06/03/20 第60回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第60回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2006年3月20日(月)14:00〜15:00 場所:厚生労働省専用第16会議室(中央合同庁舎5号館13階) 出席者:  労側委員:稲垣委員、岡本委員、鴨委員、篠原委員、龍井委員  使側委員:川本委員、吉川委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員  公益委員:横溝分科会長、今田委員、佐藤(博)委員、 事務局:  北井雇用均等・児童家庭局長、白石審議官、香取総務課長、麻田職業家庭両立課長  石井雇用均等政策課長、高崎短時間・在宅労働課長、片淵短時間・在宅労働課調査官  河村育児・介護休業推進室長 議題:   雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問) 配布資料:   No.1 労働政策審議会雇用均等分科会委員名簿   No.2 雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱   No.3 育児・介護雇用安定等助成金制度の改正について   No.4 短時間労働者雇用管理改善等助成金制度の改正について ○横溝分科会長  ただ今から、第60回労働政策審議会雇用均等分科会を開催します。本日は、奥山委員、 林委員、樋口委員が欠席です。お手元に資料No.1として新しい名簿を配っていますけれ ども、この中で委員の交代がありましたのでご紹介します。大変悲しく残念なことなの ですが、5年2カ月にわたり、この雇用均等分科会の審議にご尽力いただいた労働者代 表の佐藤孝司委員が3月8日に逝去されましたことをご報告します。謹んでお悔やみ申 し上げ、ご冥福をお祈りします。  また、労働者代表の片岡千鶴子委員、吉宮聰悟委員が辞任されました。これに伴い、 新たにUIゼンセン同盟男女平等局長の稲垣眸委員、それから全国ユニオン会長の鴨桃代 委員、日本労働組合総連合会総合人権・男女平等局長の龍井葉二委員が任命されました。  それでは、稲垣委員、鴨委員、龍井委員、一言ずつあいさつをお願いします。 ○稲垣委員  UIゼンセン同盟の稲垣眸と申します。諸般の事情があり、またこちらで委員を務めさ せていただくことになりました。佐藤委員のご遺志を継ぎながら頑張っていきたいと思 いますので、今後ともよろしくお願いします。 ○鴨委員  全国ユニオンの鴨といいます。このような場は初めてで少し緊張しています。これか らよろしくお願いします。 ○龍井委員  連合の龍井です。前任の吉宮の後を引き受け、総合人権・男女平等の総合局長に任命 され、働くことになりました。まだ見習い中なのですが、よろしくお願いします。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。それでは、本日の議題に移ります。今日の議題は平成18 年度予算に盛り込まれた事項に係る案件である「雇用保険法施行規則等の一部を改正す る省令案要綱」についてです。  これについては、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会長あて諮問が行われました。 これを受けて、当分科会において審議を行うことにしたいと思います。まず、事務局か ら説明をお願いします。 ○麻田職業家庭両立課長  それでは、説明申し上げます。必要な資料は、資料No.2、3、4それから手元に「参考」 として、現在の両立支援関係の助成金と短時間労働者の関係の助成金の概要、それぞれ 青いパンフレットと印刷した普通の白い紙1枚を付けていますので、これらを参照しな がらお聞きいただきたいと思います。  まず資料の2ですけれども、これが本日川崎厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問 があったもので、具体的には「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」で す。ゼムクリップを外すと、その下に(別紙)として縦書きで付けているものです。諮問 して審議いただくのは、この要綱(案)ですけれども、各局にわたる事項が総合的に盛り 込まれていて、縦書きで見づらいところがありますので、同じ内容を資料No.3とNo.4で整 理していますので、両方をご覧いただきたいと思います。  まず、「育児・介護雇用安定等助成金制度の改正」です。最初に、現行制度がどうなっ ているかということですが、これは、「両立支援事業の概要」という青いパンフレットが あります。この見開きの中を開いてご覧いただきたいと思います。改正の1点目ですが、 現在、育児・介護休業関係の助成金はこのパンフレットにあるように六つの名称の助成 金があります。これらの一つ一つに支給の要件があるということで、若干わかりにくい というような声もありましたので、「使いやすさ」、「わかりやすさ」の観点から名称を一 つに統合して、「育児・介護雇用安定等助成金」という名称にしました。内容に変化を加 えるものではありません。これが1点目です。  2点目の育児・介護休業関係の助成金の改正ですが、この資料No.3の2にあるように、 新しい助成金を5年間限定で創設するという内容です。資料No.3の2ページをご覧いた だきたいと思います。名称を「中小企業子育て支援助成金」と付けております。これは 中小企業、特に従業員100人以下の小規模の企業において、産前産後の休業、育児休業、 あるいは短時間勤務というような、企業の子育て支援策の利用者がまだまだ少ないとい うことがあり、そういう子育て支援策の利用がまだないという事業主を対象として、利 用者の第1号を出すための助成です。  支給要件のところをご覧いただきたいと思いますが、まず一つの要件としては、「従業 員100人以下の中小企業事業主が、次世代法に基づく一般事業主行動計画を作成して届 け出をしていただく」ということがあります。また、その次の要件として、「(1)または(2) のいずれかの子育て支援策を講じる」ということがあります。(1)ですが、「育児休業の付 与」ということで、「子の出生後6カ月以上育児休業を取得して職場復帰させて、その後 6カ月以上継続して雇用されること」が一つのパターンです。もう一つのパターンは(2) のところですが、「3歳未満の子どもを持つ労働者に対して6カ月以上短時間勤務制度を 利用させる」という、このいずれかの子育て支援策を利用させた場合に対象になります。  実施期間については、平成18年度から5年間としています。  支給額ですけれども、上に書いてある(1)の(1)または(2)のいずれかの対象者が初めて出 た場合に、1人目2人目まで、こちらに書いてある額を支給することとしています。具 体的には、1人目の子育て支援策の利用者が育児休業の利用であった場合には定額100 万円、1人目の子育て支援策の利用者が短時間勤務の利用であった場合には利用期間に 応じて、1年以内の短時間勤務であれば60万円、2年以内の短時間勤務であれば80万円、 そして2年を超える場合には100万円という3段階にしています。また、2人目の子育 て支援策の利用者が出た場合には育児休業を60万円、短時間勤務については同じく利用 期間に応じて、3段階の金額としています。  なお、この助成金は1人目の利用者を出すための助成金ですので、これまで1人の育 児休業取得者も、育児のための短時間勤務も利用者がいなかった企業が対象となるもの です。以上が2点目の改正です。  1ページに戻っていただいて、3点目の改正です。これは、既存の助成金の充実を図る ものです。青いパンフレットの左側のページの中ほどに「育児両立支援奨励金」という ものがあります。これは、小学校就学の始期に達するまでの子どもを養育する労働者が 短時間勤務制度を利用できるというような制度を設けて、実際に利用があった場合に一 定の金額を支給するというような助成金ですが、これには(1)から(5)までメニューがあり ます。  このうちの(1)と(2)の、育児休業に準ずる措置または短時間勤務制度、この二つのいず れかを設けた事業主に対する助成金について、ここにある表では改正前20万円から40 万円までの金額になっていますけれども、これを10万円増額して、30万円から50万円 までの金額に充実するものです。  それから4点目の改正ですが、これも現行の助成金の拡充です。青いパンフレットの 右側の下の方に、「育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金」というものがあり ます。これは育児休業または介護休業を取得された方がスムーズに職場復帰できるよう に、休業中、または休業から職場に復帰する前後に、何らかの能力開発のためのプログ ラムを実施する事業主に支給されるものです。現在は何らかの能力開発のプログラムを 実施した場合に支給していますが、円滑に復帰をさせるために、休業中に会社の、例え ば新しい事業の情報、人事情報、仕事の情報など、円滑な復帰のために必要になるよう な情報を定期的に提供する場合に、そのようなことを能力開発と併せて行った場合には、 労働者一人当たりの助成額の増額ですが、大企業の場合には5,000円、中小企業にあっ ては7,000円の加算をするものです。以上が育児・介護雇用安定等助成金の関係です。  次に、資料のNo.4をご覧いただきたいと思います。こちらは、「短時間労働者雇用管 理改善等助成金の改正」です。最初に、現行の姿ですが、1枚紙で現行(見直し前の短時 間労働者雇用管理改善助成金)という資料を配っていますのでご覧いただきたいと思い ます。現行の助成金は、こちらにあるように健康診断、あるいは共済関係や通勤関係な ど、どちらかというと福利厚生中心の雇用管理改善の内容としていますが、平成15年の 10月から改正パートタイム指針が適用され、通常の労働者との均衡処遇ということが大 きく盛り込まれました。このようなパートタイム労働者を取り巻く状況等を踏まえて、 助成金の内容も福利厚生中心から、より均衡処遇の中核的な部分に重点を置いたものに 見直していくということから、今回、資料No.4のような内容に改めるというものです。  具体的な「助成要件及び支給額」を見ていただきたいと思いますが、これは、それぞ れ左側に書いてあるような雇用管理の改善の措置をとり、そのことを労働協約または就 業規則に定め、そして適用者が出た場合に右側の支給額を支給するというものです。  1点目の措置としては、「短時間労働者の能力又は職務の内容に応じた処遇について、 通常の労働者と共通の制度を設け、当該制度の適用を受けた人が出た場合」で、同じ処 遇制度、例えば同じ賃金表の中に正社員と短時間労働者を位置付けるというような措置 をとった場合で、これに対して「50万円の助成」を行うことにしています。  2点目の措置は、同じ処遇制度の中というところまではいかないのですが、「短時間労 働者の中で能力又は職務に応じた処遇制度を設けた場合に30万円の助成」ということに しています。  それから3点目の措置としては、「短時間労働者の通常の労働者への転換制度を設け る」こと。4点目の措置としては、「短時間正社員制度を設ける」こと。5点目としては、 「短時間労働者に対して通常の労働者との均衡を考慮した教育訓練を行う」ことで、「そ の適用者が延べ30人を超えた場合」です。  最後に福利厚生的なものとして、「健康診断の実施または通勤にかかる便宜の供与に関 する制度を設ける」ことですが、これは先ほど申した「福利厚生中心から均衡処遇中心 へ」という趣旨から、上記5点のうちのいずれかの措置と併せて行われる場合に、こち らの金額を助成するというような仕組みにしています。  いずれの措置も規定の整備をしただけでは助成の対象とはなりません。適用者がいる ことを確認の上、助成するという仕組みにしています。以上が今回、分科会に審議をお 願いする事項の説明です。  なお、参考情報として申し上げます。これは職業安定局の施策ですが、子育て女性の 起業の支援のための助成制度が新たにできましたので、参考までに紹介させていただき ます。これは自立就業支援助成金という起業に関する助成金の一つで、「子育て女性起業 支援助成金」というものを創設することにしています。具体的には、有効求人倍率が全 国平均を下回る都道府県に居住しており、かつ雇用保険の被保険者期間が5年以上、か つ12歳以下の子どもを有する女性が法人等を設立し、その設立日から1年以内に労働者 を雇い入れたという場合に、法人等の設立費用などの3分の1を200万円を上限として 助成するもので、平成18年度から20年度までの3年間に限って支給することにしてい ます。大変、簡単ですが、以上です。 ○横溝分科会長  説明はそれでよろしいですか。では、ただ今の事務局の説明を踏まえ、意見、質問等 がありましたら、お願いします。川本委員、どうぞ。 ○川本委員  質問を1点させていただきたいと思います。資料No.3の2枚目に(別紙)というのが付 いています。「中小企業子育て支援助成金について」ということで、最初の3行に概要が 書いてありますけれども、一応この助成金については「従業員100人以下」ということ で新たな形を設けたということですが、この100人以下という形の基準を設けるにあた って、どのような理由があるのかを教えていただければと思います。 ○麻田職業家庭両立課長  育児休業の利用が実際にどのくらい進んでいるかということをデータで見ますと、企 業規模別にかなり格差があります。出産した女性労働者のうち、どれくらいの人が育児 休業を取得したかという、いわゆる女性の育児休業の取得率を見ますと、企業規模500 人以上では83%、100〜499人で83.2%となっていますが、30〜99人では69.5%、5〜 29人では60%というような状況になっていまして、規模計の平均が70.6%ですので、 100人を切ったところで全体の平均も切るという状況になっていて、中小企業が立ち遅 れているというような現状がありますので、ここのところに重点的な支援をするという ことから100人を一つの目安にしたものです。 ○川本委員  よくわかりました。ありがとうございました。 ○横溝分科会長  他に、いかがですか。 ○鴨委員  資料No.4「短期間労働者雇用管理改善等助成金制度の改正」のところなのですけれど も、質問とそれから意見になると思うのですが。この「助成要件及び支給額」なのです けれども、「いわゆる均衡処遇を前向きに進めたいということでの見直しだ」という説明 があり、その意図については賛成なのですけれども、そもそも、いわゆる福利厚生自体 が、まだまだ職場段階で福利厚生すらきちんとされていない職場がたくさんあると思っ ているのです。そういった職場に対して、福利厚生のみにプラス助成要件で、均衡処遇 のいずれかの措置をということをプラスで条件として付けたときに、そのような均衡処 遇ということが、現場段階からいえば、ある意味では大変高い要求を企業に対して課す ものではないかと思っています。このような助成の要件になると、福利厚生すらない職 場は、「福利厚生すらない」と置いておかれて、一方では、均衡処遇を進められる職場は 「均衡処遇を進める」という形で、いわゆるパートタイムの方の扱いそのものがますま す二極化していくのではないだろうかということで危惧しているところです。  そういうところについて、例えば、「健康診断等の福利厚生に対して、さらに均衡処遇 を条件とする」ということで提案しているのであれば、その福利厚生そのものが、各企 業の中において、どの程度進んだのかという実態を把握した上での提案なのかどうか。 もし、把握している数値があるならば、具体的にそれを示していただきたいと思ってい ます。  それから二つ目として、ここに「短時間労働者」となっているのですが、この短時間 労働者というのは、何をもって、短時間労働者と言われているのかということを聞きた いです。いわゆるパートタイム労働法のことなのかどうなのか。現状で例えばパートタ イム労働法的に言いますと、「通常の労働者」というところがありますが、今、フルタイ ムの方たちもパートタイムの方たちも増えているわけです。そういう方たちは、この短 時間労働者という制度の改正の中では対象になるのかならないのかということをお聞き したいです。 ○高崎短時間・在宅労働課長  短時間・在宅労働課長です。お答え申し上げます。1点目の点ですけれども、福利厚 生中心から均衡処遇に向けて取り組まれた事業主に対する助成に切り換えたという趣旨 は、冒頭で、麻田職業家庭両立課長が説明申し上げた通りです。現状を把握しているの かという点ですけれども、例えば、パートタイム労働者に対する健康診断の関係につい て報告しますと、平成13年のパートタイム労働者総合実態調査と平成17年に21世紀職 業財団で行われたパートタイム労働者実態調査の結果で、平成13年と平成17年の比較 ということですけれども、例えば、雇い入れ時健康診断の実施状況については、平成13 年調査時点で17.8%実施していたというものが、17年調査においては55.9%という状 況です。定期健康診断については、同じく13年の調査時点では51.4%であったものが、 17年調査では87.9%という状況になっています。もちろん100%になっていないという 意味では問題が残っていますが、一定の改善もしていると考えています。  2点目の短時間労働者の定義、考え方の点ですが、これはパートタイム労働法による 短時間労働者ということですので、1週間の所定労働時間が通常の労働者よりも短いと いうことです。そういう意味では、全く同じというフルタイム、いわゆる非正規労働者、 そういう方については短時間労働者には該当しないということになりますので、これに 基づく助成制度の対象にはならないという形になると考えています。 ○横溝分科会長  そういう回答でよろしいですか。 ○鴨委員  「今の数値で、一定の改善はされた」ということなのですけれども、健康診断でいえ ば、約半数であって、半分はまだ改善されていないという現状があるわけです。そのよ うな中で、ここで言えるのは意見でしかないと思うのですけれども、まだ100%に近づ いていないという現状があるわけですから、どう底上げするのかという形での要件づく りということがあってしかるべきではないだろうかと思っています。  それからもう一つ、「パートタイム労働法で」ということですけれども、現状では、い わゆるフルタイムパートというような雇用形態が職場の中で制度として進んでいるので す。その人たちについては、どこの法律が該当するのかといつも思っているわけです。 今の答えでは、その人たちは対象にはならないということですよね。 ○横溝分科会長  どうぞ。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今日、ご諮問申し上げております短時間労働者雇用管理助成金制度の対象ということ であれば、要するにそれは短い労働者を対象としているので、「対象になっていない」 というのはその通りです。いわゆる擬似パートなど、いろいろな言われ方をされますが、 そういうフルタイムの方々の処遇の考え方として、パートタイム労働指針の中にも書か れておりまして、その方々の解決に向けた取り組みというのは要請しているところです。 だから何もないというとそうではないのですが、ただ、委員の指摘の通り、今回の助成 金制度の対象になるかということであれば、ならないということであります。 ○横溝分科会長  とりあえずこれでよろしいですか。どうぞ。 ○龍井委員  関連して質問なのですが、2点の説明を伺っていて資料No.3の方は既存のものについ て増額をして強化しようということなので、この方法は特に異論はないのですが、資料 No.4の方の二つの提案、議論が出ましたように、いわば「福利厚生中心から均衡処遇中 心」と一つの政策判断を示していますので、最初に質問したいのは「今日、諮問答申と なっていますので、こういうふうに決めました」という報告であれば、そのような意見 で諮問を申し上げようと思うのですが、「意見を求める」ということであれば、そのよ うな政策判断について、例えば、予算の概算要求段階、あるいは年末で案を立てられる 段階で1度この分科会なりどこかの場で議論されているという経緯があるのでしょうか。 まずそれをお聞きしたいのですが。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。今回の概算要求、助成金制度につきましても、18年度の予算案の 中に入っているものですが、特に均等分科会関係のものにつきましては、厚生労働省の 平成18年度予算案の概要に、概算要求後の17年の9月15日になりますが、要求の概要 について報告しています。 ○龍井委員  そのときに、表紙のタイトルにあるような「短時間労働者雇用管理改善等助成金制度 の見直しについてこういう方法でやります」というレベルであったのか、もう少し具体 的に繰り返しますけれども、「福利厚生中心から均衡処遇中心に政策をある程度シフト するのだ」という点を含めて提案があって議論をしたとそういう理解でいいですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。先ほどの日付で報告したものの資料においては、この関係につき まして、今日お配りした中身ではございませんが、項目としてはパートタイム労働対策 の充実ということで「均衡処遇を推進のための事業主への支援の充実」ということで、 「短時間労働者雇用管理改善等助成金を抜本的に見直し、パートタイム労働者の均衡処 遇に向けた事業主の取り組みへの支援を強化する」と書いているところです。 ○龍井委員  そうしますと、少し不十分だったかなと思うのは、既存の政策について当然、前段で 説明があったような現状把握、いわゆる政策評価でこれが有効であるのかどうなのか、 あるいは活用状況はどうなのか。これは当然、今の助成金のありかたをめぐっていろい ろな論議のあることは承知をしておりますけれども、裏付けになるきちんとした議論を 経ていただかないと。つまり、もしも9月の段階で均衡処遇をする企業をバックアップ していくこと、それ自身は誰も反対はしないと思うのです。ただ、今日の提案は既存の ものについて、すでに活用されているものについても、ある程度取りやめてでもこちら に移していこうという判断ですので、それを判断するとすれば、先ほど質問があったよ うに既存の制度が使われていないのか役立っていないのか、やはり、そこはある程度判 断を示していただいた上で議論をしなければ、今日の諮問答申となるためには、もう少 し丁寧な質問が必要かなと思います。補足があればお願いいたします。 ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○高崎短時間・在宅労働課長  夏の時点の資料の説明につきましては足りなかった点もあるかもしれませんし、それ につきましては今の意見や提案を受け止めさせていただいきます。ただ、短時間・在宅 労働課の関係部分のみの話ではありませんので、来年度以降になってしまいますが、今 後、全体を調整して対応したいと思っています。 ○佐藤(博)委員  今回、見直し提案で従来やっていた助成金の対象となる、例えば、定期健康診断等を 企業は進めなくていいということや、行政としてこれを進めることについて、他の施策 をやらないということではなくて、今回の助成事業の表の方に、パートタイマーのこの 雇用改善については情報提供から始まって、財団のアドバイザー派遣などいろいろな仕 組みがあるのです。来年度、立ち上がるいろいろな施策があるわけですが、そういう中 でいわゆる助成金としての手法を使う部分をどこへシフトするかということだと思うの です。ですから従来、助成金を付けていたもののやること自体が、もちろんある程度達 成はするけれども全部終われば、もうやらなくていいですよという話ではなくて、行政 としても取り組むけれども、助成金という枠組みではなくて、もう少し別のところにシ フトしようという提案だと思います。  今、鴨委員も言われたようにパートタイマーの雇用管理改善、これから大事なのはい わゆる均衡処遇のところだと思いますので、従来もやってきたのですがなかなか進まな いということで、そこに助成金という仕組みをシフトしていくということはすごく大事。 それ自体がおかしいということはないと思うのですね。従来のものについて、お金は非 常に豊富であればいいと思うのですが、ただ助成金があるかどうかということがあると 思いますが、情報提供なり、例えば雇用管理のアドバイザー等の形で、そこは助成金と いう枠組みも使えないかわりに情報提供をきちんとやっていただくということも大事な のかなと。それを止めてしまうことはないと思いますので、そこだけ確認させていただ きたいと思います。 ○横溝分科会長  先に答えますか。質問を受けますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えを先にしましょう。まさに委員の指摘の通りでして、助成金制度の対象という ことでは先ほど申し上げているとおりですが、福利厚生の関係につきましても、指針上 きちんと位置付けられておりますし、その指針の周知に始まりまして各種情報提供、相 談、セミナー等の場では、鴨委員の指摘にあったような問題点を踏まえて福利厚生の点 も併せて事業主に対する啓発、要請等進めていきたいと考えています。 ○龍井委員  冒頭で申し上げましたように、「『行政がそう判断しました』と報告をします」であ ればそれでいいのだけれども、そうではなくて、ここに判断が求められているとすれば、 現状の認識、政策評価の問題などの情報を示していただいて判断するということであれ ば別に問題ないと思います。  結局、その中身そのものよりも分科会が求めている諮問答申との関係で判断を求める ならそれなりの情報提供をしてほしいと。それが趣旨です。このことについて真っ向か ら反対という趣旨ではありません。 ○川本委員  今、「判断の元手になる情報提供を」ということでしたけれども、違った角度から使 用者側の立場ということで意見を申し上げたいですが、ここに書いてある内容がいい悪 いということではありません。実は、支援助成金のお金がどこから来ているかという話 はございます。これは雇用三事業というお金から来ておりまして、事業主負担のお金が いっております。私どもとしては本来雇用保険の主流部分は失業者への給付ということ ですけれども、雇用三事業については本来、いかに失業予防するか、維持したり教育し たりしていくかというところが主流の部分でありまして、本来、三事業でも福利の部分 はいろいろ箱物がたくさん作られて非常に問題になって、ここのところずっと売り払わ れて清算されているという話になっていますけれども、本来は雇用の部分に使われるべ きという納得の中で事業主として払っているということがあるのです。従いまして、こ こに挙がっていますことは、果たして雇用そのものの話なのかどうかということは、非 常に難しい問題も含んでいないわけではないという言い方しかできないのですが、申し 上げておきたいと言うことと、限られた予算の中で多分、行政の方で今回こういうスタ ンスを少し変えながら、どう配分していくかということを検討された結果がこうなって きているのかなと思います。意見といいますか、何と言っていいのか難しいですけれど もそんなところです。 ○篠原委員  要望ということですぐに答えをいただかなくてもいいのですが、これはあくまでも「要 望」ということで、ぜひお聞きいただければと思います。  今回、私の組織では2006年闘争において非常に積極的に次世代関係の取り組みを労使 ともにしてきたというところがあります。それは労使でいろいろと工夫をして地域の特 性、社風を生かしながら取り組みをしてきたと私どもは判断をしているところです。  その中で例えば、そのような労使の努力もありますし、あとはそれぞれ労使で、着実 に行動計画の中もきちんと見ながら計画を立てて取り組んでいる結果の表れだと思いま す。  今回、このような形で助成金ということで報告をいただいたわけなのですが、さらに いろいろと予算がだんだん厳しくなってくるところで大変かなというところはあります が、ぜひ、引き続き努力をお願い申し上げたいというのが1点と、少し具体的になって しまうのですが、今日いただきました両立支援事業の概要というような項目の中の事業 所内の託児施設助成金というのがあります。この中の運営費というのが運営開始後5年 間という期限がついておりますので、実は、組織の中の労使で取り組んでいる事業内託 児所のところで、そろそろこの期限が来ようかというところもありますので、ぜひ、こ の辺りの見直しの検討も範囲の中に入れていただければと要望を申し上げたいと思いま す。 ○横溝分科会長  他には。 ○稲垣委員  質問なのですが、資料No.3の別紙の方なのですが「中小企業子育て支援助成金につい て」のところですが、支給額で「(1)、(2)いずれかの対象者が初めて出た場合に、次の額 を支給する」ということなのですが、ここで確認のやり方なのですが、給付金を支払わ れた人ということではなくて、そことはリンクはせず、例えば、出勤簿などの形で確認 されるということでよろしいですか。 ○麻田職業家庭両立課長  育児休業を取ったことの確認ですね。これは出勤簿、賃金台帳、あるいはその育児休 業給付を支払ったということの資料など、いろいろなものを確認した上で支払いをする ということです。育児休業につきましては、その育児休業を6カ月以上取って職場に復 帰してかつ6カ月以上継続をした時点で支給申請という形であがってまいりますので、 過去の事実を確認するということですので、きちんと確認をしないといけませんが、今 までの助成金にもそういうものがありますので、そういうものにのっとって、やってい きたいと考えています。 ○稲垣委員  有期雇用の方の場合の育児休業なのですが、必ずしも給付金が支払われない可能性も あると思うのですが、そういう場合も大丈夫ということですか。 ○麻田職業家庭両立課長  はい。給付金が支払われるかどうかということではなくて、育児休業法上の育児休業 を取得したかどうかということによって支給の対象を決めるということです。 ○川本委員  実務上、大事なことなので確認です。要するに「育児休業を取ったか取らないか、う そがないかどうかをはっきりさせます」、「それで見ます」ということだけですよね。 だから、給付金その他のことは関係ありませんということですよね。一つのチェックを する意味でいろいろみるという意味合いですね。はい。わかりました。 ○麻田職業家庭両立課長  おっしゃる通りです。 ○佐藤(博)委員  これのインプリケーションでその影響なのですけれども、なぜお金をつけるかという ことで、ぜひ、「育児休業を従業員が取ると経営コストになる」、「コストになるから 補てんするのだ」とならないように宣伝してほしいと。「仕組みづくりはコストがかか るけれども、定常状態になれば別に経営にとって大きなコストはない」としなければ、 「育児休業を取ってください」となりませんので、「コストがかかるから助成金を出す」 とならないような宣伝をしていただければと思っています。それだけです。 ○麻田職業家庭両立課長  おっしゃる通りですので、コストがかかるからということではなくて、あくまでも制 度が浸透するための呼び水ということでやっていきたいと思います。 ○鴨委員  質問ですが、中小企業子育て支援助成金のところで「6カ月以上」と、ここに書かれ ているのですが、6カ月というのは何をもって6カ月としたのか説明してください。 ○麻田職業家庭両立課長  3カ月や1年でなくて、なぜ6カ月かということですね。どこかで範囲を画さなけれ ばいけないのですが、育児休業は、そもそも子どもが1歳に達する日までの休業という ことでフルに取れば1年間ということです。そして、この制度は「育児休業の取得者の 第1号」を出すための助成ですので、育児休業らしい育児休業といいますか、ある程度 の長さの育児休業の第1号を出していただくことが制度の定着のために必要だというこ とで、ざっと言いますと最長1年の休業の半分である6カ月以上休業した方を要件にし ようという考え方で決めたものです。 ○鴨委員  今の答えはわかったのですけれども、なぜ6カ月以上かということを質問したかった かというと、特に男性の方の育児休業取得を奨励していますが、男性の方の育児休業と いうのは多くは6カ月以上取れていないことが現実ではないかと思っていましたので、 ここで「6カ月以上」となったらこの対象は、男性の方が取得しても、あまりこの対象 にならないのではないかという疑問があってお聞きしました。 ○麻田職業家庭両立課長  鴨委員がご指摘になりました男性の休業の取得期間を見ますと、現在の時点では比較 的短い期間に分布が偏っていることは事実です。男性の休業の取得を進めることも非常 に大事なことですが、この助成金に限っていえば、男性ということを大きく意識すると いうよりは男女にかかわらず、まず実績の出ていない小さな企業で第1号を出していた だくということに重点を置いております。男性の休業取得促進は、これはこれで非常に 重要な行政の課題でして、それにつきましては、例えばこの青いパンフレットで申し上 げますと、1番左側のページの1番下の所に男性労働者育児参加促進給付金というもの がありますけれども、男性の育児参加を企業ぐるみで取り組む場合の給付金ですが、こ のようなものであったり、あるいは次世代法の認定基準に男性の育児休業取得者1名以 上を入れたりといろいろな政策も動員いたしまして、こちらの方も促進をしていくとい う考え方です。 ○横溝分科会長  よろしいですか。 ○岡本委員  質問です。2月の予算の概要の説明をしていただいたときの資料に基づくのですが、 短時間正社員等公正かつ多様な働き方の推進ということで、新規で7,800万円予算が計 上されていて、パートタイム労働者の今ずっと議論されていた均衡処遇推進のための事 業主の支援充実が5億5,800万円ということで別建てになっていたわけなのですが、今 日、説明いただいたので言いますと、短時間労働者雇用管理改善等助成金制度の改正の これが全部、今、申し上げた2つの予算が合算したものと考えていいのでしょうか。そ れとも新規というものは実際今日の説明にないと見たらいいでしょうか。前回のところ で説明いただいたのは、新規のところでいえば、短時間短日勤務の正社員制度、労働時 間に比例した賃金制度等の普及を図るということで、今、説明していただいたことと似 ていると単純に思ったのですが、そこのところを教えてください。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えします。今日配っています助成金につきましては、事業主の支援ということで 説明した部分でして、多様な働き方を推進するための新規としてあります、いわば事業 主団体にお願いします、モデル事業の関係につきましてはこの中に含まれていませんと。 別に予算化されておりまして、それにつきましても来年度、実施していくということで す。 ○横溝分科会長  よろしいですか。他にないようでしたら、分科会といたしましては諮問がありました、 雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱につきまして、おおむね妥当と認め ることとし、その旨を私から労働政策審議会長あてに報告することにしたいと思います。 これにつきまして、事務局から案文が用意されていますので配布方、お願いいたします。  この通りで答申したいと思いますのでよろしくお願いします。よろしいですね。  それでは本日は、これで本日の議題は終わりましたので、これにて終了させていただ きたいと思います。署名委員は労働側が篠原委員、それから使用者側は吉川委員にお願 いします。それでは皆さま、忙しい中ありがとうございます。これにて終了といたしま す。 照会先:雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課法規係(7856)