06/03/23 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成18年3月23日議事録             薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会議事録 【日時】平成18年3月23日(木) 午前10:00〜午前11:16 【場所】中央合同庁舎第5号館共用第8会議室・6階国会側 【出席委員】小沢委員、工藤委員、佐藤委員、棚元委員 長尾委員、中澤委員       西島委員、堀江委員、山添委員、吉池委員 (敬称略) 【事務局】 伏見基準審査課長 古賀補佐、加藤補佐 【議題】  (1)アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸カルシウムの新規 指定の可否について 報告事項  (1) マーケットバスケット方式による酸化防止剤、防ばい剤、リン酸化合物、プロピ レングリコールの摂取量調査の結果について (2) 食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価の結果について その他 ○事務局 少々時間より早いのですが、皆さんお揃いのようですので、始めさせていた だきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。  それでは、薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 添加物部会を開催させていただ きます。  本日は御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。  本日は石田委員、米谷委員、山川委員より欠席との御連絡を事前に受けております。 現在、添加物部会の委員13名中10名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、 本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、開会に先立ちまして、伏見基準審査課長からごあいさつを申し上げます。 ○伏見基準審査課長 皆様、おはようございます。基準審査課長の伏見でございます。 本来ですと、食品安全部長の松本がごあいさつ申し上げるところでございますけれども、 御案内のように、現在国会開催中ということで、本日も国会用務の方に部長がとられて おりまして、代わりまして、添加物部会の開催に当たりまして、私の方からごあいさつ を申し上げます。  まず、委員の先生方には、平素より食品衛生行政にご尽力、ご指導賜りまして誠にあ りがとうございます。  本日、御審議いただきますアルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギ ン酸カリウムの3品目でございますけれども、これらは国際的に安全性が確認され、か つ汎用されている食品添加物、いわゆる「国際汎用添加物」というふうにも言っており ますけれども、そういったものとして、国が主体的に指定に向けた検討を進めている品 目でございまして、1年前の平成17年3月28日に食品安全委員会に食品健康影響評価 を依頼しております。本品につきましては、食品安全委員会の添加物専門調査会におけ る食品健康影響評価の審議結果(案)につきましてのパブリック・コメントが18年2月 23日から昨日までの1カ月間実施されでいたところでございます。  ということで、食品安全委員会としての最終的な評価は若干時間がかかるわけでござ いますけれども、本日はこの食品安全委員会の審議結果(案)でございますけれども、 これをもとに御審議いただければというふうに考えております。よろしくお願い申し上 げます。先生方の活発な御議論を賜りますようお願い申し上げます。  さらに加えまして、本日は16年度に実施されましたマーケットバスケット方式による 酸化防止剤、防ばい剤、リン酸化合物、プロピレングリコールの摂取量調査の結果を御 報告させていただく予定でございますので、こちらにつきましても併せてよろしくお願 い申し上げます。 ○事務局 それでは、座長を長尾部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお 願いいたします。 ○長尾部会長  配布資料の確認をお願いします。 ○事務局 本日、先生方のお手元に置かさせていただきました資料でございますが、ま ず、1枚紙で座席表でございます。そのほか、ひと括りになっておりますけれども、議 事次第、委員名簿、資料一覧、それに続きまして、資料1として、「アルギン酸アンモニ ウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸カルシウムの食品添加物としての指定の可否 について」という諮問書。  資料2として、食品安全委員会添加物専門調査会での評価書案。  それから、20ページになりますが、資料3といたしまして、本添加物部会の報告書(案) でございます。  さらに報告資料といたしまして、41ページになりますが、報告資料1、マーケットバ スケット方式の調査の結果について。  さらに2ページほど行きまして、43ページから、報告資料(2)といたしまして、食品 安全委員会への意見聴取等の進捗状況でございます。  また、委員の先生方には、ご参考といたしまして、事前討議用にお送りいたしました 成分規格案と本日お配りいたしました成分規格案との変更点を見え消しでお示しした資 料をお手元に置いてございます。事前にお送りした段階で、まだ一部検討中でございま したので、最終的なものとの対比表でございます。  お手元にお配りいたしました資料は以上でございます。もし過不足等がございました ら、お申し出いただきますようお願い申し上げます。 ○長尾部会長  よろしいですか、揃っていますでしょうか。  よろしければ審議に入りたいと思います。それでは、まず議題(1)の「アルギン酸アン モニウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸カルシウムの新規指定の可否について」 審議を行いたいと思います。事務局より資料について御説明をお願いします。 ○事務局 それでは御説明いたします。  まず、資料の1ページ目でございます。こちらが薬事食品衛生審議会への諮問書でご ざいます。  資料2が食品安全委員会の報告書(案)でございますが、まず20ページをお開きいた だきまして、添加物部会報告書(案)に沿いまして御説明を申し上げます。  本日、審議の対象といたしますのは、1.品目名に挙げておりますアルギン酸アンモ ニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムの3品目でございます。こちらは、 平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました国際的に安全性が確認され、かつ欧米 で汎用されている添加物、いわゆる国際汎用添加物といたまして、厚生労働省が指定に 向けた検討を自ら実施するというものでございます。そして平成17年3月28日に食品 安全委員会に食品健康影響評価を依頼したものでございます。  食品安全委員会におきましては、平成17年12月2日及び14日に開催されました添加 物専門調査会におきまして審議が行われ、その審議を踏まえた報告書(案)が本日お配 りしております資料2として報告書(案)が取りまとめられたことから、食品安全委員 会において現在パブリック・コメントを実施しているところでございます。  そして、このアルギン酸アンモニウム、カリウム、カルシウムでございますけれども、 どういったものであるかというものが2.に示してございますけれども、これは、D-マ ンヌロン酸とL-グルロン酸からなりますヘテロポリマーのそれぞれのアンモニウム塩、 カリウム塩、またはカルシウム塩でございます。  これらのものは一般的には増粘安定剤などの用途に使われるものでございます。  まず、アルギン酸でございますけれども、4.概要をご覧ください。こちらはコンブ、 ワカメ、カジメなどの褐藻類植物から抽出して得られます高分子多糖類でございます。 もともと海藻をあらわしますALGAEから見つかったということでアルギン酸という 名称がつけられたものでございます。これはその塩でございますけれども、アルギン酸 アンモニウム及びアルギン酸カリウムの水溶液は、コロイド状の粘稠の液を形成し多量 の水を保持し、カルシウムイオンなど陽イオンを加えることで溶液の流動性が低下して ゲルを形成するという性質を持っております。また、アルギン酸カルシウムは、2価の イオンが加わっているということもありまして、水に溶解しにくいものでございますけ れども、吸水し膨潤する性質を持った物質でございます。  ページをおめくりいただきまして、この物質の諸外国での状況でございますけれども、 米国におきましては、この3品目いずれもGRAS(一般に安全と認められる物質)として加 工食品に使用が認められているものでございます。増粘安定剤や乳化剤などとして、例 えばアンモニウム塩及びカルシウム塩であれば、製菓・糖衣用の製品、油脂製品、ゼラ チン・プディング製品、ジャム・ゼリー製品などに用いられております。また、カリウ ム塩はアルコール飲料、ゼラチン・プディング製品などにも用いられているものでござ います。  また、ヨーロッパ(EU)におきましても、これら3品目は誤認防止・品質確保の観点か ら一部の食品(未加工食品、蜂蜜、バター、ココア、チョコレート等)を除きますその 他一般の食品には食品添加物として必要量の使用が認められているというものでござい ます。  国際的な安全性評価でございますけれども、FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JEC FA)におきまして、1962年の第7回会議から議論が行われております。その段階から、 本日御審議いただきますアルギン酸のアンモニア塩、カルシウム塩、カリウム塩のほか、 アルギン酸そのもの、または、アルギン酸のナトリウム塩、これらをグループとして評 価が行われてまいりました。その後、直近では、1992年に開催されました第39回の会 議において評価した結果、これらアルギン酸及び塩類として、グループADIを「特定し ない」と評価しているところでございます。また、その際、併せて大量の経口摂取する 場合、緩下作用が起こる可能性を指摘しているものでございます。  そして、JECFAの評価の中に、アルギン酸とそのナトリウム塩が出てきておりますけ れども、我が国におきましては、アルギン酸については既存添加物として、そしてアル ギン酸ナトリウムは、昭和32年に指定添加物となっておりまして、いずれも使用基準は 設定されておらず、現状は乳飲料であるとか、ドレッシングなどの増粘剤、安定剤など して使用されているところでございます。  そして、今回の御審議いただきます品目の食品添加物の有効性でございますけれども、 1番目といたしまして、飲料へのアルギン酸カリウムの応用というものの試験結果がこ ちらに記載しております。具体的には「ミルクコーヒー」に、アルギン酸カリウム又は アルギン酸ナトリウムを添加したもの(濃度0.05%)及び添加しないものを作成し、油球 の分散の評価及び官能試験を行ったものでございます。その結果、こちらの図にありま すとおり、分散の度合いであるとか「コク」などに関して向上の効果があることが示さ れております。  次にアイスクリームへのアルギン酸カリウムの応用でございますけれども、アルギン 酸カリウムを添加したアイスクリームとアルギン酸カリウムを添加しないアイスクリー ムをそれぞれ作成し、それぞれの空気の含有性(オーバーラン性)と食感や常温での形態 保持性について試験を行いました。この具体的な結果は22ページをご覧ください。  まず、上のオーバーランでございますけれども、これはアイスクリームをつくる際に 原料となるものの体積を100といたしまして、それからの増分をパーセントで示したも のでございます。具体的には時間0のところがまずアイスクリームの原材料の段階でご ざいますけれども、その段階で温度を0度にしまして攪拌してホイップしてまいります。 冷やすことによって徐々にアイスクリームになっていくわけでございますけれども、ア ルギン酸カリウムを添加したものは、時間を経るにつれまして空気などを取り込んでま いりますので、体積としましては10分程度で約65〜70%程度体積が増加しているとい うことを示しておりまして、無添加のものでは、ほぼ体積に大きな差はないということ ですので、アルギン酸カリウムを加えることによって空気とうまく混合され、食感など に影響を与えるものと考えております。  また、テクスチャー(食感)や耐ヒートショック性、熱を加えた際にアイスクリーム の形を保持できるかなどにつきましても、添加したものの方が優れた性質を有するとい うことでございます。  次に3番でございますけれども、加熱殺菌寒天ゲル食品へのアルギン酸カリウムの応 用でございます。こちらにつきましては、アルギン酸カリウムを寒天ゲルに添加したも の、及び添加してないもの、そういったものを作成しまして、フルーツ、カルシウムを 含むシロップとともにカップに封入した食品を作成し、加熱殺菌いたしました。その際、 その寒天ゲルの形が保たれているかどうかや食感、またゲル強度について比較を行った ものがこのテーブルでございます。寒天のみですと、この加熱殺菌行う際に溶けてしま うということがありますけれども、アルギン酸カリウムを添加することによりまして、 殺菌処理を行ってもその形態が保持されるということが示されております。  次に4番の麺類へのアルギン酸カルシウムの応用でございますけれども、こちらは生 中華麺の原材料中にアルギン酸カルシウムを小麦粉の重量に対して1%添加したものと 無添加のものを作成いたしまして、官能試験によりまして食感、伸びの抑制、食味を実 施したものでございます。こちらにつきまして、食感や伸びの抑制につきましては、添 加したものに比較して良好な成績を得たものでございます。また、味につきましては、 ほとんど差がなくアルギン酸カルシウムの添加の影響がないと判断されたところでござ います。  ページをおめくりいただきまして23ページでございます。こちらは錠剤型食品へのア ルギン酸カルシウムの応用でございます。アルギン酸カルシウムの崩壊剤としての性能 を見た試験でございまして、これはブロモチモールブルーを指標物質とし、乳糖を賦形 剤、また、崩壊剤としてそれぞれアルギン酸カルシウム、コーンスターチ、カルボキシ メチルセルロースカルシウムを10%おのおの添加した錠剤を作成し、また、対照群とし て崩壊剤を無添加の錠剤を作成し,それぞれ水中に入れて攪拌した際のブロモチモール ブルーの溶出の度合いを示したものがこのグラフでございます。その結果、アルギン酸 カルシウムを添加した錠剤は何も崩壊剤を加えない錠剤に比較しまして、コーンスター チやカルボキシメチルセルロースカルシウムなどと同等の高い崩壊性を示したものでご ざいます。アルギン酸カルシウムにつきましては、最初のところでも少しお話しさせて いただきましたけれども、水には溶けにくいのですが、水分をとって膨潤しやすいとい う性質かございますので、このような結果が出るのだろうと考えております。  以上が、このアルギン酸塩類の添加物の有効性に関する部分でございます。  次に6.でございますけれども、安全性に関します食品安全委員会における評価結果 でございます。こちらにつきましては、お戻りいただいて恐縮ですけれども、食品安全 委員会の報告書をご覧ください。ページは6ページ以降をご覧ください。  この物質そのものや背景については、先ほど御説明したものと同じでございますけれ ども、食品安全委員会の評価におきまして、4.名称等で挙げられております今回新規 に指定をしようとしているアルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸 カルシウムの3品目のほか、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムといった既に使用が認 められております添加物につきましても、併せて評価が行われております。  具体的な安全性につきましては、7ページ、次のページからご覧ください。  まず体内動態でございますけれども、ラットなどで試験を行っております。概ね経口 投与されたアルギン酸というものはほとんど糞中に未変化のまま検出されるというもの でございます。また、(1)の中段ぐらいでございますけれども、マウス、ラット、ニワ トリ、モルモット及びネコにアルギン酸を投与した研究の結果から一部消化されるとい う報告もございます。これは細菌の作用によるものだろうという結論がなされていると ころでございます。いずれにいたしましても、経口で摂取した場合にはほぼそのまま糞 中に出るというふうに考えられているところでございます。  また、その次ですけれども、アルギン酸プロピレングリコールエステルについての言 及がございます。こちらは、今回のこの指定の対象、あるいは評価の対象ではございま せんが、アルギン酸の類縁の添加物といたしまして、アルギン酸とプロピレングリコー ルをエステル化したものが添加物として指定されております。こちらにつきましては、 食品安全委員会の評価におきましても、直接の対象ではありませんが、類縁の物質とい うことで、参考情報としてこの報告書に記載されているところでございます。  そしてこのプロピレングリコールエステルにつきましても、14Cで標識したものにつ いての試験を行っておりますけれども、これにつきましても、アルギン酸とプロピレン グリコールに分解され、ほぼ糞中に排泄されると結論されておるところでございます。  8ページをご覧ください。次に毒性でございます。  まず急性毒性でございますが、経口投与によりますマウスのLD50値は、5,000mg/kg体 重以上と報告されておるところでございます。  そして反復投与毒性につきましては、概ね糞便に関しての影響が出るというところが 見られておりますけれども、それ以外の特筆する点でございますが、この8ページの一 番下の段落でございますが、Wistarラット(雌雄各10匹)で行った試験の結果でござい ます。ここにアルギン酸ナトリウムを最大45%まで混餌投与したものでございますが、 その結果、45%投与群において脱毛が見られた。あるいは激しい下痢が見られたという もの。そういう結果が出ております。しかし血液学的検査等では異常が認められなかっ たという報告がなされております。  その結果の続きでございますけれども、15%投与群におきましては、9ページの上の 方になりますが、腎盂上皮下及び腎乳頭上皮下にカルシウムの沈着が観察され、また、 肥厚した膀胱粘膜上皮に乳頭腫様過形成が認められたという報告がございます。  また、そのほかSwissマウスにアルギン酸ナトリウムを混餌投与した試験結果におき ましても、その段落の中程でございますが、雌雄で膀胱における粘膜下への小円形細胞 浸が増加し、雌で尿細管内の石灰沈着、また、腎盂及び遠位尿細管の拡張が観察される とともに、その上皮においては過形成や肥大が認められたが、石灰沈着を除くその他の 変化は可逆的であり、大部分が消失したという報告がございます。  以上が反復投与毒性で主に見られた所見でございます。  次に(3)発がん性でございます。こちらについては、まずICR/HaSwiss幼若マウスで頸 部皮下にアルギン酸を注射した試験におきまして、49週に剖検した1匹のマウスにリン パ腫の発生を認めたという報告がございました。なお、JECFAにおきましてその結果に ついて検討がなされておりまして、この報告では高用量群マウスの生存率が低く実験期 間も短いことから、本報告をもってアルギン酸の発がん性を評価することは適当でない という評価がなされているところでございます。  そのほか、マウス(雌雄各75匹)にアルギン酸ナトリウムを89週間混餌投与したとこ ろ軽度の膀胱炎、粘膜及び粘膜下組織の肥厚及び蛋白性の顆粒状物質の沈着を認めてい るという結果ございますが、発がん性を示唆する所見は認められていないという報告が ございます。  次の10ページをご覧ください。先ほど申し上げた反復投与毒性のところと同じ試験で ございますけれども、Wistarラットにアルギン酸ナトリウムを混餌投与したところ、先 ほどと同じでございますが、膀胱粘膜に乳頭腫様過形成を認めたという報告があるとい うことでございます。  次に生殖発生毒性でございますが、こちらにつきまして、ラットで行ったところ、い ずれも肉眼的検査や病理組織学的検査においても異常は認められなかったという報告で ございます。  また参考といたしまして、PGA、アルギン酸のプロピレングリコールエステルについて の報告もここにございますが、ラットにPGAを混餌投与した生殖発生毒性試験について は対照群との間に差はなく異常は認められなかったという結果でございます。  妊娠CD-Iマウスや妊娠Wistarラットにコーン油に懸濁したPGAを投与したところ、 妊娠CD-Iマウスでは、最高容量の780mg/kg体重投与群で、母動物が32例中7例死亡し たものの、生存した母動物及び胎児では全ての項目において異常は認められなかったと いう結果が出ております。  ページをおめくりいただきまして11ページでございますけれども、そのほか、妊娠ウ サギ及び妊娠ゴールデンハムスターに、それぞれコーン油に懸濁したPGAを投与した試 験も行っておりますが、いずれも投与に起因した異常は認められなかったというもので ございます。  次に遺伝毒性でございます。こちらはまずアルギン酸ナトリウムにおける復帰突然変 異試験、またアルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウムにおいても同様に復帰突然 変異試験を行っておりますが、いずれも代謝活性化の有無にかかわらず陰性という結果 でございました。  また、アルギン酸ナトリウムにおいてCHL及びCHOを用いた染色体異常試験を行って おりますが、いずれもこちらは代謝活性化を行っていない条件下で陰性との結果でござ いました。  また、ICR/HaSwissマウスを用いたアルギン酸の腹腔内投与によります優性致死試験 においても、試験結果は陰性でございました。  また、参考といたしまして、PGAについても報告が掲載されておりまして、いずれも 陰性、あるいは遺伝毒性は認められないといった結果でございました。  次をご覧いただいて、12ページでございますけれども、同様PGAのラット骨髄細胞及 びヒト肺培養細胞有糸分裂後期染色体などを用いた染色体異常試験でも同様に陰性でご ざいました。  以上のデータを判断し、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウ ム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸カルシウムは生体にとって特段問題となる遺伝 毒性はないものと結論づけられております。  一般薬理については、特段評価の対象となる情報はなかったということでございます けれども、(7)ヒトにおける知見でございます。こちらにおいては、健康成人がアルギン 酸ナトリウムを1日8gで7日間摂取したところ、特段副作用はなかったというもの。  また、そのほか、連続して投与した試験でございますけれども、糞便の湿重量及び乾 燥重量が有意に増加したものの、そのほかの影響は特段なかったというもの。また、こ のアルギン酸のナトリウム摂取を制限されている患者にアルギン酸を摂取させた場合の 電解質の変化を見たものですが、こちらにつきましても、糞便中へのナトリウムとカリ ウムの排泄量がわずかに増加したものですが、血清中の電解質濃度に変化は見られなか ったというものでございます。  また、本態性高血圧患者及び浮腫状態にある患者にアルギン酸カリウムを10%含んだ アルギン酸を摂取させた試験でございますが、いずれの例もよく耐容し、胃腸障害はみ られなかったとの報告がございます。  また、さらに金属類の摂取、吸収でございますが、ヒトでの放射性ストロンチウムの 吸収は、アルギン酸ナトリウムの摂取により大きく阻害されておりますけれども、Ca、M gなどの吸収に対する効果はより少なく、ここPtとありますが、Pbの誤りだと思われま すけれども、鉛とコバルト吸収に関する効果はほとんど認められなかったという報告が なされているところでございます。以上がヒトにおける知見でございます。  そして、12ページの下でございますが、6 海外における使用量でございます。こち らは先ほど申し上げましたように、アメリカではGRASとして広く使われているわけです が、1970年のアルギン酸類の食品向け使用量としてここに記載がございます。アンモニ ウム塩が495トン、カリウム塩が0.2トン、カルシウム塩が7.8トン、ナトリウム塩が 497トン、PGAが81トンと報告されております。ナトリウム塩とアンモニウム塩が多いと いうところでございます。  また、別の調査報告による1987年の食品向け使用量でございますけれども、こちらで は、アルギン酸のアンモニウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩の合計の記載がござい ますが、512トン、1人当たり平均5.8mg摂取、また、カリウム塩は0、PGAは284トン と報告がなされております。  また、イギリスにおける1984年〜86年の摂取量調査におきましては、アルギン酸や その塩類及びPGAの摂取量は合計量としまして、25.7mg/ヒト/日と報告がなされておりま す。  一方、我が国における摂取量調査でございます。13ページの7番でございますが、先 ほど申し上げましたとおり、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、PGAについては、既 に添加物の流通が認められているところでございます。マーケットバスケット方式によ りまして実施しました添加物の摂取量調査では、PGA及びアルギン酸ナトリウムの摂取 量データの報告がございます。  まず、こちらはPGAから記載がございますけれども、94年の調査の結果、PGAにつき ましては、定量限界値0.02%以下でほとんど摂取していないと考えられております。一 方、アルギン酸ナトリウムでございますが、そもそも海藻などの天然食品に多く存在す る物質でありまして、95年、96年の調査におきましては、アルギン酸ナトリウムの摂取 量は、加工食品由来のものが274mg/ヒト/日、天然食品由来のものが582mg/ヒト/日というこ とで合わせ856mg/ヒト/日となっております。一方、この少し下のところにありますが、9 5年〜96年の生産流通調査、添加物の製造量などから推定されたアルギン酸ナトリウム の摂取量は3.49mg/ヒト/日となっておりますが、この差というものは天然に多く含まれて いるということですので、そもそも天然食品由来のもの及び加工食品由来とされている 摂取量についても、これは原料となっている天然食品に由来する割合が多いと考えられ ております。  次にJECFAにおける評価でございます。先ほども申し上げましたとおり、アルギン酸 及びその塩類という形で、JECFAにおいては1962年の第7回及び1973年の第17回、そ して1994年の第39回の会議において議論が行われておりまして、これらのアルギン酸 及びアルギン酸塩類については、発がん性、生殖発生毒性及び遺伝毒性がなく、大量反 復投与によりラット及びマウスに盲腸の拡張、腎盂のカルシウム沈着及び膀胱上皮の過 形成が起こる事実を確認している。ただし、これらの変化は、難吸収性の加工セルロー ス、ポリオール、加工デンプンなどの大量反復投与によりラット及びマウスに共通に起 こる反応と判断し、これらの物質と同様、アルギン酸とそのアンモニウム塩、カルリム 塩、カルシウム塩及びナトリウム塩について、グループのADIを特定しないと評価をし たところでございます。また、先ほども申し上げましたが、大量経口摂取の場合の緩下 作用が起こる可能性を指摘しているところでございます。  参考としまして、皆さん御存じだと思いますけれども、「ADIを特定しない」という文 言についての解説も報告書には付けられております。基本的には非常に毒性が低いとい うことなので上限を定める必要はないという趣旨でございます。  以上を踏まえまして、食品安全委員会の評価結果でございますけれども、まず、1点 目として、今回評価の対象となっておりますアルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリ ウム及びアルギン酸カルシウムについては、それぞれ個々の提出された毒性試験成績と いうのは必ずしも網羅的なものではありませんけれども、既に指定されておりますアル ギン酸及びアルギン酸ナトリウムの試験成績も含めて、この全体を1つのグループとし て評価することが可能であるという判断がなされております。そしてそれを踏まえまし て、それらのものすべて、グループの評価でございますけれども、体内においてまず吸 収される割合が小さいということ。かつ毒性試験で認められた主な所見、先ほどJECFA の評価でもありましたけれども、これらは難吸収性の加工セルロースなどの大量反復投 与によりラット、マウスに共通して起こる特異性の高い反応であるということから、そ れ以外に安全性を懸念するような特段の毒性影響は認めていないこともありまして、毒 性の低い物質であると考えられると評価したところでございます。  また、先ほどの摂取量調査でもありましたけれども、このアルギン酸及びその塩類の 摂取量というものは天然食品由来と考えられます摂取量に比べてかなり添加物としての 摂取は少ないと考えられるという報告もございます。  さらに、先ほども申しましたように、JECFAでもグループADIを「特定しない」とい う評価があります。  以上を踏まえまして、食品安全委員会の評価におきましても、アルギン酸及びその塩 類、具体的にアルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、 アルギン酸カルシウム、それらが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念が ないと考えられ、グループとしてADIを設定する必要はないという評価となっておりま す。  以上が、食品安全委員会におけます安全性に関する評価でございます。  24ページにお戻りいただきまして、7.摂取量の推計についての記載がございます。 こちらも食品安全委員会において既に審議が行われておりますので、その部分を引用さ せていただいているところでございます。  そして25ページでございますが、以上のことを踏まえまして、今回の審議の対象とな っておりますアルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸カルシウム につきましては、食品衛生法第10条に基づく添加物として指定することは差し支えない。 ただし、同法第11条第1項の規定に基づき、次の通り成分規格を定めることが適当であ る。  また、使用基準につきましては、食品安全委員会における評価結果、米国においては 特段の使用基準が設定されていない、またEUにおいてもGMPのもとで使用することとさ れておりまして、特段の使用基準が設置されてないことから、我が国におきましても使 用基準は設定しないこととすることが適当である、との案をお示しさせていただいてお ります。  成分規格(案)につきましては、次のページ以降でお示ししてございます。  まず、アルギン酸アンモニウムでございますが、28ページの設定の根拠をご覧くださ い。こちらの方がわかりやすいと思います。  まず、この成分規格を検討するに当たりまして基本的な考え方でございますが、今回 の3品目はいずれも国際汎用添加物ということでございますので、JECFAあるいはFCC の規格を、特にJECFAの規格をベースに設定してございます。  まず、JECFAの規格をもとに設定しているものですが、特に異なる点としまして確認 試験でございますけれども、確認試験につきましてJECFAにおいては、アルギン酸の確 認として塩化カルシウムと沈殿を生じるという試験を採用しておりますけれども、実際 に検討を行っていただきましたところ、アルカリ性が強くゼリー状の沈殿が生じなかっ たということがあります。また、FCC及び公定書で、既にアルギン酸ナトリウムは指定 されておりますので、成分規格はあるわけでございますけれども、1%水溶液を用いる 方法ではゼリー状の沈殿を生じたということがございます。また、JECFAにおいても、 硫酸アンモニウム溶液と沈殿を生じないという試験を採用しておりますが、アルカリ性 のため、他の増粘安定剤との判別がつきにくかった。さらに、酸性硫酸鉄試液で呈色と いう試験がございますが、色の変化を識別することは困難であったということでござい ます。また、FCC及びアルギン酸ナトリウムの確認試験では、硫酸による沈殿をみる試 験が採用されておりますけれども、硫酸で沈殿を生じるものは塩化カルシウムで沈殿を つくるものと共通するということがありますので、FCCで採用されております硫酸によ る沈殿をみる試験は採用いたしませんでした。またFCCにおきましては、ナフトレゾル シンによる呈色試験というものが設定されておりますけれども、このものはヘキスロン 酸(ヘキサウロン酸ともいう。グルクロン酸など炭素6原子を含むウロン酸の総称)の定 性反応であり、ペクチンなどでも同様の呈色反応が見られること。また、アルギン酸特 有の反応ではないということから、今回は採用いたしませんでした。  以上のことから、確認試験におきましては、「アルギン酸ナトリウム」の確認試験を準 用することとして、カルシウムイオン、塩化カルシウムとゼリー状の沈殿が生じるとい う確認試験と、硫酸アンモニウムで沈殿しないという試験を設定したところであります。  また、確認試験の(2)ですけれども、アンモニウム塩との反応については採用すること といたしております。  そのほか、特に異なる点では、純度試験の鉛でございますけれども、こちらはJECFA では規格値を「2mg/kg以下」、FCCでは、規格値を「5mg/kg以下」としているところでご ざいます。今回、アルギン酸塩類の検討においては、他のアルギン酸塩類、アルギン酸 カリウムやカルシウムで規格値を「5mg/kg」としていることを考慮して、今回の規格設 定では「5.0μg/g以下」としております。単位か成分規格の書き方によっておりますの で、単位の書き方が違うと思いますが、値としては同じ意味でございます。  次にヒ素でございますけれども、このヒ素につきましてJECFAでは設定がございませ んが、FCCでは規格値を「Asとして3mg/kg以下」としておりまして、他のアルギン酸塩 類、カリウムやカルシウムでは、JECFAにおいても規格値「Asとして3mg/kg以下」とし ていることを考慮いたしまして、我が国でもそれを採用し、我が国のヒ素の試験法では 酸化ヒ素として定量いたしますので、「As2 O3 として4.0μg/g以下」としております。 こちらは値となっておりますが、もとになるものが、ヒ素、あるいは酸化ヒ素というこ とで異なりますので、それに合わせて数値を変えたということでございます。  次のページをおめくりいただきまして、今回の規格試験案で微生物限度を採用してご ざいます。こちらはJECFAで採用されていることから、本規格でも採用したところでご ざいます。JECFAの規格におきましては、微生物限度として細菌数、大腸菌群、真菌(か び及び酵母)以外にサルモネラについても試験の設定ございます。サルモネラにつきまし ては、こちらに示しておりますが、まず本品については、サルモネラによる汚染のおそ れが少ないと考えられる。通常これは糞便由来細菌として肉、卵類などに規定されると いうことです。また、環境汚染菌のひとつとしてサルモネラによる汚染が生じる場合で あっても、こちらは大腸菌群に関する規格を設けることによりまして、環境汚染菌によ る汚染を幅広く防止しているということから、サルモネラ自体についての規格を設ける 必要性は低いと考えられることから、サルモネラについての規格を設定しないこととし ております。  また、JECFA及びFCCで設定されておりますが、本規格では採用しなかった項目とし て溶解性がございます。こちらにつきまして、JECFAでは溶解性の記載がございまして、 例えばアルギン酸アンモニウムであれば、水にゆっくりと「溶解」、エタノール、エーテ ルの「不溶」というようものがありますけれども、本規格案では「不溶」、「やや溶解」 という試験が適否の判定に不向きであると考えまして、溶解性に係る規定は採用しない こととしております。こちらがアルギン酸アンモニウムの成分規格の設定の根拠でござ います。  次に、アルギン酸カリウムの規格の設定でございますけれども、32ページに根拠をお 示ししております。こちらも先ほどと同様、JECFAの規格を基本的には採用するという 方針で設定してございます。  溶解性につきましては、先ほどのアンモニウムと同様、採用しないこととしておりま す。  また、確認試験でございますけれども、こちらも先ほどと同様の理由で、FCCで設定 されております硫酸で沈殿するという試験、あるいはナフトレゾルシンの呈色反応、そ れからJECFAで規格がございます硫酸鉄反応、これらについては設定を行わないという こととしております。ただし、確認試験(2)の呈色反応について、でございますけれども、 こちらについては、JECFAにも設定されておりまして、本規格でも採用することとして おりますけれども、この呈色反応の試験法で行った場合、これはアルギン酸カリウムで ございますけれども、カリウム塩の濃度が低くなることが予想されますことから、灰分 を用いて試験を行うという形で呈色反応を行うこととしております。具体的には31ペー ジの確認試験(2)上から5行目程度のところを見ていただきますと、単純に3時間強熱し た残留物をもとにしてカリウム塩の反応を見るというものでございます。  そのほか、純度試験などにつきましては、いずれもJECFA等の規格に合わせて設定を してございます。  そして、33ページでございますけれども、微生物限度試験につきましても、先ほどの アンモニアと同様の考え方でJECFAの試験を採用し、サルモネラについては、設定しな いこととしております。  そして、アルギン酸カルシウムでございますけれども、37ページに設定の根拠をお示 ししてございます。こちらも同様JECFAの試験法をもとに採用したものでございますが、 確認試験法におきましても、これも先ほどと同様、硫酸で沈殿するという規格、または 硫酸鉄反応、あるいはナフトレゾルシン呈色につきましては同様に設定を行わないこと としております。ただし、カルシウム塩とゼリー状の沈殿を生じるという規格、及び硫 酸アンモニウムで沈殿しないという規格、これはいずれもカリウムやアンモニウム塩で も採用しておりますけれども、アルギン酸カルシウムにつきましては、37ページの確認 試験の2行目の終りの方から記載ございますが、「カルシウム塩は、水酸化ナトリウム溶 液及び水に不溶のため、検液調製の際には、炭酸ナトリウム溶液を用いることとし、ま た試料採取量は、他の塩類の半量とした」という形で試験法を多少変更しておりますが、 そういう形で設定を行っております。  それから、さらにその下の(3)でありますけれども、塩の反応でございますが、こちら も、先ほどのカルシウム塩と同様、通常の塩の反応の試験でやりますと、カルシウム塩 の濃度が低いということから、現在、食品安全委員会で検討行っております第8版食品 添加物公定書に設定いたしましたカルボキシメチルセルロースカルシウムのカルシウム 塩の確認試験と同様、灰分を酢酸溶液に溶かし、アンモニア試液で中和した液を用いる ことという形に少し変更をしております。  その他、純度試験等につきましては、JECFA、FCCなどの規格に基づいて設定しており ます。  そして、微生物限度試験につきましても、先ほどと同様、サルモネラについては設定 をしないこととしております。  そして、溶解性につきましても、先ほどの2品目と同様設定しないこととしておりま して、こういった形で今回の3品目の成分規格の設定を行ったところでございます。  説明が長くなりましたが、この3品目の説明は以上でございます。 ○長尾部会長 ただいま御説明ありましたけれども、国衛研の先生方から何か追加、補 足事項ございますか。 ○佐藤委員 規格の設定の根拠でちょっと追加というか、説明を加えさせていただきた いのですけれども、28ページのアルギン酸アンモニウムの確認試験の(1)のところで、 アルカリ性が強いという説明が、こちらは自分で思い込みで書いてしまったのですが、 これは結局、検液の調製に水酸化ナトリウム試液というアルカリ性の溶液にアルギン酸 アンモニウムを溶解するということで、アルカリ性が強く、そのためにゼリー状の沈殿 が生じなかったということです。  それから、32ページになりますけれども、アルギン酸カリウムの(2)で、カリウム塩 の反応を見る際に、単に灰分を用いることとしておりますが、37ページのカルシウム塩 の方はいろいろ操作を行っております。この違いは、一般試験法のカリウム塩の定性反 応試験では、試験を行う前に検液を中和するという操作が入っていますが、カルシウム 塩の定性反応試験には、中和操作が入っていないことによるものです。もう一つ、付け 加えまして、37ページ、これは単に修正忘れてしまったのですが、確認試験の(1)、(2) とありますが、これは1つの試験にまとめましたので、(1)だけにしていただいて、(2) は削除してください。次に(3)とありますカルシウム塩の説明については、これを(2)に 修正していただきたいと思います。  以上です。 ○長尾部会長 それでは、御審議をお願いいたします。 ○小沢委員 使用基準を設定しないということでよろしいのだと思うのですが、いくつか 気になる点がございますので伺いたいと思います。21ページの上のところに、「EUでは、 アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸カルシウムは、誤認防止・ 品質確保の観点から特定の食品を除く」というふうに除外していますね。恐らく何かと ろとろという「とろ味」を出すときに誤認をさせるようなという意味から除いているの ですが、このことをどう考えるかということと、それから、JECFAがADI特定をしない でいいというときの条件が11ページの上の下の方に、「技術的に有効なものでなければ ならず、かつ、この効果を達成するのに必要最小限の濃度で使用され、食品の劣悪な品 質や粗悪品を隠したり、栄養上のアンバランスを生じるようなことがあってはならない」 ということが書かれているのと、それから、25ページの最後の「使用基準は設定しない こととすることが適当である」ということにEUにおいて、GMP、要するにきっちり管理 されて使うということが担保されるための条件として書いているわけですね。  実はこのようにADIは要らないでしょう、使用基準も設定しないという、こういう物 質の取扱いの件で、昨年の2月24日のここの議論で、たまたまそれがヒドロキシプロピ ルセルロースのときだったのですが、同じような文言で、EUにおいてGMPということで、 こういうのを日本でどう担保するのかというので私が発言いたしまして、そのときの報 告書に、日本でもきっちり管理して使うようにというのが数行足されているはずなんで すね、最終的な報告書に。  ですから食品安全委員会ではADIを設定しない、それからここでも使用基準を設定し ないというパターンの物質のときに、流れの中では書かれているのですが、最終的な使 いか方として、ここがリスクマネジメントの場であれば、ただ、設定しないということ で、それだけで読めるというよりは、きっちり日本はどうするのということを明記する 必要があると思うので、今後もそういうことの水平展開が必要ではないかというふうに 感じております。  以上です。 ○長尾部会長 事務局、お願いいたします。小沢先生のおっしゃるのは、25ページの新 規指定で、「米国においては特段の使用基準が設定されていないことから、EUにおいてG MPのもとで使用することとされ」と、日本でもそこの文言を付け加えてほしいと、そう いうことですか。 ○小沢委員 現在、ヒドロキシプロピルセルロースの議論のときに、最終的な報告書と しては、日本でも、ちょっと文言正確なのは忘れましたけれども、ちゃんとお使い下さ いということを、たしか担保することを入れたんですね。同じような物質のときに。 ○事務局 すいません。本品につきましても、そもそも論といいますか、添加物の指定 の際の考え方としまして、これは添加物の新規指定の要請の際の資料作成のガイドライ ン等にも明示しておりますが、そもそも添加物の有効性を議論する際には、当然消費者 を欺瞞するようなものであってはならないというのは、それは当然でございますし、一 般的にはそういったものにつきましても、例えば表示制度でございます。そういう形で 使われているのであれば、その旨を表示するという形で一定の担保をしていると思って おります。  そこは原則の話でございまして、本品につきましても、そういう意味で、小沢先生お っしゃるとおり、我々も濫用されることを望んでいるわけではございませんので、昨年 の報告書も確認しまして、もちろん使用基準は設定しないのですが、何らかむやみに使 わないような、適切な範囲で使われるということを報告書の中に盛り込みたいというふ うに考えたいと思っております。 ○長尾部会長 21ページにありますEUでの特定の食品を除くということについては、 小沢先生のお考えは。 ○小沢委員 使い方の中できっちり担保されれば、むやみに使うことはないと思うんで すが、そんなふうに、こちらは安全性で分けているのでなくて、誤認ということなので、 その辺をどう盛り込むかというのは別の話になると思うんですが、最後にきっちり使い なさいという言葉が付けばいいのかなと思います。 ○事務局 すいません、今、ヒドロキシプロピルセルロースの報告書の方を確認いたし まして、「使用基準を設定しないこととする。ただし、その添加は食品中で目的とする効 果を得る上で必要とされる量を超えないものとすることが前提であり、その旨を関係業 界等に周知すること」という形が使用基準案として示されておりますので、今回につき ましても、同じような修文をさせていただきまして、当然施行通知の段階であるとか、 この報告書を踏まえた形で周知をしていきたいと考えております。  また、誤認につきましても、表示で1つは担保されると。もし、未加工食品であって も、使うのであれば、それは表示をされなければなりませんので、その制度である程度 担保している部分もありますけれども、そういった点も含めまして、使用基準案には、 今申し上げたような文章を加えるということでやりたいと思っていますし、実際に指定 の際に施行通知という形で周知いたしますけれども、その際にもそういったところの注 意点を明示するようにいたします。 ○長尾部会長 よろしいですか。 ○吉池委員 21ページの今の議論の記載ですが、表現ぶりだけの話なのですが、これを さっと読むと、「誤認防止・品質確保の観点から」がどこにかかるかがパッとは読めませ ん。1つは、特定の食品には使わないということと、もう一つは、使用が認められてい るというふうに、国語的には両方読めてしまうので、特定の食品には認められず、その ほかの一般食品……とした方がここの文意に伝わるように思いますし、ここは大事な事 柄だと思いますので、表現を少し直していただきたいと思います。 ○事務局 そうしましたら、今、御提案ございましたけれども、21ページのところです が、(ネクターなど)のところから、「特定の食品(未加工食品……ネクター)には認め られず、その他の一般食品に食品添加物として必要量の使用が認められている」という 形で修文したいと思います。 ○長尾部会長 そうですね。この点に関しましては、修文されたものを皆さんにメール で送っていただいて。 ○事務局 メール等でご覧いただく形にいたしますので、よろしくお願いします。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょう。表示だけの問題なんですが、28ページの確認 試験の最後のところ、「アルギン酸ナトリウム」の確認試験、(1)の(@)及び(B)という のは、これは上の1)とは別なものですか。これはよくわからないです。 ○佐藤委員 すいません、(@)〜(B)は、公定書のアルギン酸ナトリウムの確認試験 に付けられたもので、(@)が塩化カルシウム等の反応で、(A)が硫酸による沈殿を見 る方法で、(B)が硫酸アンモニウムで沈殿を生じないという3つの試験です。つまり、 28ページの1)が(@)、2)が(B)です。 ○長尾部会長 これでよろしいんですね。 ○佐藤委員 このとおりです。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょう。 ○事務局 先ほどの使用基準の書き方でございますが、25ページでございますけれども、 今、使用基準は、8.新規指定についてという柱書きの中に使用基準を設定しないとい うのが入っておりまして、わかりにくいので、こちらも項目を起こしまして、(1)使用 基準案として、食品安全委員会における評価結果など、GMPのもとで使用される……か ら、特段の使用基準が設定されていないことから、使用基準は設定しないこととするこ とが適当である。ただし、として、先ほどの文章を付け加える形で、項目として、使用 基準案として起こそうというふうに考えておりますので、そういった形でお示ししたい と思っています。 ○長尾部会長 それではよろしいですか。一応御審議いただいたということで、それで 修文をしていただいて、先へ進めていただくという形にしたいと思います。そうします と、修文されたもので了解をとった後、どうなるか、御説明をお願いいたします。 ○事務局 今、御指摘ありました点につきましては、早急に修正したものを作成いたし まして、委員の皆様方にご覧いただいて、御確認をお願いしたいと思っております。そ の上で分科会へ報告する手続をとるというふうに考えております。  また、その後のスケジュールでございますけれども、分科会の審議のほか、並行しま してパブリック・コメントやWHO通報などの所定の事務手続を先生方に御確認いただ いた上で、手続を進めていきたいというふうに考えております。 ○長尾部会長 それでは、審議事項は以上でしょうか。 ○事務局 審議事項は以上でございます。 ○長尾部会長 それでは、報告事項をお願いいたします。 ○事務局 それでは、報告事項、41ページをご覧ください。  こちらは、平成16年度に行われましたマーケットバスケット方式によります酸化防止 剤、防ばい剤、リン酸化合物、プロピレングリコールの摂取量調査の結果について御報 告いたします。このマーケットバスケット方式による調査ですが、平成14年度、15年 度と同様に実施いたしまして、16年度には、今申し上げました酸化防止剤、防ばい剤、 リン酸化合物、プロピレングリコールについて調査を行うことといたしまして、具体的 には天然に存在しない、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等食品添加物10品目と縮合リ ン酸の他、食品又は食品添加物に由来して食品中に含まれますトコフェロール、オルト リン酸に関して、加工食品群による摂取量調査を実施したところでございます。  具体的には、調査に参加いただきました地方衛生研究所6機関(札幌市、仙台市、東京 都、香川県、北九州市及び沖縄県)の各衛生研究所におきまして、マーケットバスケット 調査用の加工食品群を調製いたしまして、それらを、国立医薬品食品衛生研究所を含む 7機関で、今回対象となっております添加物の食品群ごとの含有量を測定し、それぞれ 平成12年度の国民栄養調査等をもとに改訂した食品群の調製方法に基づいて作成し、喫 食量を乗じまして、一日摂取量を算出したものでございます。  そして、その結果ですが、42ページの表2をご覧いただければと思いますが、今回、 測定の対象になりました品目の、この表でそれぞれの添加物ごとの一日摂取量、混合群 から計算された摂取量、その次にADI、その右側には体重50kgとして換算したヒト当た りの一日許容摂取量でございます。いずれもこのADIと比較して、マーケットバスケッ ト方式で計算されます各添加物の一日摂取量の値というものはADIに比較して十分低い 値だということがわかっております。天然に存在しない添加物としては、プロピレング リコールが3.41%というのが一番大きい値でございます。  また、トコフェロール等につきましては天然由来のものもありますので、比較的高い 値になっておりますけれども、それらを除きますと、いずれもADIと比較して実際の摂 取量が少ないと考えられることから、安全上の問題はないと考えられたところでござい ます。  そのほか、本研究におきましては、混合群での試験のほか、食品上に添加物の使用の 表示があるものを除く試験との比較も行っております。一部の添加物によりましては、 表示群での値というものが混合群、通常マーケットバスケット方式による試験法に比べ て小さい値か出るというものもありますけれども、そういう意味でマーケットバスケッ ト方式による混合群での評価というのはどちらかというと、見積もられた摂取量として は大きく値が出るというものでございますので、その値をADIと比較しても十分少ない 量であるということから安全上の問題はないものと考えております。  この報告につきましては、以上でございます。 ○長尾部会長 この点につきまして、国衛研からの先生方、何か追加、補足ありますで しょうか。特にないですか。 ○佐藤委員 はい。 ○長尾部会長 ただいまの御報告に御意見等ありませんでしょうか。  ちょっとお伺いしたいのですが、こういう表示食品以外のものに添加されている可能 性が考えられるけれど、その使っている量は問題にならない。そういうときは、厚生労 働省としてはどういうふうに、表示違反があるわけですよね。だけど、安全性からいう と問題ないというときはどうされるんですか。 ○事務局 表示に関して言いますと、当然原則表示が必要となっておりますが、いくつ か例外ございまして、1つはキャリーオーバーという形でありますけれども、もともと 原材料に含まれているものが加工食品になるときに、それが残ってくる場合がございま す。その場合は、もちろん量としては添加物の機能を発揮するには足りないぐらい少な いはずでございますけれども、そういったキャリーオーバーの寄与が考えられる場合と か、例えばプロピレングリコールであれば、これは着色料の溶剤などで使われておりま して、もちろん使用基準はございますけれども、表示が免除される程度の量が含まれて いることもありますので、必ずしも表示と表示群と、表示がないからといって、即違反 かどうかというのはまた議論が違うものですので、すぐにはなかなか判断できないと考 えています。 ○小沢委員 すいません、質問ですが、表示されないものというと、OPPとかジフェニ ル、TBZ、それからイマザリルでも全部基本的には柑橘の防かび剤ですよね。皮は大体む いて食べるから出てこないというふうに理解してよろしいのでしょうか。 ○事務局 今回、加工食品を持ってきて検査しておりますので、そういう意味ではOPP などは、生鮮でも表示をするようになっておりますが、多分加工食品にする段階でそう いう部分を取り除かれているのだろうなと考えております。 ○西島委員  現在、ジフェニルとOPPは使用実態はないと思います。個々に検査しても、 イマザリルとチアベンダゾールは検出されます。ですから、この0というのは正確な値 だと解釈していいと思います。 ○小沢委員 ただ、使用実態ないのだったら、消してしまえという気持ちがあるんです けれども。 ○西島委員  同じ防かび剤ばかりを使っていると効かなくなったりするということも あるのかもしれませんね。あと、昔はジフェニルがほとんどだったのですが、徐々にそ れが使われなくなって、次にOPPが全盛になって、それも使われなくなって、何か移り 変わりのあるような気がしますね。 ○事務局 多分、流通実態の話につきましては、今は既存添加物で、平成15年12月24 日に、一度流通実態がないものとして、38品目を消除したことがあります。現在も第2 回の流通実態の確認を行っておりましたので、そこでも流通実態がないものは消除して いくという方針でやっております。  指定添加物の過去の歴史を見ますと、流通実態がないので消除したという事例がござ いますので、なかなか確認するのには非常に時間がかかるものではあるのですが、おっ しゃるとおり、添加物の数は、より安全なものに変わっていく方が適切だと思いますの で、折を見て流通実態も捕捉していきたいと思っております。 ○長尾部会長 ほかには御意見ありますでしょうか。よろしいですか。  それでは、次、お願いします。 ○事務局 それでは、43ページ以降をご覧ください。報告資料2でございます。  こちらは、食品安全委員会の意見聴取などを依頼した表でございます。前回の会議か ら追加したものは、45ページ、最後になりますけれども、昨年12月にイソブタナール からブタナール、メチルブタナール、この香料3品目を新たに食品安全委員会に意見の 聴取を依頼する。また、酢酸αトコフェロールにつきましても同日付で依頼したもの。 また、3月9日でございますけれども、国際汎用添加物であります水酸化マグネシウム の食品健康影響評価の依頼をしたところでございまして、ここが変更点でございます。  以上でございます。  失礼しました。前回、11月の終りの添加物部会以降で、43ページの中ほどでございま すけれども、ナタマイシン、こちらが昨年の11月28日に新規の添加物として指定が行 われたところでございます。  失礼しました。 ○長尾部会長 よろしいでしょうか。御意見ありますか。よろしいですか。  それでは、特に御意見がないということですので、次回につきまして、事務局からお 願いいたします。 ○事務局 次回の予定でございます。通常、第4木曜日を定例としておりまして、4月 でございますけれども、4月はコーデックス委員会、食品添加物汚染物質部会がデン・ ハーグで開催されておりまして、私どもも出席をする必要があるということから、4月 はお休みさせていただきまして、次回の予定は5月第4木曜日、5月25日の午前10時 より開催をいたしたいと考えております。  また、場所や議題につきまして、改めて御案内させていただくことにさせていただき ますので、よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 それでは、本日の審議はこれで終了いたします。どうもありがとうござ いました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2453)