ヒト受精胚の生殖補助医療研究目的での作成・利用に係るガイドラインの規制対象として検討する範囲について
(検討のためのたたき台)


1. ヒト精子を単独で取り扱う研究について

(1) 倫理的な観点で考慮すべき事項は何か。

例えば、
 ヒトの道具化・手段化への懸念(ヒト由来細胞の利用)
 生殖細胞としての取扱い

(2) ヒト精子を単独で取り扱う研究を、規制の対象として検討する必要があるか。
例えば、機関内審査を要する、加えて国あるいは第三者機関における審査や登録を要する、等)

 総合科学技術会議意見具申「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」では言及されていない。

 日本産科婦人科学会は、会告「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解」により、研究の許容範囲、研究の実施に当たっては学会に報告(登録)すること等を定めている。


2. ヒト卵子を単独で取り扱う研究について

(1) 倫理的な観点で考慮すべき事項は何か。

例えば、
 提供女性の保護
 ヒトの道具化・手段化への懸念(ヒト由来細胞の利用)
 生殖細胞としての取扱い

(2) ヒト卵子を単独で取り扱う研究を、規制の対象として検討する必要があるか。
例えば、機関内審査を要する、加えて国あるいは第三者機関における審査や登録を要する、等)

 総合科学技術会議意見具申「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」では、採取に伴う肉体的侵襲や精神的負担、人間の道具化・手段化といった懸念があること等に鑑み、研究のための入手を必要最小限に制限するための枠組みや提供女性の保護を図る枠組みの整備が求められている。

 日本産科婦人科学会は、会告「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解」により、研究の許容範囲、研究の実施に当たっては学会に報告(登録)すること等を定めている。


3. ヒト受精胚の作成・利用、余剰胚の利用を伴う研究について

(1) 倫理的な観点で考慮すべき事項は何か。

例えば、
 人の生命の萌芽である胚の滅失
 提供女性の保護(卵子提供)
 ヒトの道具化・手段化への懸念(ヒト由来細胞の利用)

(2) ヒト受精胚の作成・利用、余剰胚の利用を伴う研究については、総合科学技術会議意見具申「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」で求められていることから、規制の対象として、検討するものとする。

 総合科学技術会議意見具申「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」では、ヒト受精胚について、「人の生命の萌芽」として位置付け、特に尊重されるべきものであることや、そのような胚を損なう取扱いを前提とする研究目的でのヒト受精胚の作成・利用については生殖補助医療研究目的及び余剰胚からヒトES細胞を樹立する目的以外では認められないこと等の考え方が示されるとともに、ヒト受精胚作成のために必要な卵子の入手については、採取に伴う肉体的侵襲や精神的負担、人間の道具化・手段化といった懸念があること等に鑑み、研究のための入手を必要最小限に制限するための枠組みや提供女性の保護を図る枠組みの整備が求められており、これらを踏まえ、ヒト受精胚の生殖補助医療研究目的における作成・利用について新たにガイドラインを整備することが求められている。

 日本産科婦人科学会は、会告「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解」により、研究の許容範囲、研究の実施に当たっては学会に報告(登録)すること等を定めている。


4. 胎内へ移植する胚に、研究要素(新規性)があるものの取扱いについて

(1) 倫理的な観点で考慮すべき事項は何か。

例えば、
 被験者(胚移植を受ける者)の保護
  機関内倫理審査委員会による審査
  インフォームド・コンセントの徹底 等

 安全性確保、利益が危険を上回ること等が前提

(2) 以下のいずれで対応することが適当か。

(1)  作成した胚を胎内へ移植する場合は「研究」ではなく「医療」として取り扱うことが適当であり、検討対象としない。
 (その場合、生殖補助医療研究において臨床研究はそもそも存在せず、胎内移植が伴うものはすべて医療として倫理的妥当性、安全性が確保されることが説明できることが必要。)

(2)  「臨床研究に関する倫理指針」の適用を受けるものであり、同指針により適切な対応がなされることで十分であって、検討対象としない。

(3)  (2)では不十分であり、「遺伝子治療臨床研究に関する指針」や「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する倫理指針【検討中】」と同様に、人体に適用することに対する安全面も含めたガイドラインが必要であるが、別途定めることとし、本専門委員会の検討対象としない。

(4)  生殖補助医療研究として一体的にガイドラインを定めることとし、本専門委員会の検討対象とする。

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