06/06/09 医療機器産業政策の推進に係る懇談会第4回議事録 (照会先)医政局・経済課                         担当・内線 中谷(2533)                         代表 (03)5253−1111                         直通 (03)3595−2421  医療機器産業政策の推進に係る懇談会  第4回 平成18年6月9日(金)10:00〜12:00 於:全国社会福祉協議会第3〜5会議室                 (新霞ヶ関ビル5階) 1.開会 ○二川課長  おはようございます。少し定刻より早いのですが、大体おそろいでございますので、 ただいまより、医療機器産業政策の推進に係る懇談会を開催いたします。  本日は御多忙の中、またお足元の悪い中、お集まり頂きましてありがとうございます。 私は、司会進行をさせていただきます医政局経済課長の二川でございます。どうぞよろ しくお願いいたします。  最初に、辻厚生労働審議官よりごあいさつ申し上げます。 2・挨拶 ○辻厚生労働審議官  おはようございます。本日は本当にお忙しい中御出席いただきましてありがとうござ います。また、日頃から厚生労働行政に、大変お力を頂戴いたしておりますことにつき まして心から御礼を申し上げます。  厚生労働省におきましては、医療機器が国民の皆様の幸せにつながるように、あるい はその国際競争力というものが医療機器の分野でも増しますように、平成15年3月に 「医療機器産業ビジョン」というものを策定して、5年間を「イノベーション促進のた めの集中期間」ということで位置付けまして、国が行うべき施策をアクションプランと して提示したところでございます。  ビジョン策定からおおむね3年を経過したところでございますが、我が国の医療ある いは世界の医療、ますます高度化する中で医療機器産業は非常に重要でございます。こ の医療機器を伸ばしていくためには、先端分野の医療機器の研究開発を進める、あるい は臨床現場への導入を迅速に行うということが必要でございます。機能分化が進んでい ないといわれている我が国の医療提供体制のもとで、必ずしも十分な研究開発環境とは いえない、あるいは本当に昨今の大変厳しい医療保険財政のもとで、大変御苦労もおか けしている中で、国際競争力をさらに強化するということは決して容易ではないという ことでございますけれども、しかし関係者が国と共通の認識を持って一歩一歩力を合わ せて進めていくということが、今必要であろうと思います。  このようなことからアクションプランを着実に推進するというためには、少なくとも 年に一度、関係者の皆様とともにその道のりを振り返って点検し、評価していただくと いうことが大切であると考えております。  本日は、このような観点から、アクションプランの今後の進め方を含め、広く医療機 器産業政策全般について、関係者の皆様から忌憚のない御意見を賜り、一層の施策の充 実に努めてまいりたいと考えております。何とぞ率直な御意見、御議論を賜りますよう にお願い申し上げます。  最後に、重ねて御多忙にもかかわらず、本懇談会のためにお時間を頂戴しました皆様 に対しまして心から御礼を申し上げてごあいさつとさせていただきます。 ○二川課長  どうもありがとうございました。 3.出席者紹介 ○二川課長  続きまして、本日の出席者の御紹介をするところでございますが、時間の節約の観点 から座席表をもってかえさせていただきたいと思います。なお本日は、医療機器産業に 関わる方々のほか、日本医師会の竹嶋副会長、健康保険組合連合会の対馬専務理事、医 薬品医療機器総合機構の岸田理事にも御出席をいただいております。  また、事務局は、ただいまごあいさつ申し上げました厚生労働審議官の辻のほか、医 政局長を始め、厚生労働省の関係の課長、室長等で構成しております医薬品・医療機器 産業政策推進本部員が出席をしております。  また、関係省庁といたしまして経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室の堀 口室長にも出席をいただいております。  それではお手元の議事次第に従いまして、医療機器産業界の方から順次御発言をいた だきたいと思います。なお、平成17年度末までの「医療機器産業ビジョン」のアクショ ンプランの進捗状況等につきましては、参考資料でお配りをしておりますので、適宜ご 覧いただきたいと思います。  この会議は、医療機器産業ビジョンの「国際競争力強化のためのアクションプラン」の 進捗状況に関する評価のための会議というのが本来でございますが、このアクションプ ランにかかわらず医療機器産業の国際競争力強化のための医療機器産業政策全般につい ての御意見、あるいは各団体、傘下の企業等におきます国際競争力強化に向けた具体的 な取り組み、その他幅広い見地から御意見をいただければ幸いと思っております。  進め方でございますが、お手元の議事次第の順番でお願いいたします。恐縮でござい ますが、お一人5分程度ということで御発言をお願いいたします。  皆様に順次御発言をいただきました後、残った時間を意見交換という形で進めたいと 思います。それでは、最初に日本医療機器産業連合会の和地会長からお願いいたします。 4.意見発表 ○和地会長  医機連の会長の和地でございます。本日は、このような場を設けていただきまして感 謝申し上げたいと思います。座って説明させていただきます。(スライド使用・資料1)  機械系、流通及び歯科につきましては、それぞれの代表者から後ほど御発言がござい ますので、私は医療機器産業全般にわたる事項と、主に材料系についてお話をさせてい ただきたいと思います。  (P1) おかげさまで医療機器に関しましては、政府の新経済成長戦略における重 点分野に指定されるなど、日本の高い技術力を活かして国際競争力を発揮できる分野で あるとの認識が高まりつつあると思います。医療機器の医療における役割と貢献につき ましては、そこのスライドにもございますが、今後も新しい医療機器の開発や絶え間な い改善、改良を通じて国民の保険医療水準の向上に貢献してまいりたいと決意を新たに している次第でございます。  (P2) 次に医療機器産業としての取り組みと成果について、時間の関係もござい ますのでポイントだけお話をさせていただきたいと思います。  まず第1に、新しい医療機器開発に向けた動きが本格化してきたことが挙げられると 思います。具体的には、厚労省、経産省、文科省のバックアップを受けまして産官学で 進めておりますMETISにおきまして、7つの重点分野が設定され(P5)、それぞれの 開発戦略が取りまとめられたことは大きな成果といえると思います。  この中から一日も早く実用化が図られるよう、今後共通課題の解決や開発環境の整備 に取り組んでいきたいと考えております。  また研究開発が本格化している一つの査証として(P6)、これは医器工の統計資料 ですが、企業の研究開発費は最近の3年間で、年平均約13%の伸びを示しております。 このことはこれを裏付けるものですし、そのうち国産の企業だけでとらえてみますと売 上高の研究開発比率も2002年度には、4.5%でしたが、2004年度では5.7%に向上して きております。  2つ目は、改正薬事法が施行されて1年が経過いたしました。この間、産業側としま しても多くの時間を割いて周知と定着に取り組んでまいりました。具体的には、平成18 年4月現在で、高度管理医療機器の承認基準の原案を16、管理医療機器の認証基準の原 案を372作成いたしました。また、今年度からの実施に向けた継続的研修の準備、各種 説明会の開催による周知活動などにも積極的に取り組んでまいりました。今後も引き続 き、承認・認証基準の原案策定あるいは添付文書のデータベース化を含む、医療材料の 情報化推進などに取り組んでまいりたいと思っております。  3つ目は、医機連とMETISの共催という形で、第1回の医療機器市民フォーラムを開 催したことが挙げられます。(P7)これには600人以上と、たくさんの一般の方に御 参加いただきましたが、医療機器につきまして国民の皆様から理解していただく活動を スタートさせることができたことは大きな前進だと思いますし、継続してやっていきた いと思います。  (P3) さてアクションプランの進捗に関してでございます。研究開発から生産・ 販売・使用の各段階を通じまして、さまざまな施策が検討実行されました。全般的には 医療機器の特性に配慮したインフラ整備が一歩一歩ですが、進みつつあると評価してお ります。具体的なものを挙げさせていただきます。  1つ目は、医療機器の安全確保など医療機器に焦点を当てた改正薬事法が、御承知の ように平成17年4月から施行されました。それに先立ちまして医薬品医療機器総合機構 による審査業務がスタートしたことは、医療機器産業にとって大きなインパクトがあっ たと思います。  2つ目は、省庁横断的な産官学連携の推進に関しましては、先ほど申し上げました METISについて述べたとおりで、一定の成果を上げつつあると思います。  3つ目は、医療機器における医療機器管理室設置の推進や特定療養費制度の改定など、 医療機器を取り巻くインフラが少しずつ整備されつつあると評価しております。今後は、 法の実効を上げるための細部のアジャストや承認審査の迅速化につながるための運営方 法の向上につきまして、産業界としても積極的に提言してまいりたいと思います。  具体的には、経過措置期間が終了したときに、大きな混乱や医療機器の安定供給に支 障を来さないように、事前に運用の細部を詰めておくことが必要です。また改正薬事法 の完全実施に当たっては、企業側に膨大なコストが継続的に発生するために、これに対 する配慮も今後必要であると思います。当初期待した行政面における改善効果というの は、現状残念ながらほとんど見られておりません。初期の目的達成にはまだほど遠いと いうのが現状ですので、早急に見直し・検討する必要があると考えております。  (P4) 最後に、今後の課題と要望につきまして6つほど述べさせていただきます。 新しい医療機器の開発・実用化を加速するために研究開発から治験、承認審査、保険収 載まで総合的かつ重点的な支援をお願いいたします。個々にばらばらな状況ですと、時 間と手間がかかりまして効率的でありません。特にMETISの重点テーマにつきまして は、日本の医療機器開発のモデルとなるよう今後の開発の進捗に沿いまして、治験、承 認審査、保険への反映に至る一貫性のある支援をお願いしたいと思います。  2つ目は、医療機器の治験につきまして、企業側、審査側とも進め方についてのノウ ハウが蓄積されておらず、また医療機関における体制も整っておりません。環境整備に ついて御支援をいただきたいと思います。特に、アジアを中心とした海外データの受け 入れ、医療機器に適した治験方法として早期承認とフェーズIVの活用、ナショナルセン ターなどにおける先端医療機器治験の推進体制の整備などについて、検討をお願いした いと思います。  また、医師主導型治験の制度は導入されましたけれど、医療機器につきましてはいま だ実績がありません。操作方法や使い勝手が性能を左右することや、あるいは改良、改 善が容易であるという医療機器の特性を考慮して、医師、医療機関と企業側の運用方法 の見直しを検討いただきたいと思います。企業側との共同により、より迅速に医師主導 の治験ができるような体制が望ましいと思います。  3つ目は、総合機構が発足して2年が経過いたしました。工学系人材等のさらなる拡 充等の体制整備及び事前相談制度の拡充を図っていただきたいと思います。御努力は認 めておりますが、承認審査の迅速化につながることをぜひ期待しております。  4つ目は、特に私が申し上げたいのは、企業別のシリーズ別収載についてです。御承 知のとおり、医療材料は数十万の製品が670余りの機能区分によって保険償還価格が設 定されております。機能区分内すべての銘柄の加重平均値をベースにしているために、 各銘柄に対する市場の評価が直接反映されるシステムにはなっていません。そこで、医 薬品のような個々の銘柄別ではなく、企業別シリーズ別、すなわち大くくりの銘柄別の 収載方法を産業側として検討してまいりたいと思いますので、ぜひ御検討をお願いした いと思います。  5つ目は、医療機器の使用と安全推進の観点から、医療機器専門人材の育成、配置並 びに医療従事者のトレーニングシステムについて、これはかねてより要望させていただ いておりますが、国としてのさらなる取り組みをお願いしたいと思います。  改正薬事法の施行によりISO基準の取り込みなど、国際整合性を考慮しながら諸外 国と比較しても厳しい規制体系が整えられたと認識しております。アジアでも、FDA の承認に比べ、日本の承認は認知度が低いことがあるようです。改正薬事法によりさら なる安全性、品質の確保がなされている現状を各国に周知いただき、日本の承認が海外 におきましても有効な指標となるよう徹底していただきたいと思います。  最後に医療機器産業として、志を高く持って取り組んでまいりますが、グローバルな 競争の中で競争条件がイコールフッティングにならなければ、競争に勝ち残ることは大 変難しいと考えております。今後とも御支援のほどよろしくお願い申し上げます。あり がとうございました。 ○二川課長  どうもありがとうございました。続きまして、在日米国商工会議所医療機器・IVD 小委員会の田村副会長にお願いいたします。   ○田村副会長  ACCJ医療機器・IVD小委員会の田村でございます。今日は、このような機会を 設けていただきまして、まことにありがとうございます。座ってお話をさせていただき ます。(スライド使用・資料2)  (P2) 1ページ目をおめくりいただきまして、まずは医療機器市場環境全体につ いて少し概観をしたいと思います。その後に個々の要望項目といいますか、議論をさせ ていただきたいと思います。  医療機器産業ビジョンで策定されましたアクションプランに基づきまして、それぞれ 着実な進展が見られていると業界としては考えております。例えば、今年の4月からC 2の年4回導入ということで、新しいものの保険収載もより頻繁になるようなことがあ りまして、それについて私どもとしてはまことに感謝しております。  ところが事業環境全体としては、必ずしも医療機器市場は以前に比べて魅力的になっ たかというと、そうでもないということが次に書いてあります。1つは、改正薬事法の 趣旨や方向については賛同いたしますが、それに関するコスト負担はかなり大きいとい うのがございます。2番目は、依然新しい医療機器製品の導入が諸外国に比べておくれ ているというのがございます。これについては、行政側の皆さんに大変努力をしていた だいておりますし、私どもも必死に努力をしているわけですが、結果としては相当なお くれがあるということでございます。3番目には、内外価格差の大きいものを中心に、 特定保険医療材料の償還価格は毎回非常に大幅な引き下げを受けているということでご ざいます。結果として非常に残念ではありますが、アメリカの医療機器業界から見て、 日本への投資が縮小するという兆候が見られつつあります。例えば、新しい製品導入を する場合に投資額を制限するといった事態が、非常に残念ですが発生しております。こ れは業界の対応が不十分なという側面も多々あるとは思いますが、結果としてこういう 方向に、全体としてなりつつあるということを御理解いただきたいと思います。  次、お願いいたします。(P3) これは参考資料としてざっとご覧いただきたいと 思います。FDAと日本のPMDAで発表されている新医療機器の認可申請件数と審査 完了件数を比較したものです。茶色が日本における認可申請件数で、赤が審査完了件数 です。紺色がFDAの認可申請件数で水色が審査完了件数です。厳密な比較はできませ んがざっくりした感じとしてご覧いただきますと、申請件数と審査完了件数のバランス がアメリカの場合はかなり拮抗しています。日本の場合は、差があるということをご覧 いただけるのではないかと思います。  (P4) 具体的なお願い事、提言をさせていただきたいと思います。1つは、まさ に昨年この懇談会の場でお願いをいたしまして、この場でもぜひ前向きに検討したいと 言っていただきました医療機器に関する二課長通知を先般発出していただきました。ま ことにありがとうございました。これで制度ができたわけですので、業界としてはこれ を活用して適応外使用を減らし適応を広げるということを積極的にしたいと考えており ます。  2番目には、先ほど申し上げました諸外国に比べて医療機器の導入がおくれていると いう、いわゆるデバイスラグというものの解消を検討したいと思います。その際には、 医薬品で既に行われています未承認医療機器検討会議というようなものの発足を御検討 いただけないかと考えております。医薬品と医療機器ではさまざま異なる面がございま す。医薬品未承認の検討会議をそのままスキームを持ってくればいいというものではも ちろんないと思いますが、そのようなものでデバイスラグを解消していただけるとあり がたく存じます。  3番目にはPMDAさんから、年次報告を出していただいて私ども大変参考になって います。それに関して、さらに充実していただけないかというお願いでございます。具 体的には、例えば現在さまざまなデータが医薬品と医療機器が一緒になって年次報告に 入っています。そういうものを分けて記載していただけると、私どもとしては非常に拝 見しやすい。また、お願い事をするのにも非常に参考になると考えております。  (P5) 次は、付帯的サービス等の不適切な取引慣行の是正に関してというもので ございます。これに関しては、医療機器業構成取引協議会等を活用して、不適切な取引 慣行を是正し、あるいは立ち会い基準を策定するというふうにアクションプランの中に 書いてございます。この方向に関してもちろん私どもとして異論はありませんが、一つ 確認です。この医療機器業公正取引協議会における検討、議論というのはあくまで公正 取引の観点からということでございます。例えば、販売誘引とかそういうことの関係で の検討でございます。それ以外にも、例えば最も重要な患者様の安全とかという観点か らもこういうものについて御検討いただくというのは、どこか別の場所できちんとする ということをお願いしたいということでございます。  (P6) 最後に医療機器の保守管理でございます。言うまでもなく保守管理も患者 様の安全確保のために極めて重要でございます。また、実際に医療機器安全管理の基準 づくりも既に進めていただけていると、私ども大変評価しております。さらにそれを進 めるために、例えば、医療機器の安全管理を基準に沿って実行している医療施設とそう でない施設で、診療報酬に差をつけるといったもう少し実行性の高い施策を行っていた だけるとありがたいというのが1点目でございます。  2点目は、それともちろん関係しますが、従来からユーザーさんあるいは、基準を満 たす業者さんが行っていらっしゃいます一般の点検と共に、例えば保証期間を過ぎた医 療機器については、メーカーによる点検を少なくとも1年に1回以上行うということを ガイドライン等で強く推奨していただくことが必要なのではないかと考えております。 以上でございます。ありがとうございました。 ○二川課長  どうもありがとうございました。続きまして、欧州ビジネス協会医療機器委員会の上 條委員長にお願いいたします。 ○上條委員長  欧州ビジネス協会医療機器委員会の上條でございます。本日は、私どもEBC医療委 員会にこのような発表の場を与えていただきまして、まことにありがとうございます。 それでは発表の方に入らせていただきます。(スライド使用・資料3)  (P2) 平成15年3月に、医療機器産業ビジョンが策定されまして、国際競争力の 強化のためのアクションプランが発表され、実施されてまいりました。その中で、私ど もEBCとして関係あるところでは、ここのスライドに表しております。これらの事項 におきまして、高く評価できる点があると考えております。  まず治験・申請前の相談制度が開設され、PMDA総合機構の専門性の高い審査員の 増員がなされております。発足当時の22名から、今年の4月では28名に増えていると 伺っております。ここは更に強化をお願いしたいところでございます。また、審査に対 する不服・苦情受付窓口の設置、これも私どもにとりまして非常にありがたいことでご ざいます。こういうものを通して、さらに承認期間の短縮に向け御尽力をお願いしたい ところでございます。  また、新規医療機器評価のあり方につきましては、C1に加えC2の保険適用が2年 に1回、あるいは随時から年4回に増えております。また、安全性に配慮した医療機器 評価のあり方の検討におきましては、市販後の安全対策の充実が見込まれるところでご ざいます。ただしこの点におきましては、その安全性の確保のために企業が費やす経費 あるいは努力に対して、まだ診療報酬での評価が見えないように存じます。ぜひ御考慮 いただけますようお願い申し上げます。  さらにはタイムロックの導入や認証・承認審査基準の国際整合への対応活動も評価さ れるべき点であると私どもは考えております。  (P3) このようにいろいろとアクションプランの進捗に対しまして高く評価でき る点があると思いますが、ここに挙げました特に5つの項目のように、未解決の問題が 残っていると考えております。これらにつきましては速やかな検討、対策の実施をお願 いするところでございます。先ほども申しましたが、総合機構の要員が実務処理という 点で現状に合っていないのではないかと考えております。ぜひ、この総合機構の充実を 図っていただきまして審査期間の短縮を図っていただきたいと思います。  2番目としましては、海外治験データの利用の円滑化、あるいはGCPの柔軟運用を ぜひお考えいただきたいと思います。特に、海外の治験データの利用に問題点があるよ うでしたら、具体的にその問題点を明示し御指導をお願いしたいと考えております。医 療機器、治験整備に関連しましては、治験システム基準の明確化をお願いする次第でご ざいます。  3番目としまして、QMS(製造・品質管理基準)運用の円滑化・柔軟化、これもぜひ 進めていただきたいと考えております。それと同時にここにおきましては、国際整合そ して基準化、この科目もお願いいたしたいと考えております。  4番目の問題として、申請者と審査側とで共有できる客観的そして平易なガイドライ ンの整備をお考えいただきたいと思います。具体的に申し上げますと治験の必要性、必 要な症例数、プロトコールなど具体的な提示をお願いいただきますと、私どもとしても 助かると思います。  最後に医薬品とは異なり、ライフサイクルが短くそして機器の改良が随時行われる医 療機器にありましては、治験中のプロトコールの修正あるいは変える部分のみの治験に 対する柔軟な対応をぜひお考えいただきたいと思います。  まとめますと医療機器の審査・承認プロセスの迅速化を図るとともに、過度な規制の 緩和をお願いいたします。特に私どもEBCとしまして重要だと考えますのは、承認審 査の透明性そして事前の予測性を高めていただければまことにありがたいと考えており ます。  (P4) 今述べました国内の諸整備、それと同時に承認・認証基準の国際整合化・ 基準化の推進もお願いいたします。この承認・認証基準の作成に国際整合は必要不可欠 であります。その作業を効率的に進めるためにGHTF(グローバルハーモナイゼーシ ョンタスクフォース)あるいはISO、IECなど国際的な基準作成活動への積極的な 参画、基準作成をぜひよろしくお願いいたします。  昨年施行されました改正薬事法の主眼の一つでございます「国際整合性」に沿いまし て、海外の第三者認証機関が行った監査結果を相互に受け入れる制度の制定、これもぜ ひお願いしたいところでございます。  (P5) この承認・認証基準の国際基準化は、輸出入にかかわる検査時間の短縮あ るいは検査に要する大幅な費用の削減をもたらすMRA相互承認協定の締結が、その最 終形となるのではないかと私どもは考えております。このMRAに関しましては、平成 14年1月に日・欧州共同体相互承認協定を正式に発効し、平成16年5月29日より一部 その運用が開始されております。ぜひ医薬品に倣いまして医療機器のGHTFにおいて も、さらに議論を進めていただき医療機器の品目ごとの相互認証協定を望むところでご ざいます。  ただ、この全面的なMRAの締結にはいろいろなプロセスが必要です。まだ時間がか かるのではないかと考えます。  (P6) その中で、今すぐにでもできるものといたしまして、輸出入される医療機 器製造所の査察結果についての相互受け入れを義務づけるMRA相互承認協定、これは すぐにでもできるのではないかと私どもでは考えております。この輸出入される医療機 器の製造所査察結果について、相互受け入れを義務づけるMRAの締結をぜひ早期に実 現されるようお願いしたいと考えております。  これに関しましては、昨年の薬事法改正の目的でありました基本要件基準そして品質 マネジメントシステムを取り入れることにありまして、このMRAの締結はEUの医療 機器指令におきましては、既に全面的に採用しているところでございます。繰り返しま すが、EBCといたしましては、医療機器の製造所の査察結果について相互受け入れを 義務づけるMRAの早期締結をお願いしまして、私どもからの発表とさせていただきま す。ありがとうございました。 ○二川課長  どうもありがとうございました。続きまして、日本画像医療システム工業会の猪俣会 長にお願いいたします。   ○猪俣会長  日本画像医療システム工業会の猪俣です。本日は、医療機器産業政策の推進に係る懇 談会で、発言の機会をいただきありがとうございます。それでは、座らせていただいて JIRAよりの意見、要望を述べさせていただきたいと思います。(スライド使用、資 料4)  (P2) 平成15年度スタートをしました医療機器産業ビジョンのアクションプラン、 全体として着実に進展していると考えております。特にC2区分の保険申請が年4回と なったこと、特定保守管理医療機器が医療法の中で保守の対象医療機器となったことは 意義あることだと存じております。  アクションプランに掲げられました内容の確実な実施への取り組みを進めていただく ようお願い申し上げます。その観点から、このスライドに示しますようにJIRAとい たしましては、継続・確認事項4点を掲げております。スライドの赤字部分は、今回特 に要望させていただいている事項です。  (P3) 要望の第1点は、医療機器システムの果たす役割の適性な認識と評価です。 開発した医療機器が医療制度の中で適性に評価され、その適性な対価が支払われること によってそれが次の開発に振り向けられる。そしてこれが医療水準並びに医療効率の向 上に寄与するといったサイクルを回す仕組み、プロセスが何より重要である。これが医 療機器産業の育成と国際競争力の強化につながるのだという具合に考えております。  医療機器システムは早期診断、診断精度の向上に寄与し、患者さんのQOL向上や医 療効率の向上が図れるものです。しかしその対価となる診療報酬において、積算根拠が 明確になっておりません。医療機器の評価は、診断や撮像の技術、機能・性能の高度化 等の有効性や安全性から、さらに経済社会的な評価を含めて目に見える形で診療報酬に 反映していくことが重要であると考えております。繰り返しになりますが、医療機器が 適性に評価されることが、医療機器産業の育成につながるものと思います。  (P4) また新規医療技術の産業への育成についても、診断と治療さらに医薬品と 医療機器との融合。例に示していますように、新たな組み合わせによる医療機器システ ムというものが検討されています。こういったものが速やかに市場に投入されていくた めには、新規技術の開発の促進と同時に実際の医療に活用できるような法整備、あるい は治験制度の運用ということをお願いしたいと思います。  (P5) 要望の第2点は、医療機器システムの多様化・高度化に対応した産業育成 ・規制のあり方ということについてです。そこに一つ例を示してございますが、そうい ったものの中での大きな課題の一つは、医療機器に内在するアプリケーションソフトウ エア、これの単独医療機器化であると考えております。アプリケーションソフトウエア は新しい診断機能、価値をつくりだすものであり、診断機能安全性を向上させるもので す。これらのアプリケーションソフトウエアはますます多様化してきております。これ に対応するためには単独医療機器化が必要です。早急な取り組みをお願いいたします。  (P6) 要望の第3点は、医療機関内での医療機器の適性な使用についての事項で す。医療機関内におけるインフラとして医療機器管理室を設置し、使用時の安全確保を 図り、さらにそのための人材確保と教育体系の強化が必要となります。また医療機器の 特性を踏まえて使用するという視点で見た安全確保のためには、開発・販売・使用・廃 棄までのすべてのフェーズにおいて、安全確保を確実に進めるための仕組みが必要であ ります。その仕組みは、医療機器、材料等でそれぞれ重点の置き方が異なってまいりま す。例えば、識別コードの体系化等が必要ですが、その表示方法、安全トレーサビリテ ィ確保のシステムへの結びつけ方というものは、医療機器あるいは材料によって相当異 なってくると思います。医療機器の安全トレーサビリティ確保には、医療機器管理室へ の一元管理、添付文書への記載などもあわせて検討していくことが必要かと思います。  (P7) 最後に審査・承認への要望です。これにつきましては先ほど来ACCJさ ん、EBCさんの方からも御要望の御発言がございましたので、JIRAとしてはここ で2点強調させていただきたいと思います。  1つは、工学系人材の継続的採用です。また審議内容についても継続性をぜひともお 願いいたします。もう1つは、JIRAの取り扱います医療機器は大型のものが多くあ ります。使用後の廃棄を考えますと、廃棄物の発生を抑えたり、再使用、再資源化が重 要です。環境資源への取り組みについても医療機器の評価の中で検討いただければと思 います。以上、JIRAから意見を述べさせていただきました。ありがとうございまし た。 ○二川課長  どうもありがとうございました。続きまして、日本医療機器販売業協会の諸平会長に お願いいたします。 ○諸平会長  おはようございます。日本医療機器販売業協会の諸平と申します。どうぞよろしくお 願い申し上げます。座らせていただきます。  昨年のこの席でも申し上げましたが、平成17年4月施行の改正薬事法が求める高度管 理医療機器・特定保守管理医療機器の授受にかかわる情報の記録や、特定保険医療材料 の価格調査に必要な基盤整備は、行政の御指導、また製造販売業者等の御協力の結果、 この一年で大きく前進いたしました。しかしながら依然として十分機能する水準には現 在達していないという認識でございます。引き続き関係者の御理解と御協力をお願いし たいというのが第1点でございます。  御案内の方が多いわけですが、医療機器・医療材料は、特定保険医療材料の20万種類 余りを含めて50万種類余りは存在するというのが現在定説になっております。これは医 薬品の種類が1万3千種類余りに比べますと、この種類の多さというのは歴然としてい るわけでございます。このことは、データベースの運用を考えれば初期の構築はもちろ ん、継続的な保守管理にかかわる仕事量の多さ、また困難さというのが十分御推測いた だけるのではないかと考えております。  薬事法や医療保険行政が求める作業の基本を支える医療機器・医療材料のデータベー スは、国の重要な施策でもある医療分野のIT化に欠かすことのできない基盤でもござ います。関係者の皆さんのお力で、信頼に足る「医療機器・医療材料のデータベース」 が準備れ、同時にこのデータベースを継続的保守管理のできる体制の構築を期待してい るわけでございます。販売業を代表する医器販協(略称)としては、このことに全力で 協力を惜しまない態勢を進めているところです。  薬事法が求める機器・材料の製造由来を示すロット番号等の記録には、通称をイアン ・イチニッパーと言っていますが、EAN-128に準拠したバーコードの貼付が必要不可欠 であることについて前回も発言をしております。このバーコード貼付の普及率は依然と して十分な状況とは言えません。引き続き関係者の御協力と御理解をいただきたいとい うお願いでございます。  医療機器の市販後の安全対策の強化・拡充が改正薬事法の一つの柱であることは明白 であり、一つの材料は、製造販売業者から我々販売業者を経て、医療機関に行くという 流れになっています。きちんとしたトレーサビリティで言うと、その後医療機関側はそ れがどの患者さんに使われたかを記録するということになると思います。こういう事を きちんと行うことが重要ですのでご協力をお願いしたいと考えております。  以前から問題の存在を指摘されていた「処置時の立ち会いについては、近々取引の公正 性を担保する観点から、医療機器業公正取引協議会で結論を出す」と伺っております。 この問題は、取引の公正性を保つとともに、医療機関との調整等幾つかの問題が存在し ているのかなと理解をしております。以上で発言を終わります。 ○二川課長  どうもありがとうございました。続きまして、日本臨床工学技士会の川崎会長にお願 いいたします。 ○川崎会長  日本臨床工学技士会の川崎でございます。私どもの会としましては、医療機関で携わ るマンパワーという立場で述べさせていただきたいと思います。スライドをお願いしま す。(資料6)  (P2)2003年で、当初医療機器産業ビジョン策定時のME室、医療機器管理室の設 置状況を調査しました。地域がん診療拠点病院と地域医療支援病院について、ほぼ両病 院とも41%ぐらいの医療機器管理室設置状況でした。今年の2006年5月時点で調査を いたしましたところ、地域がん診療拠点病院では75%、地域医療支援病院では55%とい うことで、医療機器管理室の設置が着実に進んでいるという現状です。地域医療支援病 院につきましては5割をやっと超えたかと、もう少し推進させなければという感じでお ります。  (P3) 次に私どもの会で、昨年、臨床工学技士の業務実態調査を行いました。対 象が7450名、回収率は45.9%でした。「ME室はありますか」という問いで、「ある」 が44%です。「ある」と答えた中で、「どの程度の広さで業務をしているのか」という ME室の広さについて問いました。大体20平米から60平米のところに回答が集中して きている現状です。また「設置予定がない」と答えた方も43.2%とかなりの数がござい ます。それから、その施設内で「ME機器の管理責任はだれが行っていますか」という 問いでは、71.7%が臨床工学技士ということで、臨床工学技士の理解が進んできている のかと思います。しかし、依然と各部門の看護師やほかの部署で管理されているという ところもあります。「院内で、看護師などにME機器の使用法など勉強会を開催してい ますか」という問いでは、「定期的に行っている」が27.7%。3番で「依頼がある場合 だけ行っている」が55.1%。やはり現場からニーズがあればそれに答えて勉強会をする といった形になっている現状でございます。  (P4) それから臨床工学技士の資質の向上ということで、アクションプランの方 にも載っておりますが、現状としましては臨床工学技士の育成にいろいろな課題がござ います。今現在、専門学校が34校、4年制の大学が17で急増しております。各大学で 何か特色を持つと言うことで、臨床工学技士受験資格を持った学校がたくさんできてき ております。しかし粗製乱造と言いますか、本当に卒業生の資質の確保という部分で少 し懸念している現状でございます。  平成15年に養成のカリキュラムの大綱化がありました。その中でも教員の増員が図ら れましたが、学校の急増で教員が不足しているということです。今後の教員の育成が大 きなテーマかと思います。それから臨床実習の実習病院に関しましては、アクションプ ランができたことによって、新たに医療機器管理室の実習が追加されました。ところが、 その実習先の実習指導員が大変不足しております。技士会で、実習指導員の育成のため の講習会を今年から始めるという現況になっております。  また、カリキュラムが大綱化したということで、臨床工学技士国家試験出題基準が財 団法人医療機器センターから出版されました。ところが臨床工学技士の学校ができて20 年になりますが、いまだに臨床工学技士の標準的教科書がありません。この辺も今後の 大きな課題です。  (P5) 次に国家試験と合格者数です。現在2万人を越え、更に学校が急増してき てこれから毎年2千名を超す臨床工学技士が社会に出てくるという状況になっておりま す。一部分の地方の学校では、就職率の問題が多少出てきておりますが、大都会では依 然と人手不足といった状況になっております。  (P6) こういったいろいろな教育問題を自らの団体で何とか検討していこうとい うことで、日本臨床工学技士教育研究会というものを平成14年から発足させて、学校、 教育関係者と連携を取りながら事業を進めております。実習問題がやはり大きく話題に なっていましたが、今度は教科書の問題も今年8月5日に仙台で開催予定になっており ます。  (P7) 次に臨床工学技士の資質の問題です。専門教育については前回の報告会の ときに分野別の専門認定制度を御提示しました。その中で、今回のアンケートの結果で ございますが、現状にある学会認定が下の横軸に、縦軸が件数です。一番多いのは、第 2種のME技術実力検定です。これは受検資格が学生でも受けられるということで、学 生時代に実力をということで学校から受けさせるということがあり、かなりの方が取っ ています。このような分布になっておりますが、平均しますと一人当たり認定試験を1.5 ヶ取得しているということです。臨床工学技士の前向きな意欲がここで伺い知れるかな と考えております。  (P8) これは医療機器管理室の設置に関して、教科書といいますか役に立つ資料 が現在まとまったものがなく、臨床工学技士会編著ということで本日づけでこれが発刊 になっております。先ほど手元に届きました。まだ5部ほどしかありませんが、『ME 室ハンドブック−医療機器中央管理のすべて−』です。今後に期待できるかと思います。  (P9) 以上をまとめますと、医療機器の設置に関しては着実に増加していますが、 地域がん診療拠点病院と地域医療支援病院を比較すると、後者の方がややおくれている。 これをさらに進めるためには、診療報酬などで臨床工学技士の技術料や適正医療機器管 理料などの何らかのドライビングフォースが必要ではないかと考えております。  更には2005年の日本臨床工学技士会会員調査より、ME室の設置は進んでいますが部 屋面積が20〜60平米と狭い現状があり、これらを踏まえて拡充できるような方策、また マンパワーとしての臨床工学技士の技術料の保険収載も考えていただきたいと思いま す。多くの臨床工学技士がME機器の管理責任を負ってい、また看護師へのME機器の 使用方法の教育に積極的でございました。  次に臨床工学技士の養成校が急増しているということで、教育内の低下が懸念され、 臨床工学技士教育研究会において養成施設団体とただいま検討中でございます。それか ら専門認定制度におきましては、一人当たり1.5ヶの学会認定を取得していました。最 後にME室の設置の際に活用で臨床工学技士会編著の『ME室ハンドブック』が本日出 版できることになりました。今後のME室の設置に関してお役に立てばと考えておりま す。以上でございます。 ○二川課長  どうもありがとうございました。続きまして日本医療産業同友会の松本代表幹事にお 願いいたします。 ○松本代表幹事  松本でございます。時間節約のために、昨年同様パワーポイントとお手元のレジュメ を用意させていただきました。必ずしもイコールではございません。社名等々が入りま して、差し支えのある資料についてはパワーポイントのみとさせていただいています。 それが2〜3枚ございます。都度申し上げます。もう一つは、少し遠いのでスクリーン にレーザーポイントを持参いたしまして使いたいのですが、スクリーンの前に堀口室長 ほかVIPの方がおられて、目に支障を来すといけないので使用は控えさせていただき ます。(資料7)  (P1) ということで1枚目は総論です。これは皆様方おっしゃっているとおりで ございます。「研究・開発」等については、METISの動き等もございます。漸進的 の方向に進んでいるかと思われます。  (P2) トレースアビリティ等々各論について重要なことがございますが、2枚目 に課題と対応です。羅列をしておりますが、とりわけ3番、4番、7番あるいは大きい III番に着目をしていただければと思います。  グローバル化、申し上げるまでもありませんが、欧州の方々が来られるとCEマーキ ングを取っているのに、なぜまた日本でゼロからということもおっしゃいます。いろい ろ考えるべき点があろうかと思います。  また7番、医療関連サービス、とりわけ医療機関が診療報酬引き下げ等々でアウトソ ーシングを増やしておられる折から、医師法あるいは厚生競争契約等々の関連法規等の すり合わせ、整合化というのは非常に今後大事なところになってこようかと思います。  9番の本格的な統廃合時代を迎えての対応。いよいよ製造、流通両面とも難しい時代 に入ってきていると思います。今後の日本の医療機器企業の方向性は、やはりグローバ ル・ニッチ。やはり世界20兆円のマーケットサイズの中で、日本は10%少しですから、 大いに世界に研究開発、あるいはいろいろな意味で雄飛をするという志を持たなければ いけないのではないかと思うわけでございます。  (別資料) 次をお願いします。非常に小さくて恐縮です。お手元のレジュメにない と申し上げた資料です。なぜかと申しますと、昨今新聞等でもM&A関連で名前が出て くる会社がまとめた資料の一つでございます。お見えにならないかもしれませんが、一 番上に80社ほどの医療機器企業の名前が書いてあります。左側から人工透析関連、人口 心臓血管、人口肺、呼吸器関連、その他と。一番下の左側の方には、人口骨、関節、歯 科器材等々書いてございます。ブルーは外資系、黄色は公開上場している企業、白の社 名は非公開、非上場の国産企業という色分けでございます。よく日本は診断系が強くて も治療系が弱いといわれます。ここに治療系を主体とした企業名が並べてございます。  (別資料)次、お願いします。これはME機器関連のメーカー名が並んでおります。 いずれもこれから日本の医療機器業も製薬関連と同様統廃合と申しますか、決して弱肉 強食というわけでなく競争力に勝ち残っていく知恵を働かす企業、努力をする企業が生 き残っていくのだというところが本質だと思います。いたずらに愚痴をこぼしたり、あ るいは行政に要望だけしても仕方がない、やはり自助努力も求められる時代かと思いま す。次、お願いします。  (P3) これは課題と解決です。具体的なことをと。技術と進歩と安全性担保のバ ランスが必要ではないかとよく言われます。例えば先月大阪で日本医科学会の年次大会 がございました。このロボットナースと申しますか、展示されました。これは院内間接 作業ですが、総合受付でこういう人が座ったらどうか、若い女性そのままの人が座って いるわけです。認識能力等まだ気を付けないといけませんが、例えばここへ近寄りまし て「外来はどちらですか」というと、彼女が右手を上げて「あちらです」と。「手洗いは どちらですか」というと、左手を上げて「あちらですと。「外来」と「手洗い」、「らい」 は一緒でも一つ違うと患者さんにとって大きな間違いになるということで、よりクリテ ィカルなものにはもっといろいろなリスク対応が技術とともに必要ではないかと思いま す。  (P4) これはもっと間接でない直接作業の一例です。ロボット手術システムへの 対応と。技術的な設計条件を満たしても、やはり昨今の流行と申してはあれですが、問 題の感染防止対策が果たして十分に行われるかというようなことです。これはアメリカ のメーカーの手術ロボットですが、そういうことがございます。次、お願いします。  (P5) これは急増する「IN-HOUSE」病院内の手術器械の「感染防止」安全対策、 トレースアビリティ。トレースアビリテイだけではないのですが、これは他産業分野の ハイテク技術、金属とかプラスティック等々も含めた「今このなぜバーコードの普及度 が進まないか」ということです。理由の一つは最先端の製造業での刻印技術、読み取り 技術をもっと医療業界が着目しないといけないということを感じるわけです。今、大阪 大学では、3年間すでに産婦人科の手術器械への2次元バーコードを1mm〜2.5mm角 に16バイトのデータをレーザー刻印して検証されています。こういう技術の時代に、 もっともっとそこら辺を掘り下げて考えないといけないのではないかと思います。次、 お願いします。  (P6) 次の2、3枚はそれの実証です。次、お願いします。  (P7) この真ん中あたりに16桁のコマが並んでおります。これはISO関連にも 共通するところでございます。EAN−128でも共通するところです。共通するところは 最初の5桁です。最初の2桁は国別番号です。次の3桁は病院あるいはメーカー番号。 次の11桁が品名番号。これは生物由来製品にも取り込める桁数です。これをいつまでも 25桁以上必要なのかということ、この議論は刻印技術と読み取り技術に関連してくる のでそこら辺はまた産官学一体になって考えていくべきところではないかと思います。 次、お願いします。  (P8)その次もそういう関連です。  その次、(P10)今ではYAGレーザーや炭酸ガスレーザーでかなりのことが可能に なりました。どうしてそういうことが可能になったか、例えば液晶ガラスであるとか、 あるいは自動車の極小電池といった技術が医療に入ってきたからこういうことが可能に なりました。まさに異業種交流の最たる例の一つかと思うわけです。次、お願いします。  (P11) がらっとテーマは変わります。よく中小企業、ベンチャーどうして欧米の ようにうまくいかないかという話がでます。しかし、日本でも微力ではあっても共同開 発を何社か集まってやっている実例もあります。現実に東京都から研究助成金も出てい ます。それから改正薬事法に中小企業が「困った、困った」というだけでなく、何社か集 まってそれに対応したらどうなるかという事例もございます。先ほどの二次元バーコー ドの刻印、あるいは読み取りセンターを何社かでつくったらどうかというアイディアも ございます。次、お願いします。  (P12) これが研究開発を6社で対応したらどうなるかという例でございます。東 京都から既に研究助成金が出ています。まずは麻酔器あたりの開発から進めたらどうか というので、こういうところまで進んでいるという例でございます。次、お願いします。  (P13) 次は改正薬事法対応でございます。これも確かに大変なわけでございます。 6社で対応したら管理一つにしても、みんなで分担したらどうなるかということを一つ のアライアンスといいますか、コンソーシアムといいますか、そういうコンセプトで対 応したらどうなるかという一例でございます。次、お願いします。  (P15) これはお手元にあろうかと思います。研究開発を6社でやって分担したら どうなるかと。例えば名前でいえば本郷メディカルタウンあるいは神戸でも九州でも東 北でもいいのですが、そういう地域別にこういうメディカルタウンをコンソーシアムあ るいはアライアンスでやったらどうなるかということで、何も一国一城の主だけでなく 主はたくさんいるけれどもお城は一つだという実例かと思います。次、お願いします。  (P16) 最後に、日本では年間32万6千人もがんで亡くなるという統計が数日前も 出ておりました。このがん対策には、ナノメディシンあるいは分子イメージング等々の ゼロからスタートするという新技術もあります。しかし今までのいわゆる病理診断とい う技術をさらにIT化等々も入れて立ち上げたら、本当に新技術になって身近なところか らがん対策が行われるという例です。昨日も日本臨床細胞学会が横浜でスタートいたし ましたが、学会でもそういう手法が真剣に検討されているという実例でございます。そ の中にはテレパソロジーとかIT化の進歩もどんどん入ってきます。次、お願いします。  (P17) これは社名を挙げて何ですが、浜松ホトニクスで最近どんどん開発をして いる例で、ユーザーと共同開発をしているデジタルスライドスキャナです。他の会社で もバーチャルスライドシステムといいます。今まで48時間以上かかってつくっていた検 体が既にマイクロウェーブ等を使って1時間以内でできるようになった。それを顕微鏡 でのぞく時間をずっと短縮するというシステムがこれでございます。そういうものを組 み合わせれば1プラス1が2.5あるいは3になるのではないかという迅速診断システム もすでに身近に来ています。  (P18) 最後のスライドでございます。さらにテレパソロジー、遠隔病理診断等も 含めて絶対数が少ない病理であるとか、その他のお医者さんの分野もありますけれども、 その場合にはそういう遠隔診断とコンサルティングを組み合わせれば、ただ数が少ない ということを嘆いておられる医学会だけでは困るということの対応策の一つではないか と思って書かせていただいたわけでございます。そんなことで、割合身近に国産初の技 術、国際競争力と誇れる技術がそこここに芽生え出していると、又、中小企業も捨てた ものではないという事例を挙げさせていただきまして、私のプレゼンテーションとさせ ていただきます。以上でございます。ありがとうございました。 ○二川課長  どうもありがとうございました。続きまして日本歯科商工協会の中尾会長にお願いい たします。 ○中尾会長  今回の懇談会に歯科関係もお加えをいただきました。私から歯科医療機器の産業の現 状と課題につきまして御報告を申し上げたいと存じます。  なお、私ども歯科界は産業ビジョンがございません。現在取りまとめ中でございます。 そこで現状と課題につきまして御報告を申し上げますが、これにつきましては日本歯科 医師会さん、また日本歯科医学会さんのアドバイスをいただいてまとめたものでござい ます。座らせていただきます。(資料8)  (P2) 2枚目の資料でございます。御存じのように私どもは、医療機器の中に加 えていただいておりますが、大きく申し上げますと機械器具と材料の2分野から構成さ れています。次、お願いします。  (P3) 1985年を指数100として見た場合でございます。中段にございますグリー ンの線が私ども歯科医療品の生産額ということでございます。およそ3千億の水準が横 ばいになってでございます。また、私が会長を務めております歯科商工協会ですが、8 団体、1083社から構成をされております。  (P4) 次のページは歯科関係、いろいろな技術が高度化、複雑化をしております。 この切り口は歯科医におまとめをいただきました。より的確な診断、効果的予防の推進、 高組織疾患への新たな対応、またこの中には再生医療、最先端医療技術ということを入 れております。歯科が再生医療に最も向いているのではないかと考えております。また、 歯科の特徴といたしまして、歯科技工の分野もございます。またIT化の推進も必要で ございます。  (P5) 次のページでございます。グローバル競争の激化ということですが、日本 の歯科医療は世界で第2番の規模を誇っております。世界のトップテンのメーカーをご らんいただきますと、トップテンの中に日本企業は1社しか入っておりません。右側で は、世界1の規模を誇りますドイツのデンタルショー、日本からの企業展示はわずか1 %台という状況でございます。また、右下にございます保険の収載件数ですが、歯科関 係は非常に少ないという状況でございます。  (P6) 次のページでございますが、歯科疾患の構造でございます。御存じのよう に疾病構造、歯科も変化をしております。う触が減り、歯周病が増加傾向。また国民の 一人当たりの現在歯数も増加するという傾向がございます。歯の平均寿命も伸びてきて おります。  (P7) また次のページですが、咬合と咀嚼、これが長寿と非常に関わっていると いうデータが日本学術会議等でまとめられております。歯周病と全身疾患の関係のデー タもまとまっております。また、右上のデータは県歯科医師会がおまとめになったデー タでございます。お口の中の残存歯が多いほど医療費が少なくなるということがわかっ てきております。  (P8) 次が、国民の皆さん方のオーラルヘルスケアへの関心度でございます。国 民の皆さん方は体の健康への満足度に比しまして、お口の健康の満足度については少な いという状況でございます。国民の皆さん方は、定期ケアが必要だとお考えでございま すが、実際に行ってらっしゃる方はその3分の1しかいないという状況もわかってきて おります。  (P9) 次のページが、私どもの産業構造でございます。メーカー、一次、二次卸 流通そして技工所あるいは診療所を通して国民の皆様へというルートでございます。企 業集積度でまいりますと、メーカーサイドは12社で81%、一次卸、全部で17社ござい ますが4社で81%、二次卸は766社ございますが10社でおよそ4割を占める集積度で ございます。  (P10) 次が私どもが考えております歯科産業界の課題でございます。私ども生産、 販売品目数15万点という大変多い種類でございます。わずか販売単位が年間で1個しか 売れないというものがございます。多品種少量、中小企業依存型の産業でございます。 その中で私どもの課題は7つございます。現在、歯科界では世界的に伸びておりますの がインプラント、CAD/CAM分野でございます。残念ながらこの分野二桁伸びを示 しておりますが、日本企業は製造、開発を行っているメーカーはごくわずかでございま す。2番目に再生医療、歯科が非常に向いていると申し上げておりますが、この分野の 研究ぜひ製品化に取りまとめなければいけないと思っております。3番目は診断・予防 の充実が必要であり、国民のお一人お一人の予防処置を講ずることができるようになる と、このように考えております。また、国民の皆さん方の大変要望が強い分野、矯正、 審美、ホワイトニング、咬み合わせ、これらにおこたえすることも基本的に必要だと考 えております。歯科流通分野につきましては、バーコードの貼付等、来年の4月には完 備する予定で現在進めております。また、1千社を超える企業がございます。競争力強 化のために、統合・協業の促進が必要と考えております。なお、私ども去年の4月から スタートいたしました薬事法、この運用について私ども充実を図らなければいけないと 考えております。また、社会保障制度の面につきましてもさらなる充実のために臨学官 産の協調を強化しなければならないと考えております。  最後に、現在私ども日本歯科医師会さん、日本歯科医学会さんの御協力をいただきま して、歯科医療機器産業ビジョン取りまとめ中でございます。このビジョンができ上が りました際には、ぜひ国の医療政策にお取り上げいただきまして御支援、御協力のお願 いを申し上げたいと存じます。以上、御報告とさせていただきます。 5.意見交換 ○二川課長  どうもありがとうございました。これで産業界からの発表は終わりでございます。こ れから意見交換に入らせていただきます。これまで皆様方からの発表のありました論点 につきまして、テーマを分け順次意見交換をしていただきたいと思います。  分け方としましては、1番、研究・開発。2番、薬事審査。3番、保険適用。4番、 使用時の問題。5番、情報化。6番、その他という形でさせていただきたいと思います。  まず始めに研究・開発ということでございます。これにつきましては、医療機器の治 験環境の整備、主導治験が全くないような御発言もあったかと思います。それから産学 官の連携による医療機器の開発促進ということで、METISが重点テーマを選んだの だけれども、これについての支援といったようなことがあったかと思います。これらに つきまして、まず関係のところから御発言をいただけますか。 ○鈴木課長  医政局の研究開発振興課長の鈴木でございます。私どもの課では、研究・開発の支援 と治験の環境整備を担当しております。委員の先生方からの御指摘の中で、今もありま したが大きく2点あろうかと思います。1つは、医療機器の特性に配慮をした研究環境、 治験の環境整備をすべきだということだと思います。御指摘の中には、ナショナルセン ターの活用、医師主導の治験できちっと医療機器を見られるようにすべきだということ もありました。それから大規模治験ネットワークです。今これが1170病院ありますが、 これについてもきちっと活用すべきだということでございます。19年度以降の予算につ いてこれから省内で議論させていただきますが、ぜひ御指摘を踏まえて考えさせていた だきたいと思います。  2点目は省庁連携産官学の連携ということで、後ほど経産省の堀口室長からあるかも しれませんが、先ほど和地会長からMETISで重点7分野という話もありました。私 も厚生労働省と経済産業省で、今マッチングファンドというのを医療機器についてさせ ていただいております。同じ課題について厚生労働省では研究者側を支援させていただ く、経済産業省側では企業側の支援をさせていただくということで、これと重点7分野 との関連を整理をさせていただいてお役に立ちたいと思っております。以上です。 ○堀口室長  経済産業省の医療・福祉機器産業室長の堀口でございます。経済産業省における医療 機器の開発支援という立場で参加させていただいてます。鈴木課長から十分お答えいた だいたと思いますが、研究開発の協同、産学官の連携につきましては、METISで重 点分野を定めるとともに、いろいろな提言をいただいております。これらを参考に、ま すます連携を深めていきたいと思います。  また、お話にありましたマッチングファンドにつきましても、どんどん拡大させて連 携を深めていきたいと思いますので、今後ともいろいろと御協力いただければと思いま す。 ○二川課長  ありがとうございました。未承認医療機器検討会議といったような御提言もありまし た。それについて何かコメントをいただけますか。 ○山本室長  医薬食品局の医療機器審査管理室長の山本でございます。未承認医薬と同じような未 承認医療機器の検討会議の御提言についてということですが、医療ニーズのある医療機 器について早く承認して実用化してほしいという声はあるわけでございます。私ども、 審査の担当の立場からいきますと、実際にその医療ニーズに合ったものが開発され、申 請されないと先へ進めないということもございます。もちろん、審査の側でもやらなけ ればいけないことがあるわけです。ぜひニーズに合った審査ができることについての取 り組みを、これは医薬品と同じような仕組みではなかなかうまくできないものですから、 それにつきましてはまた今後、19年度の取り組みの中でも検討してやっていきたいと考 えているところでございます。 ○二川課長  ありがとうございました。どうぞ。 ○和地会長  治験についての問題意識を非常に高く持っていただきお礼を申し上げたいと思いま す。正直ベースでいきますと、やはり日本の制度の中で、国内だけで治験をやっていく ということは非常に限界があり厳しいと思うのです。先ほど申し上げましたが、いわゆ るグローバル治験というのですか、こういうことに対してはどのようにお考えになって いらっしゃいますか。   ○岸田オブザーバー  医薬品医療機器総合機構で治験相談の関係もやっておりますので、そういう方面から グローバル治験に対して医薬品医療機器総合機構がどう取り組めるかということも検討 していきますので、若干ながらコメントさせていただければと思います。  先ほど来、外国製品の導入に、日本に入ってくるのが遅いという御発言がありました。 まさにデバイスラグという状況です。こちらで調べているところでも、アメリカで承認 されたものが日本に申請されるのに何年もかかっている。こういう状況は、国民にとっ ても企業にとっても不幸な事態であろうということで、それを解決するために御指摘の 国際共同治験といいますか開発といいますか、アメリカで開発するときに日本もまたア ジアも含めて一緒に治験をやっていくといった取り組みが必要ではなかろうかと思いま す。そのためにもそういう国際共同治験を行う場合の治験相談といったものを、この総 合機構でもしっかりと受け止めて支援していきたいと思っております。 ○竹嶋副会長  今、専門的、技術的なお話がございました。国民の一人として、あるいは医療を実際 に国民の皆様方に提供している立場として、良質な医療機器、安全で使えるものが本当 に日本でどんどん開発されてほしいと心から願っております。  一つにやはり内外価格差が大変大きいことが挙げられます。先般、日本薬剤産業の推 進に係る懇談会に出させていただきました。そのときにも感じましたが、皆さん方、経 済産業省は特にそうですが、特にアメリカを基準にしていろいろ御論議なさっているこ とが多いと思います。その中で、研究・開発の問題が出ておりました。その薬剤産業を 検討する会でも研究・開発費が本当に日本はこんなに少なくていいのかと同じように感 じました。最初に説明された日本医療機器産業連合会の和地会長が、少しそういうこと をお話になられました。開発研究費にもっと財を投じたい、投じてもらいたいというこ とでその資料が6ページに出ておりました。1社当たり研究・開発推移ということで、 売上高の4.8%、5億円ということです。私は素人で内容は詳細にはわかりませんが、 この程度でいいのかそのあたりを聞いておきたいと思います。  内外格差という問題は先ほど来何度も出てまいりました。医療の診療費が一部そうい う中に入ってきているわけです。これはある意味では、開発あるいは製造というところ で外に出さなければいけないものもあるのでは、診療費の中に何もかも入れてくるのは いかがか、お話を聞きながらそのような印象を受けました。そういうことで、もしお返 事がいただけたらありがたいです。  もう一つ、私の数字が間違っていなければですが、日本の薬剤産業はトータル合わせ て7兆円ぐらいということでした。アメリカではファイザー一社だけで6兆円という話 を聞きましてびっくりしました。医療機器とかこういう分野では、どうだろうかという 質問を国民の一人としてお尋ねしたいと思います。 ○二川課長  ありがとうございました。いろいろ多岐にわたっております。私の方でお答えできる ところで申し上げます。まず研究・開発費の高ですが、医薬品の方は上位の会社ですが 売り上げの14%とか15%を投入しております。そういったところからいきますと、医療 機器メーカーということで言えば、売り上げに対する研究開発費はそこまでかけられて いないというか、そこまでかけなくてもいいのかもしれませんが数字的にはそういうこ とです。また、業界の方からあるかもしれません。  それから医療機器の市場規模ということで言いますと、医薬品が7兆円に対して医療 機器はざっと2兆円ぐらいといったようなところかと思います。どうぞ。 ○田村副会長  研究開発費でございますが、売上高比率では今日のデータの中にもありますとおり、 国内メーカーで4〜5%ぐらいでございます。米国メーカーですともちろん企業によっ て随分差がありますが、10%〜15%ぐらいを費やしております。 ○二川課長  日本の医療機器で導入が遅いと、そもそも承認申請が出てこないといったことがある わけでございます。出てきた後を早くするのは、次の薬事審査の問題ですが、そういっ たことにつきましてもう少し何かこうしたらいいのではないかという御意見等ございま すでしょうか。 ○岸田オブザーバー  治験相談の件で、この総合機構でもやっていることについての評価をしていただいた わけであります。治験相談のメニューにつきましても、やはり業界の方々のニーズに合 ったメニューといいますか、そういったものを多く取り入れて早く申請ができるような 状況に持っていきたいと思っております。現在、業界の方から来ておりますニーズを踏 まえて、新しい相談枠といいますかそういったものも設けたいと思っております。  そういう土壌を広げていくことによって、先ほど日本での申請が少なくなっているの ではないだろうかという御指摘がありましたが、そういったところを少しでも改善を図 っていきたいと思っております。 ○二川課長  ありがとうございます。どうぞ。 ○田村副会長  先ほどのグローバル治験の考え方でございますが、その考え方はPMDAさんの方か らお教えいただいております。私どももなるべくそちらの方向で進めておるわけでござ います。ただ1点、技術的なことでやや難しい話がございます。海外ですと治験の最中 に製品のデザイン変更があってもそのまま続けて治験を続けられるのですが、日本の場 合は最終製品を持った治験データでないと認められないことがあるということです。海 外の治験に参加していても、最終的に最後の確定した製品のデータでないと認められな いというためにおくれるというケースがございます。これは技術的な問題ではございま す。 ○岸田オブザーバー  データをどう活用できるかという御指摘だと思います。現在でも、例えばアメリカで もって開発された医療機器、いろいろなモデルがどんどん変わってきます。その前のモ デルのデータを活用できないのかというと、そこは活用して審査をしているという状況 でございます。したがって今のところも、サイエンティフィックに前のデータを活用で きるのであれば活用していくという考え方に立つのだろうと思います。 ○和地会長  随分医療機器に対する認識を高めていただいているのですが、まだまだ薬と同じ発想 で考えているところがたくさんあるかと思います。先ほども、売り上げに対する研究費 でも、薬とは全然違います。医療機器というのは改善・改良がベースです。100%の製品 が出てもこれをさらに改善・改良していかなければいけません。あるいは使い方が悪け れば不具合がすぐに出るということですから、薬と完全に違います。こういう基本的な 考え方をベースにいろいろな審査体制をぜひお願いしたいと思います。ですから一変な んていうのは当たり前の話です。一変をするのにものすごく時間がかかるというのは、 改善・改良ができないという話になってしまう。その辺は十分御理解されていると思い ますが、よろしくお願いしたいと思います。 ○二川課長  この辺は議論の尽きないところですが、どうぞ。 ○猪俣会長  研究開発費、今和地さんの方からお話がありましたように薬品と機器の違い。それか ら先ほどの統計数値等もございましたが、医療機器の中ですらいろいろな分野といいま すか対象によってそれを分担している各社の投資額は相当大きな開きがあるだろうとい う具合に考えています。やはり対象によって、どういう評価をしあるいは法律を制定し ていくのかということがないと、一律に全体としての網を張るということに重点が置か れすぎているのではないかと思うのです。  研究開発費総額の問題もさることながら、今やはり国産各社がこういった新しいもの についての開発の投資ということで、大きな壁にぶつかっています。医療機器の技術開 発をやって、製品にして医療のサイドでの効果を判定する治験の過程を経て、それから 薬事の認定を受ける、しかもそれが保険採択されて初めて事業として成り立っていくと いうスパンがものすごく長いわけです。非常に多額の投資を長い年月の間続けていくと いうことについての困難さです。そういった開発投資については、マッチングファンド その他でいろいろな仕組みが出てきているわけですが、マッチングファンドについても、 やはり非常に初期の段階であるとか、あるいは治験に多額の開発投資をするということ は事業体ということで考えたときには難しい部分があります。ぜひ治験の段階ぐらいま でについてのサポートを厚くしていただいて、事業化に対して産業側が大きくこれを投 資してものにしていくというステップに分けてマッチングファンドを考えていただきた い。最初から多額な開発投資を責任づけられる形でのプロジェクトには、非常に参加し くにいという実情があると考えています。 ○二川課長  ありがとうございました。私もこの問題につきましては、産業からも聞いております し、審査当局といったところから聞いております。審査の方を聞きますと「結構アメリ カと同じようにやっていますよ」、産業界に聞くと「どうも何かうまくないんだよね」 という話は常に聞いております。今日この場でどうという結論までは至らないと思いま すが、フラストレーションはなかなか解消されていないのも事実でございましす。こう いったことにつきまして、できるだけとにかく対話の場を多くしていってもらうしかな いのではないかと思っております。  今日、ここでどうこうということはございませんが、審査サイドも努力はいただいて いるのですが、完全には進んでいないというのが実情かなと一応くくらせていただきま す。次のテーマも類似の薬事審査でございますので、ここに絡んでしまうのかもしれま せんが、次のテーマに行きたいと思います。  薬事審査につきまして、申請が出てきたものにつきましても承認審査の迅速化あるい は海外データの受け入れ、相互認証、国際整合の推進といったことがあったかと思いま す。日本でいきますと、出したのだけれども承認が完結されていないものの比率が高い といった具体的なデータの指摘もあったかと思います。それから専門性の高い審査官を 十分確保してほしいといったこともあったかと思います。国際的なグローバル、ハーモ ナイゼーションといいますか、そういったようなこともあったかと思います。これらに つきまして、山本室長からお答えください。 ○山本室長  それでは御指摘の点について、御説明申し上げます。昨年4月に施行されました薬事 法改正に関しまして、産業界には多大なる対応に対する御協力をいただき現在に至って おりますことに御礼を申し上げたいと思います。きょうの御指摘にあったように、まだ まだ継続的な調整をしてよりよい形で運営しなければという面がございますが、それに つきましては引き続き緊密な対話をしながら進んでいきたいと考えております。  次に承認審査の迅速化です。医療機器につきましては品質・性能の安全性を審査した 上で厚生労働大臣が承認する。それはつまり総合機構で審査をするという仕組みをとっ ているところでございます。人の生命、健康にかかわるものである以上一定の審査のた めに期間を要するということはやむを得ないところだと考えております。それに関して は、合理的な期間で済ませるという努力をしております。現在は標準的な事務処理期間 として12カ月ということで行っております。実際に平成16年には、中央値では12.7カ 月ぐらいということです。申請者側を含めると36カ月ぐらいかかっていましたが平成 16年の数字でございます。平成17年には、審査側では7.7カ月、全体としては約22.7 カ月ということで16年と17年では改善をさせていただいております。これにはもちろ ん総合機構の体制の整備もございましたし、一方では申請者側におかれましても申請書 の質の向上を図っていただきました。あるいは不要な承認申請を取り下げることも行っ ていただきました。そのようなことで申請者側にも努力いただいた成果として、この1 年間で審査期間は相当縮まってきているということがございます。  こういう点で、今後とも審査側も審査体制の増強をしなければいけませんし、申請者 側におかれまして、さらなる申請書に関する質の向上等につきまして継続的に今行って いただいている努力をお進めいただくということで、より一層改善を進めることが必要 ではないかと考えております。  特に海外データにおけるということについてですが、医療機器の場合は医薬品と違い まして人種差の影響を比較的受けにくいという特徴がございます。このために海外で開 発されたものについては、基本的に海外で十分な臨床試験データがあればそれのみで安 全性、有効性の評価ができるという枠組みで立っております。昨年、手元にはまだ半年 分のデータしかありませんが、海外で開発されたものの大部分は海外の臨床試験のみで 評価ということが可能となっております。こういった点につきましては、ぜひ申請企業 側に理解をさらに得ていただきまして、私ども海外に存在する臨床データを積極的に有 効に活用して審査を進めていくことが重要だと考えております。  臨床試験に関しましても、国際共同治験がございます。またGCPに関しましても国 際性をも十分に考慮しながら、今後さらに運用の円滑化を図っていくということを一つ の課題として考えております。医師主導治験についても、まさしく私どもの審査の側で も対応できるところについては改善を積んでいかなければいけないと考えているところ でございます。  それから国際化という点につきましての基準作成でございます。私ども承認基準、認 証基準ということで、リスクの高い医療機器については総合機構での審査をより簡素化、 効率化を図るために承認基準をつくっております。リスクの低い医療機器については、 第三者、民間の認証機関において円滑に認証を進めるために認証基準をつくっておりま す。これにつきましては冒頭、和地会長から御指摘がありましたように産業界から全面 的に御協力をいただきまして、現在までに372基準、さらに作業中のものは30数基準ご ざいます。承認基準につきましても、相当数の整備をしてきております。これにつきま しては、さらに今後ISOの基準、あるいはISOの基準を通じての各国の基準との整 合性を取りながら、認証基準、承認基準の整備を積んでいきたいと考えております。  それから基準ということについていいますと、今申し上げた基準は審査の効率化、簡 素化のための基準でございます。先ほど開発のところで御指摘がありましたMETIS の7分野についての開発とタイアップをする形で、私ども次世代の医療機器についての 評価指標についての作成ということで、医政局あるいは経済産業省とも情報交換や協力 をしながら進めております。いわゆる審査基準というのは、少し毛色が違うものですが、 まだこれから開発されるような、現在これから申請される医療機器についても何らかの 評価の指標を示していくという事業を昨年から取り組んでいるところでございます。こ れにつきまして、さらに関係者の御協力を得ながら進めていきたいと考えております。  それからGHTF、ISOの参画について確かに重要なことです。平成17年の法改正 はその国際化というのも一つの大きな柱で進めるところでございます。そういった点で は、特にGHTFの活動については引き続き積極的に参画いたします。私ども医薬・食 品局では、この4月から国際企画官という国際対応専門にする管理職が置かれることに なりました。これを中心にした対応でさらに充実強化をした取り組みができるものと考 えております。  ソフトウエアについてJIRAの猪俣会長からありました。現在、ソフトウエアにつ きましては、機器の一部としてソフトウエアと機械を一体として審査、評価をするとい う考え方をとっております。御指摘のようにソフトウエアとして単独で、機械とは分離 した形で評価をするといった形になっておりません。これにつきましても国際的な動向 等を踏まえながら、どういうあり方がよいかということにつきまして引き続き研究し、 よりよいやり方を考えていく必要があると考えております。 ○二川課長  総合機構からお願いします。 ○岸田オブザーバー  幾つかの御要望をいただいておりますので順次申し上げます。まず、審査体制の整備、 充実というところの御要望です。既に御案内のように、この総合機構発足前から相当の 審査員の充実を図ってまいっております。工学系、医学系いろいろな専門領域の審査員 を配置して、審査の充実に努めております。今後とも申請状況あるいは審査の進捗状況、 そういったものを見ながら適切な採用、配置それから人材育成といったものを図ってい きたいと思っております。  またその審議内容の継続性という御発言がございました。治験相談から審査に至る過 程でそごのないよう、そこは同じグループがちゃんとウォッチするということで一貫性 を持たせる。また、審査の過程でもグループで審査をするというところで、個人個人に よる差のない対応をとっていくということで継続性を図っているところでございます。 今後ともその点については留意していきたいと思います。  承認審査の関係で、先ほどより日本は早くなっているけれども実感がわかないという お話がございました。審査側の消費している期間で見れば、アメリカの政府の消費期間 と同じレベルまで来たといえると思います。企業側の消費期間を含めたトータルタイム でいくと、日本の場合は非常に多い。ただ、16年度に比べれば17年度はトータルタイ ムが大分少なくなってきたということで企業の努力も出てきたのかと思いますが、まだ まだそこは企業側の消費時間がかなり長いです。つまり、こちらからのいろいろな質問 に対する回答に時間がかかっているという状況があります。これは改善をしていく必要 があるかと思われます。私どもとしては、これまでもいろいろな機会をつかまえて講習 会を開いて申請が円滑に行われるような機会提供を行ってまいりました。これはぜひ今 後とも続けて充実していきたいと思いますので、御協力をお願いしたいと思います。  それから日米の比較で、日本は申請数は多いけれども承認件数が少ないという御指摘 がありました。こちらで把握している数字と違うところがあります。もう少し日本の場 合は承認件数が多いです。アメリカの17年度の報告をまだ手にしておりませんので、そ ことの比較はできませんが、アメリカの16年度の新医療機器の承認件数と17年度の日 本の新医療機器の承認件数を比べれば、日本は3分の1ぐらいかなというところです。 これはさらに改善の余地はあると思いますが、審査の充実を図って促進を図ってさらに 高めていきたいと思います。  それからフェーズIVの市販後の安全性データを活用してはどうかという御発言がござ いました。まさに市販前の承認段階、審査段階ではわからないリスクが必ずあります。 それは市販後でもっとしっかりウォッチしていくと、こういう開発審査段階と市販後の 連携といったものが非常に重要だと理解をしております。私どもの審査部門と市販後安 全部門の連携を図ることによって、「より安全な医療機器を早く患者の元へと」こうい うスローガンで進めております。  QMSのことについての御要望がありました。柔軟な運用というところでございます。 これにつきましても、これまでも業界団体といろいろなケースについて話し合いをもっ てきたかと思います。今後ともやはり具体例を出しながら、運用面について円滑に進む よう努力していきたいと思います。その面でも業界の御協力をお願いしたいと思ってお ります。  それから製造所の査察結果の受け入れがありました。M&Aという問題は行政側の問 題ですので、私どもの方で答えるものではありませんが、向こうの査察結果といったも のもは十分に参考にして、海外調査に行くのか行かないのか、書面調査でいいのかとい ったところのメリハリをつけていきたいと思っております。十分に活用を図っていきた いと思っております。  私どもの年次報告で、医療機器に関する記載がまだ不十分ではなかろうか、医薬品と 医療機器を分けてしっかり書いてほしいという御要望でございました。16年度の報告に 比べて17年の業務報告はそういう面では大分充実を図ってきたつもりではありますが、 今の御要望を受けまして、さらに充実を図っていきたいと思っております。  それから日本の医療機器の承認がアメリカ、FDAで余り知られていないのではない かという御指摘がありました。総合機構のホームページで英文版のホームページを立ち 上げております。「どういったものを承認した」あるいは「安全対策をとったのか」と いったものを簡単に紹介するようなことをしております。こういったものを利用して海 外の規制当局への情報発信をしていきたいと思っております。  また新医療機器の審査報告書そのものは日本語ですが、機構のホームページに掲げて ございます。こういったものを皆さん方の業界団体でよく見ていただければ、どういう 点で審査をされて、どういうところが問題になっているかというところがよく理解して いただけます。その結果として承認された医療機器の信頼といったものができてくるの かと思っております。 ○二川課長  要望のありました点につきまして、一応のお答えはあったかと思います。大分時間が 押してきております。どうしても言っておきたいということにつきまして、御発言くだ さい。 ○和地会長  最後の点、少しお願いしたいと思います。要は中国等で入札するときに、FDAの承 認やCEマークを取得しているとランクが上になります。日本は、これだけ審査基準が 厳しくなっているのにかかわらずランク分けをすると下になります。これは、もう少し PRをしていかないと、海外で活動している日本の企業にとってはマイナスになるとい うことでございますのでぜひお願いいたします。 ○岸田オブザーバー  一言だけ。欧米との規制当局との交流、連携を今までも強くやってきたわけです。確 かにアジアとの関係でいきますと、今まで少し希薄な部分があったのかなと思います。 今後は、アジアの規制当局との間のコミュニケーションをしっかりと持っていきたいと 思います。今年そういう考えで、10月にAPECの会議が東京で開催されます。その際 に、厚生労働省と一緒に医薬品等の国際共同治験といったものをテーマに話し合う機会 があります。その際にアジアの規制当局の方もみえますので、その点につきましてもよ く連携を保っていきたいと思います。 ○対馬専務理事  確かにいろいろな御努力はされているのでしょうが、36カ月かかるところが22.7カ 月というと、これはちょっと国民の常識になかなかという感じがします。国民的な関心 も新聞報道等もされています。また医療機器のサイクルが短いということもあると思う のです。ここにおられる方々が知恵を出して汗をかいてきますとということだと思いま す。また、来年のこの場ではさらに10カ月縮んだというようなお話になるように、御努 力をお願いしたいと思います。 ○二川課長  ありがとうございました。この問題につきましても、ここでどうということはありま せんが審査サイドに御努力をいただき、また産業界にもいろいろと御努力をいただかな ければならないと思います。今後もこういった場を設定いたしまして、お互い日本の医 療機器産業をよくしていきたいと考えております。  次のテーマに移りたいと思います。次は保険適用でございます。これにつきましては 新医療機器の有用性、画期性、安全性についての評価のあり方の検討、規制は強化され たのだけれど診療報酬での評価がない、今は機能別だけれどももう少しシリーズ別で細 かくできないのかといった提案もあったかと思います。それから日本医師会の竹嶋副会 長からは内外格差の問題等も御指摘がありました。これにつきまして何かコメントをい ただけますでしょうか。 ○福田企画官  医療課企画官の福田でございます。まず、新しい医療機器の有用性、画期性、安全性 に関する評価ということでございます。全体像としましては、先ほどもお話がありまし たように去年のここでの議論等を踏まえまして中医協の方で熱心に御検討いただきまし た。いわゆる新機能、新技術のC2につきましては、平成18年度から年4回ということ で、そういった新しいものについてなるべく早く国民に提供できるようにということで 対応させていただいたところでございます。  早くもその成果が出てございます。非常に命にもかかわる心臓疾患の関係のものにつ いて、埋め込み型の除細動器とペースメーカーといった機能を合わせ持つものについて、 4月に新機能、新技術という形でC2が出てまいりました。中医協の方でも御議論いた だいてお認めいただいたということです。早速そういった形で成果が出ているというこ とです。今後ともこういった結論を適切に運用していく形で事務局としても努力をして まいりたいと考えてございます。  それから特定保険医療材料については、有用性、画期性、安全性について一つのカテ ゴリーが既にあるわけですが、御質問、御意見にございましたいわゆる体外診断薬です とか画像診断といった部分について、特に臨床上の有用性の評価についてさらに踏み込 んでほしいといった御要望であったかと思います。ここの部分、御承知のように現在で は技術評価の枠組みの中で対応させていただいてございます。平成16年度ぐらいからで すが、中医協の下部組織といいますか、内部組織といたしまして医療技術の評価に関す る専門家によります分科会を設けております。現時点では、そういったところで臨床的 な意味での有効性というものを評価をしていただいて、それを踏まえて中医協の方で診 療報酬としての具体的な評価をしていただくといった流れになってございます。やはり 臨床上の有用性とか有効性の評価を認識するのは非常に大事だということで、今回、マ イナス改定の中ではございましたけれども、18年の改定におきましては新しくそういう 評価をきちっとしようという流れの中で、MRIですとかCTといったものにつきまし て、臨床上の機能を評価するということでメリハリをつけた評価をさせていただいてい るということでございます。やはり適切に臨床上の有効性を評価していくというこは、 非常に大事だと思っております。そういった観点からは、現行の枠組みをうまく活用し ながらさらに充実を図っていきたいと考えております。最新の知見とか評価にあたって の考え方というものについてお知恵や御示唆がございましたら、いろいろな場を通じま して情報提供をいただければ私どもの議論の中に生かしていきたいと考えてございま す。  それから機能区分の関係が出てまいりました。これも今さら申し上げるまでもなく比 較的大きくくくっておりますのは、競争によります価格の適正化や大きな機能区分に応 じて、その機能に応じた適正な評価というものを合わせ期待をしているというものでご ざいます。そういった中で価格について、適正な評価というものも含めて獲得されると いうことを期待しているものです。この点につきましても、一昨日中医協の方で材料専 門部会を開催させていただきました。今後の大きな方向性というところで、一番のポイ ントは内外価格差ということです。すべてがここに連動していくわけですが、より適性 な評価をしていく観点から内外価格差の是正といいましょうか、そういった状況も踏ま えつつ機能区分のあり方につきましても、いわゆる一定幅、今4%になっていますけれ ども、そういった一定幅の見直しといったことも含めまして今後検討していく課題とし て認識をしているということです。今後、中医協の方で議論させていただく形になろう かと思っております。  それから内外価格差の点、中医協においても竹嶋先生から御質問をいただきました。 内外の関心も非常に高い話題でございます。前回も中医協の中でも御提言させていただ きましたように、次の改定に向けて、アジアの価格の調査なども含め議論のための材料 をきちんと集めたいと思っております。内外価格差、特に不合理な内外価格差につきま して国内での審査、流通、また医療機関の集積度の問題といったさまざまな要因がある と一方では言われております。そういったことの定量的な把握も含めまして今後中医協 の方で議論をさせていただきたいと考えております。以上でございます。 ○二川課長  ありがとうございました。保険適用の問題につきましても、何か御発言がありますで しょうか。  時間の関係もございますので次のテーマに移りたいと思います。次は使用時の問題と いうことで、医療機器の保守管理の推進とか、立ち会い基準の策定といったことにつき ましての発言がございました。この点につきましては、私の方から現状認識等につきま してコメントをさせていただきたいと思います。  御承知のとおり、医療機器最初はよくても管理が悪ければ期待された効果は発揮され ないわけでございます。機器につきましては、その保守管理が大変重要だということで ございます。私ども厚生労働省といたしましても、医療機器の保守管理を徹底していた だくためにそういった医療機器管理室といったところを各医療機関に実施していただく お願いをしているわけでございます。若干ですが、補助金もあるといったようなことで ございます。  さらに現在、国会審議中の医療法の改正案におきましては、医療の安全確保を管理者 に義務づけるとなっております。その運用に当たりましては、医療機器の保守管理とい うことも内容に含めていこうという考えでございますので医療機器の保守管理を推進し ていきたいと思っております。  それから立ち会い基準につきましても、公正取引協議会で作成いただいていると承知 しております。ただ、随分時間がかかっているなということを率直に思っているわけで すが、基準ができましたらばそういったことで周知の徹底を図っていきたいと思ってお ります。以上でございます。この点に関しまして、さらに追加の御発言がありましたら どうぞ。 ○松本代表幹事  保守管理関連も含めて、医療機器というのはいわゆる法定耐用年数とか使用可能年数 が非常に長い、磨耗するまで使ってしまえという感じです。病院さんの予算が少ないと いうこともよくわかりますが、保守管理に力を入れれば入れるほど長持ちするという非 常に痛しかゆしのところもございます。市販部品を使っている場合、特に日進月歩の時 代に部品がなくなるという場合、メーカーは在庫コストもかかるということもございま す。そこら辺で保守管理を十分するということと、耐用年数といいますか使用可能年数 の問題も含めてお考えいただくようなシステム、それがひいては薬で言えば薬害、医療 系で言えば医療過誤といった問題にも絡んでくると思います。メーカーとユーザー、行 政の三者で何かそういう医療事故に対する責任分担システムに関するガイドラインとい うような検討委員会みたいなものもあっていいのではないかという気もいたします。  もう一つは、そういうことも含めてですが国際競争力を強化する。今後中国やインド など市場がますます拡大する国へ持って行きますと、知的所有権も含めていろいろ問題 が絡んできます。これは保守管理だけではありませんが、そんなことも感じます。以上 でございます。 ○二川課長  ありがとうございました。これについては承ったということでいきたいと思います。 他になければ次のテーマに移ります。情報化ということにつきまして、医療材料の情報 化の推進ということで、コードの付番といったことについての御指摘があったかと思い ます。これにつきましても、経済課の方でコメントをさせていただきたいと思います。  医療材料につきましてJANコードをつけてくださいということでございます。これ は材料価格を把握するために必要だということです。去年は余りついていなかったので すが、大分ついたということになっております。したがいまして価格の把握という点に おいては十分ですが、そのつけたコードをきちっとMEDISというデータベースの登 録をいただきませんと、医療機関の方で実際にそのコードは使えないということになり ます。医療機関の方でもちゃんと活用していただくのが大事で、使えないようなもので は困るといったことでMEDISへの登録のお願いをしております。今現在7割ぐらい ということでございます。ただこれもついこの間までは5割ぐらいの登録であったとい うことですので、大分努力をいただいていますが、やはり全部登録していただかないと 実際には医療機関の方では使えないだろうと思っております。この点につきましては、 この場をお借りして各メーカーさんにはMEDISへの登録をぜひともお願いをしたと 思っております。  さらにこの点について、何かコメントがございますでしょうか。これは私からのお願 いをしたということで、最後のテーマに入ります。その他というところに押し込めて大 変申しわけないのですが、歯科医療機器産業の推進ということで歯科に関しても御発言 がございました。これに関しましては、厚生労働省側から歯科保健課長さんコメントご ざいますか。 ○日高課長  今日御発言がございましたように、歯科分野につきましてもEBM推進が重要だと思 います。厚生労働省としても口腔の健康と全身の関係につきまして、厚生労働科学研究 などで推進を図っております。診断治療に必要な機器や材料の開発は、歯科分野も必要 だと思います。中尾会長がもおっしゃったような研究開発には、科学的な根拠が求めら れますので、そういう観点から学会と一層の連携を図っていただくことが重要だと思い ます。 ○二川課長  それから産業振興の観点から、経済課からも医療機器産業ビジョンの中で歯科のこと に触れていなかったということがございます。こういった歯科医療機器につきましても、 国際競争力の強化という視点で取り組んでまいりたいと思いますし、むしろ業界の方が 先に取り組んでいただきましたので、その成果につきましてはまた私どもの方で考えて いく際に参考にさせていただきたいと思っております。  その他もろもろ、大体時間が来ております。発言をしたいという方。 ○対馬専務理事  今回、個別にはいろいろな議論をして私なりにわかったという面はありますが、全体 が見えないところがあります。といいますのは、このビジョンは国際競争力の強化が一 つの大きなテーマです。国際競争力についてのどういった見方、指標があるかというの はいろいろあるのでしょうが、やはりわかりやすさということからすると輸出がどうな って輸入がどうなったかといったものがあると思います。ところが今回、資料を見ても どこにも出てきません。二川課長にお願いした方がいいのか、業界の方にお願いした方 がいいのか、余り各論的なことだけでなくビジョンについて、それに対して今現在どう なのか、どういう方向なのかということがわかるような資料をおつくりただき、わかる ような説明をしていただければ大変ありがたいと思います。次回にでもよろしくお願い したいと思います。 ○二川課長  全くそうだと思います。一応ここでコメントできることだけをしておきますと、医療 機器につきましては、いわゆる国際競争力指数ということで単純に輸出から輸入を引い てみる。それがプラスかマイナスかといった指数がございます。医療機器につきまして は、ずっとマイナスと、要するに輸入超過ということでございます。それだけではない のかもしれませんが、やはりその指数から見るかぎりは国際競争力は必ずしも高くない ということだろうと思います。  それから先ほど途中で御発言ございましたけれども、治療系の分野に関しましては国 内の産業で世界的にグローバルな企業というのは余りございません。診断系の産業はま だ世界的にグローバルに一定のシェアーを保っている会社が何社かございます。そんな 状況でございまして、そういった数値もきちっとお出ししながら御議論いただかなけれ ばいけないと思います。私からコメントをさせていただきました。  時間の方も少し超過をしてしまい大変恐縮でございます。まだまだ議論は尽きないか と思いますけれども、本日はこのあたりにいたしたいと思います。 6.閉会 ○二川課長  それでは最後に、辻厚生労働審議官より、ごあいさつ申し上げます。 ○辻厚生労働審議官  大変御熱心な御議論をいただきまして、心から御礼を申し上げます。一堂に会する、 そしてフランクに議論するということは大変有意義だということを、私自身今日実感い たしました。お話にありますようにいろいろな問題がありますが、ともかく国民の医療 がよりよく早く得られますように、私どもは全力を尽くさなければならないと思います。 そのためには、一つ一つのことを丁寧に議論して踏み込んで解決いたすように最善を尽 くしたいと思います。  そういうことでこのような機会を今日得られましたことを、重ねて感謝を申し上げま すとともに、今後ともますますよろしくお願い申し上げますとお願いいたしまして、ご あいさつにかえさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○二川課長  どうもありがとうございました。これでこの懇談会は閉会といたします。                                       終了