厚生労働省発表
平成18年3月16日 |
〈照会先〉
厚生労働省雇用均等・児童家庭局
母子保健課
担当: |
齋藤、田母神、市川 |
電話: |
03-5253-1111(内線7939) |
|
|
「健やか親子21」中間評価報告書について
「健やか親子21」は、21世紀の母子保健の取組の方向性と目標や指標を示し、関係機関・団体が一体となって、平成13年より22年までの10年計画で、その達成に取り組む国民運動である。
中間年である平成17年には、これまでの状況等を評価し、最終評価も視野においた必要な見直しを行うこととし、厚生労働省において、昨年2月より『「健やか親子21」推進検討会』(座長:裄V正義 日本子ども家庭総合研究所副所長)を開催し、各指標の達成状況及び関係者の目標達成に向けた取組状況について検討を行ってきたところである。
このたび、その成果が中間評価報告書(
PDF:3,650KB)としてとりまとめられたので公表する。
「健やか親子21」中間評価について(概要)
1. |
経緯等
○ |
「健やか親子21」は、21世紀の母子保健の取組の方向性と目標や指標を示し、関係機関・団体が一体となって取り組む国民運動である。
|
○ |
10年計画の中間年である平成17年には、これまでの状況等を評価し必要な見直しを行うこととされており、厚生労働省において、「健やか親子21」推進検討会を開催し、6回にわたって検討を行ってきた。
|
○ |
「健やか親子21」は4つの主要課題と61の指標(数値目標)を設定しており、それらの指標の達成状況と、関係者の取組状況の評価を行った。 |
|
2. |
結果等
(1) |
指標の達成状況
○ |
直近値が出ている58の指標について、直近値が目標に向けて
良くなっている指標 41(70.7%)
悪くなっている又は変わらない指標13(22.4%)
目標値からかけ離れている指標4(6.9%)
であり、それぞれ適切な対策や取組の推進、あるいは必要な見直しを行った。 |
○ |
主要課題ごとに重点取組を明らかにした。(資料1) |
○ |
新たなニーズに対する指標の設定について検討を行い、追加する指標については、現状値を明らかにしつつ、平成22年の目標を設定した。(資料2)
|
|
(2) |
関係者の取組状況
○ |
健やか親子21推進協議会については、担当者を決め、年次計画に「健やか親子21」関連の事業を盛り込んだ団体は8〜9割に上った。しかし、成果(アウトカム)や事業量(アウトプット)に関する目標値を設定した団体は3割前後にとどまり、定期的に取組の評価を行ったとする団体も3割強であった。 |
○ |
「健やか親子21」計画を策定した都道府県は約8割、「健やか親子21」を踏まえた母子保健計画の見直しを行った市町村は約6割であり、課題について住民や関係者と協議する機会を持っていない都道府県が約3割、市町村が約5割見られた。 |
|
|
3. |
今後について
○ |
関係者の連携を強化し、取組を推進する。 |
○ |
母子保健情報の収集と利活用のためのシステムの構築をめざす。 |
|
(資料1)
課題ごとの重点取組
○ |
自殺率は10〜14歳で減少、15〜19歳では増加−きめ細かな対策が必要 |
○ |
思春期の不健康なやせは増加−適切な対応と啓発が必要 |
○ |
人工妊娠中絶実施率は低下、性感染症は増加−要因分析調査が必要 |
○ |
十代の喫煙率、飲酒率は改善−さらなる取組を推進 |
・ |
十代の自殺率と性感染症罹患率は改善が認められなかった。 |
・ |
十代の人工妊娠中絶実施率は減少傾向にあるもののその要因は明らかではなく、地域格差もあるため、今後更なる分析が必要である。 |
・ |
これらに対する取組を推進するとともに、その効果を評価する必要がある。 |
|
課題2 |
妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援 |
|
○ |
妊娠・出産に関する保健水準は改善−周産期ネットワークのさらなる充実を |
○ |
産婦人科医師数の減少−産婦人科医の地域偏在、助産師の施設間偏在の是正が必要
|
○ |
妊娠・出産に関する満足度は増加−真の満足度向上のための支援 |
○ |
不妊への支援として施設整備は達成−質の向上へ向けた取組へ転換を |
・ |
産婦人科医師数の不足、助産師数の施設間偏在は早急に解決すべき課題であり、産科医療を担う人材の確保と適正配置の促進が必要である。 |
・ |
妊娠・出産についての満足、不妊への支援、妊産婦を取り巻く環境づくり等、質の向上が求められている。 |
|
課題3 |
小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備 |
|
○ |
麻しん予防接種率は順調に向上−医療と保健が一体となったさらなる推進 |
○ |
事故防止対策は目標からかけ離れている−適切な指標の設定 |
○ |
病児支援の整備は不十分−環境整備を推進 |
○ |
低出生体重児の割合は増加−食育の推進と妊婦の喫煙対策の推進 |
・ |
小児の不慮の事故死亡率は改善傾向にあるものの、なお死因の1位であり、今後も取組を推進していく必要がある。その際、より現実を反映できるようなモニタリング方法に見直すべきである。 |
・ |
低出生体重児は増加傾向にあり、喫煙や食生活等改善可能な要因については対策を強化する必要がある。 |
|
課題4 |
子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減 |
|
○ |
子ども虐待防止対策は引き続き強化が必要 |
○ |
父親の育児参加は増加傾向−さらなる父親の育児参加へ向けてのサポート環境向上が必要
|
○ |
乳幼児健診の満足度は低いレベル−乳幼児健診の満足度向上をはじめとした保健医療体制の充実を
|
○ |
子どもの心の健康に対応できる医療従事者が不足−子どもの心の健康に対応できる小児科医の養成と児童相談所での児童精神科医の確保促進 |
○ |
母乳育児は推進が必要 |
・ |
虐待による死亡数や児童相談所に報告があった虐待を受けた子どもの数は増加を続けており、子ども虐待防止対策の強化は急務である。 |
・ |
児童精神科医や小児科医で親子の心の問題に対応できる医師の数は少ないため、その養成等について重点的に取り組む必要がある。 |
|
|
(資料2)
指標の見直しと新たな指標の追加
○2-5 |
母性健康管理指導事項連絡カードを知っている妊婦の割合
|
○2-8 |
妊産婦人口に対する産婦人科医・助産師の割合
→ |
妊産婦人口に対する相対的な人数では、不足の度合いや地域偏在、施設間偏在を表すことができないため、実数で推移を追う。 |
|
○ |
思春期保健対策に取り組んでいる地方公共団体の割合
→ |
思春期保健対策に関する行政の取組指標として取り入れる。 |
|
○ |
乳児健診未受診児など生後4か月までに全乳児の状況把握に取り組んでいる市町村の割合
→ |
虐待死亡事例に生後4か月以下の乳児が占める割合が多いことから、行政の取組指標として取り入れる。 |
|
○1-8 |
避妊法を正確に知っている18歳の割合 |
○1-9 |
性感染症を正確に知っている高校生の割合
→ |
「正確に知っている」ことの基準や、知識が行動の変容に結びつくような有効な指導方法、モニタリング方法について検討する必要がある。 |
|
○3-11 |
事故防止対策を実施している家庭の割合
→ |
事故に関する注意点20項目全てを実施していると回答した家庭の割合を計上していたが、項目の絞り込みについて検討する必要がある。 |
|
○4-13 |
常勤の児童精神科医がいる児童相談所の割合
→ |
常勤、非常勤両方の数を追うことや「児童精神科医と連携体制が確保されていること」をモニタリングすることについても検討する必要がある。 |
|
○4-16 |
親子の心の問題に対応できる技術を持った小児科医の割合
→ |
「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」の議論を踏まえ、モニタリング方法を検討する必要がある。 |
|
|
○ |
児童・生徒における肥満児の割合 10.4%(平成16年度学校保健統計調査をもとに日比式により算出) → 減少傾向へ |
○ |
食育の取組を推進している地方公共団体の割合
食育における関係機関等のネットワークづくりの推進に取り組む都道府県の割合 87% → 100%
保育所、学校、住民組織等関係機関の連携により取組を推進している市町村の割合 87.1% → 100%
(母子保健課調べ)
|
○ |
う歯のない3歳児の割合 68.7%(平成15年度3歳児歯科健康診査) → 80%以上 |
|
|
(参考)
「健やか親子21」中間評価について(概要)