06/05/30 平成18年5月30日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品 部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日 時:平成18年5月30日(火) 14:00〜16:08 ○場 所:厚生労働省専用第15号会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、井上(達)委員(部会長)、井上(松)委員、大野委員、 小沢委員、加藤委員、志賀委員、下田委員、中澤委員、米谷委員、 山添委員 事務局  松本食品安全部長、藤井大臣官房参事官、南野企画情報課長、 伏見基準審査課長、長谷部課長補佐、河村課長補佐、近藤専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 遠藤課長補佐      農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 小峯専門官 議  題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について     ・メトコナゾール(農薬)     ・シアゾファミド(農薬)     ・エンロフロキサシン(動物用医薬品)     ・d−クロプロステノール(動物用医薬品)  (2)平成18年度食品健康影響評価依頼予定物質について(報告)  (3)その他 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。 本日は、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞ、よろしく お願い申し上げます。 開会に当たりまして、まず、松本食品安全部長からごあいさつを申し上げます。 ○食品安全部長 「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」 の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 皆様におかれましては、日ごろより食品衛生行政の推進につきまして、種々御協力を いただいていることを厚く御礼を申し上げます。 さて、食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度に関しては、先生方に長 年にわたって御検討いただいたものでありますけれども、おかげ様をもちまして、昨日 5月29日に施行することができました。 本制度の導入につきましては、平成15年の食品衛生法の改正後3年間にわたりまして、 本部会において数多くの御審議を賜わりましたことを、この場を借りまして、改めて厚 く御礼申し上げます。 施行はされましたけれども、今後、本制度の円滑な運用を推進していきますとともに、 今回新たに基準を設定した農薬等につきましては、食品安全委員会に食品健康影響評価 を依頼し、その結果を踏まえ、本部会におきまして基準値の見直し等を行っていくこと としておりますので、委員の皆様におかれましては、引き続き御指導のほどよろしくお 願い申し上げます。 さて、本日は農薬メトコナゾール及びシアゾファミド並びに動物用医薬品エンロフロ キサシン及びd−クロプロステノールの食品中の残留基準について御審議いただくこと としております。 これらの農薬につきましては、今般、食品安全委員会におきまして、ADIの評価等 がなされましたことから、科学的暴露評価に基づいた基準値案等につき御審議をいただ くものでございます。 以上、簡単ではございますが、開会に当たってのあいさつをさせていただきます。ど うぞ、忌憚のない御意見、御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○事務局 ありがとうございました。本日は、豊田委員、吉池委員より欠席の御連絡を いただいております。農薬・動物用医薬品部会の委員、13名中11名の御出席をいただ いており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりま すことを御報告いたします。 それでは、井上部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議、よろ しくお願い申し上げます。 ○井上(達)部会長 それでは、議事に入らせていただきます。そろそろ暑くなってま いりましたので、どうぞ上着をとって御討議ください。 初めに、資料配布の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元の方にお配りしており ます資料の内容でございます。 まず、座席表が1枚、次に分科会の動物用医薬品部会の議事次第。次に配布資料の一 覧。そして、委員の名簿となっております。 次に資料1でございます。資料1のみ分冊となっておりまして、1−1及び1−2と なっております。こちらが農薬メトコナゾールの残留基準値の案の資料でございます。 資料2−1が農薬シアゾファミドに係る資料でございます。こちらは一部とじとなっ ておりまして、中に資料の2−1、2−2という構成となっております。 資料3が動物用医薬品エンロフロキサシンの資料でございます。中身といたしまして は3−1、続いて3−2が一部とじとなっております。 資料4が動物用医薬品d−クロプロステノールの資料でございます。こちらも一部と じとなっておりまして、中に4−1、4−2という構成になっております。 最後に参考資料といたしまして食品の摂取量の一覧、そして食品安全委員会への意見 聴衆及び食品健康影響評価の結果についての一覧となっております。落丁等ございまし たら事務局までお願いいたします。 ○井上(達)部会長 不足がございましたら、事務局までお申し出ください。 それでは、本日は食品安全部長からも御紹介がありましたように、食品中の残留農薬 等に係る基準の設定ということで、農薬2品目及び動物用医薬品2品目の御審議をいた だきます。 それでは、農薬のメトコナゾールの方から事務局の御説明を伺います。よろしくお願 いします。なお、関係委員には既に、事前に資料等のついての御検討をいただいている ところでございます。よろしくお願いします。 ○事務局 基準審査課の河村でございます。農薬のメトコナゾールにつきまして、資料 1−1、1−2について御説明申し上げます。 資料1−1でございますが、ページは下の方に打ってございます数字に従いまして、 御説明申し上げたいと思います。 1ページ目から資料1−1でございますが、これは本件につきまして、内閣府食品安 全委員会でまとめられて、本年4月27日付で当省の方に通知された評価書でございます。 もう一つ、資料1−2でございますが、これにつきましては、本部会の報告書案とい うことで、事務局の方でまとめさせていただいたものでございます。 では、資料1−1に従って説明させていただきます。6ページ目ですが、これまでの 審議経過ということで記載されております。 メトコナゾールは、平成15年6月に農薬の登録の申請が行われまして、その後、必要 な書類が整ったことから、翌年の2月13日に当省から食品安全委員会の方に、食品健康 影響評価を依頼したものでございます。 委員会の方で審議を経まして、先ほどの報告書で、4月に当省の方に報告書がとりま とめられたということで通知がなされたということでございます。 報告書につきましては8ページをごらんいただければと思います。メトコナゾールの 物質について「7.開発の経緯」のところでございますが、この物質自体は、1986年に 申請者、呉羽化学工業で発見されたということで、トリアゾール系の化合物、殺菌剤で ございます。 作用機構は菌類のエルゴステロール生合成経路中の炭素原子の脱メチル化とされてご ざいます。海外では既に広く使われているということでございまして、フランス、イギ リス、ドイツ等の欧米諸国、韓国、中南米、アフリカ諸国と、30か国以上で登録されて いるということで、穀類、果実に使用されているとなってございますが、我々の調査の 方では、アメリカまたはEU、ニュージーランド、オーストラリア等では、登録がない ということでございます。また、JMPRの方でも、まだ評価がされていないと承知し てございます。 このメトコナゾールについて評価をするため、各種試験が行われてございます。30ペ ージからの総合評価というところで御説明申し上げたいと思います。 ラットを用いました動物体内運命試験というのが行われてございます。主な排泄経路 は糞中でございまして、投与120 時間後までに投与量の大半が排泄されると。主要代謝 物として尿ではM12、M20、糞便中ではM1、M12、M19であったということでござい ます。 小麦、ミカンを用いました植物体内運命試験では、小麦では非常に残留性が低 いということで、主要代謝物はM34、M35であった。ミカンでは果肉中にはほとんど移 行しなかったということでございます。 土壌中の運命試験については、土壌中の半減期は好気的条件下で49〜74日。 水中の加水分解試験では加水分解しなかったということです。 光分解試験では、光により分解して半減期は159 日ということです。 土壌残留では、推定半減期は12〜38日、分解物の検出はないということです。 続いて、各種毒性試験でございますが、急性経口のLD50はラットの雄で727mg/kg 、 雌で595mg/kgでございます。マウスの雄で718mg/kg で、雌で410mg/kgでございます。 急性経皮LD50は、ラット及びウサギの雌雄で200mg/kg 超でございます。 急性吸入LC50は、ラットの雌雄で5.6mg/L超 ということです。 亜急性毒性の試験で、無毒性量はマウスの雄で4.6mg/kg/day未満ということでござい ます。雌で6.5mg/kg、ラットで6.4mg/kg 、犬で23.1mg/kgという数字でございます。 ラットでは発がん性は認められていないということです。 マウスの雄で亜急性の無毒性量が4.6 mg/kg/day未満ということでございました。食 品安全委員会の評価では、後ほどお話ししますが、長期のマウスの雄での発がん試験の 無毒性量が4.2mg/kg/dayであったということで、マウスの雄の無毒性量としては、4.2 mg/kg/dayという値を採用すると結論づけたということでございます。 発がんの部分でございますが、詳細については、21ページから書いてございますが、 マウスの肝細胞の腫瘍が雄の1,000ppm投与群、また雌の300ppm以上投与群で、統計的 にも有意に増加したということでございます。 ただし、別途行っております遺伝毒性試験で、生体で問題となるような遺伝毒性が発 現するということがないと結論づけられていたということから、この発がんにつきまし ても、閾値があって、無毒性量を設定することは可能という検討結果になってございま す。 そういった内容でマウスの雄で4.2mg/kg/day、雌で5.2mg/kg/dayというような値を 無毒性として採用してございます。 2世代の繁殖試験では、無毒性量はラットで8.49mg/kg/day、発生毒性はラットで16 mg/kg/day、ウサギで4mg/kg/dayということでございます。 このウサギの4mg/kg/day という数字がADIの設定根拠となってございます。催奇 形性は認められないということです。 代謝物につきましても、復帰突然変異試験の結果は陰性で、遺伝毒性は発現しないと いうことでございます。 32ページに、これらの無毒性量をとりまとめた一覧表がございます。ここの一番下の ところでございますが、ウサギの発生毒性試験(1)から(4)までございますが、(4)に「母動 物及び胎児:4」という数字がございます。この無毒性量をADIの設定根拠というこ とで、次のページでございますが、この数字を用いまして、安全係数100 で割った0.0 4mg/kg/day というのが一日摂取許容量(ADI)として設定されてございます。 また、農作物の暴露評価物はメトコナゾールで幾何異性体でcis体とtrans体 の合量という形で設定してございます。 以上が食品安全委員会の方でまとめられました食品健康影響評価の報告書でございま す。 これに基づきまして、資料1−2の部会の報告書を事務局の方でまとめさせていただ きました。 まず、1ページ目にございますが、メトコナゾールは、今回新規登録ということで申 請がなされている殺菌剤でございまして、適用につきましては、小麦とミカン等のかん きつ類ということで申請がなされてございます。 ページをめくっていただきまして、項目の5でメトコナゾールの適用範囲と使用方法 というのが列挙されてございます。 メトコナゾールは、乳剤または水和剤ということで散布されるような形で使用される ということでございます。 今回、先ほども申しましたように、小麦、ミカン等のかんきつ類につきまして、登録 申請が行われてございますが、それらにつきまして、作物残留試験が行われてございま す。その成績をまとめたものが7ページでございます。別添1ということで表にしてご ざいます。 この結果を用いまして、基準値案というものを作成するわけでございますけれども、 ちょっと戻っていただきまして、4ページの「7.ADIの評価」ということで、先ほ ど御説明申し上げましたとおり、食品安全委員会での評価の結果、ADIが0.04 mg/kg /dayという数字でございます。 次のページの「8.諸外国における使用状況」ということで、これらについて基準を 設定するときの参考としているコーデックス、米国、カナダ、EU、オーストラリア、 ニュージーランドのような国々または地域におきましては、基準の設定がされていない ということでございます。 最後に「9.基準値案」の説明でございますが、まず、規制の対象とするのは、メト コナゾールのcis体とtrans体の総和としてございます。 残留試験につきましては、一部の代謝物について分析をしてございますが、いずれも 定量限界未満であったということから、規制の対象には含めないとしています。 食品安全委員会の評価でも暴露評価の対象としては、メトコナゾールのcis体、t rans体の総和という結論をいただいてございます。 基準値の案につきましては、8ページの別添の表で示してございます。 小麦、ミカン、ナツミカンの果実全体、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライ ム、その他かんきつ類果実、ミカンの皮ということで、作残試験に基づきまして、基準 案を定めてございます。 これらにつきまして暴露評価を行ったものが、ちょっと戻りますが5ページ目の9の (3)でございます。TMDIで計算しましても、国民平均で1.3 %、幼小児で3.3 %、妊婦さんで1.4 %、高齢者の方でも1.0 %と非常にADI比も低いということでご ざいます。 以上より、先ほどの基準値案で、安全性には問題がないものと考えてございます。ち ょっと補足の説明でございますが、先ほどかんきつ類ということで、ミカン等について 基準を置いてございますが、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライムにつきまし ては、これはグループ作物ということで登録がなされるということでございますので、 その他かんきつ類の果実での作物残留試験のデータに基づきまして、0.3ppm という数字 を設定させていただいております。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。ただいまの河村補佐の御説明に対して、 御審議いただこうと思いますが、初めに食品安全委員会で御提出になった評価書を中心 に、この場でのお立場から御質問、御討議がおありでしたらお願いいたします。 非遺伝毒性物質で、閾値があろうということに基づいて、マウスの高領域での肝の腫 瘍について棄却した形で安全性を認定しておりますが、それ以外は特にラットでは腫瘍 の発生は全く見ないようで、毒性も比較的低いでしょうか。その中で、発生毒性だけが やや低いということで、全体が決まっておりますが、いかがでしょうか。 大野先生、どうぞ。 ○大野委員 食品安全委員会の報告書の16ページなんですけれども、そこに一般薬理試 験の結果が載っております。そこで、ヘキソバルビタールで誘発された睡眠に対する作 用を見ているんですけれども、そこで3mg/kg/day で睡眠延長作用が出ているんです。 NOELが1mg/kg/day ということになりまして、今回のADIを設定するときに使っ た毒性の4mgより低いんです。それで、どうしたものかということで、ちょっと御意見 を伺いたいと思っているんです。 ○井上(達)部会長 そういう御指摘でございますが、事務局、いかがでしょうか。あ るいはほかの委員の先生。 ○大野委員 では、私の意見を申し上げさせていただいてよろしいですか。 ○井上(達)部会長 よろしくお願いします。 ○大野委員 このものは、結局、阻害作用が評価書の中に何も触れていないんです。こ れによる誘導作用は触れていろいろディスカッションしているんですけれども、まず触 れなければいけないだろうということと、ヘキソバルビタールの睡眠延長作用が毒性と 見るか、見ないかによって、これでセーフティーファクター100 をとるべきか、それと ももっと少なくていいのかという結論になるんではないかと思うんです。 そういう意味では、これは非常に科学的なものですし、毒性として見なくてもよろし いんではないかと。薬理作用として見て、セーフティーファクターを必ずしも100 をか けなくてもいいのかなという気がしますけれども、先ほどちょっと山添先生とお話しし た、山添先生の方も御意見があったと思うんです。 ○井上(達)部会長 それでは、山添先生の御意見をお願いします。 ○山添委員 確かに大野先生がおっしゃるように、かなり低いところで阻害作用が出て います。ただし、この薬物は、逆に1つは酵素誘導作用があるということで、300ppmの ところから酵素誘導の作用が出てきています。そうなると、逆に阻害の程度は下がって しまって、実に投与量が上がると相反する作用が見えてくるというのがあって、恐らく これが実質的に問題となるシチュエーションは少ないだろうということが1つ。 もう一つは、さっき毒性との絡みということから行くと、ヘキソバルビタールの睡眠 時間の延長というのは、別に種差があるということよりも、むしろヒトを通じて動物か らずっと見られる現象ですので、100 倍のファクターをかける必要はなくて、種差のフ ァクターを消してもいいんではないかと。個人差は勿論あるでしょうけれども、そうい うことを考えれば、ある範囲の中に入る可能性はあると考えます。 ○井上(達)部会長 どうも御説明ありがとうございます。2点にわたって、睡眠作用 については問題がないだろうという御指摘ですが、大野先生、そういう考え方で、どう ぞ。○大野委員 今、山添先生が言われたことに私も同意していまして、セーフティー ファクターを全然無視してしまうのはいけないと思うんです。これが作用量で実際の暴 露量と非常に近いところがあるということは十分考慮しなければいけないんですけれど も、実際の暴露量は、今回は設定された提案が0.04だということになると、100 分の1 近いと、無作用量を1とすると、20分の1ぐらいですか、セーフティーファクターを1 0ぐらいとっていれば十分ではないかと思っています。 そういうことで、今回特に食品安全委員会が提案しているADIでよろしいかと思い ます。 ○井上(達)部会長 そうしますと、いろいろ解明していただいたわけですけれども、 位置づけは若干異なったわけで、ただ、この評価書を書き換えるという性質ではないわ けでしょうから、評価書については評価書についてで、こちらから御意見を申し上げる と。ただいまの2点に沿って、具体的に数字を変更しなければならない問題点はないか もしれないけれども、この一般薬理試験としての中枢神経系に対する影響を評価書には 加えられるべきではないかと。 それから、それの酵素誘導との関係、更にヒトに対する影響との関係での安全係数の 問題、そういったことについて、何か言及していただく必要があるのではないかという コメントが出たという点が第1点です。 それから、当部会としては、そういったことがありましたけれども、ヒトに近い薬理 作用であるということで、安全係数について、いきなり100 とる必要はないだろうと。 ただ、幾つとったらいいかということは、本当はそう簡単には定められないんだろうと 思うんですけれども、ただ、今、概算してみると、20とか10とか、そういうオーダー ですから、十分安全域は得られるということで、この委員会では安全係数を、あえて設 定する立場にもありませんので、この範囲であるならば、評価書の示された0.01の値で 話を進めていって差し支えないのではないかという判断をしたと、こんなまとめでよろ しゅうございますか。 では、そういうふうにさせていただきます。両先生、どうもあ りがとうございました。 そうしますと、安全性評価については、そんなところでまと めさせていただいて、次に、この部会の本題であるメトコナゾールに基づいて案が提出 されておりますので、これについて、御審議いただきたいと思います。いかがでしょう か。かんきつ類を中心にして設定されているようですが、加藤先生どうぞ。 ○加藤委員 案についての反論とか、何かということではなくて、事務局からの説明の 補足ということで少しお話しさせていただきます。 メトコナゾールの部会案の2ページ目のところで、適用病害虫名で、みかん、それか らかんきつについては貯蔵病害ということになっているわけです。 それで、ミカンに関しての基準値は果実全体ではなくて、果皮を外した果肉部分につ いて設定されているわけでして、収穫後、貯蔵中にミカンの皮から果肉部分へ浸透移行 がかなり活発に行われて、例えばミカンの果肉の収穫時の残留量0.02ppm 以下と、これ を超えるような状態ならば、今、これからつくろうとする基準値の案というのはおかし いことになってしまうので、その点はどうかということで、代謝のデータ等を見ますと、 まず、ミカンの貯蔵期間は、インターネット情報では常温だとか低温で保存する保存条 件によって期間は違うようですけれども、常温であれば、1〜2か月のようです。 代謝のデータを見ますと、まだ収穫前の段階、そこで処理から56日後まで時点で、表 面から果皮にはどんどん取り込まれていくと。ただ、果皮から果肉へはほとんど移行し なくて、果肉中のレベルは、56日後までずっと1ppb 以下、0.001ppmよりも少なくて、 メトコナゾールがそのぐらいのレベルでしかないと、非常に移行しづらい。 もう一つ、予備試験というのがやってあるようでして、そのデータを見ますと、やは り果肉部分、これは収穫後、28日まで常温で保存して、その間に果肉部分への移行があ ったか、どの程度のレベルになっているか、それから代謝物等の状態はどうなのか、そ ういうのを調べたデータのようです。 それを見ますと、やはり本試験のときと同じように、収穫後も1か月程度の間では、 やはり親化合物のレベルとしては、1ppb 以下というふうに算定されるような状態です。 ですから、そういうデータから見まして、恐らく収穫後も常温、それから低温等で貯 蔵3か月なり4か月最大やるようですが、そういう期間保存したとしても、恐らく貯蔵 中に果皮から果肉にメトコナゾールが移行して、0.02ppm を超えるようなレベルにはな らない。 ですから、基本的に今回つくった基準値案、それからこれに基づく暴露量の 評価というのは問題ないだろうと、そういうふうに考えられるデータです。 ○井上(達)部会長 どうもありがとうございました。それでは、米谷先生どうぞ。 ○米谷委員 8ページに、現在の基準値案をつくるに当たって採用した数値が出ており ますけれども、いつも思うんですが、この場合、例えば小麦とか、ミカンの皮で、ちょ っと大きな値が出たときに、最大値のものを取らざるを得ないということで、それを基 に基準値をつくっていくわけですけれども、そうしますと、何か大きな値が出たときに は、それに引きづられて大きな基準値案になるというのは、以前からも指摘されている ものですけれども、今回もそういうような例が出てきたなという感じで受け取っており ます。 特に小麦の場合に、0.02未満と0.03ということで、0.03に引っ張られて、基準値案 は、0.1 かなと思えば、0.2 と書いてありますので、その辺をどうするかということで す。0.1 でもいいのか、あるいは0.2 にするかというようなことが気になります。 この0.03というのは、よく出てくるような数値だといいんですけれども、実際に、た まに出た数値で、こういう基準値が決まってしまうということであれば、困るなという ことです。今までのルールに従って今回もやっておりますので、この場合、0.03で0.2 かあるいは0.1 かというのは、ちょっと議論する必要があるかと思います。以上でござ います。 ○井上(達)部会長 こういう御指摘ですが、事務局は何かありますか、あるいはほか の先生方で、どうぞ。 ○事務局 この部分は、本当はもっと例数があったり、ばらつきのない数字がとれれば いいところなんですけれども、なかなかそういうのも難しいという中で、個別に理由を お聞きしながら、また、その理由が妥当なものかどうかというものも加藤先生を始め、 先生方にお聞きしながら進めているところでございます。 この点について、もし御懸念の点等がございましたら、御議論いただければと思いま す。 ○井上(達)部会長 事務局の方では、そういうお立場だそうで、もし御意見があれば、 どうぞ御発言ください。 どうぞ。 ○加藤委員 今の米谷先生からのお話、悩むところなんですけれども、私個人としての 考え方でいきますと、まず、残留データが残念ながら2点しかないと、これは基本的に 一番大きな問題なんですけれども、その2点のデータで下限と上限でどの程度のばらつ きがあるのか、特に基準値をつくる場合の一番大きなポイントは、基準値をつくること によって、使用基準も確定される。農家にとっては使用基準にのっとって使った場合に 違反が出るような使用基準であっては全く何のための基準値、何のための使用基準かわ からないことになってしまいます。勿論、ADIの80%を満たさなければ話になりませ んが、そういうことで、わずか2例の中でどちらが大きいかというのを正しい分布なの か、分布の上限なのかというところで最大残留量を想定するというのは科学的には非常 に難しいというよりは、できないこと、不可能なことだと思います。 そういう2点の中で、やはりばらつきを読むとなると、下の方ではなくて、大きい方 を取らざるを得ない。実際の農家での使い勝手、違反を出すために基準値をつくってい るわけではないと。全体として基準値の中に収まって、かつ摂取量としてADIの80% 以内に収まってくれるような、そういう残留になるような基準値をつくるのが、この部 会の役割であるということを考えますと、大きい方を取らざるを得ない。 特に分析上おかしな点があるとか、試料の調製段階で異常な問題があったという場合 を除いては、大きい方を取るのが、むしろ妥当ではないかと私は考えております。 ○井上(達)部会長 そういうことですけれども、どうぞ。 ○米谷委員 大きい方を取るのは、特に今はこだわっておりませんで、今までどおり、 こうやってきたものですから、それで結構ですが、0.03の場合に、3倍で0.1 にするか、 あるいは7倍ぐらいの0.2 を取るのか、その辺をどちらがよろしいかということで、ち ょっと討論していただければと思います。 同じ0.2 のところですと、ナツミカンの果実全体のところでは、0.05があるので、0. 2 になっておりますけれども、ですから、今まで何倍ぐらいを認めてきたかという例が あればいいんですけれども。 ○井上(達)部会長 経験とデータから受け取る感触と、それから事務的にどこまでで きるかということですか。いかがですか、事務局。 ○事務局 一応、数値につきましては、使用基準の部分がありますので、いろいろ協議 をしながら進めているわけでございますけれども。 ○米谷委員 2けた取って、0.15ができれば、それぐらいが一番いいんだと思いますけ れども。 ○井上(達)部会長 そういう可能性は加藤先生、いかがなんですか。 ○加藤委員 2けたは、いかがかと思うんですけれども、実行上どういうふうになって いるかということで、私が知っている限りでは、従来の登録保留基準の時代から使われ てきて、聞いているところでは、以前の安評部会でも一応承認を得たと聞いております。 そういう実際の残留量と、それから当時の登録保留基準の数値の間の安全係数といいま すか、そういう表が、たしか厚労、農水の中でつくられておりまして、それを今も参考 にして数値を置いてところが実態だろうと思います。 それに関して、私自身の考えとしては、こういう基準のときに、常にアメリカのデー タがあったときに、アメリカでは10例ぐらいのデータで基準値をつくったりしています ので、それとどれぐらいかけ離れているか、非常に大きくかけ離れていれば問題だと思 うんですけれども、見ている限りでは、そんなにずれはないと。意外と近い数字になっ て、ほぼ同じ数字になっているなという気がします。 ただ、それがどういう根拠でつくられたかという科学的な根拠に基づいて、経験的な 根拠に基づいてつくられた表なのか、そこは私自身よく知りません。 ○井上(達)部会長 そういう感触ということだそうですけれども、ほかにはいかがで しょうか。 扱いとしては、おおむねそういう値を見ているので、この場での判断もこの値でよろ しいのではないかということになりますけれども、もし特段にこれでよろしいのではな いかということでしたら、御了承いただくということにしたいと思います。 それでは、どうもありがとうございます。 そうしますと、この基準値案で御了承いただけますか。 ありがとうございます。先ほど議論に入るときに、無毒性量、ADIを読み間違いま したけれども、0.04でございます。 それでは、どうもありがとうございます。 その次は、シアゾファミドの説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、農薬の2物質目、続きまして河村の方から説明させていただきま す。シアゾファミドでございます。資料2−1、2−2に従いまして、御説明申し上げ ます。 資料のページ数は、下の方に書いてございます数字の方で御説明申し上げます。 資料2−1の1ページ目、これが食品安全委員会で評価されてまとめられました評価 書の方でございまして、5月11日付で当初の方に通知がなされたものでございます。 資料の37ページから資料2−2でございます。これが評価書に基づきまして事務局の 方でまとめました部会の報告書案でございます。 資料の中身でございますが、この物質についての検討経緯がございますので、資料1 −1の6ページをごらんいただければと思います。 この物質につきましては、平成13年に初回の農薬の登録の申請がなされまして、その 後、適用拡大申請等がございました。 もう既に1回食品安全委員会に健康影響評価を依頼しまして、その適用拡大の分につ きましては、この部会でもその評価結果を受けまして、審議をしていただきまして、20 05年4月に基準値の告示をしたものでございます。 更に、2か月後でございますが、適用拡大ということで、農薬登録の申請が農水省に ございまして、第2回目の食品健康影響評価を依頼したということでございます。 その後につきまして、今回評価が終わったということで、評価書がまとめられて、当 省の方に通知がなされたということでございます。 今回は、適用拡大の部分等につきまして、基準値の設定をするということで御審議い ただきたいと思います。 ですので、毒性等については、新しい知見があったわけではないんですけれども、簡 単に評価について御説明申し上げます。 総合評価ということで、資料の23ページに基づきまして御説明申し上げます。 この物質を評価するために、各試験行われてございますけれども、ラットを用いた動 物体内試験、また植物体内運命試験等が行われております。ラットにおきましては、主 な排泄経路は低用量では尿中、また高用量では糞便中ということで、投与24時間後まで に大半が排泄されているということでございます。 トマト、ばれいしょ、ブドウを用いた植物体内運命試験も行われておりまして、植物 体内で一部が代謝されるということでございます。 土壌運命試験では、好気性の条件下で半減期は5日以下、嫌気性では4.75〜6.8日と いうことです。 加水分解また水中光分解試験では、加水分解を受けて、光照射によって急速に分解す るということでございます。 土壌残留試験では、半減期は容器内試験で5〜8日、ほ場では3〜6日ということで ございます。 また、代謝物に対する作残試験が実施されているということでございます。 各種毒性試験でございますが、急性経口LD50は、ラット及びマウスの雌雄で5,000 mg/kg 超ということで、経皮のLD50はラットの雌雄で2,000 超、吸入のLD50はラッ トの雌雄で5.5mg/kg ということでございます。 亜急性試験の毒性試験で、無毒性量はラットで29.5mg/kg、犬で1,000mg/kg というこ とです。 慢性毒性発がん試験で得られた無毒性量はマウスで985mg/kg で、ラットで17.1mg/k g、犬で1,000mg/kg ということで、発がん性は認められてございません。ここでのラッ トの17.1mg/kgというのは、最終的にADIの設定根拠ということになってございます。 2世代繁殖試験では、無毒性量ラットの親動物で134mg/kg/day 、子動物で89.2 mg/ kg/day、繁殖能力での影響はなかったということでございます。 発生毒性試験では、催奇形性も認められてございません。 遺伝毒性試験では、すべてにおいて陰性、または代謝物につきましても復帰突然変異 試験が実施されてございますが、結果は陰性で遺伝毒性は発現しないとされています。 25ページに、各試験におけます無毒性量の一覧でございます。 この欄の上から3つ目、ラットの24か月間慢性毒性試験、発がん性試験の併合試験を してございます。これの雄での17.1mg/kg/day という値が、先ほど申しましたようにA DIの設定根拠になってございます。 その下でございますが、安全係数を100 としまして、ADIとして0.17mg/kg/day という数字を求めていただいております。 暴露評価対象につきましては、シアゾファミド親化合物のみということでまとめられ てございます。 これに基づきまして、資料2−2の当部会の報告書の方を事務局の方で案として作成 させていただいております。 37ページでございます。シアゾファミドは、先ほど申しましたように、過去に一度御 審議いただきまして、今回、適用拡大ということで、申請がなされた殺菌剤でございま す。 項目5のところで、適用の範囲、また使用方法ということが列記されてございます。 水和剤として使用されて、主に散布ということでございます。 今回は、小麦、ダイコン、チンゲンサイ、かんきつ類等の作物について適用拡大の登 録申請が行われてございます。 これらにつきまして、作物残留試験が行われてございまして、44ページから47ペー ジ、大きな表でございますけれども、作残試験の結果をまとめた表が記載されてござい ます。 この表に基づきまして、基準を決めるということになりますけれども、47ペー ジの「7.ADIの評価」ということで、これは先ほど安全委員会の方でまとめていた だきましたADIの部分を転記させていただいております。 次のページに、ADI0.17mg/kg/day と記載してございます。 8番に、諸外国の使用状況ということで、コーデックス、米国、カナダ、EU、オー ストラリア、ニュージーランドについて調査しましたけれども、米国におきまして、ば れいしょ、トマト、またウリ科の野菜について基準が設定されてございます。 基準値案としましては、規制の対象としましては、シアゾファミド本体ということで 考えております。 また、基準案につきましては、報告書の50ページでございます。小麦から順番になっ た表がございますけれども、基準値案でございます。 ここで基準値現行というのがございまして、表のカラムの3つ目でございますが、こ れは現行基準があるものでございます。 これに対しまして、その横の2番目の基準値案というのが、今回、新たに基準を設定 する、また、新たな作残試験等で基準値の変更があるものというものでございます。小 麦、ばれいしょ、ハクサイ、タマネギと下線が引いてあるものがございますが、これは 現行基準から変更していないものでございます。 今回、適用拡大の基準値の中で、いろいろ見直した分がございまして、例えばサトイ モ、(ヤツガシラを含む)というもの、これは現行で0.02ppmというものを置いています。 これは海外の基準を参考にして置いた部分でございますけれども、今回の調査で、基準 値の設定がないことが判ったので、それは削除してございます。 あとはナス、これは現行の基準で2ppmと置いてございますが、これは作残データに 基づきまして、0.5ppmという数字に変えてございます。また、この中でイチゴ、今は1 0ppmという基準を置いてございますが新しい作残データに基づきまして0.7ppm。その他 果実についても10という基準が現在ありますけれども、新しい作残データに基づきまし て1ppmという基準を置いています。 イチゴ、その他の果実につきましては、そもそも前回の基準値設定の中で経過措置と いう形で、小粒果実類の登録保留基準を採用して置いていたものでございます。イチゴ とその他の果実でございますが、今回、それぞれにつきまして作残データが出てきまし たので、そのデータに基づきまして、基準値を改正したということでございます。 また、その他のスパイスというところ、現在、10という数字を置いてございますけれ ども、その他のスパイスにつきましては、そもそもその他の果実の値と準用した基準で ございます。今回、その他の果実が1ppmという基準に改正してございますので、それ に準拠した形で1ppmという基準に改正してございます。 これらを踏まえまして、ADI比を求めたものが48ページの9.の(3)でございま す。TMDI計算で行ったとしても、国民平均で9.4% 、幼少児で16.9%、妊婦さんで 7.1% 、高齢者の方としても10.5%というふうに非常に低い割合になっていますので、 この基準値案を基準値と設定しても安全性には問題ないものと考えてございます。 最後に50ページに答申案ということで整理したものを掲載してございます。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。河村補佐の説明について、今回は適用拡 大ということですので、評価書については、特に御審議いただく必要はなかろうかと思 いますけれども、よろしゅうございますね。 それで、実際の作残のデータについてですが、これには最終答申表は50ページの表に なるようですが、これまでの経過措置のものも含めて御提案申し上げているということ でございます。 いかがでございますか。コメントが、今日、御欠席の豊田先生から出ておりまして、 シアゾファミドの基準値案について、ホウレンソウとコマツナの基準値が残留量から他 と比べ相当高く設定されていると。総摂取量から考えれば、問題のない数値とは思うけ れども、使用時期の変更等の使用条件をより厳しくすることにより、より低い基準値に 設定はできないのでしょうかという御意見が出ております。 これについては、事務局の御説明によりますと、今回の変更の対象ではないというこ とでして、既存の設定に基づくものだということでございますので、一応、豊田先生の 方にもその旨、お伝えして、御了承いただいているということでございますので、一応、 御紹介しておきます。それでは、御意見等ございましたら、お願いいたします。 よろしゅうございますか。加藤先生、何か御説明はございますか。 ○加藤委員 特にございません。 ○井上(達)部会長 ほかには、いかがですか、米谷先生、お願いします。 ○米谷委員 また、50ページのところの、作残試験の成績と基準値案の対応なんですけ れども、例えばここでイチゴですと、先ほどの御説明で、たしか10から0.7 となった と、下から6つ目ですか、作物残留試験成績が、今回は大きい方が0.29、#が付いてお りますけれども、それで0.7 にしたということで、今回は3倍にもなっていないという ことで、イチゴというのは、お子さん方がよくそのまま食べたりされますので、安全を 見て余り倍数をかけない方がいいということで、こういう結果になっているんだと思い ますけれども、先ほどの豊田委員からの御発言のときの、コマツナとかホウレンソウで も、コマツナですと、9という値があって、それで15というのが決まったんですね。そ ういうふうに、シアゾファミドの場合は、係数は余り大きくしていないということです。 ○井上(達)部会長 考え方を御説明いただいたわけですけれども、どうもありがとう ございます。 そういういろいろ細かい目配りがしてあるということですが、いかがでしょうか。 もし、よろしいようでしたら、これで御了承いただくということにいたしたいと思い ます。どうもありがとうございます。 それでは、次に動物用医薬品の方に審議を移しまして、エンロフロキサシンについて の事務局からの御説明を伺います。 なお、これにつきましても、関係委員にあらかじめ資料等について御検討いただいて おりますので、必要なときに御意見を承りたいと思います。 では、よろしくお願いします。 ○事務局 それでは、御紹介いただきました動物用医薬品エンロフロキサシンにつきま して御説明申し上げます。 資料は3−1で、33ページ目からが資料3−2となっております。 まず、資料3−1でお示ししておりますとおりに、本件につきましては、平成18年5 月18日に食品安全委員会から当方大臣あてに食品健康影響評価の結果が通知されてお ります。結論といたしましては、ADIが設定できるということでございまして、その 値は0.002mg/kg体重/ 日となっております。 評価の内容に移る前に経緯でございますが、審議の経緯につきましては、その後ろの 4ページ目のとおりでございます。 本品につきましては、薬事法に基づく再審査要請がなされたものでございまして、そ の評価に合わせまして、厚生労働省からも平成17年9月13日に食品安全委員会に対し まして、評価依頼を行っているものでございます。結果につきましては、本年5月18 日に得たというものでございます。 再評価の概要でございますが、これがお手元の資料の5ページ目からとなっておりま す。 本品は商品名バイトリルというものでございます。主剤はエンロフロキサシンで す。 効能効果につきましては、これはグラム陰性または陽性の両菌に有効ということでご ざいまして、鶏や牛または豚の大腸菌症や肺炎の治療に用いられているというものでご ざいます。 用法につきましては、飲水投与、強制経口投与、頸部皮下または頸部、筋肉注射とい う形で用いられているものでございます。 休薬期間につきましては、これは飲水投与でございますが、鶏で7日、牛の場合には 注射と強制経口投与がございますが、強制経口の場合には30日、注射の場合には21日、 豚の場合には注射で20日、搾乳に当たっては、注射によりますが、4日という形になっ ております。 安全性評価につきましては、5ページ目の下の部分でございますが、EMEA、FD A、そしてJECFAでの評価が終わっております。 なお、米国におきましては、2005年9月ですけれども、フルオロキノロン耐性カンピ ロバクターの観点から鶏への使用の許可が取消しになっているものでございます。 6ページ目に、承認後の副作用というものについてのとりまとめがございます。こち らには、鶏につきましては約十七万羽、牛につきましては約二千頭、豚につきましては 約千五百頭についての調査報告がなされております。結論といたしましては、新たな副 作用の報告はないとされているものでございます。 3番目が再審査に係る評価というものでございまして、結論としては、エンロフロキ サシンについて0.002mg/kg体重/ 日のADIを設定するとされております。 しかしながら、これにはただし書きが付いておりまして、本剤の再審査に係る評価に つきましては、薬剤耐性菌を介した影響について考慮する必要があるということでござ います。これについては、なお検討中であるという結論になっているものでございます。 それでは、食品安全委員会の評価の内容について、7ページ以降で少し細かく御説明 申し上げたいと思います。 7ページ目に書いてございますとおりに、薬剤の概要は記載のとおりでございます。 効能効果、これは先ほど御説明申し上げたとおりでございまして、その他の部分にエン ロフロキサシンを主剤とする動物用医薬品については、国内外におきまして、鶏や豚等 に用いられているというものでございます。 また、エンロフロキサシンの代謝物でございますシプロフロキサシンという物質がご ざいますが、こちらにつきましては抗菌活性を有するというものでございまして、ヒト の臨床においても用いられているというものでございます。 次に7ページ目の後段の部分の毒性試験の概要でございます。 こちらにおきましては、ラット、牛、豚、犬、鶏の5種につきまして、投与試験が実 施されております。 まず、ラットでございますが、こちらにつきましては8ページの後段の部分ですけれ ども、こちらで代謝物の同定が行われておりまして、主要な化合物としては未変化体、 そして極性代謝物、更にシプロフロキサシンというものが検出されております。この極 性代謝物につきましては、エンロフロキサシンのグルクロン酸抱合体であるということ が確認されております。 また、牛の分布については、投与後、腎臓と肝臓で高濃度の残留があるというもので ございます。 また、代謝物につきましては、未変化体とシプロフロキサシンというものが確認され ているものでございます。 更に9ページにまいりまして、こちらで豚、犬、鶏というものについての試験の結果 が報告されております。 豚につきましては、代謝物につきまして、未変化体及びシプロフロキサシンというも のが確認されております。 また、濃度につきましては、肝臓が最も高濃度であるということが報告されておりま す。 更に、鶏に移りますと、鶏の投与試験におきましても、肝臓における残留が最も 高いということが報告されておりまして、10ページ目の後段の部分ですけれども、こち らでも残留物につきましては、主要残留物は親化合物でございますエンロフロキサシン というものがある。そして、シプロフロキサシンが次いで検出されているというもので ございます。 次に、毒性試験でございます。 急性毒性試験におきましては、経口投与によるLD50でございますが、こちらでマウ スの雄で5,000mg/kg体重以上と雌で4,336mg/kg体重 、また静脈内投与によるLD50 につきましては、マウスの雄で225mg/kg体重 、雌で220mg/kg体重という形になってお ります。 皮下投与におきましても、マウスの雌雄、Wistar系ラット雌雄ともに3,000mg/kg体 重以上であったという報告でございます。 次に、亜急性毒性試験でございます。 こちらにつきましては、まず、ラットを用いた4週間亜急性毒性試験が行われており ます。この結果におきましては、一般的な臨床症状観察、また11ページに移りまして、 血液学的検査、以降、血液生化学、臓器重量、剖検、病理組織学的検査、これらにおけ る影響の確認というものに基づきまして、NOAELが5mg/kg/day であったという報 告でございます。 次にラットを用いた13週間の亜急性毒性試験の結果でございます。 こちらにつきましては、12ページのちょうど中段以降でございますが、剖検及び病理 組織学的検査というものにおきまして、精巣上体及び精巣における病変が確認されたと いうものでございます。 このことから、本試験につきましては、更に検討が実施されておりまして、結論とい たしましては、臓器重量や剖検、病理組織学等々における影響の確認からNOAEL、 こちらが9.9mg/kg体重/dayであったという報告がなされております。イヌを用いた13 週間亜急性毒性試験につきましては、試験期間における異常は認められず、影響があっ たとしても、試験期間中に回復したという報告となっております。 次に若齢犬を用いた13週間亜急性毒性試験の結果でございます。 こちらにつきましては、13ページの後段の部分でございますが、剖検及び病理組織学 的検査におきまして、股関節または大腿骨等にびらん等が認められているというもので ございます。 また、精巣につきましても未成熟であるという報告がなされているものでございます。 このような結論から、次の14ページにございますが、本試験におけるNOAELとい うものは3mg/kg 体重/ 日であったという報告となっております。 次に(3)番といたしまして、慢性毒性試験結果が報告されております。 こちらのマウスを用いた2年間発がん性慢性毒性併合試験の結果でございますが、こ の試験におきましては、15ページに記載してございますとおりに、血液学的検査、血液 生化学的検査、そして病理組織学的検査におきまして、影響が認められております。 これらの結論を踏まえまして、本試験において、発がん性は認められなかったけれど も、盲腸の拡張を除いたNOAELというものは323mg/kg体重/ 日であったという報告 がなされております。 次に15ページの後段、ラットを用いました2年間慢性毒性発がん性併合試験の結果で ございます。 こちらにつきましては、16ページの後段になりますが、腫瘍の発生についての御報告 がなされております。試験終了時におきましては、雄の6,000ppm投与群におきまして甲 状腺のC細胞腺腫の発生頻度の増加が認められ、腺がんとの合計では統計学的に有意と なりましたが、背景対照の範囲内であったという報告でございます。 また、雌の6,000ppm投与群におきましては、統計学的な有意差はありませんが、心内 膜下間葉性細胞腫瘍の増加が認められたという報告がなされております。 これらの腫瘍と心内膜下間葉性細胞過形成を合算した結果につきましては、統計学的 に有意に増加したという報告となっております。 これについては、食品安全委員会の評価書におきましては、それ以降に書いてござい ますとおりに、対照群における同病変の頻度は背景データより低い値であることという のが第1点。雄では用量相関性が観察されなかったこと。この2点から病変の増加は投 与との関連性はないというふうに結論されており、この結果につきましては、EMEA 及びJECFAにおいてもその結論は指示されているというものでございます。 また、本試験の雌雄で増加した心筋症との関連性は認められておらず、更に心内膜下 神経鞘腫はラットにのみ発生する種特異的な腫瘍であると考えられております。 これらの結果から、ヒトへの外挿性はない結論であるというものが報告されていると ころでございます。 17ページにまいりまして、こちらにおいて毒性影響の報告がなされております。毒性 影響試験についての最も低い影響というものが、17ページで報告されている影響でござ いまして、この剖検及び病理組織学的検査における肝臓で線維化を伴う胆管過形成とい うものが100ppm以上投与群において認められているということから、本試験におけるN OAELが2.9mg/kg体重/ 日だったと報告がなされております。 これが毒性影響における最も低い影響という形で確認されているものでございます。 次に17ページ後段の繁殖毒性試験及び催奇形性試験の結果でございます。ラットを用 いた2世代繁殖試験というものについての報告がなされております。 結論につきましては、18ページでございますが、この中段に剖検病理組織学的検査に ついての報告がなされておりまして、300ppm以上投与群のF0 及びF1 雄で変成した精 子細胞が、精巣の精細管や精巣上体中に認められたと報告されております。また、125p pm投与群では認められなかったとされており、このためこの試験におけるNOAELと いうものは10mg/kg 体重/ 日であったという報告であります。 次に19ページのラットを用いた催奇形性試験の結果でございます。 こちらにつきましては、210mg の投与群で椎骨と胸骨、また875mg の投与群におきま しては、頭蓋骨等において骨化遅延というものが認められておりますが、胎児の外表、 内臓及び骨格の奇形や変異の発現率に投与の影響は認められなかったという報告となっ ております。 これらの結果から、本試験の母動物及び胎児動物に対するNOAELというものは50 mg/kg体重/日であるということが報告されております。 また、更にウサギを用いた催奇形性試験も行われております。こちらの結果におきま しても胎児の外表、内臓等につきまして、投与の影響は認められなかったという報告が なされており、母動物及び胎児動物に対するNOAELというものは、25mg/kg体重/日 であったという報告でございます。 次に20ページでございますが、こちらで遺伝毒性試験についての報告がなされており ます。 こちらのin vitroの試験の結果でございますが、染色体異常試験について、50〜250 μg/mL、これの投与量において結論としては陽性と。 更に、その下の欄にございますように、同様に25〜500 μg/mL、この投与群で陽性と いう結論を得ております。 また、前進突然変異試験、こちらにつきましては、両試験とも不明確であるという報 告が得られております。 次に21ページのin vivo の試験の結果でございます。 こちらの結果におきましては、小核試験、染色体異常試験の2つの試験が実施されて おります。 結論におきましては、ともにすべて陰性という結論が得られております。このin vit ro及びin vivo の試験の結果につきまして、評価書においては、エンロフロキサシンの 遺伝毒性については、CHO培養細胞を用いた前進突然変異試験で陽性を疑わせる結果 及び染色体異常試験でS9がない条件下の細胞毒性が認められる用量において陽性の結 果が報告されています。 しかしながら、骨髄に毒性影響が認められる用量までに試験をされたマウスを用いた 骨髄小核試験及び個体に著しい毒性が認められる用量まで試験されたラットを用いた骨 髄染色体異常試験のいずれも陰性であったというものでございます。 このことから、エンロフロキサシンに生体にとって問題となる遺伝毒性はないという 報告となっております。 以降、一般薬理試験が列記されております。 内容といたしましては、一般症状及び行動、中枢神経系への作用、自律神経、平滑筋、 次のページに移りまして、消化機関系、呼吸循環器系、血液系等の報告がなされており ます。 最後には、その他といたしまして、皮膚感作性の報告もなされているところでござい ます。 23ページに微生物学的影響に関する特殊試験の報告がなされております。本剤につい てのADIは、最終的に微生物学的影響から求められておりまして、その結果について 御報告いたします。 in vitroのMICに関する試験というものでございまして、この試験の結果としまし ては、Escherichia coliの0.031 μg/mLというものが最も低いMIC50となっている ところでございます。 次いで、Fusobacterium 族やProteus 族の0.125 μg/mLというものが次いで低いM IC50となっているものでございます。 また、代謝物についてのMICも確認されておりまして、その抗菌活性は、シプロフ ロキサシンを除きまして、いずれの代謝物におきましてもエンロフロキサシンが親化合 物になるわけでございますが、これよりも弱いという報告でございます。 その他、pHの最小発育阻止濃度に及ぼす影響。 次のページになりますが、in vitro疑似腸内環境における細菌の生存率、ヒトボラン ティアにおける微生物学的影響というものが報告されております。 25ページには、ヒトにおける知見というものが報告されておりまして、ヒトにおける キノロンの毒性影響というものにつきましては、一般的なものとしては消化器系への影 響や中枢神経系に関連するもの、またアレルギーに関連するものというものが報告され ております。また、一部につきましては、光毒性に由来する光過敏性というものがある 旨報告されているところでございます。 薬剤耐性菌につきましても冒頭御説明申し上げましたが、米国におきまして、フルオ ロキノロン耐性カンピロバクターというものに対するリスク評価が実施されておりまし て、鶏に対する使用許可が2005年9月12日に取り消されているものでございます。 3番目からが食品健康影響評価になりますが、こちらの関節影響、若齢犬、また次ペ ージに移りまして、繁殖毒性、遺伝毒性につきましては、既に御説明申し上げておりま すので、説明の方は割愛させていただきます。 26ページ目の光毒性という部分でございますが、これは先ほどフルオロキノロン系に は光毒性があるということを御説明申し上げましたが、このエンロフロキサシンにつき ましては、フルオロキノロン剤の中では光毒性は弱いと評価をされているものでござい ます。 また、適切に管理される限りにおきまして、通常食品中にエンロフロキサシン の残留というものは、微量でありますので、食品を介して生体にとって問題となる毒性 が生じる可能性は無視できるものと評価されているところでございます。 毒性学的影響のエンドポイントにつきましては、先ほど御説明申し上げましたラット の2年間慢性毒性試験で認められた胆管過形成という部分に基づくNOAEL、これが 2.9mg/kg体重/日という一番低い値となっておりますが、更に低い値といたしまして、 以降にございます微生物学的影響のエンドポイントというものについて、報告がなされ ております。 結論といたしましては、27ページの一番最後になりますが、微生物学的ADIの設定 についてという行為におきまして、0.002mg/kg体重/ 日という報告となっております。 28ページ目に移りまして、ADIの設定という部分でございますが、この説明の中で、 毒性試験におけるNOAEL、これよりも微生物学的毒性というものの影響の方が低い というところから、この微生物学的影響を勘案いたしまして、0.002mg/kg体重/日をA DIと設定するとしているものでございます。 そして、最終的な評価につきましては、薬剤耐性菌を介した影響について考慮する必 要があるということを注記した上で、0.002mg という数字を設定しているものでござい ます。 続きまして、部会の報告、こちらは33ページ目以降になります。 33ページ目からが、資料3−2となっておりまして、こちらの1番としまして概要の 御説明を申し上げております。こちらにつきましては、説明を割愛させていただきます。 また、2番の動物における分布、代謝、こちらにつきましても、既に御説明申し上げ ておりますので、割愛をさせていただきます。 次に3番の対象動物における残留試験の結果でございます。 分析の概要といたしましては、抗菌性作用を持つ、エンロフロキサシン及びシプロフ ロキサシンを分析対象化合物としております。 測定方法は、蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフを用いております。 (2)以降に、組織における残留というものを示しておりますが、(1)としましては、 牛でございます。休薬期間は21日という形になりますが、いずれの場合におきましても、 定量限界でございます0.01ppm 以下という結論となっております。 (2)に移りまして、こちらは強制経口投与という形になります。休薬期間は30日という 形になりますが、いずれの組織におきましても、30日の前でございます9日という段階 で既に定量限界以下という結論となっております。 また、(3)番につきましては、乳牛における投与の残留結果ということになっておりま して、サンプル採取はちょうどその時系列で行きますと、10日目からが乳の採取という 形になるわけでございますが、この場合におきましては、一部シプロフロキサシンにお きまして、検出がなされているものの、エンロフロキサシン、こちらにつきましては、 定量限界以下という形になっているものでございます。 次に(4)番が豚、こちらも休薬期間が20日という形になっておりますが、いずれの組織 または血清というものにおきましても、定量限界以下という結論でございます。 (5)番につきましても同様に、休薬期間が20日という形になりますが、その前の段階の 14日、この段階におきまして定量限界以下。 (6)番には羊、(7)番に鶏という結果が報告されております。(8)番には七面鳥というもの の結果が報告されております。 羊の場合には、投与方法から勘案して牛を適用するのであれば、30日という休薬期間 が適用されますが、これは16日の段階で定量限界以下、(7)番の場合には7日というもの が適用されますが、5日の段階で既に定量限界以下、そして(8)番も投与方法をかんがみ まして7日という鶏の条件を適用させるならば、7日の段階ですべて定量限界以下とい う結論となっております。 次に40ページの4番でございますが、こちらは既に御説明しておりますとおりで、割 愛させていただきます。 5番で諸外国における使用状況が説明してあります。エンロフロキサシンにつきまし ては、米国、EU、カナダ等において使われているというものでございます。 また、欧米につきましては、鶏への使用許可が取り消されていると。また、EUにお いては魚類を含むすべての食用動物に対する基準が設定されておりますが、養殖水産動 物への使用は認められていないという状況でございます。 このような状況を一覧表にいたしますと、41ページにお示ししておりますとおりの表 となるわけでございます。 次に42ページでございますが、(2)といたしましては、各国の各動物、または乳と いうものにつきましての休薬期間の設定の状況、そして6番において、本部会の残留基 準値の案でございますが、残留の規制対象としましては、エンロフロキサシン及びシプ ロフロキサシンというものを規定すると。 そして、(2)におきまして、残留基準値の案でございますが、これは残留試験成績 結果を考えまして、以下のとおりの基準値を設定したいと考えているところでございま す。 なお、魚介類に関しましては、諸外国においても養殖水産動物への使用を認めら れていないということ、また、そのような状況から残留性試験データも存在しないとい う状況でございまして、この残留基準値については設定しないということにしたいと考 えております。 なお、食品安全委員会の評価結果にもございましたが、薬剤耐性菌を介した影響につ いての評価というものが、これがまだ検討中であるという報告でございます。 ですので、この評価が示された段階で必要に応じまして、残留基準値を見直してまい りたいと考えているところでございます。 以降、基準値が並んでおりまして、43ページ目の(3)でございますが、ADI比、 こちらにつきましては、国民平均で10.41 、小児で41.40 、妊婦で11.83 という形と なっております。 そして、44ページ目、こちらの(4)番でございますが、ポジティブリスト制度、こ ちらが施行されております。この施行に伴いまして、現在の暫定基準というものにつき ましては、一般規則の7というところに収載されておりますが、本部会の検討及び結論 をもちまして、一般規則の6という部分にその基準値が移動するということをお示しし ているものでございます。 事務局からの説明は以上でございます。 ○井上(達)部会長 御説明ありがとうございます。 それでは、前半の健康影響評価に基づく内容について、御質問、御意見がありました らお願いいたします。  このものにつきましては、少し変わった腫瘍が観察されたりということがありますが、 大旨事務局の御説明で御了解をいただけたかと思いますが、トポイソメレースの阻害作 用があって、それとの因果関係はわからないわけですけれども、出るのかなと思います が、これについては、心内膜下の間葉性の神経鞘腫という、ヒトでも出ないわけでない と思いますが、極めてヒトの場合はまれな腫瘍で、それがこのラットでは出るというわ けですね。それが少し増えたと。 ほかの細胞過形成と合算すると、有意差がないわけでもないけれども、合算していい かどうかというのは、いろいろ考え方がありますので、それに基づいてJECFAであ るとか、その病理ワーキンググループで議論がなされて、合算して取り上げるのは必要 ないのではないかということで、腫瘍発現の可能性はヒトへの外挿性もないということ で、否定したというポイントになっております。 そのほかでは、御説明にもありましたように、細菌の方のデータからADI設定が行 われているという特徴がありますけれども、その結果としては、エンロフロキサシン0. 002mg/kg体重/ 日という値で提案がされているというわけでございます。 ADI設定については、そういうことで、これに基づく基準値の設定については、お 気づきのとおり、休薬期間に諸外国と我が国との差がちょっと認められるということが 気づきますが、そういったことを併せて提案されている値が、ただいまの御説明にあっ たような形であります。 これについて、その表が44ページ、試算の詳細が示されているということでございま す。 ですから、43ページということですけれども、いかがでしょうか。 どうぞ、小沢委員。 ○小沢委員 2点ほど、お伺いしたいんですが、養殖の水産動物では許可されていない ということなんですけれども、3年前ほどでしょうか、中国産のウナギで出たりすると いうので、消費者の側からはとても気になるもので、たしか分析法との関係で言えば、 分析法が通知で出ていて、この場合は、エンロフロキサシンだけで定量限界値0.05ppm となっているんですが、今回の基準値は、代謝物と併せてということなので、この辺の 考え方をどう考えたらいいのかということが1つございます。 それと、39ページの鶏のところなんですが、私は専門家ではないのでよくわからない んですが、鶏の皮のところで、代謝物が投与後の3日のところで、ひょっとまた出てく るようなことというのは、どう考えたらいいのか。この試験で鶏を何羽ぐらいお使いに なったのか、その辺のところのばらつきの問題なのかよくわからないので、お教え願い たいと思います。 ○井上(達)部会長 それでは、今の2点についてお願いします。 ○事務局 小沢委員からの御指摘でございます。確かに過去海外から輸入される一部の 水産物食品というんでしょうか、これについてエンロフロキサシンが出ているというこ とは確かでございます。 このような物質につきましては、実際のところは、我々はこの報告をするのに当たり まして、諸外国における実態というものも改めて確認させていただいておりますが、や はり東南アジア、特に中国や台湾という国、また韓国にあっても、この薬は禁止されて いるという状況でございます。 ですから、本質的に出るものではないというのが前提条件であるわけでございますが、 いずれかの不手際があり、検出されたものではないかと考えております。 この使用されないという前提条件に立っておりますので、仮に検査結果といたしまし て、親化合物でありますエンロフロキサシンまたはその代謝物でございますシプロフロ キサシンというものが検出されるならば、これについてはやはり使用されたものとみな されて、当然ながら試験の対象というものは、この2物質を対象として結果を出してい くという形になりますので、検出されたことをもって当然ながら法には適合しないとい う形になっているものと思います。 2番目の御質問でございますけれども、投与後3日で、(7)番の鶏の試験でございます が、試験に供した羽数でございますけれども、これは6羽という形になっております。 なぜ、シプロフロキサシンが3日の日の段階で、いきなり皮に出てくるのかというもの につきましては、私どもは知見等がございませんので、これはあくまで結論に基づく報 告をさせていただいております都合上、この点につきましては、むしろ専門家の御意見 を伺えれば助かるなというところでございます。 よろしくお願いいたします。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。第1点については、納得は行きかねるん でしょうけれども、消費者としてのあれはあるんでしょうけれども、今の御説明のよう な状況です。 ○小沢委員 済みません、そうすると、分析法は変わるということなんですか。今は代 謝物を見ていないわけで、数値自体は変えられるということなのかどうかを伺いたいと 思います。 ○事務局 分析対象を今回御報告させてもらいますとおりに、シプロフロキサシンとい うものを含めることになりますので、現行の試験法につきましては、その代謝物を含め た形での見直しというものが必要になると考えております。 ○井上(達)部会長 米谷先生どうぞ。 ○米谷委員 分析法につきましては、今のものでもエンロもシプロも両方できますので、 特に変える必要はございません。ただ、実際に測定した場合に、今度は親化合物だけで はなくて、シプロの方も足して計算するということになります。 ただ、足すときに、これは私の方の質問なんですが、海外の方では単純に足すという ふうに書いてあるんですか、それともエンロに換算してというような表現になっている んでしょうか。エチルが違うだけなので、分子量350 ぐらいのうちのエチルの分子量分 が若干変わっているだけなので、数値は大きくは変わってこないですが、普通は考え方 として、親化合物に換算してというような書き方にするのが、普通ではないかと思った ものですから、ここは単に足し算というふうな書き方なんですけれども、それはいかが でしょうか。 ○井上(達)部会長 これは、換算するんですか。 ○米谷委員 実際は数値は変わってこないんですけれども、書き方として。 ○事務局 当局の方の考えといたしましては、今、米谷部長からのお話にありますとお りに、そのままの和ということで考えているところでございます。なお、EUにおきま しても、そのままの和という形になっているところでございます。 ○米谷委員 実際上、変わらないからということですね。 ○井上(達)部会長 小沢委員は、この第1点はよろしゅうございますか。 ○小沢委員 はい。 ○井上(達)部会長 第2点目の方は、いかがですか。よろしゅうございますか。 ほかにはいかがでしょう。 どうぞ。 ○米谷委員 42ページのところです、牛ですと当然乳牛も対象だということで、乳の基 準が出てくるんですが、右側の方の鶏で卵の方は入ってこないのか、あるいはそういう 鶏に対しては使わないのか、その辺のところは、海外でもEUでも値が出ていないよう なので、多分、使わないのか、卵には入ってこないのか、その辺は何かあるんだと思い ますけれども、その辺どなたか御存じなら教えていただきたいんですが。卵に対して規 制値をつくる必要がない理由といいますか。 ○井上(達)部会長 いかがでしょうか、どなたか御専門の方。先ほどの事務局の御回 答に関してもできれば伺いたいと思います。 こういうのは農水の方は、コメントいかがでしょうか。 ○農林水産省 エンロフロキサシンにつきましては、今、見ているんですけれども、産 卵鶏を除くという承認になっていたと思いますので、卵の試験も多分なくて、ここに出 されておりますところの資料についても産卵鶏を用いた試験はないのだと思いますけれ ども、外国については、今、私は情報を持っておりません。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。ほかには委員の先生方の中からはござい ませんか。 どうぞ。 ○下田委員 この中で、筋肉内注射をしている例は豚なんですけれども、豚の筋肉内に 7日経ったらもうなくなってしまうというデータなんですけれども、これは注射部位を 含む筋肉なんでしょうか。それとも注射をしていない場所の筋肉なのかということなん です。○井上(達)部会長 こういうのは一般論として、どういうものですか、教えて ください。○下田委員 というか、結局ここを注射部位以外の筋肉のレベルをそのまま 注射部位に当ててしまうと、やはり筋肉内注射をする製剤というのは、時折ほかの筋肉 よりは高いレベルを維持することがあると。 そうすると、余り低くしてしまうと、現実問題、畜産の中で使えなくなってしまうと いうことが起こりかねないということで、このレベルがどういうレベルなのか。もし、 これが注射部位であれば、私は問題ないと思うんですけれども。 ○井上(達)部会長 なるほど、考え方の問題ですね。御説明をいただければと思いま す。いかがですか。 ○事務局 注射部位であるかどうかにつきましては、今、確認をさせていただきます。 少々お待ちください。 あと、申し訳ございません。39ページの先ほど小沢委員から御指摘をいただいた(7)番 の鶏の皮のエンロフロキサシンとシプロフロキサシンの3日目の部分でございますが、 エンロフロキサシンが定量限界以下、0.01ppm 以下より低いと、シプロが若干数字が出 ているとなっておりますが、こちらの位置が逆でございました。事務局のミスでござい ます。済みません。修正をお願いしたいと思います。 ○井上(達)部会長 では、そういうふうに御修正ください。 それで、先ほどの御質問については、今、お調べいただいているということですが、 その間にほかにございますか。 中澤先生どうぞ。 ○中澤委員 先ほど残留試験法のお話がありましたが、ニューキノロン系のものを引っ かけるような、いわゆるELISAといいますか、免疫科学的な手法というのも開発さ れていますし、そういう手法は今の場合、結構ファーストスクリーニングとしては、結 構有用ではないかという感じを持つんですけれども、公定法というわけではなくて、参 考の試験法ということで、注釈とか何かあれば、実際にやられる方にとっては参考にな るのかなという感じがいたしますけれども。 それから、先ほど小沢先生がおっしゃっていたように、海外から入ってくる魚介類、 特にアジアを中心にしたウナギ辺りは、恐らく検疫所の方でも確認されていると思うん ですけれども、エンロフロキサシンというのは、最近の残留検査ではどうなんでしょう か。もう全く出てこないんでしょうか。それともポツポツ出てくるんでしょうか。その 辺の情報というのは、いかがでしょうか。 ○事務局 今、全体の試験法の部分については、もしよろしければ、米谷先生、御意見 をいただければと思います。 監視の今の状況は、今、数値的データを持ち合わせてございませんので、よろしけれ ば、後ほど先生の方に御連絡申し上げたいと思います。 ○井上(達)部会長 お願いいたします。では、米谷先生、お願いします。 ○米谷委員 ELISAが使えないかということですが、今回、フロキサシンについて は1つの試験法を示すというような形で、これを単独で図るような試験法にしてあるん だと思います。 それで、エンロフロキサシンにつきましては、先ほどから話に出ていますように、中 国からのウナギのために、以前からも検査をしておりまして、その方法ですと、たしか LC/MSの方を使っていたかと思いますけれども、エンロとシプロを両方はかれると いうことです。 ですから、最初のスクリーニングとしてELISAを使うというようなこと、あるい は抗生物質なんかですと、バイオアッセイの方はどうかというようなことは、前からい ろいろ事務局等とお話ししているのですが、理化学的な方法がある場合には感度が最近 ではいいものですから、そちらの方を使うということになっています。 以上です。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。 どうぞ。 ○事務局 先ほど下田先生からお尋ねがありました豚の件でございます。提出されてお ります資料に基づいて御説明申し上げますと、今、この図表に掲載しております濃度と いうものは、いわゆるインジェクションポイントではない部分でございます。別途イン ジェクションポイントのデータが提出されておりまして、これにつきましても14日目、 これは休薬が20日という形になりますが、14日目におきまして、すべてのポイントで 定量限界と、0.01ppm以下という結果が報告されております。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 確かめられているということですね。どうもありがとうございま す。 それでは、そろそろ御意見を伺ったところかと思いますけれども、この辺で御了 承いただければと思います。 どうもありがとうございます。 それでは、最後に、動物医薬品でd−クロプロステノールについての審議をお願いい たします。御説明を資料4−1と4−2に基づいてお願いいたします。 ○事務局 続きまして、2剤目の動物用医薬品でございますd−クロプロステノールに つきまして、資料4−1及び11ページから始まります、4−2を用いまして、御説明申 し上げます。 d−クロプロステノール、これは商品名につきましては、ダルマジンというものでご ざいますが、内容につきましては4ページ目から記載してございますが、こちらにつき ましては、従来はラセミ体というもので承認を受けていたものでございますが、今回、 新たにd体というもののみでの承認を受けるというために食品健康影響評価を求めたも のでございます。 本製剤の有効成分につきましては、d−クロプロステノールというものでございます。 用途といたしましては、牛の発情周期の同調、黄体退行遅延に基づく卵巣疾患の治療、 そして豚の分娩誘発という目的で使われるものでございます。 このクロプロステノールにつきましては、プロスタグランジンF2αの合成類縁体と いう形になっておりまして、通常はラセミ体という形で合成されているものでございま す。 しかしながら、ラセミ体のうち、生理活性を示すというものはd体のみでござい まして、今般の剤というものにつきましては、d体のみのクロプロステノールという形 となっております。 また、後述にもございますが、いずれも投与後速やかに排泄されるということが確認 されておりまして、畜産におきましては、黄体を退行させ、発情を同期化する目的、ま たは子宮収縮作用による分娩誘発の目的で繁用されている剤でございます。 この剤につきましては、国外におきましても、EU、そして米国等において広く使用 されているというものでございます。 4ページ目の2番目にございますとおりに、当製剤につきましては、注射剤という形 で使われているものでございます。 同一製剤につきましては、既にEUで承認を受けておりまして、牛、豚、馬等に使わ れているものでございます。 内容物として防腐剤、これはクロロクレゾールでございますが、これを含有しており ますけれども、ヒト用の注射剤にも0.1W/V%程度添加されて使用されてきておりますの で、動物体内での代謝、排泄も含めて、ヒトに与える影響は無視できるものと考えられ ているところでございます。 国内における使用対象といたしましては、牛の発情周期の同調、黄体退行遅延に基づ く卵巣疾患の治療、豚の分娩誘発でありまして、用法・用量につきましては、牛で2mL、 豚で1mLを筋肉内注射するとされております。休薬期間は牛3日、豚1日、牛乳12時 間とされているところでございます。 次に5ページ目の「3.ダルマジンの安全性に係る知見等について」でございます。 変異原性につきましては、次に示すとおりのin vitro、そしてin vivo の知見が得ら れているところでございます。 in vitroにおきましては、Ames、そして染色体異常試験、こちらが実施されてお ります。対象として染色体異常試験では、培養ヒトリンパ球が使われておりまして、S 9存在下で陽性という結論が得られております。また、in vivo 試験、こちらにおきま しては小核試験が実施されておりまして、結果は陰性となっているところでございます。 この結果につきましては、その下の表の下に書いてございますとおりに、in vitroの 試験におきましては、S9存在下の高用量時で陽性と判定される所見が認められており ますが、骨髄に対して毒性が認められる用量まで試験されたげっ歯類を用いましたin v ivo の小核試験では陰性であったということでございます。このため、d−クロプロス テノールが生体にとって問題となるような遺伝毒性を示す可能性は低いと結論されてい るところでございます。 また、5ページ目の後段でございますが、ラットを用いた急性毒性試験というものが 報告されております。 この報告内容は、6ページ目の後段でございますけれども、病理組織学的検査の部分 でございますが、こちらにおきまして、20μg以上投与群の雄、そして500μg投与群の 雌、こちらで肝臓の巣状壊死の発生率の増加、20μg/kg体重/日以上投与群の雌、こち らで黄体細胞の空胞化というものが認められております。 また、剖検におきましては、卵巣の大型化が認められた個体では黄体数の増加も認め られているという状況でございます。 最も低い用量で認められた影響というものは、13週間投与の雌の黄体細胞の空胞化、 そして雄の肝臓の巣状壊死というものでございまして、こちらからNOAELというも のは4μg/kg体重/ 日ということが報告されております。 次に6ページ目のラットを用いました1世代繁殖毒性試験の結果でございます。 こちらにつきましては、末尾にございますとおりに、NOAELというものは、親動 物の雄、こちらで50μg/kg体重/日、雌で10μg/kg体重/日、そして児動物でございま すけれども、こちらで10μg /kg体重/日という報告がなされております。 また、7ページ目でございますが、ラットを用いた催奇形性試験が行われております。 こちらの結論につきましては、その後段にございますとおりに、本試験の母動物、これ に対するNOAELというものが6μg/kg体重/日、胎児に対するNOAELというも のは30μg/kg体重/日であったと報告されております。なお、催奇形性は認められなか ったというものでございます。更に、ウサギを用いました催奇形性試験におきましても、 母動物に対するNOAELというものが0.5 μg/kg体重/日、胎児に対するNOAEL というものも0.5 μg/kg体重/日であったと報告されており、催奇形性は認められなか ったというものでございます。 続きまして、残留性につきましては、ラット、乳牛等についての御報告がなされてお ります。 ラットにおきましては、血漿中の濃度というものが報告されており、それは投与直後 に最大値を示しまして、その後、減少し、12時間後には検出されなくなっているという こと。各臓器への分布は速やかであり、筋肉や腎臓では投与直後、そして肝臓、卵巣等、 こちらにつきましては、20分後にCmaxに達していると。その後の消失は速やかであ るという報告でございます。 次に、乳牛における分布排泄、こちらにつきましては、一番末尾でございますが、常 用量、2倍量とも投与1日後には全試験の組織におきまして、その残留量が検出限界以 下、この検出限界は0.1ppbでございますが、その検出限界以下となっているところでご ざいます。 また、乳汁、これにおける消長の確認でございますが、これにつきましては、常用量、 そして2倍量ともに12あるいは24時間後の資料のいずれからもd−クロプロステノー ルというものが検出されていないという報告でございます。 次に、雌豚におけます分布排泄。これにつきましても、中段以降でございますが、常 用量、2倍量とも投与1日後には全試料が検出限界以下となっているところでございま す。 これらの結論から、対象動物におきましては、休薬期間後には、いずれの部位か らもd−クロプロステノールはppb のレベルでも検出不可能ということになりまして、 事実上、消失することが確認されていると結論されております。 次に、3番の対象動物における安全性の試験でございます。こちらには、泌乳牛にお ける安全性の試験、また豚における安全性の試験、いずれにつきましても、投与に起因 すると考えられる異常は認められないというものでございます。 次に、4番のその他の知見でございますが、こちらでは、次の9ページのちょうど中 段にありますが、国内ではプロスタグランジンF2α、クロプロステノールのラセミ体 というものが既に動物用医薬品として使用されているということ。そして、海外ではd −クロプロステノールも既に使用されているということ。 そして、通常の牛、豚等の食肉中には検出限界であります0.1ppb以上のレベルで内因 性のプロスタグランジンF2αが存在しているとされているところでございます。薬理 作用からこの系統の薬剤の用途は、当然ながら必然的に限定されていると。更に排泄が 極めて早いことが確認されていることから、クロプロステノールにつきましては、EM EAではADIを設定しつつも、MRLの設定は不要であるとされているところでござ います。 FDAにおきましては、ADI、MRLともに設定をしていないということでござい ます。 JECFAにおきましては、現在のところ評価は実施されていないという状況でござ います。 そして、食品安全委員会の食品健康影響評価の結果でございますが、このような説明 をしました内容を踏まえまして、d−クロプロステノールを有効成分とする牛及び豚の 注射剤(ダルマジン)というものにつきましては、適切に使用される限りにおきまして、 食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられると、そう いう結論としているところでございます。 次に、11ページからの試料4−2、こちらが部会の報告の案でございます。 「1.概要」につきましては、既に説明済みでございますので、割愛をさせていただ きます。 「2.残留試験結果」でございます。こちらは分析の対象はd−クロプロステノール というものでございます。試験の方法につきましては、LC/MS/MSの試験法とな っております。検出限界は0.1ppbでございます。 組織における残留の結果は(2)以降にお示ししておりますが、常用量と2倍量とい うものについて試験が実施されておりまして、(1)の場合、休薬期間につきましては、日 本の場合であれば3日、そして外国の場合では1日ということになるわけでございます が、各組織または血漿におきましては、1日の経過後におきましても、既に検出限界以 下という結論でございます。 また(2)番が乳汁中の残留試験、こちらも12時間、24時間、常用量、2倍量ともに検 出限界以下という結果です。 (3)番でございますが、豚の組織中の残留の試験というものが報告されております。こ ちらは日本外国ともに休薬期間は1日ということになりますが、常用量、2倍量ともに 1日後におきまして、組織、血漿ともに検出限界以下という結論となっております。 3番は既に御説明申し上げておりますので割愛をさせていただきます。 4番の残留基準の設定でございますが、動物用医薬品としての使用実態、食品安全委 員会における評価の結果及び残留試験の結果を踏まえまして、当該動物用医薬品につき ましては、残留基準を設定しないということで御報告したいと考えているところでござ います。 当方からの説明は、以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。ただいまの御説明にありましたように、 d−クロプロステノールにつきましては、速やかに体外に排泄され、体内のプロスタグ ランジン2αのレベルと同様のppb オーダーで不検出になるということで、結論として は、ADIの設定は不要で、ヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考え られるという御説明でございます。コメントがございましたら、お願いいたします。 山添先生、お願いします。 ○山添委員 本来の中身の問題ではないんですけれども、今日の食品安全委員会の評価 書のところで、製剤についてというところの文章のところで、4ページの一番下から5 行目ですが「d−クロプロステノールを主剤とする注射剤で」と書いてあるんですが、 液量だけが書いてあるんです。 実際に、プロスタグランジン製剤の含有量は一切ここのところの文章の記載がないん です。それで、多分d−クロプロステノールを主剤する注射剤で、括弧して75μg/mL 含有とか、そういう表示がないと、何の話をしているのかよくわからないことになって しまっているんです。 ○井上(達)部会長 わかりました。それは記入するようにお願いします。 ○山添委員 もう一つ、そこのところで聞いていて気がついたんですけれども、例えば 5ページのところにAmesテストがありますが、そこのところで投与量という使い方 をされているんです。今日の評価書のところのエンロフロキサシンもすべてそうなんで すけれども、in vitroの試験で投与量というのは、昔からこういうふうな使い方をして いたんでしょうか。どうだったかと、vivoの投与量ならいいんですけれども、添加量で はなくて投与量となっていて、添加量ですね。後でちょっとチェックをお願いします。 ○井上(達)部会長 多分添加量かもしれませんね。お調べください。前の整合性もあ るでしょうから、気をつけて御検討ください。 どうもありがとうございます。ほかには、いかがでしょうか。 どうぞ。 ○中澤委員 12ページの2番の残留試験の話で恐縮なんですが、今回はd体をはかると いうことで、LC/MS/MSで検出限界が0.1ppbという非常に高感度な分析法をつく っていらっしゃるんですが、これは光学分割をして、d体のみを選択的にはかっている のかどうかというのをちょっと教えていただきたいんですが。 ○井上(達)部会長 この御回答は事務局でよろしいですか。あるいは米谷先生ですか。 ○事務局 ただいま確認しておりますので、多少お時間をいただきたいと思います。 ○井上(達)部会長 はい、お調べください。ほかには、いかがでしょうか。ございま せんか。 ほかの委員の先生方、何かコメントがあればお願いします。 回答出ますか、お願いします。 ○事務局 光学分割を行った試験法に伴うd−クロプロステノールの試験法であるか否 かということは、今の段階では速やかに確認できないわけでございますが、測定対象は あくまでもd−クロプロステノールをはかっていると考えられます。ですので、いずれ かの手法を用いているものと考えられます。 ○井上(達)部会長 では、また詳しいことがわかったらお願いします。 ほかにはございませんか。 よろしいようでしたら、本報告案をもちまして、当部会の報告ということにさせてい ただきたいと思います。ありがとうございます。 それで、事務局から今後の手続についての御説明があります。お願いいたします。 ○事務局 本日、御審議をいただきました農薬2品目、そして動物医薬品エンロフロキ サシンにつきましては、食品安全委員会から既に通知を受けておりまして、報告案を部 会報告書とさせていただきたいと考えております。 また、動物用医薬品のd−クロプロステノールにつきましては、食品安全委員会から の通知を待ちまして部会報告書とさせていただくことといたします。 なお、今後の手続につきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、パブリッ ク・コメント、そしてWTO通報の手続を進める予定としております。 以上でございます。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。それでは、議題1につきましては終了と させていただきまして、時間が過ぎておりますが、もう一つですので終わると思います が、議題の2は、平成18年度の食品健康影響評価依頼予定物質についての御報告でござ います。 事務局、御説明をお願いいたします。 ○事務局 昨年12月の本部会において御報告させていただきました、食品安全委員会へ のリスク評価依頼計画に基づきまして、翌年度になる前に具体的な物質について食品安 全委員会の方に御報告するとなっておりまして、それについてでございます。 こちらの評価予定物質の方は、優先評価物質と、それ以外の物質ということになって おりまして、優先評価物質の方は、昨年12月の評価依頼計画の方でも御説明させていた だきましたとおり、国際リスク評価機関でADIが設定できないという評価をされたも のと。 それから、マーケットバスケット調査の結果、摂取量が比較的多いと推定され たものと。もう一つが、発がん性等新たな重要な毒性知見が得られたもの、これに当て はまるものについては優先評価物質と。それ以外については原則優先評価物質以外とい うことで、リスク評価依頼をするということで御了解いただいているものでございます。 それに基づきまして、18年度の評価依頼予定物質について検討しましたところ、資料 にございますとおり、優先評価物質としては5物質、アレスリン、オキソリニック酸、 キシラジン、スルファチアゾール、タイロシン。 これの選定基準でございますが、いずれもリスク評価機関でADIが設定できないと 評価されたものでございます。 そのほかのマーケットバスケット調査の結果ですとか、発がん性等新たに重要な毒性 知見が得られたものというものについては、現時点で、これらに該当するものはないと いうことでございます。 2番目の優先評価物質以外のものということで、別紙の141 物質とするということで リストアップさせていただいております。 これについては、今年度評価依頼するに当たって、評価可能な資料が準備できるもの ということを前提に置いてリストアップしております。 以上、簡単でございますが、御報告させていただきました。 ○井上(達)部会長 ありがとうございます。課長さん、何かありますか。 ○事務局 今回、この物質については、ポジティブリスト制度、11月29日に告示させ ていただいたものについてのリスク評価依頼ということでございます。 ○井上(達)部会長 そうですね。昨日発表されたポジティブリストに基づいてリスク 評価の依頼計画がスタートして、それで食品安全委員会に5年間で758 の評価をお願い するという大変な作業になるわけですけれども、それの第1弾ということになります。 優先評価の考え方は、ただいま長谷部補佐から御説明があったとおりですけれども、そ れに基づいてみると、この5物質が挙がると。あと141 物質は特段のあれを付けずにこ こに表としておまとめいただいたということでございます。 これについて、御質問あるいはコメントがございましたら伺いますが、いかがでしょ うか。よろしゅうございますか。 そうすると、これから評価が出てくることになりますが、大変御苦労なことだと存じ ます。事務局は、直ちに安全委員会の方に出すことになるんですか。 ○事務局 今年度中の評価予定でございまして、資料の方が整い次第順次安全委員会に 評価依頼したいと思っています。 ○井上(達)部会長 わかりました。ということでございます。それでは、ありがとう ございます。この件について終了いたします。 議題3にその他と一応設定してございますけれども、これについては何かございます か。○事務局 先ほど輸入時の検査状況の話が出まして、わかりましたので御報告いた します。 平成17年度の輸入時の検査で、エンロフロキサシン関係で違反になっている のがウナギ等で5件ございます。直近では18年2月10日以降の違反の実績はないとい うことで、ただこの物質につきましては、中国等のウナギについて違反が非常に多いも のについては、検査命令という措置、検疫時の検査を強化しているということをやって います。 以上、御報告申し上げました。 ○井上(達)部会長 小沢先生、何かコメントはございませんか。よろしゅうございま すか。 ○小沢委員 はい。 ○井上(達)部会長 それでは、議題の3はいかがですか、よろしいですか、特にない ということで。 ○事務局 はい。 ○井上(達)部会長 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了させていただき ます。どうも御協力ありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係、残留農薬係 (03−5253−1111 内線2489、2487) 1