資料1

実証実験の報告について

さいたま市

 
運営記録編

I  モニターの募集方法及び研修
 依頼モニターの募集
募集方法としては、預かりモニターの近隣区域の放課後児童クラブにチラシ等を配布し実施したが、問合せはあるものの、モニターに至るまでには苦慮した。
モニターとしては30代の夫婦共働き家庭で、殆どが既に既存の子育て支援を受けている家庭である。
応募が少なかったこととしては、市報掲載ができなかった点とファミリーサポートとの相違点の情報提供がうまくできなかった等が考えられる。
 預かりモニターの募集
募集方法については、ファミリーサポートの提供会員及びシルバー会員を主に口コミにより依頼し、10名の協力を得た(うち8名がモニター実施)。
モニターの属性について、40代・50代・60代がほぼ同数で、殆どが配偶者・子有りの子育ての終了者である。参加動機は、子育て経験や資格等を生かし社会参加ができるが殆どであった。
応募が少なかった理由は、同様である。
 研修
研修内容としては、ファミリーサポート提供会員向けの講習を基本に実施したが、特に生活塾の相違点については少人数であったため、具体的な質疑応答形式を採り入れ説明を行った。

II  マッチング、預かりの実施
 マッチングの方法
基本的にファミリーサポートの場合と同様、事前にマッチングを行い、預かり依頼があるごとに相互に調整を行った。今回は預かり側が全てファミリーサポートの提供会員であったため特に問題はなかった。
 預かりの内容、実績
全9件数とも全て預かり側の自宅で行った。
学年は3〜4年が2件、その他全て1〜2年で、預かり時間帯は7時ないし8時が殆どである。頻度としては依頼希望日数からするとかなり少ないが、既存の子育て支援の利用者であるためと考えられる。また、預かり手からは依頼が少ないとの意見が多かった。
食事提供は数件の実例があり、その他の預かり以外の取組としては食事の手伝いなど生活指導にかかるものが多かった。
 複数預かり
兄弟以外の複数預かりとしては1件だが、通常のマッチング同様の手続きにより行った。
留意点としては事前に児童を含め双方の保護者の同意を得ておく必要があり、問題点としては料金設定が考えられる。
 報酬
今回は既存のファミリーサポートの利用料金により実施したが、実際的には複数預かりによる割引やリーズナブルな料金設定の一考も必要であろう。
 トラブルへの対応
特にトラブルについて何の報告も受けていないが、事前に双方の確認事項や預かり中の申し送りなどに留意した。
 子どもの安全確保
子どもの送迎は遠隔地以外は基本的には徒歩での送迎をお願いし、放課後児童クラブなどお迎え先にも、事前に了解を得ておいた。


 
分析・評価編

I  依頼側
 依頼モニターのニーズ
希望頻度は土曜日や塾などを除いた週3〜5日が殆どで、時間帯も8時ごろまでが多かった。
児童クラブについては開室時間の延長、ファミサポには長時間では利用料金が高額になる等の不満がある。一方でそれほど高額でなく、塾までではないが、安全に預かり多少の生活指導や勉強を見てもらえることの希望が多かった。
参考となる実例は少なかったが、特に複数預かりへのこだわりは感じられないようである。
 依頼モニターからの評価
マッチングにより安心感が得られ、仕組みや預かり以外の取組についても好印象を持っているようだが、毎日預けるには費用面で問題と感じており、預かり時間を含めた付加価値の見合った対価であれば、利用は多いと考えられる。

II  預かり側
 預かりモニターの意向
週2〜3日の預かり希望が殆どで、中には毎日でも良いという方が1名あった。時間帯は最終9〜10時まで良いが殆ど。
預かり以外の取組で提供してもよい内容は食事などを含めた生活指導が主で、書道・勉強も一部あった。
複数預かりについての意向は、積極的・必要に応じがほぼ半数であったが、預かる側での問題、特に自宅の場合、部屋や時間の活用方法、配偶者の協力などを懸念する見方もあった。
 預かりモニターからの評価
今回は全員がファミリーサポートの提供会員であったため積極的に取り組まれ、預かり時間・頻度ともかなりの対応を図ってくれたが、依頼件数が少なかったため不完全燃焼の状態であったと思う。今後の預かりについては全員希望である。
改善を要望する意見等
  定期的に預かれればもっと計画的な預かり以外の取組が提供できるのだが。
依頼がなく残念だ。もっとPRなどの検討が必要。
生活塾という試みはすばらしいので、もっと知名度を広めてください。
モニターに参加できてよかった。今後も家族ぐるみのお付き合いがしたい。
など

III  生活塾運営者
「生活塾」への総合評価
当市においては個人預かりを基本としたモニターを実施したわけだが、預かり側は比較的早期に見つかったが、依頼モニターについては、期間の限定もあり放課後児童クラブを介して募集したため、既に支援サービスを受けている理由からか、問合せはあるものの中々集まらずに苦慮した。これには現行のファミサポとの相違点がうまく伝わらなかった事や、また当市においては児童クラブが7時まで開設しているなどが考えられる。
このことから検証としての評価の信憑性は低くなるが、預かり側と依頼側とに多少温度差があるものと感じられた。双方ともこのような仕組みがあったら非常に助かる、やりがいのあるいいことだと思うものの、利用料金の設定や曜日・時間帯などより具体的な点で、マッチングに至らないケースが見受けられた。一方で既存の支援策に満足との見方もできるが、他方潜在的な需要はあるものの利用に至るまでには、より魅力的なプラスαが求められるものと考えられる。
今後の課題
上記のことから、「生活塾」には既存の児童クラブやファミサポには無いもの、若しくはそれらに代わるものとしては、より低料金での設定が求められ、しかも需要に対応できるようなきめ細かな幅広いネットワークが必要であると考えられる。このことは、現在当市においてファミサポの適正な会員割合の維持に苦慮しているように、地域の方々の意識改革にも繋がるような難しい部分も含んでいるものと考えられる。

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