06/06/06 第29回薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示部会食品表示調査会議事概要 第29回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要 1.委員の出欠   上谷委員が欠席。 2.概要 <議題1について>  事務局より資料について説明。 座長(丸井):前回、取りまとめた報告書のパブリックコメントの結果に  ついて資料に基づき説明頂いた。今回は、現状の経過報告のようなもの  であり、何かが決まったということでは特に無い。資料1は、報告書そ   のものに対しての意見とそれに対する考え方、資料2は、報告書の第I  章で取りまとめた現時点での原料原産地の表示対象品目の見直しの考え  方に従い表示義務の対象として追加してほしいと要望のあった品目につ  いて、資料3は現時点での原料原産地表示の見直しの今後の具体的な進   め方について、この3つについて説明いただいた。   まずは、資料1について、そこにあげられている報告書に対する意見  あるいは、それに対する考え方について、委員の皆様からご意見、ある  いは回答はこのようにした方が良いと言うようなことなどご意見を頂き  たい。 増田委員:ガイドラインはどのくらいの拘束力があるのか。任意表示と言  うことで、消費者の立場からすると、取りあえず引き込み線を作った感  じである。一方、義務表示は、商品選択のための最重要なツールであり、  ガイドラインあるいは任意表示というのがなにか曖昧にしか受け取られ  ない。   今回、寄せられた意見では、例えば事業者に対して配慮する必要はな  い等消費者は大変厳しい態度をとり、事業者は事業者で思惑がらみの意  見を出しているという悩ましい状況である。それだけに、この会議は大  変大きい意味があると感じている。 座長:共同会議の役割の重要性についてご発言があり、確かにその通りと  思う。最初に発言があった、任意表示とガイドラインの位置付けについ  て事務局より説明をお願いする。 事務局:公的にどのように位置づけられるのかはなかなか難しいところが  あるが、全ての事業者に全ての品目について原料原産地表示を義務付け  るのは難しいと考えられる中で、いろいろな条件や環境等を勘案して、  共同会議で義務付けの考え方を整理し、義務化が必要なものに関しては  義務付けしていくことになると考えている。   ただ、義務付けが難しいものがある中で、ガイドラインを作るという  場合、事業者、消費者の方、いろいろな方に入っていただきご議論いた  だく。その中で実行可能性等も踏まえながら、できるだけ事業者の方も  表示を行う方向でガイドラインを定め、農林水産省の名前で広く公表し、  法的に拘束力はなくとも広く周知された中で消費者の目、ある意味監視  の目の中で表示への取組が行われる。取組みの方向性が一応形として示  された中で、事業者の方々が創意工夫をしながら取り組んでいくことで  ガイドラインがあると考えられる。   では、全部の品目についてガイドラインを作っていくことは、これも  また難しい中で、報告書の第II章の中で出来るだけ任意の情報提供をし  ていくべきことについて取りまとめていただいた。品質表示基準の中で  も、例えば特色ある原材料の表示で事業者の一方的なメリット表示にな  ってはいけないので一定のルールがある。原料原産地表示の義務付けが  行われている中、消費者の関心も高まっている中で、任意による情報提  供について、できるだけ行って頂きたいと考えており、この場合に一方  的な情報提供にならない様、一定のモラルを持って原料原産地表示を行  って頂くなど、共同会議での見直しの議論の中で出たご意見を報告書の  中で取りまとめていただいた。   そうした事業者の任意での取組のようなものが根底にあって、さらに  外食のガイドラインのように、もう少し大きな業界一丸となって取り組  みをしていくといったようなものを決めていく場合にガイドラインが公  的な位置づけがあるものとしてある。さらに、義務化をしてまで情報提  供していかないといけないもの、そういったものに関してはJAS法に基  づいて義務化をしていく、そういう大まかな考え方があるのではないか。 座長:あらためて大枠を振り返ると、できればおのおのが自発的に適切な  表示をする、そういう任意表示が進めば良いが、実際には適切な表示が  なされないことがあるため、必要に応じては義務表示というものを考え  ていく。   ただし、業界で自主的に表示をコントロール出来るときにはガイドラ  インを定めることにより、法律的に縛るのではない対応が行われる。し  かし、自立的に業界としてコントロールできない場合に、任せておいて  良いのか、何らかの形で強制力を持った形で表示を求めていくのか、そ  ういう点に対して、我々は考えていくところがある。 神田委員:参考資料1の25番についてだが、安全性が確認された上での  表示が必要だということについて、もう少し丁寧に回答するべきではな  いか。リスコミ等で全国的にあがっている意見も踏まえ、包括的な回答  が必要ではないか。 事務局:私が説明を忘れていたので申し訳ないが、事前に委員の皆様には  資料を送付しているが、本日の資料において、ご指摘の部分については、  評価の過程なども加えてもう少し詳しく回答したものにしている。私の  説明不足でした。 神田委員:読んでみます。 座長:BSEに関しては、事態が進んでくればまた改めていろいろ意見が  出てくるかもしれない。   資料1については、このような意見が出ているというものであり、そ  の意見について議論をするというものではないであろう。   それでは、資料2について。資料2は、報告書の第1章で取りまとめた  加工食品の原料原産地の見直しについて、義務表示対象として追加すべ  きとして要望のあった品目についての資料となる。   豆腐・納豆についてのガイドラインの紹介なども含めて説明が先程あ  った。要望のあった品目についての回答ではないが、選定要件と関係の  ある資料を事務局がまとめている。ご意見をどうぞ。 長野委員:衛生監視員として消費者と事業者との間に入ってリスクコミュ  ニケーションを行っているが、豆腐・納豆のガイドラインに関して消費  者がどこまで理解できるか、ガイドライン等が無いと表示がなぜ進まな  いのか、そういったことを食育の観点からも学ぶことが必要なのではな  いか。表示だけで全てを判断して安全なものを選ぶのは限界があるので  はないかと思われるが、ガイドラインを策定する先の、そういった食育  などの教育という面についても考えていく必要がある。 事務局:まず、食育に関しては農水省として進めていきたい。   豆腐・納豆のガイドラインに関しては、20食品群を検討した際に、  実効性等からガイドライン又は公正競争規約により表示の普及に努める  といったご意見をいただき、これに基づき業界等と意見交換を進めてき  たもの。ガイドラインといっても品質表示基準と異なる曖昧な表示をす  ることはできないので、品質表示基準に従ってどうやって表示を進めて  いくのか等も含めガイドラインの検討を行っている。ガイドラインは総  合食料局で策定しているが、今後、事業者はもちろん消費者の方々にも  ガイドラインの内容等の普及を進めていくことになる。 座長:ガイドラインは、自ら表示をしていくという業界としてのいわば意  思表示である。食育等に対する理解を深める場合のツールとしてどう使  っていくのかというようなことも、今後考える  のではないか。 門間委員:資料2の主な意見のまとめにおいて「生産者団体」は、以前に  も同じ指摘をしたが、農業生産者団体のことで、食品製造業者ときちん  と別に分けてわかるように書くべき。   要望をみると、消費者の意見はほとんどなく、農業生産者の意見ばか  りである。あるいは、消費者団体の意見もその産物の生産地の団体から  の意見であるようだ。これらをもとに原料原産地表示の是非を考えると  いかがなものかと思う。他の委員の皆さんはどう思われるか。 神田委員:「パブリックコメントではこうやっている」等の意見だけで先  に進んでいってもいいのかどうかという感想はもっている。 事務局:農業生産者としては、自分でものを作っており、表示をして欲し  いとの意見があるのはある意味当たり前な面がある。食品の製造業者に  とってみれば、あまりに細かな表示はどうかというような意見もあるだ  ろう。消費者としてはどうかというと、普段はあまり気にしていないも  のも、BSE等なにかあった場合、どこのものか知りたいという気持ちが  大きくなる等の傾向があるのではないか。そうした状況によって意見に  偏りがあってでてくることはある面しょうがない。むしろ、この要望が  あった品目について消費者の選択にとって価値があるのかを、あるいは  実行可能性があるのかなどを考える必要がある。意見のバランス等に関  しては議論しても仕方がない面があると考えている。 事務局:今回は要望のある品目についてのパブリックコメントであり、今  後、更にご意見を聞くこととしており、その中では難しい面などのご意  見も出てくるものと考えている。 門間委員:今の説明だが、前々回に、表示は消費者の選択に資するための  ものであって、生産振興のためとは別問題とのことについては異論がな  かったはずだ。農業生産者が意見を出すことについては気持ちとして理  解できるが、それは別だと議論されていたはずで、今の説明については  心外である。   農業生産者の意見として典型的なのは、例えば資料2の84番の「輸  入加工原料と国産果汁原料の表示をお願いしたい。しかし、国内産果汁  については産地(県)までの表示は逆に製造元に対して負担を強いるこ  とになるため輸入か国内産までの表示にして欲しい。」の意見などで、  自分の負担は嫌だが他人には負担をさせると言っているようだ。   自分も他人も負担があるというのならともかく、食品の製造事業者に  だけ負担を課す片務協定のようなものがよいのか。そこを問題としたい。 事務局:農業者の出した意見そのものがどうかではなく、要望としてあっ  た品目を消費者の視点で商品選択として価値があるのかなどをこの共同  会議においてどう判断するのかが今後の議論だと考えている。 座長:資料2は、今後、更に意見を聞くなど検討の対象とするものを示し  たもの。件数が多い・少ないなどに関係なく議論をしていくものであり、  要望があれば議論としては取り上げるというものであるかと思う。門間  委員のご意見は今後、議論していく視点ではないか。 沖谷座長代理:資料1については、報告書に対する意見と考え方をまとめ  ているが、これまで共同会議で議論してきた内容となんら変わりなく、  新たな考え方は寄せられてはいないと思われる。   品目に関しては、20食品群を決めた際には、パブコメ等を踏まえ原  案を出してもらい、共同会議で全品目について議論をして決定した。今  回、資料2にある品目は、一部を除き、前回、境界線上にあって調整を  行い、義務化しなかった品目がほとんど出てきているのではないか。そ  ういう意味でも、これまでの共同会議での議論は間違っていなかったと  思うし、何か新たなものが出てきているということではない。   個別品目毎の事情に配慮して義務表示の対象とするか否かを検討する  という方法はしないことにしたのであり、意見聴取の結果を踏まえて、  共同会議でまとめた考え方に基づき、判断をしていくことでよいので  はないか。 座長:資料2は、1点でも要望があったものはリストに挙げた。それをど  うするかはこれからになるが、資料3が今後の進め方となる。今後、  原料原産地表示に関して義務化するか否かの具体的な議論をしていくこ  とになる。一つ一つをどうするのかは、公開ヒアリングなどを踏まえて、  事務局でまとめていただくことになる。   今回のパブリックコメントは公表するが、資料1もまだ原案というこ  とであり、パブリックコメントのまとめを公開し、ヒアリング等を行っ  ていくことになる。その辺りについてご意見があればお願いする。 小笠原委員:資料2も公開するのか。 事務局:公開します。 小笠原委員:資料の中で農業者団体と事業者団体をわけること、また、件  数については、個人と団体等の数は別々に示すべき。 座長:参考資料3というのがあるが、これは第26回のときの資料であり、  このときに提案があったときに、農業生産者、消費者、製造業者等、個  別に書いてあるが、そういうイメージか。 事務局:パブリックコメントの公表に関しては、資料1の意見と回答など  の他、提出されたものについても公表する。その際は名前なども公表す  る。 座長:机上配布資料2は実際にはどうなるのか。 事務局:現在は机上配布資料だが、この後公開する 門間委員:個人が特定できるかたちで公開するのか。 事務局:パブリックコメントを行う際に、公表を前提としたものであり 、匿名を希望されるかたはその旨書いて欲しいとして募集をしており、  匿名の記載の無いものに関しては、公開対象であると考えている。 門間委員:本人まで特定されるものまで出すのか。 事務局:前回のパブコメの時にも同じ考え方でコメントを公開している、  当然、電話番号や住所等に関しては消しているが、公開条件に関して  は募集の際に明記してある 神田委員:資料2で参考として政策提案で出てきたものが書いてあるが、  継続して対象としていくのか。また、政策提案とはどのようなもので  あったかもう一度確認したい。 事務局:まず、政策提案は、農水省の行っている施策に対して地方自治  体等がこのような政策を行うべきとして提案されるもの。   今回、参考として示した2つに関しては、要望がこなかったもので  あるが、共同会議の資料の中で、20食品群を決定後に義務表示の対  象とすべきとして要望があったものとして紹介しているため、意見と  しては出ていると判断されて今回意見を出さなかった可能性もあり、  今回参考として紹介をしている。今後、具体的な意見が出てくれば  それはそれで考慮する、出てこなければ新たに更に意見はなかったの  だということになると思っている。 座長:これ以上あがってこなければ、議論をしないのか。 事務局:議論をしないということではなく、意見募集で意見が出てこな  ければ、当該品目については新たな意見は無かったという扱いを考え  ている。 事務局:パブコメは広く意見をもらうことを目的としており、この2品  目については、政策提案等に意見として頂いており、共同会議でも紹  介しているもので、事務局として意見があったことは受け止めている。 板倉委員:資料2にあがっている品目に関しても、以前から議論してい  る品目が多いのだが、今後見直すとすると、横断的な条件を見直すと  かしないと議論できないのではないか。公開ヒアリングをするのも良  いが、今後どういうスタンスで議論をすすめていくのかが見えてこな  い。非常に不安である。この点他の委員の方いかがでしょうか。 米谷委員:同じようなことをいつ言おうか待っていた。資料2について  はこれまでの議論を踏まえればこの様なものだと思う。今後の予定は  資料3にあるが、先ほども板倉委員もおっしゃっていたが、この先の  検討が重要であり、その品目を追加するか否かは表示の必要性と実行  可能性をどのような考え方で検討をすすめていくのかという問題とな  る。この検討をすることが共同会議、あるいは事務局の役目であり、  非常に難しいことと認識している。 座長:事務局の方から説明をお願いする。 事務局:昨年7月以降の議論を踏まえて報告書の4ページに考え方をま  とめているが、共同会議の議論として、20食品群を選定したときの  基本的な要件は現時点で変えるということではなかった。ただし、2  0食品群の選定を行ったときには、基本的には、加工度が低く生鮮食  品に近いものとして加工度が1段階ということにかなり重点を置いて  選定を行った。ただ、加工度が必ずしも低くないものでも品目間の調  整等により対象にしたものもあった。   今回の見直しにおいては、近年の状況の変化に鑑み消費者の関心の  高まっているもので、加工度ではない要件である「原産地によって原  料の品質に違いが見られ商品の差別化がされていること」や「原料の  調達先が海外も含め多様であること」といった要件、さらに品目間の  整合性を踏まえると境界線上に上がってくる品目もあるのではないか  というご議論があった。実行可能性に問題のあるものまで義務付けを  行うということではなかったが、このような考え方をおまとめいただ  いたと考えている。 座長:資料3の進め方にそって今後議論する場合、どのような考え方で  議論するのかについて質問があり、お答え頂いた。   原則は変えないが、実態として変わったもの、消費者の関心が高ま  っているものはどうするのかということであったが、それほど多くの  追加とはならないであろうと思われる。ただ、大変難しい作業になる  とは思うが、本日、品目の議論をすることではない。  次回の共同会議に関しては、9月以降と思ってよいのだろうか。 事務局:ヒアリングを7月下旬〜8月上旬で行う予定としてることから  すると、この課題については9月の中下旬くらいにならないと議論を  行うことはできないと考えている。 座長:今後、パブリックコメントを公開し、意見募集、公開ヒアリング  を行う。公開ヒアリングには各委員にも是非出席していただきたい。   次回の共同会議に関しては、集まった意見の取りまとめ、議論の素  材を事務局でつくってもらい進めていく。 事務局:先ほど神田委員から資料1の25番に関しては、事前に送った  ものから本日の資料は修正を行っているとの説明をしたが、本日の委  員のご指摘を踏まえもう少し丁寧に説明したものに変更したい。委員  にもご相談をさせていただきたい。 座長:この点は、貿易問題に関連して非常に大きいものであり、更に検  討して頂きたい。   本日の大きい議題は終了した。次に、遺伝子組み換え食品の表示対  象品目の追加についてのパブリックコメントの結果について説明をお  願いする。 <議題2について> 事務局:パブリックコメントについては、意見は無かった。   一方、参考資料2―2 を用意しているが、前回の共同会議で委員  からテーブルビートが対象になるかどうかの質問があった。   これについては、「てんさい」の範囲について、誤解があるといけ  ないので、今回、整理した資料を示させて頂いた。   ビートには、製糖用のてんさい、根を食べるいわゆるテーブルビー  ト、葉を食べるふだんそう、飼料用があり、植物学上変種レベルで異  なること、日本標準商品分類でも別に区分されていること、形態的に  も差があることなどから、今回の遺伝子組換えの表示対象となるもの  は、製糖用のいわゆるシュガービートである「てんさい」である。 座長:パブリックコメントでは意見がでなかったようだ。   特に意見が無いようなので本日は終了する。次回の予定についてご  説明願いたい。 事務局:公開ヒアリングを7月下旬〜8月上旬に予定しており、次回共  同会議は9月に開催したい。日程については、追って調整させて頂き  たい。   また、公開でのヒアリングを予定しているが、各委員におかれては、  できるだけご出席頂きたい。 座長代理:意見募集の際、今回の品目のリストに載っているものについ  てはパブリックコメントで意見が出てきたものを単にリスト化したも  のであり、共同会議で議論をして選んだものでないことがわかるように  明記しておいていただきたい。 事務局:その旨記載するようにしたい。 座長:では、これにて終了。  以上 【照会先】 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課   担当 松岡、有本、関井    TEL:03-5253-1111(内線2921) 農林水産省消費・安全局表示・規格課   担当 足立、京増、中村   TEL:03-3502-8111(内線3309)