06/04/20 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成18年4月20日議事録        薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年4月20日(木) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(12名)五十音順    井 上 和 秀、 岩 崎   学、 川 西   徹、 堺   英 人、    首 藤 紘 一、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、○長 尾   拓、    長谷川 紘 司、 早 川   浩、 樋 口 輝 彦、 村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理 他 参考人1名   欠席委員(2名)    田 島 知 行、 谷川原 祐 介 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)   川 原   章(審査管理課長)、 中 垣 俊 郎(安全対策課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部 会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとう ございます。当部会委員数14名のうち12名の委員の御出席を頂いております。谷川原 委員は少し遅れるかもしれないという御連絡が入っております。12名の御出席でござい ますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。  初めに、事務局から当部会委員の移動につきまして御報告いたします。青柳伸男委員 に替わりまして、国立医薬品食品衛生研究所薬品部長に就任されました川西徹先生に委 員に御就任いただきました。よろしくお願いいたします。また、田島知行委員に替わり まして、日本医師会常任理事の飯沼雅朗先生に委員に御就任いただくことで事務手続を 進めておりますけれども、誠に申し訳ございませんが、委員委嘱の手続がまだ完了して いない関係で、本日飯沼先生には参考人として御出席いただいております。よろしくお 願いいたします。以上、御紹介申し上げます。では、永井先生、以後の進行をよろしく お願いいたします。 ○永井部会長 それではまず、事務局から配付資料の確認と資料作成に関与された委員 の報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは配付資料の確認をさせていただきます。お手元に本日の議事次第と 座席表を配らせていただいております。議事次第にございます資料1〜4、資料6につ きましては事前にお送りしております。本日の当日配付資料といたしまして、資料5、 「新キットの承認について」、資料7、「優先対面助言品目の指定について」、資料8、 審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、それから資料9、専門委員のリストを配 付させていただいております。また、資料ナンバーは振っていないのですが、谷川原先 生から議題3のガバペンチンにつきましてコメントを頂いておりますので、1枚配付さ せていただいております。  関与委員の件でございますが、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づきます 資料作成に関係された委員の確認でございますけれども、審議事項の議題4、塩酸モザ パプタン、フィズリン錠につきまして永井部会長と堺委員が関与されておりますので、 両先生におかれましては本品目の審議の間は別室で御待機いただきます。このため、議 題4につきましては長尾部会長代理に議事進行をお願いいたします。よろしくお願いい たします。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。本日、審議事項4議題、報告事項3議題とな っております。では、早速議題1に入らせていただきます。パタノール点眼液の輸入承 認の可否等について、総合機構から審査の概要の説明をお願いいたします。 ○機構 それでは議題1、資料1の医薬品パタノール点眼液0.1%の製造承認の可否等 について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  本剤の有効成分である塩酸オロパタジンは、化学伝達物質遊離抑制作用を併せ持つH 1 受容体選択的抗ヒスタミン剤であり、既に経口剤としましてはアレルギー性鼻炎、蕁麻 疹、皮膚疾患に伴う掻痒等に対して承認されております。今般、アレルギー性結膜炎を 効能・効果とする点眼剤が開発されたことに伴い、新投与経路医薬品として輸入承認申 請が行われました。海外におきましては、本剤はアレルギー性結膜炎の適応で欧米諸国 を含め83か国で承認されております。  本品目の専門協議では、資料9に示します越前委員、奥田委員、久保田委員、河野委 員、齊藤委員、奈良間委員、柳川委員、山下委員の計8名の委員が専門委員として指名 されております。  審査内容について簡単に御説明させていただきます。本剤の品質、毒性、薬理、薬物 動態の資料につきましては特段の問題はなく、全身曝露が既承認の経口投与に比べて低 く、経口剤の安全性リスクを上回るものではないと判断いたしました。  臨床試験成績について御説明申し上げます。日本人アレルギー性結膜炎患者244例を 対象とし、医療現場において汎用されているフマル酸ケトチフェン点眼液を対照薬とし た第III相二重盲検比較試験において、主要評価項目である掻痒感及び充血の重症度点数 で、本剤のケトチフェン製剤に対する非劣性が検証されました。一方、掻痒感及び充血 の重症度点数を主要評価項目としたプラセボ対照第III相比較試験では、解析方法をスギ 花粉飛散量に対する回帰直線の傾きで検討しておりますが、プラセボに対する有意差が 示されませんでした。しかしながら、花粉の種類は異なりますが、米国では同様な試験 でプラセボに対する優越性が検証されていること、及び日本人の無症状期のアレルギー 性結膜炎患者を対象とした抗原誘発試験において本剤のプラセボに対する優越性が示さ れていることから、本邦における花粉の飛散状況などの環境を考慮するなどの配慮が欠 けていたことなどが失敗の原因と考えられました。以上の試験成績を総合的に考え、機 構は本剤のアレルギー性結膜炎に対する有効性は示されているものと判断いたしまし た。  安全性については、刺激感など眼局所を中心としたものが発現しておりますが、全体 的な副作用発現率及び認められた事象は類薬と大きく異なることなく、薬剤の刺激によ る眼痛に関しては対照薬であるケトチフェン製剤と比較して発現率が低いことが示され ており、現時点で問題はないものと考えておりますが、長期間使用されるケースも否定 できないため、製造販売後には使用実態下における使用成績調査を実施し、本剤の安全 性等について検討する予定となっております。  以上のような医薬品医療機器総合機構での審査の結果、本剤のアレルギー性結膜炎に 対する適応を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で御審議いただく ことが適当と判断いたしました。なお、本剤は新投与経路医薬品であることから再審査 期間は6年間、毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、また生物製剤及び特定生物製剤の いずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。 御審議のほどよろしくお願いいします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問、御討議を お願いいたします。岩崎委員、どうぞ。 ○岩崎委員 先ほどの第III相で、スギ飛散量との関連性は余り見られなかったというこ とだったと思うのですけれども、それはある意味で失敗した試験という感じですね。そ うするとその扱いとしては本剤が有効ではないというわけではなくて、試験のやり方が まずかったという感じだと思うのですけれども、それ以前の幾つかの試験を見ても、例 えば用量設定の場合でも統計的には余り有意差がはっきり出なかったという感じのもの が結構多いと思うのです。この中で、機構として一番ピボタルに承認のかぎになるのは どれなのかをお伺いしたいと思います。 ○機構 機構よりお答えいたします。承認の判断をする上で一番ピボタルなものとしま しては、ケトチフェンとの非劣性の試験であると考えております。この試験で医療現場 で一番よく使われておりますケトチフェンとの非劣性が示されておりますので、有効性 が認められているものと判断しております。また、抗原誘発試験におきまして、プラセ ボ群と比較して有意差が認められておりますことも有効性の判断根拠としております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。そう決定的なものではないような気がしますが、 ほかにいかがでしょうか。外国の花粉症と日本のスギの場合で多少違うのかもしれない ということはあるかもしれませんね。いかがでしょうか。御意見がなければ承認可とし て進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。それでは、承認可として分科会に 報告させていただきます。  では議題2、ジェノトロピンについてですが、説明をお願いいたします。 ○機構 それでは御説明いたします。議題2、資料2、医薬品ジェノトロピン5.3mgほ かの輸入承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明 申し上げます。  本剤は、ヒト成長ホルモンでありますソマトロピン(遺伝子組換え)を有効成分として 含有する注射剤でございます。本剤においては1998年に「骨端線閉鎖を伴わない下垂体 性小人症」を効能として輸入承認を取得したのを始めとしまして、現在までに審査報告 書の3ページに記載されております効能・効果について既に承認を取得しております。  本申請は成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)患者に対するGH補充療法に係る効 能・効果を追加する一部変更承認申請でございまして、前回2月の医薬品第一部会で御 審議いただきましたヒューマトロープC6mgほかとほぼ同内容の申請となっておりま す。 海外における本剤のAGHDに対する効能については、米国を始めとして66か国 で承認されております。  本品目の専門協議では、本日の配付資料9に示します大森委員、片山委員、佐々木委 員、西川委員、村勢委員の計5名の委員が専門委員として指名されております。  本剤の品質、薬理、薬物動態及び毒性については既承認申請時にも評価されており、 その他特段問題となる点はございませんでしたので、臨床試験成績について述べさせて いただきます。  まず、有効性に関してですが、重症と分類されるAGHD患者73例を対象とした国内 第III相プラセボ対照二重盲検試験において、主要評価項目である投与24週後における除 脂肪体重変化率は本剤群4.72%、プラセボ群1.03%で、プラセボ群に対する優越性が検 証されました。除脂肪体重の増加については、それ自体の臨床的意義は明確ではありま せんが、本剤によるGH補充療法としてAGHD患者の病態を全体的に改善の方向に向 かわせる底上げ的な治療と考え、臨床的意義はあるものと判断いたしました。  次に安全性に関してですが、本剤は下垂体から分泌される成長因子であることから、 特に脳腫瘍の発現リスクを上昇させるおそれがあり、現時点でリスクを上昇させるよう な徴候は海外の臨床試験及び市販後調査からは認められてはおりませんが、国内臨床試 験では脳腫瘍の再発例が報告されており、脳腫瘍の既往のある患者に本剤を投与する場 合には定期的に画像診断を実施し、脳腫瘍の発現や再発の有無を注意深く観察するなど 添付文書において注意喚起しております。その他有害事象についてはGHの生理作用に 由来する浮腫、血糖値の上昇について添付文書上で注意喚起を行いました。  製造販売後の使用成績調査において脳腫瘍の再発、発現のほか、臨床的有効性の更な る確認として体組成、脂質代謝等の心血管疾患の危険因子の変化などについて調査する 予定となっており、現在進行中の国際的な市販後調査に参画するか、あるいはそれに準 ずる方法で、3年を超えて本剤投与が継続される症例の長期フォローアップを行う予定 でございます。  また、本疾患の治療に際しては適切に診断がなされた患者に対し注意深く用量調整を 行いながら投与される必要があることから、添付文書の効能・効果に関連する使用上の 注意の項において診断基準を明確化するとともに、重要な基本的注意の項において内分 泌専門医若しくはその指導の下に適正に使用するよう注意喚起しております。  以上のとおり、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、本剤の投与対象を重症の成 人成長ホルモン分泌不全症患者に限定した上で承認して差し支えないと判断し、医薬品 第一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。なお、本申請効能に係る再審査 期間は4年と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほ どよろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御討議をよろしくお願いい たします。患者さんの数は全国で1万人ぐらいということでしたね。 ○機構 重症のAGHD患者の方が1〜3万人程度とされております。 ○永井部会長 村勢先生、どうぞ。 ○村勢委員 私は専門委員として関与いたしましたので、一言補足の説明をしたいと思 います。本品目につきましては、既に今機構の方から御説明がありましたように、前回 の当部会で審議されましたヒューマトロープの類薬であります。したがって、このヒュ ーマトロープと同様の扱いとなっております。  要点を幾つかまとめますと、まず成人の成長ホルモン分泌不全に対するGHの補充療 法にかかわる効能追加の申請であるということが一点です。治療薬としての位置付けと してはホルモン療法になるわけでございまして、内分泌疾患では最も基本的な治療法で あるから問題はないと思います。  専門協議で議論されました問題点の一つとして、本薬の適応の範囲ということですけ れども、これにつきましては診断の手引きにのっとって重症と診断された患者を対象と するのが妥当であるということになりました。このようなことで、類薬のヒューマトロ ープ、ソマトロピンと同様の扱いになっておりまして、さして問題はないというふうに 思います。以上、補足いたしました。 ○永井部会長 村勢先生、この診断基準は大体こういうことで問題ないでしょうか。 ○村勢委員 はい。 ○永井部会長 重症度の判定もかなり症状にもよるわけですね。 ○村勢委員 症状というよりはむしろGH刺激試験の反応です。それで診断の手引きと いう内分泌の学会で出されております線にのっとって判定するということになろうかと 思います。 ○永井部会長 いかがでしょうか。どなたか御意見はございませんでしょうか。DEX Aという方法も評価をしていく上でかなり信頼性が高いと考えてよろしいでしょうか。 ○村勢委員 そうだと思います。 ○機構 機構より補足説明を申し上げます。前回のヒューマトロープの折も同じ方法で 検査しておりまして、標準的な方法であると考えております。 ○永井部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。あとは長期副作用の問題です ね。これは市販後調査でかなり綿密に見ていくということで対応していただくわけです ね。 ○機構 機構よりお答えいたします。製造販売後調査につきましては、海外では8,000 〜9,000例規模の調査をやっておりまして、そちらの方に参画するか、あるいは国内で それに準じた形で長期に見ていくことを考えているということになります。 ○永井部会長 処方へだれでもできるのですか。それとも限られた専門医のみというこ となのでしょうか。 ○機構 機構よりお答えします。添付文書の重要な基本的注意の項におきまして、内分 泌専門医あるいは内分泌専門医の指導の下に本剤を使うようにと注意喚起をしておりま して、専門家の指示の下に使用されるものというふうになっております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。もし御異議がなければ承認可ということで薬事分 科会に報告させていただきます。どうもありがとうございました。  それでは議題3、ガバペン錠の製造承認について機構より御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは資料3、医薬品ガバペン錠200mgほかの製造承認申請の可否等につい て、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本薬は、合成されらGABA誘導体でございまして、今般の申請は難治性部分発作を 効能・効果とするものです。2005年10月現在、本剤は米国、英国、フランス、ドイツ 等80か国以上で成人又は小児てんかん患者の部分発作に対する併用療法で承認されて おります。なお、製剤の販売名につきましては、もともと申請時には「ニューロンチン 錠」という販売名でございまして、既承認の医薬品である「ニューロタン錠」と名称が 類似しているということで、今回「ガバペン錠」に変更されております。  本申請の専門委員としては、資料9に記載されております青柳委員、越前委員、黒岩 委員、中村委員、鍋島委員、松岡委員、溝口委員、三森委員、宮島委員、山口委員、吉 田委員の計11名の委員を指名いたしました。  審査内容についてですが、品質に関しては有効期間の見直し等を行っておりますけれ ども、最終的に設定された基準について特に大きな問題はないと考えております。  作用機序でございますが、本薬はGABA誘導体でございますけれども、GABAの 受容体には結合しないということになっておりまして、前シナプスの電位依存性カルシ ウムチャネルの阻害による興奮性神経系の抑制等が機序として考えられております。  毒性に関してでございますが、腎あるいは膵臓での所見等について検討しております けれども、ヒトでの安全性を評価する上で特に大きな問題はないと判断しております。  薬物動態に関しては、ラットで水晶体への停留が認められておりまして、国内外の臨 床試験におきましても眼に関する有害事象はプラセボ群よりも有意に高いということ で、添付文書の方でその旨を注意喚起しております。  また、本薬はほとんど代謝されず、大部分が腎臓を介して尿中に排泄されるというこ とでございまして、腎機能低下患者では本剤投与後の血中濃度が大きく変動することが 明らかになっており、腎クリアランスに基づいた用量調節が必要と考えられております。 現時点では、得られておりますシュミレーション結果が一番適切だと我々としては考え ておりますので、その結果を詳細に添付文書で記載しております。また製造販売後には、 日本人腎機能低下患者を対象とした臨床試験を実施していただいて、クレアチニンクリ アランスと血中濃度の関係、あるいはシュミレーション結果の妥当性について検討する よう指示しております。  臨床成績でございますが、既存の抗てんかん薬治療ではてんかん部分発作の抑制が不 十分な難治性てんかん患者を対象にしたプラセボ対照二重盲検群間比較試験が国内で実 施されておりまして、主要評価項目であるResponse Ratioはプラセボ群で-0.037、 1,200mg/日群で-0.144、1,800mg/日群で-0.160ということで、本剤の投与による有意な 発作頻度の減少が認められております。  安全性につきましては、主な副作用は傾眠、めまい等でございまして、これ以外にも 体重増加等について注意が必要ですが、本剤の安全性につきましては製造販売後の調査 で検討するよう指示しております。  以上の審査を踏まえまして、本剤の製造を承認して差し支えないとの結論に達し、本 第一部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医 薬品ということで、再審査期間は6年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当 せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。 なお、薬事分科会には報告を予定しております。  谷川原委員の方から事前にコメントを頂いておりますので、その点につきましても我 々機構としての考え方を簡単に述べさせていただきます。1はResponse Ratioと平均血 中濃度の相関、あるいは有害事象との相関が緩やかであったという根拠データでござい ます。今回提出いただいておりますモジュールの中には詳細な結果は載せておりません、 我々の審査の過程で回答等を確認しており、相関性は認められていないと考えておりま す。その結果でございますけれども、国内第III相試験の結果を基に検討しておりまして、 100例以上の症例での検討結果に基づくものだということでございます。  それから三番目の血中濃度との関係が緩やかであれば、血中濃度の測定は必要ないと いうことでございますけれども、TDMをやって有効な場合もあるかもしれませんが、 我々が今回のデータを見る限りではこの薬の投与の前に必ずTDMが必要かということ と、その必要性は低いのではないかと判断しているわけで、TDMそのものの有用性を 否定しているわけではございません。  それから、血中濃度を測定できるなら簡単に解決する問題、腎機能低下患者への投与 法の話でございますが、今のところ申請者以外はできないということでございますので、 この品目でどこかのラボに委託してやることは、今の時点では簡単にはできないという 実行上の問題もございます。  シミュレーション結果でございますけれども、我々としては今回200mg錠、錠剤のバ リエーションがかなり限られているということ、それから腎機能低下患者でかなりの血 中濃度変動が予想されるということでございますので、今の時点で最も適切な情報とい うのはシミュレーション結果です。このシミュレーション結果には相当数の症例数、そ れから実際のPKのポイント数が含まれております。5,000ポイント以上のポイント数 でシミュレーションをしておりますので、それなりの妥当性はあるということでござい ます。したがって、今の時点ではこのシミュレーション結果を臨床現場にお伝えするの が最も適切ではないかと。ただし、製造販売後に実施する試験の結果に基づいて、その 結果が出てくれば当然そちらの実測値の方へ情報を変更していくというアプローチを考 えております。  それからTDMでございますが、市販後の検討ですけれども、市販後には腎機能低下 患者での検討を行っていただく予定でございますが、実際の測定方法についてもこれか らまだまだ検討を続けていかなければいけないということと、米国の添付文書でもこの 薬の血中濃度についてはモニターする必要ないと明確に書かれておりますので、現時点 で我々としてこの薬剤にTDMを義務付ける必要はないだろうというふうに判断してい るということでございます。以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたしま す。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御討論をお願いいたします。 堺委員、どうぞ。 ○堺委員 今の御説明に関連いたしますけれども、この薬剤については血中濃度測定は 必要ないということでしたが、これは腎機能低下患者においても必要ないということで ございますでしょうか。と申しますのは、この薬剤は腎機能低下患者あるいは血液透析 患者の投与法と用量は一応添付文書に書いてございますが、血中濃度が上がった場合の 判定については臨床症状以外には今のところ手段がないように思われます。  それから、今の御説明でありましたように、この薬剤の血中濃度測定はメーカーでな いと現時点ではできないということもございますので、例えば医療機関の方から要望が あれば、この種の患者さんの血中濃度をメーカーの方で測っていただくということも将 来的には可能でございますでしょうか。 ○機構 腎機能低下患者のお話でございますが、メーカー側でどの程度の体制が整って いるかということについては、今日の先生方の御意見を基にまたメーカーと詰めたいと 思いますけれども、実際この薬の臨床症状で判ることは、まず傾眠、めまい、それも比 較的軽症な症例が投与初期にかなり現れてきます。したがって、適量投与の場合にはそ ういった臨床症状を踏まえて判断してもそれほど問題にはなりません。ほかのガルバマ ゼピン、フェニトインと比べて比較的安全域が広いというのがこの薬の特徴でもありま すので、そういう意味ではほかの抗てんかん薬と違って、臨床症状に基づく用量調節で も比較的対応できるのではないかというのがこの薬のプロファイルと考えております。  したがって、腎機能低下患者の場合に我々として例えば現場で対応できるような施設 があれば対応していただくことの有用性は否定しませんけれども、必ずやらなければい けないという義務付けるところの基準としては、今のところそこまでしなくても対応で きるのではないかと考えているということです。それを現場からの要望に応じて企業側 でどの程度対応できるかについては検討させていただきたいと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員 これはコメントということになろうかと思うのですが、この薬剤の効能・ 効果にありますように、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められない難治性のという ことが縛りになっていると思うのです。確かに治験の段階で選ばれている症例というの はほとんど難治性のどういう治療を行っても発作がコントロールできないということ で、それに対する有効性が示されているのでそれはいいと思うのですが、実際に市販さ れることになりますと、すべてが難治性と称しているものも含まれてくる可能性があっ て、どういうふうにして十分な効果を見極めていくかということが大事になってくるよ うに思うのです。なかなかそういうことを表現するのは難しいのでこういう表現しかな いかと思うのですが、例えばよく我々の領域で指摘されていますのは、1剤を使ってう まく反応しないから次の2剤目を使う。それも少量使って3剤目を重ねていくというこ とがしばしば行われて、多剤併用療法の弊害というのは日本の特に精神神経科の領域の 薬剤の使い方で最も批判を浴びているところでございます。したがいまして、そういう ことにならないための何らかの…、要するにこれが難治性のものがあって、十分量の既 存の抗てんかん薬を用いてなおコントロールできないというところを十分説明、指示す ることが必要なのではないかと思っております。 ○永井部会長 ありがとうございました。部分発作というのはどういうことなのでしょ うか。 ○樋口委員 てんかんの発作型には部分発作と全般発作というのがありまして、全般発 作というのは、要するに脳全体が非常に電気的な過剰放電をするということであります。 部分発作の方はごく一部でほとんどは側頭葉に限局された発作で、したがいまして二次 性にそれが全般化して脳全体が発火することもございますが、局在的な発作という意味 でございます。 ○永井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。岩崎委員、どうぞ。 ○岩崎委員 教えてほしいのですけれども、Response Ratioで評価しているのですが、 この種の領域のお薬ではこれで見るのが普通ということでしょうか。領域によっていろ いろな指標があると思うのですけれども、T+Bで割り算をするというところが、通常 は投与前の値で割り算をしたりとかいろいろなものがあると思うのですけれども、この 領域では少なくともこれで見るのが普通ということでしょうか。 ○機構 抗てんかん薬の領域でこれまでよく使われてきているのは発作頻度減少率、 Responder Rateであって、Response Ratioというのは一般的ではありません。今回の我 々の審査の中でResponse Ratioの妥当性ということについても検討しております。一つ は、彼らの主張としては結局Response Ratioをとることでひずみを大分補正できると。 取る値としては−1〜+1しかあり得ないので、無理やり上と下を切っているという話 になりますが、そのことが本来の目的を失っていないかということについて、例えば発 作頻度減少率との相関、あるいはResponder Rateとの相関を見ておりますけれども、今 回の結果から見る限りはResponder Ratioを用いることによって、何かミスリーディン グなようなことは起こっていないということは確認しております。これからこの抗てん かん薬の臨床試験の中でResponse Ratioを用いることが適切なのかという点について は、我々は現時点で結論付けておりませんが、これからこのResponse Ratioを確かに使 っていくという方向が海外、国内の流れではありますので、この辺の試験が増えてくれ ばその辺のことを見極めていけるかなと。ただし、現時点では我々としては発作頻度減 少率というものを必ず副次で設けて、その相関を見るようにという指示はしております。 安全対策課長着席 ○永井部会長 よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。先ほどのTDMです けれども、これは技術的には近い将来もう少し広い施設で側定可能になると考えてよろ しいのでしょうか。 ○機構 今のところ海外でTDMを実施している国はございませんので、企業としてT DMを広めるような取組というのは今のところやっておりません。実際に海外でも既に 何十万人という患者に投与されておりますが、その中でTDMが必要というディスカッ ションには今のところなっておりませんので、この薬の一つの特徴としては今までの抗 てんかん薬よりも比較的安全域が広いということで、臨床症状に基づく用量調節が比較 的可能な薬剤ということで注目されておりますので、これから市販後の状況は注意深く フォローしたいと思いますけれども、有害事象プロファイルにそう大きな違いがなけれ ばTDM自体の普及というのはそれほど必要ないのではないかと思っております。 ○永井部会長 樋口先生、そういうことでよろしいでしょうか。 ○樋口委員 結構だと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。もし御異議なければ承認可ということで、分科会 報告にさせていただきます。  それでは議題4にまいりますが、この審議の間は私と堺委員は退席させていただきま す。長尾先生、よろしくお願いいたします。 永井部会長、堺委員退室 ○長尾部会長代理 それでは、議題4につきまして総合機構から審査の概要を説明して ください。 ○機構 では、引き続きまして議題4、資料4、塩酸モザバプタン及びフィズリン錠30mg につきまして、総合機構から御説明いたします。  塩酸モザバプタンは非ペプチド性のバソプレシンV2 -受容体拮抗薬であり、本剤は バソプレシンによる腎集合管での水再吸収作用を阻害することにより、電解質排泄の増 加を伴わず、水の排泄のみを選択的に増加させる作用、すなわち水利尿作用を示す経口 薬です。平成13年8月に「バソプレシン分泌不適切症候群における低ナトリウム血症の 改善」を予定効能・効果とする希少疾病用医薬品の指定を受けております。今般、臨床 試験成績に基づきまして「異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍によるバソプレシン分泌不適 切症候群における低ナトリウム血症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効 能・効果として、大塚製薬株式会社より製造承認申請されたものです。なお、本剤は海 外において開発及び承認申請はなされておりません。  本品目の審査に関しましては、専門委員として資料9に示します青柳委員、秋葉委員、 井上委員、岩崎委員、江馬委員、奥田委員、柏原委員、片山委員、金井委員、松岡委員 の計10名の方々が指名されております。  本品目の審査の概要について説明させていただきます。希少疾病用医薬品であり、国 内第III相試験における投与症例数が16例と少なく、また本剤投与の前提であるべき原疾 患の治療や水分制限が行われていない患者も組み入れられていた等の問題がありました が、水分制限を実施されていた4例中3例、及び十分な水分制限が実施できなかった7 例中5例で血清ナトリウム濃度の改善が認められ、本剤の薬理作用に基づく水利尿効果 は確認されました。なお、血清ナトリウム濃度は投与4日目と7日目で大きく変わらな い成績でした。また、低ナトリウム血症に随伴する臨床症状が見られた8例中7例で本 剤による血清ナトリウム濃度の上昇に伴う臨床症状の改善が認められました。副作用は 16例中6例に15件発生しております。  本剤につきましては、その薬理作用から、脱水、血中カリウムの上昇、循環器への影 響、急激な血清ナトリウムの上昇とそれに伴う橋中心髄鞘崩壊症を始めとする臨床症状 等が懸念されますが、添付文書等で適切な注意喚起を行うことによりリスクが低減でき るものと判断しております。  本剤の対象疾患は、一旦改善したも原疾患である腫瘍が改善しない限り再発する可能 性があり、また、空腹時や腎機能低下患者では本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇する こと等から、製造販売後の調査では全例調査方式により、再投与や減量投与された場合 の情報も遺漏なく収集する必要があると考えております。申請者から、患者背景、治療 状況、本剤投与状況、併用療法、本剤投与中止後の患者の状況等も調査し、定期的に評 価した結果により、適正使用の確保措置を講じる旨の調査計画案が提出され、また、本 剤の適正使用のために医療機関には本剤の在庫を置かず、本剤を使用する医師及び患者 が適切であることを確認した後に本剤を提供する旨の回答が提出されております。  以上のような検討の結果、本剤の有効性及び安全性の検討は必ずしも十分ではありま せんでしたが、本剤の対象患者が非常に少ないこと、及び対象疾患に対して現在水分制 限の他に確たる治療法がないことも考慮し、評価可能な情報に基づき、重篤な臨床症状 を呈する患者等では、本剤投与によるベネフィットがリスクを上回るものと判断し、ま た病名はICD-10に準拠して、効能・効果は「異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍による 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症の改善(既存治療で効果不 十分な場合に限る)」とし、本剤の有効性及び安全性を確認するため、市販後適切な症例 数が集積するまでの全例調査を承認条件とした上で、本剤を承認して差し支えないと判 断しました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年と判断してお ります。原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来及び特定生物由来製品には該当しない と判断しております。薬事分科会では審議を予定しております。御審議のほどよろしく お願いいたします。 ○長尾部会長代理 ありがとうございました。希少疾病用医薬品ということで開発され てきたものです。御質問、御発言はございますか。一般的な質問なのですけれども、こ のものについては初めてだと思いますが。V2 -受容体アンタゴニストで外国ではこう いう使い方がされているものはありますか。 ○機構 現在のところございません。このものは非ペプチド性、以前はいくつかペプチ ド性のものも検討されていたと思いますけれども、ほとんどアゴニスト作用等の問題で 開発中止になっております。非ペプチド性のものとしては、アメリカで1製品承認され ておりますが、対象疾患は、今回のものと異なり、希少疾病ということでなくおります。 ○長尾部会長代理 非常に少ない例数の結果で、いろいろ考慮してここまで上げたとい うのはよく分かったのですけれども。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 供給体制のことをもう一度教えていただきたいのですが。 ○機構 現時点で確定したわけではございませんが、申請者の方からは、多分ボトック スのような感じをイメージしているのだと思いますけれども、医療機関側から患者情報 をFAXなり何なりでメーカーに連絡してもらい適切と判断された場合に薬剤を供給す るということで、具体的な方法を検討していくことになります。 ○長尾部会長代理 何かございますか。これは最終的にはこの適応でやっていると思い ますけれども、静脈内投与で途中やられた試験があって、因果関係は否定できないよう な事故的なことがあったようですが、その辺の情報があったら少し教えてください。 ○機構 もともと経口投与が難しい患者さんもいるかもしれないということで、注射の 方が有用ということで開発が始まったものと理解しておりますが、本疾患を対象とした 静脈内投与での反復投与試験と他の疾患を対象とした単回投与試験で併せて3例の死亡 例が出ており、本疾患を対象とした試験では死因不明が1例と、DICが発現して死亡 が1例ございます。因果関係につきましては、ありとは判断されていませんが、DIC の例は関連性が否定されないという判断がされております。なお、そういったことを踏 まえて注射剤の開発は中止となっております。 ○新薬審査第二部長 注射剤の臨床試験において死亡例が出ておりますことについて は、審査報告書の53ページのところに死亡例の内容を記載しております。審査の過程に おいて内容の確認等を行っております。 ○長尾部会長代理 今ここに挙がっているのは経口剤ですよね。 ○新薬審査第二部長 今回の申請は経口剤でございますが、物が同じで投与経路が違う 場合の死亡例ということで、安全性の面から気になりました。オーファンドラッグで症 例数が少ないということもあり、その辺も審査の過程で内容を確認したということでご ざいます。 ○長尾部会長代理 分かりました。どうぞ。 ○審査管理課長 あと添付文書の方では使用上の注意の最後の「8.その他の注意」のと ころで、今御指摘がございました本薬の注射剤による臨床試験における死亡が2例あっ たこと、このうち、播種性血管内凝固(DIC)が発現し死亡した1例は本薬の注射剤と の関連性が否定されなかったという記載があり、一応情報提供する形にはなっておりま す。 ○長尾部会長代理 岩崎委員、何か臨床結果でコメントはありますか。 ○岩崎委員 専門委員だったのですけれども、非常に少ない症例数で、しかも疾病も希 少疾病ということ、また代替治療もないということなので、ある意味で試運転的とはち ょっと言い過ぎかもしれませんけれども、一応医療現場に提供して事後的に情報をしっ かり集めるという形で承認していいのではないかという意見でした。 ○長尾部会長代理 村勢委員、どうぞ。 ○村勢委員 一つ心配なのは、例えば副作用として水利尿が高まるだけであって、脱水 ということが実際起こり得るのかどう。動物実験でもいいのですけれども、薬剤の過剰 投与によって脱水にまではいかないのでしょうか。 ○長尾部会長代理 事務局、お願いします。 ○機構 一応機序から考えまして脱水は考えられることでございますけれども、今回の 承認は7日間までの投与が区切りとなっており、しかも医師の観察下で投与されますの でそれほど脱水症状が出て、長く放っておかれることもないと思われます。投与期間が 短いということと医師の観察下での投与ということで、起こる可能性はありますが、対 応できるだろうと判断しております。 ○新薬審査第二部長 本剤投与中は水分制限を原則としていただきたいということもご ざいますので、添付文書上の重要な基本的注意の(2)で、脱水症状が現れるおそれがあ るので、血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウム濃度等を頻回にチェックし、脱水症状の 発現に注意することという注意喚起を行っております。 ○長尾部会長代理 ほかに何かございますでしょうか。これは実際に許可されるとしば らくは全例調査をやられるわけですよね。 ○審査管理課長 これはオーファンドラッグでございますので、原則として認可を受け ましてから保険診療で使われるような形の措置がとられてから実際に発売ということに なると思いますけれども、その後は基本的には全例調査ということで、再審査期間中は ほぼ全例に近いような調査になると思います。それから、先ほど供給の方でも実際にど こに患者さんがいらっしゃるかということを企業もきちんと把握するということですの で、そういう意味ではどこで患者さんが何人いらして治療が行われているかというのを 基本的には把握した形で、市販後のフォローが行われると考えております。 ○長尾部会長代理 そういう非常に縛りが掛かった条件で臨床で使えるようにしようと いうことでございますけれども、よろしゅうございますでしょうか。それでは承認可と いたします。本剤は新有効成分でありまして、既存の医薬品と薬理作用が異なるもので すので薬事分科会に上程審議することとさせていただきます。 ○審査管理課長 それでは、永井部会長がお戻りになるまでしばらくお待ちください。 永井部会長、堺委員入室 ○永井部会長 それでは、報告事項にまいりたいと思います。議題1〜3まで事務局か ら御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは議題1の新キットの承認につきまして、先生方の机上に配付させてい ただいておりますサンプルとA4横長の資料5に基づきまして御説明させていただきま す。昨年度承認されました新キット製剤は、3品目5規格でございまして、いずれもシリ ンジ入りの注射剤でございます。  まず一番目でございますが、ガシクロン注シリンジ10mLでございます。有効成分はサ リチル酸ナトリウム及びコンドロイチン硫酸ナトリウムでございまして、無菌性の保持、 異物混入防止、医療事故防止を目的といたしまして、既承認のアンプル製剤のものをシ リンジに入れたものでございます。  二番目でございますが、ペラプリン注シリンジ10mLでございます。有効成分は塩酸メ トクロプラミドでございまして、これも先ほどのものと同様に無菌性の保持、異物混入 防止、医療事故防止を目的といたしまして、既承認のアンプル製剤のものをシリンジに 入れたものでございます。  最後でございますが、ローヘパ注シリンジ20mLの100単位、150単位、200単位の3 規格でございます。既承認のローヘパ注は10mLのバイアル入りのものでございまして、 これまで患者に合わせて使用時調整が必要でしたが、3種類の濃度のシリンジを用意し たものでございます。無菌性の保持や医療事故防止などのほか、患者さんに合わせて規 格を選択しまして透析装置にそのままセットして使用することができるものでございま す。以上でございます。 ○機構 続きまして議題2、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料 6の医薬品再審査確認等結果通知書、塩酸ベバントロールを御覧ください。本品目につ きまして、市販後の使用成績調査の成績、特別調査等に基づいて再審査申請が行われ、 審査の結果、薬事法第14条第2項各号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当 しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要のない カテゴリー1と判定したものであります。以上でございます。 ○機構 続きまして議題3、医薬品優先対面助言品目指定について本日お配りいたしま した資料7-1と7-2で報告させていただきます。優先対面助言品目指定制度は、治験品 目 の中でも医療上の有用性が特に高いと期待される品目につきまして優先的に対面助言、 いわゆる治験相談を行いまして、その開発の迅速化を図ろうというものでございます。 選定の基準ですが、これは優先審査品目の選定の考え方に準ずるとされておりまして、 適応疾患の重篤性と医療上の有用性を総合的に評価することとされております。今回、 当部会の関連品目といたしまして2品目を指定いたしましたので、報告させていただき ます。  まず、1品目めが資料7-1のL-アルギニンの経口剤と静注剤でございます。経口剤に 関しましては、ミトコンドリア病の一病型とされておりますMELASの脳卒中様発作緩解 期における発作症状の発現防止、静注剤につきましては、脳卒中様発作急性期における 発作症状の改善を予定効能効果としております。当該疾患の重篤性に関しましては、 MELASは脳卒中様発作と高乳酸血症を特徴とする遺伝性小児疾患でございまして、多く の場合脳卒中様発作を繰り返すことで徐々に後遺障害が蓄積いたしまして、最終的に死 に至る進行性の経過をたどるとされておりますことから、生命に重大な影響のある致死 的な疾患に該当すると判断しております。現時点では当該疾患に対して有効な治療法は なく、発作時にはステロイド、マニトール等による対症療法が行われているところでご ざいますが、本剤につきましては、国内で実施された臨床研究におきまして静注剤に関 しまして脳卒中様発作の症状をプラセボと比較いたしまして有意に改善するというこ と、それから経口剤につきましては、脳卒中様発作の頻度と重症度を軽減することが報 告されております。これらの成績に基づきまして、本剤はMELASに対する有用な治療薬 となる可能性が期待されると判断いたしまして、優先対面助言品目として指定したもの でございます。  一枚めくっていただきまして、2品目めはビタミンB12の活性型であるメコバラミン の高用量製剤でございます。メコバラミンの低用量製剤に関しましては、既に「末梢神 経系障害」と「ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血」の適応で承認されております が、今般のものはその50〜100倍量の高用量製剤でございまして、予定効能効果は筋萎縮 性側索硬化症でございます。当該疾患の重篤性に関しましては、日常生活に著しい影響 を及ぼし、かつ生命に重大な影響のある致死的な疾患に該当すると判断しております。 また、医療上の有用性に関しましては、国内で実施された幾つかの臨床研究によりまし て、臨床症状の改善、また生存期間の延長を示唆する成績が報告されております。筋萎 縮性側索硬化症に対する治療薬としては、リルゾールが既に承認されておりますけれど も、リルゾールの国内臨床試験では生存期間の有意な延長を示されていないこと等を勘 案いたしますと、このような成績より、本剤は既存薬に勝る有用性を示す可能性が期待 できると判断いたしまして、優先対面助言品目として指定したものでございます。以上 でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。では、まとめて御質疑、御討論をお願いいた します。いかがでしょうか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 名称のことなのですけれども、後発品はこういうふうに報告という格好に なってしまうのですが、実は後発品が今だったらはねられるような名前があるのですけ れども、これはもうやむを得ないでしょうか。 ○永井部会長 つまり、間違えやすい既存の名前があると。 ○土屋委員 新薬ですとフローチャートでティボボンのという話になるものが、後発品 ですので、しかも後発で剤型を増やしていくとこういう格好で今回のようにプレフィー ルドというようになりますけれども、本来はそれがというときにも引き続き認めていく という格好なのでしょうか。 ○審査管理課長 医療安全の観点からもということで、後発品がブランド、商標を付け るという形でどんどん増えてまいりますと医療現場も混乱しやすいということで、後発 品につきましては、昨年の秋にできるだけ一般名で名前を付けましょうということで指 導する通知を出させていただいたのですけれども、各社とも既に、例えばプレフィール ドでないもので自分の会社の銘柄として出していると。プレフィールドにし始めたとき に一気にまた一般名に変えるというのもなかなか難しいというところもございまして、 今過渡期の難しいところがございます。企業によりましては、この際既存のものも含め て全部変えたいので、その代わりできるだけ迅速に審査してもらえないかという相談も あるのですけれども、既にガシクロンという名前で既存のバイアル入りのものが出てお りますと、プレフィールドにしたからといってなかなか一気に一般名のものにできない という事情もございまして、ちょっと過渡期としては無理やりどちらかにそろえろとい うのも難しいところがございます。きちんとした回答になっておりませんで申し訳ござ いませんが、現状そういうところで徐々に…。完全に新規のものでございますとそうい う形になっているのですが、一部もう既に中身が同じものが出ている場合にはなかなか 一気に変えられないという事情もありまして、そういう状況でございます。 ○土屋委員 後発を使うことを推奨している一方で、やはりそういうことがという話は いかがなものかという気はいたしますので、是非よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、ただい まの報告につきましては御確認いただいたということで進めさせていただきます。  本日の議題は以上でございますけれども、事務局から何か連絡事項等がございました らお願いいたします。 ○事務局 それでは事務連絡を申し上げます。一つが、当部会におきまして過去に御審 議いただきました品目の承認の状況につきまして御報告させていただきます。去る3月 27日の薬事分科会を経まして、今から申し上げます8成分につきまして本日付けで承認 させていただきました。ジェイゾロフト錠(塩酸セルトライン)、セトロタイド注射用(酢 酸セトロレリクス)、デトルシトールカプセル(酒石酸トルテロジン)、ボースデル、マグ ベリー内用液、これは塩化マンガンの診断薬でございます。それからニューロタン錠(ロ サルタンカリウム)の高血圧及び蛋白尿を伴うZ型糖尿病における糖尿病性腎症の効能 追加、ヒューマトロープ(ソマトロピン)の成人成長ホルモン分泌不全症の効能追加でご ざいます。ベシケア錠(コハク酸ソリフェナシン)、最後がフエロン(インターフェロンベ ータ)のC型代償性肝硬変の効能追加。以上、8成分につきまして新規の承認、あるいは 効能追加等の承認を本日付けでいたしましたことを御連絡申し上げます。  その関係でございまして、実は資料8といたしまして本日御審議いただきました四つ の品目の名前や再審査の期間を書かせていただいておりましたが、先ほど御紹介申し上 げましたように、ヒューマトロープというイーライリリーのソマトロピン製剤を本日付 けで承認いたしました関係で、資料8の2のジェノトロピンもソマトロピンで成分が同 じでございまして、薬事的には同じ成分で同じ効能ということになりますので、こちら の再審査が4年と書いてございますが、先ほど申し上げたリリー社の方の本日付けの製 品に合わせまして、本日から4年間、すなわち平成22年4月19日までという形に訂正 させていただきたいと思います。ですから、リリーの方とファイザーの再審査のおしり が合うということでございます。  最後に、次回の部会の日程の御案内でございますが、既に先生方にお知らせしており ますけれども、次回は5月25日木曜日午後2時から開催させていただきますので、よろ しくお願いいたします。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、本日はこれで終了させていただき ます。 (了) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)