資料2−1

新宿区子ども家庭課

施設での預かり型生活塾(朝)実証実験の報告

 
運営記録編

I  モニターの募集方法及び研修

 依頼モニターの募集
募集方法
学童クラブ児へ募集のビラを配布した。
応募状況
15名
モニターの属性(子どもの学年、親の出勤時間等)
小学1年生  8人
2年生  5人
3年生  2人
(4月以降の学年)
7:30〜8:00  4人
8:00〜8:30  4人
8:30〜9:00  3人
不明  4人
応募が少なかった理由と思われること、応募数を増やすために行った工夫
春休みのため2・3年生は学校生活にも慣れて、朝の預かりを必要とするケースは少なかった。
学童クラブに新しく入る新1年生用に入所説明会でビラを配布した。

 預かりモニターの募集
募集方法
区広報掲載 1回  別に民生委員を通じて事業周知のビラを配布した。
応募状況
14名
モニターの属性(性、年齢、参加動機、ライフスタイル等)
男性 2名  女性 12名
・30代1名・40代1名・50代3名・60代7名・70代1名・不明1名
参加動機 複数回答あり
 (1) 社会参加ができる  8
 (2) やりがいがある  5
 (3) 空いている時間を有効に利用できる  5
 (4) 人生経験をいかせる  3
参加動機自由回答
子どもとの関係が楽しい
若いお父さん、お母さんを応援したい
子どもが好きで保育園で16年間、早朝保育の非常勤をやっていましたので、また少しでも子どもと関わることが出来たらいいと思っています。
久しぶりに紙芝居や読み聞かせをしてあげて楽しかったです。

 研修
実施した研修内容
現代の子どもを取り巻く状況   1時間   講師   児童館職員
気になる子どもへの対応 1時間 講師 児童館職員
個人情報保護について 0.5時間 講師 事業担当者
研修内容で工夫した点
日常的に子どもと接している児童館職員を講師にした。
預かりモニターが出席しやすいように、同一内容で2回実施した。
それでも都合のつかない方には、都合のよい日に個人研修を実施した。

II  マッチング、預かりの実施

 マッチングの方法
マッチング方法
応募してきたモニター希望者に対して、実施児童館ごとに依頼、預かり両モニターを集めて事前に集団でマッチングした。
工夫した点
集まりやすいように午後6時以降にマッチングを設定した。

 預かりの内容、実績
預かりの内容
子どもが独りで過ごす春休み期間中の朝の一時間(午前8時から9時)に、児童館内の一室を利用して生活塾を実施した。規模としては、預かりモニター一人につき、子ども三人まで預かった。
件数
実施児童館6館  参加児童数 16名のべ50人利用
子どもの学年、預かり時間帯
子どもの学年
1年生  8人
2年生  5人
3年生  2人
実施時間
午前8時から9時まで
食事提供の実績、その他の預かり以外の取組の実績
朝食をきちんと摂ってから生活塾に参加するようにマッチングの際に注意した
春休み期間中の朝のひとときなので、読み聞かせや工作など静的な遊びを中心に過ごした。

 複数預かり
複数預かりの仕組み、マッチングの仕組み
預かりモニター一人につき、子ども三人まで預かった。
マッチングには依頼モニター全員が内容について確認した。
実績
6児童館中5児童館で複数預かりを実施した。
複数預かりにあたっての留意点、問題点
依頼モニターが生活塾を希望する日は、それぞれの家庭の都合で決まるため、希望が重なった場合は複数預かりを実施し、重ならない場合は単数預かりを実施している。そのため、一人しか希望がなかった児童館でも、その子のためだけに生活塾を実施した。

 報酬
設定内容
子ども一人につき一回(1時間)600円 最大3人まで預かれる

 トラブルへの対応
トラブルの有無、有りの場合の内容と対応
なし
トラブルに備えるため、事前に工夫した点
トラブルが起こらないように事前のマッチングの時には、必ず担当職員が同席して生活塾の趣旨について説明した。また、実施期間中は、午前8時から実施したため、担当職員が早出をした。

 子どもの安全確保
子どもの送迎において、安全の観点から行った取組
特になし


 
分析・評価編

I  依頼側

 生活塾に期待したもの (複数回答可)

  回答 人数
児童館で預かってくれるから安心 12
早くから預かってくれるから便利 11
少人数で子どもを見てくれるから手厚い
いろいろ教えてくれそうな予感

 依頼モニターからの評価

  非常に
満足
やや
満足
どちらとも
いえない
やや
不満足
非常に
不満足
生活塾の申込方法について
生活塾の実施場所について 10
生活塾の実施時間について
生活塾の実施内容について
生活塾の預かり手について
生活塾の料金について
生活塾全般について

 利用してみて「よかった点」 (複数回答可)

  回答 人数
安心して子どもを預けることができた 12
預かってくれる方の人数に比較して子どもが少なく手厚く対応してくれた
手続きが簡単だった
利用時間が適切だった
子どもが預かってくれる方との交流を喜んでいた
料金が安かった
預かってくれる方が近くの人で、地域とのつながりができた

 利用してみて「よくなかった点」 (複数回答可)

  回答 人数
利用する子どもが少なかった
利用できる時間が短かった
手続きが煩雑だった
料金が高かった
預かってくれる方の資質に不安があった

自由意見
 ・ 区から全く補助がなく、預かってくださる方の報酬が600円のみなら、報酬としては、決して高くはないと思いますが、夏休みのように日数が多いと一日600円は、払うほうとしては高いです。

 今後の利用意向

  回答 人数
利用したい
利用しない
わからない

 利用にあたっての条件 (自由回答)

手厚い対応
料金が安い
児童館で利用できる
冬以降は保育園に合わせた開設時間7:30〜9:00だと利用しやすい
長期休業中ほど日数が多くなるので日割りだと割高感がでてくる。回数券なり割引があると助かります。

II  預かり側

 預かりモニターの参加動機 (複数回答可)

  回答 人数
社会参加ができる
やりがいがある
空いている時間を有効に利用できる
人生経験をいかせる

 参加してみて「よかった点」 (複数回答可)

  回答 人数
子どもや保護者の方に信頼され、やりがいがあった
地域とのつながりができた
子どもと、じっくり付き合えた
自分の知識や経験を生かすことができた
時間が適切だった
収入になった

その他
 ・ お母さん方にとって、子どものお預かりの仕組みが必要であることが良くわかった。
 ・ 子どもの可愛らしさがわかり楽しかった。
 ・ 区の子育て行政が多少理解できた。

 参加してみて「困った点」 (複数回答可)

  回答 人数
依頼が少なかった
施設の開錠などが煩雑だった
料金が安かった
預かる子どもの親と信頼関係が築けなかった
子どもがなつかなかった

 改善すべきと考える点について、自由回答

提供者も利用者も知っている人が少ないので、公報等に記載しないといけないし、知れば希望者は沢山いると思う。区内町会報に載せると、てっとり早いと思います。
2人ペアで子どもを預かる場合は、あまり考え方が違う方とご一緒でない方がよろしいと思います。
親が知的な刺激をより多く望まず自然事象などの話し合いや会話などで子どもと触れ合えるようにしてほしい。
朝、休日の一時間、自由に遊んで過ごせるようにしたい。

 今後の参加意向
  回答 人数
活動したい
活動できない
わからない

 活動をつづけられる条件

自分の生活スタイルに合っているかどうか、やりがいのある活動だと思う。
特にありません。時間が許す限り、いつでも出来ます。
時間になったら、すぐに帰れるようにすること。
自分の時間
子どもさんと打ち解けられるかどうか
自分と家族の健康
何事にもおおようにみて頂けると助かります。若いときのようにテキパキ出来ないときもありますので。
少子化の社会になることは大変だと思う。両親の共働きを助けるために朝一時間預かることが効果があるならば協力したいと思う。

III  生活塾運営者

 「生活塾」への総合評価

朝の生活塾はニーズがあるが、非常に個別化が強いニーズであった。
 今回、朝の時間帯に比較的独りになりやすい学童クラブ児を対象に募集したが、学童クラブ在籍数と応募数に相関関係は見られず、各クラブとも1〜4名の応募だった。(0人のところもあった)むしろ、生活塾に応募し、かつ利用料金を支払い、子どもにとって安全で有意義と思える一時間を意識的に保障していこうとする保護者は、少ないといえる。「もう小学生なんだから、なんとかなる」と考える親と、生活塾参加者が全員回答している「安心して子どもを預けることができた」という生活塾ニーズの中身を精査していく必要がある。
生活塾の預かりモニターは「生活塾の活動はやりがいがある・社会参加できる」という動機付けに支えられた意欲的な方であった。
 当初の計画では毎日一時間だけの生活塾活動を金銭的に保障するために、ファミリーサポートより時間単価を低く設定(@600円)するが、子どもを2〜3人見てもらう計画とした。しかし、利用する日程は各家庭の都合によるため、一日に1人だけしか利用しないため、預かりモニターは600円で預かる日も多々あった。しかし、預かりモニターからの「一人でもいいから預かる」との申し出により、一日も穴をあけることなく生活塾を実施することができた。これは「子どもや保護者の方に信頼され、やりがいがあった」という回答を裏付けるものである。
朝の生活塾は、子どもにとって「生活学習」である。
 一緒に食事をしたり散歩したりすることがない朝の一時間の生活塾は、「おはよう」の挨拶から始まり、おしゃべりをしたり工作をしたりして、他人の大人とすごす「朝の生活学習」といえた。特に、少人数で朝のひとときを秩序ある居場所ですごす心地よさがあり、子どもは「楽しかった」と保護者に語っている。

 「生活塾」の今後の課題

生活塾事業とファミリーサポート事業との関係について
 子どもを一人にさせないというニーズは、各家庭の就労形態から派生する個別的なニーズであり、このニーズに対して対応している仕組みは現在のところファミリーサポート事業である。生活塾が「子どもを預かるというニーズ」の付加価値として「生活学習」的な側面を加えるのであれば、ファミリーサポートにおける提供会員の資格取得時の研修の強化や生活塾機能を付加したときの利用料金の割り増し等が考えられる。同時に予算面での裏付けも必要である。
施設利用型生活塾と施設の時間延長との整合性について
 子どもたちが日常的に利用する施設等で生活塾構想を実施するときに問題となるのは、その施設で実施している事業時間の延長問題との整合性をどのようにして図るかが課題である。時間延長が整備されれば、子どもを安全に預かれる点において利用者のニーズは解消されるが、少人数で居心地のいい場所で生活学習を実施するという生活塾が本来描いていた構想とは異なった事業展開になってしまう。この点について十分に検討する必要がある。


施設型生活塾利用実績一覧

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