06/07/19 第15回医師の需給に関する検討会議事録 第15回 医師の需給に関する検討会(議事録) 日時 平成18年7月19日(水)         16:00〜 場所 霞が関東京會館エメラルドルーム ○矢崎座長 ただいまから、第15回「医師の需給に関する検討会」を開催いたします。 各委員の皆様には、ご多用のところ、また足元の悪いところご出席いただきまして誠に ありがとうございます。事務局に異動があり、医政担当の審議官が交代されましたが、 まだお見えになっておりません、後ほどご挨拶をいただきます。本日の委員の出欠につ いて事務局からお願いいたします。 ○医事課長補佐(宮本) 本日は、欠席の連絡はいただいておりません。まだいらして いない委員もおられますが、後ほど到着されるものと存じております。 ○矢崎座長 議事に入ります。事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○医事課長補佐 本日配布しております資料は、資料1−1、資料1−2、資料2の3 点です。資料1−1は「医師の需給に関する検討会報告書(案)」ということで、前回 の検討会で検討いただきました内容以降、修正したものを溶け込ませた形で訂正してお ります。前回は添付しておりませんでしたが、長谷川委員に作成していただきました、 データに関する検討の報告書を添付した形になっております。資料1−2については、 資料1−1で、報告書の本体の部分について、前回に加えた修正を見え消しの形でまと めております。資料2は、各委員からの意見ということで、文書で提出していただきま したものをまとめております。3名からご意見をいただき、1頁目は古橋委員からのご 意見、2頁目は泉委員からのご意見です。7頁目以降は小山田委員からのご意見で、2 回にわたって提出していただいております。7頁の次に34頁には昨日提出していただ いたご意見を添付しております。  参考資料としては、平成16年医師・歯科医師・薬剤師調査の、二次医療圏別に集計 したものを、人口10万人当たりで割った従事医師数を一覧にして添付しております。 ○矢崎座長 委員の皆様には、報告書(案)をお送りし、度々ご意見をいただいて、で きる限り委員の方々のご意見を中に取り入れて報告書(案)を作成いたしました。でき れば、本日でこの報告書(案)を取りまとめたいと思いますので、なにとぞご協力のほ どよろしくお願いいたします。資料1の報告書(案)について、前回からの変更点を中 心に説明をお願いいたします。 ○医事課長補佐 資料1−2の見え消しの形のもので、前回との変更点について概略を ご説明いたします。3頁で、これまでの経緯の中の2つ目の○は、全国知事会からも、 昨年12月に、医師の地域や診療科における偏在を解消するために対策に取り組むべき である、ということを追加しております。  4頁は前回もご議論いただきました、「医師数全体に増えている動向から、充足の方 向にあると考えられる」という部分を削除し、「地域別・診療科別の医師の偏在は必ず しも是正の方向にあるとはいえず、また病院・診療所間の医師数の不均衡が予想される 等の問題があり、厚生労働省は関係省庁と連携して効果的な施策を講ずることが必要だ」 という文章を加えております。  5頁の2つ目の○で、病院の状況について、医師数の増減ではなくてデータを取ると いうご意見がありました。医師の勤務状況調査の中で取っておりました、3年以上同一 施設に常勤で勤務する医師を、3年前と比較した勤務負担を尋ねたデータを記載してお ります。67.7%の方が、3年前よりも勤務負担が増えていると回答し、その理由として は、病院内の診療外業務、会議や院内委員会活動、教育・指導といったものが負担の理 由になっているということでした。  8頁では、各診療科の状況の中で、小児科に関する部分です。2つ目の○として、小 児科学会の取組を紹介しております。小児科学会で行いました、小児医療提供体制につ いて、今後の取組の参考になるものと記載しております。  9頁は、産婦人科に関する内容です。いちばん上のパラグラフの中で、産科婦人科学 会が行った調査として、現在医師・歯科医師・薬剤師調査の中では1万1,000人ほど の方を産婦人科として把握しているわけです。そのうち8,000名ほどの方が分娩に関 与する常勤医師として働いている、という調査結果を発表している旨を付け加えており ます。  10頁で、産婦人科のいちばん最後の3つ目の○ですが、産婦人科の医療を改善する 方策として、助産師が病院で、外来における妊婦健診や、分娩の介助を行うような体制 をつくることにより、産婦人科の負担の軽減とともに、妊産婦のケアの向上が期待でき る。こういう助産師の活躍への期待。という部分を付け加えております。  11頁で、麻酔科に関する記述については、全体に記述を増やした形にしております。 麻酔科の状況は、全体の手術件数の増加、それから麻酔科が全身麻酔を実施する傾向が 強まったことにより、麻酔科医に対する要望が高まったものとして考えられる。  一方、麻酔科の特性として、麻酔科医がいなくては手術の実施が難しいという性質の 一方で、特に中小規模の病院において必要とされる麻酔科医数が少ないこともあり、業 務の負担が集中しやすい傾向がある。こういう特性を理解して体制をつくることが必要 であるとしております。  麻酔科医が辞めたくなる理由の一環として、日本麻酔科学会が行った麻酔科医に対す る調査としては、自らの業務を社会的評価の高い仕事であると認識された方が22%に とどまっています。一方で、麻酔科医以外からは、非常に高収入を取っていて、非常に 非難されているという状況の中で、麻酔科医の病院における評価が相対的に低いことが、 麻酔科医が勤務を続ける動機を弱めていると言われているとの指摘を入れています。各 病院においては、麻酔科医の意見を尊重した体制づくりが求められるとしております。  15頁の需給に関する検討の中で、医師の需給の見通しに関する件の3つ目の○です。 これ以降で記しておりましたところを、長谷川委員と私どもとの間で意思の疎通が十分 にできていないところがあり、実際に推計を行った方法と、前回記載していた方法との 間に若干齟齬があった部分があります。1つは、48時間に短縮するというところにつ いて、そのような方向ではなかったということで削除の形を取っております。  16頁で、さまざまな推計方法により、必要医師数が変わってくるという例示の1つ として、医師が病院に滞在する時間をすべて勤務時間として考えた場合の必要医師数に ついては32.9万人、ここの計算の値が若干訂正された部分もありますので、併せて訂 正しております。それについて、病院勤務医師数と診療所勤務医師数はそれぞれ5.5万 人と0.6万人、合わせて6.1万人の差があるということを記しております。  17頁のいちばん上のパラグラフも、先ほどのように実際の推計方法と、記載した部 分との差がありました部分を訂正しております。将来推計を求めるに当たり、入院と外 来のそれぞれの伸びを合算して求める必要があるわけです。その方法については、医療 費の比率に従って行っているのが今回の推計方法ですので、それに従った記載をしてお ります。そのほか、若干の数字の訂正等があります。  21頁の、今後の対応の基本的考え方の中で、最初の考え方の部分です。いちばん上 の部分で、看護師等の医師以外のスタッフの充実や、スタッフ間の役割分担の見直しを 図る必要がある。そのような形で、効率性の向上を図る必要がある、という部分を加え ております。  (1)は「医師の配置の調整」としておりましたところを、「地域に必要な医師の確 保の調整」と表現を変えております。  22頁で、このような確保、調整といったものは全般的に非常に難しいという指摘が あり、国を含む行政、医師会、医療機関、学会、大学等が総力を上げてそういう調整、 キャリアパスや処遇という点も考慮して行うということを記しております。  このような種々の施策を講じているにもかかわらず、その地域だけでは必要な人材を 確保できない場合については、必要に応じて国も医師の確保について都道府県を支援す ることが必要であるとしております。  3つ目の○で、地方公共団体が設立・運営する病院間における連携について、医師本 人、病院開設者である首長、大学、地域住民の理解を得て、地域内での医師の効率的な 配置、相互の異動を実施することが期待されるとしております。  (2)の環境の構築と生産性の向上というところについては、「個々の病院の問題と してだけではなく、地域の課題として取り組む必要がある」というところを加えており ます。  それから、女性医師の記述を、前からこちらに移し、「女性医師が医療に欠かすこと のできない貴重な担い手であることを、医療機関をはじめとする関係者が十分認識し、 多様な勤務形態の確保や、院内保育所の優先的な利用といった、出産や育児など多様な ライフステージに応じて切れ目なく働くことが可能となる環境を整備することにより、 特に病院における継続的な勤務を促す必要がある」という記載にしております。  24頁の(2)のいちばん最後の部分で、「医療機関と患者との間の紛争について、 医療提供体制の充実により、その防止に努める」ということは全体でありますけれども、 その上で、医療機関が組織的に対応することにより、医師の負担といいますかそういう ものを軽減するようなこと。さらには、中立的な機関により、医療事故の原因究明を行 う制度などが必要であるという指摘があったことを記載しております。  25頁の(6)は、「診療科別必要医師数の検討」となっていたタイトルを、「国民 の期待する専門診療と診療科・領域別の医師養成の在り方」といたしました。  26頁では、必要医師数の検討に加え、新たなパラグラフを導入し、各診療科・領域 に係る医療の必要医師数を求めるに先立って、その前提として各診療科や専門医療にお ける提供体制の共通のイメージが必要であるとしております。このイメージの作成のた めに各診療科や、専門医療の関係学会は、行政とともに医療機関相互の連携を含む、そ の医療提供体制のあり方についてそのイメージを作成していくことが期待されてるとし ております。  その際併せて、医師の研修から退職までを一環として視野に入れたキャリアプランの 作成も求められるとしております。主に修正しました点は以上です。 ○矢崎座長 追加で、長谷川委員から、報告書(案)で数字が変わったところのコメン トをいただければと思います。 ○長谷川委員 まず需要と供給とを見て、そして需要についてもし労働に時間制限を越 えた場合にどう変化するか、ということを推計するというステップでやってまいりまし た。私が提案いたしました、需要と供給のバランスの考え方は患者数が増えて、そして ただ患者数が増えたということだけではなくて、その重症度等も勘案しようと考えたも のです。年齢階級別の医療費の重みを、その労働量の表現として採用して推計しました。  そのときに、重みを付けずに何か表現する方法はないのかということで、時間配分法 等について以前に議論をしてはいたのですけれども、結果として私は医療費に重みを付 けるというのは、入院も外来も一緒に足し込みますのでいちばんいい方法だろうという ことで申し上げていたのですが、事務局ではあまり採択されませんでした。我々のコミ ュニケーションが悪かったのか、前回は議論がありましたが、最終的には医療費に重み を付ける手法で需給を考えるほうがいいのではないかと申し上げて、この報告書になっ たようです。それが1点です。  ここに現れてくる数は人数ですので、皆さん方なま身の医師を想像されるかもしれま せんが、私がやったことはそうではなくて、特に需要についてはなま身の医師の数で表 現される労働量なのです。そこが、何人足りないという議論があり、誤解されているよ うなのですけれども、そうではなくて人数で表現される労働量に腐心をしておりまし た。ですから需要のほうは、患者が1人増えても、重症度が増えたら必要とする需要が 増えるだろうという観点から、医療費で重みを付けたところです。  さらに同じ観点から、一部の医師が超過勤務をしているということですので、それを 例えば48時間以内に制限するとすれば、さらにどれぐらいの医師が必要なのかという ことを需要として、労働量として計算する手法を使って計算したわけです。その手法に ついても、若干事務局のほうに誤解がありました。私のほうは、特に若年の医師の負担 の部分を考察するために、年齢階級グループごとに、その平均値の過度の部分、48時 間よりも多い部分を計算し、その部分を代替えする労働量はどのぐらい必要なのだろう という計算手法を使いました。そこのところを、事務局のほうでよく理解していただけ てなかったので、先ほどのような表現になっております。  もう一度繰り返しますと、若年医師の部分の負担がかなり大きいということですの で、年齢階級グループ別に平均値を取り、それが48時間よりもオーバーしている部分 について、負荷の労働力を計算するという手続を取って算出しております。その結果が、 お手元のような結果です。  かなり複雑な手続ですので、理解しにくい点があるかとは思いますが、いちばん重要 なポイントは頭数ではなくて、頭数に表現される労働量である。できれば、そこに重症 度や時間制限も盛り込みたいということで算出したデータです。 ○矢崎座長 計算の基礎となる考え方を、長谷川委員からお伺いしました。この本文に つきましては、委員の皆様方の意見を踏まえ、だいぶ大幅な修正がなされておりますが、 さらにご意見がありましたらお願いいたします。  先ほどお話申し上げました、大臣官房の審議官、医政担当の審議官がいらっしゃいま したのでご挨拶をいただきます。 ○審議官(宮島) 宮島です。よろしくお願いいたします。 ○矢崎座長 前のほうから、順々に検討していきたいと思います。 ○小山田委員 大臣に提出されましたものが、本日出されました。私はそれを全部読み ましたが、これまで討論されなかったもの、討論されたが載せられていないもの、間違 いがあったもの、こちらが要求したデータを出さない部分があります。これを全部説明 したら、おそらく何時間かになると思います。これは、私だけの意見が正しいわけでは ないです。はっきり言いまして、長谷川委員が、自分の考え方に基づいて、現状維持、 2035年には医師の需給は十分充足できるという基本的な考え方に基づいて作られた作 文であります。  これはこれとして、この検討会として討論されたもの、合意された点、あるいは意見 の違った面を明確にしなければ、この検討会の答申にはならず、長谷川委員の作文だと。 全国の病院勤務医、関係者はみんな怒っています。座長にお願いしたいのは、もう一度 これをお読みになっていただきたい。これをやっていたら、本日では決まらないと思い ます。この検討会は重大な会議で、平成10年以来の、最も大きな重要な会議です。こ の検討会として、国民に対して恥ずかしくない、長谷川論文でないものを是非作っても らいたい。  そんなに変えるものではないのですけれども、先ほど言いましたように、合意された 文が、「そういう意見があった」とか、全然討論されていない部分が入れてあったり、 私どもが要求したデータが出ていなかったりしているので、到底これでは満足できない です。もう一度これを持ち帰って、皆さんで作り直す。最後にあと1回、明日でもいい ですよ。本日中に、先生方からの意見を聞いた上でまとめることは至難の業です。全体 として、私どもは絶対に承伏できません。  私どもは提案しています。決して私どものがいちばんいいと言っているわけではあり ません。各委員も出されています。本日説明があったとしても、本日結論を出すのでは なくて、明日でも明後日でもいいですけれども、そうした形でやらないと、少なくとも 病院関係者は全然納得しないばかりではなくて、先ほど言いましたように、私はいま全 国を歩いていますがみんな怒っています。その度に私は言っています。これは私ども検 討会の意見ではなくて、長谷川委員の作文だと。何度も申し上げますが、もう一度これ を検討し合って、そして合意のある点、両論併記の部分、反対の部分でも結構ですが、 そうしたものを作っていただけないでしょうか。 ○矢崎座長 小山田委員のご意見はご意見としてお聞きしますが、長谷川論文というお 言葉は、ほかの委員の方は納得されないと思います。議論をして、その結果でどうなる かということで、頭から決めつけるのはいかがなものでしょうか。ですから、私は順々 に議論を進めて、委員の皆様の総意でこれをまとめていきたいと思っております。 ○長谷川委員 名指しですので、大変名誉に感じております。私の考え方を、全面的に 事務局が採択したような意見だということで、それは大変名誉に思うのですが、ただ誤 解があったので一言申し上げます。  私は、無理矢理に内容をでっちあげ、それを事務局に吹き込んだわけではありません。 さまざまな条件を突き合わせると、このような形になるということを事務局に提案し、 そのうちから事務局で納得した部分を採択したと思いますのでご訂正いただきたいで す。私の考え方が反映したということをおっしゃられたことについては大変名誉に感じ ますが、事実関係とは違いますのでご訂正いただきたいと思います。 ○小山田委員 半ば理解いたします。基本的には、先ほど言いましたように現状維持、 あと30年後には医師需給は十分だということで書かれた論文、作文だということだけ は譲れません。 ○長谷川委員 いろいろな条件を設定した場合にそうなった、ということは事実です。 その条件が、こういう条件、ああいう条件というので、異なった条件になる可能性はあ ります。 ○小山田委員 この問題がなぜ起こってきたかというと、私が毎日歩いているのは、病 院から医師がどんどんいなくなってくるのです。 ○長谷川委員 そうです。 ○小山田委員 その現実を踏まえて、この検討会ができたのではないですか。ですから、 その問題は決まっているのです。医師の労働過重と、個人開業上の収益の格差でありま す。これは開業の方を悪く言うのではないですよ、勤務医との格差が甚だしいことにあ るのです。開業の先生も一生懸命働いているのです。その事実をはっきり出してくださ いと言っていたのですが、それが出していないではないですか。 ○長谷川委員 そうおっしゃるのであれば、是非申し上げておきたいです。これに関し て事務局から私に依頼があったのは、医師全体としてどうなのかと。もともとの検討会 の出発点がそうだと理解しております。その結果を申し上げているのです。その中での 不公平、あるいはバラつきに問題があるということは事実であります。私の算定式、推 計方法は、全体を集計するというところから出発していますのでそうなっております。 事実私も病院の医師が足りないと思っています。ただし、それは現在の生産性、現在の 経営を前提にしてですけれども、足りないのは事実だと思います。それはそのように組 み込んでいますので、時間制限をしたり、さまざまな条件を変えてやっております。そ の条件についてはいろいろな議論があるでしょう。ですから、そこのところは誤解のな いようにしていただきたいと思います。何度も申し上げますが、これは長谷川論文では ありません。私が発注を受けたのは、全体の数をどのように考えるかということであり、 それについては分析の結果長期的に均衡することになりました。それをよくご理解いた だきたいと思います。 ○矢崎座長 医師の需給に関することは、いままでの検討会はマクロに、長期的な視点 に立って、医師の需給はどうなるかという議論でした。今回も基本的にはそうなのです が、「はじめに」にありますように、いまご指摘の地域、あるいは診療科による医師の 格差について、マクロ的には大体皆さん認識していますけれども、ミクロでいろいろな 課題がありますので、それをどうしたらいいか、いままで、医師の需給の検討会は、マ クロ的な検討をしていたわけですが、今回は全く従来の検討会と違い、非常に委員の皆 様のご意見があったので、いま衆目の的となっているミクロの、特に病院における医師 の不足について、あるいは診療科における医師の偏在について随分書き込んだつもりで す。  私も、事務局と何回もディスカッションしてここまでまとめたので、何も触れていな いと言われてしまうと、15回も検討会を開いていてそれは何だったのかということに なります。もう少し冷静になって、検討を順々に進めていったほうがいいと思いますの で、是非ともご協力をお願いいたします。 ○小山田委員 よくわかるんです。今回で終わりにしないでほしいということです。 ○矢崎座長 それについては、後で議論させていただきます。これは前もってお配りし ておりますので、皆様のご意見を十分拝聴し、本当にまだ足りないのかどうかというこ とを議論した上でいろいろな方法があるとは思います。私としては、15回でだいぶ議 論を尽くしたところもありますので、まとめに入りたいということを最初に申し上げた のです。  繰り返しになりますが、「はじめに」と「医師の需給に関する現状について」という ことで、これはご指摘のように、最初がマクロの視点から、充足の方向にあるという現 状でした。特に、私は146の病院を統括している者にとって、病院における医師の確 保の困難さというのは、小山田委員と双璧ぐらいに苦労している立場にあります。これ については、随分細かいところまで注文を付けて書かせていただきました。委員の皆様 はいかがでしょうか。この中には、書きすぎではないかというぐらいたくさん書いてあ りますので、全体的なイメージが少し希薄になった可能性もあるかもしれませんが、よ く中身を吟味した上でお願いいたします。 ○山本委員 いま、いくつかの議論が出ましたけれども、全体として大きくまとめたこ とに関して、またそれがある種の数字、統計手法等に基づいて出た数字であることはよ くわかります。  しかし、小山田委員も心配していたように、本当にこれでいいのかという点について は、病院の現場で働いている我々から見ると、やはりどこか抜けているなというところ があると思います。それはどういうことかというと、マクロの数字はカバーできたとし ても、医療の現場はミクロの需要をどのようにカバーしていくか。そうしなければ、国 民や患者に対して、真にきちんとした医療が提供できない。  そうした視点からのことが、我々はこれまで議論して随分まとまりましたけれども、 その視点として医師が足りないという、特に病院側からの主体で検討されてきました。 本来は地域住民、あるいは患者がそういう視点でどういう医療を受けたいのか、そうい う医療提供体制を、この需給の中で本当に確保できるような医師の需給の問題を検討さ れたのかどうかという点を私自身は疑問に思っております。  1つ抜けていると思ったのは、診療科偏重があるということがありましたが、もう少 し深く突っ込んで、単に診療科の偏重だけではなく、診療科自身が医学の進歩の中で細 分化している。  整形外科であれば、昔は足を1本1人で診ていたのが、今は足首と膝とヒップジョイ ントと3人の専門家がいなければ診られないということです。循環器内科を見ても、シ ンカテでコロナリーをやる人と、不整脈でアブレージョンをやる人とは全く違った専門 分野として独立していなければいけない。そうしたことを考えると、現場では必要以上 に、非常に医師を求めているわけです。そういうことを含めて、病院では全く足りない 現状があるわけです。  マクロで本当に足りるのかという点を取り上げても、10年間で3万人増えるという 数字が出ております。1年間平均で3,000人とすれば、現在病院は9,000ありますか ら、1年で3,000人というと3分の1の病院で1人増員できたということになります。 これは、医師が増えたということにはならない。そうしたことを含めて、その辺に触れ ないといけないのかと感じた次第です。 ○矢崎座長 いま山本委員の言われたことで、最後のほうで触れたものは医師が狭い専 門性だけではなくて、幅広い診療能力を持って、そういうことによってカバーして、あ る程度病院における医師の効率性といいますか、生産性を高めるという話のように受け 止めたのですが、そういう意味でよろしいでしょうか。 ○山本委員 そうではなくて、ここに書いてあることでちょっと問題になったと思うの ですが、あまり細分化された非効率的な医療は、プライマリー・ケアを教育することに よってカバーできるのではないか。そうではなくて、非常に細かい分野の医学の進歩と いうのは素晴らしいです。  それによって、より部分的なものは非常によく治るようになりました。それをキープ しながら、一方で患者の視点で見ていく医師が必要である。ですから、余計医師は必要 になるという視点で物を考えていかないと、医学の進歩には対応できないのではないか と感じました。 ○矢崎座長 総合的な診療能力を持っている医師と、専門的な、高度な診療能力を持っ ている医師は必要です。これについては、何カ所かにそういう記載があります。それか ら、臨床研修制度の活用ということで、幅広い診療能力を持つと同時に、専門性を高め る後期臨床研修といいますか、専門研修をやるということには触れたつもりであります。  ただ、先生のおっしゃる9,000の病院すべてにそういう医師を配置するというのは なかなか不可能です。それは、この中の何カ所にも書いてある、病院機能の役割です。 そういうもので、医師を効率よく配置する仕組みを考えなければいけない。そういうこ とを主張し、この中に入れ込んだつもりなのですけれども駄目でしょうか。 ○山本委員 そこは書かれていると思いますけれども、ただこの数字だけを見ますと、 例えば2037年に17万の病院で働く医師が発生すると。しかし、仮に急性期の病院の 60万床が必要であると考えたときに、それを単純平均で割っても、1人の医師がせい ぜい5床ぐらいを診るような計算になります。  現在、実際にある種の規模以上の病院で、平均在院日数を10日から14日ぐらいで やっている所は、既に医師はもっと多いわけです。そうすると、平均で見る限りこれだ けの医師が増えても、急性期の60万床は本当にやっていけるのですか、といった疑問 が現場としては残るという気がしています。 ○矢崎座長 我が国は非常にベッド数が多いです。そのベッドの機能分化をしないとい けない、そこがいちばん大事だと思うのです。 ○山本委員 そこを触れていただきたいのです。 ○矢崎座長 それが大事ですね。長谷川委員はマクロの視点しか言っていないですから、 マクロの視点はともかくとして、ミクロについて統計を取るのはなかなか難しいですし、 ベッド数、病院の機能の役割分担、地域の医療連携というのは総合的に関係してきます ので、それは数字ではなくて中に書き込むこと以外に手はないですね。 ○山本委員 そうです。 ○矢崎座長 山本委員が言われたように、先生とご相談し、明確に病院機能の分化とい うところで、もう少し鮮明に出るような工夫をしたいと思いますのでよろしくお願いい たします。 ○泉委員 診療科の状況のところで、小児科、産婦人科、麻酔科の3科についての診療 科の偏在の問題が取り上げられております。しかし、この検討会でも、本田委員から報 告がありましたし、ほかの先生方からも、3科だけではなくて外科など一人前になるの に時間がかかって、勤務もきつくて、リスクも伴うような診療科を志望する人が減って いるのではないかというご指摘がありました。  この検討会として、診療科偏在の問題をこの3科だけの問題と捉えるのか、それとも 診療科全体のバランスが崩れ始めているのではないかという危機感を持つかというのは 認識として大きく違うところだと思います。私は、全体のバランスのことを少し気にし たほうがいいのかと思っておりますがいかがでしょうか。 ○矢崎座長 私がしゃべるのはいけないかと思いますが、私は大学も経験していますし、 いまたくさんの病院を見て回っています。やはり、おっしゃるとおり全体のバランスは 重要だと思います。ただ、3科の問題というのは最近の課題です。今度、どんどん状況 が悪くなって、いまおっしゃられたような、内科とか外科医師も不足している病院があ るわけです。  その場合に、地域でその医師をお互いに助け合うことを工夫すればある程度カバーで きるのではないかということで書いたつもりなのです。おっしゃられるような、近々の 課題として3科だけではなくて、整形外科とかそういう所の医師確保が難しい、という 病院が結構多くなっていますので、できれば全体的にバランスが崩れていく可能性を指 摘する必要があるかと思います。それについてはご相談したいと思います。 ○本田委員 泉委員のおっしゃられたことに関係してなのですが、26頁に新しい部分 が入ったのではないかと思います。診療科・領域別の必要医師数とか、養成の在り方み たいなことを言及されていて、それが入ったことはとてもいいことではないかというか、 今回の報告書のマクロではなくて、ミクロの部分はもっと議論しなければいけないとい う意味で大きなポイントではないかと思っています。  病院の機能分担などは当然必要だと思うのですけれども、医師の養成という中で、確 かにどの科を勉強していって、どの科の医師になるかというのは、自由な選択があると 思います。例えば、全体としてどういう領域には、どれぐらいの分量の医師が必要とさ れているのか。医師の養成というのは、どういう医療を提供するかという医療政策その ものだと思うのです。そういう中で、全体像をイメージという言葉で書いてありますけ れども、もう少しきっちり打ち出す。  それというのは、一方でどれだけの医師をその分野で養成できるのか。私は素人なの で具体的にはなんとも言えませんが、どのぐらいの症例数を診ているとか、そういうこ とを明確にしていくことで、国民に対して医師の質の担保みたいなことが明確に打ち出 せると思います。  それは、一方で医師にとっても、自分がその分野で専門家としてやっていくのに担保 になっていくし、自信にもなっていくと思うのです。いつまで経っても、この分野の手 術をさせてもらえないというのではなくて、それであれば違う分野の領域に行こうとい うシステムづくりが、これを見ることで必然的に必要になってくると思うのです。  こういうことをきっちりしていくことが次のステップだと思うので、この検討会では 確かにマクロを打ち出すのが第一義だったとは思うのですけれども、ミクロの部分の指 摘はいろいろすることができたと思うのです。そこの部分をきっちりやっていく、何ら かの場が絶対に必要になっていくと思います。それが、国民にとっての医療の信頼性に もつながるし、医師にとっても自分のキャリアを形成していくという意味ではとても重 要なことになっていくし、ひいては全体の医療の提供のあり方、専門医制度も含めてと いうことになります。ここには、学会の方はいらっしゃいませんが、学会の果たす役割 はとても重要になってくると思うのです。今後、そういうところをやっていけばいいの かなと。これを提言するではいけないのかもしれないのですけれども、1つのポイント ではないかと感じました。  先ほど矢崎座長がおっしゃった、地域での医師の配置の調整というのも、地域医療協 議会が重要だと思うのです。やはり、地域ではできかねない部分というのは特にありま す。そのブロックを越えた調整という、地域医療協議会の中央版みたいな感じで、そう いう委員会があって、いま言ったようなことを検討しつつ、全国調整も担う。そこには 国も、都道府県の代表の方も、病院の方も、学会の方も、患者、国民もという場がちゃ んとあったほうがいいと。そこは逃げていないで、きっちりやっていくべきではないの かという意味で、提言としてこれはやってほしいと思います。 ○矢崎座長 いまのお話は、医師の育成の過程で極めて大問題なのです。いまは、各個 人が希望すれば、自分は小児科医になりたい、あるいは外科医になりたいということで 決まっているわけです。それを本田委員は、抜本的に変えて、脳外科ならアメリカみた いに学会が年間150人というふうに決めるようなシステムに近い考え方ではないかと 思います。 ○本田委員 いきなりそういうわけにもいかないのかもしれませんけれども。 ○矢崎座長 いかないです。 ○本田委員 イメージという言葉がいいのかどうかわからないのですけれども。 ○矢崎座長 だから、極めて難しい問題なのです。 ○本田委員 それを含めた調整の場みたいなものが、これからは必要なのではないかと 思いました。 ○矢崎座長 検討する場をね。それともう1つ県単位ではある程度可能かもしれないけ れども、県を越えて、ブロックを越えてという調整が必要ではないか。それは、国とし て行うことをお願いしないといけないかもしれません。ちなみに我々の国立病院機構は 146の病院が全国にあるわけです。3分の2は旧療養所で、本当に人里離れた所の、比 較的小規模の病院で、そこでは医師も看護師も確保が大変困難なのです。  このままではいけないので、機構の中である程度余裕のある病院から医師を派遣する システムを今度つくりました。そうすると、病院長の中には、自分はそんなことする必 要はないという人もいますけれども、病院の役割として社会的責任があるでしょうとい うことなのです。いま具体的に動かそうとすると、九州の病院から、東北地方の大変困 っている病院に派遣したいという場合があります。  言われるように、うまくシステムをつくれば、ブロックを越えてある程度できるかも しれない。だけれども、それを国が強制力を持ってやれるかどうかというのはまた別問 題です。検討する調整委員会、地域医療対策協議会でまず議論していただくということ です。ですから、こういう検討会が全国的な視野で、皆さんにお願いするということで、 お願いするというのは3カ所か4カ所あるわけですがまた改めて。 ○長谷川委員 地域に関しては矢崎委員が言われたので言いませんけれども、診療科に ついてはそのとおりで、需要と供給をうまく合わせるということを、いまのような形で はなくて方向性を示すということは大変重要で、我々の理想としてあると思うのです が、問題は各論です。誰がそれをするのかという課題、どのようにするのかということ は大変大きな課題です。  端的には、いまどき国が組織をつくって、何人内科、何人脳外科と決めて命令せよ、 ということをイメージしているのでしょうか。そういうことは、大きな方向性の流れと しては反対です。やはり学会とか地域で、その職員のグループが自分自身で方向性を決 めてやっていくという方向になっていくと思われます。方向性は自由だから、このよう なザックリした書き方になったのでしょうけれども、もし一歩踏み込むのであれば、誰 が、どのような権限を、どういう責任において、委員会をつくって、どのようなことを やっていくかということをやる必要があります。  もう1つ、需要の各診療科まで下りますと、推定はものすごく難しいです。過去に何 度もいろいろな国が試みて全部失敗しております。時代が変わってくる、技術が変わり ますので一遍に需要が変わります。だから、国がガチガチのシステムで規制するという ことはあまりよくない。例えば学会とか、あるいは民間のアドバイザーとか、そういう のを考えたほうがいいと言われてはいるわけです。  したがってコメントとしては、そういうのはいま大変必要だけれども、もし書くとす れば、これよりさらに踏み込むとすれば、誰が、どのような権限において、どうするか ということを書き込まなければ実効性がないということを申し上げておきます。 ○池田委員 いま長谷川委員がおっしゃられたように、ここで議論するべき内容に関し ては、個々随分問題点がはっきりしてきたと思います。実際には何をやって具体的なア クションを起こすかというところに入ってくると思うのです。  いま長谷川委員が言われたように、本当に国がどこまでその問題に関与してレギュレ ーションをかけるのか、あるいは学会の役割は何なのか。先ほど本田委員が、こういう 専門性のものだったら、何人ぐらい専門医がいればいいのかというのは、実際には専門 医制度の新しい構築の中で、例えば脳外科の手術は日本では何例ぐらいしかないから、 それだったら学会としてはこれぐらいの数でいいのではないかという議論は実際に始ま っているわけです。  ですから、具体的な取組みについては、例えばこの中でもう少し書くとすれば、学会 にはこのようなことを要望するというような格好で書くと、あるいは専門医の認定制機 構みたいなものには、専門医というのはこういうふうにあるべきだ。そこで、専門医は 国民にわかりやすいような形で議論をするようにとか、そのような格好で注文を出して いくというようなことが書ければ、少し具体性が出てくるのかと思うのです。あまりに ミクロの問題一つひとつをこういう検討会の答申に書くということ自体は非常に難しい ことだと思います。この中にはかなりの問題が提案されていると思っております。 ○矢崎座長 25頁のいちばん最後の「国民の期待する専門診療と診療科・領域別の医 師養成の在り方について」はだいぶ書いたのですが、本田委員や山本委員の意見を取り 入れると。山本委員は、病院の機能分化ということと同時に、病院の医師の専門診療の あり方のところで、もう少し具体的にと。 ○水田委員  本田委員が言われていることは正しいと思います。日本でも昔から専門 医についてはずいぶん議論されてきましたが、専門医であっても専門医としての社会か らの評価が無いわけです。たとえば、専門医が診察した場合や、手術をした場合も研修 医と同じ費用です。そのようなことをキチンとすれば、専門医もちゃんと育って行くと 思いますが、それは無いわけです。そして専門医であるという標榜もできない。ですか ら日本の場合、専門医制度は各学会が勝手に決めていると思われるのです。約10年く らい前に専門医制度に関する協議会が日本医学会、医師会、各学会が入ってできて、ず いぶんいろいろ検討はされていますが、まだまだの感があります。たとえばアメリカの 専門医制度では、1年に3−4人しか小児外科医にはなれません。アメリカ全体の小児 外科医の必要数が決まっているからです。そうしますと、なれなかった人は次の年まで 待って再度挑戦するか、あるいは他の専門を選ぶかになります。本当に各科の偏在を亡 くそうとするのなら、これくらい厳しくしないとできないのではないでしょうか。 ○小山田委員 いま、どういうふうにするかという議論になっています。それはそれで 結構なのですが、私が何度も言っているのは、その前にしっかりとしたデータを国民の 前に示す。少なくともこの検討会に示してくださいということなのです。それに基づい て、すぐに10万人増やすというのではないのです。  例えば、ここに産婦人科について書いてあります。いま産婦人科で問題なのは、分娩 する医師が不足しているのです、なぜそれを書かないのか。学会で、いま分娩する医師 が1,900人足りない。ただし、これは1,900人いても、労働条件などいろいろなこと がありますが、それには能力を持った助産師が、なんと1万3,000から1万9,000人 いないと、1,900人増やしたとしてもできないということをなぜ書かないのですか。学 会がしっかりと出しているのですよ。  小児科についてもそうです、どんどん増えていく。今度研修が終わった人を見れば、 6.1%あるからこれはどんどん増えている。問題はそこではないということを書いてほ しい。なぜ書かないのですか。もういいのでいいのだと、この事実を書いてください。 あとは言いません。それから、その事実を欲しいのです。これは、この前も何度も言い ました。それから文書でも出せと言った。  いま病院勤務医が16万4,000人いる。長谷川委員の方式でもいいですが、私の方式 でもいいですが、必要とする医師が48時間やった場合に必要な医師数は何名なのか。 有床診療所は医師会の先生もわかると思いますが、それも48時間にするためには現在 何万人いて、労働力から何人足りないのか。 ○長谷川委員 その数字は16頁に書かれています。病院勤務が5.5万人、診療所勤務 が0.6万人と書いてある。 ○小山田委員 合計いくらですか。 ○長谷川委員 6.1万人です。先生の数より多いです。先生の推計はちょっと足りなか った。これはそれより多いです。 ○小山田委員 無床も入っていますか。 ○長谷川委員 診療所が0.6、病院勤務が5.5。 ○小山田委員 それ、合計でいくらですか。 ○長谷川委員 6.1万人、計算しますと先生より多いです。ここに書いてあります。 ○本田委員 誤解のあるような言い方をしたかもしれませんが、別に私は国で全部こう しろ、何人だということを意図したわけではなくて、認定制機構とか各学会でも考えて いらっしゃる。だけど先ほど水田委員が言われたように、それをきっちりやることでイ ンセンティブもきっちりされていないし、標榜の問題もある。みんな絡んでいるわけで す。  一方で国民感情としては、言葉は悪いかもしれませんが、例えば療養病床が今度削減 されることで、医師は1万人ぐらいいらっしゃる。その方々は数としてはいっぱいいら っしゃるけれども、いま困っている所にその数がちゃんと行っているかというと、違い ますよね。病院間でもそうです。そういう中で難しいと言われましたが、確かに私が先 ほど言ったようなことは難しいのかもしれないけれども、そういう視点を国民のわかる ところで議論して、国も含めて学会や病院が一緒にやってくれないと駄目だと思います。 感情的には足りないと私は思っていますが、むやみやたらに増やして要らない所ばかり 増えても、患者的には「それって、どうなの」ということが一般感情としてはあります。 ○矢崎座長 国民の負担はどんどん増えますよね。 ○本田委員 はい。だから、その辺は難しいことは難しいにしても、見えるところでき っちり議論してほしいという意味で、ここは結構ポイントだと思ったのです。各学会と か認定制機構とかいろいろな所でやっているのは存じ上げているし、そういうところを もう少し公的なところと一緒に合わせて、どこが問題なのか。そこを専門医がやり、も っと診療報酬を上げるためには、どうすればできるのかを真正面に捉えて議論をしない と、きっと感情だけでなく現実的にもみんなが救われない。そういうことを言いたかっ たのです。 ○矢崎座長 よくわかっていますのでご安心ください。要するに数が足りない、足りな いと言っても、そこで医師がちゃんと活動できる場を作らなければ、足りないから、で は医師を増やせばいいというわけにいかないと思います。だから、いま産科が足りない ということですが、なぜ産科が足りないのか。そこにいくつかの問題があって、それを 解決するために、この中でいろいろ書き込めるところは書き込みましたが、もっと直截 的に書き込めばいいのですけれども、こういう検討会でそこまで具体的に書く必要があ るかどうか。本田委員が言われるように問題提起して、病院の医師が安心して継続して 働けるような環境を整備すべきだということを、ちゃんとこの中に書き込んでいるので、 その辺を評価していただきたいのです。ただ足りないだけではなく、別に逃げているわ けではなくて正面から取り組んでいて、今までどちらかというと、医師の需給に関して は大まかな方針で充足の方向ということでしたが、今回は相当踏み込んで書いています から、その辺は評価していただきたい。 ○本田委員 最後は、いいと言っています。 ○矢崎座長 もうちょっと具体的に提言できる範囲であれば、我々もそれを取り入れて いきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○吉新委員 へき地医療と自治医大の関係ということで話をさせていただきます。27 頁にあるように、いま文科省でも地域医療のコア化について検討中ですけれども、3行 目の「医学部定員が少ないために未だ医師が不足している県の大学医学部」というのは、 表現がおかしいのではないかと思います。その後の地域医療定着策に限って言えば、定 員の暫定的な増員・増加を検討すべきであるというふうに、意見があったということで はなく、離島や山間へき地では医師不足はまだ深刻です。 ○矢崎座長 何頁ですか。 ○吉新委員 27頁です。いわゆる地域枠といったことが出ていますけれども、意見が あったのではなくて、検討すべきであるという内容にしてもらえないでしょうか。 ○矢崎座長 医学部定員の暫定的な調整の中の文章ですね。 ○吉新委員 そうです。 ○矢崎座長 わかりました。 ○吉新委員 調整というのでなく、地域医療に関して限定的なことであれば、暫定的な 増加とか増員を検討すべきであるというふうにしていただけませんか。意見があったと いうことだけでは参考意見というか、そういうことを言われていたということではなく て、これを実効あるものにしていただきたいと思います。 ○矢崎座長 これは、どうですか。これは極めて影響が大きい決定だと思いますが、こ の検討会として行政的なインパクトも大きい課題です。 ○吉新委員 ただ、知事会とか中央6団体等で、定員を1割増やそうという提案が出て いますし、知事会のいろいろな要望があって一言書いてありますが、知事会の動きとも うまく呼応できるのではないかと思います。 ○矢崎座長 要するにマクロ的な視野で見ないといけない。 ○吉新委員 ただ、需給のいちばんの皺寄せというのはへき地や救急といった分野に出 やすいわけです。ですから不足という意味でのシンボリックな部分なので、増員につい て現在は充足はしていないわけですし、今後もマクロ的に増えたから優先的に減らすと いうことはないわけです。 ○矢崎座長 そうですね。自然に解消するということはないというふうに、これは書い てしまっています。 ○吉新委員 現在、不足しているわけですので、増員について検討するということはあ ってもいいのではないかと思います。 ○矢崎座長 この検討会で委員の皆様にご賛成いただければ、ここの文言を変えさせて いただきたいと思いますが、それには大反対という方はいますか。 ○内田委員 いろいろと意見があるのですが、この件に関してだけ申し上げますと、定 員増をしたことによって、それが離島やへき地に赴任するというか、それの充足につな がるということは全く言えないです。 ○吉新委員 ご存じのように今は地域枠ということで、奨学金といった制度で各大学に 入っている方がいらしゃいます。そういう地域の定着策で地域医療の充実、へき地医療 の充実ということで、そういう枠を増やすことは検討してもいいのではないかというこ とです。 ○内田委員 地域医療ということに関しては、私は全く賛成ですが、定員を増やすとい うことに関しては、これはちょっと議論が違うだろうという認識です。 ○吉新委員 ですから、それについて検討をすべきということで、検討するということ であったらいいのではないか。 ○内田委員 この表現でよろしいのではないですか。 ○吉新委員 意見があったということは、検討すべきということは駄目ですかね。 ○矢崎座長 いまの内田委員の疑問は、そこにさらに書き加えてあって、前提は、種々 の施策を施しても、未だ医師の不足している県の大学医学部に対して、さらに実効性の ある地域定着策の実施を前提として、定員の暫定的な調整を検討するということです。 ○内田委員 しかしながら、地域定着策あるいは地域枠の増員ということに関しては、 これはまだ実効があるということを確認する段階まで至っていないですね。そこの段階 の確認を踏まえないと、これを単に定員を増やすということでその問題が解決されると は、私は全く思いません。 ○吉新委員 そうですかね。長崎の離島就学制度や兵庫県の制度、自治医大全体のシス テムというのは私はとてもよく動いていると思いますが、違いますかね。 ○内田委員 ですから、それは地域枠を増やすということが、今後定着していけば解消 される問題ではないかということを申し上げたのです。 ○吉新委員 それだけでは不足だと私は申し上げているのです。ですから、それを検討 していただきたいということです。 ○矢崎座長 これを議論する、要するに調整を行うのではなくて。 ○内田委員 「意見があった」とするか、その「意見があった」を取って、「検討すべ き課題」とするかということですね。 ○吉新委員 そうです。ワンランク違うのです。 ○小山田委員 そのことに触れまして、この前の知事会と6団体、3省の幹部の前で要 望したのです。ほとんどそれは反対はなかったです。申し上げたいのは、こういう議論 があったということを記載すれば、例えば前に、誰も行きたくないような山間へき地と いうときに管理者要件というのは1回出ました。それは試みられましたが、そうしたこ とも含めて今後検討すべきだと、あるいはそういう意見があったとか、自治医大につい て10%の枠をどうしても増やしてほしいということは強く言って、その時、はっきり と何度も片山会長が文部科学省に対し、「イエス」か「ノー」か言えと念を押しました。 ここに来ておられる方も、あの雰囲気はお分かりだと思いますが、せめて意見があった というぐらいはお書きになっていただきたい。これは泉委員からも前に提案されている ことですので、あったということぐらいは書いていただきたい。ここでそうすべきだと いうことまでは申し上げませんが、義務化の問題、自治医大のことで、そういう意見が あったということを是非書いてほしいと思います。 ○矢崎座長 そう書いてあるのですけれども。 ○吉新委員 「意見があった」にするか、「検討すべき」にするかということです。 ○泉委員 この内容は2つあります。1つは、地域ごとの人口当たりの定員の違いとい うのが地域の医師数の差の原因となり、それが確保の困難さにつながっているという問 題と、もう1つは実際に離島やへき地、特に確保困難な所に行く人を確保するために、 奨学金など何かの制度をくっつけるか、2つの話が実はあるのです。  もちろん、人口に対して定員が少ない所の定員を増やしていただきたいというのが、 少ない県の要望ではありますけれども、そうした単純に増やすという話はなかなか困難 だと思いますので、地域定着策とセットにして一定の定員を増やし、その方たちが確実 にその地域の足りない所に行っていただく。あるいは足りない領域に行っていただく。 こういう施策を進めるということの検討は是非お願いしたいと思いますので、「意見が あった」というところからは一歩進めて、「検討すべきである」といった書き方に是非 お願いしたいと思います。 ○矢崎座長 私自身としてはここがいちばん議論のあるところで、というのは、全体的 には定員は増やさない。要するにここに何度も書いてありますが、医師の育成には長時 間費やすのと、多額の国費が投入されるという2点が問題になります。これに関して医 師数を増やすというのは国費の投入が必要ですし、当然、医療費も上がるので国民の負 担が増えるというところで、足りないから安易に医師を増やすというわけにはいかない と云いました。どういう医師を、どういうふうに育てるか。本田委員が患者側あるいは 国民側の立場で縷々意見を述べられましたが、全くそのとおりだと思います。ですから、 医学教育とか医師の育成のシステムを抜本的に変えていかないといけないのではない か。これは我々だけの意見ではなくて、提言はするということですけれども、最後にこ れがあったので、これをある程度前向きに検討するという答申にするか、単に意見があ ったという答申にするかということです。いまのご意見では、今後の方針の中で極めて 大きな部分でもあるのですが、委員の皆様は改めて検討するということでしょうか。 ○内田委員 これと関連しての話になるのですが、要するに今のお話はマクロとミクロ の話と、総論と各論というか、あるべき医療と現状をどう解決していくかという議論と、 行ったり来たりしているという感じがしています。もちろん、あるべき医療ということ を申しますと、定員を増やしてもっと充実した医療を提供することが必要になってくる と思います。外国の医療が良いと言う方はたくさんいると思いますし、アメリカの医療 が手厚いという議論も出てくると思いますが、要するに今の限られた医療資源の活用と いうことで言えば、医療費の抑制政策の中で医療の安全や質、アクセスのよさを担保す るということは限界があるのです。ですから、そこのところをきっちり踏まえた議論で ないと、ただ単に現場で足りないから数を増やせという議論では全く根拠がない。  この検討会で何を打ち出すのかということは、マクロで、現状で解決できないかとい うことです。それは喫緊の課題になっていますから、そこのところをどう解決していく かという議論を少し具体的にしていかないと、全体に話を広げてしまうとなかなか解決 ができないというか、方向性が見えてこないという気がしています。 ○矢崎座長 いままでご発言のなかった川崎委員、いかがですか。 ○川崎委員 難しいですね。 ○小山田委員 私はいまのご意見に大賛成です。 ○矢崎座長 いかがですか。 ○吉新委員 地域医療定着策を前提としての医師の増員というのを、是非検討していた だきたいというのが私の立場です。というのは、第10次のへき地保健医療計画が今年 できましたが、へき地へのシステム化ということに関しては、へき地の現場は一本釣り の状態でシステム化されていないのです。離島のドクターは以前と同様に1人勤務が圧 倒的に多い。そういう意味ではいろいろな支援が国の施策の中で始まりましたが、何と かもう少しマンパワーがほしいなという感じがあります。  自治体病院に我々が勤務する場合、自治体病院も統廃合というか集約が十分でない地 域もあり、そういう所では医師の奪い合いというか、かなり政治的な意味合いの医療機 関の医師確保等が行われることもあり、そういう所ではある程度のきちんとした供給の 仕組みがあるべきだと私は思います。そういう意味では内田委員が言われるように、き ちんとした計画なり議論ができればいいのですが、実際の現場はなかなかそういうふう になっていないということがあります。もう少し供給があってもいいのではないかとい うのが私の個人的な印象なものですから、絶対的な数としては、へき地や離島ではまだ 不足しているということは言っていいのではないかと私は思います。 ○矢崎座長 いまのお話は、26頁のこれとは違います。 ○吉新委員 違いますが、背景にはそういうことがあるので、「暫定的な増加を検討す べきである」というふうに、できれば書いていただきたいということです。 ○矢崎座長 古橋委員、いかがですか。 ○古橋委員 いま発生している問題の解決ということを考えると、医師数を絶対的に増 やすのだということではなくて、ここのタイトルにありますように暫定的な調整という 言葉が使われています。ですから「意見があった」では、この報告書として、この事に 対する姿勢は非常に引いた言い方だと思いますので、私としては、「暫定的な調整を検 討する必要がある。それが課題である」というふうな書きぶりがいいだろうと思ってい ます。  話が外れて恐縮ですが、この医師の需給というのは通常の市場原理が本当に機能しな い領域だという気がします。1つには、その根っこに個人の自由選択制があると思いま す。しかもその選択は医師一人ひとりの、その人個人の判断で選択されていくというあ たりで、社会の需要からみて、普通経済界などで機能するようなものが働かない。医師 という専門性の高い職業では、仕事先、仕事内容がプロフェッショナル・フリーダム下 にあります。私はプロフェッショナルなコミットメントを促すような対策、体制として は、国民がどういう病気に罹っていて、どういう受療行動があり、どういう患者さんが どのくらい多くて、手術がどのくらい行われて、どういう医療が行われているかという ことに対して、それぞれの医師がどのくらいいるかというあたりの、それこそ大きなデ ータの情報がないだろうという気がしています。  それらをどのように出すかは別ですが、1つの資料として国民皆保険によるレセプト があります。受療行動調査というのもあります。医師がどういう診療科で、どこで仕事 をしているかも調べようと思えばわかります。そういう点では、少ない所は大変だから 少ないという市場原理の要素もあるわけです。少なくて不便で不都合な人は、市場原理 から言ってどういうことから働く必要があるかといえば、そういうところが手厚く手当 されるとか、あるいはその事によって自己実現が高まるとか、そういう要素が明らかに ならないと医師が働かない気がします。そういうことを医師たちにもっと情報提供する。 いま需要としてこういうことがあるなど、もう少し情報提供が要るのではないか。  いま、私も現場を見ていて、本当に病院の先生たちは大変です。1つには、最初のほ うに理由が書かれていましたが、私は6つある理由に追加していただいたほうがいいと 思っていることがあります。患者の入院期間の短縮と、人口の高齢化が医療密度を本当 に高めていると思います。患者さんが全体的に高年齢化していることは、医療密度、診 療密度を高めているという気がするのと、医療技術の向上というのが3番にありますが、 同時に医療内容の複雑化、多様化があります。これも言い古されていますが、報告書で は言葉で入れておいていただくといいと思います。  もう1つは、専門医志向があることに触れたように、国民の要求する医療の質の膨張 と受療行動が変化してしまっています。いくら「かかりつけ医です」と言っても、先ほ どの会議で出たのですが、新しくできた特定機能病院に地域の皆さんが地引網で引かれ るようにドッと押し寄せるそうです。ですから、いわゆる国民の医療機関選択の判断基 準というのも、あまり操作できないことですが、これが大きく変わっているあたりが、 医療の現場を多忙にしています。  もう1つ、日本医師会の先生もおられますし、自分自身も診療所で10年働いた経験 がありますが、診療所は大変です。1人の医師がすべての責任を背負い、いつも事故と 隣合せで、事故のことを心配しながら診療するという点で本当に大変です。いまひとつ は、開業医志向がある目的をもってなされ、過重な労働からの脱却という形で、診療所 への自由選択の開業もやや進んでいるのではないか。そしたらこれは公的な機能もある わけですから、診療所開設の方は医療クリニックで好きにすることもよしとするけれど も、一方では、24時間対応する所には、それなりの市場原理としてのある種の利益が 付くような、そういう整理も要るのではないか。  長谷川委員は、診療所の先生方の病院医療へのカムバックが必要だと言われましたが、 それが適うかどうかは私はよくわからないので、診療所開設についてもある条件が要る のではないか。内田委員からはお叱りを受けることを承知で申し上げると、診療所開設 に条件をつける必要があるのではないかと考えます。 ○矢崎座長 ちょっと待ってください。議論が拡散してしまいました。 ○古橋委員 元に戻しますと、「意見があった」ではなく、「検討課題とする」という ことです。 ○矢崎座長 いまのご意見を総括しますと、検討するとすべきというのが吉新委員で、 慎重に対応すべきだというのが内田委員です。あとの方はその中間で、どちらかという と前向きに検討すべきだという意見が多いと感じましたが、いかがですか。よろしいで すか。そうすると文言を「暫定的な調整を検討すべきである」と言うと極めて強いので、 いま古橋委員が言われた、「検討する必要がある」という文言に直させていただいて、 それで納得いただけますか。改めてバックグラウンドから検討するということです。そ の検討するというのは、この暫定的な調整を前向きに検討するということで、これは検 討会でそういう文言にすると言えば、事務局もそういうふうにしていただけると思いま す。 ○江上委員 いまのさまざまなご意見を伺っていて、先ほど内田委員が言われた、要す るにマクロの数字として今回出して、いくつか留意事項を踏まえたということ。しかし ながら、繰り返し議論が重ねられている大きな根幹というのは、あるべき体制のところ に踏み込んだほうがいいのかどうかというお話だったと思います。  そういう意味で言うと、私は医療の世界ではないのですが、例えば弁護士の専門資格 をどのように日本で変えてきたかというのが、ひとつの参考事例になるかと思います。 法科大学院を作って弁護士を大量につくり、それは会社法なども変えて事前規制型から 事後監視型の行政に変わり、どんどん訴訟内容なども渉外弁護士のものになってきて、 弁護士の活動も個人的な作業から、どんどん弁護士事務所が合併し、今度は400人規 模のローファームが日本でもできるというくらい、大変に変わってきているのです。  そういう意味で医療も、本田委員が言われましたが、私も重篤な肝臓癌の家族を抱え て、6年間、あらゆる病院、あらゆる治療法をずっと調べてきました。最終的に肝臓科 というのがここにあるというのが分かったり、ここではこんな先端的治療をやっている ということが分かって、そういう情報を私たち国民や患者は、あらゆるクローズドな世 界の中で口コミと、いまはインターネットや国立病院等で治験結果が出ています。そう いうものを探して医師や治療法を頼って動いているわけです。  そういう意味では、おそらく医療の世界で医師は聖職でクローズドな世界だったと思 いますが、これからはそれだけでは立ち行かないのではないか。ですから地域別、専門 別、医療形態別の医師の需要と供給の調整システム、調整機能を、行政そのものがやる わけではありませんけれども、第三者機関あるいは推進機関みたいなものが、まず研究 するという課題を、「おわりに」のところに明記したほうがいいのではないかという気 がします。まず研究からでいいと思いますが、この「おわりに」の3つ目の○は、あま りに当たり前のことが書いてありますから、それよりも少し医療の医師という世界の中 でのクローズドな需要と供給の職業の仕組みを変えていくという、その課題提示をした ほうがいいのではないかと思いました。 ○矢崎座長 おっしゃるとおりですが、私の経験だとなかなかこれは難しい課題です。 だけど先ほど本田委員も言われましたし水田委員も言われた、要するに医師がそれぞれ 働くインセンティブがちゃんとあるような環境を作らないと、なかなか難しい。中に環 境整備とかいろいろ書いてあるのですが、改めて「おわりに」に少し書きましょうか。 ○江上委員 まずは情報を徹底的に公開していくことが必要だと思います。環境整備と かインセンティブというと力学がだんだん働いてくると思います。こういう治療法があ る所で行われているという情報があっても、自分の受けている病院では全然そういう情 報は提供してくれないとか。 ○矢崎座長 いわゆる医療情報の開示ですね。それは行政的に局長と審議官にお願いし て、本当に良い医師は誰なのか、いま週刊誌で名医のランク付けとかありますね。ただ、 もう少しエビデンスに基づいた評価がしっかりできるような仕組みを、何か作るという ことですね。 ○江上委員 ある国立大学などは非常に情報公開をやっています。やっていない所もあ ります。 ○矢崎座長 吉村委員が先ほど手を挙げられましたので、どうぞ。 ○吉村委員 医師の不足については、数の問題でないということは皆さんおわかりだと 思いますが、その不足の数が何かというと、いま江上委員からありましたように何でも 診てくださる医師も必要ですよね。それと各診療科できちっと診てくれることも必要で す。例えばお産ならお産をしっかりやっていただく。眼科だったら白内障をしっかりや っていただく。さらにその上に熟達した医師というのでしょうか、例えばカテーテルを やったりといった非常に専門的な医療をやる。そういう3つぐらいで、その中で患者さ んはどれを求めているのか。簡単な病気であれば何でも診てくれる医師でしょうし、病 気だと言われたらきちっとしたそれぞれの領域の医師ですし、さらに難しい病気となる と名医を求めることになるのではないかと思います。  いずれにしても数の問題ではないということは、皆さん、よろしいかと思います。そ ういった何でも診てくださる医師、それぞれの領域のきちっとした修練を経た医師、さ らにその上の熟達した医師と、3つぐらいをしっかり養成するシステムがないと、いく ら配置するとか仕組みを考えてと言っても、医師が育っていなければ配置も何もないわ けですから、両面を考えないといけないと思います。そういう意味では、矢崎座長の考 えられた提案は、配置のことと養成のことをきちっと書いてあると思います。  ただ、1つ私が問題だと思うのは7頁の小児科のところです。いちばん下に「小児科 は減少する傾向は見られない」と書いてあります。9頁で上のほうの3分の1ぐらいで、 これは産科の医師でしょうか、「医師の傾向に変化は見られません」とあります。さら に11頁になると、これは麻酔科のことですけれども、「順調に増加している」という ことで、我々の認識としては数はいいですよということ。ただし、地域の偏在と診療科 の偏在はあるのではないでしょうか、ということから出発していると思います。最後の ところの提案は大変結構だと思いますが、数は最初にありますよと、診療科については 麻酔科も小児科も順調に増えていますよと、ただ問題なのは診療科と病院の関係ですよ とか、そんなことが書いてあるのかなと思います。順調に増えているけれども、問題が あるというふうに書いていただかないといけないと思います。 ○矢崎座長 ご指摘のことは十分理解しているつもりです。前段のお話は医師の育成に 関することであり、これは今までの専門医制度では限界があるのではないかということ で、いま、医師会と日本医学会と池田先生の認定制機構の三者で自主的にある程度のグ レードを付けて、ある程度の高度な技能を持っていれば、例えば診療報酬に反映させる 可能性もあるとか、そういうお話のあることを仄聞しています。池田委員、いかがです か。 ○池田委員 この文章をよく読むと、そういうことは一応全部盛ってあるのですが、読 み方によってどこに力点があるかということで、少し皆さんの意見が異なるのではない か、私はそれだけの話ではないかと思います。ですから、いま矢崎座長が言われたよう に医師と言っても医療の中で役割分担がある。その人たちにどういうインセンティブを 与えるかということを、どこに提示して、その議論をこれから進めていくかという方向 性を少し出せれば、実際にはそれぞれのことに書いてあるのではないかと私はこれを読 ませていただきました。  おそらくこの検討会が終わってから、具体的にいろいろな施策を議論する場は当然な ければいけないと思います。これをやったらもうそれでおしまいということではないだ ろうと思うので、次につながるような方向性があればいいと思います。その辺を例えば 医学会やそれぞれの学会あるいは医師会にボールを投げることも、私は必要なのではな いかと思っています。 ○吉村委員 それは結構だと思います。矢崎座長の提案も全部書いてあると思います。 ただ、最初に書いてあるのが順調に増加していますとか、診療科についても増えていま すとなっています。 ○矢崎座長 卒後の臨床研修終了後のいわゆる後期研修では、診療科によって大学に進 む方々と臨床研修病院に行く方があって、実践的な臨床能力を付けたいという領域の方 は、大学病院ではなくて研修病院に行くようです。大学病院が極めて入局者が少なくな ったと言っても、研修医で調査すると意外とそうではなく、大学の範囲外の所で研修し ている人が多いのです。ですから、大学の先生、学会の先生の意見だけで、それが正し い姿かどうかというのが、ちょっと疑問だったのです。小児科、産婦人科もそうですが、 ここについてはそういう統計がありますので、どうしてもこういうふうな書きぶりにな ってしまったのです。 ○吉村委員 増えているのは事実だと思うし、いいと思いますが、増えているけれども 現実には産科の医師が足りない。あるいは小児科の開業の先生方も9時から5時で夜中 にドッと押し寄せるとか、いろいろなことがあって大変な負担がきているというふうに 書いていただかないと、これだと数もいいですよ、診療科も増えていますよということ になります。 ○矢崎座長 そうではなくて、診療所の医師も休日・夜間診療に積極的に参加してほし いということを、特に書き加えておきました。 ○吉村委員 診療所と病院の負担が違うと書いてありますが、ただ、十分に充足してい ますよという論調になっているのです。 ○矢崎座長 その辺は、またご相談したいと思います。 ○吉村委員 増えてはいるけれども、いろいろな要因で問題があるというふうにしてい ただきたい。 ○矢崎座長 是非、大学で小児科、産婦人科の希望者が多くなるように頑張っていただ ければと思います。 ○吉村委員 大学とか、そういうことではありません。 ○水田委員 私、意見としてメールを送ったはずですが、簡単な要旨を最初に付けた方 がきちんとしたものになるのではないでしょうか。現在のものでははじめから終わりま でずーっと読んでいくと「なるほど」と思うのですが、最初の部分でかーっとなるので す。足りていると言われてもそんな話では無かったと言いたくなりますので、要旨を最 初のページに入れるということです。 ○矢崎座長 そうですね。 ○水田委員 11ページの麻酔科のところですが、麻酔科の先生方は尊敬されていない から志望者が少ないと言っているようですが、何か勘違いしているのではないでしょう か。麻酔科というのは手術の時に外科医と充分デイスカッションした後で、麻酔をかけ て術中管理をするのが仕事です。 別に外科医が偉いとか、麻酔科医は尊敬されないとか言う問題では無いはずです。です から今回の提言で麻酔医の意見を良く聞いてなどとわざわざ言う必要が有るのでしょう か?ちょっとここは書きすぎではないかと思います。 ○矢崎座長 わかりました。 ○水田委員 江上委員が言われたように情報の開示は大変大切ですが、国民の皆さんは 何もかも診てくれるお医者さんを望む一方、専門医も望むと言う傾向です。両方を一人 ではできません。 ですからまずは何もかも診てくれるゼネラリストのお医者さんを信じて欲しいのです。 そういうお医者さんが、これは自分のところでは手に負えないから大きな病院へ送ると か、専門医にお願いするとか、そういうことをきちんとしてくれていることを知って欲 しいと思います。インターネットで探し回るのではなく、自分の主治医、かかりつけの お医者さんを信じることが一番大切ですので、国民の皆さんに「患者学」を勉強してい ただきたいと私は思います。 ○矢崎座長 本田委員を中心としたメディアの方に、よろしくお願いしたいと思います。 ○本田委員 いま水田委員が言われたことはすごく重要で、患者も困っているのです。 何もかも診てくれる医師が必要な時にちゃんと送ってくれるという信頼があれば、こん なにあっちに行ったり、こっちに行ったりしなくていいと思うのですが、たぶんそこの 信頼がいまないのだと思います。  それはでも信頼しろ、信用しろでは、このご時世ではなかなか難しいので、診療所の 開業医の先生方もどういうことを専門にしていて、振り分けは任せろということを情報 公開する必要があります。病院の情報公開は進んでいますが、診療所の情報公開はまだ 遅れていて、そこが患者に信頼しろと言われても難しいところだと思います。 ○内田委員 医療提供体制のところで私は申し上げたのですが、かかりつけ医がいる患 者さんに関しては、自分が受けた医療に関する満足度が90%近いのです。ところが、 かかりつけ医がいない患者さんに関しては50%を少し超えるぐらいです。それは信頼 関係ができていないと、そういう振り分けということに関しても不安を持って行くわけ ですから、その辺については医療の質が同じであっても、受ける印象は全く違ってくる というのはすごくあります。  医師会の話が先ほど出ていたので、誤解はないと思いますが申し上げておきます。医 師会は医療提供の現場の医師たちの集まりなのです。それは病院の関係者も入っていま すから、開業医の代表だけではないということは是非、ご承知おきいただきたいと思い ます。私もそういう立場で今回の検討会で発言させていただいています。  市場原理が働いていないというご指摘がありましたが、これは逆です。市場原理が働 き過ぎて全く自由選択制になっているので、こういう状態が起きている。その中で今後、 いろいろなファクターが働いて少しは調整機能も働くだろうとは思っていますが、それ を全く管理に持っていくのか、そうでないのかという検討は、この中でやったほうがよ かったと思っています。 ○矢崎座長 いまの本田委員をはじめ、メディアの方に医療についてのご理解をいただ きたい。その意味で26頁の赤い○の中の中ぐらいに、「国民の医療に対する期待は、 一般的な医療については、身近なところで患者の抱える問題の解決につながる丁寧な対 応を求めている。また専門的な医療については、十分なレベルで提供されることを求め ている」ということです。ただ、いま本田委員が言われたのは、病院については比較的 情報開示が行われているけれども、診療所に関してはなかなか一般の住民の方がわかり にくい。ですから医師会には是非、住民が地域の診療所を信頼し、頼れるような仕組み を作っていただきたいと思います。 ○内田委員 この辺に関しては現在、自由標榜制というのがありますので、その辺の絡 みがかなりあると思います。地域的に開業医の医師が1人しかいない山間へき地という 状況もあるわけです。その場合には何でも診なければいけないということもあります。 先ほどもお話があった認定医、専門医の問題もありますし、いろいろな問題が絡んでく ると思いますが、情報公開という点では分かりやすい情報、的確な情報ということで、 検討していかなければいけないというふうに思っていますし、今度、おそらく厚労省の 委員会の中でそういう検討が行われると思っています。 ○長谷川委員 これが長谷川論文であるという誤解があって、それは全く根拠がない誤 解です。逆に私は長谷川論文にしていただきたいと思います。というのは、資料でご提 供しましたが、提供が遅れて事務局の方がお読みになる機会がなかったので入れていた だけなかったと思います。今回の全体的フレームは結論的に言うと19頁と20頁に書 いています。長期の予測については、一応、私が考える前提では均衡すると申し上げて いますが、その均衡がどうなるかについては、よくわかりません。ほかの条件があるだ ろうという議論もあろうかと思います。  ただ、1つだけはっきりしていることがあって、それを強調して書いたつもりですが、 現在、医学部定員を増やしても、いま目の前にある不足感に関して充足しない。したが ってその解決方法として、将来の需要がものすごく増えるから、医学部定員を増やせと いう議論にはならないということは事実なのです。目の前の現実について皆さん方は大 変困っておられるので、将来の予測で均衡すると書いたのは気になると、感情的に言っ ておられるように私には聞こえます。いちばん重要なポイントは、例えば予測が間違っ ていたとしても、目の前の不足について学部定員を増やして、将来、20年後、30年後 に医師が増える方法でも解決できない。できないということは、目の前にある持駒で解 決しなければならないということになります。  そうすると、駒を増やすということはあります。例えばその他の職種の人に参入して いただく。どんどん権限を与えていくということもあります。それ以外は、ここにある 特に病院の経営システムを改善していくことが重要で、19頁から20頁にかけてある ように日本の医療は国際的に見ても生産性が低い。だから根本的に病院経営を見直す必 要がある。例えば病床が多過ぎる。50床なんて多過ぎるから30床に減らすべきだ。 外来は大き過ぎる。もっと外来の機能をアップして専門外来のようにしていく。あるい はほかのチームとのスキルミックスをしていく。あるいは院長に権限を与えてもう少し 自由裁量にして、いろいろな職種の給与や権限を変えていって生産性を高める。そうい ったことをこの5年、10年の間にやらなければ解決しない。これが明確になったとい うのが私の報告の趣旨です。  将来、均衡するとかしないということよりも、現在、医学部定員を増やすというオプ ションをとっても、現在の課題というのは、いまある病院の生産性を上げるか、医師以 外の職種に参入していただくかという処方しかないのだということ。その中で、それを どうするかというふうに、政策を展開すべきであるというのが長谷川論文の本質ですの で、そのように書いていただきたい。是非、報告書を長谷川論文のようにしていただき たいと思っています。 ○矢崎座長 委員の方々はいろいろ思いがあって、ただ、問題は病院の医師が少ないと いうことです。ところが、病院長の権限というのは意外と少ないのです。水田委員は強 大な力を持っておられるかもしれませんけれども。 ○水田委員 そんなことありません。 ○矢崎座長 病院長がある程度自主的に自己完結型で努力されてやるのが第一歩ではな いかと思いますし、そこを書こうと思ったのですけれども。山本委員の日本病院会の病 院は、ちゃんと病院長が責任を持っておられると思います。 ○山本委員 いまの長谷川委員のご意見は、目の前の解決が大事なのだと、持駒の中で やるべきだと、これはよくわかりますが、それで本当に近未来的に、いま国民あるいは 患者の皆さんが望んでいる病院の医療の質、安全を確保した良い医療を提供できるのか ということは、我々提供する側からすれば常に考えていなければいけない。  現在、はっきり言うと、このまま例えば目の前の解決をいろいろ工夫してやったにせ よ、おそらく2年後、3年後には医療難民が出るかもしれませんし、いまの医療の中で 本当に国民が望む高い質の医療を提供できる環境が作れるのか、これは非常に疑問です。 そういった意味では、中長期的な視野というものは常に持って、ここにそういったこと は入れていただいていますけれども、そこは非常に重要な部分だと思います。 ○長谷川委員 私は中長期的に書いています。私が言っているのは目の前の手駒で何か 解決する。これから10年間、それしかないと言っていて、それについては短期で決戦 的にできるか数は逆に少ないかもしれない。 ○矢崎座長 でも長谷川委員、その話はまた別にして、山本委員の言われたことですが、 最初に言われましたよね。病院が機能分化して、国民の医療ニーズはいろいろあります ので、それに応える。病院としてある程度の体制を整えないといけない。それには全部 の病院が全部同じようなことをする必要はないわけです。そこで中で工夫して、いまの 状況を打開しないといけない。だから、この検討会は単に数を増やせとか、長谷川委員 の言われたようなことではなくて内容を少し変えていく。それは病院だけでなく医療全 体で是非、医師会も協力していただいて、本当に医師の専門職が全体で力を合わせてこ の問題を解決しないと、どこが悪いとか、どこの責任ということを指摘しても始まらな い。建設的なことにならないので、どうしたらいいかということを今後、詰めていくと いうことで、全体的に状況の把握というのは、ある程度皆さんが共有できたと思います。  その共有した中で、こういう報告書をまとめさせていただきますが、今日お聞きした ご意見を1つ1つピックアップしながら検討し、また各委員の方にフィードバックして、 最終的にはいちばん大事な水田委員が言われる概要を付け、そこでクリアーな形にした いと思います。よろしいですか。まだまだご意見があると思いますが、お聞きした中で この報告案の本筋はご了承いただいたので、あと加えるべきところは加え、ご理解いた だきたいところはご理解いただいて、概要をまとめて最終的な報告にしたいと思います。 よろしいですか。 ○小山田委員 それは、もう一度この会を開いていただけるのですね。 ○矢崎座長 一応、今日でまとめさせていただくということです。 ○小山田委員 それは反対です。というのは、今日も大変貴重な意見が出、また書き方 についてもいろいろ出ました。これで後は任せるでは誠に無責任な話で、もう1回、何 で開けないのですか。それをやって、サマリーも含めて、これでいいですねというふう にしてくれませんか。これはできないですか。 ○矢崎座長 できないということではないのですが。 ○小山田委員 1時間でもいいです。前もって送っていただいて、ここだけはというこ とがあるかどうか分かりませんが、おそらくないと思いますけれども、そうしたことを しないで、今日も書き方とかサマリーのことなどいろいろありました。それを出して、 これでいいですねという会がないと今日の会の意味がない。どう捉えられたかというの が分からないので、もう1回開いてほしい。明日でもいいです。 ○矢崎座長 ほかの委員の方は、どうですか。 ○古橋委員 いただいた以前の通知では、目標は今日でということだったと思いますが、 7月31日に予備日的にご案内をいただいたのです。ですから、私も実はサマリーがど ういうふうになるか、もう議論はあまり沸騰しないだろうし、集約の段階ですからもう 1回開いて、こういう報告書だというのを委員一同が確認するというのは、いかがでし ょうか。私もそちらのほうがいいように思います。31日は予備日として私の手帳には 入っています。 ○矢崎座長 ほかの委員の方々、どうですか。大体、書き込み過ぎるぐらい書き込んで あり、重要な文言は先ほど訂正させていただきましたから、あとは少し修飾するぐらい です。もう開かないということではありませんが、また皆さんにお集まりいただいて議 論する必要があるかどうかということです。 ○泉委員 私は大体方向は見えたので、あとは座長にお任せしてもいいのかなと思いま す。ただ、いま出てきた個別の今後の検討の課題を、今後、事務局のほうでどんなふう に取り上げていただくのかというところを、この場でお聞きできれば、あとは皆さんも ある程度納得されるのかなと思いますが、いかがですか。 ○医事課長 まずサマリーの件につきましては、サマリーができていると、いかにも固 まっているみたいな印象を与えるかなと思って遠慮させていただきました。かえって失 礼しました。いま、泉委員からありました件については医療部会でいろいろな議論をし てきたわけですが、その医療部会の中でも十分積み切れなかった問題として、先ほど出 ていた専門医の問題等も含めて、これは既に先般、医療施設体系のあり方の検討会を設 けて今やっています。したがって今回、座長が何回も言われたように、この需給の検討 会報告書でどこまで書くのか。この需給の検討会のミッションはどこまでなのかという ことも踏まえ、その解決策等は、またそういった場での検討が可能かとは思っています。 ○矢崎座長 よろしいですか。ほかにいかがですか。 ○山本委員 最後に、もう一度集まっていただいたらどうでしょうか。31日は予備日 と私も聞いて時間はとってありますが、ほとんどこれでまとまって文言を多少変えれば いいというのは、確かにそのとおりだと思うし、それを座長にお任せするのもいいと思 います。ただ、サマリーという新しい問題が出たので、おそらく次は、これでいいかと いうことになるのだろうと思います。そう何回もやっていいという話にはなりませんが、 少なくともお2人の方はやろうというご意見ですので、最終的に締めの意味で1時間ぐ らいあればできる話だろうと思います。議論をするのではなくて最終確認という意味で は、いかがでしょうか。 ○矢崎座長 いかがでしょうか。 ○内田委員 一応、厚労省でまとめていただいた案を見せていただき、その時点で必要 かどうかということで、大体固まっていますので、サマリーと言ってもそう新しいもの や、おかしい話が出てくるとは認識していませんから、とりあえず取りまとめをしてい ただいて、それを検討した上でということでよろしいのではないかと思います。 ○池田委員 私もそれでよろしいかと思います。サマリーという格好で出していただい て、それを皆さんにお配りして見ていただき、あまりにも自分で考えたのと違うという 人がいましたら、また考えればいいと思います。それで特に問題がなければ私はよろし いのではないかと思います。 ○矢崎座長 本田委員はいかがですか。 ○本田委員 私も気になるのは、サマリーにどれを書いて何を強調しているかというと ころなので、それを事前に見せていただいてちょっと言いたいとなったときに、それは 31日までに見せてもらってということですかね。サマリーでどこを強調しているのか というのはすごく気になるところです。それについては何か言いたいという人が多いか なと思います。 ○矢崎座長 そうすると各委員の方の思いで、サマリーにならなくなってしまう可能性 もあります。だから集まるとかえってサマリーが、またこれが足りない、あれが足りな いと言って、また次に開かなければいけないという循環を繰り返す可能性があります。 本当にご不満があるかもしれませんが、何も私が取り仕切っているわけではありません けれども、もう15回も議論を尽くして更にまた議論しても、今度はサマリーでどれを 入れるかどうかということなので、座長の私と医事課長がサマリーの原案を作ります。 それで皆様にお送りして、いま内田委員が言われたようなことがありましたら、またお 声をかけるということで、早急にサマリーの原案を作らせていただき、皆様の意見の集 約をさせていただきたいと思います。 ○小山田委員 サマリーだけではないです。この書き方とか順番とかいろいろな意見が 出ました。ですから、これも全部やってサマリーも付けて、それをやったらいいのでは ないですか。 ○矢崎座長 これは15回もやっていますからね。 ○小山田委員 これは事務局でやればいいのではないか。今日出たように順番を変えて サマリーを付け、前もって委員に配って31日にやれば、私はそれで決着が付くと思い ます。それがなぜできないのと言いたい。 ○矢崎座長 なぜできないではなくて、それは委員の思いと皆さんの思いと違うところ もあるかと思いますし、私としては15回の検討の成果をまとめて、今日の議論でこれ を大きく変更するようなところはほとんどなかったと思います。いちばん大きな点とし て、暫定的な調整を検討する必要があるということが極めて大きいと思います。 あとは医師の需給の本質ではなくて、いま困っている病院をどうしてくれるのだという 意見が強く、それは個別的なことで、言わせていただくと何で病院がそうなったのだと いうところもあります。それは今までの病院のあり方の問題もあるので、いま、こうな って医師が足りないから何とかしろと他に責任を求めるよりは、まず病院自体が自分の 病院の生産性を高めて、地域との連携あるいは病院間の連携をしっかりして、必要なら 重点化、集約化をスムースに行って対応するのが本筋であるというのが私のまとめなの で、また詳しくこうだ、ああだというと語弊があるかもしれませんが、尽きない議論に なってしまう可能性もありますから、私としては、もうここである程度集約させていた だきたいと思います。 ○小山田委員 4人ももう一度やりましょうと言っているのに、何でそう抵抗するので しょうかね。 ○矢崎座長 私は小山田委員と同じように、そう言われるとますます意固地になります。 ○小山田委員 これをマスコミの方々は書いてください。 ○矢崎座長 委員はいつも外でこの検討会のお話を言われているので、マスコミは十分 に委員の意見というか、これは録音はいいですが、小山田委員の危機感というのは十分 わかります。ですからそれを無視するというわけではないのですが、医療全体のあり方 を議論して、国民がどういう医療を求めるか。それに応えるにはどうしたらいいかとい うことは、医師の需給の検討会以上にこの中に書き込み過ぎたくらいに書き込んで、水 田委員から怒られてしまったのです。そういうことですから個々の問題について、本当 はそういう議論はあまりしないつもりだったのですが、どんどん熱くなってきて、これ はこの辺でストップしないと切りがないと、大変申し訳ないですがそういう感覚があり ます。  日本の医療の問題や医師の育成の問題は極めて難しい問題で、何で卒業生が勝手に自 分の志望を決めてしまうのかという疑問もありますし、どういう仕組みになっているの かという問題もあります。情報開示の問題やいろいろ複合した問題がありますので、こ れを一編の報告書にまとめるというのがそもそも難しいのです。そういう意味でポイン トだけは押さえさせていただいたということです。ただ、今日いただいたご意見で、吉 村委員からありました診療科の問題についてはもう少し考えないといけないと思いま す。 ○本田委員 ちょっとマスコミチックに言うと、確かに文言はいろいろあるのかもしれ ないけれども、それは基本的に出尽くしてきっちり書いていただいて、結局は本当にす るかどうかです。そこを病院も都道府県も国もだと思いますが、やるかどうかというと ころが問われるので、確かに細かいことはいろいろあるかもしれないけれども、次のス テップとして検討の場を設けるのかどうかとか、そういうことが大事だと思いますから、 少しでも早く次のステップに移っていただくというのが重要かと思います。 ○矢崎座長 それは先ほど泉委員が言われたとおりで、医政局の局長と医政担当の審議 官がいますので、よくそれを聞いていただいて、この報告書はそういう行政や国に、こ れで実際に具現化してほしいという報告書になるかと思います。是非、厚労省のほうで も検討を進めていただければと思っています。  定刻の時間が過ぎましたので、一応、大筋はこの報告書でしていただいて、サマリー に関してはまた原案を作らせていただき、委員の方々にご意見を伺いたいと思います。 「おわりに」のところに「実施することが求められる」と書いてありますが、これをも うちょっと強く書くかどうかということです。ご不満が多々あったかと思いますが、こ れは私の座長としての能力が足りなかったと思います。 ○吉村委員 27頁のいちばん下の「今回の医療制度改革で示した方針」というのは、 どのことを指しておられるのですか。この検討会ではないですよね。 ○矢崎座長 これは書き直させていただきます。本質に関係ない。要するに本田委員の 言うように、国がしっかりやってくれということを書きますので、医療制度改革という ことではなくて、厚労省として局長と審議官にしっかりやってもらいたいということを、 最後に書かせていただくということで、よろしいですか。  今日は本当にいろいろご意見をいただきましたが、サマリーを付けてメディアの方に はそれを正式にお配りして、ご批判をいただくことになるかと思います。私としては日 本の病院が本当にこのままでいいのかという危機感があります。ですから長谷川委員が 繰り返されたように、日本の病院のあり方、医療のあり方もよく考えないといけないし、 医師の育成のあり方も考えないといけない。国民の皆様には医療というものを理解して いただきたい。その理解するための基礎的な情報を得るために、国民の皆さんにわかる ような仕組みを是非作ってほしいという要望もありました。そういうことを総合的に捉 えて、今後の医師の需給について検討されると思います。15回にわたって大変熱心に ご議論いただきましたが、一応、これで検討会をまとめということにさせていただきた いと思います。事務局から何かありますか。 ○医事課長 いま座長からお話がありましたように、報告書の案文については座長のご 指示を得て修正したいと思っています。サマリーも重要なものですので、これにつきま しても各委員の方々に事前にご確認いただいた上で、公表の手続をとりたいと思ってい ます。できれば今月中に公表したいと思っていますので、我々もなるべく早く作業しま す。ご協力をよろしくお願いします。最後に医政局長から一言、ご挨拶を申し上げます。 ○医政局長 委員の皆様方には昨年の2月からでしたが、15回にわたりまして当検討 会にご参集いただきまして、大変活発にご議論いただきました。厚く御礼を申し上げた いと思います。  地域や診療科における医師の偏在というのは、ますます大きな課題となっているわけ でございます。ご存じのとおり先の国会でも衆参両院で、この地域・診療科における医 師の偏在について、早急な対応策を講じる必要があるという観点からの議論をいただい たところです。私どもも患者さんあるいは国民の不便あるいは不安とともに、医療現場 の医師のご苦労ということについても重く受け止めているところでございます。  先般、成立しました、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部 を改正する法律の中においても、法律で行うべきことを書いておりますけれども、その 他、来年度予算も近々、また概算要求に向けて取り組んでいるところでございますが、 いろいろな面から取り組んでいるところでございます。今回のご議論も踏まえまして、 引き続き今後とも文部科学省あるいは総務省とも連携しながら、具体的な取組みを進め ていきたいと考えている次第でございます。これにつきましては委員の先生方にも引き 続き、ご指摘あるいはご協力を賜りたいというふうに思います。  今回の医師の需給に関する検討は、現場での医師の不足感を背景に行ったものとして は初めてのものでございました。そのために医師数のあり方だけではなくて、現場で発 生しているいろいろな問題の解決につながるよう、長期的な展望も踏まえまして、有意 義かつ多面的なご議論をいただいたところでございます。本日のご議論でもまだまだい ろいろご指摘がございました。座長に一応の取りまとめをいただきましたが、できれば 予備日を使ってもう1回、議論したらどうだという大変に強力なご意見もいただいたと ころでございます。  今日の報告につきましては座長預かりという形ではなくて、また今日のご意見を踏ま えた修正案を、各委員の先生方にお示しをしまして、サマリーも含めて、小山田委員は 付箋を付けてまたご意見がたくさんございますので、小山田委員に限らず各委員の先生 方、もう1回子細に見れば、まだこういうふうに修正すべきだというご意見があろうか と思います。時間は非常に少ないわけでございますが、是非またそのご意見をいただい て、できる限りそれを踏まえた上で、またお返しをするといった作業を精力的にやって、 最終のご報告にいたしたいと考えております。膝詰めでやってもよろしいのではないか と思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  結論として、行政だけでなく大学あるいは医療機関、医師会等関係団体等が連帯をし て、患者さん、国民の理解も得ながら、医療の向上に取り組まなければならないという ことは、この審議の中でも明らかとなったと思っております。各委員の先生方のこれま でのご尽力に感謝を申し上げますけれども、問題の解決につきまして、なお一層のご支 援とご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきたい と思います。  最終の報告には若干の時間がございます。本当に膝詰めで談判も含めて各委員の円満 なご了解の上で報告にしたいと思っていますので、よろしくお願い申し上げます。あり がとうございました。 ○矢崎座長 ありがとうございました。これで終了させていただきます。本当にありが とうございました。                                ―了― 照会先 厚生労働省医政局医事課 課長補佐 井内(2563) 指導係長 丸尾(2568) 代表03-5253-1111