06/06/22 第25回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第25回)議事録 日  時:平成18年6月22日(木)14:00〜15:56 場  所:経済産業省別館1028号会議室 出席委員:山崎部会長 都村部会長代理、牛丸委員、栗林委員、近藤委員、林委員      宮武委員       議  事   平成16年度財政状況について −厚生年金保険・国民年金(基礎年金)− ○田村首席年金数理官  定刻になりましたので、ただいまより、第25回社会保障審議会 年金数理部会を開催 させていただきます。  審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか次のとおりでございます。  資料1は、「平成16年度財政状況−厚生年金保険−」でございます。資料2は、「平成 16年度財政状況−国民年金(基礎年金)−」でございます。  配布資料は以上です。  次に、年金数理部会委員の異動について御報告いたします。  6月9日付で、宮島洋委員が御退任されました。また、1月23日付で委員に新たに御 就任いただきました宮武委員ですが、前回御欠席されておりましたので、改めて御紹介 申し上げます。宮武剛/埼玉県立大学保健医療福祉学部教授でいらっしゃいます。   ○宮武委員  どうぞよろしくお願いいたします。 ○田村首席年金数理官  次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は熊沢委員が御都合に より御欠席とのことでございます。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えて おりますので、会議は成立していることを御報告申し上げます。  それでは、以降の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。 ○山崎部会長  委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。 本日は厚生年金保険及び国民年金の平成16年度財政状況についての報告を聴取いたし ます。まず、厚生年金保険の平成16年度の財政状況について報告を聴取いたします。そ れでは、説明をお願いいたします。 ○山崎数理課長  年金局数理課長の山崎でございます。それでは、お手元の資料1に沿いまして、平成 16年度の厚生年金保険の財政状況につきまして御説明申し上げます。  お手元の資料をお開きいただきまして1ページ、こちらが厚生年金の平成16年度の財 政状況の概要の収支状況でございます。過去5年間の推移ということで数字がございま すが、右から2番目の欄、平成16年度のところで見ていただきますと、収入総額が32 兆8,477億円ということで、対前年度1兆7,455億円の増となっております。  これをそれぞれ費目別に主だったところを見てまいりますと、保険料19兆4,537億円 ということで、対前年度2,112億円の増、比率にして1.1%の伸びということでござい ます。この伸びの要因といたしましては、平成16年度は15年度に比べ被保険者数が若 干増加したことと、もう一点、16年10月に0.354%の保険料率の引上げが行われた、こ の2つの要因がございまして、対前年度保険料収入が伸びているというところでござい ます。  国庫負担についても若干増というところでございますが、運用収入のところを見てい ただきますと、平成16年度は、簿価ベースということでございますが、特別会計の収入 として、1兆6,125億円ということで、対前年度6,759億円の減となっているわけです が、こちらに関しては、特別会計に入る運用収入が、現在のところ財政融資資金に対す る預託金の利息収入ということでございまして、こちらの方は順次償還されまして、年 金積立金管理運用独立行政法人の方に寄託されるというふうになっておりますので、そ の預託金の償還に伴いそもそもこちらの運用収入に入ります運用資産の元本が減ってい るということに伴い額が減っているということでございます。  一方で、運用の独立行政法人からは、一定のルールに基づいて国庫納付金というもの がなされるということでございまして、平成16年度までの運用収益に基づきまして、16 年度決算が確定した後の17年度におきまして、厚生年金のこの勘定に7,522億円が納付 されたということでございまして、そういう意味では、現在運用の仕組みが移っていく 過渡期にあるということで、こういう姿になっているということでございます。  その下の鍵括弧でございますが、これは寄託している部分も合わせました全体の積立 金につきましての時価ベースでの運用収益ということでございまして、こちらで見てい ただきますと、平成16年度3兆6,934億円の運用収入があったということでございまし て、これは平成15年度は非常に利回りがよかったということがございまして、前年度に 比べますと、2兆7,298億円減ということになっているところでございます。   続きまして、解散厚年基金等徴収金、いわゆる代行返上に伴う移換されてくる資金と いうことでございますが、これがこの収入の欄の下から2番目、平成16年度のところ、 5兆3,854億円となっておりまして、前年に比べて1兆8,889億円の増というふうにな っているところでございます。こちらにつきましては、その年度限りの収入でもござい ますし、併せて給付の義務も移転されているということでございまして、実質的な意味 で収入が増えたという性格のものではないということでございまして、収入総額が最初 1兆7,000億あまり増えているということでございましたが、ほぼ代行返上の分が増え ている分ということですので、ある意味見かけ上のものということになるわけでござい ます。  続きまして、支出に関しては、給付費は21兆5,380億円ということでございまして、 対前年度7,240億円の増となっているわけですが、平成16年度は物価スライドがマイナ ス0.3%というスライドがあったわけですが、一方で受給者は引き続き増加していると いうことで、結果的には給付費はこれだけの増になっているということでございます。  それから、基礎年金の拠出金でございますが、これが10兆7,874億円ということで対 前年度4,888億円(4.7%)の増になっているところです。  その結果、収支残ですが、特別会計としては、2,359億円のプラスということになっ たわけでございます。時価ベースですと、2兆3,167億円の収支残プラスとなったわけ でございますが、ただ、こちらにはいわゆる代行返上の分の約5兆4,000億円というも のが計上された結果のこういう数字ということでございますので、これを差し引いて考 えますと、特別会計ベースでは約5兆円の実質の赤字ということで、こちらは社会保険 庁から決算結果を発表したときにも、実質的には約5兆円の赤字だということで説明が なされたところでございますが、時価ベースでの運用収益を考慮するということで考え ますと、2兆3,000億円ぐらいのそもそもプラスから5兆4,000億円程度の代行返上分 というものを差し引きますと、時価ベースで考えましても、約3兆円の実質赤字と考え られるところでございます。  年度末の積立金は、特別会計ベースで137兆6,619億円ということでございまして、 下の鍵括弧、時価ベースですが、138兆2,468億円となっております。  積立金の運用利回りは2.73%となっているところでございます。  2ページは図であらわしたものですので、省略しまして、3ページ、給付状況にまい りますが、まず受給権者数ですが、平成17年3月末で、各種別合わせまして、2,423万 3,000人ということで、前年度に比べて108万5,000人(4.7%)の増となっているところ です。  その下の欄、年金総額は、24兆9,103億円ということで、対前年度2,374億円(1.0%) の増という状況になっているところです。  次の4ページにまいりまして、老齢年金の平均年金額ということで、男女合計の数字 がこの4ページの下の欄のところにございますが、これを見ていただきますと、老齢年 金の平均年金月額が約5,000円(3.9%)減となっておりますが、こちらについては、男子 の支給開始年齢、定額部分のところの支給開始年齢がこの16年度に61歳から62歳に上 がっているということがございまして、こちらの影響がこの減というものに出ておるの ではないかと見ているところでございます。  それを除いて考えるということで、繰上げ・繰下げ支給を選択した者、定額部分の支 給開始年齢に到達していない者を除外した平均年金月額ということで、正規の年齢から 1階、2階併せて受けられた方について、数字を見ていただきますと、それでも16年3 月末、17万1,379円から、17年3月末は16万9,410円ということで、1,969円(1.1% 減)となっているところです。この要因としては、1つは、マイナス0.3%の物価スライ ドがあったということもございますが、そもそも制度として、昭和60年の改正におきま して、従来は厚生年金の給付は、世帯単位の給付水準ということで、無業の奥様の分の 年金も夫の定額分のところに含むという形の年金の体系、額設定でしたのが、そこで3 号制度を導入して、妻の分は自らの名前で受けられるような形に振り替えていくと。そ の改正の途上でございますので、そういう意味では、こちらの平均年金額は個人単位の 平均でございますので、一部移し替えられた奥様の分はそれぞれのところで別にカウン トされるということですので、加入期間そのものは、その下で見ていただけるように伸 びていっているわけでございますけれども、いわゆる定額の単価の減というものは、設 計上それ以上に大きいということでございまして、緩やかにこちらの個人単位で見た平 均年金額は下がっていくという給付の構造になっておることを反映しているというふう に考えられるところでございます。  続きまして5ページは、これを男女別に数字を拾いましたものですので、こちらは省 略させていただきまして、6ページでございますが、こちらは加入期間20年以上の新規 裁定の方についての老齢年金の平均年金月額と、それを男女に分けて見たものですが、 数字を見ていただきますと、男性について、16年度10万7,699円。下に女性ございま して、11万1,655円ということで女性の方が高い現象が生じているわけでございますが、 男性の場合、支給開始年齢が16年度、定額部分については62歳になっておりますので、 実際上多くの方が60歳、61歳で新規裁定となられますので、こちらの男性の分は2階、 報酬比例部分の平均年金額ということでございまして、女性の場合は、男性より5年遅 れで支給開始年齢の引上げが行われるということで、この11万なにがしという額は基本 的に、いわゆる定額部分を含めた1階、2階ベースの額だということで、性格が違うと いうことで女性の方がむしろ高いような数字になっているという状況があるわけでござ います。  続きまして7ページは、これは支給年齢ごとに細かく状況を見たものですが、支給開 始年齢の引上げの関係がございますので、男女ごとに見た方が見やすいということで、 もう一枚めくっていただきまして8ページ、男性のところを見ていただきますとかなり 状況が見えてくるところでございまして、中段のあたり、特別支給の61歳というところ を見ていただきますと、16年3月末には平均年金額18万9,724円となっておりました ものが、17年3月末には11万984円ということで、支給開始年齢の引上げによりまし て、16年3月末には1〜2階を合わせた額であったものが、17年3月末は、61歳のと ころが2階だけの額になっているということがこちらにあらわれてきているということ でございます。62歳のところは19万1,120円ということで、1、2階を合わせたよう な額になっていると、こういう状況にあるところでございます。  1枚めくっていただきまして、女性については、まだ支給開始年齢は60歳ということ でございますので、17年3月末見ていただきましても、60歳から受けられている方が若 干額高いですが、10万円前後という額になっています。65歳以上の方につきましては、 基礎年金額の推計値を加算した平均年金額ということで見ていただきますと、11万 5,000円ということで、厚生年金に入っていた以外の期間も加算されますので、若干65 歳前の額よりも高くなっていると、こういう状況にあるところでございます。  続きまして10ページでございますが、老齢年金受給者の年齢構成ということでござい まして、こちらにございますような年齢の分布ですが、平均年齢は70.4歳ということで、 最近大体1年につき0.1歳ぐらいずつ平均年齢が上がっていっているという状況でござ いまして、16年度についても、対前年度+0.1歳という状況でございます。  女性でございますが、女性の方が平均年齢も高いということでございますが、平均 71.4歳ということで、女性の場合は男性よりも少し平均年齢の延びが大きいということ で、例年およそ0.2歳ずつぐらい1年につき延びていっているという状況ですが、今回 については、端数の関係もあるのでしょうが、16年度は15年度に比べ0.3歳平均年齢 が延びているという状況にあるところでございます。全体として平均70.7歳ということ で、前年度よりも0.2歳平均年齢が上がっているということで、受給者も徐々に高齢化 が進んでいるという状況にあるところでございます。  続いて11ページ、被保険者の状況ということでございます。まず被保険者数は、平成 17年3月末で3,249万1,000人ということで、対前年37万人(1.2%)の増でございま す。16年3月末には、前年度末に比べわずかですが、0.1%減という状況がございまし て、基本的に厚生年金、16年3月末までは被保険者数は減少傾向にあったわけですが、 17年3月末、16年度のところから増加に転じているところでございます。  こちらの表を見ていただきます際に、14年3月末から15年3月末のところで一たん 被保険者数が増えてございますが、こちらは65歳から69歳までの方を適用するという 適用拡大が行われましたことと、農林年金の統合が行われた事情がございまして、それ による増というのが入っておりまして、そういう事情を除きますと基調としては減だっ たということで、しばらく続いておりました厚生年金の被保険者の減少基調が増加に転 じたというのが今回の特色ということでございます。被保険者の平均年齢については緩 やかに上昇してきているという状況でございまして、17年3月末で41.5歳、前年度に 比べ0.1歳延びているところでございます。  標準報酬の平均を見ていただきますと、男女計で31万3,679円ということで、△0.1%、 ほぼ横ばいの状況にあるというところでございます。  下の段の一番下ですが、総報酬ベースで見た場合の1人当たりの月額でございますが、 17年3月末37万4,812円ということで、これも月額ベースのものと同じということで △0.1%ほぼ横ばいという状況にあるところでございます。  続きまして、12ページ、被保険者の分布ということで、加入期間と年齢の分布をクロ スしたものということでございますが、一番右側にございます年齢の分布というものを 見ていただきますと、一番ピークのところが30〜35歳ということで、全体の14.8%の 方がこちらにおられると。もう一つ、55〜60歳のところに11.4%という小さな山がある ということで、これは人口の年齢構成で見まして、30〜35歳のところはちょうど団塊ジ ュニア世代のところでございまして、こちらの割合がここ1〜2年の間高まっていると。  一方で、その親に当たる団塊世代はちょうど55〜60歳のところに入ってきているとい うことで、15年度においては、50〜55歳のところが、後ろの方のピークだったものが、 55〜60歳のところに移動してきているということで、人口全体の変化に応じて、一般制 度である厚生年金の被保険者の分布はそれを反映して変化するという状況にあるところ でございます。  これを男女それぞれで見ましても、その傾向があらわれてきているわけでございまし て、13ページはこれの男子ということですが、男女計と同じように、30〜35歳のところ に大きなピークがあって、第2のピークが55〜60歳のところにあると、こういうことに なっているところでございます。  14ページが女子でございますが、女子につきましては、人口そのものの傾向と、一方 で、30代ぐらいから一たん家庭に入られるというようなことでのいわゆるM字型カーブ というものが2つ複合したような形であらわれてくるということでございまして、一番 高いところが、これで見ていただきますと、25〜30歳というとろに17.1%となっており まして、その後ろ、30〜35歳のところが14.4%という分布となっておりますが、これも 1年前と比較いたしますと、25〜30歳は、15年度には17.7%だったものが17.1%とい うことで少し構成比が減りまして、30〜35歳のところは、逆に13.8%から14.4%とい うふうに構成比が高まっているということで、団塊ジュニア世代が30代前半のところに 差しかかっているということを反映しているところでございます。あと団塊世代のとこ ろで見ましても、55〜60歳のところが前年9.5%あったのが10.0%というふうに少し持 ち上がっているという傾向があるところでございます。  続きまして、15ページでございますが、標準報酬の分布ということでございまして、 左側の欄が男性でございますが、平均が35万8,607円ですが、男性の場合、62万円と いう上限のところに構成割合で9.45%、1割弱の人が張りついているということもござ いまして、平均の約36万円のところはやや分布のピークよりも上に来ていると。この分 布、かなり広がった分布でございますが、一応ピークが30万円のところに6.42%集ま っているわけでございますが、これよりは高いところに平均があるという状況になって いるところでございます。  女性の場合は上限に達しておられます方は1.42%ということでございまして、平均額 が22万5,663円ということでございますが、分布全体のピークもちょうど22万円のと ころに9.15%の方がおられるということで、平均とピークがほぼ一致するような分布に なっているというところでございます。  続きまして、16ページでございますが、積立金の運用状況ということでございまして、 厚生年金の積立金でございますが、平成16年度末におきまして、預託金が50.2%を占 めていると。71兆882億円ということで、特別会計に入ります運用収入は、この預託金 に対する利息収入ということになっております。  一方で、市場運用分が44兆2,591億円ということで、構成割合が31.3%となってお りまして、財投債が26兆1,960億円、構成割合18.5%ということになっております。 この預託金の方は、平成20年度までに全額償還されるという見込みになっているところ でございまして、この預託金の割合、15年度は62.6%でございましたのが、16年度は 50.2%ということで、今後順次この比率が減っていって、市場運用、財投債の割合が高 まっていくと、こういう見込みになっているところでございます。  運用利回りにつきましては、この承継資産の損益を含む場合、こちらの方で時価ベー スというのは表示しているところでございますが、これで2.73%という数字になってい るところでございます。  あと、特記事項のところで、市場運用分の資産の構成の状況というものを掲げてござ いますが、市場運用は厚生年金の分と国民年金の分、あといわゆる承継資産の分、これ を一体として運用しているところでございますが、その16年度末の時価総額はこちらに あるような数字でございまして、割合としましては、国内債券が約55%、国内株式が21%、 外国債券が10%ぐらい、外国株式が14%程度という状況になっているというところでご ざいます。  おめくりいただきまして、財政再計算における将来見通しとの比較ということでござ いますが、厚生年金の場合、実績として発表されておりますもの、これは基金代行部分 を除いたもので数字があるわけでございますが、それを再計算の方は、基金代行分を含 めた形の計数になっておりますので、そちらをできるだけベースをそろえて比較すると いうことと、あと併せまして、基礎年金の交付金でございますが、こちらは会計上は交 付金としてそれぞれ収入という形になっているわけですが、実質的にはその交付金でそ のまま基礎年金とみなされる金額の給付が払われ、一方でそれを支えるために基礎年金 の拠出金を払っているという構造になっておりまして、再計算の方では基礎年金の交付 金の分は収支両面から除くという形で表示するようにいたしておりますので、そこを比 較できるようにということで、実績の方を加工いたしました実績推計というのを上の欄 の中段に掲げてございまして、できるだけ再計算の方とベースをそろえて比較しようと いうことで数字を掲げてございますので、こちらとの比較ということで御説明させてい ただきます。保険料収入につきましては、実績推計値が20.2兆円に対しまして、平成 11年の再計算のときの将来見通しでは26.7兆円の保険料収入が見込まれていたという ことで、かなり乖離があるわけでございますが、この差の主な要因といたしましては、1 つは被保険者数の見込み、こちらは11年の再計算のときには順調に被保険者数が伸びて いくと見込んでいたのが、逆に減少傾向が続いてきたと。ようやく若干増えるような状 況になったということですが、見通しより8%ぐらい少ない被保険者数になっていると いうことです。  あともう一つは、これは名目額ですので、11年の再計算では将来の物価の上昇、賃金 の上昇をある程度プラスで見込んでいたものが、逆にデフレ基調ということで名目額と してかなりの乖離が生じたということで、これが累積で出てまいりますので、おおむね 12%ぐらい経済の名目額での見通しというものが変わってきていると。この両方が重な りまして、こういう乖離になっているということでございます。  それから、運用収益のところでございますが、これは時価ベースで比較するというこ とで、基金代行分も含めた実績推計のところで4.1兆円という運用収入ですが、財政再 計算の見通しでは、デフレ基調というものが織り込まれていないということで、再計算 の見通し上は6.6兆円の運用収入を見込んでいたということでございますが、ただ、こ ちらは実際のところ賃金上昇率が見込みより低かったということによりまして、将来の 給付はそれを反映したものになりますので、そちらの方も低くなるということを考え合 わせますと、年金の運用というのは賃金上昇率を上回る実質的な運用利回りを確保する という観点で見ますと、これで比べますと、財政再計算のときの実質的な利回りの見込 みよりは上回っていると、そういうものを確保している状況にあるというところでござ います。  その他のところで、実績の方では、10.2兆円となっていますが、こちらは代行返上の 分5.4兆円が入っておりまして、これは厚生年金基金分と合わせるということになりま すと、除くということになりますので、それを引きまして、あと実績の方の給付には、 JR、JT、NTTといった旧三公社を統合したときの事業主が負担します3階部分給 付ですとか、そういうものも実際事業主から費用負担をその年、その年で受けて給付を 行うということをやっておりますので、その分は財政再計算にはカウントされておりま せんので、その分を除くということにいたしますと、実績推計で4.4兆円と。将来見通 しは4.8兆円となっているわけでございまして、基礎年金拠出金の見込みと実績のずれ の分に係る国庫負担分ぐらいちょっと違っているということです。  その他とありますこれの主な分というのは、国庫負担の分ということですので、その 差は結局国庫負担の見込みと実績のずれだということでございます。  それから、支出の方でございますが、これも基礎年金交付金の分を除きまして、一方 で、基金の代行部分を加えると。あと共済組合から引き継いだ3階部分の給付を除くと いうようなことをいたしまして、実績推計で21.1兆円ということでございまして、将来 見通しは23.1兆円だったということでございまして、保険料の方も見込みより少なくな っているわけでございますが、給付費の方も見込みより少なくなっているということで、 これは経済がデフレ基調の中で、年金改定率が見込みより低下したということを反映し ているところでございます。  あとは基礎年金拠出金に関しましても、年金改定率の影響がございまして、見込みが 11.9兆円に対して10.8兆円という姿になっているところでございます。  続きまして、18ページ、被保険者の見込みですが、将来見通しでは3,490万人という 見込みだったのが、16年度末3,249万人ということで、見込みよりも250万人少ない状 況になっていると。基本的には景気の影響による被保険者数の減少というものが大きい ということでございます。  受給者数につきましては、全体として再計算の見込みが2,180万人と見込んでおりま したものが、16年末で2,230万人という数字になっているということで、若干見込みよ りも増えているというところでございますが、種別ごとに見ますと、通算老齢年金が660 万人と見込んでおりましたのが749万人ということで、ここで乖離が大きいということ でございますが、被保険者期間が失業等で短くなりますとぎりぎり老齢年金相当となる 方が通老相当に移るというようなことがございまして、通算老齢年金相当の方が見込み より増えているのではないかと見ているところでございます。  次に19ページ以下、財政指標の比較ということですが、まず年金扶養比率ということ でございまして、これは何と何を比較するかということでございますが、財政再計算の 方は、基本的に年金受給者ベースで行っておりますので、上の実績のところも括弧の外 の部分は受給権者のベースでございますので、括弧内の受給者ベースのものと比較して いただくのがよろしいかと思います。16年度で見ますと、括弧内の年金扶養比率、被保 険者何人が老齢年金受給者1人を支えているかという数字になるわけでございますが、 3.10という数字でございます。  これと対比いたしますものとして、下の段、11年再計算上では3.3人で支えると見込 んでいたと。再計算の見込みよりも若干厳しい状況になっているということでございま すが、こちらは被保険者の見込みに比べ実績の被保険者が少ないということの影響が生 じているところでございます。  中段に年金扶養比率を補完する指標ということで、年金種別の費用率というものがご ざいますが、こちらは年金扶養比率が老齢年金だけを見ているということで、実際には 障害や遺族というものもコストがかかりますので、その状況を見るために、ただ人数比 ではなかなか見ることが難しいので、年金種別費用率ということで、これはある意味で 2階部分の給付にそれぞれの老齢、障害、遺族という給付の基礎年金の部分は外しまし た2階の給付に必要な賦課方式の保険料率というものに当たるものでございますが、こ ちらを見ていただきまして、かつ基金代行分を補正したという「16*」というところを 見ていただきますと、これが老齢費用率11.2という数字でございまして、これをベース として考えますと、障害の部分が0.2、遺族の費用率が2.5ということで、年金扶養比 率から見ることができる老齢の状況に加えて、さらに老齢と対比して、これぐらいの障 害の費用と遺族の費用がオンされていると、こういうふうに見ていただければよろしい かと存じます。  続きまして20ページは、参考として16年財政再計算の数字がございますが、これは 飛ばしまして、21ページ、総合費用率でございますが、これは1階の基礎年金の負担も 込めた単年度の賦課方式の保険料率のようなものというところでございますが、こちら につきましても、実績で比較するものといたしましては、基金代行分を補正したという ことで「16*」というところを見ていただきますと、実績としては18.8%であったとい うことでございますが、それに対しまして、11年の再計算では、16年度16.3%と見て いたということで、被保険者数の見込みと実績の差によりまして、賦課方式の保険料率 に相当する総合費用率ということでも再計算の見込みよりは決算の実績の方が厳しくな っているという状況にあるところでございます。  22ページは、16年の参考でございますので、飛ばさせていただきまして、23ページ、 独自給付費用率、これが基礎年金を除いた2階部分の賦課方式の保険料率ですが、決算 結果、代行部分を補正しました「16*」を見ていただきますと、これが13.9%。これに 対して11年再計算の16年の数字が一番下の段12.0ということですので、こちらについ ても、被保険者数の見込みと実績の差が反映して、再計算の見込みよりは厳しくなって いるという状況にあるところでございます。  24ページは飛ばしまして、25ページ、収支比率でございまして、基本的にこの収支比 率が100を超えると単年度赤字基調ということでございまして、100に満たない数字で ございますと、黒字基調と、こういう形で見るところですが、基金の代行部分を補正し て時価ベースで見たものということで「16*」のところを見ていただきますと、収支比 率113.6ということで、代行部分を補正するというのは、いわゆる代行返上のものを除 くということに相当しますので、冒頭時価ベースで見て代行返上の影響を除けば実質3 兆円程度の赤字と申し上げたことがこの収支比率で言うと100を超えているということ にあらわれてきているということでございます。  それに対して再計算の結果では、16年度90.7と見ていたということで、単年度赤に はならないと11年再計算では見ていたところが実質赤になっているという状況でござ います。  1ページまた飛ばしまして、積立比率でございますが、こちらは保険料でカバーすべ き支出の1年分に対して何年分の積立金を持っているかという指標になるわけですが、 これにつきましても、基金代行分を補正して時価ベースで見た「16*」のところを見て いただきますと、実績では6.3年分持っているということでございまして、これに対し まして、再計算の結果では6.2年分と見ていたということで、こちらに関しては再計算 の見込みよりも相対比として大きい積立金を持っているということで、これは再計算の 見込みに比べましてデフレ基調でございますので、給付、負担、単年度分が両面におい て見込みよりも小ぶりだったと。積立金の方は額として基本的に減るものではございま せんので、そういう意味ではデフレ基調の中で積立金の比重というものは相対的に高ま ったということがこちらに反映しているのではないかというふうに考えているところで ございます。  最後のページは、16年の数字の参考でございますので、飛ばさせていただきまして、 御説明以上とさせていただきます。   ○山崎部会長  ありがとうございました。ただいまの説明に関して何か御質問等ありましたらお願い いたします。   ○都村部会長代理  先ほど御報告の中で、厚生年金の被保険者数が、平成16年度には減少から増加へとい う、そういう傾向を御指摘されたわけでありますけれども、被保険者数というのは年金 財政に影響を与える非常に重要な指標の1つだと思います。それに関しまして、被保険 者数には、毎年制度から脱退する者と新規に加入する者がいるわけですね。新規加入者 については厚生年金に初めて加入する者と、過去に加入していたけれども、脱退して再 加入する者と両方いるわけですね。新規加入者がどうなっているかという動きにも関心 があるのですけれども、先ほど御説明のあった18ページの表の真ん中のところの新規加 入者数は空欄になっており、一番下の特記事項というところに、新規加入者に関する実 績統計および推計値はないと書かれています。再加入率というのは、公的年金加入状況 調査などをもとにして推計できるのではないかと思うのと、それから、初めて厚生年金 に加入した人のデータというのは、実態調査かなにかで把握できるのではないかと思う んですけれども、実績統計がないということはなぜなのかということをお尋ねしたいと 思います。被保険者数の推計において、新規加入者数というのは推計に用いてないのか どうか、その点を教えていただきたい。 ○山崎数理課長  実績統計に関しましては、社会保険庁の方から、後で補足してお答えいたしますが、 まず最初の年金の将来推計につきまして、新規加入者数を用いていないのかというお尋 ねでございますが、まず年金の財政計算を行います場合に被保険者数の見積もりでござ いますけれども、こちらに関しましては、まず各年度につきまして、そもそも人口がど れだけいるか。これは人口推計をベースとしておりまして、それに対して労働力率の見 込み、これは職業安定局の方で行われておりますので、それがかかってくることにより まして、労働力人口というものは各年各年決まってくると。それに対して、いわゆる厚 生年金の被保険者が年齢ごとにどのぐらいの割合でいるか。これは基本的に足元の状況 をベースとして決めまして、その年度年度の被保険者数がこれだけいるというものをむ しろ人口と労働力率の見通しと整合的に決めてくるということを行っておりまして、一 方で被保険者というのは実際動いて脱退とかしていくわけでございますので、脱退者と いうものは過去の直近3年間の実績に基づきまして脱退率をはじきまして抜けていく人 が出てくると。  そういたしますと、ある年の被保険者と翌年の被保険者が決まっておりまして、その 間で脱退していく人をこれだけと見ているということでございますと、新たに入ってく る方、あるいは途中で一たん脱退した後、再加入される方というのはむしろ逆算で決ま ってくるような姿になってまいりますので、そういう形で機械の中でございますけれど も、算定していくという形で財政計算の方はやらせていただいているところでございま す。  実績そのものの把握に関しましては、社会保険庁の方からお答えいたします。 ○廣瀬社会保険庁運営部企画課数理調査室長  社会保険庁数理調査室室長・廣瀬でございます。ただいまありましたように、厚生年 金で新規に資格を取得した者が実績で把握できるかというところでございますが、残念 ながら社会保険庁では、資格を取得したというものを何件処理したと、極端に言えば、 そういうものは把握しておるところでございますけれども、ただ、その場合、その前に 厚年の期間を持っていたかどうかということを区分をしておりません。資格取得が何人 いましたかということは把握できているところでございますけれども、新規かどうかと いうところの区分は持っていないというところでございます。  なお、資格喪失の方でございますが、こちらの方は、その後、どこかの制度に行った のか、あるいは死亡したのか、あるいはそのまま現役を引退されたかといろいろあるか と思いますけれども、これもその後、どうなったかというところはとっておりません。 しかしながら、資格喪失として何人発生したかということは実績でとっております。た だ、それを細かく区分したものは、新規取得と同様、そこまでの区分はされていないと いうところでございます。 ○都村部会長代理  16年度について見ますと、女性の被保険者数がかなり増えていますね。それは、再加 入者が増えているのか、あるいは新規加入者が増えているかというようなこともわから ないということですか。 ○廣瀬社会保険庁運営部企画課数理調査室長  取得が何件あったかというのはわかりますけれども、それが新規であるか、それとも 再であるかというところにつきましては、その区分はなされておりませんので、申し訳 ないのですけれども、そこまでの細かい実績というものはとれてないというところでご ざいます。 ○都村部会長代理  それともう一つよろしいですか。被保険者数の将来推計には、将来推計人口を基礎デ ータとして用いているということでございますけれども、昨年末発表された人口動態統 計によりますと、人口減少が将来推計よりも2年ほど早く始まっています。この人口減 少が早まっているということについて、年金制度上あるいは年金改革上何か対応される のか、また、人口減少の早まりというのをどういうふうに受けとめておられるか、お聞 きしたいと思います。 ○山崎数理課長  お答えいたします。人口減少が何年からというのは、実際のところ、人口が増加から 減少に転じますときは、ある意味でピークの、要するに山の頂きのところですので、非 常に微妙に増加から減少に転じるわけでございまして、そこが1年、2年というのがも のすごく大きな意味を持っているわけではないというふうに考えているところでござい ますが、実際のところ見込みが狂ってきた一番大きな要因としては出生が前の人口推計 で見込んでいたものよりも、現実に産まれる赤ちゃんの数が少ないということでござい まして、年金の財政という面で考えますと、産まれた赤ちゃんが実際に年金の保険料を 払って制度に参加するようになりますのはおおむね20年後ぐらいということでござい ますので、賦課方式を基本とします年金の財政に対して直ちに影響を及ぼすわけではな い。20年後ぐらいから徐々に影響を及ぼしてくるわけでございますし、かつ単年度の状 況が影響を及ぼすというよりも、むしろ今後の傾向、長いトレンドがどうなるかという ことが大きな要素を占めているということがまず1点ございます。  あと、年金制度は人口と経済両方が絡み合った仕組みでございますので、人口だけで 全てが決まるということではなくて、経済がどうなっていくか。これもまさに長期の傾 向としてどうなっていくか、これは非常に大きな比重を占めているということで、両方 の要素があるということでございますので、人口減少が1年早まった、2年早まったと いうことで、直ちに年金財政が揺らぐとか、そういうものではないわけでございますが、 一方で長い目で見ましたいわゆる少子化、これがどのぐらいで落ちつくか、あるいは歯 止めがかかるかというものが、100年単位で見る年金の財政に大きな影響を与えるとい うことは事実でございますので、すぐにどうということではなくて、ある程度息長く見 ていく性格のものではございますが、少子化対策によりまして、少子化に歯止めをかけ ていくということが長い目で見れば、年金財政にとっても非常に重要だと。  一方で、経済も今幸い景気が回復してまいっているわけでございますが、経済のパフ ォーマンスを良好に保っていくということも同じように重要なファクターだということ を申し上げたいと思います。   ○都村部会長代理  ありがとうございました。 ○山崎部会長  牛丸委員。 ○牛丸委員  1ページの収支状況に関して質問させていただきます。収支残について先ほど、厚年 の代行部分の返上があったということを考えると、事実上赤字になるという説明があり ました。そのとおりだと思いますが、その説明の際に、現在は収入の増加になるけれど も、同時にそれは将来の給付の債務というものも来たのだという説明がありましたが、 この返上された分というのがそのまま積立金に回されるようなことはなかったというこ とですね。普通、将来の給付ということを想定するならば、収入が入ってきた分をそっ くりそのまま積立金に回すという、こういう1つの選択もあったわけですけれども、こ の数字を見る限りはそういう選択はしなかったというふうに解釈していいですね。これ が1点です。  同じくこの表に関することなのですが、先ほど運用収入の説明の中で、一番中心的な ものが預託金からの利子収入だという説明がありました。それはわかるのですが、後ろ の16ページの資産構成を見ますと、市場運用分、つまり年金資金運用基金、そこでの資 金運用分があると思いますが、そこから入ってくるものというのは、先ほど一定ルール に基づいて、国庫納付とか、そういうお話もありましたが、そこから入ってくる分に関 してはこの収支表とどのようにつながっているのかがよくわからないので、説明してい ただけますか。厚生年金の特別会計と年金資金運用基金、その資金のやりとりの関係で すね。これがこの表に出ているのか、出てないのか。その辺のことも含めてお答えいた だければ幸いだと思います。 ○山崎数理課長  それでは、まず第1点でございますが、代行返上されました積立金、代行返上により まして単年度収入になるわけでございますが、実際それによりまして、代行のままであ れば基金が払ったはずの給付責任の分が国に返ってきますので、直ちにではないですけ れど、今後、将来に向けて給付が出ていくと。それと見合いのものなので、ある意味で 純粋にプラスの収入ではないのだということを申し上げまして、御質問の趣旨は、そう いうものであるなら別によけておいてということで、今の給付に取り崩してしまうわけ にはいかないのではないかというお尋ねかと存じますが、積立金自体は全体1本でござ いますので、そういう意味では、仮に5兆4,000億ぐらいの額がなかったといたします と、積立金は今137.7兆円のものが5兆円少なくて132兆ぐらいになっていたはずのも のが137兆になっているので、そういう意味ではその分だけ積立金は積みは上がっては いるということで、別に色をつけてよけるという仕組みにはなっておりませんので、一 方で年金の再計算でございますと、そこのところは厚生年金基金の代行部分も両方合わ せた形で見ておりますので、そちらの方は実際上影響しないわけですが、現実の年金の 会計としますと、色をつけてよけてはいないのですが、その分だけ代行返上なかりせば の場合と比べて積立金は多いわけでございます。  もし代行返上がなかったとしたらば、現実に今まで積んである積立金を3兆円なり取 り崩して給付をする必要はあったわけでございまして、結果としては、ある意味、代行 返上されてきた分というのは、それなかりせばの場合に比べて積立金は多く積まれてい る状態にはあるということかと存じます。  ちょっとまわりくどい御説明ですが、別に色をつけてとっておくような仕掛けにはな っていないというところでございます。  それから、第2点でございますが、現実の運用収益が、特に特別会計に入ります分は、 16年度に関しましては預託金から利息収入、これだけで構成されているということです が、一方で積立金の方は、今、特別会計にございます137兆円ぐらいの積立金と申しま すものは、半分ぐらい預託になっておりまして、残りが年金資金運用基金に対して寄託 されておりまして、そちらで市場中心に運用されているということでございまして、た だ、その運用収益は国庫納付という形で特別会計に法人から納付されないと、特別会計 上の収入にはならないというふうになっているわけでございまして、この国庫納付に関 しましては、一応それまでに寄託されたお金、これは簿価ベースでございますが、これ の1%相当までは準備金を積んで、それを超えた分を決算確定後、翌年度に国庫納付す るという仕組みになっておりまして、それに沿いまして、16年度までの運用収益からそ のルールに基づきました国庫納付金が翌17年度に7,500億円余り実際に納付されている ということがあるわけでございます。 ○牛丸委員  年金資金運用基金に回したお金は、収入としてこの会計には入ってこないということ ですね。 ○山崎数理課長  そもそも運用されているお金は、そこで株が膨らんでいる分も込めて、基本的に年金 のためのお金でございますが、特別会計のいわゆる収入・支出は基本的に現金主義でご ざいますので、現金化して納付されたものが初めて特別会計にとっては歳入として認識 されるということでございまして、ある意味で潜在的に株が上がったりして時価が膨ら んでいる分はもちろん年金財政にとって貴重な原資なわけですが、その辺をはっきり見 る意味もありまして、時価ベースで年度末積立金がいくらあるかというのをこの財政状 況のところが掲げさせていただいているわけでございますが、現実に特別会計の歳入と するためには、株が上がって、その評価益が上がっているだけでは、今の会計上は入っ てこなくて、実際に決算を打って、それで準備金を超えるこれだけ分を現実に国庫納付 するということが決まって、翌年度本当に現金で納付されて、初めて特別会計にとって は歳入になるということでございまして、ですからある意味で基本的には時価ベースで 全体を整理しました鍵括弧が付いております部分ですが、こちらの方で見ていただく方 がより本質的な財政な状況はあらわされるものというふうに考えております。 ○山崎部会長  そのほかにございますでしょうか。  それでは、厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取をこれで終了いたします。  引き続き、国民年金の平成16年度の財政状況について報告を聴取いたします。それで は、説明をお願いします。 ○山崎数理課長  それでは引き続きまして、お手元の資料2に沿いまして国民年金の16年度の財政状況 につきまして後説明させていただきます。  おめくりいただきまして、1ページの収支状況ということですが、国民年金(基礎年 金)平成16年度収入総額が17兆5,575億円となっているところでございますけれども、 これは個別に見ますと、基礎年金拠出金の収入が15兆5,427億円ということで、それに 免除分ですとか、20歳前障害基礎年金に対する優遇分に対応いたします特別国庫負担が 4,736億円ということでございまして、その他のところに1兆5,329億円ございますが、 これは何かと申しますと、収支残の下に年度末積立金ということで数字挙がってござい まして、7,246億円というのが毎年同じ額挙がっておりますが、こちらが昭和60年の基 礎年金制度が創設されました年金制度改正のときに、それまで旧国民年金に任意加入し たおられましたサラリーマンの妻、この方々に相当する積立金というもの。今、国民年 金勘定というのは自営業者等の第1号被保険者の方々の保険料を整理する勘定になって おりますので、そちらに引き継ぐのは適当でないということで、これにつきましては、 とりあえず基礎年金勘定のところに置くという整理をされたわけでございまして、それ から発生いたします運用収益、これは基礎年金勘定に繰り入れられますけれども、毎年々 の拠出金・交付金は賦課方式ベースで算出されますので、そちらには使われないという ことで、それが運用収益、累次たまってきたもの、こちらを中心といたしまして、後は 基礎年金の毎年々の給付と拠出の関係が見込みで拠出金を集めて2年後精算するという ような仕組みをしておりますので、この収支残の分も若干入っているわけでございます が、その辺が基礎年金勘定の方は収支残として残っているということで、これは毎年収 入のところでその他ということで出てまいりますけれども、収支残のところにこちらが 計上されるというようなことで、基本的に妻の積立金の分、こちらの運用収益がたまっ たようなものがベースになっているということでございます。  支出の方ですが、基礎年金給付費(本来分)、これは社会保険庁から基礎年金という名 前で支払われる年金に要する費用。基本的には、昭和60年の改正のときにまだ60歳に なっておられなかったような方々に対する年金の給付ということでございますが、これ に要します費用、こちらが11兆8,118億円ということでございまして、一方で基礎年金 交付金、これは制度発足当時に年齢が高くて各制度から年金を受けておられた方々、こ ういう方々でも基礎年金に相当する額の部分については、基礎年金勘定から各制度に交 付金を払うことによって費用負担をすると。それ全体を合わせました基礎年金の給付費 を各制度の加入者が1人頭いくらという形で平等に負担すると、こういう仕組みになっ ているわけですが、その交付金の分が約4兆2,000億ぐらいということで、全体で約16 兆円という支出になっているということでございます。  拠出金算定対象者ですが、これが基礎年金の費用を頭割りにする人たちの人数という ことでございまして、5,781万6,000人、対前年14万9,000人(0.3%)の減少となりま す。この方々で頭割りしました拠出金の単価、国庫負担を考慮した保険料相当額で1万 5,240円という数字になってございます。これは16年度の国民年金の保険料は、1万 3,300円(月額)ということでございまして、これより高い額になるわけですが、国民年 金は保険料だけではなくて積立金も持っているということで、そちらから補足する形で、 国民年金の加入者の方も1人頭この額、保険料納付者の方にこの額を掛けたものを基礎 年金勘定に平等に拠出していると、こういう仕組みになっているところでございます。  2ページを見ていただきますと、これは16年度確定値に沿った基礎年金の各制度ごと の給付と負担の状況ということでございまして、16年度確定値で見まして、基礎年金給 付費本来分が11兆8,000億円余と。各制度が年齢の高い方に対して、自分の名前で給付 して実質的には基礎年金として費用負担されている分、この交付金の分が4兆5,793億 円ということで、両方合わせまして16兆3,886億円の基礎年金給付費があるわけですが、 これをどう負担するかということで、下の段、同じ額が合計のところにございますが、 そのうち特別国庫負担の分は国庫で直接負担される。それを差し引いた残り、これが負 担のところの左上にございます15兆9,044億円ですが、こちらを1号の納付者の方、す なわち拠出金算定対象者の方、あと2号、3号の方々の頭割りで平等に負担すると、こ ういう仕組みになっているわけでございまして、基礎年金拠出金単価、国庫負担分を込 めまして欄外にございます2万2,924円、これをそれぞれの人数に掛けることによって、 それぞれの制度の基礎年金拠出金が出てくると、こういう形で平等に負担していると、 こういう仕組みになっているところでございます。  続きまして3ページ、今まで御説明申し上げたのが全国民、サラリーマンの方も対象 にした基礎年金勘定の財政ということですが、この3ページは、第1号被保険者の方々、 月額で今で言いますと1万3,860円の保険料を負担される方々に関する年金の財政を経 理いたします国民年金勘定の収支ということでございます。  こちらを見ていただきますと、収入総額5兆5,709億円ということで、対前年1,968 億円(3.4%)の減ということになっているところでございますが、保険料収入が16年度 1兆9,354億円ということで、対前年272億円の減、比率にしまして1.4%の減という状 況にあります。国庫負担は1兆5,219億円で若干増。  運用収入のところを見ていただきますと、1,044億円で、前年に比べますと479億円 減っておりますが、これも厚生年金のところで御説明しましたのと同じように、預託金 の額が減ったことに伴い、その利子収入の分が減少しているということでございまして、 国民年金勘定の積立金も厚生年金の積立金と両方合わせまして、運用の独立行政法人で 市場運用されているということでございまして、厚生年金と同様に、16年度までの運用 収益に基づきまして、17年度において年金資金運用基金より国民年金勘定に600億円の 国庫納付がなされているということでございます。  支出の総額ですが、こちらについては、5兆7,416億円ということで、これも対前年 761億円(1.3%)の減少ということになるわけでございます。給付費と基礎年金拠出金と いうことで見ていただきますと、給付費の方が2兆888億円で、対前年1,405億円の減 少ということになりまして、一方、拠出金の方が3兆5,437億円で、対前年584億円の 増になります。  基本的に給付費といいますのは、旧法の方々に対して出している給付ということです ので、これは減少していく傾向にあるということでございまして、この支出総額とうの は基本的に減少傾向にあるというところでございます。  運用利回りは全体2.77%という数字になってございます。  あと収支残につきましては、1,707億円の赤字でございまして、時価ベースで見まし ても、若干マイナス96億円という状況になっているところです。  4ページは省略いたしまして、5ページ、給付状況、こちらについては、新法の基礎年 金と旧法の国民年金とを合計したものということで、厚生年金・共済年金等の被用者年 金のいわゆるみなし基礎年金、こちらに係る受給権者と年金総額は含まないと、こうい うベースの数字でございます。これが17年3月末、受給権者数2,343万1,000人という ことで対前年3.9%、88万8,000人の増。年金総額について見ますと、14兆5,923億円 で対前年6,491億円(4.7%)の増となっております。  次の6ページを見ていただきますと、老齢年金の平均年金月額ということで見ていた だきますと、17年3月末、月額で5万2,514円ということで、対前年(0.5%)の増にな っています。老齢年金の平均加入期間を見ていただきますと、314月ということで対前 年7月の増です。  男女ごとで見ていただきますと、男性の方が高く、男性の場合、平均5万8,200円、 女性の場合は4万8,365円、こんな数字になっているところでございます。  次の7ページですが、こちらを見ていただきますと、新規裁定の平均年金額というこ とで、16年度の新規裁定、平均年金額5万3,092円ということで、対前年0.9%の増。 ただ、減額支給されたものを除いた平均年金額で見ますとマイナス0.4%ということで、 これはマイナス0.3%のマイナス物価スライドがございますので、ほぼそれに沿ったよ うなものになっている。一方で減額支給されたものの平均ゼロということでございます ので、それでいて、全体の平均が若干プラスというのは減額支給を請求する割合が若干 減少したのかというふうに見られるところでございます。  次の8ページですが、老齢年金受給権者の年齢構成ということで、男子については平 均年齢72.3歳、これは前年に比べますと0.3歳延びているという状況でございます。女 子については男子より高くて74.2歳ということですが、これも対前年0.2歳延びている と、こういう状況にあるところでございます。  次に9ページ、被保険者の状況ということでございまして、まず第1号被保険者でご ざいますが、17年3月末2,217万人ということで、対前年23万人(1.0%)の減少という ことでございまして、これを時系列で見ていただきますと、16年3月のところまでは緩 やかな増加傾向が続いていたわけですが、16年度に入りまして減少に転じたということ で、これはちょうど厚生年金と逆の傾向ということで、やはり景気の影響がございまし て、厚生年金が減って国民年金が増えるという状況が15年度までございましたのが、16 年度で傾向が反転したということが言えようかと思います。  あと第3号被保険者ですが、女性の第3号被保険者については一貫して減少傾向とい うことでございまして、これは2号が増加に転じた16年度におきましても、対前年10 万9,000人(1.0%)の減ということで減少傾向は続いていると。男性の第3号、これは人 数としてはかなり少ないのですが、近年増加しているということで、17年3月末ですと 8万8,000人ということで、前年に比べて8,000人増えているという状況がございます。  次に10ページで被保険者の分布ですが、まず第1号被保険者ですが、男女合計、20 〜25歳、学生さんのところ、これがかなりの割合を占めておりまして20.6%ということ でございまして、あとは働き盛りのところの構成割合が少し少なくなりまして、50代後 半18.0%とまた増えているという状況にございます。  これについては、男女ともほぼ同じような傾向ですので、11ページ、12ページは飛ば しまして、第3号被保険者は男子と女子で傾向が違いますので、13ページの男女合計は 飛ばしまして、14ページ、男性の第3号ということですが、これは年齢別で見ていただ きますと、8万8,000人のうち3万3,000人が55〜60歳ということで、1年前は2万3,000 人だったのが3万3,000人に約1万人増えているということで、50代後半のところでか なり増加していると。これは退職された後、奥様がお勤めであれば第3号になるという ようなことがあるのではないかと思っているところでございます。  続きまして15ページ、女性の第3号被保険者ということですが、こちらについては、 かなりまんべんなく分布しているということで例年とあまり変わらない分布ということ になっております。  次が16ページ、積立金の運用状況ということで、こちらにつきましては、預託金の占 める割合が全体の46.0%ということで、市場運用分が31.3%、財投債が22.6%。基本 的に平成20年度までに預託金が償還されて全て寄託による運用になるということは厚 生年金と同じでございまして、市場運用分については厚生年金と合同運用されていると いうことで、下の欄の特記事項にございます資産構成割合、これは厚生年金のところで 御説明したものと全く同じものが掲げてあるところでございます。  実際、財政を見ます場合の運用利回りとしては、この承継資産の損益を含む場合の 2.77%というものを用いているところです。  続きまして17ページですが、財政再計算における将来見通しとの比較ということで、 こちらについても、基礎年金交付金の分を収入・支出の両面から除くという形で実績推 計ということを行っているところですが、これで見比べますと、実績推計で保険料収入 の見込みが1.9兆円。財政再計算の将来見通しも1.9兆円とたまたま同じ数字になって いるわけですが、実際のところ納付率の見込みが、財政再計算では当時の直近の数値に 基づきまして82.9%と見込んでいたのが、16年度実際には63.6%だったと。一方で被 保険者が見通し上は1,780万人と見ていたのが、2,220万人という実績で、実績の方が 25%ぐらい多かった。両方が重なり合いまして、結果的に同じぐらいの数字になってい るということでございまして、こういうことになっているところでございます。  あと、その他は同程度でございまして、支出の方については、将来見通し、基礎年金 拠出金3.9兆円の見込みが実績推計3.5兆円ですが、実際には確定値3.7兆円というこ とです。こちらにつきましては、年金改定率が見込みよりも小ぶりになったということ で実績の方が少し小さくなるということでございます。  結果としての収支残の状況は、将来見通しでもほぼゼロという見込みでございまして、 実績推計で言いましてもほぼゼロという数値となっております。  次の18ページでございますが、基礎年金の被保険者数及び受給者数で、みなし基礎年 金受給者を含むということでの比較でございます。こちらは実績で平成16年度末6,975 万人の被保険者に対して受給者が2,554万人ということですが、この見なし基礎年金の 受給者を含む受給者数、これは実績と申しましても、一番下の特記事項にございますよ うに、実績の受給者数は受給権者数であり(推計値)であるということで、みなしを含ん だ人数はなかなか完全な実績統計としては出てまいりませんので、みなしとか推計を行 っているということでございます。  将来見通しにおきましては、これが6,920万人の被保険者数、2,560万人の受給者数。 これは基本的に日本の人口をベースとしてはじかれるものですので、被保険者数も受給 者数もそれほど見込みと実績に乖離は生じないという性格のものでございます。何分実 績の受給者数そのものが、みなし基礎年金を含むというベースでは、年度末の受給者数 そのものが推計ですので、それに対応する新規裁定者数とか失権者もなかなか出てこな いということでございまして、この新規裁定者数の数字は埋まってございますが、新法 基礎年金の新規裁定の受給権者数がここに入っているということでございまして、現実 には特別支給の老齢厚生年金を失権して基礎年金に移行される方と、こういう方も本来 含めるべき数字でございますが、そちらは入ってないということですので、やや部分的 な数字ということになります。そういう関係もあり、下の失権者数というのは数字は入 ってこない。被保険者のところの新規加入、脱退のところも、先ほど御指摘ございまし たが、将来見通しにおいても、実績においてもなかなか数値が把握できない状況にある ところでございます。  19ページ以下、財政指標の比較ということでございますが、年金扶養比率ですが、こ ちらに関しましては、基金年金で把握させていただくということで、年度末被保険者と 年度末のみなしも含めた老齢基礎年金の受給権者の比率、再計算と比較するということ で、受給者との比率の括弧書きの方をとらせていただきますと、16年度で(2.97)という 数字でございます。それに対して11年の再計算結果は、16年度2.9という見込みで、 それほど大きくずれてないという状況でございます。  20ページは飛ばしまして21ページ、ここから後の年金の財政収支等々については、 第1号被保険者の方々の年金を経理いたします国民年金勘定の数値ということで資料を 整理してございますが、まず収支比率ですが、16年度時価ベースで95.6、特別会計のベ ースで言いますと103.1と若干赤字という状況ですが、財政再計算の見込みでは、16年 度100.9ということでほぼトントンぐらいを見込んでいて、ほぼトントンな状況にある ということかと思います。  22ページを飛ばしまして、23ページ、国民年金勘定の積立比率ということですが、こ れは16年度の数値、「*」が付いてございますのは、財政再計算では過去における国庫 負担の繰延分をのせた形で積立金を算出しておりますので、それとベースを合わせる形 で補正したということですが、それで見ますと、再計算と対比する形で見ます積立比率 は[5.6]という数字で、一方で再計算結果は5.3だったということで、やはりデフレ傾向 の中で積立金の重みが相対的に重くなっているという状況は国民年金でも変わらないと ころでございます。  24ページは、参考に16年の再計算結果でございます。  以上、御説明を終わらせていただきます。   ○山崎部会長 ありがとうございました。ただいまの説明に関して何か御質問等ありましたらお願い いたします。 ○都村部会長代理  2点お伺いしたいのですけれども、第1点は、2ページの基礎年金の負担状況の確定値 のところの拠出金算定対象者数についてですけれども、これは第1号被保険者について は保険料免除者とか未納者を除いたもの、第2号被保険者については、65歳以上70歳 未満の基礎年金等の受給権者を除いたものと考えていいわけでしょうか。   ○山崎数理課長 はい。 ○都村部会長代理  将来推計で、将来見通しを立てるときに、拠出金算定対象者の将来見通しというのは どのように想定されているのでしょうか。第1号被保険者数および第2号被保険者数の 傾向に比べて、拠出金算定対象者数の長期的な傾向はどういうふうになっているのでし ょうかというのが第1点です。  それから、もう一つは、社会保障論を教えていますので、教育上の関心から教えてい ただきたいのですけれども、10ページの先ほど御説明がありました第1号被保険者数に ついて、20歳台前半の被保険者数が第1号被保険者数全体の5分の1強を占めているわ けですね。国民年金被保険者実態調査(平成16年度末)によりますと、学生納付の特例者 というのは、平成12年に創設されてからどんどん増えてきていて、平成16年には173 万人になっていて、20〜24歳のうち学生納付特例者の占める割合が37.4%となっていま す。卒業した後でこの学生の方たちの状況がどうなっているのか、就職してから納付特 例を受けた期間分の保険料を納付しているのでしょうか。  それから、財政再計算では将来の収支にどのように考慮に入れられているのかという ことを教えていただきたいのです。   ○山崎数理課長 順次お答えいたします。まず、基礎年金の2ページの関係でございますが、確定値に つきまして、将来の第1号被保険者なり第2号被保険者の将来の見込みとそれに対応す る拠出金算定対象者の見込みがどういうふうになっていて、トレンドがどうかというお 尋ねかと存じますが、まず計算の中でどういうことをやっているかといいますと、それ は法律に書いてある規定をそのまま計算機の中でシミュレートするということをやって おりまして、そういう意味では被用者年金に関しましては、被保険者の方、65歳以上の 方は除かれますけれども、そういう方が第2号被保険者なのですが、拠出金算定対象者 というのは、20〜59歳となりますので、被保険者の見込みが年齢ごとになっております ので、将来の年齢ごとの被用者年金の被保険者のうち20〜59歳のところにいる方は全員 拠出金の算定対象になるという計算を毎年々機械の中でやっているということでござい まして、それに対して1号の方は、現実に保険料を払う方がそれに対応して将来給付を 受けるということに基づいて拠出金算定対象者になるということでございまして、それ の見込みに関しましては、保険料免除になる方の割合、それから免除にならなかった方 の中で現実に納付される方の割合、これを免除に関しましては、再計算を行います直近 時点での現実の免除の状況と、その後、半額免除の仕組みから、さらに多段階免除とい うことで4分の1、4分の3免除というものが導入されますので、それが入ったときどう なるかという見込みと、これを合わせまして、それが入った段階でどういう免除の分布 になるかというものを基礎率として設けておりますので、それに沿いまして、半額免除 ですと、ある意味で2分の1人というようなカウントで拠出金算定対象者にカウントさ れるのですが、そのとおりにカウントすると。 納付率の方に関しましては、平成19年度に80%まで持ち上がるという社会保険庁の 目標値ですが、これに沿って納付がされると。こういう前提に基づきまして、納付され れば、当然それに対応する給付が将来出ますし、あと、その方々は拠出金算定対象者に なると、こういう前提で将来の推計を行っているというところでございます。 第1点は、こちらの御回答ということで、第2点ですが、20代前半の方々で学生の方々 が卒業後、現実にいわゆる追納をされているかということで、社会保険庁の方で確認さ せますが、まだ制度ができて日が浅いので、どのぐらい統計がとれているか。もしとれ ていても、それほど多くの方がまだ納付しているという形にはなってないのではないか と思いますが、そこは後で社会保険庁に回答させます。  財政再計算の上ではどう見ているかということですが、学生納付特例を利用された方 は、将来、今現在の20代の方、学生でない方の中で、現に保険料を払われて…… 失礼いたしました。ちょっと混乱いたしまして恐縮です。 学生納付特例に関しましては、現に学生納付特例を受けた方がどれだけ追納しているか という実績、もう学生納付特例入ってから時間たっておりますので、それを反映した形 で財政再計算では実績準拠でどれだけの方が追納されるかということを算定していると いうことでございまして、新たに入りました20代の方の納付猶予、そちらと勘違いしま して恐縮でございます。学生納付特例に関しては、実績準拠の形で将来の見込みを立て ているということでございます。 ○都村部会長代理 納付特例を受けた期間の全部あるいは一部を追納しているのでしょうか、学生は。 ○山崎数理課長 すみません、すぐ数字が出ないので、また追って報告させていただきたいと思います、 恐縮です。 ○都村部会長代理 はい。 ○宮武委員 1ページ目の財政状況のところの御説明で、収入のその他の欄、平成16年度でいえば 1兆5,329億円ですが、これは基礎年金の発足前の任意加入の方たちの保険料のいわば 積立分と、こうおっしゃいましたね。 ○山崎数理課長 その運用収益です。 ○宮武委員 要するに専業主婦であって、任意加入した人たちが払った保険料が積立に残っていて、 それを運用した結果の収益分という意味ですね。それがしかし暦年でずっと増えていっ ているのは、その部分だけ随分運用収入がいいのですか。 ○山崎数理課長 恐縮ですが、平成12年度のところで約9,677億円で、この頃から運用益はそれほどな いので、ですから12年度のこの数字はそれがほぼ運用収益の分なんですが、そこから後 のところはむしろ基礎年金の仕組みの下で、基本的に賦課方式なのですが、その年度の 基礎年金の給付費はあらかじめわからないので、予算で見込みを立てまして、後で実績 との違いを2年後精算するというようなことをやっているのですが、それによりまして、 摩擦的に収支差が生ずる分がございまして、その分が何千億か載っている分がございま して、1兆5,000億の中の主要な部分はいわゆる妻の積立金の運用収益なのでございま すが、最近増えている分はむしろそちらではなくて、基礎年金の概算で集めて後で精算 するという、一時的に残ったお金というものがこちらに載っているとう姿になります。 ○宮武委員 任意加入した人たちもそろそろ年金を受給なさっているわけですね。要するに常識的 に考えればだんだん減っていくのだろうと思うのに、その分が入ったにしてもだんだん 増えていくような数字なので非常に不思議だなと思いました。 ○山崎数理課長 年度末積立金のところで、いわゆる任意加入の妻分ということで7,246億円。これは 60年当時にこの額として切り出されまして、これは本来的には第3号の制度が入ったこ とによりまして、基本的に将来に向けてはいわゆる第3号の妻は、その分の費用負担は 各被用者年金制度から賦課方式的になされるようになりましたので、考え方から言いま すと、7,246億円は被用者年金各制度のところにある意味で帰属するようなものという 考え方があるわけでございますが、ただ、具体的にどの制度にどういうふうに帰属する かというところについて、なかなか直ちに調整がつかないまま置かれていて、ただ、運 用はしないといけませんので、運用収益が生じて、そちらの方は基礎年金勘定のところ に置かれていますその他収入ということで回っているということで、今回被用者年金制 度の一元化が行われる中で、こちらについても抜本的に整理することが必要になろうと いうふうに思っているところでございます。 ○宮武委員  要するに分割というか、割り振りできないからそのまま置いてあるわけですね。     ○山崎数理課長  基礎年金勘定と申しますのは、被用者年金各制度からの拠出金が集まるところで、置 く場所としては非常に適した場所であろうということでこちらに置かれているという状 況にあるところでございます。   ○宮武委員 そうすると、どこの加入者の妻がどれだけ払ったかというのはちゃんとわかっている んですか。 ○山崎数理課長  それは、そもそも資格取得しますときに、任意加入だということで入るのですが、実 のところ、その後、例えば強制に変わったとしても、必ずしも任意と強制との間で完全 に管理されているとも限りませんし、第3号制度になってからは払わなくても資格が与 えられるということですから、かなりかっちり管理されるわけでございますが、それ以 前はともかく払った分だけ権利が出ると。払わないでいれば、自動的にやめたものとみ なすという仕組みでございましたので、そういう意味ではそこはかっちり管理されて記 録に残っているわけではないので、その状況の下でどのように整理するかというところ はなかなか難しいところがあるわけでございます。   ○宮武委員 難しそうですね。 ○牛丸委員 先ほどの厚年とも関係しますが、3ページの収支状況でもう一度説明をお願いしたい 所があります。運用収入のところで、平成13年以降、時価ベースでないのと時価ベース という2つの数字が挙がっています。普通、収入は現金ベースです。その年に入ってき た収入、現金がいくらあったかと。そうでなく時価ベースというと、積立金残高といい ますか、ストックとしていくらあるか、それを表示するときに簿価とそのときの株であ れば時価でもって違ってきますね。そういう表示がありますが、運用収入というのはど うなのでしょうか。そのときの資産残高といいますか、積立金にみなしの収益率という か、それを掛けたものを、これだけのみなしの収益があったものと考えるとして計上し ているのかどうか。それがここでいう時価運用収入なのでしょうか。その辺がわからな いので教えてください。これは厚年の方にも同じようなものがあったので確認をさせて ください。 ○山崎数理課長 今、一番単純に新たなニューマネーというか、新たな投資がなくて、例えば100億円 なら100億円という原資があって、それを全額株に投資したと。そうしますと株価が上 がって年度末で見ると、その株価と掛け算すると、今、株を全部売れば120億円になる ということになったと。その株はそのまま持っているという状態のときに、もともとの 元本、前年度末は100億円あったものが120億円の市場価値を持っているものになった というときに、まさにストックとして評価して、100億が120億になったというときに、 20億円の運用収益が上がったというふうにカウントするのが時価ベースでの運用収益 ということになるわけでございます。 ○牛丸委員 現金収入としての運用収入もありますね。 ○山崎数理課長 そうです。今、極端な場合で全部株ということで申し上げましたが、そうすると、売 らない以上、現金収入にはならないので、いわゆる時価ベースでは20億運用収益が上が ったけど、現金ベースでは0円ですねという姿になっているということでございます。 ○牛丸委員 実際には現金収入の運用収入もありますね。 ○山崎数理課長 例えば債券を持っていてそれのクーポンがあるということでクーポンが入ってくると。 ただ、現実の運用の世界ではクーポンが入ってきましても、それをまた再投資するとい うようなことをやっているわけでございますけれども、そういう意味で年金資金運用基 金では基本的な市場運用の考え方に基づきまして、一たんクーポンが入ってきても、基 本的にはそれは再投資されるということになるわけで、特別会計で見ますと、まず預託 してあるお金につきましては、会計に対して現金収入で預託金の利息収入が入ってくる と。これが従来特別会計で見ていました預託金の利子収入、これはまさに現金収入でご ざいまして、それとは別に年金資金運用基金に預けて市場運用されておるものの中から 一定の準備金を積み立てた残余のものが国庫納付という形で給付に充てるものとして現 金納付されるという仕組みになっておりまして、特別会計では、現金収入しか現在のと ころ収益として認識しませんので、そういう預託金の利子収入として直接入ってくる利 子収入か、本当に国庫納付されたものというのが運用の収益として現金ベースではカウ ントされると。 ○牛丸委員 国庫納付されない年金資金運用基金の市場運用分が、全部、いわゆる時価評価の運用 収入になるわけですね。将来的に預託金がほとんどなくなりますから、そっちの面の現 金収入がなくなりますね。 ○山崎数理課長 実は、先ほど申し上げました寄託金の1%を超えた分は、旧年金資金運用基金時代の 基準ということでございまして、これから預託金がいずれ全額償還されて運用独立行政 法人の下で運用されるとき、基本的に市場運用しているわけですが、それを給付に充て るためには特別会計にお金が現金として入ってきて、それが給付に充てられることにな りますので、その辺のいわゆる国庫納付をどういうルールにしていくか、あるいは現実 の給付の必要性に応じて、どのような形で効率的な運用と円滑な給付を両立させるかと いうのはこれからルールも決め、きちんと整理していくということで検討がなされてい るところと聞いております。 ○牛丸委員 実際はこれから現金収入的なものは少なくなっていくと、運用収入は。 ○山崎数理課長 ある意味で、現実にその年の給付に必要ないものはできるだけ効率的に運用する必要 がございますので、給付がどれだけ出るかというものを見込んだ上で、それに必要なキ ャッシュは用意すると。それは保険料収入はそもそもキャッシュで入ってまいりますが、 運用の方からの運用収益、場合によっては元本の取り崩し、こちらの方も収入として充 てなければなりませんし、現実に給付をやるためにはキャッシュにする必要があります ので、いかに運用の効率を損なわないようにして、キャッシュを適切な時期に手当てす るかというのが重要な課題になります。 今現在は預託金が返ってきておりまして、それがキャッシュで返ってまいりますので、 それで十分手当てできて、残ったものをニューマネーとして運用に投ずることができる というので、そんなに苦労する必要はないわけでございますが、預託金が全部返り終え た後は、まさに運用資産の中から、どのようにして給付に手当てするキャッシュを毎年 うまく手当てするか、かつ運用の効率を損なわないようにするかということが1つの課 題になっているところでございます。 ○牛丸委員 要するに時価ベースの運用収入というのは実現してないということですね、発生はし ているけれども、そう解釈してよろしいですか。 ○山崎数理課長 もちろんクーポンが生じて現金で入る分もあるのですが、基本的にはそれは再投資さ れるということです。 ○牛丸委員  わかりました。   ○山崎部会長 近藤委員、お願いします。 ○近藤委員 17ページに関連してなんですけれども、平成16年の財政再計算では納付率80%で計 算していましたか。 ○山崎数理課長 はい。 ○近藤委員 公的年金全体で考えなければいけないのに、この納付率のみを取り上げて財政が危機 だとか、いろんな話が出ています。我々としてもきちんと押さえる必要があると感じて います。私自身は財政的には大きな影響はないと思っていますが、制度的には大きな問 題です。そこで、16年再計算で、国民年金のいろんな計算を前提にしていただいてお りますが、国民年金で100%納付であった場合に収支がどのくらい変わるのかを計算し てもらえますか。 というのは、この部分のみを取り出して問題だと言われているので、そろそろ我々の 部会としても、本当にどの程度影響するのか理解しておきたいと思いますが。 ○山崎数理課長 検討はさせていただきますが、ただ、発表するとなりますと、確かに100%というも の自体を私どもとして発表すること自体の意味合いとか、ちょっとその辺のところも考 えないといけないと思うんです。ちょっと要望としてあずからせていただいて、基本的 には納付率が変わっても長期で見ますと、増えればその分、給付が増えるし……。 ○近藤委員 私は、財政的に危機感を感じるほど影響するとは考えていないのですけれども。 ○山崎数理課長 そう大きくはないという……。 ○近藤委員 国民年金自体の財政の問題として、数字だけでも見せてもらえれば。このところを良 く理解しないでの、枝葉末節のところで、制度全体の問題に影響するような議論になっ てしまうと困るのでということで、ぜひ検討してみてください。 ○山崎部会長 ほかに。 ○栗林委員 今の議論ですが、財政の問題としては、長期に考えても大した問題でなくなるのかも しれませんけれども、ただ、問題は納めない人は、もらうときに物すごく少額しかもら えないとなったときに、その人たちが生活できなくなったらどういうふうになるのかと か、そっちの方が問題になっているのではないのでしょうか。 ○近藤委員 それは、国民年金について、こうなった場合にはどうなるのかということを理解した 上で社会保障制度の枠組みなど、大きな議論が出来るのじゃないかと思います。 ○栗林委員 おっしゃるとおりです。 ○近藤委員 社会全体としては、これは社会保障の問題とか、大変な問題になってくると思うんで すけれども。 ○栗林委員 我々の部会としてどう考えるかということと社会全体としてそれをどう考えるかとい うのを世間が区別してくれればいいのですが、そこが非常に難しい。 ○近藤委員 年金について議論していただく場合に、区別して書いていただければどうということ ないのですけれども、難しいですね。 ○都村部会長代理 ただ、先ほどの2ページの第1号被保険者は2,217万人ですが、もちろん免除者もあ ると思うのですけれども、免除者、未納者を除いた拠出金算定対象者数は1,170万人と、 大体半分ぐらいですね。少ないですね。これは今後またどうなっていくかということで、 先ほどの平成11年の見通しでは、平成8年度における82.9%というかなり高いところ の納付率を想定しておられますね。だけど、拠出金算定対象者数は実際の第1号被保険 者の約半数です。  免除者も入っているのですけれども。こうして見ると、1,000万人ぐらいが拠出金対 象者となっていないわけですから、数字としてはかなり大きいような気もします。それ に対して第2号の方は3,658万人被保険者がいて、そのうち拠出金算定対象者数は、共 済も合わせて3,510万人ですからほとんど変わりません。65歳以上70歳未満の受給者 が落ちるだけですから、かなりそのまま被保険者数が拠出金算定対象者になっています。   ○山崎部会長  事務局の方からいかがですか、この点に関して。   ○山崎数理課長 日本の場合、国民皆年金という仕組みの下で、2号の被保険者というのはまさにしっ かりとした職場で正規に働いておられる方々ということで、そういう方々を拾っていっ た、ある意味その残りといいますか、全国民の中でそういう方々を拾った残りの方を全 部第1号被保険者として拾うという構造になっておりまして、そういう方々の中には当 然所得が少なくて免除になる方、生活保護等受けて法定免除の方もありますし、あるい は学生で実際負担能力がないとか、そういう方々は全部1号のところにまいりますので、 そういう意味では、1号被保険者のところを見てかなり免除の方がおられて、実際未納 の方は本当は負担能力があるのに納付してない方々なので、これはもちろんぜひしっか り徴収対策をやって徴収率上げないといけないのですが、免除の方々もかなり含んだ被 保険者総数の中で、現実の拠出金算定対象者を見比べて半分ちょっとだという形で比べ るのは、ある意味で免除の方は必ずしも1号被保険者に基本的に帰属するというよりも、 国民全体の中でそういう方々を一緒に取り込んで皆年金をやっていこうというものでご ざいますので、そういう意味では、被用者年金の方で基本的に全ての方が拠出金算定対 象者になるのは当然ということで、しっかり職場があって給料を受け取っている方々を 対象にしているわけでございますので、必ずしもそこを横並びに同列に論じられないの かなというふうには思うところでございます。 ○山崎部会長 都村委員、いかがですか。 ○都村部会長代理 まさに社会連帯の仕組みですね、社会保険というのは。稼得能力のある人々から稼得 能力のなくなった人々へ所得のトランスファーが行われて、所得格差を縮小したり、低 所得者の生活の安定が図られています。社会保険は社会連帯の仕組みだから、それを理 解してほしいですね、若い人たちにも。未納・未加入は社会連帯の輪の中で義務を果た していないことをわかってほしいです。2,217万人と1,170万人のことはおっしゃると おりだと思います。 ○山崎部会長 そのほかございますでしょうか。 それでは、国民年金の財政状況についての報告の聴取を終了します。報告者の方々に はお忙しい中、ありがとうございました。 それでは、これで本日予定しました厚生年金及び国民年金の報告の聴取を終了します。 なお、国共済、地共済、私学共済については、次回6月29日に報告を受けることとして おります。本日はこれまでにさせていただきますが、次回の日程等について事務局に確 認していただきます。 ○田村首席年金数理官 次回、第26回の年金数理部会につきましては、部会長からもお話がありましたように、 来週29日(木曜日)午前10時から富国生命ビルの28階の会議室で予定しておりますので、 よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ○山崎部会長 それでは本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)