06/02/28 児童自立支援施設のあり方に関する研究会第8回議事録 第8回 児童自立支援施設のあり方に関する研究会 議事録 日時:2006年2月28日(火)13: 00〜15:30 場所:厚生労働省17階 専用第18会議室 出席者:  委員   津崎座長、岩田委員、小木曽委員、瀬戸委員、服部委員   山内委員、吉岡委員、藤岡委員  事務局   清川家庭福祉課長、山本虐待防止対策室長、相澤総務課長補佐、   佐藤児童福祉専門官、芝海家庭福祉課措置費係長 議事:  1. 開会  2. 議題    (1) 児童自立支援施設のあり方に関するまとめ    (2) その他  3. 閉会 配付資料:  ・児童自立支援施設のあり方に関する研究会 第8回議事次第  ・座席表  ・資料  「児童自立支援施設のあり方に関する研究会」 報告書(案) ○芝海家庭福祉課措置費係長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第8回児童自立支援施設のあり方に関する研究 会を開催させていただきます。本日はご多忙のところ当研究会にご参集いただきましてありがとう ございます。本日の研究会は8名のご出席ですが、瀬戸委員が少し遅れているようです。野田委 員がご欠席と伺っております。それでは議事に入りたいと思います。津崎座長、よろしくお願いし ます。 ○津崎座長 それでは まず初めに、本日の資料の確認および内容の説明を事務局の方からお願いしたいと 思います。 ○芝海家庭福祉課措置費係長 それでは資料の確認をさせていただきます。上から順番に、「児童自立支援施設のあり方に関 する研究会第8回議事次第」、「座席表」、「配付資料一覧」、最後に資料といたしまして「「児童 自立支援施設のあり方に関する研究会」報告書(案)」となっております。お手元に以上の資料が ない場合はお知らせください。 ○津崎座長  それでは佐藤児童福祉専門官より資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いしま す。 ○佐藤児童福祉専門官 それでは、資料の説明をさせていただきます。12月末に開催されました第6回の研究会におき まして、それまで5回にわたって議論をいただきました内容を、事務局で最初の報告書(案)として まとめさせていただきました。第6回・第7回の研究会では、この内容について委員の皆さんから ご意見・ご助言をいただいて内容をさらに深めていただいたということです。今日、お手元に用意 させていただきました報告書(案)は、第7回の議論を踏まえまして、事務局の方で修正・追記な どをした文章をさらに二度にわたってご点検をいただきまして、それをまとめたものです。  それでは、前回1月25日にご提示した報告書(案)の修正・加筆箇所等を中心に、ご説明をし たいと思います。  1ページ目をご覧ください。この「 はじめに 」では、最初に、子どもを取り巻く環境の変化につい て触れまして、社会的支援を必要とする子どもの範囲が複雑・多様化することについて書いてあり ます。この中で3行目「重大な少年事件の発生など、子どもの問題が一層深刻化しており」と書い てありますが、これは、前回は「少年非行における低年齢化」という表現をしておりました。これに ついて修正をさせていただいております。  2ページをお開き願います。4〜12行目までの9行については、委員の皆さんのご意見等をいた だきまして加筆した部分の内容です。「こうした状況の中で、児童自立支援施設は、定員開差 (定員と現員の乖離)を改善するための運営のあり方、学校教育の適切な実施、支援・援助にお ける専門性・援助技術・援助方法の向上の方策についての検討、それから児童自立支援施設を 適切に運営し、的確な支援・援助を行っていく上で、現在の施設長・児童自立支援専門員等の 資格要件、人事システムなどの見直しが必要である。また、さらに一部の地方公共団体から、施 設運営の民間委託の要請がなされており、これについても基本的な考え方を示す必要がある」こ のように、この部分はこの研究会の検討課題を整理して明確にするということで、ここで書き加えま した。  次に、「1.児童自立支援施設における自立支援についての基本的な考え方」を示しております。 「児童自立支援施設における支援については、子どもの健全な発達・成長のための最善の利益 の確保・権利擁護を基本とし、一人ひとりの子どものニーズに応じたきめ細かな支援を実施するこ とが重要である」そのためには、基本的な考え方として八つを挙げております。これが次のページ です。若干の表現の修正、それから追記等があります。まず1です。ここでは3行目になりますが、 「規則の押し付けや管理のためではなく、子どもの自立を支援・推進するための一定の「枠のある 生活」こういう支援基盤が重要である」ということ。2では2行目の「子どもが愛され大切にされてい るという実感が持てる家庭的・福祉的なアプローチによって「育て直し」を行っていくことが重要で ある」ということ。3では2行目から「一人ひとりの子どもを受容し真摯に向き合い、子どもと職員と の間で愛着関係・信頼関係を育んでいくことが重要である。そのためには、どのような場面でどの ような言葉がけや関わりが必要なのかなどについて、深い理解が必要」だということ。4には「施設 が有しているすべての機能を活用して、子ども自身の生きる力、あるいは他者を尊重し共生して いく力、あるいは社会生活を営む力などを身につけていくことが大切であり、それを育む支援が必 要である」ということが書かれております。5では「本人のみならず保護者や家族に対しても、支援 が必要である。その強化を図る必要がある」、関係機関との連携が書かれております。次の6が 前回の議論を踏まえて追加した部分です。「子どもの支援・援助に当たっては、体罰、言葉の暴 力、あるいは差別や子ども間のいじめ、暴力があってはならないことはもとより、子どもがひとりの人 間として尊重され、適切な支援・援助が提供されるよう配慮する必要がある。そのためには、苦情 解決の仕組みなど、子どもの意見・意思が表明でき、それを考慮した援助活動のできるような関 係性の構築と環境づくりが重要である」ということを付け加えております。それから4ページの(7)を ご覧ください。これも前回の議論を踏まえて、新たに追加した内容です。ここは子どもの権利擁護 と子どもの被害性の理解について書かれております。「近年、入所している子どもの多くが、虐待 といった生命や人格に及ぶ権利侵害を被り、入所に至っている現状がある。このような虐待を受 けた子どもの多くは、その影響が大きな要因の一つとなり、非行行為に及ぶということが見受けら れる。施設においては、このような子ども達の状況・被害性についても十分理解して支援に当たる ことが大切である」としております。8は「施設は地域に理解され、社会に根ざした施設となるよう 運営することが必要である。そのためには地域住民の福祉ニーズに対応したサービス提供が展 開できるような運営も必要である」ということです。以下、大きな修正はありませんが、「施設はこの ような基本的な考え方に基づいて、全人的な支援やケアを展開してきた。しかしながら、現状にお いては、このような機能を発揮することが困難になっている施設も見受けられる。これらの施設に ついては何よりも、本来持つべき中心的な機能の回復、充実を図ることが必要である。そのため には、自立支援の基本理念を再確認し、必要な取組を行っていくとともに、発達障害等の新たな ニーズにも対応できる自立支援の体制を築いていくことが求められている」というようなまとめ方を しております。  続きまして5ページです。「2.自立支援機能の充実・強化」。最初に「(1)支援技術・方法につい て」「○アセスメント及び自立支援計画策定のあり方」です。この中の二つ目の黒ポチです。ここで は「アセスメントのプロセス、計画の策定、実施状況の把握(モニタリング)・評価、見直しにおいて、 児童相談所から提供されるケース情報あるいはその援助指針等活用して的確なアセスメント、自 立支援計画を策定することが必要である」。ここに新たに書き加えたのは、「また、施設の内外より 適切なスーパーバイズ(専門的な助言指導・教育訓練等)を受けることが求められる」。ここも大切 なところですが、「その際、施設職員はもとより児童相談所など関係者と十分に協議することが重 要である。また、子ども自身や親を参加させ、必要な情報を提供し、意見を聴くとともに、その意 向を尊重することが必要である」。これも委員の皆さんからいただいたご意見を反映しております。  次の6ページをご覧ください。ここは「○被虐待経験や発達障害等を有する特別なケアを要する 子どもの支援・援助のあり方」です。ここの黒ポツ目の四つ目です。「同時に、被虐待経験や発達 障害等を有する子どもの支援・援助においては、支援等に係わる職員」等とあり、「そのためにも、 専任医師の配置や外部の医療機関との連携・協力体制などを整備することが必要である」  その下が新たに加えられたところです。「しかしながら、児童精神科医の絶対数が少ないことから、 施設が大学、医療機関等と連携し、医師の養成・研修の場を提供するなど積極的に人材の確保 に取り組むべきである」  それから中段の「○自らの行った非行行為と向き合う取組を通じた自立支援のあり方」。ここは ずいぶん議論されたところで、適切な表現の仕方、ポイントの掴み方が大変難しかったところです。 最初の報告書(案)では「被害者の視点を取り入れた教育のあり方」、第7回では「加害性と被害 性の視点を取入れた教育のあり方」というようなリードになっておりましたが、「自らの行った非行行 為と向き合う取組を通じた自立支援のあり方」という形でまとめさせていただきました。「加害行為 を行った子どもについては、そこに被害者が存在することを踏まえ、自分の行った非行について 振り返りを行い、きちんと向き合うことが、将来、自立していく上で必要である」「また、こうした取組 は被害者への配慮という観点からも重要である」「子どもの中には、これまでの育ちや人間関係の 中で、自分自身が周囲から被害を受け続けている者も相当いるが、受けた被害についての正し い認識を持てていないこともあり、自分の行った加害行為の問題性についても受け入れることが 難しい者も少なくない」ということです。「このような場合には、自分自身の被害性を受け止める回 復の中で他者の等々」とこれは前回と同じ内容になっておりますが、その上の部分については少 しわかりやすいように整理をさせていただきました。それから、ここの黒ポツの四つ目、「取組を行う に際しては子どもの心の成長・発達状況などを慎重に見極めることが重要であり、子ども自身が 加害性や被害性を受け止めることができる年齢・発達段階や早急すぎる取組が、かえって逆効 果を招く危険性があることなどに十分に留意する必要がある」と入れております。  次のページは、リービングケア・アフターケアと続きますが、9ページの黒ポツの二つ目「また、子 どもが躓いたとき、あるいは挫折したときに、子どもの側から気軽に援助を求めることができ、施設 の側から迅速に手を差し伸べられるような支援が重要である」。黒ポツの三つ目「このため、施設 は、退所後においても通信や家庭訪問等を定期的かつ必要に応じて実施し、子どもとの関係づ くりを積極的に行う必要がある」。さらに「子どもが地域社会で自立した生活を送るためには、これ を支える見守りなどの支援体制が必要である」ということを書き加えております。具体的にはこうい う取組だと書いてあります。その下に、「またアフターケアにおいては」というところでは、自立援助 ホームや職業指導等を行う里親との関係、あるいはその地域の任意団体・NPO等との連携の重 要性も若干修正し、まとめさせていただいております。  続きまして、10ページをご覧ください。「○子どもの権利擁護のあり方」です。これは新たに付け 加えた全く新しい項目です。前回の議論の中で権利擁護に関して大変ご意見をいただきました。 「施設は、子どもの権利擁護を基本にすえた運営理念・基本方針を明確にし、研修等により職員 全員に徹底するとともに、権利擁護を推進するための計画の策定と実施が求められる。例えば、 子どもの自由な意見を表明する機会としての「子どもアンケート」の実施、「子ども自治会」の開催、 安心した生活を送るための「権利ノート」の配布、「子ども意見箱」・「第三者委員」の設置による 苦情解決のための仕組みづくり、支援の質の向上を図ることを目的とした「自己評価」・「第三者 評価」の積極的な活用などの取組により、子どもの権利擁護を推進していくことが必要である」と いうことを書き加えさせていただきました。  続きまして11ページです。最初は学校教育についてです。黒ポチの一つ目「また、児童自立支 援施設における学校教育は、子どもの総合的な自立支援の取組の中で生きる力を保障すること を目的として行われるものであり、生活上の支援と協働して取組まれることが重要である」と若干 修正しております。  それから「(3)施設機能の拡充について」です。ここはほとんど変わっておりません。「施設は、中 心的機能に支障が生じない範囲で、次のような機能を拡充することが望まれる」  「○相談機能」があり、次のページの「○通所支援機能」についてはそのままです。次に「○短期 入所機能及び一時保護機能」の黒ポツの二つ目です。「また、一時保護については、本来、児 童相談所の果たすべき役割であり、その充実・強化が強く望まれるところであるが、児童自立支 援施設においても、可能な範囲で一定の役割を果たすことが期待されている。ただし、委託一時 保護を行うに当たっては、子どもや保護者に対して、個別の状況を踏まえた説明を行い、可能な 範囲で同意を得ることが望ましい。また、対象となる子ども等の要件を明確にすること、あるいは一 時保護を行う職員の研修が必要である」というまとめをさせていただきました。それから、その下の 「短期入所及び入所を前提としない委託一時保護については、入所している子どもへの影響も 懸念されることから、子ども同士の立場や関係性に配慮した生活を可能とする設備を整備したり、 生活の仕方を工夫するなど施設運営に支障のない範囲での受け入れについて検討を行うことが 必要である」という整理をしております。  それから、「3.施設の運営体制」です。ここではまず、「(1)施設長・児童自立支援専門員等の資 格要件と人事システムについて」ということで、「○施設長の資格要件・人事システムのあり方」の 黒ポツの二つ目です。「施設長の人事について、地方公共団体は、施設長が現場のリーダーとし て指導力を発揮し得るよう、児童自立支援施設等の児童福祉関係者を一定期間継続して配置 するなど配慮をすることが必要である」としております。  続きまして、「○児童自立支援専門員等の資格要件・人事システムのあり方」ですが、14ページ をお開き願います。黒ポツの三つ目も若干の修正をしております。「施設としての本来の機能が十 分に果たせなくなっている施設も存在しており、このような施設については、施設機能の回復・再 建を図る等の観点から、機能が充実している施設を有する地方公共団体あるいは国立児童自立 支援施設から、地方公共団体のニーズに応じて、一定期間出向させる仕組みをつくることが求め られる」というまとめ方をしております。  続きまして、「(2)寮舎の運営形態について」です。次の15ページ、「○交替制寮舎の充実・強 化のあり方」の黒ポツの一つ目ですが、「交替制に移行する施設が増えているが、交替制に移行 する際は、子どもの発達保障という視点から検討を尽くし、子ども集団の構成・適正規模や居室 等の生活環境に配慮するとともに、子どもの諸ニーズに適切に対応できる職員体制を整備するこ とが重要である」。次からが少し書き加えられております。「また、交替制への移行に当たっては、 先行モデル・事例を参考にすることなども必要であり、具体的には施設の視察や研修派遣という ような取組が求められる」ということです。  続きまして、16ページをご覧ください。「(3)設置運営主体について」です。黒ポツの一つ目と二 つ目は前回と同じ内容です。黒ポツの三つ目については、最初の「非行少年に対するうんぬん」 については多数意見、4行目の「一方、民営化により」については少数意見でしたので、若干この 順番を入れ替えさていただいております。それから一番下の黒ポツの四つ目です。これは新たに 修正をさせていただいた文言です。「児童自立支援施設の充実・強化を図っていくためには、各 般の取組により施設の本来あるべき機能回復と向上を通じて解決を図ることが重要である。その 際、民営化を検討の視野に入れる場合には、少年非行対策のスタンス、公としての責任・対応、 児童自立支援施設の役割、民営化する場合に施設機能を維持・強化する仕組みがあるのか、あ るいは民間と協働する場合にはどのような仕組みがあるのか、などを検討することが必要である。 具体的に財政的基盤のあり方、あるいは同等以上の支援の質を確保するための人的配置、公 的支援・連携システム」それから、ここが大切なところですが、「運営に支障が生じた場合の設置 者としての責任を持ったサポート体制、事件・事故があった場合の対応システム等について慎重 に検討することが必要である」というまとめ方をさせていただいております。  それから「4.関係機関等との連携」の「(1)児童相談所との連携について」です。黒ポツの一つ目 も若干修正をさせていただいております。「児童福祉の領域における非行問題への取組を充実し たものにするためには、児童自立支援施設と児童相談所の双方の専門性の向上が図られるとと もに、連携を図ることが極めて重要であり、緊密に連携して、入所の円滑化、保護者への関わり 方、退所後のアフターケアの充実を図っていくことが必要である」。黒ポツの二つ目も連携の内容 です。「児童相談所からのケース情報、援助指針などの提供、反対に児童自立支援施設からの ケース情報、自立支援計画などの提供が十分でなかったり、あるいは子どもの入所の動機づけ、 家族との調整内容、期間などについて、児童相談所と施設の間で意思の疎通が十分図られてい ないなど連携が円滑に図られていない場合があるため、相互理解を深め、信頼関係の構築を図 る上からも積極的に人事交流や合同研修などを行うことも必要である」というような内容に、委員 の皆さんからのご意見いただき修正をさせていただいております。   19ページをお開き願います。これは連携の項目のなかの「(4)家庭裁判所・警察との連携につい て」です。この中の黒ポチ二つ目です。「そのためには、児童自立支援施設と家庭裁判所が情報 交換等により相互理解・認識を深めておく必要があり、例えば、裁判官や調査官との定期的な連 絡会・合同研修会の開催や時には事例検討会を行うなど、連携・協力体制を構築していくことが 重要である」。三つ目は新たに書き加えさせていただいた内容です。「家庭裁判所の審判による 入所については、入所時期の限定などがあり、行政区域を超えた広域的な入所調整が必要な場 合がある。地方公共団体並びに施設は、行政区域を越えて相互活用の協力関係を強化するな ど受入体制を整備して要請に応える必要がある」ということを加えております。  続きまして20ページをご覧ください。ここは「5.児童自立支援施設の将来構想」ということで「(1) 地方公共団体における児童自立支援施設のセンター化」、ここからが新たに付け加えたところで す「及びブロックの設定について」ということです。黒ポツの二つ目です。「現在、全国に58の施設 が設置されているが、地方公共団体の範囲を越えた地域ブロックを設定し、ブロックごとに連携・ 支援システムを構築することも望まれる。ブロックによる連携・支援システムにより特徴ある施設運 営が期待され、例えば、ブロック単位の強制的措置寮の設置、ブロックを単位とした広域的な入 所調整、共同の研修や研究、モデルプログラムの共同実施、人材養成や人事交流などの取組が 期待される」これは新たに付け加えております。  「(2)国立児童自立支援施設の総合センター化について」は第7回と同じ内容です。  21ページをご覧ください。この「おわりに」の中で「児童自立支援施設のあり方について、取り組 むべき課題や方向性を整理した。児童自立支援施設の現状を考えれば、国、地方公共団体や 関係者は、子どもの健全な発達・成長のための最善の利益の確保を目指し、設備や体制の充実 のために必要な予算措置を含め、取り組むべき課題について着実に一つ一つ解決し、具体的な 成果を上げることが期待される」というまとめ方をさせていただいております。  以上が委員の皆さんからいただいたご意見等をまとめた内容となっています。 ○津崎座長  本日は、ただ今事務局より説明のありました資料「「児童自立支援施設のあり方に関する研究 会」報告書(案)」のとりまとめを行いたいと考えています。すでに報告書(案)については、事務局 から各委員の皆さまに渡されて、その調整をしていただいていると思いますが、さらに最終の案を 踏まえて、ご意見、ご質問あるいはご要望等がありましたらご発言をいただきたいと思います。いか がでしょうか。 ○服部委員  全体にかかわることでお願いをしたいことがあります。前回の研究会のときに吉岡委員からご指 摘があった点でもありますが、この報告書には「重要である」「必要である」という表現がたくさんあ ります。各施設からもこの報告書の案を見ると、「重要である」「必要である」という言葉がとても目 に付くと言われます。この報告書で指摘されていることは初めて触れられたことではなくて、かつて も指摘があったところです。ですからこの報告書を「絵に描いた餅」で終わらせるのではなくて、ここ で「重要である」「必要である」とされている項目を着実に実行に移すための具体的なプロセスが 必要であろうと思います。また、項目によっては予算措置が伴うものもあるので、その辺りをにらん で、本日、最終確認をしていく必要があると思います。各施設からすると、国やこの委員会からは 必要だと言われ、しかし県に持っていくと「うちは事情が違う」ということで、わかっているけれどもな かなか実行に移せないという点がありますので、そこを十分に見据えて、今日は最終的な検討を ぜひお願いしたいと思います。 ○津崎座長  実効性が重要ではないかということです。国や自治体の特に財政状況を見れば、非常に困難 があることを前提のご発言だと思いますが、その辺の実効性をどう具体化するのかについての見 通しをはっきり持ちたいということですね。これは国として、厚生労働省としてはどうお考えなのか、 ご意見をいただくとありがたいのですが。 ○清川家庭福祉課長  各種の提案についていろいろちょうだいしまして、本当にありがたく思っています。私どもとしては、 「おわりに」のところに「国あるいは地方公共団体や関係機関については、取り組むべき課題につ いて、着実に一つ一つ解決し、具体的な成果を上げることが期待される」と書かれている通り、一 つ一つの問題点について真摯に受け止めて、まず出来るもの、例えば工夫のような形で出来るも のであれば、早急に地方自治体とも相談しながら取り組んでいきたいと思っています。あるいはこ こに「設備や体制の充実のために必要な予算措置を含め」と入れておりますが、予算が必要なも のについては、今年の夏の平成19年度の予算要求の中で、まず早急に盛り込めるものは盛り込 み、また将来的に必要なものについては、すべてを一度にというのは難しいかもしれませんので、 段階を追ってということだろうと思いますが、盛り込めるべきものは盛り込んでいくとか、あるいは規 則改正などについても取り組んでいきたいと考えているところです。なお、そういったものを着実に 進めていく中で、また委員の皆さまをはじめ、皆さまにいろいろとご相談、あるいは教えていただき たいことなどがあった場合には、またこちらから個々にいろいろご意見を教えてもらって、アドバイス をいただきながら、着実に進めていきたいと考えています。 ○津崎座長  という事務局からのご説明ですが、よろしいですか。 ○服部委員  ぜひよろしくお願いをいたします。今もご指摘がありました通り、項目によってはワーキンググルー プや実施委員会のようなものを編成して具体的方策を明示することが必要ですし、予算措置を伴 うものについてはそのことの配慮が必要だと思います。 ○清川家庭福祉課長  そういった中で、例えば専門的な技法の開発ですとか、いろいろと専門的な検討を必要とするよ うな個々のテーマにつきましては、あるいは専門の皆さまのお知恵を借りながら進めて参りたいと 思います。 ○津崎座長  他にご意見はありますか。 ○瀬戸委員  2回訂正のチャンスがありまして、1回はさせていただきましたが二回目ができなくてすみません。 今、読んでいただきながら言葉遣いの問題が二つと、内容にわたる部分が一つあります。  まず4ページの一行目です。これは「生命」をやめて「身体」にするか「身体・生命」にするかにし ていただきたいと思います。「生命」に及んでしまうと大体亡くなられることになりますので。これは 単なる言葉だけの問題です。もう一つ言葉遣いですが、20ページの(1)の表題です。「地方公共 団体における」という言葉が読んで全くわからなくて、「国公立」とするのか、または全く何も書かず に「児童自立支援施設のセンター化及びブロックの設定」で良いのではないかと、もう一度読んで 思いました。  それから内容にわたることでこれは事前にやるべきだったと思いますが、17ページの上から9行 目にかけてですが、前の黒ポツのところで最初に多数意見を書き、「公設公営原則堅持」というこ とを書いていただいて、少数意見として「一部民営化」ということについても意見があったということ で、これは私の記憶とも合致しているわけです。ただよくわからないのは、現場の方とも話をする機 会がその後もあっていろいろと聞いていますが、公設公営原則が一部でも風穴が開くとそれが非 常に広まっていって、復旧不可能な制度になってしまうのではということを、今も非常に危惧して おられる現場の方が何人もおられますので、ここのところを、民営化する場合にこういう仕組みを 作れというような議論が賛成される方から出たのかどうかという危惧があります。もしあったのだとす れば、最後のところで、「課題について慎重に検討することが必要である」という「検討さえすれば いい」と読まれかねないような表現になっているので、もし言葉をそのまま生かすのであれば、「4. 関係機関等との連携」の前の下から3行目のところに「サポート体制」とありますが、「サポート・復 旧」という元に戻すような、単に支援だけすれば済むという問題ではないという印象が生じたら、元 に戻してもらわないと困るというぐらいに書いていただきたいのが一つです。  それから今のところの下から2行目ですが、「評価システムなどの課題」以下を消していただき、 「課題を果たせる適確な基準策定などが不可欠である」とか、もう少し強く書いていただきたいとい う意見です。 ○津崎座長  今、瀬戸委員から具体的な文言も含めた提案がありましたので、この報告書に文言修正を行う かどうかについて、できればこの場で詰めをしていきたいと思っています。  一番初めは、4ページの一番上の7のところです。「近年入所している子どもの多くが虐待とい った生命や人格に及ぶ」というのを、「虐待といった身体・生命」に変えるということですね。「虐待 といった身体・生命や人格に及ぶ」、これは二つの真ん中に黒ポツを入れて併記するということで すね。そういう提案についてはいかがでしょう。内容的には大きく変わらないような気がします。 ○瀬戸委員  ただ生命に及ぶ権利侵害が被って入ってくるということは、理屈上ではありえないと思っただけ のことです。 ○津崎座長  これはその通り変更していただいて支障はないですか。他の委員の方。「虐待といった身体・生 命や人格に及ぶ」でよろしいですか。特に異論がないようですので、ここのところはそういう形で修 正をお願いしたいと思います。  その次にご指摘いただいたのが20ページのタイトルのところですね。「(1)地方公共団体におけ る児童自立支援施設のセンター化及びブロックの設定について」というのを、「地方公共団体に おける」を取ってしまうということですね。「児童自立支援施設のセンター化及びブロックの設定に ついて」。これについてご意見はいかがでしょうか。多分「地方公共団体」と入っているのは、どち らかというと都道府県が一定の縄張り意識があって、その縄張りの中で運営するという感覚が強い のを、あえてそれを越えて再編的な機能を集合化するという意味合いで、そこを強調するために 「地方公共団体」を入れているのだと思いますが。 ○瀬戸委員  でも「地方公共団体」という言葉には市町村は全部入ってきますね。 ○津崎座長  基本的には都道府県の義務設置で一つは持っています。その行政区域内において責任を果 たす、その範囲内において業務を遂行するという考えがどうしても強いのです。それを越えた形で もっと今回は運営を柔軟化して、ブロック的な領域の中で機能を共有しあったり、役割分担をした りとか、発想を転換する方がいいのではないかと。それはやはり地方公共団体の行政区域を越え ますという意味合いをここでは強調するために、あえて「地方公共団体における児童自立支援施 設」と明記していると思います。 ○瀬戸委員  言葉だけの問題ですが、ただこれは一つ目の黒ポツの方はとにかく縄張りでもいいのですが、縄 張りの中で非行問題のセンターという機能を持たせようという意味だと思うのです。あとの方の黒ポ ツが、ブロック化、もっと広域化ということなので、とにかくこの言葉は非常に違和感があったので、 他の方は全くないならそれで良いです。そういう意味ならば良いです。 ○津崎座長  他の委員の方いかがでしょうか。 ○岩田委員  ここは(2)の国立の児童自立支援施設との対比で、今都道府県が設置をしているものや民間が 設置しているものがありますが、そこの部分に関わる問題であるという表現として「地方公共団体 における」という言葉を使っているので、これはこれで良いのではないかと思います。 ○清川家庭福祉課長  もし若干誤解を生むということで、先ほど委員が言われたように、「各児童自立支援施設の地域 におけるセンター化及びブロックの設定について」と書いた方が誤解がないというのであれば、そう させていただくのも一つの案かと思います。 ○瀬戸委員  結構です。 ○津崎座長  今、事務局から提案いただいた表現はいかがですか。各委員の方。その方が良いですか。特に 他のご意見はないですか。 ○清川家庭福祉課長  もう一度確認させていただきますと、表題につきまして「各児童自立支援施設の地域におけるセ ンター化及びブロックの設定について」でよろしいでしょうか。 ○津崎座長  そのように改めていただくということでお願いいたします。  三つ目が17ページです。ここはたくさんのことを言われていましたが、もう一度一つ一つ指摘し ていただけますか。 ○瀬戸委員  一つは私にきちんとした記憶がないのですが、民営化について賛成の意見があったのは当然で すが、その民営化を検討の視野に入れる場合にはこういうことが必要だという議論になったのです か。私がうろ覚えになったので、そこを教えていただきたいのが一つです。 ○津崎座長  私の記憶では、その部分は民営化の方がかえってメリットがあるという意見がありました。北海道 家庭学校の小田島先生の、民営化するのであれば少なくとも理念や一定の財政的な支援などの 条件が重要であるというご意見があったりしました。民営化そのものが全く駄目だというよりも、民 営化するためには、民営化によって児童自立支援施設が持つ機能が十分発揮できるような、ある いは現在持っている機能が損なわれていって、安易な形で民営化が進展していき、最終的には こういう機能が壊れていくということのないような仕組みをしっかりと押さえる必要があるのではない かという論議があったように記憶しています。他の委員の方はいかがでしょうか。 ○吉岡委員  それは議事録で今すぐ出ないものですか。民営化して利点があるような記憶があまりないのです が。私も分厚いものを持ってくるわけにいかなくて持って来ませんでしたが、事務局で見ることがで きるならば、もう一度さらってもらった方が良いように思います。 ○津崎座長  議事録は一回一回ありますが、どの部分でその表現がなされていたというのは、今すぐには難し いです。 ○岩田委員  「民営化を検討の視野に入れる場合には」のところは、前回の報告案の中でこういう表現が案文 として出されていました。それに対して若干意見を、私が申し上げました。そういうのを取り入れた 形の表現に、今回修正をされたということではないかと思います。そういう意味では議論のそ上に のぼったということが前提になっていることで良いのだと思います。私個人としては「慎重に検討す る」という表現等について意見はありますが、最終的にこの報告をどういう形でまとめるかという問 題があって、清川家庭福祉課長からもこの表現の意味合いについて、前回かなり説明もいただい たように思います。そういうことも含めて、このような表現になっていると私は理解しております。 ○小木曽委員  あまり記憶がないのですが、その辺のことを触れたというのはあるのです。実は先ほど瀬戸委員 からありましたが、公設公営というところを外すと、どっとそういう状況が起こってくるのではという危 惧が現場ではあります。私も何人かの方から、今の検討会のことで意見をいただいたのですが、 実際にそれより先に進んでしまっているところがあって、下手をすると来年度、再来年度に民営化 の方向で動き出すと。その時にここに書いてありますように、一つの原則ルールを示していただか ないと、あるいは行政的にはいろいろなところで本当に検討の余地がないということで、ある意味 ではそれは致し方のない今の時代の流れかもしれません。検討会でそういうものの指針といいま すか、ここはきちんと押さえておくというものを示していただけないかという意見も一方ではあります。 今、どういう表現でということですが、この部分はぜひ置いておいていただかないと危ないという各 状況が、地方自治体の現状において逼迫しているといいますか、実際に厳しい状況にある施設も あると聞いています。文言についてなどはいいのですが、議論としてはさほど活発にあったかどう かは記憶にありませんが、この報告の中身としては、これは非常に必要なのではないかと感じてい ます。 ○津崎座長  他の方はご意見いかがでしょうか。  確かにここのところは一つの重大な方向性ということで、何回かこの部分についての意見交換が あったと思います。最終的にはやはり、今もご指摘があったような条件をきっちりと担保する仕組み がないと、なし崩しになると思います。少なくとも幾つかの条件についてはきっちりと押さえをして欲 しいということがあったと思います。それを踏まえてこういう具体的なことについての条件をクリアし ないと駄目だという書き方にしていただいたのであろうと思います。討議の経緯を見ても、この内容 は大きくはずれていないという印象を持っています。いいですか。それではもう一つおっしゃってい たのは。 ○瀬戸委員  それを前提としてこの文言を生かすとしたならば、当該部分の下から3行目のところに「サポート 体制」とありますが、「復旧」という言葉を入れて元に戻せと、単に援助だけでは駄目だろうと。 ○津崎座長  「復旧」をどこに入れるのですか。 ○瀬戸委員  「サポート」のあとです。「サポート・復旧体制」。 ○津崎座長  元に戻る「復旧」ということですか。 ○瀬戸委員  次の行で、「評価システムなどの課題について慎重に検討する」と書いてありますが、「評価シス テムなどの課題」の前に「諸」を入れて「諸課題を」とし、後を付け加えるのですが、「を果たせる的 確な基準策定が不可欠である」としたら良いと思いました。 ○津崎座長  今、具体的な文言の修正の提起がなされています。今のフレーズの3行目、「設置者としての責 任を持ったサポート・復旧体制、事件・事故があった場合の」。要するに、何かうまくいかなかった ら元の体制に戻さなくてはいけないという主旨ですが、この件に関して他の委員の方いかがです か。 ○岩田委員  「復旧体制」という言葉がどうかというのはありますが、「サポート体制」に加えて「再建方策」みた いなことではないか。もし駄目だった場合には、それを再建する方策を持っているかどうか。 ○津崎座長  「責任を持ったサポート体制・再建方策」という提案ですが、「復旧」よりは少し良いような気がし ます。他の方のご意見はいかがですか。特に異存はないですか。 ○服部委員  揚げ足を取るような言い方になりますけれども、復旧や再建が極めて困難であるという認識の下 に公設公営原則を私たちは主張しているわけです。そういう観点から言えばそういう文言は適当 ではないという理解もあるかと思います。 ○津崎座長  安易に再建してもらったら困るということですか。 ○服部委員  いいえ、復旧や再建が不可能であること、可逆的なプロセスではないということを確認しないとい けないという点です。 ○津崎座長  具体的には入れないほうが良いということですね。 ○服部委員  はい。 ○岩田委員  私は入れておいた方が良いのではと思っています。というのは、再建方策が本当に実りあるもの であるかどうかということを、ただ再建方策をこう考えていますということで良いというわけではないと 思います。けれども、本当に再建方策のところは、人の育成の問題についてどうやって継続性を 担保していくかという、そこまでを含めたことについてもきちんと考えておかないといけない。そうい う提案でなければ本当の方策を提示したことにならないという意味合いです。そういう意味合いで これを置いたらどうだろうかと思っています。 ○清川家庭福祉課長  ご提案の中で、駄目になった場合のものをどうやって立て直すのかという文言を入れるという話 があったのですが、私としましても服部委員がご指摘のように、そんなに運営が駄目になるような 可能性をはらんだ公設民営化というのはいかがなものかと思ったので、「運営に支障が生じた場 合の設置者としての責任を持ったサポート体制」という表現にしたのですが、さらにもう少しリカバリ ーの意味を込めたいということであれば、「再建」と言うとかなり崩れてしまったというイメージが出ま すので、「運営に支障が生じた場合の設置者としての責任を持った回復・サポート体制」とか、そう いった表現であればいかがでしょうか。 ○津崎座長  ニュアンスを少し組み込んで、若干、表現の仕方が違う「回復・サポート体制」という新たな提案 ですがいかがですか。「再建」と言うとつぶれてしまったイメージが強くなるので「回復・サポート体 制」。他の委員の方はそれでよろしいですか。いいようですので、今、事務局からの提案がありまし た「回復・サポート体制」という表現にしていただきます。  それから最後の所ですが「サービス水準を確保するための評価システムなどの課題」、この「課 題」の前に、「諸課題」と入れるわけですね。諸課題を課せるとおっしゃいましたか。 ○瀬戸委員  果たせる。 ○津崎座長  「果たせる」ですか。「諸課題を果たせる的確な基準策定が不可欠である」と。そうすると、「課題 について慎重に検討することが必要」を取ってしまうわけですね。「評価システムなどの諸課題を 果たせる的確な基準策定が不可欠である」という表現に変えたらどうかという提案ですが、これに ついてはいかがでしょうか。 ○岩田委員  これは「基準策定が不可欠」となると基準の策定をするということですから、「どうですか、名乗り を挙げてください」のような感じになると思うのです。まだ基準策定やそういう段階ではないと私自 身は思っていて、そういう意味では前の表現でいいのではないかと思います。そして、具体的に、 本当にこういう提案を出すところについて、よく考えてもらうことが先ではないかと思います。基準 策定となると一般化しますから、その要件を私の所は満たしているのでやらせてくださいとなってい くという感じがしますので、まだそういう段階ではないのではと思います。 ○津崎座長  いかがですか。あまり先々に基準を作れば、できるということについては逆効果になるのではない かということです。「諸課題の」は「諸課題」でいいですね。そうすると「諸課題について慎重に検討 することが必要である」でいいですか。 ○瀬戸委員  「慎重」と「検討」という言葉はたくさん出てくるので、ここは非常に重要な問題で、賛否を含めて 皆さんの意識も高いわけですから、非常に弱いように感じます。今、ご指摘の通り、確かに「基準 策定」と書いてしまうとそれ自体非常に問題であるとはよく理解しました。 ○津崎座長  はい、どうぞ。 ○清川家庭福祉課長  「慎重に検討をする」は、検討さえすればいいのかというご懸念があるというご趣旨ではないかと 思います。ただ岩田委員がおっしゃるように、今、基準を作るという段階ではなかろうと我々も思っ ておりまして、例えばニュアンスとしては「検証」などの言葉かと思っておりまして、「諸課題を満た せるかどうかについて検証することが不可欠である」といった表現はいかがでしょうか。 ○津崎座長  「検討」を「検証」の文字に変えるのですね。 ○清川家庭福祉課長  「諸課題を満たせるかどうかについての検証が不可欠である」と。 ○津崎座長  という事務局からの提案ですが、それでいいですか。 ○瀬戸委員  私はかなりいいと思います。 ○津崎座長  他の委員も特に異論はありませんか。なければ今の事務局から提案をいただいた表現に変えて いただくということで、お願いしたいと思います。  それで瀬戸委員のご指摘はいいですね。 ○瀬戸委員  はい。私は結構です。 ○津崎座長  他の委員の方はいかがですか。 ○藤岡委員  私もだんだんと細かくなってくるのですけれども、1ページの「はじめに」の所です。下から10行目 の「改正後の児童自立支援施設の状況をみると、長期間に亘って入所している子どもの減少傾 向が続く中」という文章の「長期間に亘って」という副詞句がこのまま読むと「入所している」にかか ってしまうような気がします。「入所している子どもの長期的減少傾向が続く中」などとしてはいかが でしょう。文章として位置が少し違うのではないか、意味が二つに取れてしまうと思います。 ○津崎座長   読み方によって違う意味に読めてしまうので、「入所している子ども」を先に持ってくるわけです ね。 ○藤岡委員  そうです。「長期間に亘って」が後ろにくる方がいいのではと思います。 ○津崎座長  順序の入れ替えをしていただくということですが、特に異論はないでしょうか。異論がないようで すから、そのように表現を変えていただきます。 ○藤岡委員  次が5ページの「○アセスメント及び自立支援計画策定のあり方」の所の下から二つ目の黒ポチ で、「子ども自身や親(保護者)を参加させ、必要な情報を提供し、意見を聴くとともに、その意 向」の「意向」が少し引っかかっています。ここを議論していた時にはインフォームドコンセントのよう なものが前提にあったと思うのですが、例えば「主体性を生かすこと」など、そういった文言の方が ここで論じた事に近いのではという気がしています。 ○津崎座長   例えば具体的な言葉ではどのようにしたらいいでしょうか。 ○藤岡委員  「意見を聴くとともに、その主体性を生かすことが望ましい」、「望まれる」などです。「意向」という と、デパートなどで物を買っているような感じがします。微妙なところなのかもしれませんが。 ○津崎座長  微妙な言葉のニュアンスですが、今のご提案に対して、他の方のご意見はいかがですか。特に 反対意見はないですか。 ○山内委員  これは自立支援計画の様式で「親の意向」や「子どもの意向」というのはある。一般化している言 葉です。 ○相澤総務課長補佐  条文の中にも意向という言葉が出てきます。 ○藤岡委員   使っているのでしたら、どちらでも構いません。 ○津崎座長  これは元のままでいいのでしょうか。 ○服部委員  「子どもの権利条約」との関連があると思います。権利条約12条は「意見を聴き、その意見を発 達の程度に応じて尊重する」という表現になっていると思うのです。私はそういう考えの下に、「意 見を聴くとともに、それをできるだけ尊重する」という訂正案を出しています。「意向」と「意見」とを 書き分けるのではなく、意見をできるだけ尊重するというような表現の方が権利条約の趣旨にかな っていると思います。 ○津崎座長   「意向」を「意見」に変えるということですか。 ○服部委員  いいえ、「意見を聴くとともに、それをできるだけ尊重する」という表現です。 ○津崎座長   「意見を聴くとともに、それを尊重することが必要である」ということですか。 ○服部委員  そうです。特に情報提供と意見聴取にアクセントがあると思いますので、それを強調しておけば、 足りるという理解もあるかと思います。 ○津崎座長  あえて「意向」という言葉を削ってしまうということですね。「必要な情報を提供し、意見を聴くとと もに、それを尊重することが必要である」ということです。 ○山内委員  「意向」という言葉にこだわるわけではないですけれども、子どもによっては意見を十分に述べら れない子どもたちもいて、その意見・気持ちをどのようにおもんばかって、援助者の方がそういうと ころを尊重していくということも「意向」という言葉の中に含めていると思います。当然ながら意見は 聞いて、それについて尊重するのですが、それだけではなくて、十分に意見が言えない子どもに ついては、アドボカシー(advocacy)もそうですけれども、第三者的にいろいろと聞いていただくこと も含めて、尊重していくという意味を含めると、単に「意見」というよりは「意向」を含めてやっていっ た方がいいのではという気はしています。 ○服部委員  言葉の論争になっていますけれども、山内委員のおっしゃることも含めて「意見」だと思うのです。 意見の中には沈黙もあれば、身ぶりや動作もあり、それらを含めて意見として尊重していくという 趣旨ですので、「意見」と「意向」を区別するのは、「子ども権利条約」の考え方とは馴染まないと 思います。 ○津崎座長  いろいろな意見が出ていますが。 ○相澤総務課長補佐  もし、「意見」であれば、山内委員の言ったことの趣旨を入れて「子どもの発達状況等に応じて、 意見を聴くとともに尊重する」とすれば、服部委員が言った「意向」という意味も入ってくるので、 「子どもの発達状況等に応じて」という文言をどこかに入れておけば、「意向」を外してもいいという 感じがしますけれども、いかがでしょうか。 ○津崎座長  「情報を提供し、意見を聴くとともに、子どもの発達状況を押さえた形で」と入れるのですか。 ○相澤総務課長補佐  そういうことです。「意見」と「意向」の違いの問題がそこにあるのでしょうから、それを入れておけ ばいいのではないでしょうか。 ○津崎座長  「意向」と「意見」を並べて「意向・意見」と書いてはどうですか。 ○吉岡委員  「意見を聴く」と最初に出ていますから、フォローする意味で「意向」という言葉が出てくるのだか ら、別にこのままでいいような気がしますけれども。 ○山内委員  おっしゃっていることは一緒だと思うのです。単に話していることを聴くだけではなくて、十分にそ の子どもの発達状況などいろいろな面を含めて、子どもの気持ちを大切にするということで一緒だ と思いますので、今、相澤総務課長補佐が言ったようなことを含めて、両方を併記しても構いませ んし、あるいはこの「意見」は単なる意見ではないことを含めていることを、ここに少し表現をしてい ただいたらそれでいいとは思います。 ○清川家庭福祉課長  それでは、先ほど津崎座長がおっしゃられましたように、「意見」単独だと口に出した意見だけと 狭く取られる可能性があれば、「意見・意向を聴くとともに」と並列しておけば、そういった誤解はな くなるだろうとおもいますが、いかがでしょうか。 ○津崎座長  並列で使うことでいかがですか。 ○服部委員  「子どもの意見表明権」は、表現の自由とか意思の表現の自由というだけにとどまらず、子どもと 大人との関係をどう作っていくかという視点が入っているのです。子どもの権利の非常に重要な部 分なのです。ですから「意見を聴く」という中には言葉として明示されていないような部分について も、十分大人が聴くことを要求しているのです。あえて意向と意見を区別して論ずる必要はないこ とを確認して、併記していただければよろしいかと思います。 ○津崎座長  深いその辺の意見表明という意味がありつつも、一般的に理解すると、意見はきちんと言って、 言われたものが意見だという一般論的な受け止めもあることはあるように思います。並列で両方書 いておくことでいいですか。「意向・意見」と両方並行して書いていただくようにお願いしたいと思 います。 ○藤岡委員  「意向」がどうして引っかかったのかというと、なるほど言葉として「親の意向」というものがあるのだ とわかったのですけれども、一考、本当に親の意向なのかと思う時が時々あって、はっきり口に出 してはいないけれども親がこういう意向だからといって、誰か別の人が、それを割と安易に進めると いうイメージが、多分私の中にあったのだと思いました。そこのところは慎重である必要があると思 いました。 ○津崎座長  それで先ほどの主体性と絡んでくるわけですね。 ○藤岡委員  はい、そうです。でも併記していただければ結構です。  次に7ページの二つ目の黒ポチの心理療法担当職員の配置を求めているところです。これは 質問に近いですけれども、「集団で行うグループワークを担当する職員と個別的にカウンセリング や個人療法を行う職員の複数配置が望まれる」の所で、複数配置は賛成ですが、現実問題とし て、その集団を担当する心理療法担当職員と個人を担当する心理療法担当職員の分け方があ まり実際的ではないような感じがして、これを文字通りに取られると動きにくいという感じがしまし た。  先に進んでもいいですか。 ○津崎座長  いいえ、これはもう最終の案ですので、できたら一つ一つきっちりと詰めをしておきたいと思いま す。今の案で言うと具体的に表現をどのようにしたらいいでしょうか。 ○服部委員  私も確認したいと思っていた点なのです。ここで大事なことは、「心理療法担当職員の複数配 置」という点だと思います。その一つの場合として案のようなものがあるのであって、他のパターンも あり得ると思うのです。重要なのは複数配置だろうと思います。さらに加えて、この職員は「常勤職 員の複数配置が望まれる」というところまできっちり示す必要があるのではないか。つまり、非常勤 で月火はこの方、水木はこの方という複数配置でも可ということにならないように、「常勤による心 理療法担当職員の複数配置」と明示すべきではないかと思います。 ○津崎座長  集団で行う、それから個別的なものの役割をどうするかということは、中の運用の問題として、要 は複数の常勤職員を配置することが重要だというご意見です。例えば文言として具体的に、どの ように変えたらいいですか。 ○服部委員  「集団で行う」の前に「例えば」という言葉を補って「個人療法を行う」の次に「など常勤職員の」と すればいかがでしょうか。 ○津崎座長  「心理療法担当職員の配置が強く求められるが、例えば集団で行うグループワークを担当する 職員と個別的にカウンセリングや個人療法を行う職員など、常勤の複数職員の配置が望まれる」 というような感じですか。 ○服部委員  私はカウンセリングの事がわからないのですが、こういう分担が実効的かどうかという点はあります けれども、一つの分担のあり方かと思うものですから、今のような表現でここは例示にとどめ、強調 点は「複数配置」、それも「常勤職員の複数配置」というところにするという提案です。 ○藤岡委員  実際問題としては、心理療法担当職員でグループだけをやっている、個人だけをやっていること は、あまり日本の育て方ではないです。むしろ男女の方が実行性があるような気がします。そういう ふうに入れるのは少しどうかとは思いますけれど。 ○山内委員  心理療法担当職員の複数配置の必要性については、皆さん認識が高いだろうと思いますが、 そうすると一般的になぜ複数がいるのかというところを、ここの中ではこういう分担論で複数配置が 必要だと言いたかったと思いますが、今おっしゃったようにあまり現実的ではないだろうと。ですか ら、複数がどうしてもいるという設置理由が難しいですが、最初の方に複数の職員配置をすること によって、こういう集団で行うグループワークや個別のカウンセリングなど、これからますます望まれ る心理療法について効果的に進めることができるから強く求められるのだというような言い方で複 数配置が必要なのだ。それによって、これだけ期待されるというような言い方でわかりやすいので はないかと。役割分担をする、あるいはここはこういう職員が担当するとは決めずに、していただい たらいいのではないかと思いますがいかがでしょうか。 ○津崎座長  大きく異論はないですか。そうすると少し組み替えになって、表現を事務局の方で検討いただか ないといけないかと思います。いろいろな意味での役割分担が個別とグループになるのか、男女 になるのか、あるいはその他の要素になるのかよくわかりませんが、要は複数の常勤職員を配置 する中で心理的な問題に対してもうまく役割の果たせるような体制を考えていくことが必要である というようなことです。 ○岩田委員  ここの表現が出てきたのは発達障害等を有する特別なケアを要する子どもの支援・援助のあり 方の中で、(オブザーバーとして参加された)杉山先生がこういう表現で心理職についてグループ ワークをやる心理療法担当職員と、個別のカウンセリングをする心理療法担当職員が同じ人間で はなかなか難しいのだという発言をされて、それがここの表現に結びついているのだろうと思いま す。だから一般的な施設の心理療法担当職員の複数配置の問題とは、少し違う流れの中でこの 表現がされているのだろうと思います。そこの領域については私も専門ではないので、よくわからな いことがありますけれども、流れはそういう流れの中できていることを押さえていかないといけないの ではと思います。 ○津崎座長  そうなってくると、服部委員が言われた、「例えば」という一種の例示的なものとしてこういう分担と いうこともあるというニュアンスを盛り込みながら、要は常勤の複数配置がいるという押さえでいいの ですか。 ○清川家庭福祉課長  それでは先ほどのご意見で文章にすると、「なお心理療法担当職員の配置が強く求められるが、 特に複数の常勤職員を配置することにより、集団で行うグループワークや個別的なカウンセリング、 個人療法などが的確に実施されることが期待できる」というような表現でいかがでしょうか。 ○津崎座長  事務局の方で皆さんの意向をくんでいただいて、文言を修正していただいていいですか。異論 はないようですので、それでよろしくお願いしたいと思います。 ○藤岡委員  同じページにある最後から二つ目の黒ポチで「取組を行うに際しては子どもの心の成長・発達 状況などを慎重に見極め」の文章ですけれども、そこの3行目が「早急すぎる取組が、かえって逆 効果を招く危険性があることなどに十分に留意する必要がある」というのは、非常に漠然としてい て、どのようなことが早急で、それが年齢なのかあるいは本人の準備ができていないのに責めるよ うなやり方をしてしまうのかなど。わざわざネガティブな効果を上げるのにしては、具体的な表現が ない感じがして、これは「子どもの心の成長・発達状況などを慎重に見極め、それに応じた働きか けを行うことが大切である」というような押さえ方ではどうでしょうか。 ○津崎座長  見極めることが重要であり。 ○藤岡委員  「慎重に見極め、それに応じた働きかけを行うことが大切である」など。 ○津崎座長  「子ども自身の加害性」の辺りを削ってしまうわけですか。 ○藤岡委員  そうですね。「早急すぎる取組がかえって逆効果を招く危険性」の辺りを削って、要はきちんと発 達段階を見極めてやり方を考えなさいということが言えればいいのではと思いますけれども。 ○津崎座長  そういうご提案ですが他の方ご意見はいかがですか。特に異論はないですか。そうすると、だい ぶ削ります。 ○藤岡委員  そうですね。 ○津崎座長  削られてしまう部分もあるわけですが。 ○藤岡委員  そこに何か大事なこともありますか。 ○清川家庭福祉課長  削る部分としては、「かえって逆効果招く危険性がある」を削ることで十分なのでしょうか。ですか ら、「加害性や被害性を受けとめることができる年齢あるいは発達段階などに十分に留意する必 要がある」という続け方はどうでしょうか。 ○藤岡委員  はい、それで結構です。 ○津崎座長  部分的でいいですね。逆効果を招く危険性があるという所だけを変える。 ○藤岡委員  あと「早急な」という所。 ○清川家庭福祉課長  では確認ですけれども2行目の「子ども自身が加害性や被害性を受けとめることができる年齢・ 発達段階などに十分留意する必要がある」というような続け方ですか。 ○藤岡委員  「十分に留意し的確な働きかけ」はどうでしょうか。見極めたり、留意するだけではなくて、それに 応じた的確な働きかけをする、行う必要があると入れた方が。的確な働きかけを行うことの方が大 事だと思いますけれども。 ○岩田委員  文章の最初に「取組を行うに際しては」と入っているので、それが前提になっているのでは。 ○藤岡委員  そうですね。ではそれは的確に書いていただければ、それでいいです。 ○瀬戸委員  少年院関係や司法畑ではそうなのでしょうけれども、児童福祉や児童自立支援施設では、やは りこの被害者の問題についての重要性はわかりつつも、時にその早急すぎる取組が逆効果を招く ということを確認しておきたいという業界的な思いがあるのではないでしょうか。だから私は書いた 方がいいのではないかとこの研究会では、という印象を持ったのですが。 ○津崎座長  これは確か論議の中では被害性、加害性を押さえなければ、ただ加害性を安易に持ち出して 「あなたは加害者なのだ」というような教育が早急というか、あまりその子の状態を押さえずにそれ だけが先行するのはよくないという論理が確かあったので、こういう表現になっているのだと思いま す。 ○清川家庭福祉課長  本日ご欠席になっております野田委員の方からメールでいただいた意見の中で、この部分につ いて、加害児童は被害感も強く持っていてそれが解決でできない場合があり、そのような場合の 早急すぎる贖罪教育がかえって逆効果を招く危険性があることに言及する必要があるのではない かというような意見が出されたことを踏まえて、挿入させていただいた部分であるのですが。 ○藤岡委員  今のご意見ではっきりしたような気がするのですが、私が最初に言った年齢の問題が早すぎるの とやり方の問題等が2つ混在しています。年齢的にはその子に応じたやり方をすれば問題ないと 思います。3歳児には3歳児なりの謝罪の方法が、15歳児には15歳児のその子なりというのがあ るので、早急すぎる取組というのは前提に「あなたがいけないのだ。駄目なのだ」と責めるようなや り方というイメージがあるのではないかと思います。でも、15歳になっても20歳になっても「あなた が悪いのだ」と責めているようなやり方では、絶対効果は上げられないと思います。 ○津崎座長  当たり前のことが被害性・加害性という言葉の中で安易に取り込まれたら良くないということをし っかりと文書の中で明示しておくということです。 ○藤岡委員  なるほど。でも早急すぎる取組というのではないですよね。成長や発達状況に応じた、「的確な」 と入れておいて、どのようなところが的確なのかということを、きちんとこれからおさえていくという話 になるのではないでしょうか。つまり背景に考え方の違いがあるのだと思うのです。 ○津崎座長  加害者の視点というものが独立してしまうと、あなたがこれだけ加害者なのだと言う部分だけ取り 上げられて、それが独立した教育になるということの危惧です。それを早急すぎるというのは、今お っしゃった発達年齢のようなことではなくて、安易にその部分だけを取り出して教育というかたちは 良くないという意味合いだと思うのですが、ということでこれはどうしたらいいですか。 ○藤岡委員  非行行為と向き合うという取組が、処罰だとか「あなたは悪い」とレッテルを貼ることだとか、そうい うものとは決して違うのだという文言を入れる必要があります。そういうことをすると、かえって逆効 果だというのは賛成できます。それがその子どもの年齢の早い遅いという問題ではないということで す。 ○津崎座長  「早急すぎる」というよりむしろ「安易な取組」という方がいいですか。「配慮に欠いた安易な取組 がかえって逆効果を招く」ということですか。 ○藤岡委員  「安易」というのもわからないのですが、やはり行為と人を分けて考える必要があって、行為自体 の問題点とか直さなければいけないというところを、本人がその非行行為と向き合って取り組み始 めるけれども、そのことをやったことが、その人の人格そのものを否定するようなことになってはなら ないという意味だと思います。そうすると、その非行行為がまずかったということは、例え3歳でもや ってはいけないことは「これはだめだよ」と言うことが必要なことだと思います。けれども、「やったか らあなたは悪い子だ」という話になると本当に激しい逆効果になるという意味だと思います。 ○津崎座長  「早急すぎる」という意味が、かなり一面的に捉えて人格全体を見てないという意味なのだと思い ます。そこがかえって「早急すぎる」ということで誤解を生じるのであれば、年齢・発達段階や安易 な形式的な取組がかえって逆効果を招くというようなニュアンスでもいいのではないかなと気がしま す。 ○藤岡委員  野田委員のご意見だったのでしょうけれど、やはり逆効果を招く危険性というネガティブな面を 前に出すよりは、的確にやるべきだということをポジティブに入れた方がいいような気が私はするの です。 ○津崎座長  今日は野田委員がお越しになっていないので、いつの間にか自分の主張が削られているとなる と後でクレームがくる可能性がありますけど、そこの表現のところは他の委員の方はいかがですか。 「かえって逆効果を招く危険性」を取ってしまって「的確な取組」ということでいいのではという考え と、「下手をした取組というのが逆効果」をあえて入れる方がいいのではという考えです。 ○山内委員  取組自体を積極的にやっていく上で留意点をまず考えるのか、あるいはこれから危険性を担保 してきちんとそれを理解しながら進めるのか、そんなに差はないと思うのですが、私どもの児童自 立支援施設側からすれば、まだまだこの自ら行った非行行為と向き合う取組というのをこれから進 めていく、どういうやり方がいいのかということを示し、これからやっていかなければならない初歩的 な段階だと思います。そういう意味でいくと私は「危険性」もここのところでは少し言っておきたいと 思います。ですから、当然ながらこういうやり方でやるのだとはわかってはいるのだと思いますが、こ れから試行的にいろいろ確立していかなければならない取組なので、ネガティブに捉えることでは なくて、野田委員がおっしゃる「危険性」もあげておく方が、危険性も十分踏まえて積極的にやっ ていこうという表現が大事なのかと思います。 ○清川家庭福祉課長  文章的な整理をしますと、両方書くとして、例えば2行目まではそのままで、「子ども自身の加害 性や被害者性を受け止めることができる年齢・発達段階や子ども自身の状態への配慮を欠いた 取組が、かえって逆効果を招く危険性があることなどに十分留意し的確に実施する必要がある」 というような表現でよろしいでしょうか。 ○津崎座長  そういうことでいいですか。事務局がご苦労いただいて、各委員の意向取り込みながら、うまく文 章をまとめていただいたというということで、その表現で落ちつかせたいと思います。 ○藤岡委員  次の8ページの「○リービングケア(退所準備)のあり方」のところなのですが、ここは施設の側が リービングケアを行うにあたってどんなことをするかということが書いてあるのですが、もう一点、帰っ ていくのは親元しかあり得ないのですか。帰住先との連絡調整の方法のようなものを具体的に入 れた方がいいと思います。例えば、今、中学生の性非行少年のプログラムをやっていて、帰るとき にリービングケアの一つとして、性非行が再発をする時はこんな危険性が一般的には出るのです という説明書とか、この子どもの性非行の再犯はどんなサインが出るといったことを、本人と親とを 交えてきちんと話し、その親もそれを見ているし子どもも何かあったら親がわかってくれていてそれ を相談するというような体制をとるのがいいかと思いやっているのですが、その情報の伝達とか、共 同したリービングケアというかアフターケアに近いのかもしれませんけれど、出た後の生活をきちん とするための情報共有としての「リービングケアのあり方」のようなものももう一つあった方がいいの かと、個人的には思います。 ○津崎座長  これはどこかに項を起こすということですか。例えば、今のご提案に沿ってもう一つ黒丸をつける としたら、的確な表現がありますでしょうか。 ○藤岡委員  例えば「リービングケアにあたっては、家庭などの子どもが帰る先に子どもの状態を伝え、共に保 護・監督を実行する体制を整える」というイメージなのですが。 ○津崎座長  実際上は家庭に帰る子どももおりますけれども、そのまま自立する子どももいます。だからその双 方に対してのリービングケアにはなるのです。だから「リービングケアにあたっては、子どもが退所 する先の受け入れ先とも十分に情報を共有しつつ、子どもが的確に適応できる体制の整備に努 める必要がある」ということですか。そういうご提案ですがいかがでしょうか。特に重要視したいのは 情報共有ですね。 ○藤岡委員  もしかすると限界があるのかという気はするのですが、それでも施設の中だけで準備をしているよ りは、帰っていく先の状況を整えるという視点です。 ○服部委員  藤岡委員のご指摘は理解していますが、9ページの「○親(保護者)支援・家族支援のあり方」と いう項があって、ここで全般的にいろいろなステージを含めて述べられていることなので、こちらで 既に言われていると理解することも可能かとも思います。 ○藤岡委員  家族のもとに帰らない場合もあります。 ○津崎座長  あえて藤岡委員が言われたことがマイナスになるということではないような気もしますので、解釈 の仕方によっては、ダブるという見方もあるかもしれませんが、リービングケアにあたって子どもが退 所する先と十分情報を共有しあって、共に子どもが適応しやすい環境整備する必要性があるとい うことは、入れても問題はないように思います。そういうことで、もう一つ最後に黒ポツをつけていた だいて、そのような情報を共有して、退所先と一体となって子どもが適応しやすい環境を整備する ということを付け加えていただくということでいいですか。 ○清川家庭福祉課長  表現の確認です。先ほど座長が言われたように「○リービングケア(退所準備)のあり方」の最後 に黒ポツを一つ入れて、黒ポツの中で「リービングケアにあたっては、子どもの退所する受け入れ 先との情報を十分に共有し、子どもが適応しやすい環境を整備することが重要である」という一文 を加えるということでよろしいですか。 ○津崎座長  そういうことでよろしくお願いいたします。他の委員の方はどうでしょうか。 ○瀬戸委員  3ページの(3)です。教えてほしいのですが、私は「言葉かけ」と使っていましたが、この業界では 「言葉がけ」と濁るのですか。 ○津崎座長  どちらでもいいような感じもしますけども「言葉かけ」でしょうか。言葉をかけるということですね。業 界用語ではないです。国語の表現としてはどちらが正しいのでしょうか。 ○清川家庭福祉課長  では、「言葉かけ」にします。 ○瀬戸委員  もう一つは18ページです。これも表現だけです。(2)の二つ目の黒ポチのところで、「教育サイ ド」とありますけども、外部の委員ですので「教育委員会など」としていただきたいと思いました。 ○津崎座長  これはご提案でよろしいでしょうか。サイドという言葉ではなく、「教育委員会など」と具体的に名 称を入れていただくということです。特に異論は無いですか。無いようですので、修正させていただ きます。 ○服部委員  考え方の点で質問をさせていただきながら確認をしたい点が二点あります。  一つは、12ページの「短期入所」です。これは既に述べた点でもありますが、施設入所における 期間というものをどう考えればいいか入り口として長期・短期を設けるということをどう考え、それが 児童自立支援施設の中心的な機能とどう噛み合うか、噛み合わないかという点を、確認をしてお く必要があろうかと思います。子どもの側から見ても、施設の側から見てもこの期間というのは非常 に重要な要素です。したがって子どもに対してどういう期間が必要かという説明、それから施設の 側にどういう処遇プランがあるかというのは大変大事な点だと思います。しかし、「入口」として短 期・長期の別をどう考えればいいのか。子どもに対して3カ月とか6カ月というような期間が目標と して示されて、それに必要な処遇プランが展開されて、その結果短期で終わればそれで善しとい うことではないでしょうか。中には子どもが罰を受けるような気持ちで何カ月と言われて、施設に入 って日記の日にちにバツをつけていくような、極端なケースだとは思いますが、そんなこともあるも のですから、生活の場をそこで作っていくという観点からすると、短期入所については、十分施設 のあり方・生活基盤ということを踏まえた検討をしておかないとずれる可能性がありはしないかと思 います。表現はこのままにしても、その辺りを今日の委員会で確認しておきたいという点が一つで す。  もう一つは20〜21ページです。「(2)国立児童自立支援施設の総合センター化」についてという 部分です。私もこの考え方はよくわかるのですが、一方で国立施設にはまず児童自立支援施設 の中心的機能のモデルというか、そういうことをきっちり示してほしいのです。ですから、センター化 がどういう方向を取るか、むしろ中心的機能に重点を置くという考え方もあり、それは両方なのかも しれませんが、そこはこの場で議論をしておく必要があると思います。 ○津崎座長  最初の方でおっしゃった短期の入所は制度としてまだ無いです。基本的には結果論として短期 の場合があり得る、それをここにも書いてありますように短期入所が想定されるとすれば、どういう 子どもなのか、あるいはその時にはどういうプログラムが一番望ましいのかということを、今後もっと 検討していいのではないかという提案だと思うのです。実務的には、例えば中学の卒業時期に近 づいている子どもが、結果論としては比較的短期で卒業に合わせて退所することもあります。従来 は長期ということだけを想定した時に、3年生の夏を過ぎたら取れませんという対応も結構多かっ たのですが、いろいろ処遇の工夫の中で、卒業後も延ばしたりするという考え方とか、卒業に合わ せてかなり柔軟に処遇を考えられるということがあったりとか、さらに最近児童養護施設で不適応 を起こすような子どもの場合に、場を変えてその子どもの問題を自分自身にも振り返らせたり、そ の中で調整的な形でまた元に戻るという実例もあったりするのです。  そうすると、そういうものも一つの短期プログラムという形で考えられないこともないのではないかと いうことがありますし、この辺のところは一時保護機能とも絡んで、今までの児童自立支援施設が 従来のやり方から条件を整える中で、新たに取り組む課題としてあり得るのではないかという含み と思うのです。だから、こういうものが短期でいい、こういうものは一時保護でいいことの明確なもの ではなくて、ある意味ではそういうものも視野に入れた体制ということを検討していく必要があると いう意味合いだと思うのです。 ○岩田委員  ここはまとめの段階ですので、私としては、表現は検討するということで受け入れたと思っている のです。実際の問題としては先ほど座長が言った形で3年生の後半に入って、とにかく卒業まで でいいから入れておいてもらいたいという要請があることは事実です。ただその時に施設のサイド でその期間で効果が上げられるという確信が持てなくても、卒業までという説明を子どもにして入 所してくるようなケースは、施設入所した後トラブルが発生するのです。だから東京などの場合は 後半に受け入れても効果が上がるということが前提で、改善が見られて退所ということになるわけ ですけれど、児童相談所の方は入所させるしやすさの関係で、子どもをどうしたら説得しやすいか というそこの問題があって、短期というようなことが認められればそれを使って対応してくるという危 惧はされるところはあります。  だからここについて本当に実施をしていくということになると、いろいろな形の問題を検討して、そ して本来の運営に支障がないという確信を持てて、初めてこれがやれるという意味合いでこれは 捉えるべきではないかと私は思います。 ○服部委員 今のような話を聞くと、私は短期入所にについて疑問を強く持ちます。卒業まで何とか預かって おいてくれというような判断で行われるというのはいかがでしょうか。子どもの生活をどう再建してい くか、成長発達をどう図っていくかという観点から期間は設定していくべきで、ケースの必要に応じ て期間というのは考えていく必要があるわけです。卒業まで何とか預かっておいてくれというような、 言い過ぎかもしれませんが荷物預かりみたいな、それは大変な問題でそういう運用がよくあるとす れば、見直す必要がある。結果的に短期処遇で終わるケースもあると思いますが、そこはケース 対応で短期もあるということなので、そこをしっかり確認せずに短期処遇を本格実施というのが元 の表現でしたけれども、現場がそうした表現を受け取って動いていくことになると、私は子どもの成 長発達にむしろそぐわないマイナス面が生じると思っています。そういうことも含めて検討をし、実 施につなげていくということをここで確認をしたいと思います。 ○津崎座長  ご意見につけ加えさせていただきたいのですが、例えば、非行の子どもたちは学校教育の中で は、適応できない状態になっているような子どももたくさんいます。例えばは中学3年で「今学校に 行きなさい」と言っても勉強についていけないとか、そういう状態に置かれている子どもがいて、自 分は働く方がいいのだと自分自身も思っていて周りもその方が子どもの適応を促すには良いのだ という判断をしているケースもあるのですが、ただ現実には中学3年から働かすというわけにはい かないのです。少なくとも義務教育の卒業を待った時点で、例えば新たな社会的就労の場も含 めて、再適応を図るような対策が必要な子もかなりいるのです。こういう子どもたちを、その間どこ でどう処遇するのか、それを児童自立支援施設は駄目だ、地域で見なさいという形になっても、 実際には地域では見られないという状況の子どもは行く場がなくなってしまうのです。だから児童 自立支援施設は全部長期でしか対応しないということになったときに、社会的に狭間に入ってし まって処遇できないという子どももたくさんいるということも踏まえて、その子どもの一人一人の置か れた状況に対してどういう援助をすべきなのかということも踏まえて、その機能が一つの行為機能 だけということではなくて、多様な子どものニーズ・状態に応じて対応できる機能を持つということは、 決してその子どもの利益に反するものではなく、むしろ利益にかなうものであるという理解もしてい ただく必要があると思っています。 ○服部委員  後半の方は同感です。私は長期一本でやれという主張をしているわけではありません。子どもの 成長・発達に応じた多様なプログラムを用意する必要がある。それが結果的に長期になるケース もあれば短期で終わるケースもあるということで、児童自立支援施設の役割をしっかりおさえた上 で長期・短期の区別というものを考えていく必要があるということです。  ですから、津崎座長が最初に出したようなケースがなぜ児童自立支援施設なのか、そこは慎重 に考えていく必要があると思います。今のようなケースを短期だということで児童自立支援施設に というのは、ちょっと乱暴なのではないかという感じを持っています。つまり、成長・発達の保障とい う考えを貫いて行かないとおかしなことになりはしないかと思うわけです。 ○吉岡委員  多分、服部委員と津崎座長の言っていることは違っていないところがあると思うのです。必要に 応じて、例えば勉強についていけないとか、就労を早くさせた方が良いという子どもについても、そ の子のためを思って入れるのでしょうから、それは、ずれていないように私は受け止めました。  ただ、問題は、以前から話していますけれども、短期入所というのは、根本的に児童自立支援 施設には馴染まないとすごく思っているので、そういう子どもが世間にはいるかもしれないけれども、 もっと長期で必要な子どもがたくさんいて、もっと重度の子どもがたくさんいるわけですから、そこま で丁寧にやっている状況を持っているような施設とか県とかはあまりないという気はするのです。何 回も同じことを以前から話していますけれども、元々は感化院なので、「感化」という手法で根本的 に、伝統的に流れてきていますから、医学で言えば漢方的なところがあって、手術とか特効薬とか はなかなか無いと思っているのです。  私の経験ではそういうところで、なかなか短期入所は難しいと思うのですが、ただ表現としてはこ ういう表現になっているので、真っ向から反対ではなくて、検討するくらいならば良いかと思って納 得しているところです。 ○津崎座長  よろしいですか。検討するということです。 ○岩田委員  あらかじめ、これは短期でやると、こういう入所をさせるということができることになると、子どもの説 得が非常に簡単なわけです。だけど本当にその子どもが短期で退所できる状態になるかどうかと いう、そこのところの見極めはかなり難しいわけです。そういう形で入所してきたケースを見ても、と てもそういうものではない。もっともっと施設の中で、職員との人間関係を作っていくための時間が 必要であると思われるようなケースが、実は、児童相談所側で後何カ月だけ入所していれば出し てあげるからという、そういう入所があるわけです。そういうものが短期だというような取り扱いをされ ると、施設の方としては非常に困ってしまう。それはその子どもの問題解決にプラスにはならない。 だけど社会的に見れば、その子が地域の中で迷惑をかけているわけだから、その一定の期間だ けとにかく離したということで是とされる評価をされるかもしれないのだけれども、それは我々の施設 の本来の目的ではない、そこのところを考えなくてはいけないということなのです。 ○津崎座長  いろいろな受け止めがありますが、表現、文言としてはこのままで良いのですか。 ○服部委員  私の修正意見ではここは全部削除だったのですけれども、こういう部分が残るということについて は議論した結果ですので良いと思います。今、議論したようなことを議事録にとどめておきたいと いう趣旨です。 ○藤岡委員  5ページの「2.自立支援機能の充実・強化」の所の(1)の二つ目の○なのですが、「集団生活に おいて個別の支援・援助が必要となった場合の支援・援助のあり方」というのが、何か突然出てき ている感じがするのです。最初の黒ポチで「援助を行っているが、この支援・援助の過程において、 子どもが不適応行動や無断外出などの行動上の問題により精神的な混乱が生じ、感情のコント ロールが難しくなるなど、精神的に不安定な状態を呈することがある」、そうなるからにはその子自 身の問題もあるでしょうけれども、その集団の問題とか生活環境の問題とかいろいろあるのではな いかという気がするのです。そのことは、全部読んでみたときに、民間の参入に関しては事故があ ったらどうするのだとか公の責任というのは重いということをさんざん言っているのですけれども、児 童自立支援施設の事故に対しての考え方とかは、全然入っていなかったという気がしたのです。  もし純粋に一般人として考えると、そうは言っても、逃げられたり、いろいろなことがあったら不安 だというのが一面にあるのです。でも保安などを出すよりも、ここで集団生活と個別指導・援助のあ り方という取り上げ方をしたらどうかと思っています。つまり、いきなり個別指導が必要になったとき の個別指導ではなくて、児童自立支援施設では集団生活を通じて、生活を通じての育て直しを 基準にするのだということをきちんと方法として書いて、その中で子どもが安心して自らの成長課 題に取り組めるような集団生活環境の維持がとても重要なのだということを書いて、常に維持のた めに集団生活をきちんと見ていて、もし何か不安定な兆候があったときに個別指導に切り換えた り、組み合わせをしたりしながら、適応を図っていくと。つまり「子どもが安心・安全な生活環境を持 てる」というところをはっきり明示するのが良いのではないかと思います。今さら、あと20分になって こんなことを言い出すのも何なのですが、そう思いました。  それで、先ほどの「被虐待経験や発達障害等という特別なケアを有する子どもの支援・援助の あり方」として杉山先生が集団のグループワークと個別のカウンセリングが大切だとおっしゃったこ ととも重なってくるのですけれども、恐らく子どもを育て直すときに集団のお互いの成長作用を基 盤に、そこに個別の指導を加えていくという方針をここで書いた方が、流れとしては良いのではな いかと思うのです。具体的には、例えば最初の黒ポチの「集団生活の中で家庭的・福祉的アプロ ーチにより個別のニーズに応じた支援・援助を行っている」で区切って。この文章もすごく長いで す。「子どもが安心して自らの成長課題に取り組める集団生活・環境の維持が重要である」。その 後は、この支援過程うんぬんで、「子どもが難しくなった場合、子ども自身の混乱が深刻化するば かりではなく」で次の黒ポチに続いていく文章にして、「そのために個別対応室が必要だ」というそ の流れはそれでOKなのですが。 ○津崎座長  要は「個別のニーズに応じた支援・援助を行っている」その後に「子どもが安心して自らの課題 に取り組める」そういう「環境整備をすることが必要である」ということで「児童自立支援施設がそう いう環境整備をしないといけない」というのを入れ込むということですね。 ○相澤総務課長補佐  今、藤岡委員が言われたことについては、基本的な考え方として、3ページの、1の(1)と(2)できち んと押さえた上で、方法について書いていくという整理になったものですから、意図的にそこは抜 かしているという構成です。 ○津崎座長  そういう説明ですが、いかがでしょうか。 ○藤岡委員  説明を伺うと、確かにすぐそうだなと思ってしまうのですが、よくわからなくなってきたので、もう少 し考えてみます。 ○津崎座長  先ほど服部委員が二つ目に言われていたものが、そのまま保留になっているのです。20ページ の国立児童自立支援施設の総合化という考え方、これが中心機能の確保という要素なのか、さら には、より総合的な展開なのかという辺りをもっと明確化するということですか。 ○服部委員  国立武蔵野学院の役割というのは大変大きいと思うのです。将来構想も大事だと思います。そ の指針として総合センター化ということが挙がっています。考え方はよくわかるのですけれども、国 立武蔵野学院が果たすべき役割は全国の各施設に向けて児童自立支援施設の一番核になる 部分、機能を提示していく、再確認していくというような部分が大きいのではないか。むしろそこに 力点を置くという方針立てもあると思うので、この総合センター化という将来構想と、中心的機能 の再確認・各施設への発信という方針をどう考えていけば良いのか。両者のバランスと言いますか、 それをどう取ってやって行けば良いかという点を伺いたいということです。 ○津崎座長  この点は、むしろ両方のニュアンスがあるのではないでしょうか。今おっしゃったような中心機能 の、ある意味では、全国のモデルとしての再確認というような機能も果たしつつ、一方では、全国 の児童自立支援施設に向けた総合的ないろいろな補充機能と言いますか、リードと言いますか、 そういう機能を併せ持つという理解ではないかと思うのですが。 ○服部委員  もう少し具体的に言いますと、ここには相談・通所・短期入所・一時保護機能ということも盛り込 まれていて、そういうことを含めたセンター化ということですが、ここまで国立武蔵野学院がやって いくのかという質問です。 ○山内委員  今、服部委員からご質問があった点については、この「自立支援機能の充実・強化のあり方」の 最初に記載されており、当然私ども国立武蔵野学院は全国の児童自立支援施設の核となって、 ここでは施設運営とか支援におけるリーダーシップを発揮するということで、当然ながら、全国に対 して、最後のポツに書いてありますように発信をしていく、そういったものを全国に示していくという 基本的な役割は当然ながらあると思うのです。  それと、この前半部分でいろいろと議論をしていただいているように、児童自立支援施設の新た な役割あるいは機能について、短期入所・一時保護等を書いてありますが、先ほどからありました ような自分の行為に向き合うという行為、これをどのようにつくっていくかということも含めて、新たな 部分については国立武蔵野学院が実際にこれを全部やるのかどうか、これは方法論の中では違 うかもしれませんが、他のいろいろな全国の事例とかを集めながら、当然これはやっていかなくて はならない機能であろうということで、この二つ目の黒ポツについても、モデル実施できるものにつ いてはモデル実施する。あるいは他府県あるいは他の児童自立支援施設のやっている事例につ いて調査をしながら、その良いところあるいは問題点について、また情報提供も国立の役割として は非常に重要な問題と考えるということで、この二つ目についても理解をしているところです。 ○津崎座長  そういう意欲を示していただいていますが、それで良いですか。時間が押して参りました。 ○藤岡委員  先ほどの話を考えたのですが。ここで関心があったのは「無断外出」なのだということがはっきりし て、「枠のある生活」と「育て直し」というのは、それはそれで良いと思うのですが、いくらそうしてい ても、無断外出をどう考えるのかというところが、どうしても気になってしまって。比較的、そういう福 祉施設なのだから仕方がないという感じで捉えるのか、それとも無断外出をしてしまったら教育的 働きかけもあり得ないので、それをできる限り防ぐための手を打つということが責務の内だと考える のか、もし責務の内だと考えるのであれば無断外泊したくなる理由としては、個人的なものもある でしょうけれども、それは一人一人の子に目を向けなければいけない。あともう一つは、集団の中 の力動が乱れているときとかいじめがあったり、居づらいということがあったときに出たくなるのだと 思うのです。その辺りの集団への目の配り方とか、子ども一人一人が自分の課題に取り組めるよう な安心して生活できる状況を設定することとか、不安定になったときにはそれに早く気が付いて個 別に手を入れることができるとか、その辺りまで責務として入れ込むのかどうかという辺りが、関心 なのだと思いました。 ○津崎座長  先ほど説明があった大きな枠組みということは理解しつつ、もう一度例えば5ページのところでそ のニュアンスを若干入れ込むということですね。そうすると、最初に提起していただいた最後の5ペ ージの「児童自立支援施設においては、集団生活の中で家庭的・福祉的アプローチにより個別 のニーズに応じた支援・援助を行っている」という所でいったん切って、「子どもが安心して自らの 課題に取り組める環境整備に今より留意をすべきである」ということを文章として入れておくという ことですね。 ○藤岡委員  そうしてもらうとはっきりすると思います。 ○津崎座長  それを改めて入れることに異存はないと思いますが。いかがでしょうか。それでは、そこに他の委 員も特に異論がないようですから、責務の中の一つとして「子どもが安心して自らの課題に取り組 めるような環境整備に努める」というような内容の表現を文章の間に入れておいていただくというこ とです。 他にご意見はありますか。 ○小木曽委員  20ページの5の(1)の下から3行目の「ブロック単位の強制的措置寮の設置」です。今現在、国 立武蔵野学院と国立きぬ川学院の強制観察寮を活用したということなのですが、今後またブロッ ク制というようなことが具体的にこのあり方検討会で何年後かに検討されるとすると、特に強制的 措置の自由の拘束という部分もやはり表裏だと思います。ちょっと誤解されてしまうのは、今、特異 な事件と言いますか、そこでのかなり強制的措置の院内での実施のされ方というか、その辺が、い ろいろ揺れ動いている部分もあるのかと思いますし、基本的に強制的措置があるからではなくて、 一般寮があるからそれはある意味活かされるのであろうというところのきちんとした押さえみたいな ものを、議事録なりどこかに加えていただけると、子どもの権利もしくは自由の拘束という視点での 非常に大事な部分になるのではないかと思います。 ○津崎座長  文言としては特に修正はいいということですか。 ○小木曽委員  かえってややこしくなると思いますので。 ○津崎座長  趣旨を踏まえて、その辺の押さえだけをしておきたいということのようです。他にご意見はないで すか。かなり意見が出たように思いますし、予定の時間にもなっておりますので、今のご意見を踏 まえて再度事務局の方で整理をしていただきます。一部表現が煮詰まっていないというか、若干 流動的なところもありましたが、その辺は事務局の方で趣旨を踏まえて表現の工夫をしていただく、 事務局にお任せするということでいいですか。  では、今回をもちまして児童自立支援施設のあり方に関する研究会報告書をまとめさせていた だいたということにしたいと思います。どうも長い間本当にありがとうございました。後は、事務局の 方でよろしくお願いします。 ○清川家庭福祉課長  委員の皆さま方には、大変お忙しい中、またご遠方からご参集いただき、ありがとうございました。 昨年7月以来8回にわたり、当研究会において熱心なご議論を賜りまして誠にありがとうございま した。まとめていただいた報告書を踏まえて、児童自立支援施設のさらなる充実・強化に取り組ん で参りたいと思っています。この研究会でご議論された皆さま方の熱意を、できる限り具体的な施 策に反映したいということで、私どもも一つ一つ努力して参りたいと思います。また、その実施に当 たっては、皆さま方のお知恵をお借りするということもあるかと思いますけれども今後ともまたご意 見など賜りますようよろしくお願いします。本当にどうもありがとうございました。 ○津崎座長  それでは、今日をもちまして本研究は終了とさせていただくことになります。本当に長期間ありが とうございました。 (了) 照会先:雇用均等・児童家庭局措置費係 内7888 33