06/02/27 第27回社会保障審議会児童部会議事録 第27回社会保障審議会児童部会 議事録 日時:2006年2月27日(月) 17:00〜19:10 場所:霞ヶ関東京會舘 シルバースタールーム 出席者:  委員   岩男部会長、阿藤部会長代理、網野委員、遠藤委員、大日向委員、小笠原委員、   柏女委員、榊原委員、中村委員、服部委員、吉田委員、渡辺委員  事務局   北井雇用均等・児童家庭局長、白石審議官、香取総務課長、清川家庭福祉課長、   東育成環境課長、尾崎保育課長、佐藤母子保健課長、山本虐待防止対策室長、   田中児童福祉調査官、大塚児童手当管理室長 議事:  1. 開会  2. 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する    法律案について  3. 児童自立支援施設のあり方について  4. 三位一体改革法案について  5. 「健やか親子21」の中間評価について  6. 閉会 配布資料:  資料1-1 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する 法律案の概要    資料1-2 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する       法律案要綱   資料2  「児童自立支援施設のあり方に関する研究会」の報告書のとりまとめにつ いて   資料3-1 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する       法律案の概要   資料3-2 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する       法律案要綱   資料4-1 「健やか親子21」中間評価報告書(案)   資料4-2 マタニティマークの公募等について 参考資料:   1. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基 準法の一部を改正する法律案の概要    2. 「一般事業主行動計画策定届」の届出状況(12月末現在)について ○岩男部会長  定刻となりましたので、ただ今から第27回社会保障審議会児童部会を開催させていた だきます。本日は大変お忙しい中、またお寒いところをお集まりいただきありがとうご ざいます。  最初にお断りさせていただきたいのですが、本日、私は所用により1時間ほどで中座 させていただきます。その後の進行は部会長代理にお願いしていますので、どうぞよろ しくお願いします。  まず始めに、今般、本部会の臨時委員の改選が行われましたので、その結果等につい て事務局からご報告をお願いします。 ○香取総務課長  本部会の臨時委員のうち8名の方が今般、任期満了で、改選の手続きをしたところで す。そのうち遠藤委員他6名の方から再任のご承諾をいただき、この場をお借りして改 めて御礼申し上げます。本部会臨時委員の山ア委員におかれては第1回以来、児童部会 においてご尽力をいただいてきたわけですが、任期満了ということで前回までの参加に なっております。また、社会保障審議会の委員でいらっしゃいました堀委員については、 2月8日付で本委員を辞任され、児童部会も辞任ということになっております。そして、 この度、新たに社会保障審議会の委員として、榊原智子委員に就任をお願いして、ご快 諾いただいております。  また本日は、津崎委員、前田委員、松原委員、無藤委員、山縣委員がご欠席で、柏女 委員についてはご出席の連絡をいただいています。少し遅れているようです。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、議事に移りたいと思います。まず始めの議題と して、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案」に ついて、事務局から説明をお願いします。 ○白石審議官  審議官の白石です。資料は横長で右肩上に資料1-1と書いてあるものと、縦長で右肩 に資料1-2と書いてあるものになります。1-2の方は「要綱」で、法律的な書き方にな っており、わかりやすさ等を考えて、横長の資料1-1で説明をさせていただこうと思い ますので、そちらをご覧ください。  一番上に水色のバックで書いてありますように、今、幼稚園と保育所それぞれ多くの 子どもをお預かりして教育・保育をしています。これら就学前の子どもに関する教育・ 保育、そして子育て支援の総合的な提供を推進しようということのために、都道府県知 事による認定制度を設け、さらに認定施設に関する各種の特例措置を講ずるということ が内容です。  ご案内のように、現在は全国に約700万人の就学前の子どもがいます。このうち約200 万人が保育所を利用しており、170万人ぐらいが幼稚園を利用しているということです が、ここ10年余りで幼稚園の利用児童数は約10万人減っております。その一方で女性 の社会進出等に伴い、保育所の利用児童数はこの10年で約40万人の増加を見ています。  1枚めくっていただいて、そういう世の中の移り変わりの下で、右肩の方に「都市」 という丸がありますけれども、都市ではどのような課題があるかと申しますと、親が働 いているか働いていないかということで利用施設が変わってくる、あるいは2万3,000 人の待機児童が待機児童ゼロ作戦で減ってはいるものの、まだまだいらっしゃる。それ から、育児不安の大きい専業主婦への支援というものがファミリーサポートなどいろい ろありますが、もう一段支援をしなければならないという事情がある。  一方で左肩の「地方」ですけれども、だんだんにお子さんの数が減っています。例え ば、公立の保育園と公立の幼稚園では、それぞれ定員割れしているという所が多く、そ ういう所に関しては子どもの集団が小さくなっていると。これではいろいろな教育・保 育にも支障が生じかねない。また、運営も非効率だという課題もあります。  そこで、就学前の教育・保育を一体として捉え、一貫して提供する新たな枠組みをつ くり、従来の幼稚園・保育所がそれぞれ持っている機能を両方併せ持つような施設・機 能というものを作ると。一方で、それぞれの地域でニーズが異なりますので、今までの 幼稚園・保育園のままがいいという所もある。  今回は、そういう新たなニーズに対応する方が良いという場合に対応できるよう新た な選択肢を設けようという考え方で、0歳から就学前の児童すべてを対象にし、保育に 欠ける子も欠けない子も受け入れるということが一つのコンセプト。もう一つのコンセ プトが、すべての子育て家庭を対象にして、子育て不安に対応した相談事業であったり、 あるいは集いの場を提供したりというような地域における子育て支援をやれる場所、こ の二つの要件を兼ね備えている所を都道府県の方が「認定こども園」ということで認定 をするというやり方を取ってはどうかと、現在、法制局の審査、各省との調整あるいは 与党との調整というものをやっているところです。  3ページですが、どのようなものがあるのかということと、それぞれの財政措置につ いて、紙を付けております。大体四つの累計があり得るのではないかと考えております が、幼稚園と保育園が一緒になる幼保連携型と仮に称しておりますけれども、これは幼 稚園の認可と保育園の認可の両方を取って両方の事業内容をやるというものです。  この場合はあえてイメージで描いてありますが、黄色の幼稚園に対する私学助成や就 園奨励といった補助が出るとともに、水色に描いてあるような保育所にかかる運営費も 出るというものです。  もう一つの型は、幼稚園が言わば預かり保育のようなこと、保育所の機能を延長して やる部分。ただし保育所の認可を取るほどではないというもの。  3番目は逆に、保育所が従来のノウハウを利用して、保育に欠けない子どもも併せて 預かるようにする。ただし、幼稚園の認可を取るほどのことではないというようなパタ ーン。  それから、地方裁量型と称していますけれども、保育園あるいは幼稚園の認可を取る ほどではないのだけれども、例えば、東京都の認証保育所のように、それぞれ地方が独 自の事業として実施するような型もあると思います。こういう場合については、都道府 県の一般財源で処理するということで、財政的にはそのような形になるというものが提 案している内容です。  もう1枚めくっていただきます。今の四つの類型のうちの一番上の両方の認可を取る パターンです。これについては、財政上の特例として、さらなるいろいろな措置を講じ ようということで、簡単に申せば、幼稚園は今まで施設整備も運営費も学校法人にのみ 助成しておりましたが、社会福祉法人が幼稚園をやる場合にも助成の対象とする。逆に、 保育所の方は学校法人がやろうとしても、施設整備に関しては公的助成を行っていなか ったのですが、これからは行うようにしようということで、相互に乗り入れる形で連携 を深めようと。また、それぞれの費用は文部科学省と厚生労働省で持っておりますけれ ども、いわば、ワンストップでどちらかに申請をすればお互いに役所同士が連絡を取り 合って、二度手間をしていただかないで済むようにしようということを考えています。  もう1枚めくっていただいて、「利用料」。今度は利用する側からの視点です。利用手 続についても「認定こども園」に関しては特例を設けようと。今まで幼稚園は利用者が 園児募集という形に応じて、利用者と施設の間で契約をしていました。一方、保育所は、 利用者からの申込みに対し、市町村が保育に欠ける欠けないという認定をした上で、市 町村との契約により施設が利用されるという制度を取っておりましたが、これでは、一 括したときに、いろいろ手続が煩雑になりますので、保育に欠ける子どもだけでなく、 保育に欠けない子ども両方ともが利用するという観点から利用者と施設との契約によっ て保育所の方も利用することにしようと。ただし、保育に欠ける欠けないという認定は 相変わらず市町村の方で行いますと。これは、いろいろな就労証明であるとか、あるい は、いろいろな税制上のことなども市町村にノウハウがあるためです。そのことを除き、 施設が、利用料も決めるとともに、一定のルールの下で誰と誰を入れるというようなこ とを行うと。  ただし、そこにはいろいろな条件があり、右下の方の黄色の一番下の項目ですが、低 所得者がそういうことで排除されないような仕組みや入所に係るルールも設けることを 考えています。  冒頭で申し上げたように、来月早々の閣議に持ち込み、国会に上程すべく現在政府部 内で与党との調整をしていますが、成立の暁には、施行を本年の10月1日からと考えて います。まだ閣議決定前ですので、若干概略でしたが、このようなものの設定を考えて います。ありがとうございました。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の説明について、質問あるいは意見があ りましたら、どうぞ発言いただきたいと思います。どうぞ、柏女委員お願いします。 ○柏女委員  すみません。遅れて参りましたので、もしかしたらご説明があったのかもと思うので すが、1点の確認と2点の質問です。1点目は、「認定こども園」の認定を受けて、保育 所10人の枠で認可を受けた保育園、つまり「認定こども園」の中にある認可保育園につ いては、直接契約でやるということでよろしいのでしょうか。  そうしますと、認可保育園の入所の仕方に、保育の実施方式でやる保育園と、それか ら直接契約である認可保育園との2タイプの認可保育園が、全国にできるという理解で よろしいのでしょうか。 ○白石審議官  おっしゃる通りで、「認定こども園」になった保育所に関しては直接の契約ですけれど も、「認定こども園」にならない従来型の保育園というのもありますので、それは今まで 通りです。 ○柏女委員  わかりました。つまり全国的には保育の実質方式で入所する保育園と、それから直接 契約で入所する認可保育園の二つのタイプの認可保育園ができるということになる。こ れが1点です。  もう1点は「認定こども園」の認定を受けた、いわゆる認可保育所ですが。現在、認 可保育所については、児童福祉施設の最低基準が適用されることになっています。その 認可保育所の最低基準については、従来の最低基準がそのまま適用されると考えて良い のでしょうか。それとも一部、緩和等があるということになるのでしょうか。 ○白石審議官  求められる最低基準は、原則として今まで通りです。けれども、3ページをご覧いた だいて、例えば、幼保連携型である場合に、保育所が幼稚園を併設してこの形になるな らば、わざわざレベルを下げることはないと思います。逆に、幼稚園が保育所を併設し てこの形になる場合に、まだ細部は調整中ですけれども、調理室をある程度は緩和して もよいという部分を設ける方向で検討しています。しかしながら食育のこともあります ので、0歳から2歳の部分についてはきちんとした食事の提供、離乳食を含めたものが 必要なので、そこの部分についてまで緩和することはないと。細部の調整はありますが、 一部そういう緩和がなされる部分があります。  ご質問にはなかった部分ですけれども、あえて付言すれば、幼稚園になるには、園庭 がないといけないという縛りがあるけれども、保育園の側は、駅前とか駅中とか近所に 遊ぶ所があれば良いということになっていますので、そういうところが認定を受ける場 合には、あえて庭を自分の不動産で持っていないといけないという縛りは緩和しようと。 お互いに相互乗り入れするための緩和措置はありますが、基本的には最低基準が原則で す。 ○柏女委員  わかりました。そうしますと、例えば「認定こども園」の認定を受けた認可保育所で、 3歳以上を受ける認可保育所をやりたい。つまり、0、1、2歳は受けないで、10人以上 でやるという場合には調理室を設置しないこともあり得るということになるでしょうか。 ○白石審議官  まだ細部を調整しているわけではないので難しくなりますが、フル装備の調理室はな いけれど、「温める」など、いろいろなものが要るケースがあります。今求められている フル装備でなくてもよいケースがあり得るということで、今調整しております。 ○柏女委員  わかりました。ありがとうございました。3点目は、保育所の場合に、今回規制緩和 で10人でも保育所の認可をするということなのですが、幼稚園については、保育所か保 育に欠けない子どもを、例えば午前中の4時間受けた場合に、何人で幼稚園を認可する ことになるのでしょうか。 ○白石審議官  そこは、今モデル実施をしている中から特段のご意見がなかったと思いますので、恐 らく知事の認定の要件ということになると思います。従って、そのガイドラインを私ど もは文部科学省と共に法案制定後、示すことになると思いますが、あまり具体的な「何 人ならよい」ということは示さない方向ではないかと、今のところはそう思っています。 ○柏女委員  わかりました。ありがとうございました。 ○岩男部会長  どうぞ。吉田委員お願いします。 ○吉田委員  関連ですが、「都道府県の認定基準をつくる際に、国がその前段階の基準を示す」とい うことで、当初、評価委員会等では「指針」を示すという表現をしていたのですが、法 律案要綱の方では「基準」ということで、これは政令などのようなレベルなのかどうか ということと、今、柏女委員から出ていたように、調理室とか運動場についてもある程 度この国の基準の中に織り込んでいくのかどうか。その辺をまず1点お聞きしたいので すが。 ○白石審議官  おっしゃる方向になると思います。法律上の用語の整理としてこのような言葉を使っ ていますが、自治事務ということですので、「これでないとだめだ」という、きちんとし たものではないけれども、「こうあってほしい」という基準を示します。その中に私の説 明の中にあったような調理室や園庭ということについては方向を示すということで考え ております。 ○吉田委員  もう1点ですが、まもなく3月に入って法案が国会に提出されるということですが、 それから施行の10月1日までの間に、都道府県は認定基準を実際につくらなければいけ ない。その前に国が認定基準を示さなくてはいけない。およそのスケジュールがあるだ ろうと思うので、その辺についてお聞きしたいのと、極端なケースですが、もし都道府 県によって当面認定基準をつくらないということが「あり」なのか。こういう法律がで きたということは、基本的には都道府県は県としての認定基準をつくらなければいけな いのか。その辺についてお教え願えますでしょうか。 ○白石審議官  法案が出ます。ここから先は、こういう公的な場では微妙な発言になるわけですけれ ども、やはり国会がお決めになることなので、あまり先走って国会で法案が成立する前 にあれこれ言うことは、いささか国権の最高機関ということですので私どもも禁欲的に ならなくてはいけない部分はあるのですが、さりながら、いろいろな準備がある都道府 県に向けて国会の審議もそういう意味で横にらみをしながら、いろいろな担当者の会議 を持つとか、あるいはいろいろな団体に説明会をしていくとか、そういう形で周知をす るということをやろうと思っています。  それから、法制的に先ほど自治事務だと申し上げましたので、やるやらないという自 由まであるかどうかということは、なかなか難しい問題もありますが、基本的には「こ の法律はけしからんのでこういう認定というものはやらない」という県は実態上はあり ませんので、そこは懸念ないと思っています。  その意味で、我々は、やろうと思っている都道府県に対して、なるべく早目早目に国 会の審議の様子もにらみながら具体的な線を出していくと。一つのヒントとなるのは、 今年度やっているモデル実施事業の結果を間もなくまとめるので、その報告書の具合が 方向としては示唆に富むものになると考えています。 ○岩男部会長  はい、どうぞ。 ○吉田委員  たくさんの質問で申し訳ないのですが、もう1点だけ。法律案要綱に、「幼稚園におい て学校教育法上の特例ということで子育て支援事業を適用する」ということですが、今 現在は、幼稚園の預かり保育その他も一応地域における子育て支援事業ということで児 童福祉法上の規定になっているのですが、これを総合施設である「認定こども園」の場 合は、「学校教育法上の特例ということで幼稚園における子育て支援事業を位置付ける」 という、この意味がよくわからないものですから、お教え願えれば助かるのですけれども。 ○白石審議官  法律案要綱の2枚目の(ニ)の所に、学校教育法云々と書いてあり、これは概念上、学 校教育法上の幼稚園の目的の書き方が少し違っているものですから、法制局の指摘を受 けてこう書いてあるのですが、児童福祉法上の定義については今までと変える必要がな いわけです。 ○岩男部会長  よろしいですか。どうぞ、網野委員お願いします。 ○網野委員  具体的なことで二つ、それから全体的なことで一つ質問させていただきます。具体的 には、吉田委員からも質問がありましたが、地域における子育て支援というこの意義を 考えた場合に、この法律の中に従来の児童福祉法あるいは学校教育法関係、幼稚園関係 の子育て支援以外のものを十分に含んで、さらにそこに特徴を置くというような条文や 趣旨などが構想されて進めておられるのかどうかが一つと、2番目の具体的な内容は、 実際に進めていった場合に、0、1、2歳の子どもで、従来型の幼稚園の幼・保に通園す る子どもというのは現実には起こるのでしょうか。つまり、幼保連携型とか地方裁量型 の場合には、ここでは就学前のすべての0歳からの子どもが対象になっていますので、 保育に欠けるという判断を必要としない子どもの利用者・保護者と経営者とが直接契約 をすれば、例えば、母親のいろいろな事情も含めて、0歳〜1歳の段階から、働いていな い母親の子どもたちも通うことができるというような趣旨の内容のものなのでしょうか。 とりあえず、この2点をお願いします。 ○白石審議官  条文を完全に詰めきっていないので、少し丸い説明で恐縮です。まず、地域の子育て 支援に関しては従来のいろいろなメニューがあります。例えば、集いの広場事業である などいろいろなことがありますが、そういうものをやる拠点として、この「認定こども 園」が機能できるようにと。全部フル装備であるかどうかはともかくとして、その地域 のニーズに合った子育て支援をやっていただくという概念です。  それから、保育に欠ける子欠けない子を問わず、「認定こども園」でお預かりすること ができるようになるわけですけれども、その一方で、まず、地域における保育に欠ける お子さんのニーズを確保しなければならないという点もあります。そこは認定を受ける 際、それぞれのそういうお子さんを排除しないためのいろいろな仕組みというものも設 けなければなりません。翻って言えば、そういう範囲において保育に欠けないお子さん に関しても一緒に預かることができるようになるわけです。 ○網野委員  まだまだ、いろいろ詰めている部分があるかと思うのですが、全体的に総合施設化構 想が始まって以来、私どもはいろいろ関心を持って受けとめてきたのですが、今回いよ いよ法律制定に向けてということで、やはり将来展望と言いますか、あるいは政策とし てこの位置付けということがもう一つわかりにくい感じがするのです。今後のいわゆる 設置計画や、保育所の全体的な方向付け、幼稚園の全体方向付けの中で、この法律がど ういう位置付けとなるのか。もちろん、これは「国会審議を待って」という部分もある と思うのですが、できましたらその辺りを審議会として質問だけではなく意見がもっと 反映できるのかということも含めてお聞きしたいと思うのです。  具体的には三つのタイプ・3類型という方向での強化なのか、あるいはさらにもっと 今の実情を見た場合に、0歳〜就学前のすべての子どもたちにとって本当に必要な保 育・教育施設ということを、今後、相当考慮して拡大・発展させるという趣旨なのか。 お答えにくい部分もあるかもしれませんが、どうもその辺りで、わざわざ、ここを「運 用ではなくて法律で」ということの趣旨をもう少し確かめさせていただきたいのです。  あと、無駄な質問かもしれませんが、例えば、所管はどうなるのかということによっ ても相当意味が違ってくると思いますけれども。 ○白石審議官  まとめてお答えするので、抜けがあるかもしれませんけれども。まず所管から言えば、 文部科学省と厚生労働省の完全な共管です。法律上はどういうものかということを外に わかるようにしなければなりませんので、「認定こども園」という呼称ですけれども、そ れを用いることで認定の仕組みは法律事項として掲げさせていただきます。財政上の特 例措置も法律事項ですので、「認定こども園」の法律案の概要の中には、まず認定の仕組 みがあり、その上で、保育所の児童福祉法の特例、それから学校教育法上の幼稚園の特 例と並んでいます。これは何も「第3の累計を作る」ということではなくて、幼稚園と 保育園の制度のすき間にいろいろ生じている問題について、2枚目、3枚目で簡単にご説 明いたしましたが、そこを埋めるやり方として、幼稚園と保育園の垣根を低くすること で一体的な運営ができるという選択肢を設けるということです。例えば、この総合施設 に全部の施設を一元化するというよりも、従来型の幼稚園や従来型の保育所に加えて、 もう一つこれまで総合施設と呼んでいた「認定こども園」というものを選べるようにし て選択肢を増やすことによって、さまざまな地方でのニーズにより柔軟に対応できるよ うに、地域ごとに動きやすいような選択肢を増やすという観点で、この法律を文部科学 省と共同で出そうと考えております。また、そのモデル施設での実施の状況はこの審議 会、部会の方にも逐次ご報告をさせていただきましてご意見をいただきながら進めさせ ていただいています。今後ともよろしくお願いいたします。 ○岩男部会長  他に。はいどうぞ。榊原委員お願いします。 ○榊原委員  今回から参加させていただきます榊原と申します。どうぞよろしくお願いします。こ れまでの議論がつまびらかでないので、すでに出ている議論でしたらお許しください。 教えていただきたいことの一つが、「認定こども園」の中に従来の認可保育園も含まれる ケースがあるということなのですけれども保育に欠ける子の優先順位というものを、こ れまでは役所がはかって認可保育園に優先的に入れていたという状況があって、それで 待機児童があってという現状だと思うのですけれども、「認定こども園」の中に保育に欠 ける子も入るようになって、ただし契約は直接といったときにこども園の側で設けてい る定員を超えて利用希望者が募った場合、こども園では、どの子を入れどの子は受け入 れないという振り分けがどのように行われるのでしょうか。その際、保育に欠ける子、 欠けない子という扱いはどうなるのかを教えていただきたいのが一つ。  もう一つ、「補助金の方をワンストップサービスで」とおっしゃっていましたけれども、 所管は共管という。では、自治体または一般の者から問い合わせたいとき、一体どこに 問い合わせればいいのか。国会の答弁は、どちらの大臣が行うとなっているのでしょうか。 ○白石審議官  例えば、50人の幼稚園の枠があって、10人の保育園の枠がある所があるとして、11 人目が来たときにどうするかという議論だと思います。それぞれの子どもを持つ親の「こ ういうものだろう」という期待がありますので、基本的には、それぞれの枠が優先され るということになります。  その上でどうするかという細目につきましては、定員の弾力化を活用するということ もありますが、具体的な細部につきましては申し訳ございませんが基準をお示しする中 で、なるべくそういう人数で硬直的な形で困らないようにということで、基準を作って いこうと思っています。基本は、それぞれの幼稚園の枠、保育所の枠を優先させた上で ということになります。  それから補助金の申請がどちらかに出てくれば、例えば幼保連携型の場合は両方から 運営費がつくわけですが、それはどちらかの役所に出していただければ必ず役所同士で 連絡を取るので二つの役所に提出するということは要らない。それは役所の方で申告す るという形でやりますし、答弁は完全共管の法律ですので、どちらが答弁をすることも 物理的には可能です。国会運営の手続き上、具体的には厚生労働委員会と文部科学委員 会、文教委員会、どちらの委員会に付託されるかという付託先の大臣が中心となってお 答えをすることになります。それこそ金太郎飴のように同じお答えをどちらの大臣もす る形ですり合わせはしておりますので、その点、政府の意志がどちらかの大臣の言うこ とによって違う形にならないようにはしています。 ○榊原委員  「それぞれの枠を優先した上で」ということなのですけれども、例えば、保育の枠で 保育に欠ける子が10人の枠に対し12人来たときには、どの子に優先順位を付けるか園 長先生のご判断になるということですか。 ○白石審議官  資料の1-2で児童福祉法の特例とありまして、2.児童福祉法の特例、算用数字1,2と あって2の方の(二)保育所は入所希望する保育に欠ける子どもすべてが入所する場合 には云々とありまして、保育に欠ける子どもについては公正な方法で選考するという形 でその基準を作ります。その公正さというものはどうなるかということはまだ決まって おりませんけれども、いくつかの用件としてはあるのは就労の形態である。今でも優先 順位を私の市町村でもやっておりますので、それに準じたものが作られることになろう かと思います。 ○榊原委員  それはこども園で行うのですか。役所のほうで行うのですか。 ○白石審議官  こども園の方でこういう基準でやりますと認定を受けるわけです。 ○榊原委員  これまで役所でやっていた作業のようになるかどうかわからないけれども、こども園 の方ではそうなるということなのですね。 ○白石審議官  基本的にはそうです。 ○榊原委員  待機児童が多い地域で殺到したときにどうなるのか疑問が残る気がします。また、先 ほど、「窓口のどちらに出していただいても連絡を取り合って」ということで、ワンスト ップサービスというのは窓口を一つにするということだったと思うのですが、二つの窓 口でいくということですか。責任がどちらを主にということを整理せずにダブルの課で これから運営されるということですか。 ○白石審議官  はい。整理の仕方として「どちらも同じ」と似たようなものとしてありますのは、例 えば、廃棄物を外国に輸出するようなケースで、経済産業省に出しても環境省に出して もそれぞれ届け出を出したものとみなして、あとは両方が役所同士で資料を連絡し合っ て行うシステムがあります。それと同様に、文部科学省、厚生労働省のどちらに出して いただいてもそれはお好きなほうをお取りいただいた後で、やっている効果は変わらな いというサービスをするつもりです。  だから、どちらかに出すといっても、もともと幼稚園から発展したようなケースであ れば、そちらの教育委員会部局からいろいろ申請をするノウハウがある人がいれば、そ ちらから文部科学省の方に出すでしょう。それは文部科学省から出していただく。同様 に、保育所オリジンの所が幼保連携型で認定を受けて補助金を申請したいと言うことで あれば、従来やっていたノウハウがあるから福祉部局に資料を出してもらえば、そこか ら私どもの方で文部科学省の方に出すという形でお手間をかけないようにしようと考え ています。法律上の効果に変わりはないようにします。 ○榊原委員  こども園の施設がそんなに多くないときは大丈夫なのかもしれませんが非常に広まっ たときにはどうなのかなという気がまだ若干しないでもないです。  もう一つ伺いたかったのが財源の問題なのですが、「認定の責任・運営の責任を都道府 県に」という整理になったと理解しています。例えば、こうした形の施設への住民ニー ズが強いからこういうものを増やしていきたいと踏み出した都道府県では、そうしたプ ラスアルファでかかる部分の財源というのは自ら調達してやっていくしかないというこ とになるわけですか。これまでの幼稚園の運営の部分、保育所の運営の部分には従来の スキームからの補助金から流れると聞いているのですけれども、新しい試みの部分に関 して、今回の法律によって、新たに始まるサービスの部分について、子供の受け皿が広 がる、またはその受け入れられる時間帯が広がる部分には、やはり財源も新たにいるの だろうなと想像するのですけれども、そこの財源の賄う責任は都道府県になるというこ とですか。 ○白石審議官  三位一体のような議論が出てくれば別ですけれども、例えば、メニューとしては休日 保育であったり夜間保育であったりといろいろなニーズのメニューに関しまして、すで に助成の制度というのが国にございますので、もし、新たなメニューが生じるというこ とがあればそれは保育所行政として助成対象に加えることもありますし、逆に幼稚園行 政として加えることもあるでしょう。基本的には、今のような新たな「認定こども園」 になることによって、例えば、休日保育もやってみたいとか、あるいは夜間保育もやり たいということが多いかと思いますけれども、そういうもののメニューに対応するスキ ームはすでにございますのでそこはご懸念がないものと思っております。  ただし私どもが先ほどご説明申し上げましたのは、例えば、東京都の認証保育所のよ うな「認可がないような形でやられる場合には、従来通り、国からの助成は文部科学省 からも厚生労働省からも出ませんよ」ということです。 ○岩男部会長  この「認定こども園」について私たちも大変大きな期待を持っております。同時に、 幼稚園・保育所という二つの制度のこれまでのいきさつから来るさまざまな問題をいろ いろ想定することもできまして、大変、皆さまの関心が強いわけです。条文をつめきっ ていないということでなかなかお答えになりにくい部分もあると思いますので、また次 回の部会にでも改めてどういうふうになったかということを含めてご説明をいただける ようにお願いをしておきたいと思います。 ○白石審議官  承知いたしました。モデル事業に関するいろいろなまとめも近々できますのでそうい うことも併せてこの場で報告させていただこうと考えています。 ○岩男部会長  どうぞよろしくお願いいたします。それでは続きまして、「児童自立支援施設のあり方」 について、事務局より報告をお願いいたします。 ○清川家庭福祉課長  家庭福祉課長でございます。それでは右肩に資料2と書かれています、縦長の資料を ご覧いただければと思います。「『児童自立支援のあり方に関する研究会』報告書のとり まとめについて」という資料です。  まず、「設置の経緯等」ですけれども、そこにありますように児童自立支援施設の状況 を見たところ入所している子どもの減少傾向、あるいは虐待を受けた経験や発達障害等 を有する子どもの割合が増加している傾向が見えるとあわせまして、両者の運営形態に おきましても従来多数を占めていた小舎夫婦制というものが減少し、交代制シフトする 施設が増えるという変化が生じているところでございます。  また年少少年による重大事件への対策といたしまして、14歳未満の触法少年等につき まして、従来児童自立支援施設等の児童福祉領域が対応してきたものについて、少年院 における処遇にも道を開くというような少年法、少年院法の改正の動きがあるところで す。  こうした中で児童自立支援施設につきまして、将来を見据えた今後のあるべき方向に ついて根本的な見直しをするということで、本委員会の委員であります津崎先生に座長 をお願いいたしまして、児童自立支援施設のあり方に関する研究会を設置したところで ございます。本研究会につきましてはこの児童自立援施設の機能の充実強化についてい ろいろご議論をいただいているところでございますが、予定では2月28日に第8回の研 究会を開きまして報告書の取りまとめをいただければと考えております。  そういったことで本日まだ報告書につきましては今議論中の案という段階でございま すけれども、現段階での報告書案につきましてそのポイント及び概要をご報告させてい ただきたいと思っております。  報告書(案)のポイントでございますけれども、そこにございますように児童自立支 援施設における支援については、子どもの健全な発達・成長のための最も良い利益の確 保など子どもの権利擁護を基本として、子どもが抱えている問題性の改善・回復など、 一人一人の子どものニーズに応じたきめ細かな支援を実施していくということが重要で ある。こうした認識の下、(1)から(4)までございますけれども、施設の自立支援機能の充 実・強化、あるいは運営体制の充実・強化、関係機関との連携、あるいは児童自立支援 施設の将来構想について、当面早急に取り組むべき課題、あるいは将来的な方向を整理 していただいている所でございます。  1枚めくっていただきまして、先ほどの4点につきましてそれぞれの中身について紹 介しています。まず「1.自立支援機能の充実・強化」でございますけれども、「(1)支援 技術・方法について」ということで、それぞれ各項目の表題になるものを網掛けしてお ります。「アセスメント及び自立支援計画策定のあり方」、「被虐待経験や発達障害等を有 する特別なケアを要する子どもの支援・援助のあり方」、「自らの行った非行行為と向き 合う取組を通じた自立支援のあり方」、「アフターケアのあり方」、「親支援・家族支援の あり方」そして「子どもの権利養護のあり方」についてご議論いただいております。  例えば、2番目の「被虐待経験や発達障害を有する子どもへの支援のあり方」につき ましては、個々の子どもの特性・ニーズに適合した支援方法あるいは問題性に対する効 果的な改善・回復などの検討や精緻化、あるいは外部の専任医師の配置や外部の医療機 関との連携・協力体制の整備等が重要であるということ、3つ目の「自ら行った非行行 為と向き合う取組を通じた自立支援のあり方」では、加害行為を行った子どもについて、 自らの行った非行について振り返りを行い、向き合うことが自立の上で必要であるとい うことと合わせて被害者への配慮という観点からも重要である。ただ取り組みに当たっ ては、子どもの心の成長・発達状況を見極めて、状況に応じて行うことが重要であると いうような議論がなされている所でございます。  「(2)学校教育のあり方について」ということで、学校教育導入しているわけですが、 子どもに応じた個別の学習プログラム、あるいは個別支援の充実を図ると共に、教育委 員会あるいは前籍校などとの緊密な連携が必要であるというようなこと。また「(3)施 設機能の拡充について」は「相談機能」あるいは「通所支援機能」につきまして、今後 充実を図っていくということが重要であるというようなまとめがなされているというこ とです。  「2.施設の運営体制」ですが、「(1)施設の長あるいは児童施設で働く児童自立支援専 門員の方々の資格要件と人事システムのあり方」ということで、施設の長については管 理職に対する研修の義務化、あるいは児童相談所等の児童福祉関係経験者の活用といっ たことや、地方公共団体においても施設等の児童福祉関係経験者を一定期間継続して配 置するというような配慮が必要であると議論されるところでございます。また、施設の 職員の資格要件人事システムについては、全く児童福祉に関係したことのない職員が任 用されることのないような形での最低基準の見直し、あるいは研修の充実、また1番下 のところですけれども、機能が充実している施設をもっている都道府県あるいは国立の 児童自立支援施設からある一定期間出向させて応援するという仕組みがうまくとれない かどうかといったような検討がなされているところです。  「(2)寮舎の運営形態について」ですが、まず小舎夫婦制については維持・充実・強 化を図っていくことが重要である。人材確保あるいは職員の養成の強化策につきまして 検討がなされているところです。また交替制寮舎について充実・強化のあり方といたし まして、移行の際には子ども集団の適正規模、あるいは居室等の生活環境等を配慮する とともに、諸ニーズにきちんと対応できる職員体制の整備が重要であるというような指 摘がされているところでございます。  「(3)設置運営主体について」ですが、児童自立支援施設は、都道府県及び政令指定 都市に設置義務がなされ運営についてもそういった公的機関で行うことになっておりま すけれども、そこにありますように家庭裁判所の保護処分により入所してくる子ども、 あるいは自傷等を行う子どもなどを入所させるなど、きわめて公共性の高い施設である。 そのために施設運営の安全性・安定性・継続性に加えて職員の専門性の確保が不可欠で あるということと、仮に今後、施設運営を民営化することにつきまして検討の視野に入 れる場合には、そこにございますように少年非行対策へのスタンス、あるいは公として の責任対応等々各般の事柄につきまして慎重に検討することが必要であろうというよう な議論がなされているところです。  「3.関係機関等との連携」です。「(1)の児童相談所との連携」ということで、児童相 談所と連携が非常に大切なわけですが、双方の専門性の向上を図ると共に児童相談所と 緊密に連携するということが必要であるということや「(2)学校・市町村等地域との連 携のあり方」、「(3)児童福祉施設・少年院との連携のあり方」あるいは「(4)家庭裁判 所・警察との連携のあり方」等についてご議論いただいているところです。  それから「(5)児童自立支援事業に関する広報・啓発について」で、この施設につい てさらに国民一般に理解してもらうことが必要であるということで、出版物の発刊、あ るいはホームページの開設など広報啓発を行うことが必要であるというようなご指摘を 受けているところです。  最後に「4.児童自立支援施設の将来構想」です。各都道府県に児童自立支援施設が置 かれていますけれども、まずそれぞれの施設について各施設に少年非行問題全般への対 応が可能となるようなセンター機能を設けて、そういった子どもたちに対して総合的な 対応ができるセンター施設として運営していくと。あわせて各都道府県の枠を超えた地 域ブロックというものを設定して、ブロックごとに連携あるいは支援システムというよ うなものを含んでいくことが期待されるのではないかという指摘がなされております。  また国立の児童自立支援センターにつきましては、支援技術・方法の開発などについ てのモデル機能を果たすということ、あるいは職員の専門性の強化のための養成研修機 能の充実・強化をはかるとともに、先ほど広報機能ということで申し上げましたけれど も、児童福祉や少年非行に関する情報発信センターとしての機能が求められるというよ うな指摘がなされています。  最後に、以上を踏まえて、「児童自立支援施設は、子どもの健全な発達・成長のために 最善の利益の確保を目指し、こういった取り組むべき課題について着実に一つ一つ解決 し、具体的な成果をあげることを期待される。また今後の取組の状況や将来構想を踏ま えつつ、継続的に検討を行いながら、児童自立支援事業を推進していくことが必要であ る。」というようなまとめがなされようとしているところです。  右側が、研究会の委員の名簿でして、津崎先生に座長にお願いしている他、そこに書 いております委員の皆さま方にご議論していただいているところです。昨年7月に第1 回の、研究会を開催してから明日で8回のご議論を重ねていただいているところです。 以上ご報告をさせていただきました。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ただ今の説明につきまして何か質問あるいは意見がござい ましたら。 ○柏女委員  2点あります。質問というより意見になってしまいますが、一つは運営主体について ですが、この報告書を見ていて民営化するのを可能とするかどうか政府として検討する ということになるのだろうと思いますが、一つはぜひ民営化の方向の門戸を開いていた だきたいという思いです。  実は、私の県でもこの公設公営施設のあり方について議論しておりますけれども、児 童擁護等についてはかなり民営化されてきていますし、もう一つ情短施設の公設公営は 全体のおそらく4分の1くらいだったと思いますが、そのように施設全体が民営化され ていっている状況の中で児童自立支援施設だけが公設公営のままであると人事交流がで きないという状況になります。  もう一つは、短期治療施設を全県に作っていこうということで「健やか親子21」であ りますが、情短施設と児童自立支援施設とかなり似通った機能を持ちうるのではないか。 つまり任意タイプの施設を場合によって統合して施設の再編成を図っていくようなこと を考えていけないだろうかというようなことを思います。  サイコロジストやファミリーソーシャルワーカーも配置され、そして児童養護も含め てユニットケア化というのを進めていけば、情短施設と児童養護施設と児童自立支援施 設の垣根が今限りなく低くなっているわけですので、そういう意味では地域の実情に応 じて組み合わせをしやすいようなシステムを作っていってもいいのではないかと思いま す。  2点目は組み合わせをしやすいようなシステム、「認定こども園」というようなものは できているわけですから、今後、要保護児童関係の施設についても再編成をしやすいよ うな仕組みづくりを考えていっていただくことをお願いしたいと思います。以上です。 ○清川家庭福祉課長  2点ほどご意見をいただいたかと思います。まず第1の運営主体の問題ですけれども、 この問題につきましてご案内のように、従前公設公営だけと限定されていたもので、例 えば、民間に運営を委託するといった場合にはどういったことが必要であろうかという ような条件について幅広くご議論いただいているところです。そういった中で一定のご 結論がいただければ、この報告書また委員のご意見等も踏まえながら、我々としては検 討していきたいと思っているところです。2つ目につきましては今後とも勉強していき たいと思っています。 ○岩男部会長  私も説明の中に出てこなかったことについて、一つ要望というか質問を申し上げたい のですが、昨今、日系ブラジル人で親が日本へ働きに来ている人の子どもたちが、言葉 がわからないために、学校からもドロップアウトして非行に走るというケースが増えて きているわけです。そういう人たちを支援するときの対応として、日本語を教えるとい うことも必要になる。また職員の対応もそういう言葉の問題、あるいは文化的な理解の 問題、これまで日本人だけを想定していたときとは違った問題に対処できなければいけ ないのではないかと考えるのですが、そういった問題については特に取り上げて議論が なかったのか、そのあたりを少し伺いたいと思うのですが。 ○清川家庭福祉課長  議論の中では特に外国籍の子どもについてという形の議論はなされていなかったので すが、ただ、学校教育についてということで議論される中で一人一人の子どもが持って いる課題に対応して個別にカリキュラムを配慮して教育を行っていくことが必要である と。それから、児童自立支援施設における学校教育については、子どもの総合的な自立 支援の取り組みの中で生きる力というものを保障することを目的として行われるもので あるので、生活上の支援と協同して取り組まれることが重要であるというような各種の 議論がなされておりますので、そういったことで一人一人の課題、そして生活していく 中で必要なものなどについての教育がなされていくことが必要であるというような議 論・検討がなされているところです。 ○岩男部会長  これから日本がますます多様化し、共生社会になっていくというようなことも踏まえ て、いろいろと考えていただければと思っております。  はい、どうぞ。渡辺委員、お願いします。 ○渡辺委員  幼保と総合施設の問題とも絡むと思うのですけれども、児童自立支援施設などにお世 話になる子どもたちの多くは、本人の資質と環境の悪循環が、乳児期からずっとうまく 手当てされないで煮詰まってしまった場合が多いわけです。そういうケースの場合は、 例えば睡眠にしても、食行動にしても一つ一つがとても大変な複雑な歴史を持ったり、 難しさを持っていたり、そして職員の方たちが取り組めば取り組むほどバーンアウトし ているという現状があると思うのです。そういった中で、その子どもたちから学び、よ り良いケアは何なのかということを社会として考えていく上で、もう少し小児科医と小 児神経科医や児童精神科医が児童自立支援施設のプログラムの大事な部分を担うべきだ と思うのです。ソーシャルワーカーや市民の方たちに荷物が重過ぎて、バーンアウトが 起きている。バーンアウトを起こせば子どもが必ず悪者にされていきます。せっかく児 童自立支援施設で一生懸命やってくれる先生たちをつぶしていくと、ますます子どもた ちは自滅的になるわけです。けれども、的確にこれは相互関係の悪循環であって、この 子の気質のせいではないとか、この子は脳波異常があるから、まず薬を使ってみようと か、ついにこの子の場合には薬を使うとかえってよくないとか、一つ一つのケースに小 児の心身の発達の専門医がかかわり、もう少し細かくみていくような体制をとることが 大事だと思います。つまり、その子どもたちの睡眠状態や食欲状態や行動系を、ニュー ロサイエンスや小児発達の基盤から捉えてきちんと本人と現場にフィードバックしてい く、そういうところに小児科医・小児精神科医・児童精神科医がもっと入るべきではな いかと思うのです。特に今、多様な文化の中で生きている子どもたちが多くなりまして、 例えば、外国の子どもたちも日本の学校システムに適応できなくて、そこでは私たちの 想像を超えた激しい被害的なストレス体験をしていたのです。社会の複雑化に伴い、職 員にも発達の基盤の勉強を入れていく。例えば幼児教育と保育園が一緒になることは必 要ですが、率直に申し上げて、今の幼稚園の先生に乳幼児のケアは任せられない。幼稚 園しか体験のない人に乳児期の保育やケアをさせてはいけない。乳幼児というのはきち んと体の発達から入っていく。ねんねの時期・腹ばいの時期・たっちの時期のような発 達に即して、どのように体を心地よい状態にしてやるかが大事なわけです。そういう意 味で問題が複雑化して子どもたちが大変になる分だけ、配置される子どもたちの中に多 面的に取り組める人員が必要なのです。小児科医や小児精神科医の配置が少ないのでは ないかと思います。実際に小児科医の数が少ない、乳幼児の専門家の数が少ない、児童 精神科医の数が少ないという事実がありますけれども、児童精神科医の若い人たちが児 童自立支援施設で臨床研修を積めば、とても勉強になると思います。子どもたちから学 ぶ場として、プロの児童精神科医を作っていくという意味でも、もっと積極的に配置を 考えていただきたいと思います。 ○阿藤部会長代理  はい、ありがとうございました。 ○清川家庭福祉課長  ご指摘の点につきましては、お配りしました資料2の2ページの二つ目に「非虐待経 験や発達障害等を有する特別なケアを要する子どもの支援・援助のあり方」という所で、 専任医師の配置、あるいは外部の医療機関との連携・協力体制の強化ということで、こ れは概略でまとめていますけれども、具体的な議論の中では、先生の方からご意見のあ りました専任医師の配置、外部の医療機関との連携・協力体制の整備ということや、児 童精神科医の絶対数が少ないことから児童自立支援施設が大学・医療機関と連携して、 まさに医者の養成・研修の場を提供し、人材の確保に取り組むべきであるというような こと、あるいは、研修の充実を図るべきであること等いろいろご議論いただいておりま すので、そういったことも含めて報告書をまとめていただければと思います。 ○阿藤部会長代理  よろしいでしょうか。途中で座長を交代しました。  医療のことについてはよろしいですか。 ○大日向委員  今日の議事の進め方でお願いがあります。先ほど、座長が「2の「認定こども園」の ことに関しては、国会審議前なので審議を経て次回にご報告をいただく」ということで、 時間のこともあったと思いますので次へ進まれましたが、できれば国会審議に上る前に もう少し伺いたいこともありますので、最後にもう一度2の議題に戻すことをぜひお願 いしたいと思います。 ○阿藤部会長代理  時間があれば、戻します。三位一体改革法案について事務局よりご説明をお願いしま す。 ○大塚児童手当管理室長  児童手当管理室の大塚と申します。  資料3-1をご覧ください。前回の児童部会におきまして、既に18年度の三位一体改革 及び児童手当の改正にかかわる政府与党合意の内容についてはご説明しておりましたが、 その後法案として取りまとめまして、国会に提出しましたのでご報告をします。  三位一体改革法案につきましては、正式名称はご覧の通り「国の補助金等の整理及び 合理化に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案」という名前でありまして、児童手 当法・児童扶養手当法を含む9本の関連法律を一括して改正する法律案としまして、2 月3日に国会に提出しました。この法案につきましては、国・地方を通じた三位一体に 絡む財政改革・税制改革およびこれに基づく18年度予算と一体化したものでして、国・ 地方を通じて18年度予算にかかる事務等の円滑な執行のためにも、いわゆる比例法案と いうことで、本年3月中までには成立を期しまして、4月から確実に施行する必要があ ります。このことにつきましては、与党手続等につきましても了解を得ているところで す。施行日は4月1日です。  前回と重なる部分もありますが、内容について簡単にご説明いたします。2ページを ご覧ください。児童手当につきましては、対象年齢を現在は小学校3年生までですけれ ども、小学校修了まで引き上げます。また、政令改正によりますけれども、所得制限を 夫婦と子ども二人の被用者家庭におきまして、年収780万円から860万円になるように 緩和しまして、支給率を概ね90%引き上げることとしております。また、国と地方の費 用負担割合につきましては、現在は2/3・1/3ですが、それを反対に1/3・2/3と変更す ることとしております。これは三位一体で決められたことでして、この影響額が約1,578 億円ということです。児童扶養手当におきましても同様に、国と地方の費用負担割合を 現在は3/4・1/4ですが、それぞれ1/3・2/3に変更することとしています。これについ ての影響額は1,805億円程度ということです。児童手当につきましては、今回は年齢の 引き上げだけではなく、所得制限の緩和や費用負担割合の変更など地方の現場の事務処 理面が複雑になりますので、去る2月20日におきまして、都道府県や主要な市の実務の 担当者にお集まりいただきまして、事務処理面に関する説明・意義照会の回答等を行っ たところです。また、前回の16年の改正と同様にポスターやチラシで広報に努めると共 に、受給漏れが生じないよう改正により新たに受給対象になられた方につきましては、 施行は4月ですけれども9月30日までは必要な手続きをすれば、該当日から遡及して支 給が行われるよう経過措置も設けることとしております。  次の3ページをご覧ください。これは直接、児童福祉給付とは関係ありませんが、基 礎年金の国庫負担割合の引き上げでありまして、21年度までに5割にするということな のですけれども、18年度におきましては35.8%まで引き上げることとしております。  4ページをご覧ください。これも児童福祉とは直接関係はありません。介護関係の施 設整備交付金等に関するものです。簡単に申し上げますと、1番は特別養護老人ホーム 等の施設整備に関する都道府県向けの交付金を一般財源化するということにしておりま して、2番でそれに関連して都道府県の権限・責任の増大に見合うように、介護保険施 設等における保険給付金につきましても、都道府県の負担割合を5%程度増加させてい ただくということをしています。また3番では、介護関係の施設が大都市周辺等に集中 し、越境利用というようなことが行われて、集まってくる都道府県や市町村の財政負担 が過重になる恐れもあるということで、こういったことを防止・抑制するために有料老 人ホーム等の特定施設にかかる事業者の指定の見直しなどを行って、財政負担の抑制の ための措置を強化しているということです。  次に5ページをご覧ください。公立の障害者施設や保護施設にかかる施設整備費ある いは経常的な運営費等の補助負担にかかる一般財源化の関係です。児童福祉法の関係で は最初の公立の知的障害児施設等の施設整備に関しましては、国の負担を外すというこ とで改正しています。資料3-2の法案の要綱については割愛させていただきます。 ○阿藤部会長代理  それでは今の三位一体改革の説明について、意見、質問等がありましたら、ご発言く ださい。  ないようですので、これについてはこれで終わりまして、次に「健やか親子21」につ きまして事務局よりご説明をお願いします。 ○佐藤母子保健課長  母子保健課の佐藤です。よろしくお願いいたします。  資料4-1と4-2を使いまして、説明いたします。資料4-1はポイントを絞ってご説明 させていただきます。委員の方々は既にご承知の事かと思いますが、この「健やか親子 21」という計画は母子保健分野の国民運動計画ということになっておりまして、平成12 年度に企画をいたしまして、13年度からの10カ年計画ということでスタートをしたも のです。平成17年度はその中間の5年目に当たるということから、特別に検討会議とい うものを開催いたしまして、進捗状況を中間的に評価して必要な見直しをしたというこ とです。事務的な手順だけで申しておきますと、検討会は日本子ども家庭総合研究所の 副所長である柳沢先生に座長をお願いいたしまして、6回開催いたしまして、平成18年 2月22日にその第6回目が終了したところです。今、評価などのお話をしましたが、な ぜ評価なのかというところにつきまして少し触れておきたいと思います。  資料4-1を一枚めくっていただきますとページ番号で1と書いてありますが、この辺 りに母子保健をめぐる動向とか、なぜ今、評価なのかということを詳しく書き連ねてお ります。かいつまんでお話をしますと、1ページ目の真ん中(2)の直前ぐらいの所です。 もともと母子保健事業はご存知のように都道府県事業という事で保健所を中心に実施さ れてきたのですけれども、昭和の終わりごろから平成にかけまして、「より住民に身近な サービスを」ということで徐々に市町村へ移管されまして、9年ごろにはかなりのもの が市町村に移管されるようになりました。またこうした動きというのは住民に身近なと ころ、つまり地方分権であるとか地方の裁量といったものに着目をしたわけなのですが、 こうした事業の移管だけではなくて、これと車の両輪のように補助金、国庫補助という 形から一般財源という形に移っていきました。少し丁寧に説明しますと、国庫補助です と細かく単価を積み上げまして設定をしました。例えば、「ある市町村が検診を何回やっ た何人やった、だから総額でいくらですから国庫補助をその1/2あるいは1/3を支払い ます」というように、個々個別の事業について細かく単価が設定されて事業の総額が設 定され、それをコントロールしていくという姿になっていたわけですが、この辺りが一 般財源化されることによって、ガイドラインや指針や要綱で示された最低線さえ満たし ていれば回数や、やり方については自由度が増したということが言えると思います。し かし、このことが1ページの下にありますように、評価という点では実はなかなか難し い局面にもなってきたわけです。このことは1〜2ページ目にかけて書いていますが、ど ういうことかと申しますと、事業量が予算という形で細かく決められている時代には予 算の執行状況を管理監督すれば、それは自動的に、最近の言い方で言いますとプロセス 評価とでも言いましょうか、どれくらい事業量が実施できているかというのが市町村単 位・都道府県単位で一目瞭然でわかるわけですけれども、先ほどから申し上げておりま すように、予算の執行状況ではなかなか管理監督が出来なくなりましたし、また地方の 裁量で独自に量を増やしたり、方法を変えたりしているというところが出てきます。一 例を挙げますと、妊婦検診などについて国では3回程度と考えているわけですけれども、 多いところでは10回ほど妊婦検診をやっているところがあります。では平均で何回ぐら いやっているのかというと、これまでですと補助金の総額・総量を見ればよかったので すけれども、それができなくなりましたので、別途データを採らなければいけなくなっ たという部分があります。  それからもう一つは、もう少し学問的な話で言いますと、これまでは究極の指標であ るところの周産期死亡という後期死産と呼ばれるものと早期新生児死亡の和だったり、 乳幼児の死亡率、あるいは妊婦死亡率など、そういう死亡率という究極のアウトカムだ けで評価をすればよかったのですけれども、最近は母子保健というものは生きた死んだ というような単純なものだけではなくて、1ページの下の方にありますように、健康と いうものもより良い生活のための資源の一つだということで、もう少しクオリティーオ ブライフというような概念や妊娠出産に満足している満足度のようなもの、あるいはゆ ったりとした気分で子どもと過ごせる時間があるといったような同じアウトカムでも違 った視点のアウトカムが重要になってきました。そうしたことから、繰り返しになりま すが、指標といいましても、先ほど申しました究極のアウトカムと併せまして、こうし た幾つかのアウトプットのようなものも組み合わせて評価をしていかなければならなく なったということが言えます。また国の役割も、予算をきちんと執行しましたか、適正 に検診をやっていますかということではなくて、むしろ評価という形で、結果だけ見せ てください、あるいは成績だけ見せてくださいと。そのプロセスは自分で考えてくださ いという、言ってみればアドバイザーの立場に変化をしたということが言えるのです。 そういうことから今回は評価に重点を置きまして、検討していただいたというわけです。  前置きが長くなりましたけれども、8ページ以降に具体的な中間評価の結果が書かれ ています。ポイントを言いますと、指標についてはいろいろな角度から58の指標をあげ ています。これは平成13年のスタートのときにあらかじめ設定されていたものです。そ の58の指標について検討して、およそ7割が当初予定したような改善の方向に向かって いるという評価をいただいております。しかしながら数値として良くなっている指標の 中にも、いろいろな課題や新しい課題が発生しているものもありまして、個別には8ペ ージ以降に方策を示したわけです。  以下、課題ごとに9ページの中ほどの課題1から始まりまして、13ページに簡単2、 17ページに課題3、21ページに課題4というように28ページまでそれぞれの課題ごと の指標の結果が分析されています。  29ページ以降はそうした結果を見た上で、今後どういう取り組みが必要かということ が課題ごとに書かれています。今後の推進に向けての方策につきましては、42ページ以 降が今後に向けてどうしているかという、本でいいますとあとがきに相当するような部 分です。今後5年間の重点取り組み、それぞれごとの問題点等について書いているとい うことです。今後の推進に向けてはポイントだけご紹介しておきますと、NPOも含めた 住民参加等による連携の強化が重要であるということ、それから指標の中にはモニタリ ングとして適当な指標がないものもありましたので、事業を実施する以上はその事業の 効果がよくわかるようなモニタリングのシステム構築の必要性などが指摘されたわけで す。  てにをは等につきましては近日中に修正をして正式に公表する予定ですが、参考まで にマタニティマークについてご説明させていただきます。資料4-2をお開きください。 先に背景の話をしたいと思いますが、資料4-2の7番1)をご覧ください。 もともと このマタニティマークの話が始まった経緯は、1)に書いてあるようなことでした。つま り、妊娠から12週ぐらいまでの妊産婦の方はおなかも小さいので外形から見ております と、妊娠されているかどうかわからないという状況にありまして、例えば、電車に乗っ た時に席を譲ってもらうといったようなところで、不都合というか不便を囲っていらっ しゃるということが国会等で話題になりました。そこで1)にありますように、例えば、 妊産婦さんが交通機関等を利用する際に、携帯のストラップのような形でもいいでしょ うし、缶バッジのようなもの、ぬいぐるみのようなものを身に付けていただきまして、 「周囲がそれに気付いていただいて妊産婦の方に席を譲ってあげるというような配慮を 示し易くする」ということで、どうでしょうというのが話の発端でした。では、どうい う場で議論しようかということになったのですが、もともと国会での議論から、厚生労 働省なのか国土交通省なのかは別として、国がある程度、音頭をとってくださいという 話になったものですから、「健やか親子21」の検討会を活用した方がいいだろうという話 になりまして、局長等とも相談をしまして、並行して検討していただくことにしました。  その議論の過程は、7番の2)をご覧ください。当初は妊産婦の方が身に付けるマーク ということで目的を絞り込んでスタートしたつもりだったのですが、議論の過程で、そ ういうことだけでいいのかということなりました。つまり、意識のある妊産婦の方だけ が身に付ける、あるいは悪い言い方をすれば強制的に身に付けさせるという女性の方だ けにお願いをするような形ではなくて、もっと積極的に交通機関とか職場とか飲食店の 側からの働きかけというのがあるのではないかということになりまして、目的を広げて 交通機関や職場や飲食店その他の公共機関等が、私どものそういう趣旨に賛同して取り 組んでいますということがわかるように、呼びかけ文のような形の中に、例えば、その マークを付すという形で、事業者というか受け手の側からも優しい環境づくりに協力し ていますというアピールにも使おうではないかと、この二つの目的に照らしてマタニテ ィマークを公募して推進していったらどうかということになりました。公募の結果・プ ロセスにつきましてはそこにありますように、昨年12月から今年1月のおよそ1カ月半 をかけて募集をしました。 正直に申しますと、当初は年末年始の忙しい時期ですし、どのくらい関心をいただける のかと思っていたのですけれど、蓋を開けてみますと1,600件を超える応募をいただき まして、結果的にはこのような年齢層で、このような応募があったということです。  結論は次のページの別添をご覧ください。その中から委員の先生方あるいは東京メト ロのような事業主のご意見も聞きながら、この三つを選びました。三つを共通に使うと いうわけにはいきませんので、最優秀を使わせていただくことになります。この最優秀 のものにつきまして、カラーでそのまま使えるのかそれとも白黒にするのか、缶バッジ にするのかということはそれぞれの市町村なりNPOなりにお使いいただくということに して、国レベルでの統一マークとしてはこの形にしますということでやっておりまして、 できることならば3月16日ぐらいで公表をいたしまして、授賞式もしたいと考えていま す。 ○阿藤部会長代理  ありがとうございました。ただ今の説明につきまして、質問等がございますか。 はい、どうぞ、遠藤委員。 ○遠藤委員  「健やか親子21」に関しましては、10カ年の中で今までにない形で評価指標をきちんと 作って、それを評価するということで17年度のこの中間評価に関しましては、たくさん の団体が参加しているだけに非常に努力をされて、ようやくまとまったのだと伺いなが ら、大変だっただろうと改めて思っております。  42ページの今後に向けてというお話がありましたが、この指標を見てここにまとまり 上がった部分を見ますと、小児の事故防止を始めとする安全な子育て環境の確保、虐待 防止対策の取組の強化、食育の推進、それから医師・助産師等の問題、思春期の問題も 含めて、すべて子どもが先か親が先かといつもこの議会の中では議論になるところです。 こういう実態を国全体で取り組んでいくときに、私も最初の議論の中で幼保一元の話の 中から「認定こども園」が出来ていく中で、今までの幼稚園・保育園の機能と違うとこ ろということで、子育てをしていく親子を見ていこうという、今日、網野委員がおっし ゃられた部分の、新しい形で教育と保育を考えていくときに、やはりこの視点というの は絶対に外してはならないのだろうと思うのですが、今までの幼稚園・保育園の枠組み の中から今一歩抜け出ていないというか、その辺りの表現というのがなかなか今日すっ きりこなかったのが、実情でございます。「健やか親子21」の中から出てきている問題、 つまり周産期を軸にして、そこから取り組んで親子を支えていく仕組みを、本当に忘れ てはいけないことを改めて感じております。ぜひ、今日また最後の議論がされる中でも、 国会にも出される寸前ですので、非常に大変なことだと思いますが、その視点を欠かさ ないようにしていただきたいと、改めてこの結果を見て思った次第です。意見ですので、 ご返答は結構でございます。 ○阿藤部会長代理  ありがとうございました。他にはございますか。はいどうぞ、榊原委員。 ○榊原委員  すみません。数字だけ少し教えてください。今の報告書の15ページに出ている一番下 にある表なのですが、先ほどのお話の中でも、母子保健の究極の指標の一つとおっしゃ っていた妊産婦死亡率ですが、策定時の現状値つまり5年前に10万人に対して6.3人い たのが、5年後には4.9人に半減したと読んでよろしいでしょうか。あまりにも急激な 半減なので、どういう変化があったと分析しているのか教えてください。 ○佐藤母子保健課長  結論から言うと、日本の周産期医療の水準は相当に進化していますし、それから昔は 胎児搬送のようなものしかやっていなかったのですけれど、母体搬送のような仕組みが 出てきましたので、現実にもこのぐらいの数字は上がっていると思います。ただ数字自 体が非常に少ないので、誤差はありますから、経年的に見てみると、たまたま高い年と 少しだけ低い年とが重なった可能性はあります。ですから、これは経年的に見ていくの ですが、新生児死亡などの動向から見ても、このくらいは期待できる数字だったのでは ないかと考えております。 ○榊原委員  課題2のまとめにありますように、産婦人科の医師不足や産婦人科の診療所が閉鎖さ れるという状況がまだ広がっています。助産師の偏在であるとか、さまざまな問題が指 摘されている中で、たった5年間でこれだけ急激に改善された要素は一体何なのでしょ うか。 ○佐藤母子保健課長  結論から申しますと、総合周産期母子医療センターを中心とした、センター化・集中 化の動きが加速したからだと思っております。これは先ほどから何度も申しましたが、 母体搬送です。お母さんと子どもをセットで救急車のようなものに乗せて病院に運ぶわ けですけれども、危ないと思ったらすぐ中規模か大規模の病院に運ぶ事ができたからで す。そういう意味で、先般、厚生労働科学研究の報告があったのですが、日本の周産期 死亡は、この5年、10年で本当の意味で名実ともに世界一のレベルに達したと聞いてお ります。  ただ恐らく、榊原委員がご質問になった背景は、医者がこんなに困っている、少ない など、助産師が少ないと言っているときに、一方でこんなにすばらしい数字が出てくる のは、矛盾しないかという意味であると思います。そういう意味では、今は何とか持ち こたえているけれども、このような状況が続けば、今、申し上げましたようにすばらし い周産期医療のデータも、ある日突然悪くなることはないとは言い切れません。実際、 総合周産期防止医療センターにいる先生の中でも、激務に耐えかねてお辞めになる方や、 あるいは開業されるという方が増えてきていらっしゃると思いますが、今のところはな んとかそのセンター化・集中化で大規模病院におけるケアの水準が上がっていることで 表面上かもしれませんが、数字はすばらしいものになっていると言えると思います。 ○榊原委員  そうすると、「先進国の中でも妊産婦の死亡率が高い日本」と、ちまたで言われていた のが、先進国平均値並みになったという理解でよろしいでしょうか。 ○佐藤母子保健課長  結論から言いますと、シンガポールや非常に狭い地域で、非常にGNP、GDPの高い国や 地域を除きますと、先進国中では最高ランク、最高と言っていただいて構わないと思い ます。 ○阿藤部会長代理  この直近値は何年のものですか。 ○佐藤母子保健課長  平成16年でございます。 ○阿藤部会長代理  平成16年。妊産婦死亡率が先進国中、日本は長い間、高い方に張り付いた形で、統計 をいじる者としてはなかなかつらいものがあったのですけれども、今お聞きすると世界 ナンバーワンになってしまったと。結構、ニュース性があるような感じもしますね。 ○佐藤母子保健課長  ちなみに18、19ページに、小児のデータがありますので、そこをご覧いただくといい のですが、世界最高維持が目標になっているので、オリンピックで言うと金メダル取り 続けるということを書いているわけです。乳幼児の死亡でもこれが確認されていますの で、その点はデータとしては信頼できるものだと思います。 ○阿藤部会長代理  他にございましたら、どうぞ。 ○服部委員  11ページですが、「思春期の問題」の中で自殺率が15〜19歳は、男女共に高くなって います。特に女子も高くなっているように思いますし、やせ症も現状値よりも高くなっ ています。10代の子どもたちの他の数値がわからないのですが、やはり不登校はやや横 ばいですが非常に危ういという感じが印象では感じられます。数値としてこれを見て、 改善されてないという気がいたしますが、他のうつ傾向や引きこもり、あるいは行為障 害などのデータはありますか。 ○佐藤母子保健課長  はい。結論から言うと、大変入手が困難でございまして指標から外しております。と 申しますのは、厚生労働省のもともとの人口動態統計が、基本的に死亡する疾患が中心 に書かれておりますので、がんや心臓病のように死亡が中心なものについては比較的よ く取れるのですが、それ以外のものは非常に難しいのです。それから患者調査を見てみ たのですけれども、ICD-10やDSM分類の統計を正確に分析するだけの分類がもともとさ れていない部分があり、また今の状況でそれらを指標にするのがなかなか難しい部分が ございました。そういうこともありまして、どこまでどういう指標を入れるのがいいの か、難しかったのですけれど、代表選手としては例えば10代の自殺率や、そういうもの で代替をしたというところかと存じます。 ○服部委員  よくわかります。ハードなものでなければ、診断名も医者によって、どちらを使うか、 DSMかICDか違いますし難しいのですが、ただ非常に危機感がありまして、今後の4本 柱の一つである「思春期」というテーマにどう取り組むのか、国としても何か有効な手 だてを提言していただくことが必要かという感想でございます。ありがとうございまし た。 ○阿藤部会長代理  ありがとうございました。はいどうぞ、渡辺委員。 ○渡辺委員  思春期の問題に関しまして、服部委員の危惧(きぐ)に私も全く同感です。「健やか親 子21」は、先ほど遠藤委員が強調されたように、周産期を軸にして母子を守っていくの ですが、その周産期の5年から10年前に周産期の予備段階としての思春期があります。 しかし、思春期の問題に取り組むにあたって、一番ネックになるのが学校です。一人の 子どもへの学校での日常の学校保健の取り組みが、文部科学省管轄のため、厚生労働省 の取組が活きていかないのです。思春期に関しては、「健やか親子21」に文部科学省と 学校の先生たちがもっと参加すべきです。幼保一元化だけではなくて「健やか親子21」 の思春期に関しても文部科学省と 厚生労働省が半々でやっていただく、共管でやってい ただかないと、いくら厚生労働省の研究で思春期やせ症に取り組んでも学校の協力がな かったら何もできないことがあり、その辺をぜひもう一度、枠を取っ払って一緒にやっ ていただきたいと思います。 ○阿藤部会長代理  いかがでしょうか。 ○佐藤母子保健課長  ご指摘のとおりだと思います。会議自体には、文部科学省には、必ず学校健康教育課 に来ていただいていたのですが、学校健康教育課の担当が話を承ったということと、実 際に学校現場へも伝わるということは別だと思います。これはたまたま指標でしたけれ ども、実際に事業の展開や運営にあたっては、また学校健康教育課などとよく相談をす るようにして進めていきたいと思います。 ○阿藤部会長代理  はい。よろしくお願いします。それでは、他にございますか。この件はよろしいでし ょうか。  それでは、先ほど大日向委員から時間が残れば、最初の議題であります総合施設の問 題について、もう少し質問、議論をしたいということで、続けた方がよろしいですか。 それでは意見、発言をどうぞ。 ○大日向委員  ありがとうございます。総合施設に関しては、この部会でも以前議論しましたし、そ の後、合同検討会でも、その議論の結果などをご報告いただいておりまして、私も関心 を持っていたのですが、「認定こども園」という形で、それに関して法律案要綱が検討さ れているとのことですが、これに関して2点ほど伺いたいのですが、この法律案要綱と 「認定こども園」のことは、どこで議論をしていらしたのかということが1点です。  それからもう1点は「認定こども園」の利用料に関して、施設が自由に決めると書い てありますが、この点に関して一番危惧いたしますのは、保育に競争原理がサービスと いう方面から入ってきて、子どもの発達保障がどこまで保たれるのかということを、ず っとこの保育の部会では議論があったと思うのですが、今後この点に関して、利用料の 自由化、あるいは直接契約を進められていくときに、子どもの発達保障、保育の必要を どこで誰がどのように監督なさっていくのか、どういう考えでおられるのかということ をお聞かせいただければと思います。 ○白石審議官  先ほども少し説明の中で紹介いたしましたが、本年度、30数カ所におきまして、実際 にモデル事業をやっています。モデル事業をやっている中で、どういう方向がよいのか という議論を検討会でさせていただいておりました。まもなく結論が出ますが、途中の 中間報告なども踏まえて、私どもで法案を文部科学省ともども作成をしている次第でご ざいます。  それから料金ですが、自由化というと少し語弊がありますけども、料金自体どのよう なものにしなければならないかは、一定の認定の中で基準に沿ったものになる方向です。 例えば、競争原理のみで、料金が定まることはありませんし、要項の中でも説明をしま したけれども、例えば、母子家庭、あるいは児童虐待の防止のために特別な支援をする 過程等々についての優先的な配慮もありますし、当然、所得に応じた実際に徴収する授 業料としていただく保育料に関しても、所得に応じた配慮がなされる形で料金が設定さ れることとなります。 ○阿藤部会長代理  大日向委員、よろしいですか。 ○小笠原委員  最後ですので、法案の事については、私どもは素人でありまして、行政にもあまり詳 しくない者でございますが、保護者という立場と運営する立場から申し上げたいと思い ます。  まず、0〜2歳までの給食提供につきましては、白石審議官がおっしゃいましたように、 給食室は必要であるということにはありがたく思います。その他の年齢の子どもについ ては食事を温める機能など、ある程度の衛生基準を用いたもので施設を作るということ もよくわかりました。私は、モデル施設の評価結果のときにも何度か申し上げましたが、 外部搬入が悪いとか、よいではなくて、給食は3歳未満児に至っても3歳でも4歳でも 1日に必要な栄養摂取量、「子どもに適切な栄養給与の目標」を100としますと、保育園 では50%の摂取を行っています。午前中や午後のおやつは単純にお菓子といった甘味を 与えるだけではなくて、3時のおやつは、私たち認可保育園では厚生労働省の指導によ って、「サンドイッチ」や「蒸しパン」、「ふかし芋」など、子どもたちにはお昼の栄養の 捕食をする形で提供しております。総合施設も6時、7時ごろまでお預かりするという ことは事実ですから、発達を保障するというところの監督・監視がこの法案では何か見 えないような気がしてならないわけでございます。  失礼なことを何回も申し上げているのですが、質の規制という考えに、一般国民は今 の規制緩和の流れからは、 考えが偏重的で、すべての規制緩和の受け入れを喜ばしいよ うに思っております。耐震強度偽装事件などを映像で見ますと、まさにこれは施工業者 の倫理感でありまして、規制は倫理であるということが保育の中ではたらきませんと、 発達保障など、誰が発達基準を保障するのかということであります。  例えば、「認定こども園」では「10人程度の保育に欠ける子ども」が入れるようです が、待機児童の多い地域では裏口など規定外入園が横行するのではないかと危惧するの です。定員枠を超えての入所を禁ずる指導があるにもかかわらず、認可保育所で時折こ のようなことが摘発されているところがあるわけです。子どもに対しての職員配置の確 認や、どこに質の保障のための確認の機能があるのか、でございます。  もう一つは、保育料の問題が出ましたが、保育料が保育所の自由裁量によって決めら れることですが、確かに法案の文面から推測しますと公序良俗に反する保育料設定のと きには行政が変更を命じることができるとあります。でも、保育所で決めることになる と、各市町村間における保育料のばらつきがあってもいいと思うのですが、同じ地域の 中で保育所とのバランス感覚が失われますと、市場原理主義のようなものが発生して、 待機児童が多い少ないにかかわらず、料金が安ければいい、安易に決めればいいという 形になってくることが、大変怖いわけでございます。  もう一つは、子育て支援ですが、網野委員が少しおっしゃいましたし、吉田委員もお っしゃいましたが、私が保育現場で確認していることは、0、1、2歳児の保育に欠ける 子どもについては確かに必要ですから、総合施設で受け入れていくということは大事な ことだと確認しております。  今日のご返答で少し驚きましたのが、私は、総合施設で「0〜2歳の子どもには教育が 存在しない」と確認を得ているものと自覚しておりました。すなわち、0、1、2歳の子 どもたちが総合施設であっても、資料2ページの「認定こども園の機能」ですが0歳か ら就学児のすべての児童を受け入れるとなりますと、「0歳から2歳児までの教育は存在 しない」との幼稚園の定義に反するのではないかと思うわけです。  保育園については当然、親の未就業や、保育に欠ける子どもについては、ここの部類 には入れないということになります。つまり、保育に欠けない0、1、2歳児をお預けに なっても運営費補助は出ませんよ、という解釈になります。しかし、保育に欠けない0、 1、2歳の子どもは、「子育て支援事業」のみで進めていけばいいのですが、これがいき なり0、1、2歳児の「保育に欠けない」全部の子どもたちの保育がここまで伸びてしま うのではないかと思うのです。  すでに2歳児の英語の教育などが出ております。モデル評価事業でも、2歳児からの 教育をしたらいいのではないかという話まで出ておりますが、0歳から2歳までの保育 教育には具体的にどのような区分けがあるのかないのかをお尋ねしたいと思います。  それから、直接利用契約としての将来を見据えた網野委員のご発言は、まさに保育所 の近い将来について直接利用契約を見込んだ形であると思います。なぜならば、総合施 設の運営費の使途については、当然、全額公費ですから使途制限があるわけです。こう いうところがミックスになって、どのように変わるのかが国民に知らされませんと、い たずらに誤解を招くことになるのではないかと危惧しております。以上でございます。 ○阿藤部会長代理  どうもありがとうございました。白石審議官。 ○白石審議官  規制緩和がすべて是であることではないというご意見、そのとおりだと思っておりま すし、「認定こども園」自体も財政措置という観点から、保育所の認可を受けた上でのも のが原則でございますので、保育園としての機能については相変わらず保育園の認可を 受けたものについては引き続き行われる。従いまして、例えば、監査や最低基準がどう なるかというのは保育所である部分については、相変わらず変わらないわけです。先ほ ど、少し例外的な部分だけ申し上げたので、少し誤解を受けたかもしれません。食事に 関しましても、0〜2歳につきましては、おっしゃる通りでございまして、3〜5歳児もス ペックでなくてよいとご説明申し上げましたけれども、あくまでも、原則的なものをき ちんとした上で、食べるものというのは単に食事をするだけにとどまらず、食育という 言葉がありますように、いろいろなバランスの取れた食事や、それこそ「いただきます」 というあいさつから始まる部分、いろいろなものを含めての食事でございます。  直接契約ではありますが、運営費を入れている保育所の部分、3ページで言えば水色 の部分でございますけれども、これに関しては、今まで通り使途の制限はありますので、 そこは運営上、遺漏なきようにしたいと考えております。 ○小笠原委員  もう一つ、私は保育園という立場で申し上げているのですが、幼稚園であった場合に はどのようになるのかと大変危惧しているわけです。幼稚園機能拡大型で、質が総合施 設として同じような感覚になるのかが心配でございます。 ○白石審議官  先ほどのご説明の中にありましたように、3ページの図で言えば幼稚園である部分は あくまでも黄色のところでして、預かり保育のようなことをやればということで、保育 所機能という意味で言うと0〜2歳ということはここにはない。3〜5歳児の部分で預か り保育のようなものを幼稚園でもやっております。そのことで、いわゆる0〜2歳のとこ ろに関しては、幼保連携型までいく場合でなければ、なかなか手が出せないのだろうと 思いますし、また出そうと思っても食事の部分などができないと思いますので、そこま でやりたい場合は幼保連携型で両方の認可を取っていただく事が前提になると考えてお ります。 ○阿藤部会長代理  はい、どうぞ。 ○遠藤委員  はい、先ほどのお話に続けてですが、例えば食育という観点から言いますと、子ども にもちろん適正な食事を出すということは、今までの保育園の中に入っていたかと思う のです。しかし、私どもが少し期待したのは、例えば、お母さんたちが妊娠して子ども が産まれてからもコンビニのご飯を食べ続けています。実は、きちんと作れば時間は掛 からないし、お金もそんなに掛からないということがなかなか一人一人の母親がわかっ ていないというのか、わからないで育ってきてしまっています。子どもはかわいいし、 子どものために作ってあげたいという気持ちはあるのです。そういうところを幼保一元 の子育て機能というのは、例えば、栄養士さんが食事を一緒に作って食べることや、子 どもを遊ばせることが今までの保育士の仕事でしたが、その遊びということを親に教え て一緒に機能していくと場と私はとらえていたのですが、それは間違えではございませ んでしょうか。そういうことが盛り込まれていると考えてよろしいでしょうか。 ○白石審議官  そういうことを必ずやらなければならないというと、少し誤解がありますけれども、 そういうことも一つの良い子育て支援の例だと思います。幼稚園の方にはあまりよくな い話かもしれませんので、例にするのはあれなのですけれども、例えば、母親が愛情を もってお弁当を作っている幼稚園であっても、やり方によっては好きなものだけをお弁 当に入れる。ある幼保を共通でやっている所がせっかくだからというので、卵焼きの中 にひじきを入れたところ、幼稚園の子どもたちが全員残してしまったと。つまり、卵焼 きは甘くておいしい大好きなものなのだけれども、そこにひじきを入れるということが 行われないことが多い。それ自体がいいのかどうかあれなのですけれども、ところが保 育園の食事は単に栄養のバランスや好き嫌いだけではなくて、いろいろな食材を用いる、 日本食のものや、あるいは地産地消みたいなことを含めていろいろなことが行われる。 そこに保育園の食事の良さがあるし、体調やアレルギーの事を考えれば、一人一人に対 応した調理機能は、家庭の台所と同じようなものが保育所にはあることが望ましいが、 全部が全部、外販を駄目かというと、3歳児以上であるならば、ある程度の配慮をする ことによって、弾力的なことをすることは可能だけれども、モデル事業をやった検討の 中でも、幼稚園をやっている方からも、やはり低年齢児についてはきちんと施設が対応 した方がいいというのが共通の理解になっておりました。  またその一方で、園児ではない方に対する地域の子育て支援の中においても単に預か るという最低限必要なこと以外に、健康の相談や育児の悩みなど、一番イメージしてお りますのが、育児の悩みの相談に乗ることが、どこの認定施設においても、いの一番に 取り上げられることだろうなと思います。今、ご指摘いただきましたような子ども向け の良い調理の仕方や、いろいろなことも必ずやメニューには入ってくるだろうと考えて おります。 ○阿藤部会長代理  まだご意見があるかと思いますけれども、時間が少し短いですけれどもいいでしょう か。 ○服部委員  働く職員の専門性について、どこかで触れておられるのかということを伺いしたいの です。つまり幼稚園は幼児教育の専門家として、幼稚園教諭という長い歴史を持って教 育を考えてきた、保育は保育士という職業があって、これを保育所が幼稚園機能のすき 間を担う時に、先ほど渡辺委員がおっしゃいましたような0〜2歳児を幼稚園の場合は入 れないということがあるのかもしれません。両方の職員を最低どれくらい入れるかとい う議論が確かあったと思うのですが、その辺りに何も触れられていないのでしょうか。 必ず幼稚園教諭が何人いる、保育園をする場合は保育士がいるというような職員の専門 性のことを少しお伺いさせてください。 ○白石審議官  職員の資格について説明は割愛してしまいまして、申し訳ございません。  文部科学大臣と厚生労働大臣がともに示す基準という記載がございますが、その基準 の中には職員の配置や資格について記載するつもりです。そのモデル事業を実施した検 討会におきます議論としては、「職員資格は両方を併有することが望ましい」となってお ります。現実に、今8割の職員の方が両方の資格を併有していますので、その部分につ いては私どももあまり悲観的なものは持っておりません。ただし、残りの2割の方のこ ともありますので、片方だけの資格の人を排除することはしないということにしていま すが、基本は併有ということで臨もうと思っています。それは、両大臣が示す基準の中 で記載することと考えています。今のところ議論はそのような方向になっています。 ○小笠原委員  子どもを預かるものとして、最後のお願いになりますが、給食のことです。モデル評 価に行きましたことですが、給食の外部搬入が悪いとか良いとかではなくて、幼稚園が 業者へ全部丸投げで、給食の計画もなければ実際の試食もない、プラン・ドゥ・チェッ ク・アクションというものが全くないままでした。「コストだけを計算して提供される」 としか映らないのです。どうしても天ぷら物、油物、揚げ物が大変多くなるということ を、職員の方が言われました。  誰がチェックし、どのような機関でどう発達チェックを保障していく機能がないと、 子どもらの将来に影響が出るのではないかと、またそれは大変恐ろしいことではないか と思うのです。  調理室がなくても、どうやって午後のおやつの捕食を提供しているのか、というチェ ック機能だけはガイドライン等でしっかりと求めていただくことが肝要だと感じていま す。これだけは申し上げたいと思います。 ○白石審議官  そのようなものとして検討会でもご議論いただいておりますので当然それを踏まえた 形で基準をつくる考えです。 ○阿藤部会長代理  さまざまなご意見があるかと思いますが、時間が参りましたので、この議論はこれで 一応、打ち切らせていただきます。最後に、次回以降の予定を事務局からお願いします。 ○香取総務課長  ありがとうございました。次回以降の日程ですが、今日、議論がありましたが、法案 の審議に入るのは国会の日程とも関係がありますけれども、恐らく年度が明けてからと いうことになると思います。今日の議論で、大変、関心のあった部分がありますので、 国会の審議等の日程を見て、改めて調整をさせていただき、開催したいと思っています。 よろしくお願いします。 ○阿藤部会長代理  それでは、これを持ちまして本日の部会を閉会させていただきます。どうもありがと うございました。 (照会先) 雇用均等・児童家庭局総務課 企画法令係 03−5253−1111(内線7825)