06/05/25 第2回新型インフルエンザ専門家会議の掲載について(議事録) 第2回新型インフルエンザ専門家会議 議事録         厚生労働省健康局結核感染症課 第2回新型インフルエンザ専門家会議 議事次第   日  時  平成18年5月25日(木) 10:00〜12:15     場  所  厚生労働省9階 省議室 1.開  会 2.議  題   1)インフルエンザ(H5N1)に関するガイドラインについて   2)情報提供・共有について   3)その他 3.閉  会 ○金成専門官 それでは、定刻となりましたので、これより第2回新型インフルエンザ 専門家全体会議を開催したいと思います。  委員の皆様方には御多忙中のところを御出席いただきまして、誠にありがとうござい ます。  私は、健康局結核感染症課の金成と申します。よろしくお願いいたします。マイクの 関係で座って進行させていただきます。申し訳ございません。しばらくの間、進行役を 務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  開会に先立ちまして、このたび新しく就任されました委員の御紹介をさせていただき ます。  横浜検疫所長の吉田委員でございます。検疫所長会協議会の会長でいらっしゃいます。  それでは、委員の出欠状況につきまして報告させていただきます。内田委員、相楽委 員、中島委員、庵原委員、小田切委員、上野委員、大久保委員、吉川委員につきまして は、御欠席の御連絡をいただいております。  また、川名委員につきましては、まだ御連絡いただいていないのですが、本日は御出 席の予定でございますので、後ほどいらっしゃるかと思います。  それでは、以降の進行につきまして、岡部議長にお願いいたします。よろしくお願い いたします。 ○岡部議長 おはようございます。  それでは、新型インフルエンザ専門家会議第2回ということで開催いたしたいと思い ます。  第1回のときにアウトラインの御説明あるいはこれからの方針があって、それから、 ワーキンググループそれぞれのところで幾つかの議論が重ねられて、今日はその結果を まとめて、それぞれが状況を共有して意見を述べるというような目的と聞いています。  それから、この会議は、ただいまH5N1がヒト感染したら日本でどういう対応をする かということで議事を進めているんですけれども、ここ2〜3日インドネシアの状況が 非常に注目をしなければいけないところですけれども、しかし、私の知っている限りで は、確定しているわけではない、ただ、状況としては十分注意をするということでは、 この会も余りタイムリーになってはよくないんですけれども、そういう意味できちんと した議論をやって、ちゃんとした対応が我が国でもできるということで、今日の議論も 進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、事務局から今日の資料の確認と、続いて、それに基づいて説明ということ でお願いいたします。 ○金成専門官 では、ここでカメラ撮りは終了させていただきますので、御協力のほど よろしくお願いいたします。  それでは、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料でございますが、議事次 第がまずございます。  その後、資料1といたしまして「インフルエンザ(H5N1)に関するガイドライン」。  資料2−1といたしまして「新型インフルエンザ対策の情報提供・共有部門について」。  資料2−2「インフルエンザ(H5N1)指定感染症適応に関するQ&A」。  資料2−3「インフルエンザ(H5N1)のガイドラインに関するQ&A」。  参考資料1といたしまして、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の発生国及び人で の発症事例に関する地図。  参考資料2といたしまして、過去10年間との比較グラフとしてインフルエンザの週 報のグラフがあるかと思います。  資料が足りない方はいらっしゃいますでしょうか。資料の不足等がございましたら、 事務局の方にお知らせください。  資料の確認は以上です。 ○岡部議長 ありがとうございました。特に欠けているのがなければ、そのまま進めた いと思いますが、事務局の方から、最初はインフルエンザH5N1感染に関するガイドラ インについての御説明をお願いします。 ○塚原結核感染症課長 それでは、ガイドラインの中身について担当の方から御説明を させますが、今後のスケジュールなども含めて、私の方から一言だけ申し上げたいと思 います。  今日の会議の一番重要な課題は、今H5N1の患者さんが出たときに、すなわちフェー ズ3の段階でH5N1の患者さんが把握されたときに、どういう対応をしましょうかとい うガイドラインを早急につくるというのが今の状況です。状況から言いますと、まだ閣 議の日程が決まっておりませんけれども、政省令の取扱いについては、おおむね予定ど おり6月上旬ぐらいをめどに施行ができるのではないかという準備が整いつつあります。 そういう意味で、委員の先生方にはそういうタイムスケジュールでおしりが切られてい るということを、まず御理解いただければということが1点目です。  それから、施行の前に、これも6月の初旬になると思いますけれども、都道府県の主 管課長さん方をこちらの方にお招きして、政省令はこうなりましたというお話と、それ から、政省令に基づいてフェーズ3の段階で、それぞれの都道府県でオペレーションを していただくガイドラインがこれでございますというのを提示する会議を予定しており ます。  したがいまして、本日の会議で、おおむね基本的なところはガイドラインについてコ ンセンサスを得ていただいて、一部加筆修正は残るかもしれませんけれども、私たちの タイムスケジュール感としては、遅くても5月中にはこのガイドラインというものを成 案として作成するという段取りを今のところ考えておりますので、それをあらかじめ御 承知の上、本日の会議で貴重な御意見をいただければと考えております。よろしくお願 いいたします。 ○岡部議長 ありがとうございました。  それでは、続けて説明をお願いします。 ○金成専門官 それでは、事務局よりガイドラインについて説明させていただきます。 全体の総論として私の方から説明させていただきまして、各概論については事務局の各 担当の方から説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。  資料1のガイドラインをごらんいただきたいと思います。4月24日に会議を行いま した後、部門別の先生方に御協力をいただきまして、短期間の中でガイドラインを作成 していただいたところでございます。  まず、検討いただくに当たっては、各ガイドラインごとに作成を進めていただいたと ころでございますが、共通する部分等ございますので、総論という形で、まず書かせて いただきまして、各概論をガイドラインについては総論の後に添付するという形で1冊 にまとめさせていただきました。  資料1の1ページから総論が始まりますが、2ページ目をお開きください。「2 症例 定義」というところでございますが、これについては4月24日に一度、症例定義につ いて御議論いただいたところですが、その後、各部門長の先生と各委員の先生から御意 見をいただきまして、症例定義について若干修正をさせていただいた上で、また追記等 を重ねて症例定義を形としてつくらせていただきました。  症例定義として3つ用語を使っておりまして、(1)要観察例、(2)疑似症患者、(3)患 者(確定例)と、この3つの段階に分けて、感染した方、感染した疑いのある方につい て用語として定義をさせていただきたいと思います。  疑似症患者、患者については、入院措置等を行う上での法令上の用語として使ってい るもので、まず患者として確定した人については、この指定感染症においては入院勧告 を行うということになりますので、この方については、症状がある方の中で病原体が診 断された人、つまりはH5N1が確定した方を患者といたします。その上で、その中にお いては、症状として無症状の方、感染性がない方等について含まれることがないように ということで、症状がある方として38℃以上の高熱及び急性呼吸器症状のある者という 記載をさせていただいております。  また、この法律においては、患者ではなく、その前の疑似症患者ということについて も入院措置の対象となりますが、この場合については現在、地方衛生研究所等において はH5まで検出が可能ということになりますので、H5N1までの検出を待たずに、その 前に入院勧告等が行えるようにということで、疑似症患者の定義をH5亜型の検出とさ せていただいております。  また、この検査等を進める上で、まず医療機関等で感染しているかもしれないと疑っ て検査をするに当たってのスクリーニングの対象を要観察例といたしております。2ペ ージに戻りまして、下記(1)または(2)に該当する者、(1)というのは10日以内にインフル エンザウイルスH5N1に感染している、または、その疑いがある鳥、ニワトリ、アヒル、 シチメンチョウ、ウズラ等、もしくは死亡鳥との接触歴を有する者。(2)10日以内にイン フルエンザH5N1患者、これは疑い例も含みますが、との接触歴を有する者。この(1)ま たは(2)に該当する者であり、かつ、38℃以上の高熱及び急性呼吸器症状がある者、また は原因不明の肺炎もくしは原因不明の死亡例について要観察例といたします。  この接触歴に関してですが、接触歴の主な例示を記載した方がいいという御意見もご ざいまして、感染研の先生を初め、専門家の先生方に御意見をいただきまして、WHO において接触歴として例示されているものから、3ページの方に主な例示として挙げさ せていただいております。鳥との接触、患者との接触、医療機関・検査室・実験室にお いてのウイルスを扱ったということについて、これを主な接触歴として挙げさせていた だきました。実際には接触歴としては濃厚な接触、1mないし2mの範囲での接触とい うことで例示を挙げさせていただいております。これらの方については、積極的に医療 機関、今回検疫も含みますが、検疫等において検査を進めていただくと考えております。  このあとのガイドラインについても、この用語を一律同じように使わせていただいて おりますので、総論の部分に書かせていただいております。  また、8ページをごらんいただきたいと思います。今回、検疫ガイドライン、積極的 疫学調査ガイドライン、診断・治療ガイドライン、感染対策ガイドライン、サーベイラ ンスガイドライン、5種類のガイドラインをつくったところですが、それらの対策とそ のガイドラインを含む関係について、この図1枚で示させていただいております。  日本の場合は海外で感染して入国されるということが一番考えられるパターンでござ いますが、国内で感染する機会があるかもしれませんし、国内で確認もしくは検疫で確 認という流れがございますが、そこをスタートとして患者の接触者までの調査を含めて 1枚の図にさせていただきましたので、ほかのガイドラインの説明とともに、こちらも 参考にしていただきたいと思います。  では、各担当の方から説明させていただきたいと思いますので、よろしいでしょうか。 まずは症例定義から。 ○岡部議長 そうですね。症例定義が一番根本的なところにかかわると思いますので、 幾つかの議論をここでいただいておいた方がいいと思います。それから、次に話を進め るようにして。  それから、今、金成専門官の方から御説明があったように、あくまで疑似症患者、そ れから、患者確定例というのが法律による拘束というか、法律に基づく患者さんですけ れども、要観察例というのはSARSや何かのときにも、そこに至らない人についてどう するかという議論があって、医学的にあるいは公衆衛生学的にもきちんと見ておかなけ ればいけない。ただし、要観察例だから、すぐに法律に基づく入院とかそういうような ものにはならないということが前提ではないかと思います。それが一番最初に置かれる ことになりますので、それも含めて議論いただければと思います。  それから、接触歴の主な例示ということをしてありますけれども、これもここに書い てあるものがすべてではなくて、応用問題もやらなくてはいけないわけですが、WHO のガイドラインや何かでも、こういったものが主なものとして提示されているので、わ かりやすさの意味ということで出したものと理解しています。  それでは、症例定義のところについて、今の確定例、疑似症、それから、要観察例と いうことを含めて御意見があればいただきたいと思います。 ○谷口委員 症例定義の要観察例ですが、これまでのところ、まだすべての臨床症状と いうのは入院例のデータによって記載されているわけで、イニシャルシンプトンが明ら かになっておりませんので、あくまでこれはフレキシブルと。つまり、状況に応じてす ぐにでも変えられるという理解をさせていただいてよろしいでしょうかというのが1点。  あと、勿論接触歴についても、これも例示ですので、これに縛られるものではないと いうことを、やはりどこかに記載して。つまり、フレキシブルであるということと接触 歴もこれに限らないということは、どこかに記載しておいていただかないと、そういっ た実情を御存じないところだと、これだけというふうにとらえられると現場の混乱のも とになると思いますので、それを記載しておいていただいた方がいいのではないかとい うこと。  あと、最後に、先ほど岡部議長のお話にもありましたが、WHOが今、症例定義の勧 告の準備をしていますので、それが近々出てくると思いますので、またそれに併せても 再考するということが多分必要だろうと思います。  以上です。 ○岡部議長 つまり、実際に患者さんがいないので、よく私たちも質問をいただくので すが、それはどういうエビデンスがありますかとか根拠に基づいてという質問があるん ですが、H5N1感染者の現状で次のステップのことを考えながらやるしかないので、す べてについてエビデンスが決してあるわけではない。となると、状況に応じて変更する 可能性はどうしてもありますし、その辺は決まりということでなかなかリジッドになっ て難しいのかもしれませんけれども、実際に対応できるようにしておかなければいけな いというのが前提になると思います。  事務局の方から、今の谷口さんの件について。 ○金成専門官 総論の部分の「はじめに」のところにも書かせていただきましたが、今 後も本ガイドラインは必要に応じて随時更新していくということもありますし、定義等 についても新しい知見があれば、それについては検討を加えたいと考えております。  また、例示の部分については、ここには主な例示と書かせていただきましたが、この 部分については混乱のないようにさせていただきたいと思います。 ○中村委員 今の関連で要観察例、この記載されている印象としては非常に厳格な接触 歴に絞られていて、要観察例であってもかなり疑似症例に発展していくようなところに 絞られているのかなという印象なんですが、今の御指摘もありましたように、都道府県 レベルで患者さんが来た場合には、例えば、言語の問題で十分に接触歴がとれなかった りした場合など、どうしても広めにとらなければいけないのかなと思うんですが、そう いうことは実際に起こり得るのか得ないのか、その辺をもう少し情報をいただけるとあ りがたいと思います。 ○岡部議長 これは事務局からお答えいただいた方がいいですか。実際には、今厳格に とおっしゃいましたけれども、これがないと一体濃厚な接触歴とは何だということにな りますし、濃厚な接触歴はこれだと書いてしまうと、それ以外は濃厚な接触歴ではなく なってしまう可能性を心配しての例示ですから、今、先生が御質問になったような部分 については、多少膨らませて現場の方では考えていただかなくてはいけないし、また、 具体的にはそこを考えなければいけない場合が出てくると思いますけれども。 ○中村委員 また後ほどガイドラインの御説明があったときと関連するんですけれども、 膨らませて考えた後、この方々をどう処遇していくかというか、経過観察をする環境を ガイドラインの中に盛り込まれるかというところと関連するものですから、膨らんだイ メージだということで理解させていただければ結構でございます。 ○谷口委員 今の関連です。膨らませるということ、例えば、タイ国の症例定義を見ま すと、接触歴にもう一つあって、鳥の感染が認められている村で生活した、その庭を歩 き回った、14日以内というのがあるんですね。そうすると、これは現地にとってはかな り広い。ただ、日本人で今タイ、ベトナム、インドネシアで、鳥におけるアウトブレイ クが起こっている村の中を歩き回ることがあるかどうかということにも関連してくると 思うんです。もし、それがあるとすれば、先生がおっしゃるようにきちんとヒストリー を聞いて、それで判断するということが多分必要ではないかと思います。 ○田代委員 この定義全体の話なんですけれども、これはあくまでも指定感染症のとき のディスカッションにもありましたが、H5N1と限定していますよね。そうすると、こ れはフェーズ3の段階からリアソートメントが起こって、例えばH5N3みたいなものが 出てきて同じような病原性を示す可能性があるわけです。そうすると、それは検査をし てN3だったら除外されてしまうんですか。 ○金成専門官 現在の場合は、指定感染症ということではH5N1を位置付けております ので、法的という意味では除外をすることになりますが、感染症における四類感染症の 中には入るということですので、調査等の対象ではあるかと思います。ただ、入院措置、 法律上強制力を持った措置ということについては、法律上の対象には今のところはなら ないということになります。 ○田代委員 この定義というのは、指定感染症を想定した定義ということですか。例え ば、確定例というのはNの亜型がH1でないと確定しないわけですね。確かに、H5N1 の確定はそのとおりだと思うんですけれども、ヒトの新型という先のことを考えた場合 には、それだけでは非常に片手落ちではないかと思うんですが。 ○金成専門官 私の方から答えるべきかちょっと悩むところではあるんですが、現段階 の世界的な状況を勘案すれば、今H5N1については政令指定をする必要があるというこ とで今回指定感染症にしておりますが、今後知見等でH5N3とかほかの亜型が出てきて、 これについては対応が必要だという知見が積まれれば、やはり今回のH5N1が指定感染 症になるという状況と同じように、そういう指定感染症にするということについて検討 しなければいけないと考えております。 ○田代委員 そうすると、例えばH5N3がどこかで分離されて確定したと。そのときは、 報告はどういうふうになるわけですか。疑似症なのか、それともN1ということは否定 されているから疑似症にも該当しないのか、その辺の仕分けなんですけれども。 ○金成専門官 まず、H5だけが検出された場合は疑似症患者ということで、法律上、 指定感染症の疑似症患者として扱います。もし、その後N1ではなく違う亜型が出てき たということになれば、指定感染症の患者としては扱いません。疑似症患者としても扱 わないということになりますので、四類感染症の高病原性鳥インフルエンザとしての届 出となります。 ○岡部議長 恐らく法律的な拘束にはならないけれども、十分注意をしていかなければ いけないということではあるし、また、H5N3が出た場合に、直ちにそれがヒト型に広 がるかどうかは今のところわからないわけです。あり得ると思って、それは法律的に言 えば恐らく任意になるけれども、医学的には十分注意を持って示さなければいけないの ではないかと思います。 ○田代委員 今まさに岡部議長が言われたとおりで、H5N1だけに限定してしまうと、 ほかのことが起こったときに、それには対応できませんと。だから、指定感染症に準じ た対応が今のところできないわけですね。そのときに漏れがあって、せっかく指定感染 症にして早く対応しようと考えているときに、法律的な問題から漏れがあって遅れをと ってしまったということが起こらないように、適切な対応を今のうちから考えていただ きたいということなんです。 ○塚原結核感染症課長 そこは御指摘のとおり、あくまでもこれはH5N1のことを実際 に考えてやっていますけれども、H5N3というお話が出ましたが、それはH9であれH 7であれ、本当にリスクが高まってきて、きちんとした対応が必要だという認識ができ れば、それはまた個別に対応します。 ○岡部議長 大変重要な部分のディスカッションがあったんじゃないかと思います。  そのほか、症例定義の部分について、もし何か御意見があったらまた後でということ で。  続いて、各論と言っていいんですか、それぞれの部分になりますが、金成専門官どう ぞ。 ○金成専門官 各担当から御説明させていただきますが、その各担当の紹介をさせてい ただきます。サーベイランスガイドラインと積極的疫学調査ガイドラインについては、 谷畑が担当いたします。診断・治療ガイドライン及び医療施設等における感染対策ガイ ドラインについては、佐藤が担当いたします。また、検疫ガイドラインについては、島 村が担当しておりまして、この3名から説明させていただきます。  では、目次の順に従って御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願い します。 ○岡部議長 谷畑さん、よろしくお願いします。 ○谷畑研究官 おはようございます、谷畑でございます。  まず、1番目に書いておりますサーベイランスガイドラインですが、11ページからに なっております。サーベイランスガイドラインの基本的な考えといたしましては、新型 インフルエンザ対策を有効に機能させるためには、まず、その発生状況を確実に把握さ せることがサーベイランスとして最も重要なことになっておりまして、現段階のフェー ズ3においては症状及び接触歴によって要観察例と判断された場合には、医療機関から 保健所への連絡によって患者を可能な限り早期に探知できる体制を整えて、患者の早期 治療、感染の拡大防止を図ることをこのガイドラインでの最大目標としております。要 観察例につきましては法的根拠がございませんので、任意による調査ということが原則 になりますし、それを現場において徹底させていく必要があるのではないかと考えてお ります。  15ページを見ていただきますと、1つ行が少し見にくくなっておりますが、医療機関 における対応、インフルエンザ様症状の患者さんが来た場合、医療機関ではこういう対 応があるのではないかということで、保健所はそれに対する対応を行っていく必要があ る。そこに書いてありますけれども、患者検体を地方衛研に搬入し、検査の準備をし、 積極的疫学調査の準備をする。積極的疫学というのは感染症法第15条に基づいた調査 でございますので、要観察例の段階では実際の調査に入ることはできませんが、いろい ろ調査票を準備しておりますので、それを準備しながら要員を待機させる必要があるの ではないかと考えております。  ただ、そういう要観察例と患者さんから任意で渡航歴、行動歴、接触歴などを聴取し、 現段階で稼動しております感染症サーベイランス疑い症例調査支援システムへの登録を していく必要があると考えております。これは、やはり任意によるデータ、患者さんが ここまでなら出してもいいというものを確認したものに関して登録していくことになる と考えております。  保健所の流れとしてはこういうもの、あるいは地方衛研では検査をし、H5が検出さ れた場合は感染症サーベイランスシステムへ検査結果を報告し、同時に、検体を国立感 染症研究所ウイルス第3部に送付する。また、その結果をそれぞれに返していきながら、 保健所はその結果を得た場合もくしはH5疑似症を含む者が出た場合、医療機関へ検査 結果を報告し、場合によっては医療機関の消毒を含めて措置が必要になってくる場合が ありますので、保健所はその判断を強いられることになるかと思います。サーベイラン スシステムといたしましては、こういう流れで、現段階では事前準備を十分していく必 要があるのではないかと考えております。  以上です。 ○岡部議長 詳細の方はまた後の方にあるわけですね。 ○谷畑研究官 サーベイランスの流れとしては、こうなります。 ○岡部議長 1つ1つの方がいいと思いますので、このサーベイランスの流れというと ころで御意見があればいただきたいのですが。  私の方から1つ伺いたいんですが、図II−1、流れ図で医療機関で疑いを診て保健所 へ連絡をし、地方衛生研究所で検査をするわけですが、この間小田切委員からも地方衛 生研究所での検査はプライマー等の配付、それから、検査方法についての連絡は行って いるので、衛研での検査能力が高まっているというお話があったんですけれども、実際 どの程度できるかということについては、いかがでしょうか。 ○谷畑研究官 実際のところに関しましては、県によればN1まで検出することは可能 だという県はございますけれども、基本的にはH5を地方衛研では期待しております。 ○岡部議長 田代先生、何か御意見ありませんか。 ○田代委員 SARSのとき以来、地方衛生研究所ではPCRですぐに診断できる体制が できています。プライマーの情報はこちらから全部伝えてありますので、実際にはすぐ 動けると思います。ただ、PCRの場合は感度の問題とクロスコンタミネーションの問 題がありますので、その結果の評価については、実際に検体が送られてきてやられたこ ともないものですから、どの程度慎重にしなければいけないか、どこまで対応できるか という本当のところはわかりませんけれども、そこを十分に注意していただければ大丈 夫だと思っています。 ○谷口委員 多分、第1例目とか2例目といった場合には、非常にクリティカルな問題 になると思うんですね。最初、誤報であれば大きなパニックになると思うんです。でき ればですが、例えばサンプルを送付して、サンプルA、B、Cどれが陽性でしょうかみ たいなクオリティ・アシュアランスを例えば事前にやっていただくとか、例えば、都道 府県によってキャパシティも多分違うと思うんです。うちは1日100検体までできます という都道府県もあると思いますが、うちは10検体がせいぜいですというところもあ るかもしれません。うちは検体をいただいてから12時間で結果を返しますというとこ ろもあるかもしれませんが、うちは1日掛かりますというところもあるかもしれません。 そういったところは少なくとも地方自治体の当局は、それを把握しておくべきではない か。そうでないと、いざ起こったときに、まだかまだかというような話になると、余計 におかしくなるような気がしますので、今準備フェーズとしたらそういったことを何ら かの形で考えておくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○岡部議長 SARSのときも一応はできるようになったけれども、ふたを開けてみたら、 やはりP3のラボの関係とか、あるいは1検体ならそれこそできるけれども、5検体来 たらできないんだというようなこともありましたから、その辺のキャパシティをチェッ クしておくというのは非常に重要な御指摘だと思います。 ○田代委員 では、是非それをやります。それから、プロセッシテストはどこまででき るかわかりませんけれども、安全性の問題があるのでRNAのサンプルそのものを配る のが一番いいとは思いますが、セキュリティの問題その他を検討して、そのようにした いと思います。 ○多屋委員 サーベイランスのガイドラインの15ページと、それから、後ろに入って いる医療機関のガイドラインの21ページ等に関しましてですけれども、例えば、この サーベイランスのガイドラインを見ますと、検体採取は咽頭ぬぐい液と限定して記載が なされておりまして、実際は咽頭ぬぐい液でのみしか検体がとられないというようなこ とにならないように、例えば、もう少し複数の検出できる可能性のあるものが例示され ていないと、これでないとだめというふうに思われてしまう方がいらっしゃるのではな いかということで、ある程度診断・治療ガイドラインと整合性がとられていた方がいい のではないかと思います。 ○谷畑研究官 ありがとうございます。現段階では確かに、咽頭ぬぐい液だけでは不十 分ではないかという御意見も多々ございますので、21ページとのそごがないように訂正 をしようかと考えております。 ○岡部議長 サンプルとしては、もうちょっと広く取り扱っていただける可能性がある ということよろしいですね。これも、しばしば決まってしまうと、咽頭ぬぐい液以外は サンプルではないというふうにリジェクトしてしまうことがあるので、そういうことは ないように、あくまで患者さんをきちんと検出するにはどうしたらいいかということを 念頭に置いてやっていただければと思います。 ○谷口委員 一応それに関連して、今のところ初期時点でのPCRの感度特異度という のは全くデータがないと思うんです。ゆえに、要観察例という名前が示すように、1回 の検査で否定するものではないと。これはサーベイランスと医療といろいろなところに 重なっているものですから、なかなか言いにくいのですけれども、例えば、ほかの国な どは48時間後にもう一度リアセスメントというようなことが書いてある国もあります ので、これはサーベイランスに入れるのか、患者マネジメントに入れるのか、どっちか わからないですけれども、ただ、そういったことは先生のお話と一緒にお考えいただけ ればと思います。 ○丸井委員 幾つか御指摘があったと思いますけれども、検査そのものの機能の問題と 同時に、例えば、15ページだけを見ますと、余りにもこれが遵守されてしまうと困るか なというものが幾つかあると思います。1つは、先ほど来御指摘の時間の問題で、施設 によって時間のばらつきがある。そして、それぞれ流れていく、大体どれくらいの時間 が想定されているのかという、必ずしもそれはここに書く必要はないと思いますけれど も、時間の問題と、もう一つは、私の方の責任であります情報の共有の問題であります。 矢印がこういうふうにきちんとできてしまうと、順次情報が流れていくというだけで、 余りにこれを遵守してしまいますと、例えば、一番最後の感染症研究所では実際に送ら れてくる直前まで状況がきちんと把握できていないというようなことが起こり得ること もあると思いますので、ある時点で中央も現場も同じ情報を共有して持っているという 状況が必要だろうと思うんです。例えば、現場に問い合わせた場合と、中央というのは 例えば感染研とか厚生労働省に問い合わせた場合とで、持っている情報が違っているた めに回答が異なるというようなことが起こらないようにするには、この情報の流れとし てどうしたらよいか。それはもう少しだけ考えておく必要があろうかと思います。  ですから、矢印で1か所から1か所ではなく、同時に何箇所かにこのような状況だけ れども、今これをしているというのが随時わかる状況というのを用意しておく必要があ るのではないかと思います。 ○大日委員 情報で保健所の辺りから出ているNESIDにおける疑い症例調査支援シス テムと申しますものは、保健所が入力した情報は都道府県、国も、勿論、感染研も同時 に見られるということで、登録された情報に関しては都道府県、国が情報共有は瞬時に できるということになっています。ただ、幾分データベースですので、すべての情報が 網羅されていませんので、そこから漏れている情報というのは当然あると思いますが、 基本的な情報は、関係者は同時にアクセスして見ることができるというシステムになっ ております。 ○岡部議長 この部分は必要なところの情報共有であって、任意の届出だから、いろい ろなものでまだ未確定要素もあるけれども、情報共有ですよということだと思うんです けれども、そうですよね。 ○大日委員 勿論そうです。 ○岡部議長 今の関連ではよろしいですか。 ○神谷委員 先ほどお話が少しあったと思うんですが、N1までできる地検も数は少な いと思うんですけれども、あろうかと思いますが、このガイドラインでは基本的には疑 似症でH5が確認された場合に、感染研への検体送付と書かれておりますが、これが例 えばN1まで地検で確認できた場合に、当然感染研とのダブルチェックとかいろいろな 意味での送付というのはあり得ると思うんですけれども、この時点でH5N1だと地検の レベルで確認して、地方が動き出してもいいのかどうかとか、その辺のところがガイド ラインに書かれてしまうと、感染研の結果が返らないと動けないのかという話が出るか と思うので、ちょっとその辺が気になったんですけれども。 ○塚原結核感染症課長 今、地方が動けるというような御発言がありましたが、その動 ける中身にもよりけりなんですけれども、法に基づいて入院勧告をする、あるいは就業 の禁止をするというのは疑似症例でもできますので、N1が確定しなければできないと いうことではありません。Hのレベルで確定すれば、行政的な対応は基本的に法に基づ くことはできるわけですから、あえてN1のことについてどういう意味があるかと私な りに解釈をしますと、例えば、WHOにきちんとした国から報告をするというときはN 1を確定しなければいけないということがあって、感染研がリファレンスセンターにな っていますので、そこは例えばWHOに報告をするというような場合については、ダブ ルチェックも含めて感染研の方でもやる必要があると思っています。ただ、地衛研の方 で決してN1までやらなくていいですよということではなくて、地衛研としてはH5は きちんとやってくださいと、Nについてはそれぞれのキャパシティにおいて独自におや りになればいいのではないかということでありますので、いずれにしても動けるか動け ないかについては、Nは関係なく行政の動きができることになっていますので問題ない と思っています。 ○岡部議長 ですから、早急なアクションは擬似例の段階でやって、きちんとした確定 のところまで持っていくのは、ダブルチェックも含めてきちんとした回答を出すという ことでよろしいですか。  田代先生、日本の場合は日本がリファレンスセンターですから、そこで確定でいいん ですよね。感染研でやったもので確定ということで。 ○田代委員 国内で地衛研で出された結果は、最終的には感染研でダブルチェックをす ると、それで正式に陽性だというスキームになっていますけれども、今課長から話があ りましたように、アクションとしてはその結果を待たずに地衛研のレベルで検出された ということで当然動いていく必要があると思います。 ○川名委員 ちょっと聞き漏らしたかもしれないので確認なんですが、15ページのフロ ーチャートで医療機関の箱の中の「○」の4番目が半分隠れているのですが、この内容 をちょっと教えていただきたいんですけれども。これは生きているんでしょうか。 ○岡部議長 読み上げてください。 ○谷畑研究官 ポイントの都合で消えてしまいまして、見落として申し訳ございません。 医療機関といたしまして、この要観察例を疑った場合に保健所へ情報を提供していただ く。こういう患者さんがいたんだけれども、どうすればいいだろうかというふうな情報 提供を……。 ○塚原結核感染症課長 どう書いてあるのかという。 ○谷畑研究官 すみません、読めないですね。手元に参りました。「インフルエンザ (H5N1)要観察例を疑う場合、保健所への情報提供」と書いております。 ○岡部議長 これは、ほかのところにも書いてありますね。後でそこを例示していただ ければ、この部分がちゃんと書けると思いますから。 ○谷畑研究官 はい、ありがとうございます。申し訳ございませんでした。 ○岡部議長 それでは、次に進めたいと思うんですが、この次は診断・治療ガイドライ ンですね。どうぞよろしくお願いします。 ○佐藤主任 佐藤と申します。私の方からは、2番の診断・治療ガイドライン、それか ら、医療施設等における感染対策ガイドライン、医療部門で御議論いただきまして策定 されたガイドラインについて御説明させていただきます。  まず、診断治療ガイドラインですけれども、当然のことながら日本では、まだインフ ルエンザH5N1の診療経験のある医療機関というのがございませんので、早期診断・早 期治療を可能にするように、医療現場で診療の参考となるようにということで、これま での海外での経験に基づく患者さんの臨症状ですとか、あるいは初診から確定診断まで の流れ、入退院の目安、治療法などについて記しております。  早期診断・早期治療という観点からは、医療機関だけではなくて、当然ほかの関連部 局、保健所、地方衛生研究所、都道府県等の連携というのが非常に重要で、それぞれが 迅速に対応するということで初めて実現するものでございますので、それぞれに求めら れる役割についても記載を設けてございます。  すみません、1つ1つでございましたか。 ○岡部議長 全部丁寧には説明できないと思いますので、ピックアップしながら。 ○佐藤主任 医療施設等における感染対策ガイドラインですが、これは初め、ただ単に 「感染対策ガイドライン」だったのが、学校ですとか職域等は対象に含めないこととい たしましたので、「医療施設等における」とさせていただいております。  インフルエンザH5N1の感染経路というのはまだ完全には解明されておりませんで、 これまで報告されているヒトの発症事例ですとか、通常のインフルエンザの感染経路な どから患者さんへの接触に際しては、標準予防策、接触予防策、飛沫予防策、空気予防 策を今の時点ではすべて実施するということ。一方、患者さんについては、いわゆる咳 エチケット、きちんと口を覆うですとか、そういったことの励行を促すことで、初めて 必要な感染対策が講じられるだろうという立場に立ちまして、いろいろなシチュエーシ ョンを想定し、外来ですとか入院病棟あるいは小児の患者さんが入院されたときの注意 事項も含めて、それから、患者さんの死後あるいは搬送等々さまざまなシチュエーショ ンにおける感染対策を記しております。  以上で簡単でございますが、御説明を終わりにいたします。 ○岡部議長 川名先生の方でまとめていただきましたので、何か補足がありましたら。 ○川名委員 アウトラインとしては今、御説明いただいたとおりでよろしいと思います。 ○岡部議長 それでは、ディスカッションにいきたいと思います。全体のところで何か 問題点あるいは御質問がありましたら、どうぞお願いします。 ○谷口委員 最近、WHOから抗ウイルス薬の使い方に対するガイドラインが出ており ますので、まず、そこにはアマンタジンは耐性のこともあるけれども、ないこともある のでの、セカンドチョイスにはなっていると思いますが、使用すべきでないとまでは書 けないのではないかというのが1点。  あと、副腎皮質ステロイドはインフルエンザに対する治療なのか、ARDSに対する治 療なのか、こういうような書き方をすると、H5N1に対する治療としてステロイドが使 われているように見えますので、日本語の問題ですが、御考慮いただければと思います。 ○佐藤主任 まず抗ウイルス薬の方ですが、ベトナムは耐性だけれども、ほかのトルコ は耐性じゃないことが多いのでというようなお話を伺いまして、それを受けて「耐性で あるため」というのを「耐性であることが多いため」とさせていただいたんですけれど も、やはり当然強いリコメンデーションはWHOのガイドラインでも当然のことながら タミフルだったと思うんですけれども、ここで少しアマンタジンの使用の余地を与える ような書き方にすべきかどうかということについては、むしろ先生方の御意見をお聞き したいと思うんですけれども。 ○川名委員 今、谷口先生もおっしゃいましたけれども、最近WHOが特に治療薬の使 い方に関するリコメンデーションを出していますが、その中では基本的には、やはりフ ァーストチョイスはノイラミダーゼ・インヒビターで、特にタミフル、オセルタミビル と。ただ、エピデミオロジカルに、例えば、その地域でアマンタジンに対する感受性が 期待できるようなところでは、アマンタジンの使用も選択肢に入ってくると。そういっ たような感じの記載ですね。ですから、もし、追加するとすれば、例えば、日本に入っ てきたH5N1がアマタンジンに感受性があるということが想定されるのであれば、当然 選択肢には入ってくるだろうと思いますが、今回はそこまでは詳しく書かなかったとい うことであります。 ○飯沼委員 ヒト・ヒトのことまで考えますと、アマンタジンは耐性が獲得しやすいの で、こういうように余り使わないというような表現の方が将来的にはいいんじゃないで しょうかね。ヒト・ヒトまで起こり得ると想定すれば。 ○岡部議長 臨床の先生方の御意見あるいは田代先生、何かありましたらどうぞ。 ○田代委員 これは、あくまでもフェーズ3の使用方法ですよね。そうすると、これは ファーストチョイスとしては、アマタンジンは使うべきではないというのが正解だと思 いますけれども、望ましくないとかそのぐらいの方がいいかもしれませんが。 ○岡部議長 ギリギリそれしかないとか、あるいは状況に応じてはリン酸オセルタミビ ルの方に問題が出てきたりするということも考えれば、最悪、決して使えないという状 態には置いておかない方がいいと思いますので。文章の表現上ですけれども、 ○田代委員 それから、WHOのリコメンデーションは細かい使い方までは書いていな いわけですけれども、アマンタジン単独で使えということは書いていないですよね。ノ イラミダーゼ・インヒビターと併用するということが、積極的なリコメンデーションで はないけれどもそう書かれているので、単独ではやはり使えないということがわかるよ うな表現をどこかに入れておく必要があると思います。 ○谷口委員 少なくとも単独では使用すべきでないであれば絶対に正しいと思いますね。 ○岡部議長 では、そういうような表現でお願いします。 ○塚原結核感染症課長 今のを確認させていただきたいんですが、単独使用はすべきで はないという書き方でよろしいんですね。 ○谷口委員 私はそれでいいと思います。 ○塚原結核感染症課長 具体的にどう処理するかなんですが、テクニカルな話なので、 コンセンサスが得られればこの場で決めていただいてしまって、我々が余り悩まずに済 むようにしたいんですが。 ○岡部議長 単独で使うことはリコメンデーションが出ていないわけですから。 ○谷口委員 それは絶対に出ていないです。 ○岡部議長 単独で使用すべきではないということでよろしいのではないでしょうか。  それから、その他の補助療法、ちょっと細かいことになりますけれども、鎮痛解熱剤 についてアスピリンはよくわかるんですが、NSAIDについては議論がありましたでし ょうか。川名先生。 ○川名委員 これ以上についてはありませんが、この辺は感染症情報センターのホーム ページ等も参考にさせていただいて、大体記載を踏襲したという形です。 ○岡部議長 15歳以下は、インフルエンザ全般は使えないようにはなっているんですけ れども、H5N1だからどうだというのは全くわからないわけですが、余り使わない方が いいんじゃないかと私は思っているんですけれども、もし、よろしければNSAIDも使 うべきではないということで準じた形でいいんじゃないでしょうか。勿論、脳症につい ては不明な部分があるので、それ以上踏み込んだディスカッションはできませんけれど も。  そのほかの点でございますか。 ○田代委員 さっき谷口先生から指摘があった、副腎皮質ステロイドの使用目的ですけ れども、これは感染に対する治療ではなくて、ARDSに対する対処療法ということを書 いておく必要があると思います。 ○佐藤主任 ちょっと戻るんですけれども、NSAIDの方で。そうしますと、「(4)その 他の補助療法」で、下から2番目の解熱鎮痛薬を使用する場合、アスピリンなどのサリ チル酸系は避けるという部分、それだけではなくて、15歳未満の患者には解熱鎮痛薬の 使用を避けると。 ○岡部議長 そんなことはないと思います。使わざるを得ないときはあるから、サリチ ル酸剤及びNSAIDの使用は避けると。一般論としてこれは通用することだと思います から。 ○佐藤主任 わかりました。そうすると、サリチル酸系等NSAIDという言葉を入れる ということですね。承知しました。  それから、ARDSのお話ですけれども、そうしますと、インフルエンザH5N1に伴う ARDSに対するというような書き方でよろしいでしょうか。 ○岡部議長 ARDSというよりもサイトカインストームに対する治療でありますから、 免疫レギュレーションとして使うのであって、インフルエンザウイルスに対して使うの ではないということがはっきりすればいいと思います。 ○多屋委員 先ほどの解熱鎮痛薬のところですけれども、今インフルエンザ脳症の問題 からアスピリン、それから、ほかのジクロフェナクですとかメフェナム酸などはもう使 わないというようなことが出ているので、そこまでの記載があってもいいのではないか と思いますけれども、いかがでしょうか。 ○岡部議長 だから、それはNSAIDということで。 ○多屋委員 NSAIDですけれども……。 ○岡部議長 そうか、アスピリンなどのサリチル酸だからジクロフェナクなどのNSAID というような書き方ですね。並列しておくということですね。  そのほかにまいりたいと思います。 ○藤本委員 今、診断治療の方の話でちょっと戻ってしまって恐縮なんですが、20ペー ジでございます。この表は、先ほどの15ページの表をもう少し大きく書かれたものな んですが、1点気になるところが保健所の立場からございまして、「都道府県、保健を設 置する市、または特別区の本庁」からダイレクトに「医療機関」に向かっている矢印が、 「診断した医師から、保健所への届出がなされたことを確認」というのは、保健所がす っ飛んで書かれているんですが、何か意図があるのでしょうか。その点を伺いたいと思 います。 ○岡部議長 事務局の方で御説明をお願いします。 ○佐藤主任 これは、最初は診断した医師から保健所へ届けを出されるよう指導という ような形になっていたわけなんですけれども、この点につきましては今初めて御意見を いただいたんですが、実際のところは保健所の方で確認をされるということであれば、 勿論、矢印の起点を保健所の方に設けることは可能ですが、そうしますと、むしろ余り 矢印自体必要なくなるかどうかという話も出てくるかもわかりませんけれども、検討さ せていただきます。 ○岡部議長 藤本先生、それでよろしいですか。 ○藤本委員 了解いたしました。 ○岡部議長 その他の点について、よろしいでしょうか。  それでは、もし問題があったらまた戻るようにして、次にいきたいと思いますが、今 度は医療施設等における感染対策ガイドラインをお願いします。これは、どなたに御説 明いただけますか。 ○佐藤主任 先ほどの御説明です。 ○岡部議長 診断・治療ガイドラインに含まれているわけですか。 ○佐藤主任 感染対策ガイドラインでしょうか。先ほど大分はしょってしまいましたが。 ○岡部議長 そうですか。では、ディスカッションの方をこっちに移せばいいですね。 ○塚原結核感染症課長 その前によろしいですか。先ほどの抗ウイルス薬と副腎皮質ス テロイドは、そもそもウイルスをターゲットにしているのかARDSという話があって、 23ページの書き方についてなんですが、場合によったら(1)を抗ウイルス薬にして、(2) を補助療法にして、補助療法の中に副腎皮質ステロイドと抗菌剤とその他があるという 書き方の方が誤解がないかなと思ってお聞きしていましたが、いかがでしょうか。 ○岡部議長 皆さん、うなずいていらっしゃいます。 ○塚原結核感染症課長 では、そのように整理をします。 ○岡部議長 では、医療施設の感染対策ガイドラインについての御意見がありましたら、 お願いします。かなりたくさんあるので目が通りにくいかもしれませんが。 ○前田委員 先ほどの15ページの図でもそうなんですが、外来部門の外来トリアージ の考え方からいきますと、医療機関に対して基本的にインフルエンザ様疾患のある方に ついては、すべて鳥との接触歴を確認するという考え方というか、その辺の判断は医療 機関の責任においてしていただいて、そこで得られたものについては保健所の方で対応 するというような考え方で、医療機関に対しては必ずインフルエンザの患者が来たら、 鳥の接触歴を聞いてくれと、そこで確実にトリアージしてほしいという形で医療機関の 方に指導していくということになるのでしょうか。 ○塚原結核感染症課長 はい、そうです。 ○岡部議長 こんなところでこういうことを申し上げてはいけないですけれども、問診 というのは相当スクリーニングのときに有用だと思うんですね。特に、こういう不明疾 患のときにエピリンクを考えておくということが重要なので、言葉の端々よりもそこだ と思いますから、是非きちんと聞いていただくということからスタートするのではない かと思います。ちょっと余計なことですけれども。 ○田代委員 27ページの感染経路のところで、現時点ではH5N1の患者はかなり下痢 をしているわけですね。下痢便の中にウイルスの遺伝子もかなり高率に見つかって、長 期間排泄されているということが疑われているわけで、これに対する対策というのはデ ィスカッションされたのでしょうか。 ○岡部議長 事務局あるいは川名先生。 ○川名委員 これは議論されております。基本的には、勿論常に標準予防策ということ になるわけですけれども、ステージとしましては、大まかに言うとファーストコンタク トの場所では発熱とか呼吸器症状がある人に対しては、レスパイラトル・エチケットを やると。マスクをしていただいて、医療スタッフもマスクをする。あと、手洗いをする。 そして、恐らくこれが要観察例あるいは疑似症例とステージが上がっていきますと、接 触、飛沫、空気の感染経路別予防策を全部とった対策をしていくという形になっていく だろうと思いますので、下痢等に関してはカバーできていると思います。 ○田代委員 それに関する記載がないように思うんですけれども。 ○岡部議長 28ページの「インフルエンザ(H5N1)の感染経路」のところには、糞便 感染の可能性もあるのでというのが書いてありますね。第1パラグラフの下から3行目 くらいで「これまで発症したヒトの事例等からは、便中にもウイルスが含まれる可能性 が示唆される」というのがあるので、これをもって十分注意してくださいということに はなり得るのではないかと思うんですが。 ○田代委員 糞便から感染がいくかどうかというのは証拠がないわけですけれども、ウ イルスが排泄されているということと、それから、現時点ではH5N1のウイルスはかな り環境中で抵抗性が強いということで、やはり糞便に対する対応というのはどこかに注 意をしておく必要があると思うんですけれども。 ○森兼委員 便に関しましては、随所に排泄物に対して、例えばガウンを使うとか、そ ういうような記載が随所に入っていますので、これで基本的にはカバーされていると考 えております。  それから、概論としての28ページの下から4行目「環境を介する間接的接触感染も 感染経路の一つと考えられている」と書かれておりますので、先生が今おっしゃった環 境のことも一応カバーはされているということになると思います。 ○岡部議長 非常にデリケートな部分ですけれども、今のところの段階ではヒト・ヒト 感染が直ちに起きているわけではないけれども、それに対する警戒と起き得ることとし てこれができているわけですから、記載としてはその可能性がここに書いてあって、な おかつスタンダード・プレコーションの重要性と排泄物に対する注意というのがあるの で、余り強調し過ぎるとトイレにも行けないというようなことになってもいけないので、 その部分応用としてきちんとやっていくということで、注意をするということでよろし いかと思いますが、田代先生、適宜注意は加えていくということで御了承いただければ と思います。 ○川名委員 あと、特に便に関連したところでは、例えば医療廃棄物、場合によっては 患者さんが使用したおむつだとか、そういったようなものの廃棄の問題ですとか、あと、 今ちょっと出ましたけれどもトイレの問題だとか、そういったようなところまで非常に 発展してくるので、非常に難しい部分ではあるんですが、基本的には患者さんに使用し たリネンだとか廃棄物に関しては、通常の患者さんと同じ標準予防策の範囲内で適切に 処理するといったような記載にしたんですけれども、その点についてはよろしいでしょ うか。つまり、廃棄物を特にH5N1疑いの患者さんについて特別の処理を要するとか、 あるいは下水とかそういうもので特別な配慮を必要とするというようなことを記載する と、医療現場に非常に大きな負担を強いる可能性もあって、ほとんどの病院が対応でき なくなる可能性があるのではないかということもちょっと考えたものですから、その辺 についてのコメントがいただけたらと思います。 ○岡部議長 便は、基本的には感染性の可能性があるんだというのがスタンダード・プ レコーションの考え方だと思いますので、医療機関としてはその辺を十分考慮した上で、 できることをやっていただきたいということだと思います。 ○林委員 最近、便の方は一般ごみとして捨てるんですね。感染症が明らかな場合にの み感染性廃棄物として捨てるというようなことがあるので、その辺ここに書いてあれば 感染性があるということでいいかとは思います。 ○岡部議長 感染性であるから感染性廃棄物の対象にはなるということですね。  次に、議論を進めたいと思いますが、よろしいですか。ほかの部分で感染対策ガイド ラインのところは、今気がつかれたところはよろしいでしょうか。これも何かあればま た後で意見をいただくということにしたいと思います。  次は、積極的疫学調査ガイドラインの方です。事務局からよろしくお願いします。 ○谷畑研究官 積極的疫学ガイドラインについて、また谷畑から説明をいたします。  日本の疫学者が感染症対策に余り興味がない中で、非常にクオリティの高いガイドラ インを感染症研究所の皆様につくっていただきまして、大変感謝しております。  この積極的疫学につきましては、どういうことをするか、これは現場の皆さんがよく 御存じのところなんですけれども、疑似症患者を含むんですが、患者を探知すると同時 に感染のリスクのある接触者を迅速に把握し、必要に応じて適切かつ十分な情報提供及 び接触者の健康管理を行い、可能な限り速やかに感染拡大防止に必要なための情報を蓄 積、分析、共有を図るということが、この積極的疫学調査の基本になってくるかと思い ます。  その骨格につきましては、47ページのア、イ、ウ、エに示しておりますけれども、ア ウトブレイクの全体像を把握する、感染源・感染経路・感染危険因子の特定を調査によ って明らかにしていく、患者の発生に関連した情報を迅速に収集して、迅速に還元して いく、対策の評価ということで、講習衛生対策的介入策等々が本当に有効であったのか ということを迅速に評価しながら次の手を考えていくということが、この積極的疫学ガ イドラインの骨格になってまいります。  その流れ図につきましては、これも皆さんに御検討いただきたいところですが、60ペ ージにお示ししております。  では、現段階のフェーズ3の段階ではどうするのかにつきましては、54ページから非 常に詳細に書いております。接触者の定義とは一体どういうものか、これが56ページ にございますけれども、濃厚接触者、高危険接触者とは一体どういうものなのか。疫学 調査を行うためにはこういう定義というのは必須で、これを基に調査のすべてが進んで いくわけですので、この辺りを周知徹底させていきながら調査を進めていくことになる かと考えております。  60ページを見ていただきますと、これは15ページにお示ししましたサーベイランス ガイドラインによく似ているかと思うんですが、先ほど岡部議長から御指摘がありまし たように、医師の問診・診察というのが非常に基本的になってまいりますし、その医師 に対して実際に調査を行う方々が医師から、本当にこの方が要観察者なのか、疑似症を 疑ってもいいのだろうかということを十分に聞き取りながら、患者さんへの任意の協力 を得ながら、渡航歴、濃厚な接触歴の有無を伺っていく必要があるかと思います。この 段階で積極的疫学調査の準備を保健所内で着々と進めていく必要があるかと思います。 ただ、要観察例と判断されない場合は、当然この症状があるわけですから、今後どうな っていくのかというのは患者さんも含めて不安に感じておられるわけですから、保健所 として十分な保健指導を行い、何かあれば保健所に連絡してください、または医療機関 と御相談くださいという十分な保健指導を行う必要があるのではないかと考えておりま す。  要観察例が出た場合、病原体検査、これは地方衛研でお願いするわけですけれども、 実施し、これもまだ検査結果が出ないわけですから、任意の症例状況、接触歴等の確認 を行っていきながら、もし、検査が陰性の場合、H5が見つからなかった場合、保健指 導を行う。これは先ほど谷口委員からも御指摘がありましたけれども、1回だけの検査 では引っ掛からない場合もないわけではございませんので、やはり陰性であっても保健 指導を行いながら、何か症状が改善しない場合、保健所または医療機関に相談していた だくよう、十分な保健指導を行っていただく必要があるのではないかと考えております。  陽性がありましたら、実際法的な根拠に基づいて積極的疫学を行うことは可能になる わけなんですが、法解釈をそのまま考えれば、患者さんに説明なく積極的疫学を行うこ とは可能なんですけれども、今後のことを考えた場合、実際はやはり患者さんとの十分 なコミュニケーションをとりながら調査を行っていく必要があるのではないかと考えて おります。  最終的にH5N1が見つかれば対策評価を行いますし、否定される場合、入院措置及び 積極的疫学は中止と書いておりますけれども、事後評価というのはやはり必要になって くるのではないかと考えております。  また、実際に使われる調査票につきましては、添付の1〜4まで非常に詳細なものが ございますので、実際に事件が発生した場合、これに基づき一つ一つ確認をとっていく ことになるかと考えております。  以上でございます。 ○岡部議長 ありがとうございました。  添付のところはかなり詳細で、ここに全部目を通して御意見をいただくというのはな かなか難しいと思うんですが、これもSARSや何かのときに、結局ある程度のものがな いと標準的にならないということと、各地でばらばらなものをつくると、あとで評価す る際に非常に比較しにくいといったことがあるので、統一的なモデルといったような意 味で出しているところがあります。実際に、これは私が取りまとめたことになっていま すけれども、自治体の方と一部御相談をしたりして進めていますので、それを担当した 安井委員、何か補足がありましたら発言をしてください。 ○安井委員 約4年前にSARSの事例があって、そのときに疫学調査ガイドラインとい うものを初めてつくりまして、今回のガイドラインはそれを原形にしたものです。各自 治体でSARSのときに本当にばらばらに調査がなされて、何が起こっているか全然誰も わからなかったという非常に苦い経験を、そのとき大阪の自治体におりましたけれども 持っておりますので、できる限り今回は第1例がもし国内で発生したときに、そういう ことが極力ないように、接触者は自治体の壁を超えてどんどん広がりますので、そのと きに同じ調査票を使って情報共有が速やかに自治体あるいは厚生労働省あるいは我々も できればと思って作成させていただきました。 ○岡部議長 どうぞ御意見がありましたら。 ○藤本委員 余り本質的な議論ではございませんが、保健所の立場から2点ほどお願い したいことがございます。  まず、60ページのタイトルでございますが、「保健所の対応」という記載になってお りますが、実際は当然ながら医療機関から国立感染研を含める流れになっておりますの で、あえて「保健所の」という部分は要らないのではないかというのが1点です。  2点目は、61ページから非常に詳細な調査票等をおつくりいただいて、非常に参考に なるんですが、ここの保健所というところが必ず「保健福祉センター」とか「センター」 とかいろいろついているんですけれども、あくまでも保健所は地域保健法第5条に規定 される法定機関ですから、富山県あるいは横浜市等で保健所の名称がついていないセン ターであっても、それは地域保健法上に規定される保健所ですから、是非「保健所」と 限定的に書いていただきたいというのを、保健所長の立場から申し上げさせていただき たいと思います。 ○泉委員 情報を集める方はたくさん書いていただいておりまして、ありがたいと思い ます。還元の方についてお聞きしたいんですけれども、今ちょうど茨城でシュウショク 麻しんのアウトブレイクがございまして、そこでやはり病像が非常にわかりにくいとい うことで、現場の先生方からどこでどんな患者さんが出たのかについて、詳細な情報を いただかないと、非常に診断に困るというような意見をいただいておりまして、一般的 にマスコミに還元するトータルの数ではなくて、かなり個別具体的な情報が欲しいとい う意見をいただいているのを今経験しております。  フェーズ3よりもうちょっと後の小規模のクラスターになった段階で、そうした診断 に役に立つような情報を求められてくると思うんですが、そうした還元の在り方につい て、特に医療機関への還元については、どのような御議論があったか教えていただきた いと思います。 ○大日委員 積極的疫学調査で収集された情報は、基本的にはサーベイランスのところ で紹介させていただきましたNSIDの疑い症例調査支援システム、その一部になると思 いますけれども、そこに登録されるということになります。これは先ほど申しましたよ うに、患者あるいは接触者がおられる都道府県、保健所、国は同時に見ることができる ということで、それは一番細かいところまで、登録されている情報はすべて見られると。 ○岡部議長 登録されている個人情報は極めてクローズなところですが。 ○大日委員 LG1ですから、氏名も含めて連絡先もわかるというところです。ただ、 患者と接触者が発生していない自治体、都道府県に関してはオープンにはされていない ので、そこは大きな違いがあります。患者、接触者が発生していない自治体におきまし ては、都道府県別の数のデータだけはすべての関係者が見られるということになってお ります。先ほど申された症例の状況とか住所とか行動履歴等も含めての部分は、接触者 あるいは患者が発生した自治体の関係者の方々は、すべて見られるということになって おります。 ○泉委員 現場の医療機関の第一線で、そうした患者さんが来るかもしれないという先 生方から、そうした情報が欲しいという声が麻しんであるんですが、それについてはど うでしょうか。 ○谷口委員 今、大日先生が言われたことはあくまで調査情報の共有であって、先生の 言われているのはリアルタイムにいろいろな情報、例えば、ある日東京で新型インフル エンザの患者が20人出ました、調査しました、その臨床症状はどうですというのは東 京では知り得ますが、ひょっしたら北海道ではすぐにはわからないかもしれない。ただ、 今の日本の状況だと、すぐにでも北海道に現れるかもしれない。その場合に、やはりリ アルタイムに近く東京の患者の状況で、どんな症状で、非常に詳しいことですよね。今 の調査のための情報ではなくて、まとめたような情報ですよね。それが必要であるとい う御意見だと思うんですよ。これはサーベイランスのところでも議論があったんですけ れども、情報共有のところで議論すべきではないかということで、我々は議論をしてい ません。多分情報共有には国民との情報共有とともに、いわゆる裏の情報共有というの があって、そういった詳細情報を本当に患者を診る病院の先生方がリアルタイムに共用 する、そういうのは国民の方が知る必要は私はないと思うんです。逆に、知るとパニッ クになると思うんですよ。だから、そういったメカニズムで議論すべきではないかと考 えまして、サーベイランスの部分では議論していません。 ○岡部議長 今のところはちょっとごちゃごちゃしているところで、調査内容を調査担 当者がより早く検知するために情報を共有する部分、ですから、個人情報はと私が聞い たのはそこなんですけれども、極めてクローズなところでは共有ができる。しかし、そ うではない部分については、つまり、症状がどうであるとか、広く知っていただかない と早くわからなくてはいけない部分、これは当然個人情報がないので、別の形で情報提 供ができるようになるべきであるとは思いますけれども、それは後でリスクコミュニケ ーションのところでも出てきますが、それはそれでまた議論があると思います。勿論、 これをそのまま全部書き込んでということではないと思います。 ○大日委員 個人情報の絡みのところで、NSIDのシステムを使っての情報共有の部分 だけ補足させていただきます。1点は、患者及び接触者が発生していない自治体では見 られないと先ほど申しましたけれども、これは国の判断で全自治体が見られるようにす ることもできますので、それは国の判断です。  それから、先ほど申しました個人情報保護の観点のところで、NSIDはLG1、自治 体間のクローズのインターネットLANを使っていますので、医療機関からは直接参照 できないということで、医療機関の方が例えば住所等の情報を収集されたいときには、 保健所に問い合わせていただくとか、そういうことになるかと思います。医療機関から 直接見られません。 ○岡部議長 勿論1例が出たときに、その1例だけをもってすべてに演繹できることで はないけれども、臨床診断に必要な分の情報については、当然何らかの形で提供ができ ると考えられて私は結構だと思います。例えば、これが2例、3例と出れば、当然、症 状についての分析は行って、その情報も出てくるだろうと思います。勿論その際は、個 人情報は出ないというのが前提です。  丸井先生、何か付け加えられることはございませんか。 ○丸井委員 特にありません。 ○林委員 56ページのエのところ、成人の場合解熱の10日目までを接触者とされてい るんですが、医療班のところでも退院基準を検討したときに、成人は解熱後7日で退院 していいとしていまして、ここはちょっと食い違いがあるので、統一した方がいいんじ ゃないかと思うんですが、根拠とされた出典が違うのでしょうか。成人のウイルスを排 泄する期間ですね。10日と7日でずれがあるので。 ○安井委員 これはWHOの基準に基づいてつくったんですけれども、7日ですね。 ○岡部議長 では、事務局から御説明をお願いします。 ○谷畑研究官 10日ということに関しては、検疫法で10日間の観察ということになっ ておりますので、そことのそごがないことを前提と考えて10日としております。 ○金成専門官 この修正については、恐らく解熱後の7日間という言葉と潜伏期間とい うか、発症前までの期間の10日ということについての混在があったかと思いますので、 この点については、接触歴としての解熱後7日という点は診断・治療と一緒かと思いま すので、この点は訂正させていただきたいと思います。検疫の方で御説明もさせていた だきますが、潜伏期間、症例定義も合わせて10日以内という点について統一するとこ ろと、7日というところが混在したかと思います。 ○岡部議長 では、検疫所のところも含めて、後で議論がもう一回来るかもしれません。 しかし、実際にはウイルス排泄期間、それから、潜伏期間というものも一応WHOも設 定していますけれども、事実関係が、つまり症例が集積されてくると、この辺は変更さ れる可能性があるんだということをまず頭に置いておいていただきながらお読みいただ ければと思います。 ○中村委員 違う話でもよろしいですか。60ページなんですが、先ほど藤本委員から保 健所の関係の御質問がありましたけれども、そのラインで「インフルエンザ様症状の患 者」で2本ラインが下りていますけれども、「保健所が相談を受ける 感染症指定医療機 関への受診を勧める」というところで2つお聞きしたいんですが、保健所が隣の四角と 合わせる形で相談を受けるという前に、「要観察例を疑う相談を受ける」と入れた方がい いのではないかというのと、あと「感染症指定医療機関への受診を勧める」というとこ ろなんですが、勧めて受診してくれればいいんですけれども、どこに行ってしまったか 確認しようと思ったらわからなかったということが起きた場合に、保健所の義務として 勧めたというところで一応義務は果たしたというような認識で大丈夫かなというのがあ るんですけれども。 ○岡部議長 つまり、フォローがどうなっているかという意味でしょうか。 ○中村委員 そうですね。医療機関にもかかっていないと。ただ、鳥インフルエンザじ ゃないかと思うんだけれどもと、家族なり身近な人から電話が掛かってきたと。では、 医療機関に行ってくださいと勧めたものの、その後どうなったかよくわからないと。 ○岡部議長 事務局、いかがですか。 ○谷畑研究官 大変悩ましいところなんですけれども、そこで保健所として最大限でき ることは、藤本委員にお答え願った方が確実だと思うんですが、受診を勧めるところで 患者さんからお名前を伺って、相手方の病院にこういう患者さんが来ますよというお知 らせをすることがもし可能であるならば、もう少し事務局としては気が楽なんですけれ ども、そこまで書き込むことはやはり難しいため、勧めるというところでとめておりま す。 ○藤本委員 所長会の代表としては角野先生がお見えになっていますが、あえて御指名 ですのでお話ししますと、やはり元にある部分が「インフルエンザ様症状の患者」とい うところから始まっていることがこの図の難しいところでして、これは先ほど中村委員 のおっしゃるように、要観察例を疑わせるような症例ならば、もうちょっと対応が変わ ってくるかと思いますが、一般的な感染症相談を受けたら、こういう形しかあり得ない んじゃないかと。 (「これは要観察例じゃないんですか」と声あり) ○藤本委員 だから、そこの議論をまずしっかり固めないと、要観察例の話なのか、も っとすごくブロードにとらえられる概念なのか、まず、この表自体の読み方をきちんと しないとまずい話かなと思います。 ○岡部議長 一番頭の部分ですね。インフルエンザ様患者で来て、それは医療機関に行 ってくださいと言ったなら、やはりそれきりでしょうし、要観察例を思わせるような人 であるならば、できればそれは本当に医療機関に行ったかどうかはフォローができるよ うにしておいた方が、感染拡大予防と検知という意味では重要ではないかと思うんです が、頭の部分、これを要観察例とするとまずいですか。 ○谷畑研究官 これも皆さんの御意見をいただきたいところなんですけれども、インフ ルエンザ様症状の患者と書いたのは、患者さんが自分で自分は要観察例なのかというこ とがわかるのかというところを考えて、こういう書き方をしているんですけれども、確 かに要観察例というところを国として、こういう方は注意してくださいというような広 報等々が行き渡ることを考えていけば、要観察例という言葉に替えた方が話は進みやす いのではないかと考えます。 ○角野委員 今の流れとして、インフルエンザ様症状の患者というのがあって、保健所 が相談を受ける。次の動きとして、いきなり感染指定医療機関への受診を勧めるとなっ ているので、ここで「要観察例を疑わせる場合は」という言葉を入れておけばいいのか なと思います。一応、保健所の場合、本人が来られると大抵名前を聞けば言ってくれま すけれども、電話の場合は必ずしも名前を言ってくれるとは限らないんですね。ですか ら、そうなった場合の後のフォローは難しいなと。医療機関受診を勧める場合などは、 本人か家族なりが来ておれば大抵紹介状を書くことが多いですから、そうすると、向こ うからの返事が来る。もし、指定医療機関に行かなくても、そこからの報告は戻ってく るんですけれども、ただ、そこでタイムラグが生じる場合はあるかなと思います。 ○岡部議長 電話相談の場合には、どこそこに住んでいる誰それですと全部言うかどう かわからないので、また、まだよくわからない人について全部フォローするというのは 多分難しいだろうと思うんですが、例えば、保健所でこういう患者さんの相談があって、 それはそうかもしれないから、例えば、指定医療機関に行ってくださいと言ったような ときは、保健所から指定医療機関にこういう患者さんが行くかもしれませんよという連 絡はするんですか。 ○角野委員 それは、普通はしますね。その方が病院に対して親切ですからね。 ○岡部議長 保健所としては、今言ったように電話相談ですから、詳細なところまでそ れこそ聞くわけにはいかないでしょうし、単なる相談かもしれないので、かなりフレッ クスにやっていただかなくてはいけないけれども、要観察の疑いがあるならば、できる だけその患者さんのフォローをしていただくということが、この中に考え方としては入 っているという理解でよろしいでしょうか。それで、インフルエンザ様症状の患者とい うのは、これでもいいけれども保健所が相談を受ける、今、角野委員の御意見があった ように、要観察例の疑いがあったならば受診を勧めるというところで明確にしておいて いただくということでよろしいですか。 ○谷畑研究官 御指摘ありがとうございました。そのように変更します。 ○川名委員 ここに書くべきことかどうかちょっとわかりませんけれども、今の議論と 関連してなんですが、もし保健所がこれはH5N1の要観察例に相当するかもしれないと 判断した場合というのは、かなり疑わしさのグレードが高いわけですから、そういうと きは感染症指定医療機関でもどこでも医療機関を受診する前に、やはりこういった疑い の患者さんが行きますよという電話は1本あった方がいいと思います。そうしないと、 一般の外来の待合室で長時間待たされていたとかそういったようなことが起こり得ると 思うので、それは配慮していただいた方がいいと思います。 ○岡部議長 連絡だけではなくて、実際の面からもそこが必要であるということだと思 います。 ○安井委員 作成したときは勿論、受診前には情報を提供しているというのをイメージ してつくっていますけれども、関連するんですが、53ページに感染症指定医療機関のこ とが書かれているんですが、フェーズ3ですので感染症指定医療機関に基本的に受診を して、必要があれば入院するというイメージでいいんでしょうか。括弧書きではあらか じめ設定されたところと書いていますけれども、全国的に感染症指定医療機関でこの患 者さんたちを診るというイメージですか。 ○谷畑研究官 基本的には、そういうイメージでは書いております。 ○田代委員 フェーズ3でこういう調査をするわけですけれども、ここでもしアウトブ レイクが20人くらいが本当だとなるとフェーズ4に上げるわけですね。そうすると、 積極的疫学調査というのはフェーズ4に上げるための調査じゃないかと思うんですが、 その辺はどうなんでしょうか。そうすると、その結果の評価というのは60ページの右 下に書いてありますけれども、ここが一番大事なことになってくるのではないかと思う んですが、この辺についてはどういうディスカッションがあったんでしょうか。 ○岡部議長 当然それはフェーズ4に上げるか、あるいは上げないかも含めての議論で すけれども、これは調査したものについて、そうですかというわけではなくて、直ちに 調査というのは分析をして評価をするということが必要だろうと思います。ただ、フェ ーズ4以降についてこれを応用する可能性はあるけれども、フェーズ4以降のガイドラ インというのは順次これで積み上げていきますから、すべてこのまま調査票としてひっ くり返るわけではないというような議論はやっています。 ○泉委員 1つだけ確認させていただきたいんですが、52ページでカのところで調査担 当者が防御不十分な状態で曝露した場合の抗インフルエンザ薬のことが書いてあるので すが、ここでお聞きするのが適当がどうかわからないんですが、接触をしたことをもっ てではなくて、その後症状があったことをもって薬を投与するという合意がなされたと 理解してよろしいのでしょうか。 ○岡部議長 ここでは、発症後速やかに服用を開始し、その前に用意をしておくという ような書き方になっていますね。 ○泉委員 曝露をもって予防的な投薬を開始することはないというコンセンサスになっ ているということなんでしょうか。 ○岡部議長 では、これは議論をいただきたいんですけれども、備蓄をしている分につ いては予防投薬を原則とするわけではなくて、症状が出たときに速やかに治療するとい う原則ではないかと私は理解していますけれども、もし、議論がありましたらお願いし ます。大体うなずかれているようですけれども、よろしいですか。勿論、その場に応じ て随分考えなくてはいけない部分ではあるけれども、基本的にはスタンバイ治療になる のではないかと思います。  事務局から何かありますか。よろしいですか。 ○森兼委員 すみません、また別な話で申し訳ないんですが、今議論になっていました 60ページの図の中で「医療機関から保健所へインフルエンザ要観察例を疑わせる患者の 報告あり」と書いてあります。ですから、これを見ますと医療機関は、任意か強制かわ からないですが、要観察例を疑わせる患者でも報告をすると読めるんですが、19ページ の診断・治療のガイドラインの方を見ますと、医療機関は要観察例の定義を満たす患者 を保健所に連絡すると書いてあります。更に、サーベイランスの13ページを見ますと、 3番の(2)一般医療機関、インフルエンザH5N1感染症の合意的に疑われる場合は、速 やかに管轄の保健所に連絡と、この辺の統一が必要かと。法的なことも含めてと思いま す。 ○岡部議長 そこは文章上の問題ですね。医療機関としてはH5N1というか鳥インフル エンザ感染を疑った場合には保健所に報告すると。それから、指定医療機関への受診を 勧めるというところで一致だと思うんですけれども。 ○森兼委員 ですから、要観察例の更に疑いというか、要観察例だと判定されなければ 報告しなくていいようにとれなくもないかと思うんですけれども、どうなんでしょう。 ○岡部議長 要観察と判定しなければ報告には当然ならないと思います。それから、要 観察例は法律に基づいて届けるとかそういうことではない。やはり任意の段階だと思う んですが。 ○森兼委員 では、60ページの表に関しては任意の届出と考えればよろしいですね。「要 観察例を疑わせる患者の報告あり」と書いてあるのは。 ○岡部議長 報告を受けたらという意味でしょうから。 ○安井委員 私も保健所におりましたので現場のことを考えますと、医療機関は判定は 基本的には保健所が要観察例にすべきだと思うんですけれども、その前に疑った段階で 御報告をいただいて、そこで相談をするというのがいいのかなと思いますが、定義に当 てはまる医療機関が全部判断しないといけないとなると、恐らくそういうことはできな い、持っておられないところの方が大半だと思いますし、漏れてしまってもまずいかな と思いますけれども。 ○岡部議長 よろしいですか。文章の整合性は後で整えるようにして、考え方としては 今のようなことでよろしいでしょうか。  では、検疫所の方に移りたいと思います。検疫所の説明をお願いします。 ○島村室長補佐 島村と申します。よろしくお願いいたします。では、私の方から検疫 ガイドラインについて概要を御説明させていただきます。  本ガイドラインにつきましては、海外から人により持ち込まれるおそれのあるH5N1 に対しまして、水際においてできる限りの侵入防止を講じることを目的として作成して おります。  99ページのフローに沿って概要を御説明させていただきたいと思いますけれども、ま ず、対象としているのはフェーズ3の発生国ということで、特に患者が発生している国 を対象にしております。海外から入国する者について、例えば、発熱とか呼吸器症状、 そういった症状を呈している者を把握するための方法としては2点ございまして、1点 目は、ここに書いてございます事前通報による有症者の有無ということで、これは検疫 法第6条で定められております。日本に入国する航空機等については事前にそういう発 熱等のある人が乗っている場合には報告くださいということになっております。  それともう一点は、下の方に下りてきまして、有症者の申告がなかったり、もしくは 到着直前に発症したり、そういった普通の一般の乗客の方に対しては、検疫のブースに おいてサーモグラフィ等を使ったスクリーニング、それと自己申告によって対応したい と思いますけれども、その2点におきまして、発熱等の有症者については医師による質 問・診察を行っていただいた上で、要観察例の定義に当てはまる乗客につきましては、 RT−PCRによる検査を検疫所で実施する。これはすべての検疫所で実施できるわけで はないんですけれども、検疫所の方でPCRによる検査を実施いたします。  その結果、H5が陽性になった場合につきましては、国立感染症研究所の方へN1の 確定検査をお願いするとともに、患者に対して迅速な対応を図るために医師による届出 によって最寄りの保健所長を経由させていただいて、都道府県知事へ届出させていただ きたい。その患者につきましては、感染症法による対応に沿っていただくということに なります。  検査の結果、H5が陰性であるといった方に対しても、実際検査をしたということは 症例定義に当てはまるということですので、検疫法の第18条によりまして、最大240 時間ということで体温の測定結果、それから、健康状態等を報告していただくというこ とで対応したいと思います。  それとは別に、有症者、発熱者、要観察例に同行した人につきましても一応診察をい たしまして、そういう方に関しましては、当然症状等はないと思うんですけれども、要 観察例の方と行動をともにしたということで、接触歴があるということで、症状がなく て接触歴のある方につきましても、これは潜伏期間である可能性も想定いたしまして、 検査結果マイナスの方と同様、最大240時間をもちまして検疫所の方で健康監視を実施 したいということになっております。  また、実際症状はあったんですけれども、接触歴がないということが確認された乗客 の方に関しましては、帰宅後もし何か症状がございましたら、最寄の医療機関を受診す るようにといった指導をもちまして、検疫を実施したいと思います。  簡単に概略を御説明いたしました。以上でございます。 ○岡部議長 ありがとうございました。  検疫ガイドラインのときは、実際には成田あるいは福岡の検疫課長に御相談していた んですけれども、吉田委員、何か補足で御意見がありましたら、どうぞお願いします。 ○吉田委員 このフローで見ますと、まず、有症者の事前通報があった場合に、まず1 つは、この病気の感染力から考えて、機中あるいは船舶の途中で更に二次感染という形 で感染の拡大が起こる可能性がございます。そうしますと、単独ではなくて非常に複数 の、あるいは場合によっては大量の対象者が生じることがあります。そうした場合に、 質問・診察を検疫官(医師)がやるとなっておりますが、もし、そういう大量に発生し た場合、成田、関空であればある程度可能かもしれませんが、少なくともほかの地方空 港ではまず医師がほとんどいないことが多いということから、医師による診察・診療は 当然医療行為でありますから、医師がやらなくてはいけないことは言うまでもないわけ でありますが、実態上は医師がいない、あるいは検疫所にいないところは地域の医療機 関の先生方に嘱託医としてお願いしておりますが、実際その方に発生したときに有症者 の方々を飛行場なり港で待たせておいて、その先生方に来てもらうまで待つのか。ある いは、来てもらってからしか対応できないということになりますと、非常に乗客の方々 に御迷惑も掛けるわけです。したがって、全体は医療行為でありますから、これは医者 がやるのは当然ですが、もしそうであれば部分的に、例えば、問診とか何かについては、 医療職種である看護師あるいは保健師といった者に一部役割を分担させてやると。最終 的な判断・診断は当然医師にお願いする、医師の到着まで待たせるということもやむを 得ないことかと思いますが、それまでの段階はできるだけ絞り込むためのスクリーニン グについては、ここは「(医師)」というのは望ましいんですが、実態上いないというこ ともありますので、医師または看護職といいますか、あるいは医療職種といいますか、 そういう形にやっていただかなければ困るかなと思っています。  それと、これはこの場ではちょっと違いますが、検疫所の方、業務管理室あるいは本 省の方におかれても、検疫所というのは、もともとは本省も支所も主張所も全部医者が いるという前提で法律体系をつくられておるわけですが、現状は全く医者不足でござい ますし、この辺の実態と現状が非常に合わないということで、このフローチャートも非 常に格好よくできているんですが、例えば、医師による届出も成田、関空はできるかも しれないけれども、目の前の羽田空港も恐らく医者はおりません。そうしますと、例え ばH5という検査はできます。その結果H5という疑い患者がわかったとしても、医師 による届出をする医者がいないというようなことはあり得ます。ですから、いろいろ問 題が現状にありますので、そこはもう少しフレキシビリティにやっていただかないと、 実態上動かないということになるかと思います。 ○岡部議長 最初にルールを決める部分と、現状のディスクレパンシーだと思いますけ れども、課長の方から御説明をいただけますか。 ○塚原結核感染症課長 原則は原則として、ここでコンセンサスを得ていただいて、そ の実態にどう合わせていくかという努力をしつつ、一部フレキシビリティを持った対 応をするということだと思います。SARSのときも、たしか検疫所のドクターが足りな いということで、あのときは国立病院などにも協力を仰いで医師の確保をしたのではな かったかと思いますので、その辺も含めて医師をどう確保していくかということはオペ レーションをしていくときに重要な課題だということで、関係機関とよく協議をしてい きたいと思います。 ○吉田委員 いや、SARSのときも確かに国立病院の御協力を得ることになっておりま したが、実態上はほとんどの検疫所で御協力いただけなかったというのが現実です。  更に今回は、国立病院が独立行政法人になってしまいましたので、今までのような形 での国の検疫所と国立病院という関係が少し希薄になりまして、現状では協力を求める のは非常に難しいだろうと思います。その辺も十分お含みの上、御検討いただきたいと 思います。 ○岡部議長 今の点、一応承知していただいて、現実の場合にどうなるかということも 後でディスカッションを組み合わせていかなければいけないかと思いますが、原則論と いう部分、それから、1例出たときは準備はできないですけれども、1例出た後の2例、 3例目については、かなり対応を早めていかなければいけないという、恐らくここの部 分は現実的対応だろうと思います。  検疫ガイドラインについて、どうぞ御質問等がありましたら。 ○藤本委員 これは言葉の問題ですが、有症者の定義があって、誤字があるのはともか くといたしまして、80ページの「有症医者」というのは「有症者」の間違いだと思うん ですが、有症者という言葉は検疫官による質問・診察を受ける前のものに限って定義し ているんですが、日本語としては極めてわかりづらいので、何か別の表現ができないか なと思ったんですが、いかがでしょうか。かなり独特な使い回しですよね。一般的なイ メージで受ける有症者とは違う使い方をされているので、検疫対象者とかよくわかりま せんが、もうちょっと個別限定的にできるような言い方をされた方がいいのではないか という意見でございます。 ○岡部議長 島村補佐、いかがですか。 ○島村室長補佐 その辺につきましては、後ほど検討して適切な言葉に改めたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○谷口委員 SARSのことを持ち出すわけではないですが、例えば、ある病院でH5N1 の患者さんを診ていたという人は、患者との接触歴ということで読み込むという理解で よろしいでしょうか。 ○島村室長補佐 現在のところは、そのように考えております。 ○泉委員 これですと、外国人の方が該当者である可能性というのを考えないといけな いと思うんですが、ちょっと具体的なことをお聞きして申し訳ないんですが、大使館と か本国との関係というのは、検疫所で何か連絡をとる仕組みがおありになるのか、それ ともそれは都道府県でというお考えなのか、もし、何かディスカッションがあれば教え ていただきたいんですが。 ○岡部議長 ディスカッションはなかったんですが、多分そういうことは想定されてい ると思うんですが、島村補佐。 ○島村室長補佐 現行の検疫法では、特に外国の方に照会をしたり連絡をしたりという ことは含まれておりませんので、そういうことは現状では考えておりません。 ○岡部議長 仮に、入院したり何なりした場合には、当然というか外国機関への情報提 供もしなくてはいけないと思うんですが、その辺はどうですか。 ○島村室長補佐 その場合には、在京の大使館とかそちらの方に御連絡を差し上げて、 そちらの方からしかるべき対応をしていただければということで検討していきたいと思 います。 ○岡部議長 泉委員、それでよろしいですか。現状として。 ○泉委員 言葉の問題とかで少し思案をいただかなければいけないこともあるかと思い ますので、ちょっとお聞きしました。 ○岡部議長 かなり実際的な部分もあると思います。それは御配慮いただくということ で。  私は、検疫が最後だと思っていたんですけれども、情報提供の部分がまだ残っていま したので、議論として12時を5分か10分過ぎるかもしれませんが、お許しいただいて、 検疫から情報共有の方に移りたいと思うんですが、金成専門官。 ○金成専門官 ガイドラインについては、一旦ここまでとさせていただきたいと思うん ですが、もし、お戻りになられて何かお気付きの点がございましたら、時間は短いです が、明日までに御連絡をいただければと思います。最終的には、その内容について部門 長の先生を代表としまして御相談させていただきまして、あとは、岡部議長に御相談し て決定させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○岡部議長 今の仕組みはよろしいでしょうか。一応、大体今日の議論の範囲ではコン センサスは得られていると思いますし、具体的には文章を変更したところもありますが、 もし、お気付きのところがありましたら、明日いっぱいに御意見をいただいて、それに ついては事務局の方でまとめて、それぞれの部門長と相談して、最終的にはよろしけれ ば私と事務局の話し合いで決めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いい たします。  それでは、情報提供の方について御説明をお願いします。 ○鈴木課長補佐 情報提供・共有部門につきましての現在の検討状況につきまして、御 報告させていただきます。資料につきましては資料2−1、2−2、2−3というもの でございます。  まず、資料2−1で御説明させていただきますが、情報提供部門につきましては、皆 さんの成果並びに情報提供部門におきましては国民へのいわゆる新型インフルエンザ対 策への周知というものを中心に検討していただいているところでございます。  1番にありますとおり、それでは新型インフルエンザ対策についてどのような機会を 持って情報提供をしたらいいのかというのを1つまとめておりまして、まず、第1に(ア) といたしまして、発生前、いわゆるトリ・ヒトの国内の感染事例がないような対応。つ まり、現在の対応ということで、これにつきましては常時新型インフルエンザに対する 情報というのはいつでも提供していかなければいけないだろうということでございます。  (イ)になりますと、新型インフルエンザウイルスH5N1の政令指定への適応に対する 対応ということで、今回政令指定されますので、この機会をチャンスにまた新型インフ ルエンザ対策というものについてのPRをしていくべきであろうというものでございま す。  (ウ)以降につきましては今後の関係でありますけれども、PRする大きなタームとし ましては、国内のトリ・ヒト感染事例が発生したとき、いわゆる患者第1例の発生時、 これは海外からの帰国者も含みますが、こういったときにはあらかじめ準備をしておい て、すぐにリスクコミュニケーションが行えるような準備が必要ではないかということ でございます。  次のページにいきまして、(エ)のヒト・ヒト感染事例の発生時の対応ということで、 これは国内外問わず、いわゆるヒトからヒトへ蔓延するウイルスが発見され、またWH O等によってそういったフェーズ4が宣言されたときの準備ということが必要であると いうことでございます。  最後に、(オ)パンデミック時の対応ということで、この時期におきましては現在の状 況を正確に広報するというのが一つの大きな目的になるだろうということでございます。  この(ア)から(オ)の段階を基に、今現在、情報共有部門につきまして検討を行っている ところでございます。  具体的に、実は昨日この情報共有部門につきましては議論がなされておりまして、3 ページ目を見ていただきたいと思うんですけれども、「当面の具体的な作業内容につい て」ということで、(ア)トリ・ヒト感染事例がないときの情報提供のツールというもの を昨日検討していただいております。ポスター、チラシについて私の方からメールさせ ていただきましたが、それにつきましては今現在、部門で再検討ということになってお りますので御了承いただきたいと思いますが、現在の段階におきましては、啓発用ポス ターですとか、新型インフルエンザ、鳥インフルエンザも含めたインフルエンザ対策に ついての広報用のチラシが必要ではないかということで、この原案について今検討して いるところでございます。  もう一つ(3)とありますが、リスクコミュニケーションマニュアル、いわゆるどういう 形で国民もしくはマスコミの方々に正確な情報を提供できるのか、そのやり方、方法論 につきまして、今、作成を検討しているところでございます。  それから、(イ)にありますが、今回のガイドラインもしくは政令指定に関係した情報 提供といたしまして、インフルエンザH5N1の指定感染症適用に関するQ&A集。Q& Aの形で国民の皆様方に一般的に広く知識を持っていただくということと、ガイドライ ンに対するQ&A集、これも今回の部門におきましてガイドラインを作成していただき ましたので、これに関したわかりやすい解説書とまではいきませんが、Q&Aの形で解 説を行いたいということでございます。  今後の具体的作業内容についてということで、それはいわゆる先ほどの国内のトリ・ ヒト感染の発生事例とヒト・ヒト感染発生事例またはパンデミック発生事例についてそ れぞれあるんですが、もう一つ重要な課題といたしまして、4番の(1)にありますが、情 報の公開についてということでございます。これはどういうことかといいますと、いわ ゆる患者第1例が発生したときにおきまして、国民のこの事例への関心が高いというこ とがありますので、正確な情報提供が必要であろうと。しかしながら、個人情報の関係 等情報に関しましてはいろいろなしがらみがありますので、どの範囲で適切な情報を国 民にもしくは関係者に回したらいいのかということについて、今後検討していただくと いうことにしております。  先ほどの泉委員がおっしゃいました関係者内というよりも、関係者外へどのような形 で、多分段階があるかと思いますが、どのレベルの方々にはどういう情報ということを この情報公開の中で検討する予定としているところでございます。  5枚目におきましては、今後の情報の作業のスケジュールとなっておりますが、必ず しもこのとおりにはいかないと思いますけれども、目安としてこのような形で作業を進 めたいと思っているところでございます。  実は、情報提供部門の方からお願いでございますが、資料2−2と資料2−3をごら んいただきたいと思います。先ほど御説明させていただいたとおり、今回新型インフル エンザH5N1の指定感染症適応に関するQ&Aというものをつくりまして、それに対し て公布したいということと、インフルエンザH5N1のガイドラインに関するQ&Aとい うものも作成いたしまして、これを公布したいと考えているところでございます。  資料2−2につきましては指定感染症の関係でございまして、今のところ総論から指 定感染症とは、国民にとってみれば指定感染症というのはどういうものなんですかとい うような素朴なQが出てくると思いますので、こういったものについてアンサーをつく る。アンサーは行政の方でつくりますが、皆様方からは国民もしくは関係者の方々から どういったQが聞かれそうかというものを考えていただきたいというものと、ガイドラ イン関するQ&Aにつきましては、それぞれの部門におきまして、このガイドラインに ついてどういうことを国民に知っていただきたいのか、もしくはどういうことは国民が 知りたいと思われるのかということを、いわゆるアンサーをつくっていただきたいとい うわけではなくて、問題をつくっていただきたい、いわゆるQをつくっていただきたい ということでお願いしたいと考えております。これにつきましては、各部門のこちらの 事務局の担当から部門長の方に御相談させていただいて、そこで取りまとめさせていた だいて、その結果をまた情報提供部門の方で還元して、最終的なQのリストというもの をつくりたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。  以上で、簡単ではございますが、今の情報提供部門に関します進捗状況について御報 告させていただきました。ありがとうございます。 ○岡部議長 ありがとうございました。  Q&Aの方の広報は、部門長がまとめるけれども、ほかの委員の方々もQがあれば提 案としてどんどん出していただいてよろしいということですね。 ○鈴木課長補佐 はい。広くその辺は募集したいと思っております。 ○岡部議長 Aまで求めてというようなことではないので、Qでどういうものが重要か 御指摘いただければと思います。  今の補足は、部門長の丸井委員の方から何かございましたら、お願いします。 ○丸井委員 今、大体まとめて御紹介いただいたとおりです。随時我々のグループは活 動していかなければいけないと考えておりまして、先日、事務局の方からお配りしたポ スター等々ももう少し考え直して、今の時期にふさわしいものにしようということで御 意見をいただきましたので、それを是非活用させていただきたいと考えています。  もう一点は、先ほどお話がありました、いわゆる専門家との情報共有については、特 に昨日、中でディスカッションはしておりませんけれども、大きい医療機関への情報提 供といわゆる開業医レベルへの情報共有というようなことになりますと、例えば、日本 医師会で開業医の先生方にどれぐらいのネットワークで情報提供に御協力いただけるか というようなことも、これから御相談する必要が出てくるかと思います。先ほどちょっ と議論になったところですが、そういうようなことも随時フィードバックさせていただ きながら、少し前進させていきたいと思っております。 ○中村委員 衛生部長会なんですけれども、厚生労働省の専門家会議としての情報提供 の幅に限定されたものなのか、都道府県ではどうしても知事の判断を最終的に求めるよ うな意味での情報が必要になってきますので、例えば、文部科学省とかまたは国土交通 省とかそういったところの動きの情報も視野に入れた情報提供という形でいただけると、 都道府県としてはありがたいと思っているんですが、ここの部門ではどういう範囲で情 報の集め方を考えていらっしゃるんでしょうか。 ○岡部議長 リスクコミュニケーションをやる対象ですか、それともリスクコミュニケ ーションのためのソースの方の問題ですか。 ○中村委員 ソースの問題ですね。 ○岡部議長 鈴木補佐、いかがですか。 ○鈴木課長補佐 今回の共有部門につきましては、ソースの問題といいましても、その ソースはどこから来るかわかりませんけれども、それをいかに厚生関係として出す方の 議論というのが多分メーンになってくると思っているところでございます。ソースにつ きましては多分、関係省庁等で連携をとることになると思いますので、そういったソー スが出てくると思いますが、ただ、どこまでソースをいわゆる他省庁の情報というもの をこちらがオープンにできるかというのは、またもう一つ問題が出てくると思いますの で、そこについてはまだ実は検討もしていないというのが現状でございます。 ○岡部議長 その点についても進めていただきたいというのが中村委員からの。 ○中村委員 要望としては、他省庁の情報も整理して出していただけるとありがたいと いうことです。別のルートでも勿論結構です。全国知事会とかそちらでも勿論結構です。 ○岡部議長 しかし、そういう要望があるということについては記録にとどめておいて いただきたいと思います。 ○飯沼委員 現場の方から申し上げますと、地区の保健所と医師会というのが一番早い ので、日本医師会経由の情報提供よりも、そちらの方が早いと思うんです。我々から発 信する各都道府県医師会に出す情報は、後追いのような格好になると思うんですよ。だ から、手紙はまた出すといたしまして、地区の医師会と地区の保健所がよく御相談され たいという趣旨のあれが一番大事かと思いますけれども。 ○丸井委員 よくわかりました。基本的には、いろいろな現場とか中央とかあるいは国 民とか専門家との間での情報格差をできるだけ小さくしていきたいということですので、 そのための一番いい方法は何かというところを是非いろいろお教えいただきたいと思い ます。どうもありがとうございました。 ○谷口委員 これは、この部門にお願いすることなのかどうかわかりませんが、例えば、 台湾地震の事例の際に、関連する自治体と国が一緒にオンラインでつながって遠隔会議 ができてあれば、多分いろいろな問題が起きなかったと思うんですね。そういったエマ ージェンシーの際の情報共有のメカニズムをどこかでつくっていただけないかなという のが1点。  あと、SARSのときに、我々がいかにSARSのことをきちんとお話ししても、テレビ に出るのはSARSは怖いというだけなんですね。つまり、いかにポスター、インターネ ット、何をやってもテレビには負けます。あのときに、厚生労働省はテレビの枠がない かというお話をしたんですが、深夜帯にしかないと言われてできなかったんですが、で きればやはり今のメディアで最も強力なのはテレビですので、そういったことをこの情 報共有のところで考えていただけないかなと思います。これはお願いです。 ○岡部議長 貴重な御意見だと思いますね。 ○丸井委員 今の御指摘の前半の部分は、多分この部門ではなく、実際に行政の方とい うことで、後半の部分については、かなり意識的にどのようにするかというのを話題に も今まで大分出ていますし、これからも一番有力なメディアとして考えていきたいと思 っています。 ○岡部議長 ありがとうございます。  ほかに御意見ございますか。私のミスで時間が少し過ぎてしまいましたけれども、全 体の御意見としては今伺ったことで大体まとめられるのではないかと思います。先ほど 申し上げましたように、後で御意見がありましたら、それをお伝えいただくということ で、明日じゅうに御連絡をいただいて、部門長と私と事務局で決めるということになり ます。  それから、お手元に参考資料1、2という形で出ているんですが、1つは、現状の H5N1の発生国、それから、人での状況ですが、冒頭に申し上げましたように、インド ネシアの状況については、きちんとウォッチングをしていく必要があるだろうという段 階と認識しております。WHOの本部からもインドネシアに派遣すると聞いていますの で、状況についてはきちんと見ていく必要があります。  それから、参考資料2の方は通常のインフルエンザなんですが、週別の報告の06年 の赤いところを見ていただくと、15、17、19というところで少し膨らみが出ています。 これは、現在インフルエンザBがもう一回少し地域的に出ているというような状況で、 勿論インフルエンザBですから、これが新型にひっくり返るというような話ではありま せんが、モニタリングをしっかりしていくということが、やはり基本的に一番大切なこ とだろうと思います。これは患者さんの報告ですけれども、シーズンが過ぎたとはいえ、 最近関心が高まっていますが、いろいろな機関できちんと検出していただく、あるいは インフルエンザというものに対してほかの株が出ているかどうかというようなことも重 要だと思いますけれども、田代先生、何か御意見がありましたら。 ○田代委員 現在、日本におけるインフルエンザのサーベイランスというのは夏の間は オフィシャルにはやっていないわけですけれども、新型インフルエンザというのは季節 を問わずいつ起こってくるかもわからない。現在のサーベイランスシステムは定点を中 心にしていますので、ある程度の広がりがないと検出できないという感度は確かに鈍い という見解はありますけれども、是非これは通年でサーベイランスシステムを続けられ るように、夏の間はレベルが下がっても構わないかと思いますが、その辺の効率とベネ フィットの関係を検討して、是非やっていただきたいと思います。情報センターと相談 して、どういう方法がいいか検討していただきたいと思います。 ○岡部議長 ありがとうございました。  それでは、一応今日の議論はこれにて終了したいと思うんですけれども、終わりに当 たって、健康局長あるいは審議官の方から何かございますか。特によろしいですか。 ○中島健康局長 長時間にわたりまして、御議論ありがとうございました。我々も新型 インフルエンザ対策については、引き続き危機感を持って対応してまいりたいと思いま すので、よろしくお願いいたします。 ○岡部議長 ありがとうございます。  それでは、事務局の方でお願いいたします。 ○金成専門官 本日はありがとうございました。  最後に、お手元にお配りしましたものは、ガイドラインの15ページに印刷ミスがご ざいましたので、差替えでお配りしておりますので御確認ください。  では、今後も部門別においては、ガイドラインのフェーズ4以降について検討を更に 進めまして、フェーズ4以降のガイドラインの案ができ次第、また第3回を開きたいと 思っております。第3回の全体会議につきましては、日程等の調整の上、また御相談さ せていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○岡部議長 いずれにしろ、この会議はフェーズ3で終わるわけではありませんので、 しばらく御足労願いたいと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、御協力ありがとうございました。 照会先:健康局結核感染症課特定感染症係(内線:2379,2386) - 1 -