06/05/12 看護基礎教育の充実に関する検討会第2回議事録                  照会先:医政局看護課 岩澤(2599)柴田(2599) 電話:03−5253−1111                  直通:03−3595−2206 第2回 看護基礎教育の充実に関する検討会                       日時 平成18年5月12日(金)                          15:00〜                       場所 厚生労働省省議室(9階) ○事務局(柴田) 定刻になりましたので、ただいまから第2回「看護基礎教育の充実 に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様におかれましてはご多忙にもかかわら ず、当検討会にご出席いただき、誠にありがとうございます。最初に看護課長の田村か ら、委員の交代、及び前回欠席され、今回初めて出席された委員の紹介をさせていただ きます。 ○看護課長 皆様こんにちは。看護課長の田村でございます。それでは、委員のご紹介 をさせていただきます。前回ご欠席の神奈川県立保健福祉大学の小山眞理子委員、聖路 加看護大学看護学部長の堀内成子委員です。前回は日本医師会の青木委員がご欠席でし たが、今回交代があり、日本医師会常任理事の羽生田俊委員です。  なお本日は、南委員からご欠席の連絡を受けております。まだ草間委員、村田委員が ご到着していらっしゃいませんが、ご連絡がありませんので、間もなくお見えになるか と思います。それでは、座長、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○遠藤座長 皆様、お忙しいところをお運びいただきましてありがとうございます。 本日、5月12日はナイチンゲールの誕生日の「看護の日」だそうで、「その日に合わせ て開いたのですか」と事務局に聞いたら、全くの偶然だという話でした。事務局よりい くつか資料が出ておりますので、まずその確認をお願いしたいと思います。 ○事務局(柴田) それでは、お手元に配付しております資料の確認をお願いいたしま す。「議事次第」「座席表」「検討会メンバー」。資料1は「第1回看護基礎教育の充 実に関する検討会 主な意見」で3頁あります。資料2は「新卒看護職員の早期離職の状 況」で2頁、資料3は「看護師養成課程卒業者の状況」、資料4は「看護師3年課程の 教育時間・実習時間の推移」で2頁あります。そのほか菊池委員から資料が提出されて います。 乱丁、落丁があります場合は事務局までお知らせください。 ○遠藤座長 それでは、早速、議題に入っていきたいと思います。本日の議題は、 「看護教育をめぐる現状と課題」ということで進めたいと思います。前回、フリートー キングをさせていただきましたが、その中身については、看護基礎教育の問題や新卒看 護職員の現状など、非常に幅広い議論が出されました。ご意見の中に、例えば基礎教育 と新人研修との関係の議論がされ、この検討会はどこまでやるのだろうかという議論も 出ました。そのようなことも踏まえて、今後の検討会の議論に資するように前回のご意 見をまとめたものを作成するとともに、今後の検討会の進め方について説明するように、 私から事務局に対してお願いしてありました。それについて本日は説明していただきた いと思います。したがって、議題に入る前に事務局から、今後の検討会の進め方につい て説明していただき、併せて用意した資料についての説明をしていただきたいと思いま す。それでは事務局から説明をお願いします。 ○看護職員確保対策官 まず、今後の検討会の進め方ということで、座長の指示を踏ま えて考え方をご説明したいと思います。  第1回の検討会においては、いろいろたくさんのご意見をいただきました。特に検討 の範囲、あるいはアウトプットのイメージをどうするのかというのもありました。前回 アウトプットに関しては、看護課長から、現状のさまざまな問題を洗い出すことで、 今後の看護教育のあるべき姿、そして国民が看護職員に何を求めているかを明らかにし ていただいて、そういうものを満たすためには看護の教育はどうあるべきかを議論して いただければと申し上げました。そうしたことが大きな方向性とすれば、その全体的な 検討のスケジュールのイメージについは、前回は、途中必要があればワーキンググルー プにお願いして、12月ぐらいを目処にとりまとめと申し上げ、まずは基礎教育に関して の現状や課題について、皆さんに議論を出し尽くしていただくことが必要ではないかと 考えております。その上でいろいろ出たご意見について整理し、必要に応じてワーキン ググループにおいて詳細な検討を行っていただくということを考えております。  あとで詳しくご説明しますが、前回の検討会のご意見について整理したものを用意し てあります。それを見ますと、ご意見が出た範疇というか範囲というかレンジは、大体 前回のご意見の射程に入るのかと考えておりますが、一方でまだ議論がし尽くされてい ない、あるいは詳細な分析が必要なものもあると考えております。したがいまして、 あと2回ぐらいは前回出されたご意見の論点ごとに、さらに突っ込んだ議論をお願いで きないかと考えております。その後の進め方については、ワーキンググループに対して 何を委ねるか、あるいは引き続き何を検討するのかなどを整理し、座長と相談して、 皆様にお諮りしたいと考えております。  本検討会の検討範囲ですが、新人看護職員の研修についても議論するべきではないか というご意見も出されました。看護の基礎教育と新人看護職員の研修は不即不離の関係 にあると思いますが、新人看護師の研修のあり方については、昨年、医療安全の確保の ための保健師・助産師・看護師法等のあり方の検討会で、制度改正に関する議論の中で、 別途検討すると提言されておりますし、そもそもこの2つを詳細に検討することは時間 的にも余裕がないということで、本検討会においては、前回ご説明しましたように、 基礎教育の充実のあり方を検討することを設置の趣旨にしております。本検討会におい ては、看護の基礎教育で何をするのか、看護の基礎教育と新人教育の研修の役割分担な どについて議論していただき、看護の基礎教育はどうするのかを議論していただければ と考えています。もちろんそのときには役割分担とか、どのようなことに関係があるの かは議論として波及するにしても、メインは基礎教育の充実ということでよろしくお願 いしたいと考えております。  先ほど、あと2回は議論をしていただきたいと申し上げました。それをどのような形 で運んでいくかについては、資料1の1頁に1と2と2つありますし、2頁には 「3.看護基礎教育の内容に関するもの」、3頁には「4.教育期間に関するもの」、 「5.看護と保健、助産の位置づけに関するもの」という5つの論点に分けられるのでは ないかと考えています。先ほどご説明した看護課長の前回の発言も踏まえますと、具体 的には、資料1において整理した項目である、看護基礎教育で習得する看護技術と臨床 現場で求められるものとのギャップ、2.看護基礎教育と新人看護職員の研修との役割分 担、3.看護基礎教育の内容、4.教育期間、5.看護と保健、助産の位置づけ、というの が大きな論点で、この分類で議論できるのかと考えています。  一方、いずれワーキンググループにお願いすることもあり得べしと申し上げましたが、 今後の検討次第ですが、前回看護課長からも、少なくとも現行の指定規則のカリキュラ ムについて見直していただきたいと言いましたように、カリキュラム改正を念頭に置く と、看護師教育と保健師、助産師教育については、別に議論することが議論を深めるこ とも適当と考えています。したがって、本日と次回に分けますが、本日は、いまご説明 した5つの論点のうちの最後の「看護と保健と助産の位置づけ」を除く4つについて、 看護師教育の観点からご議論いただき、次回は保健師、助産師教育について、同じく 4つの論点についてご議論いただき、本日の議論と次回の議論を踏まえて、併せてその 後の看護と保健、助産の位置づけについてご議論いただきたいと考えています。  まとめますと、今日は看護師教育についてご議論いただき、次回は助産師、保健師教 育についてご議論いただいて、看護、保健、助産の関係について議論していただければ と考えています。  引き続き資料の説明をいたします。資料1ですが、前回の主なご意見ということで、 我々のメモを基に皆様のご意見をまとめたもので、表現ぶりが違ったり、まとめ方に 多少趣旨が違っている場合は、その旨を含めてあとでご発言いただきたいと思います。  まず1つ目の「看護基礎教育で習得する看護技術と臨床現場で求められるものとのギ ャップに関するもの」です。前回、看護の基本技術の習得状況に関する資料を示しまし たが、その資料に記載されている基本技術ができたとしても、現場とは大変乖離してい るのではないかというご指摘がありました。2つ目は、配置部署の専門的な知識・技術 を持っていないために、医療の現場についていけず辞めていくのではないかというご指 摘もありました。3番目は、そういった離職率の問題ですが、離職率が基礎教育の問題 ではなく、臨床研修の体制も非常に重要ではないか、そういう視野も入れてはどうかと いうことで、先ほど申し上げたような我々の考えを示しました。  2番目が「看護基礎教育と新人看護職員研修との役割分担に関するもの」です。ここ では基礎教育でやっていない基本技術について、基本的な知識を持っているか、またそ の基本的理解ができる能力があるのか疑問な状況にある。そうすると、病院にはさまざ まな種類がありますが、現場と学校教育の乖離が難しいので、ギャップがあることを 前提として、養成課程で教育すべきこととオン・ザ・ジョブでやるべきことは区別して 考えなければいけないのではないか、というご指摘がありました。3番目の○ですが、 教育期間や卒後臨床研修が可能かどうかによって、基礎教育での到達レベルも変化して くるというご指摘。そういう両者の関係を考えるべきであるというご指摘をいただきま した。  2頁です。「看護基礎教育の内容に関するもの」としては、病院に入ってからトレー ニングが必要ということは、基礎教育が必ずしも十分ではないので、現行の指定規則は どこか問題で、見直す必要があるのではないか。2番目は、国家資格を持った場合、 何ができればどういう仕事をさせられるのかをきちんと整理する必要がある。3番目に、 前回のカリキュラム改正から10年経って、その10年の間に日本の医療、医療技術も 大きく変わっていますが、基礎教育はあまり変わっていない、というご指摘がありまし た。専門性という議論もあって、変化に対応できる看護師という意味の専門性と、今の 技術に対応する専門性という議論も考えて基礎教育の内容を考えるべき、というご指摘 がありました。  次の○で下の2行では、基本的な力を付けるためのカリキュラムの内容、構成など、   もう少し焦点を絞った基礎教育のあり方を考えるべきだ、というご指摘がありました。   特に今は技術の部分が少ないということで、基礎教育のあり方、特に技術のところで、   臨地実習の充実をもっと真剣に考えていかなければならない、というご指摘がありまし た。  いくつかの検討会でもそういう議論があるということで、すでに検討されております ので、求められていることができるためにはどうしたらいいかという具体的な課題解決 の議論が必要ではないか、というご指摘がありました。その際、考えるべきこととして、 基礎教育のあり方は、患者側がどういう看護師であってほしいか、あるいは患者と家族 たちが求める看護師像みたいなものも同時に議論して基礎教育も考えるべき、というご 指摘でした。  看護教育に入る前の高校までの教育の中での常識も、いま変化しておりますので、 以前と同じスタートラインからの積上げはできない問題もあるのだ、というご指摘があ りました。直截に基礎教育で何を充実したらいいのかを検討会で詰めてほしいという 要望もありました。  3頁です。現在、そうした臨床と教育とのギャップがあり、看護の卒後研修の役割分 担をどうするのか。そういう点も踏まえて基礎教育の内容をどうするのか、そのような 議論になったときに、教育期間の議論が出るのではないかということで、「4.教育期間 に関するもの」を用意しました。いま3年間の課程を採っていますが、それを前提にす るのかどうか。4年間で看護師と保健師を与えることの是非も含めて議論してほしい。 教育期間の延長が重要であること、検討が必要であることは前回ご紹介しましたように、 いくつかの報告書で出されていますので、そのためにどうするのか、あるいは具体的に さらに議論が必要ではないか、というご指摘がありました。実際に3年間では、内容を 変える工夫をしているが、工夫の余地にも限界があるということでした。  他職種の状況などもありますが、基礎教育のカリキュラムの改定の都度、総時間、 特に臨地実習の時間が少なくなっているので、教育期間の延長を含めて、まず臨地実習 の位置づけについて、臨地実習はどうあるか、教育期間はどうあるのかを考える必要が ある、というご指摘がありました。期待される役割、学ぶべき知識などが増えているの に、10年来、教育時間は変わっていない。この年限では足りないので、単にカリキュラ ムの改正にとどめるべきではない、という強いご意見もいただきました。  「看護と保健、助産の位置づけに関するもの」は5で、看護制度全体、あるいは看護 教育全体という趣旨でも書いてありますが、この検討会において、こうした看護基礎教 育のあり方のグランドデザインを作ったらどうかということで、今は4年制の大学が 増えており、保健師、看護師を100%履修しているが、そういうものは保健師側からも 問題が指摘されているということで、そういうものも看護と保健との関係が議論になる のか。その次に大きな問題として基礎教育はどこまでなのか。生涯教育なども入るのか どうかという 指摘がありました。  さらに、これも大きな問題ですが、3師について、ジェネラルな教育でいいのか、 他国のようなアドバンスコースと位置づける議論も必要なのか、というご指摘がありま した。さらに、看護基礎教育と保健師、助産師が入ったが、バランスもきちんと考えて ほしいということで、先ほど申し上げたように分けて議論をするということです。これ が前回の主な議論です。これに沿って、本日はご議論いただければと思っています。  資料2〜4は、前回、委員の方から要望のあった資料です。資料2は、武委員、浅田 委員から、前回、当方の委託調査によって、新卒の看護職員が1年以内に辞める離職率 が、医療機関全体で8.8%と申し上げましたが、病床規模別に見てほしいというご指摘 がありましたので、同じ調査を病床規模別に分けたものです。上の表では、真ん中に 離職率とありますが、これは病床規模が大きくなるにつれて、全体では離職率が小さく なっていると言えるのではないかと思います。  病床規模別の区分の中で、調査対象となった病院の離職率の数を整理したのが右の表 ですが、それを色分けしたグラフが下にあります。例えば、いちばん上の200床〜 299床をどう見るかというと、黄色の148というのは、200床〜299床の調査対象病院が 265あって、そのうち離職率1%未満が黄色で148病院、いちばん右の濃い青は、離職 率20%以上の病院が265病院中、64病院です。  これを見ますと、離職率の低い病院は、病床規模の小さいほうで、離職率の割合がだ んだん小さくなっていくと言えますし、他方で、離職率が高い病院も比較的小さな規模 の病院にあり、大規模の病院に行くと、離職率の高い病院の占める割合が小さくなって いるのではないか。特徴的なのは、500床以上の病院ですと、それぞれ離職率の割合が、 同じではないまでも他の分類に比べると、ほぼ同じような幅ではないかと読めます。 評価はいろいろあろうかと思います。  2枚目ですが、「職場定着を困難にしている理由」について全体でまとめましたので、 同じように病床規模別で出してほしいというのがありました。前回は、職場定着の困難 な理由については、本日ご説明する看護部長、施設側の調査と、新卒の看護師に対する 調査を用意しましたが、病床規模別で用意できるのが看護部長宛の調査ですので、それ だけを用意しました。  いちばん左の欄に「従来より高い能力が求められるようになってきている」と言って いる看護部長の割合は200床〜299床の51.9%に対して、500床以上は66.7%というこ とで15%ぐらい高くなっています。次の「能力のギャップ」も10%以上の開きがありま す。この数字の違いをいろいろ考えなければいけないと思います。  一方、左から4番目の「計画的に育成する体制が整っていない」というのは、大きな    病院ほど小さい数字で、小さい病院ほど大きくなっています。その2つ右の「交替制な ど不規則な勤務形態による労働負担が大きい」というのは、大きい病院ほど大きいのか と言えます。これも離職という意味でのことを言っているのかと思われます。右から 5つ目の「現代の若者の精神的な未熟さ」というのは、大きな病院は大きくなっていま すが、全体的に水準は高いということで、その辺の評価もあろうかと思います。  資料3です。これは榮木委員から、最近、養成施設に入っても看護師になろうと思う 人が減っているのではないか、というご指摘があったので用意したものです。タイトル は「看護師養成課程卒業者の状況」です。この見方はどういうことかというと、平成8 年の欄でいうと、平成8年にさまざまな養成課程を卒業された方は43,287人おられ、 右側の入学時学生数というのは、それぞれ異なった課程の同級生の総数で、43,000人が 卒業したときの入学時の同級生の総数が46,000人で、卒業割合は93.3%ですから、 残りの7%弱の方は途中で退学されたということです。  卒業した43,000人はどういう進路状況かというのが右の3つで、看護師として就業さ れた方が37,285名、進学が2,581名、その他というのは、受験浪人もあるでしょうし、 他職種あるいは企業等への就職で3,421名です。「参考」として右側に国家試験受験者と いうことで、卒業者という表にしました。新卒だけで分けているのが平成9年以降なの で、平成9年以降ですが、例えば平成9年の卒業生は45,372人いましたが、国家試験は、 ほぼ同じ数の方が受験していますし、平成17年も卒業生は700人弱ほど違いますが、 ほぼ受験していると言えるのではないかと思います。  資料4は「看護師3年課程 教育時間の推移」で、石垣委員からカリキュラムの改定ご とに総時間が少なくなっている、特に臨地実習が少なくなっているのではないかという ことで、これまでのカリキュラム改定の変遷です。これまで4回カリキュラムを改定し たことがありますが、昭和26年は総時間5,077時間だったものが、平成8年改定では 2,895時間になっています。そのうち問題としてご指摘された専門分野の臨地実習につ いては紫の欄でこのように減っています。  2頁は実習時間の内訳です。昭和26年と昭和42年以降では臨地実習の時間の分け方 が違うので、昭和42年以降だけにしました。下から2番目の成人看護学の分がぐっと 減っていますし、平成元年から平成8年にはさらにそれが細分化されており、その背景 に医療の高度化、多様化があるのではないかと推察されます。特に平成元年の真ん中の 630時間の成人看護学が、平成8年には360時間の成人看護学と180時間の老年看護学 に変わって、そういう形で実習時間が細分化されています。 ○遠藤座長 引き続き、本日は菊池委員から関係する資料が提出されておりますので、  菊池委員から資料説明をお願いしたいと思います。 ○菊池委員 私のほうから提出いたしました資料についてご説明いたします。これは 資料2とほぼ同様の調査項目を2005年に調査した結果です。全国の病院を対象に調査を いたしました。1頁目の下のほうに結果がありますが、新卒の採用者の離職状況ですが、 2004年4月の採用者数が20,709人で、そのうち1年以内に退職した者が1,923人で、 全体を平均すると9.3%の離職率でした。  2頁目は、それを資料2と同じように病床規模別に見たものです。こちらは20床以上 の病院すべてを対象にしております。資料2は200床以上の病院でしたが、こちらは もう少し小さい病院も対象にして調査をしております。病床規模別に離職率を見ますと、 20床〜99床の小さい規模ですと18.0%、100床以上が13.7%で、病床規模が大きくな るに従って、全体の離職率は少なくなる傾向がありました。20床〜99床の病院では 199の病院が新卒を1人以上採用していましたが、これはこの調査項目に回答した病院 の約44%ということで、56%は新卒を1人も採用していないという状況です。199病院 で472人の採用ですので、1病院平均が2人ぐらいの規模ですから、1人辞めてしまう と離職率が50%、100%と出てしまい、離職率の分布は非常に低い所がかなりを占める のですが、高い所も割合が多いということで、全体を、単純に退職者数85人を472人で 割ると18.0%という高い比率になっています。  200床以上になると83%の病院が新卒者を1人以上採用しております。200床以上で 比較しますと、資料2と大体同じような傾向で、病床規模が大きい病院ほど離職率が低 いという結果が出ております。これは病床規模だけで見ておりますが、急性期病院など タイプ別で見ますと、少し違う結果が出てきます。急性期のほうが慢性期に比べて離職 率が高いという結果が別途出ております。 ○遠藤座長 それでは、まず事務局から方針と検討の範囲についての話があって、前回、 議論の中に出てきた課題について1〜4までの資料が提出されました。関連して菊池委 員から、ただいまの資料が提出されました。具体的な議論はこのあと1〜4までに分け て十分議論していただこうと考えております。まず、今の資料と事務局が言われた検討 範囲、進め方についてご質問を受けたいと思います。 ○草間委員 いまご説明いただいた資料で確認させていただきたいのですが、資料3で、 看護師養成課程の卒業者と言った場合に、養成課程は3年の、いわゆるディプロマコー スと4年の大学も入っているわけです。たぶん大学ですと保健師または助産師も同時に とれるということで、先ほどその他は受験浪人をしているというお話でしたが、そうな ると社会の方々が見たときに、「えっ、3,400人もそうなの」ということになって、大変 誤解を受けると思います。これは養成課程の中に大学が入っているので、看護師が不合 格でも、保健師または助産師として就業した者もいると考えるべきではないかと思った のですが、資料をそのようにとっていいのか どうかということをご確認いただきたい と思います。世間に対して誤解を与えるとよろしくないので確認させていただいていま す。 ○遠藤座長 事務局、お答えください。 ○看護課長 ご指摘のとおり、その他の説明の中で不十分だったかと思います。大学を  卒業して保健師、助産師として就業している者が、例えば平成17年ですと、保健師とし て就業した人が409人、大学を卒業して助産師になった者が429人おりますので、 840人ぐらいがこの中に含まれております。そういう意味では、その部分のご説明が 足りませんでした。 ○草間委員 ありがとうございました。 ○遠藤座長 ほかにございますか。それでは、事務局から冒頭にお話がありましたよう な進め方、検討範囲についても、そのような合意が一応形成されたと考えてよろしゅう ございますか。何か進め方についてご発言があれば、この段階で承っておきたいと思い ます。それでは、そのような流れで進めさせていただきたいと思います。  本日は議論をしなければいけない4つの課題について、議論を進めていきたいと思い ます。これは先ほど5つに分類していただいたものの中の1〜4までについて個別にご 議論いただきたいと思います。時間の制約がございますので、1つの論点に15〜20分程 度を目処にしたいと思います。最初の議題ですが、「看護基礎教育で習得する看護技術と 臨床現場で求められる看護技術のギャップについて」で、前回の議論が少しまとめられ ていますが、まとめた内容についてのご意見でも結構ですし、新たなご意見でも結構で すので、ご自由にお願いしたいと思います。 ○菊池委員 先ほどご説明があった資料4を聞いておりますと、昭和26年から平成 8年にかけて3年間という枠は変わらないのですが、教育の時間が非常に少なくなった。 特に臨地実習の時間が非常に少なくなってきているというのがはっきりしているかと 思います。2頁目で、臨地実習をこの間だけで見ても、専門の科目数が、国民の医療の 変化に合わせて変わってきているわけで、絵で見ると、1科目当たりの時間が非常に少 なくなってきていることが、このデータからも明らかになっているかと思います。  そういう中で一つひとつの臨地実習で十分技術等を身に付けられないということが 出てきているということで、ギャップの背景として、制度の変化が非常に大きく影響し ていると読めると思います。あとの4番目の議論にかかってくるかと思いますが、ギャ ップの背景に実習時間の変化があるということで、制度的に考えていかなければいけな い問題ではないかと思います。 ○遠藤座長 早速実習時間の話になったわけですが、これに関連しても結構ですし、 そうではない課題でも結構ですが、何かございますか。 ○羽生田委員 卒業してすぐ病院で技術が足りない、知識が足りないというお話が、 現場等のギャップということで載っていますが、卒業してすぐできるほうが少ない。 医師も卒業してもすぐはできません。当然卒業したあといろいろな所で習っていくこと によって、技術を学び、いろいろなことができるようになっていくわけで、そこをどの ように求めるかがいちばん問題だろうと思います。  私がずっと感じているのは、卒業したての看護師たちも、知識も技術も持っている方 がいっぱいいらっしゃいます。こういう所で、このように出てくるいちばんの問題は 教える側にあると思っています。例えば、医師の場合には教授にしても助教授、講師に しても臨床しながら学生を教えています。看護大学に行きますと、看護の現場に出てい ながら教えている方が非常に少なくなります。その辺で現場との隔たりが多少出てくる のではないか。このところのいろいろな意見を聞いても、教える側の現場と教育の接点 をもう少し多くしていくべきではないかと、私は前から感じていますが、そういう点も 考慮していただけたらどうかと思っています。 ○小山委員 教育者が現場と離れているという実態はありますが、現在の日本全国の 看護教育期間を考えますと、大学はまだ20%弱で、80%が養成所です。そうしますと、 養成所の教員の数は、カリキュラムの講義をする時間と実習時間も含めて考えても最低 8名と大変少ないのです。最も実践能力を養うための教育として重要な実習は、時間数 が減っただけではなく、実習のやり方として、大変厳しい現状があります。1つは、 現場が急性になってきて、経験できることが少なく、学生を一人立ちさせるまで相当時 間がかかります。1昨年全国調査をしたときには、実習指導体制さえも、現場の看護師 が浮いて実習指導できるという現場ではない、自分の実務をしながら、患者を看ながら 実習指導をしなければならないという所がほとんどでした。  そのような中で実践能力が卒業時点で身に付いていない理由のひとつは、実は看護教 育の人的資源が不足しているためでもあると思います。それを学校の教員も今は難しい ではないかというご指摘があるとしますと、臨床実習を充実させるための人材を 充実 させることによって、それがより看護教育を充実させることになるかと思います。 ○石垣委員 基礎教育と臨床現場でのギャップは、これまでも議論がされてきたことで すが、技術が問題です。広い意味で技術ということを考えますと、資料4でご説明いた だいたように、臨地実習が非常に短くなっているし、その中身も限られています。患者 は24時間生活し、療養しておられるわけですから、24時間の生活を見ることも必要だ と思います。また、就職して間もなく複数の患者を看ることになりますが、1人の患者 しか看たことのない新人が、大きなストレスになります。現場ではどのようなルーチン で医療やケアが行われているかという全体像を学ぶ機会もありませんので、そのギャッ プも大きいと思います。ですから、いまの臨地実習の時間内でそのことを求めることは 難しいので、4にもかかわってきますが、教育期間の全体を見直しながら、臨床実習の あり方を考えるというのは、重要なポイントだと思っています。 ○太田委員 実習時間の問題で言いますと、昔のカリキュラムの場合には、臨地という  名前ではなく、臨床実習と表現されていたと思います。この実習時間数の中には、学内 でのトレーニング的な部分も臨床に出るための準備であるということで含まれていたの は 事実だと思います。現在の場合は臨地実習ということで、純粋に現場で体験してい く学習が、臨地実習として位置づけられています。  一方、知識的な学習はほとんど変わりない時間で確保されていますが、実際に技術的 なものになると、1回の体験で身に付くものではないので、実際の減った時間の中の学 内で臨地に出るまでの間に、ある一定の基準までマスターしていく部分の時間、いわゆ る演習と言われていた時間が大幅に減っています。そういう所では、それをある程度や る時間がない限りは、やれないままで実習に出て、少ない体験回数でということで二重 の達成、習得していくことの困難性というのが、現在の教育の中では出ているのではな いかと思います。 ○村嶋委員 最初に質問すればよかったのですが、臨床実習が臨地実習になった背景に は、統合カリキュラムで保健師と看護師の教育を一緒にすることになったために、保健 所や保健センターに行くことを含めて、実習に入れたので、臨床実習が臨地実習と名称 が変更されたと聞いております。これは質問ですが、「看護師3年課程実習時間の推移」 ということなのですが、この中に保健師の部分はどのように含まれているのでしょうか。  それから、実質、地域看護学実習の中に、大学では在宅看護と保健所の実習と相互乗 入れでやっている所がありますので、実質はもっと少ないのではないかと思いますが、 その辺りはどうなっているのでしょうか。 ○遠藤座長 重要なご指摘ありがとうございます。すぐお答えいただけますか。 ○看護課長 保健師の地域看護学習に関しては、例えば平成8年の1,035時間の中には  含まれておりません。保健師の場合は地域看護学実習が3単位ありますので、掛ける    45時間の135時間分が、地域看護学実習としてさらに追加されるべきものというのが、   現行の指定規則の考え方です。いま時間数で申し上げましたが、現実にはこの指定規則 は単位制で表示されています。 ○武委員 看護師免許を持った人に対して、何が求められているかを教育の場の人が 意見をいま言われたわけです。私は患者の側からの意見、国民の側からの意見を言わせ ていただきます。  患者は、1年目であろうが2年目であろうが運転免許と同じで、看護師免許を持った 人には、ある一定のできるものを要求しているわけです。この間の論議の中で、新人看 護師が蘇生術ができることは求められていないというのがありましたが、これは患者側 から 言えばナンセンスです。蘇生術どころか、いまは心臓が止まったのにショックを 与えるAEDを扱える人が患者の中にもたくさんいるわけです。ましてや看護師がこん なことができないなどと言ったら、患者から笑われます。  いま医学はどんどん変化しており、我々がやることは、看護大学の先生方の10年前の  感覚といまの現場とはどんなに違っているかということを、班を作ってもいいですから 検討してほしい。人工呼吸器も大きく変わりましたし、点滴の装置も変わりましたし、 コンピューターも導入されて、私が臨床の現場にいてびっくりするほど、この10年で 変わっているわけです。ですから、10年前に看護師に求められているものと、いま看護 師に求められている内容は違うはずです。違うからこそ訴訟がどんどん増えているわけ です。  つまり、いま国民は看護師、あるいは医師もそうですが、卒業したての医師であろう とちゃんと研修して、これだけはできないと訴訟するわけです。だから、三井住友海上 は看護師向けの賠償保険を新しく作りました。新しく作ったということは、訴えられる ことが多くなって、「保険に入っておいた方がよいですよ」ということなのです。そうす ると、そのレベルの運転免許を与えるからには、そのレベルのものを持って卒業しなけ ればいけない。この10年でものすごく医療現場は変わっていますので、それが変わった ということをもう少し細かく分析して、教育の内容を、かつて1,770時間あった臨地系 時間が1,030時間に抑えられたのを、また元に戻すぐらいのことはしないといけないの ではないかと思います。 ○遠藤座長 それは個別のワーキンググループの中での課題にもなるかと思います。 ○小山委員 看護基礎教育で習得する看護技術と臨床現場で求められているものの   ギャップの考え方ですが、基礎教育のほうでも一生懸命教育して 出しているつもりで す。基礎教育では、社会の動向を見て、今日の看護師として、あるいはこれから数十年 働ける看護師として、どのような能力を身に付けていればいいかということで、学生た ちも一生懸命勉強して卒業させているつもりです。ところが、現実には現場とのギャッ プがあるという、この教育と臨床の認識の差を私どもはそろそろ合意点を持たなければ いけないのではないかと考えております。つまり、卒業時点での特に看護技術の到達目 標を、基礎教育が考えているものと、卒業後の受け入れる側が考えるものの合意を得た 上で、ギャップなく、スムーズに移行していけるように育てていくことが大事ではない かと考えております。  看護技術の到達目標をどの程度にすればいいかを、昨年1年、厚生労働省の研究費を いただいて研究した経緯がありますが、そのときには、ただどのような能力が必要かと いうことだけではなく、実際にそのような技術が病院で実習可能であるかどうかも調査 したところ、相当の技術が、学生たちに実習させることができなかったのです。そのよ うに実際には体験できないが、卒業時点でできるようになっていろということがギャッ プになるのだと思います。ですから、そこの合意点を見出すことによって、ギャップが 少しでもなくなるのではないかと考えています。もし研究データ等が必要であれば、 今後提示させていただく機会があればと思います。 ○遠藤座長 時間の関係もありますし、すでに話の内容が2の「看護基礎教育と新人看 護職員の研修」とオーバーラップしたところで議論が進んでおりますので、それも含め たところまで話を拡大したいと思いますので、ご議論いただきたいと思います。 ○草間委員 先ほど患者の立場からというのがありましたが、私も教育する立場として は、まさにクライエント・オリエンテッドナーシングという形で、患者に受け入れてい ただく看護ということで教育しています。  誤解があるといけないのできっちりさせておきたいのですが、前回のこの検討会で 説明がありましたように、厚生労働省あるいは文部科学省で、それぞれ養成課程や大学 を卒業したときに、どこまで到達させるべきかということで、養成機関の先生方だけで はなく、現場の先生にも入っていただき、もちろん保健所の保健師にも入った検討会を もち、ここまでは到達すべきであるという形で、130項目ぐらい挙げてやっております。  到達目標と言っても程度があるわけです。その辺が免許のない学生にできるか、でき ないかが問題で、一応到達目標というのは、こうあるべきだということを、厚生労働省 あるいは文科省がきっちり検討会を作り、文科省では、2回検討会の報告書を出してお りますので、看護師が養成課程を出るときには、これだけの技術は到達すべきである。 しかもどの程度までという数値目標まで出していますので、その辺は是非誤解のないよ うにお願いしたいと思います。  それから、先ほど羽生田委員から、実習で医学教育は臨床の教授がやっているではな いかというお話がありましたが、医学教育と看護教育の大きく違うところはどこかとい うと、医学部を作る場合には必ず附属病院をつくることというのが法令で決められてい るわけですが、看護師の場合は看護大学、あるいは看護の養成所をつくっても、実習病 院をつくることという法令は1つもなく、自分たちで実習施設を探しなさいということ で、それぞれの施設がかなり苦労して臨床現場、あるいは地域の実習の場を確保してい ます。私ども教育に当たっている者は、常に現場がどうなっているかを把握、現場と 乖離がないようにという努力はしているつもりです。例えば、日本看護系大学協議会等 では、ファカルティー・ディベロップメントという形で、それぞれのレベルで教員がど れだけの能力を身に付けるべきかという努力はしておりますので、その辺は是非ご理解 いただきたいと思います。現場と教員が必ずしも一致しているわけではありませんが、 かなり連携を保ちつつ教育を行っているという現状はご理解いただきたいと思います。  それから、医学教育と看護教育とは、スタートの段階でかなり違いますので、そうい う中でチーム医療、医師あるいはほかの医療職とチームを組んでいかなければいけない 看護職をどう育てていくかを、患者の立場に立って考えることが、この検討会としては 大変重要ではないかと思います。 ○浅田委員 ちょっとお聞きしたいのですが、実習の時間ということを言われたときに、 分野が分かれているのはわかるのですが、何を根拠にこの時間を出されているのですか。 つまり、90時間は90時間でこの実習はいいというのは、90時間で何らかの力を付ける ことができるということで、その時間というのはどのように算出されているのでしょう か。できない時間を要求してもできないわけです。総枠は決まっているから、こんなも のかということでやっていれば育たないわけです。  例えば、ここの表で言いますと、母性看護学は135時間あったのが、このグラフでい うと90時間で、45時間減っているわけです。それにもかかわらず、それで十分だと考 えられた根拠は何なのでしょうか。それは母性看護学が分かれて別の所に移って、そこ と何かが合わさって在宅看護学ができたからそれでいいということなのでしょうか。  もう1つは、先ほど言われた実習というものに対して、従来はオン・ザ・ジョブの中 で基礎的なスキルも身に付けるという発想でやっていたものに対して、そうではなく、 看護学校で演習とか、実習でトレーニングできるものはしておいた上で、それを応用す るというか、使う所が実習だと考えを変えたということだと思います。しかし、そのと きに基礎的なトレーニングの時間がほかの関係で減少しているから実習の効果が上がら ないというご意見だったと思いますが、そのように看護技術を基礎的なものと応用的な ものに分けたことの考え方は何かあるのでしょうか。つまり、なぜそのように転換した のかということです。  もう1つは、指定規則を変えることがいちばんの目標ですが、指定規則はカリキュラ ムと考えていいのですか。カリキュラムと考えるときには、カリキュラムにはいろいろ な概念があって、非常に幅が広いものですから、文部科学省はカリキュラムという言葉 を使わずに教育課程という言葉を使います。それはなぜかというと、指導法などは含ま ない形での内容と目標だけを言うからです。先ほどご意見があったように、カリキュラ ムというのは、広義の概念では指導法を含みます。そこまでを含めて、つまり、こうい うときにはこういう指導法をしなければいけないとか、こういうことを留意してやらな ければいけないということを含めて指定規則を見直すということであれば、先ほどの ご意見のように、看護教育でのやり方についても議論しなければいけないわけです。 そこはどの範囲を指定規則というのか、素人なので教えていただきたいと思います。 つまり、会の目的は指定規則を見直すということですから、そこはどういうことなのか ということです。  問題提起は、看護学校を出た看護師が、現場で実践的に即戦力ではなかなか使いにく いということを、たぶん病院でも感じておられる。それは病院側の視点だと思います。 では、そのときに医師はどのように感じているのか、あるいは患者はどう感じているの か、新人看護師自体はどう感じているのかという、いくつかの視点があると思います。 それも本当はお聞きできればいいと思いますが、そういう観点から見たときに、何が問 題だと感じておられるのかというのが、たぶんこの議論のスタートだと思います。そこ がまだ十分に出てきているようには思えないのです。ただギャップがあるとか、何とか と言われても、私には十分理解できない点があります。つまり、それぞれの視点で、 それぞれ問題を抱えていると思います。  例えば、私がもし管理者であれば、同じように扱いたいので、それはできないという のは問題だと思います。ところが、人を育てるという別の視点からいえば、いきなりは できないだろうと思っていれば、そのようには捉えません。そういういろいろな視点の 捉え方が違うのですが、そこでは何を問題とお考えなのか。  前回でいうと、やはり即戦力でやってもらわなければ困るというご意見から、ギャッ プという言葉が出てきたのだと思いますが、そこで何を問題にすればいいか。先ほど言 われたスタンダードというかクライテリアもあるのだとすれば、それができていれば別 にギャップとはならないはずです。それ自体も実はギャップの原因になっているとすれ ば、要求しているものとクライテリアがずれているということですから、そのクライテ リアは現実問題としては意味がないということです。その辺のギャップというのは何を 問題にされているのかをお聞きしたいと思います。つまり、議論のスタートがよくわか らない状態になっているので、そこを教えていただきたいと思います。 ○遠藤座長 4つほどあったと思いますが、最初の3つはかなり実務的なご質問に近い かと思います。最後のギャップは何かという議論は事務局が答えるものかどうかという こともあるかと思いますが、少なくともこの会議を開いた目的は何かということにもな るかと思います。事務局内の見解もあるかと思いますので、それもお聞きしたいという ことですね。お願いします。 ○看護課長 時間数が135時間が90時間に減った、その90時間の根拠は何かというお 話ですが、この平成8年のカリキュラムを議論する検討会の中で、基本的にはその平成 7年当時、看護教育をもっとゆとりのある教育にしようということが、1つ大きな課題 になっていたかと思います。そういう中で、その当時、全体で3,000時間を求めていた ものを、3,000時間ではきついので、もう少しできるところは減らそうという大きな前 提がありました。その結果、105時間減らしたという状況になっています。その中で 実習と理論の部分をどのように分けていくかという議論があり、理論学習の中に精神看 護学や在宅看護論という今日の新しい国民の健康課題への看護の対応ということで、 そうした枠組みを 新設し、それについては理論学習だけではなくて当然臨地での学習 も求めるという中で、細切れ状態になってきたと考えられます。  結果、135時間のどこを減らせるのか、どこを切り分けていけるのかという議論の中 で、135時間が90時間になってきた、あるいは630時間は成人看護学と平成元年ではな っていますが、この中には平成元年カリキュラムで老人看護学というものが入っていま す。その老人看護学の実習も含めた630時間で、当時は630時間を老人と成人を切り分 けることが難しいだろうということで作りましたが、この元年から8年への移行の期間 にあっては、さらに老年看護学実習ということは明確にできるのではないかということ で、その分を さらに取り出したという、いろいろな検討の経過の中で出てきたもので、 90時間あるいは180時間という時間はテクニカルに決まってきたという部分もあるかと 考えられます。それが1点です。  実習と学内演習との関連ですが、実習についてはまさに臨地実習ということで現場に  臨んで、その現場はどこであれ臨んでの実習ということで、学内での演習に関しては、   当然それ以外のいま申し上げた理論学習というような部分に含まれると思います。座学 の部分、あるいは学内で行う演習全部を含むもので、実習に出た段階では、患者に対し て実際に看護活動を学習としてさせていただくわけですので、当然安全であるとか、 必要な基本的な知識であるとか、そういうものは求められるわけなので、学内で十分な 演習をやることは当然のものとして、すでに看護教育会の中では合意されているものと 考えています。  指定規則の改正と私どもは最初の会でも申し上げましたが、指定規則の中には指定基 準も含まれています。カリキュラムというのは指定基準の中の一部で、別表で示してい るものですが、学校を指定するための基準として、例えば実習施設をきちんと確保する とか、教員が何人以上いなければならないとか、図書室、実習室がなければならない等々 が書かれているので、当然教育のカリキュラムや、これから先どのような看護教育を行 っていくかにあたっては、そうした部分の内容も当然に見直しせざるを得ない状況が出 てくるのではないかと考えています。  最後のギャップに関しての問題については、是非先生方のほうでご議論いただければ  ありがたいと思います。 ○浅田委員 いまご説明を伺った中でいうと、時間は要するに簡単に言うと根拠がない ということですね。それは文部省の学習指導でも同じなのです。総枠は決まっていて、 あとは週で割っていますから。そうすると、実際の授業の中では先生方はそれを自由に 裁量していて、例えば20時間と決められているけれども、1単元25時間でやっている 先生もいらっしゃるし、18時間でやっていらっしゃる先生もいる。つまり、実際にそこ で付けたい力を到達するかどうかで時間が決まっているわけです。このように枠を決め て、この中で90時間やっていればオーケーということは、いわゆる習得主義ではなくて 履習主義になりますから、何を身に付けたかではなくて、90時間やったという事実だけ でたぶん出ていくという可能性が強くなります。  ここで問題は、本当に90時間で精神科学で付けたい力はどうなのかということを議論 しないといけないだろう。それは、先ほど言われた設置指定規則の中でいちばんの根拠 はたぶんカリキュラムだと思うのです。つまり、カリキュラムがきちんと実行できるか どうかということで指定していくはずだとすれば、ここの議論はカリキュラムが実際に どうなのかということをきちんと問題にしないと、その上で設置としては何が必要だと いうことだと思うのです。それを先にそちら側に持ってきてしまうと話は逆になります から、ここでいうとカリキュラムが中心と考えていいのかと伺いました。  もう1つ、臨地実習と学校でやる実習や演習の問題です。確かに病院を出て、できな いということがあるのですが、これは先ほど言われたことにかかわってくるわけで、 そうだとすると、実習はものすごい制約の多いものだということです。それがリアリテ ィと乖離するということです。つまり、できることとできないことがあって、できるこ とはこれだけだと言われているのに、そこしかやっていない人に、いきなり全部やれと いうのは無理な話でしょう。そうだとすると、実習に行くときに、何らかの資格を与え ないと、資格というのはこれができるのだということを何かでやっていないと、そこま で踏み込めないではないですか。いまのお話を伺うと、そういうことが実はギャップの 問題点と捉えられるのではないですか。 ○武委員 1,770時間あったのが、1,000時間に落とされたというところが大きな問題 なのです。半分になったということです。それは何も論理的なことではなくて、当時30 いくつしかなかった看護大学がいまは129あります。それだけ増やすのに実習病院が 確保できないから、これぐらいにしておかないと、ということだったと私は思います。 当時、私は看護学校の校長でしたから、非常に愕然としました。臨地実習を半分に落と していいものかどうか。だから、そこで厚労省は間違ったと私は思います。どんどん 医療の現場が高度化していくのに、そこの場所に実習に行く時間を半分にするというの は大きな間違いなのです。  例えば自動車免許というのは、かつては路上運転時間というのはなかったのです。 だけど交通事故死が多くなって路上運転30時間と決まっていったでしょう。この路上運 転時間を増やさないといけない時期に、かえって半減どころか少なくなったわけですか ら、そこのところに戻らないといけないわけです。 ○ 浅田委員 いくら時間が長くなっても、質の中身が制約を受けているのだったら、 それはできないということを申し上げたわけです。時間がこのままでいいということを 言っているわけではなくて、実際に実習に行って、例えば1,000時間あろうが、そこで やれること、やれないことで制約を受けていて、やれないことがたくさんあるとすれば、 やれないままに看護師になって、職場に入ったら今度は全部やらないといけないという ことで、未経験なものがたくさんあるということでしょう。そこが実は問題なのではな いですかということです。  それは先ほど石垣先生が言われたように、例えばリアリティで夜中とか、複数の患者 を看れない。ところが実際に入ったら看ないといけない。どうしたらいいのですかとい うことです。それが実際にできない状態にある実習ということではないのですか。そう だとすると、何らかの形でそれに踏み込めるような形にしないと、現実の仕事と実習と は絶えず並行線で、ある一定の距離を保ったままだということではないですか、という ふうに思いました。だから時間の問題とは違うと思います。 ○遠藤座長 ご意見ということでよろしいですね。もうすでにテーマの3番目の教育内 容に入っておりますので、時間もちょうどいいので、いい誘導をしていただいたと感謝 いたします。榮木委員が先ほどからお手を挙げていらっしゃるのでどうぞ。 ○榮木委員 臨地実習で制約があるというのは、いまの状況では確かにやむを得ない 状況ではあるのです。看護業務で定められている診療の補助業務などは、やはり医療行 為にかかわりますから、なかなか制約があって臨地実習でもできないという内容ではあ るのです。療養上の世話の部分はある程度もっと臨地実習の中でこなしてもらってもい いはずなのに、実際に卒業した状況では、新採用者を受け入れる現場としては、それす らも経験があまりにも少ないという新卒者が多いのです。それはやはり臨地実習の時間 が非常に少なくなってきていて、経験回数が非常に少ないということが大きな原因なの だろうと思っています。  先ほどどなたかの委員からご意見がありましたが、1回で習得できることではない、   何回も経験を積んで回数を重ねて身に付けていくことも臨地実習の1つなのですが、 それすら行える時間の余裕がないということで、それを見直していく必要はあるだろう と思っています。 ○坂本(す)委員 私は実は3月31日まで病院で看護部長をしておりましたので、     1カ月ぐらいしか教育の場にはいないのですが、どちら側からもお話ができるような気 がするのです。まず現場のナースたち、それから1年の人たちに話を聞いてみると、 不安でしようがないわけです。だから、昔はどうだったのかと思うのですが、いまの人 たちは大変不安ということを言います。大学生でさえも看護師になることが不安といま 言っています。それからヒヤリハットの事例は1年目は多いです。離職率が高い。現場 はものすごく早く1人立ちを求めています。それは10月ぐらいから人が減ってきて、 一員にならざるを得ない状況です。これは一体、何がそうさせたのかというと、医療界 の大変化です。この変化に対して教育的な基礎教育を変えざるを得ない状況にきている と思います。患者の視点に立った場合も同じで、患者から見ればその不安な人たちが ボーっと立って、あるいはあれをしようか、これをしようか、これをしていいのかと、 根拠もわからないまま手出しをするところにおいては大変不安である。  ではどのようにすればいいのかということですが、先ほど大学の先生方がいろいろ 話をされていましたが、まず1つは、現場と大学側が一緒になって到達目標を作らなけ ればいけないということで、到達目標はできているとおっしゃっていますが、現場が どれだけそれに関与しているかということと、知っているかということにおいては、 私が看護部長の時代は、附属看護学校を持っていましたが、あまり理解をしていない。 これは現場が悪いのだと思うのですが理解していない。これを一緒にどうやってやれる かという1つの場の問題があると思います。  技術の到達内容の問題を両者でやらないといけない。場をどこでするかという問題は、 先生方は教育現場がないので、しようがないので自分の大学や看護学校でそういう場を  作って教えざるを得ない状況があるということです。現場に出てくればいいのにと思う のですが、そんなにたくさん行くと現場が大変迷惑されるので、自分の実習室でそうい うベッドを作って、こういうときはどうする、ああいうときはどうするという実習を 絶えずやっている。私は現場から見たら、もっと現場にくれば百聞は一見に如かずで すぐわかるのにと思うけれども、それをやっている現実があります。  ではそのようにして一緒になってやって、場をどこにするかという問題はあるのだけ れども、それを一緒にやることになったときに何が問題になるかというと、時間です。 この時間というのは3年間の中で実習時間をどこに持っていくか、何時間に減らすか、 増やすかという問題には限界があると思います。なぜかというと、一瞬のうちに大変 変化する現場、急性期病院ならば、その変化に対応するにははっきり言って3年では 無理ということです。薬剤師が6年になった現状があるし、いろいろな人たちが4年制 の大学を出てきて、職業に就いている中で看護師が3年間の基礎教育を受けて現場にき て、さあやれというような状況に置いていること自体が、大変乖離していると思います。 ここではカリキュラムのことと時間のことをやはり検討していただきたいという気がし ます。 ○西澤委員 いま時間のことが出たのでお聞きしたいのですが、3年課程の実習時間は  わかったのですが、大学での実習時間はどの程度あるのか教えていただきたいと思いま す。 ○遠藤座長 おわかりになりますか。 ○看護課長 大学においても取得できる免許の最低ラインは両方少なくとも求められ ますので、例えば看護師国家試験受験資格と保健師国家試験受験資格を付与できる大学 の場合には、この看護師3年課程で求められる1,035時間23単位の実習と、地域看護学 の実習の3単位135時間分を合わせた分が、最低ラインとして求められることになって います。 ○西澤委員 そうであれば、いまは時間の問題を言っていたのですが、看護師養成に 限って言えば、いまの大学のカリキュラムであれば意味ないということですね。ここで 望んでいるのは、皆さん、実習が大事だから期間を延ばせというのですが、いまは3年 課程と大学があるのですが、いまの大学では全然意味がないということで、延ばすので あっても中身を変えなければ駄目だと理解してよろしいでしょうか。 ○草間委員 いま事務局からご説明いただいているのは、看護師のいわゆる3年課程の  指定規則に基づいてやっているわけで、大学は一応、先ほどもご説明がありましたよう に、統合カリキュラムということで看護師と保健師と助産師が取れますということでや っているわけです。だから一応看護師の指定規則は単位数でいうと93単位です。それに 対して大学の総合カリキュラムではミニマム125単位ということで、125クレジットを 取れば一応看護師、保健師の受験資格を与えますということなので、大学の場合はどれ を93に対応して、どれをというのは統合カリキュラムなのでお互いにやり合っているわ けです。大学の場合は統合カリキュラムで看護師と保健師を取れているということなの です。 ○西澤委員 言い方は悪いのですが、大学で4年制というと、一般の方は知らないので 看護師の教育課程で4年と勘違いされている方が多いと思うのです。実際いまは全部や っていることなので、その辺をきちんと分けて考えないと、議論がどうもおかしくなる のではないかという意味で申し上げたのです。だから分離して考えていただいて、大学 といったときには看護だけの4年制というものと、いまの4年制のものをきちんと分け て考えていただきたいという意味です。 ○草間委員 そういう意味で私も看護師の教育というのは、前回もお話させていただい たのですが、看護の基本的な部分ですので、看護師の教育をベースとして考える。保健 師、助産師をアドバンスとして位置づけるのかどうかという辺りが、これから大きな 議論になるのではないかと思います。看護師の基礎教育と考えるのか、看護職の基礎教 育を考えるのか、その辺が若干不明確ではないかと思います。だから明確にしていただ く必要があるのかもしれません。 ○坂本(憲)委員 私はあまり自分が健康で病気になっていないため、看護の状況が よくわからないのですが、皆さんのお話からそれぞれの部門でいろいろな問題があるの だなということを感じています。いろいろな問題があり、この委員会ができたと思いま す。看護の内容については、いちばん国民がわからないところであり、私たちにはいろ いろな影響があります。皆さんのご意見を聞いていて思うのは、看護の基礎教育でギャ ップがあるということです。ギャップ、ギャップとおっしゃるけれども、一体何がギャ ップなのか具体的なことがわかりません。看護の基礎教育というのはどこまでが求めら れていて、その中の何が足りないのか。現場で即戦力としてすぐ使えないというのであ れば、その即戦力はいまの技術が進展した状況で、医療側は何を必要と求めているのか、 不足している点を充実させるにはどうしたらいいのかという前向きな議論に持っていか ないと、議論が空回りしていると感じます。看護の教育が悪いからどうのということで はなく、ギャップが何か、どうすれば埋められるのかと問題点をもっと明確な形にして 議論しないと、と思います。医療を受ける立場として聞いていて、国民不在の議論では ないかと思いながら聞いています。 ○浅田委員 先ほどの坂本委員にお伺いしたいのですが、新任看護師が不安を感じると  いうのは、なぜ不安を感じるのですか。そこがきっと1つのギャップですよね。 ○坂本(す)委員 私が去年までいた病院は40人ぐらいが入社してくるのです。ギャ ップですが、例えば病床が50床あるとすると、50床の患者に対して自分が何ができる かがわからなくて、現場は動いているから、それに対してやらなくてはいけないという 脅迫観念にかられて、何もできない状況で、大変それが不安であるということです。 やってきてくださいということで頼まれたことが、その根拠と全体をつかんでいないた めに、それをやっていいのかどうかということの大変不安な状況に置かれる。これは おそらくドクターも同じだと思います。ドクターもレジデントに私は聞いてみたのです が、本当にそれをやっていいのかどうかということで右往左往すると言っています。 それを新しく就職した社員はどこの会社にいても同じなのだというのか、それとも何ら かの形でもう少しその人たちの不安を全体的にサポートできる方法があるのかないのか ということで、私は気になっているのです。不安というのは、自分がそこにいること自 体が不安とも言っています。 ○村嶋委員 先ほど坂本すが委員から、3年間の中でやるには限界があるというご意見 がありました。それを受けて西澤委員から、大学では看護師だけではないのか、保健師 も一緒なのかという疑問がありました。私は大学で保健師教育に携わっていますが、 大学で看護師と保健師を4年間の中で一緒に取らせることに関しては、大変問題が大き いです。問題にはいろいろな側面がありますが、いま保健師の国家試験受験資格が取れ る教育を、大学では必修にして、卒業要件に入っています。そうしますと、大学生全員 が保健師の受験資格を得て、大部分が合格します。保健師は従来ずっと2,000〜3,000 人の教育だったのですが、いま大学の学生定員は1万人になっており、そういう人が限 られた現場に押し寄せていくという問題と、薄まった教育しかできないために、本当に 保健師として就職をしたときに大変不安を感じているというさまざまな問題があります。  たぶん次回に議論いただけるのだと思いますが、そういう意味では大学の4年間の中 で保健師と看護師を一緒に教えていて、一緒に取れるというこの現状を、何とか改善し ていただきたい、改革していただきたいと思います。そういう意味でこの検討会では、 単にカリキュラムの改正にとどまるのではなくて、保助看法の第21条にある看護師の 国家試験の受験資格が3年以上という、その3年のところを何とか検討議題に乗せてい ただいて、その延長を図っていただきたいと思います。そして大学では4年間の中で 看護師と保健師が取れるという現状を何とか打開していただき、保健師や助産師はプラ スにするという、本来の姿に戻していただきたいと思います。 ○遠藤座長 保健師の問題は次回の検討課題です。重要なご指摘をいただいたというこ とで、次回にまた詰めた議論をしたいと思います。 ○山内委員 先ほどからギャップという言葉が出ていて、そのギャップを少しずつどん なものなのかと見ていくと、1つは教育のカリキュラム、教育の提供の仕方で対応でき るような、そうすべきようなものもあると思うのです。例えば基本的な実習は1人の 患者をまずきちんと看るというところから始まりますが、それを今度は複数の患者を 同時に持ったときに、複数の作業が同時にできるかどうかというステップを踏まないで、 いきなりそれが現実、というところが非常に大きなギャップの1つでしょう。それは 実習の中に そのような実習を織り込むという教育やカリキュラムの工夫というレベル の中で、ある意味では対応していったほうがいいかもしれません。  そういう問題と、そもそも看護の教育、特に実習の教育はこれだけ時間が少なくなっ た背景はというところの大本をたどると、ゆとりある教育にしたいということです。 そのゆとりがあるという教育という名の下に、本来すべきもの、本来国民に約束すべき ものに抵触していいのかという、そこに戻るべきだと思います。そうすると、それは教 育でどう工夫をしようと、いままで135時間でやっていたものを工夫で90時間になれる ものならいいですが、いままでのことを考えると複数回の実習をしたり、学生がそれを 体得するまでの期間を考えると、それは135時間を90時間に削ったこと自体が、そのと きの背景はあったかもしれませんが、謙虚に本当にそれでよかったのだろうかというと ころに立ち返って見るべきではないかと思います。  そうなると、そこに関しては教育の工夫ではなて、免許を持たせて社会に出させる   大枠に触れないといけないと思います。同じギャップとしても対応できるギャップと 対応できないギャップがあると、対応できないギャップに関しては3年間ではどうして も無理だという、いろいろな教育や現場の率直な意見を大切にすべきではないかと思い ます。 ○遠藤座長 すでに期間の問題にも入っていますので、基礎教育のカリキュラム、 いわゆる工夫の問題と期間の問題、両方を絡めた形でご発言いただければと思います。 ○小山委員 先ほど村嶋委員から、保健師を含めない大学の4年間という意見がありま した。いま看護師だけで4年間という意見がたくさん出ていますが、今日の保健医療の 動きをきちんと見据えて、看護師が行っている部分に相当保健指導が含まれている時代 です。特に在院日数が短くなり、地域に帰る、早期に退院されますので、看護師であっ ても地域での家族の周囲の状況や周りを見る能力が求められる時代になっていきます。 そうすると、いま保助看法で療養上の世話と診療の補助ということが看護師の業務とし て謳われていますが、そこに保健指導も含めることによって、国も予防医療にも力を 入れていますし、それも看護の役割である時代になってきていますので、変えるときに はその辺のところもよろしくお願いしたいと思います。 ○堀内委員 私も大学で看護教育に携わっておりますが、現在のギャップを考える場合、 特に実習においては従来と違い、まず受持ちの患者へのお願いやインフォームド・コン セントをとる状況の中で、かつ現場で忙しい臨床のナースの指導を受けながら、実際に 実習をやるわけです。そして見ておりますと、薬を患者に与えるというようなチャンス とかもグッと減ってきます。今日これだけ医療安全が重要になってきていますが、看護 学生がそういう意味での特に与薬のチャンス、薬を差し上げるチャンスや、モニター類 に関して慣れたり見たりするチャンスが、非常に少なくなっていると私は思います。  したがって、新卒で現場に出てからいろいろなことをマネジメントしなければならな いことに出会うと思うのです。ですから、もう少し学生の時代に、いままでの臨地実習 で一通り母性、小児、成人といろいろやりましたが、さらにその上のレベルとして複数 の患者を受け持つとか、もう少し与薬やME機器を用いたモニターのチェックや、モニ ターがある中で患者をどう危険なくケアするかということを学ぶチャンスに、もっと出 会わない限りは、とても怖くて卒業した後すぐにはできないと私は思います。  指定規則の改正にあたっては、基礎科目の中で薬理や機器に関しての基礎知識、医療 安全に関してどのような学習を重ねていったらいいかという辺りを、手厚くしていただ きたいと思っております。 ○西澤委員 いま期間の延長の話が出ているのですが、基本的には高度な知識・技術が 必要になってくれば、そのような考えは必要だと思います。その前に、いまの期間内で 本当にできないのかという議論を先にしていただきたいと思います。特に実習に関して は、いまは時間が短いだけではなくて、内容についても問題があるという発言がありま すので、万が一期間を延長して、実習の時間が長くなっても中身に問題があるのであれ ば、無駄な時間をかけるだけになる。まず臨地実習の中身の議論をしていただいて、時 間をかければそれだけの成果が出る。到達目標に届くような臨地実習は何かということ を議論していただいて、それがきちんとできる条件で臨地実習がどれだけ必要かとか、 そういう積み重ねで期間を議題にもっていっていただきたい。最初から期間を1年延長 という前提では、もしかしたら無駄な1年間を過ごすだけになる危惧があるので、これ をふまえて議論をしていただきたいと思います。 ○遠藤座長 ただいまの西澤委員のご発言について、何かご意見はございますでしょう か。 ○菊池委員 いまの医療の現状がこの10年間で大きく変わってきているという話が 先ほどからありました。その中で、新人が医療現場に入っていった場合に、一人前とし て動けなくて非常に不安を持っています。実際にサービスの問題として医療事故、ヒヤ リハットが非常に多いという問題も出てきて、能力のギャップが医療サービスの質の 問題として大きいということが1つにはあるかと思います。ただ、先ほどから話が出て います問題状況が文部科学省や厚生労働省の中でも認識されて、基礎教育がこのままで は不十分だから、このようにする必要があるという報告書がすでに出されています。 教員たちは教育の質を上げるとか、工夫をするという努力はこれまでもしているわけで す。そうやっていても、現場とどうしても乖離していくという現状がある中で、基礎教 育がこのままでいいのかということが、すでに話がされている。そういうことを前提に この検討会が開催されていると思いますので、それをもう1回振り出しに戻すというか、 そこまではする必要はないのではないかと思います。 ○西澤委員 振り出しに戻すのではなくて、いま皆さん方の発言の中で、実際に実習に  行ってもかなり実習の質にも問題があるという発言があったので、質の面をきちんとす るためにどうしたらいいかという議論を先にして、それからでないと期間をただ延長し ても、質が悪い延長であれば、何も意味がないのではないかということを申し上げてい るので、延長自体を反対という意味ではないのです。最初に期間延長ありきではおかし いのではないかということです。  医学での6年間というのも前からそうですが、私たちのころは講義が多くてポリクリ は非常に少なかったのですが、最近は時間が逆転しています。同じ時間の中で医学も 非常に教育を工夫しています。工夫している中で、いまの時代に合うようにやっていま す。まずそういう努力をするのが第一であって、それで、どうしてもこの時間ではでき ないと明らかになったときに期間延長ということでいいのではないか、ということを言 っているのです。議論が最初から延長になってしまうと、ちょっと違うなということで す。いまの皆さん方の発言の中にそういうものがあったので、言わさせてもらっただけ です。 ○坂本(す)委員 当然だと思います。例えば3年課程の中で、いまのままで延長して   4年にするのかという話については、私もそれは反対です。やはり内容を整理しないと いけないと思っています。というのは、実習上、私がいた病院と看護学校との乖離とい うか、どうしても近寄れない何かがあって、現場を気にして先生方はなかなか言いづら い。現場のほうも何か言ってきたら、それを一緒にやろうという姿勢は時間がなくてな かなか持ちづらい。ここを一緒にやる方法を何らかの仕組みで作っていくというのも 1つだと思います。  レジデント制だって、いま試行段階で、まだ評価も出ていませんが、一緒になってい ろいろなものを組んでいくことによってスタンスは違ってくるわけです。先生方は努力 をしている。実習側はもしかしたら受け手なので、そんなに努力をしているかしていな かったかというのは私は答えづらいのですが、そこを一緒にできるという仕組みを作り たいなと思います。時間的な問題はそういうことをやるスタンスを整えつつ、最終的に は判断していくことだと思いますが、とにかくどちらも何となく忙しすぎて、急激な 医療界の変化においてついていけないという実態にはきています。 ○遠藤座長 本研究会の進め方として、初めから教育期間を延長することを前提とした  議論をすることは、基本的な流れではありませんので、基本的に基礎教育を充実させて いくということを個別に検討していく過程において、最終的にそうなるのかどうか、 そういう議論ですので、そのところは最初からまず延長がありきということではないこ とだけは確認しておきたいと思います。今後の議論の中でどうなるかということだと思 います。 ○武委員 みんな基本的に共通して認識しておかないと、この会の意味がわからないと  思うのです。いま日本の看護師のいるところに大きな問題点があって、たくさんの看護 師が第一線の病院から脱落していっている。特に大学卒がたくさん脱落したり、逃げた りしていっている事実というのは、坂本委員が言われるように、もうここ1、2年の間 違いのない事実なのです。だから、いまの病院の現場に看護大学の卒業生が適応してい ないからこういう会がもたれて論議が良いほうにいくようにということになっているこ とは、共通認識として持っていてよろしいでしょうか。 ○羽生田委員 いまの考え方はちょっと違うのではないかと思うのです。資料2の病床 が200から500までの4段階に分けた中で、200床〜299床という黄色いところが非常に 多い。これは1%未満ということは離職率が非常に低いということですね。ところが いちばん右側の64というのは、この中ではいちばん多いのです。辞めないところも多い けれども、辞めるところも多いという、500床以上の場合には20%以上辞めるところが 15ということですから、それと比べれば少ない。だから、病床がどう、内容がどうとい う細かいところまではこれはわかりませんので、高度医療だから辞めて、初期医療だか ら辞めないということは、この表からは全然言えないのではないかと私は思います。 ○武委員 いま看護の社会でどんどん楽なほうにシフトしていっているという現象は  認めていただきたい。保健師のほうがいい。産業医の仕事がいい。学校の先生のほうが いい。これは医師も同じです。小児科、産婦人科、こういう職場からはどんどん脱落し ていっている。小児科勤務医、産婦人科勤務医と同じようなことが看護師の現場のとこ ろに起こっていて、それはアメリカでも起こっている。これはこの10年の技術革新によ って 起こってきた世界的な動きなのだということは共通のものだということで、この 話は進まないといけないのだと私は思います。 ○羽生田委員 確かに医師の場合も非常に大変な現場というのはだんだん嫌われてき ています。訴訟の多い科というのも当然敬遠されてきて、いまと同じようなのですが、 それとカリキュラムの問題で、新卒者が病院の臨床の場に出てきてのギャップと、いま の問題とは直接関係のない問題だろう。長い目、広い目で見れば少し関係はあるだろう けれども、いま新卒者が出てきました、すぐ辞めてしまう。それと全体的な社会の流れ はそうなのですが、実際にカリキュラムをどういじろうと、それは全く変化がないとい う結論になってしまうような気がするのですが、違う問題としてとらえないといけない のかと思っています。 ○浅田委員 今日いただいた資料の2の2枚目のところで、看護部長が見られた離職の  理由の中に、現在の若者の精神的な未熟さや弱さというのが挙がっています。看護学校 に入学されて、当然専門的なものがあるのですが、人としての成長というのは教育の中 にあるわけです。その部分が技術をものすごく重視すると、そういう部分はやはり弱い のではないか。そこの部分が本当に人間の生命というか、生きるか死ぬかの場面で常に 弱さが出てくると、やはりいやになります。そういう意味で教育という視点からいうと、 この部分は必要だと思うのです。  私は教育が専門ですが教師の場合もそれが問題になっていて、プロフェッショナルな  能力のディベロップメント、パーソナルなディベロップメントはコインの裏表みたいな ものです。そういう意味でいうと、カリキュラム上そういったものは必要だと思うので す。そこのところを入れて、それはどれぐらい実現できるかはまた別問題なのです。 少なくとも提言としてそういうものが必要なものはあるような気がするのです。おっし ゃるように、専門家として何ができるかと見れば、その部分が非常に強調されるのだけ れども、結局、看護は人と人とのかかわりですから、その人のあり方がものすごく影響 するわけです。ただし、医療と行為は最低限守っていただかないといけない。しかし、 それ以上に人とのかかわりがうまく機能するかはそこにかかわってくるわけだから、 当然そういう部分はカリキュラム上含まれてくるのだろうと思います。その部分が教育 でも医学でも看護でもそうだと思うのです。  実はそこを意外と離職の理由として看護部長が挙げておられるということは、もう少 し考える必要があるのではないかと思うのです。そこはカリキュラムの中で、それをど う文言として書くか、例えばクライテリオンと言われるとものすごく表現しにくいもの なのですが、そこの部分はきちんとやる必要がある。例えば看護師としてのアイデンテ ィティが出てくるのだと思うのです。そういうものはやはり必要だと思います。それ以 外のところでいうと、ギャップとか不安というのがあったのですが、医療事故を起こす のではないかとか、不安になってくるということは、何か1つ自信を持って看護ができ ていないということだと思うのです。  これだけは自信が持てるというものがあれば、そこに依って立つことができるのだけ れども、それが何もないということです。これがすごく難しいと思ったのは、専門でど んどん分科していきます。そうすると早晩ジェネラルで全部やらなければいけない。 結局強みがないのです。これだけはというのがあったときはできます。そこのところが 時間との制約の中で非常に薄まったと先ほど言われたと思うのですが、そこが自信が 持てないから何をやっていいのかわからない。本当に良いのかどうか判断できない。 つまり、そこで自分の依って立つものがないということです。  我々が何かをやるときは、何か自分のものがあるからそこに依って立ってどうだと 判断します。ところが、それがなかったら、結局はできない、動けないということです。 その部分がここの理由として、もちろん看護部長の判断で、新人の離職されたご本人は どう思っているかわからないのですが、少なくともその問題は提起されているような気 がするのです。そういう意味でいうと、いま言ったところをもう少し内容的なところは 十分に検討する必要があるし、このカリキュラムの中でということだと思うのです。  実習が短い長いは議論していただければいいと思います。患者に対して何か患者が   喜んだという経験は、ものすごく強いと思うのです。つまり自分が何かができたのだと   いうことです。それがあったら、やはり1つの自信を持てるわけでしょう。そういうこ とが持てないような実習になっているのではないかということを危惧しているわけです。  その辺りが看護で教えられている先生方が、実習の中で本当に、例えばプロセスレコー ドの中で学生からそういうものが出てくるのかどうか。全く出てこないとすれば、その 実習はただやっただけ。つまり看護師として訴えるものがないということです。そこが この看護部長が見られた理由として挙がってきているような、これは私のデータの解釈 です。違う解釈があるかもしれませんが、そこのところをもう一度考える必要があると 私は読みます。 ○石垣委員 いま先生がおっしゃったことは、まさしくその通りだと思います。いまの 臨地実習の状況では、患者と接することが極めて少ないのです。患者と接する時間がな いと、関わりの中から学ぶことは難しいのであって、患者と接する時間をできるだけ 多くしたい。いまは少ない時間のなかで、患者との関わりよりもむしろ、看護課程の 展開に重点が置かれるような感じがします。  しかし、基礎教育でも工夫がされており、最近はナラティブ・ペタゴジー、学生が 経験したことを教師が共有して、学生がそのことについて意味付けるということもされ るようになってきていると聞いています。新人は、患者からどう話していいかわからな いという、極めて初歩的な問題を抱えた人もおります。ですから、学生のときに患者と 接したときの達成感や関わりの意味付けなど、看護を行う者としての基本的な体験をも う少し重視するためにも、臨地実習の充実が必要だろうと思います。 ○村嶋委員 そういう意味では、臨床実習の期間をもう少し豊かにとることができるよ うになれば、在院日数は短くなっているのですが、ご自宅までフォローしていくとか、 そういう柔軟性のある実習ができると思います。そういうことを含めて、患者のケアの マネジメント、特に看護管理がいま公式な形でカリキュラムに入っていないというのは、 とてもマイナスだと思います。医療費が高くなるのは、私たちとしては食い止めないと いけないと思いますので、何らかの形でのマネジメント、看護管理ということも、やは り入れていかなければいけないと思います。  先ほど小山委員が保健指導と言われました。そういう言葉を使うかどうかはともかく として、何らかの形の患者教育はもっと行動変容への支援を含めて、もっと看護師教育 の中に入れていかなければいけないと思います。 ○武委員 一言で言います。このギャップは浅田先生、何かというと、運転でいえば    10年前の看護という仕事は、北海道の広い道をルンルンと走っていればよかったものな のです。いまの病院現場の患者から求められている看護師の仕事は、首都高速道路を 走りなさいと言われているのと同じなのです。だから、首都高速道路を走る技術が要求 されているときに、10年前の北海道の広い道であまり何もないような所を運転するよう な技術を教え込めば済むという考えは捨てないといけない。もうそんな患者に優しくと いうのは二の次、三の次です。まず人をはねないように、事故を起こさないレベルに到 達しないといけない、首都高を走らないといけない。  だからある医療団体会社がこういうものを作りました。模擬病院といって、人工呼吸 器も置き、コネクターとか、いろいろなものが毎年変わっていきますから、そこで人体 を使わなくても、病院を使わなくても、そういうものに慣れさせる。それだけでも効果 は違うのです。そういう器械やそういうものに一度触わっておく、慣れておく。例えば 除細動器です。模擬人体を使って一度ボンボンとやっておけばできるわけです。だから、 免許を持った看護師は、そういう首都高が走れるようなものに、少しでも近付いていか ないといけない。 ○遠藤座長 おそらくご議論はまだまだあるかと思います。基本的にこの議論はメイン テーマですから、今後も検討していくということですので、時間の制約の関係で、本日 はこのくらいにしたいと思います。前回、青木委員から資料のご提出があったのですが、   ご欠席されたので、資料の説明を羽生田委員からお願いしたいと思います。 ○看護職員確保対策官 この検討会のファイルの参考資料の前に付いている、「准看護 師養成カリキュラム単位制の導入について」という青木先生のお名前の付いているもの です。 ○羽生田委員 前回青木委員が欠席ということで担当が変わったのですが、わかる範囲 でご説明させていただきます。  いま、ほとんどの医療関係職種の場合、単位制が敷かれているという中で、准看護師 の養成カリキュラムが未だ時間制であるということから、今回、単位制にしてはどうか という提案です。2枚めくると、例1と例2とありますが、例1は見なかったことにし てください。いま現在の時間数1,890時間を単位制にしていただいたらどうかという提 案です。左側の1案については見なかったということで、是非お考えいただきたいとい うものです。これは今日結論をいただきたいということではありませんので、ひとつお 考えいただければということです。 ○遠藤座長 ご意見というのではなくて、この資料について何かご質問はございますか。 ○菊池委員 資料への質問ではなくて、この検討会は基本的には看護師の基礎教育を 検討するということで、その後、保健師、助産師の基礎教育も検討するということで 考えていてよろしいでしょうか。 ○遠藤座長 事務局、お願いします。 ○看護課長 基本的には看護師教育、保健師教育、助産師教育をということで考えよう ということが大元にはありました。一方、このような准看護師についてもこの部分を ご検討いただきたいという要望がありますので、こういったことについても何らかの 必要があれば、当然検討をせざるを得ないだろうと考えています。看護師3年課程のカ リキュラムが変わってきますと、准看護師の2年課程のカリキュラムも連動して変えて いかざるを得ないといったこともありますので、全般として最終的には時期はどのよう になるか考えていかなければならないだろうと思います。  なぜ、最初から准看護師も含めて考えなかったかと言いますと、准看護師の教育課程 は、平成14年に新しいものになっているので、そこはまだ時間的にも短いものですから、 基本的には視野に入れないでおこうと考えたという、それだけのことです。 ○遠藤座長 ほかにございますか。よろしゅうございますか。それでは本日は本当に 活発なご意見を頂戴しまして、今後、場合によってはワーキンググループなどを作って、 個別のテーマを検討することになるかもしれませんが、何を検討するかということに 関して、非常に有益なご意見を賜われたと思います。合意はすでに形成されていそうな ものもありますし、これは最後まで割れるなというものもあるような感じがしています が、今後も活発な議論をしていきながら進めていきたいと思っております。本日は用意 をした議題については、ご協力をもちましてすべて終了しました。次回以降の日程につ いて、事務局からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局(柴田) 次回は6月29日15時から開催する予定です。場所等は決まり次第、 別途正式なご案内をお送りしますので、よろしくお願いいたします。お忙しいところを   ご出席いただきまして、ありがとうございました。 ○遠藤座長 ありがとうございました。    28