06/04/26 第2回振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会議事録 振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会(第2回) 日時 平成18年4月26日(水) 14:00〜 場所 13階専用第16会議室 ○副主任中央労働衛生専門官(樋口) ただいまから「振動障害等の防止に係る作 業管理のあり方検討会(第2回)」を開催させていただきます。4月1日付で事務局 に人事異動がありまして、私は吉川の後任の樋口と申します。よろしくお願いいた します。本日は委員の方々皆様ご出席でございます。  最初に、資料の確認をさせていただきます。資料2−1として名簿を付けていま す。第1回目も名簿をお配りしていますが、前田委員は所属組織が独立行政法人労 働安全衛生総合研究所に変更になったことと、お立場が有害性評価研究グループ部 長に異動されましたので、新たに名簿を差し替えたということです。その他、また 変更等がありましたら、お知らせ賜れば変更いたします。あとは、資料2−2、資 料2−3、資料2−4、3点の資料を用意いたしました。事務局からは以上です。  では、相澤座長、よろしくお願いいたします。 ○相澤座長 議事を始めさせていただきます。まず、前回からだいぶ時間が経ちま したので、前回の議事の要旨の報告をお願いいたします。 ○主任中央労働衛生専門官(古田) 前回の簡単な復習という意味で、どういう議 論をしたのかということをご説明します。前回は初回でした。私ども事務局から資 料をいくつか出していますが、その資料説明をしています。主な資料は振動障害、 騒音性難聴における労災の補償状況のデータです。振動に関する労働安全衛生の関 係法令にどのようなものがあるか。振動障害の予防対策指針ということで、2時間 規制を中心にしている通達がありますが、それの概略の説明をしました。チェンソ ーとチェンソー以外の2本がありますが、それの説明をしました。騒音に関する労 働安全衛生関係法令、あるいはガイドラインが出ていますので、それの説明をしま した。その振動ばく露に関する国際基準などがどのようになっているのかというこ とで、ISOの状況と、日本産業衛生学会、EU指令、ACGIH、これらの基準等のあらま し、概要を説明しました。振動レベルの測定方法ということで、旧労働省から通達 が出ていますが、それの紹介をしました。振動障害の防止に関して、あるいは補償 も含めてですが、どのような行政的な施策をしているのかということで通達が出て いますが、その通達を説明しました。最後に、資料としましては、先般出された事 業場で危険性・有害性を事前に調査し、そのリスクを小さくしていくための手法の 指針の紹介をしました。一般的に、機械メーカーでも市場に出す前に危険性・有害 性を少なくして出していただくための手法の指針が出ていますので、それの紹介を しました。以上が資料説明でした。  その後、特にテーマは定めていなかったのですが、自由に討議をしていただきま した。何点かあります。1つは、騒音についてです。今回は振動が中心ですが、振 動と合わせて騒音も発生します。騒音についても取り上げて議論をする必要がある のではないかという議論がありました。振動ばく露に関するISO等の国際基準は1 日8時間等価というものになっていますが、それの考え方の解説がありました。振 動の大きさの測定の方法を決める必要がありますが、機械自体の振動の大きさと、 実際の作業時の振動の大きさが非常に違う、このために振動の評価は難しい、とい うご意見も出されています。振動の値を機械に表示することについても議論をする 必要があるという意見が出されています。振動測定の方法については、ダブルスタ ンダードあるいはトリプルスタンダードにならないよう、国際的な整合性をとる必 要があるのではないか、という意見が出されています。  そのほか、この検討会の性格に関して事務局からお願いをしたという内容になる のですが、この検討会では国際的な動向を勘案した上で、我が国における振動障害 防止のための作業管理のあり方について総合的にご検討をお願いしたいということ であるとか、検討にあたっては既存のデータを持ち寄ることにし、この検討会とし てデータを新たに収集することは考えていないということをご説明しました。前回 の検討会の状況は以上です。 ○相澤座長 前回の議事の内容について、何かコメントはありますか。議事録はい ずれは公表されますか。 ○主任中央労働衛生専門官 かなり詳しいものが公表されます。 ○相澤座長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。前回は、振動障害の現 状についていろいろなデータをいただいたのですが、今回は榊原委員と前田委員か らご説明をいただくことになっています。最初に、「振動障害の病理」ということで 榊原先生から資料2−2でご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○榊原委員 タイトルが「振動障害の病理」ということでしたが、関係する先生に 振動障害での障害の内容についてご説明するのもあれだと思いまして、振動障害と 防止に係わることとして、日本における手腕振動の許容基準の提案された基礎デー タがありますので、それについて最初に少し説明して、それからそのデータを用い て、EUの振動指令にあるaction valueの2.5m/s^2、limit valueにおける5.0m /s^2をこの基礎データに当てはめた場合にどのような状況になるのかという評価 の意味で、その辺を少し検討しましたので報告いたします。  この中にも日本産業衛生学会の振動にかかわっている先生が多く見えますので、 もうご存じになっていることかと思いますが、少し繰り返してお話しさせていただ きたいと思います。  まず、基にしたデータは原田先生が書かれた「Occupational Exposure limit for hand-arm vibration of the Japan Society for Occupational Health」です。2001 年にフランスのナンシーで行われた第9回手腕振動国際会議でのプロシーディング の中に論文が載っていましたので、それに基づいて検討いたしました。表紙はこの ような感じになっています。参加された先生は持ってみえるかと思います。  この検討では、我が国における20歳以上の日本人一般集団における白指の有症率 がどの程度あるのかということが検討されています。日本人一般集団における振動 起因性を除く白指有症率ということで、振動工具を使っていない一般集団における レイノー現象、白指の有症率の調査結果がまとめられています。  それがTable1の表でありまして、1991年の原田先生、それから、今日もご出席 ですが、1989年の井奈波先生、1994年に発表されたMirbod先生のデータが提示し てあります。原田先生とMirbod先生は1,000人以上、井奈波先生は100人、200人 台のデータになっています。年齢層は20−69歳、20−89歳、30−59歳となってい ますが、この年齢層における白指の有症率は、男性が1.4%、1.3%、2.7%ぐらいの 調査結果になっています。女性は男性よりも若干高くて1.9%、1.5%、3.4%という 値です。この3つのデータを全体として合わせてみると、平均値が男性で1.9%。そ して、95%の信頼区間が1.4−2.3%。女性は平均2.4%で、95%信頼区間が1.9− 2.9%という結果になっています。ですから、男性で大体2%ぐらい、女性で2.5% 前後というのが、振動工具を使っていない日本人における一般集団の白指の有症率 ということで提示されています。  Table2は、その中で調査人数の多い原田先生とMirbod先生のデータ2つを使っ て、各年齢別における白指の有症率が示してあります。男性は30歳代で1.1%、40 歳代・50歳代で2.3%。女性は30歳代で3.1%、40歳代で3.0%、50歳代で2.3% という値になっています。このような結果から、男性では1−3%、女性で1−4% 程度が、振動工具を使っていない日本人一般集団での白指有症率として押さえてあ ります。  今度は、日本における低振動ばく露集団、比較的振動強度の小さい工具を使って いる人たちでの白指の有症率がどのようになっているか、ということをまとめて載 せてあるのがTable3になります。いちばん上がMirbod先生の穴掘りのデータ、2 番目が航空機産業でのデータ、3番目がチェンソー、4番目、5番目が富永先生の モーターバイク、6番目が松本先生のモーターバイク。それから、1984年の二塚先 生のものは、1980年に日本産業衛生学会の中で全国から振動に係わる調査データを 集めたデータを全体としてまとめたものからつくった推測値から求められているデ ータになります。  このデータを見ていただくと、先ほどの3%という振動工具を使っていない人た ちにおける発生率を超えているパーセントとしては、チェンソーの2.7−5.1m/s^2 のところで1日3時間で19年使って9.8%というデータ、富永先生のモーターサイ クルで2−3m/s^2のところで1日4時間で12年間使って3.0%というデータ、 いちばん下の1984年の二塚先生の報告で3.2m/s^2のものを1日4時間で10年間 使うと5.0%、16年間使うと12.8%というデータがこれまでの調査報告の中で出て います。こういうことから、1つの目安として、3m/s^2を超えるようになると3% を超える値になるのではないか、ということが推測できるのではないか。  次の3頁ですが、この中でいろいろな振動レベルを使っての白指の発症調査デー タの中で、使っている振動工具のレベルと使用年数ごとの有症率がわかっているデ ータから、たしか4つか5つのデータだったと思いますが、白指有症率の推測式を 求めて、それがここの中に比較的太い直線として示されています。少し見えにくい のですが、いちばん下の曲線が1m/s^2、2番目が2m/s^2、3番目が5m/s^2、 あとは15m/s^2、いちばん上が25m/s^2となっています。振動ばく露の年数が多 くなるに従って白指の有症率が増えていっているということと同時に、より強い振 動レベルの工具を使っていると、傾斜がより急速になって、より有症率が高くなり やすいという傾向がこういうデータから推測されるかと思います。そういう意味で は、より振動の少ない工具を使えば使うほど、長年使っても有症率の増加は比較的 緩やかで済むということがこういうデータから言えるのではないかと思います。  それで、図の中のいちばん上の所、少し見えにくいですが、四角く囲ってある v=0.170とか書いてありますが、これが直線を引かれた調査データから求められた式 になっています。それをわかりやすく書いたものが4頁のいちばん上に四角く囲っ た式になります。Normsinv(p)と書いてありますが、白指の有症率が正規確率化して 変形して、それに基づいて式がつくってあります。このような式で、 0.170(years)^0.389(vibration)^0.580-2.576というのがここに書いてある式にな ります。  この式に基づいて、最初に見ましたように、振動ばく露年数が10年間で、振動工 具を使っていない日本人における一般集団の白指有症率は、これは男性についてで すが、3%を超えない振動レベルが許容基準の一つの考え方として求められていま す。振動ばく露年数の10年という値と、振動の強度の2m/s^2を上の式に入れる と、その次に書いてありますように、-1.954という値が出てきます。これを正規分 布のものに当てはめてNormsinv(p)という有症率に当てはめるとpが2.6%という数 値になってきます。この2.6%を見ると、最初のTable1やTable2の値と比較的近 い値になっているということではないかと思います。  この2.0m/s^2ですが、この当時は振動の測定がX、Y、Zの3軸ではなくて、工 具の振動がいちばん大きい方向の1軸のみの振動の測定が行われています。それに 対して、現在はX、Y、Zの3軸合成値が一般的に評価の基準として用いられていま すので、ISOの5349の中に1軸の場合の3軸の変換の一つの係数として1.4という 数値が出ていますので、この2.0×1.4ということで2.8m/s^2というものが根拠 として挙げられていまして、それに基づいて2.8m/s^2が提案されてきていると、 この論文を読むと理解できることになるかと思います。  次に、現在のEUの振動指令の中で、vibration action valueということで2.5m /s^2という数値と、vibration limit valueということで5.0m/s^2という数値 が振動を管理する上での値として用いられています。それで、この数値を当てはめ た場合、振動に10年間ばく露されると白指の有症率がどの程度になるのかというこ とを、先ほどの4頁のいちばん上の式に当てはめて計算してみました。vibration action value2.5m/s^2の場合は、年数が10年ということで10を入れる。それか ら、EU指令の2.5m/s^2、5.0m/s^2は3軸合成の値になっていますので、2.5を 1.4で割って1.79を振動の強度に入れてみました。そうしたところ、数値としては -1.993という数字が出てきまして、またNormsinvのpの値を求めてみると、pが 2.3%という値になります。この2.3%というのは、先ほどの一般集団の有症率が大 体似たような値ということが言えるかと思います。  それから、vibration limit valueの5.0m/s^2の値を入れると、これも5÷1.4 で3.57を数値として入れたのですが、pの値が4.5%という大体の値として出てく ることになります。5m/s^2は、振動工具を使われていない一般の人の有症率が最 高で大体3%とすると、1.5%程度のオーバーになるということですが、値としては その程度の値であるということが言えるかと思います。  このいちばん下にFigure5ということで英語の図があります。これはISO5349の、 白指が10%になるにあたってのばく露年数を求める数式がDy=31.8〔A(8)〕、1日8 時間等価振動加速度の−1.06乗倍という式で求めたのが、この右下がりの直線とい うことになります。それで単純に求めると2.5m/s^2は10%になるのに12年間、 5m/s^2だと5.8年で10%になるということを単純に示したものがこれになりま す。  それで、日本の白指有症率で2.6%、現在の2.8m/s^2と同程度の有症率になる のに何年かかるかということを計算してみると、これは数式上のことですが、2.5m /s^2で2.6%前後になるのに11.8年間という値が出てきます。5.0m/s^2で4.2 年間という値になってきます。このISOの10%になる値と比較的似たような値にな っているということが言えるかと思います。日本における許容基準がつくられてき た根拠となるデータと、それをEU指令に当てはめた場合にどのような感じになって いるかということについて報告させていただきました。以上です。 ○相澤座長 大変わかりやすくご説明いただきましてありがとうございます。何か ご質問、あるいはコメントはありますか。1頁の年齢で、男性の場合は白指発作が 加齢とともに増えていって、女性の場合は逆に減っていく傾向があるのですね。こ れはリウマチなどもあるわけですか。ほかの病気の影響ですかね。一般人口ですか ら、そういう人は除いているのですか。中には入っているのかもしれないのですか。 ○榊原委員 中には入っている可能性はあると思います。一応、ねらいとしまして は、たぶん、原発性のレイノー症候群がねらいとして調査されていると思います。 井奈波先生、いかがですかね。 ○井奈波委員 私は、怪我とか、そういうものは除いたのですが。 ○相澤座長 先生のデータは89歳までありますよね。ですから、そういう傾向は同 じような傾向なのですか。 ○井奈波委員 すみません、あまり記憶がないので正確なことが言えません。 ○鈴木委員 表1で、原田先生とMirbod先生のデータは3年ぐらいしか違わなくて、 どちらも1,000名以上というサンプルですが、いちばん右の有症率のところは倍ぐ らい違いますよね。この場合、有症率というものを判断するときの定義みたいなも のはそろっているのですか。片方が甘いとか、そういうことはないのですか。 ○榊原委員 一応、私も詳しく原文を読んでいるわけではありませんので、レイノ ー現象の写真などを見せたりして確認して、あとは関係する怪我などの状態を除い た値ではないかと思います。有症率に違いがありますが、調査された地域とか、そ ういうことが違っていますので、そういうことが影響している可能性があるかと思 います。 ○吉村委員 1、2%でも、一般の方の中でも発症される方がおられるということ ですが、何らかのばく露されていた振動が原因となって一般の方の中にも発症され る例があるのか、振動以外のことが原因になっていることが考えられるのか、とい うのはいかがなのでしょうか。 ○榊原委員 医学的に、振動に全くばく露されていなくても手が白くなる人がいる のです。特に、女性のほうが多いと言われていますが。 ○吉村委員 おそらく、この方たちは振動とは無縁。 ○榊原委員 全く無縁、使っていないという人たちの有症率ということです。 ○相澤座長 白指発作というのは何か定義があるのですか。1本でも真っ白になれ ばいいという話ですか。 ○榊原委員 そうです。1本でもいいわけです。 ○相澤座長 指の先でもいいわけですか。 ○榊原委員 そうです。 ○鈴木委員 表3なのですが、こちらは大体どのぐらいのサンプル数があるものな のでしょうか。これもばらばらですか。 ○榊原委員 ばらばらだと思います。 ○相澤座長 それでは、前田先生のほうに移らせていただきますが、また何かあり ましたら、後ほどディスカッションをお願いしたいと思います。前田先生、よろし くお願いします。 ○前田委員 私の資料は、前回の資料の1−5の中で実際の労災補償の状況のデー タが示されたのですが、その中で、依然として建設業の労災補償状況の人数がいち ばん多く占めているという結果が示されていましたので、現実に建設現場でよく使 われている工具の振動のばく露実態がどうか。例えば、どれぐらいの工具振動レベ ルでどれぐらいか、作業時間としてどれぐらいの作業が実際に行われているのかと いう実態をつかんでみようということで、そんなにたくさんはできなかったのです が、実態調査をやってみました。  その中で、どの工具に焦点を当てるかということで、今回の資料の1頁にありま すが、平成11年度中に支給決定しました工具、主に作業者が使われていた工具が、 多い工具として「さく岩機」「コンクリートブレーカー」とか、「チェンソー」と「ブ ッシュクリーナー」は外していますが、「コンクリートバイブレーター」などが示さ れていましたので、そういう工具に対して実際にどうかということで、現場に入っ て調べてみるということでやってみました。実際に測定するときには工具別に振動 のレベルがどのぐらいあるかということが必要になります。その作業者が1日、朝 現場に入られてから帰られるまで、大体8時間ぐらい作業をされるので、その作業 時間内で、実際に工具を使われている時間がどれぐらいかということをつかむ必要 があるということで、その両方に焦点を当ててデータをとってみたということです。  工具別のそれぞれの振動のばく露レベルといいますか、実際のレベル工具のハン ドルでの手に入る量を測るということで、それは2頁目に写真を入れていますが、 非常にコンパクトな装置があります。それを持ち込んで、実際に作業をされている 方の傍に行きまして、それぞれの作業をされる人の代表的な作業といいますか、そ れを選ばせていただいて、あまり長く行くと仕事ができなくて怒られますので、数 回ずつ測らせていただく形をとりました。  測定データとしましては、実際に工具のハンドルの所で握っている状態での振動 を測って、ISOの評価方法にのって実際にどれぐらいの値になるかということを出し ました。もう1つは、作業者がどれぐらい作業をされるかということで、ずっと作 業者に付いていられませんので、最近はこれぐらいの大きさの小さなICレコーダ ーがありますので、それを入れてもらえる作業者の方全員にポケットに入れていた だきました。作業スタートから終わるまで、午前中の場合もありましたし1日中入 れてもらえるケースもありましたので、ずっと入れていただきました。ですから、 作業者にとっては非常にあれなのですが、休憩中に彼らがしゃべっている内容も全 部録音されるのですが、実際に工具を使われるときに、そのレベル、工具の音が変 わりますので、そのときの音の変化のところで、実際に工具を使っている時間、あ るいはアイドリングで工具を握っている時間もそうなのですが、それを振動を受け ている時間ということで取ってみよう、ということでやりました。  3頁に簡単な図を出しましたが、これはICレコーダーに録音された信号をコン ピュータ上に取り込んだ形の図です。これで実際に聞いていると、工具を使ってい るところと使っていないところがはっきりわかりますので、その工具使い初めから 使い終わりまでの時間のところを測定時間の中で全部引っ張り出しまして、それか ら作業時間を類推するという形をとりました。  次に、4頁です。実際に取った工具ですが、電動ドリルでネジ式のボルトを締め つける。こういうパーティションのボードをネジで締めつけて止めていくという作 業です。  インパクトレンチは、地下にトンネルをつくっていって、そのトンネルの中にシ ールドするときのボルト締めが多々やられているのですが、そのときの作業です。  コンクリートブレーカーは、ビルを建てるときに基礎をつくるわけですが、その 基礎をつくるときに、コンクリートが薄い基礎でやると強度が出ないということで、 すごくたくさん鉄筋を埋めてコンクリートを打ちます。要らない部分のコンクリー トを全部ハツってしまうわけです。そのときの作業等を測定しました。  もう1つはインパクトレンチですが、これはビルを建てていくときの最初の鉄筋 を建てていくときにインパクトレンチでネジを締める作業があります。現場により ましては、周辺への音がやかましく出るということで、それに代わるシャーレンチ を使われるようにはなっていますが、速度とか、早く締めるという意味ではインパ クトレンチがたくさん使われているので、それを代表例として取りました。  それから、コンクリートバイブレーターですが、ミキサー車が持ってきたコンク リートを流し込むときに、振動を利用して流し込むということで、こういうエアー と、先っぽが振動するようなバイブレーターがありますが、いろいろな箇所を持た れますので、いくつか取らせていただいて測定しました。  それぞれの作業者には、実際に我々が測定するとき以外のときは全部ポケットに 入れてもらって時間を取らせていただきました。そして、実際に測定してきたデー タを持ち帰って、その中から、実際に測った中でどれぐらい作業をされていたか、 その作業時間から8時間に置き直したときに1日どれぐらいの時間になるか。それ から、前回も話が出ていましたが、A(8)に置き直したときと、先ほど榊原委員から もありましたEUで2.5あるいは5に換算してみたときにどれぐらいの作業が可能で あるか。その作業の可能な時間と実際の現場で作業されているものを比べて、時間 的に短く使われていたのかそうではなかったのか。2時間規制の話と比べて、実現 場で長く使われているか短いか。レベル的に低い工具で長く使われているか、ある いは高い工具で長いか短いか。その辺も見てみる必要があるということで、全部に 焦点を当てて分析してデータを出しました。  7頁ですが、今までにいくつか測った具体的なX、Y、Zと3軸を合成した値をこ こに示しています。ドリルも2種類あったりして、それぞれレベルが高いドリル、 低いレベルのドリルもありましたし、インパクトレンチ系、あるいはコンクリート ブレーカー系は非常に高い値が示されています。シャーレンチをここに入れました が、音は低いのですがそれなりの値になってくる。バイブレーターは比較的低いの が見えてきました。こういう工具です。  それで、A(8)=2.5ということを考えて計算した表がいちばん下にあるのですが、 例えば測定日と書いていますが、これは基本的にはドリルを測定したのですが、録 音時間は半日ぐらいです。ICレコーダーを4時間ちょっと入れて、その中から実 際に工具を使っている時間、ここは5人ですが、大体1時間30分前後使われている。 そこから8時間に換算し直すと2時間そこそこ、少し超えているぐらいの使われ方 をしている感じです。  インパクトレンチ系は、実際の録音は2時間18分。これは2人ともほとんど同じ でオン・オフをされたみたいですが、多少、人によって工具使用時間が1時間34分 とか13分とかになっています。8時間に直すとこれぐらい使うことになるというこ とです。コンクリートブレーカー系も、1時間から2時間以内ぐらいです。ただし、 これは録音時間が2時間から3時間の間でそれだけ使われているということで、8 時間に直すと4時間から5時間使われるという感じになります。バイブレーターの 場合も同様で、基本的には、実際の作業をされる時間はそれなりに長く使われてそ うということが見えてきました。  一応、実際に物理上的に測った値の平均値を3軸周波数補正振動加速度実効値と いうことで入れています。それから、計算上ですが、A(8)=2.5にした場合の工具使 用可能時間が出てくるので見てみますと、これは1日の使用時間ですが、電動ドリ ルでは3時間27分、インパクトレンチでは20分ぐらい、コンクリートブレーカー では10分ぐらいです。バイブレーターで15時間ですが、これはレベルが低い関係 で非常に長くなっています。こういう見方をしていくと、2.5で使える時間が非常に 短いにもかかわらず、それぞれの作業者で非常に長く工具を使われている可能性が あるということが見えます。  もう1つは、2.5に置き直して、限界値5として見た場合にどうかという見方をし てみました。そうしますと、限界値が高くなりますので、工具使用可能時間が多少 長くなります。ドリルやバイブレーターは、レベルが低い分、それなりに長く使え るようになっています。その使える長さから見たときの実際の工具使用時間の倍率 からいくと問題はないのですが、インパクトレンチあるいはコンクリートブレーカ ーを1人の作業者が使われた場合に、それぞれの値が大きい。限界値が5になった にもかかわらず、時間的には1時間少しと43分になるのですが、実際に1日の作業 の中で使われている時間を見ると非常に長く使われているということで、それだけ たくさんばく露を受けている、時間的にも長い、という問題があることが見えてき ました。  そういう流れの中で、建設現場でのこういう作業実態を見ていくと、実際の作業 の時間が2時間よりも非常に長いケースも見えましたし、作業者それぞれが長く工 具を使われてそうと。今回の調査だけですが、そういうことが見えました。この3) 番に書きましたが、振動障害の発症の可能性は非常に高い可能性が見受けられる。 したがって、どういう工具を選択するかとか、使用時間等を減らしていくとか、あ るいは作業者にわかりやすい情報を与えるようなことを考える必要があるというこ とが見えました。 ○相澤座長 実際の建築作業での4つの振動器具を使ったときの測定値をお示しい ただきました。コンクリートブレーカーとインパクトレンチが非常に振動が強くて、 基準値でいくと、非常に短い1時間とか43分とか、そのぐらいしかできないという 非常にショックなデータでした。何かコメント、ご質問はありますか。 ○宮下委員 非常に面白いデータを見せていただきました。2頁の測定はISOのあ れでおっしゃったと思うのですが、少しわかりやすく言うと、このデータロガーみ たいな所、ハンドルにピックアップの手。 ○前田委員 手とハンドルの間にアダプターを入れて測るやり方です。ISO5349-2 の中にいろいろなアダプターや計測方法があるのですが、そのうちの1つの方法を 取ってやっています。 ○宮下委員 その場合の加速度のセンサーはハンドルにですか。こっちですか。 ○前田委員 これがハンドルで、アダプターがちょうどハンドルに付いて、アダプ ターの中にピックアップがあるわけです。 ○宮下委員 そして、ハンドルに合体的に付いているという考え方ですね。 ○前田委員 はい。実際に、ハンドルにこういう金物のホースバンドでピックアッ プを取り付ける考え方と、アダプターだけにやる方法と、両方あるのですが、現場 へ行ってそれぞれにホースバンドで付けているとすごく時間がかかるのです。作業 者も非常に嫌がられる。それと、実際に手袋をはめている方もおられますので、速 く測れるということでアダプター式が最近よく使われていますので、今回もそれを 使ったということです。 ○榊原委員 固定は結構いいですか。 ○前田委員 いいですね。 ○畝山委員 我々も、測定も固定はその方法を使っているのですが、一度検証しよ うということで数年前に、うちの場合はこういうカーブを持ったアルミのアダプタ ーにXYZ3軸を埋め込んだものを使っているのですが、ブロックにピックを同じよう に付けて接着したもの、ハウジングを削ってネジ止めしたもの、金属性のホースバ ンドで締めつけたもの、ナイロンバンドで締めつけたもの、4種類を比較試験をや ったのですが、振動値の差は本当に誤差だろうという程度にしか出ていないのです。 いま前田先生がおっしゃったように、手間をかけないですから、いまうちではほと んどその方法でやっています。 ○相澤座長 こういう作業者で、今まで疫学的に発症差がどのぐらいあるとか、そ ういうものはないのですか。先ほどの外国のものは、コンクリートブレーカーとい うのはあまりないというか、書いてないだけですかね。 ○榊原委員 私の資料の3頁に25m/s^2という線がありますが、これが昔のロッ クドリル、さく岩機のレベルですね。その次の15m/s^2はチッピングハンマーで の白指有症率の線、推測式といいますか。次の5m/s^2は刈払い機になります。 ○相澤座長 ロックドリルとコンクリートブレーカーは大体同じだと考えていいで すかね。 ○畝山委員 数量レベルとして似たような感じでしょうね。非常に高いレベルです。 ○相澤座長 では、25あるのですね。 ○榊原委員 インパクトレンチとコンクリートブレーカーは標準的に現在使われて いるものになりますかね。 ○畝山委員 インパクトレンチの場合、この写真で見る限り、かなり大きいボルト ですね。24mmとか30mm、32mmという。このクラスになるとエアーになります。 ○前田委員 今回の場合は電動ですね。 ○畝山委員 この4頁の写真のものはエアーですね。 ○前田 4頁のインパクトレンチはエアーです。5頁のほうは電動です。これはエ アーではなかったです。 ○畝山委員 電動ですね。 ○畝山委員 あと、「電動ドリル(二種)」とありますが、電動ドリルというのは我々 が言うスクリュードライバーのことだと思うのですが、二種類目の振動が大きいほ うはどういう。 ○前田委員 これはメーカーが違ったということで、大きさ的には同じようなもの でやったのですが。 ○畝山委員 同じようにドライブ法で打っているわけですか。 ○前田委員 はい。最初は締めつけて、あとは相手の金具に当たった最後にガガガ ガとなりますから、それごと拾っている可能性もあるのです。ただ、両方持ってみ たのです。値を見ていて3倍ぐらい違いますから、実際に持ってみるとそれぐらい の差は感じ取れました。 ○畝山委員 特にクラッチ部分の振動ですね。 ○前田委員 はい。 ○井奈波委員 2頁に書いてあるチェンソーのばく露実態調査というのは。 ○前田委員 ここでは書いてないのですが、実際に森林組合に行かせてもらってデ ータも取りました。そこの森林組合ではアンケート調査もしたのですが、皆さん2 時間で仕事はしていないという話だったのです。レベル的には、いま、チェンソー 自身小さなチェンソーでやられていましたので、そんなには高くなかった。1日2 時間でやめているという話と、ここには書いてないのですが、実際に測った値を見 たときにちょうどそれぐらいになっている結果になっています。その森林組合の理 事長のあれが行き届いているみたいで。 ○宮下委員 バイブレーターは、先ほどのご説明にもありましたように、いろいろ な所も把持されているというか、逆に言うと、把持という概念よりも、コンクリー ト部に挿入して、それで支持しているというのが作業対応で、ばく露というイメー ジはほかの工具と少し違うのではないかという気がするのです。 ○前田委員 今回の写真でのバイブレーターの場合はそうなのですが、バイブレー ターもこれとは違うものもあるみたいで、発症といいますか、労災の補償で人数が 多いバイブレーターとなっていますが、ひょっとしたらこれとは違うバイブレータ ーかもしれないです。 ○宮下委員 用途からすると、私の知っている事業所などでも、コンクリートを均 質化というのですかね。 ○畝山委員 グリングリン回す。 ○宮下 ええ、そういうあれで、それを加工するとか締めつけるとかというもので はなかったですね。 ○前田委員 ないですね。 ○畝山委員 一般には、メーカーのほうも、こう合わせてグリングリンするのをバ イブレーターと呼んでいるのですが、いろいろ聞いてみると、まあ、一種のハンマ ーといいますか、型枠の横からボンボンとたたくような振動工具、これをバイブレ ーターと呼んでいるケースもあるみたいなので、その後、私もいろいろ調べている のですが、何をもってバイブレーターと呼んでいるのかというのが掴みきれないと ころがあるのです。 ○宮下委員 つくる物によっては、その型枠自体、全体を揺らすような、そういう のはバイブレーターと呼びますよね。それは関与しないとかというのがあります。 ○前田委員 これもホースで先が振動するようになっているのです。中に入れてし まったら持っていたらいいですが、その揺れているのをずうっと入れていかないと いけない。その時に、すごいレベルの高い部分を持ったりもする可能性があるので す。そういう測り方は今回はできていないので、実際にザーっと入れて、実際に言 われように支持する。こうして持っている状態のときにアダプターを入れましたの で、その分、値がちょっと小さい可能性もあるのです。ただ、長い時間をやられる のにはありますけれども。 ○井奈波委員 工具の使用時間ですが、実は全部測ったわけではなく、想定して書 いただけのものだと思うのです。 ○前田委員 これは録音値から出た値です。 ○井奈波委員 それで8時間、倍にしてあるということですね。実際に自己申告を すると、これがどれぐらい違うのですか。実際に1日にどのぐらい使いますかとい うことで。これは想定した計算上の値なので。 ○前田委員 実際に聞いてアンケートも取ったのですが、ほぼコンクリートブレー カーにしても、こういう時間使っているという回答が得られているのです。 ○井奈波委員 そういうことは、自己申告をすれば、逆にいうとほとんどの人がい いということですね。 ○前田委員 ただ、アンケートにちゃんと答えてくれる方とそうではないケースも ありますし、アンケートをしますよということを言っていますから、そういう意味 では2時間規制というのがありますが、それに対して皆さん「2」と書かれる所も ありましたので、そういうことからいいますと、実際の時間としてはそれで決めて しまうのですが、音のほうでいきますと、これだけ長くなっているので、ある部分 では4時間やっているにもかかわらず2時間というのも出てきましたので、アンケ ートでというのもあれで、少し問題がある可能性もあります。それもありましたの で、アンケートで拾いきれないだろうということでICレコーダーをたくさん用意 して、協力してくれる作業者にみんな付けてもらったというやり方ですね。 ○榊原委員 これは騒音で、一応使っている時間。 ○前田委員 そうです。現状としては、ハンドルの振動の個人ばく露計といいます か、そういうものを取る装置がありませんし、実際にハンドルにピックを付けてい ても、ある人が違う工具を使われるケースもある。それをずっと追いかけることは できないので、簡易的にということで、音ですぐ変化がわかりますので。実際のレ ベルは代表作業を選んで見ることによって、その値と実際の時間とから、限界を超 している超していないは見れるかなというやり方です。 ○相澤座長 井奈波先生の先ほどのご質問と関連するのですが、7頁の表ですが、 録音をしているときに作業を辞めていれば、一応2時間以内なのですが、辞めてい なければ、8時間推定値は大体このぐらいだということですね。 ○前田委員 現場で話を聞いていたのですが、基礎のある部分を、上をハツらなけ ればいけないというときには、全体の工程がありますので、とにかく1日の間に人 を入れて、全部ハツってしまわなければいけない。そうしないと後の工程が建てて いくときに遅れるということで、どうしてもやらざるを得ないという話は、作業者 も言われていました。そこが終わるとまた次に移動してという感じです。 ○宮下委員 8時間を過ぎてかなり長いですよね。 ○前田委員 長いです。 ○相澤座長 連続使用時間は、かなり長いです。 ○前田委員 長いです。ザザザっとやって、また次の穴にちょっと移動してという ことだから、このコンクリートブレーカーの時間を見ていただいても、録音時間に 対する工具使用時間が結構長いですね。これはすぐレベル的に変わるのがわかりま すから、すごく長い。そして、仕事をしてしまわないといけないというのがありま すから。 ○宮下委員 もう少し長い時間の中の労働ということを考えると、どうなのでしょ う。例えば1週間のうち2日とかそういうものでもないのですか。5日ぐらいなの ですか。 ○前田委員 その辺が仕事を請けてやられますので、そこが終わったらもう次とい う感じです。 ○井奈波委員 このコンクリートブレーカーを使っている方の白指の……ですか。 ○前田委員 そっちのほうは聞いてないです。ただ、ほかの現場へ、そのグループ のトップの方などはあると言っていました。 ○相澤座長 何かほかにございますか。 ○宮下委員 畝山委員にお聞きしたいのですが、いまチェンソーも非常に小さいの が出来ていますよね。ああいうのは、例えば家庭用というか一般の人たちが使う用 途と、それから林業等職業的に使うのとでは、やはり圧倒的に日常に使われる用途 が多いのでしょうか。 ○畝山委員 エンジンチェンソーの場合ですと、国内での数値がありますが、大型 も売っていますけども、大きいものは、プロ用というのは大体ISOの仕切りの80cc、 これより上が大体プロ用という認識なのです。主に出るのが50ccとか20何ccとか いう小さいものです。実はうちのエンジンチェンソーはドイツの子会社で作ってい るのですが、ヨーロッパで振動障害を騒いでいるもので、日本でもちょっとという ことで、いろいろやっているのですが、なんで振動レベルでギャーギャー騒ぐのと いうぐらいのレベルのものが、小さいものが多いです。ただ、大きいものは、80cc とか100ccを超すようなのは、エンジンだけでもものすごい振動をしますから。 ○宮下委員 逆にこういう作業管理を考える場合に、いまの実情からすると、振動 工具という名称の仕切りよりも、実体的なあれが要りますよね。 ○畝山委員 そうですね。特にチェンソーの場合は、小さいもので家庭用とか、も ちろんシルバーの方が使ってみえますが、そういったものは振動も小さいし、使用 時間が継続的にそう長いものでもないということになれば、やはりプロが使うレベ ルとしてはこういうものがあるから、それを考えてということにしたほうがいいの ではないかという感じがします。私の知合いもチェンソーを持っていますが、1年 間に5分しか使わないというケースもありますから、やはりプロ用の用途というこ とは、一般用途とはちょっと仕切りをおいて考えるべきかなとは思っています。 ○相澤座長 1頁ですとコンクリートバイブレーターが127、すごく振動障害が多い のですね。先ほどの話ですといろいろな形があるということですが、5頁の写真は、 実際には枠を振動させているのですか。 ○前田委員 これは枠ではなくて、コンクリートを流したときに。 ○畝山委員 おそらく長いやつをズボッと入れて、それをブルブルとさして、気泡 を抜いたり、落ち着かせたりという用途です。 ○相澤座長 下の所にたまっているわけですね。 ○畝山委員 はい。 ○相澤座長 それほどすごい振動なのですか。 ○前田委員 あれはそんなに高くないです。 ○相澤座長 7頁ですと高くないですね。 ○畝山委員 まあ通常、こういう所で使われるバイブレーターは14ボルトのDCバ ッテリーで駆動できる程度のバイブレーターですから、そんなに振動はないです。 ○相澤座長 なんでこんなに振動障害が。 ○畝山委員 それは、私も以前から気になっていて、建築屋さんに聞くところだと、 バイブレーターというのは、ボンボンたたくのだよと。エーッていう感じで。ニョ ロッとしたやつじゃないのというと、違う違う、ハンマーみたいなものだという話 を伺ったことがあるので、やはりバイブレーターという概念が多少、現場で使って いるのと違うのかなという感じがしています。 ○榊原委員 建物で使うバイブレーターと、道路工事といいますか、ああいうので 使うのとでは似たようなものですか、どうですか。 ○畝山委員 コンクリートを固めるときには、通常はグニュグニュやっちゃうので すが、まだ現場も見たことがないですし、もう少し調べてみたいなとは思っている のです。 ○相澤座長 ほかにはよろしいでしょうか。よければもう1つ、前田先生から資料 がございますので、よろしくお願いいたします。 ○前田委員 次は資料2−4です。振動レベルということで、ISOの規格の考え方と いうことで書きました。一応ISOとヨーロッパの関係、それからそれに対応するJIS、 それから日本国内の法律がどうなっているかという話、全体をざっくりと、それか ら振動に関してのISOがどういう形でどこで議論をされているかという話です。最 終的に手腕振動の振動の評価等々がどういう形でやられてきているのか、そして我 が国はどうしてきているのかという話をさせていただきます。  2頁に図があります。いま世界中が引きずられているといいますか、EU加盟国全 部、それからアメリカも右へ倣えしていこうとしている、四角の中のいちばん右端 に「機械指令」というのがあります。これはヨーロッパの議会で制定される基準の 考え方なのです。それに対して具体的にそれをどう実現するかというのは、そこか らEU加盟国の中へ委任されて、そこでEN規格、ヨーロッパの欧州規格をつくられ ていく。これはEU加盟国がみなさん入られて、近いですから、すぐ寄ってそういう 検討を始める。  EN規格、ヨーロッパで出来る規格とISOの関係ですが、これはウイーン協定とい うのがありまして、ENの規格にあってISOにない場合は、すぐISOへ取り入れる、 ISOにあってENにない場合はENへ取り入れるという関係があります。ですからEU の中で議論されて出来た内容は、自ずとISOになってくるという流れに今はなって きています。  我々はENをつくるときに、オブザーバーで出たりできるのですが、具体的に中の 規格づくりにはコメントを出すぐらいで、それが取り入れられるかといったらそう ではなくて、我々が実際につくったりできるのはISO規格のほうです。ですからEN の動きを横にらみしながらISOに来るか来ないかをにらんで、ISOのほうへ来るとき にコメントを出すという流れになります。そのISO規格に対して日本として取り入 れていく。あるいは、ほかの非欧州連合といいますか、ノンヨーロピアンのEU加盟 国でない国はISOごとにして、例えば日本ですとJIS規格、オーストラリアですと AS、中国ですとGBとか、そういう規格にして、その後それを用いて、例えば日本国 内の法律をつくったり、中国の国内法をつくったりという流れになっていますが、 基本的には、図の中の横方向を見ますと、ヨーロッパで決まった、EUで決まった内 容は、この流れでいきますと、日本にも押し寄せてくるという関係で、それを取り 入れてやっていかないと遅れてしまうという流れにあります。もちろんアメリカも 同じような状況で、ENで決まれば、それはアメリカのスタンダードに取り入れると いう流れが起こってきています。  機械指令の中で今いちばん振動に関係があるのはMSD(Machinery Safety Directive )、これがいろいろな機械の基準、振動ですとそれの値が規定されてきて います。どちらかというと、この値の規定はメーカーサイドに対して、これぐらい の値にしましょうと。  もう1つ出ましたのはPADといっていますが、Physical Agent Directive Vibrationというのが去年の7月に出ました。これは実際に作業をする作業者を事業 主が守っていかなければいけないということで、作業者に入る振動ばく露の管理を しなさいと。その中で値もちゃんと決めてきています。その値は先ほど榊原先生が 言われました2.5、あるいは5という値を決めてきています。2.5を超した場合にど ういう対策をしなければいけないか、5を超した場合はどうしなければいけないか というのが全部決まりました。それを守っていかないとヨーロッパのEU加盟国では 動きがとれない。アメリカもそういうことです。日本もそういうことを考える必要 があるでしょう。  それとMSDに絡んで、日本の国内企業で工具をつくってヨーロッパへ輸出される 会社は、全部この基準を満足するような形で工具を出していかなければいけない状 況になってきています。その値が大きい場合、販売まで影響するという話がいま出 ています。これほどヨーロッパで考えられている機械指令に対して、日本もすべて がつながっていて、影響を受けるものになってきている。メーカーとしては、そこ で言われている振動値よりも低いものをつくる努力をしなさいと。その工具を実際 に作業者が使っていくときには、事業主がきちんと管理をして、作業者を振動障害 から守る努力をしなさいということが両法に謳われてきたということが現実にあり ます。  こういう流れの中で基本になるのは、計測して評価する、なおかつアセスメント ということで影響の評価をやるのですが、それの考え方の基本は、ENでやっている のもあるのですが、我々がタッチできるところはISOのところです。  それがやられているところは、2頁の最後の段落ですが、ISO/TC108/SC4というと ころがありまして、Technical Committeeの108番が機械振動と衝撃を議論するとこ ろです。その中の Sub-Committeeの4番が、機械振動・衝撃等の人体への影響の基 準を考えるところということで、そこがいろいろつくっていっています。  4頁の中のTC108、Technical Committeeのいちばん大きな中に、直属のWGと Sub-Committeeが1番から6番まであります。我々がいちばん関係するところは、 Sub-Committeeの4、SC4ということで、人体影響をいろいろ考えています。 Sub-Committe4の中に、実は具体的な人体影響の基準をつくるWGというのが、表の 2にありますが、2から11まであります。その中で全身振動の基準や手腕振動の基 準、それから我々が実験をするときの人間のことを考えて、安全面を考慮しながら どうして実験をするかとか、モデリング、振動障害の診断のための装置の検討もや られているということになっています。  5頁ですが、そういう流れが起こりまして、いちばん最初にスタートしたのが人 体振動のほうですと、全身振動の基準を考えていこうということで、1966年に評価 方法を考え出すことが動き出しました。それから後、大体1年から1年半ぐらいの 感じでいろいろ議論がされて、その中で手腕振動の規格もつくられてきている。歴 史的な流れはこういうふうになっています。2005年は、予定されていたのですが委 員会はなくなりました。今年2006年の10月には、スロバキアで振動の全体委員会 がありまして、また議論があります。  そのWGがいままでにいろいろつくってきましたISOの規格は6頁にあります。 Partがいろいろある部分は1つの規格ナンバーで入れたりしていますが、こういう ものが議論をされて、ほとんどがいま国際規格として出されています。EU加盟国、 それからISOに関連している所は全部これに追随してやっていく流れになってきて います。  日本はそれに対してどうしてきたかといいますと、7頁、手腕振動の現場でどう 計測するかという話があります。この右のほう、ISO/DIS8041となっていますが、DIS を消していただいてISOで2005年にもう出来上がっています。日本としては出来上 がる前にきちんと合わせていかないといけないということで、DISを引用しながら JIS B 7761-1という規格をつくりました。現実に国内でそういう装置も開発されて、 実際に測れるようになってきています。  計測器があって、それで実際にどう測定するか、評価するかというのでは、今ま ではJIS B 4900というのがあったのですが、ISOとの整合性で少し考え方が違うと いうことで、5349の1とか2というのを取り込んで、JIS規格のB 7761-2として制 定されています。したがいまして、計測器もありますし実際に測ることも国内でで きるようになってきました。  もう1つ、工具から出る実際の値がどれぐらいかという現場計測ができるのです が、実際にメーカーからそういうデータをもらうというのがいまヨーロッパでは進 んでいますが、基発11号で1988年に日本でも、こういうことでそれぞれ評価して くださいというのがあったのですが、あまり日本には取り入れられなかったという のが現状です。もちろん輸出をする場合に、データとして互換がとれないというの もありまして、なかなかメーカーが動いてくれなかった。ところが、輸出をするの に対してISOとの互換をとらなければいけないということで、ISOには8662の1か ら14まで、1は基本の考え方で、2から14まで、12頁から14頁に細かく書いてい ます。それぞれの工具に対してメーカー出荷時の工具が発生する振動の値、Emission 値と言っていますが、それを世界中の工具メーカーが同じ基準で測定して値を出す ことができる規格があります。それに則ってやる。国内でもそれをしなければいけ ないということで、これもJIS化が終わって、いま発行されるのを待っているとこ ろです。現場計測もできるし、工具メーカーに対しての値を出してもらうための基 本のところもできています。規格として、日本としてはISOに対して追随してやっ てきている状況にあります。  次は、実際に手腕振動を現場でどう評価するかというときに、いくつかの流れが あります。手順として8頁に書いていますが、計測の種類として、簡易計測をする か汎用計測器を使うかでどうかとか、衝撃的な工具を測定する場合と非衝撃的なの で多少計測の仕方は変わりますが、そういうのも全部考慮できるように今はなって きていて、JIS、ISOで実際の取付けから計測できて評価もできるようになってきて います。  その後、影響評価ということで、実際に計測評価をした物理量に対して、振動の 危険性を評価する意味でリスクアセスメントということで、日本産業衛生学会の許 容基準やEUのガイドライン、ISOのガイドライン、どれを使うかは別ですが、それ が許容できるかできないかというのは、手順的には流れでこういうふうになってき ています。  実際の計測なのですが、すべていまISO準拠でJISも出来上がっていますので、 基本的に日本でもできるのと、手に入ります振動はハンドル上で測定した値に対し て、全部9頁にあります周波数補正曲線がありますが、実際に工具から出る振動は いろいろな周波数成分を含んで出てきます。今までの疫学調査とかで、実際に物理 量とその影響の出方を見るときに、全部周波数補正振動加速度実効値での論文がた くさん出てきていますので、そういう評価方法でやろうということに変わりまして、 物理量的にはこの周波数補正した結果出てくる値で、ハンドルからですとX、Y、Zと いう3方向の振動が出るので、同時に3軸測定をして、それを具体的にどうするか を9頁、10頁に細かく書いています。式的には10頁の(2)の式で周波数補正した 後の時間軸上の値から実効値を出す。これは1軸の話です。  11頁に算式を示していますが、X、Y、Zと3方向のそれぞれの値を2乗して足し算 して、それをrootをかけるということで、root-sum-of-squares of the three component valuesということで、3軸合成値で評価しているというふうに今はなっ てきまして、一応現場計測ではこれができるようになってきています。  もう1つは、先ほども言いましたが、ISO8662で、工具別にメーカーからデータを 出してもらう。そうしますと、その値によって、その工具を何時間使えるかが見え てきます。2時間以上使える工具もあれば、2時間以内の工具もありますが、少な くとも測った結果、出されたデータから、その工具自身が持っているリスク、危険 度を示してもらうことができるというやり方で今は出てきています。それの各々の 詳しい計測はこうしてやるというのを書きましたが、現状の流れでいきますと、ISO を日本に取り入れて計測・評価もして、危険度の評価もできるようになってきた。 それに対してJISも全部完備してきているので、国内メーカーもそれに対して追随 できる状況に今はなってきています。簡単にこのような流れです。 ○相澤座長 ありがとうございました。大変わかりやすくご説明をいただきました。 何かご質問はございますか。9頁の図の6は、10Hzのところがいちばん強いという ことですか。 ○前田委員 我々の手の振動感覚でいきますと、そこがいちばん感じやすいのです。 ○相澤座長 振動障害もそれにつながってということですね。ほかに何かございま すか。 ○榊原委員 畝山委員のところで、EUに輸出されるときに振動測定されていたよう ですが、それはISO8662では。 ○畝山委員 そうではないです。実はEUの場合、測定をする場合に準拠するのは、 まず第一にEN規格、欧州規格です。該当する欧州規格がない場合はISOまたはIEC 等の国際規格です。それもない場合、加盟各国の国内法でとされている。それでも 見つからない場合は、どういう測定をしたかを詳細に述べた上でデータを示せとい うことになっていますので、現状、我々としては、EN50144という電気安全規格があ ります。電動工具ですから。実はこれも基本的にはISO8662がベースになって持っ てきてつくったものなのですが、8662というのは、そもそもがコンプレッサーとエ ア工具のTechnical Committeeです。そこが作った測定規定ですので、エア工具と 油圧工具を対象にしています。一部電動工具が入ったものもあります。その辺で微 妙に条件的に異なる部分が生じてくることを組み込んで、多少変更している部分が あります。  それと8662は全14部が、早期に使ったものは固定されていますが、ENの50144 はまだ1部は欠番なのですが、全20部あります。例えばヨーロッパで振動障害がこ ういう工具で出たということになると、その工具をパッと取り込んで規格をつくっ てしまう。極端に言いますとスプレーガンとか、何でこんなものが振動障害と関係 があるのと言いたいのですが、そういったものも新しい規格に加えられるというこ とがあって、カバーしている範囲はEN50144という電気安全の規格のほうが広いで す。私どものイギリスの現法のマネージャーがEN規格の新しいのを、いま3軸対応 で60745という規格に切り換えつつあるのですが、その責任者をやっているもので、 なんとかISOと揃えてくれという話はしょっちゅうやっているのですが、やはりエ アーと電気は違うところがあるのだから、その違いをきっちり押さえておかなけれ ばいけないから、同一にすることは難しいという話も出ていますので、その辺が先 行きどうなるのかなと。  逆に言うと、ISOのほうも改正時期が間近ですので、ENのその考え方を取り込ん でエアー工具にかかわらず、電動工具まで含めたトータルの振動工具という中での 規格にしていくべきではないかということは提案しているのですが、あっちにぶつ かりこっちにぶつかりで、思いどおりには事は進んではいませんが、そういう方向 では頑張っていきたいと思っています。 ○榊原委員 エアー工具を作っているメーカーはISO8662に従って測定して輸出し ている。 ○畝山委員 そうです。あと、エンジンチェンソーとエンジン刈払い機に関しては また別個にISOがございます。エンジンのチェンソー、草刈り機に関しては、その 規格に従った測定をやっているはずです。いま、規格はど忘れしましたけれども。 ○前田委員 チェンソーと刈払い機は、今まではISOはばらばらだったのですが、 一緒になって1つの規格に。 ○畝山委員 2004年の12月に一緒になったはずです。 ○相澤座長 ほかにございませんか。 ○榊原委員 メーカーで測定する方法と現場での測定との関係というのは。 ○前田委員 8662というのは、実は年限的には1980年代ぐらいからやられてきてい て、その時に、現場のデータとして測れば出るだろうという流れではきていたので すが、多少はその時代時代で問題点が。ですから、いまメーカーが出されたデータ と現場のデータの乖離があるので、それをどう埋めるかというENの新しい規格も実 は出てきているのです。ただ、基本的にはEN50144あるいはISO8662で、各メーカ ーから出てくるデータがありますと、例えばA社、B社で同じような工具があった ときに、同じ測り方をしていますので、値を見ることによって、どちらのリスクが 高いというのは見れます。ただ、メーカーから出るデータと現場のデータがきっち り合うか合わないかというのは、また別の問題になる気がいたします。 ○相澤座長 今日はお二人のご発表をいただいたのですが、全体的に何かご意見、 ご質問、あるいはそのほかお二人以外のことについて何かご意見がありましたらお 願いしたいと思います。 ○吉村委員 これは工具自体の振動を評価するという趣旨では、先ほどのアタッチ メントのところで振動評価するというのはわかるのですが、実際には防振手袋のよ うなものをはめていて、そして握っている手が実際にどれだけ振動しているかとい うのは、またちょっと別の観点であるのかなと思うのですが、それはもともとだい ぶ違うレベルと考えればいいのか、そんなに変わらないのだよと思えばいいのか、 その辺はいかがなのでしょうか。 ○前田委員 それは防振手袋を付けたときに手に入る量が変わるかどうかというこ とですか。 ○吉村委員 つまり、今は工具自体の評価をするので、それは考え方として正しい と思うのですが、人間がばく露しているという意味では、実際に手の表面の振動が 問題ではないか。 ○前田委員 2つあるのですね。1つは工具の出る振動を、例えば工具を買うとき に選択できるようにするかという問題。安全な工具を選ぶ意味でのデータの出し方。 それが今度は現場に入って実際に使われるときに入るので、名前的にはEmissionと いう名前と、Exposureという名前があって、Emissionに関してはMachinery Safety Directiveがやっている。Exposureに関してはPhysical Agent Directiveというの がヨーロッパではある。そして体に入るExposureを実際に測って、それがある限界 を超すか超さないかを決める。その測るときに、例えば手袋をはめていると、手袋 とその手の間にアダプターを入れて工具を握って作業をする。そうすると、手袋で 減衰して、ハンドル、手袋、そして手に入る量もExposureで測れるというので二段 階あって、ちゃんと両方を規定するようにはなってきている。その両方に対して、 ヨーロッパでは2.5あるいは5を決めているという感じになっています。 ○吉村委員 見方が違う、EmissionとExposureという2つの見方があるのですね。 かなりレベルとしては違うものですね。 ○前田委員 それはEmissionで低くても、結局は被削物の問題がありますので、ド リル1つでも相手が堅いか軟らかいかによって、手に入る値が変わりますので、や はりEmissionだけでは押さえきれないので、やはりExposureを測って実際の作業 を見なければいけないという流れになります。 ○吉村委員 つまりそれを把持する人間の特性みたいなものも一方であるので。 ○前田委員 例えば、私ともう少し細い人が使うのでは、当然入る量が変わります から、基本的にはそれぞれの作業者に対してのばく露を把握しなければいけないと いう流れになりつつあります。 ○相澤座長 先ほどの榊原先生のデータもExposureということですね。 ○榊原委員 そうですね。Exposureに換算して、一応8時間等価レベルでやるとい うことです。 ○相澤座長 測定の仕方がいまご指摘ありましたが、2頁目の写真など、手袋の上 から押さえていますね。 ○前田委員 これは手袋の上かもしれないですね。実際は、本当に手に入る量を測 るときは手袋の中に入れてやらないといけない。手袋の減衰量というのは、例えば グラインダーですと周波数は高いですが、その時ですと、手袋の今のいいので実際 の値でいうと0.6から0.7ぐらいです。1の加速度があったときに、それを0.7ぐ らいまでは抑えられるぐらいの手袋はある可能性はありますね。低いほうになりま すと非常に難しい。 ○榊原委員 それも10Hzぐらいだと。 ○前田委員 ほとんどが減衰を期待するのは無理だと思います。 ○榊原委員 そのくらいだったら外でやっても、中でやっても変わらない。 ○前田委員 変わらないですね。 ○榊原委員 畝山さんたちですと、工具をEUに輸出されるときに測定されているわ けですが、EUでは機械のカタログにも、そうやって振動の……。 ○畝山委員 実はカタログに謳いたいということを何年か前にもやったのですが、 ほかのメーカーさんが茶々入れて、カタログには入っていませんが、取扱い説明書 には、Cマークを打つためには、ENで規定された振動値と騒音値を測定して記入し なければならないということになっていますから、取扱い説明書にははっきり入っ ています。特にヨーロッパのレンタル屋さん経由で工具が使われることが多いもの で、レンタル屋のほうは、そういった取扱い説明書のデータを抜き出して、自分の ところのレンタル工具の一覧にズラッと、目立つように振動値を並べて、最近はそ れも振動値だけではわかりづらいということで、緑、黄色、赤と、危険、これなら いいだろう、これは安全だよというふうな色分けまでして、ズバッと並べてくれて いますので、ユーザーにとってみれば、同じようなランクの機械をレンタル屋で借 りる場合も、メーカーとかレンタル料などは無視で、まず緑色を探すという流れが 定着しているようです。 ○相澤座長 作業現場のばく露状況というのは、一応これで調査は終了ということ ですか。 ○前田委員 これ以上、現場でいろいろ入るのは難しいです。 ○榊原委員 とりあえず、現在のチェンソーのレベルはどの程度かわかったら教え てほしいですね。 ○相澤座長 そうですね。 ○畝山委員 そのほうはあまり良くなってきていない。こちらのほうがちょっと。 ○相澤座長 工事現場でコンクリートバイブレーターとかブレーカーをやる人とい うのは違うのですか。 ○前田委員 ハツリを専門にやられている人と、鉄骨を組みながらコンクリートを 流すのとは、やはり違っているような気がするのです。 ○畝山委員 かなり専門化しているみたいです。 ○前田委員 鉄骨でボルト絞めをしていくグループもあります。そういうときは高 所作業とかで皆さんそういう資格も取らないといけない。私も行くときにいろいろ な物をいっぱい付けて入れてもらったのです。 ○相澤座長 命がけですね。ありがとうございました。時間もそろそろ4時に近く なってまいりましたので、ほかになければ次回の予定をお願いしたいと思います。 予定では、次回は事務局から諸外国の振動に関する法令を説明していただきまして、 それから前田委員に、先ほどのチェンソーと、それからまた諸外国の取組みもお願 いする予定でございます。畝山委員にメーカーの立場から、振動工具の振動レベル の現状についてお話しいただくことでよろしいでしょうか。  それから要綱3についてというのは、次回はメーカーの方にお越しいただくとい うことになるのですか。 ○主任中央労働衛生専門官 はい、振動の測定値です。 ○相澤座長 測定の現状についてお話しいただくということでございますが、かな りたくさん内容がございますが、そういうことでよろしいでしょうか。事務局よろ しいですか。 ○主任中央労働衛生専門官 はい。 ○相澤座長 そのメーカーについては事務局にお任せいただきたいと考えておりま す。これで今日用意していることは終わりましたが、事務局何かございますか。 ○主任中央労働衛生専門官 次回は6月に開催させていただきたいと思っておりま す。お手元にご予定をご記入いただく用紙があろうかと思いますので、私どもにお 届けいただけますれば、日程を選定した上でご連絡を申し上げます。事務局からは 以上でございます。 ○相澤座長 労働衛生課長さん何かございませんか。 ○労働衛生課長 いま私も勉強をしているところですので、いろいろ参考になりま した。ありがとうございます。 ○相澤座長 では、第2回目の委員会はこれで閉じさせていただきます。どうもあ りがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課物理班(内線5496)