06/03/28 労働政策審議会職業安定分科会 第38回議事録 第38回 労働政策審議会 職業安定分科会 1 日 時 平成18年3月28日(火)10:00〜11:30 2 場 所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者 委 員(公益代表) 諏訪分科会長、大沢委員、椎谷委員、白木委員、清家委員 (労働者代表) 市川委員、徳茂委員、長谷川委員、吉澤委員 (使用者代表) 石井委員、石原委員、紀陸委員、成宮委員、山極委員、 尾崎委員代理(深澤氏) 事務局 鈴木職業安定局長、大槻審議官、生田総務課長、 宮川雇用保険課長、内田雇用開発課長、坂口需給調整事業課長、 古曳高齢者雇用対策課長、森岡労働保険徴収課長 4 議 題 (1)雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令について(諮問) (2)介護雇用管理改善等計画の改正について(諮問) (3)国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案要綱 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正関係)について(報告) 5 議事内容 ○諏訪分科会長 定刻となりましたので、開会させていただきます。 (出欠状況報告) ○諏訪分科会長 それでは議事に入ります。本日の議題は、「雇用保険法施行規則等の 一部を改正する省令について」、「介護雇用管理改善等計画の改正について」及び「国 民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案要綱のうち、 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正関係部分について」、以上3つの議 題です。早速、最初の議題に入ります。雇用保険法施行規則の一部を改正する省令につ いて、事務局から説明をお願いいたします。 ○総務課長 総務課長の生田です。お手元の資料1−1から資料1−3を用いて説明い たします。まず資料1−1の表紙は諮問文で、その後には諮問の対象となる省令案要綱 があり、基本的にはこれを説明いたします。その前に資料1−3のいちばん上の図をご 覧ください。今回の諮問には助成金の整理統合も含めた内容があり、この助成金の整理 統合について網かけの部分があります。この分科会審議事項、諮問事項以外の、キャリ ア形成促進助成金は能開分科会で、育児・介護雇用安定等助成金と短時間労働者雇用管 理改善等助成金については均等分科会で議論していただくことになっています。均等分 科会については3月20日にすでに諮問が終わり、答申は概ね妥当という結論になって います。能開分科会については3月29日審議の予定です。ただ諮問事項ではありませ んが、雇用保険三事業に関わる問題ということでもありますので、資料の中には含めて 説明いたします。ご議論もいただければと思います。  資料1−1に戻り、要綱の内容について説明いたします。1頁は、第一、雇用保険法 施行規則の一部改正の部分です。1番目の雇用保険の被保険者に関する届出に係る手続 の簡素化では、電子申請が今後滲透していく中で、できるだけ手続で簡素化できる部分 はしたらどうかということで、見直しをしたものです。まず、雇用保険の被保険者資格 取得届などを出す際に、雇用保険被保険者証を添付することになっていますが、この添 付を無しにする。あるいは、電子申請に際し、一定の事業主の方には添付書類、労働者 名簿や賃金台帳等の添付を不要とするという内容について措置することとしています。  2番目は、助成金に関する各種届出に係る手続の改正です。いま雇用保険三事業の助 成金については、基本的に局で審査等をしています。ただ、窓口としてはハローワーク にしています。いままで局で受けることがなかったのですが、局でも窓口を作って受け ることができるようにしようというのが、この内容です。局で受けた場合は、局でその まま審査ができますので、それだけ簡素化できる、業務の簡素化にもなるのではないか ということです。  3番目は、労働移動支援助成金制度の改正です。次頁にわたり、(一)から(五)に 記載があります。(一)求職活動等支援給付金は、いままでの制度のうち、休暇中に行 われた教育訓練や再就職相談室設置事業等に係る費用の部分については助成を廃止し、 その代わりに実際に再就職に結びつくものとしました。最後から2行目に、被保険者に 職場体験講習を受講させることとありますが、これは送り出し側の事業主についてです。 受入れ側の事業主には、職場体験講習の受講者を雇い入れること等としています。新た に助成するということで、職場体験講習を通じた雇い入れを進めることを盛り込んでい ます。(二)再就職支援給付金については、45歳以上の人に対する給付金について、 従来離職日から3カ月以内の再就職支援しか対象になっていなかったのですが、それを 5カ月に広げる。新規成長15分野についての再就職の場合の助成額を引き上げるとい った内容です。(三)定着講習支援給付金は、受入れ事業主が職場定着のための講習を する場合の助成給付金です。これについても(二)と横並びで、いままでは離職日から 3カ月以内しか面倒をみなかったのですが、45歳以上の者については、それを5カ月 以内とするものです。(四)は、いままで1年で毎年更新してきた建設業の労働移動円 滑化支援助成金を、建設業の特性に鑑み、さらに1年更新するというものです。(五) は、更新するにしても、円滑化支援助成金の中で建設業労働移動支援能力開発給付金に ついては廃止するというものです。  4番目は継続雇用定着促進助成金制度です。60歳以降の継続雇用ということでいま まで制度を運営してきたものです。(一)は継続雇用定着促進助成金として雇用確保措 置導入支援助成金を創設するもので、具体的な中身は(四)にあるとおりです。(二) 継続雇用制度奨励金については、65歳以上の年齢までの定年の引上げ等により、労働 者を65歳以上まで継続して雇用する制度の導入を行った事業主に対して、当該事業主 が講じた措置の内容や雇用する被保険者数等に応じて、15万円から300万円を支給 するとしたものです。いままでの継続雇用の助成金について、退職年齢の引上げ年数と、 その企業で雇っている労働者数をマトリックスの表にし、その表に応じて15万円から 300万円の助成金を支給するとしたものです。分かりやすく、これで一本化するとい う考え方です。その上で、後段のとおり、「当該事業主が、短時間労働を希望でき、か つ賃金その他の労働条件が従前と同様である制度を設けた場合の加算措置」については、 雇用する被保険者数に応じて、5万から40万円の加算措置を設けるものです。(三) は高齢者をたくさん雇っている所に助成金が出ていたのですが、その対象労働者につい ては60歳から65歳ではなく、確保措置義務年齢を除き、それを上回る年齢の人につ いてカウントして、支給すると見直すものです。ですから平成18年度は62歳以降、 平成19年度からは63歳以降、平成22年から平成24年までは64歳以降について 算定対象にするということで、しぼり込むものです。(四)は新しく制度として設ける ものです。2行目のとおり、55歳以上65歳未満の被保険者に対して、雇用機会の確 保、職業生活の充実等についての研修等を自分でやるのではなく、他の事業主に託して 行った場合にかかった費用の4分の1を助成するものです。上限は1人5万円、全体で 500万円です。  4頁です。5番目の自立就業支援助成金制度の改正は、新規創業を支援するものです。 (一)受給資格者創業支援助成金は、雇用保険の受給資格者の方が新しく事業を始めた 場合の助成措置について、雇用状況が悪化している地域である同意雇用機会増大促進地 域については、助成率支給限度額を上げるものです。助成率は3分の1を2分の1、支 給限度額は200万を300万とするものです。(二)は、同意雇用機会増大促進地域 で事業を起こそうとする人が、他地域から移動して事業を起こすケースについて、移転 の費用を若干支援をするというものです。(三)は、子育て中の女性の再就職は別途応 援することになっていますが、子育て中の女性の起業支援を新しく設けるものです。そ の内容が(四)です。これについては(三)の冒頭にあるように、時限措置で、平成2 1年3月31日までの間に限るとしています。その上で、(四)の冒頭のように、雇用 情勢が悪い、有効求人倍率が全国平均を下回る地域で、12歳以下の子を有する者が起 業する場合の支援です。かかった経費の3分の1、上限200万までの支援をするとい うものです。  5頁、6番目は試行雇用奨励金の改正です。これはトライアル雇用で、中高年齢者の トライアル雇用と呼んでいるものについて、従来利用実績がなかなか上がらないという 問題点が指摘されていました。原因の大きなものとして、離職後一定期間、具体的には 3カ月以内についてはトライアル雇用の紹介ができない、こうした対象にならないとい う形でしたが、その3カ月要件を撤廃するものです。  7番目は、育児・介護雇用安定等助成金制度の改正です。これについては先ほど申し ましたように、均等分科会の諮問事項です。(一)は育児・介護雇用安定等助成金制度 について、いろいろな助成金が錯綜していました。事業所内託児施設助成金、育児・介 護費用等助成金、育児休業代替要員確保等助成金、育児両立支援奨励金、男性労働者育 児参加給付金、育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金と、こういったものを まとめて、一本化し、育児・介護雇用安定等助成金とします。(二)(三)をセットで ご覧ください。時限措置として平成23年3月31日までの間、中小企業子育て支援助 成金を設けることを考えています。これは中小企業のための助成金です。団塊の世代の 子が35歳を超えるまでの間ということで、その期間重点的に、できるだけお子さんを 作って育てていただけるようにしようというものです。(三)に具体的に、常時雇用す る労働者の数が100人以下の事業主であって、次世代育成支援対策推進法の規定によ り、厚生労働大臣に、一般事業主行動計画を策定した旨を届け出ているものが育児休業 を取得したり、あるいは短時間勤務制度を利用させた場合に、ファーストランナー・セ カンドランナー方式にしています。ファーストランナー、1人目が出た際に100万円、 2人目が出た際には60万円を出す。制度を作って、対象者が1人目、2番目について は出す、それ以降は出さないというものです。  8番目は人材確保等支援助成金制度の創設等です。人材確保に係わる助成金が様々あ りますが、それを統合するというのが、(一)です。介護雇用管理支援助成金、中小企 業人材確保支援助成金、看護師等雇用管理研修助成金、建設雇用改善助成金を統合し、 人材確保等支援助成金とするものです。その際に、中小企業職業相談委託助成金を創設 しますが、(三)で後ほど説明しますが、創設するとともに、2つの助成金(中小企業 雇用管理改善助成金と介護能力開発給付金)を廃止するものです。結果として(二)人 材確保等支援助成金は、このように細かく分かれます。(三)が、新しく創設の中小企 業職業相談員委託助成金です。これについては中小労確法の認定計画(雇用管理改善計 画)に基づき、労働者の職業に関する相談に係る業務を外部に委託する認定組合等の構 成中小企業者又は認定中小企業者に対し、費用の一部を助成するものです。いままで労 働者の方のカウンセリングなどをする場合、メンタルヘルスの問題も含めカウンセリン グ等をする場合に、自分の企業内に職業相談室を作るといった、なかなか難しいことを していましたが、そのような形は一切やめて、外部の専門家に週1回とか2回来ていた だく形も可能にし、その際の費用をみるという考え方です。(四)中小企業基盤人材確 保助成金は、中小企業が新しく新分野を展開するときに、中心となる人材を確保する場 合の助成金です。雇用情勢が悪い地域については手厚くするという考え方で、同意雇用 機会増大促進地域について新分野進出等を行った場合、助成額を引き上げるものです。 (五)介護基盤人材確保助成金については、基本的にはしぼり込むという考え方の見直 しをしています。まず1つ目は介護労働者雇用管理責任者の選任を助成金の支給要件と すること、選任していることを事業所内で十分周知することも要件にしています。2つ 目は、事業主が新しいサービスを提供するということで雇い入れる特定労働者、これは 専門的な能力を持った労働者ですが、その人数の上限を5人から3人にしぼり込み、併 せて一般労働者の雇い入れについても一定の助成をしていましたが、それを廃止すると いうことです。助成期間は雇い入れから1年から6カ月としぼり込み、上限額も140 万から70万にするものです。(六)介護雇用管理助成金について、いまの基盤人材確 保助成金と同様に、雇用管理責任者の選任を支給要件とすること、教育訓練について一 定の支援をすることを付け加えています。  9番目はキャリア形成促進助成金制度の改正です。これは能開分科会の諮問事項です。 (一)キャリア形成促進助成金のうち、職業能力開発休暇給付金と長期教育訓練休暇制 度導入奨励金を廃止するものです。キャリア形成促進助成金として、新たに職業能力開 発支援促進給付金を創設します。後で説明しますが、(三)が具体的な内容です。まず (二)訓練給付金について、対象若年者等を雇い入れ、対象若年者等に対して対象若年 者職業訓練等を受けさせる事業主に対し、業務の遂行の過程内における実務を通じた実 践的な技能及びこれに関する知識の習得に関する職業訓練が実施される期間に応じて支 給するということです。デュアル訓練について、一般の若年者についても対象とする等 の見直しをするものです。(三)の新たに設ける職業能力開発支援促進給付金について は、年間の職業能力開発計画に基づき、教育訓練、技能検定、キャリア・コンサルティ ングを受ける者に対し、それに必要な経費を負担する、あるいは必要な休暇を与える事 業主に対して、給付を支給するものです。(四)は訓練の様々な給付金の支給方法につ いて、従来は日額いくらという考え方でしたが、事業主の方の訓練の実施体系が、例え ば1日2時間だけやるとか、1時間だけやる訓練もありますので、給付金全体にわたっ て時間単価方式への見直しをしています。  10番目は小規模事業被保険者福祉助成金制度です。労働保険事務組合が小規模事業 の被保険者をたくさん抱えて、事務をしているときの労働保険事務組合に対する支援策 です。そもそも小規模事業の被保険者を確保していって、その福祉措置の対象になる被 保険者を増やすことに意味があるのではないか。単に、実情抱えているところではなく、 新たに増やしていくところに意味があるのではないかの観点から見直し、一定数以上の 小規模事業主から受けた労働保険事務組合ということで、ある程度の基模のものを大前 提とし、新たに委託を受けた小規模事業主の数に応じて支給するということで、新規開 拓に着目した支給にするものです。  11番目は短時間労働者雇用管理改善等助成金制度の改正です。これは均等分科会の 審議事項です。具体的には、10頁の第四、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する 法律施行規則の一部改正ということで出ています。11の支給対象者については、雇用 保険法施行規則でしぼり込んで、実際の支給内容は、短時間労働者法施行規則に書き分 けています。まず11では、能力又は職務の内容に応じた処遇について、通常の労働者 と共通な制度を作ること、あるいは通常の労働者への転換に係る制度を設けるといった ものについて、支給するとしています。従来あった2つの助成金、事業主団体短時間労 働者雇用管理改善等助成金や中小企業短時間労働者雇用管理改善等助成金を廃止し、新 しい均衡処遇に役立つような仕組み、あるいは通常労働者への転換の支援に特化した助 成金にするものです。  9頁第二、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 施行規則の一部改正についてです。これは育児・介護休業の支給内容についてで、均等 分科会の審議事項です。1番目は、小学校就学の始期に達するまでの育児休業に準ずる 制度、あるいは短時間勤務制度を設けた事業主に対する、育児・介護雇用安定等助成金 の支給額について、少子化対応を強化する観点から10万円増額するものです。2番目 は、育児休業、介護休業に係る被保険者について、育児休業者復帰プログラム又は介護 休業者復帰プログラムを実施する事業主に対する助成金の支給額についても5,000 円の増額をする、中小企業については7,000円の増額をするものです。  10頁の第三は、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則の一部改正で す。介護雇用管理助成金の支給内容についてです。先ほど支給要件が出てきたのですが、 これについては支給内容についてで、健康診断を行った場合等に応じた費用の3分の2 を支給するものです。従来の2分の1を、3分の2とするものです。  第四は、先ほどの短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の支給内容の部分で す。これについても、通常の労働者との共通の制度を整備した場合には50万円、通常 の労働者への転換制度などを設けた事業主に対して30万円、こちらは対象者がちゃん と出るというのが前提で、そうした金額を支給するものです。  11頁からは建設に特化したものです。三事業について、保険料率を建設分野につい ては1000分の1余計にいただいているわけですが、その部分に対応した助成金です。 1番目は建設教育訓練助成金についてです。(一)第二種建設教育訓練助成金について、 技能実習を行った場合の1日当たりの支給額を20万円に引き上げるものです。(二) 第三種建設教育訓練助成金について、当該教育訓練の受講に要する経費を負担した場合 の支給額の上限を撤廃するものです。あまり費用はかからないのですが、上限2万円を 撤廃するものです。この分野では(三)のとおり、建設業新規・成長分野進出教育訓練 助成金を廃止します。2番目は、雇用改善推進事業助成金の改正です。改正内容は2つ で、次頁のとおりです。1つは15歳以上35歳未満の若年者の採用を促進するための 助言等、高齢者、55歳以上である建設労働者の活躍を促進するための助言等について、 助成率・限度額の引き上げ対象となる重点項目に追加します。こうした分野については 助成率を2分の1から3分の2へ、限度額を13万から20万とするものです。2つ目 は、一の各々助言等を行った中小建設事業主の団体等に対して、当該事業に応じた費用 の3分の2に相当する額を支給するものです。(二)は時限措置をさらに延長するもの で、平成21年3月31日までの間、建設業に特化したものについて延長するものです。 施行期日は平成18年4月1日から施行ということで、必要な経過措置を定めるとした 内容です。  最後に、話が前後しますが、いま説明した内容については雇用保険三事業の見直しと いうことで、平成16年の目標設定、それから評価を踏まえ、平成18年度予算の編成 に際して見直すべき事項として、昨年7月に当分科会で報告しております。その見直し 内容に、基本的に沿った形となるよう見直ししたものです。このような内容で今年4月 1日から実施ということですが、今後とも三事業の目標設定、評価の点、あるいはPD CAサイクルを用いた見直しは適宜していくという考え方です。以上です。 ○諏訪分科会長 本件についてご質問、ご意見がありましたらご自由にお願いいたしま す。 ○石井委員 第一の一です、雇用保険の被保険者に関する届出に係わる手続の簡素化。 いままで助成金を申請するのにいろいろな手続があったわけですが、大変だという声で、 こういう簡素化ということで、雇用保険被保険者証の提出を不要とする、こういうこと が認められたのは大変結構なことだと思いますが、まだまだ助成金を申請するのにいろ いろな手続がある場合にいろいろ不都合がありますので、継続してこの点をもっと簡素 化することをお願いしたいと思います。例えば、助成金を申請するための提出書類につ いて、企業にも同じ書類を何度も要求される場合は多々あるのです。そういうことを考 えますと、その辺のことも含めていろいろと簡素化に対しての洗い出しをお願いしたい と思います。  それから、第一の二、助成金に関する各種届出に係る手続の改正についてですが、い ままではハローワークにいろいろ手続について相談する、あるいは申請書の取得ですね。 そういうことに関してはハローワークだけだったのですが、都道府県労働局に対しても 提出することが認められたことは大いなる改善だと思いますが、このハローワークに関 する助成金だけではなく、それ以外の助成金に関しても、同様にハローワークや労働局 で申請ができるようにすべきではないかと思います。労働局で手続ができるのであれば、 管轄以外のハローワークでも手続ができるよう、真の意味でのワンストップということ をお願いしたいと思います。以上です。 ○総務課長 まず第一の一の被保険者証の添付をなくすとかいったような点について は、今後電子申請等が発展していく中で必要不可欠なものと判断して対応したものです。 これ以外に、様々な助成金についての支給申請が別途ありますが、そうした提出書類に ついては、こういう場でも何回か説明いたしましたが、不正受給を防ぐ、制度の濫用を 防ぐ観点から一定のものについての提出は不可欠と思います。ただ、同じ事業主の方か ら何度も同じような内容の申請書を出していただくとか、同じことを何回も書いていた だくといったことは、当然避けていかなければいけません。できるだけワンストップで 支給申請していただけるような工夫は、絶対要ると思っています。今回こういうことを 説明いたしましたが、これに留まらず、今後とも皆さまからいろいろなアドバイスをい ただき、工夫はしていきたいと思っています。  二の届出先として、労働局もつけ加えるということです。こういうことにいたします が、引き続きハローワークでも当然必要な手続はできることにしています。それから助 成金などについては、できるだけワンストップでサービスが提供できるように、いまハ ローワークの窓口でも、ハローワークの助成金だけではなく他の助成金についても、い ろいろな支援ができるような体制を組んでいるつもりです。これについても、さらに精 度を上げられるように工夫をしていきたいと考えています。 ○諏訪分科会長 ほかに特にご質問、ご意見等がないようでしたら、当分科会としては 厚生労働省案を妥当と認め、その旨、私から労働政策審議会長にご報告申し上げたいと 思いますが、よろしいでしょうか。 (了承) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から報告文の案をお配りく ださい。 (報告文配付) ○諏訪分科会長 お手元にいま配付されたとおりですが、これでよろしいですか。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございました。そのように報告をさせていただきます。  次の議題は、介護雇用管理改善等計画の改正についてです。介護雇用管理改善等計画 の改正については、1月26日の当分科会において、本件に関する具体的内容について は諮問案も含め、雇用対策基本問題部会において審議いただき、その結果がとりまとめ られ次第、当分科会にご報告いただくことになっていたところです。そこで雇用対策基 本問題部会の部会長でもある私から、同部会における審議結果についてご報告いたしま す。  この介護雇用管理改善等計画の改正については、2月16日及び3月9日の2回にわ たり審議を行い、3月9日の雇用対策基本問題部会において、本日厚生労働大臣から諮 問されている改正案について事前に審議し、厚生労働省案は妥当であるとの結論に至っ たことをご報告いたします。事務局から諮問内容の説明をお願いします。 ○需給調整事業課長 需給調整事業課長です。資料2−1と資料2−2を用いて、計画 改正案の概要について説明いたします。  先に資料2−2の3頁に、今回諮問の介護雇用管理改善等計画の改正案の概要を簡潔 にまとめています。上段は、いまも分科会長からご説明あったとおりですが、本介護雇 用管理等改善計画は、介護労働者の雇用管理改善法の6条の定めに基づき、厚生労働大 臣が定めているものです。現行の計画については、昨年の審議会でもご議論いただいた 上で、計画期間の延長をした上で、一部手直しという形で計画を改正したわけです。当 該計画期間の中にもありますが、介護保険法の見直し等を踏まえて必要な見直しを行う という見直し規定があり、これに沿った今般の改正をご議論いただいた上での案です。  まず、1番目の計画の基本的な考え方では、介護労働をとり巻く状況が現行の計画の 策定に当たった当時から比べると、介護事業者あるいは介護労働者の増加が一定程度見 られ、現行の計画の雇用創出的な側面を基本とした考え方から、介護雇用管理改善の側 にシフトをしようということで、そこにあるとおり、介護労働者については賃金労働時 間、健康面等の不安や不満が多く見られるように、厳しい労働環境にある。定着率が低 い、あるいは介護関係業務に従事していない、多くの有資格者が存在するといったこと に現われているように、雇用管理等の面で解決すべき問題が残されていることから、介 護労働者の方が誇りを持って、生き生きとその能力発揮をしていただき、働くことがで きるようにすることなどのため、介護労働者の雇用管理の改善、能力開発の向上につい て、喫緊の課題として考えていこうということです。  そこで、このような課題に対しての取組の基本姿勢です。1つ目のポツにあるとおり、 事業主が労働基準関係法令等の法令遵守はもとより、その雇用する介護労働者の方につ いて、労働環境の改善や教育訓練の実施、福利厚生の充実等を講ずることにより、福祉 の増進に努めることが必要であるとともに、また事業運営の効率化等を図ることを通じ た雇用管理の改善等に資するような取組をお願いしています。こうした事業主の取組を 促進するために、国としては自主的な取組を支援するなど、所要な施策を推進していく ことが必要であるという、基本的な考え方に至っています。  2番目は、今回の計画の改定に当たり、計画の目標を新たに立てることとしています。 計画そのものについて一定の到達目標(雇用管理目標)を示し、雇用保険三事業でも立 てていますが、一定のわかりやすく、目指すべき方向を明らかにするため、具体的には、 介護労働者が誇りを持って、生き生きとその能力を発揮して働けるようにするために、 一定の到達目標を掲げ、計画期間中における達成を目指すことを明示しています。  具体的な到達目標は後ろの参考に付けた資料のとおりですが、先ほど申しましたよう に、介護労働者については定着率が低いということで、他の調査でも、一般的な全産業 の直近の離職率が16.0%のところ、介護労働者の離職率が21%です。こうしたこ とを受け、介護労働者の離職率を20%を下回るものとするとともに、全産業の平均的 な離職率との乖離をできる限り縮小することを、1つめの目標としています。介護労働 者の能力開発向上、資質の向上を図るということから、現在介護労働者の方の教育研修 の実施状況について見ると、正社員についての実施率が83ポイント、非正社員の方は 64ポイントで、さらなる質の向上を図る趣旨から、これらの実施率について、まず全 体の実施率を高めるとともに、併せて正社員の方と非正社員の方との実施率の乖離をで きる限り縮小することを、2つめの目標としています。また全体の数値的な部分は難し いのですが、介護労働という仕事に取り組まれる介護労働者の方の満足度の向上を定性 的に図ることを、3つめの目標としています。 これらの目標を受けて3番目以降ですが、施策の基本となるべき事項です。介護労働者 の雇用管理の改善、能力開発及び向上を図るために講じようとする施策の基本となるべ き事項を、計画中に掲げています。まず1点目は、雇用管理の改善のための取組です。 全体の実態を十分に把握した上で、できるだけそうしたものの情報提供をする、あるい は相談支援ということで、多くの事業主の方の取組を支援することを第一としています。 具体的には、介護労働者の実態についてのきめ細かな実態調査及び分析を行う。事業主 及び介護労働者の方々からの、特に健康の問題もあるので、健康の確保等に関する専門 家による相談も含め、幅広な雇用管理の改善等についての相談セミナー等を実施する。 雇用管理の改善について、具体的にどのような取組をしたらいいかの参考となるような モデルを作成し、そうしたものの情報提供をフィードバックさせ、事業主の取組に資す るようにしようということを、施策の基本としています。  2つ目は、先ほどの雇用保険法施行規則の改正の中にもあるように、計画の基本的な 考え方に沿った見直しを図った上で、介護基盤人材確保助成金、あるいは介護雇用管理 助成金の活用の促進を図るということです。もう1点は、質の向上を図るための能力開 発及び向上のための施策ということで、介護労働安定センターにおいて、離転職者等の 早期再就職促進や、効率的かつ効果的な介護労働者の能力開発を行う。公共職業訓練で の民間の教育訓練機関等を活用した委託訓練等の実施を行う。これは、介護労働者を取 り巻く資格制度の見直し等も視野に入れ、こうした取組を進めていくという内容です。 また、直接的に介護労働者の方が自主的な能力開発の取組をされる場合には、雇用保険 の教育訓練給付の活用を図るための教育訓練講座の指定もございます。  4番目は、その他の基本となるべき施策の事項です。(1)マッチングの部分です。 介護分野における適正かつ円滑な労働力の確保を図るための「福祉重点ハローワーク」 での情報提供、あるいは職業相談。職業紹介を専門的に行うことで、マッチング機能の 整備を図るとしています。(2)では、これらの施策を効果的に実施するための関係機 関での密接な連携を挙げています。資料2−2の後ろには、いろいろな計画の検討に資 するための参考資料を付けています。  戻りまして資料2−1です。いま概要で説明しましたので、詳細な説明は割愛いたし ますが、今般の計画改正案についての諮問文の表紙です。1頁以下は、現行の、昨年改 訂する前の平成12年時の計画の再改訂ということで、再改訂の計画の告示の案文です。 10頁からが、計画の新旧対照表です。左が改正案、右が現行です。  概要で説明した点についてですが、第一の計画の基本的な考え方では、先ほどのとお り雇用創出的な局面を課題とすることから、介護労働者の雇用管理の改善や、能力開発 向上を図っていくことを喫緊の課題とした上で、諸般の取組をしていくことを掲げてい ます。  中ほど下の辺りに、計画の期間があります。これは、冒頭申しましたとおり、昨年計 画期間を延長し、平成17年度から21年度までの5カ年間としています。右側の現行 では、なお書きで、先ほどの見直し規定が掲げられていたので、この部分を削除してい ます。11頁の下、第2から12頁にかけては、介護労働者の雇用の動向ということで、 介護労働者の需要の見通し、あるいは供給の見通しということについて、一定の記述あ るいはデータ的なリバイスをしております。13頁は、先ほど説明した第3の計画の目 標です。計画の目標を具体的に計画の中に提示しているところです。  13頁の中ほど以下が第4、雇用管理の改善、能力開発のための施策の基本となるべ き事項です。1で総論的な考え方を書いた上で、具体的には13ページから14ページ にかけ、先ほど申したような相談あるいはモデル事業といったようなもの、あるいは1 4頁の(2)助成金の活用促進という内容の記載があります。また14頁の下から15 頁にかけては、介護労働者の能力の開発及び向上ということで、先ほどの介護労働安定 センター等における能力開発施策について整理したものです。  また16頁から17頁は、先ほど概要の最後の部分で紹介した、福祉の増進を図るた めの施策の基本となるべき事項ということで、マッチングの整備等の施策についての内 容です。以上、諮問案についての説明です。 ○諏訪分科会長 本件についてのご質問、ご意見等がありましたら、お願いします。 ○石井委員 離職率を20%以下に押さえるという計画の目標ですが、確かに全平均か ら比較すると高いのですが、いきなりこのような数値目標を設定するのはいかがかと思 います。これについては、雇用対策基本問題部会で、いろいろ議論されたと聞いており ます。介護労働者の実態の把握が十分されてないように聞いていまして、なぜ離職率が 高いのかをもっと掘り下げて、実際どうなのかを実証した上で、やはりリーズナブルだ と。20%は非常に問題があるということであれば、それなりの目標設定はいいと思う のですが、現段階の話ではその辺の実態調査が十分ではないと聞いています。こういう ことを設定する必要があるのかどうか。それが疑問です。  もう1つ疑問なのは、もしこういう設定が通って、目標設定されて達成されなかった ら、責任の問題は一体どうなるのかを明白にしていただきたい。事業者側からすると、 不安な面です。いずれにしても、この離職率は景気によって変化しますし、特に介護労 働者の場合は、移動率が高い傾向があり、条件のいいところに動こうとする傾向もあり ますので、その辺の実態をよくつかんでいただいて、お願いしたいと思います。  離職率と教育研修の実施率ですが、これも正社員と非正社員とでの実施率の乖離をな るべく縮小するとしています。元々正規社員と非正規社員は採用のときからどういう業 務をやるか、期待している度合いが自ら違いますので、徹底的に教育をしようというの と、その非正規社員の立場の人と、能力あるいは期待。その辺が自ら正規と非正規では 違いますから、一律に教育を同じようにする。職務も違うでしょうし、その辺一律に同 じにするということは、どうなのかなと思っています。以上です。 ○需給調整事業課長 委員からのご指摘について、2点お答えいたします。まず離職率 関係の目標の設定についてです。先ほど、割愛して数字だけで申しましたが、資料2− 2の24頁ですが、先ほどのデータがあります。24頁は、介護事業所における離職率、 平成17年6月の調査です。全体として離職率が、正社員非正社員併せて21%でした。 下は、勤続年数で、全体として8割の方が3年未満で離職される。これでまた離職の状 況が多いという資料です。25頁は、平成16年の雇用動向調査です。いちばん左が1 6.0で、調査産業系の離職率の動向です。  以上を踏まえ、いま委員からのご指摘のとおり、この諮問案のとりまとめに先立って、 雇用対策基本問題部会でも、この目標設定も含め、本案についてご議論いただいたとこ ろです。この離職率について、先ほどご案内しましたような内容とする過程についても、 一方で委員もご指摘のように、いろいろ離職率は雇用の動向あるいは経済社会情勢にも 左右されるので、具体的な数値を設けることは難しいのではないかということがありま す。また一定の到達目標とするからには、何らかの目安となるような数値も示しつつ、 わかりやすさを掲げないと、なかなかその到達目標と言うにはふさわしくないのではな いかというご議論をいただいた結果です。 全体として16ポイントまで一気に引き下げることは、確かに介護労働者をとり巻く介 護労働の特性も考えると非常に厳しいこともありますが、一定のいま置かれている離職 状況を含めると、部会でもいまご説明した内容がふさわしいのではないかという議論で す。また、先ほど達成についての責任の所在の問題がありましたが、これは計画ですの で、個々の事業主の皆様方の取組の中での数値目標ということではなく、全体として国 が進めていく施策を、この数値や到達目標を目指して行っていくという内容です。  2つ目は、教育研修に関しての目標設定のご意見ですが、これについてのデータは資 料2−2の26頁、介護事業所における教育・研修の実施状況の円グラフです。これが、 正社員・非正社員の教育研修の実施状況です。確かに委員が指摘されたとおり、正社員 や非正社員の方々、あるいはそれぞれの置かれている事業所の特性に応じて、教育や研 修内容については自ずと違いが出てくるということで、考えています。ただ、全体とし て能力開発向上を図っていく、あるいは質の向上を図っていくことについて、一律な内 容をということまでは申しませんが、何らかの取組をしていただくという意味で、その 取組をさらに進めていく上での目標は必要ではないか。具体的に掲げている計画の内容 についても、やはり一律な教育を同じくすることを前提にしているものではなく、内容 はそれぞれ必要に応じた教育研修を実施するとしています。 ○石井委員 努力目標という意味で、21%は設定されているのですか。それとも、こ の数値が具体的に各事業者に対してどういう意味合いを持ってくるのか。例えばその事 業者は自分のところのデータはわかるわけですから、21%に達していなかったら、こ れに到達するようにと行政的な何らかの話は出てくるのでしょうか。 ○需給調整事業課長 この介護労働者の雇用管理改善計画の根拠となっているのが、先 ほどもご紹介した介護労働者の雇用管理改善法です。この法律は、最低的な取組を規制 するという法律ではなくて、介護労働者の雇用管理の改善を図っていただく事業主の取 組を、いろいろな形で相談援助あるいは助成措置も含めて、支援をしていくことが趣旨 になると思います。  ということで、目標についても先ほどご説明をしましたように、国全体として、この ような離職率の状況に持っていきたいという目標ですので、個々の事業所におかれて、 この数字について未達成だから具体的に指導するという内容ではないということです。 ○石井委員 具体的に指導はないということですか、数字は努力目標で終わってしまう のではないですか。 ○需給調整事業課長 いま申し上げたのは、個々の事業主に関して指導をするものでは ないということです。 ○徳茂委員 資料2−2の3頁の今回の改正の概要を見ると、「介護保険法の見直し等 を踏まえて」となっていますので、介護保険法の見直しの中身で雇用改善に関するとこ ろときちんとリンクされているか、という問題意識があります。8、9頁に介護保険法 の概要が付いていて、9頁の「サービスの質の確保、向上」の1番に「情報開示の標準 化」という項目があります。今回の介護保険法の制度改正で、事業所情報の開示を義務 づけられています。おそらく、この事業所情報でサービスの質の改善に関連の深い項目 を、どういう項目があるのか、結果的にはサービスの質の改善と、労働者の雇用管理の 改善というのは表裏一体の関係、対人サービスの場合は特段に密接に結び付いています ので、そこの問題意識が雇用管理改善計画にきちんと反映される必要があるのではない かと考えています。  具体的なことは基本問題部会で議論いただいて、今日を迎えているわけですので、今 日殊更に何がどうというつもりはないのですが、この雇用管理改善計画の概要のところ でも、4では「関係機関で密接な連携を図る」とも書いていただいていますので、厚労 省の老健局がこの関係機関に入るのかはよくわかりませんが、介護保険法の改正の情報 開示という仕組みと、雇用管理改善をリンクさせて施策展開をしていただけるといいの ではないかと思っています。というのが基本的なことで1つです。  先ほどの離職率の話ですが、トータルで、データ的に20%を少しでも下回るように 何らかの働き掛けをしていっていただこうということだと受け取っていまして、そうい う数字をある程度明らかにして取り組んでいくということは、私としては賛成ですので、 是非そうしていただきたいと思います。  その上で、離職率が高いことの根拠は老健局の所管の介護保険部会でも、介護労働者 の処遇が非常に悪いことが議論になっていました。その中身を私なりに考えると、定着 率が低い原因としては、賃金と就業環境ということだと思っています。もう1つは安定 的な雇用が条件としてそもそもないのではないかと、3つあると思っています。賃金の ところは、介護報酬と相関関係になっていますから、今日の場で扱うのは不適切だと思 いますので、別問題といたしますが、就業環境のところは大いに関連があると思ってい ます。  そこで、私も労働組合で、組合員の中に介護分野で働いている組合員が多くいまして、 そういうところの訴えを聞きますと、就業先が要介護の高齢者のいらっしゃる個人のお 宅で、男性の一人住まいも大勢いらっしゃって、介護労働者の多くは女性であるという ことで、要介護には認定されているけれども、結構力もある方もいらっしゃって、行っ た先でセクハラに遭うというような訴えが届いておりまして、就業環境としては、そこ は相当改善の余地があるのではないか、事業主の方が真剣に受け止めて何らかの対処を していただいているかどうかなども、離職率に影響していると思っています。  いい対処がなされなければ労働者側も違う事業者を選ばざるを得ないことがあります ので、そこについては是非しっかりと状況把握をして、事業者にどういう努力の余地が あるかについても啓発をいただけるとありがたいと思っております。  雇用安定の点では、介護労働者の非正規の雇用にある方の比率がものすごく高くて、 直接の介護サービスはほとんどそういう方々に依存していると言ってもいいと思います ので、その方々への研修がきちんとされることが、サービスの質と同時に介護労働者の 満足度が高まっていくことにもなって、離職率にいい影響を与えるのではないかと思い ますので、この計画の中でも、そこについての問題意識はあると思いますが、是非進め ていただきたいと思っています。  最初に申しました介護保険制度とのリンクで、情報開示の標準化が新しく入ったと申 し上げました。できれば、こういうことも垣根を飛び越してということになりますが、 是非老健局からも、こういう場所で説明を受けるようなことも必要なのではないかと思 っています。老健局サイドの介護部会で議論をしました折に、雇用管理改善の方策も情 報開示項目の中に入れたらどうかということも、非公式ではありましたが、労働側とし ては提案させていただいています。それは老健局の所管ではないということで足踏みに なりましたが、関係機関との連携を強力に進めていただいて、研修の実施に留まらず、 例えば離職率、事業所ごとの離職率の把握や情報開示をすることなど、または事業所ご との正規、非正規の比率も情報開示していくという方向性が、離職率の改善には役立つ のではないかと考えています。その辺は基本問題のほうで検討していただけたかどうか ご説明いただければと思います。 ○需給調整事業課長 まず、今般の改正、見直し規定に沿った形で見直しを行ったとい うことでもありまして、介護保険法等の改正とのリンク、関連性ということですが、特 に介護保険法の中でも、24時間サービスという新たなサービスが出てくるということ で、計画そのものではないのですが、それを踏まえた施策ということについては、これ は個々の施策の内容として、私どものほうとして検討させていただいているところです。  ただ、特に介護保険法そのものの本体の法律の改正ということではないのですが、昨 年のこの計画の改定の際にもご紹介しましたとおり、介護福祉士あるいはホームヘルパ ー1級、2級の方の資格制度についての見直しについては、その動きがあるということ で、本計画の中でも記載の内容についても、そういった動向についてリンケージさせた ような形での改正にさせていただいているところです。  委員のご指摘の介護保険法の改正に伴っての情報開示の標準化についてですが、この 情報開示の内容としては、勤務体制であったり、夜勤の問題といったことも情報開示さ れると聞いております。先ほどご指摘のあったように関係機関との連携については、相 談、支援、援助を行っていく中で、そういった機関とのリンケージもしながら対応して いきたいと思っています。 ○椎谷委員 先ほど来離職率の問題が出ていますが、私が雇用対策基本問題部会の議論 を理解した限りでは、先ほど石井委員が言われましたが、例えば資料2−2の24頁か ら25頁辺りのデータというのは、少なくとも介護労働者に関して言えば、非常にカバ リッジが少ないし、背景がさっぱりわからない、どういう就業経験のあった人なのか、 ホームヘルパーなのかどうなのか、年齢もよくわからない、なぜ離職したのかもわから ないということもあるので、もう少しきめ細かく実態をつかんで、離職率の到達目標に するについて、その上でという前提条件がついていたと思います。そこのところはよく 含んでおいていただいたほうがいいと思います。  もう1つは、雇用動向調査との関係ですが、雇用動向調査は、本当に統計調査です。 カバリッジも大きいですし。この中にもサービス業というのが出ていますが、それとの リンクは全くないわけです。そういうことも踏まえて、実態をよくつかむことも含めて、 雇用対策基本問題部会では言われていたので、そうすれば石井委員の言われていたよう な懸念も少しは払拭されるのだと思います。 ○需給調整事業課長 先ほど説明が漏れていまして申し訳ございませんでした。いま椎 谷委員がご指摘のとおり、基本問題部会の中でも、いろいろな形での原因であったり、 実態の把握をしっかりやる必要性のあることについては、各委員からも強いご指摘を受 けていました。計画の中にも、介護労働者を取り巻く状況について、実態調査をきめ細 かく行って、分析することを掲げていますが、諸般の施策の大前提となるべく、そうい った実態の把握にまずもってしっかりと取り組みたいと思っております。 ○紀陸委員 私ども、介護の分野でも外国人の方の活用が必要になってくると思うので すが、こういう雇用管理の面で外国人の活用を視野に入れてプランニングをされている のかどうか、その辺の基本的なお考えを承りたいと存じます。 ○職業安定局長 介護分野における外国人労働力の活用というお話ですが、従来から外 国人労働力の受入れの問題、専門的、技術的分野で受け入れて、それ以外は慎重にとい うスタンスできています。介護分野のいろいろな働き方、いろいろな労働者がいます。 ですから、介護分野を一掴みに考えるのはなかなか難しいのではないかと思っています。  そういう中で、いま日本とフィリピンの間の二国間協定で、介護福祉士について、国 内に来てそういった資格を取って、働けるという仕組みをつくろうということで話を進 めています。それは、管理した形で、うまく受け入れる形をつくらないとということで 進めています。ただ、一般的に介護の分野で受け入れるということではなくて、二国間 できちんと仕組みをつくって、問題の生じないような形でと議論は進んでいます。 ○長谷川委員 私も基本問題部会に出ていたのですが、今回の管理改善計画を作るに当 たって、今般については介護労働安定センターの調査資料に基づいて計画を作ることで、 私は部会は大筋で了解したのではないかと思っています。  ただ、資料を詳細に見たときに、もう少し詳しい調査資料が必要だと思います。した がって、次回に向けていろいろな調査をしっかりと行うことが必要であるというのが、 確認事項だったのではないかと思っています。  介護労働者の問題、何であえてこのように介護雇用管理改善計画を作らなければなら ないかという、そもそもの議論があるのだと思うのです。介護保険制度ができたときに、 担い手が必要だったわけで、ホームヘルパー2級をある意味ではバーッと一生懸命つく って、その人たちが介護労働の現場で働いているのだと思うのです。その人たちはほと んど非正規です。  私も92歳の義理の母、要介護3が自宅にいるのですが、4つの事業所を使っていま す。自宅に入って来る人たちは全部非常勤です。賃金も聞いているので大体わかります が、それが現実だと思います。私も4つの事業所を探すときに大変苦労しまして、自分 の夫の母だからいいところと思うのです。いいところでよりよい介護と思うので、必死 に探しました。いま徳茂委員が言いましたが、労働条件がどうなのかとか、雇用形態が どうなのかとか、どういう訓練をしているかを知りたいけれども、なかなかそこは見つ かりません。何年間もその人たちと付き合っているのですが、ときどき「私がやったほ うがいいのではないか」というぐらい、能力にすごく差があることは事実です。  そもそも家庭の主婦を2級ヘルパーでつくったわけですから、そこはこれからお互い に努力しなければいけないのだと思います。この産業はこれからもきっと発展していく わけですから、どうやって人材を育成していくのかは、労使とかの立場を超えて、我が 国のすべての政策に携わる者の課題なのではないかと思います。  石井委員が心配しているようないろいろなことというのは、まだまだ。これは途上な のだと思うのです。問題点をその都度整理しながら、出しながら、どうやって政策を打 ち出していくのかが重要で、これは一気にいかないわけですので、今回は介護センター から出てきた資料に基づきながら、この何年間はどういう努力をするかといえば、定着 率だとか、能力開発をしていくと。  ヘルパーの能力開発がされて、よりよい介護ができたときに、みんなが幸せなわけで す。私はいつも自分の家に来る人たちに言っているのは、「介護保険制度とあなた方が いたから、私は今日働ける、いつも感謝している」とメッセージを送るようにしている のですが、私としてはすごく不十分です。もっといいサービスをしてほしいと本当は思 うのですが、これは徐々にスキルを上げるしかないと思うわけです。  今回のこの雇用管理改善計画も、前回はとにかくきちんと作るということで、その次 は離職率とか何かが出てきたので、そこを少し努力しようではないかということだと思 うのです。次はもう少し調査をして、今回行き届かなかった詳細な準備を調査でするこ とが重要なのではないかと思います。 ○諏訪分科会長 他にご質問、ご意見はございますか。特にないようでしたら、当分科 会としては厚生労働省案を妥当と認め、その旨私から労働政策審議会長にご報告したい と思いますが、それでよろしゅうございますか。 (了承) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それでは事務局から報告文の案をお配りくだ さい。 (報告文配付) ○諏訪分科会長 ただいまお手元に配付された案のとおりですが、これでよろしいです か。 (異議なし) ○諏訪分科会長 ありがとうございます。それではそのように報告をさせていただきま す。  次の議題に移ります。国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改 正する法律案の要綱についてです。これは社会保険庁改革関連法案ですが、この中にお いて、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化の観点から、労働保険徴収法を改正する ため、当該改正部分について、労働条件分科会労災保険部会において審議をしまして、 妥当と認める旨、2月27日付け労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛に答申されて いるものです。これについて事務局からご説明をお願いいたします。 ○労働保険徴収課長 資料3です。先ほど分科会長からお話がありましたとおり、社会 保険と労働保険の徴収事務の一元化に関連する法律改正で、これは平成16年12月の 閣議決定においても、労働保険と社会保険の徴収事務の一元化の法律改正が必要な事項 についても、平成17年度中に検討し、結論を得ろと。また、平成17年5月の内閣官 房に設置された社会保険庁改革の有識者会議においても、徴収事務一元化について着実 に道筋を付けろということが言われまして、それを受けて省内において検討を進め、取 りまとめたものについて、今回社会保険庁改革法案とともに出させていただこうとする ものです。  1頁が労災部会に諮問させていただいたものです。内容について6頁でご説明します。  社会保険、労働保険徴収事務の一元化に関する法改正事項についてです。以下の3点 について、国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律案、 これは社会保険庁改革法とともに、その関連の制度改正部分について提出される法案で す。この中に盛り込んで、今通常国会に提出するというものです。  1点目です。労働保険料の申告及び納期限の変更、これは要綱の第二関係です。これ は平成20年4月施行を考えているものです。現行では、社会保険の算定基礎届、報酬 月額の届出の期限について、社会保険のほうは4、5、6月分の賃金を届け出るという ことから、7月10日、労働保険の年度更新については、当該年度の概算保険料また前 年度の確定保険料の申告納付です。これは前年度分ですので、5月20日が期限になっ ています。この期限について、事業主に2回来てもらうことをなるべく1回にしたいと いうことから、7月10日に統一するものです。これに伴って、労働保険については4 月1日から7月10日というと、非常に長い期間になりますので、6月1日から7月1 0日で受け付けたいとするものです。  これについて資料3の8頁に絵を付けています。いちばん下の(注)に書いています が、平成15年10月から、社会保険と労働保険の徴収事務センターを各社会保険事務 所に設置して、社会保険の算定基礎届、労働保険の年度更新申告書のどちらもここで受 け付けることをやっていますが、現在は提出時期も違うことから、なかなか進捗もして いない状況です。  これについては、現在社会保険の算定基礎届は7月1日から7月10日に社会保険事 務所に、標準報酬月額の基礎となる被保険者ごとの報酬月額について、当該年度の4、 5、6の3カ月分の賃金を届け出ることになっています。また、労働保険については、 4月1日から5月20日、都道府県労働局、監督署、銀行等に、事業主が前年度の賃金 総額を基に保険料額を計算の上、申告、納付することになっています。  これについては、統一するときに社会保険を前に倒すことになると、社会保険の標準 報酬の算定基礎になる4、5、6月の変更等を考えなければいけないとなります。そう すると給付等にも影響が及ぶことがあります。そういうことから、社会保険については 変更せずに、労働保険について7月10日として、社会保険のほうに合わせるというも のです。ただし、労働保険について、4月1日からということではなく、6月1日から 7月10日で受け付けたいというものです。これによって、事業主には2回来ていただ いていたのが1回で済むということで、事業主の利便性の向上を図りたいというもので す。  システムの変更等に影響しますし、それからまた周知期間を十分に置くためにも、平 成20年度実施を予定しているものです。  2点目です。通貨以外のもので支払われる賃金の評価について、揃えたいというもの です。これは平成20年4月を施行予定のものです。これは賃金の一部が通貨以外の現 物で払われているのは、住居、食事等ですが、これの評価について、地方の時価によっ て定めるという趣旨・目的は共通ですが、社会保険は地方社会保険事務局長が、労働保 険は所轄労働基準監督署長等がそれぞれ定めるとされていまして、評価の内容も異なっ ています。  これについて、社会保険、労働保険とも厚生労働大臣が定めるということで統一して、 評価額についても都道府県単位で統一した表を使えるようにしたいというものです。  資料3の7頁に整理しています。社会保険について、事業主から徴収している政管健 保、厚生年金保険について、法律では政管健保については厚生労働大臣が定める、厚生 年金保険については社会保険庁長官が定めることになっていまして、運用上、権限が地 方社会保険事務局長に委任されていまして、各都道府県ごとに表を作って、昼食であれ ばいくら、住居であればいくらという表が整理されて、それに基づいてやられています。  一方、労働保険は厚生労働省令で定めるとなっていまして、それぞれ監督署長、安定 所長が、その都度に評価額等が適切かどうか見ているもので、これについて厚生労働大 臣が定めるということに統一して、それぞれ都道府県ごとに表を作って、その1枚の表 を見ていれば、社会保険も労働保険も同じ額で出せる形にしたいというものです。  3点目です。事業所情報の提供です。社会保険と労働保険の連携の一環として、社会 保険の規定を参考として、労働保険についても都道府県労働局等が、社会保険事務所や 市町村等の官公署に対して、事業所に関する情報提供を求めることを可能とすることに よって、未手続事業の解消等に資することにしたいというものです。  資料9頁に整理しています。社会保険については、すでに健康保険法、厚生年金保険 法において、こういった形で官公署に資料の提供を求めることができるという規定が置 かれています。また、今回の制度改正において、従来ですと被保険者の資格について、 必要なときに資料の提供を求めるということでしたが、滞納整理等にも資するというこ とから、標準報酬または保険料について必要なときにも、求めることができると改正す ることが提案されているところです。  労働保険については、現在こういった規定がありませんでしたので、社会保険と労働 保険で連携して、いろいろと情報の提供等をやりながら未手続事業の解消を進めていま すので、労働保険側からもこういった資料の提供を求めることができるという規定を設 けています。  参考までに資料10頁から、改正の新旧表を付けています。これについては、社会保 険庁改革法案と併せて国民年金事業等の運営の改善のための国民年金保険法等の一部改 正法案について、平成18年3月10日に閣議決定をされまして、閣法第78号という ことで、衆議院に提出させていただいています。 ○諏訪分科会長 本件についてご質問、ご意見等はございますか。よろしいですか。そ れでは報告を受けたということで取り扱わさせていただきます。 (署名委員指名) 本日はお忙しいところをどうもありがとうございました。 (照会窓口) 厚生労働省職業安定局総務課総務係 TEL:03-5253-1111(内線 5711)