第6回ILO懇談会資料
第295回ILO理事会について(報告)


【会期・場所】平成18年3月16日(木)〜30日(木)
ILO本部(スイス・ジュネーブ)
【出席者】政府側藤崎寿府代大使、恒川厚労省総括審議官ほか
労働側中嶋連合国際代表(ILO理事)
使用者側鈴木日本経団連国際協力センター参与(ILO理事)
矢野日本経団連専務理事

【主な委員会と議題】
 .理事会本会議
2008年ILO総会の議題について検討が行われ、「生産性向上、雇用成長と発展のための技能(一般討議)」、「貧困削減のための地方雇用促進(統合アプローチに基づく一般討議)」の2議題が選定された。
2007年ILO総会議題「グローバル化におけるILOの強化」につき意見交換が行われ、ILOの特徴を生かした活動の促進が強調された。
本年2月に成立した、既存のILO海事関連条約を統合した「2006年の海事労働条約」の批准促進のための準備作業を進めること等の決定がなされた。
ミャンマーの強制労働問題について、事態改善の行動を必ずしも示せていないことに批判が集まり、労働側提出の決議に基づき、本年6月の総会において本件が正式な議題として扱われることとなった。
条約勧告適用専門家委員会の報告については、委員会意見におけるフット・ノート等評価のクライテリアの解説、及び加盟国における条約適用状況に対する意見(我が国については第87号、第88号、第98号及び第115号)を内容とし提出されたところだが、その報告に対し特段の異議はなく、理事会としてテイクノートした。
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の企業向けガイドライン作成に関し、国際標準化機構(ISO)との協力を行うか否かが非公式協議で議論され、ILO単独で作業を行うべきとの声が大勢を占めたことを踏まえ、11月理事会において本件議論を公式に行うこととなった。
今後、労働分野で顕著な業績を示した者に対して「ディーセントワーク・リサーチ・プライズ」を与えることとなった。(原資はILOがノーベル平和賞を授与された際の賞金の運用利益。)

 .結社の自由委員会(CFA)
 我が国のいわゆる公務員制度改革案件が審議された。昨年12月の閣議決定や本年1月の政労協議等が評価されたものの、公務員の労働基本権についての基本的な問題が未決定であることや、行政改革推進法案を結社の自由の原則に調和するものとすることが指摘され、公務員への労働基本権付与等の論点を議論すべき旨の勧告を含む中間報告が出された。

 .計画・財政・管理委員会(PFA)
 任期切れを迎える外部監査人の選定パネルの設置やミャンマーのILOヤンゴン事務所への追加的運営コスト支出等が決定された。この他、RBM(結果重視型管理)について議論が行われ、参加者からは事務局のより一層の取組強化を求める声があった。
 人事案件としては、昨年11月の前回理事会で提出された改訂人事戦略に関し、進捗状況報告が提出され、リグレーディング(職階の変更)による組織の若返りと人件費節減に係る議論がなされた。
 また、建物小委員会においては、事務局より本部施設の修繕に係る調査の進捗状況報告を行い、我が国より、これを踏まえた包括的な施設戦略の策定を求めた。

 .法令問題及び国際労働基準委員会(LILS)
 国際労働基準の関連活動の改革に関する進捗状況が報告され、議論が行われた。

 .多国籍企業小委員会(MNE)
 「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」に関し、近年の関連条約の成立等を踏まえたアップデートがなされることとなった。なお、本宣言の策定30周年記念行事の実施について今年11月の理事会で議論が行われる予定。

 .雇用・社会政策委員会(ESP)
 「世界雇用アジェンダ」を加盟国において今後如何に実行に移していくか、事務局作成の「ヴィジョンペーパー」を元に議論された。また、世界雇用アジェンダの10のコア要素のうちの能力開発、安全衛生についても議論が行われた。

 .部門別技術会合委員会(STM)
 「移民労働に関する多国籍枠組み」に関する事項が討議され、本枠組みに関し、我が国も含む一部政府が主張した修正案どおり強制力のないガイドラインとして、事務局長による公刊を決定した。

 .技術協力委員会(TC)
 加盟国のディーセントワーク達成を目的としたディーセントワーク・カントリープログラム(DWCPs)について事務局より概要が示され、議論が行われた。

 .総会改革ワーキンググループ(WG/ILC)
 ILO総会(毎年6月に3週間開催)のあり方に関し、我が国政府が原案を作成した改革案(特に「通常の(政治的)総会」及びより簡略化された「技術的総会」の隔年開催)が実質的な叩き台となり、議論が進められた。

 0.グローバル化の社会的側面ワーキングパーティー(WP/SDG)
 2005年国連サミットの結論文書につき意見交換が行われ、ILOに対する言及が評価されるとともに、他の国際機関との連携の必要性が強調された。

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