06/07/11 薬事・食品衛生審議会副作用・化学物質安全部会 平成18年7月11日議事録 薬事・食品衛生審議会 化学物質安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年7月11日   15:00〜 日比谷松本楼2階会議室 2.出席委員(10名)五十音順    安 藤 正 典、 井 上   達、◎井 村 伸 正、 沖   幸 子、    神 山 美智子、 黒 川 雄 二、 竹 居 照 芳、 百 濟 さ ち、    安 田 峯 生、 渡 部   烈   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(8名)五十音順   ○板 倉 ゆか子、 植 田 和 弘、 内 山 巌 雄、  岸   玲 子、    佐 野 真里子、 土 屋 利 江、 中 西 準 子、  新 村 眞 人 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)   佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○化学物質安全対策室長 ただいまより平成18年度「第1回化学物質安全対策部会」を 開催いたします。化学物質安全対策室長の佐々木でございます。本日はお忙しい中お集 まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の部会につきましては、委員数 18名のうち10名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令第9条 の規定に従い、定足数に達していることを御報告申し上げます。公開と非公開の別につ いてでございますけれども、委員の自由な発言が制限され、公正な審議に支障を及ぼす おそれ、あるいは個人の秘密等の開示によって、特定の者に不当な利益または不利益を もたらすおそれは、いずれもないと判断されましたことから、本部会は公開ということ で開催しております。  議題に先立ちまして、黒川大臣官房審議官より御挨拶申し上げます。 ○審議官 大臣官房審議官の黒川でございます。化学物質安全対策部会の委員の皆様に おかれましては、お忙しい中、日ごろから化学物質の安全対策に御指導、御協力をいた だきまして、厚く御礼を申し上げます。また、本年度第1回会合に、お暑い中御出席を いただきまして、誠にありがとうございます。  今日の当部会では、本年1月に引き続く会合となりますが、前回部会で第一種特定化 学物質として、新たに紫外線吸収剤の1つを追加することと御結論をいただきました。 その後、当該物質の国内外における使用状況の調査を終えたところです。現在、御承知 のとおり、化学物質に関する取り組みは、1か国のみで完了するものではございません で、世界各国が協力し合って、規制の調和、安全性確保のための措置が必要不可欠な段 階となっております。厚生労働省といたしましても、こういった国内外の動きを踏まえ つつ、国民の健康を守るという観点から検討を行っておるところでございます。  本日の部会ですが、化審法における第一種特定化学物質として追加されることとなっ た物質につきまして、それを含有する製品の輸入を禁止することについて、御審議を賜 りたく思っております。委員各位の忌憚のない御意見、御議論を賜りますよう、よろし くお願いいたします。簡単ではございますが、これをもって私の挨拶とさせていただき ます。ありがとうございます。 ○事務局 続きまして、化学物質安全対策部会の委員の先生方を御紹介させていただき ます。武蔵野大学薬学部教授の安藤正典委員、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試 験研究センター長の井上達委員、財団法人日本薬剤師研修センターの井村伸正委員、本 部会の座長をお願いしております。フラオ グルッペ株式会社代表取締役社長、生活評 論家でもいらっしゃいます沖幸子委員、弁護士の神山美智子委員、財団法人佐々木研究 所理事長の黒川雄二委員、富士常葉大学総合経営学非常勤講師の竹居照芳委員、東京都 多摩小平保健所長の百濟さち委員、広島大学名誉教授の安田峯生委員、日本薬科大学薬 学部教授の渡部烈委員です。他の板倉委員、植田委員、内山委員、岸玲子委員、土屋委 員、中西委員、新村委員からは御欠席との御連絡をいただいております。 ○井村部会長 委員の方々の紹介が終わりましたので、早速、会議を始めさせていただ きます。これは恒例ですが、議事に入る前に、事務局のほうから本日の資料の確認をお 願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。資料がお手元にない場合は、お知らせを お願いいたします。議事次第ということで、A4の1枚紙で配付しております。資料1 として、諮問書(写)ということで、厚生労働大臣より薬事・食品衛生審議会の会長、当 部会の座長でもいらっしゃいます井村先生宛に諮問書が出ております。資料2として、 「2−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert− ブチルフェノールが使用されている場合に輸入してはならないとする製品について」と いう本日のメインの資料を配付しております。資料3-1はA4横の1枚紙で、「化学物 質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づく新規化学物質及び既存化学物質の審査 の状況について」です。資料3-2として、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する 法律に基づく既存化学物質の審査状況について」、資料3-3は、同じく化審法に基づく 新規の審査状況についてです。資料3-2がかなり厚いものになっておりまして、資料3-3 については厳重管理ということで、こちらは企業秘密等もありますので、本日回収させ ていただきたいと思っております。よろしくお願いします。  参考資料としては5つございます。参考1、化審法における第一種特定化学物質等の 取扱いについてです。参考2、化審法における第一種化学物質における人健康影響一覧、 これはA3の1枚紙を折り込んでいるものです。参考3-1、本物質の調査報告書、これ は前回、本年1月13日の審議会において御審議いただいた資料でございます。参考3-2 は、本物質が含まれた製品の製造状況等についてです。参考4、監視化学物質への該当 性の判定等に係る試験方法及び判定基準です。以上です。 ○井村部会長 ありがとうございました。お手元に全部ございますでしょうか。諮問書 はないのですね。いま用意をいたしますので、先に進ませていただいてよろしいですか。  資料3-3は、先ほど説明がありましたように、これは本日報告する化学物質が新規化学 物質にかかわるものでございますので、この資料は部会の委員だけということで、議事 が終了いたしましたら回収させていただくということで、よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入ります。最初の議題は、審議事項の1で、「2−(2H−1,2, 3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノールが使用 されている場合に輸入してはならないとする製品を指定する件について」でございます。 まず、この件に関して説明をしていただきたいのですが、いま配付しております諮問書 にありますように、この件に関しては平成18年7月6日に厚生労働大臣から薬事・食品 衛生審議会に対して諮問がなされまして、薬事・食品衛生審議会長からこの部会に付議 されているという形できております。それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料2、参考3-2に基づきまして、御説明をさせていただきます。まず、資 料2の1ページです。本物質は、1月13日に第一種特定化学物質への指定につきまして 諮問させていただいたところ、指定して差し支えないという御判断をいただいたもので、 日本国内では製造も、それから日本国内の本物質の輸入もできないことになっているも のでございます。  しかしながら、本物質を海外において使用して、それを製品として輸入する場合が残 っておりますので、国内に製品として海外から輸入されるおそれがある物について、禁 止をする必要があるかどうか、判断をいただくことになっております。この場合、海外 における使用状況を勘案いたしまして、当該製品を政令指定し、輸入を禁止することに なっております。これは化審法13条です。  1ページのこの指定ですが、5行目の「これは」からということで書かせていただい ているところですが、国内におけるそれまでの使用状況、それから使用されている製品 の輸入状況、海外におけるこの第一種特定化学物質の使用状況などを見て、我が国に輸 入されている又はその可能性がある製品が日本において環境中に放出され、汚染を生じ る可能性があると認められる場合につきましては、それらの製品を政令指定することに なっています。  「政令指定の考え方」ということで、(1)の(ア)、第一種特定化学物質が使用されてい る製品を過去10年内に輸入していたことが実績、公電、公文書、海外規格若しくはこれ らに準ずる性格を有する情報により認められたとき。(イ)、本物質を使用されている製 品が、海外において生産されていたことが実績などによって認められるとき。(ウ)、生 産の実績があること、一般的であるということです。ただし、(エ)にこれらの中から除 外規定があり、(a)、今後輸入される予定がないもの、(b)、海外において生産され る可能性がないもの、(c)、国内規格、商慣習などで、今後、日本に輸入されるおそれ のないものを除外しているところでございます。  今回、主に経済産業省がこれらの調査をしたところです。その結果は参考資料3-2で 詳しく御説明させていただきたいと思いますが、このように事務局で輸入、それからど のような製品に使用されているかというところを調査させていただいたところ、2ペー ジの2ですが、「輸入してはならない第一種特定化学物質使用製品(案)」ということ でここに1〜8まで述べております。これは諮問させていただいたものと同じでござい ます。1.プラスチック樹脂成型品です。この物質につきましてはプラスチック樹脂に混 ぜて、紫外線吸収剤として使用されるというものです。2.特殊合板も色あせしないよう にということです。3.ワックス、4.塗料、5.接着剤、6.印刷・感光材料、7.シーリ ング剤、補修剤、8.芳香剤ということになっております。  この指定の理由は、当該物質が使用されている製品が過去10年間内に海外において生 産されていたことが実績等により認められるということ、製品に生産の実績が日本国内 であったことから、このリストを作成させていただいております。  なお、2ページの一番下ですが、「プラスチック樹脂成型品」というと非常に広いも のを指すといいますか、漠然としているところがありますが、こちらは建材や自動車用 部品など、大変多岐にわたるところから、具体的な品目については局長通知でこれを列 記しまして、周知徹底を図ることとしたいと考えております。その局長通知のリストの 案ですが、3ページの政令指定品目、プラスチック樹脂成型品がございます。これは日 本の製品の規格の番号84732、84731浴そうなど、いろいろ製品番号が付いていますが、 そちらの名称に従ってこのような形でリスト分類をしているものでございます。  それでは参考3-2ですが、背景情報から御説明したいと思います。まず、1ページで す。今回、第一種特定化学物質に指定された物質ですが、製造・輸入量の調査を行って おります。第一種監視化学物質に指定されてからは報告義務がありますので、そちらの 数字をこちらに挙げております。この表ですが、平成14年には257トン、平成15年に は246トン、平成16年に第一種監視、高濃縮性であり、しかも難分解性であるというこ とが判明して、指定されてからは減少傾向にございまして、平成17年では10月までで 91トン生産されているところでございます。  10月以降ですが、製造事業者の方が自主的に製造を停止しており、今後、製造を行わ ないという意向を示しているところです。そのうち、国内出荷量としては大体30トン弱、 平成17年につきましては13トン、14トンが使用されております。  用途ですが、これは主に経済産業省が当該物質を製造されていた方から、次々とそれ を販売先、つまり下流の事業者の方をたどっていき調査を進めたということになってお ります。最終的に製品に行き着くところまで、何に使われているかを調査したというこ とですが、これが非常に時間がかかっております。実際に樹脂に混ぜる事業者の方、樹 脂を成型する事業者の方、そしてその成型された樹脂を使用するということで、何段階 にもわたっており、少々時間をいただいたところでございます。  用途ですが、ここにありますとおり、主に不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネー ト、塩化ビニル樹脂などに混ぜられて使われています。実際、添加量としては、(2)用 途の3行目の真ん中辺りにありますが、0.02%〜2%程度の添加量でそれほど多いとい うことではありません。少量使われているというところです。このようにして用途を調 べたところ、下から3行目の【当該物質の用途】という所でまとめておりますが、(1)広 くプラスチック樹脂成型品、(2)特殊合板、(3)ワックスで車に使われていたというところ です。(4)塗料、(5)接着剤、(6)印刷・感光材料、(7)シーリング剤、(8)芳香剤などです。(9) 〜(10)までにコーティング材や防水加工用樹脂などがありますが、諮問をさせていただい たリストの中には入っておりません。その理由につきましては後ほど御説明させていた だきたいと思います。  先ほど御説明しましたとおり、(3)においては国内の製造事業者は製造を中止して、 今後、製造を行わないという意向を示しているところです。これは経済産業省のマター になりますが、現時点で製造の許可を必要とする事態は見込まれないものと考えている ところです。  3ページの表-1は、国内における製造で実際にどのようなものに使われていたかとい うことです。表のプラスチック成型品の用途別出荷量ですが、国内では7割前後がプラ スチック樹脂成型品に、その他は数パーセント程度、印刷や塗料などに使われていたと いうところです。  一番下のパラグラフを御覧になるとお分かりですが、プラスチック樹脂成型品につい ては具体的にはまず、建材といたしましてプラスチック樹脂のうち、6割が建材向けと いうことです。その具体的なものとしては、キッチンカウンター、浴槽といった水回り 関係、照明器具、床材、窓枠部材などに使われております。   2番目としては、自動車関係の部品です。自動車のプラスチックの部分がありますが、 シール材、モール、これはプラスチックで一部、継ぎ目などに使っているような部品で、 そちらに混ぜられてその物などがボロボロになったりしないように使われているという ことです。  4ページの(3)フィルムですが、これはマーキングフィルムといいまして、看板などを 作る際に色の付いたフィルムをカットして貼り付け、実際看板などにも使われています。 それから、その他電気用品や雑貨等にも若干使用されているということです。  表-2ですが、先ほど申し上げたように建材に6割、自動車部品に3割、フィルムに6 %程度、その他が微量ということになっております。  5ページは、今までは国内の使用の状況を述べておりましたが、これは主に環境省が 中心になり、海外でどのようなことを調べております。正式に公電調査というものを行 いまして、ここにまとめました。表-3の「海外での使用製品の製造及び輸出の状況につ いて」という所で、調査対象国数が134か国、全部ではないのですが、日本と交易のあ る主要国をほぼカバーするような国数を調査したところ、回答は5割強、6割弱という ところでした。72か国から回答をいただき、そのうち製造実績のある国が7か国でした。 国名は、台湾、エクアドル、ポーランド、韓国、スイス、デンマーク、ベネゼエラです が、やはりUV遮断剤ということで樹脂などに混ぜられて使われているというところが 多く、日本の用途とほとんど変わらないのではないかと思います。ベネゼエラで食用油 の容器用のプラスチック樹脂という形で使っているということがありましたが、日本国 内においては食品容器のメーカーの自主的な対応により、これは使われていないと報告 を受けております。このような形で製造の状況が出ました。これらをすべて総合いたし まして、先ほどのリストとさせていただいています。  6ページですが、いままではこの物質が使われている場合、輸入を禁止すべき製品で したが、(3)は当該物質を用いることが可能な用途について経済産業省が検討しており ます。基本的にはこの物質はかなりの代替品があり、いろいろな紫外線吸収剤がありま すので、基本的には指定をする必要はないという結論になっております。  7ページは、本物質は浴槽などのプラスチック用品に使われておりまして、これは生 活に密着した用途ですので、脂溶性で水に溶け出したり、蒸発したりということはない と予測していますが、一応、念のためにプラスチック中から物質が溶出するかどうかに ついて検討していただきました。この試験は国立医薬品食品衛生研究所で行っていただ いております。  その結果ですが、7ページの表にございますとおり、ユニットバスが2種類、バスタ ブ、キッチンカウンター、それぞれ小さな切片にして、実際の条件より過激な条件で試 験をさせていただいております。具体的には蒸留水50℃のものに24時間浸ける、又は これは洗剤を想定して、室温でエタノール20%のものに浸けて、24時間静置するという 試験を行いました。その結果、溶出液中の濃度として、ユニットバスは非常に固いプラ スチックで、こちらのほうでは検出限界以下ということでございました。キッチンカウ ンターは人工大理石に似せたようなものでありまして、少しほかのものより軟らかめの ものですが、そちらのほうから若干の溶出が認められたという報告です。  浴槽とユニットバスですが、下から2パラグラフ目のとおり、これはユニットバスな どに使用されているところですが、ほとんど溶出が検出されなかったというところもあ り、人に対する直接曝露はほとんど想定されないのではないかというところです。次の ページのキッチンカウンターでございますが、最大曝露量ということで、かなり厳しい 条件を想定して、計算をさせていただいております。洗剤を想定した条件で、表面積 100cm2当たり26.9ngと微量ではありますが、溶出が見られました。ベンゾトリアゾー ルが親油性であるということを踏まえますと、水の場合はさらに溶出性は少ないと考え られるのですが、この条件を基に検討しております。食品の調理等に使用するキッチン カウンターの部分を大体50cm×50cm、それが24時間洗剤に浸かっていた場合を想定し て、溶出量を計算しております。これは表面積当たりですので、それを2,500cm2で計算 したところ、0.67μgでした。  一方、2)ですが、耐用一日摂取量で、前回御審議いただいた本物質の毒性ということ から、人に当てはめた場合にTDIがどのぐらいになるかを荒々に計算させていただい ております。体重50kgと想定して、安全係数を100ということで、100分の1量とする と、50μg/dayとなり、基本的には1日50μgまでの摂取であれば、人において特段の 毒性影響は生じ得ないと予測しています。  リスク評価のところで、溶出する量と耐用一日摂取量を比較したところ、TDIの70 分の1以下ということで、キッチンカウンターに溶出したものを実際に摂取することは ほとんどないと思われ、それを全部摂取したとしてもTDI以下、しかも、TDIは毎 日摂取を継続した場合のことでして、この物質は急性毒性は低いものですから、一時的 に若干の摂取があったとしても、恐らく問題はないのではないかという想定をしており ます。  もう一つ確認のために、化学物質評価研究機構においても試験を行っております。9 ページの概要で溶出が見られておりますので、より分かりやすくするために10ページを 御覧ください。溶出量としてはほとんど一緒のレベルですが、化評研における試験にお いては、経時的にどのぐらい溶出量が変わっていくかというところを見ております。す なわち、表面にあるベンゾトリアゾールが最初に溶出してきて、そのあとはだんだん溶 出量が少なくなる可能性もありますので、それを検討しております。これは12時間ごと に浸けている水なり液を交換して、その交換した水の中にどのぐらい含まれているかを プロットしたものです。  すなわち、上の図だと大体12時間に少し高めがあり、10.少しのナノグラムの溶出が 見られましたが、その12時間後、24時間後になるとさらに減りまして、だんだんほと んど0に近付いていくという状況になっております。これはエタノールを使った場合に も同様の傾向が見られましたので、実際に水回りにおきまして使用していたとしても、 徐々に溶出量が減少していき、最終的には確認しておりませんが、ほとんど溶出しなく なるのではないかと考えております。  環境省では環境モニタリングということで、日本の44地点において、水中でこの物質 の濃度の検査を行っております。これはまだ速報ですので、詳しくは環境省の検討が必 要かと思うのです。44地点中40地点でN.D.と非常に低い下限値ですが、そちらでも N.D.でありました。また、検出された10検体の濃度でも、それほど高いものではない と考えられます。これについては、今後、環境省で分析結果の検証を行うとともに、川 の底や生物中の濃度なども含めて環境モニタリングを継続していくところです。  12ページは、御説明を飛ばしましたが、先ほどの11製品のリストを挙げさせていた だいており、それぞれ政令指定の理由を書いております。最初から下から4番目の芳香 剤までは、本製品は国内で製造実績があり、海外でも製造実績があるため日本に輸入さ れた可能性が高く、今後も輸入される可能性がありますので、これらの輸入を政令で禁 止する必要があるのではないかというところです。  下の3つのコーティング剤からUV加工用溶剤までは、最終製品という取扱いをして おりませんで、化審法上の「化学物質」という扱いで輸入を制限されているもので、今 回の政令での対応は特段必要ないと考えております。大変長くなって恐縮ですが、以上 でございます。 ○井村部会長 どうもありがとうございました。今詳細な説明がありましたが、この説 明につきまして御意見、御質問がありましたら、どうぞお願いいたします。いかがでご ざいましょうか。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 芳香剤までは国内で製造実績があり、海外でも製造実績があると書いてあ るのですが、製造実績の一覧表の中に、どこにも芳香剤が出てこないような気がするの ですが、どこかに芳香剤の製造実績が書いてあるのでしょうか。 ○井村部会長 事務局、分かりますか。参考3-2のどこかに書いてあるのでしょうか。 ○事務局 こちらは別途調査の結果で、先生がおっしゃっている一覧表というのは、資 料2の横の一覧表でしょうか。参考3-2は用途別の集計におきましてはその他にさせて いただいているもので、非常に量が少ないもので、その他のほうでまとめさせていただ いているところです。 ○神山委員 その他の所にも、「その他の用途には防水施工用樹脂、ワックス、化粧合 板等が含まれる」と書いてあるだけで、芳香剤が書いていなかったものですから。 ○事務局 その他の「等」に入ってしまっていまして、申し訳ございません。 ○沖委員 2点あります。今の芳香剤なのですが、あえて芳香剤というように名指しで 指定されているのですが、どの部分に使用されているのでしょうか。容器なのでしょう か。それとも、香りそのものの中に入っているのでしょうか。 ○事務局 香りというところではありませんで、中に入っている粒々がございますが、 それを着色している場合がありまして、それを退色しないように、ほんのわずか加えて いるものです。やはりメーカーなども試験をしており、ベンゾトリアゾール自身は飛ぶ ことはない、空気中に出ることはないことは確認しております。 ○沖委員 そうしますと、芳香剤は今おっしゃった粒々だけに、特定されるわけですよ ね。 ○事務局 はい。 ○沖委員 例えば外国で買ってくるロウソクとか、芳香剤の粒々だけに限るとそういっ た香りが中に入っているようなものは除外ということですよね。 ○事務局 こちらで確認しておりますのは粒々だけです。入れる目的が色の退色を防止 することですので、色がないものなどについては恐らく入れないのだと思いますが、色 が付いているものにだけ入っていたということです。 ○井村部会長 ほかにいかがですか。よろしゅうございますか。安藤委員、どうぞ。 ○安藤委員 1つお伺いしたいのですが、詳細に曝露評価的な計算をしていただき、非 常に分かりやすくなっていると思います。昨今はマージン・オブ・エクスポージャーと いう考え方がありますので、それも付け加えていただくとありがたいなと思います。こ れで考えると、例えばキッチンカウンターの場合は0.67μgですから、キログラムに直 すと大体0.01μgでして、ノエルから計算すると1万倍ぐらいのマージン・オブ・エク スポージャーがありますから、十分いけますという考え方を付け加えていただくとあり がたいと思いました。 ○井村部会長 事務局から、どうぞ。 ○事務局 御相談させていただきつつ、資料のほうに追加するということで、よろしい でしょうか。よろしくお願いします。 ○安藤委員 それから、11ページの環境モニタリングで0.084〜30ng/Lということです が、これは魚を想定した場合、濃縮係数はどんなものだったのですか。あるいは前に出 ていましたか。 ○事務局 濃縮倍率は、経済産業省の魚を使った試験ですと、大体5,000倍弱で1万倍 までは達しません。昔の基準で言いますと高濃縮ではないのですが、新たに変えられた 基準でいいますと高濃縮となっております。 ○沖委員 8ページのキッチンカウンターの件なのですが、上から6行目に1日中、洗 剤に浸かっていたと想定があります。この洗剤というのは、弱アルカリ、中性、いろい ろあるのですが、どういうものを想定して洗剤とされているのでしょうか。 ○事務局 申し訳ございません。こちらのほうはアルカリ性やその辺は無視しています。 エタノールで少し脂溶性を加えまして、洗剤という形で考えたところです。油性の物を 溶かし込むような作用があるので、20%エタノールを使っているということです。 ○沖委員 是非、加えていただきたいのは、ぬるま湯で中性洗剤を使った場合と、弱ア ルカリ性を使った場合に、どれだけの物が出てくるかというのも、もう一度、現実に即 して行っていただきたいと思います。と言いますのは、日々主婦が使っておりまして、 特に油汚れや水あか汚れがあり、毎日、1日数回は拭いている人が多いようです。そう いった状況に即して実験もしていただければ、そんなにリスクはないと思いますが、溶 出がどのぐらいあるのか、少し聞いてみたいなというところはあります。 ○事務局 実は洗剤を使うと、洗剤中に含まれる成分がたくさんあり、検出をするのに 少々コツが必要になってまいります。それで今回はエタノールという条件でさせていた だいたところです。弱アルカリにつきましては、どのようにできるかどうかも含めて、 検討させていただければと思います。 ○沖委員 現実の問題として、実際使うときに、エタノールをキッチン回りで使うこと はほとんどありません。ですから、エタノールですることがどのぐらい実際問題に即し ているかどうかです。したがって、中性洗剤か弱アルカリなのか又はぬるま湯、熱いお 湯、この4つの場合が実際の実例に即していると思うのです。よろしくお願いします。 ○井村部会長 いかがでしょうか。恐らく、いわゆる洗剤で行うのは、実際の分析上、 かなり難しいことなので、20%エタノールで代用したということなのだろうと思います。 事務局で、ほかの2省とも関係があると思いますから、簡単にできるものでしたら、少 し御検討いただけますでしょうか。 ○沖委員 よろしくお願いします。 ○井村部会長 ほかにいかがですか。竹居委員、どうぞ。 ○竹居委員 資料2の最後の紙に輸入禁止の対象製品リストが付いています。これを見 ると、実に細かくいろいろな製品があるのですが、本当に指定したら、輸入が止まるの でしょうか。つまり、厚生労働省は直接そんなことはおやりにならないのですが、国全 体として考えたときに、こういうものが全部入ってこないようになるのでしょうか。そ の辺りは大企業なら、会社の中に化学物質の調達の仕組みとしてチェックするものがか なりありますが、中小企業は必ずしもないです。  ですから、どこでそれを現実に止めるのでしょうか。中小企業等々が全部こういうこ とを理解するのかあるいは税関みたいなところで止めるのか、具体的にどうするのでし ょうか。少しそこが気になリましたので、教えてください。 ○事務局 先生のおっしゃるとおり、経済産業省で確認又は対応をすることになると思 います。実際、税関におきまして、輸入する製品に含まれていないかどうかをチェック する対象になるということで対処するようになると思います。商品分類を使って、それ についてはこの物質が含まれるかどうかを確認します。実質、全部分析をするわけには いかないと思いますし、当然その事業者への確認ということになると思います。 ○竹居委員 そうしますと、かなりすり抜ける可能性があるということですか。 ○事務局 その辺は周知徹底していきたいと思います。またこの物質自身が日本国内で ほとんどすべて製造されておりまして、海外に輸出され、それが逆に製品に入れられて、 日本に入ってきたというところがあります。今の時点では入ってくる可能性があると思 いますが、今後この物質自身が製造されなくなりますと、ほとんど入ってくる必要はな くなると思います。 ○井村部会長 よろしゅうございますか。ほかにいかがでしょうか。渡部委員、どうぞ。 ○渡部委員 今の竹居先生の御質問はこの部会としては非常に重要なことだと思ってい るのです。例えば第一種特定化学物質、筆頭はPCBから始まって、いままで15種類の 物質がそのリストに挙がっております。その後、その取扱いというのが、例えばPCB でしたら、保管をどのように厳重にしているのかやそれが環境に漏出するおそれはない のかというのは、とても神経質に論議されます。この場合、バスタブにも使われたりし ているのですが、製造トン数が資料に示されております。参考3-2の1ページに、平成 14年、平成15年、平成16年にそれぞれ257トン、246トン、121トンとあり、先ほど 御質問があった輸入数量というのは極めてわずかとされています。バスタブなどのプラ スチック製品には結構たくさん混入されている可能性があるのです。  いずれにしても、問題はそれがどうやって廃棄処分されるのかということです。その 成型されたプラスチックの中に存在するのをそのまま廃棄していいのか、あるいは焼却 しなければいけないのかなどいろいろな問題があると思いますが、この部会の役割とし て、第一種特定化学物質の場合に、我々安全サイドに立って、人の健康に対する影響と いう観点から、どうしたらいいのかということも論じておいたほうがいいのではないか と思います。 ○井村部会長 難しい問題です。今日の審議の目的は輸入を止めるということで審議を させていただいておりますので、できればこの場ではそれに限って御議論をいただくの がありがたいなと思っております。 ○渡部委員 誤解いたしました。この問題は十分時間がある機会に論議するということ で結構です。 ○井村部会長 少なくとも今日は無理かなと思います。なぜなら、それに対するデータ 等々についていまここには全く用意されていないので、十分な議論はできないだろうと 思います。  ですから、先生がおっしゃるようなことにつきまして、もし議論するとすれば、それ はそれなりのデータを全部集めてこないと議論ができないということですので、本日は 御容赦いただきたいと思います。 ○渡部委員 分かりました。いまの質問は問題提起ということで置かしていただきます が、別の機会にこの部会でそのことを論じていただきたいと思っております。今日では なくて結構です。 ○井村部会長 いまのことに関してですか。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 いまのことに関してなのですが、参考3-2の「製造状況等について」の6 ページに「回収等」というのがありますよね。いま渡部先生がおっしゃったことと関連 すると思うのですが、「回収等を命令する必要はないものと考えられる」という部分に も係わってくるのかという気がしたのです。 ○化学物質安全対策室長 御説明を割愛させていただいておりましたが、それについての 御説明をお願いします。 ○事務局 この部分の回収についてですが、11ページに環境省のモニタリングがありま す。こちらで44地点中40地点で無検出、N.D.ということでした。この辺のような現 時点で得られている状況なども勘案して、考慮することになります。  今の時点で例えば環境モニタリングなどがありましたら、対応ということもあり得る のですが、現時点では全部回収するまでは必要ないのではないかというところです。こ ちらの環境モニタリングについては、環境省で経時的に追って、環境モニタリングを続 けていくことになっておりますので、こちらのほうはまた別の機会を見つけて御報告さ せていただければと思いますが、よろしいでしょうか。 ○化学物質安全対策室長 追加させていただきますと、この物は既存化学物質ということ ですので、化審法ができる以前から使用されていたという状況があります。それが環境 モニタリングのデータに反映されているということです。現実的に言うと、最近の数字 として、また数量も減っておりますので、その意味ではある程度、定常状態のこれまで 使ってきた実績がこの環境モニタリングのデータに出ているとお考えいただけるのでは ないかと考えております。 ○井村部会長 そういうデータから差し当たってあまり厳密なことはしなくてもよさそ うだという判断をしているのだろうと思います。恐らく渡部委員の御意見は、それとは またもう少し違ったところにあるのではないかということで、やはりそれを議論するに は新たなデータが必要だと思います。 ○渡部委員 別のサイドで、あるいは環境省の問題かもしれません。 ○井村部会長 そういう問題提起があったということを議事録に残しておきましょう。 それ以外に御意見はありますか。もしなければ、これに関する御発言は大体出尽くした ということだと思いますので、この2−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2− イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノールは、これが使用されている場合には輸 入してはならない製品といたしまして、最初の諮問書に記載されているものを化学物質 の審査及び製造等の規制に関する法律第13条第1項に規定する第一種特定化学物質使 用製品として指定することが適当である、という判断をさせていただいてよろしいでし ょうか。  それでは、そのように決議させていただきます。ありがとうございました。こういう ことで決議していただきましたが、このものについての今後の手続、スケジュールにつ いて、事務局から御説明をいただければと思います。 ○事務局 資料参考3-2の最後のページの裏面です。(2)今後の予定ですが、政令案に 対するパブリックコメントを募集、これは本物質を指定することと同時に行わせていた だきたいと思っております。第一種特定化学物質への指定と同時に行わせていただきた いと思っておりますが、WTO通報を手続を経て公布して施行していくことを予定して います。 ○井村部会長 いまのスケジュールについて、御質問はよろしいですか。  これから政令を作成する段階になったときに、法令の整合上、製品の名前が違うとい う可能性があります。それはいろいろな法令の中に出てくる名前に合わせることになる と思いますので、多少変更になる可能性がありますが、その点に関しては部会長に一任 ということでお願いしてよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。で は、次の議事に移らせていただきます。次は報告事項です。事務局から御説明をお願い いたします。 ○事務局 資料3-1、3-2、3-3までに基づきまして、報告させていただきたいと思いま す。まず、資料3-1はA4横の1枚紙で、表になっているものです。こちらは化審法に 基づく新規化学物質、既存化学物質のうち、第二種監視化学物質、第三種化学物質に審 議の結果経たものの数を集計させていただいております。表の一番左側の平成17年第8 回、これは昨年の12月になります。1月に部会がありましたので、それ以降に確認され たものの報告とさせていただいておりますが、本年の6月までの審議を示しております。 新規化学物質としては193物質を審議しております。こちらはポリマーなども、かなり 含んでおります。  それから、既存化学物質としては、1回、公表の審議会を平成17年の第9回を1月に 開催させていただいております。その中で、第二種監視化学物質とされた物質は、新規 のうちでは2物質、既存の中では6物質となっております。第三種監視化学物質とされ たものですが、これは環境省と経済産業省になりますが、御参考までに2物質と、既存 では12物質となっております。  本日は第二種監視化学物質とされた物質ということで、資料3-2の報告をさせていた だいております。これはまだ公開の審議会で最終的に確認されておりませんので、最終 決定ではなく未定稿とさせていただいているところです。7月21日予定の公開の審議会 において確認して確定、ということを予定しています。第二種監視化学物質と第三種化 学物質ですが、念のため申し上げますと、第二種監視化学物質については難分解であり 高濃縮性でない、環境中には残留する傾向があるのですが、生物濃縮は受けないという ものでして、継続的に摂取される場合、人の健康を損なうおそれの疑いがある物質とい うことです。第三種監視化学物質については難分解、それから高濃縮ではないというと ころまでは一緒なのですが、影響としては動植物の生息または生育に支障を及ぼすおそ れの疑いがあることとなっています。  こちらはそれぞれ6物質と12物質ございますが、合計延べでは17物質でして、1つ に二監、三監が両方とも判定されたものがあります。また、既に判定がすんでいるもの もありますので、二監、三監の両方になったものは3物質となっています。こちら後ろ、 表紙を開いて御覧いただきますと、それぞれの物質の構造式、名称、分解性、蓄積性、 それからそれぞれAmes、染色体異常、28日間試験、人健康の判定の根拠について記 載させていただいております。  こちらの判定は先ほど申し上げましたように、長期的に摂取された場合に、人の健康 を害するおそれがあるということです。表紙の下のほうですが、Ames試験、染色体 異常試験、通常は28日間試験、この3つのデータをもちまして判定をしています。その 判定につきましては参考資料として配付しております判定基準があります。参考4の「監 視科学物質への該当性の判定等に係る試験方法及び判定基準」に、どのような試験結果 が出た場合、継続的に摂取した場合、人の健康を害するおそれがあるかという大まかな 判断基準です。あとはこれに加えて、エキスパートジャッジメントをしていただきまし て、二監、三監に該当するかどうかというところを判定していただいています。  次に資料3-3の説明をさせていただきます。資料3-3については新規化学物質のうち のなかから二監、三監と判定したものの審査シートを配付させていただいています。こ ちらは2物質、両方とも二監、三監であるという判定をされています。こちらについて は恐縮ですが、まだ告示前ということで名称等も企業秘密に当たるということで、委員 のみの配付とさせていただいております。また、厳重管理ということで回収をさせてい ただきたいと思っていますので、本日、審議が終わりましたら、机の上に残しておいて いただければと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。以上です。 ○井村部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。ただいまの説明につきま して、御意見、御質問がありますでしょうか。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 資料3-3の新規のほうは、例えば用途のところが木材、防腐剤などと書い てありますが、この既存のほうには用途が書いていないと思うのです。やはり何に使わ れているのだろうかというのは知りたいので、新規のほうと同じように用途も少し書い ておいてくださったらよかったかと思います。 ○事務局 恐縮でございます。用途については新規のほうは事業者の方からこのような 用途が予定されていますと入るところですが、既存についてはすべて調査をされている わけではありませんので、書きますと、どうしても全部リストアップされず、不完全な ものとなってしまいますので、今回は入っていません。 ○井村部会長 今の御説明ですと、少し分かりにくいかもしれません。 ○神山委員 御苦労は分かるのですが、やはり既存であるだけに、例えばどういうとこ ろに、主としてこういうものに使われているのかということがあったほうが、何となく なじみがあるような気がするのです。 ○井村部会長 事務局、いかがでしょうか。今日はしようがないとは思いますが、今後 のことでどうでしょう。 ○事務局 こちらにつきましては非常に難しく、厳しいというところがありますが、課 題として考えさせていただければと思います。恐縮でございます。 ○井村部会長 よろしくお願いいたします。そうさせていただきます。 ○渡部委員 私も今の神山委員と全く同じ質問をこの部会の調査会でしたことがあるの です。既存のもので「用途は何ですか」と聞いたら「分かりません」との答えでした。 つまり、あまりにも多岐にわたって使われている可能性があり、その実態もよく分から ないのです。確か、これは経済産業省の管轄だと思うのですが、一体どういうメーカー が、どれだけつくっているのかということも法律で指定されないかぎりは分かりません。 これからはおいおい分かってくることを期待しています。  今の事務局のお答えはあのときと全く変わらないなと思いました。それではしようが ないかなというふうに感じましたが、神山先生を拝見していますと、非常に御不満のよ うな感じが見られましたもので。 ○井上委員 3省合同の会議でもよく出る問題なわけです。恐らく法的には用途が縛ら れていないので、許可されれば何でも使える状況になっていますから、事務局としては どうしようもないのだろうと思うのです。私の立場から申し上げることではないのです けれども、そのように御理解いただくしかないのかと思います。 ○渡部委員 私も事務局をかばいたてする気持ちは毛頭ないのですが、法体系がそうな っている以上仕方がないでは、事態は一向に改まらないので、将来法改正なり、行政指 導の強化なりで、化学物質に関する実態把握をすることは国民生活の安全性という観点 からとても大切なことです。さらに行政指導で今言われたようなことを我々ももっと知 りたいのです。例えば我々の身近な生活環境の中で使われていたら、「これは大変だ、 こんなものが、こんなに無制限に使われているのか」という気持ちになるのですが。 ○井村部会長 そういうことでして、いろいろなところでの審議に参加されている先生 方からのお話ですと、いずれの場合にもその問題が起こるとやむを得ないということで、 引き下がっておられます。実際問題として何にでも使えるということであって、しかも、 特に主に使われているというものが恐らくないのですね。 ○竹居委員 ここにある資料は既存化学物質審査シートという1つのフォーマットがあ りまして、その中には書けないかもしれませんけれども、ここで説明をするときにこの フォーマットとは関係なく、例えばこの何番がこんなのに使われていますと、例えばと いうのは全く構わないわけですね。それが「主に」というと、途端に調べなければいけ ないという話になりますから、例えばであればアットランダムに選んで3つか4つ書い ておいてもいいわけです。それを説明資料的な考えで作ることは可能だと思うのです。 ○井村部会長 私もそう思いまして、最初に「その主な用途」という表現をしたのです。 ○竹居委員 「主な」と言ってしまうと、それは難しいです。それはどこにどれだけ使 っているか全体が分からないと「主な」とは言えないのです。ただ、「例えばこんなも のに使われていますよ」という例示にすぎないと、多い少ないは全く関係ありません。 ○井村部会長 それも分からないでしょう。 ○竹居委員 いいえ、それは分かると思います。 ○井村部会長 少なくとも厚生労働省は分からないのですね。 ○事務局 指定された場合ですが、それ以降は生産量の報告をしていただくということ はあります。今回、これから指定ですので、それ以降は生産量と加えまして出てくると きもあります。ただし、製造している化学物質と製造されている方は、必ずしも全部の 用途を把握しているかと言いますと、そういうわけでもありませんで、当然、下流の人 に売っていて、実は全然知らなかった使い方をしているということもありまして、そこ がこちらも非常に苦慮しているところです。代表的なものは何らかの形で今後上がって くる可能性はあるということです。 ○井村部会長 今後、徐々に分かってくるかもしれないということですね。 ○神山委員 例えばPRTR法の第一種化学物質に指定されているという物質だった ら、移動や排出があるわけですから、何に使われているかは分からないということはあ り得ないと思うのです。 ○井村部会長 そのつもりで調べてみます。 ○神山委員 少なくともそういう制度に乗っているようなものは、確かに、既存化学物 質は何も規制がなくて作ってしまったものです。それを化学物質の性質に着目して、こ れから何とかしていこうという話ですから、厚生労働省としては分からないのかもしれ ませんが、3省共管というより、3省ばらばらという感じです。むしろ経済産業省が把 握しているのでしたら、そのデータは厚生労働省にもきちんと送るとか、みんなが同じ ように、どういう物質がどこでどれぐらい使われているのかが分かるような仕組みを、 これから構築していくことが大事なのではないでしょうか。既存化学物質を指定すれば 分かるようになるというのはよく分かるのですが、指定するまでは分からないままだと もどかしいと思います。 ○井村部会長 もどかしいですね。ただ、調査会でもそういう議論がありまして。 ○渡部委員 同じ思いが調査会の委員の中に強くございまして、3省合同なものですか ら、今の経済産業省からも出てまいっております。安全サイドである我々から、「では、 これが指定されない以上は野放しになるのですか」と言ったら、経済産業省の方から「ま あ、やむを得ません」と答えが返ってきました。  ですから、化学物質は指定されない限り製造量も分からなく、誰がいつどこでつくっ たかも分からないのです。どういう目的に使用してもそれは構わなく、誰からもモニタ ーされないということです。「そうなのですね」という念押しが調査会の委員からよく 出ます。少し危いなというふうな、数字の上でぎりぎりの毒性、あるいは安全性という ところで、これが本当にフリーハンドで世の中に出回ったら困るというのがないわけで はないのです。今日、出た特定化学物質の場合、濃縮ケースが5,000倍です。数年前ま ではこれは見逃がされていました。 ○井村部会長 法律が厳しくなったわけですね。 ○渡部委員 そうですね。ですから、今後そういう意味で、神山先生や沖先生がおっし ゃるような方向で、全く野放図に化学物質が何のモニターもされないで世の中に出回っ ていいというのは安全サイドからしたら許すわけにはいきません。そう思います。 ○井村部会長 大事な議論をしているつもりでおりますけれども、製造しているところ はどこがつくっているのかというのは分かるわけですか。 ○事務局 指定された場合は製造・輸入をしている方から報告をする必要が生じます。 ○井村部会長 では、やはり下流のほうで調べるのはそれからですね。ですから、やむ を得ないというのは仕方がないことです。それではその部分については仕方がないとい うことで、今後できるだけ早い機会にそういう用途みたいなものが分かれば公表してい く形が望ましいのでしょう。調査会ではその辺で止まっているわけですね。 ○渡部委員 現状はそうです。何度言っても同じ答えしか返ってこないですし、それも 何年もかけて問いかけているわけです。それに対しては安全サイドの側からすると困っ たなと思いながら、仕方がないかな、また同じ答えかというような感じです。 ○井村部会長 私がよく分からないのは、結局は経済産業省も分からないのですよね。 ○渡部委員 分からないのです。「では、分からないということになりますね」と言っ たら、経済産業省の関係者が「そうです」と言いますから。 ○井村部会長 差し当たってはいかんともし難いと思いますので。 ○渡部委員 ですから、これからも調査会として疑わしきは罰するという形で指定しな いかぎり、ラベルを付けないかぎりは全く野放図になってしまいますので、疑わしきは 罰する、という形で取り扱っていくことが望ましいのではないかなと思います。 ○井村部会長 分かりました。貴重な御意見をありがとうございました。ただいまの報 告事項について、ほかに御意見なり御質問があればと思いますが、いかがですか。よろ しゅうございますか。  それでは本日の報告事項につきましては残念な部分もございますが、一応御確認をい ただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。用意された議題は それだけですね。その他がありますが、何か事務局からございますか。 ○事務局 遅れて恐縮でございますが、本日の審議の1につきまして、本日御欠席の板 倉先生からメールでコメントをいただいておりますので、御紹介させていただければと 思います。「以前に消火具のテストを国民生活センターで実施したとき、国内で製造が 認められていない環境等に問題のあるハロンや代替フロンを使用した商品が販売されて いることを確認しました。輸入業者は国内での製造に使用できない成分を含んでいるこ とを知っていながら販売していた。商品の安全性が消費者に認識されず、価格が安いこ とや喧伝のうまさにより消費者に購入されていることを実感されたということから見 て、今回の指定予定の成分を含んだ商品が日本に輸入されても違反にならないとすれば、 輸入製品という形で輸入されてくるということは十分考えられるということです。最近 は安価なプラスチック製品がたくさん輸入されているようになっており、成分だけを規 制してもそういった製品が消費者が購入することも多いと考えられ、成分だけの規制は 環境汚染防止にはつながらない可能性が高いと思われます。今回、審議の成分を使用し た製品についても、その輸入を禁止していただきますようお願いいたします」という御 意見をいただきました。 ○井村部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。 ○事務局 ございません。 ○井村部会長 全体を通して特に委員の皆様方から御発言がございますか。井上委員、 どうぞ。 ○井上委員 先ほど審議事項で、御審議があり、こちらで決議されたわけですが、私ど も3省合同の下部委員会で、このものの一特指定に携わった者として、大変意義深いこ とだという感想を一言申し述べたいと思います。ことにこの物質は既存のものですし、 使われていたということもあります。  また、長期試験の十分なデータがなかったわけですけれども、90日間試験、1年間の 試験から、科学的に皆さんで英知を寄せ合ってこのものの危惧というものを一特指定に までする必要があるだろうということを皆さんの一致した判断で決めたその結果、この ような回収または輸入禁止の問題に発展してきたわけでして、 化学物質安全の対策が一 歩進んだことは1つのエポックメーキングな問題だと受け止めております。どうもあり がとうございます。 ○井村部会長 ありがとうございました。それでは先ほどの板倉委員のコメントについ てはよろしいですね。 ○井村部会長 何か連絡事項がありましたら事務局からお願いいたします。 ○事務局 次回の薬事・食品衛生審議会化学物質安全対策部会の開催ですが、こちらは いまのところ未定とさせていただいています。議題等ございました場合、追って日程調 整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。また資料3-3については先 ほど申し上げましたように本日回収とさせていただきますので机の上に置いてください ますようよろしくお願いいたします。 ○井村部会長 ありがとうございました。それでは以上をもちまして平成18年度、第1 回の化学物質安全対策部会を閉会させていただきます。本日はありがとうございました。 (了) 連絡先: 医薬食品局 化学物質安全対策室 室長補佐 野村(内線2910)      - 1 -