06/03/29 第1回ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会議事録   第1回ハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会議事録             開催日:平成18年3月29日(水)             場 所:航空会館B101会議室  関山疾病対策課長 定刻でございますので、ハンセン病問題に関する検証会議の提言 に基づく再発防止検討会を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。私は、厚生 労働省健康局疾病対策課長の関山でございます。本日、座長が選任されるまでの間、司 会を務めせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、議事に先立ちまして、赤松副大臣からごあいさつをお願いいたします。  赤松副大臣 皆さん、こんにちは。厚生労働省の副大臣を仰せつかっております赤松 正雄と申します。ちょっとだけ自己紹介をさせていただきます。  兵庫県の出身でございまして、公明党に所属いたしております。自公連立政権も7年 たちまして、本来でしたら公明党の人間が副大臣なんてならないんですけれども、7年 目ということで。この検証会議ができるきっかけになった当時の大臣、坂口力の後輩に なるわけでございます。  皆様お忙しいところをこの会合にお出ましいただきまして、心より感謝申し上げます。 ありがとうございます。第1回目のハンセン病問題に関する検証会議の提言に基づく再 発防止検討会の開催に当たりまして、一言だけごあいさつを申し上げさせていただきま す。  もう皆様十分御承知のように、この検証会議は、ハンセン病政策の歴史と実態につい て多方面からの検証を行って、その再発防止の提言をいただくために、平成14年に設置 され、平成17年3月に最終報告を当時の尾辻大臣のもとにいただきました。当検討会は、 その昨年いただいた提言を受けまして、これらの提言を十分に検討して、その検討結果 の実現に向けた道筋等を明らかにするための検討会議として設置をさせていただいたも のでございます。  委員の皆様におかれましては、今申し上げましたこの検討会の設置目的等を御理解の 上、さまざまな角度から忌憚のない御意見を賜りまして、充実した議論がなされますこ とを心よりお願い申し上げまして、極めて簡単でございますが、私のごあいさつにかえ させていただきます。本当にありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。  関山疾病対策課長 副大臣、どうもありがとうございました。  副大臣におかれましては、国会用務によりここで失礼させていただきます。  赤松副大臣 まことに申しわけございませんが。  関山疾病対策課長 次に、委員の御紹介でございます。恐縮でありますが、秋葉委員 から時計回りで自己紹介をお願いしたいと思います。  秋葉委員 日本薬剤師会の副会長を務めております秋葉と申します。どうぞよろしく お願いいたします。  内田委員 九州大学の内田でございます。よろしくお願い申し上げます。  尾形委員 九州大学の尾形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  畔柳委員 弁護士の畔柳と申します。よろしくお願いいたします。  鈴木委員 明治大学法科大学院の、そして弁護士の鈴木利廣といいます。よろしくお 願いします。  高津委員 日本歯科医師会の高津でございます。よろしくお願いいたします。  高橋委員 弁護士で医師の高橋茂樹と申します。よろしくお願いいたします。  多田羅委員 放送大学の多田羅です。よろしくお願いします。  田中委員 慶應義塾大学の田中でございます。よろしくお願い申し上げます。  谷野委員 日本精神科病院協会副会長の谷野です。よろしくお願いいたします。  中島委員 全国自治体病院協議会の副会長の中島でございます。こういう自己紹介で はどなたがどういう人かということが私には全然わかりませんので、一言、私だけ申し 上げますが(笑)、やっておることは精神科の医師でございます。岡山県の自治体病院 であります県立病院の院長を現在やっております。今回、縁、結構浅からぬ会だなと思 って、楽しみにして出させてもらっております。よろしくお願いいたします。  奈良委員 日本病院会副会長の奈良と申します。お隣がおっしゃいましたので(笑)、 私も実は専門は内科医でございまして、33年間、赤十字病院に勤務しておりました。以 上です。  花井委員 全国薬害被害者団体連絡協議会の、この名簿では会長になっておりますが、 代表世話人の花井といいます。出身母体は薬害エイズの被害者団体で、なぜここにいる かというと、恐らく、HIV感染症という、80年代に未知の感染症を経験した患者と、 そしてハンセンという歴史的な感染症による人権侵害ということの共通点かと、そのよ うに理解しております。よろしくお願いいたします。  日野委員 日本医療法人協会の副会長をしております日野でございます。ずっとしゃ べってこられましたので、何かしゃべろうかなとは思ったのですが、そうしますとほと んどの方がしゃべらなかった前提が崩れますので、これにて終わらせていただきます (笑)。どうぞよろしく。  藤崎委員 私は、全国ハンセン病療養所入所者協議会、略称を全療協と申しますが、 そこで中央執行委員をしております藤崎と申します。なお、私どもの仲間、いわゆる回 復者としてもう1名、谺勇二がおりますが、きょうは体調をくずしておりまして出席さ れておりません。よろしくお願いいたします。  雪下委員 日本医師会の常任理事をやっております雪下でございます。どうぞよろし くお願いします。  関山疾病対策課長 ありがとうございました。  なお、先ほど藤崎委員からございましたように、谺委員、安藤委員、神山委員におか れましては、都合により御欠席となっております。  次に、陪席者の自己紹介をお願いいたします。  最初に、厚生労働省からお願いいたします。なお、健康局長の中島、大臣官房審議官 の岡島におきましては、国会用務のため、後ほど途中から参加させていただくことにな っておりますので、よろしくお願いいたします。  石井総務課長 健康局総務課長の石井でございます。どうぞよろしくお願い申し上げ ます。  原医政局総務課長 医政局総務課長の原でございます。どうぞよろしくお願い申し上 げます。  トヤマ医政局国立病院課長 医政局国立病院課長のトヤマと申します。よろしくお願 いします。  サカタ精神保健福祉課長代理 障害保健福祉部の精神保健福祉課長の代理のサカタと 申します。  塚原結核感染症課長 厚生労働省健康局結核感染症課長の塚原でございます。よろし くお願いします。  長谷川医薬食品局総務課長代理 医薬食品局総務課長代理で参りました長谷川と申し ます。よろしくお願いいたします。  長沢母子保健課長代理 雇用均等・児童家庭局母子保健課長代理で参りました長沢で す。よろしくお願いします。  北沢厚生科学課長代理 大臣官房厚生科学課長代理で参りました北沢と申します。よ ろしくお願いします。  関山疾病対策課長 次に、法務省よりお願いいたします。  小西法務省人権擁護局長(法務省) 陪席ということで参加させていただきました法 務省の人権擁護局長をしております小西と申します。よろしくお願いいたします。  関山疾病対策課長 次に、文部科学省よりお願いいたします。  加藤医学教育課長補佐(文部科学省) 文部科学省医学教育課の課長補佐の加藤と申 します。本日、医学教育課長が出席の予定でございましたが、所用により失礼しており ます。  今泉児童生徒課(文部科学省) 文部科学省児童生徒課の今泉でございます。よろし くお願いいたします。  関山疾病対策課長 次に、この検討会の座長の選任に移らさせていただきたいと思い ます。これにつきましては、委員の皆様方の互選によりお選びいただきたいと思います が、どなたか御推薦のある方、おられますでしょうか。  雪下委員、どうぞ。  雪下委員 こういう公衆衛生の分野では大変広い見識を持っておられる多田羅委員を 御推薦したいと思います。よろしくお願いします。  関山疾病対策課長 ただいま、多田羅委員の御推薦がございましたが、御承認いただ けますでしょうか。      (満場拍手)  それでは、多田羅委員、よろしくお願い申し上げます。  早速でございますが、座長席にお移りいただきまして、議事をお進めいただけたら幸 いでございます。よろしくお願いいたします。  多田羅座長 ただいま、本検討会の座長に御推挙いただきました多田羅でございます。 専門は、今、雪下先生から御紹介いただきましたが、公衆衛生の部門をこれまで勉強・ 研究してまいりました。非常に重要な役割を担ったこの検討会の座長を務めさせていた だくということで、その責任の重さを痛感いたしております。微力ではございますが、 委員の皆様の御協力をいただいて、充実した審議ができますよう努めたいと思いますの で、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、早速ですが、次第に従いまして議事を進めたいと思います。  まず、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。  事務局 それでは、お手元にお配りしております資料を御確認いただきたいと思いま す。議事次第や座席表に続きまして、それぞれ資料ごとにホッチキスどめしてございま す。資料は大きく4種類ございまして、それに加えまして参考資料がございます。  資料1は、本委員会の設置目的、委員の構成等でございます。資料2は、「ハンセン 病対策の概要」という資料でございます。資料3は、「ハンセン病問題に関する検証会 議における検討の経緯について」という資料でございます。そして、資料4は、「再発 防止のための提言概要」でございます。その後に、若干分厚い束でございますが、参考 資料がございます。必要に応じてごらんいただければと思っております。  以上でございます。  多田羅座長 ありがとうございます。  それでは、議題に入りたいと思います。本日予定していただいている議題のうち、(1) 〜(3)につきましては既に終了しておりますので、(4)から始めさせていただきま す。  議題4は、再発防止のための提言(概要)等について審議を行います。事務局から説 明をお願いいたします。  事務局 それでは、説明させていただきます。資料1に基づきまして御説明させてい ただきます。  まず、1ページは、当検討会の設置についてということでございまして、設置目的、 検討内容、委員及び陪席者ということでございまして、続く2ページに、先ほど御紹介 がございましたが、委員の方々の名簿がついてございます。  そして、先ほどの運営要綱でございますが、3ページをごらんいただきたいと思いま す。平成18年3月29日と入っているものでございます。  第1条、本検討会の設置目的でございます。  本検討会は、検証会議からの再発防止のための提言を十分検討し、その検討結果の実 現に向けた道筋等を明らかにするための開かれた会議として設置され、その提言の検討 結果について、随時、国、地方公共団体等の実施状況等を確認する。  こういう目的で設置されるものでございます。  第2条、検討内容でございます。  本検討会における検討内容は、次の3点でございます。1点目は、提言の検討。2点 目は、その検討結果の実現に向けた道筋の提示。3点目は、提示した道筋の実施状況の 確認。以上の3点が本検討会の検討内容、任務ということでございます。  第3条、委員の構成等でございます。  患者・元患者の方々、医療関係者、法律関係者、教育関係者、学識経験者などという 方々で構成されるものでございます。  陪席者ですが、これは役所の事務方ということでございますけれど、これは必要に応 じまして座長が決定するということでございます。  第4条、座長でございます。  説明の順序は前後いたしましたが、座長につきましては検討会委員の中から互選によ り選出するということでございます。  第5条、会議の公開の考え方でございます。  本検討会につきましては、原則として公開とするということでございます。  ただし書きといたしまして、公開することによりまして個人情報の保護に支障が及ぶ ような恐れがある場合などにつきましては、必要に応じてその会議を非公開とすること ができるといった場合もございます。  第2項につきましては、これはなかなか考えがたいことではございますが、傍聴人の 退場を命ずるといったことも規定として置かさせていただいております。  続きまして、4ページ、第6条、議事録の作成についての考え方でございます。  検討会における議事につきましては、会議の日時、場所、出席された委員の御氏名、 議事になった事項を議事録に記載するものとするということでございます。  議事録につきましては、毎回作成して公開させていただくこととしております。ただ し書きといたしまして、先ほどと同様でございますが、個人情報の保護に支障が及ぶよ うな場合などにつきましては、座長の御判断によりまして議事録の全部または一部を非 公開とする場合もございます。  議事録の全部または一部を非公開とする場合につきましては、その非公開とした部分 につきまして議事要旨を作成いたしまして、これを公開するという考え方でございます。  最後に、第7条でございますが、今ここに書いてございます運営要綱に定めるほか、 必要が生じました場合には、その必要事項につきましては座長が定めるということでご ざいます。  以上でございます。  多田羅座長 ありがとうございました。以上、本検討会の運営要綱について御説明い ただきました。  御質問や御意見がございましたら、お願いいたします。  花井委員 質問ですが、1つは、この検討会自体が何をするかということが、説明は 受けたのですけれど、今までの審議会や検討会とは設置された経緯も違いますし、わか らないところがあると。  私の理解は、最終的なハンセン病問題に関する検討会議の報告書を受けてこの設置が 提言され、これを踏まえてここで検討を行うということだと思うのですが、ということ は、この最終報告書の784条にあるロードマップ委員会(仮称)の設置の中身ですけれ ど、これは行動計画等策定と書いてありますが、それとこの「道筋等を明らかに」とい うのは大体同じ意味だという理解でよいのかどうかということです。  2点目は、これも公の場で言っていいかどうかわかりませんが、事務局がかなり多岐 にわたっていて、普通は、各省庁、法律事項をやれば法律執行の課が担当するのでしょ うけれど、事務局の体制も若干違うという説明を受けたように思うのですが、この会議 というのは一体どういう形で運営されるのかというのは、いわゆる普通の審議会と違う のか同じなのかというところもちょっとわかりにくいので、そこを明確にしていただけ たらと思います。  多田羅座長 ありがとうございます。事務局の方から、この2点についてお願いでき ますか。  関山疾病対策課長 本検討会の経緯・目的と事務局とどうなのかというお話でござい ます。参考資料の31ページをごらんいただきますと、検証会議が昨年の3月に最終報告 を出されて、再発防止のための9つの提言を設けられたということでございます。  その9つの提言について、今後、厚生労働省としてどのようにこれを取り扱うのか、 あるいは厚生労働省だけではなく、この提言というのはそれ以外の省庁にもわたる幅広 い御提言がなされているということで、この検証会議の御意見として、31ページに書い てございますように、行政はいわゆる縦割り・横割りの壁があるという状況もあるとい うことで、今後の提言については、国の責任においてきちっと、「独立の」と書いてご ざいますが、第三者機関的にロードマップ委員会を設置して、行動計画等を策定して、 その後の実施の状況もフォローアップできる仕組みはないのかと、こういう御提言がご ざいました。  したがいまして、この趣旨を踏まえまして、今まで西副大臣を座長といたしますハン セン病対策問題協議会の中において、この再発防止に係る検討の場をどのように設置す るかということを協議した結果、本日、このような形の検討会を設けさせていただいた ということでございまして、この31ページに書いております、先ほど花井委員から御指 摘がございましたように、「筋道を明らかにしていく」ということは、「行動計画」と ほぼ類似だと思っております。  また、事務局でございますが、今回は私どもが事務局的役割を担っておりますけれど、 来年度以降は、第三者機関ということも尊重いたしまして、民間シンクタンクにその事 務局を委託するということで、これも先ほど御紹介いたしましたハンセン病問題対策協 議会の中でそのように整理させていただき、来年度はそのように進めていくということ でございます。  なお、私どもとしても、本検討会が円滑な運営ができるように、必要な支援はしてい くということで考えております。  多田羅座長 花井委員、よろしいでしょうか。  花井委員 はい、よくわかりました。ただ、1点だけ、ということは、今これをよく よく読みますと、「縦割り・横割りの壁もあるとされ、これが提言の実施に大きな妨げ になることが懸念される」と、この提言自体が先回りしているんですね。今までの審議 会等の限界を超えるのだということを先回りして書いていて、その具体策が今おっしゃ った来年度からの事務局体制という理解を今したのですが、そうなりますと、この運営 というのは今までにない形の運営にされるのかなと僕は一瞬思ったものですから、そこ を委員の先生方がどう理解しているかというのをまた座長の方で取りまとめていただい て、進めていただけたらと思います。  多田羅座長 今、課長あるいは花井委員から御確認いただいたようなことで、整理し ますと、この参考資料の11ページに、委員の皆様もう御確認済みかと思いますが、再発 防止の提言というものが9項目にわたって提案されております。この検討会としては、 まずこの提言についてその内容を確認させていただく、検討させていただくというのが、 基本の役割でございます。  そして、その結果の実現に向けた道筋も示していく。ロードマップ委員会の設置とい うものもございますが、その方向、道筋を示し、また、これはこの検討内容の第2条に 書いてあることでございますが、提示した道筋の実施状況についても確認するというこ とで、あくまでこの提言に沿った形の検討を行い、その実現を目指した検討をいただく という形として私は理解しております。  そして、運営についても非常に多岐にわたる内容になっておりますので、各省庁、関 連するところは非常に多いわけでありまして、御指摘のとおり、縦割り・横割りのこれ までの経過も反省して、また、この検証会議の方からの御提案も踏まえまして、来年度 以降は民間団体にこの運営を委託して、そうした柔軟な基盤に立った検討をするという ことで、これまでの行政の縦割り・横割りの上に立つ――と言うと怒られるかもわかり ませんが、そういう状況を踏まえて、我々独自の方向を示していきたいと座長としては 理解しております。  よろしいでしょうか。  鈴木委員 今の検討内容について、花井さんとも関連しますが、1のところに提言の 検討とありますけれど、今の座長の御説明ですと、この提言の中身がどのようなものな のかということを確認するという趣旨でしょうか。それとも、この検証会議の報告によ りますと、この提言を具体化するかどうかも含めて検討するということなのですか。  多田羅座長 あくまでも提言はもうこのまま受け入れていくという立場で、この提言 がいい悪いということについてはここでは余り議論しないと思います。ですから、検討 を確認して、むしろ実現に向けた道筋を示していくということになると思います。  関山疾病対策課長 まず、「提言の検討」ということでありますが、この提言を十分 に検討していただくということは、提言の趣旨というものについて、それは確かに尊重 するにしても、提言の趣旨を具体化するに当たっての手法としての御検討というものが あるのだろうと。ハンセン病施策が行われた時点と現在の時点では制度の状況も異なっ てきている場合もございますので、そういった他の施策との状況も加味しながら、そう いう具体化の手法について改めて御点検いただきながら御議論を深めていただくという ことはあろうかと思っております。そういう意味で、「提言の検討」ということを書か させていただいているということでございます。  鈴木委員 細かいことですけれど、そうしますと、提言の方で言っている「行動計画」 というのを「提言の検討」と「道筋の提示」というふうに2つに分けたと理解していい んですね。  関山疾病対策課長 はい。  多田羅座長 よろしいでしょうか。後の議事とも関連しますので、先に進めさせてい ただいてよろしいでしょうか。  畔柳委員 いや、1つ。先ほどのお話では民間団体に事務局をゆだねるということで すが、そもそもこの検討会というのはどこに所属する検討会なのですか。今のお話を聞 いていると、そこがはっきりしないので。  関山疾病対策課長 この再発防止検討会につきましては、厚生労働省健康局長が委員 の発令を行ってまいります。したがって、この検討会自体は厚生労働省が対応していく ものでありますが、実際のこの検討会の運営に当たりましては、先ほどの提言の趣旨を 踏まえまして、それから外に出た形で運営を行っていくということであります。  多田羅座長 よろしいですか。  畔柳委員 とりあえずそれだけOKしておきます。まだちょっとよくわからないんで すけれど。  多田羅座長 非常に微妙なところもあるかと思いますが、新しい試みであるというこ ともございますので、歩きながら考えるというところもあると思いますけれど、前向き にいろいろ御検討いただいて進めていただきたいと思います。  それでは、次の議事に移らせていただきます。  議題(4)の2のハンセン病対策の概要について、3の検証会議における検討の経緯 について、4の再発防止のための提言(概要)について、あわせて事務局から御説明を お願いいたします。  事務局 それでは、お手元の資料2〜4に基づきまして、多少長くなりますが、順を 追って説明させていただきたいと思います。  まず、資料2、ハンセン病対策の概要についてでございます。  1は、ハンセン病とは何かということでございます。  ハンセン病につきましては、有史以来存在していると言われてございます。1873年に ノルウェーのハンセン医師がらい菌を発見するのですが、それまでは遺伝病などといっ た誤った認識のもとにあった病気でございます。  らい菌でございますが、これは皮膚や抹消神経を侵す感染症でございます。皮膚に結 節や斑紋などを生じさせる、また、抹消神経が侵されるといったことから、知覚障害や 発汗障害を認めることが多いということでございます。そして、筋肉の萎縮を来し、外 形的に明らかな変形を生じさせるといった障害を残す場合がございます。  しかし、らい菌の感染によって発病するということはまれでございます。現代では、 外来医療において化学療法を中心とした治療を行いますと確実に治癒する病気となって おります。  全世界では、現在でも50万人の新規患者が発見されております。一方、我が国におき ましては年間5名以下の患者が発見されるという状況にございます。  続きまして、「らい予防法」廃止が平成8年でございますが、それまでの経緯につき まして御紹介させていただきます。  いわゆる隔離政策をめぐる大きな流れでございますが、昭和6年8月に「癩予防法」 が施行され、戦後、昭和28年に「らい予防法」が施行されております。そして、平成8 年4月にこの「らい予防法の廃止に関する法律」が施行されました。平成8年3月31 日にこの「らい予防法を廃止する法律」が公布されて、4月1日から施行されたわけで ございますが、この法律は次のような内容を柱としてございます。  1番目は、らい予防法の廃止でございます。  2番目は、その廃止後も引き続きハンセン病療養所に入所されている方に対して必要 な療養を提供する福利を増進していく、医療及び福祉の処遇を確保するということ。  3番目は、国立療養所を退所した形の再入所を可能とし、入所者の方と同様の処遇を 行っていくということ。  4番目は、入所者の御親族の方に対する援護措置を継続していくこと。  この4点を主な内容としております。  そして、法案審議の際に、当時の衆参の構成委員会におきまして、この法律の廃止の 遅延に対する遺憾の意を表するとともに、特段の配慮をもって施行すべき事項が附帯決 議として採択されたということでございます。  続きまして、次の6ページでございますが、ハンセン病療養所に入所されている方の 現況でございます。現在、国立の療養所として13カ所、私立の療養所として2カ所の療 養所がございますが、そこにおいて約3,300人の方が療養を続けていらっしゃいます。 平均年齢が約78歳ということで、御高齢な方が多く、視覚障害などの後遺症や合併症に より治療や介護を要する人が多いという状況にございます。 このため、医療だけではなく、高齢化対策といったことの充実が重要な課題になって おりまして、不自由者等の緊急通報システム導入などの各種対策が講じられている状況 にございます。  中ほどの数字をごらんいただきますと、平成17年5月現在の数字でございますが、総 数で3,307人、国立療養所13カ所に3,286名、私立療養所に21名いらっしゃいます。  新規患者でございますが、先ほど御説明いたしましたが、近年、極めて数的には少な くなってございまして、最近では5名程度が確認されるという状況にございます。  続きまして、4のらい予防法違憲国家賠償についてでございます。  この話は、平成13年5月に出ましたいわゆる熊本地裁判決が大きな契機になっており ます。そこでまず、熊本地裁判決の骨子を御紹介させていただきますと、(1)の(1)か らでございますが、遅くとも昭和35年以降におきましては、ハンセン病は隔離政策を用 いなければならないほどの特別な疾患ではなくなっていた。それで、隔離の必要性は失 われていた状況にあったと。したがいまして、平成8年のらい予防法の廃止まで隔離政 策の抜本的な変換を怠った点について、厚生大臣の職務行為に違法性があるといったこ とを認めるのが相当だという裁判所の判断でございます。  さらに、(2)ですが、遅くとも昭和40年以降に隔離規定を改廃しなかった国会の責任に つきましても、この熊本地裁判決では認めるのが相当という判断が行われております。  (2)ですが、これを受けまして、平成13年5月23日に、政府としては、この熊本 地裁判決について控訴を行わないことを決定するということとともに、次のような内容 の「内閣総理大臣談話」を公表いたしました。  1点目といたしましては、判決の賠償の認容額を基準として、訴訟への参加・不参加 を問わず、全国の患者・元患者全員を対象とした新たな損失補償を立法措置により講ず るという内容が1点目でございます。  2点目といたしまして、次のページですが、名誉回復、福祉増進のために可能な限り の措置を講じるということでございまして、具体的には、患者・元患者の皆様から御要 望のございました退所者給与金、いわゆる年金的なものでございますが、これを創設す る、ハンセン病資料館を充実する、名誉回復のための啓発事業などの施策の実現につい て早急に検討を進める。  3点目でございますが、患者・元患者の抱えておられるさまざまな問題について話し 合って問題の解決を図っていくための協議の場を設けるということでございまして、こ れはまた後ほど御説明しますが、ハンセン病問題対策協議会といたしまして、現在も引 き続き行われているものでございます。  (3)でございますが、この「内閣総理大臣談話」を受けまして、平成13年6月に議 員立法により、「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」(通 称ハンセン病補償法)が制定されたところでございます。  この法律につきましては、ことしの2月にさらに議員立法により改正されました。こ れによりまして、外国のハンセン病療養所の元入所者の方々に対して補償金の支給を行 うといったことが措置されておるところでございます。  (4)でございますが、一連のその熊本地裁判決の受け入れなどを受けまして、裁判 所の和解をこれまで進めてきておるところでございます。その状況につきまして数字が 書いてございますが、入所者・退所者の方に対しては2,137名、その御遺族の方につき まして 4,077名。そして、ハンセン病療養所に入っておられなかった非入所者の方も和 解の対象になっておりまして、そういう方が105名いらっしゃいます。合計といたしま して6,319名という状況になっております。  5点目でございますが、一連のこういう流れを受けた具体的な施策の概要につきまし て御説明いたします。  1点目は、謝罪・名誉回復措置でございます。  (1)として、新聞各紙に謝罪広告を掲載するということですとか、中学生向けのパンフ レットを配付するですとか、死没者の方々の名誉を回復する観点から、「死没者改葬費」 を支給するということを行っております。この改葬費というのは、現在、療養所に納め られている御遺骨を御遺族の方が引き取られる際に、こういった改葬費をお支払いして いるということもさせていただいているところでございます。  (2)として、シンポジウム、討論会、公開講座の開催などを進めております。あわせて、 ハンセン病資料館の運営を実施して、ハンセン病に対する正しい地域の普及啓発を実施 しております。  (3)として、あわせて、ハンセン病資料館の拡充を図っているところでございまして、 来年2月に開館予定となっているところでございます。  2点目は在園保障で、現在も療養所に入所されておられる方々に対する取り組みでご ざいます。国立・私立のハンセン病療養所は、現在も約3,300名の方が療養を続けてい らっしゃいますが、そういう方々に対する必要な療養を実施しているところでございま す。 次の8ページ、(3)ですが、社会復帰・社会生活を支援していく取り組みもやって おるところでございます。  (1)は、療養所を退所者された方に対しまして、平成14年度から、退所者給与金という、 先ほども総理大臣談話の中で御説明しましたが、年金的なものを支給しておるところで ございます。  (2)は、平成17年度からでございますが、裁判所の和解が成立した入所歴のない患者・ 元患者の方々に対しまして、非入所者給与金を支給させていただいております。  (3)は、平成8年度の「らい予防法の廃止に関する法律」に基づきまして、入所者の御 親族の方に対して公的扶助を実施しておるところでございます。  (4)は、社会復帰された方に対する相談事業、社会復帰の支援事業なども実施しておる ところでございます。  (5)ですが、沖縄につきましては、これは歴史的な経緯もございますけれど、在宅患者 の方々がいらっしゃるということもございますので、在宅患者のための外来診療事業も あわせて実施しておるところでございます。  資料2につきましては、以上でございます。  引き続き、資料3につきまして御説明させていただきたいと思います。  資料3は、検証会議における検討の経緯についてでございます。  先ほど御説明いたしましたように、平成13年5月にハンセン病の熊本地裁判決が出 て、同じ月の25日に総理大臣談話が公表され、6月にハンセン病補償法ができたという ことでございます。  それに続きまして、その年の12月のことでございますが、厚生労働省がハンセン病政 策の歴史と実態について科学的・歴史的に多方面から検証を行い、再発防止のための提 言を行うということを目的として検証会議を設置すると。そして、今後の政策の立案・ 実行に当たってその提言を尊重するといったことが、統一交渉団とハンセン病問題対策 協議会の場において合意されたということでございます。これを受けまして、次の平成 4年10月から、その検証会議の第1回が開催されております。  そして、平成16年7月に、「再発防止のための提言」の骨子が提出され、さらに、そ の際にも、17年度内を目途にその提言を十分検討し、検討結果の実現に向けた道筋を明 らかにするための検討会−−本会議でございますが、その設置に努めるという合意がな されております。  そして、最終的には、平成17年の3月でございますが、26回の会議を経て、最終報 告書が厚生労働大臣に提出されたという一連の経緯をたどっておるところでございま す。  次の10ページは、その当時の検証会議のメンバーの方々のリストでございます。  続きまして、資料4でございますが、「再発防止のための提言」の概要についてかい つまんで御説明させていただきます。  提言につきましては、大きく9つの項目がございまして、以下の資料はそれを1枚半 に要約したというものでございます。  1点目は、患者・被験者のさまざまな権利の法制化について御提言いただいておりま す。具体的には、最善の医療及び在宅医療を受ける権利などのさまざまな権利、感染症 の予防医療に関するさまざまな原則、患者及び家族などに対する差別・偏見の防止など、 患者・被験者の方々の諸権利を法制化すべきといった提言でございます。  2点目は、政策決定過程における科学性・透明性などを確保するシステムを構築して いくべきという提言でございます。  (1)は、公衆衛生などの施策の立案に際しましては、憲法・国際人権法を十分に遵守す るということ。あるいは、基本的な事項・原則は法律にきちんと書き込むことというこ と。  (2)は、政策決定過程の透明化を図るとともに、必要な情報を国民に提供していくこと。  (3)は、患者の方々などの意見を尊重するための手続等を整備すること。  3点目は、患者等の権利擁護システムの整備でございまして、具体的には、患者の方 々などの諸権利を擁護するための「患者等の権利委員」、国内人権機関の創設に向けた 合意形成が望まれるといった提言がされております。  4点目は、公衆衛生などにおける予算編成上の留意点でございまして、これは公共保 健(パブリックヘルス)の目的が存在する場合には、強制の要素がなくとも予算措置を 講ずるよう努力するといった原則の樹立を求めていくべきということでございます。こ れはハンセン病の先ほども申し上げた歴史の中において、強制隔離の法的な規定を根拠 にして療養所における処遇改善などが図られてきたという話がございますので、そうい うことを踏まえた提言でございます。  5点目は、被害の救済・回復についてでございます。  (1)としまして、自治体などによる実情に即したきめの細かい社会復帰のための環境整 備と受け皿づくりなどが急務である。  (2)としまして、弁護士会、マスメディア、宗教界は、差別・偏見の根絶のための継続 的な取り組みを推進するということが提言されております。  6点目は、正しい医学的知識の普及についてでございます。  (1)としまして、保健所が正しい医学的知識の普及活動の中核を担うべき。  (2)としまして、急性感染症の患者の隔離は必要最小限とし、慢性感染症については原 則として隔離を行ってはならないこと。  (3)としまして、医療の専門職における専門的知見の確立、職業倫理の向上などを図る ため、「自己統治下システム」を導入する必要があるという御提言でございます。  次の12ページですが、7点目は、人権教育の徹底について提言されております。  (1)としまして、国・自治体の連携強化などにより、一層の人権啓発に取り組むこと。  (2)としまして、高等教育、とりわけ医系学部等における人権教育の充実、医療機関や 福祉施設で働く職員に対する人権教育が重要であること。  8点目は、ハンセン病に関する歴史的な資料が検証会議の中でいろいろと明らかにな ってきたわけでございますが、そういう資料などを含めて、資料の保存・開示や隔離政 策を象徴するような施設の依存・公開に努めるべきという提言でございます。  9点目は、本提言を具体化するための「ロードマップ委員会」−−本検討会でござい ますが、これを設置することという提言内容でございます。  以上でございます。  多田羅座長 ありがとうございました。ただいまは、議題の(4)の1のハンセン病 対策の概要、3の検証会議における検討の経緯、4の再発防止のための提言(概要)、 この3点について事務局より説明をいただきました。  なお、この検討会の委員として九州大学の内田先生に御参加いただいておりますが、 内田先生は、先ほどのこの資料の10ページの検証会議メンバーのところにもございます けれど、この検証会議の副座長さんとしてこの会議のレポートのおまとめに随分御尽力 をいただいたということも聞いておりますので、もしよろしければ、内田委員から追加 等がございましたらお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  内田委員 それでは、御指名いただきましたので、検証会議の委員も務めさせていた だいたということから、少し発言をさせていただきたいと存じます。時間の関係で、数 点に絞らせていただきます。  第1点は、想像を絶するような被害を教訓として導かれた再発防止策だったというこ とでございます。お手元の「被害実態調査報告書」、あるいは「最終報告書」におさめ られました療養所等における入所者等からの聞き取りを御一読いただきますれば、想像 を絶するような被害だということは御理解いただけたのではないかと存じます。  しかも、これらの被害は決して過去形のものではございません。被害の回復可能性な どが被害を現在進行形にしております。いわば、「死ぬまで続く被害だ」という点に御 留意いただければと存じます。「片手、片足だけでも戻してほしい、目の玉一つでも戻 してほしい。40年前のあの日に戻してほしい」、このような要望が私どもの聞き取りに 寄せられました。  死んでお骨になっても被害が続くということもございます。療養所には、「もういい かい、まーだだよ。骨になってもまーだだよ」というかえ歌がございます。死んでお骨 になっても社会に帰れない、故郷の墓に家族とともに永眠できない。このような悲哀を 詠んだものでございます。  いまだ1万6,000年のお骨が療養所の納骨堂に安置されております。熊本県で発生し ました入所者の宿泊拒否事件は、ハンセン病差別が今も克服されていない日本の現状を 改めて浮き彫りにいたしました。これらの被害でさえも氷山の一角でしかないというの が現実でございます。家族・遺族調査は社会の厚い差別・偏見の前にわずか5人の方だ けしか私どもは被害実態をお聞きすることができませんでした。このような現実がござ います。  このような被害を教訓として導かれた再発防止策だという点を御認識いただければ幸 いだと存じます。これが第1点でございます。  第2点は、被害の受けとめ方は立場によって異なるという点でございます。被害者の 方がこうむる深刻なダメージを加害者や第三者は理解することが決して容易ではありま せん。そのために、被害をともすれば軽く見るという過ちを犯しがちでございます。  そこで、検証会議では、このような過ちを犯すことを避けるために、可能な限り被害 者の方の立場に立って、そして被害の現場に立って考えるという方法を追求いたしまし た。幸い、検証会議報告書は入所者の方々を初めとして各界の方々のみならず、国会議 員の方からも過分の評価をいただきました。それもこの被害者の立場に立ってという方 法を採用したことによるものではないかと思っております。  本検討会におかれましても、ぜひこのような被害の現場に立って、被害者の立場に立 ってという方法を踏襲いただきますればとお願い申し上げたいと存じます。場合によれ ば、療養所にも足をお運びいただけますれば幸いでございます。  これが第2点目でございます。  第3点は、再発防止策の実施は1分1秒を争うものも少なくないという点でございま す。検証会議の提言させていただきました再発防止策は、先ほど御紹介いただきました ように多岐にわたっております。中には、立法措置が必要なものも含まれております。 1分1秒を争って実施に移さなければならないものも少なくございません。私ども検証 会議では、各地にあります療養所に訪問させていただきまして、いろいろなお話を伺わ せていただきました。その一環として、静岡にあります駿河療養所にも訪問させていた だきまして、いろいろなお話を伺わせていただきました。  その際に、入所者自治会の会長を長く務められました西村さんからお話を公開で伺い ました。西村さんは、療護ということで介護が必要な状態でしたけれど、1時間余りも 私どものために時間をとってお話をいただきました。最後に西村さんは、こうおっしゃ ってお話を閉じられました。「私が死んだ後もハンセン病に対する差別・偏見が残るよ うなことは絶対に避けてほしい。ハンセン病に対する差別・偏見がなくなってから死に たい」と、こうおっしゃられました。しかしながら、こう訴えられたわずか1カ月半後、 西村さんは帰らぬ人となられました。この訴えは、文字通り遺言となりました。  しかし、今もハンセン病に対する差別・偏見は残っております。西村さんと同じよう な思いを抱きながら、きょうも療養所では入所者の方が亡くなっておられます。平均年 齢が78歳を超えられて、葬儀がない日はないと言っても過言ではないという状況でござ います。  被害実態調査の最後のアンケート項目は、「今、何を望まれますか」という項目でご ざいました。多種多様なお返事をいただきましたが、「私たちの受けた未曾有の被害を 教訓にして、このような被害が二度と起こらないように、再発防止の施策を確実に実施 してほしい」という要望も強いものがございました。  そこで、先ほど事務局から御紹介いただきましたような多岐にわたる再発防止の提言 をさせていただき、そしてその実施のためのロードマップ委員会の設置を提言させてい ただいたという次第でございます。  最後に、恐れ入りますが、「最終報告書」の「はじめに」の末尾の文章をごらんにな っていただけますでしょうか。このように書かせていただきました。  「取り返しのつかない過ちを犯し、贖罪のおびただしい涙を流して私たちは反省を心 に刻んだ。この反省をむだにすることは許されない。被害の救済・回復を図ることも最 良の再発防止策である。今、私たちに求められている勇気とは、この過ちを認め、みず からこの過ちをただしていくことと言えないだろうか。国は、検証会議の再発防止の提 言を尊重することを約束した。この約束が履行され、本検証会議の再発防止の提言がロ ードマップ委員会によって間断なく実施に向かうことを最後に強く要望したい」と、こ のように要望させていただきました。  そして、この要望を受けて、国はこの検討会をおつくりいただきました。私ども検証 会議一同のこの検討会に期待する思いは強いものがございます。委員の先生方におかれ ましては、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  以上でございます。  多田羅座長 ありがとうございます。ただいまは、内田委員の方から、この検証会議 で検証された基本の理念、考え方、そしてこれからの方向についてお話しいただきまし た。どうもありがとうございました。  以上でございますが、これまでの事務局及び内田委員より御報告いただきました内容 につきまして、委員の皆様から御意見・御質問を伺いたいと思います。いかがでしょう か。  藤崎委員 今、るる御報告があったことと直接関係あるかないかわかりませんが、私 は、実は唯一当事者といいますか、ハンセン病療養所入所者の代表としてこの場に出席 させていただいているわけです。検証会議が発足しましたときに、私どもは、これが成 功すればこれまでまさにやみの中に葬り去られようとしていた事実が世間に明るみに出 るという期待を込めておりました。皆さんのお手元の昨年3月の報告書にあるように、 結果としては、100%はいかないまでも、ほぼ私どもがお願いし望んだ形で報告書が出さ れました。これを受け取った厚労省は、その中の9つの提言を尊重し、実行するという 約束をしていただいたわけです。  しかし、このロードマップ委員会は、この検討会でさえも開催にこぎつけるまでに1 年かかっているわけです。それなりに御努力いただいていたと思いますが、検証会議に かけた期待と同じように、現在3,100何名かおります入所者は一様にこの検討会に、二 度とこういう過ちを犯してほしくないという思いを込めて、大きな期待を寄せているわ けです。  そういう意味で、私は非常に重い荷物を背負ってこの席に座らさせていただいている わけですが、先生方もそのことは心の隅に置いていただいて、今後いろいろな形でお力 をいただきたいと思いますし、この会がそれなりの成果を発揮すべく、私も含めて、努 力するのだということの認識をお持ちいただければ大変ありがたいということを、この 場ではふさわしくないかもしれませんが、一言お願いして、私の発言にかえさせていた だきたいと思います。よろしくお願いいたします。  多田羅座長 ありがとうございます。第1回でまさに確認すべきことを今御発言いた だいたと思います。  谷野委員 一番初めにこの質問があったことをまたぶり返すようですけれど、もう一 つすっきりしないのは、提言があって、もうかなり検証すべき点がはっきりしていると すれば、さらにこの提言を受けてこの委員会が、これは半年かかるのか1年かかるのか よくわかりませんけれど、また検討するということは一体何なのかなということです。  それから、この検証・検討を受けて、ロードマップ委員会というのは現在できている のかどうか。もしできていないなら、ロードマップ委員会をまずつくって、それを動か しながら検証・検討というならよくわかるのですが、どうもこの委員会の性質が何とな く中途半端な気がしてよくわからない。事急を要しているということだとすれば、もっ と具体的な行動の方が大事ではなかろうかなと思われますので、この委員会というのは、 変な言い方ですけれど、時間を稼いでいるだけのような気がして、一番初めの質問に返 るわけですが、どういう性質なのかよくわからないんです。  多田羅座長 いかがでしょうか。  関山疾病対策課長 これは冒頭に鈴木委員が御質問されたことを確認されているのだ と思いますが、このロードマップ委員会というのは、いろいろ言葉が飛び交っておりま すので、若干混乱し得る可能性もございます。  先ほども参考資料の31ページをごらんになっていただきましたように、内田委員が今 までお務めになられた再発防止検討会の中で、再発防止の提言が9つあったと。そして、 その9つの提言を今後どのように実行していくのか、その提言を具体化するための検討 の場が必要ではないか。さらに、実施状況も見ていく必要があるのではないかというこ とを検証会議の中で提言されておりました。  それがいわゆるロードマップ委員会ということで提言されていたということでござい まして、このロードマップ委員会の役割というのが、すなわちこの再発防止検討会の役 割にほぼ類似しているということでございます。ただし、この検討すべき提言は計8つ になるわけですが、この8つについて十分吟味していただく。  その吟味していただくというのはどういうことかというと、書いてある趣旨について の点検も必要ですが、では、その趣旨を踏まえてどのように具体化するのかということ を考えますと、さまざまな具体的な手法が選択肢として出てくる可能性もございますの で、そういう点も踏まえて御議論していただき、その上で取りまとめられて、今後、筋 道としてどのようにこの検討結果を運んでいくのかを整理していただきたいというの が、まず第1点でございます。  そして、第2点として、その整理された検討結果がどのように実行に移されているの かということをフォローアップしていただく。こういうことをこの再発防止検討会で担 っていただければということであります。  多田羅座長 いかがでしょうか。課長の言われたことの私の理解としては、この提言 の趣旨、理念あるいは方向ということについては、基本的に皆さん御賛同を得ていると いう立場に立って、しかし、それを実際にやる方法というのは、役所の縦割りとか、そ れぞれの役所の担うところもございますし、総論賛成、各論反対というところも現実に は社会の中では多いのではないか。  ある意味では、ここで示されているのはその総論的なところであって、それを各論に 落としていくとなると、議論も相当あるのではないか。そういう総論に対して各論を決 めていくというのがこの検討会の役割であり、その意味で、内田委員あるいは藤崎委員 からお話しいただいた基本的な方向については、みんな一致していると思います。  では、その方法をどうやっていくのかということで、一応提言の内容をもう一度確認 させていただきながら、こういう趣旨であればこういう方法があるのではないかという ことを、すぐやってくれというのは、一方ではそのとおりなのですが、それぞれの立場 とか役割もございますので、その重なるところを見出していって、社会としての一つの 方法というものを構築する。それはどうしても若干時間はかかると思います。立派なこ とだから直ちにやったらいいということでもない。座長がそういう消極的なことではい けないかもわかりませんが。  たばこ対策一つでも、WHOのああいう枠組み条約があっても、なかなかたばこをや めることがない。やめるということは社会全体で一致していても、なかなか進まないん ですね。ちょっと例が悪かったかもわかりませんが、やはり総論に対して各論をつくっ ていくということはなかなか大変なことだと思います。そういう意味で、この検討会の 役割を改めて御認識いただいて、急がば回れという言葉もございますので、時間をいた だいて御検討いただくよう、座長としても改めてお願いしたいと思います。  中島委員 谷野委員が言われたことと同じことなんですけれど、今の座長の御説明、 そして課長の御説明をお聞きしても、あしたから何をやっていくのかということが余り 明確ではないんですよね。これだけの提言が出ているのであれば、やれることは既にや っていればいいわけですよ。それで、検証していくのであれば、今現実に何をきちっと やられているかということを検証する作業をやるのか、あるいはこの会はさらにまた具 体的な提言をつくるために集まったのか。そこらがはっきりしていないわけです。  提言もやろう、検証もやろう、それは一体どうやってやるんですか、いつまでにやる んですかと。ロードマップと言いながら、いつまでという時期の設定もない。そんな検 討会は実際は役に立ちませんよ。もう少しきちんとしたものをやってもらいたいと思い ますね。  多田羅座長 私ばかり言って申しわけないんですけれど、この検討会がそれを考えれ ばいいので、中島委員がおっしゃるように、9つの提言があるわけですから、その提言 について確認して、じゃあこれは大至急こうしようということでこの検討会がやるので あって。  中島委員 では、この検討会は、どれぐらいの頻度で、どれぐらいの目算で作業を進 めていこうということがきょう話に出なければおかしいと思うのですが、それは出るの ですか。  多田羅座長 もちろんそれは出ます。行政の方でいろいろ御検討いただいた案はもち ろんこの検討会の材料になりますけれど、本来、この検討会で急ぐものは急ぐというよ うな議論に我々がしていかなければいけない、ということにもまた返ってくると思うの です。  中島委員 ということは、もう何でもできると、こういうふうに考えてよろしいわけ ですな。  多田羅座長 意見がみんな一致すれば、そこの意見の一致のところは難しいかもわか りませんが、やはり検討会としてはそういう誇りを持ってやりたいと思いますので、私 としてはその点はそのように御理解いただきたいと思います。  中島委員 この委員にもう任命されたんですね。  多田羅座長 そうです。  中島委員 されたら、これは10年かかったら10年ずっとやると考えていていいわけ でしょうか。  多田羅座長 そこの契約はどうなっているでしょうか。これは委員には任期はなかっ たですね。  関山疾病対策課長 委員には任期は書いてございませんが、いずれにしても、ここで 十分検討していただいた検討結果を踏まえて、今後の筋道を明らかにしていただく。そ して、その筋道がそれぞれやるべき担当部局がどのような状況でやっているのか、そう いう実施状況を見極めていただければ、そこである程度任は果たせたと、この検証会議 の意をくみますと、そのように理解しております。  多田羅座長 今、御指摘いただいた点は、まさにこの検討会の役割であるときょうの ところは御理解いただいて出発いただくということで、どうでしょうか。  中島委員 出発することに何の異存もございません。  高橋委員 抽象的なイメージは大体わかったのですけれど、例えば、「第十九 再発 防止のための提言」の12ページで、第1の患者・被験者の諸権利の法制化というのがあ りまして、その下から4行目に、提言の具体的な内容として(1)からずっとつながってい ますね。この提言の内容の具体的な条文をつくるというのが我々の仕事ということなの ですか。これをつくらなければいけないのか、それとも、つくる、つくらないを含めて 我々が検討するのか。そこがわからないんです。  中島委員 そこがわからない。そのとおりです。  関山疾病対策課長 ここの患者・被験者の諸権利の法制化ということでありますが、 ここに書いている事項についての提言の趣旨ということについては、よく御吟味してい ただき、その趣旨を踏まえて、ただし、そういった権利の創設の仕方について、果たし て法制化がいいのか、あるいは今までの現行法の状況を見て、そういう具体化の方策が いいのかどうかとか、そういう御検討もあろうかと思っております。  したがって、ここに書いてございますが、具体的な提言の内容ということについても、 それぞれ必要があれば御検討の対象になり得るのだろうと思います。ただ、ここの御検 討していただく前に、なぜこの再発防止の提言それぞれが導き出されたのかということ について、内田委員がこのメンバーに入っていただいておりますので、まずは、なぜ再 発防止の提言それぞれが導き出されたのかどうか。そういったところを十分御説明して いただいた上で、その趣旨を踏まえて、どのような具体的な方策が妥当かどうか。こう いった御議論になろうかと思っております。  鈴木委員 ちょっと揚げ足を取るようになるかもしれませんが、今のことについて言 うと、提言は、法制化をしろと、こう言っているわけですから、法制化をするのがいい のかどうか検討するとなると、この提言全体をもう一度見直せということにも聞こえか ねない話だろうと思います。ですから、提言を前提にするということになれば、提言は 法制化をしろというので、いかなる具体的行動計画をつくったらば法制化が実現できる のかというのがこの検討会の仕事なのではないかと理解したのですが、今の関山課長さ んがおっしゃることと私の理解が何かずれているかなと思うので、そこを含めて、今、 私たちは何をやるのかということが最大の議論の対象になっているのではないかと思う のですが。  関山疾病対策課長 いずれにしても、先ほど申し上げたように、法制化ということは 書いてございますが、ただ、ここの中における文脈の趣旨というものを踏まえて、当時 とられておりましたハンセン病隔離政策の状況と、現状における諸制度がさまざま出て きておりますので、そういった現状も踏まえて、果たしてどのような手法がこの文脈で 書かれている趣旨を生かすにはいいのかという点についても、十分検討していただく必 要があろうかということでございます。  鈴木委員 その手法というのは、法制化か否かということですか。  関山疾病対策課長 ここは、法制化も一つのその趣旨を生かす手法ということでとら えますと、そのような御議論も深めていただければということになろうかと思います。  鈴木委員 いや、その議論をしていたら始まらないと思うんです。明確に「現行法な いし現行制度の運用ではまかないえず、新たな法整備が必要である」と言っているわけ ですから、法制化も一つの手段であって、選択肢の一つとして新たに検討するというこ とであれば、これは法制化するのかどうかの議論から始めなければいけないということ になりかねませんから、そこだけやったって1年かかる話になりかねないんじゃないで すか。  関山疾病対策課長 そこは十分御議論していただく必要があろうかと思っておりま す。  多田羅座長 座長としてですけれど、例えばこの10ページの検証会議のメンバーの方 を見ていただくとわかると思いますが、これは私の個人的な意見ですけれど、検証会議 は非常に御尽力いただいてまとめていただきました。それは社会の声、天の声としてこ の提言はいただいていると思います。その中に法制化ということが提言の一つとして入 っている。しかし、これを受けていくいろいろな立場、この天の声をどのように受けて いくかということは、もう一段あるんじゃないでしょうか。  この提言で言われているから、政府がそのまますぐ法律につくりなさいというものと しては、これは一つの社会の声として、この委員名簿を見ていただいても、朝日新聞、 毎日新聞とマスコミの方などを中心に広く社会の立場に立って意見を立てていただいて いることは非常に大事ですし、患者同盟の方にも入っていただいてそういう立場でまと めていただいているということは、一つの社会の声として、まさに総論だろうと私は思 います。  この検討会は、そういう天の声を受けて、どのように社会の中に定着させていくのか、 それは法律というものが一番の入り口になってくるかと思います。そういう意味で、社 会を構成する多くの部門の方たちにやや代表的に入っていただいて、ある意味では提言 を受ける立場の方にこの会に入っていただいて、社会としてどのようにそしゃくし、法 制化も含めてどのようにこれを受けていくのかという第一歩として、この検討会は開か れていると思います。  ですから、あくまでこれは社会の声として、あるいは天の声と言ってもいいかもしれ ません。でも、我々も下々の人間ですから、それをどのようにこなし、どのように受け ていくかということは、国家が法律で言っているからすぐつくりなさいというわけには、 逆にそれぞれの立場の人間にとっては無理なところもあるかと思います。  ですからこそ、今回のこの検討会は、このメンバーを見ていただくとわかりますよう に、そういう課題を受けていただく社会の具体的な現場の方、あるいは大学の人間、あ るいは病院、あるいは自治体、あるいは医療法人など、具体的に担っていく方にお集ま りいただいているので、そこのところはこの検討会の役割として、座長としてもぜひ御 理解いただいて、そして早くやるべきものであれば、ここで早くやるということを決定 して、政府にそういうことを申し上げればいいのだろうと思います。  谷野委員 それでは、ロードマップ委員会ではだめなんですか。  多田羅座長 ロードマップ委員会も提言の一つですから、ロードマップ委員会がいい かどうかもここで一度やらなければいけないんです。それは意見の分かれるところかも わかりませんが、一つの項目に上がっていることだと思いますよ。  鈴木委員 これはロードマップ委員会じゃないんですか。  関山疾病対策課長 どうも谷野先生の御発言から端を発していろいろとあれですが、 これはロードマップ委員会という検証会議の提言を踏まえて行っております。そういう ことで、座長から先ほどお話がございましたように、社会としてどう取り入れていくの かという検討を行いつつ、そしてその検討会を踏まえて道筋を明らかにし、その実施状 況を見極めていくと。局面としてはそのように3段階ございますので、それを再発防止 検討会の役割としているということであります。  ロードマップ委員会という言葉はありますけれど、趣旨はそういうことでやっており ますので。趣旨はもうとっくに出ておりますので。ですから、そういう整理で御理解い ただきたいということであります。  田中委員 第1回ですので、私も確認の質問をさせていただきます。  この会の発足のもとはハンセン病の方々の隔離政策の反省から来ているというのは理 解できたのですが、この委員会はハンセン病に限っているわけではないですよね。再発 防止というのは、今後あってはならない疾病に関する差別・偏見の防止ですね。「再発 防止」に「何を」というのがついていないから、しかも、タイトルの始まりが「ハンセ ン病問題」と書いてあるので紛らわしいのですが、そうではなくて、特定の疾病の患者 さん、あるいはその御家族に対する差別・偏見を二度と起こさないようにというところ でいいんですね。  ですから、私たちの議論は、過去に起きたハンセン病の隔離された方々、あるいはそ の御家族に対する問題は一応離れて、もう少し一般的にいろいろな疾病について起こり 得ることというところで議論していけばいいんですね。ハンセン病のところに立ち返っ て勉強するのは確かだけれども、この問題についての補償のあり方云々とかは全然考え なくていいわけですね。確認ですが。  それでいいんですね。となると、疾病というのはどの範囲まで含むかというのがあっ て、どこまでについて差別・偏見を防止するのか。疾病というのはすごく広いですよね。 例えば、感染症の中の類の1〜4の中の厳しいものだけに絞った議論なのか、感染症で はないものまで含むのかというのは、それはどうするのですか。  関山疾病対策課長 そこについてはまさにこのハンセン病問題に関する検証会議で提 言が幾つか出てきております。患者権利法の権利の法制化というのはあらゆる疾病も含 んでまいりますし、ほかに御提言されている中には、感染症を念頭に置いた公衆衛生に おける政策決定過程について言っているということで、それぞれの提言ごとによって対 象を異にしてまいります。いずれにしても、普遍的な提言をしていただいていると思っ ております。  田中委員 まず思いつくのは、ここにお二人ドクターがおられますが、精神科の患者 さんたちについては別口でいろいろなこういう会議がなされているはずなんです。患者 さんに対する偏見を防ぐとか。それまで含んでしまうんですか。  関山疾病対策課長 精神疾患にかかわる提言も中にございます。したがって、多岐に わたっておるということでございまして、それも念頭に置きながら御議論していただく ことになろうかと思っております。  畔柳委員 結局、同じ話なんですけれど、資料4で「再発防止のための提言」という ので9項目あるわけですが、これを一つずつ検討するということなんですか。つまり、 先ほどの内田先生のお話をお聞きしていると、すぐに救済しなければいけない問題があ るとおっしゃっているわけですね。この中の項目でいくと一体どれなのかなと思いなが ら見ているわけですが、そうすると、この中にも優先順位があるのか。つまり、何から 検討していくのかということもあろうかと思うのですが、これを見ただけでは順位もわ からないし、恐らく皆さんもこれを読んだだけではわからないわけですよね。  それから、この9番目は別として、予算編成上の留意点なんていうのがあるわけです ね。こういうことを議論するのは簡単かもしれないけれど、ここで何か言って一体どれ だけのことができるのかということもありますよね。そうすると、できることとできな いことがありそうな感じがするのですが、そのあたりは一体どのように考えておられる のか、整理していただいた方がいいと思います。  多田羅座長 座長としてまとめさせていただきたいと思いますが、この検討会はあく までこの検証会議の方から提案いただいたこの提言から出発するということでありま す。その意味で、この9項目というのはある意味では無条件に受け入れて原点にしてい るわけであります。  しかし、順番という問題ですけれど、1〜9まであって、先ほど、「これはロードマ ップ委員会ですか」という質問がございましたが、9がいみじくもロードマップ委員会 となっているように、9は1〜8までの項目を踏まえてロードマップ委員会設置という 流れになっているのだろうと思います。  その意味で、この1〜8まで検討いただくということが、まさにロードマップ委員会 の仕事を私の判断では兼ねていると思います。だから、この委員会は私はロードマップ 委員会の役割を果たしつつ言っているのだろうと思います。ですから、「これはロード マップ委員会ですか」と言われれば、私の気持ちでは「そうです」と言いたい感じのと ころはあります。けれど、9項目として上がっていますので、これ全体がロードマップ 委員会――と言うと言い過ぎなのかもわかりませんが、内容としてはそういうものとし て位置づけるべきだと思います。  中島委員 ロードマップ委員会を包含しているということですね。  多田羅座長 役割を兼ねているというか……。ロードマップ委員会の設置に進む道筋 として言っているということです。ですから、ロードマップ委員会について、将来、9 項目ですといってもう一回何か事新たにやるというのではなくて、この1〜8までの検 討をしていくことがロードマップ委員会の設置につながる道筋を歩んでいるということ ではないかと思いますが。  花井委員 皆さん専門家の方が多いので、言語は明晰にしなければいけないので、非 常にわかりづらいところがありますが、素人から言わせてもらいますけれど、私の理解 では、基本的にハンセン固有の問題につきましては、裁判があったので、ハンセン病問 題対策協議会と国との間である程度整理されて進めているのだと思います。ですから、 ハンセン病固有の問題は多分ここが実践的に行っていて、むしろこのロードマップ委員 会、ニアイコールであるここは、それ以外の全般的な問題をやるのだという理解が一つ ですね。  多田羅座長 そうです。  花井委員 それから、さっきからの法制化の問題ですが、私の理解は、また、ここに 来た理由ですけれど、いろいろいい提言をやっているのですが、国というのはなかなか こういうことはあってもできないシステムになっていると。ですから、これを先回りし てこういう場でやるということなので、イメージとしては、感染症予防法とか、きょう は精神科とか専門の方がいらっしゃいますが、それを包含した一般点な権利法の設置を これは要請しているという理解で、もしこれを本当に実現しようと思うと、よく法制を 御存じの方はわかると思いますが、非常に困難ですね。いろいろな利害が絡んでいる。  しかし、まさにこのメンバーというのはそういうところの先生方が来ているというこ とは、そういった基本法を何とかつくれないかという機運を実現し得る唯一の場である、 というのが私の理解なんです。  感染症はいろいろやられていますが、実際問題とすると、基本法ではないわけです。 これをつくろうと思うと、この行政のいろいろな縦割りのシステムの中ではできにくい ので、どこまでできるかわからないけれど、一般的な基本法的なものがあって、その下 に感染症の問題があったり、人権がどれくらい抑制されるかとか、いろいろ細かいこと があるのですが、それを実現しようよということをまさにこの提言は言っていて、私た ちはこれを受けとめたのだというのが一つの理解です。  それから、もう一つわかりにくくしているポイントは、いろいろな問題の利害関係に 知悉しているこれだけの専門の方が来られているので、一方ではかなり実践的な実務を、 つまり、行政の、やっているのか、ここはどうしているのだという、その実践できるメ ンバーがここで、これでやるのかという内容を要請されているということなんです。  ですから、私の勝手な理解ですが、ここでその実践部隊は、例えば臨時委員というの か、作業部会というのか、そういうものをこっちでつくれとか、やれとかということを さらに言って、そういう枠組みをここでつくって司令塔になって、その実践部隊もでき ればつくってしまうのかなと。ですから、これ全部をここでやれとなると、一体どのレ ベルなのだというのが非常にわかりにくいのですが、私はそういう理解で来たものです から、これはえらいことを引き受けているのだなということなのですが。  多田羅座長 筋はおっしゃるとおりだと思います。しかし、ここに上げていただいて いる少なくとも8つの項目それぞれが非常に重い大きい課題ですので、これをこの検討 会で一括してできるのかという不安が皆さんは一方にあるのだろうと思うのです。しか し、一応これ全体を取り組むという形でこの検討会は設置されましたので、当面、この 8つないしは9つの項目提言について、それぞれの立場で、御存じの方も多いかと思い ますが、復習を――そんな時間はないのだと怒られるかもわかりませんが、この検討会 の役割としては、この提言の内容について、特に8つの項目について、内田先生などに お話しいただいて、今さらまた勉強するのかという声もあるかもわかりませんが、検討 会としてはそういう勉強を若干させていただいて、その勉強を踏まえて、取り組む順番 であるとか、強弱の置き方とかというものを若干勉強する時間をいただいたらどうかと 座長としては思うのですが、それが余分だということになるのかどうか。  急がば回れということもございますので、せっかく歴史的な提言をいただいておりま すので、これだけのものですので、私も委員を委嘱されるときに見せていただいて、チ ラチラとは見たのですけれど、すごいなという感じでございますし、主な点を内田先生 などに中心になっていただいて、当面この検討会で勉強させていただくという形で薦め させていただくということで、いかがでしょうか。  谷野委員 もうこれで言いませんけれど、やはりハンセンの問題は緊急を要する問題 ですから……。  多田羅座長 これはハンセンの問題の検討会ではございません。  谷野委員 そこをまず明確にしたいのは、これはいろいろな患者さんの権利法とか、 精神も含めて、そういうことを議論するということらしいですけれど、これだけの大き な提言をこちらに置いておいて、一般論の患者権利法とかいろいろなことを話をするわ けでしょう。  多田羅座長  だから、これを勉強しようと言っているわけです。これについて、ど ういうことであるのか、内容について一度勉強させてほしいと言っているんです。  谷野委員 でも、要するに、先ほど内田先生が言われたように、内田先生の意見はそ ういう意見じゃないわけですよ。毎日のように患者さんが亡くなっているということは 急を要すると。そのことについて、早急に国は何かしてほしいとか、ロードマップ委員 会も含めて、その対策を打ってほしいということは、一般論の精神も含めての患者権利 法なのか何かわかりませんけれど、そんなことは言っておれない緊急の問題をハンセン は抱えていますよということを僕は重く受けとめているわけで、先ほどあったように、 あえて優先順位をつけるということでメリハリをつけた議論をしていかなければ、その 辺の入り口を大枠にしてしまうと、この委員会はどういうことになるのでしょうか。  多田羅座長 それは私も理解できますけれど、急を要する課題についてここでは検討 しないと思います。さっきから何度も言っているように、その心はありますよ。しかし、 より大きな制度というものを、この患者の権利法一つでもこれはすごい制度なわけで、 それは時間がかかりますよ。だから、我々も一刻も早く……。私だって何度もハンセン 病の療養所に見学に行ったことがございます。そういうことの中でそれを急ぐというこ との心は内田先生に私も負けないと思います。しかし、ここはそういうより大きな制度 について検討する場所であると、私は今のところは理解しております。  内田委員 先ほどの事務方のお話の中にも、再発防止の提言を前提にしてということ でございましたけれども、再発防止の提言の第5は被害の救済・回復というのが入って いるわけですね。こういったことも踏まえて先ほど少し発言をさせていただいたわけで す。  繰り返しで恐縮でございますが、私どもが提案させていただいた中には、非常に緊急 を要するものから、少し時間をかけてやるものもありますし、立法措置でやるものもあ りますし、運用の改善ということもある。その辺を整理をしていただいて、だからこそ ロードマップという時間概念を入れたわけですけれど、そこを十分に整理していただい て、急ぐものは早くやる、少し時間をかけていいものは少し時間をかけてやっていただ く、そういう形で行動計画という形で整理をしていただいて、そして実施方に向けて国 等に要望にしていただく。そして、その進行状況について絶えずこの検討会の方でチェ ックをしていただく。こういうお願いをさせていただいたところでございます。  多田羅座長 委員の先生方もいろいろ御意見があるかと思いますが、ただ、私の座長 としての今の理解は、緊急課題についてはそれぞれの現場で検討していただく。ここで それぞれの固有のことについて検討する場ではないと、座長としては今思っております。  関山疾病対策課長 座長がおっしゃっているのは、ここの提言については一般的な普 遍性のあるお話でございますので、したがって、その提言についてはここで議論をし、 先ほど谷野先生がおっしゃったようなハンセン病問題について固有の問題は、別個にや るべきものは淡々とやっていく。  そういう趣旨でございますので、したがって、先ほどから私どもはお伺いさせていた だいておりますが、そこの御意見は、言葉としての表現形はちょっと違うものを同じ御 趣旨で御議論されているかと思っております。内田先生のお話も同じ御趣旨でおっしゃ られていると思っております。  ただ、いずれにしても、この提言については、御指摘のように、優先順位、そして重 みというものについて、この検証会議では明確に書かれておりません。したがって、先 ほども座長からお話がございますように、こういう提言が導き出されていった経緯、そ してなぜこの8つになったのか。そして、このうち優先順位はどうなっているのか。こ ういうお話を内田委員からお伺いするということが、ここの場を深めていただくまずは きっかけになるのかなと思っておりますので、私どもも、内田委員とも相談させていた だきながら、そのような資料の準備はしていきたいと思っております。  中島委員 ハンセンの問題について緊急性のあることは、現実に各部署で着々と手を 打たれていると今お聞きしましたので、どの部署でどういう手が現実に今打たれている か、そしてそのことによってどの程度の成果が上がっているか、それをこの会議へちゃ んと提出していただきたいと思います。そうでなければ、この会議の意味がないと思い ますので、よろしくお願いいたします。  座長、よろしいでしょうか。  多田羅座長 報告として出していただくということで、よろしいでしょうか。  中島委員 そういう資料や報告がなくてこの会は成り立たんでしょう。  多田羅座長 事務局、よろしいでしょうか。  関山疾病対策課長 はい、ハンセンについての対策については……。  中島委員 現実にはやっておられるんでしょうね。  関山疾病対策課長 先ほど御説明させていただきましたが、より詳しい状況について 御説明させていただきたいと思います。  中島委員 そうすれば、少しメリハリがついてくる。  関山疾病対策課長 ということで、資料については用意させていただきます。  多田羅座長 それでは、それは中島委員からの御意見について事務局の方で対応をよ ろしくお願いいたします。  それで、これからのこの検討会の進め方でございますが、先ほど来私も御説明させて いただき、課長の方からも今御提案がございましたけれど、内田委員に中心になってい ただいて、この提言の趣旨・内容あるいは方向性などについて、復習といいますか、こ の検討会でも社会の声、天の声として聞いて勉強させていただく時間を若干いただいて、 その結果を踏まえて、順番であるとか、重みづけであるとか、あるいは方法等を考えさ せていただく。そういう検討として進めさせていただきたいと思うのですが、中島委員、 それでよろしいでしょうか。  中島委員 おらん方がよかった(笑)。出てこなきゃスムーズに進んだのに、済みま せん。  多田羅座長 いえ、そんなことはないです。ここはそのための検討会ですから、前向 きに御理解いただいて、急がば回れの感じがしますけれど、よろしく御理解いただきた いと思います。  それでは、きょうのところはそのように進めさせていただくということで、歩きなが ら考えるということも一方であると思いますので、よろしくお願いいたします。  では、予定の時間もございますので、議題の次のその他について、事務局から説明を お願いいたします。  事務局 先ほどさまざまな宿題を事務局としていただきましたので、そうした点につ きまして、後日、座長初め委員の先生方と御相談させていただいて調整させていただき たいと思っております。  中島委員 ちょっと待って。こうなったらもう何でも言わなゃ(笑)。  例えば、せっかくこの会議に全国から集まるわけですよ。たった2時間の会議をして、 そのために僕は腰痛が激しいのに新幹線に7時間も乗らんといけん。こんなばかばかし いことはやめてください。やる以上は、1回に4時間なり5時間なり、もっと徹底した 討論ができるような会にしてもらいたい。これはもう最低限の要望です。座長、ひとつ よろしくお願いいたします(笑)。  多田羅座長 委員の皆さん、いかがでしょうか。  中島委員 皆さんのコンセンサスをつくるために内田先生からの御講義を拝聴するわ けですよ。それが2時間で済みますか。2時間講義して、30分休憩して、また2時間や ったらいいじゃないですか。  関山疾病対策課長 そういった次回以降の段取りにつきましては、内田先生ともどう いう内容を御説明していただくかを……。  中島委員 そうですね。内田先生の体力もありますから(笑)。  関山疾病対策課長 よく座長とも相談しながら。なかなか経緯のある問題でございま すので、1回で終わらないで、何回かに分けて含みながら御説明いただくということも 必要かと思っておりますので、そういったことで。  中島委員 2時間ごとを何回もやるのはやめてほしいです。もったいないですよ。  鈴木委員 政府を含めて、どういう計画でどのようにやるのかを検討する委員会が、 どういう計画でやるのかということを持っていないというのは、体をなしていないと思 うのです。ですから、もう次回には、途中で変更工事があったとしても、ゴールまでの 設計図をつくってやると。そうなれば、中島先生のように、4時間、5時間やらなけれ ばいけないことも出てくるかもしれないんですね。  多田羅座長 ちょっと待ってください。それは私が言ったように、この検討会はあく まで行政から独立してやるということですから、鈴木委員のおっしゃることは、行政の シナリオのまま全部やれということですか。その案をだれが考えるんですか。  鈴木委員 いえいえ、ここでどなたかが提案してもむということなんじゃないでしょ うか。  多田羅座長 そうですよ。だから、それは時間がかかりますよ。だから、その案が出 ていないのはおかしいじゃないかというのは……。  鈴木委員 いえ、そうは申し上げていないんです。次回にそういうことに向けた議論 をやっていただきたいということです。  多田羅座長 けれど、そのときにはもう最後の最後までのシナリオはまだ出ていませ んよ。  鈴木委員 シナリオというか、タイムスケジュールですよね。  多田羅座長 それもどこまで出るか……。  関山疾病対策課長 鈴木委員がおっしゃっている案が出てくるためには、まず検証会 議の内容をよく委員の方々に御理解いただく必要があろうかと思っております。そうい う理解をしていただいた上で、今のようなどのような事案を優先順位を持って、そして どの程度のタイムスケジュールでやるのかという話になりますので、そういう段取りで 御理解いただければと思います。  鈴木委員 それを次回にやってほしいと思いますね。内田先生の講義を受けるだけで はなく。それを踏まえて、どのようにやるのかというディスカッションも含めて。  多田羅座長 それは内田先生と御相談して、その御説明にどれぐらい時間がかかるか。 1回で済むものか、内田先生はもう少し勉強してほしいということであれば、その時間 も関与しますので、次回は主として内田先生の御説明を中心とした会を持って、それを 踏まえて、今、鈴木委員がおっしゃったような会の進め方についてはまたお諮りすると いうことで、きょうのところは御理解いただきたいと思います。  それでは、事務局、よろしいでしょうか。  関山疾病対策課長 はい。  多田羅座長 それでは、きょうは十分御議論いただいたということで、きょうはこれ にて会をお開きにしたいと思います。どうも御協力をありがとうございました。                                    −了−    照会先                         厚生労働省健康局疾病対策課                         TEL  03−5253−1111 担当 溝口 (内線2369) - 8 -