06/03/03 振動障害の検査指針検討会 第15回議事録 振動障害の検査指針検討会(第15回)議事録 1 開催日時及び場所 開催日時:平成18年3月3日(金) 午後2時から午後5時まで 開催場所:三田共用会議所3階A・B会議室 2 出席者 医学専門家:木村彰男、重松宏、髙山真一郎、樋端規邦 原田規章、本間浩樹、宮下和久、梁井俊郎 オブザーバー:宮井信行 厚生労働省:明治俊平、只野祐、天野敬、藤本龍太郎、伊作城青他 3 議事内容 ○職業病認定対策室長補佐(天野) ただいまから「第15回振動障害の検査指針検討会」を開催させていただきます。本 日ご参集いただきました委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中ありがとうご ざいます。本検討会は原則として公開としております。傍聴される方におかれましては、 別途配付してある留意事項をよくお読みの上、会議の間はこれらの事項を守って傍聴い ただくようお願い申し上げます。それでは宮下座長、よろしくお願い申し上げます。 ○宮下座長 それでは、早速検討会を始めたいと思いますが、まず事務局から本日配付している資 料の確認及び説明をお願いします。 ○中央職業病認定調査官(藤本) 本日お手元には「振動障害の検査指針検討会報告書(案)」、それから、報告書(案) に対応する表あるいは図を順番に並べた資料で、別綴りでお手元に配付しております。 ○宮下座長 ただいまの資料の確認ですが、お手元にお揃いでしょうか。それでは本日の議題に入 らせていただきます。本日も、前回の検討会に引き続いて、お手元の「振動障害の検査 指針検討会報告書(案)」について、詰めのご検討を願うということです。前回の案文 をご覧いただいて、いろいろご意見を頂戴しております。事務局のほうで、前回のご議 論、あるいはご指摘を踏まえて、修正を行っていただいていると思いますが、事務局か らそのご報告をいただいて、それについて、まずご意見を頂戴したいと思います。事務 局からよろしくお願いいたします。 ○中央職業病認定調査官 検討会報告書の(案)については、前回の検討会において先生方からいろいろなご指 摘、ご意見等がありましたので、そのご指摘を踏まえ、それから、また検討会以降にお いて、各先生方とは何回かにわたっていろいろご意見等を承って、本日配付させていた だいた(案)の形になりました。 前回の検討会において配付した資料の中の主な修正箇所について、ご説明させていた だきます。お手元の報告書(案)の11頁で、「現行検査手技に係る指摘事項」というと ころがありますが、末梢循環機能検査の皮膚温、それから爪圧迫について、樋端先生、 ほかの先生からご意見ご指摘がありました。まず皮膚温の指摘事項ですが、いまお手元 のような形に修正させていただきました。それから、爪圧迫のほうのご指摘の箇所につ いては、削除させていただいております。 2点目として、前回の検討会において、クラス分類の考え方についてご指摘がありま して、このクラスという考え方に基づいて、評価基準の表現を修正しております。なお、 評価基準だけでなく、各先生方ご担当の実証検査結果においても、評価基準のほうに合 わせて修正をさせていただいております。 3点目の「新たな検査体系の在り方」、74頁以降です。前回の検討会においては、ス クリーニング検査、それから精密検査という整理でしたが、これも先生方のご指摘を踏 まえて、「基本検査」それから「精密検査」というような形で整理し直させていただい ております。 最後の「まとめ」の部分ですが、「まとめ」のいちばん最後の尚書がありましたが、 これについては原田先生からのご指摘が確かあったかと思いますが、削除させていただ きました。 最後の78頁以降に参考資料がありますが、振動覚、RIONの検査機による振動覚の 評価をする場合の参考値で、90頁ですが、これを加えました。同じく93頁以降で、関節 可動域測定について、日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会の関節可動域 表示並びに測定法を、参考として加えさせていただきました。 その他、各先生方から引用文献についてご指示がありましたので、加えさせていただ いております。主な部分については以上です。 ○宮下座長 大きく5点、11頁の指摘事項についてのご指摘の部分の改訂。それから、症度等、あ るいはグレードとか、いろいろ用いていた評価基準をクラスとして統一した。3点目は 「基本検査」「精密検査」という括りで表現したということです。4点目の「まとめ」 の「尚」以下を、ご指摘どおり削除したということです。第5点目、別添といいますか、 参考資料として付けている中に、RIONによる基準値、それから関節可動域の基準を 追加して掲載したというところです。 ただいまの、いま事務局からご報告いただいた改正点についてご覧いただいて、何か、 ご指摘どおりになっているかも含めて、ご確認をいただきたいと思います。 ○木村委員 細かいことで恐縮ですが、クラス分類に直したということですが、短期間で作業が多 くて、事務局も手が回らなかったことと思います。私どものところ、44頁ですが、下か ら3行目に「症度分類、症度区分」という言葉が残ってしまっています。これに対応し て同じように、私どもの表のFの2だと思うのですが、これにも症度分類という言葉が 残ってしまっていますので、これを修正していただければと思います。 同じことなのですが、14頁の下から6、7行目に同じような言葉があります。これは これで宜しいのでしょうか。循環障害、末梢神経障害、運動機能障害についての症度分 類となっていますが、これも、クラス分類ですかね。それともこれは症度という用語で 良いのでしょうか。 ○職業病認定対策室長(只野) これは、厚生労働省の症度分類、症度区分と言っておりますので、これでよろしいか と思います。 ○木村委員 はい。わかりました。それでは私どものほうを直していただけたらと思います。よろ しくお願いいたします。 ○宮下座長 44頁と、表のFの2です。これの症度というところですね。 ○木村委員 表については表の中とタイトルの両方を直してください。 ○宮下座長 はい、訂正をさせていただきます。ほかにいかがでしょうか。 ○原田委員 中身の確認ですが、備考として、いまRIONの分が新しく入っているわけですね。 ○宮下座長 90頁ですか。 ○原田委員 入っているのは、これは、全体の備考というのは、78頁から始まるわけですね。これ は参考というか、例えばRIONの評価基準とか、そういうものについての議論は、こ こではしていませんね。 ○宮下座長 はい。 ○原田委員 だからこれは参考として置いてあるということですね。そのように理解してよろしい ですね。 ○宮下座長 はい。 ○原田委員 細かいことで後から気がついたことがいろいろあるのですが、いまの説明とはまた違 うところで、これは後で。 ○宮下座長 いま事務局からの、大きく分けて5点のご確認、よろしいですか。それではこのほか にお気づきの点ということで、原田委員からお願いします。 ○原田委員 細かな事柄と、少し気になる事柄とあるのです。例えば20頁で、上から2行目に「ま とめと課題」という見出しがありますね。これは、まとめではなくて「問題点と課題」 で、その下に「まとめ」がある。そういう修正もあります。 ○宮下座長 問題点ですか。 ○原田委員 「問題点」、そういう表現にしていただければと思います。それから、これは少し中 身にかかわる議論です。後で議論していただいて、62頁の、宮井先生に一生懸命やって いただいた、検査の組み合わせ、偽陽性率と偽陰性率、それと合わせた誤判定のことで す。これは、前回、大事なことだと思うので指摘させていただいたのですが、今日配付 された表でいうと、表のVI-6になりますね。もう1つ同じように、これは循環で、ほ かの系のものもあるわけですが、前回お話したのは、要するにレイノー現象がある分に ついては、2つの検査でどちらかが引っ掛かったものをポジティブ、そうでないものを ネガティブとすると。要するに、orの基準が使ってあるわけです。 ○宮井先生 そうですね。レイノー現象プラスのところは、例えばFSTとSPPの両検査につい て比較対象17データにつき、いずれもレイノー現象、有症者でありながら、検査では 「正常」と判定した数が4ということになります。 ○原田委員 だから、ここで言っているのは、どちらかが異常であれば、異常と判断しようという 考え方ですね。 ○宮井先生 そうです。 ○原田委員 そうですね。それでこの対照群のほうは、これはどちらかの検査が正常であれば、正 常と判断しようということですね。 ○宮井先生 こちらのほうはそうです。 ○原田委員 逆に言うと、どちらかが異常であれば、ではなくて、対照群のほうは、両方とも異常 であれば「異常」と判断しようとしていますね。 ○宮井先生 そうですね。 ○原田委員 そうですよね。 ○宮井先生 どちらも誤って異常としてしまう割合ということで。 ○原田委員 ですからこれは、前回お話したように、異なった基準が1つの表の中で出てきて、要 するに、判定の基準、スタンダードが2つあるわけです。だからこれは、基本的に無理 があると思うのです。やはり、1つの基準で組み合わせた場合に、患者の人をどう判断 できるか。あるいはコントロールの人をどう判断できるか、そういうことを検討すべき なので、患者とコントロールに、別々の基準を設けてしまうと、これは対等に評価でき ない。 この間お話したように、ある患者さんが来たときに、例えば、片方が正常で片方が異 常だった場合に、これは先生、どちらに判断されますか。 ○宮井先生 その場合は、判定保留になるかと思います。例えば、対照群であれば「正常」と考え られるわけですが、その対照群について、2つともの検査で異常としてしまう場合、検 査結果から我々は異常と判定します。2つの検査について異常である場合ですね。1検 査についてのみよりも、より強く異常というふうに判断する。そういう誤りの割合がど れくらいあるのかということをお示しするつもりで、これは。 ○原田委員 そうすると偽陽性率と偽陰性率と、それから判定保留率という、また別の概念をこの 中に設けなければいけないですね。判定保留率という場合には。 ○宮井先生 そうですね。この分析のもともとの狙いというのは。 ○原田委員 これで、例えば患者さんをちゃんと患者であると診断するときに、これだけ有効だし、 コントロールの人をちゃんとコントロールと診断するときに、検査を組み合わせればこ れだけ有効であるという。先生のお気持はよくわかるのですが、実際に目の前に出てく る人は、患者さんかどちらかわからないので検査するわけです。そこで2つの基準があ ると、先生が言われるように、保留という評価方法ももちろんありえると思うのですが、 それは実際にはなかなか難しいと思うし、むしろ保留ということをこの中に取り込むの であれば、そのことについての記述が必要になります。 ○宮井先生 私の考えを申しますと、これは分析の中でレイノー現象があるというふうに、もうす でにわかっている人、対照群については、コントロール群として我々が扱った分という ことでわかっているわけです。そういう情報があるデータの中で、それぞれの偽陽性率、 偽陰性率について分析した場合、こうなるというふうに捉えればどうでしょうか。 ○原田委員 こういうふうに集計すれば、当然こうなるわけです。しかしこれは診断の問題である わけだから、その人が異常であるか異常でないかわからない人たちに対して適用するも のです。だから、このような検討をすることにどういう意味があるのか。計算すれば、 足せばそうなるし、引けばそうなるという、いろいろなものがあり得るわけで、これは やはり基本的には無理があると思うのです。宮下座長のところのご検討だと思うので、 先生はどういうご判断ですか。 ○宮下座長 基本的には宮井先生が言ったとおりで、要するに振動障害のレイノー群として、我々 が取り扱った対象者の中で、我々のこの検査というのが、どれくらいその症状に対して の陽性が2つの検査なりに当てはめた場合どうなるかという解析ですね。 ○原田委員 それは例えばあらかじめコントロールという、正常とわかっている人に対して検査し た場合ですね。 ○宮下座長 ゴールデンスタンダードであるレイノー現象が確定している分ということで、これを 見ているわけですね。また、対照群については、逆の、要するに真っ白といいますか、 そうした場合、この検査を適用した場合に、どういう組み合わせによって、どの程度の 陽性、あるいはどの程度の陰性が出るかという分析という、そういう限定ですね。 ○原田委員 さっきお話したように、異常であるか異常でないかが分からない人たちの検査をする わけですが、その人たちにこの判断方法を適用する場合には、どのように考えるのです か。つまり、先ほど宮井先生がご説明されたように、保留というものを間に持ち込むと いうこと。 ○宮下座長 はい。 ○原田委員 宮井先生のご意見は聞いたので、先生のご意見は大体わかっているのです。 ○宮井先生 要するに、検査の組み合わせの検討ということですので、ある検査に対して、この検 査を組み合わせたらどうなるかというような判断でやった分析と。ですから、例えばあ る1つの検査においての偽陽性率が、この検査と組み合わせた場合は、この割合で変わ ります。この検査と組み合わせる場合にはこの割合に変わりますというようなことを示 す。 ○原田委員 それでは、偽陽性率と偽陰性率の両方、この2つを足す意味はどういうものですか。 誤判別率として、足して示す意味はどういうことなのか。 ○宮井先生 要するに、全体として見て、異常のあるものを異常なしとしてしまう数と、異常のな いものを異常ありとしてしまう割合が、全体の中で検査の組み合わせ別にどのようにな るかをお示しできればと。 ○原田委員 それでは、この中で保留となる人もいるわけですね。だから、保留となる率が別にあ るわけです。 ○宮井先生 保留というのが、この分析の中に盛り込まれるのかどうかは別としてです。 ○原田委員 先生が言われたように、厳然として保留が存在しますね。つまり、どちらにも判断で きないという人が、まだこれから検査して診断しようという人が来たときに、どちらに も判断できないという人が、この中に存在するわけですよね。 ○宮井先生 そうなりますね。 ○原田委員 だから、その人は保留になるということですね。そうすると、概念として、保留率と いうのがこの中に必要になりますよね。 ○宮井先生 それを示すなら、また別の解析になりますね。 ○原田委員 いや、この解析の中で、保留率というのが必要になる。だって、陽性率、偽陽性率と いうのは、基本的には足して百パーセントを前提にしていますからね。でも、先生のこ の解析では、陽性率と偽陽性率の間に保留率が存在するわけです。これは、普通はそう いうやり方はしないのですが、先生のお考えからするとそうなるわけなので、それを無 視してこのようにしますと、説明としては非常に無理がある。それを検討していただき たかったのですが、時間が過ぎてしまうので、また後で。 それから、先ほど説明があったところで、75頁の上から2行目のところで、「種々問 題があることを指摘した」というか、これは平成13年度の報告書の話でしたか。 ○宮下座長 75頁の、もう一度お願いします。 ○原田委員 上から3行目ですね。ああ、私の勘違いです。これは違いますね。これは平成13年度 の報告ではない。 ○職業病認定対策室長 これは11頁のことを指摘したといっているわけです。それで「平成13年度報告書にお いては」ということでつながっていきます。 ○原田委員 これは私の勘違いです。75頁の6行目、「今般、7つの検査手法について振動障害群、 対照群に対して実際の検査を実施し、その有効性を確認した」。「確認した」というと ころが、ちょっと強すぎると思うのです。というのは、例えば、sensitivity、specifi cityを合わせてもせいぜい110%、120%、ものによっては100%を切るというようなもの があるわけですので、ここのところは「有効性を検討した」と、「その結果、下記にあ るようなことが言える」というようにするほうが適切かと思うのですが、いかがでしょ うか。 ○宮下座長 これは全体の事柄に、この検査、検討会の全体の評価にかかわることであります。 「有効性を確認した」との文言ですが、原田委員から、全般的な検査の、特異度、敏感 度等も踏まえると、ここは「有効性を検討した」ということにしてはどうかとのご発言 がありましたが、いかがですか。 ○原田委員 これは、7つの検査全部についての評価ですよね。 ○職業病認定対策室長 12℃5分後を除いてと書きましょうか。 ○原田委員 例えば皮膚灌流圧検査でも、AとBという評価を組み合わせると、敏感度と特異度を 合わせると99%になるのです。そうすると、これは実際には判別に全く寄与していない ことを意味する。器質的な障害を鑑別するという点では、また意味があるのかなとも思 うのですが。 ○樋端委員 この議論にも幾分かかわるかと思いますので、私の意見を述べさせていただきます。 ちょっと時間をいただいてよろしいですか。 ○宮下座長 そうしましたら、この議論は全体にかかわることですので、少しペンディングでよろ しいですか。最終的に、この検討会として、ここのところをどういうふうな文言で活か すかということにしたいと思います。 ○原田委員 相対的には重要でない可能性もありますのでいくつかの点を。75頁の下から8行目で すが、「ただし、いずれの方法を採用しても検査の際にいくらかの寒冷刺激」とありま すね。これは実際には、10℃の水に手をつける、FSBP%もそうですが、かなりの寒 冷刺激があるのですね。だから「いくらか」をとっていただいたほうが適切かなという ことです。 ○宮下座長 これはよろしいですか。これはご指摘のとおりにします。 ○原田委員 それから76頁、これは、私はちょっとよくわからないのですが、76頁の中程、「末梢 神経機能検査」のイのところで、「精密検査・鑑別診断」がありますね。循環のところ は、「選択的に検査を実施する」とある。ここでは、「インチング法等と針筋電図検査 を実施する」、これは例えば、「選択的に」という表現は要らないのですか。これは意 図的に外してあるのでしょうか。 ○職業病認定対策室長 これはこの頁のいちばん上の3行目、FSBP%とレーザー血流画像化装置による皮 膚血流測定と、それからSPPと3つもあるので、みんなやると誤解されては困るので 「選択的に」という表現にさせて頂きました。下のほうも「選択的に」ということです か。それとも、これは木村先生、インチング法プラス、もしさらに調べるときは、針筋 電図もやったほうがよいという意味ですか。 ○木村委員 この前は確か事務局のほうで精密検査ということでお出しになって、私がこれは鑑別 診断の方が良いのではないかということを申し上げました。電気生理学的検査にも、誘 発電位とか、いろいろな方法があるわけです。より検査をやればやるほど、いろいろな 情報が集まるわけで、精密な鑑別ができるということになります。もしここで修正を加 えるなら「等を実施する」くらいという所でしょうか。 ○原田委員 それから「必要に応じて」ですね。 ○職業病認定対策室長 はい、必要に応じてでも結構です。これだけではないので。 ○原田委員 「必要に応じて針筋電図検査を実施する」と。要するに、インチング法のほうがメイ ンの話ですね、ここは。 ○木村委員 インチング法というのは、神経伝導検査における、言葉づかいの問題ともいえますが、 今回示したセグメンタルの伝導速度という点においては、拡大解釈した場合のインチン グ法ということですが、これは行っているわけなのです。ですから、ここで言うより詳 しいインチング法というのは、インチというか、1センチごとという短いセグメントで の検査ということになるわけですが、そこまでやって、はたして。むしろその他の検査 を組み合わせたほうがいいと思います。 そういう意味からいうと、無難に、原田先生が言われるように「必要に応じて」でも いいですし、「等」ということでほかのことも含めながらということでも、どちらでも 構わないと思います。ただ、これを「精密検査」と表現されると困ると思います。精密 検査・鑑別診断ということであれば、このような表現でも通用すると思いますが、いか がでしょうか。 ○職業病認定対策室長 「等」でも「必要に応じて」でも、どちらでもいいと思います。「等」でよろしいで すか。 ○原田委員 ただ、針筋電図、あれは結構痛いですよね。だから、必要なときにはやはりやるべき だと思うのですが、精密検査の人全員にやるということになると難しいのではないでし ょうか。 ○宮下座長 「必要に応じて」、それではそのような、「必要に応じて針筋電図検査」に訂正しま す。 ○職業病認定対策室長 検査としては、必要に応じて運動・感覚神経伝導検査(インチング法等)、それから 針筋電図検査などを実施する。インチング法を括弧内だと、いかがでしょうか。 ○宮下座長 よろしいですか。 ○原田委員 もう1点です。77頁ですが、下から2行目で、総合的に評価するという表現で書いて いただいているように思うのですが、「自覚症状、臨床所見、各検査結果から、総合的 に」というときに、私たちの発想からすると、やはり振動の曝露があって、それに対応 して症状が進展していく、それが大前提ですね。極端にいえば、曝露が起こる前に症状 があってはおかしいわけですね。だから、自覚症状、振動曝露歴、それから臨床所見と。 ○職業病認定対策室長 振動ばく露歴は何番目に入れますか。 ○原田委員 2番目。 ○職業病認定対策室長 2番目ですね。 ○原田委員 自覚症状があって、振動曝露歴があって、臨床所見。対応があることが期待されるわ けですから。ここまででペンディングが2箇所ほどあったかと思うのですが。 ○宮下座長 そうしましたら、いまのご指摘で、いま原田委員のご意見をいただいたのですが、こ の、有効性の確認については、全体の最後のところでよろしいですか。先ほどのデータ の解析でご指摘のあったところ。これは原田委員、先ほどのやり取りの中で、先生は検 査結果の不一致のところについては、保留とするならば保留とすべきと。 ○原田委員 基本的には、2つの検査の組み合わせで、両方ともに所見があった場合に異常とする のであれば、それは全体を通すべきだし、1つでも異常があれば異常とするのであれば、 それはそう通すべきだと思うのです。 ただ、宮井先生が言われたように、保留という境界領域を設けるのであれば、そのこ とについての記述がこの中に必要だと思うのです。 ○宮下座長 狙いは、こういうようなところで。 ○原田委員 狙いは、お気持はよくわかるのです。そういう組み合わせの効果を。 ○宮下座長 逆の議論をしますと、いまの委員のご提示していることで、この検査法の評価に著し い誤解などを与えますか。 ○原田委員 だから、これは読む人が読めばわかるのです。ですから、こういう表を作っていると いうのは、検討会に対する信頼が問われるというか。読みさえすればわかるので、私は このままでも結構です。是非出したいということであれば、出していただいて構わない と思うのですが。 ○宮下座長 そうすると、この検査の組み合わせの、レイノー現象陽性ということに対しての組み 合わせで、このような結果であったという1つの解釈といいますか、結果を表現してい るということで問題ありますか。 ○原田委員 であれば、そういう議論もあったということで。いま実際に議論したわけですから。 私の立場からいうと、これをこのまま当然だと議論もなしに認められたということにな ると、ちょっとまずいわけです。そういう意見もあったけれども、皆さんがこれで報告 書を作ろうということであれば、それはそれで結構です。実際、計算上はこのとおりで あるわけですから。 ○宮下座長 よろしいでしょうか。ではそのように、現行のままで表現をいたしたいと思います。 ○原田委員 先ほどお話ししたことは、一応ちゃんと念頭に置いていただいたほうがよいと思いま す。 ○宮下座長 ほかに全体的なことで、何かご指摘なりございますか。樋端委員のご発言は、この検 査の取り扱いというようなことでございますか。 ○樋端委員 若干というか、かなりかかわるところもあるかと思うのです。 ○宮下座長 その議論でよろしいですか。 ○樋端委員 報告書(案)が出されましたので、この報告書(案)に基づいて、私のところで検査 した28名の療養対照群について、基本的な考え方をこれに基づいた上で当てはめ作業を やってみました。当てはめ作業をやってみると、いろいろ問題があるなということがわ かったのです。一応、実証検査に近いところの、10℃10分の基本検査と、実証検査のと きにやった握力検査、振動覚検査を評価して、ここにあるような評価基準に基づいてや りました。宮下座長の分類を使わせていただきましたが、全部で18点が総点数で、12点 を超えるものがクラス3という扱いをさせていただきました。 それで見ますと、クラス分類の扱い方の問題が1つあります。1つは、クラス3とい うのは、比較的明確に異常がある、比較的重症だ、著明だというふうに考えてよいかど うかという問題。それからクラス2は、検査上明らかな異常はある。それから、クラス 1の場合は、先ほど原田先生が言われたような、偽陽性のケースも含まれる可能性があ る。偽陽性というか、実際には、振動障害がないにもかかわらず、検査上プラスが現れ るというケースもあるかもしれない。そのような理解をして、クラス0は異常なしとい うふうに理解させていただいて、分類させていただきました。したがって、クラス1と いうのは、大体精密検査に回るべき対象かなと、一応私なりに考えたわけです。 そこで問題になるのが、循環障害はまず基本検査で評価するのですが、これははっき り数値がクラス分類ができます。クラス分類ができないのが、末梢神経系のクラス分類 です。2つ、振動覚と神経伝導速度ということになっていますので、2つのデータを総 合的に考えた場合に、食い違う場合が結構出てくる。これをどう評価するのかというこ とです。次の精密検査に回すべきなのか、どうなのかということの考え方が変わってく るということになります。ここのところの穴埋めをしないといけないなと考えておりま す。 それから、実際に当てはめて、循環の領域ですが、28名の中ではっきり異常がある、 基本検査ではっきり異常があるというものも、これは当然たくさんあるわけですが、精 密検査に回すべきケースが3例あります。つまり、クラス1ですが、3例あります。3 例を、次の精密検査でどの検査をやるかによって、まるで評価が変わってくる。3つの 検査を全部やることはできないし、この本文では、選択的に1つ選んで検査するという ことになっているので、例えば、FSBP%をやったら、精密検査では異常なしという 判定が出て、クラス0。SPPでやれば、クラス3になるというような例があります。 いろいろなのです。そうすると、精密検査をどの検査でやるかによって、判定がまるで 変わってくるということになりますので、この公平性をどう確保するかということが、 非常に重要な問題になるということがわかりました。 そこで、SPPとLDPIとFSBP%を、基本検査のデータを基にして考察してみ たので、ちょっとメモしていただければいいのですが、SPPについては、クラス0、 つまり基本検査で異常なしとされたものが6例ありますが。この6例全部が、SPPで は異常ありと出てきます。 それから、LDPIについていうと、クラス3、あるいはクラス2となったケースが、 全部で19例あるのです。そのうち、LDPIがデータの欠損が2例あります。そしてそ のうち、クラス3とされたものが10例、クラス2となったものが3例で、そのうちLD PIが、データの欠損が2例ありますので、19例のうち17例がLDPIで分析できて、 異常なしが11例あります。17分の11です。つまり、基本検査ではっきりした異常があ ると判定しても、この検査でやると17分の11が異常なしと判定される。 それからFSBP%については、同じく19例が、これは一応基本検査でクラス2ない し3なのですが、そのうち、クラス3のものでは、9例中5例。クラス2では8例中2 例。合計して17例ですが、これはデータの欠損が2例あるので、合計して7例、17分の 7例が異常なしということになって、したがって17分の10例が異常があるというデータ になります。 このデータをどう考えればいいかということですが、精密検査としてSPPはやはり あまり重要性をもたない可能性がある。それから、LDPIとFSBPとを比べると、 陽性と出てくる確率はFSBP%のほうが高いという結論になりました。したがって、 もし精密検査をやるのであれば、FSBP%を最優先しないと判断を間違う可能性があ ると考えられたわけです。これは私の結論で、それがいいかどうかはご論議いただきた いわけです。したがって、先ほどの原田先生の意見の中で、3つの検査を採用するかし ないかといった、精密検査、どれをするかと関係します。 ○原田委員 2つの検査の組み合わせの話ですか。 ○樋端委員 組み合わせの問題とも関係しますが、もっとベースになる問題ではないかと思います。 ○原田委員 ちょっとよくわからなかったところですが、要するに、その3つの精密検査を検討さ れたわけですね。SPPは、基本検査でクラス0の人を異常ありとしたということです か。 ○樋端委員 異常あるというふうになりました。 ○原田委員 基本検査クラス0の人が6名いますが。 ○樋端委員 6例をすべて異常ありとします。 ○原田委員 異常ありというのは、そのクラス1、2、3ですか。 ○樋端委員 1、2、3です。 ○原田委員 1、2、3。 ○樋端委員 はい。 ○原田委員 そういうSPPの話と、LDPIは全部で、今度は逆に基本検査でクラス2、3の人 はどうですか。 ○樋端委員 2と3、異常ありとする。 ○原田委員 今度は基本検査で、クラス2と3の場合の17名がいます。 ○樋端委員 11例異常なしとなります。 ○原田委員 17例中11例が今度はクラス0になる。LDPIが。 ○樋端委員 はい。FSBP%の場合は。 ○原田委員 LDPIは11例がクラス0となる。 ○樋端委員 FSBP%は。 ○原田委員 いやいや、LDPIの話。 ○樋端委員 17例分の11例が。 ○原田委員 要するにクラス0になるということですか。 ○樋端委員 0になります。 ○原田委員 それでFSBP%の場合は、同じようにさっきの17名がクラス2、3と基本検査で判 定された。 ○樋端委員 本当は19例あるのです。19例だけれども、それぞれ2件ずつデータの欠損があるので。 ○原田委員 こちら側は17人かもしれないけれども、17人がFSBP%を検査すると、そのうち7 例が。 ○樋端委員 7例が異常なしです。 ○原田委員 異常なしになる。 ○樋端委員 はい。 ○職業病認定対策室長 10例が異常ありですね。 ○樋端委員 そうです。クラス1、2、3のどれかになります。こういうのをどう考えればいいか 問題になります。 ○宮下座長 SPPの場合のクラス1、2、3のSPPのはいかがですか。クラス0が6例で、S PPが全員異常ありになるとおっしゃったのですが。 ○樋端委員 いえいえLDPIでしょう。 ○宮下座長 いや、SPPです。 ○樋端委員 SPPは6例です。 ○宮下座長 そのほかの内訳はどうなりますか。 ○樋端委員 1、2、3です。 ○宮下座長 そうですね。それが。 ○樋端委員 SPPは、6例すべてが1、2、3のどれかになります。 ○原田委員 基本検査がクラス0の場合ですね。 ○樋端委員 そうです。 ○原田委員 逆に、さっきの17例みたいに、基本検査でクラス2、3の場合はどうなるかという質 問ですね。 ○樋端委員 それは、ほとんどの場合は、これは陽性の分が表に出ていますので、見ていただけれ ばおわかりになるのですが、0になるのも、もちろん幾分かはあります。この表を見て いただけばわかりますが。後のほうでしたか。縦長の表です。「末梢環機能に係る各検 査手技の個人判定結果の一覧表」。 ○職業病認定対策室長 VI-4です。 ○樋端委員 ちょっと対象者のID番号等については、細かく申し上げることができませんが、大 体そういうデータになっています。 ○原田委員 要するに基本検査で、異常とされたが、精密検査で結果が食い違う例が、それぞれの 3つの精密検査によっていろいろあるという話ですね。 ○樋端委員 食い違いますね、たくさん食い違います。 ○原田委員 それをどう考えるかというお話ですか。 ○樋端委員 そうですね。ですから、どれかを選択するというふうに、選択的に決めると、どれか を用いて精密検査するという本文がそうなっていますので、それに従うと、どれかを選 択して精密検査を受ける。つまり、疑義症例クラス1、基本検査でクラス1が疑義症例 になるかと思うのですが。そういうケースについて、精密検査でやると、疑義症例は実 は3例あるのです。3例の中で、つまりクラス1が3例あるのですが、そのうちの1例 はSPPで1です。もう1例は、SPPで3です。けれども、他の検査はいずれも0で す。最後の1例は、FSBPで1です。ですから、FSBP%で。 ○職業病認定対策室長 SPPが拾いすぎているということですか。 ○樋端委員 拾いすぎています。 ○重松委員 あるいは、ほかのが拾っていないから。 ○樋端委員 逆にほかのは拾っていない、両方あるかもしれません。 ○原田委員 おそらくですね。 ○宮下座長 いまの議論の整理としては、基本的に基本検査で出たクラス分けを、どのように取り 扱うか。その上で、いわゆる精密検査なり鑑別検査で選択するその検査を、どのように 評価するかということだと思うのです。ですから、いまの検討は、もちろん意味のある ことだと思うのですが、検査を進めていく基本検査の中で、振動障害、例えば循環障害 なりを基本検査でどのように捉えられて、それをどのように処置するかですよね。その 上で、例えば先ほどの、これは3例というのは、先生、クラス1ですか。 ○樋端委員 基本検査で1です。 ○宮下座長 1ということですね。 ○樋端委員 はい。 ○宮下座長 その方について、いまのお話になると。 ○樋端委員 そうです。 ○宮下座長 ですから。 ○原田委員 いままでは、3の話ではなかったですか。3名の話をされたわけではないですよね。 いま出てきた6名とかというのは。 ○樋端委員 基本的には、クラス1の人を鑑別したわけです。 ○宮下座長 ですから、整理しますと、議論は、クラス2、3の人を精密検査にかけたと仮定して、 という分析はもちろんありました。ただ、いわゆるその病態を段階的に捉えていくとい うことで、基本検査があり、その上で、さらに進める精密検査なりというのがあるわけ です。その認識でよろしいですね。 ○原田委員 クラス1とクラス2、3との使い分けが。先生は、クラス1の話を、いま3名された わけですね。先ほどの議論は、それとはまた別の話をしていたわけですか。 ○樋端委員 ですから、検査を進めていく体系において、例えば基本検査でこの部分を、例えば振 動障害の病態を、循環障害を、例えば2、3で、それはもう捉えられているということ であれば。 ○原田委員 基本検査で捉えられているとすれば、そこでの話ですね。 ○樋端委員 そうですね。 ○宮下座長 そうでしょう。ですから、取り扱いとしてはその次のステップにはいかないと。 ○原田委員 逆にこの2、3でも、すでに異常とわかっているのに、精密検査をすると異常でない 例がそれぞれありますよ、という話ですか。 ○樋端委員 それはもう議論しないのです。一応議論すればたくさんあると思うのですが、議論し ないで、つまり、軽度の異常に留どまったケースについて、精密検査をする必要がある と仮定すれば、そういう対象者が3例あったのです。その3例のうち、SPPはすべて 陽性です。 ○原田委員 クラス1以上ですか。 ○樋端委員 そうです。FSBP%は1例だけクラス1になります。それから、レーザードップラ ーの血流イメージングですが、これはすべて0です。そうすると、どの検査を選択する かによって、ある人は振動障害としての末梢循環障害があると認定される可能性が高い し、ある人は認定されないという可能性が出てくる。それは、精密検査の公平性という 点ではやはり問題があると私は思います。 ○宮下座長 いまの整理の仕方でよろしいですか。 ○職業病認定対策室長 樋端先生のおっしゃったことは、そうではあるけれども、例えばクラス1と判定され た、偽陽性の中に入っているかもしれないので精密検査をしたというときに、SPPが いちばん拾われるから、SPPでやるべきだとおっしゃっているわけではないですね。 ○樋端委員 そうではありません。 ○職業病認定対策室長 FSBP%を優先させましょうということもおっしゃったわけですね。 ○樋端委員 いまのようなデータをベースにして、それぞれの検査の有効性をもう1回考えてみる と、すでに基本検査で0とされたケースが、全部SPPでは異常ありとなってしまう。 ○原田委員 さっきの6例の話はそうです。 ○樋端委員 それで逆にFSBP%とレーザードップラー血流画像化装置の検査でいうと、19例が 2と3になるのです。それで、つまり異常が一応ある。明確に、基本検査になっている 人が異常なしとされるのが、FSBPでは17例分の7例。レーザードップラーは17分の 11例。やはり救済すると考えると、つまり異常としてピックアップできる確率の高さと いうことでいえば、FSBP%のほうが高いという結論になるのです。これは私の結論 ですが、それがいいかどうかというのは議論いただきたいと思います。 ○宮下座長 75頁以降の検査の組み合わせを、実際に樋端委員のところの、全体の28例とおっしゃ いましたね。 ○樋端委員 28例です。したがって、基本検査は実証検査に近い最近の検査というようになります。 ○宮下座長 この進め方としては10℃10分法を基本検査として、クラス分類をされた。そして、進 める1つの前提として、10℃10分法でクラス分けされた2と3は「末梢循環障害あり」 というように取り扱った場合に、もちろんクラス0というのは異常なしということです が、クラス1が3名あるということですね。 ○樋端委員 そうです。 ○宮下座長 ですから、この進め方としては、基本検査で末梢循環障害を捉えているものは、循環 障害ありとしましょうということですね。その上で、1が軽度の所見なので、基本的に はこれを精密検査にかける必要がある。そうした場合に、3つの検査をやられた場合に、 SPPでは3例とも異常がある、FSBPは1例。LDPIは3例とも異常なしという ように出る。そうした場合に精密検査を進めた場合の3例について、選択する検査によ って所見が異なるということで、先ほどの分析の結果を委員が解釈をされて、FSBP %、LDPI、SPPという選択の順が妥当ではないか、そういう1つの考え方という ことです。 基本的な議論としては、基本検査で2、3を認められれば循環障害ありというように 捉える、それが前提。ですから、この検査の組み合わせを基本的にそのように位置づけ、 その上での議論だということです。同じことが、先ほど言われた末梢神経機能ですか、 先生、もう一度ご発言いただけますか。 ○樋端委員 末梢神経機能については2つの検査をして、そのデータが食い違うケースがたくさん 出てきます。どちらかが0になるケースは9例あります。どちらかと言っても神経伝導 速度なのですが、クラス0が2つのうち1項目でもあるのを精密検査とする。両方とも 0だったら、つまりクラス0ということになりますから、これは異常なしとなるかと思 うのです。28名のうち、両方とも0はありませんでした。片方が0が9例ある。この9 例を精密検査に回すということになるのかと思っているのですが、もし9例を精密検査 に回すとなると、先ほど木村委員がお話になったようなインチング法、そのほかの検査 も、筋電図なども併用するとなると、かなり負担が大きくなるなと。あるいは技師がや るとしても、機械の普及の具合、熟練度の問題、これもかなり問題点を残すというのが 私の印象です。 ○梁井委員 質問です。末梢神経伝導速度で異常なのですか。 ○樋端委員 末梢神経系の検査ですね。 ○梁井委員 末梢神経伝導速度。 ○樋端委員 木村委員のやられた分析です。分析の結果で、9名が0になります。 ○梁井委員 異常なしということですか。 ○樋端委員 そうです。 ○梁井委員 そして、その分は。 ○樋端委員 だから、その分が一応、精密検査に回るのものと思います。もう1つのRIONの検 査は異常あるというようになっていますから。 ○梁井委員 RIONでは出ているということですか。 ○樋端委員 そうです。 ○職業病認定対策室長 私もデータを見せてもらいましたが、RIONの9名中2例は、かなり低い0.7でし たね。ですから、この0.7と0、これは明らかに低い方の場合です。だから、7例中の 話をされたほうがよろしいかと思います。 ○樋端委員 そうですね。9例ではなくて7例です。 ○木村委員 この間も申し上げたか、あるいは議論に出たかもしれませんが、振動覚と神経伝導検 査では見ているものが違うわけですね。ですから、その乖離が起こるということは別に 不思議ではないことで、よく経験することです。すなわちこれは検査の限界なのです。 髙山委員などは手の外科が専門で、それこそ我々のほうに電気生理の依頼が回ってきま すが、電気生理で異常がなくても患者さんは手術を受けたとかいうことがあるわけです。 その際にはやはり臨床症状が優先するということです。電気生理はしびれとか知覚障害 の訴えをそのまま捉えられるわけではないですから、電気生理学的検査で全く正常でも 手術を受けられる方もいるわけです。当然、臨床医のほうが総合的な判断を、ほかの画 像やいろいろな手段を用いて行うことになるわけです。我々のほうとしては、異常が出 ているということがあっても、臨床的には違って判断されるケースもありますし、逆の こともあるわけです。 そういうことで言うと、見ているものといいますか、末梢神経に関して言えば、振動 覚で見ているものと神経伝導検査で見ているものとは違うということですから、もしも より振動覚の結果と一致させたいのであれば、体性感覚誘発電位などは位置覚などを見 るわけですから、そういう検査を組み合わせたほうがお互いの結果の一致については良 くなると思います。そういう意味では、末梢神経に関しての今回の検査では、そういう 結果が出て当たり前だと思います。問題は、この前も話題に出ましたが、精密検査にか けるかどうかということです。これは行政上の問題だと思うのですが、人手の問題もあ りますし、検査の普及度の問題もあるわけですから、精密検査をやるかどうかはまた別 のことだと思うのです。 ただ、さらにいくつかの検査をやることによって、より異常があるかどうか、よりこ のような異常があるかどうかということがわかるのであれば、そういうことで良いと思 います。あるいは、鑑別診断を行うことにより、検査の精度が上がるということは言え るので、私はこの文章の書き方でいいのではないかと思います。先ほども原田委員から ありましたが、針筋電図は少しインベーシブルなところもありますので、我々は引っか かった人を全て更に検査する必要はないように思います。 ○原田委員 必要があればやったらいいですし、必要はないかもしれない。 ○木村委員 必要に応じてということで、さらに鑑別の精度を上げるということで実施を検討すれ ば良いと思います。末梢神経で言えばスクリーニングで引っ掛かったからといって全員 次のステップに行かなければならないということではないと思います。臨床のほうでも、 そういう考え方で行っているのではないかと思うのです。ただ、それを行政でどのよう に判断して、どのように実施していくかはまた違う問題だと思うのです。末梢神経に関 しては、2つの検査については違う結果が出て当然ということですね。 ○樋端委員 当然ですね。調べるところが違うのですからね。 ○木村委員 どこかに異常があるということでは両方検査するということで、その意味があると思 いますが。 ○宮下座長 この検査の組み合わせ、基本的にどのように考えるかということと、当然、最終的に は総合的に判断するということなのですが、基本検査、精密検査・鑑別診断というよう な2本立てで検査を進めるに当たって、基本的な問題と、それぞれの持つ、ある意味違 う面を見ているところがありますので、当然同じように行かないということがあるかと 思うのです。この件については、樋端委員からも事前に少しご意見を頂戴しておりまし たし、いまのご議論もありました。 ○職業病認定対策室長 それで、樋端先生からは精密検査をどういう判断でやるべきかをこの検討会報告の中 に盛り込むべきである、という意見がありました。事務局のほうで先生のご意見をまと めたものがありますが、これはどうしましょうか。お出ししてよろしいですか。 ○宮下座長 どうぞ。 ○職業病認定対策室長 いまの各検査位置づけの末尾に以下の文章を加えるということで案文を提出させてい ただきます。 ○宮下座長 お手元にA4で数行書かれた文章がまいったかと思いますが、事務局どうぞ。 ○職業病認定対策室長 75頁の2の上のところに基本検査、精密検査の議論をしており、その末尾に以下の文 章を加えてはどうかという提案です。読ませてもらいます。 「その際の考え方としては、検査法のもつ特異度、敏感度を考慮し、以下によるのが 適当であると考える。末梢循環基本検査において、軽度の所見と判定された場合には精 密検査を実施する。また、末梢神経基本検査において、振動覚検査及び神経伝導検査の 2検査が『異常なし』と『所見有り』と判定が分かれた場合には精密検査を実施する」 ということです。実は樋端先生とも事前にすり合わせをさせていただいたのですが、こ のようなことを加えたほうがよりはっきりするのではないかということで、提案させて いただきたいと思います。 ○宮下座長 いま基本的な2つの循環機能検査と末梢神経の機能検査の、いわゆる基本検査と精密 検査の基本的な運用といいますか、考え方ということで、それから先の議論は置いてお きたいと思うのですが。基本的な組み合わせ、進め方として、末梢循環基本検査、すな わちこの場合は10℃10分法ですが、軽度の所見、先ほどクラス1の話が出ましたが、こ ういう場合には精密検査を実施しようと。また、末梢神経基本検査において、振動覚検 査と伝導速度検査の2つが基本検査ですが、この検査が「異常なし」で、一方が「所見 あり」というように、判定が分かれた場合には精密検査に進もう、という基本的な進め 方でいかがでしょうか。そういう整理をしたものを75頁の冒頭の1の「検査の位置づけ」 と「組み合わせ」の間、すなわち1の検査の位置づけのあとに付け加えて、組み合わせ、 あるいは運用の仕方という基本的な考え方を示したらいかがかということです。ご意見 をどうぞ。 ○梁井委員 質問です。軽度の所見というのは、どういうことを言うのですか。 ○職業病認定対策室長 樋端先生ともいろいろお話させていただいたのですが、はじめクラス1というのが案 文として、まずあったのです。10℃10分法は、実はこの検討会で評価しておりませんの で、クラス1という評価分けができません。(案)の場合は例えば宮下座長の分は評点 1だったでしょうか。それから、井藤先生の評価は1プラスだったと思います。つまり、 そういうものは、ということで整理させてもらおうかなと考えています。 ○宮下座長 そういう意味では、同様のことが振動覚検査にも当てはまるということですね。 ○職業病認定対策室長 はい、そうです。 ○宮下座長 基本検査で採用する検査はクラス1という表現は当検討会のテーブルに乗せておりま せんので、「異常なし」あるいは「所見あり」という見方で整理をしていただいてとい うこと。 ○梁井委員 いつも言うように、振動覚そのものは確実に表現しているかどうかということなので すけれども。どういう意味かと言うと、ものすごく数が増えるのではないかということ です。 ○樋端委員 ただいまのご発言では、確かに振動覚検査は、従来の末梢神経機能検査の中には、痛 覚検査と振動覚検査がありましたが、上下法をきちんとやれば、どちらかというと痛覚 検査よりははるかに客観性がある、あるいは再現性もいいのです。 ○梁井委員 再現性があるのですか。 ○樋端委員 再現性もいいし、客観的な評価という意味ではある程度出てきます。痛覚は、どちら かというと患者の恣意的な要素がかなり出ますから、痛覚検査に比べるといいと思いま す。 ○梁井委員 振動覚はRIONのですか。 ○樋端委員 RIONしかありませんから。 ○職業病認定対策室長 いまのお話は上昇法と下降法を繰り返して再現性を確認するというのは、当然の前提 としてあるかとは思いますけれども。 ○梁井委員 常に大前提です。 ○職業病認定対策室長 はい。 ○原田委員 結論的には、これだと神経の伝達速度で所見がなかった、片方ではか。 ○宮下座長 分かれた場合。 ○原田委員 分かれた場合ということだから、両方異常なければ、もちろん異常なしということに なる。両方異常あれば、異常ありと。神経伝導速度に異常がなければ、これは基本的に は精密検査に回るという考え方ですね。 ○梁井委員 そういうことです。 ○木村委員 私はそこまでしなくてもいいと思うのです。実際問題として神経伝導検査をはじめ、 電気生理のほうで挙げてある精密検査は、かなり熟練したテクニックを要しますし、針 筋電図になれば技師ではこれは無理です。医者がやらなければなりません。いま臨床神 経生理学会が電気生理の専門医の認定をやっと始めましたが、まだ全国どこにでもいる わけではありません。従って、これはプラクティカルなことではないと思います。そう いうことで、この文章を活かすとすれば「精密検査の実施を検討する」ぐらいというこ とで留めておいた方が良いように思います。必ず実施しなければいけないということに なると、現実的ではないと思います。 ○宮下座長 実施することが望ましい。 ○木村委員 実施を検討するということで、それが望ましいことかどうかも、何とも言えません。 針筋電図検査というのは、末梢神経に異常があって、その異常の程度が強いときに初め て異常が出るわけです。その所見を捕らえるわけですから、望ましいというよりも実施 を検討するということで、実際にはそのドクターの判断になると思います。以上述べた ようなことが、末梢神経に関しての私の意見です。 ○宮下座長 樋端委員、いかがですか。 ○樋端委員 確かに神経伝導速度で、先生がこのたびの実証検査でやられた異常を引っ掛けるのは、 ここから上(手関節より中枢側)ですよね。ここまでの異常ですよね。ここから先(手 関節側より末梢側)に異常があるかどうかというのは、実証検査の方法では引っ掛けら れない。 ○木村委員 ただ、我々は今回はかなりのことを検査しています。我々は専門的にこのような検査 をやっていて、常にやっているからできるわけで、現実問題として、例えば技術上のこ とですが、電気の刺激というのはアーチファクトが入りますので、指を刺激して手掌か ら活動電位を取るというのは距離が非常に短いために非常に難しいです。これは機械の 進歩と同時に、テクニックに習熟することによって初めて検査することが可能になるわ けで、我々は全例を検査することができましたが、非常に難しいことと言えます。まし て重度の異常がある場合には、アーチファクトの中に波形が隠れてしまい非常に難しい です。その検査自体、やることに慣れていない人だったら、まず無理です。神経伝導検 査をやったことがある程度の医師では難しいですし、ましてテクニシャンでは無理です。 逆に末梢神経に異常がある場合には、非常に強い刺激を加える必要があるので、それ こそフォールスポジティブというか、ほかの神経を刺激して、ほかからの波形を拾って しまう可能性があるということになります。そのようなことも見極めなければならない わけで、非常に大変なことになります。ですから、それを見極めるためにはかなりの熟 練が必要となりますので、もしもこのような報告書の中で、精密検査として先ほどのよ うな書き方をした場合には、すなわちそれを実施するということになってしまうと、現 場ではかなり大きな問題となり、混乱が起こると思います。その判定に関して、できる 人とできない人といるわけですし、現実的ではないと思います。 ○樋端委員 だから、神経伝導速度で、ここから中枢側は異常がない。だけど、ここから先はもし かしたら異常が出るかもしれないというので、可能性を考えるとリオンで強いクラス3 のような例で、こっちの先は異常がないというような。 ○木村委員 結果として求めているものが違うわけであり、シーファイバーとかペインなどを検査 対象とするのであればまた検査法が異なってくるということです。そういうことで言え ば、前の報告書に書かせていただきましたが、神経伝導速度速度分布という線維ごとに ついての検査が必要となります。これは、一般的な検査にはなっておりませんが、各神 経ごとの伝導速度がどのように分布しているのか、という検査で、そのような精密検査 を行わなければいけません。そういうことになってくると、これは普及している検査で はありませんので現実的なこととは言えなくなってくるということです。 ○髙山委員 確かにこのいろいろな検査の中で、末梢神経機能検査のイのさらなる精密検査だけは、 やはりどこでもできるというものではないもので、あまりこれを強調してやると混乱を 招くのではないかと思っています。先ほど議論が出ましたが、末梢神経の伝導速度のア の検査で異常があれば、それは末梢神経障害、異常があるというように認めていいので はないかと思います。問題は振動覚だけ異常があって、末梢神経伝導速度は全く異常が ない場合に、そのあとどのように取り扱いをするかというところなのです。それに関し て、さらにイの検査は問題があると、先ほど木村委員がおっしゃられていたのですが、 その辺はどうなのでしょうね。見ているものが違うものですから、振動覚自体、本当に 振動覚の信憑性があるかどうかということを、さらにそれに関しての本当に客観的な検 査手技というのはないのです。ほかの循環障害とか何かで合わせて、総合的に見るとい うしかしょうがないのではないかと、現実的には思います。 ついでなのですが、補足のものは確かにこういうことを書かないと、だいぶ抜けてい るところがあると思うのですが、運動機能検査に関して何にも触れられていないので、 どうしようかなと思っているのです。基本検査から精密検査に進むかどうかというポイ ントに関してはいかがでしょうか。 ○梁井委員 私はいろいろやっているのですが、振動覚そのものは樋端委員は非常に信頼性がある と言われていましたが。 ○樋端委員 非常にとは言わないですけど。 ○梁井委員 僕はこれは非常に問題だと思うのです。これもリオンであっても、いわゆる客観性が ないのです。はっきり言って、40dB以上という表現をされるのです。40dBというのは机 が震えるのです。机が震えても感じない、というように表現されるわけです。これはお かしいではないかと。その場合に、いわゆる末梢神経伝導速度をすると、異常ないと出 た場合にどうするかということです。机が震えるようなことを何で人間が感じないのか。 そういうことがあり得るかどうか。そういう症例がいっぱい出てくるわけです。そのと きのことを考えないと、これだけで持っていくと非常に増えてしまうと、私は思ってい ます。だから、40dB以上であって、末梢神経には異常がなければ、これは異常なしとい うある程度のことを決めないと、こちらだけで持っていくと、私は非常に増えてくるの ではないかと思います。それが1つです。 ○髙山委員 今回いろいろな検査をした中で、振動覚だけは唯一、被検者が答えることに依存して いる検査で、あとは被検者が黙っていても全部検査が進むものなのです。これの位置づ けというのが、やはりほかの検査とちょっと違ってくるところがあるので、それをいま まであまり議論していなくて、急に最後に出てきてしまっているという感じがします。 ○梁井委員 だから、「末梢神経伝導速度で、どれぐらい拾えますか」と、いつも聞いているので す。たとえて言えば痛覚が20g以上で、振動覚が40dB以上を訴える患者に対して、末梢 神経伝導速度がどこまで表現できるのかということなのです。それに対して、間違いな く、ここから神経がおかしいために痛覚がおかしい、振動覚がおかしいという証明がで きればいいのですけれども。それほど強い自覚症状があるのに、末梢神経伝導速度が何 でないのかというところがあるのです。私はそういう場合には、末梢神経伝導速度を信 用せざるを得ないと思っています。 ○職業病認定対策室長 木村先生、リングで指先まで測る方法もありますよね。これは相当、熟練度を要する ものですか。 ○木村委員 いや、そんなことはないです。ただ、正常な場合の話で病的なケースの場合には大変 です。 ○職業病認定対策室長 今回はどちらかというと手掌部の辺りからの神経を測っているのですが、振動覚が指 先を測っているわけですから、指先の遅延が大きい、リングの方法で指だけ確認するこ とはできるのでしょうか。 ○木村委員 指だけというのは、ここを刺激してということですか。 ○職業病認定対策室長 そうです。 ○木村委員 手首で取るというのは、これは簡単です。指尖を刺激して、指の基節部で取るという のは大変です。一方、ここを刺激してここという場合には距離がありますので、アーチ ファクトが入りにくく、更にこの間にアースも置けるので、非常に取りやすいと言えま す。 ○職業病認定対策室長 手首で取った場合に、どのぐらいのものが拾えるのですか。 ○木村委員 遠位潜時ということで、我々の今回の指標の中にも1つ入れているわけです。それを さらにセグメンタルに、この部分この部分ということで検査する必要があるかどうかは 疑問です。現実的には樋端先生がおっしゃるように手掌部分でやられていて、ここはイ ンタクトというケースがあるかもしれません。だけど、これをセグメンタルに分けて検 査するのは、技術的に一般の所ではかなり大変だと思います。ですから、私はこの部分 のセグメンタルということで、前腕部よりは、よりセンシティビティーがあるだろうと いう観点から適切な指標を選ぶようにしているわけです。 ○職業病認定対策室長 この評価で0というときにはどうですか。 ○木村委員 0という時にも難しい問題がありますね。結局、神経はあくまでも束であり検査では 一部を見ているに過ぎませんから。 ○職業病認定対策室長 そうすると、先生の基準は例えば16個のうち1~4個だけ異常ということでクラス 0となりますが、振動覚検査結果と神経伝導検査結果が分かれた場合に、個別にパーツ して、指の部分を評価してみてくださいと。例えばそれが1~4の間で0なのですが、 指の部分があっても0となったような場合には、それは十分に振動覚の検査結果も証明 されていると、このように見ていいでしょうか。 ○木村委員 話が違ってしまうのですが、神経伝導検査で異常の程度などを判断する場合には、一 般的には数値を用います。例えば運動神経伝導速度で言えば、平均が大体一般の人で50 m/sec前後なのですが、これが40、30、あるいは10以下、場合によっては取れないとい うことがあるわけです。従ってこの数値により本当は重症度を判定するわけです。とこ ろが、今回は1つの神経がやられているわけではなくて、いろいろな神経がどこがやら れているかわからないわけです。ターゲットが決まっていて、もしも右の正中神経1本 の検査でできるのなら、いまのような重症度の分け方、すなわちその値から定量的に分 けることができるわけです。 ところが、どこの神経がやられているかわからない。どこの場所でやられているかも わからない。それから、どの繊維がやられているのかも、もう1つはっきりしない。そ こで非常に困ってしまったわけです。通常は30分ぐらいで、患者にあまり負担をかけな い範囲で検査を行います。今日はいちばん一般的に行われている正中神経・尺骨神経に ついてその左右両側をやればいいだろうということで検査を行いました。その中でいろ いろなパラメーターをとっているわけです。更にそのパラメーターの中からいちばん使 えそうなものを選びました。振動障害では過去の検査結果から、末梢のほうのニューロ パシーが多い。それから、絞扼性の神経障害が多いということが判っています。そうい うデータが出てきましたので、そこをいちばん反映する指標を用いて、私どもは今回こ ういう分類を提案したということです。 これが必ずしも一般化されたものとは言えないのですが、多神経について見る場合、 この方法がベストとは言えなくとも、いまの我々の見解ではベターだと思っています。 もちろん先ほど表で梁井委員とも話したのですが、さらに足の末梢神経について検査を やれば、より精度が上がりますし、さらに手には橈骨神経というのもあります。そうい う神経について検査をやればどんどん精度が上がりますが、そこまでやっていったら、 より混乱していろいろなことが出てくるということです。そういう流れの中で考えてき た指標なのですが、もしも1つの右の正中神経だけがやられていて、それが非常にやら れていて伝導速度が20m/secぐらいしかない。そういうケースがあったとしても、今回 の指標を用いた場合には、正中神経の異常のいくつかの指標しか引っ掛からない。ほか が正常であった場合には、クラス分類としては軽く出てしまう可能性もあるわけです。 そういうのは今回のクラス分類の限界ということになるわけです。ただ、どこかでクラ イテリアを作らないと仕様がないので、議論のあるところかもしれませんが、今回はい ろいろな神経をスクリーニング検査して行い、その中でこのような方法でまとめて評価 したということです。 ○髙山委員 説明するとご理解いただけると思うのですが、結局、伝導速度のスクリーニングみた いなものですか。 ○木村委員 そうですね。ところで、この神経伝導検査というのには、なかなかスクリーニングの 検査というのは普通はないのです。電気の刺激を与えますので、患者は不愉快な感じが します。従って必要最小限の検査で、できるだけの情報を得るようにします。ですから、 異常があったら、次の検査も追加するという形で検査を進めて行きます。それが実際の 臨床でやっていることなのです。そういうようなわけ方で、ほかの先生方がやられてい る循環の検査とはちょっと考えが違うのではないかなと思います。 ○本間委員 それでは、先生のお考えでは、何が何でもこれを基本検査として、ファーストチョイ スでやりなさいというわけではないと。 ○木村委員 いや、ファーストチョイスとしては客観的に見られるということが重要ですから、末 梢神経について神経伝導検査がファーストチョイスとして絶対に良いと思います。その ときに、右の正中神経だけの場合には先程申しあげたようなフォールスポジティブなど いろいろな問題が入ってきてしまいますので、少なくともこのぐらいの神経について検 査はやったほうがいいのではないかと思います。 ○髙山委員 症状に合わせてやるということは、とりあえず最初の基本検査でできないものですか ら、どういう症状を持っているかによらずに、とりあえず検査して、それで引っ掛かる ところがあるかどうかという形なので、いまのやり方は妥当なのではないかと思います ね。 ○梁井委員 実際、鑑定をやっているときに、自覚症状のみでいいというのが非常に多いのです。 それを外して客観的なものを取るという姿勢にしないと、ものすごく増えてくるという のはありますから、それはある程度、自覚症状は除くとか、あるいは痛覚は除くなどと して、どうしてもひどければ末梢神経伝導速度を見るという方法がいいのではないかと 思っているので、いまの先生の意見は非常に良いと思っています。 ○職業病認定対策室長 神経伝導検査の実施できる病院がある程度限られてくる、専門家が限られてくるとい うお話ですが、例えば各都道府県に1つある大学病院ではできると、そういうことでは ないのですか。 ○木村委員 スクリーニングとしてはどこでもできます。 ○職業病認定対策室長 お尋ねしましたのは、先ほどのインチング法です。 ○木村委員 インチング法はできる所が限られてきますね。 ○職業病認定対策室長 大学病院でできないのですか。 ○木村委員 大学病院でも、その分野に特に詳しい方がいる病院に限られます。 ○職業病認定対策室長 興味を持ってやっている人がいるか、いないかですね。 ○木村委員 臨床神経生理学会というのは約2,000人の会員がいますが、そのうちの3分の2は脳 波ですね。残りの3分の1が筋電図関係の専門家ですから、600~700名ということです ね。それが全国に散らばっているわけですので、そういうことから言うと非常に限られ ていると考えられます。 ○職業病認定対策室長 これまでの患者の推移などから見ても、何万人と出ている患者でもありません。そし て、先ほどの樋端先生のお話の7例が神経伝導検査でクラス0となり引っ掛かってきて いるということからいくと、例えば振動覚検査と神経伝導検査結果の乖離が著しいもの などは、先ほど言ったインチング法で細かく見て差し上げるというわけにはいかないで すか。 ○木村委員 インチング法だけに限らず、ほかのいろいろな検査もということでしょうか。 ○職業病認定対策室長 もちろんです。 ○木村委員 そういう面ではできると思います。例えば北海道で言えば北大とかいうように、各地 方で電気生理を熱心に行っているところはいくつかあります。ただ、必ずということで はなくて、やはり実施を検討するということではないでしょうか。 ○梁井委員 ほかの方法があれば、またそこで検討するという形ですね。 ○木村委員 はい。何もそれを絶対的にとしなくても良いと思います。インチング法とここには書 いてありますが、「等」ということになっています。すなわち「等」という表現でその 患者・患者に応じてやるということが、プラクティカルな対応になると思います。 ○職業病認定対策室長 いろいろ研究されている方は、誘発電位までやるべきだという方もいらっしゃいまし て、これはこれで、またそれは大変かとも考えているのですけれども。 ○木村委員 技術のある方は、誘発電位も簡単に検査することができます。しかしながら、誘発電 位もいろいろと分かれていて、短潜時誘発電位、長潜時誘発電位など色々あります。何 を検査するのか、何を見るかによって違うのです。ですから、その研究室、その病院、 その施設によって得意なところが違ってきます。ただ、学会レベルではそういうのを統 一しようとして、誘発電位や筋電図に精通した技術者の養成、そういう検査に精通した 医者の養成を行っています。 ○宮下座長 いまの議論を少し整理させていただくと、末梢神経基本検査において、振動感覚検査 および神経伝導速度検査の2検査で「異常なし」「所見があり」ということで、判定が 分かれた場合にということではなくて、1つのものの考え方からすると、振動感覚検査 のみに異常がある場合にどのように対応するかと、そういう整理でよろしいのでしょう か。 ○樋端委員 実質はそうです。 ○宮下座長 基本的にはですね。 ○樋端委員 はい。 ○宮下座長 ただ、その場合にいまのご議論から言うと、必ず精密検査で次の段階に行くというこ とが、この抱えている問題を必ずしも解くことにはなりません。必要な検査というのは、 なかなか表現が難しいかと思うのです。その場合に、臨床的に必要な検査を行うことに なりますが。 ○木村委員 それこそ、振動覚、位置覚の場合には体性感覚誘発電位のほうが良いと思います。広 い意味での電気生理学的検査の精密検査を行う。振動覚を見るのでしたら、むしろその ほうが現実的といえます。但し、また、そこに同じような問題、つまり検査技師の問題 などが出てくるということになります。 ○本間委員 SEPは岩見沢労災病院の院長は長年研究しているものですから、当院の検査技師は これはできるのです。 ○木村委員 そうですね。非常に優秀な方がいらっしゃいますので、できると思います。確かに、 一般的なことはできると思います。ただ、先ほど言いましたように、誘発電位にもSEP、 視覚誘発電位、聴覚誘発電位など様々なものがあり、そこで働いている先生がどれに興 味があるかによって変わってくると思います。取り方についても習熟の問題があります。 むしろ振動覚との一致を考えるのでしたら、誘発電位を検討する方が良いかもしれませ ん。 ○職業病認定対策室長 精密検査の場合、必要に応じてSEPだとか。 ○木村委員 そうです。誘発電位を入れる、SEPを検討する余地があるということです。 ○職業病認定対策室長 むしろ筋電図よりもSEPを入れるということでしょうか。 ○木村委員 ですから、「等」ということでみんな書いておけばよいのではないでしょうか。 ○宮下座長 ですから、必要に応じて体性感覚誘発電位(SEP)を冒頭に加えて、あとを活かし て「等を実施する」という表現でどうでしょうか。 ○職業病認定対策室長 わかりました。その際の実施方法等について言及しておく必要がありますね。 ○木村委員 付録には入っていましたか。 ○職業病認定対策室長 89頁に入っています。 ○宮下座長 表現は異なった場合というよりも、先ほど私が申し上げたような整理でよろしいです か。「また」以降ですが、「末梢神経基本検査において、振動感覚検査のみに『所見あ り』と判定された場合には、精密検査の実施を検討する」でよろしいでしょうか。 ○職業病認定対策室長 わかりました。 ○宮下座長 それから、髙山委員が言われた運動機能検査は言わなくていいのかということなので すが、文字にしても、あまりはっきりとした表現ではないのですが、やはりこれを書か ないというわけにはいかないかと思いますので、1度議論したいと思います。 ○髙山委員 必要だと思われるところは、現実的には握力検査で異常があるのに、筋萎縮は見られ ない場合なのです。ただ、あまりそこを限定して書いてしまうのも、適さないかなとは 考えられます。 ○宮下座長 座長から、漠然とした表現ですが少し申し上げます。 ○髙山委員 いろいろな意味に使える表現のほうが適切かなと思います。 ○宮下座長 「運動機能基本検査において、所見が確定されない場合には精密検査を実施する」。 ○髙山委員 それぐらいの表現がいいです。 ○宮下座長 いまの具体的なことを包括して、「所見が確定されない場合には、精密検査を実施す る」というぐらいの表現で、いかがでしょうか。ですから、必ずしもやらなくてもいい のですが、矛盾点なりというのは、意味での確定がされない場合と。「所見が確定され ない場合には、精密検査を実施する」というぐらいの表現で、いかがでしょうか。 ○原田委員 戻るのですが、末梢神経検査で、76頁の本文のほうでは、これにSEPというか、 「誘発電位検査」という表現を入れるわけですね。 ○宮下座長 76頁、もう一度申し上げますが、(2)の「末梢神経機能検査」のイの「精密検査・ 鑑別診断のための検査としては、必要に応じて、体性感覚誘発電位(SEP)、運動・ 感覚神経伝導検査」以下を続ける。そのような取り扱いでいかがでしょうか。 ○原田委員 振動感覚と対応させる点では、体性感覚、SEPのほうが対応すると思うのですが、 末梢神経障害を診断するという意味ではインチング法のほうがsensitivityが高いとい うことがありませんか。 ○木村委員 より病変の局在を判定するのには、インチング法の方が有効ですね。だけど、これも ごく一部に有効ということであって、そういう意味で言うと、例えば神経伝導検査の、 この付録に書いてある後期応答などのほうが有効ということもあります。ここにインチ ング法だけ取り上げることは問題で、「など」という表現で私は良いと思います。 ○原田委員 優先順位、どちらが先かという話で、この場合はインチング法とSEPと、どちらの ほうが精密検査としては。何かSEPのほうが最初に来てしまったわけで。 ○木村委員 ターゲットが違うので、ここに何か異常があって、それをよりあれするためにはイン チングとかそれをやったほうがいいですし、先ほどの振動覚の問題が出てきたので、S EPが強調されたのですけれども。 ○原田委員 優先順位としてはインチング法で、そのあとにSEPが来るかなと思った。 ○木村委員 インチング法というのも、あまり一般的ではありません。むしろ、より広範な神経伝 導検査という意味では後期応答とか、そういうほうが鑑別診断では一般的だと思うので す。ただ、一般の検査の順位付けとしては、普及度から言えば、先生がおっしゃるよう に神経伝導検査、筋電図、SEPというような順になると思います。 ○原田委員 随分昔にSEPを検討したことがあるのですが、そのころはsensitivityがあまり高 くなかったのです。とらまえないことがしばしばあったものですから、最近はもう随分。 ○木村委員 SEPの精度は上がっています。 ○宮下座長 いまの基本的な検査の進め方、この末尾に付けるということで、採択させていただき たいと思います。なお、先ほど議論のあった末梢循環機能検査における選択的云々とい うことなのですが、この問題はなかなか難しい問題だと思います。76頁、いまの樋端委 員のご意見を採択する、しないという意味ではないのですが、基本検査に加えて、これ は順番を付けて書いているわけではないのですが、いまの段階ではこの表現に留まるか なと思うのですが、いかがでしょうか。あるいは語尾のあれですが、2行目のFSBP は世界的にも広く行われているということの意味合いから、「をはじめとして」という ぐらいを付けるかですね。「FSBPをはじめとして、レーザー云々皮膚灌流圧測定を 選択的に」というような表現にするかというのが私からの。 ○原田委員 従前からお話していますように、同じ末梢循環機能の検査といっても、FSBP%、 あるいはレーザードップラー血流画像化装置による皮膚血流測定、皮膚灌流圧測定、そ れぞれ見ているものが違うところがあるのです。だから、目的に応じて選択的にという 意味で、「選択的に実施する」という形での表記でいいのではと思います。 ○宮下座長 いかがですか。 ○樋端委員 だから、その場合に選択するのは主治医でいいのですね。 ○原田委員 その方の臨床症状を知っている主治医となりますね。 ○樋端委員 臨床症状は何を指標にして選択するかと言うと、選択のしようがないですね。ですか ら、私が申し上げたいことは、FSBP%、基本検査のクラス2と3と、一応、末梢神 経障害があるとした人たちの分析なのです。そのうちLDPIは過半数を「障害はなし」 と判定する。それから、FSBP%は過半数を「障害あり」としている。そこの違いな のです。これは検査を受ける側から言えば、大変大きな問題になります。精密検査で 「異常なし」と言われるのか、「異常は一応ある」というように判定されるのかという ことになりますので、大変大きな違いなのです。その点から言うと、やはりFSBP% が中心になるのかというように、私は感じたのです。 ○原田委員 実際に国内外の普及の状況から見てもそうなるとは思うのですが、プラクティカルに はそうなりますね。 ○職業病認定対策室長 確かに原田先生がおっしゃっているように、国際的な評価基準といいますか、ISO の関係でも、FSBP%が採用されるのですね。 ○原田委員 だから、検査法としての標準化ではもう。 ○職業病認定対策室長 進めているわけですよね。 ○原田委員 標準化されましたが、評価法はまだ次の段階です。 ○職業病認定対策室長 そういう意味で座長の提案のように「はじめとして」とすることで十分に意を込めて いるのではないでしょうか。 ○宮下座長 「選択的」というのは原田委員の意も込めてですね。そして、実態としてファースト チョイスとして非常に検査が採択されやすいということからして、この議論の表現をま とめさせていただいて、先ほど申し上げた2行目の「局所冷却による指動脈血圧測定 (FSBP%)をはじめとして、レーザー血流画像化装置による皮膚血流測定、レーザ ードップラー血流計による皮膚潅流圧測定を選択的に実施する」というような表現で、 いかがでしょうか。そのようにさせていただきたいと思います。 最後に、全体的な本報告としての表現の統一や一貫性ということで、最終的にまとめ をする際に、そういう面からも全体を通したご検討をいただければと思いますが、いか がでしょうか。 ○本間委員 重松委員に大変失礼な質問になるかもしれませんが、22頁の下から10行目ぐらいでし ょうか。「振動障害を診断する指標として、A:器質的な血流障害がないこと」とお書 きになっていますが、器質的変化というのは、血管造影をやるとほとんどの例で見られ るわけです。去年の秋の学会で私どもが報告した例を全部調べてみましたが、器質的変 化のないものは871指中5指、0.57%のみで、あとは全部、狭窄なり閉塞なりあったわ けです。振動障害をこのように書いてしまうと全く矛盾してくるのではないかと思うの ですが、アインバンドを入れるような形になりますが、先生のご意見を是非聞かせても らいたいのですが。 ○宮下座長 いまの本間委員の症例というのは、レイノーの有無とか、そういうのは全く関係ない お話でしょうか。 ○本間委員 これは全部、振動障害の認定診断で行った症例です。 ○宮下座長 レイノーの有無に関係なく、レイノーのある方もない方も入っていらっしゃると。 ○本間委員 レイノーがない方は数例あります。2例か3例。 ○宮下座長 ほとんどがレイノーがあるということですね。 ○本間委員 レイノーの訴えがある。 ○重松委員 これはなかなか難しいのです。1979年の報告なのですが、バージャー病、ASO、膠 原病、それと振動障害を含めた血管造影所見による報告書というのを厚生省の難治性血 管炎調査研究班で私が研究したものなのですが、もう既に出しているのです。その中で、 確かに振動障害と認定されているもので、要するに器質的の意味がなかなか難しい。ど のように取るか。正常の人でも、例えば野球のプレーヤー、ゴルフプレーヤーなど、や はりあるのです。 ですから、器質的な障害というのは、確かに難しい表現ですね。病的と取るかどうか ということですね。他疾患を意味する、サゼストするような器質的障害というような捉 え方で言っていることは言っているのです。膠原病にしてもそうですね。膠原病でもプ ライマリレイノーというか、器質的障害、閉塞がないというように考えられる症例でも、 ほとんどの場合に病変が認められるのです。確かにそのとおりです。振動障害のことに ついても、やはりそのときに文を書いていますが、先生がおっしゃるとおりで、何らか の閉塞性病変が認められることは認められるのです。 ですから、ここで言っている器質的障害というのは、例えばASOなどを意味する意 味での器質的障害と捉えていただいたほうがいいかもしれません。実は引用文献を見て いただけばわかるのですが、既に振動障害に限らずレイノー症候群を示す患者と、AS O、閉塞性の動脈硬化症やバージャー病の患者などに対するほかのデータが既に出てい て、それをバックグラウンドにして、ここの記載がなされているので、その辺は引用文 献のほうを見ていただければと思います。SPPそのものの測定というか、方法論が比 較的新しい。最初に報告されたのが1995年で10年ぐらい前ですけれども、あまり広範に は使われていなくて、やっと日本で使われたのはここ数年のことなので、そのデータも これから解釈していく上では重要です。 ただ、我々の感覚では、先ほどSPPは取り過ぎるという意見がありましたが、この FSBP%で異常が出るというのは、むしろ器質的な閉塞があるという例がかなり入っ てくるのです。むしろそういうものがなくてSPPで異常があるというのが本当のレイ ノーかもしれない。茶化して申し上げましたが、他のでは取れていないのをSPPで引 っ掛けている可能性も、まだ検討の余地はこれからあると思います。そういうところを ご理解いただきたいと思います。 ○宮下座長 ほかに、いかがですか。 ○本間委員 もう1点、37頁「表D13」の下から10行目くらいです。「また、検査者における検査 装置の事前習熟時間が結果的に十分でなかった」ということで。その前にいただいた報 告書案が「検査者の手技習熟に不十分さがあった」と書いてあり、これは削除していた だきたいと事務局にお願いしたのですが、今日いただいた文章では訂正されて、事前習 熟時間が結果的に十分でなかったから、予想されたようなデータが出てこなかったとい う解釈になると思います。要するに予想されたデータが出ない、その原因をここに持っ てくるというのはちょっと首を傾げざるを得ないし、事前の習熟時間というのは十分取 ったと思います。なおかつ、データが予想したデータと違っていたということだと思う ので、この文章は削られたほうがいいのではないかと私は思いますが、いかがですか。 41頁の下から4行目に、検者の機器の取り扱いの習熟度が十分でないとあり、これも削 られたほうがいいと思います。 ○原田委員 このことについて先ほど本間委員に、会議の前にご説明したのですが、検査者の方た ちは一生懸命やっていただいた。これには非常に敬意を払っているわけですが、実際に は装置の習熟になかなか時間がかかるところがあり、結果的に例えば37頁のFSBP% で見ると、ご説明したのですが、4本の指は測れているのに親指だけが測れていない例 がかなりある。ストレンゲージの巻き方の問題だと思います。それために、FSBP% は、他の指は測定できているのですが、親指のデータがないので計算できていないので す。 そういうことで、せっかくデータはあるのですが、FSBP%が計算できない例が3 分の1に上っています。非常に残念なことで、そうでなくてもサンプルサイズは小さい 中で、さらにそのデータを吟味できなかったということがあるので、それは事実として 記載しておく。決して検査者の問題ではない。だから「検査者における」でなく、「検 査者のための」という方がいいかもしれません。検査者のための装置の事前習熟時間が、 こちらのほうで十分に確保できなかったことが一部にあったわけです。 ○本間委員 それも、ちょっと納得いかないですね。美唄労災病院に各装置が来たとき習熟するた めにまる1日取ったのです。先生の所からラスカル氏が来てちゃんと技師に教えている わけです。うちの検査課の技師は、そのほかに1月になって美唄労災病院で検査を行っ たときも3回立ち会っているのです。 ○原田委員 先ほどご説明しましたけれども、その問題もあまり病院の名前を出さないほうがいい と思ったのですが、これは美唄労災病院のことではなくて、美唄労災病院の分はきちん ととれているのです。 ○本間委員 美唄労災病院での検査はできていると思います。うちの技師も美唄労災病院に行って 立ち会って習熟しているわけです。それでなおかつ習熟の時間が足りないというのは、 これはどういうことかということです。これは検査技師は納得しないと思います。うち の検査技師だけでなく、例えば樋端先生の所でも検査を担当する方は非常に熱心にやっ ています。それなのにこういう文章が公式文書に載ってしまうというのは、技師として は納得いかないです。 ○原田委員 これは具体的な医療機関の名前を出さないほうがいいと私は思ったのです。 ○本間委員 3箇所しかないわけです。美唄労災病院か岩見沢労災病院か、樋端先生の徳島健生病 院か、それしかないわけですから、これは担当した技師諸君としては納得いかないと思 います。 ○原田委員 ただ、実際に徳島の場合には半日だったと思いますが、習熟に当てる時間が結果的に は不足していて、さっきも話しましたように、3分の1のデータが解析に供することが できなかったという事実はあるわけです。 ○本間委員 それはそれとして、その検査技師の方が習熟しなかったからできなかったということ を、あえてここに記載しなければなりませんか。そのことを記載されるのでしたら、こ の装置が非常に壊れやすかったと、コンプレッサーは壊れる、カフは水漏れする、スト レンゲージはすぐ壊れる、そのことも記載すべきではないでしょうか。技師の技術云々 を言うのでしたら、装置のメンテナンス、構造、そこに不備もあるというふうに記載す るのが、正規の方法ではないかと思います。 ○原田委員 では、それも記載しましょう。 ○宮下座長 ただ、これは全体の報告書です。これは何々がまずいから書かないとか、そうではな くて、全体の検討会の報告書ですから、ある部分だけある記載が突出しているというの も、いかがなものかなと私は座長としてそう思うわけです。ですから、この結論を導く 場合に、何を基本的に共通項目として記載するかという観点から、いま本間委員からご 指摘がありましたが、ここで基本的に扱ったデータでこのような結果が出たと、それを 世に問う本検討会の報告書ですから、共通した部分の記載というのをある程度というか、 統一したフォーマットで報告書として活字に残すべきではないかと、基本的に私はそう 思っています。 ○原田委員 そうしますと、測定はしたけれども解析に供することはできなかったということの事 実に関しては、どういうふうに表現しますか。そういう事実があったということをここ に書くということですか。 ○宮下座長 これは、どこまで詳しく書くかということはあると思います。スタート時から様々な 議論をして、この報告書を発表する時に、ある指摘を本検討会としてはしておかねばな らないということは記載すべきだと思います。 ○原田委員 私の理解の範囲では、習熟の問題について、習熟というのは当然ながら習熟に要する ために当てた時間に対応することであるわけですが、これはFSBP%と指の振動感覚 域値の検査、それに存在するという理解なのです。ほかの検査について私は承知してい ないわけですが、当該のところにそのことについて記述する形にしているわけです。 ○職業病認定対策室長 お話を伺っていると、FSBP%もHVLabもISO基準として採用するべきもの です。それらの中で、いま先生が言われたように一部外れてデータが取れなかったとい うことで、それは、つまりデータの欠損が生じたという事実は確かで、それはこの表に も全部載せているわけです。何例分の何例しか取れないということも書いてあるわけで すから、それでもって十分なのではないでしょうか。それを、あえて取れなかったこと が検査者の不熟練だとか、挑戦的に書かないほうがよろしいのではないかと思われる点 もありますけれども。 ○原田委員 挑戦的に書いているわけでは全くなくて、私たちのほうの反省を込めて書いているわ けです。そうしますと、ここのところは原因を書かずに、それだけの測定ができなかっ たという表現にしますか。 ○職業病認定対策室長 ええ、そのほうが納得するかと思います。 ○原田委員 それは時間もありませんから、また後で検討します。 ○重松委員 これは結果の項目で、先ほど言われた検査的に習熟時間云々というところは、どちら かというと考察です。ですから、ここの評価基準の中では「敏感度として50%程度が得 られている」で切っていいわけです。「そこから先は問題がある」までのところは、こ こは考察部分ですから、これをどう扱うかということは別のところで考えられる。 ○原田委員 この最終報告書については、全部の委員に了解を得て公表されますよね。 ○宮下座長 ただ、逆に言いますと、例えばA委員が、これは私1人だけが反対だと、他の方々は 妥当性があると言う場合、十分議論を尽くしていただきたいのです。今日はそうしてい ただきたい。それでないと今日は詰めの検討会ですので、ここのところは皆さんで納得 し、ご反対の意見が仮にあっても、これは検討会全体としてこのように採択しましょう というところを、是非詰めていただきたい。個別に、ここは私は個人的にはできません ということでなく、これは検討会全体で出ますのでね。 ○原田委員 だから私の質問は、最終的に社会的に公表する場合に、一応、全員がそれを了解して 出すものですねという質問です。 ○宮下座長 いまのところも、ですから、ここで37頁のいまの委員のお考え、本間委員からのご指 摘、あるいは重松委員のご指摘で、例えばここの「得られている」というところまでを、 ここの記述にするというふうに皆さんで合意するのかどうか。これは最終的に残りまし たということであれば、例えば本間委員のご納得を逆に得られないわけです。 ○原田委員 だから私の質問は、最終的な(案)が固まったときに、全員の先生方が確認して社会 的に出されるのですねということです。 ○宮下座長 もちろん、そうです。 ○原田委員 というのは予定の時間が過ぎているわけですから、私はまだ時間はいいのですが、よ ろしいのですか。 ○宮下座長 この点は、いかがいたしますか。いまの本間委員のご質問に対して、原田委員として は、ご指摘のところの取り扱いです。 ○原田委員 検討します。 ○宮下座長 では最終的にならないと私は申し上げているのです。 ○原田委員 ここで少し時間をかけて検討して、よろしいのですか。 ○宮下座長 ですから私は座長として、ここのところはきちんと本日の検討会で納得していただき たいわけです。 ○原田委員 具体的に言うと、この文章をどういうふうにというご提案になりますか。 ○重松委員 ですから、「得られている」で終わりではないですか。「50%程度が得られている」 で、その後のことについては要するに考察部分ですから、それぞれのデータ欠損につい ての説明を入れるか入れないかの話です。別にこのFSBP%に限らないことです。ほ かのSPPでもそうですし、あるときは患者が動いたりして取れていないのもあるし、 いろいろなデータ欠損についての説明を入れるかどうかの話だと思います。 ○髙山委員 37頁のエの下半分は、考察のところにこの内容を書く。この結果の部分ですから。 ○重松委員 評価基準のところは、ここはもう結果のところを書いているわけですから、「得られ ている」で切って、そこから先の部分について、どういう理由でデータ欠損になってい るかというのは、ここの項に限らず他の木村先生や髙山先生のデータでもみんなそうで す。伝導速度にしても全部取れているわけではない。だからそういう扱いをどのように するかということで、そこを記載する必要があるかどうかです。どれだけデータ欠損し ているかということは、先ほど室長が言われたように資料の中に記載されているので、 それで十分ではないかというのが常識的な考えではないかということです。 そこをさらに補足として、そのデータ欠損に対する説明を一般的なこういう公文書の 中で入れているかどうかの話だと思います。一般的にそれを別に入れていないのであれ ば、ものすごく大幅なデータ欠損であればまた説明しているかもしれませんけれども、 そうでなければあまり入れる必要もないかなという気もします。 ○原田委員 そうすると、これは後のほうの問題点の中に移しますか。 ○重松委員 それだけ入れるか、他の項目についてSPPでもデータ欠損がありますので、そうい ったことについての説明を他の項目でも入れなければいけなくなると思います。 ○原田委員 そうしますと37頁の下から3分の1のところで、先ほどお話がありましたが「得られ ている」で切って、「今回の検討では」から「等の問題がある」までの4行を、38頁の 上から6行目のところに「このように検討を要する問題があった」というふうに移しま すか。 ○重松委員 ここだけの問題ではなくて、ほかの、例えばレーザー血流画像化装置で見たときのデ ータ欠損、あるいはSPPで見たときのデータ欠損それぞれにあるわけですから、この 全体としてそういうデータ欠損をどう取り扱うかということに言及するかどうかという 話だと思います。 ○原田委員 それは、この成績の評価と、そこから持って来る評価基準に影響する要素ですので、 記述は必要だと私は考えます。だから38頁の上から7行目の「今回の検討は」の前に移 すということで持って来たらどうでしょうか。50歳から69歳の話は、一応重複するか ら最後の3行は取ります。 ○職業病認定対策室長 いま、重松先生のご発言で、つまり原田先生のこの記述があると、レーザードップラ ー、皮膚灌流圧、画像化装置、あるいは神経伝導速度もそうかもしれませんが、すべて についてこの記述をしなければならないのではないかというご指摘です。ですから、確 かに原田先生が指摘されていることは非常に重要というか、例えば被検者数の問題とい うのは当初計画よりは、おっしゃるとおりのことで、もっとやればもっと十分なデータ が得られたということがあるのかもしれません。ただ、統計的には有意だと言っている わけですからいいのですが。あるいは先生がここの中で記述している厳密に言えば北海 道と四国で違う。「地域特性」と書いていますけれども、それは確かに北海道と四国で、 30分馴化したからいいではないかと私は1回発言したことがあり、それは君、違うよと お叱りを受けました。ただ、そうは言っても、Labとしてはそこまでの厳密さを本当 は求めなければならないけれども、この評価なりデータ解析には、まとめのところに限 界があると書いています。ですから、そのような項目を1項設けてされたらどうでしょ うか。そのほうが全体の統一性がとれると、いまお話を伺っていて感じています。 つまり、個人の先生方の担当が、ここの部分は私の責任だからという形の報告書では ないと思います。例えば何かのレポートですと、ここの部分は分析は誰々ということに なりますが、これは全員のものですから。原田先生のご指摘は私は重要な指摘をされて いると思いますけれども、ただ、そのことで全員の記述の平仄が合っていないというこ とも一方にあるわけです。これは事前に私も原田先生と何度もお話させていただき、 「先生、全体的にまとめてはどうでしょうか」と提案させていただいたこともあります。 そういうことでここのところはお考えいただくと、この議論は詰まるのではないかと思 います。 ○木村委員 どこからどこは分析は誰々、というのは入らないわけですね。 ○職業病認定対策室長 入りません。 ○木村委員 これは形としては、昨年の報告書ですと第1章誰々となっていますが、今回の形とし ては宮下座長以下の名前を書いて、これを全員が書いたという形の報告書になるという 理解でいいですか。 ○職業病認定対策室長 そういう形です。ですから議論が必要だと思います。 ○原田委員 確かに室長から、そういう指摘は十分いただいているわけですが、しかし、先ほどの 議論にも関わるわけですが、ここで検討するとなった場合に時間的には一定の時間を要 すると思います。だけど今日の会議の時間内でそれを最終的に詰めてしまう必要がある というのが、宮下座長のご意見ですね。 ○宮下座長 この議論は、要は原田委員のご指摘を引っ込めるとかそういうことではないのです。 ただ、委員が指摘されていることを全体の共通したところで述べて、それで全体的な整 合性ということで、そういう統一に委員のご理解を得たいということなのです。 ○原田委員 ですから私の質問は、その統一した記述を作る場合に、それを今日の検討会の時間内 で文章として完成する必要があるかどうかという質問です。 ○宮下座長 できればしたいと思います。 ○原田委員 できればですか。 ○宮下座長 できればというか、したいと思います。 ○職業病認定対策室長 まだ時間も少しありますから。 ○重松委員 私が言っているのは、だから検査者における云々も、レイノー有症群と対照群の居住 地のことはSPPでも共通なのです。 ○原田委員 そうですね。 ○重松委員 測定には2人の担当者を派遣しましたが、1人のほうはベテランでもう1人は新人で すが、2人で測っているわけです。レイノー有症群と対照群の居住地は同じことです。 ですから、ここに限った問題ではないので、これをどういうふうに全体の記載の中に入 れるかどうかの問題もあります。先ほどの伝導速度の話もそうですが、委員が述べてい るのはそのデータ欠損とかばらつきの大きさについての考察です。ですから、それは入 れる必要があるのかどうかというところを決めていただいたらいいと思います。私のS PPのほうでは、そこのところまで言及はしていないです。 ○原田委員 ここにもちろん書いているわけですから、今回のデータの意味を吟味する上で、そう いう測定上の要因についてはちゃんと記述すべきだと私は基本的に思いますので、それ でここに書いてあるわけです。しかし、それを統一的に1カ所にまとめて置くという場 合に、どこに置きますか。 ○重松委員 これが、いま得られている全体の結論に大きな影響を及ぼしているのかどうかという ことがあると思います。 ○宮下座長 その点はいかがですか。 ○木村委員 77頁の下から4行目で、「今後、さらに症例数を増やし、データを蓄積し明確にする 必要がある」の後あたりに、「また各検査に習熟するなど、そういう問題がある」と1 行ぐらい入れることをすれば、全体のまとめの提案になるかと思いますが。 ○原田委員 下から4行目ですか。 ○木村委員 今後さらに症例を増やすとか、データを蓄積して明確にする必要があるという問題点 を提起しているわけですから、同じように各検査に習熟する検査者の養成の必要性とか、 そういうようなことを1、2行入れたら全体として良くなるように思います。ただそれ がまとめの最後の部分で果たして適切かどうかは何とも言えませんが。 ○宮下座長 いまのご意見は統一的に記載するというお立場で、77頁のまとめに、原田委員がご指 摘の部分を簡潔にまとめて述べておくというご意見です。 ○本間委員 それでいいのではないかと思います。「さらに」と述べているあたりで、よいのでは ないかと思います。 ○職業病認定対策室長 確認ですが、先ほど本間先生は37頁と41頁のお話をされましたが、評価のところにも 同じことがあるのです。 ○宮下座長 言っていただけますか。 ○職業病認定対策室長 原田先生が担当された65頁の12℃5分法の評価基準です。「VIの3の(1)で記述し たような問題点が」と言って、ここが関連してきます。 ○原田委員 65頁ですか。 ○職業病認定対策室長 65頁、(1)のイ、評価基準、「VIの3の(1)で記述したような問題点があり」と。 ○宮下座長 65頁のイ、評価基準、「今回の調査ではVIの3(1)で記述したような問題」とある。 ○職業病認定対策室長 これが前から引っ張っていますので関連してきます。それから69頁のFSBP%でイ、 評価基準の部分が、先ほど本間先生が指摘したようなことも含めて記述があります。 ○宮下座長 69頁ですね。 ○職業病認定対策室長 69頁のイ、(ア)の前の4行です。71頁のイ、ここには「標本サイズが小さいこと」 の記述があります。この部分を全部まとめて、つまり標本サイズが小さいこと、地域特 性の問題、検査者の熟練度は先生は下ろしてほしいというお話ですが、それに触れるか 触れないかという問題などがあります。 ○重松委員 この検査者の誤差というのは別に習熟度とは関係なしにどの検査法でもあるわけです。 ですから、検査者間の誤差でいいと思います。習熟度とは関係ない。いま言われたよう なことを、ここの最後のところに入れるということ。 ○職業病認定対策室長 そうですね。どこかにまとめて、今回の実証検査の問題点は問題点として、検討会と して認識されるということの共通認識であっても、それはいいのかなと思います。ただ、 あちこちにそういう記述があるよりは、統一をとられたらどうですかということをご提 案申し上げました。 ○原田委員 71頁の評価基準で、そういうサイズの問題で評価基準は暫定的に提案せざるを得ない という表現になっているわけです。理由は無しに以下の評価基準は暫定的と書いた場合 には、なぜかという話になります。 ○職業病認定対策室長 ですから、いま言った何点かの問題があって、それは先生の担当された評価基準だけ でなくて、宮下座長の担当された部分、重松先生の担当された部分、木村先生の担当さ れた部分もあるわけですから、その部分を暫定的と言うなら、それは暫定的なのでしょ う。それは原田先生のだけが暫定的ではありません。 ○宮下座長 考え方としては、知見が蓄積されて改訂されるということは当然あり得ることだと思 います。ですから、そういうふうなことでの本検討会で取り扱った範囲でのご提案です。 それがさらに今後蓄積されて、そこが改訂されるということも、もちろん辞さないとい うのが検討会の基本的な見解ではないでしょうか。 ○原田委員 私が気にしているのは、ここで示した基準がある程度きっちりしたものとして、社会 的に出て行くことに対して慎重に対応しなければならない。 ○宮下座長 でも誰かのところだけでなく、言葉をまたご検討いただくとして、全体にそういうこ とがないと逆にいけないのではないですか。 ○原田委員 今回の7つの検査で示されている評価基準は、サンプルサイズ等々の問題があって、 暫定的なものであるという位置づけですか。私は他の先生方はそういうお考えではない と理解したのですけれども。 ○木村委員 私のところで言わせていただくと、こういうようなクラス分類は他では行っていませ ん。今回、循環の専門の方が多いですから、こういう提案をした場合には神経のほうの 専門家からはいろいろ叩かれるかもしれませんし、いろいろなことを言われるかもしれ ません。ただ、私は自分の関係しているこのような検査をやっている方にもいろいろと 相談しました。そのような中で、どこに病変があるかわからない、どこにどういう病態 があるかいまひとつはっきりしない、そういうものに対する検査としては、こういう方 法しかないのではないかと思っています。色々と行った中ではいちばんリーズナブルで あろうということで、こういうのを提案したわけです。 これについては批判を受けるでしょうし、いろいろなことがあると思います。今まで の概念とは全然違う提案ですから。そういうことで言えば、私はより暫定的な結果とい うことで言い訳をいろいろと書かなければならないかもしれませんが、しかしながら何 らかの形でまとめるということでこういう方法にした訳です。原田委員よりも、むしろ 逆に私のほうがより強く感じているかもしれません。 ○宮下座長 だから、評価基準の取り扱いという基本的な考え方を、全体的に共通のご認識を持っ ていただいて、それを全体的に記載するという基本的な考え方でいかがですか。 ○原田委員 実際的に、この報告書が出来上がれば、それは現場の労災認定の中で、オーソライズ されたものとして歩いていく可能性は十分あると思います。 ○髙山委員 あとは行政側の問題だと思います。例えば、いま、このnの数でやって、とりあえず こういう区分でやったのが妥当だろうということで、また増えて問題点があったり、あ るいは機械の進歩などでより分類ができれば、またそれは変わってくるわけだし、それ は、この方針で5年間必ずやりなさいとか言っているわけではないから、いいのではな いですか。 ○原田委員 社会的には、それがどう取り扱われていくかという問題なのです。サイエンスの場と しては、それは一定程度確定的なものなのか、あるいはまだ問題を含んでいるので暫定 的なものなのかについては、明記と責任があると私は思っています。 ○本間委員 これはあくまでも報告書ですので、これが独り歩きするということはないのではない かと思います。私ども実際に認定診断にタッチしている労災病院の職員としては、その 判断の基準というのはあくまでも厚労省からの通達で、昭和52年の307号通達にそって やっているわけで、その通達が変わればまた私どもの判断も変わりますが。 ○原田委員 そういうときに暫定的であるという表現を、この中に盛り込むことがどうしてまずい のかということです。 ○本間委員 暫定的であろうと、盛り込まれようが盛り込まれまいが、私たちの立場としてはそれ にものすごく影響は受けません。 ○原田委員 これを検討して吟味し、報告書として評価基準を提出する場合に、それがどれだけの 重みを持つものかということについて記載するということは、これは適切なことだと思 います。 ○樋端委員 暫定的という言葉を使うと、その後、正式にまた出さないといけません。だから、そ れは言葉としては使うべきでない。この検討会としてはこういうことを提案する。ただ し、それにはいろいろ問題点が確かにあるから、今後、さらに検証を積み重ねていくこ とが大事であるというところを追加する。 ○宮下座長 あるいは順次改訂されていくと。そこのところが大事ではないでしょうか。 ○原田委員 その後者の表現は、この中に記述されていますかね。 ○宮下座長 もしよろしかったら、意を尽くしていないかもしれませんけれども、たたきになるよ うなものを座長の提案として、見ていただいてよろしいですか。案を出してください。 基本的に、最終的な論議のフォーカスとしては評価基準の取り扱いということになろう かと思います。これはまた少しご議論いただいてもいいと思いますが、先ほど木村委員 からご意見がありましたように、まとめのところに書いてもよろしいし、ご提案の1つ としては、74頁の評価基準で(8)が「その他の検査」になっています。そこに評価基 準の取り扱いということで、読ませていただきます。 「今回の実証検査は、振動障害群、対照群を精査し、機器の校正、検査室の温度設定 等厳密に実施されたが、一部に検査機器の不具合」、これは「等」を入れたほうがいい かもしれません。「等の問題が生じた。また、当初計画した研究規模に達しなかったと いうサンプルサイズの問題もある。しかしながら、上述した」というのは、この項で上 に諸基準が載せられていますけれども、「上述した評価基準は、科学的評価を加えたも のであり、検査結果を判断する上での評価基準として十分妥当性をもつものと考える。 なお、新たな知見が蓄積された場合、順次改訂されるべきものと考える」、こういうふ うな趣旨で加えたらいかがですか。 ○木村委員 (8)の「その他の検査」の前にということですか。 ○宮下座長 そうです。ですから(8)の「その他の検査」は(9)になります。 ○原田委員 どこかで着地しなければいけない、ということはあるわけですけれども。 ○宮下座長 もちろん、もう少し問題点を議論になっている細目まで加えろという議論であれば別 ですが、統一的にこういうふうな形で挿入したらという提案です。 ○本間委員 今後の問題点も指摘されていますし、今まで1年半かけてやってきたことが総括され ていますし、よろしいかと思います。 ○原田委員 そうしますと、あまり本意ではないわけですが、読ませていただきますと、「今回の 実証検査は、振動障害群、対照群を精査し、機器の校正、検査室の温度設定等厳密に実 施されたが、一部に検査機器等の不具合の問題が生じた。また、当初計画した研究規模 に達しなかったという」、サンプルサイズ。 ○宮下座長 サンプルサイズというのは、私がわかりやすく申し上げたので、そのサンプルサイズ という言葉がよろしければそうしますが。 ○原田委員 「また、当初計画したサンプルサイズに達しなかったという問題」、この居住地の問 題は非常に重要だと思います。ここでは振動障害群という表現を使っていますので、 「振動障害群と対照群の居住地域特性に偏りがあった問題等がある。しかしながら、上 述した評価基準は科学的」、これは「検討」でしょうね。評価基準を科学的評価という のはおかしい。「上述した評価基準は、科学的検討を加えたものであり、検査結果を判 断する上での評価基準として十分」、ここは「十分」というより、「一定の妥当性をも つものと考える。なお、新たな知見が蓄積された場合、順次改訂されるべきものである 」。 ○宮下座長 いまの原田委員のご指摘で、サンプルサイズという言葉と、その後はどのようになり ますか。 ○原田委員 「達しなかったという問題」です。 ○職業病認定対策室長 「振動障害群・対照群の居住地特性に偏りがあったという問題もある」。 ○原田委員 「振動障害群と対照群の居住地域特性に偏りがあったこと等の問題がある」、「上述 した評価基準は科学的検討」でしょうね。 ○宮下座長 「科学的検討を加えたものであり、検査結果を判断する上での評価基準として一定の 妥当性をもつものと考える」という意見です。 ○原田委員 「なお、新たな知見が蓄積された場合、順次改訂されるべきものである」、これは当 然です。 ○宮下座長 こういうご意見ですが、いかがですか。 ○梁井委員 地域特性というのは、どうなのでしょうか。最初から規定されたものではない。 ○原田委員 それは、例えば欧州でも人種間差はもちろんあるわけですが、同じ白人であっても、 北欧とイタリアなどのヨーロッパ南部では、例えばレイノー現象の出方にしてもずいぶ ん違うわけです。地域特性というのは非常に重要なので、実際、室長が言われるように、 現場に適用する場合にはいろいろな地域に当てはめていくわけですが、こういう基本的 な検討をする場合には、地域特性は十分に吟味する必要がある。揃えなければいけない、 その必要があるということについては私は当初から言っています。 ○本間委員 東南アジアの労働者との差があるというのは、名古屋大学の先生でしたか。 ○原田委員 熊本大学の二塚先生が報告されています。 ○原田委員 例えば私が大学院生のころに名古屋と長野で、振動感覚閾値の調査で一般住民の比較 をしたことがありますが、やはり差があるのです。より厳密な検討をしようとする時に 攪乱要因は揃えるというのが研究の基本です。その上でそれをどう一般に広げるかとい うことですから。 ○本間委員 そこまでいったら、今度はやった時期が違うとか絡んできます。11月にやったのと2 月にやったのでは違う。 ○原田委員 だから、同じ時期に同じ場所で、振動障害の人たちと対照者をペアで検査し、北海道 でも同じ時期に患者と健常者を検査すべきだ、というお話をずっとしてきました。基本 的にはもともとそういう計画であったわけです。 ○梁井委員 同じ室温で、同じものでやっているわけでしょう。それを言ったら振動障害そのもの が九州と北海道は全部違うとなったりするのですか。 ○原田委員 病像は違うと思います。 ○梁井委員 患者の数の問題とかいろいろあるのです。 ○原田委員 それはまた医学的な問題とは別の問題です。医学的には地域なり生活環境で、特に寒 冷が振動障害の病像に影響するということは、一般的な認識だと思います。 ○宮下座長 いかがですか。一部居住地域の問題と、「科学的検討」を加えたということと、「十 分妥当性を」というのを「一定の妥当性を」ということで、いま居住地の議論が出てい ますけれども。 ○樋端委員 ですから、ポピュレーションということから言うと、北海道と四国というのは確かに地 域的な違いがあるということだと思います。すべての生活条件や食事条件が全く同じと いうわけではないのです。一方、今度の対象者で言うと、健常者はどちらかというと北 海道、振動障害療養群は四国なのです。だから、そういう意味からすると、ポピュレー ションは1つだというふうに本当に言えるかどうかというのは、公衆衛生学的な分析の 問題から言うと、やはり地域差の問題は問題がないとは言えないと私は思います。そう いう点で言うと、これは議論が残る問題だと思います。見解の違いは残った、そういう ふうな問題なのだと理解すればいいのではないでしょうか。 ○本間委員 あえて、この報告書に載せる必要があるかないかというのは別の問題だと思います。 ○樋端委員 原田先生は載せるべきだということだから、それを先生は載せる必要はないというこ とですから、見解の違いで、これはいつまで経っても議論は終わりません。 ○原田委員 データにそれが反映されていると私は思います。 ○樋端委員 どちらが正しいかというのは言えませんから。 ○重松委員 項目でSPPとか伝導速度とか、そういうところで北海道群とそれとで群間の有意差 があったというデータではないですよね。 ○樋端委員 それはそうかもしれません。 ○重松委員 それでいて地域特性があるということを、言えないのではないですか。 ○樋端委員 それはそうなのでしょうけど、ポピュレーションを1つにというふうに捉えられるの かどうかは、確かに問題はあると。 ○重松委員 それは問題はあります。 ○樋端委員 例えば、毎日食べる魚の種類は違うかもしれない。 ○重松委員 それはそうです。 ○本間委員 私、あえて言わなかったのですが、日本では人種問題というのはないことになってい るわけです。ところが、心無い方は北海道の人について取り上げた例がありましたので、 地域特性ということを言った場合、それを思い起こさせるようなことにならないかとい う危惧を持ってしまうのです。それをちょっと私は気にしたものですから、あえてそれ は載せなくてもいいのではないかということを申し上げた、誤解されては困るのです。 ○補償課長(明治) それは特性という言葉を付けなければいけないのですか。 ○原田委員 居住地域の特性です。要するに温度条件のことを言っているわけです。居住地域の特 性と言ってしまうともっと広くなってしまう。居住地域の気候特性、「気候」を入れま しょうか。そのほうが適切だと思います。 例えばAという循環機能の血管拡張剤と、Bという血管拡張剤の薬効評価をする場合 に、Aは四国で検査し、Bは北海道の人たちに検査する。今回の解析では振動障害の人 たちの9割方は徳島です。コントロールのほうは30%が北海道です。そういうアンバラ ンスなもので薬効評価をやって、Aのほうが効きますよということを厚労省の薬事に出 しても、これは通らないですね。これは、気候条件だとか年齢、性別を揃えるのが基本 です。 ○職業病認定対策室長 「振動障害群と対照群の構成に偏りがある。」では駄目なのでしょうか。 ○原田委員 居住地域構成でもいいです。 ○職業病認定対策室長 しかし、居住地域というのは本間先生は引っ掛かるわけですね。いらざる議論を起こ すのではないかとおっしゃっているわけですね。 ○原田委員 特性という言葉を外すという点では、居住地域構成のほうがいいかもしれません。気 候という具体的な表現が抜けますけれども。もちろん、それでもいいです。「北海道と 四国という居住地域構成」、というふうにすればよろしいですか。 ○樋端委員 対象者の構成数が四国と同じであれば問題はない。 ○原田委員 本来、そういう趣旨で計画を進めてきました。 ○樋端委員 だから、一方は療養者群が多い、一方は健常者が多い。 ○本間委員 それは、だから直接地域特性とは結び付かないので、あえてそこを報告書に書かなく てもいいのではないかという気がします。 ○原田委員 それは要ります。例えば先ほどのAの薬剤とBの薬剤を比較するシンプルな例の話で すが、1つの薬剤は四国で評価して、もう1つの薬剤は北海道で評価する。それを書か ずに厚労省に審査を出したら、厚労省の委員会はどういう話になりますか。これは科学 的な吟味の話です。振動障害の療養者の割合は31名のうちの3人ですから、結果的に北 海道は1割です。 ○樋端委員 それは、だから「等」という問題の中に、そういう問題等があったということで一言 入れたらどうでしょうか。 ○職業病認定対策室長 表現をちょっと苦労しているのです。 ○宮下座長 記載についての賛否両論があって、原田委員、樋端委員からは、両群の居住地域の偏 りというか、そういう文言を入れるべきであると。何人かの委員は、そこまで記載の必 要はないのではないかというご議論です。 ○原田委員 皆さんの議論は入れるべきでないという意見ではないと、私の解釈ですが。私はこれ は基本的な事項であるので、例えば男性が何人、女性が何人ということと全く同じよう な基本的な方法論上の問題ですから、入れるべきであるということです。入れるべきで ないというご意見なのですか。 ○梁井委員 本間委員はどうですか。 ○本間委員 あえて入れない。 ○原田委員 あえてでしょう。 ○本間委員 だって出ているのですから、表がありますから。 ○原田委員 その表に関連する記述ということになります。 ○重松委員 群間に関わるデータの検証をやっているわけですから、その群間に差があるのであれ ば地域特性というか、それは書くべきだけれども、差がないのであれば書く必要はない のではないかという考えです。 ○原田委員 差がないというのは、どういう意味なのでしょうか。群間というのは何と何のですか。 ○重松委員 地域によっての他のSPPにしても検査項目にしても、その結果において差が出てい るのであれば書くべきですけれども。 ○原田委員 地域によって差があるかどうかでということ。 ○重松委員 そうです。 ○原田委員 そういう吟味はしていないですよね。 ○重松委員 していないですけれども。 ○原田委員 3名と28名で、できるかどうかという問題もありますけれども。 ○重松委員 だから、それを書く必要はないのではないかということです。 ○原田委員 基本的に被検者の性、年齢あるいはどこに居住しているかについては、これは記載す べきだと思います。特にこういう生活環境、気候に影響される検査ですから。 ○宮下座長 原田委員が言われるのは、そういう実験計画なり調査計画の基本として、設定される べき条件の1つの要因であると。 ○原田委員 地域の問題は、私は大きいと思います。 ○職業病認定対策室長 当初計画した被検者構成に達しなかったというのではどうですか。 ○原田委員 それはわかるのです。そこに地域という言葉をちゃんと明記しておく必要があるだろ うということです。 ○樋端委員 産業衛生学会で振動障害の患者を対象として研究発表するときには、どこの地域の、 どういう患者というのは必ず入れるのです。入れるというか、どういう患者群であるか ということがわかるように、発表の論文の中には入れるのが常識なのです。そういう点 から言うと、原田先生が言われることはそれなりの理屈があると思います。原田先生は 強くそういうことを主張しておられるわけだし、その文言は入れたほうがいいと思いま す。北海道の振動障害の患者群と四国の患者群は、病像が土台違うかもしれないという 前提があるのです。だから宮下座長が報告されるときは、和歌山県のどういう患者とい うふうに必ず出ますね。 ○宮下座長 この文言を、語呂のことはありますけれども、「振動障害群と対照群の居住地域の偏 り」とか、そういう文言でよろしいですか。 ○原田委員 そうですね。 ○職業病認定対策室長 居住地域の偏りですね。特性はなしにしてですね。 ○宮下座長 この文言を入れるということで、よろしいですか。あとご指摘の「科学的評価を加え た」というところを、「科学的検討を加えたものであり」とし、1行下の「評価基準と して十分妥当性をもつものと考える」というのを、「一定の妥当性をもつものと考える」、 これはいかがですか。よろしいですか。特に反対の意見はありませんか。 (了承) ○宮下座長 それでは一部、いま申し上げた文言を修正して、新たな(8)として「評価基準の取 り扱い」、(9)として「その他の検査」ということで、一部修正をさせていただき、 全体の整合性をとって。事務局から最終的にご確認いただくということですが、全体と して、この整合性をとった形で全員の合意ということで、基本的なご了解を得たという ことで取りまとめさせていただくということで、よろしいですか。 ○職業病認定対策室長 個々の部分では、削除してよろしいのですね。 ○宮下座長 はい。 ○職業病認定対策室長 先ほどの原田先生の有効性を確認したというのは、いまの問題点を踏まえて確認した という理解でよろしいですか。75頁の上から5行目、7つの検査手法について有効性を 確認したというところです。 ○宮下座長 75頁をペンディングにしていました。申し訳ありません。75頁をご覧いただきたいと 思います。上から5行目です。「そして、今般、7つの検査手法について、振動障害群、 対照群に対して実際に検査を実施し、その有効性を確認した」という原文でいかがです か。 ○原田委員 時間も過ぎていますし、これはこれで皆さんもいいと思います。それに関連というか 直接は関係しないのですが、一応、最後のまとめだと思うので全体的に3つの点だけ発 言してよろしいですか。1点は、今回、こういう7つの検査の有効性についての検討を したということは、医学の進歩を新しい体系に組み立てるという点での積極的な意味が あると評価できると思います。2点目は、その中でも7つの検査について凹凸はありま すが、要するに偽陰性が一定の割合である。したがって、1つの検査でもって所見がな いからといって、異常がないとは言えないということは留意する必要がある。これが2 点目です。 3点目は、私は産業衛生学会の振動障害研究会の責任者をやっていますが、振動障害 研究会で、この検討会の進め方については報告があったのですが、こういう吟味の内容 について、例えば産業衛生学会など振動障害に関わる専門の学会等での議論が実際にな されていない。それについては今後の課題として、広く研究者の中で議論する必要があ るだろうという個人的な意見です。その3点を申し添えさせていただきます。 ○樋端委員 これが通達のベースになる報告書だと思うので、具体的な通達ということになると、 いろいろ運用上の問題点は出てくると思います。例えば神経伝導速度で言うと両方の手 を評価するということになっています。だけど患者によっては片方だけ強いけど、こち らは正常だという場合もあります。そういう場合は評価が大変難しくなるということも あります。そのほか指が欠損しているとか、宮下座長の検査でいくと皮膚温は中指で見 ることになっていますが、この中指が欠損している人だってないわけではないというこ ともある。細かいところでは、このまま通達にすることにはちょっと無理があるのでは ないか。十分に検討していただきたいと思います。特に総合的に診断するというところ は、絶対強調しておかないと問題が残る。基本検診と精密検査の関係の問題も明確にし ておいていただきたいと思います。 ○宮下座長 全体的なご意見をいただきました。予定の時間を1時間ばかり過ぎましたが、今回も 長時間ご議論いただきました。先ほど申しましたように本検討会は第1回目からおよそ 1年半、本日まで15回、実証検査も含めて委員の先生方に非常に多大なご努力をいただ き、一定の報告ができるということに感謝申し上げます。いま、原田委員、樋端委員が 最後に申されたことで、ある部分は学会の場、ある部分は行政の運用に関し、この報告 書が社会的にも十分活用されるような状況で、今後、それこそ新たな知見も加えていき ながら、ひとつの方向性を見い出す報告書であってほしいと思っていますので、今後と も先生方のご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。非常に不慣れといいますか、 手際の悪い座長でしたけれども、それにもかかわらず先生方にご支援いただきまして、 何とか今日、詰めの段階を迎えることができました。最後に御礼を申し上げまして事務 局にお返ししたいと思います。ありがとうございました。 ○中央職業病認定調査官 ありがとうございました。検討会は最終回でございます。補償課長のほうから一言、 ご挨拶申し上げます。 ○補償課長 座長からお話がありましたとおり、本日も1時間オーバーしての熱心な御議論を頂き まして、ありがとうございました。終了にあたりまして一言、ご挨拶をさせていただき ます。先ほど座長のお話にもございましたが、この検査指針の見直しについては、平成 16年7月に第1回を開催してより、1年8カ月の期間にわたり都合15回という回数を重 ねてまいりました。 本日の検討会をもちまして、無事終了させていただくことができました。これも一重 に宮下座長をはじめ、本検討会にご参集いただきました各先生の皆様方の大変精力的な、 あるいは熱心なご議論、ご検討の賜ではないかと思っています。そうした意味で、これ までのご尽力、ご協力に対しまして深く敬意を表しますとともに、感謝を申し上げる次 第でございます。ありがとうございました。 また実証検査につきましては、徳島健生病院、美唄労災病院、岩見沢労災病院の皆様 方に大変なご協力をいただいたところです。この点につきましても重ねて御礼を申し上 げる次第でございます。 この検討会では、先ほど方向性について結論を得られたというところでございます。 各先生方におかれましては、それぞれの専門分野におきまして関係学会あるいは国際動 向も十分踏まえていただきながら、最新の医学的知見あるいは検査技術に基づき、それ ぞれ判断基準、あるいは各検査の組み合わせについて的確にご判断をいただき、実にき め細かい見直しを行っていただいたと思っています。 私どもとしましては、只今の御議論を踏まえ報告書の最後の文言の整理を行い、その 報告書に基づき、現行の検査手技の通達の見直しの作業に入っていきたいと思っていま す。そうしたことを通じまして、被災労働者の方々の迅速公正な保護ということに、こ の報告書を活かしていきたいと考えています。 本日をもちまして、この検討会は終了いたすわけでございますが、ご参集いただきま した各先生方におかれましては、これからも報告書の詰めの段階、それ以外にも労災補 償行政の運営につきまして、始終ご相談を申し上げる場面があろうかと思いますが、そ の際はご指導、御愛顧を賜りますようにお願い申し上げまして、簡単ではございますが ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 【照会先】 労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室 職業病認定業務第二係 TEL03-5253-1111(内線5571)