06/04/17 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 平成18年4月17日議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録         厚生労働省食品安全部企画情報課 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事次第 日 時:平成18年4月17日(月)14:00〜15:58                  場 所:厚生労働省18F専用第22会議室 1 開 会 2 あいさつ 3 審 議   議 事:1 議題       (1)農薬の残留基準の設定について        ・農産物等に係る農薬「オリサストロビン」の残留基準の設定について        ・農産物等に係る農薬「ピラクロストロビン」の残留基準の設定につい て       (2)動物用医薬品の残留基準設定について       2 報告事項       (1)食品安全委員会に対する食品健康影響評価の依頼について       (2)BSEに関する報告について 4 閉 会 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品 衛生分科会を開催させていただきます。  本日は、御多忙のところ御参集いただき御礼申し上げます。  まず、本日付で委員の辞職と新委員の就任等がございましたので、御報告いたします。 倉田委員、土屋委員におかれましては、先般辞任願いが提出され、本日付で当審議会委 員を辞職されました。お二人のこれまでの多大な御尽力に対し、深く感謝の意を表しま す。  次に、本日付で当審議会委員に就任され、当分科会委員に指名された委員を御紹介い たします。内田委員でございます。 ○内田委員 日本医師会の内田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局 次に、本日付で当分科会委員に指名されました宮村委員でございます。 ○宮村委員 感染研の宮村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局 内田委員、宮村委員におかれましては、当審議会委員並びに当分科会委員の 就任に御承諾いただき、誠にありがとうございます。御多用のところ大変恐縮ではござ いますが、食品安全行政の推進に御支援をお願い申し上げます。  それでは、本日の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、犬伏委員、 垣添委員、品川邦汎委員、正田委員から欠席との連絡を事前にお受けいたしております。 また、長尾美奈子委員は少し遅れられているようでございますが、現在分科会委員総数 20名のうち15名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に達しておりますので、 本日の分科会は成立いたしますことを御報告申し上げます。  本日の議事次第につきましては、農薬の残留基準の設定について、畜水産食品中に残 留する動物用医薬品の基準設定についての2題を予定しております。具体的には1−(1) といたしまして、農産物等に係る農薬オリサストロビンの残留基準の設定について。1 −(2)といたしまして、ピラクロストロビンの残留基準の設定について。2といたしまし て、鶏の大腸菌症不活化ワクチンに係る食品中の残留基準の設定についてでございます。  また、報告事項といたしましては、食品安全委員会に対する食品健康影響評価の依頼 についてとBSEに関する報告事項についての2点を御報告させていただきたいと考え ております。  それでは、次に配付資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、議 事次第がございます。  資料1−(1)−1につきまして、オリサストロビンに関する資料について。1−(2)−1 はピラクロストロビンの資料につきまして。  資料2につきましては、大腸菌症不活化ワクチン。  また、報告資料2につきましては、米国産牛肉の輸入再開、輸入手続停止に関する経 緯等について。  報告資料1としては、大豆イソフラボンについて等でございます。  以上でございますが、資料はよろしゅうございましょうか。もし不足や落丁等がござ いましたら、事務局までお申しつけいただければと思いますので、よろしくお願いいた します。  それでは、以後の進行につきまして吉倉分科会長にお願いいたしたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長 報告はイソフラボンが先ですか、牛が先ですか。 ○事務局 イソフラボンです。 ○吉倉分科会長 わかりました。  それでは、早速議題1の農産物等に係る農薬オリサストロビンの残留基準の設定、そ れから、続いてピラクロストロビンの残留設定をやろうと思いますが、まずオリサスト ロビンからお願いします。 ○伏見課長 基準審査課長の伏見でございます。よろしくお願いいたします。それでは、 座って資料を説明させていただきます。  資料でございますが、右肩に「資料1−(1)−1」と書いた束になったものがございま す。それをごらんいただければと存じます。  まず、1枚目が諮問書でございますが、一番後ろの44ページにこれまでの経緯とい うのがございます。これで、これまでの経緯を御説明させていただければと思います。 これは農薬でございますので、まず農林水産省に対して農薬の登録申請があるわけでご ざいますけれども、それが食品中に残留するということで農水省から連絡を受けまして、 厚生労働省において食品中の残留基準を設定するということでございます。  まず、平成16年2月3日に厚生労働大臣から食品安全委員会委員長あてに食品健康 影響評価について要請をしております。それを受けまして、平成17年12月8日に食品 安全委員会委員長から厚生労働大臣あてに食品健康影響評価結果の通知をいただいてお りまして、平成17年12月15日、この分科会へ諮問をさせていただいております。12 月20日にこちらにいらっしゃいます井上先生に座長をしていただいています農薬・動 物用医薬品部会で御審議をいただいたと、そういう経緯で本日まで進んできております。  まず、資料の構成でございますけれども、一番上が諮問書でございまして、2枚目が、 今申し上げました安全委員会から厚生労働大臣に対して健康影響評価結果の通知文書で ございます。その後に、安全委員会の報告書がしばらく続きまして、36ページ、右肩に 「資料1−(1)−3」というのがございますけれども、これが安全委員会の評価結果を受 けまして、井上部会長の部会で御審議いただいて、この分科会に報告している報告書案 でございます。こういう構成になっておりまして、この順番で御説明をさせていただき たいと思っております。  まず、安全委員会の報告書を簡単に御説明させていただきます。8ページをごらんい ただければと思います。ページのナンバリングが2種類ございますけれども、下にある 番号でごらんいただければと思います。  8ページの「7.開発の経緯」というところでございますけれども、オリサストロビ ンはストロビルリン系の殺菌剤でございまして、ミトコンドリア内のチトクローム電子 伝達系阻害による呼吸阻害により殺菌活性を示すとされております。  本物質は、我が国で初めて登録申請されるものでございまして、海外におきましては 登録はございません。  本品の食品健康影響評価をするために各種試験が行われております。次のページ以降 に「II.試験結果概要」ということで、ある程度のボリュームで記載されておりますけ れども、それらをまとめましたものが28ページにございます。「III.総合評価」という ところでございます。この総合評価に基づきまして、要点について簡単に御説明させて いただきます。  まず、一番上のパラグラフに、ラットを用いた動物体内運命試験というものがござい ます。この試験では主な排泄経路は尿中でありましたけれども、オリサストロビンは検 出されず、F010あるいはF007といった略語がございますが、そういった代謝物が尿中 に検出されております。代謝経路としてはメチル基の脱メチル化、水酸化、側鎖の酸化 及び開裂、オキシムエーテル結合の開裂及びグルクロン酸抱合等であると考えられてお ります。  次のパラグラフが、水稲における植物体内運命試験でございます。抽出可能な主要成 分はオリサストロビン及び代謝物のF001であったということ。それから、主要代謝経 路は脱メチル化、水酸化、脱メチル化後のグルコシド化であったということでございま す。  次に、土壌中運命試験というのがございまして、半減期は水中では6日、土の中では 294〜318日であったとされております。  水中運命試験がありまして、加水分解によりほとんど分解はされないけれども、光分 解試験で速やかに分解することが認められております。  また、作物残留試験の結果がございまして、一部でF001及びF033では検出限界以 下あるいは検出されても少量であったことから、農産物中の暴露評価対象物質をオリサ ストロビン及びそのEZE異性体と設定されております。それが安全委員会でのまとめ でございます。  同じく28ページの下の3行目以降に毒性試験のサマリーが記載されております。ま ず、28ページはオリサストロビンの急性経口のLD50でございまして、そこに記載され ておりますような数値がございます。  また後ほどまとめたテーブルが出てまいりますので、ここは簡単に申し上げますけれ ども、29ページに亜急性毒性試験等がございます。そこで無毒性量の数字が出ておりま すけれども、その次のラットの亜急性毒性試験で十二指腸粘膜の肥厚が認められたほか、 ラットの慢性毒性、発がん性併合試験で十二指腸及び甲状腺の腫瘍、マウスの発がん性 試験で十二指腸に腫瘍が認められたことから、発生機序に関する試験が実施されており ます。  その結果として、いずれも発生機序は非遺伝性のメカニズムであり、評価に当たり閾 値を設定することが可能と結論付けられております。  その後、2世代繁殖試験、発生毒性試験等の記載がございまして、下から2つ目のパ ラグラフ、遺伝毒性試験のところでございますけれども、遺伝毒性試験では一部のin  vitro染色体異常試験で陽性反応が認められておりますが、ほかはすべての試験において 陰性でございました。陽性反応が見られた試験につきましては、再現性に問題があるこ と、それから、陽性となる用量の範囲が非常に狭いこと、十分な高用量まで検討された in vivoの小核試験では陰性になっていることから、生体に問題となるような遺伝毒性 の発現はないものと考えられております。  代謝物につきましても、復帰突然変異試験が実施されておりますが、結果としては陰 性でございました。  今、記載のございました毒性試験に関しまして次の30ページでございますが、表26 といたしまして各試験における無毒性量の一覧が記載されております。この中で一番小 さな値でございますけれども、ラットと書いたところの上から3つ目の24か月慢性毒 性/発がん性併合試験の雄のところで5.2という数字が出ております。これが無毒性量 としては一番小さい値でございまして、5.2mg/kg体重/日ということでございます。こ の値を基に食品安全委員会としてはADIを設定しておられます。30ページのテーブル の下のところでございますけれども、5.2でございますが、安全係数を100といたしま して、結果的にADIといたしましては0.052mg/kg体重/日ということになっておりま す。  以上が、安全委員会の方でまとめていただきました食品健康影響評価の概要でござい ます。  これに基づきまして、36ページ以降でございますけれども、井上部会長の農薬・動物 用医薬品部会で御審議いただきましたものがまとめられております。  まず、37ページでございますが、名称及び構造式等は先ほどの安全委員会資料と重複 しておりますのでスキップさせていただきますが、「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」 というところがございます。適用病害は稲のいもち病、それから、紋枯病でございます。  同じ5に、適用病害のほかに使用量、使用時期、使用回数、使用方法等の登録申請さ れている内容が記載されております。  6で作物残留試験が行われておりまして、その結果をまとめましたものが39ページ にございます。表3がオリサストロビンの作物残留試験成績の結果でございます。この 作物残留試験の見方でございますけれども、基本的には示されている使用条件下で使っ た際、最もたくさん残留すると考えられる時期のデータ、つまり最大使用条件下の作物 残留試験成績は、回数とか経過日数のところにアンダーラインが引いてあり、その条件 が最大使用条件ということでございますが、その最大使用条件下で得られた試験の結果 を最大残留量といたしまして一番右の欄に記載してございます。  「7.乳汁への移行試験結果」というものがございます。これは、稲わらが乳牛等の えさに使われることがございまして、それが乳に移行するかどうかというところを見て おるわけでございます。乳牛における7日間連続経口投与による乳汁試験を実施したと ころでございますが、乳汁からはオリサストロビン及び代謝物は検出されなかったとい うことが結論でございます。  40ページの中段に「8.ADIの評価」ということでございまして、これは先ほどの 安全委員会の報告書と同様の内容が書いてございます。0.052というのがADIの値で ございます。  「9.諸外国における使用状況」ということでございまして、調査した限りではすべ ての国または地域において残留基準は設定されていないということでございます。  最後「10.基準値案」の説明に移らせていただきます。まず、この案におきましては、 残留の規制対象といたしましてオリサストロビン及び代謝物、略称として代謝物F001 としておりますけれども、具体的な名称はそこに記載がございます。オリサストロビン と代謝物F001の総和を規制の対象とするというふうに考えております。  作物残留試験におきましては、上記の2物質のほか、環境中における主要代謝物F033 についても行われておりますが、植物体内運命試験においては主要な代謝物と検出され てはおらず、また、作物残留試験においても可食部である玄米中においてはF033の検 出が認められなかったことから、ここでの規制対象物質とはしないということにしてお ります。  次に、41ページ「(2)基準値案」とございます。別紙のとおりとございまして、恐れ 入りますが次のページをめくっていただきますと、簡単なテーブルがございますが、米 の基準値案として0.2ppmとさせていただいているということでございます。  41ページに戻っていただきまして、この基準値案に基づきまして暴露評価をいたして おります。この基準値案を用いまして一日当たりに摂取する量、TMDIのADIに対す る比率は、国民平均の場合が1.3%、幼小児の場合が2.4%、妊婦の場合が1.0%、高齢 者におきましては1.3%という結果になっております。このように、いずれの場合もA DIの範囲内に収まっておりますことから、この基準値案を基準値として設定しても安 全性には問題がないと考えられます。  そういったことを踏まえまして、最後43ページになりますけれども、答申案といた しましてそこに記載いたしましたような形のもの、食品名、米(玄米をいう)、残留基準 値0.2ppmという形のものを記載させていただいております。  説明は以上でございます。よろしく御審議をお願いいたします。 ○吉倉分科会長 この薬は米だけに使うわけですね。何か御質問その他ありますか。 ○丸井委員 ただいまの座長のお話と関連するのかもしれませんが、8ページで日本が 最初の登録申請国で、他国では登録されていないということがあります。40ページで先 ほどお話がありましたように、幾つかの国で残留基準が設定されていないという農薬で す。それはほかの国ではこれが稲だけに使われるので使用実態がないのか、それとも使 用はされているということがあり得るのか、なぜ日本で初めて登録なのでしょうか。 ○吉倉分科会長 その辺も含めて説明をお願いします。私もちょっと疑問に思っていま すので。 ○伏見課長 これはそもそも我が国で開発されたものでございまして、最初に日本国で 登録申請がされるということです。 ○丸井委員 これはドイツで発見されたというのと開発は日本でというのとは別ですか。 8ページの「開発の経緯」のところにドイツで開発されたように書いてあったので、そ れで先ほどのように余計なぜだろうかと思ったんですが。 ○伏見課長 確かに御指摘のように、このBASF社が発見したものでございますけれど も、この化合物は特に水稲のいもち病、紋枯病に高い活性があることから、1997年以降 日本を中心として企業における開発が実施されておりまして、その結果、登録申請でき るだけのデータがそろったということで、日本国内で申請されたと。それで、世界的に 見ても日本が最初の申請国であり、海外では登録の申請はなされていないと承知してお ります。 ○吉倉分科会長 丸井先生の質問をもう一回言うと、これは残留基準が設定されていな いということは使われていないということですか。 ○伏見課長 残留基準が設定されていないということは使われていないことと、多くの 場合はそうですけれども、必ずしも同じ意味ではございません。本品に関しては海外で も使われておりません。今回初めて日本で登録申請されている状態ということでござい ます。 ○吉倉分科会長 では、使われていない結果、外国では申請もないから設定されていな いという話ですね。  ほかにいかがですか。 ○丸井委員 こういう例は、今までの農薬などでも同じような表現が使われていたと思 います。今の最後の御説明のように残留基準が設定されていないということと使用実態 がないということは違うことだと思います。それはもし記載できるとすれば分けてどこ かの段階で報告していただけると、非常にすっきりするように思います。 ○伏見課長 承知いたしました。それでは、厚生労働省の報告書が40ページにござい ますけれども、そこの使用状況のところが要するに残留基準の話しか書いていなくて、 ちょっと説明が足りない部分がございますので、こちらに「全ての国または地域におい て使用されておらず、また残留基準は設定されていない」とかそういう趣旨の表現を考 えたいと思います。 ○吉倉分科会長 暫定基準を設定していないという表現なんですが、答申案のときに設 定しないという言葉をよく使いますね。その使い方と整合性がとれないように思うんで すけれども、どうでしょうか。 ○伏見課長 恐れ入ります、答申案の設定しないというのは……。 ○吉倉分科会長 たしか非常に安全なものでしたか、どっちか覚えていないんですが、 そういうふうな言葉で書いたように思うんですが。むしろ、これは設定しないというよ り使われていないと書いていただいた方がいいようにも思うんですが、どうなんでしょ う。 ○伏見課長 一般的な農薬の食品に残留する農薬の話を申し上げますと、使用できるで きないという話と、残留基準があるかどうかというのは必ずしもリンクしない話でござ いまして、例えば、昔既に農薬としては禁止されているものでも、残留性が非常に強く て現在も残留基準を置いているようなものもございますので、一応正確を期す意味では、 使用されていないものであり、かつ、残留基準も設定されないと書かせていただくのが よろしいのかと思います。そういう意味で言いましても、現行の書きぶりはやや舌足ら ずな点もございましたので、そこは訂正させていただければと思います。 ○吉倉分科会長 井上先生、よろしいですか。 ○井上委員 特に時期の御説明で付け加える点はないんですが、説明にありましたよう に、十二指腸の鉄吸収の高まりによって反応性の肥厚が起こっているというようなメカ ニスティックなところに基づく主要所見であるとか、そういったものが一応論点として は議論され整理されたという程度でございます。 ○吉倉分科会長 ほかにございますか。 ○丸井委員 これは先ほどのお話のように稲についてですけれども、科学的なところだ けをお伺いしていると、ほかの植物にも有効な気がします。汎用性があって稲だけに使 うことを許可するというような意味合いなのでしょうか。 ○伏見課長 御質問の点は農薬取締法の規制の仕方だと思いますので、余り細かい説明 はできないんですけれども、農薬取締法におきましては農薬の登録申請がありましたと きに、それを使用する作物に使っていいかどうかというところまで登録の内容としてお りますので、今回はそういった意味で稲だけに対して登録の申請がなされているという ことで、今後、適用作物を拡大するかどうかというのは当然可能性としてはありますけ れども、その場合には改めて農薬取締法上の登録拡大の申請をしていただくということ になろうかと思います。 ○吉倉分科会長 ほかにございますか。 ○神田委員 最初の御質問との関係で、ちょっと気持ち悪いので教えていただきたいの ですが、8ページで先ほどの日本が最初の登録国だというお話はわかったんですが、次 のところで2002年に登録申請がここで出されているとありますね。それとの関係がわ からないんですが、どういうふうに読み取ったらよろしいんですか。 ○伏見課長 一番後ろの44ページに経緯がございますけれども、2002年ですから平成 14年でございますが、農薬登録申請がなされたと。これは企業の日本法人から農林水産 省に対して登録申請がなされたということでございます。 ○神田委員 わかりました。 ○吉倉分科会長 これは申請してから大体3年ぐらい経っているんですが、一般的に大 体こんなものなんですか。 ○伏見課長 多分、個別のケースで具体的にどういうことがあったのかはあれですけれ ども、ここの経緯を見ますと何回か安全委員会でも御議論されていますので、多分指摘 が出て、それに対して資料をそろえてといったやりとりがあったのではないかと思いま す。 ○吉倉分科会長 わかりました。よろしいでしょうか。  それでは、一番最後の紙にある43ページの答申案、オリサストロビンで米で残留基 準0.2ppmでよろしいですか。 (「異議なし」と声あり) ○吉倉分科会長 それでは、こういうことで答申したいと思います。  では、その次をお願いします。 ○伏見課長 本件に関しまして今後のスケジュールを御説明させていただきます。この 件につきましては、実は4月20日までパブリックコメントを募集しております。また、 WTO通報も現在実施中でございまして、こちらは6月20日までということになって おります。その後、これらのコメントあるいはWTO通報の結果寄せられました意見と、 その回答案等を分科会の先生方にお送りいたしまして、各先生方の御意見も踏まえて分 科会長に再度こちらの分科会で審議を行うかどうか御判断いただきたいと考えておりま す。  特に、その結果、再度分科会で審議する必要がないと御判断いただきました場合には、 分科会報告と答申をいただき、その後、告示改正の手続を進めていく予定としておりま す。  なお、そういったコメント等していただいた意見とその回答は、答申とともに公表す る予定としております。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 それでは、次をお願いします。 ○伏見課長 それでは、資料1‐(2)のシリーズでございますが、ピラクロストロビンに つきまして御説明をさせていただきたいと思います。  こちらも先ほどと同じような資料の構成となっております。まず、一番後ろの54ペ ージをごらんいただければと思います。これは平成13年10月に農薬登録申請がござい まして、その後、平成15年11月17日に厚生労働大臣から食品安全委員会の委員長あ てに食品健康影響評価について依頼をしております。その結果といたしまして、平成17 年9月21日に食品安全委員会から厚生労働大臣あてに評価結果をいただいております。 若干前後いたしますけれども、平成17年8月31日に厚生労働省からこちらの薬事・食 品衛生審議会へ諮問をいたしまして、昨年12月20日でございますけれども、薬事・食 品衛生審議会の農薬・動物用医薬品部会におきまして御審議をいただいているといった 経緯でございます。  また最初に戻っていただきまして、1ページ目が諮問書でございまして、2ページ目 以降が安全委員会の報告書でございます。41ページ以降が、農薬・動物用医薬品部会の 御審議を踏まえて作成した報告書でございます。  それでは、先ほどと同様に安全委員会の報告書から簡単に御説明をさせていただきた いと思います。8ページ目をごらんいただければと思います。「7.開発の経緯」でござ いますけれども、ピラクロストロビンは先ほどのオリサストロビンと同様、ストロビル リン系の殺菌剤でございまして、ミトコンドリア内のチトクローム電子伝達系阻害によ る呼吸阻害により殺菌活性を示すとされております。  本品につきましては先ほどと異なりまして、既に米国を初めとする諸外国で登録がな されております。  次に30ページをごらんいただければと存じます。安全委員会でいろいろな試験結果 を御評価いただきまして、それをまとめた総合評価というのが30ページにございます。 まず、上から5行目辺りからラットを用いた動物代謝試験がございまして、主な排泄経 路は糞中であり、主要代謝物でM08といったものが確認されております。主要な代謝 経路として、そこにございますようにトリルカーバメート側鎖のN−脱メトキシ化とそ れに続く開裂化合物の水酸化というようなことが考えられております。  「ぶどう、馬鈴薯」で始まるパラグラフでございますけれども、植物体内運命試験で も主要な代謝物、それから、主要代謝経路の特定がなされております。  土壌中運命試験、水中分解及び光分解試験等がございまして、それぞれ土壌中の半減 期、それから、加水分解的には安定であり、光により分解されやすいといったようなと ころが確認されております。  「メロン、ぶどう、りんご」から始まるパラグラフでございますけれども、そこが作 物残留試験の結果でございまして、代謝物としてM07というのが多くの作物で検出限 界あるいは検出されても微量であったということでございまして、これらのことから農 産物中の暴露評価対象物質をピラクロストロビンの親化合物のみと設定されております。  30ページの下5分の1ぐらいのところから毒性試験のサマリーがございまして、まず、 ピラクロストロビンのラット及びマウスの急性経口LD50の値、それからラットでの経 皮LD50、それから、ラットでの吸入のLC50等の値が記載されております。  それから、亜急性毒性試験での無毒性量につきましても、そこで記載がございます。  下の3行から次のページに掛けてでございますけれども、ストロビルリン系化合物の 十二指腸への影響について考察がなされておりますが、当該物質には変異原性がないこ と、投与を中止すれば回復することから、十二指腸に対する本毒性については閾値があ ると結論付けられております。また、ラットで認められた溶血性貧血につきましては、 低色素性貧血と考えられたというような記載がなされております。  その後、慢性毒性試験の無毒性量、発がん性が認められていないこと、慢性毒性及び 発がん性試験による無毒性量の記載、それから、2世代繁殖試験、発生毒性試験、遺伝 毒性試験で異常がなかったこと、それから、遺伝毒性試験については代謝物についても 復帰突然変異試験がなされておりますけれども、結果は陰性で遺伝毒性を発現しないと 考えられているといったことが記載されております。  これらのものを一つの表にまとめましたものが、次の32ページの表21でございます。 ここに無毒性量の一覧がございまして、この中で一番小さな値といたしますと、ラット の24か月慢性毒性試験の雄の3.4、それから、24か月発がん性試験の雄の3.4、同じ値 でございますけれども、これが無毒性量の一番小さな値ということでございます。  次の33ページをごらんいただければと思いますけれども、安全委員会におきまして は以上の評価から以下のとおりADIを設定したということでございまして、この無毒 性量の3.4に安全係数100で割り算をした数字、すなわち0.034mg/kg体重/日というの をADIとして設定していただいたということでございます。  以上が、安全委員会の評価の概要でございますが、これに基づきまして42ページ以 降が井上部会長の部会で御審議いただいたものがまとめられたものでございます。構造 式、名称は先ほどと同様でございまして、「5.適用病害虫の範囲及び使用方法」につい て説明いたします。本品につきましては、水和剤での散布が使用されておりまして、適 用される作物はそこにございますように、ドライフロアブル剤につきまして42ページ、 43ページにボスカリド・ピラクロストロビンの水和剤という2種類の製剤がございまし て、それぞれそこにございますような作物に関して適用が申請されているということで ございます。  43ページの6以降でございますけれども、それらにつきまして作物残留試験が行われ ております。提出された試験成績をまとめた表が45ページに記載されております。こ れも先ほどと同様でございますが、基本的には示されている使用条件下で使った際、最 もたくさん残留すると考えられる時期のデータ、つまり最大使用条件下の作物残留試験 につきましては、アンダーラインを付した部分でございますけれども、このいわゆる最 大使用条件下で得られた試験の結果を最大残留量として一番右のカラムに記載してござ います。 ○吉倉分科会長 済みません、アンダーラインを引いてあるというのはどこですか。 ○伏見課長 45ページの表の、例えば回数と経過日数のところです。  続きまして、46ページでございますけれども、ADIの評価は先ほどの安全委員会の レポートと同じことでございまして、「8.諸外国における使用状況」でございますが、 本剤におきましては米国、カナダ、オーストラリアで登録がされております。コーデッ クスは特に農薬の登録等はいたしませんけれども、残留基準を定めておりますが、本品 に関してはコーデックスでの残留基準は設定されておりません。  「9.基準値案」でございますけれども、まず、(1)残留の規制対象でございますが、 本品につきましては、ピラクロストロビン本体のみを対象としております。  規制対象化合物につきましては、米国におきましては農作物につきましては親化合物 であるピラクロストロビンとその代謝物を対象としておりますが、作物残留試験におい て検出される代謝物は微量であること、検出量が大きいものであっても総量に対する割 合は非常に小さいことから、親化合物のみを規制の対象とすることとさせていただいて おります。  基準値の案は48ページの別紙のとおりでございます。大変細かい表になっておりま すけれども、これが基準値案でございます。本農薬につきましては、海外で登録の実績 があったことから、今回国内登録申請のあった作物のほか、海外で既に基準の定められ ている作物についてもそれらを参考にして基準値案を設定しております。  また、本農薬につきましては、いわゆるポジティブリスト制度の導入との関係で、い わゆる残留基準値といったものも設定しているわけでございますけれども、今回の審議 で設定された基準がいわゆる本基準となるわけでございますが、作物残留試験の結果、 各作物の摂取量、日本への輸入実態等を踏まえて設定しました結果、このテーブルでご ざいますと一番右端の11月29日告示、いわゆる暫定基準値でございますけれども、こ れよりは厳しい基準となったものが幾つかございます。具体的にはバレイショ、ハクサ イ、タマネギ、トマト、ホウレンソウ等でございます。  46ページに戻っていただきまして、(3)の暴露評価でございますけれども、この基準値 案及び作物残留試験のデータから推定される量を用いて、一日当たりに摂取される農薬 の量、推定摂取量EDIでございますけれども、そのEDIのADIに対する比率を試 算いたしております。その結果、国民平均に関しては40.7%、幼小児に関しましては 78.2%、妊婦に関しましては32.9%、高齢者に関しましては41.7%という結果になって おります。幼小児の数字が若干高うございますけれども、いずれの場合もこのようにA DIの範囲内に収まっておりますことから、基準値案を基準値と設定しても安全性には 問題がないと考えらます。  最後に51ページ、52ページがございますけれども、これが答申案でございます。こ のような形で答申案を作成させていただいております。  説明は以上でございます。よろしく御審議をお願いいたします。 ○吉倉分科会長 何か御質問はありますか。  一番最後の答申案の残留基準値というのが、その前の48ページから書いてある基準 値案というものと全く同じになっているわけですよね。 ○伏見課長 48ページ、49ページの一番左から2つ目のカラムの数字が。 ○吉倉分科会長 一番最後に移っているわけですね。 ○伏見課長 そういうことでございます。 ○吉倉分科会長 いかがでしょうか。11月29日の告示基準案で結構高かったのは、何 か理由があるんですか。消費者の方は今までこんなに食べていたのかとちょっと心配か もしれない。 ○伏見課長 これは、いわゆる暫定基準という言葉を使ったりもしておりましたけれど も、日本国内で使われていない農薬で、日本国に基準がないもので海外の基準を借用し て暫定基準を置いたわけでございます。暫定基準というものはそもそもそういう性格の ものでございますが、今回正式なADIが出ましたことを踏まえて暴露評価を行って、 対ADI比の一定の水準以下に収めるということにしましたので、一部のものについて、 実際に日本国内には輸入の実態がないといったものも確認されましたので、そういった ものについては、例えば基準値を落とすというようなことをしております。 ○吉倉分科会長 これは大体よく見るとアメリカの基準でやっていたという感じですね。 それから、49ページなどを見ると、例えばオウトウ、それから、ブドウとか、むしろ前 より少し高くなっているものもありますね。 ○伏見課長 オウトウとブドウのところは、右肩に「*」がついてございますけれども、 その「*」の意味が50ページにございまして、「*」が1つついているものは国内の作 物残留試験に基づき設定した基準値案ということでございまして、オウトウにしろブド ウにしろ今回農薬としての登録申請がなされたということで、日本国内での実際の農薬 の使用条件に基づいた作物残留試験成績が出ておりますので、そういったデータの裏付 けに基づいて今回の基準値案の数字を置かせていただいたということでございます。 ○吉倉分科会長 いかがですか。 ○熊谷委員 質問です。その他の陸生哺乳類に属する動物については、脂肪とか肝臓は あるんですけれども、筋肉がないのはどういうことなんでしょうか。 ○吉倉分科会長 それは何ページですか。 ○熊谷委員 51ページの右下です。 ○伏見課長 この部分は基本的に、先ほど言いましたいわゆる暫定基準で置いた部分で ございまして、そもそも日本国内にそういった基準値もなかったし、暫定基準をつくる ときに海外のいろいろな数値を調べましたけれども、海外におきましてもその他の陸生 哺乳類の筋肉といった基準が置かれていなかったということでございまして、そういっ たことでこちらにおいても今回設けていないということでございます。 ○吉倉分科会長 よろしいでしょうか。 ○丸井委員 手続の話で大したことはありませんが、これまでの経緯というところで先 ほどのオリサストロビンと違うのは、農林水産省から連絡が入っているというところが 違います。それは単に登録申請の時期が違うためにこの手間が1つ入ったということな のでしょうか。食品安全委員会との関係があるのでしょうか。同じ農薬で手続が少しだ け違っているのは時期のせいでしょうか。 ○伏見課長 先ほどのオリサストロビンの方にも、農林水産省から当然御連絡をいただ いているわけでございますけれども、その日付を記載忘れしているということでござい ますので、日付は確認して、こちらも追記するようにいたします。 ○渡邊委員 この残留農薬基準を見ますと、同じ葉っぱの野菜でも29と非常に高いも のから0.4と幅が広いですね。これは例えば3,000倍希釈したものを3回まくと、この ぐらいの濃度になるはずであるという意味から設定してあるんでしょうか。毒性という 観点から見るともっとはるかに上なので、こういう細かい数字じゃなくてもいいような 気もするんですけれども。例えば、ホウレンソウなどは29になっていますし。 ○伏見課長 この部分はアメリカの基準値を引っ張ってきている部分が多うございます が、基本的にアメリカにおきましてもそうだと思いますけれども、農薬の使用方法ある いは多分剤型のようなものも、この作物にはこの剤型という違いもあり得ますし、それ から、使用方法も違うと思われますので、おのずから残留の度合いというのは違ってく るわけで、それぞれに裏付けとする残留試験データはあるわけで、それに基づいて基準 値が設定されているのだと承知しております。  ちなみに、ホウレンソウにつきましては、49ページをごらんいただければわかります が、アメリカで29ppmという値がございますけれども、最終的には今回基準値案を作 成するに当たりまして、日本国内におきましてはホウレンソウの部分は基準値を設けな いという形に対応させていただいております。 ○吉倉分科会長 要するに、簡単に言えば禁止ということですね。禁止というか、要す るに使えないわけですね。 ○伏見課長 そういうことですね。ポジティブリスト制度が施行されますと、いわゆる 一律基準が適用される部分になろうかと思いますので、実質上は意図的には使えないと いうことになろうかと思います。 ○吉倉分科会長 前の議題とちょっと関係があるんだけれども、こういうときは基準を 設定しないと言うんですか、それとも一律基準にすると言うんですか。それでさっきの は混乱するんじゃないかと思ったんですが。設定しないと言うと、もう外国では使わせ ないということになってしまうので。 ○伏見課長 個別の基準を設定しないということだと思います。 ○吉倉分科会長 基準を設定しないという表現でいいわけですね。 ○伏見課長 この品目について、基準を設定しないということです。 ○吉倉分科会長 基準を設定しないという表現だと、大体使わないという。 ○伏見課長 そういうことです。実質的にも使わない。要するに、使用が想定されない あるいは使えないということでよろしいかと思います。 ○吉倉分科会長 わかりました。結構、私自身がこの使い方を混乱していまして。  それでは、51〜52ページで、さっきのホウレンソウのようものは抜けていますが、こ れでよろしいでしょうか。それで、パブリックコメントその他は。 ○伏見課長 本品につきましても、今後パブリックコメント、WTO通報は現在、先ほ どのオリサストロビンと同じスケジュールで実施しております。したがいまして、今後 WTO通報の締め切りが6月20日でございますので、それ以降、意見・コメント等が 寄せられたものにつきまして、意見とこちらで作成した回答案をつくりまして、こちら の分科会の各委員にお送りさせていただいて、各委員からの御意見を踏まえまして、分 科会会長に再度こちらで審議を行うかどうか御判断いただくことになろうかと思います。  特に、再度分科会で審議をする必要がないと御判断いただきました場合には、そのも のをもって分科会報告と答申をいただきまして、その後、告示改正の手続を進めていく 予定をしております。なお、こういったパブリックコメントあるいはWTO通報で寄せ られた意見と、それへの回答は答申とともに公表することを予定しております。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございます。  それから、先ほどの議題は一部文章を直してからパブリックコメントですね。 ○伏見課長 そういうことでございます。 ○吉倉分科会長 それでは、その次の動物用医薬品についてお願いいたします。 ○伏見課長 それでは、資料2−1でございますけれども、鶏大腸菌症不活化ワクチン につきまして御説明をさせていただきます。これもこれまでの経緯というのがございま すので、資料の一番後ろの11ページをごらんいただければと存じます。これは動物用 医薬品として農林水産省の方に申請がございまして、動物用医薬品の場合は農林水産省 及び厚生労働省の両方から食品健康影響評価を安全委員会に依頼することになっており ます。11ページは厚生労働省だけの動きを書いてございますけれども、平成18年1月 6日に厚生労働大臣から安全委員会委員長あてに食品健康影響評価の依頼をしておりま して、評価結果は一番下でございますが、平成18年3月9日に食品健康影響評価の結 果の通知をいただいております。途中、評価案が公表された段階で、実は厚生労働省の 方で薬食審の手続に入っておりまして、2月7日の時点で厚生労働大臣から薬食審の会 長あてに残留基準の設定について諮問をしておりまして、平成18年2月17日に農薬・ 動物用医薬品部会において御審議をいただいておるという経緯がございます。  資料は、前半が安全委員会の評価書でございまして、8ページ目以降が安全委員会の 評価結果を踏まえました農薬・動物用医薬品部会での御審議の結果をまとめたものとい うことになっております。  品目の概要等につきましては、安全委員会の報告書の方にも書いてございますので、 そちらを活用して御説明させていただきたいと思います。通しのページ数としては5ペ ージ目をごらんください。「鶏大腸菌症不活化ワクチン(“京都微研”ポールセーバーE C)の食品健康影響評価について」というところでございます。  「1.大腸菌及び大腸菌症について」ということでございまして、第1パラグラフで ある種の大腸菌はヒト及び家畜の病原体になることが古くから知られており、このよう な大腸菌は便宜上、病原性大腸菌と呼ばれている。これによって起こる疾病は大腸菌症 と呼ばれているということでございまして、1の第4パラグラフ辺りでございますけれ ども、鶏の大腸菌症の病型はさまざまであるが、肉用の鶏で多発し、敗血症に陥ると高 い死亡率を示し、被害が大きい。感染経路は主として大腸菌を含む塵芥を吸入すること による呼吸器感染と考えられている。この病気の特徴が記載されております。  2が、鶏大腸菌症不活化ワクチン、本品の概要でございます。この鶏大腸菌症不活化 ワクチン、商品名でポールセーバーECでございますが、これは国内の発病型から分離 された大腸菌株を継代培養した製造用株を破砕し、ホルムアルデヒドで不活化したもの を主剤とし、アジュバント等が添加された不活化ワクチンである。0日齢以上100日齢 以下の鶏に0.03mlを点眼接種するということでございます。  次のパラグラフでございますけれども、アジュバントとして水素添加レシチン、コレ ステロール、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムが使用されているということでご ざいます。  そういったものが製品の概要でございます。  次の6ページ目に「3.ポールセーバーECの安全性に関する知見等について」とい うことで、(1)がヒトに対する安全性ということでございますけれども、この菌はヒト に対する病原性大腸菌とは認められないということでございます。更に、本ワクチンに 含有される主剤は不活化されており、いずれも病原性を有していないということ。また、 添加剤等につきましても、その性状、使用量から含有成分の摂取によるヒトへの健康影 響の可能性は無視できると考えられるというような判断が示されております。  それから、(2)が鶏における安全性試験でございますけれども、下から3行目ですが、 ワクチンの投与に起因した異常、特に大腸菌症に関連した異常は認められない。  それから、点眼接種されることから局所残留は認められない。安全性試験においても 眼球及び眼瞼に異常は認められていないということでございます。  そういった個々の評価を得まして、最後に「4.食品健康影響評価について」という ところでございますけれども、ほぼ同じ文章が後の厚生労働省の報告書でも出てまいり ますので、そこで詳しく説明させていただくことといたしまして、結論として一番最後 でございますが、この生物学的製剤が適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒ トの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられるというのが結論でござい ます。  これを受けまして、9ページ目以降が厚生労働省の薬食審の部会で御審議いただきま した結果でございます。内容としては1ページ半ぐらいのボリュームでございます。  「1.概要」、品目名、用途、有効成分、適用方法及び用量等につきましては、先ほど 御紹介したとおりでございます。  諸外国における使用状況ということでございますけれども、本剤は輸入製剤ではなく、 輸出も行われていないため、外国における使用実績はないということでございます。本 剤の類似品として、不活化した菌体あるいはF繊毛や毒素を主剤とした不活化ワクチン が国外では種鶏や採卵鶏に対する注射剤として使用されているというようなことがござ います。  「2.残留試験結果」でございますけれども、主剤の残留試験は実施されていない。 ただ、本剤につきましては、いずれの成分も鶏1羽当たり15ないし90μgが点眼投与 されるにすぎず、また、不活化剤として使用されたホルムアルデヒドが鶏1羽当たり 0.09μg含有される可能性があるが、含有量と動物体における代謝を考慮すれば、これ らが食用部位に残留することはないと考えられるという評価をしていただいております。  それから、「3.ADIの評価」でございますけれども、9ページの一番下に「以下の とおり評価案が公表されている」ということで、10ページ目に安全委員会の評価結果が 書かれておるわけでございます。読み上げさせていただきますと「当ワクチンの主剤は 大腸菌を破砕し、ホルムアルデヒドで不活化させたものである。製造株は毒素を生産せ ず、また不活化されて生菌を含まないため、主剤のヒトへの病原性は無視できると考え られる。また、製剤に使用されているアジュバント等の添加剤については、物質の性質 や既存の毒性評価とワクチンの接種量を考慮すると、含有成分を食品を介して摂取する 可能性は極めて低く、健康影響は無視できると考えられる。このことから、当生物学的 製剤が適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性 は無視できるものと考えられる」ということでございます。  これらを踏まえまして、「4.残留基準の設定」でございますけれども、農薬・動物用 医薬品部会の結論といたしましては、食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留 基準を設定しないこととするという結論をいただいております。  説明は以上でございます。よろしくお願いします。 ○吉倉分科会長 御意見はいかかですか。よろしいですか。  それでは、今後のスケジュールについてお願いしたいのですが、今度は安全なので暫 定基準を設定しないわけですね。どうも何か気持ち悪いんですよね。ちょっと考えても らいたいんですけれども、この表現を。こっちは安全なので設定しないわけですね。さ っきのホウレンソウは危険なので使わないという意味で基準を設定しないわけでしょう。 だから、さっきのは一律基準を適用するというようなことなんですかね。この辺は言葉 遣いがリスクコミュニケーションと関連があるから、正反対のことが表現されるので、 結論だけが出てきた場合特にわかりにくいので考えてもらいたいと思うんですが。  それはそれとして、一応これで御意見はないと思いますので、これで答申したいと思 いますが、今後の予定をお願いします。 ○伏見課長 ありがとうございました。本件につきましては、こちらの審議会の答申を いただきました後に、答申内容につきまして厚生労働省から農林水産省あてに通知させ ていただくということになります。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございます。  それでは、報告事項に移ってよろしいですか。イソフラボンについて。 ○北島室長 それでは、報告事項1、食品安全委員会に対する食品健康影響評価の依頼 についてを御説明申し上げます。  報告資料1をごらんいただきたいと思います。大豆イソフラボンについてでございま すが、厚生労働省では平成16年に大豆イソフラボンを含有成分とする特定保健用食品 3品目について、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しております。これを受け まして、食品安全委員会では現在、安全性評価結果の報告書として、大豆イソフラボン を含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方の取りまとめ作業が行われており ます。  今回の食品安全委員会の安全性評価におきましては、これまでの長い食経験を有する 大豆あるいは大豆食品そのものの安全性を問題としているのではなく、大豆イソフラボ ンを特定保健用食品として通常の食生活に上乗せして摂取する場合の安全性が検討され たものでございます。  厚生労働省では、大豆や大豆由来食品に対する不安等を払拭し、正確な情報提供を行 うため、2月1日厚生労働省のホームページにおきまして、大豆及び大豆由来食品等に 関するQ&Aを公表しております。食品安全委員会ではリスクコミュニケーションやパ ブリックコメントの募集を行い、これらの意見を踏まえ最終的な評価結果を取りまとめ られることとしております。厚生労働省といたしましては今後、食品安全委員会から厚 生労働大臣あてに評価結果が通知された段階で、食品安全委員会の評価結果を踏まえて、 特定保健用食品の表示の見直し等、必要な対応を図ることとしております。  具体的には、当分科会の下の新開発食品調査部会のもとに新開発食品評価第3調査会 を設置させていただき、管理措置等について御検討をお願いしたいと考えております。 現在、調査会設置の準備を進めさせていただいているところでございます。  大豆イソフラボンについては以上でございますが、次のページをごらんいただきたい と思います。次がアガリクスを含む食品についてでございます。本年2月に動物試験の 結果から1製品に発がん促進作用が見られるということで問題となりまして、現在、食 品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しております。この経緯及びその際の厚生労働 省の対応について御説明申し上げます。  まず、経緯でございますが、アガリクス属のキノコに含まれるアガリチンという物資 がございます。このアガリチンそのものには毒性はないと言われておりますが、その誘 導体等に変異原性があるというような指摘がございまして、平成12年度厚生科学研究 におきまして、アガリクス属のキノコの毒性情報に関する文献検索を実施しておりまし たが、アガリクスに関して毒性報告はございませんでした。これは、毒性がないという よりは、そういったレポートがなかったというものでございます。  その後、平成14年度にはアガリクスを含む製品のアガリチン含有量の実態調査に着 手し、更に平成15年度からキノコ中のアガリチン及びその誘導体の分析法の開発に関 する研究を行い、その結果、アガリクス含有製品の一部にアガリチンが比較的高く含有 されるものがあることが初めて確認されております。  一方、アガリクスを含む製品による健康被害が明らかとなった事例が厚生労働省に報 告されたことはございませんが、アガリクスを含む製品による健康被害の疑い等の複数 の事例が学術雑誌等に掲載されていること、それから、アガリクスを含む製品が広域流 通していることから、厚生労働省では平成15年度より国立医薬品食品衛生研究所にお きまして、アガリクスを含む3製品の毒性試験を実施してまいりました。この結果、同 研究所の研究におきまして、中期多臓器発がん性試験を実施している3製品のうち1製 品、これはキリンウェルフーズのキリン細胞壁破砕アガリクス顆粒でございますけれど も、これに発がん促進作用が認められたとの中間報告があり、平成18年2月13日にア ガリクスを含む製品につきまして、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼したとこ ろでございます。  なお、平成18年3月20日付で国立医薬品食品衛生研究所より残りの2製品について、 遺伝毒性が陰性で、ラットにおける中期多臓器発がん性試験も発がん促進作用は認めら れなかったという報告を受けました。  1製品に発がん促進作用が見られたとの報告を受けた際の厚生労働省における対応が 次のカラムでございます。2月13日付で(1)から(6)の措置を講じております。食品安全 委員会に対しまして健康影響評価を依頼。2つ目として、当該製品を製造販売している 企業に対し、自主的な販売停止と回収を要請。3つ目として、国民に対し当該製品の摂 取を控えるようマスコミ等を通じて幅広く注意喚起。4つ目として、厚生労働省のホー ムページにQ&Aを掲載。5つ目として、自治体及び関係団体に通知を発出。6つ目と して、相談電話を設置するなど必要な措置を講じたところでございます。  御報告は以上です。 ○吉倉分科会長 最初の方は中間報告と理解してよろしいですか。今後、分科会にまた 上がってくると考えていいんですね。 ○北島室長 管理措置について検討し御報告をさせていただきたいと思います。 ○吉倉分科会長 それから、アガリクスも調査を依頼しているので、また今後の議題に なるということですね。 ○北島室長 そのとおりです。 ○吉倉分科会長 あと、今の説明だと、ひょっとしてがんプロモーション作用があるか もしれないというのは、アガリクス自体は先ほどの説明だと無害だという話なので、誘 導体のためと考えるんですか。ちょっとそこのところがよくわからなかったんですが。 ○北島室長 アガリスク属のキノコにはアガリクス茸と呼ばれている、いわゆるアガリ クスと、それから、マッシュルームがございますけれども、こういったアガリクス属の キノコにはアガリチンという物質が入っております。このアガリチンという物質の誘導 体に変異原性があるかもしれないというレポートがございまして、ずっと研究を実施し てまいりました。このアガリチンの誘導体のせいなのかどうかということにつきまして は、現在追加試験を実施中でございます。  3製品それぞれ製法が異なることから、アガリチンの含有量も大分異なっております。 そういったことでこの差が出ているのか、そのほかの問題なのかということも追加試験 の結果次第と考えております。 ○吉倉分科会長 いずれにせよ、中間報告ということですね。どうもありがとうござい ます。 ○渡邊委員 ちょっと教えていただきたいのですが、大豆イソフラボンですけれども、 これは特定保健用食品の申請のあったものについて安全性を評価していただくというの が従来のパターンだったと思うんですが、今回リスクアセスメントから何か踏み出して、 一般的なセーフティアシュアランスのようなことを安全委員会はなさっているような気 がするんですね。これはイソフラボンだけを例として挙げているのか、CoQ10とか言っ てみれば食品プラスサプリメントが本来評価すべきドースになるはずなんですが、そう いう意味では食塩でも安全なのは10gまでなどということが出かねない話になるわけ ですね。これは包括的に厚生労働省では受け入れる話なんでしょうか。 ○吉倉分科会長 今の件はできたら、今回は中間報告でもあるので、最終報告のときに やってもらった方がいいかと思って黙っていたんですが、どうですか。 ○北島室長 確かに、厚生労働省から食品安全委員会に評価依頼をお願いしたのは、特 定保健用食品として申請が上がってきた3製品についてのみでございます。ただ、3製 品を議論される過程において、3製品にとどまらずそういう類似の製品があった場合で すとか、一般的な考え方に議論が広がりまして、今回、食品安全委員会の方では3製品 を含めて特定保健用食品として通常の食生活に上乗せして摂取する場合を総括的に報告 される予定と伺っております。 ○吉倉分科会長 いずれ、今の先生の御質問に関して、ここで実際に議題として上がっ たときに議論したいと思います。  ほかにございますか。 ○井上委員 アガリクスの方ですけれども、今御説明のあった文章内容そのものとの関 係については専門にかかわることなのでコメントしませんが、この経過は議事録にも残 ると思いますので、「中間多臓器発がん試験」の性格について確認をしておきたいと思い ます。これはあくまでも発がん性ないしは発がんプロモーターのスクリーニング試験で あり、確認はできないという認識でおります。事前に発がん剤を発がんしない程度に投 与して、それに加えるような形でプロモーター作用を推定するという試験ですので、あ くまでもこの発がんプロモーター作用が認められた中間報告というのは、そういう危惧 があるということで報告されたというふうに理解していただくべきものだと思います。 事務局、正確にはそういうことでよろしゅうございますか。 ○北島室長 はい。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございます。  それでは、次の報告に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○道野室長 それでは、報告資料2に基づきまして「米国産牛肉の輸入再開・輸入手続 停止に関する経緯等について」ということで御報告申し上げます。前回の分科会以降に 生じた事案について、順に御報告申し上げます。  資料の1ページでございますけれども、経緯の概要が書いてございますが、本日は輸 入再開後の輸入実績にある約730tの既に国内に輸入されたものの調査結果、それから、 経緯の中で言いますと、2月17日から下の部分ですが、米国から出てきた報告書の公 開以降について御説明申し上げます。  資料の2ページからが、米国農務省が日本向け牛肉輸出証明プログラムに関する調査 結果・対策報告書ということで、日本側に提出された報告書についての日本語の内容に ついて3月3日に公表したということで、私どもの方で公表いたしております。  資料の3ページからが、米国農務省の報告書ということでございます。この事案は1 月20日に成田空港に到着した子牛肉にせき柱がついていたということの原因、それか ら、今後の再発防止対策について米国農務省の方でまとめたものでございます。  報告書の構成といたしましては、農務省の機関である食品安全検査局の調査結果、そ れから、農務省にある独立監査機関である監察官室の報告、それから、USDAの調査結 果報告・計画、結論というような形で、厚さ的には470ページという大部のものになっ てございます。  4ページからが報告書の要旨でございますけれども、要点だけ御説明申し上げますと、 第3パラグラフでございますが、本件は輸出業者及び農務省検査官が日本へ輸出可能な 特定の製品を熟知していなかったため起こったといったことが判明したということと、 更に、下の下線になりますけれども、問題の施設を担当した食品安全検査局の検査官が、 農業マーケティング局、AMSの輸出証明プログラムについて十分認識しておらず、日 本向け輸出に不適格な製品の出荷を認可及び承認すべきではなかったということも明ら かになった。輸出証明プログラムのもとで、今回が最初で唯一の子牛肉の出荷であるこ とから、不適格な出荷の経緯は例外的なケースであるという判断に確信を持っていると いったことが述べられております。  この内容を踏まえまして、日本側から本件につきまして米国側に照会してございます。 それが3月6日でございまして、資料の6ページからとなります。3月6日に米国側に 照会いたしまして、その内容について公表いたしております。  照会の概要につきましては7ページでございますけれども、私どもの方の問題意識と しまして、まず1番目に認定に関する事項ということで、先ほど申し上げましたとおり 農業マーケティング局、AMSというところが対日輸出施設の認定をやっております。 一方、食品安全検査局というところが検査官を施設に派遣して、日々の検査、それから、 輸出証明書の発行というのをやっているということでございますけれども、まず最初の 認定に関する事項についてAMS、農業マーケティング局の対日輸出施設の認定が本当 に適切であったのかということでございます。今回問題を起こした施設は施設の輸出プ ログラム、従業員の理解等に問題があったことが指摘されているが、これは施設の認定 に問題はなかったのかという点が1点。  あと、原因調査に関して施設側にもインタビューしております。それから、農務省の 職員にもインタビューしておるわけですけれども、整合しない部分がかなりあるという こともございまして、2番目としまして、特に施設側について担当者はなぜ責任を果た さなかったのか、必要な研修・訓練は行われているかということについて照会をしてい ます。  3番目でございますけれども、また農務省の方でございますが、農務省の日々検査を し、また、輸出証明を出している食品安全検査局の検査官が、日本向けに不適格な製品 を適合製品として輸出証明したということで、どうして見逃したのか適切な周知・訓練 は行われなかったのかということでございます。  アメリカ側の報告書の中には改善措置もかなり書かれていますので、それについても 若干問合せをしておりますけれども、基本的には原因がはっきりしないと対策というも のについての的確性というのは評価しにくいということもありまして、基本的には原因 についてまず確認をしていく、そういうようなスタンスで対応しております。  アメリカ側の回答が3月18日にございまして、その内容を20日に日本語訳にして公 表しております。9ページがその内容でございます。米国側の意見といいますか考え方 としましては、今回の事案の原因ということで1にありますとおり、輸出認定施設が品 質管理マニュアルを遵守しなかったこと及び輸出条件からの逸脱を米国農務省安全検査 局、FSISが見つけられなかったため生じたものであるということです。  それから、日本側の懸念として、他の対日認定施設は問題がないのかどうかというこ とがあるわけなんですけれども、米国側の意見としては、他の施設ではこれまでの監査 や顧客からのフィードバック等から見て、条件も理解され、適格品のみ輸出されている と確信しているというような回答でありました。  2番目の認定に関する事項ということでありますけれども、AMSの担当職員は相応 の経験を有し、牛肉・子牛施設の監査プロセスを理解していたこと、品質管理マニュア ルは輸出条件に適正に対応していたこと、施設の担当責任者は日本向けの条件について 知識を有していたこと等が確認されており、AMSの審査に問題はなかったということ で、書類と現場での実地の検査というのをやって認定をするわけですが、そのプロセス には問題がなかったんだというのが米国側の主張です。  施設に関する事項でありますけれども、施設側が品質管理マニュアル上の責任を重視 しなかったことは明確であるというようなことでありまして、要するに、自分で決めた マニュアルを施設側が守らなかったのが原因だというのが米国側の主張であります。  4番目の検査に関する事項は、FSISの検査機関がなぜ不適格品を見逃して証明をし たのかということでございますけれども、まず1つは、輸出の証明書を発行してくださ いということで申請を受けるまで、FSISの担当検査官はその施設が対日輸出施設とし て認定されたことを知らなかったということが1点。  それから、次のページでございますけれども、FSISの方は日本との輸出が再開され た時点で、FSISのウェブサイトに日本向けの輸出条件というのを掲載したわけでござ いますが、それ以上の追加措置というのをやっていなかったということであります。特 に12月に各地域の責任者、アメリカは幾つかの地域に区画して、それぞれの地域の担 当責任者に対して電話会議を実際にはやったわけでございますけれども、ここはニュー ヨーク州にあるということで東部の端っこの方なわけですが、要するに対日食肉処理施 設が当時なかったということがあって、この地域の責任者はその電話会議に参加しなか ったということで、対日輸出基準については情報伝達というものがうまく行われなかっ たというようなことであります。  改善措置に関する事項ということで主なところでありますけれども、例えば認定を行 ったAMSについては、今回送られてきた部位というのは、例えばホテルラックとかト リムドロインというような、割と業界では背骨がある程度ついていることが前提になる ような製品でございますので、(3)ですが輸出品が輸入国向けに適格である旨の証明を行 うということで、製品製品ごとの名称のチェックを行うというようなこと。  それから、輸出証明を出しているFSISに関して言えば、省内のウェブサイトを通じ て認定施設が輸出できる具体的な製品についてFSISの情報を提供する。(3)としてFSIS の検査官に対する輸出基準や手続に関する研修を行って、試験をやって合格した者に対 日輸出検査を行わせるというようなことであります。  その後、文書でやりとりしていてもなかなか内容についての理解が相互に近づかない ということがありまして、3月28日と29日に専門家会合ということで2日間にわたっ て日米の専門家で議論をいたしました。議論の結果については11ページでございます。 特に「2.会議の概要」の(2)、この2点が会議の結果の主なところであります。  1つは、今回の事案は、問題の施設が認定されたQSAマニュアルに従わなかったこ と及びそれをFSISの検査官が発見できなかった結果発生したものであると。このこと については、おおむねそうかなということでありますけれども、ただ、認定については 本当問題がなかったのかということを米国側によくよく確認をいたしますと、やはり改 善点はあったのではないかと。例えば、QSAマニュアルがより具体的、現実的なもの、 これ実際に施設が定めている品質管理基準であったり、実際にどういうふうな食肉処理 をするかということでありますが、記載自体が例えば政府間で決められた対日輸出基準 の引用であったりして、具体性とか実際にどういうふうにやるかということの記載が細 かくされていないということがあるわけです。特に、AMSの対日輸出の認定作業の際 には、責任者といいますか、マネージャーレベルの人にインタビューをして対日輸出基 準というのは理解しているかということをチェックするわけですけれども、こういった 具体的にマニュアルが書かれていないとなると、実際に作業するレベルの人たちに十分 に周知されていなかったのではないかというようなことにもなりかねないというような ことで、アメリカ側としても今回の事案を防ぐことはできた可能性は高まっていたので はないか、そういうような理解に達したということで、この2点が共通認識ということ であります。  このような議論の結果ですが、日本側としては他の38施設についてはどうだったの か、これからどうなのかということについて米国側がこれから確認をする必要があると いうことで、米国側もそれに応ずるということになったわけでございまして、(3)の2 行目、3行目でございますけれども、今後、日本側が提示する調査項目も含めた他の対 日輸出認定施設に対する再調査をやる。それから、米国側が今まとめている改善策の具 体化ということも進めていく、そういうような結論になりました。日本側としては、こ れまでのいろいろな事実関係、内容について消費者に対して説明会を実施するというよ うなことになりました。  資料の12ページでありますけれども、これは今ちょうど実施中でございますが、全 国9会場のリスクコミュニケーションの予定になってございます。  それから、資料の15ページに移らせていただきたいと思いますが、1月20日までに 通関した米国産牛肉について、1月20日に到着した子牛肉と同様の問題がないかどう かということで調査をいたした結果でございまして、関係する都県、それから26輸入 業者に対して調査を要請して、結果といたしましては、せき柱の混入というのは認めら れなかったということでありました。  16ページでございますけれども、これは今現在アメリカ側の対日輸出施設に認定され ているリストの施設数は全部で37になっております。問題の2施設以外に1施設、こ れは2月14日に品物の問題というよりはアメリカ側のスイフト社というところですけ れども、ここの施設が米国農務省に提出された内部規程と異なる手続で対日輸出用の牛 を搬入する農場の指定を行った。もともと本社レベルで決めるということになっていた ルールらしいんですが、幾つか工場を持っている会社ですけれども、個別の工場で1か 所が自分のところの判断で決めたというようなことがあって、手続違反ということでリ ストから削除されています。  17ページ、これは3月20日でありますが、カナダにつきましてもアメリカと同時に 昨年12月12日に輸入を再開したわけでございますけれども、カナダにつきましては大 きな問題はなく輸入が継続されています。去年12月に4施設について現地調査を行い ました。今回、3月に5施設、対日輸出施設が9施設ございましたので、残りの5施設 について調査をやってございます。5施設のうち4施設については、特に大きな問題は なかったということでございますけれども、資料の20ページになりますが、1施設に ついてはカナダ政府側に認定手続に不備があったということで、1施設についてリスト からの除外ということをやっております。これはどういう不備があったかと申しますと、 対日輸出施設の認定に当たっては、その地域を担当する事務所、日本で言えば地方支分 局みたいなところですけれども、そこから担当官が行って現場確認をやるというのが手 続になっているわけですが、それを行われずに認定をされたと。他の8施設については そういった事実はなかったということで、この1施設について認定を取り消したという ことです。これまでが米国とカナダの問題でございます。  21ページからが国内の問題でございまして、3月に入ってから2例のBSEについて の確定診断が行われております。3月15日にホルスタインの雌で68か月齢の牛につい て確定診断が行われております。  続きまして3月17日ですけれども、この事例につきましては幾つかの特徴がござい ます。これは日本で24例目ということでありますが、品種がこれまで肉用種というの はなかったわけですけれども、黒毛和種となってございます。  それから、生まれたのが今までの例はいずれも平成7年12月以降だったわけですけ れども、平成4年ということでございます。  1枚めくっていただきますと、多少専門的な内容になりますけれども、ウエスタンブ ロットの画像です。上の段が44B1、下の段が6H4と書いていますが、これは抗血清 が違うということで別々の抗体で確認したということでございます。数字の1、2、3 は従来日本で見つかった典型的なBSE。これとウエスタンブロットの画像を比較しま すと、上から順番に糖鎖が2つついているものと、1つついているもの、一番下が糖鎖 がついていないものと分かれていて、これによって泳動パターンを確認しているわけで すけれども、今回の佐世保の例につきましては従来のものと異なると。以前イタリアで 見つかりました非定型例、ヒトの孤発型のII型に似ているということで、更にこれにつ きましてはマウスに接種等をして研究を継続するということになります。ただし、免疫 組織化学検査、それから、病理学的検査については典型的な所見が見られたということ でございます。その辺は少しイタリアの非定型例とは異なるということでございました。  資料の24ページと25ページには、これまでの我が国で確認されたBSEの例につい ての一覧表をつけさせていただいております。  以上です。 ○吉倉分科会長 御質問はありますか。  一番最後のウエスタンブロットは、1、2、3、4とどこがどう違うんですか。 ○道野室長 1、2、3は上から順番に濃くてだんだん薄くなっていくということで、 結局、異常プリオンたんぱくの中で2糖鎖のものが量的には一番多くて、その次は糖鎖 が1つついたもの、その次が糖鎖がついていないものという量のバランスになっている と。佐世保例につきましては、2糖鎖の一番上のものが一番少ない、2番目が多い、3 番目がまた少ないというような量関係になっているということでございます。 ○吉倉分科会長 簡単に言うと、典型的なものが一番2糖鎖のものが多いということで すか。 ○道野室長 BSEについてはそうです。 ○吉倉分科会長 バランスが少し違うということですね。  あと御質問がなければ、先ほどのホテルラックというものと整形したロース肉、これ は一体どういうものか説明していただけますか。 ○道野室長 ホテルラックと申しますのは、子牛の場合、通常の牛の処理の仕方とは少 し異なっていまして、背割りをせずに輪切りした形でホテルラックという形で流通をす るということでございまして、本来のホテルラックであれば、いわゆる表現はうまくな いかもしれないですが、輪切りにしたような状態のものであります。結局、脊髄もせき 柱もついた形になるわけですけれども、今回ホテルラックとして輸入されたものは、輪 切りの状態ではなくて一応背割りもした状態で、せき髄はきれいに除去がされていて、 せき柱はそのまま残った形ということでございます。  整形したロース肉というのはトリムドロインというふうに名称としては記載されてお りまして、要は、せき柱の横についているロース肉とせき柱とが一緒になってくっつい ている部分ということでございました。 ○吉倉分科会長 では、これはものとしてはせき柱がついているのが当たり前のもので すね。 ○道野室長 そうです。この品名だとアメリカの方のこういった品目のライブラリーが ありますけれども、それを見ますと付着した形態のものということでございました。 ○吉倉分科会長 簡単に言えば、付着したものを注文したということですね。 ○神田委員 2つ。1つ目は、本日20か月齢の牛ということで、まだ一次検査ですけ れども、20か月という数字でどきっとしたんですが、そういう報告がございました。最 終的にはいつごろわかってどうなるのかということと、どんな状況なのかということを お聞きしたいと思います。  もう一つ、全国9か所で今、説明会を開いておりますけれども、11ページで今後の進 め方ということで触れてはいただきましたが、今何箇所か意見交換会をやる中で、米国 に対してだけではなくて、日本のリスク管理にも少し注文というか厳しい意見も出てい ると思っておりますので、その辺の進め方のところで十分意見を聞いていだいて、反映 していただきたいというような進め方のところ、丁寧に進めていって不信感がこれ以上 広がらないように、取り戻せるようにしていただきたいなと思っておりますので、今後 の今行われている意見交換会をもってどう進めていくのかという辺りをもう少しお聞き できたらと思いますが。 ○道野室長 まず、郡山の事例ですけれども、今日の朝、感染症研究所に搬入をして確 認検査が始まっています。あとは検査の結果がいつ出るかということですが、これまで の例であれば数日の間にはわかるというようなことでございまして、郡山市は公表しま すと言っている自治体でございますので、確認検査に回った時点で公表していますけれ ども、一応確認検査が終了した時点で、また結果について公表するというような予定に なっています。  陽性の疑いがある場合には、私どもの方でまた専門家会議の招集であるとか、専門家 会議の開催というようなことでお知らせしていくことになりますし、陰性であれば先ほ ど申し上げたとおり、郡山市の方で最終的な結果について公表されるというような手続 になっていくと思います。  それから、リスクコミュニケーション、米国産牛肉の輸入問題に関する意見交換会と いうことで現在開催されております。いろいろな御指摘があることは今、御指摘のあっ たとおりであります。今後の対応についてということでも、米国側の改善措置の精査が 第一であるとか、日本の検疫体制を強化するべき、輸入再開にはしっかりした事前の査 察が必要等々のやはりリスク管理側に対する御意見も出ております。私どもといたしま しては、先ほど御説明をした中にありました2施設以外の対日輸出施設について、対日 輸出プログラムがしっかり守られていたのか、それから、今後もしっかり守られるのか というようなアメリカ側の調査結果というものと、それから、いただいた御意見等を整 理した上で、次の対応については決めていきたいと考えております。具体的にいつ何を するということについては、今の段階では全く決めておりません。 ○吉倉分科会長 ほかにいかがですか。 ○神田委員 最初の方なんですけれども、言葉に引っ掛かるようですが、公表する県な ので公表したとおっしゃいましたか。そうすると、20か月以下の場合は公表しなくても いいとか、そういうことがあるんですか。ちょっとその辺がわからなかったんですが。 ○道野室長 済みません、これは話が平成13年にさかのぼるのですけれども、要する に検査の途中経過について公表するかしないか、途中経過を公表すると必然的に最終結 果も公表せざるを得なくなるわけですが、そういう議論がありましたので、自治体の判 断にお任せしたものですから、公表する自治体と公表しない自治体に分かれているとい う意味で、そう申し上げました。 ○神田委員 わかりました。 ○吉倉分科会長 ほかにいかがですか。なければ、大体時間ですから、これで終わりに します。  それでは、どうも御苦労様でした。事務局から何かほかにあれば。 ○事務局 事務局から次回の分科会について御連絡いたします。議題につきましては、 食品添加物の公定書について。もう一つは、農薬の残留基準の設定についての2題を予 定しております。  なお、開催日時、議題等につきましては、後日確定次第お知らせいたしますので、日 程調整等併せてよろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございました。 照会先:                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                   TEL:03−5253−1111(2449)