06/07/14 薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会 平成18年7月14日議事録 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年7月14日(金) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(11名)五十音順    楠   文 代、 合 田 幸 広、 武 田   寧、 棚 元 憲 一、    富 田 基 郎、 長谷川 鉱 司、◎早 川 堯 夫、 前 田 昌 子、    松 木 則 夫、 水 柿 道 直、  吉 田 仁 夫    (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順    乾   賢 一、 菅 家 甫 子、 渡 邉 治 雄 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 岸 田 修 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構技官・安全管理監)、   新 見 裕 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構品質管理部長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長 医薬担当の審議官が少し遅れておりますが、定刻を過ぎましたので、 ただ今から薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会を開催させていただきます。委員の先 生方には大変お忙しい中御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。  会議に当たりまして、委員の変更につきまして事務局より御報告をさせていただきま す。青柳委員が御退任されまして、後任の委員に国立医薬品食品衛生研究所食品添加物 部長の棚元委員をお願いしております。  本日は14名の当部会委員のうち12名の御出席を頂いております。なお、菅家委員、 乾委員から御欠席との連絡を頂いております。  さて、本会議は基準に関する審議でございますので、公開にて開催いたします。御承 知置きをお願いいたします。  日本薬局方につきましては、机の上に置かせていただいておりますが、第十五改正日 本薬局方を本年3月31日に告示いたしました。十五局の作成に当たりましては、委員の 先生方に多大なる御尽力を頂きまして、厚く御礼を申し上げます。  早速でございますが、本日は、5年後の全面改定であります第十六改正日本薬局方の 作成に向けての作成指針であります、「第十六改正日本薬局方作成基本方針(案)」につ いて御審議を頂き、また、「日本薬局方新規収載候補品目(案)」についても御審議を頂 く予定です。よろしくお願いいたします。  それでは部会長の早川先生、議事の進行をお願いいたします。 ○早川部会長 早川でございます。それでは進行係を務めさせていただきますのでよろ しくお願いいたします。本日は委員の先生方には大変お忙しいところ、また大変お暑い 中を日本薬局方部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  ただ今、課長からも御紹介がございましたが、大変立派な第十五改正日本薬局方が出 来上がりました。ページ数が多ければいいというものでもございませんが、第十四改正 は1,325ページでありました。第十五改正は1,741ページと、非常に充実した形になっ てございます。  新規収載品目としては102、改正品目が275と充実しておりますし、一般試験法が新 しく1つ入り、改正も14行われました。それから、参考情報というものがございますが、 これが16項目から30項目と増えてございます。その他、いろいろな工夫がなされてお りまして、質・量共にそれなりの充実が図られたのではないかということでございます。 これもひとえに委員の先生方の多大なる御尽力のおかげでございまして、この場を借り て厚く御礼を申し上げたいと思う次第でございます。  議事に入らせていただきます前に、一つお諮りしたいことがございます。先ほど、青 柳委員が御退任されたという報告がございましたが、従来青柳委員には部会長代理をお 務めいただいておりましたので、その後任をどなたかにお願いする必要があるというこ とでございます。  薬事・食品衛生審議会の規定に従いますと、各部会においては部会長が部会長代理を 指名することになっておりますので、それに従いまして、部会長代理を指名させていた だきたいと思います。私としては棚元委員にお願いいたしたいと思いますが、よろしゅ うございますでしょうか。どうもありがとうございます。それでは、部会長代理は棚元 委員にお願いいたしたいと存じます。それでは棚元委員、こちらが部会長代理席という ことになっておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは議事に入らせていただきます。本日の審議事項は二つございます。まず第十 六改正日本薬局方作成基本方針にかかわる案件について御審議を頂くと。続きまして日 本薬局方新規収載候補品目(案)について御審議をお願いしたいと考えております。  では、審議に入りたいと思います。まず、事務局から本日の配付資料の確認をお願い いたします。 ○事務局 それでは資料を確認させていただきます。まず、お手元に配付しております 「議事次第」、「委員名簿」、「座席表」がそれぞれ1枚ずつございます。  それから、事前に委員の先生方に送付させていただいております資料として、6種類 ございます。資料No.1としまして、表に諮問書が付いておりますが、本日御審議を頂き ます「第十六改正日本薬局方作成基本方針(案)」でございます。資料No.2としまして 「第十六改正日本薬局方作成基本方針について」でございます。資料No.3としまして 「第十六改正日本薬局方作成基本方針についての御意見・情報の募集に対して寄せられ た御意見等について」でございます。資料No.4としまして「日本薬局方新規収載候補 品目(案)について」でございます。そのほかに、参考資料No.1としまして、平成13年 にこちらで御審議を頂きました「日本薬局方の改正について(日本薬局方改正基本方針 について)」でございます。参考資料No.2としまして「日本薬局方の改正について(今 後の日本薬局方のあり方)」でございます。以上でございます。御確認を頂きますよう 、お願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。先生方、資料はおそろいでございましょうか。 それでは、審議議題に入りたいと思います。まず、審議事項1の議題であります第十六 改正日本薬局方作成基本方針にかかわる案件につきまして、事務局から資料No.1、2、 3を基に御説明をお願いいたします。 ○事務局 まず資料No.2の説明資料を基に御説明させていただきまして、次に資料No.1 の基本方針(案)の御説明をさせていただきます。  資料No.2を御覧ください。厚生労働大臣は、薬事法第41条に基づきまして、少なくと も十年ごとに日本薬局方の全面にわたって薬事・食品衛生審議会の検討が行われるよう、 同審議会に諮問しなければならないとされているところでございます。  昭和42年6月、中央薬事審議会で、医学・薬学の進歩に対応するため、改定期間を少 なくとも5年を目途とするような意見を提出し、これに基づきまして、第九改正日本薬 局方から5年ごとにこれまで改正を行っているところでございます。本年3月31日に第 十五改正日本薬局方を告示したところでございます。  次回の全面改正である第十六改正日本薬局方作成に向けて審議を行うに当たり、その 作成基本方針を策定する必要があることから、本日、本部会に諮問させていただいたと ころでございます。  基本方針(案)の今までの審議経過と今後の予定ですが、独立行政法人医薬品医療機器 総合機構に設置しております専門家からなる日本薬局方原案作成委員会がございまし て、その座長にお集まりいただいております総合委員会で本原案につきまして御審議を 頂き、本年2月に本部会にて御議論を頂いたところでございます。  その後、総合委員会で再度御審議を頂き、原案を取りまとめ、4月〜5月に掛けまし て厚生労働省のホームページ上でこの原案について公表し、広く意見を募集いたしまし た。その際に寄せられました意見と回答案を資料No.3にお示ししておりますので、後ほ ど御覧いただければと思います。  寄せられました意見を踏まえて総合委員会で改めて御審議を頂き、資料No.1としてお 配りしております基本方針(案)について御了承いただいたものでございます。  本日、この基本方針について、この部会にて御審議を頂くこととしております。もし 御了承いただければ、今後、この基本方針を各都道府県及び関係団体に伝えまして、厚 生労働省のホームページ上にて公表したいと考えております。併せて、寄せられた意見 に対する回答についてもホームページ上にて公表することとしております。また、本日 御了承いただければ、次の薬事分科会に報告する予定としております。  御審議を頂きます基本方針(案)についてですが、まず、資料No.1の基本方針について 御説明させていただきます。その後、資料No.3の頂いた意見とそれに対する回答案につ いて御説明させていただきまして、御審議をお願いしたいと思います。また、参考資料 としまして、平成13年に答申いただきました「第十五改正日本薬局方基本方針」、平成 14年に答申いただきました「今後の日本薬局方のあり方」を御用意しておりますので、 適宜御覧いただければと思います。  それでは、資料No.1の基本方針(案)につきましてかいつまんで御説明させていただき ます。2ページでございますが、1.「日本薬局方の役割と性格」では、薬局方の説明を 簡単にしております。薬事法に基づき、医薬品の品質を適正に確保するための品質基準 を示す公的なものであること。医薬品関係者、関係の場にて広く活用されるべき公共の ものであること。作成に係る透明性の確保と情報を開示する公開のものであること。医 薬品品質規範書として国際的な役割が必要であること。これらを盛り込んでおります。  2.「作成方針」では、作成の方向性を示すための5本の柱を掲げております。前半部 分は背景の説明となっております。医療に必要な医薬品全般の品質を適正に保証すると いう役割を果たすために、(1)保健医療上重要な医薬品の全面的収載、(2)最新の学問 ・技術の積極的導入による質的向上、(3)国際化の推進、(4)必要に応じた速やかな部 分改正及び行政によるその円滑な運用、(5)日本薬局方改正過程における透明性の確保 及び日本薬局方の普及といった5本の柱を示しております。  前回の基本方針の際の5本の柱と内容的には大きな変更はございませんが、順番を若 干修正しております。前回は新規収載品目数の増加を最重要課題としておりました。今 後も新規収載については積極的に行うという方針に変更はございませんが、既に収載し た品目の見直しを積極的に行っていきたいということで、これにつきましては二番目に 盛り込んでおります。それから、十四局において、2度の追補改正を行い、さらに適宜 部分改正の見直しも行っているということで、それにつきましては四番目に移しており ます。  3ページ以降になりますが、3.「作成方針に沿った第十六改正に向けての具体的な方 策」に5本の柱を盛り込んでおります。(1)保健医療上重要な医薬品の全面的収載です が、医薬品の品質を適正に確保するには、医療上重要な医薬品の全面的収載が必要であ り、その方針について、新規に収載する品目と既に収載されている品目とに分けて記載 しております。  医療上重要な医薬品とは何かについて、新規収載をすべき品目として該当する項目を 優先的に挙げております。その収載時期についても併せて記載しております。それから、 既に収載されている品目につきましては、医療上の必要性が低くなった品目などにつき まして、適宜、削除といった措置も図っていきたいと考えております。また、ほかの医 薬品の規格集に収載されている品目につきましては、収載方針に沿う品目があれば、順 次、収載を行っていきたいと考えております。  4ページ以降になりますが、(2)最新の学問・技術の積極的導入による質的向上でご ざいます。通則、製剤総則、一般試験法それぞれの改正について、検討すべき項目を掲 げております。また、医薬品各条、標準品の整備や参考情報の有効活用についても、検 討事項を掲げております。  (1)通則の改正ですが、局方全般にかかわる共通のルールであり、局方に収載されてい ない品目も含め、すべての医薬品に共通するあるべき姿を念頭に置いて、検討が必要で あると考えております。(2)製剤総則の改正ですが、製剤共通のルール及び各剤型の定義 を規定しておりまして、近年の製剤技術の進展に伴い新たな剤型の追加や、医療現場に おいて使用されなくなった剤型の削除などの検討が必要であると考えております。(3)一 般試験法の改正ですが、医薬品品質評価に有用な試験法であり、最新の科学技術を反映 した試験法の設立や、国際調和された試験法の取り込みなど、検討が必要であると考え ております。(4)医薬品各条の整備ですが、検討すべき項目として、溶出性が規定されて いない医薬品製剤への溶出規格の設定や、既に収載されている原薬の見直しといった項 目などを挙げております。(5)標準品の整備ですが、標準品の定義や考え方の検討が必要 であると考えております。(6)参考情報の有効活用ですが、収載項目として積極的に検討 が必要と考えられる項目を掲げまして、また、利便性の向上を図るために収載すべき項 目や順番の整理などの検討が必要と考えております。  (3)国際化の推進ですが、引き続き検討が必要な事項を掲げております。国際化の推 進のためには、まず英文版の早期発行が重要な課題と考えておりまして、早期発行実現 に向けて今後も検討を進めていきたいと考えております。  (4)必要に応じた速やかな部分改正及び行政によるその円滑な運用ですが、医薬品の 安全性に係る情報が得られた場合や国際調和がなされた場合などには、追補改正以外に も適宜部分改正を実施していきたいと考えております。  (5)日本薬局方改正過程における透明性の確保及び日本薬局方の普及ですが、今後も 引き続き意見募集と情報公開を進めていきたいと考えております。意見募集につきまし ては、従来の日本薬局方フォーラム、JPフォーラム以外に、総合機構のホームページ 上においても意見募集を行うこととしております。また、情報公開につきましては、厚 生労働省のホームページ上にて局方を公開し、内容の充実も図っていきたいと考えてお ります。  4.「施行時期」ですが、全面改正である第十六改正日本薬局方の施行時期としまして、 5年後の平成23年4月を目標としております。  資料No.3を御覧ください。本年4月〜5月に掛けて行いました、意見募集に対して寄 せられました意見と、その意見に対する回答案を作成してまとめたものであります。寄 せられました意見の中で、5番、8番、10番につきましては基本方針(案)に盛り込んで おります。  5番は知的財産権保護への配慮に係る御意見、10番は各条にて「別に規定する」とし た場合の例示の記載に関する御意見でございました。こちらは基本方針(案)の「医薬品 各条の整備」に「別に規定する」とした場合の例示について追記をしております。8番 は環境負荷低減に関する御意見でしたが、こちらは基本方針(案)の「一般試験法の改正」 に環境負荷低減の項目を盛り込んでございます。  これらの意見募集に対して寄せられました意見と、それに対する回答につきましては、 基本方針の公表に合わせまして、厚生労働省のホームページ上にて公表する予定でおり ます。  以上、御説明を終わらせていただきます。御審議を頂きますよう、よろしくお願いい たします。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今御説明を頂きましたように、基本方針 (案)につきましては、まずドラフトができて、それを御意見・情報の募集ということで お流しして、得られた意見、それに対する回答が資料No.3に盛り込まれているというこ とでございます。これを反映したものが資料No.1の基本方針(案)であるということでご ざいます。どの部分でも結構でございますので、御意見あるいはコメントがございまし たらお願いいたします。先生、どうぞ。 ○富田委員 添加物のことはよく知らなかったのですが、今、後発品が問題になってい て、ジェネリックメーカーも添加物のことをいろいろ言ってきています。先発品と後発 品の違いは、添加物に係る事項についてが多いのですが、我が社のものは添加物のノウ ハウをきちんとうまくやっているから先発品並みのバイオアベイラビリティがあるので すと宣伝しているのです。ですから、添加物をどのぐらいまで局方で取り上げているか、 私はこれを見てなるほどとは思ったのですが、どの辺まで取り上げればいいとお考えに なっているのかお聞きしたいのです。 ○早川部会長 事務局の方で何かございますか。 ○審査管理課長 ジェネリックのお話がございましたが、通常、内服固形剤に添加する 添加剤については、大抵のものは局方に収載されているものを使用しているのではない かと思います。それの配合比率などが変わっているというのはあると思います。  ただ、ジェネリックについて申し上げますと、Aという先発品とBという品目につい て、ヒトでの生物学的同等性試験を基本的に採っております。それから、製剤的には、 溶出性試験も含めて品質規格の試験で縛っております。そういう意味では、同等性は確 保されていると思います。  先発品でも、錠剤とカプセルと両方ある場合もあるのですが、そういう場合は当然先 発品の錠剤とカプセルで添加剤は違っているはずでございます。それでも、基本的に崩 壊性や溶出性などというものは製剤の品質規格で縛られていますし、最初の承認のとき にはヒトでの同等性試験で見ているということでございます。  それは別でございますが、製剤に使用される添加剤についてはできるだけ収載してい くのがよろしいのではないかと考えております。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。添加物でも非常に重要なもの、汎用されてい るものは基本的には薬局方に収載していって、品質規格についてきちんとコントロール していくという仕掛けになっていると思うのです。 ○富田委員 大手のジェネリックメーカーの話を聞いていると、何となくそこがノウハ ウになっているのです。局方以外に使ってはいけないのか、それとも、ほかのものも使 っていいのか、その辺がよく分からなかったのです。局方品にないものに限り、ジェネ リックの医薬品であろうと使ってはいけないのですか。 ○審査管理課長 主薬の成分も、最初に出てくるときには日本薬局方で規格を定めてい ないものもございますので、それ以外の添加剤も含めて、別紙規格という形で、日局の ものではないものを使用することもできないわけではございません。添加剤ごとに別紙 規格を見て、新しい添加物の場合にはそれを評価する委員会がございまして、そこで評 価をしたものについては、新たなものでも規格を見た上で認めるという形になっていま す。  そういう意味では、別紙規格で認められた新薬が汎用されたり、重要なものだという ことで局方に規格が公開されるようになってくるわけですが、それと似たようなスキー ムで局方に載ってきている添加剤はかなりあると思います。 ○富田委員 ということは、先発品と後発品を比べたとき、どのようなものを添加して いるかというのはジェネリックメーカーなどは公表する必要はないのですね。 ○審査管理課長 はい。内服成分によりましては、有効成分以外の成分でアレルギー等 もあり得ます。私が聞いたことがあるのはコーンスターチや小麦のでんぷんなどでござ いまして、最近は内服固形剤の成分表示において、有効成分の分量以外に添加剤の成分 も書いてございます。  ただ、量は書いてございません。そこを製剤設計上のノウハウだと言っているのであ ろうと思います。例えば崩壊性を改良しているとか、溶出性を上げているなど、そうい う工夫ということなのだと思います。 ○早川部会長 承認上はすべて分かっているわけですよね。 ○審査管理課長 もちろん、そこを全部押さえた上で承認をしております。規格から分 量まで含めて見ておりますし、都道府県の職員も含めて、GMPの担当の部署の者が製 造所に入って製造記録を見て、そのとおりに製造されて、最終的な出荷の判定の試験が 行われているかといったところはきちんとチェックがされている形になっております。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。ほかに何かございますでしょうか。先生、ど うぞ。 ○吉田委員 話題が飛びますが、よろしいですか。5ページに(4)「医薬品各条の整備」、 キ.「動物を使用しない試験法(代替試験法)の検討」とあります。昨今、できるだけ試験 動物を最小限に減らす、あるいは全く使用しないといったことが話題になっているよう でございますが、これはどの範囲で、どの程度まで、あるいは薬剤としてはどのくらい の幅のものをお考えになっているのか、方針があるのであればお聞かせいただきたいと 思います。 ○審査管理課長 事務局は、その辺は専門的過ぎてよく分かりません。 ○早川部会長 動物を使用しない試験法(代替試験法)ということですから、代替が可能 でないものは当然動物を使い続けざるを得ないのですが、代替可能なものについては替 えていきましょうと。例えば、従来、ウサギを使って発熱性物質試験法をやっていたと。 しかし、発熱性物質試験法が物質としてはほとんどエンドトキシンを見ているというこ とであれば、エンドトキシン試験法に一斉に切り替えていくと。そういうのは一つの方 向での代替法になるわけです。  それから、従来、成長ホルモンの活性測定を骨の増加を指標に動物でやっていたと。 非常に侵襲的な方法で、動物をたくさん使ってやっていたが、液体クロマトグラフィー で活性の成分は分離・定量できるという科学的事実があれば、できるだけ簡単な理化学 試験法に替えていきましょうという趣旨でございます。 ○吉田委員 骨子はそういうことと。まだ、具体的に実例が出てこないと検討できない 部分もあるということなのでしょうか。 ○早川部会長 局方自体は十三改正、十四改正、十五改正というふうに進んでいるわけ ですが、その都度できることを継続的にやっていきましょうということなのです。十三 改正であっても、あるいは十四改正であっても、そういう考え方で切り替えていった例 はかなりあるわけです。しかるべき合理的なエビデンスあるいは方法が見付かればそち らに切り替えていくというのは継続的にやっていることなのです。それを更に続けてや りますという意味であると。 ○吉田委員 了解しました。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。先生、どうぞ。 ○武田委員 事務局でお分かりになることについてコメントをさせていただきたいと思 います。基本方針の最後のページの(5)「日本薬局方改正過程における透明性の確保及 び日本薬局方の普及」の(3)「英文版の速やかな発行」について、これは別項にあります 「国際化の推進」にも密接な関係があると思われるものでありますが、「速やかな発行」 についてどのようにお考えなのか、もう少し具体的にお聞きできればと思います。  と申しますのは、参考資料No.2の最後のページにございます(2)「日本薬局方の普及」 で、「日本薬局方の国際化の観点から、英文版の早期発行は必須の要件であり、告示と の同時発行を目標に、できる限り早期に英文版を発行すべきである」と。これは十五局 に向けての方針であったわけですが、3月に告示されました十五改正薬局方のできる限 り早期の発行というのはいつごろになる見込みなのかということでございます。  一説には年度末ということでございますが、12か月後ということで早期とは言いにく いのかなと。現状は現状で仕方がないわけでありますが、十六局に向けまして速やかな 発行を基本方針に入れておられますし、事務局からも「早期発行を検討する」という御 説明がございました。早期の英文版の発行を実現することについてどうお考えかという ことをもう少しお聞きできればなと思います。  国際化の一つであります薬局方の国際調和にある程度の期間かかわってきた立場から 申しますと、若干極端かもしれませんが、英文版が日本語版と同時発行されるというこ とがなければ、日局の国際化は絵に描いた餅に過ぎないとも言えるかなと思います。十 六局に向けまして、英文版の発行についてどういう方策をお考えかお聞きできればと思 います。 ○審査管理課長 十五局の英文版ですが、今年度中に完成する予定でございます。確か に、日本語で書いてありましても日本人以外には読んでいただけない部分がございます ので、国際化の推進を図るためには英文版の早期発行がどうしても必要であろうと考え ております。  武田委員からもお話がございましたように、例えば、アジア諸国の薬事の行政官や研 究者がお見えになったときに、技術的支援という形で日本薬局方の研修などを行ってい るわけでございますが、現在はまだ日本版と英文版に時間的なずれがあって、局方の国 際的な普及という点で問題になっているのであろうと考えております。  先生からは日本版と英文版の同時発行という御指摘もございました。できるだけそう いう方向で努力をいたしたいとは思いますが、私どもも予算上の仕組みなどとの関係が ございますので、今の時点でお約束というのは少し難しいと思うのです。御指摘の点は 十分認識しておりますので、速やかな英文版の発行ということで引き続き努力していき たいと考えております。ありがとうございました。 ○武田委員 いきなり同時発行と言いますと皆さんびっくりしますので、せめて十六局 は遅くとも6か月後に出版ができるような形で進めていただくことが必要かなと。薬局 方の国際調和を受けまして、ICHの枠組みの中で、日米欧三域で相互に薬局方の試験 法を認めるという動きがありますが、これも英文版がないことにはICHの作業部会で の評価も受けられないということでございます。  話が出るたびに毎回出てくることは予算なのです。そこのところは十分に方策を考え るなりして、確かに同時発行は難しいと思いますが、2〜3か月、遅くとも6か月後に は発行ができるような体制に是非、十六局に向けて進めていただきたいと思っておりま す。 ○審査管理課長 武田委員からお話がございましたように、ICH、いわゆる局方の国 際調和の作業チーム等では適宜部分改正をやっているわけですが、それらは英文でやっ ております。そういう意味では、英文版の発行などについてはよりやりやすい環境にな ってきているのかなという感じもいたしますので、御指摘に沿って鋭意努力をしてまい りたいと思っております。 ○早川部会長 よろしゅうございますか。今、課長がおっしゃったように、これ全体を 何か月後かに出すというのが一番理想的ではありますが、多少のタイムラグはやむを得 ないところもあるのかなと思います。  それから、国際調和については英語でしておりますので、日本で取り入れて大臣告示 をするときに、その原版である英文版があるので、必ずしも冊子にこだわらないで、日 本語に対応する、国際調和に対応する英文版はこうだという出し方もあるのかなという 気はいたします。そうすると、少なくとも国際調和に関してはそうタイムラグがなく対 応できるかもしれないという幾つかの工夫があると思いますので、よろしくお願いいた します。  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○合田委員 今の件の追加のようなことです。部会長からも御指摘がありましたが、冊 子で出るのがベストなのですが、冊子で出ないでも、例えばネット上で公開しているな ど、数か月早いだけでも大分違うのです。  私はアジア地区などに局方を送ったのですが、英語しかできないところは、日本語版 は全く読めないからもらってもしょうがないというように送り返してきます。それから、 何かの会議があるときに、英文版のゲラがあればそれを持っていきますが、それがない と、日本はこうだと話しても駄目なのです。  オフィシャルにそれだというのは、冊子ではなくても言えるのではないかと思うので す。わずか数か月の差でも、会議のときに役に立てるかどうかというのは大分違うと思 いますので、是非その辺の方法も考えていただければと思っております。 ○審査管理課長 検討させていただきます。 ○吉田委員 数年前に、国際調和ということで英文版の原稿ができているのですが、予 算がなくて発行できませんという話があったのです。そのときに、国際調和をうたい、 英文版の原稿もできている、予算がないというのはおかしいではないかと。当然、行政 として国際調和を考えるなら予算も組むべきであって、このようなつまらない言い訳を しないでくださいと。何年かさかのぼって記録を見ていただければ分かります。  同じ回答がまた出てきたので、あきれるは言い過ぎですが、同じ回答をしないで済む ように。本当に必要と思っている方が大勢いらっしゃるのですから。今回初めて発行す るわけではないのです。今お話があるように、ある程度の土台は出来上がっているわけ です。ですから、1日も早く、せめて半年ぐらいの間隔で出るような工夫をお願いした いと思います。 ○審査管理課長 御指摘ありがとうございます。それから、私の答え方で少し誤解を招 いてしまったかもしれませんが、現在は英文版発行のための予算は確保しているのです が、実は日本版を出す年度と英文版を出す年度が1年ずれている形になっております。 そういう意味での予算上の問題ということでございます。誤解を招いてしまいまして申 し訳ございません。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。別の箇所でも結構でございます。先生、どう ぞ。 ○松木委員 インターネットを使った公開は非常にいいと思うのですが、どの程度のこ とを目指していらっしゃるのですか。全文掲載で、検索もかなりできて、冊子体と同じ ぐらいの印刷ができるような、ある意味、冊子体がある程度いらなくなるのかどうか。 特に英文版などは、インターネットで利用できると国際的な利用は飛躍的に増えると思 うのです。このインターネットの利用というのはどの程度のことを目指しているのでし ょうか。 ○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。現在、厚生労働省のホームページで 局方に関する情報を掲載しております。3月に出た十五局はまだ掲載できていないので すが、この前の十四改正、それから、その追補2回分につきましては、本文そのものが PDFの形で掲載されております。検索もPDF上ではできると思いますし、印刷もこ れと同じような形でできるようになっていると思います。 ○松木委員 英文はいかがですか。 ○事務局 英文も同じ形で掲載させていただいております。 ○武田委員 十四局の英文版はPDFですが、画像ファイルですから検索はできません。 まずは本体ができるのが先でしょうが、十五局のウェブ掲載に関してはその辺もお考え いただく必要があろうかと思います。ですが、ヨーロッパ、アメリカそれぞれ薬局方の 作成母体の性格の違いもありますが、グローバルな視点で考えれば、薬局方の全文を無 償でウェブで公開しているのは日本以外には例がないという状況でございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。松木先生、よろしゅうございますか。ほかに 何かございますでしょうか。どうぞ。 ○合田委員 十三局で化学名を付けましたときに、天然物の基本骨格について、構造式 が十三局の最後に出ていたのです。構造式、いわゆるトリビアル・ネームを使って名前 を付けるときに、それはどういう構造を表わすかを示すために構造式が出ていたのです が、十四局、十五局では残っていないのです。  名前を付けるという行為のときに、どの構造に基づいて付けるかという問題は常に生 じてくるので、十六局では是非それを復活させていただければと思っているのです。た だ、どういう理由でそれが削除されたのかは私は分からないのですが、天然物の基本骨 格の部分について、名前の根拠がないのです。IUPACで付けられるものはいいのですが、 そうでないものは根拠の構造をどこかの形で示したほうがいいのではないかと思ってお ります。 ○早川部会長 従来はそういうこともあったということですが、具体的にはどういう形 でやればいいのでしょうか。 ○合田委員 例えば、エルゴメトリンマレイン酸塩があります。その中で、エルゴリン というのはIUPACで決められている名前ではなくて、天然物としてのエルゴリンに基づ いて、例えば水酸基がどこに付いているなどとナンバリングをするのです。そういうナ ンバリングをするときに、基の骨格の部分はどこだということについては、当然最初に 構造を決めた人の論文などに基づいて付けているはずですが、そういうものに対しては、 今の状態では、薬局方の中だけでは完結しないのです。  そういう複雑な天然物の名前は、結局は慣用名を使わない限りは付けられないからそ れを付けているはずなのです。そこの部分が飛んでしまっていると思います。何らかの 理由があって外れたのだと思いますが。 ○早川部会長 薬局方本体の中で完結しないが、トレーサビリティ的にあったほうがい いということですよね。 ○合田委員 参考情報に載せられるのであればそれで済むと思うのです。最初だけは載 っていたのですが、今はそれが消えているのです。 ○早川部会長 それはそういう方向で議論していけばいいのではないかという気がいた します。 ○審査管理課長 十三局はあって、十四、十五で落ちている経緯や理由などを事務局で 調べてみまして、参考情報になるかもしれませんが、部会長からお話があったような形 で、次回に向けて御議論を頂ければと思います。 ○早川部会長 ほかにいかがでしょうか。今、基本方針が審議に掛かっているわけであ りますが、基本方針そのものについては特に御異論がないと。基本方針を具体的にどう いう形で進めていくのかに関して幾つかのコメントを頂いたというふうに理解いたしま す。基本方針はこれでお認めいただいたと理解してよろしいでしょうか。ありがとうご ざいます。それでは、基本方針(案)はこの部会で御了承いただいたということで取り扱 いをさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  次の審議議題に入りたいと思います。日本薬局方新規収載候補品目(案)について、事 務局から資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.4を御覧いただきたいと思います。今後、日本薬局方へ収載すべく審 議を行っていきたいと考えております新規収載候補品目(案)につきまして、本部会にて 御審議を頂く議題として上げさせていただいております。  本日、御審議を頂きます新規収載候補品目(案)は、資料に示します選定基準により選 定されました漢方処方エキスとその生薬、合わせて7品目でございます。今回、新規収 載候補品目(案)として挙げさせていただきました品目はすべて生薬関連品目となってお ります。  なお、生薬以外の化学薬品などにつきましては、原薬、製剤、合わせまして152品目 を、今年2月14日に開催いたしました本部会にて御審議いただきまして、新規収載候補 品目として御了承いただいております。その後、総合機構にて、担当の企業に日局収載 原案の作成を依頼しておりまして、原案の提出をもって日局収載の審議を行っていくこ ととしております。  今回、新規収載候補品目(案)として7品目を選定した基準としましては、1.「平成 16年の漢方製剤の生産及び輸入金額の推移リストにある上位品目の漢方処方エキス」、 2.「1.に該当する漢方処方エキスの構成生薬で日本薬局方に未収載の生薬」となって おります。漢方処方エキスとしまして5品目、その原生薬として2品目を選定しており ます。  これらの品目の選定経過ですが、総合機構の生薬等(B)委員会と総合委員会で御審議 を頂きまして新規収載候補品目(案)を選定し、4月〜5月に掛けまして総合機構のホー ムページ上にて広く意見を募集いたしました。その後、再度、総合委員会にて審議を行 いまして新規収載品目(案)について御了承いただき、本省に報告いただきました。  今後の予定としましては、本日、新規収載候補品目(案)について本部会にて御審議を 頂き、御了承いただけましたら新規収載候補品目を公表し、その後、総合機構にて日局 収載に向けて審議を行っていくこととしております。  2ページ以降に総合機構から報告いただいた内容がございまして、最後のページに新 規収載候補品目の7品目を掲載しております。漢方処方エキス5品目と生薬2品目でご ざいます。これら7品目の新規収載候補品目(案)につきまして御審議を頂きますよう、 よろしくお願いいたします。 ○早川部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明につきまして、御意見、御質 問等がございましたら、よろしくお願いいたします。漢方処方エキスが5品目、それか ら、漢方処方エキスの構成生薬のうちで日本薬局方に未収載のものが2品目、これを新 たに収載していきたいということでございます。いかがでしょうか。特に御意見がなけ れば、漢方処方エキス5品目と構成生薬2品目につきまして、新規収載品目として御了 承いただいたとさせていただきたいと思います。  全体を通して御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうござ いますか。特に御意見がないようでございますので、これで審議は終わりにしたいと思 います。  それでは本日の審議事項が終了いたしましたので、その他、事務局から何かございま すでしょうか。 ○事務局 次回の開催予定ですが、特にほかに要件がなければ、第十五改正日本薬局方 第一追補についてということで、来年の夏ごろに開催させていただく予定としておりま す。日程は後日調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ○早川部会長 ありがとうございました。それでは以上をもちまして本日の日本薬局方 部会を終了いたしたいと思います。委員の先生方、どうも御苦労様でございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 紀平(内線2738)      - 1 -