなされております。例えば、去る7月7日に閣議決定をさ れました、いわゆる「骨太の方針」におきましても、「パートタイム労働者の均衡処遇の 推進等の問題に対処するための法的整備」といった内容も盛り込まれているところでご ざいます。これを受けて厚生労働省としても対策の強化に向けた検討をしているところ でございます。  もとよりこの問題は当然のことながら、各方面からの要請に十分に応えていくために も、労使の皆様方からのご意見もしっかりとお聞きをしなければなりません。私どもと いたしましては、そこでこの雇用均等分科会において、秋口からでも本格的なご審議を 開始していただいて、できれば年内を目途にその結果のお取りまとめをお願いできない かというように思っております。そのようなことで各委員の先生方には大変お忙しいと ころ恐縮でございますが、均等法の施行のための省令・指針の審議、そしてパートタイ ム労働の問題と議論が続きますけれども、何とぞ精力的なご審議をお願いをしたいと思 っている次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 ○横溝分科会長   ありがとうございました。早速議事に入りたいと思います。本日の議題は1つ目が「雇 用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一 部を改正する法律」についてです。2つ目が「パートタイム労働対策」についてです。 最初の議題について事務局からご報告をお願いいたします。 ○石井雇用均等政策課長   資料No.2です。資料に基づきまして説明いたします。先程、北井局長のご挨拶にもあ りましたがお陰様で先の通常国会で均等法と労基法の一部改正法案が無事可決・成立し たところです。資料No.2はその経過を取りまとめています。  この分科会でこの議論のスタートをいただきましたのは、この資料には書いていませ んが、平成16年9月でした。その後、中間的取りまとめ、建議を経まして、今年の2 月7日に法律案要綱についてご答申をいただいたわけです。  その後、舞台は国会に移りまして、3月7日にまず国会に提出をされ、参議院先議で 法案審議が進みました。参考人の質疑を含めた後、一部修正を経て4月28日に参議院 本会議で可決。その後、衆議院に移りまして、これも会期末ぎりぎりでございますが、 6月15日に参議院同様、全会一致で本会議で可決・成立を見たところでございます。 参議院でも衆議院でも附帯決議を付されています。この通常国会、会期延長はありませ んでしたが、会期末が6月18日でした。その18日が日曜日でしたので、まさにぎりぎ りのところで成立を見たというところでございます。法律の交付は6月21日でござい まして、法律の附則の第1条に規定していますが、施行は平成19年4月1日となって おります。  資料に別紙1を付けています、これは参議院で修正された事項を示していますが、見 直し期間について修正が入ったということです。  次頁は新旧対照になっています。下の段が修正前、政府が提出した案でして、上の欄 が修正後です。変更部分がアンダーラインというか、右にラインが引かれています。政 府原案では、いわゆる見直し条項が労基法第64条の2、即ちこれは坑内労働の規定で すが、これを対象としていたものですが、修正により見直しの対象に均等法本体も加わ るということになっています。  資料別紙2・別紙3です。衆参両院で付された附帯決議です。法案審議全体を通しま して、今回質問で大変多かったのが間接差別でして、それも省令で規定する方式ではな くて、例示とする方式とすべきではないかということをめぐっての議論が大変多かった わけです。そして、これに次いて多かったのが仕事と生活の調和を均等法の目的なり理 念に規定すべきというものであったと認識しております。このようなことも背景にあっ たからだと思いますが、衆参いずれも、最初に間接差別のことが取り上げられています。 参議院先議でしたのでまず参議院の附帯決議から簡単に説明いたします。  1.これは間接差別についてです。間接差別の理解促進のため、周知徹底と定着に向け た指導援助ということや、あるいは省令を定める際に国会の審議内容、審議会の検討結 果を尊重するとか、省令を定めた後も機動的に見直しをしていくことなどが指摘をされ ています。  2.ここでは雇用管理区分・指針などについて取り上げられていますが、昨年12月に 取りまとめいただきました建議に示された内容と同じ内容と受け止めています。  3.ポジティブアクションについて、事業主に対する援助についてです。  4.法の運用を適切にという趣旨からの指摘です。  さらに5.においては、紛争調整委員会や雇用均等室の体制整備についても指摘をされ ております。  6.ここで仕事と生活の調和の実現に向けた環境整備の問題が取り上げられていまし て、長時間労働の抑制や、あるいは労働時間法制の見直しに際して、「男女労働者双方の 仕事と生活の調和の実現に留意すること」とされています。  7.パートタイム労働者などについての、総合的な対策の強化の問題が取り上げられて います。  別紙3、これが衆議院で付された附帯決議です。参議院と重複するところが多いので、 主に違っている点のみ簡単に説明をさせていただきます。  まず、1、2これはいずれも間接差別についてです。基本的に1は参議院のとほぼ重 なっていますが、2では参議院ではない内容が若干付加されています。2の1行目から 2行目にかかる所ですが、間接差別は省令で規定するもの以外にも存在するものであり、 司法判断で省令以外でも違法と判断される可能性があることを広く周知するという点。 そして機動的見直しの中身として、法律の見直しが5年となっているけれども、それを 待たずに省令を機動的に見直すというところが付け加わっています。  3と4、これは参議院での附帯決議にはない内容のものです。3は雇用均等室での相 談対応について、従前どおり対応するということが示されています。4、これは雇用形 態の多様化の下で、均等法がいわゆる正社員以外にも適用されているということを含め、 法律の的確な適用、運用を図ることとされております。  5から9、これは参議院で付されています附帯決議と同じ内容です。10がパートタイ ム労働者の問題について取り上げられています、これは参議院で付されたものよりも強 いトーンになっています。総合的な対策強化というのが参議院で付された内容でしたが、 後段のほうでは、「正社員との均衡処遇に関する法制化を進めること」となっています。  11、これも参議院での附帯決議にはない内容です。男女間の賃金格差是正に向け。施 策を積極的に推進することとされています。  附帯決議については以上ですが、衆議院の審議の中で民主党の先生からコース別雇用 管理以外にも、男女均等の趣旨に反する不合理な雇用管理制度が存在するので、これに ついてもコース別雇用管理と同様のガイドラインを作るべきといったような質問がござ いまして、政府側からは「ご意見として受け止め、審議会に伝えてまいりたい」という 答弁をいたしておりますことをご報告をいたします。説明としましては以上でございま す。 ○横溝分科会長   ただ今のご報告につきまして、ご質問等がございましたらご発言をお願いしたいと思 います。いかがですか。 ○岡本委員   附帯決議の中身の質問なのですが、衆・参両方とも間接差別に関連して「男女差別の 実態把握や要因分析のための検討を進めること」ということが書いてありますが、具体 的にどのような形で進めようとされるのか、現時点で、もしあれば聞かせていただきた いということと、この後のスケジュールというのは、これからお話があるのでしょうか。 ○横溝分科会長   いかがですか。 ○石井雇用均等政策課長   間接差別のは省令の定め方、ということにかかるかと思いますが、ご案内のとおり、 この審議会で間接差別は大変長い議論をかけた結果としまして、まず建議あるいは法律 案要綱、こうしたものにもありますように、3つのものについてまず取り上げましょう ということになっていたかと理解いたしています。もちろんこれからご審議いただく場 面はありますが、基本となるのはそこの3つだろうと思っております。その上で今後と もこれは見直しし得る仕組みとして省令で定める仕組みをとっているわけでして、引き 続きさまざまなところでのご指摘、あるいは私ども雇用均等室も持っておりますので、 そこで上がってきた相談事例とか、あるいはさらには判例なども出てくれば、それもこ の場で取り上げるという形で、まさに見直しの必要となる材料を請求していくことをし ていくのだろうなと受け止めています。具体的に何か今ここでこういうことをやってい くという確定的なものを持っているものではありません。 ○横溝分科会長   他にいかがですか。 ○篠原委員   今の部分に関連してなのですが、是非要望ということでお願いを申し上げたいと思い ます。先程も、今、ご説明をいただいたように、参議院や衆議院の中でいろいろなこと がある程度網羅されたというか、附帯決議ということで付けられているわけなのですが、 特にその中で、是非、多くの意見を聞くようなことをお願い申し上げたいと思います。、 今、岡本委員からスケジュールということで質問がありましたが、今日は具体的なスケ ジュールは出てこなかったわけなのですが、是非意見を聞く場を十分にとっていただき たいという要望です。  特にその中で、例えば雇用管理区分とか、不利益変更ということで、昨年までの審議 の中では、具体的に細かいところはいろいろと審議がされなかったように、私は受け止 めています。具体的に細かい、それぞれの各職場の中で、どのように運用していくかと いうことが、混乱が生じないようなことがこれからは必要ではないかなと思いますので、 是非その辺りをこの審議会の中で積極的に論議をしていきたいと思いますので、私たち だけではなくて、いろいろ広く意見を聞くような場を是非設けていただきたいという要 望を申し上げておきます。 ○横溝分科会長   ほかにはいかがですか。 ○松井委員   今のご意見に対する質問なのですが、広く意見を聞くというのは、この審議会の場で 聞くということをおっしゃられているのでしょうか、それとも政策課長から先程ご説明 があったように、雇用均等室における事例をいろいろ集めたものを積み上げていくとい うことなのでしょうか。具体的にお考えがあるならばお聞かせ願いたいのです。 ○篠原委員   例えば前回の中間取りまとめのときに、パブリックコメントという形で広く意見を募 集されたと思うのですが、そういうことが例えば検討の中に入っているのかどうかとい うところです。 ○石井雇用均等政策課長   パブリックコメントをするか否かにつきましては、政府として省令などを策定する際 には、今、原則そういうことは行うことになっていますので、そのルールに則って、パ ブリックコメントはやっていくことになると思います。 ○横溝分科会長   よろしいですか。 ○篠原委員   はい。 ○松井委員   1点質問です。衆議院の附帯決議の4では派遣労働者のことも指摘しているという理 解でよろしいのでしょうか。何か正社員との違いとかそのようなご説明があったような 気がするのですが、どれとどれをあわせて格差解消を進めるようにと言っているのか、 もう少しご説明をお願いしたいのです。 ○石井雇用均等政策課長   ここで言っておりますのは、4番目のほうを特にご覧いただきたいと思いますが、法 の的確な適用・運用を図ることということです。また、均等法は時として正社員だけの 法律ではないかという誤解もありまして、これは均等法審議の中でも「いや、そうでは ないはずだ」ということも言ってきたところです。また派遣元、派遣先、派遣労働者の 関係で、若干その扱いと申しますか、派遣元と派遣先特有に配慮しなければいけないの 問題などもございます。いずれにしましても、均等法の適用についてきちんとやってい くということを、派遣労働者に限らず、パートだとか、そういう方も含めてしっかりや っていくということを、ここで求めているということで受け止めています。 ○松井委員   そうしますと、「派遣元など」というのは、単なる例示だという理解でよろしいのです か。 ○石井雇用均等政策課長   例示です。 ○松井委員   わかりました。 ○鴨委員   この附帯決議の中身には入っていないのですけれども、国会の中での審議の中で、ご 質問のあった時点においては、当然決議はまだ考えていないというような答弁がなされ たと思うのですが、女子差別撤廃委員会への報告については、どのようにしていくとい うことでお考えでしょうか。 ○石井雇用均等政策課長   まさに女子差別撤廃委員会の報告を今、政府として策定をしているところでして、当 然、均等法が国会で成立いたしましたので、その内容については盛り込むということで 調整を図っていきたいと思っています。現在なお、政府部内で調整中でございます。 ○横溝分科会長   それでは議題1につきましてはご意見・ご質問はこれでないようでございますので、 次の議題に入ります。パートタイム労働対策について、事務局から資料について説明を お願いいたします。 ○高崎短時間・在宅労働課長   私からはお手元にお配りしております資料No.3と資料No.4を使いまして、パートタイ ム労働対策、あるいはパートタイム労働の現状についての報告といいますか、説明をさ せていただきます。まず、資料No.3です。これは表紙にありますとおり、局長の冒頭の 挨拶でも申し上げましたが、政府内外、さまざまな所でいろいろな議論の結果としての、 さまざまなご意見をいただいていますので、その状況につきまして、私どもで整理をさ せていただいたものです。  目次を見ておわかりのとおり、提言主体につきましては、立法府、行政府、労使団体、 自治体ということで、日本社会を構成いたします各方面より広いご提言をいただいてい るところです。具体的な中身は2頁以下です。そのうち二重下線を引いている部分があ りますが、この二重下線の考え方については、私が担当していますパートの関係の提言 のうち、特に当雇用均等分科会で関連の深い部分について、私どもの判断で引かせてい ただいているものですので、そのようにご了解いただければと思います。中身を説明い たします。  1頁は国会の附帯決議です。これは先ほど石井よりご報告した内容ですので省略をさ せていただきます。  2頁目です。2「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」いわゆる「骨 太2006」と言われるものです。まさにそこにありますとおり、7月7日付で閣議決 定されたものでして、いわば経済財政運営と構造改革に関します政府の今後の方針を定 めたというものでして、厚生労働省も政府の一員ですので、その方針にしたがって対応 していくことになっているものです。  その中ですが、「安全・安心の確保と柔軟で多様な社会の実現」のための方策として、 「再チャレンジ支援」の中の、「人生の複線化による柔軟で多様な社会の仕組みの構築」 の中としまして、そこにある下線の部分で申し上げれば、「均衡処遇の推進等の問題に対 処するための法的整備等や均衡ある能力開発等の取組みを進め、正規・非正規労働者間 の均衡処遇を目指す。」とされたところです。  3頁、財政・経済一体改革会議の中で、取りまとめられました「経済成長戦略大綱」 です。この「経済成長戦略大綱」と言うのは端的に言えば、今後、日本の経済というも のを持続的に成長させていくためには、どういう取組みが必要かということを、取りま とめたもので、中身はいろいろなパーツで構成されているわけですが、「ヒト」「モノ」 「カネ」「ワザ」「チエ」の5分野に関して、いろいろ検討がなされた中の1つの大きな 柱として、「人財」の問題が議論されていまして、「『人財立国』の実現」という中で、「一 人ひとりが能力を最大限発揮できる社会の構築」ということで、「全員参加型社会の実現」 という中に、「非正規労働者の再挑戦支援と就業形態間の行き来の円滑化や均衡処遇の促 進」ということが書かれています。  この大綱には工程表が付いていまして、短期、中期、長期とありますが、審議会での ご議論ということで言えば、中期のところで3つほど掲げています。「正社員との均衡の とれた訓練や正規雇用のための訓練支援など非正期労働者の再挑戦を支援する。」、「正社 員転換制度、短時間正社員制度など就業形態間の行き来を確保する。」、「パートタイム労 働者の均衡処遇のための法的整備も含めた取組を強化する。」とされたところです。  4頁、経済財政諮問会議で取りまとめられた「グローバル戦略」です。これも先ほど の経済成長戦略と同様、日本の国際競争力を維持していくための方策という観点で取り まとめられたものですが、その中に「人材の国際競争力の強化」ということで、「人材の 質の向上」を目指す中に、「就業形態間での行き来の可能性や均衡処遇の促進」をしてい くことによって、「人口減少下で、経済社会の活力維持を図るため、労働生産性及び就業 率の向上を図る。」とされたところです。  5頁、再チャレンジ推進会議です。いわば格差問題に対応するということでもあろう かと思いますが、「再チャレンジ可能な仕組みの構築(中間取りまとめ)」です。その中 で「人生の複線化」ということが施策として取り上げられていまして、その「人生の複 線化」の中で「働き方の複線化(多様な働き方を可能に)」ということの中に正規・非正 規労働者間の均衡処遇の問題を取り上げられています。「パートタイム労働者の正規労働 者との均衡ある処遇」や、「非正規労働を巡る問題に対処するための法的な整備等の取り 組みを進める」、「企業に対しても、非正規労働者の正規労働者への転換制度や短時間正 社員制度の導入、非正規労働者と正規労働者との均衡ある処遇や能力開発等に向けた働 き方を進め、雇用形態の多様化が進む中で、公正かつ多様な働き方を実現できる労働環 境を整備する。」、「企業内での非正規労働者を正規労働者へ登用していく仕組み等の整備 に併せ、そのために必要な実践的能力開発を行うことによりキャリアアップを図る仕組 みを構ずる企業に対して支援を行う。」とされています。  6頁、少子化の観点です。少子化社会対策会議の「新しい少子化対策について」とい う中で、少子化という観点からの対策が取りまとめられたわけですが、その中、「新たな 少子化対策の推進」の中の「働き方の改革」の中で、そこにありますとおりパートタイ ムということが取りまとめられています。個別の施策集のほうでは、「正規労働者とパー トタイム労働者との間の均衡処遇を確保するための法的な整備を含め施策の強化を図 る」とされています。  7頁、内閣府のほうの少子化社会対策推進専門委員会のご議論です。そこにあります ようなことで、「パートタイム労働者と正規労働者との処遇の均衡を図るための取組を強 化するとともに、正社員への転換制度や能力開発機会の提供、短時間正社員の導入に取 り組む事業主への支援策、あるいは非正規労働者本人に対する就労支援等が必要であ る。」とされています。  8頁、社会保障という観点です。社会保障の在り方に関する懇談会の中で、今後の社 会保障の在り方について取りまとめた中で、当然、社会保障の今後ということになれば 担い手をどうしていくのかということになりますが、そのような観点で「正社員と非正 規雇用の間の処遇上の均衡を図っていく」ということが述べられています。  9頁、男女共同参画の観点です。専門調査会から「『仕事と生活の調和を可能とする働 き方の見直し』について」という中で、「正規社員と非正規社員との間の均衡処遇に取り 組む事業主に対して国が支援を行う必要がある。」ということだとか、「短時間労働者の 均衡処遇等雇用管理の改善」、「公正な処遇が図られた多様な働き方の導入、短時間正社 員の導入」と記載がされています。  10頁、白書です。「男女共同参画白書」が、「パート・アルバイトから正社員への転換 等柔軟な人事管理、パートタイム労働者と正社員との均衡処遇などの取組が進むよう支 援を行う必要がある。」以上が政府の関係です。  11頁、労使団体の関係です。まず、日本労働組合総連合会より「重点施策」として取 りまとめられたものの中に、「『安心・公正」社会の実現』の中で、ワーク・ライフ・バ ランスの実現に向けたワークルールの確立」ということで、「パート労働者等の均等待遇 の実現」ということで、「パート労働者等の均等待遇を規定するとともに、短時間労働や 有期契約というだけで合理的理由のない差別的取扱いの禁止などを盛り込んだ『パー ト・有期契約労働法」を制定する。』というように提言されています。  12頁、日本経済団体連合会で取りまとめられました少子化対策の関係です。「働き方 の再考−多様な働き方の整備」の中で、多くのご提言をいただいています。下線を引い ている部分ですが、「多様な働き方の選択肢の提供に際しては、選択肢それぞれに応じた 仕事の内容と処遇を整理するとともに、その標準的な処遇は働き方の選択肢によって異 なることや、選択肢によって平均的なキャリア形成やその速度も異なることを明確に示 すなどの透明性を高めることにより、従業員が納得して働き方を選択できるようにする ことが重要である。」、「この場合、短時間勤務について、フルタイム勤務との時間比例で はなく、職務、職責、役割、期待等に応じた処遇としていくことも考えられる。働き方 の選択肢によっては、成果・業績を中心に考えることも重要となろう。」というふうに、 ご提言いただいております。  14頁、日本・東京商工会議所からいただきました「少子化問題に関する提言」の中で、 「パートタイマーの処遇改善、短時間正社員制度の導入などを進める必要がある。」、あ るいは「パートタイム就業など多様で弾力的な就業形態や働き方を促進すべきである。」 とされています。  15頁、全国知事会からいただきました、「次世代育成対策に関する提言」の中にも、 「働き方に見合った均衡処遇の推進」が求められています。以上です。  それぞれの提言は背景となります事情が労働力不足の問題であったり、あるいは格差 の問題であったり、あるいは少子化対策の問題でありましたり、当然力点の置き方等も 違いがある部分もあるわけですが、社会各層よりパートの処遇の問題、あるいは処遇改 善の問題については、広くご提言をいただいているということで、その辺りについては 共通の問題意識をしていただけているのかなというふうにも考えているところです。以 上が提言の関係です。  続きましてパートタイム労働の現状、資料No.4を説明させていただきます。このよう にさまざまなご提言をいただいているわけですが、翻りましてパートタイム労働をめぐ る現状、あるいはパートタイム労働対策の状況についてどうなっているのか。もちろん 全てを説明するわけにはまいらないわけですが、私どものほうで、取りあえずのものと してまとめました資料が資料No.4です。引き続きましてこの資料に基づいて簡単に説明 させていただきます。  第I部のパートタイム労働者の現状です。1頁、まずパートタイム労働者の数・割合 の推移です。これは労働力調査に基づくデータです、定義としましては週間就業時間が 35時間未満の雇用者で、農林業ではない方をパート労働者として集計しているものです。 この数は見てのとおり増加してきまして、直近、平成17年で見ますと1,266万人、う ち女性が882万人ということで、雇用者に占める割合としては、全体の24%、4分の 1。女性だけ見ますと40.6%という状況になっているものです。  2頁、正社員と非社員数の推移の状況です。注のところを見ていただきますと、これ は勤め先での呼称によって分類されたもののデータです。男女計で見ますと、「正社員」 については経済状況等、あるいは産業構造の変化等もありまして、減少傾向が続いてい まして、17年で3,374万人です。多方、「パート・アルバイト」、「契約・嘱託・その他」、 あるいは「派遣社員」についてはそこにあるとおりでして、総じて増加してきています。 うち女性だけで見たものが右の表です。状況は大体同じですが、平成17年で見ますと、 「正社員」が1,018万人に対して、「パート・アルバイト」、「契約・嘱託・その他」、「派 遣社員」を併せますと1,125万人という状況です。このデータで見ますと、女性の場合 には過半数が正社員ではない方だという状況です。  3頁はパートタイム労働者について年齢別に就業者に占める割合を見たものです。見 ていただくとわかりますが、男性、女性とも、10代の若年者と、65歳以上の高齢者の ところが高いということは、まず両方共通して言えると思います。高齢者の方は嘱託等 ということで当然ですが、若年のところも高くなっているということが、いろいろな所 で問題にされているということは、ご案内のとおりだと思います。  あと、中間の部分については、特徴的なのは、女性の方がいわゆる主婦パートと申し ますか、そういう形が中心であろうと思いますが、割合が高くなっているという状況が 男性と際だった差、という状況です。  4頁、業種別の割合です。業種別に見ますと、「卸売・小売業」に24%、「サービス業 (他に分類されないもの)」とありますが、これは例えば各種事務所であるとか、娯楽関 係、警備関係、理・美容関係等雑多なものが全て入っていますので、中身についてはこ れ以上、分類ができないのですが、そこに16%です。また、「製造業」12.7%、「医療、 福祉」12.2%、「飲食店、宿泊業」で9.7%で、この5つを併せて全体の4分の3になっ ているということです。  5頁、それぞれの業種の中でパートの占める割合が高い業種ということで、いわばパ ート労働者に依存しているといいますか、頼っているのはどこか、ということです。見 てのとおり、「飲食店、宿泊業」が非常に高く48%となっています。全体が、いちばん 右ですが、「全産業」が24%。あと「卸売・小売業」、「医療、福祉」は平均より高くて、 「製造業」は低いということですが、もう少しその中で見ますと、例えば、「うち飲食料 品小売業」、例えばコンビニ等が入ろうかと思いますが、その辺は52.2%と非常に高く なっています。また、「百貨店・総合スーパー等」も50.9%となっています。「製造業」 でも「食料品製造業」については、26.4%ということで、全体の平均よりも高くなって いる状況です。  6頁は年収別で見たものです。データとしては平成17年の21世紀職業財団による パートタイム労働者実態調査の結果です。パートの定義についてはパート法の定義のと おりでありますが、そこにありますとおり100万未満等々となっていますが、この130 万円とありますのは社会保険の関係の、いわゆる3号被保険者の部分の話でして、130 万を超えてしまいますと、要するにご本人として国年・国保に入らなければならないと いう基準で、いわばこの130万という部分で就業調整がある・ないという議論がされて いるということで、その区切りを設けて、データを見たものです。見てのとおりでして、 男女で比較していますが、女性の場合には「130万円未満」のところで半分を超えてい る。男性のほうは一部なりで、「130万円以上」働いている人も多い、女性でも「130万 円以上」働いている方もいらっしゃるということで、多様であるということだろうと思 います。  7頁、賃金格差の推移です。この数字は賃構に基づくものですが、年齢とか、職種と か、そういうものを一切考慮しないで、単純に比較したものです。そういう意味では、 そういうものとして見なければならないということだと思いますが、それで見た場合の 一般労働者とパート労働者の格差の問題、それぞれの一般労働者の男女を100とした場 合の数値ですが、数が小さくなってくるということで、そういう意味でも賃金格差が拡 大しているというものです。直近で見ますと、男女共に指数としては上がってきている ような状況で、改善状況も見られているということです。  8頁、就業調整の有無です。男女で見ていますが、女性のほうが「調整をしている」 方の割合が男性に比べて少し高くなっています。逆に男性のほうは「関係なく働く」と いう方が「調整をしている」という方よりも多くなっている状況です。  9頁、主な生活の収入源です。男性の場合には「主に自分の収入で生活」していると いう方が74.8%と、非常に多くなっています。一方、女性の方で見ますと、「主に配偶 者の収入で生活」している方が72.1%と多いわけですが、「主に自分の収入で生活」さ れているという方も17.7%いらっしゃる状況になっています。  10頁、パート労働者で働いている理由を聞いたものです。男性のほうは「生活を維持 するため」と答えた方が59.5%、「家計の足しにするため」という方が45.6%。女性は 逆に「生活を維持するため」と答えた方は46.0%、「家計の足しにするため」と答えた 方が68.5%です。これは複数回答なので、足して100になるということではありません。 そういう意味では男性の方が維持するという方が多くて、女性の方は家計の足しという 意識の方が相対的には多いということだろうと思います。  11頁、なぜパートとしての働き方を選んだか、という理由です。これも複数回答です。 これについては上の2つです。「自分の都合のよい時間(日)に働きたい」方、「勤務時 間・日数が短いから」ということで、いわばパートの自由度といいますか、フレキシビ リティといいますか、そういうものに着目する方が多いということです。他方、その一 方で「家事・育児の事情で正社員として働けない」という方が女性で非常に高いほか、 「正社員として働ける会社がないから」という項目については、男女双方とも25%強に なっている状況です。  12頁、逆に事業主の側がパート労働者を雇用する理由を聞いたものです。いろいろな 理由が上がっているわけですが、いちばん上、「人件費が割安だから」というところが非 常に高くなっています。なお、これについては平成17年調査と平成13年調査の比較と いう形で載せていますが、下の出典を見ていただきますと、13年の実態調査は厚生労働 省が自ら行った調査であるのに対して、17年の実態調査は、21世紀職業財団で実施し たということです。そういう意味では項目としては合致していますので、こういう形で 整理、比較していますが、主体あるいは調査方法等で違いがありますので、単純にまっ たくもって比較するということはできないということだろうと思いますが、そういう前 提で比較ということで、見ていただければと思っています。以上がパートタイム労働者 をめぐる現状についての取りあえずの説明です。  続きまして第II部、施策の現状です。こちらは現行のパートタイム労働法、あるいは 法律に基づきますパートタイム労働指針の主要な項目について、その達成の状況につい て資料として提示しているものです。  13頁、パート労働法あるいはパート労働指針の周知度を事業主に聞いたものです。「内 容までよく知っている」16%。「内容についてある程度知っている」55.9%です。もち ろんいろいろ評価等があるわけですが、平成5年に制定されたパート労働法ですが、そ れなりに指針も含めて、周知は進んできているのかなという気がいたしております。  14頁、パート労働者の採用時に労働条件を明示している場合の明示の方法という回答 です。これはパートタイム労働法の本則に、書面で交付するように努めるという規定に ついての状況ということだろうと思います。先ほど説明をしました平成13年と17年の 調査を比較する形で挙げていますが、見てのとおりです。赤い部分は平成13年に書面 で交付していると回答をいただいたものが40.2%であったものが、平成17年には 83.7%と倍増していまして、この項目についても、パートタイム労働法の規定によりま して施策がそれなりに進んだ部分ではないかと思っています。労働条件の明示の関係に ついては、労働基準法にも規定がありますので、パートタイム労働法だけということで 評価できないであろうと思いますが、一応こういう分析になっています。  15頁、短時間雇用管理者の選任、これもパートタイム労働法の本則で10人以上を雇 用する事業主に努力をお願いしているところですが、その状況です。これについては「選 任している」と答えられた事業主が平成13年調査では17.4%であったものに対して、 平成17年では44.8%となっています。これについても選任が進んでいるということで あろうと思います。「選任している」が平成17年で44.8%ということになっています。  16頁、次に処遇の関係に入ってまいります。先ほどの提言等でも、多く均衡処遇、均 等処遇、あるいは処遇の改善ということでご意見をいただいていた部分ですが、それに ついての現状です。ご案内のとおり、現行のパートタイム労働法においては均衡処遇の 部分については、パートタイム労働指針において、これは前回のパートタイム労働指針 の改定で入った部分ですが、パートについても非常にさまざまといいますか、就業の実 態がさまざまであるということで、均衡処遇ということを事業主にお願いする際も、す べてのパートタイム労働者を一律にということで議論するのではなくて、もう少しその 実態に応じて、いわば区分けといいますか、パートを見て、その状況に応じて、正社員 との均衡をお願いしていくという構造になっています。  その基準が実は職務の中身でまず見るということと、次に正社員との人材活用の仕組 み・運用の差異で見るという考え方をとっているものですが、その状況についての質問 です。16頁はまず、そういう基準に照らした場合のパートの労働者が当該事業場にいま すかという質問の結果です。  左側は職務が正社員とほとんど同じパートタイム労働者がいるかどうかということに ついて、「いる」と答えた事業主の方が42.5%になっています。「いない」と言われた事 業主の方が56.1%です。右はその「いる」と答えた事業主の方に対して、その場合に正 社員と人材活用の仕組み・運用が実質的に異ならない方がいらっしゃいますかと聞いた 場合の回答が右側です。「いる」と答えたのが35.7%、「いない」と答えたのが32.4%、 無回答が31.9%という状況に、平成17年の実態調査ではなっています。  17頁、ここは「正社員的パート」という言葉が出てきます。下にその定義が書いてあ ります。先の頁で説明しました「職務が正社員とほとんど同じで、かつ、正社員と人材 活用の仕組みや運用が実質的に異ならないパート」を、仮にそういう言い方で言うとし た場合ということで、賃金の設定方法についての正社員との違いの有無です。これは現 行パートタイム労働指針におきまして、正社員的パートの方については、処遇の決定方 法を合わせるなどをした上で、均衡の確保を図ってくださいとお願いをしている部分で す。その部分につきましての回答です。「同じ」にしていますと答えられた事業主が 11.6%、「一部のパートは正社員と異なる」というものが10.7%、「ほとんどのパートは 正社員と異なる」が18.7%「正社員と同じパートはいない」と答えられた方が39.8%と なっています。これは決定方法、手段の部分です。  18頁、では、具体的にそういう「正社員的パート」の人に対する賃金水準ということ で聞いたものです。そういうパートなので、当然、事業主の方も、処遇をされていると いう状況であるわけでして、その状況が18頁です。正社員と比較した場合の賃金水準 は「ほぼ同額」と答えられたのが14.8%、「9割程度」が12.8%、「8割程度」24.4%と いう状況になっています。ただ、その一方で「6割程度以下」と答えられた事業所も8.5% いらっしゃる状況です。  19頁、同じくパートタイム労働指針の中においては、パートタイム労働者から自分の 処遇についての説明を求められた場合には、その具体的な処遇についての説明をしてく ださいということを併せて指針で事業主の方にお願いしていますが、その説明の、いわ ばパートの方の働く際の納得性を高めてもらうためのものだと思いますが、その実施状 況です。見てのとおり、説明していただけているところでして「求められた内容につい て説明をしている」と答えられた事業所が81.9%、「説明していない」というのが0.1% です。他方「説明を求められたことがない」というのが16.7%おります。この辺りはむ しろパート労働者の方のほうに、パート指針というものが不十分なものがあるのかなと いう気もいたしますが、その辺りはこの調査だけではわかりません。  20頁、これも提言で就業形態間の円滑化とか、転換とかいうことで取組みを求められ ている部分ですが、現行におきましては、この部分についてはパートタイム労働指針の ほうで、転換についての制度とか、あるいは情報提供とか、いわばそういう条件整備に 努めてくださいということで、お願いをしている部分です。その中で、転換制度という ことで、制度を導入している部分のデータの13年調査と17年度調査の比較の部分です。 これはこの調査で見たところ、見てのとおりです。13年の46.4%から17年の47.3%と なっていまして、ほとんど進んでいないという状況になっています。  以上、ちょっと駆け足になってしまいましたが、今日お配りしています資料No.3と資 料No.4に基づきます、パートを取り巻く状況についての説明とさせていただきたいと思 います。 ○横溝分科会長   ありがとうございました。ただいま事務局から大部の資料にわたって労働対策に対す る国会、政府、労使団体、自治体等の提言、それからパートタイム労働の現状と施策の 現状についてご説明をいただきましたけれども、全般につきましてご質問、ご意見があ れば、順次ご発言をいただきたいと思います。 ○鴨委員   パートタイム労働の現状のほうで質問をさせていただきたいのですが、まずは1頁目 のパート労働者の所で、35時間未満の雇用者というふうに、ここは限定されているわけ ですね。ところが今、例えば実態的にはフルタイムパートと言われる方たちが現状いま すよね。厚生労働省のほうでも先の研究会の中では、今「呼称パート」と言われる人た ちが増えているというような、データでの報告もあったと思われるのですよ。現場の中 の人は、例えばコース別の中で、フルタイムパートコースを作っている現場もあるわけ です。そうすると、フルタイムパートのところについては、ここの中に出てきていない のですが、その辺の実態把握というのは、どのようになっているのでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長   フルタイムパートの問題というものが議論になり、問題としても取り上げられている ということは十分承知しているところでございますが、今日お配りしています統計とい いますか、政府の承認統計といいまして、統計ベースというものを基にご報告させてい ただいています。35時間以上に、もっと区切りがあれば、いろいろなものが取れるので しょうけれども、現状その労働力調査におきましては、35時間の次が39時間というこ とです。そういう意味では統計も何か政府部内で見直しの議論がやっと始まったように 聞いておりますが、必ずしも現状に対応したものに統計はなっていないということもあ ろうかと思いまして、その辺は統計的には、この35時間未満の雇用者ということで、 従来見てきたものを提供しています。では、フルタイムパートについて統計がないのか ということですが、仮にフルタイムパートと言った場合に、所定労働時間が通常の労働 者と同じということであれば、フルタイムパートという企業の中で労働者をどういう呼 称で呼ぶかについては、企業によってさまざまなわけであると思います。  例えばその方々の多くは、もしかしますと契約社員といいますか、要するにフルタイ ムで働いておられる有期の契約の方ということであるとすれば、2頁で例えば、これは 勤め先での呼称によって分類しているというもので、あくまで判断は回答をされます事 業主の方の判断になるのですが、そこにあります「契約・嘱託・その他」の所にありま す中に、そういうフルで働いておられる契約社員の方々という形では入っておられるだ ろうし、ただ、一方でそういう方がパートと呼ばれているとすれば、呼称のほうの「パ ート・アルバイト」のほうにも入っているかもしれないという状況、以上にはなかなか 統計のほうから取っていくことは現状ではできていないということだろうと思います。 ○鴨委員   ただ、いずれにしてもこれからパートの均衡処遇、私たちは均等待遇と言いますが、 均衡処遇ということでおっしゃっているのであれば、その辺の問題というのは実態把握 をしていかないといけない問題になってきているのではないかと思うのですが、いかが ですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長   お答えいたします。フルタイムパートと呼ぶのか契約社員と呼ぶのかはともかくとし まして、いわゆる契約社員を中心とします有期労働者をめぐる問題につきましては、労 働政策審議会でいえば、労働条件分科会のほうで、そういう観点からの議論が現在行わ れていると承知しています。もちろん、当分科会においても、パートタイム労働者、短 時間労働者ということでの議論ではございますが、その中で時間がほとんど同じ人につ いて、どう考えていくのかということについては議論がされるということは何ら否定す るというものではございませんが、一応、契約社員とか、有期労働者をめぐる処遇の問 題なり、契約の反復等の問題については、労働条件分科会でも議論されているとは承知 しております。 ○鴨委員   しつこくて申し訳ないのですが、有期契約労働者は有期契約労働者で、契約社員とい う呼び方もそれはあります。だけど、いわゆるパートタイマーだと言われていて、処遇 においても契約社員と別で扱われている人たちがいることは現実ですので、その人たち についての実態把握を、なぜなさらないのですかとお聞きしているのです。 ○高崎短時間・在宅労働課長   お答えいたします。私どものほうは、統計調査については先ほど申しましたとおり、 過去やってきたフレームというか、調査の仕方がありますので、それに則ってされてお り、それについての資料をお答えしているということです。あと私どもで言うと、平成 13年にパートタイム労働者総合実態調査を実施しておりますし、私どもが直接ではあり ませんが、平成17年には21世紀職業財団のほうで実態調査をしているということです が、ここにおいてのパートタイム労働者の定義については法律に沿うという形で調査し ております。この資料にも付けておりますが、正社員以外の労働者で、呼称や名称にか かわらず、1週間の所定労働時間が正社員より短い労働者をパートタイム労働者と定義 して、そのパートタイム労働者について調査をしたということです。例えば35時間以 下に切っているとか、短い人に切っているということではありませんで、呼称如何に問 わず、所定労働時間が短い方については、その実態調査で対象として調査をしていると いうことです。 ○岡本委員   今の関連なのですが、たしか前回も相当、パート労働の短時間の方と、今言っている フルタイムの方の議論をここでされていて、その都度、労働条件分科会での議論になっ てしまいますよということで、そちらのほうはそちらのほうでその議論もきちんと行わ れてこなかったという事実があると思うのです。たぶん今回パート労働の議論をするに 当たって、どこがやるかということはあるかもしれないのですが、今の形のパートと言 われていながらフルタイムの方たちの問題が、結局置いてきぼりを食ってしまうような ことになりはしないかという心配があるからこそ、質問を含めてこういうことを申し上 げているわけで、そこのところをどういうところでやっていくのか。この間、労政審の 本審の中でも、その議論が少し二極化の議論の中であったかと思うのですが、是非そこ のところは実質的な議論ができるように、または分科会を超えて有機的に何か対策をす ることができるのか、検討を含めてしていただきたいと思います。  それと質問ですが、事業主の方へのアンケートの部分で、ちょっと感想的なことにも なるかもしれないのですが、例えば16頁の所で、いわゆる職務が正社員と同じ方がい るかどうかの「いる」が42.5%です。その中の回答として、人材活用の仕組みについて アンケートをとっているわけですが、例えばそこで無回答が31.9%にも上っているわけ です。それ以降の所も、ほかに比べて、いわゆる処遇に関連している所の無回答が非常 に多いです。たぶんこれは同じ事業主の方へのアンケートをした上で、こういう結果に なっていると思いますので、ほかの所では無回答が非常に少ない中で、処遇に関連した ところが多いと。何でこういう形になるのだろうかと。うがって言えば、つまり、いな いということのほうが多いけれども書ききれないと、私たちとすれば思ってしまいかね ないような数字になっており、このあとこれを基に議論していくとなると、少し精度が 欠けるのかなという気がいたしております。これから先、議論するに当たっては、もう 少し違うようなアンケート結果もあるのかどうかわかりませんが、統計結果も含めて出 していただいて、議論をさせていただきたいと思います。  これは意見ということになるかと思うのですが、先ほどご説明がありましたように、 各界で今回パート労働の方たちの課題というものを、非常に大きな課題として、国の施 策としても大きな課題として取り上げていらっしゃるわけです。前回の議論の中では、 そのような議論もしながらも指針の改正にとどまった、という経緯があるかと思います。 もちろん、議論の結果でどういう形になるかということはあるかもしれませんが、私た ちとしてはこの問題は先ほど説明がありましたように、社会保障の問題や少子化の問題 など、さまざまな課題も大きく含みながらの議論になるかと思うのです。労働側として は、パート労働法の改正という視点で議論をしてほしいし、私たちとしてはしていきた いということを、冒頭ということなので申し上げておきたいと思います。 ○今田委員   これからどういう議論がなされていくかということにかかわってくるのですが、前回 の指針をつくるときに侃々諤々の議論があって、今日データで示していただいたような ルールを、一応、指針として示したわけですね。それが実際、現場でどういう形で使わ れているのか、どういう効果があるのか、なかったのか。それについて、きちんとした 検証というのが、今回のこの議論にとっての基礎的な作業かと思いますので、ここにあ る21世紀財団のデータやその他、十分事務局のほうはいろいろ収集・調査をおやりに なっていらっしゃる、進めておられると思いますが、そのデータに基づいた分析結果を 私たちに示していただきたい。そうすると、少しこれからどういうルールなり仕組みを 考えたらいいか、そういうものの参考になるだろうと思いますので、その点よろしくお 願いしますということが1つです。  データについて、16頁にあるように、今言っているルールに関してどのように使われ ているのかというのが気になってこのデータを見ていると、確かにいろいろすごく気に なるわけです。特に16頁の所で、人材活用の仕組みが異ならないものがいる企業が3 分の1ぐらいあるのです。そうすると、我々が作ったあれから言えば、ルールが一緒な のだから、当然このルールに従えば同じような決定方法に、というのが私たちが考えた やり方なのですが、3分の1いるらしいな。先ほどのご指摘みたいに無回答が多いので、 何とも言えないのです。ここはきちんと検討しなければいけないのです。でも、同じと いうのは10%ぐらいとなるわけですよね。さらに、同じだというように答えているのに、 今度18頁で見たら、もっと下がったわけですよね。だから、同じ処遇でルールが同じ でも下がり、さらに下がって、実際には同じというのは14%、9割というのが12%、 2つで4分の1ぐらいと。  そういう現実を我々が見たときに、このような指針で示したルールが本当にほとんど 使われていないというか、それはなぜなのか。企業側に使う気がなかったのか、使いに くいのか、いろいろな事情がある。そのように思うものですから、やはり賛否両論あっ て、侃々諤々の議論もあった指針でしたが、一応施行され、指導も受けられて、企業か らもかなり努力をされたということもあるでしょうから、その結果として現状ルールが どうだったのかということについて、このデータを見た限りではあまり効果がなかった ように思っていらしたでしょうけれども、そのことについてきちんとここで示してもら って、みんなで議論していくというのは是非やっていただきたいと思います。 ○山崎委員   関連してですが、13頁の「パート労働法指針の周知度」、まさにこれが大切なことで、 いろいろな基本になる調査ではないかと思うのです。こういう中で、例えば大企業、中 小企業、いろいろ違いがあると思うのですが、それの規模別の統計、あるいは調査対象 数がどれぐらいか、あるいは何も知らない場合には、具体的な理由、例えば周知の期間 がないかどうかなど、そのような細かい統計資料はあるのでしょうか。もしあれば、何 か示していただければと思うのです。 ○高崎短時間・在宅労働課長   この調査について若干説明させていただきますと、平成17年の調査では事業所調査 について、全産業、全国で、常時労働者を5名以上雇用する事業主、1万3,000事業所 に対する通信調査という形で実施したものです。回答率が21.7%、有効回答数2,821社 という状況になっています。規模についてもあります。ただ、要するに統計調査のよう な全数でやったり、あるいは訪問調査でやったということではありませんので、一定の 制約はあるようですが、規模別の状況等もまた作成して、報告したいと思っております。 ○渡邊委員   3頁に「年齢別就業者に占めるパート労働者の割合」という統計がありますが、これ は処遇の水準などいろいろなことを分析するのに、年齢別というのは確かに非常に大き な要因になるのではないかと思うのです。特にどういう業種で年齢がどういう構成にな っているかは必要ではないかと思うのです。そうすると、やはり処遇の問題や実態など を見るのに、非常に役に立つのではないかと。ただ、単なる年齢だけでこういう構成だ というのではなくて、それぞれの業種、例えば飲食業などが多いのは年齢がいくつぐら いだとか、男だとか女だとか、そこまでやると、これからパートの処遇などのことにつ いていろいろ議論するのに、すごく役に立つのではないかと。単なる年齢別というデー タだけではあまり役に立たない。  さらに言うと、例えばパートと称されているけれども、最近はいろんな環境とかボラ ンティアとか、ここでも65歳以上が男性も女性も多いですよね。処遇よりもむしろボ ランティア的な要素が非常に高い人は、処遇、待遇などよりも、そういうことに参加す る意義のほうが高いというデータも出てくると思う。産業別、業種別というデータがも しあると、そういう意味で、そういう統計を入れたらいいのではないかという提案です。 ○高崎短時間・在宅労働課長   可能だと思います。用意させていただきたいと思います。 ○鴨委員   20頁の転換制度なのですが、いつも転換制度がある、ないという資料はお見かけする のですが、例えば実際に「ある」と答えている47.3%が、どのように実態的に活用され ているのか。それから、例えば転換制度があるところについては、転換する際の条件が 何かあるのか、ないのか。もし条件があるとするならば、どのような条件があるのか。 そういうことを具体的に出していただきたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長   この実態調査上はそこまで聞いておりませんので、データに即した形のものとしては お出しできませんが、私どもの雇用均等室を通じて、接触の中で得たようなものを事例 として提供していくことは、たぶん可能だろうと思いますので、それは準備をさせてい ただきたいと思います。 ○鴨委員   18頁ですが、「正社員的パートがいる場合のパートの賃金水準」となっているのです が、これは時給を換算しての対象としているのか、それとも年収での換算なのか。例え ば時給だけだとするならば、正社員的パートについて、一時金等はどのようになってい るのかというところのデータは、いかがですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長   お答えします。この項目については、まさに賃金水準についてという言い方で聞いて おり、例えば基本給などの限定は加えておりませんので、「賃金水準」という文字で事業 主の方がご判断して、お答えしていただいたということですので、それ以上の分析はな いのです。推測しますと、基本給といいますか、その部分で比較した事業主の方が多い のではないかと思いますが、先ほど言ったように、そこは推測の域を出ません。 ○奥山委員   ちょっと話が超えてしまいましたが、私の意見というよりも、最初の鴨委員のお話で お尋ねしたかったのです。こういうパート労働の処遇の問題を話すとき、私たちも従来、 理屈の上から擬似パートとかみなしパートと呼んできて、ほとんど正社員と同じような 働き方をしているという人たちがいることは認識をして、それなりにそれについて正社 員との処遇是正というものを議論してきたわけです。それも増えてきていることは間違 いないだろうと思っているわけです。先ほどからご説明いただいているパートについて の実態の調査は、ある意味ではあくまでもパート労働法などにおける法律的な定義の枠 の中で出てくるパートというものを一応中心に置いて、そこで調べた調査が出てきてい るのでしょうから、ちょっと先ほどの質問のところでは違う。  ただ、お尋ねしたかったのは、フルタイムパートというコースを取っていらっしゃる 事業所、職場が随分増えてきたというお話があったのですが、それについて私はそうい う呼び方とコースがあることをあまり認識していなかったので、勉強のために教えてい ただきたいのです。そういうコースを仮に取っている事業所があったとしても、その事 業所の中で位置づけがかなり違うのだろうとは思っているので、ごく一般的で結構なの ですが、フルタイムパートというコースを、いわば男女別コース制みたいな形で取って いらっしゃるところで、そのコースの区分けをどういう中身でやっているのが多いのか。 例えば理屈から言えば、フルタイムとパートというのは、基本的な時間の違いというこ とが出ますよね。それが1つ区分けがありますね。  もう1つは、時間は一緒なのですが、こういう調査でも出てくるように、仕事の中身、 仕事の権限などが少し違うのだということを基準にして分けていらっしゃるのか、ある いはそういうのは一緒だけれども、要するに単にコストの削減のために、雇用の形態が 違うということだけで分けているコースなのか。実態としては、どういうところを基準 にして、こういうフルタイムパートというコースが作られているのが多いのですか。 ○鴨委員   私のほうで受けている事例の中で言いますと、銀行などが今、フルタイムパートコー スというのを作っているところが出てきており、フルタイムパートコースというのは、 正社員が8時間であれば、労働時間が15分しか違わないのです。 ○奥山委員   それはコース上の制度として、15分違いますよということは、明確につけてあるので すか。 ○鴨委員   そうです。それで、フルタイムパートコース、短時間パートコースというのがあって、 短時間パートは約6時間半ほどの時間です。仕事の中身は、フルタイムパートコースも 短時間パートコースも、ほぼ行員が退職されたあとの仕事を全部引き継いでやっている ということです。 ○奥山委員   それは、正規の行員とほぼ同じ仕事をやっていらっしゃる。 ○鴨委員   そうですね。ご本人たちは同じ仕事だというように。退職された行員のあとの仕事を、 全部自分たちが引き継いでいますということですね。そういう形が出てきていますよと いうことです。 ○奥山委員   正規の行員が退職されたあとの、いわばフォローをする。 ○鴨委員   いや、一時的ではなくて、退職されたあとの行員を正規で補わないで、その方がやっ ていた仕事をパートタイマーの方たちにそのまま引き継いでいくというやり方です。 ○奥山委員   今のお話ですと、金融関係だけで言いますと、むしろ仕事の中身ではなくて、15分の 違いで、いわゆるフルの方とほぼ同じような形で分けていらっしゃるということなので すか。 ○鴨委員   そうです。 ○横溝分科会長   私が聞くのも変ですが、鴨委員はここに提供できるような、いろいろなパートの内部 というか、働く側の調査、統計などをかなりお持ちでしょうね。 ○鴨委員   皆様にいろいろ「こういうのを出してください」と言っておりますが、私自身がそん なに多くアンケート的にきちんと持っているわけではありません。ただ、日々いろいろ な相談を受けておりますので、その事例の中で、こういうことが言えるということは言 っていきたいと思っているだけです。 ○横溝分科会長   もし何かお持ちなら、提供していただくと議論が深まるから、大分のものでなくても、 内側から見たという言い方は変ですが、もしお持ちだったら、提供していただく機会が あればと思います。 ○鴨委員   はい。 ○奥山委員   特に先ほどの20頁のパートから正社員の転換制度ですね。正社員に登用の制度につ いて、これはある・なしですが、ある場合にどのようないわば基準ですか。そういう区 分けがされているのかというのは、連合などではないのですか。 ○鴨委員   ないですね ○奥山委員   あるいは鴨委員の所では、実態的にこういうのはないのですか。 ○鴨委員   私が受けているケース的に言えば、どちらかというと中小・零細の方のほうが多いで すから、転換制度はある意味で大きな大手企業でないと、ないですね。 ○奥山委員   連合のほうでも、組合を通して、こういうものを事業所に対して調査していないので すか。 ○岡本委員   ちょっとわからないですね。聞いておきます。 ○奥山委員   また、あったら教えていただければということだけの話なのです。 ○松井委員   今の転換制度の件についてです。私どもの知る限りにおいて、今、岡本委員がおっし ゃられたのか、奥山委員がおっしゃられたのか、ちょっと聞き逃したのですが、大企業 でないと転換という仕組みの制度化をあまり行っていないのではないかと思います。中 小企業では制度として持っているか否かにかかわらず、いわゆる正社員として、働いて もらいたい人にはお声がけをするということですから、制度のある・なしというのは、 本来、もう少し規模別でどうなっているのかということを見ないと、実態はつかめない のではないかと考えております。ですから、最終的に運用で状況を見ることが、本当は 必要だと思います。ただ、そういう調査は意外と難しいだろうという感じは持っていま す。それが1点目です。  それから、今田委員がおっしゃられた件で、16頁から18頁にかけて見ていったとき に、「ほぼ同額」が多くなくてはいけないのではないかと聞こえたのですが、指針をよく よく見ると、最終的に職務と人材活用が同じか否かということを考えて、さらに正社員 との処遇の決定方法を合わせるなどの措置を講じた上で、意欲・能力・経験・成果など に応じて処遇することによって、正社員との均衡の確保を図るということですから、全 く同じにしなくてはいけないということを指針そのものは言っているものではないと、 私としては理解しております。この指針を使ったとしても、差があるのはある程度許さ れていると、私としては理解しております。これは意見です。 ○林委員   今田委員のお話、それから今の松井委員のお話とも絡むのですが、16頁から18頁、 それから20頁のこういう統計調査の中で、さらに事業所のほうを職種や企業別に分け て統計が取られているのかどうか。もしそういうのが取られているのでしたら、クロス したものが出てくるのかどうかというところをお伺いしたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長   お答えします。先ほど調査の概要を申しましたとおり、調査としては全産業で、規模 もやっておりますが、結果的に通信調査でやっておりますので、有効回答数が2,800と いうことです。規模・業種によってクロスしていくことは作業としては可能ですが、そ れがどれだけ現実を踏まえたものかについては、多分に疑義があるところです。そうい う意味からすると、そこまでの分析の資料として、この実態調査を使うのは難しいのか と思っております。そういう年齢なり、クロスした細かいものとなると、やはり労働力 調査なり何なり、そういう統計調査のほうのデータを可能な範囲内で活用させていただ くということなのかと考えております。 ○横溝分科会長   林委員、どうですか。少し正確性が少なくても、要望しますか。いいですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長   いずれにしても、ちょっと検討したいと。 ○今田委員   ご意見をいただいたので、少し反論というわけではなくて説明したいと思うのです。 要するに指針で議論した枠組みというのは、奥山委員にもフォローしていただきたいの ですが、同一労働同一賃金という議論があって、同一職同一賃金でもいいのですが、同 じ仕事をしていれば同じであるはずだという議論はあるのです。それは労働側からの非 常に強い意見としてあるのですが、日本の職場の実態、職務編成などを前提にしたとき に、同じ職務だから同じということでは、なかなか運用上無理だろうと。  ということで、16頁ですが、まず同じ職務がいるかどうかと、網を掛けるわけです。 網を掛けた上で、さらに日本的な職場のルールから言ったら、正社員と同じような人材 活用の仕方も、つまりいろいろな職務の配転、ローテーション、配置などについても、 正社員と同じようにやられている、そういう人たちにまた網を掛けて、その人たちでは どうですかというように言っているわけです。その人たちと同じように処遇したらいい のではないですか。そのぐらいは同じ活用をしているのだから、同じ処遇というのがコ ンセンサスが得られるルールではないか、というように言っているわけです。  そうすると、同じ職務で、なおかつ同じ人材活用もしているとしたら、3割の人がこ の人はほぼ同じの人でしょうと考えられるわけです。そのときに、またさらに網を掛け ているので、レベルを同じにしろと言っているわけではなくて、その人たちに賃金の決 定方法を同じにしたらどうですかというのが案なわけです。例えば片方が500万もらっ ているのだったら、500万にしなさいという議論ではなくて、決定方法ですから、年収 や月給など、そういう賃金をどのように決めるか。そのルールの方法を同じにしましょ う。レベルとしては違うかもしれない。それは要求しましょう。ということで、さらに 決定方法を同じにしてはどうですかという案なのです。だから、結果としては何段階に も網を掛けてきて、同じ決定方法なら同じにしたらどうですかと、それが10%というこ となのです。  さらに、その結果を見てみましょうと。先ほど言った水準で見てみたら、正社員と同 じ仕事をしている人がどうなのかというと、こういう結果だと。無回答がどうかわから ないですが、6割程度以下がこうだと。これもなかなか評価が難しいところですが、少 なくとも同じというのは14%という、この結果が出ている、こういうバリエーションが 出ている。これは今言った想定の範囲内のバリエーションだという議論ができるのかど うか。今言った、網を掛けて、網を掛けて、網を掛けた結果として、こうなった結果、 その人たちにこれだけの水準の違いが出ている。そういう結果に関して想定内というよ うに言えるのかどうかということ。私の評価から言えば、ちょっとこれは想定内とは言 いがたいのではないかという評価なのですけれども。 ○横溝分科会長   そういうことで、お互いのご意見をいただいておくということで、今これ以上やり取 りをしても。 ○松井委員   今田委員は以前から取り組んでこられたので、よくご存じだと思うのですが、こうい う賃金制度を考えるときに、日本的長期雇用慣行を前提とした処遇体系にある人と、も ともと地場の賃金、マーケットで決まっているパートタイマーのケースというのは、二 分法とは言いませんけれども、基本的に、そもそもの考え方が違っています。それをど うにか真ん中を取って、パート労働指針で対応していこうということになっているもの と理解をしているのです。企業の立場からすれば、長期的な雇用慣行に基づいた賃金制 度を、本当にスクラップできるならば、ある程度、均衡処遇的なものもそれなりに対応 していけると思います。  1つ具体例を言えば、家族手当のようなものはなくさせてくださいとか、それはずっ と必要だとか、そういう議論が一方でずっと続いていく中で、徐々に制度を変えてきて いるという実態を理解してほしいと思います。いわゆる正社員についての不利益変更と いうのは、それほど容易でないという実態の中で、どれだけパートタイムの人たちの処 遇をうまく合わせていけるのか。これも非常に難しい問題であるということを是非認識 した上で、ご対応をお願いしたいと思います。以上です。 ○奥山委員   私も今の松井委員の意見に反論ではないのですが、おっしゃることは重々承知してお ります。企業規模を問わず、業種を問わず、基本的に従来の日本の企業の賃金の決定の 枠組みが長期の雇用をベースにした中で、特に正社員については形成されてきたことは 重々承知しております。また、それを現在でもある程度基盤に考えながらも、議論して いかなければいけないことはよく認識をしておりますし、そのとおりだと思っておりま す。  ただ、一方で企業を取り巻く環境変化というのは、ご承知のとおり、いろいろな要素 を持って変わってきております。こういう賃金体系も、長期雇用、勤続や年齢をベース にするものももちろん残っておりますし、これからも残っていくだろうとは思いますが、 ある意味ではその比重がどんどん変化をしてきていることも事実です。そういう点では、 ご承知のとおり、賃金の枠組みは職能資格制度の下で決定されてきているわけですから、 職務、職能、成果に大きく比重が移ってきていることは、やはり1つの客観的な事実と してつかまえておかなければいけないのではないかと思うのですね。  そうなったときに、長期雇用を予定して雇用している人材だから、短期的なサイクル の中で活用する人たちと同じ仕事をしていても、そういう期待度や長期雇用を前提にし たときに賃金を変えて、正しい、いいという理屈には、これからはなかなかなりにくい ところもあるのではないか。その辺のところもつかまえておかないと、説得力のある議 論にはつながらないのかなと思っております。だから、その辺をどのように状況を見て、 どのような観点から正社員として雇用されている人と短期間的なサイクルで雇用されて いる人が、ほぼ同じ仕事、同じ活用の中で行われている場合に、特に賃金に代表される ような処遇を、どのような形で均衡化させるかということが今問われていることなので はないかと思うのです。ですから、長期雇用の体制だから云々という議論は、過去の中 ではある程度説得力を持ちますが、現在、あるいはこれからの議論の中では、それだけ ではなかなか十分な議論にもつながらないところもあるのかと、個人的には思っていま す。 ○篠原委員   今の点ですが、私もそのように思います。これからの進め方というか、今回このよう な形で「パートタイムの労働対策について」という議題を提供いただいて、審議をした わけですが、資料3からも説明がありましたように、もちろん附帯決議も付いていると いうこともあり、今回このような形でこういう議題の審議が始まったということになる のかと思うのですが、今後、これからどのような形で進めていくかということがあれば、 わかれば教えていただきたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長   お答えします。まずは、そうは言っても、先ほど冒頭で説明しましたとおり、均等法 の関係の省令指針が成立をし、施行が来年の4月1日ということであるわけですので、 当然、中身についても十分な周知期間を置いてやっていかなければならないということ があります。まずは均等法の関係の議論ということだろうと思います。  別に今の時点で決まっていることではないのですが、私はパートの担当ですので、パ ートの担当という形で申し上げますと、そうは言っても、先ほど出ましたが、パブリッ クコメント等でまた期間を置かなければならないということもありますので、これはま た公労使、委員の皆様とご相談してからということになりますが、その辺りは、終わる まで待っておくのかということにはならないような、うまい知恵があれば、例えば同時 並行してやるなどということも可能性を考えながら、いずれにしても皆様認識は一致だ ろうと思います。やはり今後パートタイム労働対策ということ、少なくとも国民にとっ て良いものとしていくために何をするのかということで、ご審議いただくということで す。そういう意味からすると悠長なことは言っておられないのだろうと思いますので、 その辺はご協力いただく中で、できるだけ精力的にご議論いただけるような形で、審議 会の運用を努力していきたいと思っております。 ○横山分科会長   そういう程度で、いいですか。 ○鴨委員   これからパートの処遇の改善についてということで議論をしていくわけですが、いわ ゆる有期契約の問題は、ここでは議論はしないということで進めるのですか。ほかで議 論されているから、ここではしないということですか。その辺、私たちとしては、これ からの処遇改善の中身の中に、パート労働者なり非正規労働者が、有期であるがゆえに 抱えている問題というのは、大変大きな問題であって、それと処遇の改善と切り離して 考えられるものではないと思っているわけなのです。そこについては、先ほどのお話の 中では、そこはという感じがあったのですが、いかがお考えでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長   お答えします。非常に事務的なことを申し上げますと、パートの方の中にも有期の方 が多いことは事実ですが、有期でない方もいらっしゃる。あるいは有期の方の中にはパ ートの方も多いけれども、そうでない方もいらっしゃるということで、いわば次元的に クロスしていて、重なっている課題だろうと思います。そういう意味から、当分科会に おいて有期という切り口の議論をしてはいけないということは全然ないわけで、それは 議論していいのですが、それが有期契約そのもの、全体にかかわる問題ということにな ると、最終的に当分科会のほうでの所管ということではなくて、そこは労働条件分科会 のほうの話ということになります。  議論としてはいろいろなアプローチがあっていいと思いますが、最終的に行く先が、 岡本委員のほうから有機的な連携という話がありましたが、例えば議論したもので、労 働条件分科会のほうに伝えていくようなものがあるとすれば伝えていく、あるいは事務 的に伝える、あるいは労使双方のほうから、そちらの委員のほうに伝えていただくとい うこともあり得ると思います。最終的にはそのようなことになってくる場面もあろうか と思いますが、決して有期の問題についてここの分科会で一切排除すると、そういう考 えではありません。ただ、一応、雇用均等分科会の所掌としては、短時間労働者の問題 が所掌事項として書いてありますので、そこを中心に議論していただければと思います。 ○鴨委員   要望になりますが、短時間労働者の問題の中には、やはり有期であるということは、 処遇改善を進めるに当たって本当に大きな問題だと思っています。更新のときに、それ こそ処遇の改善を口にできないような現状があるということは、パート労働者の処遇改 善を進める上において、かなり大きなネックになっているだろうと思っておりますので、 是非、有期の問題もパート労働法のこれ以降の議論の中で、一緒に議論していただく方 向も入れていただきたいと思っています。そこだけを取り上げるということで望んでい るのではなくて、パート労働者であるがゆえにというところで言えば、切り離せない問 題としてあるでしょうということで、その部分については是非、議論でお願いをしたい ということです。 ○高崎短時間・在宅労働課長   そういうことで議論することはいいというか、ご主張いただければということになる と思います。 ○横溝分科会長   軸足というか、視点はパート労働に置く。関連として、有期も議論の中に視野に入る と、そういうことでいいのではないかと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしい でしょうか。折角の機会で、興味深いご意見をいただいて、ありがたかったと思います。 今日は議論の第一歩ということで、もしなければ、本日の審議はこれで終わりにさせて いただきたいと思います。本日の署名委員をお願いいたします。労側委員として鴨委員、 使用者側は松井委員に、署名をよろしくお願いいたします。次回以降のことについて、 事務局からご連絡があればお願いします。 ○香取総務課長   本日は大変ありがとうございました。今、ご質問にもありましたが、冒頭、局長から お話しましたように、この審議会は均等法の指針等のご審議のお話と、今日ご議論いた だいたパート労働者の問題があります。今後、これを進めていくということでお願いし たいと思っています。日程については、別途、事務的に調整させていただいております が、まだ完全に各委員の日程の調整が終わっておりませんので、日時、場所等も今日の 段階ではご報告ができません。改めて調整の上、各委員にご連絡をさせていただきたい と思いますので、よろしくお願いいたします。 ○横溝分科会長   本日はこれで終了といたします。      照会先:雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課法規係(7836) 1