資料4−1

平塚市
「生活塾」の実証実験報告書



運営記録編

I  モニターの募集方法及び研修
 依頼モニターの募集
募集方法等
 今年度4月から開設した学童保育室(サン・キッズ湘南学童保育室)を活用して「生活塾」の取組みに係る実証実験を実施したが、開設場所が1軒屋を賃借しての開設であり、あまり広くはないスペースしか要していなかったため、広報等の媒体を利用した広範囲への呼びかけは行わず、もともと夜間の預かり需要のある夜間保育所利用者への呼びかけや、近隣の小学校等への呼びかけにより募集を行った。
応募状況
 7名
モニターの属性
 別添「アンケート調査報告書」P2〜7参照

 預かりモニターの募集
募集方法等
 当初はNPO法人とボランティアの方を活用した施設型「生活塾」の実施を検討していたが、人材の確保や活動場所、運営の方法等で話がまとまらなかった。
 そこで、現在市内で夜間保育所を運営する社会福祉法人が、自主事業として18年4月から開設する予定となっていた学童保育室を活用させていただき、この中で「生活塾」についての取組みを行い、検証を実施した。

 研修
 「生活塾」の実証実験に伴う預かり側の研修は実施していないが、今後以下の内容の研修が必要であると考えている。
 例) 子どもの心と身体の発達について
子どもの病気について
緊急法について
障害を持った子どもの預かりについて
子どもの栄養と食生活について
預かり実習 等

II  マッチング、預かりの実施
 マッチングの方法
 当該学童保育室の利用者へ、同施設の概要説明を行う中で、「生活塾」の取組みに係る資料を配布して実証実験の説明を行った。

 預かりの内容
開設日時
 月曜日から日曜日までの概ね20時くらいまで
利用料金
(1) 基本サービス料金
契約方法 曜日 時間 金額
一括契約 月〜金 下校〜18:00 12,000円/月
18:00〜20:00 300円/時間
土・日・祝日 8:00〜18:00 500円/回
短時間精算 全日 下校〜18:00 300円/時間
18:00〜20:00 500円/時間
(2) オプション料金
 ○ おやつ代
月額料金  2,000円/月
回数料金  100円/回
 ○ 夕食代
回数料金  350円/回
子どもの安全確保
 学校から学童保育室までの送迎(車による)を実施。
 万が一の事故等による怪我に対する補償保険に加入。
トラブルへの対応
 具体的なトラブルはなかったが、家族との懇談会で以下のようなご意見があった。
 (1) 障害児の受け入れ等についてどう考えているのか。
保護者の方々の理解をいただきながら対応していくことを前提に、もし他の児童に危害が加わる可能性がある場合は事前に利用を検討する旨説明した。
 (2) 料金等における第二子や片親への優遇措置をお願いしたい。
現状では、補助事業の対象となっている近隣の学童保育室とは異なるため、設定した料金にて対応させていただくが、今後の状況に応じて検討はしていきたい旨説明した。



分析・評価編

I  依頼側
 依頼モニターのニーズ
希望している預かりの頻度、時間帯
 アンケート調査の結果では、希望する預かりの時間は家庭の状況によって違いがあるが、「18時まで」「20時まで」がそれぞれ33.3%と一番高くなっている。
 一週間で預かりを希望する日数は、「毎日(土日を除く)」と答えた人が50%と最も高く、次に「3〜4日」が33.3%となっている。
 朝の預かりの希望は全くなかった。
 (別添「アンケート調査報告書」P10〜12参照)
現在利用している子育てサービス
 アンケート調査の結果では、当該施設以外に利用している子育てサービスについて「特に利用していない」と答えた人が100%となっている。
 (別添「アンケート調査報告書」P9参照)
預かり以外の取組みで希望すること
 アンケート調査の結果では、預かり以外で希望することとして、「他の子どもとの積極的な交流をさせて欲しい」が100%と最も高く、次いで「勉強を見て欲しい」「運動をさせて欲しい」がそれぞれ75%となっている。
 (別添「アンケート調査報告書」P13参照)

 依頼モニターからの評価
「生活塾」についての評価(仕組み、預かり手、預かり時間、預かりの頻度、預かり以外の取組み、対価、満足度、今後も利用したいと思うか、具体的に改善を要望する点等)
 アンケート調査の結果では、「生活塾」の取組みに対して「満足」「少し満足」と答えた人が100%、当該施設に対しての満足度も「満足」「少し満足」と答えた人が83.4%と高くなっている。また、当該施設の今後の利用希望も「今後も利用したい」と答えた人が100%となっており、概ね高い評価を得ていることが考えられる。
 当該施設を利用して良かったこととしては、「いつでも子どもを預けられるという安心感」が100%、「安心して子どもを預けることができる」が83.3%となっており、逆に、当該施設を利用して困ったこととしては、「料金が高い」が50%と一番高くなっている。
 (別添「アンケート調査報告書」P14〜15参照)

II  預かり側
 「生活塾」に取組んで良かった点
 まだ、取組んで間もない為、明らかに結果として抽出できるモデルはあまりないが、平塚市内では稀な一時利用可能な学童保育として使っていただき、児童及び家族に喜んでいただけることが何よりである。この活動を踏まえ、法人における社会貢献事業の位置づけを明確にできる活動であると確信している。

 「生活塾」の取組みにおける問題点
 生活塾の趣旨の1つである、しつけなどの生活習慣を身に付けさせる取組みを施設型の生活塾で実証することは、家庭的な少人数の中で行うのと比べて、非常に取組み方が難しかった。今後事業化を進める場合は、しつけの定義を整理し明確にしていく必要があると考えている。

 「生活塾」の取組みに対する今後の展望
 生活塾への取組みだけを考えるのではなく、地域力を活用した将来永劫に住み易い地域環境を創作していくことが大切であると考えている。その中に高齢者の知恵と児童の想像力を融合させる空間を提供し、また、地域力を強化するため、まだ日本にはあまり馴染みが無い有償ボランティア等の積極導入が必要であると考えている。
 このため、現在、高齢者と児童が常時交流することが可能な複合施設を建設中であり、趣旨に多少の差異は生じる可能性はあるが、当法人が掲げる新規事業の中核である「次世代交流施設」の創造として「施設型生活塾」を将来展開していきたいと考えている。

III  生活塾運営者(平塚市)
 ・ 「生活塾」への総合評価・今後の課題等
 生活塾の具体的な取組みの1つである放課後の安心で安全な預かりについては、アンケート調査の結果からみても非常にニーズが高いように思われる。やはり仕事と子育てを両立していくうえでは、いつでも子どもを預けられるという安心感が望まれているようである。
 一方、もうひとつの具体的な取組である、人生経験豊かな退職者等による挨拶などの基本的な生活習慣の継承については、調査結果からみると、預かり以外で希望することとして「他の子どもとの積極的な交流をさせて欲しい」「勉強をさせて欲しい」「運動をさせて欲しい」が高くなっており、しつけなどの「生活習慣を身に付けさせて欲しい」の希望は全くなかった。基本的な生活習慣は家庭によっても考え方に違いがあるためなのか、ニーズとしてはあまりないようである。
 以上のことも踏まえ、今後の課題としては、(1)お年寄り等から学ぶ基本的生活習慣の継承の部分をいかに整理し、ニーズを高めていくか。(2)既存の制度(学童保育)との明確な違いをどのように整理し棲み分けしていくかが課題であると考えている。

補足    本市においては施設型生活塾の開設と平行して、ファミリー・サポート・センター事業での複数預かりが実施できるように、平成18年2月に要綱の改正を行った。
 定期的に実施している支援会員の講習会の内容に「小学生の接し方・関わり方・複数預かりの現状」の講義を盛り込み、講義を受講したうえで活動を実施していくことになっている。
 また、既存の支援会員に複数預かり(最大3人まで)についてのアンケート調査を実施したところ、回答者136人中「複数預かりを実施してもよい」と答えた方が29人となっており、今後の活動にあたっては、いかに人材を確保していくかが課題となってくると考えている。

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