06/05/31 介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議 第2回議事録      介護保健制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議第2回議事録 日時・場所 平成18年5月31日(水)10:00〜12:00       厚生労働省専用15会議室(中央合同庁舎第5号館7階) ○山崎総務課長 それでは、第2回介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識 者会議を開催させていただきます。  まず初めに、委員の交替をお知らせいたします。この度、矢野委員の御退任に伴いま して、日本経団連の紀陸孝専務理事が委員に着任されました。御報告させていただきま す。 本日の委員の出席についてでございますが、山本委員、矢田委員から欠席の連絡 を受けており、矢田委員の代理として神戸市保健福祉局高齢福祉部の森田部長にお越し いただいております。  それでは、京極座長よろしくお願いいたします。 ○京極座長 それでは、本日の議題に入ります。まず、事務局から本日の資料の確認及 び説明をさせていただきます。 ○渡辺介護制度改革本部事務局次長 それでは、まず資料の確認をさせていただきたい と思います。  本日は、資料1といたしまして「障害者自立支援法について」というA4横紙の資料、 資料2といたしまして「障害者雇用対策について」、資料3といたしまして「今後の社 会保障の在り方について」ということで、これは5月26日に取りまとめられたものでご ざいます。  それから、参考資料として「第3期計画期間における第1号保険料について」、参考 資料2といたしまして「障害者(児)の状況等について」ということでお配りしており ます。もし漏れ等がございましたら事務局の方にお申し付けください。  それでは、資料1、2、3に沿いまして障害保健福祉部、高齢者障害者雇用対策部の 方から御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○伊原企画官 障害保健福祉部で企画官をしております伊原でございます。お手元の資 料の1で、障害者自立支援法と介護保険制度との関係ということについて御説明させて いただきたいと思います。  めくっていただきまして「障害者施策と介護保険との関係(1)」とございますが、この 下の表にございますように、現在でも障害者の方のうち要介護状態にある方については 障害がどういう種別であろうが、介護保険が一般的な制度として優先的に適用されると いう仕組みになっております。  具体的に申しますと、介護保険の対象となります65歳以上の方あるいは一部40歳以 上の方につきましては、障害者施策の対象であると同時に介護保険が優先的に適用され るという仕組みになっておりまして、仮に現行と同様の考え方で被保険者範囲が拡大さ れた場合にも、その部分の介護保険が優先的に適用されるという仕組みになるのではな いかと考えられます。  2ページをめくっていただきまして、しばしば障害者施策と介護保険の統合といった 表現がなされることがありますが、正確な表現ではなく、2ページにありますように介 護保険が適用される場合にはまず介護保険が共通のサービス部分をカバーいたしまして、 介護保険の支給限度額を超えるような上乗せ部分であるとか、あるいは介護保険にない ような訓練等給付と呼ばれるようなもの、横出しと言っていますが、それを提供するこ とになります。実際に今の介護保険制度で、例えばALSの患者さんなどで非常に重度 の方の場合は、介護保険がまずカバーし、その上乗せ部分を障害者の自立支援法なりで カバーするという仕組みになっております。  3ページをごらんいただきますと、「障害者と要介護認定者」の関係でございます。 障害者と呼ばれる方々は全体で今650万人と言われますが、そのうち20歳以上65歳未満 の方が約330万人おります。それで、この方々のうち、非常に大ざっぱな推計ではあり ますけれども、いわゆる要介護という状態にある方は約10分の1の34万人程度ではな いかと考えております。65歳以上の障害者のうち要介護状態にある方については既に介 護保険が適用されておりますので、仮に被保険者範囲が拡大されたというような場合に は34万人の方が加わってくるのではないかと考えております。これは、あくまでも現段 階での粗い推計でございます。  4ページは今、申し上げたようなことについて障害者の方々の人数、3障害別の数字 と、それから参考までに介護保険の要介護認定者数というものをお示ししたものでござ います。 5ページをごらんいただけますでしょうか。5ページは「障害者自立支援法 と介護保険制度に共通する基本的考え方」となります。今回、障害者自立支援法が4月 から施行されておりますが、この中で掲げられている幾つかの考え方がございます。そ れは、介護保険と共通する部分が多くございます。  1つ目は、自立支援という観点であります。利用者本位の制度として障害者の方、高 齢者の方が自ら居住する場所、必要とする福祉サービス、その他の支援を自己決定、自 己選択するということを基本に考えていくということです。  2番目は普遍化ということで、福祉サービスを低所得者の方に対する措置的なものか ら契約に基づいてだれもが利用できる普遍的な制度に改め、障害種別とか原因にかかわ らず、支援の必要度に応じたサービスを提供する仕組みにするということです。  3番目は地域ケアということで、障害者の方も高齢者の方も住み慣れた地域で在宅生 活が継続できる。身近な地域におけるサービス拠点づくり、こうした視点で地域ケア体 制の整備に取り組んでいくという点です。  4番目は実施主体の問題ですが、地方分権の観点から地域住民に身近な行政主体であ る市町村が実施主体になるということが共通しているのではないかと思います。  6ページに、今回の「障害者自立支援法による改正のポイント」という点を掲げてお ります。全体で5つございまして、今回の改革で制度的には介護保険と類似する部分が 出てきております。  1つ目は、先ほど申し上げましたような実施主体を市町村に一元化するという点です。 従前、障害者施策は都道府県と市町村の2つに分かれておりましたけれども、今回実施 主体を市町村に一元化するということがはっきりいたしました。  2つ目は後でも申し上げますけれども、障害福祉サービス体系を再編いたしまして、 介護給付というものと訓練等給付というものに分けております。訓練等給付と呼ばれま すものは、就労の支援とか、あるいは自立訓練といったサービスを念頭に置いておりま す。  3つ目は支給決定手続きや基準の透明化、明確化という観点であります。これは従前、 障害者の福祉の場合、サービス水準などについて地域格差が大きいとの指摘があり、そ の原因の一つとして全国で統一した基準がないということが言われておりました。そう いう中で、今回ケアマネジメント制度を制度化しました。それから、全国一律の障害程 度区分というものを導入するとともに、支給決定に当たって第三者の方々の御意見を聞 く審査会というものを設けることといたしております。  4つ目に利用者負担の見直しということで、今後増加する障害福祉サービスを賄って いくために、障害者の方にも御負担をいただいて制度の支え手になっていただくという 改正を行いまして、1割負担の導入あるいは施設などで生じた食費の利用者負担という ことを導入しております。  5つ目に、障害福祉計画の策定という点です。これは、支援費で非常にサービスが伸 びたわけですけれども、将来見通しがなかなか立たずに計画的な整備という点で脆弱な 点があったことから、今回の障害者自立支援法では3年を1期としまして、各サービス の数値目標を毎年度掲げて基盤整備を進めていくという枠組みを設けたところでありま す。  7ページに、「施設・事業体系の見直し」という表を掲げました。これは、今回の自 立支援法で上の箱の中にありますように身体障害、知的障害、精神障害と、障害種別ご とに33種類の施設・事業体系がありましたが、これを6つの日中活動に再編をいたしま した。この表の改正前とありますようなさまざまな施設種別を、右にございますような 日中活動の6つの事業に再編しております。  それからもう一つは、昼間の日中活動と夜の居住支援という住まいの部分について分 離をいたしまして、昼の部分については施設入所されている方も日中違うところの施設 サービスを利用できるような仕組みに改めております。  それからもう一つは、今回の障害者自立支援法においては地域生活の支援、就労支援 という2つの課題を大きな柱にしておりまして、その充実を図るための事業の制度化を 行っております。  8ページに「障害福祉サービスと介護サービスの給付の比較」をお示ししています。 これは左側にございますように障害者自立支援法では介護給付、それから訓練等給付と いうふうな2つの給付に分けております。介護給付の方は、障害者の方に対して居宅や 施設において食事や入浴、排泄などの介護や、その他日常生活上の支援を提供するサー ビス、いわゆる介護的なサービスを提供するものです。また、訓練等給付につきまして は、就労訓練、生活訓練等を提供するサービスという枠組みになっております。  9ページでは「障害福祉サービスと介護サービスの支給決定プロセス」ということで、 今回自立支援法ではこの色刷りの部分を中心に見直しを行っております。市町村がまず アセスメントを行って、その後、障害程度区分の判定を市町村の審査会において実施す る。障害程度区分というのは、障害福祉サービスの必要性に関して、御本人の心身の状 況を判定するものであります。その結果を踏まえて、今度は市町村が障害程度区分の結 果と、御家族あるいはその介護者がいるか、いないかとか、御本人がどういうサービス を利用したいかとか、あるいはその地域のサービス提供基盤がどうなっているかという ようなことを考慮し、支給決定を行うということになっております。  更に、支給決定をする段階で、市町村自身が設定している支給基準との関係で特別な 配慮、支給基準とは大きく乖離するような決定をする必要があると判断する場合につい ては、審査会に意見照会を行うという仕組みになっております。  10ページをごらんいただきます。「介護給付における障害程度区分の判定ロジック」 とございます。この10ページの下の表のような判定の仕組みなっておりまして、まず上 のところの箱の中に書いておりますように介護保険の調査項目は79項目ございますが、 それに障害の特性を考慮した27項目を加えた106 項目で認定調査結果を出します。そ れから、認定調査時の特記事項、医師の意見書というものを2次判定、市町村審査会で 判定をするという形で答えを出すというふうにしております。1次判定につきましては 介護保険と同様にコンピュータによる判定を行いまして、2次判定については、障害保 健福祉の学識経験者から成る審査会で行うという仕組みになっております。  11ページは、それを少し細かく書いて対比した表でございます。  12ページにまいりまして、利用者負担についての考え方でございます。障害福祉サー ビスについて、低所得の障害者の方に対する措置的な仕組みから、いわゆる契約に基づ いてだれもが利用できるユニバーサルな仕組みに見直したわけですが、これに伴いまし て障害者の方も制度の支え手としてその費用の一部を御負担いただくという仕組みにし ておりまして、原則としてはサービス利用料の定率1割負担と、食費、光熱費等の実費 負担というものをお願いするという仕組みにしております。それとともに、配慮措置と いうことで、負担能力に応じて月額の上限というものを設けております。更に、障害者 の方には実際に御家族を含めて非常に負担能力の乏しい方がおられるということから、 このほか社会福祉法人減免制度などの配慮措置も設けてございます。  13ページは「障害福祉計画について」ということでございます。障害福祉計画は今回、 障害者福祉サービスについて初めて数値目標を設定するという枠組みができたわけです けれども、基本的には各自治体ごとに平成23年度の数値目標というものをまずお考えい ただいて、3年間を1期とする障害福祉計画を策定いただくとなっております。それで、 第1期計画は今年度、18年度中に策定いただくことになっておりまして、18、19、20 の3か年計画となっています。具体的には、第1期計画期間と書かれた枠の中にござい ますが、基本指針に即しまして訪問系サービス、日中活動系サービス、居住系サービス、 それぞれについて、数値目標を決めることになっております。  14ページに、国として昨年度末にまとめた将来見通しをお示ししております。17年度 から23年度に向けて訪問系サービス、日中活動系サービスの拡充を図る。居住系サービ スに関しては精神病院の長期入院であるとか、あるいは施設入所から地域へと移行でき るようにしていこう。こういう支援をしていく中でグループホームの数を増やしていく ことを考えています。  それから福祉施設から一般就労への移行を増やしていく。現在、毎年年間2,000 人く らいの方が福祉施設から一般就労しております。大体1%ですけれども、これを23年度 には4倍にしていく。あるいは、福祉施設においても雇用ということで、雇用関係のあ る障害者の方を増やしていくということで現在3,000人でございますが、これを10倍の 3.6万人に増やしていくという見通しを持っております。この見通しにつきましては、 現在自治体がつくっております障害福祉計画がまとまった段階で、再度整理していくと いうふうに考えております。  15ページに自立支援法と介護保険制度との比較ということで実施主体、サービス体系、 支給決定プロセス、利用者負担、計画という側面から両者の対比の表を載せております。  16、17、18ページは参考資料ということでございますが、参考資料の1は今回支援費制 度が3年前に導入されたわけですけれども、これの課題を受けて自立支援法が策定され た、その理由が書かれております。  少しだけ触れますけれども3つございまして、1つは新たな利用者の急増に伴いまし てサービス費用が増大した。従来の支援費制度のままでは制度の維持が難しくなってい たということがございました。  それから、非常に大きな地域格差があるという点です。ホームヘルプサービスの実施 市町村を見ますと、例えば知的障害者で見れば全市町村の約60%にとどまっていた。そ れから、支給決定者数の人口比率を都道府県間で比較すると7.8倍ということで、介護 保険の1.7 倍に比べて非常に大きい水準になっております。  そこで、次のページの参考資料2をごらんいただきたいと思いますが、やはりこの表 をごらんいただきましても都道府県格差あるいは市町村格差というものが大きかったと いうことでございます。  16ページに戻っていただきまして、障害種別ごとにサービス格差がある。特に精神障 害者の方々の支援、福祉サービスは支援費制度には入っていなかった。  4つ目に、働く意欲のある障害者の方が必ずしも働けていないという現状がある。就 労の支援というものを福祉サイド、雇用政策サイド、あるいは教育サイド、皆で一緒に なってやっていく仕組みをつくっていく必要がある。こうした問題意識の中で自立支援 法というものができてまいりました。  18ページに先ほど少し触れましたけれども、今回の自立支援法のポイントをまとめた 資料を載せております。  以上でございます。 ○土屋職業障害者雇用対策課長 職業安定局障害者雇用対策課長の土屋と申します。ど うぞよろしくお願いいたします。私からは、資料2に基づきまして障害者雇用対策の概 要を御説明申し上げたいと思います。  私ども障害者雇用対策という点では、障害者の方の職業的な自立という意味では雇わ れて働くというのが基本的な姿だということでこれまでもやってきたわけでございます が、合わせて今、伊原企画官から説明がございましたように自立支援法の中でも就労の 支援、一般雇用への移行といったことを柱として掲げ、福祉の世界でも就労支援を強め ていくということで最近の流れができてきている中で、私どもの方も雇用の受け皿づく りをどのようにやっていくかということで取り組みの強化を進めているところでござい ます。  まず制度の概要から御説明申し上げたいと思います。資料の3ページをおめくりいた だきますと「障害者雇用促進法の概要」を記載してございます。障害者雇用対策は障害 者雇用促進法を基本としてやっているわけでございますが、内容的には事業主向けの措 置と障害者御本人向けの措置と2通りございまして、事業主向けの制度といたしまして は柱が大きく2つございまして、1つは雇用義務の制度でございます。そして、それと 車の両輪の関係になっておりますのが雇用の納付金制度でございます。  雇用義務の制度につきましては、現在法定の雇用率を民間企業の場合ですと1.8%と 定めまして、この1.8%を企業の方々には雇用の義務という形で実現をしていただくと いうことでやっているところでございます。制度上は身体、知的の方をこれまで対象と してやってまいりましたが、この4月から法改正の施行によりまして精神障害の方も対 象とするとされてございます。  この制度と車の両輪の関係にございますのが納付金の制度でございまして、こちらは やはり障害者の雇用をしていただく中では事業主の皆様には今のところいろいろな経済 的な負担が生じるわけでございます。したがって、たくさん雇っていただいているとこ ろと、そうでない事業者の間の経済的な負担の調整を図るというのがこの制度でござい ます。  具体的には雇用率との関係で、雇用率に対して不足している数が1人であれば、それ に対して月額5万円ですから、年間では60万円の納付金を納めていただくということに して、これを財源といたしまして、一方、超過をしているところにつきましては月額金 2万7,000円の雇用調整金というものを支給する形で負担の調整を図っているところで ございます。また、この納付金を財源といたしまして、下にございますような障害者の 雇入れに関するさまざまな措置についての助成金制度を運用しているところでございま す。  それからもう一つ、障害者御本人に対する措置といたしましては就労支援機関という ことで、ハローワークを含めまして地域障害者職業センターあるいは障害者就業・生活 支援センターというものを法律上位置付けまして、これらの機関を通じて職業リハビリ テーションという概念で整理をしておりますが、障害者の方々の職業生活における自立 を具体的に支援をするサービスを行っているところでございます。  何ページか飛んでいただきますと今、申し上げた制度の中で、1つは事業主向きの制 度といたしまして6ページでございますが、特例子会社の制度というものがございます。 事業主の方に雇用をより多く実現していただくための一つの特例の制度といたしまして 障害者雇用のための子会社をつくっていただいて、そこで多数の雇用を実現していただ く制度でございます。  7ページに概念図がございますが、このような特例子会社をつくった場合には親会社 と雇用率のカウントをするときに合算することができる制度になっておりまして、加え て平成14年以降にはこの図のとおり、関係会社を含めて合算することができるといった 制度にしております。こういった制度改善もございまして、現在特例子会社の設立とい うのは非常に多く進んでおります。下にございますように、この4月の状況で全国で188 社が立ち上がっている状況でございます。  それからもう一つ、先ほど少し法改正を申し上げましたが、次は8ページにございま すように障害者雇用促進法につきましても障害者自立支援法と時期を合わせまして改定 を行いました。昨年の通常国会で成立をして、この4月から全面施行になっているとこ ろでございます。  この改定の中身は大きく3本の柱がございまして、1本目は先ほどの雇用の制度に精 神障害の方を対象としていくということ。2本目は、雇用でない働き方についても支援 を行っていくということで、在宅就業障害者に対する支援の制度というものを新しくつ くりました。3本目の柱は自立支援法との関係もございまして、障害者福祉政策との有 機的な連携を図っていくということを法律上もはっきりとうたった。こういった3本の 柱を内容とする改正を行ったところでございます。  次に、障害者の雇用の状況につきまして10ページ以降で御説明申し上げたいと思いま す。障害者の雇用の状況を見る指標といたしましてはハローワークの業務を通じてとい うことになりますが、1つは雇用率の状況でございまして、もう一つはハローワークに おける職業紹介の状況がございます。  まず雇用率の状況を見ていただきますと10ページにございますように、先ほど申し上 げたように民間企業の法定雇用率は1.8%でございますが、ここ10年ほどの傾向といた しましては1.4%の後半で横ばい状態で推移をしております。単年度で見ますと、昨年 の数字はその前の数字に比べますと少し上がっておりますけれども、全体としてはまだ まだ努力が必要な状況にあろうかと思います。  これを11ページにございますように企業規模別に見てまいりますと、最近の傾向とい たしましては大きな企業では左下にございますように1,000人以上の企業の線が左の方 から右の方へ上がっておりますように雇用が進んでいるのに対しまして、一方、中小企 業の方はバブル期以降くらいから低下傾向が続いているという状況がございます。  次に13ページでございますが、ハローワークにおける職業紹介状況でございます。年 間の就職件数は、下のグラフをごらんいただきますと最近少しずつ伸びている状況がご ざいまして、昨年度1年間のハローワークを通じた障害者の方の就職件数は3万3,882 件ということで、これは数字としては過去最高となっております。  ただ、一方で新規求職の申込みも障害者の方々の就業意欲の高まりを反映いたしまし て伸びている状況がございますが、これからもまだまだ努力が必要な状況がございます。  これを障害種別で見てまいりますと次の14ページでございますが、就職件数のうち6 割くらいが身体障害の方でございますけれども、最近の傾向としては知的障害の方、あ るいは精神障害の方の就職件数の伸びが高くなっておりまして、特に昨年度、17年度の 職業紹介状況の中では知的障害の方の就職件数が初めて1万人を超えたというような状 況が特徴になっております。  こういった雇用率、あるいは職業紹介の状況の中で次の15ページでございますが、今 後我々職業安定行政、ハローワークの取り組みといたしましては、1つは1にございま すように雇用率達成指導、まだまだ1.8%に届いていないということでこれを強化して いく。大企業でもまだ不足の多いところでございます。あるいは、中小企業の雇用は下 がっている傾向がございます。そういったことを踏まえて、指導の強化を図ってまいり たい。  それから、職業紹介の面でも関係機関との連携やさまざまな雇用支援策を使った職業 紹介の充実を図っていくということを考えておりまして、現在は下の方にございますよ うにハローワークの業務の目標の徹底をいたしまして、これを踏まえて取り組みの強化 を図っているところでございます。  次に、こういった雇用を具体的に実現していくための支援策でございますが、17ペー ジに主な支援策の一覧表を掲げさせていただいております。5つほど掲げてございます が、この中でもまず企業にとって障害職業のきっかけをつくっていただくというような 意味で「トライアル雇用」ということで、3か月間の試行的な雇用をまずやっていただ き、それから常用雇用に結び付けるといった事業をやっております。  それから、障害者の方を雇っていくときにはやはり職場適応あるいは職場定着といっ た問題が非常に重要になってまいります。それを事業主、障害者両方にサポートするジ ョブコーチの事業というものをしております。  それから、日常的な職業生活の中でもやはり仕事と生活の両面を、特に福祉サイドと も連携をしながらサポートしていくことが大事でございまして、就業・生活支援センタ ーという形での一体的な支援を現在、全国で110か所のセンターを設置いたしましてや っているところでございます。  それから、障害者の方の職業訓練でございますが、なかなかまだ地域に資源がなくて 偏りもある状況でございますけれども、社会福祉法人やいろいろな機関、あるいは企業 に委託をする形での委託訓練という形で裾野を広げる努力をしているところでございま す。  最後に5番目に掲げてございますのは、先ほど自立支援法の方で説明がありましたよ うに、福祉のサイドでも就労支援に取り組むということになってきておりますので、こ のサイドからいろいろな形で福祉サイドに対する働きかけをしていく中で、福祉サイド の就労支援の仕組みをより強めていくという事業を今年度から掲げているところでござ います。その後にそれぞれの支援策の細かい内容がございますので、後ほどごらんをい ただければと思います。  最後に、予算の関係でございます。27ページに掲載してございますが、障害者雇用施 策の関係予算につきましては職業能力開発の関係を含めまして、18年度の予算額で約 138億の予算でやられているところでございます。内容としては一般会計と労働保険の 特別会計の両方にわたって予算を執行しているところでございます。  私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○渡辺次長 それでは、最後に資料3について私の方から簡単に御紹介させていただき ます。  資料3は先ほど申し上げましたように5月26日、先週の金曜日でございますが、社会 保障の在り方に関する懇談会というところから出されました最終報告でございます。こ れを本日御紹介いたします趣旨は、この被保険者、それから受給者の範囲の問題につき ましては昨年の介護保険法の改正法の付則の中で、社会保障の一体的見直しと合わせて 検討を行い、結論を得るということがうたわれております。まさにこの社会保障の一体 見直しの検討の場として設けられたのがこの在り方懇でございまして、ここでの検討状 況ということで御報告をさせていただくということでございます。  この在り方懇でございますが、資料3の最後の18ページをごらんいただきますと、こ ちらの方に名簿が付いてございますけれども、そもそもこの在り方懇の発端が15年の年 金法の改正法であったということもございまして、社会保障審議会年金部会長の宮島先 生を座長といたしまして、そこにございますような有識者の方々、更に政府側といたし ましては、内閣官房長官をヘッドに厚生労働大臣、それから総務、財務、経産といった 政府側の大臣も参画しての懇談会でございます。  この報告書の中でこの被保険者範囲についてでございますが、報告書の12ページをご らんいただければと思います。12ページは介護保険制度全体についての今後の道筋とい いますか、そういったことで書いてございますが、その中で3つ目の括弧の「被保険者・ 受給者の範囲」につきましては上から4行目のところから少し読ませていただきます。  「介護保険制度の将来的な在り方としては、介護ニーズの普遍性の観点や、サービス 提供の効率性、財政基盤の安定性等の観点から、年齢や原因を問わず、すべての介護ニ ーズに対応する「制度の普遍化」を目指すことが方向として考えられる。他方で、これ については、若年層に負担を求めることについての納得感が得られるかどうか、保険料 の滞納や未納が増加しないか、また、若年層の介護リスクを保険制度で支えることに理 解が得られるかといった点にも留意する必要がある。  このため、こうした個別の論点を精査し、プロセスと期限を明確化しつつ、関係者に よる更なる検討を進める必要がある。」となっておりまして、いわばこの社会保障一体 の検討の中では関係者によるこういった個別の論点の精査も含めたさらなる検討を進め る必要があると言われておりまして、まさにこの有識者会議がそういった場であるとい うことで、ある意味でボールが戻ってきたといいますか、そういった形でさらなる検討 ということがうたわれているということで御紹介をさせていただきます。以上でござい ます。 ○京極座長 ただいまの事務局からの御説明について御質問等がございましたら自由に 御発言ください。大分資料が多いことと、やや障害施策に力点があったのですが、いか がでしょうか。  堀委員、どうぞ。 ○堀委員 資料1の17ページを見ますと、障害者に対するホームヘルプサービスの実施 市町村の割合が非常に低くて、サービスを受けられないところもあるということでびっ くりしました。これはいろいろな理由があると思うのですが、1つは障害者の数がその 市町村の中では少ないこと。もう一つは、市町村は障害者に対するホームヘルプサービ スについて負担をする必要がありますが、そのための財源が少ないということもあるの ではないかと思います。  同じ市町村の中で、介護保険による高齢者のホームヘルプサービスと、障害者に対す るホームヘルプサービスとでは、同じサービスでも費用負担の仕組みが違っているため、 サービスの提供者が異なっている。そういったこと、効率性の観点からは少し問題では ないか。  市町村によっては、障害者がホームヘルプサービスを受けられないというのは、従来 から問題になっている普遍性に反するということではないかと思います。やはり同じ市 町村で、障害者にも高齢者にも介護保険から同じホームヘルプサービスをやる。そうし た方が、この資料の17ページにあるような障害者に対するサービスがない市町村でも、 サービスが行われるようになるのではないか。また、同じヘルパーが障害者に対しても 高齢者に対してもホームヘルプサービスをやるということになれば、効率的にサービス を提供することができるようになるのではないかと思います。  それからもう一点ですけれども、従来は障害児についてどうするかという議論が少な かったように私は思います。自立支援法では障害児の在宅サービスは対象にしているよ うですけれども、若い障害者に介護保険のサービスを行うといった場合に、障害児をど うするかという問題がある。かねがね思っていたのですけれども、例えば若い人を被保 険者にして、その被扶養者給付、家族給付として障害児に対する介護保険のサービスを 行うということもひとつ考え得るのではないか。そういったことを思っております。以 上です。 ○京極座長 喜多市長さん、現場でいろいろやっていらっしゃいますが、いかがですか。 ○喜多委員 介護保険はまだ始まって6年目です。形態が違うと思うんです。ヘルパー さんも同じかと言えばそうではないと思います。同じ人が両方行けるかと言えば、私は 決してそうではないと理解しています。  したがって、これは自立支援法でできたものと介護をすぐ一緒にするということは、 文章で見ていればそれは一緒になるというふうには考えられますけれども、現場ではな かなか混乱が起きるのではないかと思います。第一、地域でやれやれと言われても形態 が全く違う相手、高齢者と障害者、特に障害者は障害の内容によって違うわけですから、 これらがだんだん今の自立支援法で定着をしていかない限り、その辺が一緒になるかど うかはわからない。  したがって、市長会としては去年くらいから出ているこの統合問題については慎重に やるべきだという意見になっております。以上です。 ○京極座長 では、花井委員どうぞ。 ○花井委員 幾つか質問をさせていただきたいと思います。  障害者自立支援法は10月の完全実施に向けてさまざまな準備がされているかと思う のですが、市町村における障害程度区分の認定審査会の設置状況はどうなっているのか。 それから、4月から順次障害程度区分の判定を進めることになっているが、障害程度区 分の判定というのは一体どの程度進んでいるのかということが1つです。  それから、例えば自立支援医療ですとか、既に4月から施行されているかと思うです が、当然予想されなかった事例とか、さまざまな問題点が出てきているのではないかと 思います。介護保険制度では昨年の参議院での附帯決議に基づいて、保険料負担者が参 画する介護保険事業運営懇談会が設置されておりますが、障害者自立支援法につきまし て問題点を集約して改善に向けた話し合いとか、そういうことをする場というのはある のでしょうか。あるいは、ないとすれば今後設置する予定はあるのかということをお伺 いしたいと思います。以上です。 ○京極座長 では、事務局の方でお答えいただけますか。 ○伊原企画官 まず障害程度区分のお話からまいりますと、障害程度区分はこの10月か ら実際に適用されますが、そのために準備が必要なので、規模の大きな自治体から早く スタートしております。認定調査は4月からスタートしているところがございます。こ うした自治体では2次判定も5月に入ってから既に始まっているようです。まだ小さな 自治体というか、それほど大きくない自治体ではこれから審査会を立ち上げるというよ うなところもあるようです。何十万人もの方々に対して新しく判定をするということも あり、現在県ごとに調査員の方々の研修とか審査員の方々の研修を行うと同時に、いろ いろ御質問とか御意見をいただいておりますので、そうしたことにもお答えしています し、また、6月末くらいまでのデータというものを一度ちゃんと集計したいと思ってお ります。  それから、自立支援法も4月からスタートしていて、多分現場ではいろいろな声が出 ていると聞いておりますけれども、我々としても、利用者数や給付費の動向はどうなっ ているかということについては、データの収集をしていきたいと思っております。 ○京極座長 では、貝塚委員どうぞ。 ○貝塚委員 先ほどの堀委員あるいは喜多委員と関係する話ですが、これは元来は総務 省ないし旧自治省の話ですが、要するに市町村の組織においてもともと保険を扱ってい る部分と、それから税金で扱っている支出の部分は基本的には違うものだという理解が あるとすると、組織は違っているんですね。多分そうなっているのが現状ではないかと 思うのですが、一緒にするということになると結構その部分は社会保障関係の行政のシ ステムを少し変えるということになりませんかというのが私の質問でございます。 ○喜多委員 障害者問題については、今まで私どもの例から言いますと福祉部の中に障 害課というものがあります。したがって、措置の時代からそこがやっておりましたし、 支援費になってもそこがやって、今度自立支援法になりましても障害課がやるというこ とになります。  ただ、先生がおっしゃっているのは、例えば介護保険などはどうなったんだというこ とですけれども、今まで福祉部の中に措置でやっている時分はやはりあったのですが、 介護保険になりましたから新しい組織で高齢者介護課というものをつくっていますし、 私どもは更に介護保険の部分は近隣の3市と連合でやっていますので、それは連合の方 でやるということですから、保険の部分として別の組織になっております。  障害の場合は、法律は変わってきましたけれども、今までどおり1つでいけるのでは ないか。今のところ組織を変える考え方はありません。 ○京極座長 自治体の関係で、矢田委員いかがでしょうか。 ○矢田委員(代理:森田課長) 代理で出席している森田と言います。  今、私どもの方は高齢福祉部というところに介護保険課がございます。障害の方は自 立支援法なり、支援費制度ということで、これは障害福祉部ということで年齢で切って いるところがございます。  ただ、現実には例えば少し入り組みもございまして、2号被保険者の方ですと40歳か ら64歳の介護保険の対象者は事実上、介護保険の対象者ということで高齢福祉部でも一 部やいるという入り組みは既にございます。現場サイドでは、お1人のケアマネージャ ーが障害者の方と高齢者の方と両方やっているようなケースもあると一部には聞いてご ざいますが、制度が新しく何かできれば、制度に対応したような組織づくりというのは 自治体では可能かと思います。  あとは、やはり自治体としてこれからの自立支援法の制度がうまく予定どおり機能す るのか、心配な面はございます。介護保険の新しい第3期の計画をつくって今スタート したばかりですけれども、やはり神戸の場合には36%の保険料アップというようなこと でかなり市民の方にも無理をお願いしていまして、この調子で高齢化が進んで第4期が どんな感じになるのかという懸念を正直持ってございます。そういう意味では、財源確 保の問題というのも合わせて考えていかないといけないという状況にはございます。 ○京極座長 ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。  それでは、大森委員どうぞ。 ○大森座長代理 資料1で9ページに支給決定のプロセスが出てきていて、このうち下 の方が違っていて、要するに介護保険の方は新しい専門資格としてのケアマネージャー をつくって、一応いろいろ問題がないわけではありませんけれども、ケアプランをつく って全体としてどういうふうにサービスが行われているかということをチェックする仕 組みを持っていますけれども、これは将来に関わることですが、この9ページの障害者 自立支援法の方のケアプランの作成に当たる部分は相当違っていて、将来、介護保険の 方のイメージで言うとケアプランみたいなものをつくる制度設計の可能性ですね。  全体として支給決定プロセスをどの程度合わせなければいけないかというのは共通制 度と上乗せ横出しと言っていますけれども、私は上乗せ横出しという言い方がいいかど うか、ちょっと違うかなと思っていまして、共通に対してはやはり個別であるとか、特 別であるとか、何か違う表現がいいと思うんですが、支給決定のプロセスで非常に重要 で、今後どうするのか、現在のところどう考えているのかということをお聞きしたいの は、ケアプランの作成に相当するここの部分ですけれども、これはどういうふうに今の ところ考えているかということを企画官から伺いたいと思います。 ○伊原企画官 御説明申し上げます。9ページの表をごらんいただきますと、右と左で、 右の場合はケアプランの作成というものがあります。それに対して左側はないわけです が、ちょっと詳しく申し上げますと、実は自立支援法の場合には支給決定をした後、ケ アプラン、ケアマネージャーというものが出てまいりまして、障害者の方にとって適切 なサービスをどの事業者と契約するのかとか、複数の事業者間のコーディネートをする かということを行うこととなっています。こうした支給決定後のケアマネジメントは、 今回の自立支援法で新しく設けられたものです。  ただ、自立支援法では全部税金で運営されているということもありますし、それから 一人ひとりで1か月に使える上限額が保険のように全国一律で決まっているわけではな いので、家族の介護者がいるか、いないか、一つひとつ市町村が行って判定しているん です。そこの部分が、自立支援法の青い枠で書かれている支給決定プロセスの中に入っ ています。 市町村は、この支給決定のプロセスの中で御家族の状況とか、地域のサー ビス提供基盤の状況を踏まえて、例えばホームヘルパーだったら何時間以内、あるいは ショートステイだったら何日以内ということを支給決定します。支給決定した後で、逆 にホームヘルプをどのように使うか、どの事業者と契約するか、どのような内容で受け たらいいかということをケアマネージャーが調整するという仕組みになっております。 そういう意味では、自立支援法でもケアマネジメントという仕組みはあります。  それに対して介護保険制度の場合は保険ということもありまして、要介護状態が要介 護1とか5とかと決まれば、それで1か月に使える金額が決まってまいります。決まっ ている範囲内で、あとはケアマネージャーさんと御本人が相談をしながらその範囲内で 決めていくという仕組みとなっています。 ○大森座長代理 それならば、やはりそのことをどこかで書いておく必要があるんじゃ ないでしょうか。両方の制度を比較するときですから、事実を正確に表すためには今、 伊原さんがおっしゃったようなことを小さいポチでいいですから、入れているというこ とを書いてもらいたいと思います。 ○京極座長 今の関係で、介護保険を将来において障害者施策に適用した場合、ケアマ ネの構造が少し変わってくると思うんです。つまり、既存の介護保険のケアプランと、 それから新しいそれを一部障害者に利用し、かつその他の上乗せ横出しでもいいんです けれども、そのサービスを組み入れた総合的な障害者ケアマネジメントみたいなことで 二重構造になるわけでしょう。その辺りは今後の課題ではないかと思っております。  では、紀陸委員どうぞ。 ○紀陸委員 質問と意見を申し上げたいと思います。  まず質問なのでございますけれども、今の点に関連しまして、今度自立支援で利用者 の定率負担が導入されますが、これは始まって日は浅いのでしょうけれども、利用者側 の実態はどういうような状況になっているのかを伺いたいと思いますし、今後関係者の ヒアリングが行われるということですので、そういう面で利用者の方の生の声を伺いた いという点でございます。それが1つです。  2つ目の質問なのでございますが、資料1の3ページ目に若年要介護者の推計34万人 という数字が出ているのでございますが、支援費制度とか今般の自立支援法は段階的に これまで整備されてきているわけでありますが、この提供体制が拡充されてきますと利 用者が増大してくるであろうと当然予測されるわけでありますが、この見通しはこれま での施策に合わせてどういうふうに変化してきたのか。更に、今度全面施行が10月にあ りますけれども、そのようなことによってこの数字がどういうふうに変化してきたのか、 変化していくのかという点についてお尋ねをいたしたいと思います。  3つ目は意見なのでございますが、資料5のところに両制度の基本的考え方で共通す る点を挙げておられます。特に(2)の普遍化のところですね。ここのところは私ども介護 保険制度ではまさに全国すべてが高齢化するに伴って受けるサービス、ここは普遍化す るということは言葉としては考えられるけれども、障害の分野で障害の人というのは障 害が起きた枠の中だけで必要に応じたサービス体制をできるだけ広げるということであ って、全然領域が違うという感じがします。それを共通の普遍化という言葉でくくって いいのかどうかという感じがいたしておりまして、これは普遍化という言葉が先に走っ てある程度方向性を決めるような感じがしてならないのですけれども、いかがでしょう かという点です。これは意見であります。以上、3点です。 ○京極座長 これについてはいかがでしょうか。 ○伊原企画官 まず利用者負担が導入されて以降の利用者の方々の動向はどうかという ことでございますが、実は現在でも所得段階に応じて、低所得者の方について配慮措置 をとっておりますが、どのランクに属するか、それが何人いるかということが正確にわ かっていません。  この4月以降、利用者負担の見直しが行われたことから、市町村の方でそのデータが 集まっていると思いますので、我々としてはできるだけ早く、障害者の方が、実際にど ういう負担をしているのかというようなことについて調べていきたいと思っております。  2点目に若年要介護者数の34万人という数字がどうなるかということですが、これは 平成15年度のデータを元に推計したものです。一昨年の介護保険部会に資料としてお出 ししたものを今回用いておりますが、恐らく委員が御指摘のとおり、今回自立支援法が 施行され、地域によって在宅サービスが普及していけば数は増えていくのではないかと 思います。 これにつきましては、現在自治体が障害福祉計画を策定しております。こ れは18年度中にでき上がると思いますが、そうしたことを積み上げて、その中で今回障 害程度区分というものも判定していますので、どの位の方が要介護状態であるかという ことの数もはっきり出てまいると思いますので、その段階でもっと正確な数字がつかめ るし、将来の数字もその段階で出せるのではないかと考えております。  それから、御意見としていただいた普遍化という点につきましてですけれども、障害 分野においても従来、身体障害と知的障害の方については支援費制度というものが導入 されておりましたが、精神障害の方に関してはそういう枠組みがなくて、事実上、福祉 サービスが立ち遅れてきていたというようなこともございました。今回、自立支援法で は精神障害の方も含めて、3障害を同じ手続きで、利用者負担もそうですが、同じルー ルで制度の対象にし、福祉サービスの対象にしていくという点がございまして、そうい う意味から言ってもユニバーサル化というか、普遍化という言葉で適当ではないかとい うことでここに入れさせていただいております。 ○京極座長 今の紀陸委員の2点目の御質問については、介護保険が措置制度から変わ って動き出したら予想以上に介護サービスの利用者が増えましたので、シミュレーショ ンですけれども、もし介護保険に一部障害者介護が乗った場合、増える可能性はどれぐ らいあるのかというのは一応計算をしておいて、これはあくまでも計算数字なのですけ れども、これぐらいだったら何とかなるとか、何もなしで今までどおり措置制度を延長 してだんだん改善支援費なり、今回障害者自立支援法になりましたけれども、税に基づ く制度でやってきた中でこれからやるというのと、やはり保険に入って保険料を払って 当然使うのは権利だということになりますと、その辺の可能性をある程度計算してみる 必要もあるのではないかと思います。  その辺りは今後の課題だと思うんですけれども、これだと委員が御心配のように、こ のままでは将来動かないような感じもしますから、実際にはそうではないし、また10 月以降どうなるか。これもまた一つの違いが出てくる。これはあくまでも支援費制度で こうなったということですね。 ○伊原企画官 今、障害福祉計画を各市町村でつくっておりまして、秋の段階で平成23 年度までの利用の見通しというものが粗い数字ですが出てまいると思いますので、それ が出てまいりますと実際に保険か、税かという問題は別としても、このくらい伸びるだ ろうという数はわかってまいると思います。  したがって、そのデータでできるだけ早く今おっしゃられたような数字をお示しする ように検討してみたいと思います。 ○京極座長 ほかにどうでしょうか。 ○小方委員 今と関連するところもあるのでありますが、前回の会議でお願いしました 各種データを参考資料2でまとめていただいて大変ありがたいと、まずお礼を申し上げ たいと思いますが、今の関連で申し上げますと資料1の今、委員から御質問がありまし たように若年要介護者数が34万人という推計がありまして、次の4ページのところにそ の内訳という位置付けで理解をしていいのかわかりませんが、特定疾病に関わる要介護 認定者の方が14万5,000人ということでありますと、特定疾病以外の方で20歳以上65 歳未満の方が約20万というふうに読み取ってよろしいのかをまず教えていただきたい ということです。  それから、先ほどお礼を申し上げました参考資料2でいろいろデータを開示いただい てこれからまたこれも読み取っていかなければと思っているわけでありますが、参考資 料2の方を見ますといわゆる18歳未満の障害児の方のデータもいろいろあるわけであ りますけれども、これも推計になるのかもわかりませんが、この中で介護の必要がある 方がどのくらいいらっしゃるのかとか、そういったところは何か把握をされておられる のでしょうか。教えていただければと思います。以上です。 ○伊原企画官 まず特定疾病の方々と障害者の関係でございますが、資料1の4ページ をごらんいただきたいと思います。資料1の4ページに障害者数と要介護認定者数とい うものがございまして、4ページの下のところに特定疾病にかかる要介護認定者14万 5,000人とございます。この14万5,000人の方の中には確かにいわゆる身体障害の方も いらっしゃると思いますが、必ずしも身体障害者手帳を持っておられない方も多いと思 います。  実は、身体障害者の定義は手帳を取得した人が身体障害者とされていますので、40歳 から60歳の方の中で特定疾病の方で、取得される方ももちろんおられると思いますが、 されない方もいらっしゃいますので、単純に34万人から14万5,000人を引いた残りが ということではないと思っています。いずれにせよ、この34万人という数値も平成15 年のデータに基づく粗い推計でありますので、今後、障害程度区分の判定が進み、その 結果が出ればもう少し詳しい数字が出るのではないかと考えております。  それから18歳未満の障害児の問題でございますけれども、ちょっと脱線しますが、障 害児対策に関しては、障害児の入所施設、あるいは通所施設についてはまだ県が実施し ているところがございます。これに関しては、3年後をめどに障害児の施設体系の見直 し、それから都道府県で実施している事務を市町村に移管することについての検討を行 うということが法律の付則で決まっておりまして、今後障害児の方々の福祉をどうする かということは検討課題としてまだ残っております。そういう意味では、自立支援法も 障害児に関してはまだもう一歩大きな検討が必要だと考えています。  それで、今おっしゃられました満18歳未満でどのくらい数がいるのかということにつ きましては具体的な数字は残念ながらありません。 ○京極座長 ほかにどうでしょうか。 ○堀委員 資料1の12ページに利用者負担について書いてあるのですが、右側の月額上 限額を設定というところなのですが、これは左側の食費とか、それを含んだ額かという ことがまず1つです。  もう一つは、所得に応じて上限額が設定されているのですが、これは介護保険の高額 介護費というんですか、あれとどういう関係にあるのかというのが2点目です。  3点目としては、一番下にアスタリスクで月額上限以外にも定率負担分、実費負担分 について配慮措置ということが書いてあります。これは質問ではないのですが、仮に若 い人に介護保険を適用するとした場合、ここら辺がどうなるのかという感じがするので すが、私が従来から思っているのは、高齢者についてはある程度過去の蓄積があるわけ ですが、若い障害者というのは生まれつきの障害者などは蓄積というか、貯蓄などがあ るとは思えないので、こういった高齢者とは違う面が利用者負担とか、あるいは保険の 負担にあると思うのですが、そういったことも今後考える必要があるのではないか。こ れは私の意見というか、感想です。以上です。 ○京極座長 それでは、藤木課長お願いします。 ○藤木障害福祉課長 それでは、今の堀委員の方からの御質問にお答えします。  12ページの利用者負担の関係でありますが、この右側にあります負担上限額は1割負 担分に対するものでございますので、食費、光熱費に対する負担については上限額に含 まれません。この1割負担分の上限額を所得の上限に応じて設定しておりますが、仮に 介護保険も一緒に使っておられるという方の場合は、介護保険の限度額まで使われた1 割分と、この障害福祉サービスの1割分と合わせて限度額にするという措置が制度上用 意されております。  それから今、申し上げました1割負担の月額上限以外にも、例えば食費、光熱水費を 施設に入っている方からいただきますが、これについても最低手元に2万5,000円は残 るようにするとか、あるいは地域で生活されている障害を持った方々については、例え ば通所サービスを利用する、ホームヘルプサービスを利用するという場合は、この右側 にあります月額上限額を社会福祉法人のサービスを使う場合にはこれを半額にする。上 限を引き下げるというふうな配慮措置を別途、用意させていただいております。  更にこの利用者の御負担をいただくことによって1割負担あるいは食費、光熱水費の 負担をいただくことによって生活保護に移行するというふうなことを食い止めるために 利用者負担額を引き下げる、あるいはゼロ円にするというふうな措置も合わせて講じる ということで、二重、三重、四重の配慮措置を障害施策ということの特徴にかんがみて 講じているということでございます。  なお、この限度上限額の3万7,200円という水準は介護保険と同じ水準になっており ます。 ○京極座長 ありがとうございます。障害児の、特に施設関係は今後の課題ですけれど も、何となくバックグラウンドにある所得状況を見ると、障害者の場合は障害年金がま ずあって、そのほか働ける人は若干の稼得収入その他がある。障害児の場合は特別児童 扶養手当とか、そういうものをもらっている方はまだいいんですけれども、ぎりぎりの 線でもらえない方は相当負担が大きいということも言われていまして、仮に万が一介護 保険に障害児の施設サービスを適用する場合は、所得保障の面も少し緩和するとか何か しないと、非常に障害児の方、あるいはそれを抱えている御父兄というか、家族の方の 負担がかなり重くなるのではないかという印象を持っています。  それは都道府県で多少やればいいのではないかと言っても、制度全体の設計はやはり 国が考えて、そしてその上で都道府県でどこまでやって、市町村がどこまでやるという ことでいかないといけませんので、結構検討するべき議論が多いかとは思いますけれど も、この辺りはいかがですか。 ○伊原企画官 施設体系の話は今後の課題と申し上げましたが、利用者負担については 障害児施設も10月から1割負担と食費負担をお願いすることになっています。  ただ、先生がおっしゃるとおり、障害児の方々を養育されている方の負担が大きくな ってしまって、家計に著しい影響を与えることがないように、今回の障害児を抱えられ る保護者の方の利用者負担に関しては、通常普通に子育てをしている家庭にかかる費用 負担と同負担なるような軽減措置を講じております。そういう意味では、障害児の方々 の利用者負担というのは普通の年金を受給されている障害者の方とはやはり違うルール になるというのが今の現実だと思います。 ○松嶋企画課長 補足でございますけれども、障害者自立支援法では利用者負担の基本 ベースは介護保険の負担の上限額と合わせてあります。  しかし、障害者の場合は障害年金1級約8万3,000円、2級約6万6,000円が支給さ れ、それをベースにどのぐらい御負担いただけるかを施設サービス、在宅サービスの場 合も含めて定めています。具体的にはご負担できない場合についてはそこに減免措置と いうことで介護保険と同じように低所得者については2万4,600円、1万5,000円、資 産等が一定以下の方については更に減免し、最低負担を0にする配慮措置を行っていま す。 ○堀委員 その点に関連してですけれども、障害基礎年金は今おっしゃったとおり現在 2級で6万6,000円ですが、2004年の年金改革でそれが約15%カットされるんです。カ ットされるというのは物価賃金の動向によって変わってくるので、いつ下げるかという のは難しいんですけれども、そういったこともこれから利用者負担について考慮する必 要があると思います。  それから、今後新たに障害者については仮に適用するとした場合は介護保険料も払う ということになると思いますが、若い高齢者についてはそういったことも考慮する必要 があるのではないかと私は思っています。 ○松下委員 私は精神科の医者で、いわゆる精神障害の治療とか、あるいは私どもは認 知症老人を専門にしておりますので、この介護保険の問題とか自立支援法の問題には大 変興味があるし、関心があるし、この会議でもいろいろとこれから発言させていただき たいと思っておりますが、今日の資料の中で2つ疑問があります。  1つは、先ほどから議論が出ている資料1の3ページで、先ほど推計値の話がありま した。それは先ほどの御返事で正確なものでなくて、もっと詳しいことはこれからとい う話ですが、最初に推計をしてこういう受給者、対象者がいるけれども、現実に開いて みたらそれがどんどん増えていく。そして、いわゆる財政的にピンチになるとか、パン クしてしまうという事態がこれまでの政策の中でたくさんあるのではないかと私は思う のですが、ちょっと意地悪い質問で申し訳ないのですが、介護保険の要介護認定者は現 在400万近い。これは議論をしているときには一体どのくらいを推定したんですか。私 はよく知りませんが、その推定値を教えていただいて、実際にそれがどう見込みが違っ たのか、あるいは見込みどおりだったのかということを聞かせていただきたいことが1 つです。  もう一つは2ページです。これも先ほどのお話だと、例えば被保険者の範囲を20歳ま でに切り上げても、介護保険と障害者制度で共通するサービスはこのシステムは同じだ というお話があったんですが、具体的に介護保険と障害者制度で共通するサービスとい うのは一体どういうサービスをイメージなさっているのか、ちょっとぴんとこないので 少し教えていただければと思います。以上、2点です。 ○山崎総務課長 それでは、1点目について少しお答えします。介護保険をつくる段階 でいろいろな時点で推計等を考えていますが、具体的に申し上げますと、これは余り正 確な数字ではありませんけれども、当時10人でお1人くらいが対象になるだろうという 考えでおりました。したがって、大体250万とか、そんな数字ではないかと思いました が、現実には今400万を超えてございます。  ただ、私どもの推計といいましょうか、考えからいきますと、いわゆる軽い方が非常 に増えているという部分で、実は重い方、中重度の方はほとんど推計どおりでございま して、いわゆる要支援要介護1の方が倍増以上しておりまして、今回実は制度改正を行 いましたが、まさにその部分が一番の中核になっていますけれども、当初の予想とはか なり異なってきたという部分がございました。 ○京極座長 それから、介護サービスについて、障害施策と介護保険と表がございまし たけれども。 ○伊原企画官 まず2ページのところで、要は共通する部分と上乗せ横出しの部分で、 共通する部分は何かという御質問でございましたが、資料の8ページをごらんいただけ ますか。障害者自立支援法と介護保険との関係で、似ていると言われるのは多分お互い 同じ名前であります介護給付の部分だと思います。  特に一番典型例として挙げられるのはホームヘルプサービスでありまして、先ほどの 御説明の中でも申し上げましたが、例えばALSの患者さんがいらっしゃいます。だん だん体が動かなくなってくる病気ですけれども、この方々の場合はまず介護保険が適用 されて、最重度の方ですと36万円までホームヘルプサービス等を利用されますが、その 上乗せ部分として障害者の施策で同じホームヘルプサービスを提供するケースがみられ ます。今ホームヘルプを例にしましたが、例として考えられますのはこの8ページの上 の部分ではないかと思います。 ○松下委員 そうしますと、現在もそうでしょうけれども、精神障害者のそういうサー ビスというのはもちろんこのホームヘルプも、デイサービスの訪問看護も、通所リハビ リも盛んにやっていますね。そういうものも少し入ってくる。今まで精神障害者を対象 としていたサービスの給付も、今度は介護保険の方から給付で出していくというイメー ジでいいですか。 ○伊原企画官 これは、最初の1ページをごらんいただきたいと思います。もう一度確 認的に申し上げますが、介護保険の政策と障害者の政策というのは1ページのような関 係にありまして、介護保険の対象者、認定者の方ではまず介護保険が優先する。それで、 その足りない分とか横出しの部分を障害者施策がやるということですから、仮に精神障 害の方がいて、その方が介護保険の対象者であるということになりますと、まずその介 護保険がホームヘルプサービスとかデイサービス、あるいは訪問看護を提供しというこ とになります。  逆に、その対象者でないということになりますと、また違う施策になるのかもしれま せんけれども、要は介護保険の対象として認定されるのであれば介護保険でカバーする ということになります。 ○松下委員 つまり、ちょっと気になるというか、これは総論的な話ではなくて非常に トリビアルな話かもしれませんが、精神障害者の対象者を見て、これが介護保険に対象 する症状だ、状態だ、これはそうでないという区別というか、区分けはそんなに簡単に できるものですか。 ○伊原企画官 現在は、79項目のアセスメント項目とお医者さんの意見書で判定してお ります。ですから、65歳以上でも精神症状のある方について介護保険の対象かどうかの 判定は、そういう考え方で判断するのではないかと思います。 ○京極座長 これについては、三浦課長からいかがですか。 ○三浦老人保健課長 今、御説明がございましたように、障害者であるかないかにかか わらず、その方の心身の状態を見て、判定するというのが介護保険の要介護認定の考え 方でございます。したがって、介護保険の認定を受けている方の中には、例えば手帳を 持っている方もおり、また、その手帳の種類が何であるかということはあると思います が、そういうことに関わりなく一律の基準に照らして認定を行っているということでご ざいます。 ○京極座長 あと御発言のない大島委員、関委員、竹中委員、いかがですか。  では、関委員からどうぞ。 ○関委員 幾つか質問があります。  1点目は、資料1の17ページのサービス水準に大きな地域間格差があるという表につ いてです。将来、障害者自立支援法がそれなりに軌道に乗った場合は、この格差はどの 程度なくなることを予定されているのでしょうか。  つまり、将来例えば普遍化を進めることになりますと、保険として一定限度行う部分 と、市町村ごとに上乗せとして税金で行う部分とが生じてくると思います。そのように 税金による上乗せ部分によって、それぞれ市町村ごとに充実したサービスがあるところ とないところがあるという形を障害者については今後も維持していくのであれば、この 格差は介護保険とは違う形で生じてくるのではないかと思います。この点、どの程度ま で保険で格差を補い、どの程度まで税金で地域の差を設けていくと想定されるのかとい うことをお伺いします。  2点目は、この表とも関連してくるのですけれども、将来普遍化をすることになった として、若年者層の理解や納得感を得るためには、シンプルに理念として、自分たちは 何を負担しているのか、誰を支えているのかということを分かる必要があるかと思って います。、普遍化したときの一番の大きな違いは、先ほど貝塚先生からお話がありました ように、税に基づいていた制度から保険に変わるということだと思うのですが、障害者 の方も保険制度になった場合、どういった形で保険料を負担していくことが予定されて いるのでしょううか。つまり、20歳にしろ、25歳にしろ、30歳から払い始めるにせよ、 その人たちからは、全国の要介護者を支えるということで、第2号被保険者と同じよう な形で全国規模で保険料を徴収するのか。それとも、例えばその地域の同世代の要介護 者を支えるということで、第1号被保険者のように地域ごとに徴収するのか。  この点、例えば障害者で若い人の場合は、自分たちがサービスを受けながら保険料を 負担するということになるので、そういう意味では今の第1号被保険者と同じような立 場になります。しかし、保険料の徴収方法が第2号被保険者と同じ形になりますと、保 険料は全国規模で一律にしか払わないわけですが、受けるサービスは地域ごとに違うと いう結果が出てきます。そこら辺をどういうふうに整理するのかという点をお伺いした いと思います。  3点目は、先ほどから障害児の話が出ておりますが、堀委員などご指摘のように、障 害児については例えば家族給付という形で扶養の中に含めて、つまり保険料を払ってい る世代の子どもの支援という形で支えていくという発想があります。この点、例えば、 今、子育て保険や保育保険を求める声も出てきているわけですが、そういった保険とど ういうふうに違うのか。どういった理念で障害児についてはその部分を保険制度として 若年層が支えていくのかということについて、何かお考えがあれば伺いたいと思います。 以上です。 ○京極座長 最後の質問はちょっと大きな問題ですが、いかがですか。 ○伊原企画官 まず地域格差のお話をしたいと思いますが、地域格差が自立支援法の施 行によってどのように小さくなるかということについて、具体的な数字はやはり今、障 害福祉計画をつくっておりますので、その中で見えてくると思いますが、恐らく今のよ うなホームヘルプの都道府県格差が7.8倍とかという水準は小さくなってくると思いま す。  ただ、今回実施主体を自治体に一元化したというのは、地域によってそれぞれの判断 で一定の格差は当然あり得るだろうという立場に立っているわけです。ただ、今の7.8 倍のような格差というのは国としても問題がある。特にこの格差が生じている最大の要 因は、まだサービスを実施していない市町村がある。特に在宅サービスに関してですが、 やはり未実施というのはちょっとないのではないか。  あるいは、今、精神障害の方々のサービスに関してはまだまだ相当全体としても遅れ ているし、その差も大きい。こういう問題意識の中で市町村ごとに数値目標入りの計画 をつくって格差を小さくしていただこうということですので、最終計として7.8倍より 小さくなっていくと思います。その先にどのくらいになるかということについては実際 に今度自治体がつくっていただく計画などの数字を見て御判断いただくことではないか と思います。ただ、いずれにせよ、実施主体が市町村で地方分権の流れですから、地域 の実情というのは当然最後まで残ると思いますし、その部分の差というのはあるのでは ないかと思います。 ○山崎総務課長 第2点と第3点目ですけれども、むしろそれが今回のこの会議の議題 みたいなものでございまして、制度をどういうふうに考えていくかというのはいろいろ な議論があると思っています。  今、言われた、仮に被保険者範囲を拡大した場合に、若年の方の制度設計というのは どういう形でやるか。実は、前の介護保険部会においても2号被保険者は拡大する案も ありましたし、むしろ3号という名前で少し保険料水準も変えたりという議論もありま した。更にどういう取り方をするかという議論もございましたので、逆に言いますとこ れはむしろ大きな方向性を議論した中で、更に次の具体的な課題としてまた御議論をい ただきながら考えるべきことかと思います。  3番目の点は、むしろ私どもというよりはいろいろな関係者の方とか、まさに皆様方 の御意見がたくさんございまして、一方で少子化の問題もございますので、その少子化 の問題とこういう障害施策とか、介護の問題、高齢者問題はどうするかというのはもう 少し大ぶりな話として今、各界の方から御意見が出ている状態ではないかと思っていま す。まだそれについて私としてコメントできる状況にはございませんので、むしろいろ いろな方の御意見が今、出ているのではないかということでございます。 ○京極座長 ありがとうございました。それでは、大島委員どうぞ。 ○大島委員 3つくらい御質問をしたいと思います。  まず最初に、地域間格差で滋賀などが飛び抜けて多いような感じがするのですが、何 かこれは理由があるのでしょうか。 ○伊原企画官 まずこれは支給決定者数と申しまして、知的障害、身体障害の方、何人 に対してサービスを提供するかということなのですが、実は滋賀県は従来から知的障害 の方々に対してホームヘルプサービスを非常に熱心にやってきたという実績がございま す。したがって、その方々の数がぐっと高く出ているんだと思います。  それで、これを1人当たりの利用時間数に割り戻してみると、実はまた違う数字にな ってまいります。ですから、どの指標を取るかによって違った結果が、出てきます。 ○大島委員 言葉じりをとらえるようで申し訳ないんですけれども、一生懸命やると増 えるという話ですか。一生懸命やらなければ増えないという意味があるということです か。○伊原企画官 障害福祉に関しては歴史的にそういうサービスの充実に取り組んで きた自治体と、それほどでもない自治体というのは現実にございまして、その差がこう いう一つの結果になったということでございます。 ○大島委員 ということは、実態は県によってそんなにばらつきはないけれども、県の 取り組みがすごく一生懸命のところは増えるし、県の取り組みが大したことはないとこ ろは増えないと。 ○伊原企画官 県だけでなく市町村も含めてですが、1つの原因としてはそういう取り 組みの違いというのはあったんだと思います。 ○大島委員 わかりました。それから、障害者を全体的に介護の中に入れたときに、費 用としてはどれぐらいのパーセンテージになるでしょうか。大体、人数に比例したもの と考えてよろしいのでしょうか。 ○伊原企画官 参考資料2で、「障害者の状況等について」という表がございます。こ の最後の10ページに「障害保健福祉部予算の推移」というものがございます。ここに平 成18年度は国の予算で8,131億円という数字がございますが、この8,131億円というのは 福祉サービスとか、手当てとか、全部含めた額です。  その中に注3というものがございまして、障害者自立支援法における介護給付費・訓 練等給付費、これは福祉サービスの費用ですが、国のベースでいきますと4,131億円と なっております。それで、介護保険が優先適用された場合、この4,131億円の中でいわ ゆる介護サービスに相当する部分が介護保険でカバーされるのではないかと考えており ます。先ほど申し上げましたが、訓練等給付のようなものは介護保険の中に今ありませ んので、その部分は除いて考える必要があると思いますが、4,131億円の内数がそこに 相当するのではないかと考えております。 ○大島委員 それからもう一つよろしいでしょうか。障害者と、それからいわゆる介護 保険を一体化するときに、理念的には一生懸命整合性を合わせようということで説明を されて、何か難しいところもあるのかなとは思いながら、しかし上乗せ横出しというよ うな考え方を中に組み込んで、制度的には理念上は何とか整合性があるのかなという感 じはするんですけれども、障害者の方たちが今まで受けてきたサービスを考えたときに、 これだけで見るとまた自己負担が増えたりとか、いろいろ出てきているのですが、今度 一体化されて進めていこうというときに、障害者にとって今までと比べると非常に不利 益になるとか、そういうようなことはないのでしょうか。その点については、これは問 題がないというふうに言い切ってよろしいのかどうかです。 ○伊原企画官 それはどういう制度設計をするかにかかっておりまして、保険料負担を どうするか、利用者負担をどうするかということですが、従前、2年前に一度介護保険 の対象年齢の問題が議論されたときに一つ現実問題としてあったのは利用者負担の問題 だったと思います。支援費制度は当時は応納負担という仕組みでしたし、介護保険の場 合は1割負担という状況でしたが、ここの部分に関しては今回自立支援法と介護保険は ほとんど同じ共通している部分になっております。  ただ、いずれにせよ今後の議論の中でどのような保険料負担をするのか、あるいはど のような利用者負担にするのかという問題と関連する話ではないかと思います。 ○京極座長 負担の問題については、特に保険料の負担と利用料の負担で、保険料の負 担についても今日はあれですけれども、今後議論をしていくときに、例えば個人原則と 言っても実際には世帯で払っている場合もありますし、特に子どもの場合になると扶養 家族になっているから当然親が負担するということになっているわけです。  その関係を整理しないと、原則で個人負担で整理しているように見えても、実際には そうではない場合も多々ありますし、恐らく40歳以上の方でも専業主婦の方などは別に 市町村で個人負担で払っていないと思うんです。扶養家族になっているから一括して取 られているのか、あるいは個別に取られているのかわかりませんけれども、そういうと ころをきちんと整理して実態を見て議論していく必要があるのではないかと思います。 今日はその問題は資料がありませんし、違った問題であろうという気がします。 ○貝塚委員 エコノミスト的な発想法からすれば、基本的には福祉サービスというのは サービスなんですね。それは元来は税金で負担するという感じになると思います。それ から、もう一つは保険でやる。もちろん医療保険は医療サービスがあって、そのために 保険料を支払っているわけです。  だけど、要するに保険でやるか、税金でやるかの違いがもともとあるということと、 個々の福祉サービスというものと、それからもともと医療とか、あるいは介護とか、い ろいろなサービスがあるのですが、私などはいろいろ過去の委員会などに出た経験もあ るのですが、これは話が大きくなってしまいますが、要するに日本の現在の社会保障で 福祉サービスというのはどういうものであって、その負担がそれぞれどういうふうにな っているかという話と、それからそうではないもともとの医療保険とか、医療サービス というのは基本的には医療保険の範囲になりますし、介護のサービスも介護保険がある わけですが、その種の幾つかのはんちゅうがあって、厚生労働省の方もちゃんと頭の中 に皆、入っていて、そこの相互関係が負担の関係もかなり……。  ただ、そこは相当さくそうした状況にあって、どこかに穴が空いているとか、あるい は重なっている部分もあるし、その辺りのことはある程度整理しておかないと、新しい 制度の提案をしたりするのはやはりそういう背景があってこうするんだとか、いろいろ なことがあって、相互関係というものをきっちり整理した上でここの話をやらないと、 ここだけ突出してしまってやるとまた別のところの負担とか税金の話とかが引っ掛かっ てくるんですね。  だから、その辺が元来基本的には非常に重要で、この宮島さんの懇談会のものもぱら ぱら見ているのですが、必ずしもその点については踏み込んだ議論はなされていないの で、今後の社会保障の在り方というときに、それぞれの保険といろいろなサービスと、 しかもその負担が税金であったり、いろいろなケースがあって、そこがものすごくさく そうしている状況があるので、何らかの意味では全体像というものをそれなりにある程 度承知した上で、ここはこうするというふうにしないと、基本的には整合的な改革とい うのは難しいと私は思っています。  これは全く私の個人的な意見ですが、今後とも制度が非常に複雑であるということと、 それから負担の関係も非常に複雑であって、しかも消費税の話も入ってくるし、いろい ろな話が入ってくるんですね。その辺のところで、一応バックグラウンドとしては大体 現状はこういう形で、負担はこうなっていてというところを共通認識として持って議論 した方がいいのではないかと私は思っていますという個人的な意見です。 ○京極座長 貴重な御意見をありがとうございました。 ○花井委員 資料1の4ページに要介護認定者394万人とありまして、上に障害者数が 出ているのですが、身体障害者210万、精神が75万とありますが、多分この障害はダブ っている方もいらっしゃるかと思うんです。それで、現実的に394万人の中で障害者と いう認定を受けている方がどのくらいいるのか。先ほど来説明で出ていますように、65 歳以上は既に障害者が介護保険の優先適用になっているわけですので、その年齢を下げ る話ということと、保険料の徴収は、医療保険に基本的に乗っているということと、1 号は年金からの天引きということで徴収されているので、それは技術的に困難な話では ないと考えております。  それから、先ほどのことでちょっと質問なのですが、高額利用料の問題で介護と障害 者と両方使った場合、介護の上限額が使われるというふうに理解しているのですが、ま ずそれでいいかということと、それから今、医療保険の制度改革の中で介護と医療保険 の合算制度というものが検討されております。そうすると、この3つが合算されるとい う理解でよろしいかどうかということを御確認いただきたいと思います。 ○中村局長 最初の4ページで、先ほど来若年障害者の数とか、65歳以上になれば介護 保険になるということで大変御議論いただいていますが、私は前職が老健局長で介護保 険をやっていたときに大変このことが気になって、この4ページで身体障害の方を見ま すと65歳未満で要介護の人は10万8,000人くらいいると推計されていますが、私の記 憶では65歳以上で支援費を受けておられた方、または介護保険に適用されていた方は 210万人のうちの20万人くらいだったと思います。それで、大部分が介護保険制度を優 先適用されているということですので、要は身体障害者手帳を持っておられる方で、要 介護の方は極めて少ないと思います。要介護認定に該当される方は極めて少ない。  例えば、片足がない方は身体障害者手帳をもらいますが、義足を付けておられて日常 生活で歩いておられる方は要介護者ではない。この議論をすると、障害者イコール介護 保険の対象みたいなイメージがありますが、介護保険の制度は要介護認定に該当した人 が対象者で、身体障害者であるかどうか、手帳を持っているかどうかということは一切 関係がなく、要介護であるかどうかに着目して適用されるということでありますので、 210万人の方の中で要介護認定を申請し、該当されている方、あるいは支援費制度で対 象になっている方は極めて少ないということは事実でございます。  したがって、先ほど来いわば税金の制度から保険料の制度に変わって大きくふくらむ のではないかという御指摘をいただいておりますが、両面ありまして、要介護認定を厳 密に適用すると、支援費制度は要介護認定がなかったわけですので、そういった意味で は対象になるかどうか。そこのところは制度設計にもよりますけれども、要介護認定に 該当するかどうかが介護保険のいわば給付の対象になるか、ならないかということであ りますので、そういうレベルであるということが私の記憶の一つです。  それから、現に例えば知的障害の方であられましても、65歳になると介護保険が適用 されておりますので、先ほど大島委員の方から介護保険に適用されると障害者の方はど うなんだというお話がありますが、今は65歳になれば障害者の方は介護保険の適用にな っておりますので、65歳でそういうところで介護保険が適用されたから大変トラブルに なっているということは実際に社会問題としてはないということは言えると思います。  今、花井委員からお話がありましたように、介護保険はたまたま65歳で切っておりま すので、65歳前後でそこの移行が起こっているけれども、それが50歳になれば50歳で その問題が起きる。45歳になればそこのところで問題が起きる。それが20歳なれば、 そこでそういう問題が起きるという話であります。  それから、40歳以上の方は言うまでもなく障害者の方も介護保険の保険料は今もお払 いいただいているわけですので、2号被保険者の範囲を20歳にすれば障害者の方も、障 害者ではない方も、20歳以上の方が新たに保険料を賦課されるという問題でありまして、 障害者の方は今は介護保険の保険料を免除されているということではなく、40歳以上で あるから40歳未満の人が今、介護保険料を免除されているのと同様に、40歳未満の人 は障害者であっても保険料が免除されている。  逆の言い方をすれば、40歳以上であれば障害者であっても保険料はお支払いいただく。 これが介護保険の制度で、専ら介護保険の方が40歳、65歳と、そこで区切っているこ とによって生じているものでありますので、介護保険から見ますとその方が障害者であ るかないかというのは全く関係のない普遍的な制度になっているということであります。 ○藤木課長 その他の御質問がございました部分についてお答えしますが、高額サービ ス費を介護保険の1割負担部分と自立支援法の1割負担部分で合算してみるということ でございますが、その水準は3万7,200円という介護保険制度と自立支援法共通の上限 額となっています。  それで、重ねて御質問がありました中で医療保険と介護保険の負担部分の合算につい ては今、国会に提案中でありますが、障害者自立支援法は御案内のとおりまだ施行され たばかりであり、今後の実態を見て次の課題ということになろうかと思います。 ○大森座長代理 せっかく障害者雇用促進法の御説明がありましたので伺うのですけれ ども、この3ページの下のところに今後どういうふうに制度を接合しようか。障害者福 祉の最も重要な部分がこの就労の促進だと思うんです。これがいろいろな意味で自立し て暮らすという障害者の人たちの思いを実現しなければいけませんし、全体としてどう いうふうに負担制度を組むかということとも連動しますので、ここをどういうふうに充 実できるかということは相当大事になると私は判断しています。  その点で、制度や法律がどう変わったかわかっていないものですから、3ページの下 のところのハローワークから始まってセンター、支援センターで、これは皆、国の仕組 みでしょう。それをまず伺いたいと思います。ハローワークは国だけれども、その下は どうなっているんですか。47か所は。 ○土屋課長 ハローワークは国の出先機関でございます。それから、地域障害者職業セ ンターは独立行政法人の高齢・障害者雇用支援機構というところが運営をしております。 したがいまして、国が行う業務をそこに委託をしているような形になります。  それから、次の就業・生活支援センターは法律上の仕組みとしては都道府県知事が指 定をするということになっておりまして、事業の実施主体は社会福祉法人あるいはNP O法人といったものが中心でございます。 ○大森座長代理 そして、この110か所ある機能が相談・支援に限られているでしょう。 職業紹介はできないんでしょうか。 ○土屋課長 職業紹介の許可を取っていただければ機能として持つことはできますけれ ども、現状ではハローワークが職業紹介を担当し、専門的な支援を地域障害者職業セン ターが担当する。それから、地域における日常的な就業・生活両面にわたるような支援 ということでありますと就業・生活支援センターが担当するというようなことでござい ます。 ○大森座長代理 都道府県、市町村は職業紹介できるのでしょうか。 ○土屋課長 都道府県、市町村での職業紹介は、職業安定法の改正もございまして可能 になっております。 ○大森座長代理 そうすると、全体として今後この就労支援をやるときには、この仕組 み以外に都道府県と市町村は大事なんですが、実際に障害者の人たちが働ける場所、職 業の内容等で言いますと地域ごとに相当違うと思うんです。  ですから、国の仕組みも重要なのですけれども、都道府県、市町村が具体的にマッチ ングして全体として推進していく方策が私は重要になると思っていて、少し力点を置い てそちらの方を動かしてもらいたいと思っているのですけれども、全体としてそういう ふうに考えていいのでしょうか。 ○土屋課長 私どもとしては、職業紹介については基本的に国の機関が実施をしていく。 これはILO条約との関係もありましてそういうことでやらせていただいているわけで すが、これで申し上げますと実は障害者の方々の職業紹介というのは非常にきめ細かな 支援が必要な部分もございまして、ハローワークの中でも主力業務といいますか、基本 的な業務になっている部分でございます。  ですので、そういった意味で国の機関としてハローワークがあるわけですが、マッチ ングの専門的な機関としては今ハローワークがある意味で蓄積もあるということでござ いますから、そこと、それから就業・生活支援センターは先生御指摘の都道府県、市町 村の福祉サイドの取り組みもうまく連携をとりながら、福祉から雇用へ、あるいは再就 職へのチャレンジといったようなことをやっていきたいと思っております。 ○大森座長代理 希望ですけれども、この3ページのような文章をつくるときに一番下 のように有機的連携を図るだけではなくて、都道府県、市町村が今のようなやり方が取 れるということを明示してもらいたい。  あなた方が書くと、何となく職業紹介は国しかやらないという従来の掲げ方があって、 なかなかそういう表記が出てきにくいんです。だから、今後は私は非常に重要になると 思っているので、実際にできますよということを書いてもらいたい。書くと現場は激励 されるし、既に幾つかの大きな市などは窓口をつくってやり始めていて、とても評判が いいんです。ハローワークより評判がいいと私は承知しているので、むしろ全体として 充実する方向に向かうためにもこういう表記をきちんとしてもらいたいという希望でご ざいます。○京極座長 ありがとうございました。私も同感でございまして、ハローワ ークは今、障害者雇用は若干数字が上がっていて、これは厚生労働省の努力もあると思 います。もちろん景気の好転もあると思いますが、これは評価したいのですけれども、 地方分権化の動きもありますし、大変アイデアで障害者雇用促進法というのは課徴金を うまく回していくという制度で、知恵者が考えたなと思います。  ただ、今の時代において課徴金は企業会計上、損金算入にされているのではないかと 思うんです。利益から取られるとかなり厳しいけれども、損金だと払っておけばそれ以 上障害者は取らなくても済むよという、ごめんなさいの方にかなり使われている向きが ありまして、当初は非常に大きな役割をしたんですけれども、これから障害者の雇用を もっともっと増やそうという障害者自立支援法の精神を更に労働行政を受けていくとき に、やや桎梏になる可能性もあるので、この辺の見直しをきちんと審議会で議論してい く必要があるのではないか。  利用者負担も企業の負担は、障害者にとっても介護保険適用については従業員の20 歳から39歳までの半分を負担しなくちゃいけないとなりますと、企業負担をどこかで課 徴金は取らないとか、むしろ税制上で配慮してくれるとか、何か企業負担についてもバ ランスよくやって、その結果が障害者の雇用にもつながるということであれば、これは どうやるのか私はわかりませんけれども、これから専門的な議論で是非やっていただき たいと思います。  それでは、竹中委員どうぞ。 ○竹中委員 遅れて来まして申し訳ありませんでした。今お話が、障害のある人たちが 働くというところにテーマがありまして、私としても大変うれしく思っています。障害 者数330万人と言われている中で、こちらの雇用法の資料を見ますと実際に就労といい ますか、雇用されている方の数字が30万人くらいしかないわけですね。これは先進国各 国を見てもやはり非常に少ないのかなと。さまざまな御努力をなされているとは思うん ですが、やはりこれだけ少なくて福祉の手当てを受けるサイドの方がそれを上回ってい る状況というのは、本当に本腰を入れて変えていかねばならないところかと思っていま す。  それで、今ハローワークが中心になって雇用マッチングをされているわけですけれど も、例えば私たち自身も民間としてITなどを使って介護を受けながらでも働ける人た ちは世の中にいて当たり前なんだという状況を生み出したように、マッチングだけでは なくてさまざまな働き方の創出をしていくということが官民挙げての非常に大きな課題 かと思っております。  そういう中で、要介護状態でも働いて収入を得ているという方たちは現実に私どもの スタッフにもいるわけですが、たまたま1人の在宅で重度でお母さんの介護を受けなが ら働いていらした方が、高齢になられたお母さんが要介護状態になられたんです。そう すると、お母さんが彼の介護をできないということで、お母さんにヘルパーさんが今、 通われていて、彼には彼で別に障害者ということでヘルパーが同じ家に来ているという ことです。それで、ヘルパーさんの来られる時間帯に合わせざるを得ないから、彼の方 はせっかくヘルパーさんが来ていても結局、今ちょっと働けないような状態になってい ます。  先ほど同じヘルパーさんが同じところへ、例えば同世帯に複数名おられたときにやれ るのではないかというお話がありました。私はこれはやれると思いますけれども、障害 のある人たちに対して、その人たちを就労支援するヘルプの仕方と、高齢の方の生活を 支援する介護というのはやはり幾分ノウハウが違うのかなと。ですけれども、そこをひ とくくりにして、あるいはそういったヘルパーさんに対するきちんとした訓練みたいな ことがあれば、私はそれは十分可能ではないかと思っています。  例えば、資料1の「障害者自立支援法について」の8ページなのですけれども、左側 に障害者自立支援法とあり、右に介護保険法とあるのですが、私は下になっている訓練 給付等というものはやはり理念から言ってこれが上にくるべきで、これが上にくるため に介護というものがあるというように理念を変えないといけないと思うんです。  特に身体障害だけの方の場合は、私たちの中ではほとんど障害者とは呼ばないでおこ うというくらいITだとか、あるいは先ほど義手・義足というお話も出ましたが、いろ いろな科学技術を駆使した道具等によって本当に働く場所へ押し出していくことができ ますから、そういう意味では社会の支え手になっていける人たちなのですが、残念なが らその理念がまだ確立されていないところで、どうしても弱い障害者というような位置 付けになってしまっている。  これは、実は本人の非常に大きな誇りを奪っている状況になっていまして、与えられ ている給付を自己投資することによって自分がきちんと働いて社会的なステータスを得 ていくチャンスがないという状態のときに、どうしても人は、では給付の方をもっと上 げてくれ。要は、下駄しかくれないんだったら下駄を上げてくれと、変な言い方になる かもわかりませんが、現実にそうなってしまっている状況があって、先ほどの支援費と 介護保険の大きな格差というのも実は1つはそういった理由から出てきている部分がた くさんあります。そういう意味で、介護を共通のものとして考える部分と、その人たち を働ける状態まで押し上げていくということをこれから非常に強力にリンクしていかな いといけないんだと思います。  私たちは、厚生省と労働省が分かれていた時代にこういう活動を始めたわけですが、 そのとき私たちには、やはりそれを整合させるためにはこの2つの省が共になってお互 い同じ理念で進んでいっていただきたいという非常に大きな望みがありましたが、今そ れは厚生労働省になり、こうして自立支援法ができたということで私は大きく一歩進ん だかなと思っておりますので、今回のこの介護との組合せの部分でも大いにその考えを 発揮していただいて、給付を受けるだけではなく、受けながらも働ける、あるいはこの 人たちは給付よりむしろ就労なのだ、あるいは仕事なのだというシステムも並行して生 み出していっていただければうれしいということで、質問というよりは意見ですけれど も、よろしくお願いします。 ○京極座長 これは御意見を承るということでよろしいですか。  それでは、最後に森田委員お願いいたします。 ○矢田委員(代理:森田課長) 先ほどの御意見を受けてなのですが、8ページの左が 自立支援法で右が介護保険ですが、介護保険も今回の改正で予防という部分を重視して、 保険料を財源として予防給付ですとか地域支援事業というふうな部分まで拡大していっ たのですが、障害者の自立支援の部分でこの下に訓練等給付というものがあるのですが、 先ほどの考え方をずっと伸ばしていくと、この部分も保険という一つの理論の中で保険 料を財源にして実施するということがなじむのかどうか、どんな感じかという質問です。 ○京極座長 これは今お答えになっていただいた方がいいですか。 ○松嶋課長 先ほど来、関委員もおっしゃられたように、仮に年齢引下げの問題等々が あったとき、保険料の徴収の仕方をどうしたらいいんでしょうか。それから、障害のサ ービスにしても同じヘルパーでも内容は違うよねとか、いろいろな細かい点や、今のよ うな訓練等給付については、介護保険の予防給付と障害の訓練等給付はある部分イコー ルではないかとか、こういう意見も聞きました。  そこら辺の部分は、もっと年齢の問題がどうで具体的にどう進めるか、今後もう少し 具体的になってきたときの議論ではないかと思っておりますので、御意見として承って おきます。 ○京極座長 ありがとうございました。  それでは、予定された時間となりましたので、本日の討議はこれで終了したいと思い ます。  事務局から連絡があればよろしくお願いいたします。 ○山崎総務課長 ありがとうございました。  次回でございますが、もう少し基本論を御議論いただきたいと思っておりまして、今 回のこの介護と障害の関係で少し諸外国の状況も調べておりますので、それも参考資料 として提出させていただいて議論をしていただきたいと思います。  また、ある程度の時期に有識者の調査を考えておりまして、その調査に関しましても 少し御報告させていただきたいと思っております。  日程ですが、7月の中下旬を考えておりますが、具体的にはまた追って連絡させてい ただきたいと思っております。以上でございます。 ○京極座長 それでは、今日はどうもありがとうございました。 照会先 老健局総務課 上村 連絡先:03―5253−1111(内線3918)