06/03/10 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会平成18年3月10日議事録  薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 新開発食品調査部会議事録 1 日時:平成18年3月10日(金) 10:00〜12:00 2 場所:中央合同庁舎5号館6階共用第8会議室 3 議事:安全性及び有効性の審査を経ているものとする食品について報告(14品目) その他 4 出席者  (委員)井藤委員、犬伏委員、斎藤委員、清水委員、田中委員、中澤委員、山田委員、 渡邊委員 (事務局)北島新開発食品保健対策室長 他 5 備考    本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。  6 議事内容 ○事務局 それでは、ただいまから食品衛生分科会新開発食品調査部会を開催いたしま す。本日は、御多忙のところ御参集いただきまして厚く御礼を申し上げます。  本日は□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員が御欠席との ことですが、過半数に達しておりまして本日の部会が成立しますことを御報告申し上げ ます。  では、配布資料の確認をさせていただきます。  まずお手元にあります「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会議 事次第」。  それから「報告品目一覧」、申請食品「カルピス酸乳アミールエス120アロエ」と既許 可品との対比表と最初に書いてまとめてあるものです。  これが基本的な資料となりまして、あとはこちらに補足資料としまして右肩に「平成 18年2月13日厚生労働省医薬食品局食品安全部」と書いてあります「アガリクスを含 む製品の安全性に関する食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼について」という ものと、それの別紙で「アガリクスを含む製品を摂取している方へ アガリクスを含む 製品に関するQ&A」ということでアガリクス関係の資料。  それから、右肩に資料4と書いてあります「新開発食品専門調査会における審議状況 について」、資料4−4「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本 的な考え方(案)」、それから「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」というこ とで、大豆イソフラボン関係の資料、それからもう一つ特定保健用食品の一覧表という ことになっております。  不備がありました場合は、事務局まで御報告をお願いいたします。  では□□委員、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○□□委員 それでは、議事に入ります。  今回は特定保健用食品の安全性及び効果についての審査はございません。よって議事 1ですが、安全性及び効果の確認がなされたものとすることの報告を受ける品目が14 品目となっております。  では、報告品目について事務局から報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは、御報告申し上げます。今回は14品目ということで報告品目一覧と、 もう一つの既許可品との対比表をご覧いただきながら説明をお聞きいただきたいと思い ます。  まず報告品目一覧の番号の1番から4番まで、「カルピス酸乳アミールエス120アロ エ」、「カルピス酸乳アミールエス120ブルーベリー」、「カルピス酸乳アミールエス 120ストロベリー」、「カルピス酸乳アミールエス120りんご」、この4種類でございま す。こちらにつきましては申請者がカルピス株式会社です。本品はラクトトリペプチド を関与成分としまして、血圧が高めの方に適する旨を標榜する商品であります。既許可 品としましては、「カルピス酸乳アミールエス120」及び「カルピス酸乳アミールエス 120のフルーツミックス」と関与成分、保健の用途及び1日摂取目安量における関与成分 量は同一でございます。一部、既許可品と比べまして果汁、香料等の違いはございます が、有効性については既許可品と同等である説明をしております。  次に、資料の番号の5番、6番、「ペプチド爽茶」と「ナチュラルケア」でございます。 「ペプチド爽茶」は申請者が仙味エキス株式会社でございまして、「ナチュラルケア」が 大正製薬株式会社でございます。こちらにつきましては、商品名は違うのですが、中身 は全く同一でございます。サーデンペプチドを関与成分としまして、血圧が高めの方に 適した旨を標榜する商品でございます。既許可品であります「エスピーマリンスーパー P」と関与成分、保健の用途は同一ですが、原材料が異なっております。これにつきま しては、当該品によりましてヒト試験を実施いたしておりまして、有効性については既 許可品と同等の結果が得られたということでございます。  次ですが、「カトチキいきいきごはん」、これが一覧のナンバーの7番になります。こ ちらは、申請者が株式会社加ト吉、本品は難消化性デキストリンを関与成分といたしま して、食後の血糖値が気になる方に適した旨を標榜するものでございます。既許可品で あります「からだサポートごはん」と関与成分、保健の用途は同一でございますが、関 与成分の量が少々異なっております。当該品によって、この商品につきましても試験を 実施しておりまして、ヒト試験で有効性を確認し、既許可品と同等の結果が得られたと いうことでございます。  次に、資料のナンバー8、9、10、「温膳家族のやさしいスープ」、「ホットファイ バー」、「チアライフ」でございます。こちらは申請者が株式会社東洋新薬でございま す。この3商品は名前がそれぞれ違うのですが、中身については全く同一のものという ことになります。本品は難消化性デキストリンを関与成分としまして、食後の血糖値が 気になる方に適した旨を標榜する商品でございます。  既許可品であります「京優膳お吸いもの」と関与成分及び保健の用途は同一ですか、 内容量及び一部原材料も異なっております。この商品につきましても、当該品によりま すヒト試験で有効性を確認しておりまして、既許可品と同等の結果が得られたというこ とでございます。  最後になりますが、資料の11から14番でございます。「キシリトール・ガム<オーシ ャンミント>」、「キシリトール・ガム<リーフミント>」、「キシリトール・ガム <ミントイエロー>」、「キシリトール・ガム<ブルーベリー>」、申請者は株式会社 ロッテでございます。こちらにつきましては、既許可品であります「キシリトール・ガ ム<ピンクミント>」と、関与成分、一日摂取目安量等が同一でございます。異なる点 は、既許可品と比べまして香料、着色料等の変更のみという形になっております。こち らにつきましては、既許可品のデータをもちまして有効性については同等であるという 形の説明をされております。  報告品目については以上でございます。 ○□□委員 ありがとうございました。では、順番に確認をしていきたいと思います。  まず1番目が「カルピス酸乳アミールエス120アロエ」というものと、それから同じ く「カルピス酸乳アミールエス120ブルーベリー」、「カルピス酸乳アミールエス120ス トロベリー」、「カルピス酸乳アミールエス120りんご」ですね。これについて何か御意 見はございますか。よろしゅうございますか。  それでは、その次は「ペプチド爽茶」ということです。これについてはヒト試験をし ています。これも、やはりRCTをやっているんですか。 ○□□委員 よろしゅうございますか。  では、次は「ナチュラルケア」です。これも同じですね。  それでは、「カトキチいきいきごはん」です。これについて何か御意見はございますか。 これは、関与成分が難消化性デキストリンですが。 ○□□委員 これから血糖値が気になる人へというのが続々と出てくると思うんですけ れども、私はいろいろ試して、2時間値は確かに下がるんです。20ミリぐらい下がるん ですが、翌朝の血糖値にはほとんど何の影響も残らないです。  それで、実際に許可してきたものを見ましても、長期にやって3か月目の値が幾つか 付いていますけれども、A1cが下がったものは一つもないんです。ですから、これはど こかで一度まとめて本当に適しているのかどうか、あるいは有効性として2時間値が下 がっているというのはどういう意味があるのかを検討した方がいいんじゃないですか。 ○□□委員 今回から難消化性デキストリンに関しては「食後の血糖値の気になる方に」 という表示に変えていただくことにしました。血糖値が一般的に気になる方という表示 は有効性試験の行われ方、得られた結果をうまく反映していないのでおかしいというこ とです。そういう意味で、許可の表示の内容が今回の商品から変わります。  この表示に関して、食後の高血糖が病的な意味合いを持つかどうかということに関し ては、現在非常に糖尿病関係の学会で問題になっているところですが、大勢としては病 的な意味を持つとなってきておりますので、もちろん検討することは必要ですが、非常 に過った情報を提供しているのではないかというおそれはないものと考えております。 ○□□委員 私も、2時間値がとても重要だと思うんです。なおかつそれがA1cと密 接に関係しているという論文もあるのですが、実際にこれを使ったグループでそういう 結果が出たものは一つもないんです。 ○□□委員 グルコヘモグロビンA1cに関しましては、非常に高血糖でA1cが高い人 は多分結果が出やすいと思うんですけれども、A1cがそれほど高値でない場合、難消 化性デキストリンの2時間値の抑制効果はせいぜい5%から10%くらいですのでA1c に反映するほどの影響を持たないかもしれません。ただし、その程度の効果で有用性 があるのかという問題は残ります。それに対してどう考えていくかというのは□□先生 の御指摘のとおりで、かなり論議の難しい部分ですけれども、検討しておく必要はあろ うかと思います。 ○□□委員 ほかのものもありますので、既許可商品につきましてはそれをどうしてい くかというのは何回もこの部会でも検討されてきたわけですが、厚生科学研究費辺りで その在り方を検討してもらったら、あるいは□□先生のところの研究所でやっていただ いたらいいんじゃないですか。  そういうことで、既許可食品をどうするかということは科学的な面のみならず法律的 な面もありまして大変であるかとは思いますが、そういう方向もどうするかということ ですね。何か健康障害が出てきた場合にはまた対処があるんでしょうけれども。  それでは、次のものに入りたいと思います。次は、「温膳家族のやさしいスープ」以下 の3つです。これも難消化性デキストリンと思います。何か特に意見はございますか。 よろしゅうございますか。  そうすると、次は最後の「キシリトール・ガム」です。これも風味違いですね。何か 御意見はございますか。ざっくばらんに言って、これも科学的根拠というのはたしかか む前と後のpHの変化くらいですね。 ○□□委員 ペーハーが下がることがメインのファクターだと思います。それに加えて 幾つかのフクロノリ抽出物、あるいはリン酸カルシウムを入れることによって申請者が 出してきた有効性という意味で歯の再石灰化を増強するとか、そういうことを言ってい る。これも有効性の試験で出たということで、文言を許可しているという状況です。メ インのファクターは、やはりペーハーが5.5以上にキープされるということだとは思い ます。 ○□□委員 厳密に言ったら、ペーハーは下がりませんというくらいですね。そういう ことで、今後その辺りもどうしていくかというのは大きい課題で、このことに関するデ ィスカッションは随分前から何回もあったんですね。  では、以上の14品目につきましては安全性及び効果について確認済みのものであると して差し支えないことといたします。  それでは、事務局から資料に基づいてアガリクスの件と大豆イソフラボンのことにつ いて説明していただきたいと思います。 ○事務局 それでは、資料に基づきまして御説明を申し上げます。  その前に、先ほど特定保健用食品の再評価の件の話が出てまいりましたが、私ども法 律上の問題で、これまで特定保健用食品の取消し等が行える条項が不十分でありまして、 再評価等は法律的にはできない仕組みになっておりましたが、今回の医療制度改革の中 で健康増進法の改正がございまして、そこに合わせて特定保健用食品の取消し条項に化 学的知見に基づきまして、新たな科学的知見によりまして、特保として合致しなくなっ たものについて取り消せる条項を1項加えまして、法律を改正するべく今、国会に提出 しております。これが成立いたしますと、再度の評価も含めまして取消しも可能になろ うかと思いますので、法律的には見直しの問題はないかと思っています。  ただ、特段大きな問題があったもの以外で再評価のようなことをやっていくことにな りますと、その仕組み自体を御議論いただかないといけないと思っておりますので、そ れにつきましては少し時間をかけて御議論いただきたいと考えております。  それから本日の資料でございますが、アガリクスと大豆イソフラボンについて用意さ せていただいております。  まず「アガリクスを含む製品の安全性に関する食品安全委員会への食品健康影響評価 の依頼について」という右上に私どもの名前が入っている四角で囲った資料がございま すが、これが2月13日に記者発表をし、厚生労働省のホームページでも御紹介をさせて いただいている資料でございます。実は、アガリクスを含む製品に関しましては従来よ り厚生科学研究等で研究をお願いしてきたところでございます。もともとの研究のきっ かけになりましたのは、アガリクスダケ及びアガリクス属のキノコの中にアガリチンと いう物質が入っておりまして、これがフェニルヒドラジンの誘導体であるということで、 その分解物に一部変異原性があるのではないかという御指摘が過去よりございました。 そのことで、平成12年度には厚生労働科学研究において毒性の報告を文献検索しており ますが、当時は有効性の研究がメインでございまして、余り毒性の報告が見当たらない という状況でございました。  その後、平成13年度以降、アガリチンの分析方法ですとか標準品の開発、そういった 研究をし、また幾つかのアガリクスを含む製品の実際の測定をしていただきましたとこ ろ、アガリチンを多く含むものが幾つかあるということがわかってまいったところです。 そのような経緯から、平成15年度からアガリチンの毒性に関する試験を実施することに いたしまして、アガリクスを含む市販の3製品の毒性試験として遺伝毒性試験、それか ら中期多臓器発がん性試験を国立医薬品食品衛生研究所において実施していただいてお りました。  遺伝毒性試験の結果につきましては、今回問題になっておりますキリンウェルフーズ のもの以外はマイナスでございましたが、キリンウェルフーズの商品につきましては3 つの試験のうち2つに陽性が出ております。また中期多臓器発がん性試験につきまして もこのキリンの製品について結果が出たところでございますけれども、5つのイニシエ ータを投与した多臓器発がんでございますが、混餌投与で0.5、1.5、5.0という3つの 濃度で実施しましたところ、1.5%以上の濃度の群に発がん促進作用が確認されまして、 2月12日に研究所の方でそういった結果の最終確認ができましたので、13日に公表さ せていただいたところでございます。  こういった試験の結果を受けまして、この企業の方には自主的な販売停止と回収をお 願いいたしました。また、3の(2)にありますように、消費者に対しましてはこの製品の 摂取を控えるように注意喚起をしております。  また、平成18年2月16日付けのQ&Aが別の資料でございますけれども、こういっ た形のQ&Aを厚生労働省のホームページに掲載いたしまして情報提供をしております。 また、関係の団体、それから各都道府県に対しまして、この内容の周知の協力を要請し ているところでございます。  今はこのような状況でございますが、残りの2製品につきましては現在中期多臓器発 がん性試験の最終段階に入っておりまして、できれば今月中にこの結果を取りまとめて いただきたいということでお願いをしているところでございます。この結果が出次第、 食品安全委員会にその内容を報告とするとともに、広く公表する予定となっております。  ただ、最終段階にきております2製品につきましては特段問題となる所見は現在のと ころ確認されておりません。この3つの製品ですが、選定の仕方をよく御質問されるの ですけれども、広域に流通していて、一定期間継続的に流通しているものの中で製造方 法が違う3つの製品を選んでおりますで、その原因がアガリチンの含有量のせいなのか、 製造方法の違いによるものなのか、元のキノコが原因なのか、それとも何かコンタミが あるのか、その辺のことがまだわかっておりません。もともとの仮説といたしまして、 アガリチンという物質が疑われたために一連の試験に着手したわけでございますが、現 在のところアガリチンが原因かどうかということもはっきりしておらない状況でござい ますので、今後追加試験などを実施しましてその原因究明にも努めていく予定にしてお ります。  アガリクスに関しましては以上のとおりでございますが、厚生労働省で電話相談を設 置したところ、2月末までに2,500弱ぐらいのお電話をいただきまして大変反響が大き いところでございます。まだ毎日20、30件のお電話がございますので、できるだけ正確 な情報を提供してまいりたいと考えているところでございます。  企業の方にはアガリクスを含む製品が特保ではなくて一般のいわゆる健康食品である ということもございまして、食品衛生法、食品安全基本法の法律の趣旨から考えますと、 企業の方で提供する食品の安全性を確保する義務がございますので、こういったことを 機に自社の製品の安全性についてもう一度見直してほしい旨、呼び掛けているところで ございます。  また、アガリクスを含む製品については誇大広告の問題もございましたので、そうい った表示ですとか広告の在り方についてももう一度見直していただくように関係者には お願いを申し上げております。アガリクスに関しては以上でございます。 ○□□委員 何か質問はございますか。お聞きしたいことがあればどうぞ。  ○□□委員 この3製品というのは具体的に例えば今まで肝障害などの被害情報みたい なことは報告されているのでしょうか。 ○事務局 厚生労働省では、明らかに因果関係がはっきりしているものの御報告は受け ておりませんが、1製品については劇症肝炎の疑いがあるという御連絡をいただいたこ とはございます。ただ、担当の医師等に確認しましたところ、はっきりしないというこ とで因果関係不明という扱いになっております。  肝障害に関しましては、学会ベースで肺炎ですとか肝障害の御報告は結構雑誌に載っ ております。今回は3製品だけでございますので、これで肝障害との関係を言うのは難 しいんですけれども、今回の試験の中では病理の結果等においても肝障害は見られてい ないところでございます。 ○□□委員 このアガリチンという化合物は化学物質として胃を通過したとき、強酸性 で分解しないのでしょうか。腸管に達したときどういう形で吸収されるのか。その辺は 何かわかっているのですか。 ○事務局 耐性については合わせて御研究いただいているのですけれども、そこのとこ ろまではっきりまだ私どもも伺っておりません。  ただ、アガリチンそのものが毒性を持っているわけではございませんので、その分解 物質が実際に体内にあるのかどうかというようなことも問題になってくるという認識の 下で研究はしていただいております。 ○□□委員 多分、がん患者の人は手術後にアガリクスを使っている人がすごく多いん です。ですから、肝転移の出方とか、がんセンター辺りでまじめにやれば相当のデータ が出るのではないかという気がするんですけれども。 ○事務局 がんセンターからは副作用の報告などの発表はあったようでございます。ま た、四国の病院で有効性の研究をやるという情報もございまして、そういった臨床の場 面での物質に対する研究というのは幾つか過去からもあるようです。  また、この製品のうちの1つは我が国ではないんですけれども、国外で安全性と有効 性の試験をやっている製品もございまして、そういったデータも食品安全委員会の方に は併せて提出する予定になっております。 ○□□委員 ありがとうございました。 ○□□委員 この3つは同じ産地ですか。ブラジルなどからもきているでしょう。 ○事務局 もともとこのアガリクスというキノコはブラジル産なんですけれども、日本 人が生産し、食用にしたというような話もありまして、現在では国内でも結構生産され ております。  それで、3つのうちキリンウェルフーズの商品に関しては中国で栽培しておりますが、 企業のお話によりますと残り2社については国内のキノコからつくっているというお話 でございます。 ○□□委員 それでは、引き続きまして大豆イソフラボンについて御説明をお願いいた します。 ○事務局 資料4と書かれているものをご覧ください。これは3月9日の食品安全委員 会の資料でございますけれども、「審議状況」というところにございますように、平成 16年1月19日及び5月28日にかけまして厚生労働大臣から特定保健用食品の許可申請 にかかる食品健康影響評価依頼ということで、イソフラボンを含む3つの製品について 評価を安全委員会にお願いしておりました。  私どもといたしましては特保食品の許可の際の法律に基づく評価依頼としてお願いを していたところでございますが、食品安全委員会におきましてはこれらを含めて特定保 健用食品として通常の食生活に上乗せをしてイソフラボンを摂取する際の考え方という ことで、資料4−4にございますような考え方をおまとめいただいてきたところでござ います。  これにつきましては、18年2月20日の食品安全委員会新開発食品専門調査会で取り まとめられまして、3月9日の安全委員会に御報告されたものでございます。この安全 委員会での報告の後、今後4月5日までの間にパブリックコメントの募集が予定されて おります。大豆イソフラボンに関しましては国民の関心等が高いこともありまして、食 品安全委員会では東京と大阪でリスクコミュニケーションを実施するとともに、パブリ ックコメントを募集し、一般の方々の意見も踏まえて最終的な取りまとめをするという ことで伺っております。  この考え方に基づきまして、資料4の2ページ以降にありますようにこの3製品に関 する評価を行っていくことになっておりますので、最終的にはこの4の考え方が取りま とめられ次第、この3製品に関する最終的な評価結果もいただけるものと考えておりま す。 私どもも大豆イソフラボンに関する審議の間、そもそもの大豆食品に対する心配 などが起こりますといけないということで、その次の冊子にございます「大豆及び大豆 イソフラボンに関するQ&A」というものをつくりまして厚生労働省のホームページに 掲載し、今回の食品安全委員会での評価については通常の食生活に上乗せして特保とし てとる際の安全性に関する検討であって、伝統的な大豆及び大豆由来食品に関すること を問題にするものではないということを再三呼び掛けているところでございます。  そのようなことで、食品安全委員会の最終的な取りまとめを待ちまして、この3製品 に関しては結果をいただく予定になっておりますので、最終的な御報告が出ましたとこ ろでこちらの部会にも御報告させていただきたいと考えております。 ○□□委員 どなたか御質問ございますか。 ○□□委員 私はこの安全委員会の結論は、ものすごく論理的におかしいと思っている んです。  といいますのは、一方で100ミリもとっている人がいるわけでしょう。それで、大豆 アレルギーの人はイソフラボンが本当にいいとしたら大豆製品からとれないからサプリ メントでとろうということになるわけですね。そうすると、その場合30ミリまでしか安 全性は保証しませんよというのはすごく論理的におかしい気がするんです。ですから、 いっそ言うならば両方合わせて100ミリとか、80ミリとかという形でやればよりよいの ではないかというのが1点です。  それからもう一点は、少なくともヒューマンのエフェクトを言うんだったらメタアナ リシスをかけられるくらい論文がそろった時点でやるべきで、それまではウェイティン グというのが本当は正しい態度ではないかと思うんです。そういうメッセージは是非伝 えてほしいと思います。  そもそも最初は平均値プラスマイナス1SD、平均値プラス1SDなどという発想自 体がまるで正規分布がわかっていない人の発想ですね。やっとそこだけは95%に直して もらえたわけですけれども。 ○事務局 この数値に関しましては、この検討自体約2年かかって議論されております ので、いろいろな御意見があったようでございますし、また現在もいろいろな御意見が あるようです。  ただ、前回の議論をお伺いしたところ、産婦人科の専門医からも科学的な裏付けのあ る論文が少し少ないのではないかというようなことも御指摘があったのですけれども、 食品安全委員会としては一般の食品としてどなたでも自由に摂取できる状況なので、念 のためこういった一定の基準を示していこう。ただ、化学的な新たなデータですとか、 資料が提出されればまた見直していこうというようなことで取りまとめが行われたよう に伺っております。 ○□□委員 この問題は今はイソフラボンのことですけれども、特定保健用食品が錠剤 形態でもいいという制度になった時点で、いろいろな食品のある成分で濃縮された形が 評価に乗ってきます。そのときの安全性の試験をどういうふうなところまでやるべきな のかという問題から、恐らくこれも安全性評価は3倍以上、普通のいわゆる関与成分が 含まれている3倍以上ということからありますけれども、通常食品形態だったら豆腐の 形だと3丁、10丁食べることはない。でも、それがこういう濃縮されたものになれば5 倍や10倍食するかもしれないというところで、最初は10倍量の試験を義務づけようと いうことが果たしていいか悪いかという点から出発していると思います。  ですから、イソフラボンに限ったことではなく、こういう食品の試験のやり方の制度 に最終的には関わってくると思います。単品で物を言うということはもちろん非常に大 切ですけれども、試験のやり方をどうすれば日常の生活でこういう保健を期待した食品 を審査あるいは評価するべきかと思います。  どこで線を切るかということが、より大切なことになってくる。何もたくさん食べて 安全性を見るということではなくて、医薬品あるいは医薬部外品とのグレーゾーンの製 品というのは引っ掛かってくるわけです。第2評価調査会で出てきたものですから、ゆ だねたということがあります。1つの製品のどういう量ということよりも、こういう試 験をどういう程度で考えなくてはいけないかは将来的にはどんどん出てくる問題だと考 えています。 ○□□委員 治験のガイドラインみたいなものは公表されてあるわけですよね。そうす ると、それにのっとってやってきて何もなかった場合に、申請されてきているはずのも のをこういう別枠でやるんだったら、公平の原則から言うと、ではカテキンはどうかと か、コエンザイムQ10はどうかとか、審査に上がっていないけれども危ないものは世の 中にいっぱいあるじゃないですか。それのすべてを安全委員会が責任を持ってチェック するのかどうかというのは、相当微妙な難しい問題があると思います。 ○□□委員 例えばがん患者さんがどの程度食品などを含め代替・相補医療を利用され ているかというと、60から70%くらいは利用されているだろうといわれています。糖尿 病の患者さんでもやはり40、50%は何か健康食品などをとっておられるといわれていま す。  そういう意味では、幅広く代替・相補医療を種々の民間療法も含めてとらえると、か なり多くの国民がそれを利用している。だけど、それは企業の一方的な情報によってい るというのが現状です。特保は別としてですね。  そういう現状、また例えばアメリカでは代替・相補医療に関する科学的研究を推進す るための国立研究所ができているというふうな状況を考えまますと、安全委員会、ある いはこういう審査会での論議だけに任せるのではなくて、代替・相補医療あるいは健康 食品の有効性・安全性などに関し、国としてきちんと検討する研究所あるいはシンクタ ンクみたいなものをつくっていかないといけないのではないかと思います。 ○事務局 今、イソフラボンの方の御説明のときに漏らしましたが、この安全委員会の 評価結果が出ますと、これまで特保としてまとめてきたものをもう一度確認をしなけれ ばいけなということと、それから今後イソフラボンを含む特保製品の表示をどうするの か。この報告書によりますと、妊産婦、乳幼児にはお勧めできないというようなことも 書かれておりますので、このままこの報告がまとまりますと、そういった表示をしてい かなければいけなくなるのではないかという問題があります。  もう一つ、各方面から質問を受けておりますのは、この報告自体は特保に関する上乗 せ分の考え方をまとめていただいているんですけれども、特保以外の食品についてどう していくんだということがございます。それで、安全委員会でもそこには触れておられ ないのですが、特保ではないから関係ないというのもなかなか言いにくいところでござ いまして、その辺のことも議論しなければいけないと思っております。そのことで私ど もの方では少し専門の先生方に御意見を伺いまして、管理措置の在り方をこの報告がま とまるまでを目安に取りまとめをし、最終的には薬食審の御意見を伺って措置の方向を 決めたいと思っておりますので、またそういった形で御相談をさせていただくことを予 定したいと思っております。 ○□□委員 なかなか大変な問題になってきたようですけれども、この上乗せする基準 が資料4−4の17ページの国民栄養調査の95パーセンタイル値を基準にしていますね。 国民栄養調査は1日分なんです。そうしますと、個人間変動のみならず個人内変動が入 ってきますから、ものすごく分布の幅が大きくなっていくんです。1日分の95パーセン タイル値は非常に過大評価している可能性がある。 それで、この習慣的な摂取量の分 布に変換することというのが20年以上前にアメリカで言われておりますし、それを用い てこの95パーセンタイル値をよく見直さないといけないのではないかとも思っている んです。私はこれはかなり過大評価されているように思うんです。1日分の調査ですか ら、個人間変動プラス個人内変動が入りますので、できるだけ個人内変動を除いたもの で習慣的な摂取量の分布を見て95パーセンタイル値を算出しないといけないのではな いかと思っております。 ○事務局 先生方にお伺いしたかったのは、前に調査会でこの話を申し上げましたとこ ろ、こういった問題になりますと新たな製品が出てくるかどうかわからないのですが、 仮にイソフラボンを含む製品の申請があったときに過剰摂取試験をやっていいかどうか という問題が出てくるかと思っているんです。このような形で上限値が設けられたのに、 それ以上摂取していただくような試験は難しいのかなと思っておりまして、それでどの ような考え方で仮にこういったものの申請があった場合に対応したらよろしいかと思っ ているんですけれども。 ○□□委員 ヒトに対しては危うい量で介入試験をやるということは倫理上許されない と思いますから、それぞれの機関での倫理審査委員会の判断にゆだねないといけないで しょうね。だから、ヒト試験の要求は簡単にはできないと思います。 ○□□委員 今回は安全性を保証するという範囲と、本来上限値を設定するというのと 全く違う話じゃないですか。だから、安全性を保証した範囲とNOAELなりLOAELの 範囲がどれだけかというのは安全委員会でも全然わかっていないわけです。私たちも必 ずしも十分にわかっていないです。  だから、300ミリくらいは危険かもしれないけれども、その範囲くらいで本当に安全 で、どの濃度がエフェクティブなのかということも確実にわかっていないわけですから、 私はまずこれ自体非常に時期尚早のレポートだと思います。 ○□□委員 しかし、これだけ論文があるんですから、ある程度人間でのLOAELく らいには接近できるかもしれません。これだけの論文が収集されているわけですから、 上限量ULも推定できるかもしれません。  しかし、こういう問題については一般の人々は非常に過敏でありますから、科学的根 拠に基づいてきちんとしたことをされていくべきであるのは事実でしょう。  □□委員、消費者側からの意見はいかがですか。 ○□□委員 イソフラボンというのは、とにかく古くから食べ続けてきたものなんです。 それがこういう衝撃的な話というのは、かなり皆さん過敏になっていることだけは事実 だと思います。  またもう一つ、私たちの中では健康ブームというのがブームと言われるだけあってす ごいんです。それで、今、先生がおっしゃられましたけれども、何かそれだけ食べてい ればいいような感じで食べている方たちもいっぱいいらっしゃる。  今年、食育基本法が制定されました。この問題がある意味でそういうことを冷やすと いうことになればいいのかなと考えています。BSEが食にリスクありきということを 再認識させたという意味で、ある意味ではプラスになったと思っていますが、そういう 形になればいいなとは思っているんですけれども、日本の伝統食として納豆などという ものは神話的に考えている人たちはたくさんいらっしゃるのに、これでどうなるのか心 配です。そうでなくても自給できていないのに。これで大豆の生産に悪い影響の出るこ とを心配しています。  今まで知らず知らずに本当は不健康なものを食べ過ぎていたかもしれないという事実 を突きつけられたように思いますので、できることなら摂取上限量を提示していただけ たらと思います。  「特保」はそれなりに期待して使っていらっしゃる方は大勢いらっしゃいますので、 その分不安も大きくなりがちです。そうした「不安解消」のための努力、広報こそお願 いしたいと思います。 ○□□委員 消費者のお気持ちはよく伝わったのではないかと思います。私もいわゆる 食事摂取基準の上限量というものを決めたんですが、それはちょっとイソフラボンと違 うのかもしれませんが、これはビタミン、ミネラルなどの必須栄養素に限られている話 ですけれども、そのものが普通の食事からとっている限りは副作用はほとんど起こらな いし、上限量に届きようもないんです。イソフラボンの場合もどうなるか知りませんが、 今の納豆とか豆腐レベルであるならば長年の食経験もありますので、私はその辺りは比 較的楽観しているんです。しかし、エキスや錠剤やカプセルにしたときにはどうなるか。 水溶性ビタミンなどはサプリメントで大量に摂取してもどんどんおしっこへ出ていくだ けですけれども、脂溶性ビタミンでは結構深刻な副作用が出るものもあります。同じ量 であっても通常の食事からとるのか、サプリメントでとるのかについても考えなければ なりません。サプリメントでは、通常の食事で想像もつかない程の過剰摂取につながる こともあります。このような研究が消費者の方への御期待にこたえるのではないかと思 います。  普通の食事までだめだと言うと、先ほど事務局のおっしゃった食塩みたいな話にもな ってきますので。 ○□□委員 古い話ですが、複合汚染という言葉が小説ではやりました。あれ以来、食 べ合わせですとか、同じものを食べている、種類を食べている。そこから想起させる危 惧、不安というものがすごく強いというのが一般ではないかと思っております。 ○□□委員 □□先生、何かコメントはございますか。 ○□□委員 やはり安全性の問題というのは非常に重要な問題ですので、栄養機能食品 のときもそうなんですけれども、結局その上限で我々は評価するときに、上限が設定さ れてそれを超えた安全性を評価するというのはなかなか難しいということがあって、こ のイソフラボンに関してもそういう話が今後出てくると思いますので、先ほど言ったよ うにこういう特別な調査会とか部会という話ではなくて、専門的にそれを検討できるよ うな場が必要になってきているのかなと。  特保の審査をしていて難しい部分が安全性に関してはありますし、有効性に関しても もちろんあるのですが、特定の成分を濃縮して食べるという状況になっていますので、 食経験と言っても結局食経験はあくまでも少ない量というのがほとんどのケースですか ら、それをこういう形で有効成分だと言われているものを濃縮して過剰にとる状況とい うのは、やはり食経験があるとは言えない状況になりつつある。  しかも、それを2つも3つも合わせてとるような状況になったときにはかなり多い量 を摂ることになるので、これだけ許可品目が増えてくるとそういう懸念も出てくると思 っています。 ○□□委員 □□先生、いかがですか。 ○□□委員 これは特定保健用食品という制度を創設した段階で生じることが予想でき た問題です。そういう意味では出るべくして出てきた問題というふうな感じがします。  特定のかなりの量の機能成分を長期間摂取することについての安全性に応える研究が 日本では十分に進んでいないというのも現実です。例えば現在アンチエイジングのため のサプリメントが大ブームになりつつありますけれども、本当にいいのかというのはだ れも知らない。ただ、言いたい人が言っているという状況です。ですから、そういった サプリメントを長期摂取することにより将来起こりうるであろう危険性等も含めて、や はりもう少し系統的にそういうことを考え、検討していく部門をどこかにつくっておか ないと、後手後手の対応に追われるというようなことが延々と続くのではないかと思い ます。 ○□□委員 □□先生、いかがでしょうか。 ○□□委員 先ほど□□先生がおっしゃったように、私もそういう専門の機関あるいは 調査機関でも研究所でも、そういうものを設置してこのイソフラボンや先ほどのアガリ クスにしてもまず情報収集と、それから適切な実験を行うような機関をつくっていかな いと、このようなサプリメントあるいは新開発食品のようなものが登場したときに、過 剰にとったときの問題が余りはっきりわからないということでは安心安全が確保されな いのでは、何かそのような機関を考えていかないと私はやはり無理ではないかと思いま す。 ○□□委員 □□先生、いかがですか。 ○□□委員 いろいろなサプリメントを広げる場合には本当にそういうことを考えなく ちゃいけないですけれども、私は先ほど事務局が言われたように次にイソフラボンの豆 乳が出てきたとき、3倍量飲めという試験をやりなさいというふうに返すか、返さない かという差し迫った悩みを持っています。  確かに大豆、豆乳はいい食品であると思います。それと同時に、こういう形である意 味では健康表示というのは教育と一緒になったもので、それがゆがめられていくのが怖 い。いい意味でのゆがみの部分もありますけれども、悪い意味でゆがめられているのが 怖いなと今、一番私は思っていることです。 ○□□委員 もし安全委員会で上限値みたいなものが決められたら、やはりその安全係 数をかけて、例えばそれの3分の1以下で効果があるか、ないか、安全性は問題がある か、ないかを検証してもらう。安全係数をどこに置くかは問題ですけれども、そういう ことが特保の審査としてはできることだろう。そのことが本当に科学的に有効かどうか はまた別次元の問題であると思いますけれども、やはり特保としては安全性を十分に担 保した上で、なおかつ効果が出るかどうかということの検証を問われるのではないかと 思います。  だから、上限ぎりぎりの製品に関しては安全性の担保を非常にしにくいという意味で、 やはり今の段階では安全委員会のこういう回答が出た段階では認め難いということにな るのではないか。 ○□□委員 それは安全性の範囲と、いわゆる3倍までというのはどのように摂取をし ている量の3倍なのか、いろいろな値が出てくるじゃないですか。LOAELの例えば 3分の1なのかとか、そこはやはり相当ディスカッションを重ねないと難しい問題があ ると思います。  例えば、トランス酸などは心筋梗塞のリスクについてアメリカなどでは相当定着しつ つありますが、日本人の摂取量などというのは結構とっていますでしょう。そうすると、 それが引っ掛かってくるということになると、結構だめになっちゃうものが増えます。 だから、どうなるのか。本当に食品の安全とは何なのかということをどうもどこかでき ちんとディスカッションしないとだめなんじゃないですか。 ○□□委員 新開発食品というのはすばらしく夢のあるものですし、いつも□□先生が おっしゃられるのでよくわかるんですけれども、メリット部分というものが宣伝されて しまっている。実際に受ける人間のところには先生方のような開発途上というか、審査 をするとか、そういう部分でどうだということを御存知ではなくて、売らんかなの段階 で売られてくるんです。それで、テレビ、新聞、雑誌といったところを通して、これは こういうものでこんなにいいものなんだ、ああなんですというメリット部分のみが強調 されてきてしまうんです。  そのときに、この自由社会で規制をかけるというのはなかなか難しいとは思うんです が、これにはこういうメリットがあるけれども、こういうデメリットもあるんだよとい う話が必ず付いてくる。今でも付けなければいけない部分はあるんですが、小さくて読 まない。それで、期待する人間はいいところだけを取りますので、なかなかうまくいか ない。そのデメリットの部分が周知できないというところが一般的にあらゆる事柄に関 して、別に新開発食品ということではなくて、あらゆるものに対してそうだという気が するんです。  そういうことが一般的な人間ですから、例えば平均的にそんなに上限が決められてい て、上限に達するほどとる人間は少ないというのが一般であったとしても、たまさかそ こに共振してとってしまう人間もいるかもしれないわけです。そのときどうするんだろ う。知らなかったあなたが悪いのよと突き放せるのかどうか。自己責任と言われても、 多分表現が違うような気がするんですけれども。 ○□□委員 私は別にサプリメントを推進しているわけではなくて、食事できちんとと るべきだということを主張しているんです。ですけれども、現実には週刊誌でも新聞等、 本当にサプリメントでこれを飲まないと自分はどんどん老化してしわしわになって病気 になりそうな宣伝が多いですね。ですから、基本的にはやはり消費者が賢くならないと だめだと思うんです。  それで、そういう情報が例えば健康・栄養研究所ではホームページで出しているわけ ですが、何かが危ないと発表されたときは200万くらいのアクセスが出てコンピュータ がパンクしてしまったんです。ですから、そういう仕組みを国としてどこかでつくるよ うに消費者の方々から要求が出ていかないといけないと思うんです。なかなか本当に何 を食べたらいいか。うちなどの立場ですと、口に入ってくるものすべてを包括的に考え て、相互作用とか、そういうものも考えて、本当にどういう食事なり、摂取したものが 健康に影響あるのかというエンドポイントまでつないで考えようと思っているんです。  ですから、そういうものは是非消費者団体の方で御支援いただければと思っておりま す。 ○□□委員 それでは、もう一つの資料を今、配っていただきましたのでコエンザイム Q10について説明を事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは、御説明申し上げます。 コエンザイムQ10に関しましては、食薬 区分の見直しに伴いまして食品として販売できるものの中に含まれております。そのよ うなことでかなりたくさんの企業がこれを製品にし始めておりまして、コエンザイムQ 10を含む量についても会社によってまちまちになってきております。  医薬品として上限値は、1日30ミリグラムでございます。ところが、サプリメントと して国内でも60ミリくらいのものも売られておりますし、アメリカなどでは100ミリ、 200ミリのカプセルもございます。そういうことで、どのくらいのものが出てくるのか。 食品ですので基準がございませんものですから、果たしてどんな製品が売られるように なるかも把握できないという状況になっておりました。  また、一方ではこのコエンザイムQ10による健康被害も報告されておりますので、そ ういったことを含めて食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しましたところ、まだ 具体の議論が進んでいるわけではございませんが、こういった特保以外のいわゆる健康 食品についての評価依頼というものの在り方ですとか、これを評価する際にどのくらい の資料が必要かというようなことが今、主に議論されております。  そこで、資料3のような内容で、先般の食品安全委員会新開発食品専門調査会におい てこの資料が配布されました。この資料を拝見いたしますと、なかなかコエンザイムQ 10というものの摂取目安量の上限値等を示すための評価を行うことは困難であろうと いうような御意見になっておりまして、仮に安全委員会の方で上限値なり、安全性の評 価が現時点では難しいということになった場合、こういった製品についてどう考えたら いいだろうかという宿題が私どもにまた残されるのかなと思っております。  もともと厚生労働省では指導ベースではございますけれども、従来医薬品として使用 されていたものについては、原則その医薬品としての上限値を守る必要があるというこ とを通知しております。ですから、原則に立ち返れば30ミリというものを守っていただ くように指導していくのかなと思っているんですけれども、実際はそれを超えたものが もう既に売られ、一部の専門家の中では100ミリ、200ミリ使用しないと効果が発揮で きないんだというようなこともおっしゃる方もおられて、なかなか難しい状況になって おります。  こういうものが今後、薬と食品との区分の見直しの中で出てくる可能性もございまし て、こういうものについてどう考えていったらいいんだろうというところで、御意見が あればお伺いしたいと思っております。 ○□□委員 結局、栄養機能食品もそうですね。栄養機能食品は上限値は医薬品で決め られている値以上を超えないという話できていますね。これも自由に販売したらいいわ けですね。もし栄養機能食品だったら上限値が設定されるということで非常に矛盾点が あるわけです。  □□先生、どうぞ。 ○□□委員 こういうふうによく売れたものに関しては当然クレームが多くなりますの で、重い腰をあげて調べ始める。これでは全部後追いになりますね。  こういうものを安全性という側面から大規模臨床試験という手間、資金のかかる方法 ではなくて検討する方法としては薬剤疫学的な手法があります。例えば、コエンザイム Q10がよく売れている地域を特定し、そこの住民にコエンザイムQ10を含んだ製品を摂 取しているかどうか、何か最近変わったことがないかどうかということをアンケートす る。  それで、コエンザイムQ10をとっている人の何らかの病的な現象の発現率と、そうで ない人の発現率を比較する。それは疫学的な手法が一つの検討手段としてはあり得る。 または、コエンザイムQ10の製造業者に頼んで厳密な意味でのダブルブラインドをやっ てみる。それが種々理由で計画できない場合には薬疫学的試験をモデル地区を選んでや るということです。 ○□□委員 □□先生は臨床の場におられるのでお聞きしたいんですが、例えばビタミ ンB1などは術前術後管理とか、あるいは大量に入れられていましたね。 ○□□委員 現在はやっていません。昔はいいだろうということでやっていましたが、 有効であるという根拠がないということでやらなくなっています。 ○□□委員 コエンザイムはある症例に対して、ある疾病に対して大量に投与するとい うようなことは現在あるんですか。 ○□□委員 あり得ません。薬剤的な使い方をした場合の注意点は、日本人と欧米人で かなり安全性の基準が違うということです。  例えば、非常によく使われている薬剤の一つにコレステロール低下薬であるスタチン 系の薬剤がありますね。スタチンに関しわが国での常用量は欧米の常用量の4分の1く らいの量です。欧米の方と同じくらいの量を日本人が服用しますとすごい頻度で副作用 が出てきます。コエンザイムQ10に関して同じようなことがあるかどうかはわかりませ んが、欧米ではこれくらい摂取してこういう効果が出ているから日本人も同じ量摂取す べきと宣伝する人はするでしょうけれども、安全性は全く保証できないということです。 そういう意味で、コエンザイムQ10に関する欧米の安全基準を日本に持ち込むというこ とは多分、非常に大きな危険性を伴う。これは認識しておかないといけないと思います。  あとは、かなり理論的に考えてこうなんだから摂取すべきという宣伝がなされること が多いのですが、実際期待した効果が現れるということが科学的に立証できる確率はか なり低いということも現実ですから、広告を見た場合には誇大広告ではないかという検 討も加えることが今、多分行政ができることではないかと思います。 ○□□委員 食事摂取基準のミネラル、ビタミンの上限量設定に当たって非常に詳しく 文献等を調べたんです。人間の場合は実験的に副作用に関するドースレスポンスを検討 することはできないわけですので、データはほとんどありませんでした。やはり臨床の 場でかなり大量投与をしたというときに副作用が起こってきた症例報告を原則的には集 めてくる。アメリカなどですとサプリメントを、それこそ□□先生の話ではないですが、 「やせてやれ」ということで1瓶飲むとかというような例から、だんだん一番少ない量、 人間のLOAELに接近しているのです。これはビタミン、ミネラルに限っていますが。 だから、コエンザイムQ10も多分そういう症例があればというようなことになってくる のではないかと思ってお聞きしたんです。 ○□□委員 コエンザイムQ10は、心不全の薬として市販されています。ですから、あ る程度のデータの蓄積はあると思います。  ただ、純化して錠剤にした薬と健康食品で売っているものとでは全然違うんだと言わ れると、反論は難しいというところはあります。 ○□□委員 こういうものも、事故例の積み重ねにならざるを得ないという感じがしな いでもありません。歴史的にミネラル、ビタミンは皆そうでした。臨床の場で、それは そのとき必要であって大量投与されているんですけれども、そのときに何例か副作用が 起こってきた。あるいは、サプリメントですと一般の人がいろいろな目的があってボト ル1本飲んだとかという例があったときに起こってきているということです。そういう ものの症例を集めてきて、これくらいがLOAELだろうと推定してきました。そして、 何分の1かで割って上限量の設定をやっていますから、もしコエンザイムQ10でもそう いう健康障害が出てきているのでしたら、人間の場合はそういった症例から上限値にア プローチせざるを得ないように思います。  それでは、議論も出尽くしたようでございますのでこれで終わりたいと思いますが、 事務局から何かございますか。  では、どうも長時間にわたってありがとうございました。これで終わりたいと思いま す。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室 TEL:03−5253−1111(2458)