06/02/27 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会第20回議事録 第20回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 1 日時 平成18年2月27日(月)16:00〜 2 場所 厚生労働省労働基準局第1・第2会議室(16階) 3 出席者  〔委員〕 公益代表  西村委員(部会長)、石岡委員、稲葉委員、岩村委員    労働者代表 佐藤委員、須賀委員、高松委員、寺田委員、内藤委員、 真島委員    使用者代表 泉川委員、紀陸委員、杏委員、下永吉委員、早川委員 4 議題  (1)「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」につい て(諮問) (2)振動障害の検査指針検討会報告書について (3)脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況について (4)労働福祉事業に係る平成17年度の実績評価及び平成18年度の成果目標 の設定について 5 議事 ○部会長   ただいまから「第20回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」を開 催いたします。委員の出欠状況ですが、本日は、金城委員、那須委員、平山委 員が欠席されております。佐藤委員は遅れていらっしゃる予定です。  それでは議事に入ります。本日の議題は、国民年金事業等の運営の改善のた めの国民年金法等の一部を改正する法律案、これは労働保険の保険料の徴収等 に関する法律の一部改正部分です。その要綱の諮問について。それから、労働 者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別 措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱の諮問について。労働保険の保険 料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱の諮問について。 石綿による疾病の認定基準の改正について。平成18年度労働保険特別会計労災 勘定予算(案)について。以上、5つです。  1つ目の議題は、「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一 部を改正する法律案」です。労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改 正部分の要綱です。これは社会保険庁改革関連法案ですが、この中において社 会保険と労働保険の徴収事務一元化の観点から、労働保険徴収法を改正するた め、当該改正部分について当部会の審議事項となっています。  それでは、労働基準局労働保険徴収課長より説明をお願いします。 ○労働保険徴収課長  労働保険徴収課長の森岡です。まず、課長補佐から諮問させていただく法律 案要綱を読み上げます。   ○ 労働保険徴収課長補佐  それでは読み上げます。資料1です。労働政策審議会会長 菅野和夫殿。別 紙「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律 案(仮称)要綱(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正関係)」 について、貴会の意見を求める。平成18年2月27日 厚生労働大臣 川崎二郎。  2頁の別紙です。国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部 を改正する法律案(仮称)要綱(労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一 部改正関係)。第1 通貨以外のもので支払われる賃金の評価。賃金のうち通貨 以外のもので支払われるものの評価に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定め るものとすること(第2条第3項関係)。  第2 労働保険料の申告及び納期限の変更。継続事業に係る労働保険の概算 保険料及び確定保険料の申告及び納期限を保険年度の6月1日から40日以内 (保険関係が新たに成立又は消滅した場合は、その成立又は消滅の日から50 日以内)に変更するものとすること(第15条第1項並びに第19条第1項及び 第3項関係)。  第3 事業所情報の提供。行政庁は、保険関係の成立又は労働保険料に関し 必要があると認めるときは、官公署に対し、法人の事業所の名称、所在地その 他必要な資料の提供を求めることができるものとすること(第43条の2関係)。  第4 施行期日。第1及び第2については平成20年4月1日から、第3につ いては公布の日から施行するものとすること。以上です。 ○労働保険徴収課長  続きまして要綱についてご説明いたします。資料1の3頁、参考1です。 「社会保険・労働保険徴収事務一元化に関する法改正事項について(案)」で す。ここに書いてある3点について、平成16年12月の閣議決定においても、徴 収事務の一元化について法改正事項についても検討し、平成17年度中に結論を 得ようという指摘を受けています。また、昨年の社会保険庁改革の関係で、官 邸における有識者会議においても、徴収事務一元化について着実に道筋をつけ ろという指摘を受けたところです。このことを受けて、省内事務次官をヘッド として、チームを積んで検討した結果をとりまとめたものです。これについて、 今通常国会に社会保険庁改革法案が提出されることに伴いまして、その事業の 整備に関する法律である「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等 の一部を改正する法律(仮称)」が提出されますので、この中で整備したいと いうものです。  1つ目の「通貨以外のもので支払られる賃金の評価」です。これは要綱の第 1関係で、平成20年4月施行です。賃金の一部が通貨以外の現物である住居や 食事等で支払われるという場合の評価について、地方の時価によって定めると いう趣旨・目的はそれぞれ共通ですが、現在、社会保険は地方社会保険事務局 長が、また労働保険のほうは所轄労働基準監督署長等が、それぞれ定めること とされております。評価の内容についても異なっている場合があります。これ らについて、社会保険・労働保険とも厚生労働大臣が定めることに統一して、 それとともに標準価額を都道府県単位で統一したいというものです。  4頁の参考2、現在はこういった通貨以外のもので支払われている現物給付 の評価額について、社会保険のほうは、政管健保ですと厚生労働大臣が定める という規定、また厚生年金については社会保険庁長官が定めるという規定が置 かれています。運用で、それぞれ社会保険事務局長に権限が委任されている形 になっています。これはそれぞれのところで、各地方ごとに表を作り、額で決 めている形になっています。また労働保険については、労働保険徴収法のほう で、こういったものについて、「厚生労働省令で定める」となっており、省令 でそれぞれ監督署長又は安定所長が定めることになっています。こういった安 定所長、監督署長は、運用としては規定はありませんが、協約に定められた額 等でやっているわけです。これについて厚生労働大臣定めということにして、 それぞれ地方ごとに表を適用すれば、社会保険も労働保険も同じ額で申告でき るように変えたいというものです。  3頁の参考1の2番目、「労働保険料の申告及び納期限の変更(要綱第2関 係)」。これも平成20年4月施行を予定しているものです。社会保険の算定基 礎届については、期限を7月10日、また、労働保険の年度更新については、 5月20日の期限になっています。この期限について、事業主の利便性向上等の 観点から、7月10日に統一したいというものです。これに伴い、労働保険の年 度更新の受付開始は6月1日に繰り下げる予定です。  5頁に絵を付けております。現在、社会保険のほうにも算定基礎届について は、7月1日〜7月10日の間に、社会保険事務所に標準報酬月額の基礎となる 被保険者ごとの報酬月額(4〜6月の3か月分の賃金)を届け出ることになっ ています。4〜6月ですので、4月にならないと届けられないことになります ので、これについては変更はしないということです。  一方、労働保険については4月1日〜5月20日に、労働局や監督署に事業主 が前年度の賃金総額について保険料額を計算の上、申告・納付してもらうこと になっています。これについては届出期限を7月10日に統一して、事業所便宜 を図りたいというものです。なお、注のとおり、平成15年10月から、社会保険・ 労働保険徴収事務センターを社会保険事務所に設置しており、こちらで社会保 険の算定基礎届、また労働保険の年度更新申告書の両方の受付ができることに しておりますが、現在、結局時期が違いますので、事業所の方には2回足を運 んでいただいている状況です。これについては時期を統一することによって、 一度足を運んでいただけばよいことにしたいというものです。  3頁の参考1の3つ目、「事業所情報の提供(要綱第3関係)」で、これは 公布日施行にしたいと考えているものです。社会保険と労働保険の連携の一環 として、社会保険の規定を参考として、労働保険についても、都道府県労働局 等が社会保険事務所や市町村等の官公署に対し、事業所に関する情報提供を求 めることを可能とすることにより、未手続事業の解消等に資することとしたい というものです。  次は6頁、参考4です。社会保険においては、未手続事業を把握し、被保険 者の資格の適正化等を行うため、官公署に事業所情報を求めるということがで きる旨の規定が置かれております。この規定を参考に労働保険も設けたいとい うものです。  健康保険法は、現在すでに改正が予定されているものを反映したものですが、 健康保険法の第199条、また、厚生年金保険法の第100条の2でやれるようになっ ているものです。労働保険法についても、現在すでに社会保険庁のほうからい ろいろ情報をもらうことを実行上行っていますので、こういったものについて 法律上も明確化して、さらに未手続事業解消のための改正を行いたいというも のです。よろしくお願いします。 ○部会長  ただいまの事務局からの説明について、何かご意見、ご質問等があればお願 いします。 ○稲葉委員  徴収事務の一元化について質問です。社会保険と労働保険の届出については、 別々に事業所の方が足を運ばれている。これは電子情報でやるような計画がお ありになるのか、あるいはそれにはかなり問題があるのか、その辺はどのよう なお考えでおられますか。 ○労働保険徴収課長  すでに電子申請の届出ができるようになっています。労働保険の年度更新に ついても、電子申請できるようになっています。こういったことで時期を合わ せることにより、電子申請等についても、共通する部分については1回打ち込 めばいいといったことも検討していきたいと思っています。 ○稲葉委員  電子申請をすると何かメリットがあるのですか。 ○ 労働保険徴収課長  電子申請によって、労働保険料をまけるとか、そういうことはなかなかでき ないところです。来なくてもできるというのがメリットであると考えています。  また、電子申請をした場合は、電子納付にもつなげていけるようになってい ますので、そういった意味で簡便にできるシステムにはさせていただいている と考えています。 ○稲葉委員  将来は、電子申請をかなりの部分で広げていきたいというお考えですか。 ○労働保険徴収課長  年度更新についても、事業主の方が毎年定例的に行っていただく業務ですの で、こういったものについては電子申請について、さらに積極的に進めていき たいと考えています。 ○佐藤委員  遅れてきてすみません。あまりよく聞いていなくて。厚生年金などはどうい う扱いになるのですか。 ○労働保険徴収課長  厚生年金につきましては、現在、4・5・6月の給与については7月10日 までに申告していただくことになっており、こちらについては変更しない考え です。 ○佐藤委員  基本的には徴収を一元化すると。今回出されているものについては、申告の 時期の統一というところに集約されていて、将来的には納付についても一元化 するという意味合いとして考えていいのですか。 ○ 労働保険徴収課長  現在、社会保険のほうと労働保険のほうで申告の仕方、納め方について、社 会保険のほうは年金がありますので、各労働者ごとの賃金をそれぞれ把握する ということで、労働者ごとに4・5・6月で個別にいくら払っているかという ので、上限、下限もありますので、標準報酬月額を設けて決めている形です。  また、労働保険のほうは、各事業場が全部まとめて、各個人ごとのいくらと いうのは把握しておりません。その事業場が昨年度いくら払ったかをまとめて 申告してもらう。また、お金の納め方についても、厚生年金のほうは少し額が 多いこともあり、毎月納付になっています。労働保険については、3回の延納 がありますが、基本的に一括払いという形を取らせていただいているところで す。  こういったことについて、個々の統一となりますと、さらに厚生年金の制度 についてもう一回見直すことになってきますので、今回やっているのは、徴収 事務についてだけということです。こういった厚生年金等について賃金総額制 を導入しているかどうかについては、年金法改正等も含め、引き続き検討させ ていただきたいという考えです。 ○高松委員  これは質問というよりも、ご要請に近いものになると思っています。事業所 の情報提供に関してですが、やられることの趣旨自体は理解しておりますし、 反対するものではないのですが、いまだに社会保険、あるいは労災保険にして も、未加入事業所が減少しているという話は聞きませんし、逆に言えば、増加 の傾向にあるやに聞いております。したがって、こういう情報提供を大事にし てもらい、あとのフォローといいますか、そういった所の指導の徹底、この辺 についてご要請をお願いしておきたいと思います。 ○労働保険徴収課長  今年度から労働保険の未手続事業所一掃対策を始めており、そういった情報 をもとに職権成立等も含めて厳しくやっていきたいと考えております。 ○ 部会長  それでは他にご意見等もないようですので、諮問のあった件について、当部 会として妥当である旨、労働条件分科会に報告したいと考えますが、いかがで すか。 (異議なし) ○ 部会長  それでは、そのようにさせていただきます。報告文については、私にご一任 ということでよろしいですか。 (異議なし) ○部会長  それでは、そのようにさせていただきます。第2の議題は「労働者災害補償 保険法施行規則及び炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行 規則の一部を改正する省令案要綱」についてです。それでは、事務局から説明 をお願いします。 ○労災管理課長  諮問をさせていただきます省令案要綱について、事務局より読み上げます。 ○労災管理課長補佐  資料2の2頁、別紙です。労働者災害補償保険法施行規則及び炭鉱災害によ る一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱。 第1 労働者災害補償保険法施行規則の一部改正。1 常時介護に係る介護補償 給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がその額を 超えるときに支給する額を、月額10万4,590円(現行10万4,970円)に、介護に 要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに 準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額5万6,710円 (現行5万6,950円)に改めるものとすること。2 随時介護に係る介護補償給 付及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がその額を超 えるときに支給する限度額を、月額5万2,300円(現行5万2,490円)に、介護 に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれ に準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額2万8,360円 (現行2万8,480円)に改めるものとすること。  第2 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部 改正。炭鉱災害による一酸化炭素中毒症について労災保険の療養補償給付を受 けている者であって常時介護を必要とするものに支給する介護料の額を、介護 の程度に応じて月額5万6,710円、4万2,530円又は2万8,360円(現行5万 6,950円、4万2,710円又は2万8,480円)に、介護に要する費用として支出 した費用がこれを超えるときに支給する限度額を、介護の程度に応じて月額 10万4,590円、7万8,440円又は5万2,300円(現行10万4,970円、7万8,730円 又は5万2,490円)に改めるものとすること。  第3 施行期日等。1 この省令は、平成18年4月1日から施行するものと すること。2 この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めるものとするこ と。 ○ 労災管理課長  引き続きまして、内容を説明いたします。お手元にある資料2の4頁に、参 考1として、今回の省令の改正の概要を付けていますので、こちらでご説明い たします。  まず、労災関係の改正です。趣旨に書いてありますように、労働災害により 介護を要する状態となった方につきまして、その介護に要した費用を介護補償 給付として支給してお ります。今般、原爆の関係の「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」、 いわゆる「原爆被害者援護法」の介護手当が変わっています。従来から、援護 法の手当に倣いまして、給付額を設定してきておりますし、また変えてきてお りますので、今回も最低保障額及び最高限度額の見直しを行うものです。額の 改正の内容は、2の(1)に書いてあるとおりです。最高限度額については、 10万4,590円等となるわけです。  (2)は、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法に基づく介 護料の関係です。この介護料については、労災保険法で介護補償給付を創設し たときに、制度としては廃止されておりますが、当時すでに介護料を受給して おられた方がいらっしゃるわけです。そうした方について、介護料を打ち切る わけにはいきませんので、法律上、経過措置として引き続き支給することにな っています。こうした介護料におきましても、上の(1)に倣って今回改定す るものです。以上です。 ○部会長  ただいまの事務局からの説明について、ご意見、ご質問等があればお願いし ます。 ○内藤委員  この改正の基になった「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」の水準 が見直された基になる根拠は何になっているのですか。 ○労災管理課長  私どもの聞いているところでは、原爆被害者の関係の援護法の手当について は、人事院勧告の動きに合わせて改定していると聞いております。 ○内藤委員  そうであるとするならば、少し意見があるのですが。人事院における公務員 の給与水準を見直すというのは、物価スライドや国民の給与所得に対するスラ イドで見直されている場合と、いわゆる政策と言いますか、つまり公務員の給 与を削減する目的で見直されている場合と、取り扱いを同じにしていいのか。 すなわち、国の施策によって下げられている部分に、この介護費がそのまま連 動してしまうと、実際に必要な費用とのバランスが崩れるのではないかという 感じがするのですが、その点についてはいかがですか。 ○労災管理課長  公務員の給与の改定については、国家公務員法上、民間賃金準拠の原則があ りまして、人事院にも確認しておりますが、あくまでこうした民間賃金準拠の 原則に基づいて調査を行って、その結果に基づいて改定をしているところです。 政策的に給与を減らしていることはないと聞いております。なお、原爆法の関 係の介護手当を持ち出した経緯は、実は介護補償給付はできるだけ高いものに する必要があるということがあり、当時の他の制度としてはこれがいちばん高 かったものですから、この制度に合わせたと。この手当が上がったときには上 げておりましたし、今回たまたま下がったから下げておりますが、従来から準 拠しておりますので、その点についてはご理解をいただきたいと思います。 ○内藤委員  そういう趣旨で人事院勧告が行われていると把握しているのですが、やはり それだけで一元的と言いますか、一律的に見直すのではなくて、実際に介護に 必要な費用等とのバランスを定期的といいますか、ある時期を置いて確認しな いと、少し間が開いてしまうようなことがあるかもしれませんので、そのよう な意見を申し上げておきたいと思います。 ○ 部会長  他にございませんか。それでは、他にご意見等もないようですので、諮問の あった件について、当部会としては妥当である旨、労働条件分科会に報告した いと考えますが、いかがですか。 (異議なし) ○ 部会長  それでは、そのようにさせていただきます。報告文については、私にご一任 というとでよろしいですか。   (異議なし) ○部会長  それでは、そのようにさせていただきます。第3の議題は「労働保険の保険 料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱の諮問」につい てです。それでは、事務局から説明をお願いします。 ○労災保険財政数理室長   労災保険財政数理室長の石原です。この改正案は、メリット制の特定疾病に 関するものです。この特定疾病に石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮 腫を加える改正案です。それでは、諮問を申し上げる省令案要綱について、室 長補佐から読み上げます。   ○労災保険財政数理室長補佐  それでは資料3の2頁、別紙から読み上げます。労働保険の保険料の徴収等 に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱。第1 特定疾病の改正等。 1 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第3項の厚生労働省令で 定める疾病等に、別添を加えるものとすること。  第2 施行期日等。1 この省令は、平成18年4月1日から施行するものとす ること。2 この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めるものとすること。  別添、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第17条の2。4 労 働基準法施行規則別表第1の2第7号7の疾病。  建設の事業。第3欄に掲げる事業の種類に属する事業主を異にする2以上の 事業場において労働基準法施行規則別表第1の2第7号7に規定する業務に従 事し、又は従事したことのある労働者であつて、特定業務従事期間が第1欄 に掲げる疾病のうち肺がんについては10年、中皮腫については1年に満たな いもの。  港湾貨物取扱事業又は港湾荷役業。第3欄に掲げる事業の種類に属する事業 主を異にする2以上の事業場において労働基準法施行規則別表第1の2第7 号7に規定する業務に従事し、又は従事したことのある労働者であって、当該 労働者について第2欄に掲げる疾病の発生の原因となった業務に従事した最 後の事業場の事業主に日々又は2月以内の期間を定めて使用され、又は使用さ れたもの(2月を超えて使用されるに至ったものを除く)。以上です。 ○ 労災保険財政数理室長  それでは内容などについて、補足説明いたします。資料3の参考1以降に趣 旨ペーパー等があります。まず、メリット制で言う特定疾病とは、事業場を転々 移動する日雇又は短期間の就労を常態とする労働者を多数使用する業種に多発 する疾病であって、特定の業務に長期間従事することにより発生するものです。 徴収法施行規則第17条の2で、疾病の種類、業種、疾病にかかった者のうち、 メリットの算定から除くものの範囲を定めているところです。  参考2に、現行の特定疾病の一覧があります。詳しくはご覧のとおりです。 例えば、いちばん上の港湾貨物取扱事業と港湾荷役業にあっては、事業主を異 にする2以上の事業場で非災害性腰痛の発生のおそれのある業務に従事歴のあ る日雇労働者の非災害性腰痛をメリット収支率の算定から外す特定疾病として いるところです。  参考1に戻りまして、このように、メリット収支率の算定から除くのは、比 較的長期間のばく露で発生する疾病ですから、事業場を転々移動することを常 態とする労働者を多数使用する業種にあっては、日雇労働者を雇用する事業主、 あるいは短期間で事業が終了する有期事業の事業主に対し、従事歴が短いにも かかわらず疾病発生の責任を負わせる、つまり、保険料をメリット増にするの は適当ではなく、業種全体で転々移動を常態とする労働者を多数使用する業種 全体で負うことが適当である、という考え方によるものです。  石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫は、比較的長期間石綿にさら される業務に従事することで発生する疾病です。短期間の就労の後、別事業場 に移動することを常態とする労働者を多数使用する建設事業などに多く発生を 見ているところです。  参考3に、石綿ばく露による肺がん、中皮腫の業種別労災認定件数の表があ ります。潜伏期間が長いと言われていることもあり、今後しばらくは、今まで 以上の発生が続くことも想定されます。そこで、徴収法施行規則第17条の2で 規定されている疾病に、石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫を加え、 メリット収支率の算定に当たり、一定の要件を満たす給付を除くことにする改 正案です。  具体的には参考1の「改正内容」の所ですが、現在、特定疾病にかかった者 に係る給付を除いている業種、つまり、事業場を転々移動する日雇又は短期間 の就労を常態とする労働者を多数使用する業種のうち、林業については石綿に さらされる業務が考えにくく、また、実績も皆無ですので除きまして、建設事 業と港湾貨物取扱事業、港湾荷役業について設けます。  メリット収支率算定から除く疾病にかかった者の範囲としては、現行の仕組 みに倣い、建設事業については、認定基準で触れられている石綿ばく露作業期 間の長さよりも短い期間であれば、そこの事業主に疾病の発生責任を帰属させ るのは適当ではない。つまり、メリット増にすることは適当ではないと考えま して、肺がんは10年に満たないもの、中皮腫は1年に満たないものとしました。  また、港湾関係の事業では、日雇労働者は、主に同じ港湾の中を、事業主を 異にするさまざまな事業場を転々移動するグループです。現在、日雇労働者の 非災害性腰痛の給付を除くことにしており、石綿にさらされる業務による疾病 についても、同様に日雇労働者で発生した場合には、メリット収支率の算定か ら除く扱いとするものです。以上、改正案についてご説明いたしました。 ○部会長   ただいまの説明について、ご意見、ご質問等があれば承ります。 ○佐藤委員  後ほど認定基準の説明があると思いますが、参考1の肺がんについて、10 年というのは、そのあとの「満たないもの」にかかる言葉なのでしょうか。 ○労災保険財政数理室長  肺がんにあっては10年に満たないもの、中皮腫にあっては1年に満たない ものという意味です。 ○佐藤委員  次に説明されるものとの関係で言うと、改正認定基準に参考1が書いてあり、 肺がんについては10年以上という「以上」が付いていますが、そことの関係 は満たないものという解釈なのか、いま聞いておきたいのは、そこをはっきり させてほしいということです。 ○労災保険財政数理室長  認定基準のほうで「10年以上」という言葉がありますので、10年に満たない のであれば、そこの事業場の事業主に責を問うことは適当ではないのではない かという考え方でおりますので、10年に満たないものです。 ○佐藤委員  10年に満たないものであって、肺がんがアスベストによって発生したとい うことを言っていると。 ○労災保険財政数理室長  これはあくまでもそこの事業場での従事歴が10年に満たないものというこ とです。メリット制において、特定疾病として収支率の計算に当たって除外す るかどうかの判断として、10年をとってきているものです。ですから、認定 とは別の問題とお考えいただければと思います。 ○佐藤委員  それでは、わかりました。 ○ 部会長  他にご意見、ご質問はありませんか。それでは、他にご意見等がないようで すので、諮問のあった件につきまして、当部会としては妥当である旨、労働条 件分科会に報告したいと考えますが、よろしいですか。 (異議なし) ○ 部会長  それでは、そのようにさせていただきます。報告文については、私にご一任 ということでよろしいですか。 (異議なし) ○部会長  それでは、そのようにさせていただきます。第4の議題は、「石綿による疾 病の認定基準の改正」についてです。事務局から説明をお願いします。 ○ 職業病認定対策室長  資料4についてご説明いたします。 石綿による疾病の認定基準の改正につ いては、ご存じのとおり、株式会社クボタの発表より大変世間を騒がす問題に なり、政府としても統一的な対応をとる必要があるということで、各省連携し てまいりました。認定についても、例えば、労働者については従来から認定基 準があったわけですが、周辺住民等の認定をしなければならないということで、 環境省と厚生労働省は合同で委員会を設置しました。昨年、11月16日から5回 にわたり検討会を開催し、その報告書が2月7日に提出されました。その報告 書の概要を資料4、参考2にまとめてありますので、これに基づきましてご説 明いたします。  まず中皮腫です。「(1)中皮腫は、そのほとんどが石綿に起因するものと考 えられ、中皮腫の診断の確かさが担保されれば石綿を原因とするものと考えら れる。(2)職業ばく露によるものとみなせるのは、概ね1年以上の石綿ばく 露作業歴が認められた場合である。(3)近隣ばく露や家庭内ばく露による発 症も考えられる」とされました。  次に肺がんです。「(1)肺がんは喫煙をはじめとしてさまざまな原因が指摘 されている中で、石綿を原因とするとみなせるのは、肺がんの発症リスクを2 倍以上に高める量の石綿ばく露量があった場合とするのが妥当である。」とま とめられました。この肺がんリスクを2倍以上にすることについては説明を要 するかと思います。例えば、石綿にばく露した労働者の集団と石綿に全くばく 露していない集団に分けて観察していきますと、例えばばく露していない集団 で肺がんが1人出ました、一方、ばく露していた集団で5人出ましたというこ とになると、肺がんリスクは5倍であるということになります。ですから、肺 がんリスクが2倍ということは、ばく露していない集団から1人出た場合、ば く露した集団から2人出たということです。そういった「肺がんの発症リスク を2倍以上に高める量の石綿ばく露があった場合とするのが妥当である」とい う結論になりました。  「(2)肺がん発症リスクが2倍以上となるばく露量の指標は、以下のとお り。(1)胸部エックス線写真の像又はCT画像により明らかな胸膜プラークが認 められ、かつ、じん肺法に定める胸部エックス線写真の像で第1型以上と同様 の肺線維化所見があり、胸部CT画像においても肺線維化所見が認められた場 合。(2)肺内蓄積石綿繊維数が以下のいずれかである場合。乾燥肺重量1g当た り石綿小体5000本以上」。乾燥肺というのは、例えば肺を手術等で切除した場 合、組織を110℃で5、6時間ほど乾燥させて、その1g当たりを顕微鏡で見 て何本あるか計測します。石綿小体というのは、吸うのは石綿の繊維そのもの ですが、肺の中に取り込まれた場合、石綿自身は先が尖っていますから、体の 中でその防御反応として尖った先の所をタンパク質等で覆うような作用が出 てきます。それが形としては筋肉を鍛える鉄アレイのような、形状になったも のと理解していただければと思います。この石綿小体が1g当たり5000本以 上認められる場合。「肺乾燥重量1g当たり石綿繊維200万本以上」。これは繊 維の長さが5μm超のものだけを数えた場合ですが、2μm超ならば500万 以上ということです。「気管支肺胞洗浄液1ml当たり石綿小体が5本以上」。 気管支肺胞洗浄は、肺の中に水を入れてそれをまた回収する、がん細胞なども 回収してがんの組織型などを確認していくわけですが、その際、回収した洗浄 液の中に石綿小体が入っている場合があり、それが5本以上あれば大量にばく 露した証拠ということにしたい、という委員会の結論です。  「(3)客観的な石綿ばく露作業従事歴がある者に石綿肺の所見が認められた場 合。(4)胸膜プラーク等の石綿ばく露所見が認められ、石綿ばく露作業に概ね 10年以上従事したことが確認された場合」。ですから(1)〜(4)のいずれかの要件 に該当した人の肺がんが、業務上とみなされるということです。  3の石綿肺です。「(1)石綿肺は、代表的な職業病である。石綿ばく露歴の 客観的な情報がなければ、他の原因による肺線維症と区別して石綿肺と診断す ることは難しい。(2)ばく露後すぐ発症するというものではなく、概ね10年 以上経過して所見が現れる」。(1)番も説明を要します。石綿作業に従事した 人の肺の写真に不整形陰影がある場合には石綿肺と診断できますが、石綿をど こで吸ったかわからない、ばく露した事実がよく確認できないという場合は、 びまん性肺線維症や間質性肺炎といった病気で石綿肺と同じ特徴を示す写真 が出てくるものですから、石綿ばく露したことがわからない人は写真だけでは なかなかわかりませんよということがまとめられています。  4の良性石綿胸水については、「良性石綿胸水の診断は困難で、また、確定 診断までに相当時間を要する。胸水は、石綿以外のさまざまな原因があり、石 綿ばく露歴の客観的な情報がなければ、他の原因により胸水と区別して良性石 綿胸水と診断することは難しい」。  5のびまん性胸膜肥厚については、「(1)びまん性胸膜肥厚は、石綿以外の さまざまな原因があり、石綿ばく露歴の客観的な情報がなければ、他の原因に よるびまん性胸膜肥厚と区別して石綿によるびまん性胸膜肥厚であると判断 することは難しい。(2)職業ばく露によるものとみなせるのは、概ね3年以 上の石綿ばく露作業歴が認められた場合である」とされました。  6、医療機関への周知ということで、「石綿関連疾患の診断、労災補償上の 取り扱い、救済の取り扱いについて、特に、医療機関、及び医療関係者等への 周知徹底を図ることが肝要である」。このような形で、この報告書がまとめら れたわけです。  1頁に戻りますが、このような報告書を受けて、2月9日に石綿による疾病 の認定基準の改正の局長通達を発出したところです。この内容は、5頁の参考 1にまとめていますので、こちらをご覧ください。  まず「中皮腫認定の拡大」です。左が旧認定基準の規定です。まず、中皮腫 の診断が前提です。そしてじん肺管理区分の1型の石綿肺所見が認められれば 業務上。又は、中皮腫の診断があって、胸膜性プラーク等の石綿にばく露した ことを示す医学的所見が認められ、かつ1年以上の石綿ばく露作業歴があれば 業務上と認定をするという考えでしたが、改正認定基準は、中皮腫は石綿ばく 露によるものがほとんどだという認識で一致しましたので、中皮腫の確定診断 があり、1型以上の石綿肺所見がある場合、又は中皮腫の特定診断があって、 1年以上の石綿ばく露作業歴ということで、左側のアンダーラインが引いてあ る医学的所見がことさらなくても認めるという改正を行いました。  ここで1つお断わりですが、「診断」と「確定診断」という言葉が使われて いますが、これについてご説明いたします。もともと診断というのは労災認定 の場面では従来から確定診断という意味合いで使っていたのですが、中皮腫の 場合診断誤りが少なからずあるという報告がなされています。4頁に「中皮腫 について」とありますが、これを読み上げます。「中皮腫は診断が困難な疾病 であるため、臨床所見、臨床検査結果だけでなく、病理組織検査に基づく確定 診断がなされることが重要である。また、確定診断に当たっては、肺がん、そ の他のがん、結核性胸膜炎、その他の炎症性胸水、などとの鑑別も必要となる。 このため、中皮腫の業務上外の判断に当たっては、病理組織検査記録等を収集 し、確定診断がなされているか確認すること。なお、病理組織検査が行われて いない事案については、臨床所見、臨床経過、臨床検査結果、他疾患との鑑別 の根拠等を確認すること」。ということで、中皮腫の診断の確からしさを確認 することにしておりまして、従来とことさら取り扱いを変えたわけではありま せんが、注意喚起的に「確定診断」という言葉を使わせていただきました。  5頁の(2)肺がんの認定要件は、一部追加があります。旧認定基準では、 原発性肺がんの診断で、1型以上の石綿肺所見がある場合、又は原発性肺がん の診断+医学的所見+10年以上の石綿ばく露作業歴、というもののどちらか に当てはまれば業務上と判断していました。しかし、改正認定基準では、原発 性肺がんの診断があり、1型以上の石綿肺所見、これは従来と同じでしたが、 これに「又は」ということで、気管支肺胞洗浄液の中で5本以上の石綿小体が あること、あるいは乾燥重量肺の5000本以上の石綿小体があることが追加さ れました。この5本あるいは5000本は大量にばく露した証拠ということで、 従来は石綿小体、石綿繊維の医学的所見があっても、10年以上のばく露歴が なければ認めないという立場でしたが、これだけの大量のものがあれば期間に 関係なく認めるということに変更しました。その下の「又は」の部分は変わっ ていません。  (3)びまん性胸膜肥厚の認定基準については、新たに要件を決めました。 旧認定基準は、「本省協議により、個別に判断」ということにしていましたが、 今回の改正では、「胸部エックス線写真で、肥厚層の厚さについては最も厚い ところで5mm以上、広がりについては、片側の場合は側胸壁の1/2以上、両 側の場合は側胸壁の1/4以上であって、著しい肺機能障害を伴うもの」が1 つの要件です。もう1つは、「石綿ばく露作業への従事期間が3年以上認めら れるもの」です。これが認定要件としたものです。 ○部会長  ただいまの説明について、ご意見、ご質問等がありましたらお願いします。 ○ 佐藤委員  中皮腫の説明がありましたが、「ほとんど」という言葉が使われているので すが、「ほとんど」という言葉にどれほどの意味があるのか教えてほしい。  それから、従事歴が満たない場合について本省に協議をすると、肺がんもそ の他もなっているように思いますが、本省協議の内容は一体どういうことを言 っているのか教えてください。 ○ 職業病認定対策室長  まず中皮腫のほとんどが石綿に起因するものと考えられるという検討会の 結論ですが、もともとの検討のいちばんの素材になったのが「ヘルシンキクラ イテリア」というものです。ヘルシンキクライテリアには、8割以上が職業ば く露ではないかと書かれています。また、国内の報告などを見ても、9割以上 が石綿ばく露によるものではないかという報告がありました。  石綿ばく露以外のものとしては、これは古い話ですが、戦時中のトロトラス トという造影剤で造影をやった場合、その者に中皮腫が発生する患者さんが多 くなったという報告があったと、あるいは、ワクチンの一種でSV40という ワクチンを投与した群に中皮腫が少し多く見られた、乳がんの放射線療法の後 に中皮腫が多く見られたとか、さまざまな報告がありますが、これらはほんの 一部であろうということで、中皮腫と石綿との関係は非常に高い特異的な関係 にあり、ほとんどが石綿によるものだと見ていいだろうという議論がなされま した。  もう1点の本省協議については、この認定基準では10年以上、1年以上、 3年以上という期間を示して、これに満たない場合は、本省協議をすることに しました。確かに、これまでの一般的な傾向としては、例えば肺がんで言えば、 概ね10年以上の方に発症していることは事実ですが、10年未満でも発症例が 報告されておりますし、実際の労災認定例もあるわけです。  そういうことで、特に昭和50年以降、私どもの安全衛生対策で、例えば石 綿吹き付け作業を禁止したり、石綿製造工場における作業管理を徹底するよう 法律で義務づけあるいは行政指導をしてきましたが、それ以前の時期にはその ようなことが十分されておらず、また、石綿の発がん性自身も昭和47年にW HO、ILOで初めて認められましたので、それ以前のときはほとんど管理さ れていないというのが実情です。そういった過去の、特に昭和50年以前の作 業環境が劣悪だったと思われる時期においては、10年とか1年という期間を 必ずしも満たさなくても発症する可能性があるのではないかということで、そ れを現場の判断に任せますと、いろいろ困るものですから、本省で協議して、 本省の専門家の中で判断してもらおうということにしたわけです。 ○佐藤委員  念のためもう一度ご質問します。「石綿新法」と言われている法律が国会を 通過して成立したわけですが、この認定基準を運用する場合、もちろん労働保 険もその範囲の中に入るわけで、いま議論しているわけですが、この石綿新法 で言う特定疾病の判断にも、これはそのまま援用されるという理解ですか。 ○ 職業病認定対策室長  基本的には、この認定基準は労災保険法上の認定基準としておりますが、今 回、石綿新法で、時効によって権利を喪失した人についても、救済しようとい うことで、その認定をどうするかということがありまして、基本的にはこの認 定基準を準用したいと考えています。  ただし準用ですが、これから労災請求される方は、過去5年以内に亡くなら れた方や、あるいは現在病院で療養を受けている方ですので、比較的いろいろ な資料が入手しやすいわけですけれども、新法対象の部分については、医学情 報等が少し制限されてきますので、その運用に当たっては、多少取扱いを変え る必要があると考えています。考え方は同じということです。 ○佐藤委員  いまの本省協議との関係からいって、あの法律は、環境省が所管されるとい うことですが、現実には労災認定の一定の時効の問題と、新法の救済の問題と の差異をおっしゃられたと思うのですが、その場合において、非常に難しい判 断が生ずる可能性があると思います。そういう場合、労働基準局はどのような 立場で関わられるのかということを聞いておきたいのです。労災以外で救済す る法を先ほど聞いたのは、実質的には準用という言葉でおっしゃった。そうす ると、環境省の準用はどの程度なのか知りませんが、それほどいろいろなもの をお持ちでないのではないかというふうに思うのです。そういう場合に、認定 基準が準用されていくと、非常に難しい事例がいくつも上がってくることが考 えられる。その場合、厚生労働省はどのような関わり方をされるのかと。 ○職業病認定対策室長  新法の対応と、私どもの労災保険の対応ですけれども、労災保険の俎上に載 るのは、まずは労働者であること、つまり労働者性を確認すること。それから、 石綿にばく露したのか、どのような作業に従事したのか、そして、それが医学 的に見ても、私どもが説明した認定基準に該当するのかどうか、こういうこと で私どもは判断します。環境省のほうには、初めから労働者であったことはな かったという方が行かれるでしょうし、労働者であったという人は、まずは監 督署のほうの窓口に来られるのではないか。あるいは、そこのところが判然と しないという方は、やはり監督署のほうに来られても、私どもは、判然としな いのは受け付けないという態度ではなくて、一応、申し立てる方のご意見を聞 いて、受付はして、その後、どうもおっしゃられていることが確認できなかっ た、何かほかに資料はございませんかということをお尋ねして、その上で、本 人も記憶が曖昧で、どこでばく露したのかよく分からないというようなことに なると、それは環境省のほうの救済法の対象でもあるので、そちらのほうにご 相談してみたらどうですかということになると思います。 ○須賀委員  今回認定基準が改められたことについては、評価してもいいであろうと思い ます。ただ、先ほどの専門家の報告で見てもわかるように、それぞれの症状に ついてきちんとした判断をすることは難しいというのが、全部の報告について います。また、もう一方で、5000本とか200万本、5μm超とか2μm超と、 いろいろ数字がたくさんあります。これまでの認定の運用で、特に幅広く労働 者は救済されるべきだと考えているのですが、新法は、できるだけ幅広く救済 をするということを目的にしているから、それはそれでもう一方での評価はし ていいと思うのですが、労災の認定になると、こういう数値が定めてあると、 その数値に満たない、あるいは微妙にクリアできない、そういうことによって 認定できない、あるいはできなかったというケースがこれまで多々見られまし た。どちらかというと、労災として認定してあげるべきなのではないかと思わ れていた部分も、デジタルな基準による影響によって、救えなかった部分も私 どもなりにはあるのではないかと考えてきました。そのような経過の中からす ると、石綿による疾病の場合は、専門家でも難しいという状況ですので、基準 の具体的な運用にあたっては、従来の運用とは違ってとまでは言い切れないけ れども、できるだけ幅広く救うということを前提に運用していただけるよう、 ご要請を申し上げておきたいと思います。おそらく、そのための本庁判断とい うことも当然出てくるのだろうと考えておりますので、それをご要請申し上げ ておきたいと思います。 ○部会長  ほかにございませんか。それでは、最後の議題に移りたいと思います。本日 の最後の議題は、「平成18年度労働保険特別会計労災勘定予算(案)」につい てです。それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○ 労災管理課長  お手元の資料5に基づいてご説明申し上げます。資料5−1は、保険の経済 概況についてです。平成12年度から16年度の収支状況を記載しています。収 入は景気の動向等の影響により、平成10年度以降、連続して減少の傾向にあ りましたが、平成16年度は若干の増加となっています。一方、支出について は、労働災害の減少による保険給付費等の予算額の縮減、あるいは収入状況を 勘案し、労働福祉事業等について随時精査見直しを行ってきた結果、平成10 年度以降減少傾向にあります。  次に資料5−2に基づき、平成18年度の労働保険特別会計の労災勘定予算 の概要についてご説明をいたします。  1頁目は、労災勘定の歳入・歳出の総括表です。歳入・歳出の総額を申し上 げますと、いちばん上にありますように、歳入予算額については対前年度1.5%、 210億円減の1兆3,685億円です。中ほどに記しています歳出予算額は、対前 年度1.0%、115億円減の1兆1,654億円となっております。内訳については、 次頁以降でご説明いたします。  2頁目は歳入の内訳です。保険料収入については、労災保険率改定の影響分 が573億円、及び最近の経済動向、これは雇用者所得について1.6%増となっ たことなどを考慮した結果、対前年度1.9%、196億円減の1兆322億円とな っています。  次に、2の一般会計よりの受入です。対前年度3.0%、4,000万円減の12億 4,000万円となっています。これは法律32条に基づく国庫補助です。  3の未経過保険料受入は239億円。対前年度1.6%、4億円の増です。こち らのほうは、既に収納された有期事業に係る保険料のうち、平成18年度に係 る分を前年度から受け入れるものです。  4点目は、支払備金受入です。備考欄の右側に記載しているとおり、支払備 金は、既に業務災害及び通勤災害を受けた労働者等に対して支払われるべき給 付の見込額で、18年度の予定額は1,853億円、対前年度比で0.6%、12億円 減となっています。これは保険給付費及び特別支給金の減少を反映したもので す。  5番目は、運用収入です。右側に記載してありますが、財政融資資金に預託 している積立金の利子収入で、これは預け替えに伴いまして、運用利回りが 1.4%から1.3%に下がったことなどにより、予定額1,027億円、対前年度比で 2.8%、29億円の減となっております。  6点目は、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の納付金です。平成17年 度で中期目標期間が終了する独立行政法人からは、剰余額があれば国庫納付と いうことになっていますので、その見込額で700万円を新規計上しております。  最後に、雑収入です。第三者行為災害による損害賠償、あるいは、不正受給 による費用徴収の関係です。18年度については、前年度比で11.7%、24億円 増の232億円を見込んでいます。以上が歳入です。  次の頁が歳出です。1番目の給付費、即ち、保険給付費及び特別支給金につ いては、平成16年度の実際の実績及び平成17年10月末までの実績を基礎に、 平成18年度を見込んでいます。保険給付費については、労働災害の減少等の 影響によって、対前年度0.4%、34億円減、特別支給金については、対前年度 1.2%、15億円の減となっています。なお、右側の備考1〜3の3番目が、い わゆるアスベスト新法の関係で、特別遺族給付金として84億円を新規に計上 しています。  2番目が、業務取扱費です。労災保険事業の運営に必要な人件費など、事務 費を計上しています。事務費については、厳しく見直しを行い抑制しています が、平成18年度は政府全体で取り組む、こうしたシステム関係の最適化の動 き、「e-Japan」と言われるものがありますが、こうしたものに伴う経費の増に よって、対前年度3.2%、17億円増の556億円となっております。なお、シス テムの改正によって、数年後には初期投資を取り戻し、費用としてはむしろ減 っていく見込みになっています。  次に3番目の労働福祉事業費です。こちらのほうも見直しを行い、対前年度 の9.1%、111億円減の1,111億円となっています。内訳については、後ほど 説明します。  4点目、他勘定へ繰入です。労災保険料の徴収等に係る事務費及び保険料返 還金の経費で、返還金の増により、対前年度比で4.5%、28億円増の652億円 となっております。  予備費については、前年同額の100億円です。  次に、労働福祉事業の主な内容についてご説明いたします。資料5−3のI は社会復帰促進の関係です。こちらは対前年度比20億円減の188億円です。  1番が補装具・アフターケア等経費です。こちらのほうは1億円の減となっ ていますが、これは実績を踏まえたもので、対前年度で補装具の関係が2,000 万円、アフターケアのほうは1億3,000万円の減となっています。なお、アフ ターケアというのは、症状固定後まだ一定の後遺障害のある方を対象にして、 発症予防のため保健上の措置を講ずるものです。  2番の被災労働者社会復帰経費については、事業の見直し等により1億円増 となっていますが、具体的には右側のCO中毒患者に係る特別対策事業経費に ついて、従来、やや短期間で行っていましたが、事業の平年度化に伴いまして、 対前年度1億4,000万円の増となっています。  3番の労働者健康福祉機構等に対する施設整備に係る経費です。こちらのほ うは、対前年度20億円減の123億円となっています。施設整備費の関係です が、18年度においては、対前年度11億円減となっています。この減が、社会 復帰促進事業の主な要因です。  IIの被災労働者等の援護事業です。こちらの関係は、対前年度12億円減の 232億円です。1点目は、労災就学等援護経費です。こちらのほうは、ご存じ のとおり、学費の支弁が困難な場合の就学の援護等を行うものです。実績等を 反映して、4,000万円減の28億円となっております。  2点目は、高齢被災労働者等援護経費です。対前年度は、10億円減の64億 円となっています。その主な事業は右に書いてありますが、労災特別介護施設 運営経費です。こちらのほうは、いわゆるケアプラザと言われるものです。こ の経費については、入居者の負担の在り方の見直しなどにより、対前年度8億 8,000万円減の32億円です。  3番目は労災診療の関係の貸付事業実施費等です。この経費は、対前年度2 億円減の140億円となっています。主な事業としては、労災診療被災労働者援 護事業補助事業費です。これは労災指定医療機関制度を維持するために、労災 診療費の支払いが行われるまでの間、診療費債権相当額を無利子で貸し付ける というものです。この経費が、対前年度4,000万円減の102億円となっていま す。  IIIは、安全衛生関係です。対前年度8億円減の330億円となっています。  1番目の、労働災害防止対策推進費については、対前年度比1億円減。その 主な事業ですが、右側の欄に書いてありますように、アスベスト対策について は、かなり拡充強化を行っています。例えば、建築物の解体時の飛散防止の徹 底ということで、研修等を実施していますが、その経費が4億円増の7億円。 あるいは製造・新規使用等の早期の全面禁止の費用が、600万円増の3,000万 円。過去に石綿作業に従事した労働者の健康管理の充実強化、こういった経費 が、これは特殊健康診断等の経費となっているものもありますが、2億円増の 2億3,000万円となっています。  次に、地域産業保健センター整備事業です。こちらのほうは、大都市圏にお ける過重労働メンタル相談を強化するための経費を新規計上したことなどに より、対前年度2,000万円増の24億円となっています。労災かくし対策の推 進についても、対前年度1,500万円増の2,000万円を計上しております。  3頁が、産業医学振興経費。こちらのほうは、産業医科大学の運営等の経費 で、中期計画及び新たな定員削減計画によりまして、対前年度7億円減の70 億円となっています。  IVが労働条件確保事業です。対前年度68億円減の247億円となっています。  1番目の、企業の倒産等により賃金が支払えないまま退職した労働者に対す る保護を図ります、未払賃金立替払事業実施費については、立替払いの原資、 補助金ですが、前年度の250億円から187億円へと、62億円減となっていま す。  2番目の、勤労者の生活の安定を図るため、勤労者の財産形成を促進する、 いわゆる財形の促進事業実施費については、対前年度4,000万円減の7億円。  3点目の、中小企業退職金共済助成費等ですが、これは対前年度5億円減の 49億円となっています。その主な事業の掛金助成費は、対前年度2億円減の 20億円となっています。  最後のVですが、独立行政法人労働者健康福祉機構運営費等については、機 構に対する運営費交付金等を計上しており、2億円減の113億円となっていま す。運営費交付金については、従前は社会福祉促進事業、安全衛生確保事業に 分割して計上して資料を出していたわけですが、独立行政法人に対する運営交 付金については、その経費の性格上、分割することができないということで、 別個に計上したわけです。  労働福祉事業については、従来からいろいろ見直してきたところですが、事 業の趣旨等、見直しを行っております。見直しの結果、18年度予算において は、事業の廃止、一部廃止等を行い、またその一方ではアスベスト対策、労災 かくし対策など、必要な事業はしっかり行うという、メリハリを付けた予算と なっており、対前年度比較で9.1%減、111億円減となっています。  以上、概略的ですが、ご説明申し上げました。 ○部会長  ただいまの説明に、ご意見、ご質問等があればお願いいたします。 ○紀陸委員  資料5−3の2頁、安全衛生確保事業の1ですが、建築物の解体時等の飛散 防止の徹底ということで、7億2,200万円が計上されているのですけれども、 これはどういう根拠があるのですか。これから、かなりこういう支出が増える でしょう。そもそも、こういうところから出すお金なのか、積算の根拠も含め て。 ○ 労災管理課長  まず1点目としては、建築物の解体現場。石綿が建物に使用されていますの で、これからさらに解体が増えていくだろうということもあり、解体現場をパ トロール指導することにより専門工事業者に対する安全衛生活動の支援を行 う経費として、約2億円ほど積んでいます。  それから、建築物の解体作業等における解体業者の技術の向上というのが当 然大事になってまいりますので、説明会の開催、あるいは、調査分析の義務も 出てきましたので、こうした石綿分析機関に対する指導を行う、あるいは作業 環境測定も必要になってきますので、こうしたものも含めまして1億5,000万 円。  それから、相談窓口の設置も新しくできています。というのは、解体作業時 に石綿障害予防規則が昨年の7月から新たに施行されておりますが、これは非 常に詳細な規則でもありまして、相談の件数が非常に出ております。例えば、 建設業労働災害防止協会において窓口を作っていくというものです。また、製 造業関係も大変重要ですので、製造業についても、中央労働災害防止協会のほ うに相談に応じる窓口を作っていく。さらには、呼吸用保護具の関係もありま す。やはり石綿の場合、最終的には、どうしても粉塵が出てきますので、当然 水をかけて対策をとるわけですが、最後の砦は呼吸用保護具ですので、こうし たものについて買取り試験を実施して、きちんとした結果をもたらす必要があ り、そういった費用を合わせて7億余ということでお願いしているわけです。  次の製造・新規使用等の早期の全面禁止ですが、こちらのほうはユーザー・ メーカー団体のほうで、できるだけ早く代替化の取組みをやっていただく必要 がありますので、こうしたものを促進のための検討会等の費用。それから、禁 止除外対象になっているものが若干ございますので、こうしたものについて、 こういうものを使えば代替化できますよという例を収集して、それを頒布・指 導する必要がありますので、そういった経費。さらには、去年新聞でも報道さ れたように、自転車のブレーキに使われているとか、非常にいろいろな部品に 石綿が使われていますので、どこに使われているのか詳細に調査する必要があ るということで、そういった調査経費も入れていまして、2,800万円ほど計上 しています。  また、健康相談等。労災病院で行っているアスベスト疾患センターの分、こ れは従来からの分ですが、これは予算上は計上しておりません。それから、健 康診断の関係ですが、石綿業務に従事し、離職した方のうち、企業が残ってい れば、その企業で引き続き、退職した方についても健診等いろいろお願いし、 指導しているわけですが、その一方で、石綿を製造した企業等、製造自身はか なり昔からやっていますので、既に倒産廃業したものがかなりあります。こう した倒産廃業により、企業が健診を実施できない、そこの面倒を見れないよう な場合がありますので、特別な健康診断、これは1年限りで実施していきたい ということで、2億余の額を計上する、そのような感じです。ここに書いてい ますのは以上3点です。 ○佐藤委員  「製造・新規使用等の早期の全面禁止」というふうに表示されると、私たち は全面禁止を求めて、それなりに訴えをしてきたわけですが、いまの説明だと、 これは全面禁止に向かってという、そういう受取りになるのですが、そういう 意味合いでしょうか。 ○労災管理課長  そのとおりです。ただ、これは安全衛生分科会のほうの議論になるかと思い ますが、基本的に、学識経験者に集まっていただいていろいろ議論した結果、 どうしても禁止しきれない部分があるということが残ったことは事実です。そ うしたものについても、できるだけ早く取組みを進めて禁止して行く必要があ ると、我々としての思いも込めての予算となっています。詳しくは、安全衛生 部のほうにお尋ねいただきたいと思います。 ○佐藤委員  課長の説明のとおりだと思いますが、新聞報道等によると、2008年におい ては全面禁止すると。法律が違いますから、ここの所管ではないということに なると思いますが、そういう方向に進んでいると、そういう理解でいいのでし ょうか。あるいは、これを早めるのだという、そのような発言もこの間いろい ろなされておりまして、その辺の条件について、ご承知の限りお話しいただけ ませんでしょうか。 ○ 労災管理課長  私ども、昨年の夏より前の時点では、当然全面禁止に向かうと言いながら、 20年度までに結論を出すという言い方をしていました。それが、そういうス ピード感では間に合わないということで、つい先日ですが、報告書を出させて いただいて、とにかく、いま禁止できるところはできるだけ禁止してしまおう と。従来は、製品でかなり粗く規定していましたが、今回は粗さをさらに縮め て、例えば、パケットならパケットでも何百度以上のところで使うものしか許 さないという形で、かなり限定的に書いています。そういった形で、今回絞り 込みに絞り込みを重ねたというのが1点です。  私は、政策の当事者ではないのですけれども、気持ちとしては、当然そうい ったものも今後縮めて行って、できるだけ速やかに石綿を使うものを無くして いきたい。ただ、全体としての化学プラント等の安全性の問題もありますので、 そうしたものを確保できるということを前提に、できるだけ速やかに進めてい きたい。そのためにも、やはり代替化の事例を取り入れたり、研究したりする ことは大変重要だと考えます。 ○ 稲葉委員  代替化の検討をするのにお金が必要だということはわかったのですが、経済 産業政策ですよね。ですから経済産業省も、おそらく同じことをされていると 思うし、石綿を使って、それが有害物質だということで全面禁止にすると。そ こまでは厚生労働行政なのでしょうけれども、それを代替品を作って云々とい うのは、産業政策に近いので、その辺は経済産業省の予算がどうなっているの かわかりませんけれども、予算が二重にならないように。  それから、石綿の除去をする事業者は、いま大忙しだそうです。その人たち に、パトロールするためにお金を付けて研修させる必要があるのかどうかとい うのも、本来は精査してもらいたいと思います。つまり、新しい人たちを雇っ てやるのでしょうけれども、相当事業が拡大しても、手も回らないぐらいでし ょう。そこにアスベスト対策に適さない実施ということで、予算を付けるかど うか、どういうものかという意味付けも、国民にわかりやすくしないと、どう も焼け太りみたいになるのはまずいので、経済産業政策との整合性の中でやっ てもらいたいと思います。 ○ 労災管理課長  いま、経済産業省の予算の資料が手元にありませんので、正確な数字は申し 上げられませんが、代替物を科学技術的に開発する予算については経済産業省 で所管をしていますし、また、産業総合研究所(元の工業技術院)で研究して いると聞いています。その一方、私どもは、そういった経済産業省なりが技術 的に解明した部分の成果を利用して、そういったものを広げていく、あるいは そういった成果を踏まえて、代替化が可能ではないかということを進めていっ て、禁止に向かっていくという役割分担であると考えています。  それから、パトロールの関係ですが、もちろん、今後10年も20年もずっと やるということではなくて、とりあえず、解体現場について石綿障害予防規則 ができたばかりですので、こうしたことについて、当然監督署も指導しますが、 それだけでは手が回りませんので、業界団体にもお手伝いをいただいて、最初 ですから、きちんとしたいということです。こういったものについては、当然、 今後見直していくことが必要ではないかと考えています。 ○下永吉委員  石綿の関係で、医療機関あるいは専門医の養成、これは安全衛生部会ですか。 要するに医療機関も専門医も足りないという状況があると。これは明確にそう いう事実があるというような発言もされているのですが、養成については、こ の部会でお聞きすればいいのか、安全衛生部会でお聞きすればいいのか。来年 度はどういうような予算の内容になっているのかちょっと知りたいものです から。 ○労災管理課長  まず私どもでお答えできるのは、例えば、従来からお答えしてきたことです が、全国の労災病院に22カ所のアスベスト疾患センターを設けております。 ここで既に近辺の医療機関、あるいは医療関係者に対して研修を行っておりま す。これはアスベスト対策を急ぐ必要があるということで、いままで3,500人 余りの研修をやらせていただいております。こうしたことによって、どうして も診断ができる医者が足りないという大変強い指摘に応えています。労災補償 部としても労災健康福祉機構を通じて、そうした形の対策を行っているという 説明は当部会の範囲内となりますが、ただ、産業医全体にいろいろなものを持 たせるべきなど、いろいろな議論もありますので、そうしたものについては安 全衛生部会のほうでお尋ねいただいたほうがいいのかなと思います。 ○ 部会長  ほかにございませんか。ないようでしたら、本日の部会はこれをもって終了 といたします。  本日の署名委員は、労働者代表の寺田委員、使用者代表の早川委員にお願い します。本日はお忙しい中、ありがとうございました。 照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係 電話03-5253-1111(内線5436)