06/03/09 労働政策審議会第21回雇用対策基本問題部会議事録     第21回 労働政策審議会 職業安定分科会 雇用対策基本問題部会 1 日時  平成18年3月9日(木)10:30〜12:20 2 場所  厚生労働省職業安定局第一会議室 3 出席者 委員 (公益代表)            諏訪部会長、北村委員、椎谷委員、白木委員          (労働者代表)            成瀬委員、野村委員、長谷川委員、原委員、山川委員          (使用者代表)            荻野委員、奥田委員、片野坂委員、郷農委員、成宮委員、            樋渡委員              事務局  高橋職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、            石坂特別訓練対策室長、篠崎需給調整事業課長補佐 4 議題  介護雇用管理改善等計画の改正について 5 議事内容 ○諏訪部会長   皆様、おはようございます。ただいまから、第21回労働政策審議会職業安定分科会雇 用対策基本問題部会を開催いたします。お忙しい中をご参集いただきまして、大変あり がとうございます。  本日の委員の出欠状況です。欠席の委員が公益代表の大橋委員、小幡委員、労働者代 表の池田委員の3名の方々です。  議事に入ります。本日の議題は、「介護雇用管理改善等計画の改正について」です。本 件については、2月16日の基本問題部会での意見を踏まえ、事務局において必要な修正 等を加えた上、再度議論をすることにしておりました。最初に、お手元に配付されてい る資料の説明を事務局からお願いいたします。 ○需給調整事業課長補佐(篠崎)   資料の説明をいたします。  お手元の資料、1と2とあります。資料2は、前回ご提出した介護雇用管理改善等計 画の関連資料です。正社員・非正社員のアンケートにおける注釈が若干わかりづらいこ と等があったので、そういった注釈を書き加えた上で、前回と同じ資料を用意しており ます。  資料1を中心に説明いたします。資料1については、いちばん初めに「介護雇用管理 改善等計画の改正の基本的考え方について」というA3の紙を付けております。これは 「現行の計画」と今回の「改正に当たっての基本的考え方について」というもので、前 回の基本問題部会で提出させていただいた資料と同様です。  次の頁、介護雇用管理改善等計画の現行の案と改正案の比較表です。前回のご意見を 踏まえて修正した箇所については、赤字で記載しております。修正点を中心に説明させ ていただきます。  1頁目、「計画策定の目的」です。前回の部会において、賃金に関する記述をすべきで はないかといったご趣旨のご意見をいただきました。ここについて、「賃金、労働時間、 健康面等の不安や不満が多く見られるように」という形で、労働者が感じる不安や不満 についての例示という形で記載を加えさせていただいております。  2頁目です。前回の部会において、介護サービスの効率化の観点等についてもそうい った視点からの記述をしてはどうかといったご趣旨のご意見をいただきましたので、修 正をさせていただきました。読み上げさせていただきます。3行目からです。  このような課題に対しては、事業主がその雇用する介護労働者について労働環境の改 善、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善等を図るために必要な措 置を講ずることにより、その福祉の増進に努めることが必要であるとともに、事業運営 の効率化等を図ることを通じ、介護労働者の雇用管理の改善等に資するよう取り組むこ とも望まれる。また、国としては介護労働者の福祉の増進を図ることを目的として、事 業主の雇用管理の改善等に関する自主的な取組を支援する等、所要の施策を推進してい くことが必要であり、その際には、介護分野における労働の特性、社会保障施策との連 携に留意するものとする。  以上のような形で、「事業運営の効率化を図ることを通じ、介護労働者の雇用管理の改 善等に資するよう取り組むことも望まれる」といった記載を付け加えております。  3頁目です。後段ですが、介護保険法の規定に基づく「介護保険事業支援計画」、「介 護保険事業計画」の策定主体について正確性を期すための修正をさせていただいており ます。  4頁目、「介護労働者の供給の見通し」です。前回の意見を踏まえ、修正を若干させて いただいております。読み上げさせていただきます。  労働力人口全体については、人口が減少すると見込まれる中、より多くの者が働くこ とが可能となるよう、若者、女性、高齢者等への就業支援を行うことにより、平成17 年から平成22年にかけては概ね横ばいとなることが見込まれている。以上のような形の 修正をしております。  5頁目、「計画の目標」です。前回計画の目標については、事務局として口頭で「例え ば」という形で発言させていただいた部分がありますが、今回は、文章として入れ込ん でおります。読み上げさせていただきます。  介護労働者が誇りを持って生き生きとその能力を発揮して働くことができるようにす ること等のため、一定の到達目標を掲げ、計画期間中における達成を目指すこととする。  続いて、1、2、3と3点あります。  1.介護労働者の離職率について。介護労働者の離職率については、平成15年12月 から平成16年11月の1年間で約21%であり、平成16年における全産業の平均的な離 職率である約16%に比べて高い状況であることを踏まえ、20%を下回るものとするとと もに、全産業の平均的な離職率との乖離をできる限り縮小する。  2.介護労働者の教育・研修の実施率について。介護労働者の能力向上のための教育・ 研修の実施率については、平成16年における正社員(雇用期間が定められていない正規 社員)では約83%であり、非正社員(雇用期間が定められている者)では約64%という 状況であることを踏まえ、全体の実施率を高めるとともに、正社員と非正社員との実施 率の乖離をできるかぎり縮小する。  3.介護労働者の仕事の満足度について。介護労働者の現在の仕事の満足度について は、その向上を図る。  計画の目標については、前回も離職率、教育・研修、仕事の満足度の3点を挙げまし た。離職率については、例えばできるだけ20%を下回るといったことに対しては、具体 的な目標値を書くべきではないか、あるいは、その産業全体、経済・社会情勢の変動、 介護分野における特性等いろいろあるのではないかといったご指摘もありました。した がって、「20%を下回るものとするとともに、全産業の平均的な離職率との乖離をできる かぎり縮小する」といった形で経済・社会情勢や介護労働分野の特性も踏まえつつも、 全体としては離職率の低下を目指すという記載にさせていただいております。  教育・研修については、前回は正社員と非正社員の乖離をなくすといった形の提案を いたしました。今回は、まず正社員、非正社員を含めて全体の実施率を高める、それか ら正社員と非正社員との実施率の乖離をできるだけ縮小するといった案にしております。 こういった中で、介護労働分野における特性も踏まえて非正社員における研修もできる だけ上げていこうといった目標にしております。  同じ6頁目の左側です。第四の1、「介護労働者の雇用管理の改善等」の「等」を削っ ております。以前は「その他」という項目があったので「等」を入れておりましたが、 これを削っております。  9頁目、「介護労働者の能力の開発及び向上」です。以前、計画全体として雇用の創出 から雇用管理、能力の開発に力点を置くといったご説明をいたしましたが、前回の案に おいてその趣旨を十分に反映しきれていない部分があったので、修正いたしました。9 頁の最後の行から読み上げさせていただきます。  介護労働者がその能力を発揮して働くことができ、かつ事業主が良質な介護労働者を 十分に確保できるようにしていくために、事業主の行う雇用管理の改善のための取組を 支援していくことと併せて介護労働者の能力の開発及び向上を図る必要がある。このた め、以下の施策を推進する。以上のような形の修正をしております。  資料の変更点の説明は以上です。 ○諏訪部会長   ありがとうございました。これらの修正点などをめぐり、皆様にご議論をいただきた いと思います。最初に、ご質問があればお出しいただけますでしょうか。よろしいです か。それでは、ご自由にご議論いただきたいと思います。 ○原委員   今回、前回の議論を踏まえてかなり修正していただき、評価をしたいと思うのですが。 第1点、1頁、改善計画の改正案です。賃金、労働時間、健康面などが明示されたこと については評価したいと思います。それに対し、2頁の「このような課題に対して」の くだりに現状認識が十分に反映されていない。前回も申し上げたように、定着率が低い ことを改善するためにも、また良質な労働者を十分に確保するためにも、決め手は賃金 の高さです。能力開発云々についても、動機づけをするためには、こういう能力を確保 すれば賃金が上がるといったことが非常に重要だと思うのです。このような課題に対し て「労働環境、教育訓練、福利厚生」云々と3つしかないのですが、決定的な要素は、 賃金問題への言及ではないかと思います。1頁に「賃金、労働時間、健康面等」と明確 に書かれているにもかかわらず、賃金や労働時間の問題等についてこのような問題があ るという問題点をこのように改善するという明確な表現がないのか、ということについ ては質問と言いますか、意見と言いますか、申し上げておきたいと思います。  2点目です。前回も申し上げたように性善説に立つかどうかという問題もあるわけで すが、7頁で気になるのは、「事業主の理解を高め」とか「気運を醸成する」などと書か れています。これはこれでいろいろな施策をしながら誘導していくということも大事で すが、厚生労働省からの一定の強力な指導といったことの問題意識も必要ではないか、 このように思います。  3点目です。前回私から、労働団体、これらに関連して産業別労働組合があると思う のですが、そういった団体との話し合い、ヒアリングといったものをやるべきではない かと申し上げました。8頁の(3)の介護分野の団体の中に労働団体が含まれるのかどうか。 これは冒頭に質問すればよかったのですが、意見を含めてその言葉の中身について質問 しておきたいと思います。 ○諏訪部会長   いまご質問、ご意見をいただきましたが、質問の部分を中心に事務局の側でご説明い ただけますか。   ○需給調整事業課長(坂口)   事務局から、質問の部分を中心にお答えします。  まず、3点あったうちの1点目についてです。1頁については、まさしく雇用管理等 の面で解決すべき課題の背景としてどういったものがあるかということについての記述 の中で、前回も資料でご説明したとおりの労働者の不満や不安があるということで具体 的に書かせていただいたわけです。いま原委員からお話のあった課題に対する対策とい う部分については、前回のご質問あるいはご意見に対しての答えでもさせていただいた とおりです。使用者が現実に個々の雇用管理改善としての賃金体系の在り方をいろいろ 工夫したいといったことはあるにせよ、賃金の水準そのものについては、労使間のお話 し合いの中で解決していただくという部分ではないか、ということからここではそうい ったことについては記述をしていない、ということがご質問に対するご回答になろうか と思います。  2点目です。7頁、事業主の理解を高め、気運の醸成ということに留まるべきではな くというような形でやるべきではないかという、ご意見というかご質問かと思うのです が。全体としてこの計画の成立ちの根拠は、前回もご説明したように介護労働者の雇用 管理改善の法律に基づいて定めるもので、いわゆる最低限の労働条件等を定めてという ことではなく、事業主の取組を支援する中で全体として介護労働者の雇用管理改善等を 図っていこうというものです。全体としては、事業主の方々の自主的な取組をどう押し 進めていくかといった観点で施策もやっていく必要があろうということが法律のスキー ムからも出てくるわけです。したがって、強い指導という形ではなく、あくまでも助言・ 指導、支援といった形での内容が全体の施策体系のスキームとして出てくるということ から、かような記述にさせていただいているということです。  最後は、8頁の(3)の雇用管理改善を進める参考となるモデルを作るための事業です。 ここの部分についても、前回もご質問がいくつかあったわけです。これは平成18年度の 新規施策として予定しておりますので、今後、予算の成立後、具体的な形で取組をして いくということです。現実にはまずメンバーにお集まりいただいてということです。事 業の趣旨としては、現在、事業主の方々あるいは団体で雇用管理改善に向けての取組を いろいろ工夫されながらやっているといったものを拾い上げながら、介護事業者に幅広 くフィードバックする中で参考となるようなモデルを作っていこうということです。こ こで言う介護分野の団体事業者という、いわばその雇用管理を実際に行っていらっしゃ る方を中心に集まっていただこう、ということでスキームとしては考えているわけです。  ただ、前回もご質問がありましたが、実際にいろいろ介護の現場で働いておられる方 の実情をどのような形で把握していくかということは、実際にこの検討会をしていく過 程の中で委員の方々も含めて必要であるということであれば、そういったこともあり得 るのではないかということで考えております。いまの段階ではそういったことを予定し ている、ということで事務局としてはお答えしたいと思います。 ○諏訪部会長   よろしいですか。 ○原委員   いや、よくないのです。各委員が意見を述べると思うのですが、賃金問題、労使で解 決してくださいと。民間の場合には基本的に労使で団体交渉で決めていく、最賃の規制 も当然ある中で労使で決めていくのです。現実問題、労働組合のない所も多いし、混乱 も起こっている。移動時間の問題についての不払いなど、そういったことについてせっ かく問題ということで挙げているわけですから、それらについても善処しなければなら ない、そういうくだりがあってもいいのではないか。私はあくまでもこの場で即解決云々 ではなく、課題としてこうすべきだということで絶えず意識づけをやっておく必要があ るのではないかと思うのです。自主的では解決しないのですから。労働組合のない所が 圧倒的に多いと思いますので、その点についての厚生労働省の指導が非常に重要なウエ イトを持つのではないかと思います。  それと、これは意見にしますが、8頁の介護分野の団体をどうすべきかということに ついては、労働者が結集した労働組合の立場で、ああすべきだ、こうすべきだとかなり 真剣に考えています。そういう意味では、NPOもあると思うのですが、やはり労働団 体の意見を聞くということを明示されてはどうかとも思います。 ○諏訪部会長   樋渡委員、どうぞ。 ○樋渡委員   いま2頁の所について賃金水準のお話がありました。基本的には労使が決めていくべ きものではありますが、この分野に関しては介護保険制度の仕組みの中で決められてい くという部分もあって、事業主だけで決められるものではないという分野です。2頁の 最後の辺りに、国が支援する際に「介護分野における労働の特性、社会保障施策との連 携に留意する」という書きぶりがあります。これは事業主のさまざまな管理にも介護保 険制度の仕組みが関わってくるもの、そういう背景があるということを言っていると思 います。ですから、賃金の水準のことについて特記するのはそぐわないのではないかと 思います。 ○諏訪部会長   成瀬委員、どうぞ。 ○成瀬委員   すみません、樋渡委員に質問したいのです。いまのご意見は、1頁の「しかし」の段 落の所に書いてあるのもそぐわないという意味なのか、ここはいいのだけれども2頁の。 ○樋渡委員   2頁の所です。いま「賃金水準」という言葉をおっしゃったので、そこにかかる意見 です。 ○成瀬委員   その上で意見を申し上げたいのです。いま樋渡委員は賃金の問題は国の介護保険の制 度とも関係があるのでとおっしゃいましたが、それはいかがなものかという気はします。 賃金水準の問題は、事務局から労使自治云々ということも言われており、使用者側とし て国の制度の現状がこうだから賃金水準が低く抑えられているという認識を持っている のか否か、そこはお聞きしたいと思っているところです。 ○諏訪部会長   関連してですね。 ○荻野委員   ええ、関連して。実は前回、いまの議論もそうだったのですが、いまも成瀬委員がお っしゃいましたが、賃金水準が低く抑えられているという、わりと共通の認識で議論が 進んでいると思うのですが、それが事実なのかどうかということを教えていただきたい と思います。今回の修正された1頁の書きぶりですと、不満があるというのもよくわか るのですが、例えば私どもの会社で言っても、労組は賃金や労働時間に不満があるとい うわけです。不満がイコール低いということではおそらくなかろうと思いますので、今 回これを拝見して少し意外に感じたところです。ですから、賃金が他の業種、職種に比 べて明らかに低い、労働時間が明らかに長いという実態が本当にあるのでしょうか。 ○諏訪部会長   そこのところは事務局の側から。 ○需給調整事業課長   いまご質問のあった介護労働者の賃金の実態として、今こちらで把握できている状況 ということです。前回も申し上げたとおり、賃金は何とどのように比べるか、どのよう な働き方、どのような考え方で比べるかということもあります。その点についてはいろ いろ難しい部分があるのではないかと思いますが、全般的な統計的なデータとして申し 上げると、平成16年の賃金構造基本統計調査によるというものです。ホームヘルパーと いう括りでの平均時給については、パートタイマーを除いた一般労働者では約1,210円、 パートタイマーでは約1,200円となっています。同じ調査で産業計を見ると、一般労働 者では1,820円、パートタイマーでは930円となっています。  ただ、先ほどホームヘルパーの平均時給のみを申し上げましたが、同じ調査で福祉施 設介護員の平均時給で見ると、パートタイマーを除いた一般労働者では約1,260円、パ ートタイマーでは約970円となっています。データとして申し上げますと、以上のとお りです。   ○荻野委員   労働時間はいかがですか。資料をいただいていましたか。ないですよね。 ○需給調整事業課長   資料には入っていないです。 ○原委員   ちょっといいですか。 ○諏訪部会長   原委員、どうぞ。 ○原委員   荻野委員、賃金は高くないのです。トヨタのアンケートで組合員が不満だと、それは 組合員は言うと思いますよ。しかし、レベルが違うのです。トヨタの組合員の不満のレ ベルと介護労働者の不満のレベルの差があまりにも大き過ぎるのです。ですから、彼ら がトヨタぐらいの賃金をもらっていたら、そんなに言わないと思いますよ。 ○荻野委員   すみません、誤解を与えたかもしれませんが、労働条件を改善することを否定してい るわけではないのです。それは当然しかるべき改善の努力は労使ですべきだと思います が。 ○原委員   ですから、低いのかということに関して疑問をもたれては困るのです。これは低いの です、現実に。 ○荻野委員   すみません、低い・高いは確かに先ほどの価値判断の問題だと思いますが。ここで不 満があるから改善するという、この書きぶりはどうか。 ○原委員   うちの組合員でも不満だと言っていますよ。それぐらいの時給、日給を払っているの だったら我々も言いません。 ○荻野委員   すみません、こだわりますが、介護労働者については賃金、労働時間云々と書いてあ りますので。不満があるのは介護労働者だけではないでしょう。こういった改善計画を 作る根拠とされるのであれば、例えばいまおっしゃった数字を挙げられて、このように いま低位の水準にある、賃金と労働時間もこういう水準だと。健康面なども非常に客観 的な評価になってくると思いますが。そのようにしないと何かおかしいのではないかと。 ○原委員   介護労働という労働について時給1,200円というのがどうなのかという問題について は、やはり議論すべきだと思います。 ○諏訪部会長   片野坂委員、どうぞ。 ○片野坂委員   私もホームページを調べてみたのです。介護ジョブ求人サイトというのを見たら、登 録型のホームヘルパー、非常勤で1,300円から1,800円とあり、常勤の正社員の場合は、 月額で16万円から22万円とありました。きっと幅があるのだろうと。瞬間的には、極 端に低いとは思いませんでした。これは個人的意見ですが。  その隣に看護師の場合、非常勤は1,300円から2,500円、正社員は、月額で19万円か ら35万円とありました。  これは、とあるホームページで一般に募集を呼び掛けているものだったのです。ここ から先は、看護師に比べるとホームヘルパーは低いと表示されているのです。しかし、 非常勤で1,300円から1,800円という数字は、一般的に私などが付き合っているいろい ろなグループ会社の正社員・非正社員の水準から言ったときに、必ずしもそれほど低く はないという印象を持ちました。それが1つです。  もう1つ。今日も朝、NHKでやっていましたが、ホームヘルパーの仕事の例で、洋 服を着替えさせる、食事のヘルプをする、入浴を手伝う、排泄を手伝う。仕事は非常に 厳しいです。厳しいのでそれに見合ってどうかとなると、労働者の価値判断になるので。 私の個人的意見では、1頁目の「しかし、賃金云々」の所は、アンケートや調査におい て労働者がこういう実態に不満を持っていると、ここに述べるのはいいのではないかと 思います。2頁目の事業者に対して行政から、賃金で言及しておくのは馴染まないので はないか、このような考えを持っております。 ○諏訪部会長   成瀬委員、どうぞ。 ○成瀬委員   いま片野坂委員から賃金水準は決して低いようには思えないとのご発言があり、それ には反論しておきたいのです。私は電機連合ですが、少なくとも電機産業の水準から言 えば、はっきり言ってかなり低いのは事実です。先ほど言われた数字は、正社員であっ ても、私どもの40歳年齢別最低賃金より下です。私どもの40歳最低賃金は、金属産業 の中でいちばん低いです、自動車産業や鉄鋼より低いです。かつ、それは最低賃金であ って、普通の標準労働者は、その1.5倍以上はもらっています。ですから、介護労働者 はどのぐらいの年齢の人たちが多いのかは別として、低いのは事実です。  非正社員の時給で言われても、1,300円から1,800円ですか、その水準はそれなりだ と思うのですが、一方で介護労働者を組織している労働組合からお聞きすると、厚生労 働省に『訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために』というパンフレットを作って いただき、監督・指導をいろいろしていただいているようです。ただ、登録型のヘルパ ーの場合、ここにも出ている移動時間、待機時間、報告書作成時間が、これは一部なの か多くなのかは別として、労働時間として算定されていない。そういう違法状態がまか り通っていると言いますか、そういう現実もあるわけです。したがって、実労働時間で 割れば、かなり低い水準になるのではないかとも想像されるわけです。そういうことか らすると、やはり使用者側も賃金水準は低いという認識を持っていただかないと困ると 思います。 ○諏訪部会長   郷農委員、どうぞ。 ○郷農委員   使用者側です。電機連合にどういう会社が入っていらっしゃるのかよく存じ上げない のですみません。しかし、このような介護関係の事業をしている事業所は、大体小企業 か零細企業です。私の所も小企業、零細企業に含まれると思います。それに比べると、 これは全然低くない水準だと思います。 ○原委員   そういう問題ではないのです。それならそれでまたいろいろ議論をしなければいけま せんが、自分の立場に置き換えて考えてもらいたいのです。  例えば時給1,000円とします。1年間働くのは、大体2,000時間です。そうすると200 万円になります。特にパートなどの場合には賃金は上がっていかないのです。200万円 で生活していけないから定着率が悪いわけです。1,200円にしても240万円です。パー トなどではボーナスや一時金は出ません。こういうことでいいのか。そういうことを考 えて、介護労働者の賃金は必ずしも低くないという、そんな意識だったら、介護労働者 はいつまで経っても浮かばれません。ですから、低いのだと思ってもらわないと。大の 男、大の女が年間200万円、240万円、260万円で一生生活ができるかと、そういう問題 なのです。 ○諏訪部会長   北村委員、どうぞ。 ○北村委員   いま賃金についてのお話に集中していると思いますので、私の申し上げることはちょ っと間口が広がってしまうかもしれません。実際に介護ヘルパーをなさっていて辞めて しまう、長続きしないという人の例を聞いていると、体をこわした、賃金が安いという ことと同時に、家庭婦人が多く担当しているので、やってみたけれどもクライアントの 事情でとんでもない時間帯にシフトさせられた、自分の側にもいろいろ家族運営の事情 が出てきた。そういった賃金のバランスだけではカウントしきれない問題が結構あるよ うなのです。もちろんそれも賃金がある程度高ければカバーできるという考え方もある と思いますが、賃金以外のファクターも結構あるように思います。私の勉強不足かもし れませんが、こういった話をするときに、案外、実際に働いている人の事情についての 調査や情報などが足りていないのではないかという気がするのです。  これも私の曖昧な記憶ですが、1990年の少し前ごろに、看護師たちが資格を持ってい ながらなかなか労働現場に出てきてくれない、看護師が足りないということがあり、当 時は看護協会などが中心になってかなり綿密な調査、なぜ出てこられないのかといった ことをサーベイした、そのような記憶があります。  そういうことを言うと私たちは、きっとヘルパーさんがこうだから出てこないのだろ う、ああだから出てこないのだろうとある程度憶測でものを言っている部分が、私の勉 強不足だったら申し訳ないのですが、あるように思えます。全体のどこかに現状把握の ための情報収集に努力するといった言及があって初めて成り立つのではないかと、何か 議論を元に戻すようで申し訳ないのですが、そういう視点は必要ではないかと思います。 ○諏訪部会長   ちょっと待ってください。いまの議論は、1頁と2頁のここの書き方の問題。仮に1 頁に書くにしても2頁にどのように書くか、あるいは今のような表現でいいかどうか、 ここで議論をして、そのときにどう思っているかという問題と、それが本当に客観的に 見てどうかという問題とのズレの議論になり、それとの関わりでいま北村委員のご発言 がありました。このような構造で議論が進んでいますので、調査をする、もう少しきち んとやるといった問題はちょっと横に置いておきます。あとでまた戻りますが。客観水 準の問題や書き方の問題といったところを更にもう少しだけ進めさせていただきます。 よろしいですか。では片野坂委員、そういうことでお願いします。 ○片野坂委員   原委員のおっしゃるように賃金水準は、私はこう思います。人間の欲望には限りがあ りません。パイロットなどでも、非常に、申し訳ないのですが不満があり、賃金を上げ ろなどと言っています。  今日の問題でいきますと、平成12年からの行動計画と平成15年、今回の計画とでは、 世の中の景色が大きく変わっています。前は非常に不況であった。この春辺りからは、 一般的に好景気になった。各社が雇用を正社員でかなり採ると、実際に我々の賃金の低 いグループ会社でも起こっている現象なのですが、かつては低い賃金で集まっていたも のが去年から今年にかけては集まらなくなっているのです。そうするとどうなるかと言 うと、我々事業主は、賃金を上げるか雇用環境の改善に取り組まなければ人が集まらな いということに、当たり前ですが気付くわけです。そうすると、この賃金は、事業主と しても考慮するのは当たり前であって、これは労使の問題であるということで、先ほど の部会長のお話でいくと、1頁目の現状の労働環境の所では賃金の問題があるだろうと いうことは言及してよかろうと思う一方で、2頁目の事業主の取るべき行動計画の中に 賃金改善を明示していくのは馴染まないのではないかという先ほどの繰り返しになりま す。 ○原委員   まさにおっしゃったでしょう。低い賃金では集まらないと。そういうときは、経営者 は勝手に上げるのです。労働組合がノーでも初任給などを勝手に上げる場合があるので す。労使で初任給もきちんと交渉する所も結構多いのですが、優秀な労働力を集めるた めに勝手に初任給を上げるわけです。しかし、逆転すれば、逆に下げるわけです。まさ にそういうことなのです。  1頁の最後に「良質な介護労働者を十分に確保する」とあります。良質な介護労働者 を十分に確保しようと思ったら、賃金を上げなければ仕方がないのです。トヨタや全日 空並みの賃金にすれば、どんどん集まってきます。私は、それを言っているわけです。 そういう決め手を書かずに周りのことだけを言っても、根本的な解決にはならない。こ こですぐにとは言いませんが、せめて課題ぐらいには掲げておかないと、介護労働者の 立つ瀬がないのです。それを必ずしも低くはないとか、そういう認識でおられるという のは、私はきわめて残念です。 ○荻野委員   高い・低いの話はしましたよね。 ○原委員   はい。 ○荻野委員   経済活動をやっている側からすれば、賃金は需給と団体交渉で決まるものですから、 国の計画の中に事業主が賃金を改善するといったことを書くのは行き過ぎではないかと いうことを私どもは言っています。 ○原委員   厚生労働省は誘導する責任がありますよ。 ○荻野委員   それはまた別の問題だと思いますが。 ○樋渡委員   原委員のおっしゃっている「賃金の水準」という言葉をここの中に入れるとすると、 どのような書きぶりをお考えなのでしょうか。 ○原委員   それ相応の賃金水準にすべき課題があるということです。それで大体わかると思いま す。 ○荻野委員   需給と団体交渉で決まればそれ相応の水準と言えるのではないでしょうか、もちろん 最低賃金云々の規制は当然ありますが。 ○原委員   私はあえてそこまでは言っていないわけです、最賃云々は本当は言いたいけれども。 それは資格に応じて。前回も申し上げたように、介護福祉士は1,400円、ヘルパー1 級は1,300円、ヘルパー2級は1,200円、このような募集の仕方をしている会社もあり ます。この資格を持っていればどこへ行っても例えば1,400円とか、私はこれしかない と思うのです。今日はそこまでは言っていないのです。 ○荻野委員   いや、そういう法定価格はさすがにちょっと、経営サイドは受け入れられないですね。 ○諏訪部会長   成瀬委員が先ほどから。 ○成瀬委員   私は、荻野委員がおっしゃった賃金は団体交渉と需給で決まるという考え方に同意し ます。それで適正な水準が確保されるべきだと思います。  ただ、この計画案の文面をいろいろ読んでいくと、我々労働側委員としては、1頁目 に本来は、賃金水準が低いということは書かれるべきだという思いはあります。その上 で2頁目のどういう課題が必要かという所には、ここにどこまではっきり書くかは別と して、労働条件の向上もしくはそれ相応の書き方が本来的には必要だと、そういった認 識もあります。加えて、6頁目の「施策の基本となるべき事項」の所に具体的に労働条 件をどうしていくのかということも本来的には書かれるべきだろう、という認識は持っ ています。  ただ、残念ながら使用者側が賃金水準そのものの認識についてそのようなご認識をお 持ちであるならば、1頁、これは使用者側で一致されているのかどうか知りませんが、 少なくとも賃金を含めて不安、不満があるということ自体は、厳しい労働環境にあると いうことを類推させるわけです。少なくとも1頁目のこの書きぶりについては同意され るべきではないかと思います。  その上で事務局に確認したいことは、2頁の4行目、「労働環境の改善、福利厚生の充 実その他の雇用管理の改善等」。これは賃金を含めた労働条件のことも含まれると、その ようなご認識を厚生労働省として持っていただけているのかどうか。持っていただけて いるのであれば、私は2頁のこの表現はやむを得ないかなと思っておりますが、そこの 認識をお聞きしたいのです。  加えて、7頁の「さらに」で始まる段落です。「さらに、事業主の理解を高め」、「気運 を醸成する」。まさに雇用管理改善は賃金を含む労働条件のことも含まれているから「理 解を高め」、「気運を醸成する」という書きぶりしかできないのであれば、それは私は了 解をしたい。ほかの労働側委員がどうかはわかりませんが、私は了解したい。そういう ことであればですが。  さらに7頁の(1)から、改善すべき雇用管理の具体的目標、情報提供、分析、次の頁の (2)の後ろのほう、相談、セミナー等、(3)の直接意見交換等検討の場、モデルを作り、と いう所をすべて労働条件も含まれるという解釈であるならば、こういう書きぶりで私は 了解をしたいと思いますが。その辺、お聞きしたいと思います。 ○諏訪部会長   ちょっと待ってください。まず、言葉の所だけを先に説明してください。それ以外の いろいろな質問にわたる部分があったと思いますが、それは置いておきまして。この先、 議論を進めるために、いまの労働条件を雇用管理改善等の中に含むのかどうか、そこだ けを簡単にご説明ください。 ○需給調整事業課長   言葉の中に含めるかどうかという単純な答えがしにくい部分があるのですが。現実に、 先ほど成瀬委員も個々の施策の部分でおっしゃったようなこと、あるいは、先ほども労 使の中でご議論されていて、我々も価値観の問題はあるけれども明確にデータとしても 一部分しかご提示できていないようなところがあることも含めてです。いわゆる労働条 件と言って賃金であったり労働時間であったりという実態、そういったものをきっちり 把握していて情報発信をしていかなければいけないという意味でいくと、まさしくこの 雇用管理の中での介護労働者の実態の1つの中に入ってくるということです。  ただ、個々の施策としてどういう形でしていくかという中身でいくと、賃金や労働時 間と言っても、その体系の組み方であったりその管理の在り方であったりという部分を 施策として念頭に置いて考えていく、という意味で言葉としては含まれているというこ とです。 ○諏訪部会長   郷農委員が先ほど手を挙げていましたので、どうぞ。 ○郷農委員   北村委員のご意見にも共通するのですが、国の政策として何かを行おうとするときに、 1頁目の賃金が低い、不満があるといったことは、働く側の主観として許される範囲の 表現だと思うのです。それを解決すべき、あるいは改善すべきと言ってしまうと、絶対 に不満があることが正しい、賃金が低いということが客観的に正しいということになっ てしまうのです。それは、私はすごく危ないと思うのです。やはり北村委員がおっしゃ るようにもっとサーベイが必要であるということになると思うのです。ですから、それ を断じてしまう前に表現を曖昧にせざるを得ないと私は考えます。いかがでしょうか。 ○諏訪部会長   野村委員、どうぞ。 ○野村委員   まず、1頁の新たに「賃金、労働時間、健康面等の不安や不満が多く見られる」とい う字句を追加されたことは高く評価したいと思っています。そして、このことは厳しい 労働環境にあるということで、こういう認識がまず労使で共通することが必要だろうと 思っています。  賃金、労働条件については、基本的に労使自治と言いますか、労使が自主的に決定を するという、この原則は私は当然基本的な考え方だろうと思っております。そうなると、 当然、事業主と働く側でしっかり話をして賃金なり労働条件を決めていくと。また、事 業主にそういう姿勢をしっかり持っていただかないと、労使自治、自主的に決定する、 いくらそういう言葉を並べても、現実的には履行されないわけです。  とりわけ介護福祉は、先ほども委員から中小・零細が多いといったお話がありました。 私もそういう認識を持っております。そういう所では労働環境もきわめて厳しい、と私 は認識しております。そういう意味で、一般的に言う労使関係も未成熟、未整備と言わ ざるを得ないと思っております。したがって、そういう所では当然、行政の役割として その事業主をしっかり監督・指導していく。コンプライアンス、法令遵守は当たり前で す。  ただ、現実にそういう所では、法整備が出来ていても、そういうものが現場でしっか り守られているのかどうか。はっきり言って、そういうものが守られていない所で労使 自治、労使が自主的に決めると言っても、現実にベースがないわけですから。ですから、 まず行政は、不良・不適格という言葉がいいかどうかはわかりませんが、法令を遵守し ないような事業主に対してはしっかり指導していく。そういう姿勢はこの中のどこかに 書き込んでいただく。そういうことも必要ではないかと思っています。 ○白木委員   いま1頁、2頁で議論が相当行われているわけですが。素案によりますと、1頁に「賃 金、労働時間、健康等の厳しい労働環境にある」と。ですから、この「厳しい労働環境」 という文言の中に既に労働条件は含まれている、という考え方ができますね。2頁目に おいて、「労働環境の改善」という所には既に労働条件は含まれている。念のためには「労 働条件を含む労働環境」と入れれば、かなり広いのですが、これは賃金だけではなく、 労働時間や衛生面の環境などが含まれるのではないかと思うのですが、いかがでしょう か。 ○諏訪部会長   長谷川委員、どうぞ。 ○長谷川委員   いま双方の立場で言っているわけですが、この介護雇用管理改善計画なるものがどう いう所で使われるのかということをもう1回労使双方で考えなければいけないと思いま す。例えば計画の目標の基本的な考え方の計画策定の目標の所で、介護事業を始めて、 やってきたわけですが、何年か経ってアンケートをとってみたらこういう実態がありま したと。ここは介護労働者と言っても、もう少し細かい分析をすればもっと出てくるの です。施設介護の所は正規の労働者が結構いて、賃金も、比較的皆さんがおっしゃって いる水準が出ています。ただ、問題はヘルパーの所です。正規のヘルパーと非正規のヘ ルパーがいて、そこの働き方もいろいろ問題があります。施設の所でも問題をはらんで いることは事実です。北陸で起きた悲惨な事故、そういうことも結構起きてきて、何で そういうことがあるのかと議論したこともあるわけです。  ここで介護労働者をザクッと書いているわけですが、アンケートから見れば、「賃金、 労働時間、健康面等の不安や不満が多く見られるように厳しい労働環境にある」、これは お互い認識できるところだと思うのです。どのぐらいの水準がいいかというのは、労使 交渉でそういう業界団体と組合がもっときっちり交渉すればいいと思うのです。  賃金で言えば、事業所の移動時間は賃金であると基準局からきちんと出ているのです。 しかし、移動時間が賃金の時間の所に含まれていなかった、日報を書いている時間も本 当は労働時間なのだけれどもそれが外されたとか、そういうことが多くあるというのは アンケートの結果に出ているのです。細かく言えばたくさん書けばいいのでしょうが、 限られた紙面で書けばこういうことなのではないか。そういう意味では、ザクッとした ところではここは共通認識を持てると思うのです。水準をどうするかというのは、また 別の問題だと思うのです。  トータルでいろいろなことがあるけれども介護労働者の所は厳しい労働条件にありま すね、環境にありますね、これは解決しなければいけない課題ですね、とここは書いて いる。私は事務局が努力したと思うのですが、介護労働者の賃金や労働条件は介護保険 制度の特徴があるわけで、介護報酬と賃金は本当は非常に密接な関係があるわけです。 しかし、ここのテーマではないわけです。しかし、そのことにも触れているわけです。 ここは、労使双方が意見を言ったらキリがないので、いま白木委員が言ったようなこと ではないかと思うのです。  ただ、もう1つ、北村委員が言ったようなアンケートですが、最初の審議会のときに アンケート結果を報告されているように、センターでもアンケートをとっています。連 合も、施設介護の所をとったときにマスコミに取り上げられ、すごい話題だったのです。 そのほか、連合総研も、介護報酬とその労働者の賃金はどうなのかといった調査や報告 書も出ています。そういう所があるので、次のときに向かってその辺の今日言ったよう な内容については、厚生労働省でも調査や研究をするといったことがもう少し必要なの ではないか。そうでなければ次回の改正時の議論には耐えられないのではないかと思う ので、それは是非調査してほしいと思います。  介護労働者の問題は先ほど言われましたように、最初に出来たときに、女の人はみな 2級ヘルパーを取りましょう、というのがあの時の合言葉でしたね。みんなで2級ヘル パーを取って介護労働者になって頑張ろう、といった感じで大勢が取ったわけですね。 でも、実際はなかなか働かなくて、資格が宝の持ち腐れになっていて、地方に行けば行 くほど、ヘルパーで働かない。いっぱい資格者がいるけど、なぜ働かないかというと、 結局お嫁さんが親をみているのですね。地方に行くと、何で自分の親を介護施設に入れ るのだという習慣もまだあって、なかなか労働市場には参加してこない労働者がいっぱ いいるというのも事実です。なぜあえて介護の雇用管理計画を作らなければいけないか ということは、介護労働者が今日的に置かれている、そういう客観的な状況を認識して、 ここで計画書で出したものをこれ以降、各都道府県のセンターが中心になって、いろい ろなセミナーなどを開くことによって、経営者の方たちとか、NPOの方たちがどう介 護労働者の雇用の管理をしていけばいいのかというのが徐々に出てくるのではないかと 思います。今日言われたような議論を踏まえつつ、厚生労働省が各県に下ろすときに、 調査・研究の仕方だとか、セミナーの開催に配慮することが必要なのではないかと思い ます。この辺が妥当なのではないでしょうか。 ○諏訪部会長   ということですので、いろいろ議論することによって、1頁と2頁の部分では、主観 的な意味での水準の問題と、客観的な意味での水準の問題。更に賃金水準や労働時間の ような狭義の労働条件だけではない、さまざまなそれを巡る労働環境の問題等について、 表現の構造的な中身がかなりはっきりしてきたのではないかと思われます。そして、北 村委員もおっしゃいましたし、いま長谷川委員も確認されたように次回の計画策定が定 期的に回ってきますので、今回はこのような構造が明らかになったことを踏まえて、こ のような文面で当面進めていくことにいたしまして、次回どのようにするかについては、 この中にも実態調査をしていくというようなことも書いてありますから、客観面と主観 面の両面について、きちんと把握をしていく、あるいは周辺環境等についてもしっかり 把握していくというようなことで、是非事務局にも心がけていただくという要請をして おきたいと思います。そのようなことで、ここはよろしいですか。   ○成瀬委員   先ほどの事務局の答弁には若干不満もあるのですが、その中でも、賃金を含めた部分 について、実態把握をし、情報発信をしていくと言っていただいた部分については、評 価をしたいと思っております。その上で、私としては雇用管理の改善等の中に賃金を含 めた労働条件も含まれていると解釈をした上で、だからこそ7頁に書いてあるように事 業主の理解を高め、気運を醸成するということが必要であり、それは推進していただか ねばならないという意見は、申し上げておきたいと思います。  その上で別件になるのですが、2頁3行目から「このような課題に対しては、事業主 が」云々「必要な措置を講ずることにより」とあるのですが、ここの中に先ほど、私も 言いましたが、移動時間、待機時間の取扱いの件等もありますので、できれば「法令遵 守は当然の前提として」とか、あるいは「法令遵守はもとより」とか、そういうような 表現を追加していただければ幸いだと思います。 ○野村委員   いま部会長から一度とりまとめた考え方が示されたのですが、私も概ねそういう方向 でと思っております。今後この改善計画等の計画も見直しがされていくということであ りますので、是非その中で今後検討の中に加えていただきたい課題として、特に介護労 働者の皆さんたちといろいろお話をして、不満または不安の要素を聞きますと、1つは やはり賃金、労働時間を中心とした労働条件の問題。もう1点が腰痛でありますとか、 感染症等の安全衛生問題に対する不安。そしてもう1点が、この中では全く触れられて おりませんが、セクハラの問題であります。今回のこの介護雇用管理の改善等計画とい う中身には、ちょっと馴染まないのかもしれませんが、現実、介護労働、特にホームヘ ルパーさんたちの現場では、やはり1つ大きい問題、課題となってあることは事実だと 認識をしております。  しかしながら、実態はどうなのかというと、そういう調査等もまだ具体的にされてい るのかどうか、ちょっとわかりません。あまり客観的にそういう調査もない、事実もは っきりしない中で、ただ単にセクハラが大変だ、大変だと言うこともいかがなものかな とも思いますが、やはりそういう声があるということをしっかり省のほうも受け止めて いただいて、今後の介護雇用全体の議論の中で、その問題の検討を深めていただければ ありがたいということで、お願いをしておきたいと思います。 ○奥田委員   ちょっと離れるかもしれないのですが、労働条件というのは事業主と労働者のお互い の話し合いの中で決まるのですが、私の、建設事業にいろいろ携わって、いろいろの問 題が出てくるときの大きな危惧としては、不良・不適格業者がこの事業に参入をして、 言葉は悪いのですが、食いものにするというのをどうやって防いでいくかということが 大きな問題です。悪貨は良貨を駆逐するではないですが、やはり労働条件は引っ張られ ますので、その辺の管理・監督をどうしていくのかということは、基本的なところで押 さえていかないと、労働条件の改善にもつながらないのではないかと思います。私はど ういう方が事業に参入しているか全然勉強不足ですが、NPO等の性格の名を借りた人 たちが出てこないような制度的なチェック体制をどうしていくかという、根本的な問題 を抱えるのではないかという心配をしております。  事業主の使用者側の立場からではなくて、この制度全体から見たときにそういう問題 というのは起きるのではないかという危惧をしておりますので、この制度とはちょっと 離れるかもしれませんが、大きな枠の中の労働条件に影響を与えるのではないかと思っ ております。 ○原委員   全く賛成です。ちょっと付け加えておきますと、先ほど労使自治ということが言われ ましたが、労使で自主的に決めることだというのはいいのですが、それは労働組合のあ る会社でそういったことができるのであって、労働組合がないと、労使で決めるという ことができないわけです。その点は、ちょっと誤解のないように是非お願いしておきた いと思います。労働組合があるところについては、法律に底支えされながら、企業内で 労使で自主的に決めると。これはこれでいいのです。  しかし、残念ながら、我々労働組合の力不足もありまして、特に1〜99人の中小・零 細企業では、組織率は1.2%です。もう労働組合はないに等しいわけですから、そこを 労使自治だというようなことを言ってみたって、空理空論というか、できないことを言 っているだけの話でありまして、その点は何か言葉だけが一人歩きしているような気が しましたので、問題の提起だけをしておきたいと思います。 ○荻野委員   いまの原委員の問題提起は大変ごもっともな理由があると思いますが、労組がないと 団体交渉はできませんが、労使で決められないというのは、いささか行き過ぎではない かと思います。1対1で決めたって、労使は労使ですし、ただ、それについてはいま行 政において検討されている労働契約法等で所要の対応がなされるのだろうと思われます ので、そこでの議論ではなかろうかとは思います。  全く別のところで、少し意見を申し上げたいと思います、よろしいですか。 ○諏訪部会長   すみません、ちょっといまの議論は、最初に成瀬委員がコンプライアンスみたいな、 法令遵守はもとよりみたいなものは少し書いてもいいのではないかと。奥田委員がおっ しゃったことも、いわば同じようなことであって、守るべきものをちゃんと守っている 業者とそれを守ろうとしない不適当な業者とが同じ市場で混在すれば、悪貨が良貨を駆 逐するような危険があるだろう。そこはやはりしっかりやるべきだと。ここは労使双方 ともご意見が一致したのかなという感じがします。そうしますと、具体的には成瀬委員 のご提案は2頁の所に書くというご提案になるわけですね。 ○成瀬委員   そうです。2頁の3行目から始まる段落の前半4行の中に、その趣旨を、表現はお任 せしますが、「法令遵守はもとより」とか「法令遵守は当然の前提として」とか、そんな ような趣旨のことを書いていただければ、ありがたいと思います。 ○諏訪部会長   その点は奥田委員、いかがですか。 ○奥田委員   そうでしょうね、それが当たり前、前提で議論していると思っていますので。 ○諏訪部会長   公益委員の皆さんはもうよろしいですか。それでは、表現はお任せいただくことにい たしまして、いまの意見が合致した部分に関してだけ、少し補足的に語句を挿入すると いうことで、ここは収めさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。では別の 課題に移ります。 ○荻野委員   おそらく5頁から6頁にわたって書かれている「計画の目標」というのが議論が必要 なところではないかと思います。そこについて申し上げたいのですが、3つ掲げられて おりまして、介護労働者の離職率についてということで、この離職率の21%という水準 が平均に比べて高いということですが、これはきっと業種の特性があるので、本当に 16%に比べて高いから問題かというのはいささか疑問でもありますが、私個人としては 事業主としても離職率は高いより低いに越したことはないわけですので、こういった形 で目標を掲げることについてはよろしいかと思います。ただ、本当にこの21%がきわめ て問題なほど高いのかということについては、補足的な説明を事務局から頂戴できれば ありがたいと思います。  それから、介護労働者の教育・研修実施率ですが、これもどういう教育・研修を指し て、この数字が出てきているのかというのはよくわからないので、何とも申し上げられ ないところがあります。ただ全体の実施率を高めるということは好ましいことだと思い ますので、これを目標として掲げることについてはよろしかろうと考えます。ただ、正 社員と非正社員の実施率の乖離をできる限り縮小するというのは、これは大変問題があ ると考えておりまして、やはり経営の立場からすれば、長期の雇用を予定している場合 には、経営の立場からすれば、教育訓練というのは一種の投資のようなもので、いわゆ る人への投資ですから、期待回収期間の長い正社員には多くの教育・研修を実施し、短 期の勤続が予定されている非正社員に対しては、その回収できる期待に応じた程度の教 育・研修を実施するというのがむしろ当然ではないかと思いますので、乖離をできる限 り縮小するということについては、ちょっと理解しにくいものがございます。  「満足度の向上を図る」、これは大変漠然とした書き方ではありますが、満足度の向上 を図ることは悪くはないと思いますので、総合的な目標として掲げられるのはよろしか ろうと思います。 ○諏訪部会長   いまの発言、ちょっと質問が含まれておりましたので、事務局にお答えいただきたい と思います。 ○成瀬委員   目標のところに関連してですが、5頁の後ろから2行目で「到達目標」という言葉を 使っておりますね。前回も申し上げたのですが、到達目標というからには、やはり達成 したか、達成できなかったかというのは、客観的に明らかになる目標でないと、到達目 標という言葉は使わないのではないかと思います。しかるに、次の頁の1、2、3と見 ると、「できる限り」とかあるいは3などは全然定量的でないわけで、この計画期間の5 年間が終わったときに達成できたのかどうか、客観的に評価できない目標です。だから といって、別にこの目標は意味がないとは言いませんが、到達目標という言葉でなけれ ばいいと思うのですが、その辺は内閣の方針もあって、なかなか難しいのかもしれませ んが、到達目標という言葉を使う限りはもっとデジタルなものでないといけないし、こ の内容だということであれば、単なる「目標」という言葉にすべきではないかと思いま すが、いかがでしょうか。 ○成宮委員   いまの成瀬委員の到達というか、どう比較するかということとからむので、ついでに 質問をさせていただきたいと思っていたのですが、これは関連資料2の中の、例えば35 頁以下のところのデータを基に記述されているわけですが、例えば離職率については、 35頁で介護事業所における離職率が全体で21%だと。これが次の頁の全産業の16%に 比べて大きいと書いてあるわけですが、35頁の調査はカバレッジが1万5,000人の調査 ですが、36頁のこの調査はどれぐらいのカバレッジでやっておられるのか。その中の介 護の関係はおそらく医療福祉という分野の1つで、そこでみても15.8%、全体の平均が 16.0%、それに比べて大きいと書いてありますが、その他のサービス産業は21%だし、 飲食店や宿泊業は33%。介護労働の特性を考えたときに全体と比べたり、医療福祉と比 べたりというのがどれだけ正当性があるのかというような点もちょっと吟味をしないと、 目標といっても、そういうことを目標と考えるので本当にいいのかどうかというのがか なり曖昧になってしまう。  それから、2の教育・研修についても、その次の頁にある調査のデータの数字を書い てあるわけですが、この調査がどこまでの精度で行われている調査であって、今後もそ れと全く同じやり方で調査をして、それで見ていこうということなのだろうと思います が、そういうことでいいのかどうか、ということも吟味をしなければいけないのではな いかと思います。 ○野村委員   6頁の2のところの「教育・研修の実施」の関係でありますが、最後のところに「正 社員と非正社員との実施率の乖離をできる限り縮小する」と記載されているわけですが、 ただ単に研修会等の教育をするかしないかという率だけの問題というよりも、やはり正 社員には正社員の教育・研修というものがあるでしょうし、当然非正社員、いわゆるパ ートはパートの人たちに必要な教育・研修というものがあるというように思います。し たがいまして、ただ単に正社員と非正社員の実施率の乖離という問題、やったかやらな いかという問題と併せて、教育・研修の中身についてもしっかり考え方を示しておかな いと、ただ単にやった・やらないの率だけという問題は、書きぶりとしてはあまり好ま しくないという意見を持っております。  3の「満足度」でありますが、これについても、満足度というのはきわめて主観的な 部分がありますので、数値に置き換えることは、はなはだ難しいと思いますが、ただ、 ここでは目標ということで、3という項目を挙げて書いているわけでありまして、見出 しでは「介護労働者の仕事の満足度について」と、そして本文は「満足度については、 その向上を図る」ときわめて簡潔に書かれているわけですが、もう少し、満足度を向上 させるために、こういうことを考えていますよとか、こういうことをしますよというこ とぐらいの、例えば労働環境の改善とか、そんなことを字句として、少し入れたほうが わかりやすいと感じました。 ○樋渡委員   「目標」の6頁の1、2、3に関連して、先ほど北村委員から、調査のことについて お話があったのですが、離職率の問題についてもたぶん同じ介護労働者の人が、違う事 業所にいくという場合も離職率としてカウントされている場合があるのではないかと思 うのです。もう少し、こういう中身をきちんと把握しておくというのが前提ではないの かなということと、ここは「1年間で」という表記をしてありますが、これを比較して いる雇用動向調査というのは、かなり長期間の調査だと思います。介護労働者のこうい う離職率などについても、ある程度時系列できちんと調査をしておく必要があるのでは ないかと思っております。  それから、介護労働者の教育・研修の実施率ということにつきましては、たぶん非正 社員についてもOJTですとか、そういうような正社員とは中身は違うけれども、やっ ている部分があるのではないかと思うので、これももう少し、内容についてきちっと調 査して、把握しておく必要があろうかと思います。  それから3番目の「満足度」。調査を引用して、たぶん考えられているのだと思います が、これも聞き方によって、答え方が非常に変わってきたりするということがあります ので、その都度内容を変えるというのではなく、ある程度定常的に満足度を取るという ような調査も必要ではないかと考えます。目標を立てるにしても、一定の期間を見てき ちんと調べておくということは基本だと思います。その辺を少しどこかに書いていただ いたほうがいいと思います。 ○片野坂委員   数値目標はあってよいだろうと思いますが、当たり前ですが、数字のマジックという ことで、マクドナルドからより良い条件を求めてロッテリアに移るということは、これ は憂えるべきことではなかろうと思いますので、離職率はよく実態を見る必要があるだ ろうと思います。いまのご意見と同じです。  全体として、前回の計画は雇用創出で、今回は雇った人たちの雇用管理というところ に力点が置かれています。これでよかろうと思いますが、私はやはり今後の5年間は、 企業の景気回復とか、全体の失業率の低下でいくと、この介護労働力全体の確保が本当 に大丈夫かという問題がちょっとあると。離職率云々もそうなのですが、そういうとこ ろをちょっと心配しています。最後の「仕事の満足度の向上を図る」とあっさりしてい るのですが、基本的には事業主が行政から行動計画を縛られるのもある程度必要ですが、 創意工夫を求めるという精神が大事だと思います。ビル清掃の子会社があったりします が、こういう比較的賃金水準の低い会社でも、事業主がいろいろ創意工夫をしておりま す。  従業員の面談とか、小さな表彰制度とか、要はそういうふうに事業主が労働者に対し て、常に創意工夫しながら、温かい目で見ていくという姿勢こそが、やはりペイもさる ことながら、従業員の満足度を支えるので、最後の仕事の満足度については、その向上 を図るというようなところに事業主の創意工夫を云々とか入れるなどというのはどうか なと思います。 ○諏訪部会長   以上について、まとめて質問にわたった部分、あるいは一部、意見に関してでも結構 ですが、事務局からお答えください。 ○需給調整事業課長   成宮委員からご指摘のあった、前回お出しした調査のカバレッジの点は、また別途答 えさせていただきます。若干順を追ってない場合、あるいは複数の方のご質問を合わせ てということをお許しいただきたいと思います。  まず事務局としまして、この離職率についての荻野委員からもありました21%、16% という部分の認識ということと、そこの部分は成宮委員、あるいは樋渡委員の調査のも う少し踏み込んだ実態の把握が必要ではないかということも合わせてということになろ うかと思いますが、いろいろ皆さんおっしゃったとおりであります。離職率といっても、 現実にはいまお話の中にもあったように個々の事業種で、自発的に離職されるケース。 それで離職の事由についても他の職場へ、あるいは同じ産業で産業間を渡ってというよ うなことで、そこの事情は自発的、非自発も含めていろいろありますので、そこの部分 で絶対的な離職率を、例えばもう数%、1%、0%にするのがいいというような極端な 話でないのはもちろん事実でございまして、我々も労働移動を失業なきという形で進め ていくということも1つの施策ではないかということでも考えております。そこの部分 での内容について、分析して更にということになると、樋渡委員、北村委員がおっしゃ っていたとおりかと思います。  そこの部分では更に先ほどの我々の反省につながるわけですが、いろいろな形での、 なぜ離職率がこのような水準にあるのかということを更に押し進めた実態把握分析とい うことを必要と感じているのは事実でありますし、そこはしっかりやっていきたいとい うことをまず申しあげた上でですが、ただそうしましても、いまの全体で見る介護労働 者の21%という水準そのものについては、先ほど樋渡委員からも、全体の雇用動向調査 について、もう少し長いスパンでやっているのではないかというご指摘がありますが、 この介護労働者に限った部分は後で申し上げますが、若干カバレッジも低くて、いま、 このぐらいの数字しかないです。雇用動向調査については毎年やっているものですから、 そういった形ではデータはあるのですが、いま手元にはないです。たしか16%だけでず っと推移ということではないですが、やはり全体サイドで見ると、景気のバブル時期等 も含めて、たしか13とか14%、そういったベースでの推移ということは見られていた かと思いますので、これも先ほどの離職率そのものの数字の、景気とかいろいろな情勢 の反映ということもあります。それをどのレベルでということはあるにせよ、やはりこ こでも20%を下回るということも書かせていただいたのも含めてでありますが、いまの 21%という水準そのものは、先ほど荻野委員からもご指摘があったように、やはり全体 をどこまで下げるかということはあります。労使双方の職業の安定であったり、いろい ろな教育的な投資であったり、募集・採用コストであったり、諸々のことを踏まえて考 えてもちょっと高いのではないかということで、このような記述にさせていただいてい るところです。   それから、研修のところ、これもまた複数の委員の方々からのご質問があったという ことであります。これも実態把握を更に押し進めてということで、樋渡委員等から、ご 指摘のあった点もそのとおりですし、野村委員等のご意見もありましたが、荻野委員、 野村委員ともに同じ意見というか、両面の意見かと思うのです。ここで申し上げている のは、先ほどもあったように正社員の方への教育・研修と非正社員の教育・研修という、 その中身まではここでは問うていないということで、そこは浅薄ではないかということ をおっしゃられるとそれまでですが、目標という、わかりやすさということからいくと、 内容はともかくという形での実施率という形にさせていただいているところです。  その意味で、実はこの正社員と非正社員との実施率の乖離をできる限り縮小するとい うのは、荻野委員から疑問も呈されているわけではありますが、内容面の違い、あるい は全くパラレルにすればいいということではないということを踏まえながらの記述に止 めさせていただいています。逆な意味で、成瀬委員からの「到達目標」という定義から いくと、あまりに曖昧ではないかということもあるわけですが、そこは前回の各委員か らのご指摘も併せもって、事務局としては一定の目安たる到達目標として、かような内 容ということが適当ではないかということで、ご提示させていただいているものでござ います。  「満足度」についてはまさしく各委員のご指摘のとおりで、聞き方の問題、調査の仕 方も含めて、前回申し上げたとおり定型的な量ということについては記述をするのも困 難だということ。あるいはいくつか、委員からもご指摘がありましたが、若干施策めい た部分を加えるというのも目標との関係では難しいのかなということで、「その向上を図 る」という、1、2と比べるとあっさりした記述という形には見えるわけですが、この 記述で止めさせていただくのが適当かなということで、事務局として提示いたしました。 ○郷農委員   いまの3頁の「目標」のところで、これは主体は誰でしょうか。 ○需給調整事業課長   その点は、この計画そのものがまさしく国の施策の基本となるべき事項ということで、 いまの結果として、このデータとかアンケート的な調査という部分のカバレッジも後で 申し上げるような話が先ほどありましたが、全体としては載せない。平均的な取組の層 ということで、国としてそういう状況になるように事業主の方のご支援を申し上げなが ら、こういう形の目標を達成していきたいという内容であります。 ○郷農委員   ありがとうございました。 ○需給調整事業課長補佐   離職率のデータについて、ご説明いたします。全産業を取りましたのは、雇用動向調 査というものです。これはいわゆる統計調査で、事業所数として、約1万程度をカバー しております。一方、介護労働安定センターでこの離職率を取りましたものは、回収率 が若干低いというのもございますが、約1,000事業所から回答をいただいております。 取り方につきましては、労働者のうち、ある一定の期間である1年間に辞めた労働者数 ということですので、離職率の考え方自体は同じであると。ただ、統計調査とアンケー ト調査ということで、カバー数、統計としての性格というものには若干違いがあるもの と考えております。 ○成宮委員   1万事業所というのは、介護事業所で1万ですか。 ○需給調整事業課長補佐   産業全体です。この雇用動向調査につきましては、介護事業所というような区分がご ざいません。医療福祉分野というものしかございませんので、医療福祉分野についても、 1万のうちの一部、介護事業所はまたその一部という形になります。医療福祉について の数はいまデータがありません。そういう意味で、必ずしも介護センターのデータが少 な過ぎるということはないと思います。 ○成宮委員   どちらも低いですね。169万人のうちのこちらは1万5,000人くらいですね。 ○白木委員   いま5頁の数字に私もちょっと関心を持っていたのですが、特に離職率についてなの です。まず、1つは5頁の「到達目標」の拘束の程度なのですが、これが強ければ強い ほど数値を出すというのは非常にリスキーだと思うのです。いま、離職率が非常に気に なりましたので申し上げますと、そういうバインディングの程度がどれぐらいかという ことと、もう1つは先ほどから離職率のお話がありますように、変動するものなのです。 バブルの崩壊した頃は13%、景気が悪くなると、低くなるのです。これから景気がよく なると、全体の離職率が上がるということは十分想定されることであります。そうしま すと、介護労働でも上がることも十分あり得るわけです。  また、離職率というのは健全性を表す指標でもあるわけです。もちろん雇用条件の問 題も表しますが、同時に健全性も表すということが考えられます。先ほど、悪貨は良貨 を駆逐すると言ったのですが、そういうところを辞めるということですから、逆に良貨 は悪貨を駆逐する1つの手段でもあるわけです。私の感じといたしまして、20%、21% の数字を出すのは非常にリスキーだなということです。むしろ平均から大きな乖離がな いように、縮小するように努力するという感じの設定の仕方のほうが妥当ではないかな という感じがいたしました。これは私の個人的な意見です。 ○諏訪部会長   いまのような意見もありますが、先ほど成瀬委員が「到達目標」というので、「到達」 というのはあえて入れる必要があるかどうかという、前回以来のことがありますが、こ の点はちょっと答えが落ちていたようですが。 ○需給調整事業課長   到達目標という言葉は、辞書的な意味合いとの関係というより、私どもとしましては 政策評価といった意味での要望として、到達目標ということを掲げているので、そのよ うな表現を使わせていただきたいと考えているのです。先ほど白木委員がおっしゃった バインディングとの関係でいくと、確かに、まさしく頂上が一点ということまで厳格に という形の意味合いかどうかというと、表現ぶりの後の所も含めてですが、我々もいろ いろな情勢等を含めてということは、言い訳としてはせざるを得ないとは思っています。  ただ、そこの意味合いをやり出すと、記述も更に曖昧なものにもなりかねないという ことで、用語としてはこのような表現を掲げさせていただきつつ、実際の目標として、 内容的には次の頁というようなことをお願いしたいということです。 ○諏訪部会長   皆様のご意見が非常に活発に出て、時間が少し過ぎてしまいましたので、もうそろそ ろ本日の部会は終わらせていただきたいと思いますが。 ○成瀬委員   4頁の真ん中の所ですが、前回の私の意見を基に修正していただきまして、ありがと うございました。ただ、この段落は前半は直っているのですが、後半「概ね横ばいとな ることが見込まれている」と。これは雇用政策研究会、いわば厚生労働省の見込みなの ですね。新聞、雑誌等で見る、いろいろな研究者の評価からいうと、むしろ悲観的な見 通しのほうが高いわけで、ここで「見込まれている」という客観性を持った書き方をし て安心することのないように、人口推計のように外れることがないように、職業安定行 政を推進していただきたいと思っております。ですから、若者、女性、高齢者等への就 業支援ということを活発に進めて、くれぐれも外国人労働者の導入が必要となるような ことがないようにお願いをしたいということだけ申し上げておきます。 ○山川委員   先ほどの頁に関して、要望になると思うのですが、実際に介護現場で働いている労働 者、労働組合からのヒアリングをさせていただきましたが、多くの意見はすでに出つく しているのです。ただ1点、これは先ほどの賃金の話を蒸し返すつもりはございません が、最大の要望として交通費、移動費を出してほしいということがございました。これ は1,400円とか、1,300円という時給の中に全部入ってしまっていて、ごちゃごちゃに なって、わかりにくいと。つまり、時間管理というか、賃金管理等が、しっかり行われ ていない。これをしっかりやってもらいたいのが最大の要求だというような、そういう 提案を受けました。  今後推進していくには、具体的な相談なり、援助事業の実施の中、7頁の(1)(2)(3)の所 に入ってくると思います。実態調査を待つところもあると思いますが、現場の声はもっ と高い賃金をというか、もっとしっかり管理してくれよということです。賃金について も、かかった交通費ぐらいは実費をちゃんと払いなさいと。こういうことが杜撰に行わ れている。つまり、中小・零細が多いところは、皆さんの所にとっては当たり前のこと が行われていないというところが問題です。雇用管理の改善という意味では、当たり前 のことを当たり前にする、しっかりやらせるというところも踏まえて、推進していただ きたいという要望です。 ○長谷川委員   野村委員が言った介護労働者のところで起きているセクハラについて、確かに男女雇 用機会均等法のセクハラで、法律にも記載されているし、指針もあるのです。介護労働 者の場合、要するにヘルパーで行って、要介護者がいて、その要介護者とか、その家族 からセクハラを受けるという、一般事業所とは異なったことでセクハラが起きているの で、どういう状態でそういうセクハラの被害に遭ったのかとかの調査をやって、それに 対して、雇用管理として事業主がどういう管理が必要なのか、相談体制も含めてなるべ く早い時期に調査して、何か指針とかそういうものを出すような行政の努力をしてほし いと思います。もう1つは、いずれにしてもフィリピンとのFTA協定が出来ると、外 国人の介護労働者が入ってくるわけですが、それらの雇用管理の在り方について次の改 定のときのテーマになると思いますので、そういうところの調査、研究も進めるような 視点を持っていただければと思います。 ○諏訪部会長   皆様からのご意見がいろいろありましたので、2頁に関しては法令遵守に関わる部分 を書き込むということ。それから、いま目標の部分で、あれこれ議論があったわけです が、なかなかこれは難しい点もありまして、はっきりと書くといったときの前提となる 実態がどこまで現段階では把握できているかということですとか、あるいは逆に、曖昧 に書いた場合には、それで目標になりうるのかという問題、大変悩ましいところでござ います。  したがいまして、ここは更に次回の改定の際にはきちんと、そうした目標が立てられ るように調査、実態把握に努めるとともに、今回はとりあえず、この文面のようなやり 方で立ててみて、評価の際に更に検討していただく。こんなような考え方ではいかがで しょうか。いろいろ大変熱心に、また質の高いご議論をいただきましたので、この議論 を踏まえて、事務局にはこの運用、あるいは周知徹底において、十分に配慮をしていた だくと同時に、本日の議論を踏まえた文面の修正については、私にご一任をいただくこ とにいたしまして、その上でこの計画は妥当であるということで、職業安定分科会に報 告するということにさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○諏訪部会長   ありがとうございました。時間が過ぎてしまいまして恐縮でございましたが、それ以 外に何かご議論、ご意見、ご質問等ありますでしょうか。本日の部会は以上をもちまし て終了をさせていただきます。議事録に関しては、当審議会の運営規定第6条によりま して、会長のほか、2人の委員にご署名いただくことになっております。本日は長谷川 委員と成宮委員にお願いしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。お忙しいと ころ、申しわけございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。本日はお忙しいと ころ、どうもありがとうございました。        【照会先】  厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係  TEL 03(5253)1111(内線5747)