06/06/28 社会保障審議会介護給付費分科会第41回議事録 社会保障審議会 第41回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成18年6月28日(水) 午前10時から午前12時まで           KKRホテル東京  瑞宝の間 2 出席委員:天本、井形、池田、井部、漆原、大森、沖藤、 神田(代理:浜野参考人)、喜多、木下、木村、紀陸、見坊、田中(滋)、田中(雅)、 池主、対馬、永島、花井、村川、矢田(代理:森田参考人)、山本、横山(代理:中田 参考人)の各委員 3 議題  (1)療養病床の再編成に伴う介護報酬等の見直しに係る諮問  (2)その他 ○渡辺認知症対策推進室長より資料1から資料3の説明。 (大森分科会長)  諮問の内容につき審議をいただくわけだが、報告案も一括して審議をいただきたいと 考えている。 (木下委員)  介護療養型医療施設の廃止が国会で決まったわけだが、この契機は12月の当分科会 の議論であった。当分科会の本来機能としては、この部分は逸脱した行為だったといわ ざるをえない。審議する前に諮問答申案が出るのは、いかがなものか。 また、確認事項が2つある。一つは、介護保険制度上は、介護療養型医療施設に社会 的入院は存在しないということであり、もう一つは、医療行為の喀たん吸引、インスリ ンの注射、経管へのチューブの交換等は、できる職種はだれなのかという再確認につい てである。 (三浦老人保健課長) 一点目の介護療養型医療施設に社会的入院の方がいるのかということについてである が、先の資料1の1ページ「I これまでの経過」につき、最初の○を参照いただきた い。「『社会的入院』問題として、30年来の懸案となっており」とあり、その後「介護 保険創設時においても、『施行後一定の経過期間内において、療養型病床群等の介護施 設への転換を図るものとする」としており、介護保険の創設の趣旨として、社会的入院 の解決というものを目指してきたということは事実であろうと考えている。その中で、 長期の入院の方々につき、介護保険の中で受けていくというようなことであり、更に今 回の療養病床の再編成が、これを徹底するものだと考えている。 二点目の喀たん吸引等、医療行為を伴う患者の受け入れについてであるが、このよう な行為を行う担当者としては、当然医療行為であるにつき、医師、看護師といった医療 関係者がそれに当たることが第一義であると考えている。 (山崎総務課長) 分科会の関係について、指摘をいただいた問題に関して、確かに昨年来から議論があ ったが、私自身としては、当分科会に特に逸脱したような内容があったとは考えていな い。当分科会において、諮問を行う事項は、基準であり、あるいは介護報酬等ではある が、これら以外のことについても検討はある。療養病床について、そもそもどうするか という問題は、当分科会から諮問した事項ではない。行政として判断させていただき、 国会においても審議いただいたという内容であるので、その点は御了承いただきたいと 考えている。 (木下委員) いわゆる社会的入院かどうかについて「はい」か「いいえ」で単純に答えていただき たい。 現在、喀たん吸引等については医療行為であるということは、今後の審議に十分生か していただきたい。提供者側からという考えではなく、そういった状態にある利用者が 不利益を講じないような体制を組む上で、是非必要なことであり、慎重な審議を願う。 (三浦老人保健課長) 社会的入院の幅は様々であると考える。白黒と明確にくくれないからこそ、鍵括弧を 使っていると考えている。その中で、より医療の必要性の高い方については、医療療養 病床、そして医療の必要性の低い方については、老健施設をはじめとする介護施設、あ るいは在宅を考えているわけであり、医療の必要性に着目しながら、社会的入院の解決 をより徹底していくことだと考えている。 (木下委員) 介護保険制度そのものが、いわゆる社会的入院の解消ということで創設されたと理解 している。介護保険施設に入っている方は、皆社会的入院といえるのではないか。その 辺りの議論が曖昧にならぬよう今後の検討ではお願いしたい。 (井部委員) 経過型介護療養型医療施設の人員配置基準では、看護職員が8対1ということになっ ているが、現状では多くの介護療養病床で基準の6対1よりも多くの看護職員を配置し ている。 平成16年の厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査によると、介護療養 の病床数13万8,942 床に対して、看護職員が4万2,413 人勤務しており、単純にこれ を割ると3.28ということになる。療養病床協会の前回の報告でも、4対1ぐらいの人員 配置基準になっている。  経過型の介護療養病床には、ある程度医療区分の重い人も残っていると考えられるた め、6対1から8対1に緩和されて、即座に看護体制を変えられる状況ではないと思わ れる。 従って、患者の医療ニーズに適切に対応するという観点から、介護老人保健施設等へ の転換を図ろうとする事業者に対しては、報酬上の評価を検討する必要があるのではな いか。 (紀陸委員) 経過型の介護療養型医療施設における試行的退所加算の問題であるが、これについて は、今年4月介護老人保健施設に導入されたばかりであり、在宅介護への移行の定着が どの程度効果的であるか、まだ明らかになっていない段階で、経過型介護療養型医療施 設に同様の報酬設定を組み入れることはいかがか。  また、地域のケア整備指針の策定については、原案段階から意見を聞いていただく機 会も必要と考えるので、そういった場を設けていただきたい。 (三浦老人保健課長) 試行的退院加算は既に介護老人保健施設に設定されており、いかに在宅への復帰を進 めていくかという算段として、当該加算を4月から取り入れている。 経過型の介護療養型医療施設については、6年間の経過措置として置かれ、多くの施 設が介護老人保健施設などに転換していくということを念頭に考えると、将来の在宅復 帰機能ということについても重視していく必要があるのではないかということから、今 回試行的退院加算の設定を提案している。 確かに介護老人保健施設での実績等については、まだ十分に把握できていないが、従 前から退院あるいは退所の機能として施設と在宅を結ぶということは重要であり、是非 この加算を設定していきたいと考えている。 (紀陸委員) 意図はわかるが、介護老人保健施設での試行的退所加算の成果がどういうものかを見 た上で組み入れるという判断でいいのではないか。 (三浦老人保健課長) 確かに現に効果が明確に出ているかどうかについては把握できていないと先ほど申し 上げたところであるが、一方で、報酬の改定は簡単にできることではない。もし今回試 行的退院加算を入れなければ、3年後になってしまうということを鑑みると、先ほど申 し上げたとおり、介護老人保健施設には既に入っているものであるので、この期に是非 お願いをしたいと考えている。 (紀陸委員) 3年先でもいいのではないか。 (三浦老人保健課長) 療養病床の再編成は6年をかけて行っていくということであるが、その中の後半の3 年間で退院・退所機能というものを位置づけていくより、この6年間の期間の中で施設 においてさまざまな取組みが行われると考えている。そういった点では、転換の期間に わたる6年間において、退院の機能について一定の評価をしていくことは重要ではない かと考えている。こういった観点より、後半3年間ということではなく6年間を見据え た対応として是非お願いをしたい。 (山崎総務課長) 地域ケア整備指針についてだが、これは言わば基本的な考え方を国で整理するという 内容である。一方で個別の整備目標については、都道府県で決める形になる。従って基 本的考え方という面においては、必要に応じて関係者の方にご意見をお伺いしたいと考 えている。 (紀陸委員) これは施設から在宅へというわけであるが、ケア整備の指針の中で施設の増設につな がってはいけない。そういう意味で支払い側からの意見を聞く機会を設けていただけれ ばありがたい。 (木村委員) まず療養病床の再編成に当たって、施設の将来像を踏まえた円滑な移行ということで あるが、今、療養病床に入院されている方々は6年という経過期間はあるが、行きどこ ろがないと大変不安になっている状況等があると思われる。施設の将来像だけではなく、 入所者の不安を招かないように等、そういった入所者の視点に立ち心情に配慮して円滑 に移行するようにといった表現を入れていただきたい。 (天本委員) 療養病床の再編成は介護においては6年後に完結するものであり、将来像として今日 示したことは取り組まなければいけないことである。一方で療養病床の再編成は医療保 険適用の療養病床の再編成が7月1日から始まり、医療区分1の医療必要度が低い方々 が約50%と言われており、現在約12.5万人の方々が病院よりも介護施設なり在宅 がふさわしいのではないかという形で議論が進められている。その大前提に立てば、6 年後の問題よりも直近の7月1日からの問題、受け皿についての方向性が何も提示され ていない。  また、本来ならば地域ケア整備体制が先にあり、療養病床の再編成があるべきではな いか。「1 趣旨」にも述べられているとおり、関係部局が密接な関係をという指摘が あるが、地域ケア整備指針に関して、研究班というのはわかるが局は横断的にやってい るのか。 (山崎総務課長) このテーマは、老健局だけでなく、様々な面で関係する問題であるので、関係局も当 然一緒になって取り組んでいく所存であり、進めてまいりたいと考えている。 (天本委員) 直近の具体的な受け皿としてどのような計画があるのか。当然、療養病床再編成につ いては、保険局・医政局・老健局が事前に議論を深めての国としての方向性があると思 われるが、7月からの12.5万人の方々についてどう対応していくのか。 介護施設の運営状況を見るに、稼働率がほぼ100 %であり、介護事業計画での参酌標 準という面において現状を調査している限りでは、新たに移行できる状況にはないとい う認識でいるが、直近の問題として療養病床再編成とこれからの問題についてはどのよ うに考えるか。将来像としては必ず取り組むべき問題であると理解できるが、直近の問 題についてどのような計画を立てているのか。 (川尻計画課長) 既にスタートしている第3期の介護保険事業計画、あるいはそれに見合う保険料につ いては、3月までの各市町村議会において決定され動き出しているわけであるが、介護 保険事業計画を全部積み上げると、およそ全国で1万1,000 床ほどの介護療養病床の増 加、加えて、老人保健施設でも2万6,000 床ほどの増加が見込まれている。従って、今 後、医療療養病床が転換をしてくる際、これらの枠を使って転換が行われる場合もある かと考える。一方、地域的にはかなり施設が増加し、増加枠がないところもあると思う が、これについては、地域ケア整備構想の中で第4期には円滑に転換ができる形で、3 局連携をとって、計画を立てていきたいと考えている。 (天本委員) それは3年後の話であり、今は、直近7月から医療保険の療養病床再編成を一律定額 制から、新たにそれぞれの状態像に応じた区分をすることでかなりドラスティックな改 定がなされ、いわゆる介護難民というものがどうなるのかということについて、緊急の 調査なり対応、指導、計画が前にあって、並行して長期的な計画というものが必要では ないかということを質問している。 (三浦老人保健課長) 今回の療養病床の再編成は、混乱がないように粛々と進めるべきものだと認識してお り、医療保険・介護保険がそれぞれ役割を明確にしつつ、両者が連携しながら進めてい くことが重要だと考えている。当分科会では、介護保険の報酬に関わる部分などについ ての議論が主であるので、必ずしも医療保険の報酬についての考え方を述べる場ではな いという認識をしながらも、資料1の1ページ目の後段にあるとおり、関係の審議会に おける議論も進められている。最後のところには、診療報酬における介護保険移行準備 病棟の創設について、本年7月1日の施行に向け、関係局において準備が進められてお り、医療保険・介護保険それぞれで、円滑な移行のための業務を行うことになる。 具体的には個別の施設に入っている方々あるいは入院患者への対応ということである が、これは個別の対応として、極めて重要な部分であると考えている。 先日、都道府県の医療保険、介護保険あるいは医療提供体制に関わる部門を担当する 関係者の方々と意見交換を行い、またそれぞれ都道府県において、個別の病院あるいは 入院患者、その家族からの相談を受ける窓口を設定していただきたくよう要請している ところである。今後とも相談の窓口等については、更に都道府県の協力を得ながら進め てまいりたいと考えている。 (天本委員) 各地区の多くの医療保険の療養病床の問題で、医療のニーズというのは救急医療等が 一番多いわけだが、その次に多いのが、安心して入院あるいは入所できる施設のニーズ であるといえる。 その意味において、医療機関、病院等がそれに対応していたわけであるが、時代の流 れにおいて介護だというのであればそこの問題というのもある。 特に今回の医療保険と介護保険の同時改定においては両局の話し合いが円滑に行われ ているとは思えない。入院している方々に影響があってはならないわけであり、これは 厚生労働省ならず、今回の地域ケア体制整備と同じように、各都道府県のサービス提供 側と様々な形で緊急に整備することが必要と思われる。 (大森分科会長) 厚生労働省の中の3局の連携を強くもっていただきたい。整備方針は都道府県でも関 連機関は連携を強くもっていただき、遺漏なきよう期していただくということは極めて 重要である。 (沖藤委員)  制度の問題と国民感情については、今回の移行に関して極めて大きな問題ではないか。 医療の必要性については、今までは医師が判断していたが、制度によって医療の必要性 が低いと判断され病床を移されることに、そのまま納得できるのかということもある。 創設当初、介護保険は自己決定あるいは選択の自由等、極めて大きな人間の幸福に関 わる部分を哲学として掲げてきた制度であったが、特定の専門性の高い一部によって判 断されていくことに、不安や混乱等が人々の心にあるように思う。 今回の改定に関して、よく説明することにより、合意、納得を得ることを強調してい ただきたい。介護保険施設の将来像の中に、入居者の視点も入れていただきたいという 発言は、納得のいくものであり、さらに、介護保険の原点に立ち戻ってといった文言が あれば、安心すると思う。 4月以降の介護報酬改定において、現場の混乱は大変大きいと聞いている。周囲の要 介護者の要介護認定が下がっていく、福祉用具レンタルが突然打ち切られた、通所介護 への緩い強制があり行かないとホームヘルパーを派遣しない等、利用者の納得なしに、 様々なサービス提供が行われているということに、制度への不信感が芽生えていくと思 う。制度の改正には必ず国民感情の納得、介護保険の原点といった文言を取り入れてい ただきたい。 (大森分科会長) 介護保険施設の将来像を考えるときには、必ずそれらのことを前提にして議論してい るつもりである。具体的文言がないが、これらの将来像を踏まえることは、それらを含 めてであると理解いただきたい。 今回は多くに手をかけたこともあり、それが落ち着くまでに様々な問題が起こり得る と思っている。政策の実施サイドでは、現場の実態を把握し、声に耳を傾けるよう努め られたい。 (池主委員) 今の話にあった6年間という計画の中で、口腔の問題が介護保険の中に、歯科の問題 が具体的に組み込まれたことは初のことである。しかし、口腔がどういった役割を果た せるのか、介護サービス全体の中でどういった区分で、地域に貢献できるのかというよ うなことについて、役割分担が不明瞭であると考えている。口腔が相対的にそういう機 能が果たせるような文言をどこか入れていただくとか、6年間の評価期間に口腔への対 応が機能し、評価され得るような環境をつくっていただきたい。 (花井委員) 地域ケア整備指針の「1 趣旨」にある受け皿は、療養病床の再編に伴って、居宅サ ービス、ケアハウス等、自宅ではない在宅的なサービスを増やすとともに、この3計画 を連携させるということは、医療と介護の連携というものを非常に意識されているもの と受け止めている。 2の(1)の(2)にも「将来的な高齢化の進展や独居世帯の増加等を踏まえたサービス ニーズ」とあり、在宅でのサービスをいかに医療と連携させながら増やしていくかとい うことがここでも確認できるが、市町村の介護保険事業計画との関係は、どうなってい るのか。 また、諮問にある「介護老人保健施設における経過措置」の面積基準について、平成 23年度末までの経過措置となっているが、23年度で確実にこの経過措置を終わることを 強く要望する。これは施設に入っている利用者の尊厳という観点から、必要だと思うの で、そこは強く要望しておきたい。 (大森分科会長)  2点目であるが、これは揺るがせにしないという文言になっており「23年度末までの 経過措置とする」ということで明確にされている。 (山崎総務課長)  1点目について、名称は地域ケア指針という言葉になっているが、内容としては、市 町村の介護保険事業計画あるいは都道府県の介護保険事業支援計画、更には都道府県の 医療計画、医療費適正化計画といったものであり、最終的には言わば成果物になるもの である。 今の例で示すと、介護保険の事業計画又は支援計画については21年度、つまり第4期 からが1つの対象になり、医療費適正化計画の方は20年から始まることとなる。今、指 針として進めている3計画が各々に動くことは当然問題であるので、共通するような形 で体制を整備したいということ、また、共通する理念を示していきたいと考えている。 具体的には、その中で在宅という考え方が大きな柱になると思われるが、どの程度在 宅を目指すか等、あるいはどの程度施設でやっていくかについては、都道府県、市町村 が考えていかなければならない部分である。基本精神においては国であるが、地域にお ける適応をどうしていくかについては、都道府県もしくは市町村でそれを踏まえて考え ていただく。そのための参考的な指針を示すということである。 これからの10年、20年で高齢者の人口もかなり地域差が出る。全国一律的な方向性 というより、むしろ各地域での高齢化状況をしっかり推計していただきたいと考えてお り、推計指標とか仕方についても、参考までにこういった形で研究してお示ししている。 したがって、具体的には21年以降の計画等に反映されていくという形になる。 (対馬委員) 医療と介護、更に医療提供体制について、今回の地域ケアの整備指針の問題もあり、 また本日の資料を見るに委員会の設置もあることから、言葉の上だけではなくて、日常 的な意味合いでの連携というのを是非お願いしたい。 次に、先ほど紀陸委員からの支払い側委員の意見を聞く場ということであるが、介護 保険事業運営懇談会という場があるので、是非このときにも地域ケアの整備指針の進捗 状況等々についても出していただき、そこで議論させていただきたい。 (村川委員) 3月にも療養病床再編成については議論がなされてきており、健康保険関連法も成立 しているので、答申をまとめていただくということでよいのではないか。 療養病床の再編成について、施設に入所している方々に不安がないようにという利用 者の視点ということと併せて、資料3の中での、今後に向けて療養病床をどうするとい うことに加えた地域ケアという大きな視点に立っていただきたい。 昨今の報道でもあるように、介護保険料を支払い、要介護認定の手続を済ませながら もサービスを利用していない中で、孤独死や家族の負担等がうまく解消されないといっ たケースなどもあるので、地域のニーズを踏まえて進んでいくという大きな流れの中に 位置していることを確認しつつ、療養病床については、新しい行き方をしていただくと いう流れでよいのではないか。 その中で関連する医療法人等の方々についても配慮する必要があるが、現に療養施設 に入院している方々の不安がないような経過措置と、むしろ在宅でサービスがうまく利 用できない方々の声なき声についても踏まえ、地域ケア整備という大きな方向を目指す べきではないかと考えている。 確かに紀陸委員の言うとおり新しい出費はあるが、円滑な展開という中長期の視点で 見れば、適正な負担ということにつながっていくのではないかと考えている。 (田中滋委員) 地域ケア体制整備というと、これまではサービスの種別ごとに幾つずつ創設するとい った数の話になりがちであるが、これらかの地域ケアはサービスの種別ごとの連携であ るとか、ケアプランを共有していく姿といった、数ではなくプロセスの管理のようなこ とも重要になるので、それも含めた地域ケア整備指針になっていくように期待する。 答申については、多少の文言の修正があるかどうかは別として賛成である。 (漆原委員) 諮問書の中に、介護保険施設の将来像を踏まえたということが書かれており、その辺 に関してもこれから十分に議論していただきたいと考えている。 介護老人保健施設は、創設以来20年が経過しようとしているが、これまで、地域性あ るいはその都度の変化に応じて、様々な役割なり理念といったものを明確化できるよう に求められてきており、実際にもスタンスをまとめようということでやってきている。 在宅復帰施設あるいは在宅生活の支援施設であり、昨今では維持期のリハビリテーシ ョン、介護保険のリハビリテーションを、介護老人保険施設がこれから担っていこうと いうようなこと、あるいは地域包括ケアの考え方等も導入される中で、地域というもの を大きく意識してやっていこうというようなことである。 介護老人保健施設は、1つの役割、理念を明確に掲げてやってきたという自負がある。 そうした経緯もあり、地域の方々からも介護老人保険施設は、特別養護老人ホームとは 少し役割が違うとの認識を得てきたと考えている。 病院の転換先として介護老人保健施設が挙げられているわけだが、実質的には地域に おいては、介護老人保健施設あるいは福祉施設のバランスもあり、今まで介護老人保健 施設が果たしてきた役割とどのように整理していけばよいのか。 将来の役割を考えるときには、慎重に、これからの介護保険施設の本当の理念、役割 を十分踏まえた上で検討していただきたい。病院から介護老人保健施設に移せば、財政 が少し軽減されるといった議論だけでは、寂しいのではないか。 これから老健施設あるいは転換する介護療養型医療施設の医療の在り方が、大きな議 論になると考えている。老人医療の本質というのは、軽微な状況をいかに早く詰むかと いうようなところにある。 昔の老人医療がマッチポンプ的というようなことを言われた30年も前の時代から、 現在大きく改善してきたところであり、老人医療の在り方が、提供される医療行為の多 少だけで判断されないようお願いをしたい。 社会的入院という言葉が冒頭に出てきたが、社会的入院というのは、入院して、治療 を受けるほどではない人が入院しているというところであり、しかも、入院するほどで ない、医療行為を毎日看護師、医師などがついていなくてもできるではないかというの が、社会的入院であると考えている。 介護保険の場合には、要介護度によって報酬が決まり、サービスの提供量が決められ ている。確かに非常に合理的ではあるが、介護には社会的な要因というものが深く関与 していることが多くなっており、医療にもそういった考え方があっていいのではないか と思っている。 介護保険の中に医療が入ることについて、要介護度だけではなく、医療区分が、要介 護度の中に加わってくる可能性があるかどうか。 こうなると、社会的入所、不適切入所等の問題が発生し、これをどうするかといった 議論をしなければならなくなるので、現段階にてその辺りは整理しておいた方がいいの ではないか。 介護保険施設の将来像を真剣に議論し、よりよい施設ケアができるように考えていき たい。 (大森分科会長) 介護保険には要介護認定という制度があって、医療区分は一応設けられたわけである が、最終的にどの区分であるかについては医師の判断になる。 要介護認定という仕組みを前提にして全体を動かしているので、ある程度連携につい ても、区別というか、そこは医師の話を含んでいるため簡単には超えにくい。ただ、先 ほどの指摘について、今後この経過的な間に、どういった形を考えるべきかを検討しな ければいけないとは考えている。 (森田参考人) まず、7月から診療報酬が大幅に下がることで介護難民が発生するのではないかと、 一部に不安の声がある。これについては様々な経過措置が設けられており、各施設でこ ういった経過措置を活用して、利用者の方々が不安にならないように、対応をよろしく お願いしたい。 質問として介護老人保健施設に転換する場合、経過措置で、面積の方は6年間とされ ているのに対し、廊下幅については特に何も書かれていないが、今6年後はどうなるの か。 報告書の最後に、円滑な移行が行われるように配慮するものとあり、配慮の具体的な 中身について既に様々言われているようなことがあるが、そういったこと以外にも何か あるのかということについて教えていただきたい。 (三浦老人保健課長) 介護老人保健施設について、廊下幅は、例えばこれを変えろということになると、建 屋そのものを全壊させなければいけないということになり、実行的に無理であろうとい った判断の下に、廊下幅については6年間という経過措置は作らない。言わば恒久的な 対応として、それを認めるというような考え方である。 配慮の件については、様々な転換に関わる報酬や経過措置もそうであるし、先ほどの 介護保険事業計画上の取扱いの考え方等々、多様な配慮があると考えている。 (山本委員) 先ほど意見が出たように、介護施設というのは既に飽和状態ではないか。飽和状態に 加え、医療施設から入ってくるわけである。在宅復帰できればいいが、社会的入院して いる方は戻ることができないというのが原点であり、行き場がなくなる。したがって、 とりあえずは長期的な入所を趣旨としない施設に入って住むかということになるわけだ が、その辺りはどのように考えているのか。  6年かけての療養病床再編成の切り替えがスムーズにいけばいいが、それがなかなか うまくいかない。今、現場の方々は混乱をしている。 療養病床で、例えば50床あるとする。50床のうち30床は継続して療養病床に残り、 20床は介護老人保健施設等へ移るとすると、介護老人保健施設は長期的入所を目的とし たものではなく短期的ないので、介護老人保健施設に入った方々は、その次どうするの かということになる。突き当たれば方向転換をすればよいというやり方のように見える。 高齢者医療保険を今、町村会と市長会は、知事会に知事も一緒になって広域連合でや ろうではないかと申し入れたわけだが、都道府県も一緒になった広域連合というやり方 が一番よい。 しかし、都道府県によっては保険者になるのは適当ではないという考えを持っている 人たちもいる。では都道府県とは一体中間的な存在なのか、地方でないのかという疑問 がわいてくる。 今回、都道府県に様々なことを計画させ、あるいは考慮させると書いてある。県との 事業とのつながり、市町村との関わり合いといったものをもう少し慎重に考えていただ きたい。連携のとれていない状態では療養病床再編成がうまくいかないと考える。更に 慎重に検討していくことが必要ではないか。 また、3ページの単価表は見てすぐに理解できるものではない。こういったものを出 す場合には、新旧の対照になるものを出していただければ検討しやすい。。 (山崎総務課長) 療養病床の問題は、もともと老人医療が始まる20年来の問題であり、一挙にできる問 題とは考えていない。逆に周期を6年先にしたのも、いかに円滑にこれが展開していく かということに留意した上でのことである。今、患者の問題が出たが、基本的な考え方 を申し上げると、今、入院している方々がどこかに出るという形ではなく、むしろそこ に入院したままで、受け皿である施設の方が機能を転換していくという形ができないか というものである。 したがって、先ほどの委員の御指摘は、例えば50床のうちの30床は療養病床で残る としても、逆に20床は介護老人保健施設といったものに変えられないかといったような、 施設の受け皿の方が変わっていくということで、受け止めることができないかというこ とを考えている。 そもそも老人保健施設を含めた介護施設の在り方が問われてくるわけであり、今は長 期的利用を趣旨としない介護老人保健施設という形になっているが、それも含めて、受 け皿として介護施設の在り方をどう考えるかということを、この分科会の方で委員会を 設置させていただいて考えていきたいと思っている。したがって、患者が動くというよ りは施設の方が機能転換をしていくという形で、まず現場で混乱がないように進めてま いりたい。  次に県と市町村の関係で、今回地域ケア整備指針という言葉を出したのも、都道府県 と市町村の間、特に介護保険は市町村が中心であることから、最終的には市町村の計画 でどういった形に反映されるかに一番の関心を持っている。ただ、施設の指定は、県の 権限になっているので、都道府県と市町村の間の意思疎通をどうやって担保するかは、 国でも考える必要があると考えている。 この指針は都道府県の方には勿論であるが、市町村の方にもお示しして、国も含めた 共通認識の下で議論できるようにしたいと考えている。療養病床の問題は、施設に関す ることであるので、どうしても都道府県の権限と、市町村の事業計画との関係が問題に なり、その間をうまく連携、更に強化できるような形でこの指針を作成し、活用してい きたいと考えている。 (三浦老人保健課長) 資料1の3ページにある報酬額の関係についてであるが、これは今回の再編成に当た って、経過型介護療養型医療施設を新たに設けるということで、新たに創設するという 趣旨である。 (中田参考人) 今回の療養病床再編成に伴う諮問については、長期的にはこの方向でやむを得ないの ではないかと思っている。ただ、直近の問題をどうするかということについては、真剣 に考えていかなければいけないのではないか。 今、療養病床再編成が議論されて以降、特別養護老人ホームの待機者が大きく増加し ている。医療区分1の方々を特別養護老人ホームにという動きが出ているのは間違いな い。そうした中で、特別養護老人ホームは介護保険制度が導入されて以来、優先入所基 準ということでやってきたが、医療区分1の方というのは、要介護度で言えば4、5の 方が多く、どうしても優先入所させなければならない流れになってくる。そうなってく ると、在宅の入所希望者がどうなるのかといった大きな問題が出てくるのではないかと 思っている。 そもそも社会的入院の問題は、特別養護老人ホームの整備が進まなかったためで、そ の部分が病院に入ったと理解しているが、直近の混乱を防ぐためには、例えば特別養護 老人ホームの定員超過を経過的に認める等も1つの方法ではないか。 介護老人保健施設に転換というが、現在、介護老人保健施設は通過施設として位置付 けられている。療養病床に入っている医療区分1の方々が本当に介護老人保健施設で機 能訓練等を受けて、在宅へ戻ることができるのかということも非常に疑問に思われるし、 その意味でも施設体系の在り方等については議論を急ぎ、施設の在り方等について早く 結論を出して、現場の混乱がないように配慮していただきたい。 (永島委員) 当分科会においては、利用者又は受益者は非常に弱い立場にいると感じている。 地域差が広がるということを先ほど言われたが、地域差と同時に、例えば首長の考え 方によって左右される部分も多いと考えている。 介護保険を実際に利用している方々は意見を述べる機会がない。 介護保険あるいは医療等、受益者の声をすべて出せる立場と、それを救い上げる方法 について、この指針の中でどういった形になっていくのかについては、不公平であると 感じている。 在宅は家族介護ではないということを以前より申し上げてきたが、子どもは期待がで きないことが多い。実際、配偶者と独居の方は介護保険の中でというようなことになる。 ところが、本人のための基準というものは今、勿論進んでいるが、実はそこに隠れてい る要介護者との関係が、いろんな介護の部分に関わってくるということは、余り意識さ れていないという問題がある。要介護度が同じでも家族の関係等によって差ができてい ると思われる。その辺りをこの指針等でどういった形として入れていくか。何らかの形 でこの指針の中に意識してもらえないかということを考えている。 医療のことについて最も問題なのは、地域の医師、かかりつけ医との関係である。そ の辺りがどういった形になるかについては、極めて大きな問題である。 (木下委員) 介護老人保健施設への転換について、当局は転換を簡単に考えておられるようだが、 基準が変わるため施設改修が必要となり、入院患者は一旦出なければならないことにな る。その部分については検討がされていない中で、ただ、施設側が変われば解決すると いうのは非常に安易である。 介護保険施設の将来像とあるが、将来像を決めた以降は動かさないという気持ちでな ければ、再度、介護老人保健施設の機能が議論になりかねず、万一変えるということが 出てくると非常に混乱してしまう。 介護保険は、今まで走りながら考えようという手法でやってきたわけだが、これから は走りながら考えるのはやめ、しっかりとした計画を立て地に足をつけてからスタート すべきだと考えている。 (池田委員) 転換に伴うさまざまな問題をどう円滑に軟着陸させていくかということで、これにつ いては、いろいろと意見が出ているので、それを尊重すべきである。 また、中期的な視点で見てどうするのかということだが、施設・在宅という区分の仕 方を考え直さなければならないのではないか。 施設ニーズが発生している理由は大きく分けて2つだと思われる。一つは、施設では 包括的な支援サービスが受けられることから安心できるということ。もう一つは、家族 の負担から解放されるということ。家族の負担の解放というのはもちろん介護負担とい うこともあるが、それ以上に目の前で家族が、衰えていく様子は、見るに耐えないとい う精神的なストレスから解放するということもある。 従って、包括的な支援サービスと家族のメンタル的なストレスを解消する手法を施設 だけに求めるのではなく、居住を基礎とした、新しい包括的なサービスに転換していく という将来展望を持つのが最も現実的なのではないか。 施設居住系のサービスは、日本では有料老人ホームを入れて高齢人口の4%に満たな い。ドイツで5.3 %、アメリカでも7%ぐらいである。北欧においては、そもそも施設 の概念そのものが変わってきているので、同列視できないが、ドイツやアメリカでは居 住系サービスは日本より多いにしてもそれはすべて有料老人ホームとなっている。ドイ ツの場合は、介護保険が入ってから有料老人ホームのケアサービスについて、全部では ないが、一部の補助が出ているという構造になっている。 10年先には、ほぼ団塊の世代が要介護世代に入ってくる。年金制度の成熟が全く違う ことから、支配能力が相当担保されてくる。社会保険という普遍主義的な制度であると するならば、少し中期的展望としては、言わば施設にこだわらない、しかし、施設の持 っている包括的な支援機能を持ったサービスを、どう地域でつくり上げるか。それは施 設に似ているかもしれない、あるいは小規模多機能型生活介護のような形を持つかもし れない。そういった形で、地域ケア体制の整備について検討されることを望みたい。 (大森分科会長) 本日、諮問を受けているので、この答申について、あるいは報告について決議を行わ なければならない。現在、病床におられる方々に対する配慮の文章をつくるべきだと考 えている。こういった形にさせていただけないだろうか。 「なお、療養病床の再編に当たっては」という部分の後に、次のような文章を入れさ せていただきたい。「入院患者のニーズや実態に十分配慮しつつ、介護保険施設の将来 像を踏まえた円滑な移行が行われるよう努めるものとする」ということで、報告をまと めたいと思うが、いかがか。 (井形分科会長代理) それで結構だが、これは諮問に対する答申であることから、「努めるものとする」と いうが誰が「努める」のか。普通は「努められたい」という答申になるのではないか。 (大森分科会長) 「努められたい」というのは問答過ぎるため、より強く言うべきだと思っている。「努 めるものとする」というのは、ちょっと強い言い方であるから「努められたい」という のは理解するが、少しやわらか過ぎるので、努めるものとせよというぐらいの気持ちで 「努めるものとする」と提案している。 (天本委員) 提案したことは大方入っているが、重要なことは地域ケア体制整備にも書かれている ように、横断的な解決ということであり、各局間での対応を是非お願いしたい。これも、 今回の療養病床の再編成の対応において、非常に疑問を持っているからであり、よろし くお願いしたい。 (大森分科会長) 円滑な移行が行われるよう努めろという中には、3局連携でなければできないもので あることから、当然3局連携に努めよといった、先ほどの意見を踏まえていると理解し ていただきたい。 それでは、今のような形で報告を審議会へ提出することとしてよろしいか。 (「異議なし」と声あり) (大森分科会長) それでは先に進むこととする。もう一つ重要な案件として、居宅介護支援事務所への 委託の提案について説明いただきたい。 ○渡辺認知症対策推進室長より資料4から資料6の説明。 (木村委員) 資料4の半年の経過措置延長に関しては、5月28日に日本介護支援専門員協会の総 会が行われたときも、延長について要望をお願いしたいということで、全国の会員から の総意であった。これに関しては賛成であるが、今、全国的に地域包括支援センターは、 予防プランセンターになりつつあるのではないかと危惧している。本来の地域包括支援 センターの機能は、正確にいうと2枚看板になっている。地域包括支援センターの地域 の高齢者へのワンストップサービス、ケアマネジメント支援等の包括的支援事業が軸に あり、そのほかに指定介護予防事業所という看板を持ち運営されていかなければならな い。 指定介護予防支援事業所には人員基準で資格者の配置という形になっているが、包括 的支援事業を行う社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員で予防プランを作るといっ た考え方は、勘違いした運営をしているのではないかと見える。2枚看板の理解と財源 的なことがあり複雑になっているわけだが、そこのところをきちんと整理して、本来の 地域包括支援センターの機能、目的に向かってということを条件に半年延ばしていただ くということをお願いしたい。 なお、指定介護予防支援事業所の人員基準の資格者については、2月6日に振興課長 あてに、配置される資格者は介護支援専門員であることをお願いしたが、有資格者では ない人たちでも予防プランを立てられるようになっている。介護支援専門員資格を持っ ている人が予防プランを立てて、質の高い予防のマネジメントをしていただきたい。 (喜多委員) 延長することについては基本的に賛成だと考えている。 条件をなぜつけなければいけないかということをよく考えていただきたい。都道府県 なり政令指定都市から様々な要望書が出ているし、市町村からの個々の要望も厚生労働 省では受けているはずである。 年度途中だから人員が確保できないとか予算が確保できないと言っているが、もとを ただせば、こういう制度にするにあたって混乱を起こさないようにしようと思えば保険 者である市町村と十分に協議をして制度をつくれば、このような混乱は起こらなかった と思われる。 これまで、何度も資料を出していただきたいとお願いし、第37回介護給付費分科会で、 1枚の簡単な資料をいただいたが、この程度ではどうしようもない。保険者と十分に話 をして、地域包括支援センターをつくるにあたって、この仕組をどうするのかというこ とを協議しておけば、このような混乱は起きなかったのではないかと思っている。 そういう意味では、しっかりと整理がつくまで無制限に延ばしてはいかがかと申し上 げたいが、6か月としているのであれば、それ以上申し上げない。 こういった条件をつけるよりも、市町村と十分に協議を行い、結論を導き出すという ことを、ここで言っていただければ済むことではないか。 (古都振興課長) 地域包括支援センターについては新しい仕組みであるので、市町村(保険者)とは十 分に協議しながら進めてまいりたい。 そういった趣旨から、地域包括支援センター・介護予防に関する意見交換会も、従来 のような伝達方式ではなく、都道府県、政令指定都市、中核市に加えて、70市町村の担 当の方に来ていただいて、実態等の意見交換を十分にさせていただいた。今後、年に数 回やりたいと考えているし、その中で、運営上のいろいろな問題等も聞きつつ、適切な 支援をしていきたいと思っている。 なお、計画というのは、要するにしっかり目安をとっていただきたいという趣旨であ るので、そういう意味も含め意見を十分に聞き、今後とも問題を解決したい。 (木下委員)  件数のことも含め、新予防給付のケアマネジメントについては、その内容について効 率化や省力化できるところがあれば、スムーズなマネジメントができるように同時に検 討を行うべきだと考える。 (井部委員) 経過措置の延長については賛成したい。 もう一点、先ほどの報告事項として説明があった「今後の社会保障の在り方について」 の中で、介護保険制度の「サービス体系全般の見直し」をするという説明が12ページに あった。その中に、今回の改定で中重度者への重点的な対応を図るということで、さま ざまな新しいサービスが導入されているが、新たに導入されたサービスにおいても、中 重度者への重点的対応についてまだ検討の余地があるのではないか。今回の改定で新設 された療養通所介護というサービスについて、現段階では対象者が難病またはがん末期 の者と限定されており、難病またはがん末期の者以外の方々の医療ニーズ、あるいは介 護ニーズが高い例えば脳血管障害などによって、介護ニーズの高い方々が療養通所介護 を利用できないという状況が起こっているので、今後療養通所介護など、新たなサービ スを必要とする利用者が、適切なサービスの利用を妨げられることのないように、十分 なフォローアップをお願いしたい。 (大森分科会長) 延長については、手続的に言うと、省令改正に必要なパブリック・コメントの手続に 入らなければならないので、厚労省は早速入っていただくことになるのではないか。 最後に先般国会で成立した健康保険法等の一部を改正する法律の附則の検討規定につ いて、介護老人保健施設等の基本的な在り方やこうした施設の入所者に対する医療の提 供の在り方の見直しを検討するということになっている。これについて、まず事務局か ら説明をお願いしたい。 ○渡辺認知症対策推進室長より資料7の説明 (大森分科会長) 分科会の下に、今のような趣旨の委員会を置くという提案になっているわけであるが、 この件について了承いただきたいと考えるがいかがか。こういった形で、早速検討に入 るべきと考えているが、問題になるのは委員会の人選である。本日様々な意見が出て、 当然ながら今提案している委員会等でも検討すべき事柄が入っているので基本的にはこ の分科会のメンバーの方々にお願いすることになるが、以外の専門的な方々の協力もい ただきたいと考えており、恐縮ではあるけれども、人選については、私に一任していた だくということで御了承願えればと思っているがいかがか。 (「異議なし」と声あり) (大森分科会長) それでは、本日は諮問の答申ができたことについて御礼申し上げて、これで分科会の 審議を閉じさせていただきたい。 ○ 大森分科会長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949) 1