06/07/12 第4回運動指針小委員会議事録             第4回運動指針小委員会議事録                                                                 日時:平成18年7月12日(水)10:00〜12:00                場所:虎ノ門パストラル アジュール(新館6階) ○出席委員   太田委員 久野委員 坂本委員 下光委員 鈴木(茂)委員  鈴木(志)委員 相馬委員 竹中委員 田中委員 田畑委員  津下委員 戸山委員 信藤委員 増田委員 吉池委員  高崎氏(斎藤委員代理) 源野氏(能勢委員代理) ○厚生労働省出席   中島参事官 矢島生活習慣病対策室長 成田室長補佐 石井室長補佐 ○次第 I  開会 II 議題      1.「健康づくりのための運動指針2006(案)」について    2.「健康づくりのための運動指針2006(案)」の普及・活用方針について    3.その他 III 閉会   石井室長補佐 それは定刻となりましたので、ただいまから第4回運動指針小委員会 を開催させていただきます。なお本日は鏡森委員、斎藤委員、能勢委員、宮崎委員から 御欠席との連絡をいただいておりますが、斎藤議員の代理として高崎様、能勢委員の代 理として、源野様に御出席をいただいております。  次に事務局より本日の配布資料の確認をさせていただきます。本日の配布資料といた しまして、お手元にお配りしました1枚紙の記事次第。それから委員名簿、そのほか座 席表、それから資料1といたしまして健康づくりのための運動指針2006(案)、資料2 といたしまして健康づくりのための運動指針2006(案)の普及・活用方針についての2 つをお配りしております。資料の不足、落丁等ございましたら事務局までお申しつけく ださい。大丈夫でしょうか。  それから委員の先生のお手元に、参考資料といたしまして、日本栄養士会様の方から 2種類のカラーの資料、それから日本健康運動指導士会様から会報の資料をお配りして おりますが、こちらも不足等ございませんでしょうか。  それでは議事に入りたいと思いますが、以後の進行を太田座長にお願いしたいと存じ ます。太田座長、それではよろしくお願いいたします。  太田座長 皆さん、おはようございます。お忙しいところも集まりいただきましてあ りがとうございます。それでは議事を進めたいと思います。本日の課題であります、健 康づくりのための運動指針2006の案につきまして、事務局より御説明お願いします。  石井室長補佐 それではお手元の資料1をごらんください。健康づくりのための運動 指針2006の案につきまして、御説明申し上げます。  まず初めに表紙をごらんいただきまして、タイトルにつきましては、「健康づくりの ための運動指針2006、〜生活習慣予防のために〜」、また副題として、「エクササイズ ガイド2006」としております。  1枚おめくりください。目次をごらんいただきながら、本運動指針の構成について御 説明いたします。まず策定の趣旨、それから第1章の理論編、第2章の実践編、それか ら参考資料という構成になっております。  まず本編であります第1章の理論編におきましては、本運動指針におけます身体活動、 運動に関する定義、あるいはそれらを表す単位、それから健康づくりのために必要な身 体活動量について、また体力について説明しております。  また第2章の実践編においては第1章の理論編で述べました健康づくりのための身体 活動を実践していくためのツールとしてお使いいただくためのものとなっております。 実践編におきましては、まず身体活動量の評価及び体力の評価を行いまして、それに基 づいた目標の設定を行うこと、またその設定した目標を達成するために、どのような工 夫が必要であるのか、あるいは目標を設定して、その運動を行うに当たってどのような 注意が必要であるかということについて、御説明をしております。  1枚おめくりください。3ページをごらんください。策定の趣旨でございます。1つ 目の○におきまして、まず運動指針のもとになっておりますが運動基準について、その 目的が書いてございます。近年我が国において重要な課題となっております生活習慣病 を予防するために必要な身体活動量、運動量及び体力の基準値として運動基準が示され ています。  それから2つ目の○のところでございますけれども、この運動基準に基づきまして、 安全で有効な運動を広く国民に普及することを本指針の目標にしているということが書 いてございます。また本指針におきましては、現在の身体活動・運動量それから体力の 評価とそれらを踏まえました目標の設定の方法、それから個人の身体特性及び状況に応 じた運動内容を選択すること、またそれらを達成するための方法を具体的に示したとい うのが、本指針の特徴となっております。  この運動指針での対象ですが、これは健康な成人の方を対象としております。  では引き続きまして第1章の理論編の説明をさせていただきます。1枚おめくりくだ さい。5ページの1.身体活動・運動におきまして、本指針におけます身体活動、運動、 それから生活活動についての定義と、それからそれらを表すための単位というものを御 説明しております。図1をごらんいただきながらお聞きいただきますが、まず身体活動 とは安静にしている状態より、多くのエネルギーを消費するすべての動きと定義しまし た。その身体活動のうち、体力の維持ですとか向上を目的として計画的、意図的に実施 するものを運動、それ以外のものを生活活動としております。  図1をごらんいただきますと、速歩、ジョギング、ストレッチングといったものが運 動、歩行ですとか床掃除、炊事洗濯といったものは生活活動というように定義しており ます。  また、この身体活動を表すための単位として、その強さを表す単位としてメッツ、そ れからその身体活動量を表す単位としまして、メッツに時間をかけたメッツ・時、これ を個と定義いたしまして、これらの単位で身体活動の強度及び量を示しております。  まず1つ目のメッツについてですけれども、メッツとは身体活動の強さを安静時の何 倍に相当するかで表す単位でございます。座って安静にしている状態が1メッツ、普通 歩行が3メッツに相当いたします。  それから身体活動量を表す個、メッツ・時という単位ですが、これは身体活動の強度 を表すメッツに、その身体活動の実施時間。これは時間単位で表すのですが、それをか け合わせたものです。例にありますように、3メッツの身体活動を1時間行った場合は、 3メッツ×1時間で3メッツ・時、これが3個ということになります。  右側の6ページに1個の身体活動量に相当するエネルギー消費量というのを参考に書 いております。本指針では、身体活動の単位、個人の体重によって、カロリーを使った 場合ですと、個人の体重によって差が生じてしまいますので、個人の体格に関係なく表 現できる単位としてメッツ、それから、メッツ・時、量を表す単位として個というもの を用いております。  1枚おめくりください。  7ページの2.健康づくりのための身体活動量でございます。まず初めに身体活動量 の目標としまして、健康づくりのために身体活動量がどれだけ必要なのかというものを ここでお示ししております。黒枠で囲んだ部分に書いてありますように、目標は週23 個の活発な身体活動。身体活動とは運動、それから生活活動の両方を合わせたものでご ざいます。  また23個のうち4個は活発な運動で、この身体活動の目標を達成しましょうというと いうのが、この運動指針におけます健康づくりのために必要な身体活動量ということで お示ししております。  その23個、4個につきましては、運動基準と同様でして、身体活動、運動と生活習慣 病との関係を示す内外の文献から、生活習慣病予防のために必要な身体活動量、運動量 の平均を求めて設定したものでございます。  またこの活発な身体活動とは、3メッツ以上の身体活動でございまして、例えば座っ て安静にしている状態は1メッツですが、このような3メッツ未満の弱い身体活動は、 この目標の計算には含まないということでございます。  図2に1個に相当する活発な身体活動ということで、例示を挙げております。真ん中 が強度を表しておりまして、上に挙げてある身体活動は強度の弱いもの。それから下に 行くにしたがって、強い強度のものになっておりまして、目盛りの左側が運動、右側が 生活活動になっております。それぞれどれぐらいの強度であるのかということと、それ からどれだけの活動時間を確保すれば1個になるのかということをお示ししておりま す。  ごらんになっていただけばおわかりのように、弱い強度ですと1個に相当するには、 少し長い時間がかかりまして、強い強度になれば短い時間で1個に相当するということ でございます。  それから8ページの(2)でございますけれども、身体活動量と生活習慣病の発症リ スクの関係ということで、図3にお示ししましたように生活習慣病の発症リスクと身体 活動量ということでございます。これが3つにランク分けをしております。身体活動量 の目標が未達成の場合、それから身体活動量の目標は達成していますが、運動量の目標 は未達成の場合、それから身体活動量、運動量双方の目的に達成している3つのパター ンに分けまして、生活習慣病の発症リスクとの関係をお示ししております。  身体活動、運動双方の目標を達成していれば、生活習慣病にかかるリスクは最も低く なりまして、身体活動の目標が未達成の場合ですと、生活習慣病にかかるリスクという ものは高くなるということをお示ししてございます。  次のページに行きます。生活習慣病予防のための身体活動量の目標といたしまして週 23個の活発な身体活動。それから週4個の活発な運動ということをお示ししましたが、 ここでは参考として、メタボリックシンドロームに該当する方、あるいはその予備群の 方が内臓脂肪を減少させるために必要な身体活動量といったものの考え方をお示しして おります。ここでは内臓脂肪を減らす必要性、あるいは内臓脂肪を減らすためにどれだ けの消費エネルギーが必要であるか。あるいはその消費エネルギーを確保するために、 どれだけの運動量が必要であるかということをお示ししております。  それから10ページに移りまして、体力ということでございます。健康づくりのための 体力ということで、ここでは定性的な書き方になっておりますけれども、この運動指針 では生活習慣病予防との関係が明らかであります、筋力、持久力について取り上げてお ります。  持久力、筋力が高いと生活習慣病の発症リスクが低くなるということが明らかになっ ております。運動を行い、これらの筋力、持久力の体力を向上させることによりまして、 生活習慣病の予防効果が期待できるということをお示ししております。  それから(2)で、体力に応じた運動の必要性ということを書いております。やはり 身体活動、運動を行うに当たりまして、現在の自分の体力に応じた内容を選択していた だくということが重要であります。体力を向上させる効果を得つつ、なおかつ安全に行 うというためには、体力に応じた運動が必要であるという考え方をここでお示ししてお ります。  理論編ではこのような健康づくりのための身体活動について、必要な事項、考え方と いうものを盛り込んでおります。  1枚おめくりください。11ページからが実践編になります。ここでは理論編に書かれ ております身体活動をどのようにして実践していくのかというものを、まず現在の御自 身の身体活動量ですとか体力をまず評価していただく。評価を踏まえて、目標の設定を どのようにしていきましょうかという考え方を示し、それから設定した目標を達成する ためにどのような工夫をすればいいのか。またその運動を始めるに当たって、どのよう なことに注意してやれば、安全に運動が行えるのかということについて、お示ししてお ります。  まず12ページの現在の身体活動量の評価というのをごらんください。これは御自身の 1週間の身体活動量というのがどの程度であるのかというのを、御自身でチェックして いただくシートでございます。下に1個に相当する運動の例と、それから生活活動の例 というのを例示しております。これは代表的な項目だけに絞っておりまして、これ以外 の例としましては、33ページからの参考資料の表を参照していただくということで、こ の表を参照していただきながら、御自身が1週間現在どれだけ動いているのかというの をまず評価していただく。その評価していただいた結果が、23個と4個の目標をどれだ け達成しているのか、達成していないのかということをここで評価していただくという のが、12ページの目的でございます。  その身体活動量の評価に続きまして、現在の体力の評価というものを次ページの2の ところでお示ししております。体力の評価方法についてはさまざまの方法がございます が、ここでは自分でできる、あくまでも簡単な方法ということで、持久力と筋力の評価 方法について取り上げています。  まず1では持久力について、その代表的な項目であります全身持久力、最大酸素摂取 量の評価方法について取り上げております。これは実際御自分でややきついと感じる速 さで歩いていただいて、その歩いた距離に応じて持久力の評価を行うという方法をお示 ししております。  それから14ページの2の筋力の評価というところでございますけれども、筋力につい ては、特に下肢の筋力が加齢による影響を受けるということがございますので、ここで は下肢の筋力の評価方法というものを取り上げてございます。  筋力の評価方法といたしましては、絵にお示ししてありますように、いすの座り立ち というものを行いまして、10回座り立ちを行うのにかかった時間を測りまして、これを 性別、年代別に評価を行うという方法をお示ししております。  1枚おめくりください。15ページの3の身体活動量の目標設定ということでございま す。ここでは身体活動量の評価、それから体力の評価というものを踏まえまして、どの ように身体活動量の目標を設定していくかということをお示ししております。  (1)の目標設定の考え方の下に、黒枠で囲んである部分がありますが、「いつでも どこでも楽しく歩こう1日1万歩!」それから「自分に合った運動でいい汗かこう、週 合計60分!」この2つのスローガンをお示ししていますが、これは7ページの身体活動 量の目標ということでお示しいたしました身体活動量の目標、週23個、それから運動の 目標週4個というものに対応する、より一般的な表現として、週23個の身体活動を歩数 に換算すると1日当たり約1万歩であると、それから週4個の運動を例えば速歩で行っ た場合は、約60分であるということで、わかりやすいスローガン的なものをここに書い てございます。  それからその下に身体活動量の目標設定、それから運動量の目標設定という項目がご ざいます。身体活動量の目標設定の考え方といたしましては、まず身体活動量の基準に 達成しているかどうかというのを評価していただいて、身体活動量の基準に達成してい ないという方の場合には、まず日常の生活活動量をふやすことで、まずは身体活動量の 目標に達成するように心がけていただく、あるいは身体活動量の目標に達成している方 は、現在の身体活動量を維持するとともに、体力の評価結果に応じた運動を行って、体 力の向上を目指していただくということを考え方としてお示ししてございます。  それから運動量の目標設定につきましては、運動習慣、それから体力に応じた目標を 立てましょうということをお示ししてございます。運動習慣のない方は、週に2個程度 から始めていただく。運動習慣があるけれどもまだ週4個の目標に達していないという 方は、4個を目標に、既に4個以上運動されているという方は、10個を目標に、運動量 の目標設定を行っていただく。  それから運動を行うに当たっては、体力の評価結果に応じて、体力を安全かつ効果的 に向上させるための運動を行うことが重要であるという考えをお示ししております。  次の16ページの2番の体力に応じた運動というところで、それでは体力に応じてどの ような運動を行ったらいいのでしょうかということをお示ししております。この体力に 応じた運動というものにつきましても、持久力と筋力というものを取り上げております。 まず16ページでは持久力を向上させるための運動として、運動の例を速歩、ジョギング、 自転車といったさまざまなものを挙げております。その絵でお示ししましたように速歩 につきまして、理想的なフォームというものをお示しして、このような方法で持久力の 向上を図りましょうということが書いてございます。  それから持久力を向上させるために、どれぐらいきつい運動をやったらいいのかとい うことが簡単にわかるような注意書きがQ2、A2というところで書いてございます。  1枚おめくりください。17、18ページでは筋力を向上させるための運動というものが 書いてございます。筋力を向上させるための運動といたしまして、自宅でできる筋力ト レーニングというものの例を挙げて解説しております。ここでは3種目をお示ししてお ります。それぞれの筋力トレーニングの注意というものを、イラストを使ってわかりや すくお示ししております。  それから18ページにどれくらいこのトレーニングをやればいいのでしょうかという ことで、筋力の評価結果に応じてこれだけの運動を目標にしましょうということをお示 ししてございます。  1枚おめくりください。19ページに移りまして具体的な事例というものを御紹介しま す。身体活動量の評価を行い、それから体力の評価を行い、それから目標設定をすると いうのを具体的な事例を使って、2例ほどを示ししております。19ページにお示ししま したのは、電車通勤をしているサラリーマンAさんの場合、それから20ページにお示し いたしましたのは、家庭にいることが多い主婦Bさんの場合ということです。お2人と も、身体活動量の目標の設定を行う前に評価を行ったところ、目標の23個に達していな い。あるいは運動の4個という目標に達していないということが明らかになったという 事例です。  事例1のサラリーマンのAさんの場合は、さらに体力の評価を行ってみると、持久力 が目標に達していない。このような事例をもってきまして、サラリーマンAさんの場合 には運動も足りない、それから身体活動量全体も足りない、それから持久力も足りない ということで、下の絵の横に書いてありますように、体力を向上させるための運動、そ れから生活活動というものを新たに加えて、身体活動量の目標を達成している。  20ページに移りまして主婦Bさんの場合ですけれども、Bさんの場合も同じように身 体活動量が足りない。運動は比較的習慣づいているので、4個の基準というのは達成し ているんですけれども、身体活動が足りない、それから筋力が少し弱いということが、 この方の場合はありましたので、筋力を向上させるような運動を追加して、目標を達成 するという事例を紹介してございます。  1枚おめくりください。21ページと22ページではメタボリックシンドロームの該当 者、予備群の方に対しまして、内臓脂肪を減少させるために、どのような身体活動量の 目標設定を行ったらいいのかということをお示ししております。これは9ページの参考 の内臓脂肪量減少のための身体活動量に対応する部分でございます。内臓脂肪症候群の 該当者、あるいは予備群の方が御自分の腹囲をお測りいただいて、それからどれだけの カロリーを消費すれば、目標の腹囲に達成できるかというのをわかりやすくお示しした ものでございます。21ページのシート、22ページのエネルギー消費量の評価、あるいは 腹囲の測定法というものを参考にしながら決めていただくことによって、確実に内臓脂 肪を減らすための目標が設定できるというような構成になっております。  1枚おめくりください。23ページ、4.目標を達成するためにはということでござい ます。身体活動量の目標設定を行って、その目標をどのように達成していきましょうと いうことで、目標を達成するためにポイントとなること、それから目標達成するために 現在のステージに応じた目標達成のためのヒントというのが、24ページの(2)のとこ ろに書いてございます。  まず23ページの(1)目標を達成するためのポイントですが。ここでは生活活動それ から運動量それぞれにつきまして、ポイントとなる事項が書いてございます。まず生活 活動に関しましては、日常生活における歩数を増加させるということが、やはり重要で ございますので、ここでは歩行習慣を身につけるためには、どのようなことに心がけれ ばいいのかという6つのポイントをお示ししております。  それから運動量をふやすためのポイントとしましては、なかなかライフスタイルによ っては毎日運動するのは難しいという方も多いと思われますので、例えば週1回60分運 動をやるということでも結構ですし、例えば週6回10分ずつ少しずつやるということで も大丈夫ですということをお示ししております。  それから24ページの(2)に移りまして、ステージに応じた目標達成のためのヒント というものをお示ししております。実際に運動を始めよう。あるいは身体活動量をふや そうという目標を立てた場合、自分がそのことに関してどのように考えているのかとい うことを行動変容のフローチャートを使いまして、現在のステージに応じたヒントとい うものをお示ししております。  24ページの下のフローチャートにしたがって、御自分の現在のステージの評価をして いただきまして、25ページから続きますそれぞれのステージに応じたヒントというもの を参照していただいて、目標を達成するためのヒントにしていただくというのが、ここ の構成となっております。  少しおめくりいただきまして30ページをお開きください。30ページに実際に運動を 行うに当たってどのようなことに注意が必要であるか。事故のないように安全に運動を 行うためには、どのようなことに気をつければいいのかというような注意事項というも のをまず(1)の安全に運動を行うための注意事項ということで、6点ほど挙げさせて いただいております。  まず運動の前後には準備運動と整理運動が必要であるということ。あるいは持病や合 併症をお持ちの方は専門家に相談していただく。それから体調に合わせた運動をしてい ただく。あるいは特にこれからは暑い季節になりますけれども、夏場には水分を十分に とっていただく。それから服装ですとか靴というものに関しても、こういったことに気 をつけてくださいということをお示ししております。  1枚おめくりください。安全に運動を行うためにというところでございます。準備運 動、整理運動ということについて説明させていただきます。こちらではイラストを使っ て具体的に実践できるような準備運動、整理運動についてお示ししているところでござ います。ここまでが実践編でございまして、理論編の考え方に基づいて、御自分で身体 活動量の目標を達成しよう、運動量の目標を達成しようというために、まず評価を行い まして、評価に応じた目標の設定、それから目標設定を実現させるためのヒント、それ から運動を始めるに当たって注意していただきたい事項というような構成になっており ます。  それから32ページからが参考資料となっております。1枚おめくりいただきまして、 33ページの参考資料1というところで、身体活動の個数表というものを設けました。先 ほど身体活動の目標シートをつくるときに代表的な項目だけをお示しした部分がござい ましたが、では実際にさまざまな運動、生活活動というものがどれだけの強さがあって、 それらをどれだけの時間やると1個に相当するのか、ということをお示ししてございま す。  33ページが、3メッツ以上の運動。これは身体活動量の目標の計算に含めるもの。そ れから34ページが3メッツ以上の生活活動、こちらも身体活動量の目標の計算に含める ものです。1枚おめくりいただきまして、35ページが3メッツ未満の身体活動で、こち らは目標の計算に含まないというものを参考までにお示ししております。  36ページの参考資料2におきまして、ライフスタイルに応じた身体活動量を増加させ るための事例集ということです。ここでは事例を6つほど挙げさせていただきまして、 個人の運動歴、ステージ、それから身体状況等に応じた身体活動量を増加させるための 具体的な事例をお示しいたしまして、それぞれ読者の方に自分に近い例ですとか共感で きるような例を探していただいて、身体活動量をふやすための参考に御活用いただくと いうことで6つの事例を示しております。  事例の詳細については省略いたしますけれども、まず事例1といたしまして、メタボ リックシンドロームを予防したい30代男性が、運動不足を解消して、健康づくりを図っ ていくというのが事例1です。  それからメタボリックシンドロームを解消したい50代の男性が、日常生活の中で活動 量をアップさせることによって、その解消を図るというのが事例の2です。  それから運動不足の30代の女性が運動を行うことで、健康的にダイエットを図るよう な事例というものが事例の3。  それから40代の女性が若いころの体形に戻りたいということで、運動と食事に気をつ けてダイエットをしていただくのが事例4。  それから50代の女性で、病後の健康不安というのを運動で解消するというのが事例の 5。  それからもっと活動的な生活をということで、60代の女性が、筋力のアップを運動で 図っていくというのが事例の6、このような構成になっております。少し長くなりまし たが、事務局からは以上です。  太田座長 ありがとうございました。今事務局から説明がありました、健康づくりの ための運動指針(案)につきまして、御意見とか御質問がありましたら、よろしくお願 いします。  皆さんのいろんな御意見、既にいただいている御意見を盛り込んで、シンプルでとて も納得できるような形に仕上がってきているのではないかと、私は感じているのですが、 どうでしょうか。  下光委員 よろしいでしょうか。私も前もって送っていただいた時には気がつかなく て、今気がつきましたので、質問したいと思います。8ページの図3、生活習慣病の発 症リスクの下段のところで、生活習慣病にかかる可能性が高い、中等度、低いというの があります。運動も身体活動も満たしている場合は低い。それから運動を満たしていな い場合は、身体活動だけの場合には中等度というふうに書かれているんですが、これに ついては、エビデンスはどうだったでしょうか。  太田座長 では事務局の方で、あるいは田畑先生かどちらかで。では事務局でお願い できますか。  石井室長補佐 こちらはシステマティック・レビューの結果で、身体活動量として23 個というものと生活習慣予防ということにエビデンスがあるということが、まず1つ。 それから運動につきまして、運動単独ということで、週4個の運動をすることによって 生活習慣病の予防効果がある。それぞれのエビデンスがあるということでございますの で、両方を満たした状態が、一番発症リスクとしては少なくなるだろうと。片方だけで は少し両方を満たしている場合に比べたら、リスクとしては高くなるだろうということ で、この図を加えさせていただいたというところでございます。  太田座長 ほかに御意見。  吉池委員 2ページ目の策定の趣旨のところでございます。3番目に関して質問をさ せていただきたいことですが、「健康な成人」を対象としているということで、また「持 病のある方」という表現をされています。ここだけを見ると持病というのは、運動を積 極的に必要とする、治療上や予防上というよりも、ほかの病気的な意味合いがあり生活 習慣病で運動を積極的に行うような、いわゆる運動療法的なものは、また別の範疇だと いうふうに読めるわけです。そうしたときにどこまでをガイドの対象とし、どこからが 医療的な行為の中での運動療法になるかというのがやや見えにくい。特に「メタボリッ クシンドロームの方へ」というのが入っているのですが、その辺の整理はどう考えたら よろしいでしょうか。  太田座長 事務局の方でお願いします。  石井室長補佐 これは以前にも議論が少しあったかと思います。ここは書き方を変え ておりますので、そこはかえってわかりづらくなってしまったのかもしれませんけれど も、基本は健康な成人の方を対象と。それに少し付随する形で、健診で境界期に入って くるようなメタボリックシンドロームの方も対象にすると。それから持病のある方とい う趣旨でございます。もちろん運動療法として運動が必要という方はもちろんですし、 あるいは循環器疾患ですとか、あるいは整形外科的な疾患があって、なかなか自分の判 断だけで運動を行うことが難しいという方については、主治医の方と十分相談した上で 運動を行ってくださいというような趣旨で書いてございます。  太田座長 それでは竹中先生、お願いします。  竹中委員 別に意見というわけではないんですけれども、31ページからの事例集のと ころで、それぞれの方のイラストみたいなものがありますと、顔がちょっとでもあれば 非常に読みやすいのではないかと思うんです。最初にメタボリックシンドロームになっ てしまっているような人の顔をイメージしてイラストを置いていくと、皆さん最初に、 入りやすい、見やすいのではないかと思います。いかがでしょうか。  太田座長 本当にそうですね。これから多分、イラスト、例えば竹中先生が言われた 事例のイラストとか、それからどこかに1週間の表が絵で書いてありましたけれども、 例えば小さなランニングのカラーの絵とかああいうもののディスプレイを少し変えてい ただけるようにお願いできればと思いますが、よろしくお願いします。  ほかに御意見とか。  津下委員 25ページからのステージのところなんですけれど、標準的な健診保健指導 のガイドラインの中にも、もちろんこのステージモデルというのが取り上げられている のですが。同じ意味なんですけれども、無関心期、関心期、維持期、準備期というよう に、前熟考期が無関心期というふうになっていたかと思うのですが、そのあたりの厚生 労働省の出すガイドラインの言葉を統一した方がいいのかなと。  太田座長 竹中先生、何か御意見がございますか。  竹中委員 これは実際には、プロチャスカのステージ理論をそのまま訳しているんで すけれども、日本人の訳し方がそれぞれの分野で統一されていないことが問題なんです。 これは私が例で出したんですけれども、糖尿病の運動療法の分野で一番ポピュラーにな っている天理よろず病院の石井先生の訳にしたがって、前熟考、熟考というふうにさせ ていただきました。  私も、ontemplationとかprecontemplationという訳は、単に関心、無関心というよ うに軽いものではなく、しっかり考えて、決心して、熟考、前熟考と訳す方が適切では ないかなと思いまして、こういうふうにさせていただきました。  下光委員 追加でよろしいですか。私もいろいろこの辺の言葉を使って仕事をしてい ますけれども、日本語では、無関心期とか関心期と使っているんですけれども、今、竹 中先生がおっしゃるように、やはりプロチャスカのprecontemplationとか contemplationという言葉は正確にその意味を訳すと、やはり前熟考とか熟考というふ うになるんだろうと思います。こちらに統一した方がいいのではないかと、私としては 思っています。  太田座長 ありがとうございました。では久野先生。  久野委員 先ほどの下光先生の御指摘のところ、8ページの中等度のリスクのところ ですが。私は印象として、今回身体活動量でいいんだということを打ち出している中で、 リスクが中等度という意味が非常にわかりづらいなと、改めて読むと感じます。  例えば右は、両方達成した場合は可能性が低いとあるので、例えばやや低いとか、中 等度は何を意味するのかわかりにくいので、ここだけはちょっと書き変えた方がいいの ではないかという印象を持ちました。  太田座長 事務局の方でまた、先ほど御説明がありましたように身体活動量のエビデ ンスと運動のエビデンスのマトリックスみたいな話だと思います。そういう視点で厳密 な論議と、もう1つ久野先生が言われたように、片方をやっていれば結構意味があるの ではないかと、そういうエビデンスでもあると思いますので、やや低いという言い方は なかなか味があっていいと感じました。ありがとうございました。  ほかに何かありますか、よろしゅうございますか。実はこの後次の議題になりますが、 活用方針についていろんな御意見をいただいております。そちらの方に移りたいと思い ます。よろしいでしょうか。  それでは、資料2のところで8名の先生方から活用方針について、いろんな御意見を いただいています。大体1人5分ぐらい、ちょっと長い先生は仕方がないという部分が ありますが、それをめどにお1人ずつお願いしていきたいと思っております。事務局、 そんな格好でいいですか。  それでは斎藤先生の代理ということで、高崎先生、よろしくお願いします。  高崎氏 ルネッサンスの高崎と申します。よろしくお願いします。本日は委員の斎藤 が欠席させていただきましたので、かわりに御説明させていただきます。  資料2の(1)をお開きください。私どもはフィットネス産業にかかわる者でございます。 そこでどのような考え方とステージ、ステップで使っていくかということを簡単に御説 明申し上げます。  このたび運動方針としまして1日1万歩もしくは運動60分という、非常にわかりやす く、かつ私どもエンドユーザーの方をお世話する立場で使いやすい指針を示しいただき ましたので、これをこれから具体的にお客様に、どう届けるかということを検討してお りますし、既に開始しております。  3つのステージを考えておりまして。1つはわかりやすいものではありますが、さら にいかに情報提供して知らしむるかというところでございます。フィットネスクラブで ございますので、会員の方を中心にして、それに関連するお客様等に広く啓蒙・告知し ていくというステージ。  次に届け方の問題で、プログラム化する。この場合運動指針の考え方を指導するマニ ュアル、それからコンピューターのシステム等に組み込んでいきます。  それから一番大事なところが個別指導でございます。特にここでは、健康になること について、それぞれ個人がメリット、デメリットは感じではいるのですが、ただ現実的 にはわかっちゃいるけどなかなか始められない、続けられないという現実がございます ので、この運動指針の考え方をそれぞれフレーズを盛り込みまして、運動継続の心の推 進力づくりといいますか、そのことをつくっていきたいと思っております。  下のページになります。情報提供という段階では、私どもお客様向けの会報誌とかお 客様向けのホームページなどを使って、標語等を広く告知していく予定でございます。  既に先行しております食事バランスガイドでは、右側に小さいものがございますが、 私どもではこのような冊子を、毎号20万部ほどつくってお客様に無料で配布しておりま す。フィットネスクラブ各社このようなものを持っておりますので、こういうところで 啓蒙していきたいと考えております。  また下の方ですが、フィットネス業界はもちろんのことなのですが、財界等での発言 や取材等の広報活動を通じて、運動指針や標語を広めるということで、特に財界は日本 経団連の方でヘルスケア産業部会というのを行っておりますが、こちらでこのたび正式 に決まりましたら、斎藤から御報告申し上げますが、加盟企業を初め広く日本の企業は、 労使及び職域の健保がともに健康づくりに一丸となって取り組むということを検討して おります。この提言を行いますので、これについて応援したいということで考えており ます。  おめくりください。2ページ目でございます。次にプログラム化の問題でございます が、運動メニューや商品に組み込むということで、フィットネスクラブで提供するコー スのメニューやテキストに運動指針の考え方を組み込み、実際の運動指導において使用 します。  先ほど事務局から御説明がありました、内臓脂肪の減少シートなどの考え方は、もう 既に我々は全く同じものでございまして、あの考え方を組み込んだシステムを今つくっ て使用しております。さらに今回お示しいただきましたもので、生活活動までの運動が わかりますので、そのあたりにつきましても組み込んでまいります。  また下の細かいものでございますが、これは医師と連携したメディカルフィットネス について取り組んでいる企業がございますが、3〜6カ月くらいの短い期間で、一気に 指導するということも行っております。このあたりにつきましては、運動指針の考え方 を盛り込みまして集中指導を行うということ。これがリアルな現場をお預かりしている 私どもの使命だと感じておりますので、この指針をふんだんに使ってお客様に啓蒙した いと思っております。  またここの集中指導の段階では運動だけではなく、日常生活等へのアドバイスを私ど もがかかわるトレーナーと健康運動指導士等が行いますので、そのあたりも統合的に御 指導申し上げたいと思っております  最後でございますが、一番大事な個別指導でございます。ここにつきましては、運動 計画や生活習慣の改善計画、指導を行うわけですが、特に私どもが担う役割としまして、 楽しい運動、それから爽快感のあるという運動、これをきっかけに生活習慣の改善をし ていただきたいと思っております。  弊社の場合ですと通信教育のベネッセという会社と提携しております。ここで「こど もちゃれんじ」というのをやっております。今計画してありますのが「大人チャレンジ」 といいますか、正しい健康知識を教育するようなことも、これから始めていきたいと考 えております。  また運動所要量の方にかかわってまいりますが、メタボリックシンドローム対策に特 に着目いたしますので、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスどりをお客様にわ かりやすく説明することが不可欠になりますので、これはメッツ、個というのも使って、 かつ本日簡易換算式もお示しいただいておりますので、非常に我々は使いやすくてあり がたいものでございます。これを使いまして読みかえを行い、個人別の指導を行ってい きたいということです。フィットネス産業協会に加盟する各社も含めて、全会一致で今 回の活動に協同するということで決めておりますので、このように活用したいと考えて おります。以上でございます。  太田座長 高崎さん、どうもありがとうございました。それでは続きまして下光先生、 よろしくお願いします。  下光委員 きのう慌ててつくって出したものなんですけれども。大学からの提案とい うことですので、指導者あるいは保健関係者への教育という観点からの普及啓発という ことで案を考えました。保健関係者ということで、4ページ目ですけれども、医師、薬 剤師、看護師、保健師、管理栄養士、栄養士、それから最も大事なのが、健康運動指導 士、あるいは運動実践指導者などの養成事業とか生涯教育への指導要綱への盛り込み等 々。あるいはテキストへの盛り込みということです。  指導者あるいはサポートする人たちに対してまず教育を行って、指針や基準の知識を 普及していくということが大事だろう。例えばサリス先生などのペースという研究プロ ジェクトでは、クリニックの医師が運動指導をやると非常に効果があるという結果が得 られています。今挙げさせていただいた人たちは、キーパーソンになると思いますので、 このような人たちにまず指針を普及させていくことが大事なのかなと思います。  それと関連してまして、次のページですけれども、学会等々でシンポジウムなどを開 催して、いろんな関連学会で知識を普及していくということも大事だろうと思います。 特に日本体力医学会、日本体育学会等々の学会で早急にシンポジウムを企画するという こと。  日本体力医学会では既に9月に指針、基準についてのシンポジウムが組まれるという ことでございますので、よろしいのではないかと思います。その他循環器学会とか、糖 尿病学会、それから医師会関係、これは特に産業医講習会が各地域で行われます。特に メタボリックシンドロームなどについて、中年の男性が最も割合が多いということです ので、職域における健康づくり、運動指針の普及ということが非常に重要だろうと思い ます。そういう意味から産業医の講習会のプログラムの中に指針をぜひ加えてもらいた いというようなところがございます。  あと薬学、保健師、管理栄養士等々の学会でもいろんな講演等々やっていただくとい うことでございます。  最後のページは普及啓発というところからは、ちょっと外れるのですが、指針という ものについて、その効果評価をするような研究、あるいは身体活動と運動の関係という ものをさらに整理していくような研究、あるいは身体活動あるいは運動を推進する上で のdeterminart factorというのですか、決定するような因子にどのようなものがあるの かということについて、研究を行っていく必要があると思いますので、できれば厚生労 働科学研究等々で研究費もつけていただきたい。これはまた次の指針あるいは基準作成 のための研究ということにもつながっていくと思いますので、その辺よろしくお願いし たいと思います。以上でございます。  太田座長 下光先生、ありがとうございました。続いて鈴木茂樹委員の方から、よろ しくお願いします。  鈴木(茂)委員 健康運動指導士会から参りました鈴木と申します。7ページのとこ ろに、会として今考えられる普及啓発の内容について簡単でありますが、3点ほど出さ せていただきました。  今下光先生からのお話にもありましたように、健康運動指導士、今後養成される方は こういう講習会、あるいは養成講習会等で、いろいろ勉強されていくと思います。現在 資格を持っている者については、具体的な内容はこれからということで、我々の方でで きるものを出させていただきました。  先ほどお手元に健康運動指導士会の会報、ピンク色の2色刷になっていますが、こう いうような会報を年に6回2カ月に1回ずつ会員に配布しております。当会の会員が、 運動指導士、実践指導者、合わせて5,900人ほどおりますので、その会員に対して、ま ず会報を発行するときに、中に記載するかあるいは別の資料をこちらで用意していただ けるようでしたらそれを入れて、まず指導士会の会員にこういうことが決まりました、 こういうような方向でいきますということをPRができるのではないかというのが、ま ずで1点です。  それから2点目が、運動指導士会の本部が東京にございまして。各支部というのが各 都道府県に1つずつ置かせてもらっているので、本部なり支部の方で年間80回ぐらい講 習会とか研修会というものを実施させてもらっています。これは指導士会の会員であっ たりあるいは会員に入っていない指導士の資格を持っている方、あるいは実践指導者の 資格を持っている方が、講習会を受講されています。この機会に、そちらで研修会、講 習会に参加された方にさらに重ねてPRをしていくというようなことです。  もう1つ3番目に健康づくりセミナー、これは各行政だとかいろんなところで、いき いき体操だとかいろんな講習会が行われております。そういうところに当会の会員が講 師として行って指導する場合に、一般の方に、こういうような運動指針を普及啓発して いければなというようなことを考えております。  いずれにしましても間違った情報が出ていったらまずいので、どういう形がいいのか これからになるのでしょうが、資料等が出されるといいのではないかというふうに考え ております。以上です。  太田座長 ありがとうございました。指導士会の会報の中に、運動基準の記事が載っ ています。ありがとうございます。それでは続きまして鈴木志保子委員、よろしくお願 いします。  鈴木(志)委員 日本栄養士会が考えております運動指針の普及啓発活動について、 お話したいと思います。10ページを見ていただきたいと思います。日本栄養士会で、機 関紙栄養日本というものを掲載しております。この機関紙を会員5万6,000人に、この 運動指針について周知するための活用を行います。  管理栄養士、栄養師の養成施設校に対して、この運動指針を配布し、学生からこの普 及を図ろうと考えております。  健康増進に関する栄養指導用の教材としまして、今日お配りしましたのが、食事バラ ンスガイドと食生活指針についてです。このような健康増進のしおりを、本年度10月発 行でもう運動指針に関しましては、予定しております。それを使いまして、会員が一般 住民に対して指導媒体として利用する。  生涯学習研修会で取り上げる。この生涯学習というのは、栄養士会の会員が自らスキ ル向上のために、管理栄養士、栄養士としての必要な知識技術を身につける学習制度で す。この制度を用いまして、今年度、来年度の研修において、トピックのテーマとして 取り上げて、この運動基準、運動指針についての理解、ねらい等、運動指導、栄養指導 というものの演習を行ってスキルアップをしていく。管理栄養士、栄養士が、この運動 指針に基づいた運動指導がしっかりとできるように、周知をするということです。  次のページに、どのような活動をするか。管理栄養士が指導する場合にはアセスメン トを必ず行いますが、この運動指針をちゃんと理解した上でアセスメントを行い、理解 後、この理解に基づいて運動指導に関して、栄養指導もさることながら、運動指導に関 してもしっかりと指導を行って、その方個人に見合った栄養指導、運動指導を展開して いくというふうに考えています。  次のページですが、この運動指針を活用した指導の評価を行うというのを掲げたいと 思います。運動指針を活用することによって、身体活動量の増加、運動の習慣化等を初 めとする効果について評価を行ってその評価を蓄積することによって、指導法の向上に つなげ、その向上から国民の健康の維持増進、生活習慣病の予防に寄与しようと考えて おります。ありがとうございました。  太田座長 どうもありがとうございました。運動と栄養をつなげていく、一番パワフ ルなところかもしれません。よろしくお願いします。  それでは竹中先生からパワーポイントで、御説明をいただきますよろしくお願いしま す。  竹中委員 早稲田大学の竹中と申します。私の専門は行動変容です。人の行動をどう やって始めさせて、継続させて逆戻りを予防するのかが、私の研究テーマです。  ソーシャルマーケティングという理論がありますけれども、これは広く普及啓発を行 っていくための1つの理論です。  実は6月の末にちょうどアメリカのフロリダで行われました、ソーシャルマーケティ ング・イン・パブリックヘルスという公衆衛生のためのソーシャルマーケティングの使 われ方という、そういう会議がありました。そこへ出席させていただいていろいろ感じ ることもありました。従来から私たちが思っていた、つまり本で知る知識としてのソー シャルマーケティングの考え方とはちょっと違ったりしました。それを整理する意味も 含めて、今日は提案をさせていただきたいと思います。  これは日が昇るところを撮りたかったのですが、実は日が沈むところです。  まず最初に運動推進の普及・啓発というよりは、むしろ運動指針を材料として運動を 普及・啓発させるということが、正しいのではないかというふうに思いまして、まず最 初に一言言わせてもらいます。それから普及・啓発というのは、ブランドづくりをしな がら、全国規模で行うというのが1つ。それから、地域を巻き込んで、地域の特徴とか ニーズに合わせた普及・啓発活動というようなことをしないと、深く広くは、なかなか 伝わっていかないだろうというふうに思います。これが基本的な考え方です。  それからこの間のソーシャルマーケティング・イン・パブリックヘルスの会議に行き まして最初に言われたことが、私の胸にずきっと来ました。特にアメリカではソーシャ ルマーケティングがすごい勢いで浸透しております。特にCDCなんかはdivisionをつ くったりしながら普及・啓発のところにすごく力を入れています。 そこで言われたことですが、縦軸に社会的なインパクト、横軸に人々がどれだけ変わ りやすいか、変わる見込み感をこういうふうにとってみると、例えば朝の美容体操を5 分間やることですと、非常に皆さんは変わりやすいけれども、インパクトとしては非常 に少ない。逆に2番のように週5日、毎日1時間の高強度の運動をやらないといけない となってきますと、人々はなかなか行動を変えにくくて、しかしそれができればインパ クトは高い。  アメリカ人の考えですけれども、彼らはこういうものはテーマとして避けろと。でき れば実際にインパクトもあり、相手を変えやすいものというものに、最初に絞っていっ てそれが公衆衛生の立場で考える普及・啓発ではないかということです。  つまり、週5回1回1時間ぐらいの高強度の運動をやれば、すごく効果はあるんです けれども、パブリックヘルスの立場で言えば、そういうものよりはむしろ真ん中にある 変えやすく、しかもインパクトもあるような中間的なもの、例えば1日総計して30分の 身体活動とか、週1回の散歩とかというものは大多数の人たちを変えやすく、しかもイ ンパクトがある程度計算できるということです。  それから2つ目に、だれにリーチしていくか、だれに提供していくかということなん ですけれども、横軸がresponsiveness、すなわち対象とする人の反応のしやすさと考え ていただいていいと思うんですけれども、例えば週6回ジョギングを既にしている人に とっては、すごく反応がしやすいでしょうけれども、インパクトはそれ以上はあまりな い。既にやっている人にとってはあまり大したことはない。  逆に先ほどと一緒ですけれど、2番目のような全く体を動かす気のないような肥満の 人が運動をやれば、すごくインパクトは高いんですけれども、変わる見込み、反応する 見込みはほとんどないというふうに考えれば、やはり先ほどと一緒で、準備ステージと いいますか、やったりやめたりしている人たちという、そういう人たちをいかに固定化 させていくかということに絞った方が、インパクトも高くて、相手の反応性も非常に高 い。こういうようなことを彼らが最初に言いまして、私も本当だなというふうに、パブ リックヘルスの立場でいうと、こういうふうな考え方を普及・啓発の考え方に持ってい かなければどうしようもないのではないかと思います。  それから最初に、ソーシャルマーケティングの定義ですけれども、従来のコマーシャ ルマーケティングのテクノロジーとか理論を使用しまして、相手の随意的、これがポイ ントですけれども、自分から進んでやる行動変容を導いて、特定のオーディエンス、対 象者を見極めて社会的な利益獲得を促進するということです。  ちょっと普通のマーケティングとは違いまして、幾つかのキーワードがあります。4 つのPと3つのPというんですけれども、もちろん相手を見極めて、相手のニーズとか 特徴を探りながら、そしていろんなものを当てはめていくというのは一緒なんですけれ ど、まずproductは製品を売るのではなく身体活動、運動を売るわけですから、その恩 恵をできるだけ高めてあげる。あるいはできるだけ運動に対して価値を持たせるように、 プロダクトを高い位置に持ち上げていく。従来は健康のためだけと言っていたのですけ れども、例えば家族の楽しさとか、それから人付き合いの楽しさとか、爽快感、メンタ ルヘルスの改善とか、そういうふうな、今までの運動のイメージ、単に健康だけという よりも価値とか恩恵をもう少し高める工夫をする必要がある。  それからpriceというのは要するに、運動をするために私たちはいろんな負担感があ ったり時間をかけなければいけないです。ウェアを買わないといけないとか、いろんな ものがあるんですけれども、そういう負担感をできるだけ減少させる努力をしなければ いけない。  それからplaceというのは、相手がどこで反応するのか、どこで運動しようと考える のか、どこでできるのかということです。  Promotionは効果的なメッセージ、このポピュレーションに対して効果的なメッセー ジを伝達チャンネル、インターネット、郵便、ポスター、そういうものをうまく使いな がら、だれが提供するのかということを考えた組み合わせで考えていきます。。  考えてみれば広くいろんな人に行き渡らせるためにはこのプロダクト、運動というの は単に健康だけというものではなく、もう少し価値を高めていく。相手の負担感を減少 させる、日常生活で行える内容、それからメッセージをうまく考えていくということを、 相手のpopulationに合わせて提供していけばいいと思うんです。それからpolicyとい うのは政策とか規則をからめていって、最終的にいろんなpartnershipを組む、いろん な団体、いろんなところと連携してやっていくというのがソーシャルマーケティングの 4つのP、および3つのPの基本的概念です。  要するに、こういうことをもとにストラテジーを開発していくという考え方です。  まずは今ちょうどアメリカのCDCなんかが行っている子供の身体活動を増強させる ためのVERBというソーシャルマーケティングキャンペーンがあります。これはこの 3年間ぐらいで効果を上げているプログラムです。インターネットを使ったり、地域、 学校、家庭を巻き込んで、全体的にソーシャルマーケティングの考え方を前面に出して やっているようなプログラムなんですけれども、その中でも地域バージョンで夏休みに、 スコアカードプログラムというのがあります。それを例に皆さんに説明していくと、ソ ーシャルマーケティングのガイドラインがわかっていただきやすいと思います。  ステップ1では地域の資源を動員するということですから、いろんな地域のメンバー、 公園管理者、学校給食センター、地域の企業とか、フィットネスクラブの人とが教師と かそういう集団のところから、資源を動員しながらチームを組んできて、そして初期の プランニングを行っていく。要するにどんな内容がいいのか、どういう目標にするか、 そしてフォーマティブ・リサーチといって対象とする人たちのニーズとか特徴をしっか りと探るようなリサーチをやる。  そしてステップ3では、プロダクトにどういうものが適当かを考える。子供ですから 健康のために、10年後すごく健康になるよと言ってみても、子供は動機づけられません ので、楽しさ、友人と一緒にいること、クール、格好いい、新しいスキルにトライする こと、こういう運動をプロダクトとしてあげています。  それからプライスは競争しなくても済む内容、失敗、落胆を導かない活動、無料とか 低価格のもの。  それからプレスメントはアウトレットと書いてありますけれども、いろんな地域の、 どこどこに行けばこういう行事がある。どこに行けば子供がその場所を使えるというよ うなアウトレットを提供していくとか、それから実際にプロモーションとして誰から働 きかけていくか、上級生の子供から働きかけていく、マスメディアをいっぱい使う、ポ スターを使うというようなもので、ステップ3までいきます。 それからステップ4は実際にプログラムを開発するんですけれども、まず出てきたもの をプリテストで試してみて、そして問題点を洗い直して、実際のプログラムを実行させ ていくのがステップ5。  そして実際にこのスコアカードは、学校とかマクドナルドとかYMCAとか、公共の 図書館というようなところで、プロモーション活動をいっぱいやりながら、それからト ラッキング追跡調査をして評価を行って、どのくらいの子供がカードを持ってきて、ど のくらいの子供がカードを返して、どのくらいの子供が実際に参加したかという評価を 行って、最後はよその州とか地域に普及させていく。こういう全体のステップがあるわ けです。  手順を従順に守らなければいけないということではなく、予算が少なければそれなり にはしょりながら、いろんなことをやっていく。フレームワークを考えながらやってい ったらいいということです。  ソーシャルマーケティングの枠組みで運動の普及啓発を考えてみると、まず今日は時 間が限られていますので簡単に説明しますと、我が国に緊急に行わなければいけない内 容、こういうものと、それからもう1つは、広く行われなければいけないものの2つに 分けて提案させていただきたいと思います。  まず緊急に行わなければいけないことというのは、だれに、何を、どこで、だれから というのを考えてみますと、一番問題となっているのは40歳代、50歳代の男性のサラ リーマンです。最も時間がなくて、仕事が忙しくて、メタボリックシンドローム発症の 危険性が高い人たちです。この人たちにまずはターゲットを絞るべきである。  しかも反応のしやすい人たち、例えば昔、運動をやっていた、あるいはちょっとやっ てやめているというような人たちを対象にすれば、反応のしやすさがあって、それなり のインパクトも期待できます。  それからプロダクトは、健康利益のみならず、その他の利益をもっと強調していく。 自分だけではなく、家族の利益にもなる、会社のためにもなるというようなものを考え ていかなければいけません。  プライスというのは、負担感を少なくする工夫。まずはできることからです。こうこ うこれだけのことをしたらいいというのはわかっているんですけれども、まず負担感も 少なくさせるような工夫をしていく。  それから場所は日常生活でできるようなもの。  プロモーションは、負担感を減少させるメッセージとか、多チャンネルの配信を行う。 ポスターもあれば、リーフレットもある、上司からの働きかけもあるというようなもの。 それから会社とか家族を巻き込んでしまうというような考え方です。  これはひとつ緊急にやらなければいけないことです。それから2つ目は普及・啓発に かかわる提案なんですけれども、プロモーションとポピュレーションとパートナーシッ プ、この3つに絞って考えてみます。プロモーションはメッセージを効果的に伝えるた めのコミュニケーション方略、効果的なコミュニケーションを考えていくべきである。  それからポピュレーションは重点的に働きかけるべきターゲットを決め、具体的に働 きかける。  パートナーはだれにどのようなことを依頼するのかということを考えていかなければ いけない。  あとはそれぞれのところを見ていただきたいのですけれども、例えばプロモーション であれば、効果的にプロモーションを行っていくためにブランドづくりをやってみると か、厚労省の階段利用のキャンペーンをやっていますので、そういうものを全国的に啓 蒙していくとか。それから国民関連団体に向けたURL、インターネットのところを開 設するとか。用途別に使用できるリーフレット、パンフレット、それから対象を明確に したリーフレット、パンフレット、こういうものはセグメント化して働きかけていく。  それから関連団体とのコラボレーションですけれども、複数のロゴを一列に配してや っていけば、いろんなところがこういうことを強調しているんだということを見せるこ とができると思います。  1つずつちょっと簡単にいきますと、ブランドづくりというのは、メッセージ化、新 聞テレビ、ラジオ、市民広報を有効に使っていく。それからリーフレット、パンフレッ トを小分けにしながらつくっていく。  2つ目の厚労省の階段利用促進のキャンペーンなんですけれども、これは私たちがお 手伝いさせていただきました。こういうポスターを階段やエレベーターのところに張る ように、積極的によそでも使ってもらうように働きかけていく。  それから国民及び関連諸団体、指導者に向けたURLの開設。実際に相手に接するの は指導者ですから、指導者が普及させやすいようにわかりやすいようなものをつくって いく。特にリーフレットや指導者用のガイドラインの作成は、これから重要になってく ると思います。  あとは用途別に使用できるリーフレット、パンフレットというのは、例えば健保で使 うものと、それから市町村で使うものというのは、内容的には変わって当たり前ですし、 対象も違います。それから小学生を持つ親、中学生を持つ親というふうに年齢に応じて 若干変わっています。どの程度まで小分けにするかについては考えないといけないとし て、用途にマッチするようなセグメント化を考えていく必要があると思います。  それから対象を明確にしたリーフレット、パンフレットというのは先ほども言いまし たけれども、熟考ステージ者、つまり運動することを考えているけれども実行に移して いない、将来やろうかなと思っている人たちをその気にさせていくようなリーフレット。 それから準備ステージ者、以前にやっていたりやめたりしている、過去にやったことが ある人たちをもう一度始めさせたり、習慣化させていくようなものも必要かなと思いま す。  最後に複数のロゴを用いて、コラボレーションを強調する。できるだけ協力できるパ ートナーが多ければ多いほど、アピール度は広がっていきます。  ポピュレーションについては先ほど言いましたので、40代、50代の男性サラリーマン とか、こういうターゲットを絞ったようなものを考えていかないといけないのですけれ ども、あとはそれぞれ40歳、50歳代への働きかけをどのような内容に絞っていくか、 例えば仕事中心の生活者には、働きかけの内容として、日常生活の中で行うものでなけ ればいけませんし、敷居を下げなければいけません。  それから子供の教育問題にかかわっていますから、子供から家庭に働きかけるという ことも考えられるでしょう。この年代の人たちというのは、新聞をよく読みますから、 特集を組んでもらうなどメディアに注文をつけながら、そしてメディアと協同して働き かけていく。  また、生活習慣病の危険因子は他にも、食生活、喫煙、飲酒、ストレスという問題が ありますので、それらと一緒に合わせながら働きかけていく。  最後に幾つかあるんですけれども時間はもうちょっといいですか、やめた方がいいで すか。  あらかじめ、指導者への情報提供というのは必要だと思います。今までは、こういう 指針を出したらそれで終わりになっていました。勝手に使えという感じだったんですけ れども、そうではなくて、時間的にこれからどんなことが、それぞれのところで関連す る資料が公刊され、例えばリーフレットとかそういうものがいつ出ていくのかという流 れをあらかじめ指導者に知らせておいて、これが出てきたらそれをどういうふうに使っ てもらうのかということまで指導者に教えていくことが指導者の啓発活動を促すことに なっていくと思います。特に指導者専用のURLの開設をしながら指導者を教育してい くということを考えないと、指針を普及につなげていくというのは難しいかもしれませ ん。  それからパートナーシップですけれども、皆さん後で見ていただいたらいいのですけ れども、だれにどのようなことを依頼していくのか、マスメディア、職域、地域学校、 病院、関連学会、それから省庁、フィットネス関連産業、交通機関、自動車、バイクの 製造会社、都市整備、公園整備、関連部局、こういうものをそれぞれ想定して団体にど のようなコラボレーションを依頼していくのかということを、幾つか書いていますので 後で読んで頂ければと思います。  これだけいろんなパートナーを組みながら、いろんなところで細かくやっていくこと が普及啓発につながっていくのではないかなと思います。  最後に従来はこういう普及・啓発に関しては、思いつきや経験に頼ったことが中心だ ったと思います。ソーシャルマーケティングというのは、単に研究のためだけではなく、 こういう普及・啓発のための枠組みを示してくれていまして、またガイドラインを与え てくれています。そのガイドラインに沿ってポイントをあてて内容を組み込んでいけば いいのではないかと思います。  できれば、いきあたりばったりではなく、こういうふうに、最初から働きかけの内容 をトータルでしっかり決めながら、ポイントを絞って普及・啓発を行っていくことがそ の効果を高めていくことではないかと思います。以上です。  太田座長 ありがとうございました。普及啓発というのは、一種のマーケティングと いうことで、そういう理論に沿って着実にやっていくべきことだろうと、本当に勉強さ せていただきましてありがとうございました。  それでは続きまして、戸山先生からよろしくお願いいたします。 戸山委員 慶応の戸山でございます。私の方からは1つは、多分皆さん御存じだと思 いますが、いま2000年から動いております、Bone and Joint Decade。これは直訳しま すと、骨関節の10年ということになるのですが、我が国では運動器の10年ということ で大々的に動いておりますので、それを少し御紹介させていただきます。 資料の25ページをごらんいただきたいと思います。健康づくり、生活習慣病予防の意 味からもまた医療費、施設、道具等なくてもできるというふうなものが、さかんにいろ いろありますけれど、より発展させるというふうのものがよろしいかなというふうに思 っています。  運動器の10年と運動を連動し、日本ウォーキング協会等とも連動してこの「歩け歩け 運動」をより推進するという形のものがよろしいかなということで御提案したいと思い ます。  実際の運動器の10年の方では、今年度から「コツコツウォーク」コツコツというのは、 骨、骨というのもあるんですが、コツコツ地道にやろうということで「コツコツウォー ク」と名付けました。この運動を今年から展開するという形で動き始めております。そ れについて御紹介したいと思います。  資料が飛んで30ページをごらんいただきたいと思います。これは運動器の10年とい うことです。1998年スウェーデンのルンド大学から提唱されたものです。99年にアナン 国連事務総長がこれを支持しまして、2001年からWHOより正式に発足ということで動 いています。現在93カ国ぐらいで、我が国もBone and Jonit Decade、先ほどお話しま したように、運動器の10年としていろいろ展開をしてまいりました。これは運動器疾患 をできるだけ少なくするというふうなこともあるんですけれども、その底辺には、ここ のところの委員会と深く関係しまして、運動をできるだけ啓発啓蒙しようというふうな ことも底辺にございます。  32ページをごらんいただきたいと思います。これまでちょうど中間点に入ってきます けれども、ここの委員長は前九州大学の総長で、前の医学会総会会長でありました杉岡 先生が、会長として委員長として、引っ張って現在まできております。  2001年からのスタートでは、キャンペーンのシンポジウム、2002年に運動器フォーラ ム、2003年の運動器フォーラム等々行いました。2005年にはこれは東大から出したので すけれども、非常にわかりやすく漫画にしまして、「大人の知らないからだの本」とい うことで、できるだけ運動器を知っていただこうという形で、これの啓発に努めてきて います。  それからDVDというふうなものも作成して全国に配布しています。  それ以外に、スポーツと子供というふうなものも大事なので、健診も含めて現在まで いろんな動きをやってまいりました。  34ページをごらんいただきたいと思います。昨年は実は、キャッチフレーズを募集し まして、「動く喜び、動ける幸せ」を最優秀として、これをアピールという形で使って おります。  その次、ちょっと前に戻りまして26ページをごらんいただきたいと思います。そうい うわけで運動期の10年というふうなことは、今年の10月8日を運動器の10年の日にし ていまして、それから1週間を運動器の週間というふうに銘打って動いております。今 年の10月8日は現在のところ、東京と大阪と福島でやる予定にしていますが、日本ウォ ーキング協会とも連動してまして、運動器の10年日本委員会が旗揚げをして、「コツコ ツウォーク2006」というふうなことで全国展開をします。  こういうふうな動きの中で、国民に、健康日本21の中で、10年間で歩数をこれだけ ふやそうというふうな目標を掲げていますから、広くこれなどを使って啓蒙啓発すると いうことが、1つのいい方法ではないかなということで提案させていただきました。以 上です。  太田座長 戸山先生、どうもありがとうございました。運動器の10年、Bone and Jonit Decadeというのは、有名で世界的な取り組みですので、そういうこととも連動した指針 の活用になっていけばというふうに、期待をしております。  それでは次の活用方法につきまして、信藤先生、よろしくお願いします。  信藤委員 信藤でございます。簡単に2ページほどでまとめさせていただきました。 いつも申し上げていることですけれども、非常にエビデンスがなくて、エモーショナル な部分の意見で恐縮なんですけれども、説明させていただきます。  前提として、私自体が雑誌の編集者ですので、いかにおもしろい話題を提供していく か。このおもしろいというのは別にふざけたという意味ではありません。その後に書い てあります、おもしろいからこそ人々共感を得ることができるというふうに考えており ますので、そういった視点で考えました。  それから私の発想力では、日本人すべてに共感を与えるようなそういう1つの企画と いうのは思い当たりませんので、ここでは生活習慣病に陥る一歩手前の中高年男性とい うことで絞って書いてみました。  先ほどの運動推進の資料の御説明にもありましたけれども、24ページのフローチャー トでいいますと、前熟考ステージの方々、一番ネガティブな方々に対して何かできない かなという視点で考えました。  先ほどの先生のお話にもありましたけれど、やはり中高年の女性よりも男性の方が、 問題が根深いといいますか、ちょっときつい言い方になりますが、気持ちがすさんでい て後ろ向きになっている方が多いと思います。そういう方々に対して、自分自身の人生 に対して、投げやりになっている方々に対して、どういう形でアプローチができるのか という部分であると同時に、先ほどの指針の説明を伺いまして、素人なんですが感じた のが、前熟考ステージと熟考ステージの間がどのぐらいあるのかなというのを、ひとつ 疑問に思ったんです。  最後の説明のところで、いいえと考えた人と、はいと考えた人の間というのは、限り なく薄いのではないか。その辺は実際にはどちらにでも転ぶような状態ではないかと。 そうすると前熟考ステージをはみ出して、熟考ステージの部分にも多少踏み込むところ もあるのかなというふうに考えております。  次にアプローチの骨子なんですが、ただ前熟考ステージの方というのは、先ほどの発 表にもありましたように、簡単に運動を始めてくれるのではないと思います。ですから 運動指針の内容というのは、非常に具体的かつ実践可能なもので、これは本当に専門家 の先生方が、力を振り絞ってつくられたすばらしいものだと思います。  それを具体的に理解してもらう前に、自分を心配してくれる人たちがいるんだと、そ れから自分たちの生き方を変えてみようというふうに、まず前向きに思っていただかな いと、やはりまず読んでもくれない方というのがいっぱいいるのではないか。そこのと ころが必要だと考えました。  つまり例えば国のために医療費を減らそうとか、会社の利益追求のためにより健康に なろうとか、確かに家族の将来のために自分は健康でいなくちゃとか、それもすごく大 事なことではあるんですけれど、もういっぱいそういうことは考えてきましたねと。そ うでなくて自分自身の幸せのために何か考えてみませんかという、そういう表現方法が 必要なのではないかと考えました。  次のページをごらんください。限られた時間で考えましたので、自分でも本当にこれ がどのぐらいできるのだろうか、わからない疑問点もあるのですが、一応2案考えまし た。  1つは絵本を発行してみたらどうか。絵本と申しましても、例えば30ページ前後のパ ンフレット程度のものだと思うんですけれども、先ほど申し上げたような趣旨で、後ろ 向きな気持ちになってしまっている中高年男性の方々に、温かいメッセージを投げかけ るようなそういった趣旨の、それこそエモーションに訴えかけるようなものです。  そういった方々というのは、さっき少し触れましたけれども、医療費の問題、あとは 会社や家族の問題、そういった方々にしてみれば、自分は逆に精一杯頑張ってきたんだ と。頑張ってきたんだけれども、会社から評価されずに、家族からも疎外されてしまっ たと。例えばそういった方々というのは、案外多いと思うんです。  それで例えば周囲のためにも頑張ってみようと、前熟考ステージの方々に対するアプ ローチにそういう文言がありましたけれども、周囲のために頑張ってみようというふう に言われてどのくらいやってくれるかなという部分が、少し疑問点があります。そうで なくて、自分、あなたがやってきたことを評価するよと。心配してくれる人もきっとい るはずだから自分のために生きてみようというメッセージを投げかけてあげる必要があ るのではないか。  またそういった、ちょっと変わったものをつくることによって、多少計算的な考え方 ですが、厚生労働省がこういうちょっとおもしろいものをつくりましたということが、 テレビや新聞等々のマスコミで話題になりまして、それが結局運動指針を伝達していく 二次的な効果も期待できるのではないか。そういうふうに考えました。  この第1案というのは、単発的かつ一方向的なものですが、それをサポートするため にホームページを立ち上げてみたらどうか。これはそういった人生に後ろ向きな方々の、 簡単に言うと、愚痴を聞いてあげるというそういうホームページです。いろいろ書いて ありますけれども、ここでは説明しませんが、そういった双方向的なものが果たして可 能なのかどうなのかわかりませんけれども。  それからこれも本当に一般的な話で恐縮ですが、愚痴を聞き終わるまでに、すごく膨 大な時間がかかると思うんです。そういった方々というのは膨大な愚痴を言い終わるま で、前向きになってくれないだろうなと、そう考えましたら、厚生労働省が直接やるこ とは無理としても、公益法人なり何なりがこういったものを持ってもおもしろいのでは ないかと、そういうふうに考えました。  以上、運動推進そのものをどうするかというよりは、周辺的な部分での意見をあえて 申し上げさせていただきました。  太田座長 ありがとうございました。最後に何かホームページの話が出ました。何か つながっているような感じもします。次に増田先生が、健康体力づくり事業団では、健 康ネットを含めたいろいろなホームページ活動してみえます。そういうことも含め、ま たよろしくお願いいたします。  増田委員 提案ということではなく、現在、当財団では厚労省から補助金等をいただ きまして、いろいろな委員の先生方からお話があったインターネット等、種々の媒体を 使って、健康・体力づくりに関する普及啓発を行っています。ただ、今非常に参考とな る御意見もいっぱいあったわけですが、こういう媒体を活用して、今後委員の先生方か ら、こういうふうにやってみたらどうかというような御提案をいただければと感じてい ます。  まず健康ネット、これは厚労省の健康づくりのホームページでございます。当財団が その運営というか運用を任されているものでございます。健康日本21に関連したコンテ ンツを、ここに載せさせていただいています。  それとまた健康日本21に特化したホームページもございます。この中で健康日本21 という運動がどういうものかというのを御紹介させていただいております。健康に関す る厚労省の最新の情報も、この2つのホームページに載せております。  またこの中にございます、後ほど説明させていただきますが、健康日本21は国が健康 日本21全国大会ということで、推進国民会議を設置されて、推進されているわけですが、 我々の財団は民間団体、公益的な民間団体の組織の事務局を務めさせていただいており まして、現在約130団体の運動、あるいは医療関係の団体がそのメンバーになっており ます。いろいろな運動を現在進めているところでございます。  また皆さん御存じのように、2011年から、すべてのテレビ放送が地上デジタルに変わ るということです。そうなりますとインターネットもテレビで操作できるということに なりますので、双方向性の媒体ができるという中で、現在試験的ではございますが、デ ジタルテレビを製作している会社と共同で健康体力づくりに関するサイトを提供してお ります。。  その中で健康づくりに関する情報も提供しておりますが、できましたらこの健康づく りの運動指針に関しましても、地域によっては既にTナビが試験的に結構使われている という地域もございますので、そういうところでこの健康づくりの運動指針2006をわか りやすく、また動画も入れたような形でコンテンツをつくりたいと現在考えております。 それがインターネット関係の媒体でございます。 また当財団では運動指導者に健康運動指導士さん、それから健康運動実践指導者、そ れから管理栄養士さんなり保健師さんに対して、健康に関する最新の情報を提供すると いうことで、月刊誌でございますけれども、「健康づくり」という雑誌を現在発行して おります。これは全国市町村にただで配布させていただいております。かつ、現在有料 購読者の確保に努めているところでございますが、実にこれは厚労省さんといいますか、 社会保険庁さんのお金で前は発行していたものでございます。社会保険庁の補助金が切 れたという段階で、我々も有料購読者の確保に努めております。  当初600人ぐらいだったのが、現在4,500人ぐらいの有料購読者が出てきたというと ころでございまして、少なくとも健康に関連する指導者の方々に見ていただく中で、健 康づくりのための運動指針の特集なり、または連載でわかりやすく説明をしてまいりた いと、現在考えております。 また当財団では健康運動指導者の養成をしておりますが、運動指針並びに運動基準を 新カリキュラムの中に盛り込むということで、現在その作業を進めているところでござ います。健康運動指導者の方々に、指針の理解、さらには運動基準の理解を確実にして もらおうと思っております。 また大変小さくて見にくい、こちらの資料の方にございますが、これは文部科学省関 係のいろいろな指導者のための講習会でございます。当財団は厚労省と文部科学省の両 方から認可をされている団体でございます。文科省関係の指導者の講習会におきまして も、早速今年9月以降の健康づくりのための講習会の中で、この指針並びに基準の意義、 理解をしてもらうための講義を考えております。  また、トピックといいますか、その時代時代で重要と思われる疾病なり健康に関する ものを話題として厚労省ではとりあげられますが、そういう時宜を得たものについてパ ンフレットといいますか、大体見開きで3ページから4ページぐらいのもので、一般国 民の方に理解をしていただくようなパンフレット等を当財団では毎年作成させていただ いています。 メタボリックシンドロームにつきましては、昨年度作成したものでございます。また 平成16年度につきましては厚労省の方で、健康フロンティアということで、糖尿病対策 を大きく取り上げられたということで、一昨年は糖尿病を一般の方々に簡単に理解して いただけるようにということで、パンフレットを作成しております。  財団といたしましては、この運動指針をわかりやすく理解できるような形で、本年度 パンフレットの作成を現在考えております。  またここにはございませんが、DVDで、これは宝くじ協会からいただいている補助 金でございますが、それで健康に関するDVDを大体年間で3種類つくっておりますが、 今年の分につきましては、入札から撮影といろいろ時間がかかるということで、既にち ょっと運動指針は間に合わなかったのですが、メタボリックシンドロームと機械のいら ない運動、使わない運動というようなテーマのDVDの作成を現在考えておりますので、 その中に運動指針を取り込めればなというふうに考えております。  また先ほども申し上げました健康日本21推進全国連絡協議会、約130の民間団体から なるそういう協議会の事務局を当財団で務めさせていただいておりますが、これは昨年 イベントとして「医師と歩こう」ということで、健康フェスタ2005というものを開催さ せていただきました。日本医師会、歯科医師会等、それから栄養士会さん等全面的な協 力を得まして、昨年も約1万5,000人以上の方の参加者がございました。一昨年もまた 1万5,000人以上の方の参加をいただきまして、健康づくりのためのイベントを実際に ウォーキングをやったり、また各会員団体の方々が、一般市民の方々の相談に乗ったり、 いろいろなイベントの中で、そういうことをやっていただいているわけです。  その中で今年の健康日本21推進フェスタ2006というのを11月に有明のコロシアムで 開催させていただく予定になっています。その中に運動指針をわかりやすく理解できる コーナーを開設したいと考えております。  また今までは厚労省関係の健康日本21のイベントと、文部省の体力づくり全国大会と いうのを全く別々に当財団としても、事務局を務めさせていただいてやっていたんです が、今年度は文科省さんの方も一緒にやろうということでございます。11月20日の週 1週間にわたりまして、厚労省の健康日本21のフェスタと文科省の体力づくりの関係の イベントを開催してまいります。文科省の方は代々木にございます青少年オリンピック センターの方で開催をさせていただこうと思っておりますので、そういう意味では、健 康づくりに関する運動指導の専門家が一堂に介するイベントの中で、この運動指針並び に運動基準の周知を、当財団としても図ってまいりたいと思っております。以上です。  太田座長 増田先生、どうもありがとうございました。今8名の先生方から御意見を いただきましたけれども、この活用方法とか普及も含めまして、まだ御発言をいただい ていない先生方、何か御意見がございますでしょうか。津下先生、お願いします。  津下委員 下光先生のお話の中で研究の推進が必要だということがありました。この 運動指針に従ったプログラムで本当に健康になるんだろうかということの研究を推進す るということが挙げられました。  もう1つ、普及啓発の評価、ソーシャルマーケティングの評価の仕組みを埋めておく 必要が最初からあるのかなと思います。運動指針ができました。そしてそれをもとにど のようなツールが、これから開発されていくのか。そして教育の機会をいろいろな場で つくられるのですが、実際にこれを使いこなせる指導者がどれだけふえていくのか。そ してアウトカムになると思いますけれども、実際に運動指針を知っている人の一般の人 の数、またはそれで実際に運動を始めた人の数というのを何とかモニタリングできると いいのかなと思います。  ということで、先ほどの竹中先生の資料にも評価ということがありましたけれども、 その「普及啓発の評価」ということを、最初から考えておく必要があるのかなというふ うに思いました。  それからもう1つ、いわゆる「健康にいい運動」というのは、世の中にいっぱいあり 過ぎまして、またかという感じも実はあると思うんです。違うところはこれは8,000本 の論文研究をもとにした、数百万人のデータだと思いますけれども、これらをもととし たエビデンスだということです。健康にいいといわれていることがあまりにもあふれて いるだけに、この重みというもの合わせて知らせていければ、価値が出てくるのかなと。 重要性も合わせて普及啓発できるといいのかなというふうに思いましす。  太田座長 ありがとうございました。事務局、よろしくお願いします。御発言をいた だいていない先生方に少しずつ手短にお話を伺おうかと思いますが、坂本先生、何か。  坂本委員 4回目で、指針の方がまとまってきて、自分も非常に良いものができてき たのではないかというふうに感じています。そこでこれを一般の人によく使ってもらう ためのちょっとした細かな工夫として、資料1の6ページに関してですが、エネルギー 消費量の求める式について、運動の動き方によってエネルギー消費量は違ってくるわけ ですから、1個かける体重で、大ざっぱに考えていいんだよというような形にした方が 一般の人たちには、受け入れやすいような気がします。一般的に、頭の中で暗算ででき るということで、換算式は係数として1.05は入れなくてもよいのではないかという気が しました。  もう1つの事は、資料1の事例のところです。19ページとかそれ以降の表みたいなも のがありますね。そこをインターネットなり、コンピューター上で、ウォーキングの絵 があったり、あるいはバレーボールの絵があったり、そこをクリックして、こちらの表 の方に持ってくる。そして、何分やったとかということを入れたら、それでもう個が計 算される。自分で計算するのではなく、選んできて何分やったかということをインプッ トすると、1週間どれぐらいの運動をやったんだということが、すぐ計算される。自分 で計算をさせると、意外とやってくれないような気がします。  せっかくコンピューターが、これだけITが進んできたわけですから、そのようにで きるようにしていくと、一般の人にも受け入れやすいのではないかという気がいたしま した。非常に良い指針だと思ってうれしく思っております。  太田座長 ありがとうございました。相馬先生、何か。  相馬委員 前回の続きでよろしゅうございますか。前回マクロの話をさせていただい たんですけれども、先ほど竹中先生が話されたことも全く理論的には正しいことと思い まして、特に広く国民に受ける、一番のキャンペーンのもとになる、具体的な表現につ いて、私はちょっと。実は私の鞄の中には半年ほどコピーが眠っているんですけれども、 それを披露させていただきたいと思っていますけれども、よろしいですか。  太田座長 時間はどれくらいでしょうか。  相馬委員 5分か10分で済むと思います。  太田座長 多分、そんなにございませんので、できましたら2〜3分で。申し訳あり ませんが。  相馬委員 では具体的な表現はまたの機会にいたしまして、まず私が思いますのは、 一番身近な例でいいますと環境省だと思うんです。これは京都議定書に基づくエネルギ ーの削減問題なんですけれども、一番国民的なレベルでやっているというのは、クール ビズです。これはかつて香港シャツとか、某首相は省エネルックといってやったんです けれどもそれが全然浸透しなくて、クールビズという非常なおしゃれなものに変えて、 国民にまで浸透していく。今や省エネというよりもむしろファッションになっていると いう、ああいうレベルになっていくと思うのです。  もう1つ、最近皆さんテレビでごらんになったと思いますが、チーム−6%という、 コマーシャルで、実は企業に向けてやっているんですけれども、これは環境省が、−6 %にしなさい、オフィスビルを−6%にしなさいよといって、企業に義務づけていると いうか、行政指導しているわけです。  先ほど竹中先生の中で、40代、50代というところに話があったんですけれども、これ は現役世代でほとんどの人が働いているわけですから、皆さん運動したくてもなかなか できない。じゃあこれは強制的というか行政指導的にでもやらせる方法を考えた方がい いのではないかというふうに、それぞれのレベルによって、それぞれのアプローチの仕 方を変えていく必要があるのではないか。  例えば健保なんかと一緒になって、マイレージじゃないけれども、ポイント制で何歩 歩いたらインセンティブをつけるみたいなことをやっていると思うんですけれども、企 業の中で査定というんですか、評価の項目として、健康という項目を入れて、あなたは きちんと健康管理をしていますか、そのためにどういう運動をしていますかということ を自己申告させるような、ある種義務づけみたいなものが必要になってくるのではない かと思います。  それと一般的な国民レベルでいうと、先ほど申しましたように、クールビズみたいな ことで、そういうマスメディアを使ったキャンペーン、これをもっと極端に言えば、前 におっしゃっていましたんですけれども、要するに小泉さんを動かしてでもやるぐらい の、むしろ環境問題よりも、もっと大きな人間の根源的な問題にかかわる健康問題につ いては、国を挙げてやるという、そのシンボル、象徴として、首相みずからやるぐらい のキャンペーンをやっていく必要があるのではないか。そういう指摘は十分にできると いうふうに私は思っていますので、ぜひそういうことをやっていただきたい。それがあ ると国民運動になっていくし、広く国民に普及するということだと思います。  そういうふうにいうと非常に軽薄だと思われるかもしれませんけれども、この間もミ サイルで、韓国が日本は騒ぎすぎだと言いますけれども、日本はそういう国なんです。 マスメディアの影響力が大きい国なので、ぜひマスメディアを有効活用して、広げても らうというのが一番とりあえず入り口としては早いのではないか。あとはきめ細かにそ れぞれのレベルに合わせた、すばらしい指針だと思うんです。それをきちんと皆さんに 伝えていくという方法があるのではないかと思います。まずそういうマスメディアの活 用ということを最初にやっていただきたいと思っております。  太田座長 どうもありがとうございました。それでは能勢先生のかわりでいらしてい る源野先生、何かございますか。  源野氏 運動指針に関しましては、非常によくまとまって、非常に評価できるものに なったと思います。普及の方も、大学の立場で申し上げさせていただきますと、下光先 生が非常によくまとめていただいておりまして、やはりこれからさらなる研究が重要か と思ってございます。  やはり総括いたしますと、今回システマティック・レビューをやっていただいて、非 常にわかりやすいものになっていると思います。先行研究は欧米が中心でございまして、 日本の成果がまだ顕著なところが、まだ欧米に追いついていないのかなというところも 感じるところでございます。  やはりこの指針、欧米の研究を中心に組み立てていただいて、ようやく日本の水準が 追いついたのかというふうに感じます。これから日本も欧米をリードするような、さら なるエビデンスを蓄積していって、指針をさらに改訂していくというところが、研究と しては非常に重要かなと思ってございます。以上です。  太田座長 ありがとうございました。レビューをやっていただきました田畑先生、何 かありますでしょうか。  田畑委員 その話題ではないのですけれど、最近の国会審議において“運動など一日 に1時間もできるはずがない”というような発言があったと聞いております。今回の運 動基準・指針では身体活動と運動を明白に区別し、さらに生活活動という新しい言葉を 作って、身近でみんなができる身体活動、つまり生活活動を生活のなかに取り入れてい き、それを健康づくりに有効である身体活動として評価しようということが大きな柱に なっております。この生活活動の普及を国民の方々にやっていかなければと考えており ます。  太田座長 では田中先生、一言お願いします。  田中委員 本当に今回の運動指針、極めて具体的でわかりやすくなったと思います。 ただ1つだけまだぴんと来ないんですが、個からのカロリー計算です。そこがもう少し わかりやすくならないかなという感はあります。  研究者の立場からですとまさしく、こうやってシステマティック・レビューから始ま って到達したというところは、こういう形になるものと想像しておりましたが、期待し ていたより非常にわかりやすくなったと思います。本当に日本人のデータが少ないので、 今後日本人を対象として、こういう研究を推進していく必要性を強く感じます。  ついこの間4月にアトランタで、パブリックヘルスに関するシンポジウムがございま したけれども、そのときにも指摘されたことですけれども、やはり恐らく欧米の方たち は非常に活動量の低い人が多い。そういうところに出てきた、1つのクリティカルなポ イントは、日本人のそれでは違うのではないかという気がしますので、その点の研究を さらに推進できるような体制をぜひ整えていただきたいと思います。  太田座長 どうもありがとうございました。いろいろ練ってまいりまして4回の会議 をしていただき、そして本日もいろんな意見をいただきました。基本的にはこれで運動 指針の案について、御討議はいただいているのではないかと思っております。今日いた だきましたいろんなところにつきましては、私と事務局で微調整をしたいと思っており ますけれども、そういうことでお任せいただきますでしょうか。どうもありがとうござ いました。  それでは事務局の方と、今日先生方のおっしゃったことを一生懸命フォローさせてい ただきまして、少しでもわかりやすくて納得のいくものにしていきたいと思っておりま す。ありがとうございました。それでは最後に今後の予定につきまして、事務局からよ ろしくお願いします。 石井室長補佐 今回の検討を踏まえまして、来週7月19日に開催いたします、第3回 運動所要量・運動指針の策定検討会におきまして、健康づくりのための運動指針2006 案を小委員会案として提出させていただくこととしております。  最後に事務局を代表しまして、委員の先生方にごあいさつを、中島参事官より申し上 げます。  中島参事官 数回にわたる御検討をいただきまして、やっとここまで来たのかなと思 っております。医療制度改革、最近は医療構造改革というふうに名前を変えております が、正直言って出発点は医療費の伸びをいかに適正化するかということを迫られる中で、 医療制度の改革に取り組み始めたわけです。しかし、実は今回の医療制度改革というの は、医療費の伸びをどう適正化するかということが、1つの結果であって、やはり国民 の健康づくりから国民のいわゆるターミナル、どういう形で息を引き取っていくのかと いうところまでを含めたトータルな医療のあり方、健康づくりのあり方を考えていく。 その中で医療費適正化を図っていければということでございます。  そういう意味では健康づくり、生活習慣病対策というのも、大いに力を入れて省を挙 げてやらせていただかなければいけないということで取り組んできたところでございま す。ただこれまでの生活習慣病対策というのは、幾つか問題点があったわけです。まず、 目標達成するためのプログラムとかツールが、必ずしも明確ではなかった。ある意味で はスローガンを連呼していたきらいはなかったかということでございます。  そういう点でも津下先生の方からお話がございましたが、健診・保健指導といういわ ゆるハイリスクアプローチについては、最近暫定版として1つの標準的なプログラムと いったものをまとめさせていただいたところでございます。  食生活については、既に食事バランスガイドということで、とりわけポピュレーショ ンアプローチを念頭に置いた形でまとめさせていただきました。たばこについても地味 ながら禁煙支援マニュアルということで、先般取りまとめをさせていただいたところで ございます。  一に運動、二に食事といっているところでございます。一に運動というところについ ては、本日こういう形で取りまとめていただいたということは、大変ありがたいと思っ ております。  システマティック・レビューに基づいて、まずエビデンスにしっかり基づいているも のであるということが1つ。それから2つ目に、23メッツ、4メッツ、それをわかりや すく言えば1日1万歩であり、週に60分の運動だというスローガン。それからとりわけ もう1つ大切なのは、自分の問題としてとらえていただくというためには、まず自分の 身体活動量とか体力がどうあって、そしてそれが目標に達するためには、どういう考え 方に基づいてどう選べばいいのかというところを、このエクササイズガイドで御提示い ただいたということで大変ありがたいと思っているところでございます。  またメタボリックシンドロームというものに主眼を置いて、今後対策を打っていこう と思いますので、7,000キロカロリーの消費で1cmの腹囲減少ということでございます。 それについても自分で数値を当てはめながらやっていけば、どういうような運動、身体 活動をどの程度すればいいのかということも算出できるということで、大変使い勝手の いいものにしていただいたと思っております。  今後、国においてもこのエクササイズガイドの普及に向けて大いに力を入れていきま すが、今日先生方からいろいろ御提案をいただいた、またこういう形で取り組んでいき たいという姿勢を示していただいた普及、活用方策については、それぞれの専門職団体 等におきまして、ことあるごとに積極的にPR、普及していただければ大変ありがたい と思っているところでございます。  長い間御検討いただきましたが、石井の方からお話申し上げましたように、来週親委 員会の方にかけさせていただいて、さらなる御意見をいただいて完成させたいと思って おります。  これまでの御労苦、大変ありがとうございました。事務局を代表しまして、お礼を申 し上げます。ありがとうございました。  太田座長 中島参事官、どうもありがとうございました。それから委員の皆さん方、 大変建設的な御意見と、いいものをつくっていただきまして、どうもありがとうござい ました。それではこれで閉会とさせていただきます。本当にどうもありがとうございま した。 ○照会先 厚生労働省 健康局総務課生活習慣病対策室 健康指導係 電話:03-5253-1111(内線:2338)