男性が育児参加できる働き方に関する検討結果の整理(案)


 男性の育児参加とワーク・ライフ・バランスの推進

 仕事も家庭も大切にしたいという、男性の声
 子育て中の両立から、みんなのワーク・ライフ・バランスへ
 ワーク・ライフ・バランスは労働者と企業の双方にメリットをもたらす
 労働者のライフスタイル選択と企業の関わり
 職場間、企業間の育児支援のバランス
 男性の育児参加の多様性

 男性が育児参加できる働き方の必要性とそのメリット

(1)企業にとっての必要性

(1) 従業員のニーズへの対応
 子育て期の男性の多くが、仕事も家庭も同じように大切にしたいと希望
 共働き世帯が専業主婦世帯を上回るようになっている
 「夫は仕事、妻は家事」という考え方や働き方と、子育て世代の意識やライフスタイルとのギャップ
 企業を支える子育て世代が意欲をもって働けるようにするためには、そのニーズや意識の変化に対応していく必要がある

(2) 多様な人材の活用 − 特に女性の活躍に向けて
 厳しい競争環境の中で企業の力を高めていくには、多様な人材の能力を活用することが不可欠
 女性に育児が集中する環境は、女性の能力発揮の阻害要因。女性の活躍を進めようとすれば、夫婦で子育てできる働き方が必要
 育児に参加する男性が増え、その働き方が変われば、仕事と育児を両立しながら働いている女性にとっても働きやすい職場になる
 男女を問わず、「仕事人間」だけでなく、生活者の視点や経験をもつ人材を活用していく上でも、生活とバランスのとれる働き方が重要

(3) 生活時間と仕事時間のバランスの実現
 子育て世代の男性が長時間労働をしているという現状
 働き過ぎによる疲労や意欲の低下、心身の健康状態の悪化は企業にとって深刻な損失
 夫が家庭を顧みることができず、妻が家事育児負担で心身の健康を損ねれば、夫は安心して仕事に向かうことができない
 従業員が、健康で意欲をもって仕事に取り組めるようにするには、生活時間と仕事時間のバランスを取れるようにすることが不可欠

(4) 企業の社会的責任の遂行
 従業員の多様性を尊重し、安心して快適に働ける職場を提供することをCSR(企業の社会的責任)に位置付け、ワーク・ライフ・バランスの実現などに取り組む企業も増加
 企業は本来の企業活動だけではなく、社会貢献活動や環境問題への取組などの側面も含めて評価されるようになってきており、社会からの信頼を得るためにも、こうした取組が求められる

(2)企業にとってのメリット

(1) 優秀な人材の確保・定着
 優秀な人材の確保、定着は、企業の成長にとって不可欠
 労働者が希望するライフスタイルを実現できる環境を提供することは、優秀な人材を惹きつけ、勤労意欲を引き出す、もう一つの「報酬」となる

(2) 従業員の意欲の向上、生産性の向上
 育児参加している男性は、子育て可能な職場環境に満足感を持って働いている
 休業をした従業員は、休業中のブランクを補うようにきちんと働き、評価を得ている
 育児時間確保のため、メリハリのある働き方をし、質の高い仕事をする
 育児参加で仕事から離れる時間を持つことは、労働者の発想を豊かにしたり、創造性を高めることに寄与する

(3) 仕事の内容や進め方の見直し、効率化
 育児に参加している男性は、今までの仕事のやり方を見直し、一層計画的に効率よく仕事をするようになる。その働き方のモデルが、職場全体に好影響を及ぼす。
 育児休業や短時間勤務は、業務配分方法の見直し、業務や情報の共有化など、仕事の進め方を見直し、効率化するきっかけとなる。

(3)男性労働者や家族にとってのメリット

 育児を楽しむことで仕事にも意欲的になる
 夫婦の理解を深める機会となる
 育児、家事を通じて、仕事に通じる新たなマネジメント力・リスク管理が身に付く
 仕事一辺倒になっていた心身のリフレッシュの機会
 これから育児参加を経験する部下に適切なアドバイスができる
 夫が育児や家事を分担することで、子育てで忙しい妻の心と身体に余裕ができる
 仕事を持つ妻が働き続ける上で夫の育児分担は欠かせない
 父親が子どもと触れ合う時間が増えることで、家族の絆が深まる

 男性が育児参加できる働き方を可能とする取組

(1) 企業理念・企業風土
 従業員一人ひとりの仕事と生活のバランスを大事にすることを企業理念とし、そのような企業風土づくりに努力

(2) トップの姿勢や取組
 企業トップが、ワーク・ライフ・バランスを経営戦略の中に位置付け、取り組む姿勢を明確に示し、その考えを企業内に浸透させていくための仕組みを工夫

(3) 管理職や労働者の意識改革
 男性の育児参加のポイントは管理職の理解
 ワーク・ライフ・バランスは子育て世代だけでなく従業員全体の働きやすさにつながること、育児参加が意欲向上や仕事の効率化につながることなど、管理職の意識を変える取組
 労働者自身が仕事と生活のバランスの取り方についてしっかりとした考え方を持ち、周囲の理解を得ること
 労働者を対象とした意識啓発

(4) 人事制度面の工夫
 休業等を利用した場合の評価制度や昇格制度における取扱いをルール化し、従業員に周知
 働いた時間ではなく、成果による評価
 ワーク・ライフ・バランスを考慮した短時間勤務制度
 育児休業制度等を見直し、男性も使いやすい制度に
 事業所内保育所の設置

(5) 労働時間管理面の工夫
 日常的な育児参加を可能にするためには、労働時間の管理が重要
 「毎日がノー残業デー」、「夜9時には消灯」、「週1日は定時退社」などの取組
 残業が増える原因を追及することは、仕事の効率化を図り、生産性を上げることにつながる
 企業価値を高める戦略として計画的な残業縮減の取組
 現場レベルでの管理職のマネジメントによる残業時間縮減の工夫
 育児参加している男性の、時間管理を意識した働き方

(6) 要員管理や仕事の管理
 育児休業期間の長短や職場の状況に応じた代替要員の確保
 仕事や情報の共有化、業務量の調整、コミュニケーションへの配慮等の工夫
 男性労働者自身の休職前の仕事の段取り、円滑な復職のための努力

(7) 労働者への情報提供
 制度の紹介や男性の育児参加の事例紹介
 ワーク・ライフ・バランスに関する情報提供・相談

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