第28回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要 1.委員の出欠   長野委員が欠席。 2.概要 <議題1について>   事務局より資料について説明。 座長:共同会議では年に一度見直しするということになっており、昨年度は「アルファルファ」   と「アルファルファを主な原材料とするもの」について議論して頂き追加したところである。   今回はてん菜について、規則、告示改正案が示された。てん菜の加工食品には砂糖の他に、   希ではあるが、てん菜の天ぷらなどの調理用の加工食品があるとのことである。砂糖につい   ては、組み換えられたDNAが検知できないということなので、今回は「てん菜」と「調理用   のてん菜を主な原材料とするもの」を追加するというご説明をいただいた。    昨年のアルファルファと同様の改正だが、内容について、委員の皆様方からご意見、ご質   問等を頂きたい。 渡辺委員:てん菜はビートと言われるが、ボルシチに使用されているビート、普通はテーブルビ   ートと言われているが、これは同じものなのか、全く違うものなのか。 日野参考人:参考資料1−4の別添3(P11)をご覧下さい。日本で一般的にビートと言われ   ているのは飼料用のビート、いわゆるテーブルビートであり、これらはフダンソウ、砂糖用   のてん菜と、すべて植物学上の分類は同一種である。農作物上は食用のビートと砂糖用のて   ん菜は違うものとして分けられている。 座長:テーブルビートについて、どのように表示するのか。 事務局(表示・規格課足立補佐):てん菜と分類されるのであれば表示の対象にはなると考えて   いる。ただし、遺伝子組換えが行われていなければ、当然表示する必要はない。仮に料理用   で今あるものを使用していれば表示義務がかかることはない。 座長:今回対象となっている2つの系統のものが、主として砂糖用のてん菜に使うということで、   テーブルビートに使用されることがないとか、それとも近い将来使用することになるのか、   今の段階ではっきりしたことを言えないとは思うがどうか。 事務局(足立):実質的には、砂糖用のてん菜とテーブルビートと呼ばれているものは形態や大   きさなど違いあり、流通上も全く異なっているし、種子も異なる流通をしているとのこと。   昨年のアルファルファと似たケースでアルファルファは飼料用で作られたのだが、スプラウ   トなどに使用される可能性もあるということで追加したものである。   括りとしてはてん菜として括られるものは対象となるが、現実問題として、いわゆる調理に   使用されるものについて、現時点としては、農産物の流通上も種子としても全く別になって   いるものと考えている。 座長:砂糖の製造(工場)は国内であると思うが、原料は国内で栽培されたものなのか、それと   も輸入されたものなのか。 事務局(足立):現時点で、てん菜そのもの、植物体としては輸入はないので、国内で製造され   ているものは国内で栽培されたものを使用して精製されている。ごく希な可能性の議論とし   て、調理用の天ぷらなどがあるようなので、その様な加工品が仮に輸入された場合などを想   定している。 座長代理:DNAが検出されるか否かについて、実際に遺伝子が組込まれたてん菜はサンプルと   して使用されていない。遺伝子組換えがされたものからできた加工食品(砂糖)から、組み   換えられたDNAが検出される可能性はないのか。入った後に追加検査などはしているのか。 事務局(足立):遺伝子組換え農産物は開発中のものであり、それを使った加工食品を幅広く入   手することは不可能である。実際に組換えられたDNAではなくて、作物として、てん菜に特異   的に存在するDNAが加工食品の中で検出可能かどうかを分析して、対象品目にするかどうか決   定していくことになっている。その後の調査というのは特にしていないが、実際に市販品に   ついて別途調査を行って確認していくこととなる。 門間委員:てん菜の場合、種子というのは国内のものなのか、外国のものなのか。 日野参考人:専門場所、ビート協会などに聞いたところでは、多くは海外から輸入されているが、   国産の品種もある。 板倉委員:検査結果からすると砂糖用の原料として使用されたてん菜については、表示の必要が   ないと読めばよいのか。そうすると、シックジュースなどからは検出されているのだが、こ   の段階のものは、市場には出回らないということなのか。精製度の低いものが外に出て行く   と検出可能になると思われるがどうか。 日野参考人:8ページのフローを見ていただくとわかるが、それらの中間精製品は工場から直接   送ってもらった試料である。糖度がかなり低く、非常に腐りやすいため、凍結した状態で送   られてきている。流通する可能性は極めて低いのではないか。 板倉委員:全てが砂糖になるということではなくて、精製されてないものが出た場合の表示義務   について聞きたい。今は流通していないからといって、今後流通しないとは限らないのでは   ないか。 事務局(足立):現時点で、てん菜が加工品として市場に出回っているもの、即ち砂糖等につい   ては、今回の試験によって検出できないということで、表示の対象としないこととした。   また、現時点で国内で遺伝子組換えてん菜が商業栽培される状態にはなく、てん菜を砂糖原   料として輸入することもない状況にあるので、仮に遺伝子組換えてん菜の輸入や国内での栽   培という状態の変化と製造工程が早い段階のものが流通するということがあれば、改めて対   象としての議論をしていただくことになると思う。 座長:事務局の改正案について、共同会議として特にご異議はない ということでよろしいか。 (異議なし) 座長:共同会議として、厚生労働省は薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示部会、農林水産   省は農林物資規格調査会総会に改正案のように「てん菜」及び「調理用のてん菜を主な原材   料とするもの」を表示対象とするように進めていただくことが望ましいと報告させていただく。 <議題2について>   事務局より資料2について説明 座長:委員の皆様の御手元には机上配付資料として第24回以降の共同会議資料があるが、今ま   での議論を報告書案としてまとめていただいた。ここでの議論は品目横断的に、原則を作る   ということ。傍聴の皆様に少しご説明しておくと、前回以降、報告書案については、事務局   とのやり取りが何回かあった。今回の報告書案は事務局から出していただいた第3次案とい   うことになる。事務局からの初めの案に対しそれぞれの立場でコメント及び修正を行ってい   ただき、事務局は意見を取りまとめ第2次案を作っていただき、更にそれに細かい修正を加   えたものを本日出していただいている。大枠としてはほとんどコメント、修正がなされたも   のが今回の案ということになる。   報告書案は大きく3つに分かれている。原料原産地表示の見直しの考え方、任意表示をどの   ように進めたらよいか、今後の見直しをどのように考えるか、という風にまとめられている。 前回の議論では、現時点で新たな考え方を選定するのではなく、20食品群を選定した考え   方を基本とするということになった。その上で製造及び流通の実態が変化したものについて、   実行可能性等を考えながら必要であれば品目追加の検討をする。それがIで出てきている。 「I 加工食品の原料原産地の義務表示対象品目の見直し」についてまずご意見をお願いする。     (意見なし)   座長:特に意見がないようだが、これまでの会議でだいぶ議論したところなので、Iについては   御了承いただいたということとする。    次に任意での情報提供(P5)について、このあたりは報告書案に多く意見をいただき、   修正していただいた。具体例もP6に載せていただいている。P7では表示以外の方法によ   る情報の提供について、企業の倫理(P8)についても言及している。BSEの問題のとき   に牛肉の業界で様々な問題があり、表示についても企業倫理が非常に大事なところである。   P9で、原産地についてどのような情報提供を行うか、消費者の取組という項目まで任意表   示についての部分がある。いきなり義務化というのでなく、できるだけ推進したいというこ   とで、食品表示が一体どういう意味を持つものなのか、どのような役割を持つものなのかに   ついて言及している。「II 任意での情報提供の推進」について、ご意見があればどうぞ。 小笠原委員:第一に、タイトルのつけ方について、タイトルを読めば中身にどういうものが書い   てあるかわかるように努力されていると思うが、P7「3 表示以外の方法による原料原産地   の提供の考え方」とタイトルがついている部分の中身は、容器包装以外の表示についてである   と思うので、「容器包装への表示以外の方法」などというようなタイトルにした方が、中身が   分かりやすいのではないか。    第二に、P10注のところで、上記の例(1)(2)については、「原材料表示を行うことができな   い例示ではなく」とあるが、それが言わんとしているのは「このような場合に原料原産地表示   を行うことが適切ではない例示」ではないかと思う。 事務局(足立):具体的な表現そのものについては、検討させていただきたい。 板倉委員:小笠原委員からご意見いただいているので、表示というのが容器包装への表示という   認識ということでよいのだとは思うが、インターネットで情報提供する場合には、消費者に   とって誤認を招くような表示があっても取り締まれないのか。ポップ表示はうそ表示が多い   が、インターネット上の表示についても、薬事法違反を含めて怪しい表示が多い。情報とし   て正しいものが出る場合は良いが、消費者をだますような表示があり得ることを考えると、   こういった、インターネット上の情報提供が活発になるだけでは困る。そういうことについ   ても配慮していただけると良いのだが。 座長:前回、前々回でも出たが、インターネットでの情報提供はJAS法での取締りの対象外と   いうことだったが、インターネットの情報提供はどのようにコントロールされているのか。 事務局(足立):基本的にはJAS法で直ちに取り締まることは難しい。当然、うそであれば他   法令の対象となるが。カタログ、インターネット上の表示については今後の一つの課題である。 座長:先ほどの板倉委員の発言の趣旨では、インターネット上の表示など、容器包装への直接的   表示以外のものをむやみにやっていけばいいものでもないということ。そのあたり少し、ど   こかそういうニュアンスを出すために文言を入れたらどうか。他の委員の皆様からも、それ   についての文言が必要であれば、どのあたりにどのような表現が必要かご提案いただきたい。 事務局(足立):P7〜8にインターネットでの情報提供のところに「情報の内容が正確である   ことや、製造業者等にとって都合の良い情報のみで構成されることのないことなど、情報提   供する内容について企業としての倫理が求められる。」と書いている部分を、表示以外の方   法全体に係るように前に移動させてはどうか。 座長:特にご異存がなければそういう風に変えていただければと思う。その他にお気づきの点はあるか。 板倉委員:自主的な取組として、業界のガイドラインを作るなどの動きがあると表示の適正化が   図られる。どこかでそのような動きが読めるようにしていただけないか。 事務局(足立):企業が何がしかガイドライン的なものをつくる場合に、自主的なものについて   は、例えばインターネットではこういう方法がある、という示し方が何かあるかもしれない   が、義務表示事項については、仮に公正競争規約のようなものを作っても、品質表示基準を   緩めることはできない。そういうことを考えるとガイドラインを作ることを報告書に盛り込   むことは難しいと考える。 座長:では、IIについては小さい修正をいくつか加えさせていただくこととしたい。   それではP11からの「III 今後の原料原産地表示の考え方等の見直しについて」の議論に移る。   ここでは、見直しの検討時期というのが多少具体的に入っているほか、その他議論の中で折々   に出てきた項目について、今後整理すべき課題について挙げられている。この部分については   どうか。 板倉委員:P12で消費者の知る権利を尊重することが大前提という文言があるが、私も表示とい   うものは消費者のためにあるものだと思っている。しかしここで大前提と書いてあるにもかか   わらず、P3では「製造・流通の実態」の次に「消費者の関心」が置かれていること、また、   P4でも「製造流通の実態が大きく変化した」が前で「消費者の関心」が後ろに置かれている   のは何故なのか。並列であってもやはり消費者の関心なり知る権利が大前提であるとすれば、   「消費者の関心」が前に書かれるべきではないか。 座長:消費者の知る権利と消費者の関心という言葉の使い分けのところ。 事務局(消費・安全局 高橋審議官):消費者の知る権利は大前提であり、JAS法の大きな目的で   もある。ただ実際の具体的品目選定に際しては、当然実行可能性を考慮してやっていかなけれ   ばならない。その場合に、P3のように製造・流通の実態から見て本当に可能であるかどうか   を考えていかなければならないと言っているだけである。両面から見て考えていかなければな   らない。 板倉委員:流れというのはそれぞれだと思うが、P14の今後のスケジュールの部分で、パブリック   コメントを求めること以外に、消費者の関心で検討を進めるということを考えていただいている   ことからも、当然順番としては、消費者の関心が第一にあって、第二に実行可能性であろうと考   えている。どちらも考慮しなければいけないが、発想としては消費者の関心がまずあって、その   次に実行可能性が出てくるだろうと思う。 事務局(足立):基本的には、机上配付資料3の今後の見直しのところの「表示の実施状況、製造及   び流通の実態、消費者の関心等を踏まえて必要な見直しを行うこととしている」に従って、この   順番で書いている。一部案で順序が違っているが、他意があって順番をどうこうしたわけではな   い。全く並列のものと考えている。 座長:私が読んだ限りでは、消費者の知る権利というのは普遍的にあるもので、消費者の関心はその   ときの状況の変化によって変化する。大前提としての消費者の知る権利というのは厳然としてあ   るけれども、関心はその時々によって変わってくる。そのようなことを思いながら読んだ。その   他にご意見等はあるか。 門間委員:現在原料原産地の表示対象品目の拡大の方向性で進んでいるが、今後考慮すべき点として   2点ある。まず1点としては、バックヤード、対面販売、輸入品については現在表示対象となっ   ていないが、平等性の点から、同じ品目については、バックヤードであろうと対面販売であろう   と輸入品であろうと、同じように表示されるべきである。輸入品だからできないというのは逆差   別。今後考えていかなくてはならない。    また、2点目として、原料原産地表示はコストがかかる。コストは製品価格に反映されるわけ   で、経済的には全体として消費者が負担することになる。従って、義務化はかなり慎重にしてい   かなければならない。あまり多く義務化すると、低価格のものが市場に出にくくなる。大げさに   言うと社会的弱者に対する豊かな食材提供が制約されることとなるのである。   以上2点、品目横断的な表示の問題と経済的な問題について、におわしておいても良いのではな   いか。これらは長期的には考えていかなければならないと考えている。 小笠原委員:門間委員が指摘されたが、バックヤードや対面販売の際の原産地表示の問題は、品質表   示基準全体にかかることである。品質表示基準第3条ただし書きで除いているのだが、この品質   表示基準全体を議論する際に議論すべき事項ではないか。 座長:考慮すべき点については、表示全体についての議論として必要なものと、原料原産地表示に限   って必要なものの、二つの段階がある。今小笠原委員からのお話であったように、品質表示基準   そのものの前提として議論されなければならないことだと考える。今回は原料原産地の議論とい   うことになるのではないか。 門間委員:P13で「行政だけでなく製造業者等が」とあるが、原料原産地表示の提供の基本は、第   一次生産者がやってくれないと製造業者はどうしようもない部分がある。この部分に第一次生産   者についての文言を入れてほしい。 事務局(足立):当然のご議論と思う。実際に地方のシンポジウムに行った時、JAの方から最近は   商品仕様書などで、納品先から産地、原材料名等の様々な情報について求められるとの話も伺っ   たことがある。通常の流通の中で進んでいるものについて、更に検討していただく必要があると   いう意味で書いている。流通の各段階でということで生産者も入れたい。 渡邉委員:P12例1で複数の原産国の原材料を切り替えて使用する場合(3)に「原産地不明」という   表示方法が出ているが、正確にいうと「原産地特定せず」の方が良いのではないか。例2につい   ては原産地が不明の場合もあると思うが。 座長:それはご指摘のとおり修正できると思う。   IIIの部分については、議論いただいた部分について、若干の修正をしていただくこととしたい。   P14今後のスケジュールについては、特にご意見がなければこのような形で進めていただき   たい。それでは、全体を通して何かご意見等はあるか。 増田委員:板倉委員がきつくおっしゃって下さっているので大丈夫と思うが、情報は消費者の利益に   なるものでなくてはならない。P7〜8にかけての任意表示については性善説が前提になってお   り、消費者にとっては不安になる。なぜならば偽装などが引きもきらずに起こっているという現   実があるからである。任意表示は、とてもよいツールと思う反面、消費者を混乱に誘っていると   いう面もある。優良誤認について何か抑えになるものがあってもいい。具体的にどうすればいい   のかというのが思いつかないが。 座長:これは報告書を今後どのように扱うかにも関わってくると思うが、報告書については今までの   議論を踏まえて修正していただいて、委員の皆様に送っていただくこととするので、最後のご意   見についてもぜひ具体化する文言を考えていただき、修正案を事務局に寄せていただきたい。    修正した案を確認いただいた後、最終的には座長一任ということで、私の責任で案を取って報   告書という形で出させていただきたいが、よろしいか。   では、最後に次回の日程について、事務局よりお願いする。      (事務局から次回の第29回は追って連絡する旨説明。) 以上 【照会先】 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課   担当 松岡、有本    TEL:03-5253-1111(内線2921) 農林水産省消費・安全局表示・規格課   担当 足立、沼里、梅田、白須、高木   TEL:03-3502-8111(内線3309)