06/05/17 平成18年度雇用創出企画会議 第1回議事録 平成18年度第1回雇用創出企画会議議事録 1 日 時:平成18年5月17日(水)10:00〜12:00 2 場 所:経済産業省別館8階846号会議室 3 出席委員:小野旭委員(座長)、二宮隆一委員、樋口美雄委員、久本憲夫委員 矢作弘委員、八幡成美委員 4 行政側出席者:太田政策統括官  (労働政策担当参事官室) 山田労働政策担当参事官、矢田政策企画官、小堀室長補佐               川端企画第二係長  (労働基準局)     安川監督課中央労働基準監察監督官 (雇用均等・児童家庭局) 渡辺総務課長補佐 5 議題  (1) 「新しいサービス分野における就労の実態調査研究」報告について(情報サ ービス分野、ロジスティクス分野及び社会人教育サービス分野)  (2) 報告書骨子案について(情報サービス分野、ロジスティクス分野及び社会人 教育サービス分野) ○小野座長  時間になりましたので、平成18年度第1回「雇用創出企画会議」を開催いたします。 本日は大矢委員と山川委員が欠席です。前回までの会議では、雇用創出が見込まれる分 野として、本会議で取り組むこととした情報サービス分野、健康サービス分野、ロジス ティクス分野、社会人教育サービス分野の計4分野についてヒアリングを実施してきま した。本日はこれら4分野のうち、健康サービス分野を除く3分野について、厚生労働 省が三井情報開発株式会社総合研究所に委託し実施した「新しいサービス分野における 就労の実態調査研究」の報告をお願いしたいと思います。また、これまでのヒアリング に加え、実態調査の結果を踏まえ、事務局において報告書骨子案を作成されていますの で、あわせてこれについて議論を行いたいと考えております。  それでは議事に入ります。ご覧いただきますと議題は2つありまして、議題1として 「新しいサービス分野における就労の実態調査研究」について、三井情報開発株式会社 総合研究所より報告をお願いいたします。なお、この調査は報告書作成に当たっての重 要な調査であり、調査が3分野に渡っていますが、1分野ごとに10分程度説明をいただ き、10分程度の質疑応答をいたします。分野ごとに10分の報告、10分の質疑、このよ うにやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。順序は1番目に情 報サービス分野について、2番目がロジスティクス分野について、3番目が社会人教育 サービス分野についてとなります。まず情報サービス分野についての説明をお願いいた します。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員   私が樋口、こちらが河田、菊池でございます。これより報告させていただきますので、 よろしくお願いいたします。手元の報告書にしたがって、時間もありませんのでかいつ まんで結果を報告いたします。何分これを実施したのが1年前ですので、復習の意味も かねて、1頁の「調査概要」を開けていただきたいと思います。  今回の調査は情報サービス、社会人教育サービス、ロジスティクスと3分野に渡って おり、それぞれ帝国データバンクの企業データベース等を台帳として、そこに書いてあ る件数を抽出しました。回収率については2頁にあるように、企業・経営者に対する調 査、従業員に対する調査ということでそれぞれ配布しており、そこにあるように企業・ 経営者では1割を少し超える、従業員調査では8%から12%の間ということで回収され ました。目次に戻っていただき、どのような内容を聞いたのかについては、情報サービ ス、社会人教育サービス、ロジスティクス分野はそれぞれおおむね共通させているので すが、ここに示しているような状況です。事業内容、採用状況、人事労務管理・能力開 発について、人材面・能力開発面の課題、労働条件、雇用者の就業意識、その他課題と いった共通項目に加え、それぞれの分野に固有のトピック的な課題を加えて設問を構成 しております。  それでは、改めて情報サービス分野の報告をしたいと思います。3頁をご覧ください。 今回のアンケート調査によって回収された結果をベースに報告いたしますが、企業規模 を見ると、回収された企業は30名未満が20.8%、100名以上300名未満が28.2%とい ったところで、30名未満の小企業も非常に多いという状況でした。人員の構成は20代、 30代が主流となっております。4頁は、それぞれの企業はどういった分野に取り組んで いるかについてです。下の図表にあるように、システムインテグレーションサービス、 アウトソーシングサービス、ソフトウェア開発、ソフトウェアプロダクト開発・販売と いったところが主流になっているかと思います。これは過去3年間主流として取り組ん できたということです。これからの3年間の業績予想を見てもだいたい同じような傾向 ですが、アウトソーシングサービスに力を入れたいという傾向が若干見て取れると思い ます。その下の3年前から現在にかけての従業員の増加率ですが、30%増加したという ところが3割程度あり、非常に多かったのですが、一方、2割以上減少したといったと ころも1割以上あって、企業の二極化が進んでいるのではないかということも見て取れ ると思います。  若干内容が事業内容に戻ってしまうのですが、10頁は今回対象とした企業が主にどう いった業務分野に取り組んでいるかということです。システムインテグレーションサー ビス、ソフトウェア開発、ソフトウェアプロダクト販売が3本柱になっております。12 頁は、ここ3年間の正社員数の増減傾向、今後3年間の見通しを聞いたものです。職種 別に聞いているのですが、特にシステムエンジニア、プロジェクトマネージャー、プロ グラマーは情報企業の中核になる3本柱の人材だと思いますが、ここ3年間はそれぞれ が増加しておりますし、今後も増加させたいという意向が見て取れると思います。  15頁の上の図表は、今後3年間の採用増減の見込みで、雇用形態別に聞いております。 新規学卒者、中途での正社員が拮抗するような数字になっており、中途採用に対する意 向も非常に高いことが見て取れると思います。このグラフについては企業の者に聞いた のですが、18頁は従業員からの回答です。転職経験者が非常に多いことが一目瞭然のご とく分かると思いますから、この業界は転職者を普通に受け入れるというか、当たり前 のこととして行われていることが見て取れると思います。  若干飛びますが、28頁は各職種に必要とされる能力を、企業、従業員それぞれに聞い たものですが、各職種に共通してコミュニケーション能力に対する要求が非常に高いこ とが見て取れると思います。特に、従業員数を増加させることで挙げられていたシステ ムエンジニア、プロジェクトマネージャー、プログラマーといったところを見ると、シ ステムエンジニアにおいてはコミュニケーション能力に加え、新しい技術力への対応が 求められていますし、プロジェクトマネージャーにおいてはマネジメント能力、リーダ ーシップが求められています。プログラマーに求められている能力で特徴的なのは、学 習意欲に対しての要求が高いということです。  31頁はキャリアのパターンを把握したものです。設問としては非常に難しいのです が、今回はそれぞれの職種について、新規採用者で主に占められているのか、自主的な 判断に基づいて業務を遂行できる中堅が多い職種なのか、ベテランが多い職種なのか、 というところで挙げてもらい、それぞれの職種の特徴、どのような段階にある人たちで 占められているかということで大まかな傾向を把握しました。そうすると、プログラマ ーは新規採用者でほぼ占められており、入口の職種であることがわかります。グラフの 上のエンジニア系統の人たちは中堅どころが非常に多くなっております。その下のコン サルタントからプロジェクトマネージャー、特にプロジェクトマネージャーはベテラン が求められている職種で、現段階の情報サービス企業におけるキャリアというのは、プ ログラマーから入ってエンジニアとして色々な経験を積む、そこからコンサルタントと なり、プロジェクトマネージャーに昇っていくという傾向が、大まかですが見て取れる と思います。  32頁ですが、職種転換なり、地位の向上といったことに問題があるかということを企 業に聞いたところ、生じていると答えたところの割合が5割を超えていて、これは高い のではないでしょうか。その問題がどのようなところで発生しているかについてが33 頁の図表ですが、業務多忙のために能力開発に割く時間がないということが問題点とし て非常に割合が高くなっています。  時間もないので飛びますが、労働条件のところで、時間がないという問題点が出され た訳ですが、43頁の上の図表は平均的な残業時間を把握したもので、毎月80時間以上 残業しているという人たちが20代、30代では1割程度見られ、特に30代の負担が非常 に大きいことが見て取れると思います。その下の図表を見ると、業務内容による従業員 間の所定外労働時間にばらつきがあることに対する問題意識が高く、人によって負担が かかっている人とそうでない人が分かれているという状況が見て取れます。  45頁ですが、この数字をどう見るかは非常に微妙で、意見の分かれるところではない かと思いますが、従業員の現在の仕事への満足感というレベルで見ると、65%程度が比 較的満足しているという見方でした。その中で、満足していない人たちに対してその理 由を聞いてみたところ、賃金が低い、労働時間が長いといった条件面と合わせて、今後 の自分のキャリアが明確でないから、あるいは能力を高められないからといったことが 高くなっています。  47頁は業界の課題で、先ほどから見ているように、上の図表には、求められているプ ロジェクトマネージャーの育成を行う時間がないことが課題として挙げられております し、下の図表を見てみると、その他マネジメント能力を持つ人材の不足や育成があり、 これは恐らくプロジェクトマネージャーとイコールのことを言っているのかと思いま す。それから優秀な人材への業務の集中化、コミュニケーション能力の高い人材の確保、 キャリア形成、スキルの高度化といったところが挙げられていました。  少し戻りますが、情報サービス企業においてトピック的に取り上げた項目が21頁にあ ります。高度なソフトウェア開発の基盤となる知識としては、情報工学を学んでいるか どうかで、学んでいる人を積極的に採用しているかどうかを聞いたところ、積極的に採 用していると答えたのは4割に満たない状況でした。その理由としては、採用している 企業においては、業務への適応が早いこと、高度なソフトウェアを開発する必要性から 採用しているということです。22頁の採用していない理由としては、業務上必要な知識 は採用後に教育するためということでした。  24頁はオフショアリングです。海外企業に対しての委託ですが、外国人技術者の活用 ということで見ると、活用していないところは8割程度ありました。海外企業のオフシ ョアリングということでは、85%が行っていないということで、数少ないオフショアリ ングによる国内の雇用人員の変化について尋ねたところ、変化していないというのが9 割方という状況でした。  かいつまんで結果を紹介しましたが、全体としては、人材の流動性が非常に高い業界 であること、その中でプロジェクトマネージャー、現在の情報サービス産業業界では新 規のアプリケーション開発というより、やはりシステム開発において、いかに効率的に 運用し、リスクを少なくして利益を出すかということが求められている訳で、そこを適 切にこなしていける人材、つまりマネージャーですが、そのような人たちへのニーズ、 育成上の課題が非常に明瞭に表れているということが1つ浮き彫りにされたと考えてお ります。 ○小野座長  ただ今の報告について、質問があればお願いいたします。 ○矢作委員  大変細かく、面白い調査をされたと思います。ごく簡単なことで恐縮ですが、コミュ ニケーション能力と出てくるのですが、これは単に人柄が良い、人柄が良くて話がし易 い等といったことでしょうか。ぶすっとしていることはコミュニケーション能力がない ということにはならないと思います。通常、情報関係だと、パソコンに向かって1日黙 々と仕事をやっていれば良さそうですが、そのようなことではなくて、人との付き合い が大変うまい、あるいは人柄が良い等、コミュニケーション能力というのはそのような ことを意味しているのですか。 ○二宮委員  以前IT業界におりましたので私からコメントさせていただきますと、コミニュケー ション能力とは、恐らくお客様とシステムの仕様をつめていく能力のことを言っている のだと思うのです。例えば、どんなシステムを作りたいのかというお客様の要求を聞き 出し、それに対して何ができる、何ができないかをきちんと伝える。もし実行した場合 はこれだけコストがかかるとか、こんなリスクがあるということをきちんと伝え、お客 様とコミュニケーションを取って仕様をつめていく能力と考えていただければと思いま す。 ○久本委員  外国人技術者の割合が24.7%でかなり多いと思うのですが、もう少し突っ込んだ分析 のようなものはここではしていないのでしょうか。きちんと見てはいないのですが、例 えば、どれぐらい活用しているかどうか以外に、何人ぐらい活用しているかといったこ とは聞かれているのでしょうか。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  ここでは聞いておりません。調査票の全体は報告書の巻末に掲載しております。 ○樋口委員  今の点と関連するのですが、今回の報告の中で一番大きなポイントの1つとなるのが、 外国人労働者だと思います。その中で、例えば、活用しているというのはどのような企 業規模かというクロス表は取れると思うのです。まず、その点はどうだったのか、ある いは業種で考えたときに、この中のどのような業種が活用していて、今後も活用したい と考えているのかといったことについてはいかがでしょうか。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  データとしては出ている訳ですが、これは総括的な報告書なので、報告書内には掲載 していないという状況です。結果については、今ちょっと手元にはありません。 ○久本委員  この報告書はこれですが、クロス表のようなもの、つまり外国人技術者を活用してい る企業はどのような特性を持っているか、何かそういった分類が欲しいと思います。 ○小野座長  規模や業種は調べているのですか。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  はい、調べております。 ○八幡委員  SI(システムインテグレーション)事業をやっているとか、事業分野をきちんと聞 いているので、事業分野別で結構差があるのではないかという感じがします。特に、ソ フトゼネコンと言われる大手ソフトに仕事が集約されてしまって、重層構造で仕事を流 す仕組みになっているので、分業構造を意識した分析になっているともう少し面白いと 思います。ですから、規模も絡んでくるし、事業分野も絡んでくる話です。外国人の話 は、多分プログラム開発のようなところが実態としてはまだ多いと思いますが、それが 結構、上工程の開発分野にまできているのかどうか、その辺りにちょっと関心がありま す。 ○樋口委員  報告書は既に出てしまっているので、今のような分析をしても意味がないのか、どの ような形になるのでしょうか。 ○小野座長  クロス表や事業分野別のをやるというのはどうでしょうか。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  新たに調査をやることは当然難しい訳ですが、今のデータの状態からして、あるもの をもう1回クロスをかけるというのは可能ですよね。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  データとして出ていれば。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  先ほどの答の趣旨というのは、ちょっと作業をすれば、あるいはもう出ているかもし れないが、今手元にないので答えられないということですね。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  そうです。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  その辺りはおってそういったものを作っていただくなりして、別途お送りするなりと いう形で対応させていただければと考えております。 ○小野座長  他に質問があればお願いいたします。 ○八幡委員  質問をきちんと見ていなくて恐縮ですが、自由記入のようなことはやっていないので すか。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  自由記入については38頁です。人材面・能力開発面の課題を企業・経営者、従業員そ れぞれに聞いておりますので、典型的な課題を分類して、ここに整理しております。業 界の構造というか、そこから発生する悩みというのが表れていると思います。例えば、 企業・経営者からの答ですが、キャリアパス、能力開発の問題点ということで、客先で 作業することが多いので、細かな把握がなかなかしにくいということが意識として出て いると思いますし、大手企業の下請け仕事が非常に多いと。小企業が多い業界でもあり ますし、キャリアアップを計画的に行う仕事、自分たちが主導で仕事を作っていけない という悩みがあるかなということです。  39頁の従業員についてですが、最近は特に上工程というか、コンサルティングから入 って開発を受注していくといったところが、企業の戦略としては求められているところ かと思います。ITコンサルタント等の専門分野が明確化していかなければいけない訳 ですが、その中でトレンドの移り変わりが非常に激しいと、そういったところにいかに キャッチアップしていくかが大きな悩みになっているというのがぱっと目に付いたとこ ろです。 ○樋口委員  これはアンケート調査を三井情報開発さんが受けて、いくつかヒアリングをやったり していましたよね。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  研究会の方でヒアリングをやっていて、三井情報開発さんにはアンケート調査をお願 いしています。 ○樋口委員  ヒアリングの過程で外国人労働者をどのような形で人材としてリクルートしているの かといったことについては、何か情報はあるのでしょうか。377の4分の1ですから、 100社近くが外国人技術者を活用していると言っている訳です。ロジスティクスは行き ましたが、他の業種は。 ○小野座長  教育サービスはやりました。ITも行っているはずです。面白いところは行っている はずです。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  今、にわかには分からないので、ヒアリングの経緯は確認させていただければと思い ます。 ○小野座長  大変重要な問題ですから、また調べていただき、分かっている範囲で結構ですので、 情報を委員に流していただきたいと思います。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  わかりました。 ○小野座長  短い時間で3つやらなければいけないので、申し訳ありませんがこの辺りで情報サー ビス分野は終わりにして、次にロジスティクス分野について、10分位でお願いいたしま す。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  手元の報告書81頁を開いていただきまして、ロジスティクス分野について簡単に説明 いたします。82頁は回答企業の属性ですが、ロジスティクス分野における雇用形態別の 構成は正社員が75.7%、パートが13.4%となっております。ロジスティクス分野は1つ の業種ではなくて、複数の業種にまたがる分野の塊のような領域を形成しているのです が、主に製造業の物流部門、運輸、倉庫関係、あるいは卸・小売といった一連の物流に 関わる業界がつながっている分野で、それを支援するような情報・コンサルティング業 といったものも、あわせて今回の調査の対象となっております。それぞれの業種ごとに 過去3年間の業績を見たものが82頁の下のグラフです。製造業の物流部門という企業、 あるいは情報・コンサルティング、卸・小売といったところが上向きだったという答が 出ております。今後の傾向ということで83頁の上のグラフですが、今後上向きになって いくことが多い分野としては、情報・コンサルティング業となっており、その他の分野 はおおむね35%程度で横並びという傾向です。  84頁は従業員の職種構成で、入出荷の管理から在庫管理、受発注管理等を行う物流管 理という分野は37.8%と最も多くなっております。次いで、その他というのがあります が、営業が14.6%といった順番です。少し飛んで87頁ですが、ロジスティクス分野は、 今回の雇用創出という観点から行くと、サードパーティーロジスティクスと言われる、 自分で物流施設や運搬具を持たずに、コンサルティングあるいは全体的な流通を最適化 するようなサービス事業者が目玉になっている訳ですが、現段階で行われているロジス ティクス業務ということで言えば、上のグラフにあるように、コストの削減や物流サー ビス水準の向上といったところが主で、環境の負荷低減といったところまで視野に入っ ているということです。  サードパーティーロジスティクスの取組状況ですが、87頁の下のグラフにあります。 今回の対象企業の約半数がサードパーティーロジスティクス業務、他の企業からのアウ トソーシングを受けるというサービスビジネスを行っているという結果になっておりま す。88頁の下のグラフは、サードパーティーロジスティクスへの取組の有無と今後の採 用状況といったところをクロス集計したものです。グラフが細かくて恐縮ですが、例え ば中途での正社員採用について、サードパーティーロジスティクスに取り組んでいる企 業では半数が増加していくという傾向に対して、行っていない企業で32.4%の差が出て いるところがあります。また、おおむねどの雇用形態についてもサードパーティーロジ スティクスに取り組む企業の方が、採用・活用を増やすという回答が多いということで す。特に、89頁のグラフを見ると、一般派遣の活用については大きな差が出てきている ところです。  90頁のグラフは、今後の業績見込みとサードパーティーロジスティクスへの取組で す。サードパーティーロジスティクスに取り組む企業においては、今後の業績が上向き であるという回答が多くなっているという特徴が出ております。90頁の下のグラフで、 3年前からの従業員の増加率をサードパーティーロジスティクスへの業務取組の有無で 見ると、従業員が30%以上増えたという企業は、サードパーティーロジスティクスを行 っている企業で24.1%、行っていない企業では5.9%で、ここも大きな差が出ておりま す。サードパーティーロジスティクスという成長分野への取組は、企業の業績向上を通 じて雇用の増加にも寄与していく可能性があることが示唆されます。  91頁は職種別に見た正社員数の増減傾向です。これについて、過去3年間と今後の3 年間の採用の伸び方を比較してみると、例えば、左下の物流コンサルタントという職種 については、増加する、今後伸びていくという回答が特徴ですし、ロジスティクスエン ジニアも同じようになっております。物流業界、流通業界の中で、より付加価値の高い ロジスティクスエンジニア、物流コンサルティングといったことができるような職種に ついて、採用を伸ばしていこうという意向があるように思います。  92頁は、雇用形態別に見た過去1年間の採用の有無です。中途の正社員については8 割程度の採用を行っており、一般派遣は75%程度を採用しております。雇用形態別の採 用・活用は今後どうなっていくかを見たものが93頁ですが、やはり中途での正社員を伸 ばすといったところが、雇用形態別に比較すると一番多くなっております。  少し飛びますが、101頁は従業員に求められる能力です。これについては、システム エンジニアやロジスティクスエンジニアといったロジスティクス分野の中核となるよう な職種について、特化した技術的な専門知識や物流に関する総合的な知識が求められて いるという傾向があります。物流コンサルタントや営業といった職種については、コミ ュニケーション能力、プレゼンテーション能力といったヒューマンスキルについても求 められているという状況です。  108頁は、人材面・能力開発面についての課題を自由記述で回答してもらった設問で す。企業側について、これは製造業の業種のところですが、メーカーの営業職から出向 で来ているような人が多く、そもそもロジスティクスに関する基礎知識が不足している こと、新しい取組をするためのリーダーシップが不足しているといった回答がありまし た。従業員側の回答は109頁ですが、こちらについても物流管理の職種の方の回答で、 会社のロジスティクスに対する理解がないということで、ロジスティクスが新しい分野 として注目されている中、企業の中での意識がまだ高まっておらず、それも通じた人材 育成が伍してきていないのではないかといったことがうかがわれます。  115頁は業界の課題で、先ほど述べたことと重なる部分がありますが、マネジメント 能力を持つ人材が不足していること、あるいは経営の観点を入れて、物流効率の改善を 行うような人材、正にロジスティクスに求められるような人材ですが、そういった者が 不足していること、あるいは事業としてサードパーティーロジスティクスを拡大してい きたいといったことが課題となっているという回答でした。このようなロジスティクス に関する人材とは、経営の観点から物流効率の改善を行う人材ということですが、その 育成のために取り組む施策としては、115頁の下のグラフにあるように、社内の教育訓 練で対応するといったことが圧倒的に多いという回答でした。簡単ですが、以上です。 ○小野座長  質問をお願いいたします。ちょっと聞き漏らしたのですが、サードパーティーロジス ティクスとはどのようなものですか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  これまで物流に関わる各企業、メーカーの物流部門が製品を運輸業、倉庫等に流し、 そこで保管管理したものを卸に分けて、さらに小売に製品が届くというのが構図だった 訳ですが、各企業がばらばらであるために、在庫を多く持たなければいけないとか、在 庫のリードタイムが余分に出てしまうといったことがあって、それを解決するために全 体をつないで、一貫してサービス業として請負い、全体最適でできるようなビジネスと いうことです。 ○樋口委員  ちょっとグラフの見方が分からないので教えていただきたいのですが、83頁の上の図 です。上向き、横ばいで、100からこれを引いたのが下向きとなるのですか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  すみません、グラフが欠けてしまっているようです。これは誤植です。82頁の下のグ ラフと同じ形になるようになっておりまして、右側の方がちょっと欠けてしまっていま した。申し訳ございません。合計で100%になるように、これを引いた数が下向きとい う回答です。 ○樋口委員  下向きというのがあるということですか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  そうです。 ○樋口委員  もう1つ、93頁の下のグラフですが、これは3年前から現在にかけての雇用者増加数 ということですが、−15.3人で良いのですか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  はい。こちらは各企業に、3年前の雇用者数と調査時点(昨年3月時点)の雇用者数 を聞いているのですが、増減の平均値を取ったものが−15.3人ということです。こちら に示しているように、採用自体は比較的されているのですが、退職者が多いということ があって、純増減では−15.3人となり、この傾向自体は今回取り上げた3分野の中でも、 唯一純減しております。 ○樋口委員  棒グラフが左側だと+のように見えて、+15.3人かと思いましたが、−ですね。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  ちょっと紛らわしいですね。 ○樋口委員  採用はしているが、退職者がどんどん出ているのでマイナスになっているということ ですね。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  そうです。 ○久本委員  82頁の下のグラフには業績が書いてありますが、例えば、製造業をやっているのは何 社ぐらいになるのですか。全体は77社だと思いますが、それぞれがいくつかという割合 を教えてください。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  だいたいのボリューム感としては、製造業と卸・小売の数が多く、一番下にある情報 ・コンサルティングはまだ数が少ないといった業種構成になっております。 ○久本委員  全体nが77ですから、製造をやっているのは何社か、元の数が分かれば。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  ここでは数字が載っていないので申し訳ないのですが。 ○久本委員  それが分からないと、どのようなことをやっているところがどれぐらいあるかが分か らないです。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  77社のうち、22社が製造業です。94頁の上のグラフにあります。 ○久本委員  分かりました。これで結構です。 ○樋口委員  業績や売上げが増えているところが多く、雇用が平均でマイナスということは、生産 性は非常に上がっている。この間はデフレの期間ですから、価格はむしろ落ちている訳 で、かなり生産性は上がっている産業だと考えて良いかと。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  ロジスティクスの考え方を進めていくと、もともと物流に関わるような業界について は当然効率化が進むので、人員が削減されていく。削減された人員分だけサードパーテ ィーロジスティクスのようなアウトソーシング企業で雇用が増える可能性もあるのです が、プラスマイナスがどれぐらいになるかということで業界全体としての増減と生産性 が決まってくるのではないかと思っております。まだ、ちょっとそこまでは細かく見て いない状況です。 ○八幡委員  先ほど聞き漏らしたのですが、84頁の一番下の図の従業員職種で、その他が28.7%と なっていますが、どのような職種があるのですか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  今回調査票の中で、システムエンジニアから営業までの職種で回答いただいていたの ですが、その他という欄を設けており、その中で記入があったもので判別がつくものは 全て人事・経理、開設部門ということでご回答いただいていたものがありましたから、 そこで振り分けております。その他の部門は、その他の回答が空欄だったものがこれだ けあったということで、その中身は詳しくは分かりません。 ○八幡委員  2番目に多いので。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  この業界での身分的な職種の分け方というのは、なかなか難しいところだと思います。 ○八幡委員  実際に作業をやっている者というのは入っていないのでしょうか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  その可能性もあります。 ○小野座長  仕分け作業をやっている者とか。 ○久本委員  これは正社員だけではないのですか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  今回は正社員だけです。 ○樋口委員  雇用者増加数のところの従業員も正社員ですか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  先ほどの従業員の増減については、全雇用形態を含めてのものです。 ○樋口委員  非正社員というと有期雇用が多いと思うのですが、退職者数にはそれも入ってきてい るのですか。例えば、雇止めというか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  そうですね。そのような者、あるいはパート・アルバイトが入っていると思います。 業界としてはパート・アルバイトの活用は非常に多いです。 ○久本委員  新規採用と言った場合、本社がパート・アルバイトまで把握しているかどうか、その 辺りはいかがでしょうか。もちろん、それを把握していなければ退職も把握していない と思います。 ○二宮委員  採用者数は、92頁にあるように、過去1年間の採用の有無、nのところで、正社員は 新規82人、中途82人、パート・アルバイト78人、有期契約80人とありますが、採用 者の割合はだいたいこのような感じと考えればよろしいのですか。 ○三井情報開発株式会社 河田副主任研究員  これは設問に対して回答している者の数です。 ○樋口委員  一般派遣も入っているのですね。派遣はさすがに従業員ではないから。 ○久本委員  派遣は入っていますね。派遣を従業員に入れています。確か、派遣は結構多いのです。 ○小野座長  82頁の最初の方に人員別構成があります。 ○久本委員  派遣は7.7%です。 ○小野座長  もっと非正規が多くても良さそうに思いましたが、正社員が75.7%ですからそうでも ないです。何か他に質問があればお願いいたします。 ○樋口委員  一般派遣はまずいのではないですか。派遣会社ではなく、一般派遣を受け入れている 企業の従業員数に入れるのは。 ○小野座長  受け入れているのですからね。具合が悪いですか。 ○樋口委員  雇用主は派遣会社ですから従業員ではないでしょう。 ○小野座長  アクティビティベースで働いていると。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  恐らく法的にぎりぎり言っていくと、雇用関係ではないので雇用形態という形にはな らないのだと思いますが、企業の大小によって法律上の文言を必ずしも承知している訳 ではないので、多分その辺りの曖昧さも敢えて飲み込んで、このような調査票にしたの ではないかと推測しております。 ○久本委員  むしろ、このようなことをやった方が実際が分かるので良いと思うのです。 ○樋口委員  従業員特性にしてはまずいですよね。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  法的に言うと、言葉はあまり適切ではない表現だと思います。 ○小野座長  特別これという質問があればお願いいたします。なければ、次のトピックスの社会人 教育サービス分野について、10分位で報告をお願いいたします。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  それでは48頁をご覧ください。社会人教育サービス分野において正社員数を見ると、 30人未満の企業では53.2%、全体では、173社の平均で29.6名が正社員数です。一方 で、いわゆる大規模な企業は0.6%に止まっております。雇用者数の具体的な中身を見 ていくと、正社員数は1社当たり約29.6名ですが、雇用形態別の人員構成を見ると、49 頁の上のグラフにあるように、正社員は65.4%、パート・アルバイト18.9%、有期契約 13.1%といった構成になっております。  その下のグラフは企業が主に取り組んでいる分野について、今後の業績予想というも のを見ております。企業数自体はあまり多くないのですが、法人向け教育・研修サービ スについては、今後伸びるだろうといった回答傾向が強く出ていました。上向きあるい は横ばいというのが今後の予想にあり、下向きは0でした。一方、社会人教育サービス の中でもメインである資格取得支援は、過去3年、今後3年を見ても、上向きという回 答は比較的少ないという形になっております。  少し進みまして、55頁をご覧ください。各企業が今後どのようなところをターゲット にしていくのかという面を見ると、下のグラフにあるように、今後の利用者の動向につ いての予想を聞いております。これを見ると、やはりシニア層あるいは中高年層が今後 比較的伸びていくだろうと。社会人教育サービスの企業であっても、多くの場合は学生 向けの講座もあわせてやっていますが、今後学生数自体の減少も見込まれており、減少 するという予想が強く出ております。  56頁は、具体的にどのような内容に今後注力していくのかを聞いています。現在力を 入れているものとして一番多い回答は、会社員等が現在の仕事で求められているスキル を高めるものが39.7%となっていますが、特にここが伸びるだろうという予想が強く、 今後力を入れていくということについても、スキルを高めるという部分が49.1%と増加 しております。  57頁は採用状況で、正社員数の増減傾向です。ここ3年、今後3年ともに、一定程度 の増加が見られます。特に講師については、少し増加、大幅に増加という回答が、ここ 3年、今後3年とも40%程度に達しております。ここで6つの職種について増減傾向を 見ていますが、特に今後3年間で強く伸びるだろうと見られているのは営業職であり、 相談員という職種です。  59頁ですが、今後3年間の採用の増減見込みが上のグラフです。ロジスティクス等と 比べると、増加するという回答割合自体はそれほど多くないのですが、やはり増加する、 あるいは変わらないという回答が多くを占めております。特に、正社員という面で見る と、中途での採用が新卒に比べると比較的多い割合となっております。そして、ほぼ同 等でパート・アルバイトの採用を考えているということです。下のグラフですが、社会 人教育サービスについては1社当たりの規模がそれほど大きくないので、正社員規模で 言うと、1社当たり3名弱で、過去3年間の新規採用者数ベースで見ると、だいたい1 割程度の増加となります。  65頁は、それぞれの職種において求められる能力についてです。基本的に社会人教育 サービスという特殊な分野でもあるので、多くの職種において、特化した技術的な専門 知識であったり、あるいは新しい知識への対応力というものが求められております。後 ほど少し出てきますが、特に教材・講座企画という面がポイントになると見られており ますが、企業側は特に新しい知識への対応力を求めております。  次に74、75頁をご覧ください。他の分野と同様、フリーアンサーの部分を書き抜いて いるところですが、まず企業側を見ると、職種の不足、全体的な人材不足等があり、特 に「時代の変化スピードに対応できる研修企画と運営できる人材の不足」という上から 2段目のもの、あるいは、さらに3つ下がりまして、「講座が特殊で専門知識が必要で あり、人材確保が難しい」といった内容専門性に関わる部分からの人材発掘の難しさ等 が、ある程度このようなところから見えているというところです。  似たようなものとしましては、下から5つ目の段にありますが、受講者の要望が多種 多様化するという中で、これに対応する者も大変であるということです。これを従業員 の方から見ましても、これに対応するのは大変だということがある程度見えていまして、 そのために自ら自己啓発、あるいは企業から積極的に、両面ありますけれども、能力開 発が重要であるということで、講師であったり、75頁の一番下にありますように、教材 ・講座の企画開発、そして、次の頁までこのフリーアンサーの項目が続いていますが、 こういったところに企画開発の面で、どういった形で能力開発やキャリア形成をしてい くかという面を、問題意識として持たれている従業員が多いと見受けられるというとこ ろです。  続きまして、79頁にありますが、ある程度こういった開発あるいは講師という専門的 な職種にも反映していまして、比較的スペシャリストを目指したいという意向が強く出 ているというところです。  次の80頁ですが、先ほど少し申し上げましたように、企画開発の部分が各企業にとっ ては、どういったものをサービスとして提供できるかという面に関わってきますので、 重要な面ですが、「特に課題となっているもの」というところをご覧いただきますと、 「ニーズを把握するのが難しい」というのが18.8%ですが、その1つ下の「変化するニ ーズに対応するカリキュラムの準備が難しい」ということで、社会人教育として求めら れているものが何かというものを仮に把握できたとしても、実際にそれをサービスとし て提供するという形に落とし込む役割を担う企画開発担当者のところで、その準備が難 しいということが見受けられるということです。そして、実際にそのサービスを正に直 接提供する者となる講師につきましても、「新たな内容に対応できる講師が不足してい る」という回答が24.9%となっています。  そういった形で社会人教育を見てきますと、一定程度の人材のニーズというものは、 「特に講師と今後の人材についても必要である」という回答が4割程度ということです が、そうは言いながらも、いかに顧客に対して求められているサービスを提供できるの かと。実際そのサービスを提供できる人材としての講師、あるいは企画開発担当者を発 掘するという面がいささか難しくなっているのかなというところです。社会人教育につ いては以上です。 ○小野座長  どうもありがとうございました。まず私から質問があります。55頁の下の方の絵です が、一番上がシニア層ですね。リタイアした者。それから、中高年でリタイアしていな い者。それから、その次に社会人とあります。社会人とリタイアしていない中高年とい うのは、ダブりませんか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  一定程度の重なりは持っていますが、イメージ的には、いわゆるセカンドキャリアを 見据えたキャリア開発のようなものを、中高年としてここにはとっています。中高年の 方については実際に企業に勤められている者が対象になりますので、そういった意味で は、重なりは一定程度は出てきますが、講座としてある程度特殊に設けるというものも ありますので、ここでは特出しという形で載せているというようなイメージです。 ○樋口委員  60頁の充足率を見ると、10割充足しているというところが、営業・コンサルタントに しても6割で、かなり充足していますよね。 ○樋口委員  ということは、量的には確保できているのだけれども、後ろの方を見ると、質的に問 題があると判断しているということですか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  そうですね。それに加えまして、確かに10割という回答がこのグラフは特に多いので すが、その一方、1割という回答も比較的多くて、企業間でもばらつきが多く出ている という傾向が見受けられます。今、質的にとおっしゃられたように、提供するサービス 内容が常に変化していますので、それに対応するには、常に能力開発をして、そういっ た講座に対応できる講師の方を育成する、あるいは新たに採用する、いずれにしても、 採用あるいは能力開発というものを強く進めていかなければならないというところか ら、質的な問題というものが出てきているものと思います。 ○矢作委員  3つの業種に共通して、転職率は大変高いですよね。これは、キャリアアップしてい っての話でしょうか。転職することによって、良い条件のところに行っているのか。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  何をもってキャリアアップかというのは難しいところがあって、それぞれの分野によ って状況は違うと思います。この中で把握したものではないのですが、情報サービス分 野の200人に、転職以降について、あるいはどういう経路をたどって転職したのかイン タビューしたことがあります。全く1つの企業にとどまるという意識はなくて、技術を 学べる企業を選んで、そこに行くのだという意識が非常に強いのです。ですから、それ を達成できれば、その人にとっては良い転職である、キャリアアップであると言えるか と思います。ただ、ロジスティクスの場合は良く分かりませんが、専門学校の場合は、 講師の採用というのは色々な中途採用のケースがあって、オーバードクターのケースも あれば、公認会計士がアルバイトで来ている場合もある。非常に色々なケースがあると 思います。 ○二宮委員  67頁の職種間移動パターンで、移動元と移動先とそれぞれ数があると思うのですが、 単純に差引きをすると、講師が32人減っていて、広報が32人増えているという図式に なっていますね。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  ここは、少し説明が不足しています。申し訳ありません。ここでは、各企業において どのような職種移動のパターンがあるのかというパターンの典型的なものを、各企業に ついて最大3つまで提示してくださいという質問をしています。ですから、人数ベース ではありません。あくまでも、こういった類型が多いということです。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  この調査を作る過程で、ある大手専門学校の者に個人的に話を聞いたのです。先ほど の報告の中にもありましたが、就職可能性のあるテーマというのはどんどん移り変わっ ていきますから、それは分かるのですが、それに対して教育内容を転換していくのは容 易ではないですね。例えば、医療関係等ですと、設備が必要だったり、実習が必要だと いうケースがありますので、それはなかなかできないということもある。あとは、やは り講師の問題です。これは嘘のような本当の話ですが、これからこういう分野に行かな ければいけないということが差し迫っていたら、講師が他の専門学校に通うというケー スも無きにしもあらずなのです。必死にその辺りはやりくりしているのだと思いますが、 そういうこともあるやに聞いています。ただ、資格取得科目については、その分野のO Bがいますから、専門団体と連携して講師を派遣してもらうとか、そういったやりくり はしていると思います。その中に正規に雇用されている者だけで転換していくというの は、非常に難しい面があるようですね。 ○久本委員  51頁に職種が出ていますが、職種別の雇用形態というのはどこかに出ていますでしょ うか。企画、広報、営業というのは正社員だと思うのですが、講師は違うような気がす るのです。その辺りの違いというのは。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  51頁でお示ししているものは、従業員の回答ベースです。 ○久本委員  正社員のということですか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  はい。 ○久本委員  これは正社員のみですね。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  そうです。従業員の回答は正社員にお願いしています。 ○樋口委員  今回、調査の対象になったのは、議論で、社会人教育について公的部門を入れるとい う話がありましたよね。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  議論はあったように記憶していますが、実際には、1頁に調査対象としてお示しして いるように、企業データベースとして取れるもの、専修学校・各種学校と、社会通信教 育及び職業訓練施設という形で、基本的に学校法人あるいは民間企業から抽出していま す。 ○樋口委員  議論をした時に入れるという約束をして、それで比較するという話があったように思 うのですが。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  その時は、大学等色々な形態が増えているのだけれども、そこは採用の形が違うとい うことで、今回はこのような形に落ち着いたような気がします。 ○樋口委員  職業訓練学校の話があって、公的部門の典型ですね、という話がその時あったと記憶 しているのですが、私の間違いだったかもしれません。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  確認いたします。 ○樋口委員  議事録を見れば、分かると思います。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  その辺りは、事務局の方で確認してみます。 ○樋口委員  今回、調査結果として出ているのは民間だと考えて良いのですね。 ○三井情報開発株式会社 樋口主任研究員  はい。 ○小野座長  他にございますか。よろしいですか。 ○八幡委員  在職者向けに実施している教育支援というのは、どこかで分かるのですか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  具体的に何を提供しているかという意味ですか。 ○八幡委員  どこかに勤めていて、このような機関に来て勉強している人の割合です。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  それ自体の割合までは、聞いていません。各企業、その中でも講座ごとに社会人と学 生が混在しているものも多数ありますので、調査票の段階で聞いてはいません。 ○八幡委員  社会人向けの講座を扱っていないというのも10校含まれている訳ですね。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  抽出の段階で実際に想定していたものの、回答のうち10校については、社会人向けの 講座は扱っていないと。 ○八幡委員  それを落として集計はしていないのですか。 ○三井情報開発株式会社 菊池研究員  専門の講座として独立したものを持っていないという意味合いでして、必ずしも社会 人でサービスを受ける者が0ではないというものもありますので、ここでは、集計には 含めています。 ○小野座長  まだ質問があると思いますが、第2のトピックスもありますので、この辺りにしたい と思います。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  先ほど情報サービスのところで出ていたヒアリングの件(7頁参照)ですが、手元の 議事録を確認しましたところ、平成17年2月24日に、この会場に呼んでヒアリングを やっています。その際に、海外アウトソーシングの規模というような形での議論があり まして、海外へのアウトソーシング規模ということで、中国が約260億、インドが約63 億、アメリカが49億という数字が出ていました。外国人労働者という労働者単位での議 論は、議事録を見てみましたらどうもなされていなかったようで、ユニットごとに会社 に外注するという議論があったようです。 ○小野座長  今のは、金額ですね。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  はい。 ○小野座長  ありがとうございました。宿題があったところは、確認した上でお願いします。続き まして、議題の2として、「報告書骨子案について」事務局より説明をお願いします。 ○労働政策担当参事官室企画第二係長  手元の資料2「雇用創出企画会議第三次報告書骨子案」をご覧いただきたいと思いま す。冒頭に座長より説明がありましたが、本日お配りした骨子案については、雇用創出 が期待される新しいサービス分野4分野のうち、健康サービスを除く3分野について、 今説明がありました実態調査や、これまでの業界ヒアリングを踏まえて提示させていた だくものです。  1頁目をご覧ください。まずは報告書の「総論」です。はじめに当該報告書の趣旨を 記述していますが、今後、サービス分野の中でも特に新たなサービス分野に着目しまし て、その分野で必要とされる人材のあり方を中心に考察し、当該分野における雇用創出 に向けた課題を提唱することを目的としています。  続きまして、2の対象分野の選定ですが、新しいサービス分野としましては、消費ニ ーズの多様化、複雑化に対応しつつ、従前提供されてこなかった財・サービスを新たに 開発、提供することが可能な分野を前提に、当該4分野を取り上げ、検討を行うことと したところです。  続きまして「各論」です。各論は、それぞれの分野で3つの柱を立てて記述していま す。まず1つ目の柱として、各分野における雇用創出の期待、2つ目の柱として、各分 野の就労の状況、最後に、3つ目の柱として、各分野の課題という構成になっています。  それでは、情報サービス分野について説明します。まず1つ目の柱である雇用創出の 期待としては、情報サービス業については、近年その売上高を伸ばしていまして、平成 8年以降、最高の売上高を毎年更新しているところです。また、昨今のインターネット 利用者の増大、パソコン等を用いたコミュニケーションの活性化等、新たなネットワー ク社会が進展してきているところです。今後は、いつでも、どこでも、何にでも、誰で もネットワークにつながり、情報の自由なやり取りを行うことができる社会、いわゆる 「ユビキタスネット社会」の進展が見込まれるところです。このユビキタスネット社会 の進展によりまして、新たなソフトウェアやシステムの開発等、さらなる成長が期待さ れるところです。  2頁目をお開きください。続いて、2つ目の柱である情報サービス分野の就労の状況 です。1つ目の○は従業員の職種です。情報サービス分野は、プログラマー、システム エンジニア、プロジェクトマネージャー等多職種に分かれていますが、中でもシステム エンジニアが全体の5割を占めています。また、雇用形態別の構成については正社員が 約8割、年齢構成は40歳以下の者が大半を占めていまして、比較的若年層が多くなって いるという調査結果が出ています。  2つ目の○は採用状況です。新規学卒者を正社員で採用した企業、中途採用を採用し た企業がいずれも7割を超えています。また、今後については、6割近くの企業が正社 員を増加するとしているところです。  3つ目の○は能力開発の状況です。いずれの職種においても、先ほど話がありました が、コミュニケーション能力を重視しています。また、企業、従業員の能力開発に対す る考え方を見てみますと、企業は、従業員の自発的能力開発に期待する一方、企業とし ても積極的に能力を身に付けさせていきたいというところもあわせて考えているところ です。また、従業員は、自己啓発に取り組んでいきたいと考えている者の割合が高くな っているところです。  4つ目の○は従業員のキャリアパターンです。プログラマーやシステムエンジニアと して数年従事して、ある程度自主的に判断できる中堅のシステムエンジニアとなり、そ の後、リーダーとしてのプロジェクトマネージャーやシステムマネージャーとなってい くキャリアパターンが一般的です。  3頁目をご覧ください。3つ目の柱である情報サービス分野の課題ですが、業界全体 としては、プロジェクトマネージャーが不足している状況がうかがえます。その理由と しましては、その育成にかかる時間的余裕がないという指摘等があります。したがいま して、時間的制約の中で効率的かつ効果的に能力開発を進めるため、企業内で、従業員 のキャリアパターンの明確化や、従業員が知識を学べる機会を設けるとともに、知識を 能力として定着させるための職務経験を与える等、従業員が自ら能力開発を行い、また、 業務と関連させながら能力開発、人材育成を行っていくことが求められるところです。  続いて、健康サービス分野ですが、これは次回に回させていただきまして、ロジステ ィクス分野です。まず最初の柱である雇用創出の期待としては、1つ目の○ですが、こ れまでの大量生産・大量消費社会から、消費の成熟化に伴いまして、多品種・多頻度化 が起こっているところで、その点、物流においても多品目化・小口化するという構造変 化が起こっているところです。こうした変化の中で、従来の物流である運送、倉庫のみ ならず、調達、生産から始まりまして、廃棄、回収といった流れをトータルに統制する ロジスティクスという概念が注目を集めてきているところです。  また、2つ目の○ですが、特に消費ニーズの多様化を踏まえ、物流のアウトソーシン グの可能性も高まっており、いわゆるサードパーティー・ロジスティクスの拡大が期待 されているところです。  4頁目をご覧ください。続きまして、ロジスティクス分野の就労の状況です。1つ目 の○は従業員の職種です。ロジスティクス分野は、従来の運送業や倉庫業においても行 われている物流管理に従事している者が最も多く、先ほど申し上げた、物流をトータル に統制するロジスティクスの専門家の数はまだまだ少ない状況になっているところで す。  2つ目の○は採用状況です。ロジスティクスに取り組む企業の正社員は8割と高く、 年齢構成は40歳以上の者の割合が高くなっています。また、過去3年間の雇用者数は、 景気低迷等の影響もあったためか、減少傾向となっていますが、一方で、将来に向けて 今後正社員が増加すると見込む企業の割合は高くなってきているところです。  3つ目の○は能力開発の状況です。企業は、この新しい概念であるロジスティクスに 対応した専門家の育成へのニーズのためか、従業員の自発的な能力開発に期待すること に加え、積極的に企業が従業員の能力開発に関わっていこうという割合も高くなってい るところです。  4つ目の○は従業員のキャリアパターンです。営業以外の職種から営業に転換する例 が多く見られますが、従来の物流管理に従事している者から、ロジスティクスエンジニ ア、システムエンジニアといった新しいロジスティクス分野の専門職へ転換する例も見 られてきているところです。  続いて、3つ目の柱であるロジスティクス分野の課題です。ロジスティクス業務を遂 行する上で、マネージメント能力を持つ人材の不足や、経営の観点から物流効率の改善 を行う人材の育成が挙げられると考えています。  5頁目をご覧ください。現状を見てみますと、ロジスティクス分野がまだまだ新しい 分野であるため、こうした人材が十分に育成されていないと考えられるところです。し たがいまして、今後は、例えば、従来の物流業務を経験させつつ、あるいはキャリアの 節目節目でOFF−JTを行うといったように、ロジスティクスの専門職としての能力 を形成し、これらの新しい事業展開に対応し得る人材の育成を図っていくことが求めら れるところです。  最後に、社会人教育サービス分野です。まず雇用創出の期待としては、1つ目の○で すが、経済の国際化、グローバル化の進展や国際競争の激化等、目まぐるしい社会経済 変化の中で、企業は、法務、会計はもとより、IT、外国語等をはじめ、さまざまな専 門分野を持った多様な人材を効率的に活用することが求められていると考えられます。  2つ目の○ですが、こうした中で、既に社会に出て活躍している者でも、職務を行う 上で必要な知識、技能を修得する一方で、さらに、こうした劇的な変化に対応できるだ けの能力が求められるところです。この点については、既に企業でのOJTや、人事ロ ーテーションの中で、従業員の能力開発を図ってきているところですが、今後は、これ に加え、いったん業務を離れて、外部の教育機関を活用して、より高度な専門的知識や、 変化に対応する素養を身に付けることの必要性が高まってくるものと考えられます。し たがって、これらの必要性に応えるサービスを専門的に提供する社会人教育サービスを 業とする機関が大きな役割を果たしていくことが期待されるところです。  続きまして、社会人教育サービス分野の就労の状況です。1つ目の○は社会人教育を 行う形態です。大学、専門学校・各種学校等々、さまざまなサービス提供事業者があり ますが、サービスを行う形態としては、法人向けのサービス、資格取得支援を目的とし た個人向けのサービス、資格取得支援以外を目的とした個人向けサービス等が挙げられ ます。  2つ目の○は従業員の職種です。社会人教育サービス分野は、講師、講座運営スタッ フ、その他、教材や講座の企画開発をする担当者、営業、広報等といったさまざまな職 種で構成されていますが、中でも、調査を見ますと、講師が全体の3割を占めていると ころです。  6頁の1つ目の○は採用状況です。社会人教育サービス提供者においては、正社員が 約7割となっていまして、特に中途採用の割合が高い。経験者を採用する傾向が見られ るところです。これは、社会人教育サービス分野は、その提供するサービスの専門性、 技術性が高いことから、新卒者を採用して育成するよりも、むしろ一定の知識を既に持 っている経験者を採用したいと思っていることがうかがえるのではないかと考えられま す。  2つ目の○は能力開発の状況です。いずれの職種においても、「プレゼンテーション 能力」あるいは「コミュニケーション能力」を挙げる企業の割合が高くなっていますが、 中でも、講師に限って言えば、他の職種では比較的低い、「特化した技術的な専門知識」 の割合が最も高くなっていまして、他の職種とは求められる能力に違いが生じていると ころです。なお、能力開発に関する事業者、従業員の考え方は、ともに、能力開発を推 進しようということで、能力開発に対する期待は大変高くなっているということです。  4つ目の○は従業員のキャリアパターンです。調査からは、職種間の移動が活発に行 われているとは必ずしも言えないものの、講座運営スタッフから講師への移動パターン が比較的多くなっています。  7頁目をご覧ください。3つ目の柱である社会人教育サービス分野の課題です。先ほ ども申し上げましたが、社会経済情勢と労働者の意識が変化してきている中で、これま でに見られなかった学習ニーズが顕在化してきているところです。事業者は、こうした 変化の中で、ニーズに対応した質の高いサービスを企画・提供していく必要があると考 えられます。  2つ目の○ですが、そのためには、これらに対応した教材・講座の企画開発が重要と なってくることが考えられますが、日々それぞれの職種の担当者が、さまざまな場面で 獲得した学習ニーズを総合して、最終的に教育サービスとして提供することができるよ うにすることが必要であると考えられます。したがいまして、日頃より各職種間で情報 共有を図っていくとともに、他の職種の者も積極的に講座の企画のアイデアの提供を行 っていけるような場を設けたり、あるいは、職種間の移動を通じ、前職で培ったノウハ ウを現職で発揮していく等の取組が今後求められてくるのではなかろうかということで ございます。 ○小野座長  どうもありがとうございました。質問をお願いします。場合によっては今日色々報告 いただいた方に戻った質問も出てくるかもしれませんが、よろしくお願いします。 ○矢作委員  質問という訳ではないのですが、この雇用創出企画会議にお呼びいただいてからもう 随分久しい時間が経ちますが、マクロの経済の状況も当時とはだいぶ変わってきて、雇 用の状況も随分違ってきているようですので、そういう意味で、会議自体のミッション も多少変わってきているのではないかと理解しています。その意味で、報告書の方向も、 単に雇用の量ではなくて、雇用の質の方に少し比重を移して内容を取りまとめていただ きたい。特にこの3分野についてはそういう傾向が強いのかなと思いますので、状況の 変化と、それから会議のミッションの多少の変化を反映した内容になると良いなと思い ます。検討ください。 ○樋口委員  今の指摘はもっともだと思うのです。この企画会議のミッションということで、現実 的にどう雇用をつくれるかということを、必ずしも労務管理に詳しい者だけではなくて、 法律の先生もいれば、私のような経済をやっている者も入れて考えましょうという話だ ったと思うのです。その視点から考えると、これは非常によくまとまっていると思うの ですが、最後で課題を投げて、それで終わってしまうというのはどうなのか。むしろ、 それに対する解決策を考えないと、企画会議としてはミッションを果たさないのではな いかと思うのです。  例えば、ここで取り上げた特に1番目と3番目というのは、プロフェッショナル人材 の話というのが大きな特徴としてこの業界で取り上げられる訳です。そうすると、企業 の中でどうするかという問題と同時に、そういった労働市場をどう作っていくのかとい うことが重要になってくる可能性があるのではないか。そこにおける、それを阻害して いる要因があるとすれば、それが何であって、それを解決するためには具体的にどうい う政策を取れば良いのか。あるいは個別企業の努力に負うところもあると思うのですが、 それと同時に、やはり政策を企画するポジションの者がいる訳ですから、それをどう考 えるかということを入れないといけない。課題を投げかけるだけであれば、民間の業界 がやっている研究会でその課題というのはもう分かっている。政府の役割というものが 何であるかということですね。やはり政府の企画会議としてやっている訳ですから、そ こを入れないとちょっと寂しい感じがします。  ついでに言わせていただければ、最初のところで、先ほどから議論になっている外国 人労働者の問題ですね。例えば、時間的余裕云々といったときに、確かに、時間的余裕 がなくて能力開発ができないというような問題がクローズアップされてきた訳ですね。 それでは、それにどう対応するのかというときに、1つの方法としては、そういったも のも外国人労働者のことも含めて考えていく。それに期待している業界な訳ですよね。 国際的に考えても、ドイツだって戦略を変えたし、カナダもここ2、3年、この分野に ついては法律まで変えて対応しようということをやっている中で、どう考えたらこの情 報サービス分野の雇用の創出、抱えている問題点というものを解決できるか。それを、 示しにくいのかもしれませんが、何か出さないと、これで終わってしまうと寂しい感じ がします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  今の指摘ですが、まず、ミッションという言葉がありましたが、確かにこの会議を立 ち上げてから随分、雇用失業情勢も案内のとおりで、ここで私が説明するまでもない点 ですが、雇用失業情勢をはじめとして社会経済情勢が随分変わっていますので、そうい った意味で申し上げますと、やや当初考えていたところと違ってきているというところ があります。その辺りも踏まえながら、ただ、その一方で、こういった形で検討を始め ているところもありますので、報告書は、そういったものも踏まえる形でまとめさせて いただければということで考えています。そういったことになると、この会議のあり方 にも関わってくるかと思いますが、それはまた検討させていただければと思っています。 そもそもの設立のときの考え方とか、相当変わってきているところもありますので、全 体のあり方というのは、考えさせていただければと考えています。  政策的なところですが、ある課題があったとき、どういう形でそれを解消していくか というのは、色々なやり方があると思いますので、この会議の枠組みの中でどこまでそ ういったことが言えるのかというところもありますので、その辺りも含めて、そこのと ころは検討させていただければと思っています。先ほど先生から外国人という話もあり ましたが、それに限らず色々なやり方もあるのかもしれません。その意味で言いますと、 ややこちらも研究不足というところがありますので、その辺りは、そういった枠組みが どこまで言えるかということで検討させていただければと思いますし、色々と示唆をい ただければと思っています。 ○樋口委員  誤解されていると困るので、敢えて言いますが、外国人労働者を迎え入れればそれで 問題が解決すると言っているのではなくて、この分野でどうするのかということに対し て何ら触れないと、質問でもやっているし、皆さんそういう問題意識を持って今までや ってきたのだけれども、今のところ、読ませていただいたら、それに関しては全然触れ ていないということですので、それはちょっとと思うということなのです。 ○政策統括官  今申し上げたのは、触れないということではなくて、十分検討させていただくという ことで、先生がおっしゃったように、大変重要な問題ですので、正直申し上げて、本当 に適切な解決策があるかどうかということはなかなか難しい問題だと思いますけれど も、そういう問題があって、どういうことを考えるべきかということも含めて検討させ ていただきまして、できれば記載させていただきたいと思っています。  それから、全体に関わる問題として、おっしゃるとおり、平成14年にできた時は、雇 用創出ということで、失業率5.5%だから、とにかく量的な問題を考えようということ で考えたのが、最近の格差問題の議論にも見られるとおり、今や質をどうするかという ことに正に重点が置かれてきていますので、ここも、能力開発等、雇用の質とか正規社 員の問題ということで取り上げていますが、基本的な方向性としてはそういう問題意識 を持ちながら、検討なり記載をさせていただきたいと思っています。  マクロ的な話になると、労働市場政策なり、あるいは規制改革なり、全体のものをど うするかということは、雇用政策研究会等にもご検討いただきましたが、そういうもの を踏まえた上で、さらにプラスして個別分野で何が考えられるかと。検討課題までは良 いのですが、具体的な政策となると、正直申し上げて、どこまでできるかということは ありますが、色々とお知恵をいただきながら、できるところをやらせていただきたいと 思っています。 ○労働政策担当参事官  視点としては、こういう個別分野における課題というものをえぐり出していただいて、 例えば、ワークライフバランスの問題であるとか、全体の政策のところにそういう課題 を投げかけていくことによって、新しい政策につながっていくという部分もあると思い ますので、個別分野ごとの政策ということになるかどうかというのは、また色々とある というところもあると思います。 ○小野座長  非常に良い指摘を矢作先生と樋口先生からいただいたと思います。それは当然お考え いただいて。 ○樋口委員  重要になってくるのは、業界のスタンスではなくて、今の格差問題のような形で、例 えば、今までそこの分野に入っていなかった人が、そこへ行って頑張って能力を高める、 今問われている問題というのは、そうする上で何が問題になっているのか、というよう なことだと思うのです。例えば、情報サービスについても、雇用吸収量がこれだけある という量的なことはわかった。それにもかかわらず、そこになぜ入れないのかという、 規制の問題以前の問題が色々あると思うので、本当に雇用の吸収の場所として期待でき るのかどうかということも出てくるのではないかと思います。 ○久本委員  樋口先生の言われたことというのはいちいちごもっともなのですが、少し話が大きす ぎるというのがむしろ私の感覚で、それだけ膨大なテーマを全部ここで解決しろという のは恐らく無理なのではないかと思っています。やはり、この中で売りと言いますか、 1つでも良いから何か新しいものを出していくという、そういうものが欲しいという気 が凄くしたのです。例えば、人材育成でも、時間が足りないという話は書かれている訳 ですが、ここでもかなり調べられていますし、残業もかなり長いという話もありますよ ね。例えば、そういった問題をどうすれば解決できるのかという1つの道筋のようなも のを出してみる。こういう課題があるというのではなくて、こういう課題を踏まえて、 こういうことは考えられませんか、というレベルですが、そういうものを何か考えてい く、つめていくという作業が必要ではないかという気がしたのです。 ○矢作委員  日本で一番長い残業をやっている霞が関の偉い人たちがやっているから、なかなか解 答が出ないのです。 ○八幡委員  私も、人材の質のような話に実質的になってきて、能力開発等のような話につながっ てきたというのは当然かなと思います。当初、私は、量よりも質だという感じでいまし たので、その中で、いくつかのところで、専門的な職種の人、プロフェッショナル人材 ということが先ほど出ましたが、そういう人たちの長時間労働の問題ですよね。これは エンジニア等は全般的にそうなのですが、他で調査したときも、みんな非常に長時間労 働をやっている。一方で、在職者訓練とか研修を受けたいというニーズは、物凄く高い のです。それで、外部機関に出向いて研修を受講してくるのですが、戻ってくると仕事 が山積みになっているという状態で、結局、研修を受けたいのに受けられない。そうい う意見が非常に多いのです。  それで、業界の人に、教育訓練休暇のようなものを作ったらどうですか、という話を したのですが、そういうものは、やったとしてもなかなか実行できないだろう、むしろ 年間1,800時間とか2,000時間働いても良いから、それだけ働いたらもう休みというよ うな、そのぐらいのフレキシビリティのある労働時間制度を考えてほしい、とおっしゃ っていました。ある種のフレックス制なのですが、何かそういうことを考えないと、実 際上、余裕を持った教育訓練を受ける時間を作り出すということはできないのではない かと思います。特に、こういうトップクラスの人たちは、無理矢理作らないと難しいの ではないかという気がします。そういうことは色々な職種であると思いますので、能力 開発とか労働時間といった辺りのところを少し提言できると面白いのではないかと思い ます。 ○矢作委員  ドイツは1カ月ぐらい取らないといけないのですよね。 ○久本委員  いや、そんなことはないですよ。 ○矢作委員  私は、ドイツにいる時に、年間続けて何日以上取らなければいけないというルールが あると聞いたことがあります。 ○久本委員  それは有休ですか。 ○矢作委員  有休です。 ○久本委員  有休はだいたいそうですね。有休は取りますからね。 ○矢作委員  ばらばらでも良いのですか。何か、まとめて取れということでしたが。 ○久本委員  だいたいまとめて取れということがありますが、それは取りますから。繰り返しにな りますが、例えば、今日の報告書の45頁等はそうなのですが、自分の能力が高められな いとか、今後のキャリアが明確でないという不満というのは物凄く強い訳で、プロフェ ッショナルを育てていこうということになると、使い過ぎて、すり減ってしまうような 気がするのです。そうではなくて、能力開発をきちんとやるような仕組が必要です。中 長期的に、そういう人たちをどんどん能力アップしてもらわなければ困るので、そうい うものを考えるということが重要かなという気がします。 ○矢作委員  それは個人だけではなくて企業にとっても国民経済にとっても大事だ、ということを 位置付けしてもらわなければ駄目ですよ。 ○久本委員  もちろん、そうです。国民経済にとって一番重要です。そういう人材がすり減ってし まっては、国際競争に勝てないですから。 ○樋口委員  情報サービス分野を研究したというのは、そこに特化した問題を洗い出そうというこ とではなくて、ある意味で日本で起こっている色々な問題が象徴的に起こっている分野 ではないかということで、事務局も我々も、その産業をやりましょうということになっ たと思うのです。その典型的な事例が、皆さんがおっしゃったような問題が起こってき ていることであって、これは単に情報サービスに対する産業政策ではなくて、他でも起 こっているようなことに対する図式をどう描けるかという問題だろうと思うのです。そ れがないと、ここは産業をやりました、ということで終わってしまう可能性がある。是 非よろしくお願いします。 ○小野座長  他に何か意見ございますか。大変良い意見をいただきましたので、そういうものを踏 まえて報告書を取りまとめていただきたいと思います。時間の関係もありますので、報 告書骨子案についての議論はこの辺りにさせていただきたいと思います。次回以降の会 議のスケジュール等について、事務局から説明をお願いします。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  資料3を付けていますので、そちらをご覧いただければと思います。「今後の会議日 程(案)」ということで示させていただいています。本日、情報サービス、ロジスティ クス、社会人教育サービスの3分野につきまして、三井情報開発さんの方から実態調査 の報告をいただくとともに、報告書の骨子案について意見を頂戴した訳ですが、次回は 6月6日(火)ということで予定をさせていただきまして、この際には、残った1分野、 健康サービス分野について、同じような形で三井情報サービスさんの方から実態調査の 報告をいただくとともに、同じような形で、また報告書の骨子案について議論をさせて いただければと考えています。次々回の7月4日には報告書をまとめるという形で事務 局としてはイメージを持っています。今日、重要な指摘を色々いただきましたので、そ ういった点も含めて事務局としても照会していきたいと思っていますし、これとは別の 形で、また色々相談等させていただくような形で対応させていただければと思っていま す。 ○小野座長  どうもありがとうございます。特段意見ございませんか。ないようでしたら、今日の 会議は以上で終わりたいと思います。次回は6月6日ですね。 ○労働政策担当参事官室室長補佐  6月6日の15時から17時です。おって正式な文書を送付させていただきますが、場 所は厚生労働省第16会議室を予定しています。よろしくお願いします。 ○小野座長  どうもありがとうございました。本日は以上で終わります。 照会先 : 政策統括官付労働政策担当参事官室 企画第2係 電話番号: 03(5253)1111 内線(7723) - 30 -