06/02/23 薬事食品衛生審議会医薬品第一部会 平成18年2月23日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年2月23日(木) 14:00〜   厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(9名)五十音順    青 柳 伸 男、 井 上 和 秀、 岩 崎   学、 田 島 知 行、    谷川原 祐 介、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、 長谷川 紘 司、    村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理       欠席委員(5名)    堺   秀 人、 首 藤 紘 一、 長 尾   拓、  早 川   浩 樋 口 輝 彦 3.行政機関出席者   川 原   章(審査管理課長)、 山 田 雅 信(安全使用推進室長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催 いたします。本日はお忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。当部 会委員数14名のうち9名の先生方の御出席を頂いておりますので、定足数に達しており ますことを御報告申し上げます。なお、黒川審議官は少し遅れて出席させていただく予 定ですので御了承ください。以後の進行は永井先生にお願いいたします。 ○永井部会長 それでは事務局から、配付資料の確認及び資料作成に関与された委員の 報告をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、座席表、メンバー表 をお配りしております。議事次第の資料1から資料9まではあらかじめお送りした資料 です。本日、資料10として審議品目の薬事分科会における取扱いの表、資料11として 専門委員のリストを配付しております。  関与委員の件ですが、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づきます資料作成 に関係された委員の確認です。審議事項の議題1のニューロタン錠について堺委員が関 与されておりますが、堺委員は本日御欠席です。以上でございます。 ○永井部会長 本日の審議事項5議題、報告事項4議題となっております。早速、議題 1について機構から審査の概要を説明してください。 ○機構 議題1、資料1、ニューロタン錠25、同50について審査を担当いたしました 医薬品医療機器総合機構から説明させていただきます。本剤の有効成分は、アンジオテ ンシンIIタイプ1受容体拮抗薬であるロサルタンカリウムで、申請者は萬有製薬株式会 社です。本剤は、平成10年7月に高血圧症を効能・効果として承認されております。今 般、28の国又は地域の250施設で実施され、合計1,513症例を組み入れた大規模国際共 同治験であるRENAAL試験の成績に基づき、蛋白尿を伴う2型糖尿病患者に対する腎保護 の効能・効果を追加する医薬品製造承認事項一部変更承認申請が行われたものです。海 外においては、RENAAL試験の成績に基づき、平成18年1月現在で58の国又は地域で、 細かい対象患者の制限等には相異がありますが、2型糖尿病患者の糖尿病性腎症に対す る効能・効果で承認されております。本邦では、類似の効能・効果としては、アンジオ テンシン変換酵素阻害剤の塩酸イミダプリルについて、1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症 が承認されております。  本品目の審査の概要について御説明いたします。RENAAL試験全体では、主要評価項目 である血清クレアチニン値倍増、末期腎不全又は死亡からなる主複合エンドポイントの 発現率が、本剤群で43.5%、プラセボ群で47.1%と、本剤投与によりその発現リスクが 有意に減少いたしました。しかしながら、RENAAL試験では低〜正常血圧の被験者がほと んど組み入れられず、また、除外基準で軽度の尿蛋白あるいは微量アルブミン尿を伴う 糖尿病患者については除外されておりましたので、本剤の対象患者については、血圧及 び尿蛋白による一定の制限が必要と判断しております。  RENAAL試験では、組み入れられた日本人患者は本剤群で44例、プラセボ群で52例と 少なかったこと、国別サブグループ解析において、主要評価項目について日本人のサブ グループでは有意な有効性が認められておらず、地域別のサブグループ解析においても、 アジア以外では統計学的に有意な有効性が示されていない等の問題がありましたが、試 験全体及びアジア地域における有効性及び安全性は示されており、日本人のサブグルー プにおける本剤の有効性及び安全性に関する成績は、試験全体の成績と大きな矛盾のな いものでありましたことから、日本人においても本剤の2型糖尿病における糖尿病性腎 症に対する一定の臨床的有用性は確認できたものと判断いたしました。  また、用法・用量は既承認の高血圧症の用法・用量の範囲内であり、安全性データは 多く集積されており、RENAAL試験の安全性に関する成績から、追加することが必要と考 えられました低血圧関連の有害事象に関する注意喚起、血清カリウム値、血清クレアチ ニン値及び赤血球系検査値のモニタリングに関する注意喚起、及び併用薬に関する注意 喚起等が適切になされれば、安全性に関する重大な懸念は認められないものと判断して おります。  以上のことから機構は、本剤の日本人における用法・用量の妥当性及び本剤の長期投 与における有効性・安全性を市販後に確認する必要はあるものの、高血圧及び蛋白尿(尿 中アルブミン/クレアチニン比300mg/g以上)を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症に 対する有効性については確認できたと判断し、効能・効果は高血圧及び蛋白尿を伴う2 型糖尿病における糖尿病性腎症とした上で、本申請を承認して差し支えないと判断いた しました。  本申請は、効能・効果の追加に係る製造承認事項一部変更承認申請であることから、 本剤の再審査期間は4年と判断しております。また本剤については、本邦において平成 10年の高血圧症の承認以降、高血圧に伴う糖尿病性腎症患者を含めて多くの使用実態が あり、今回申請された効能が追加された場合に市販直後調査を行う必要性は高くなく、 調査対象外とすることを考えております。薬事分科会においては報告を予定しておりま す。以上御審議のほどをよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 御質問、御討論をお願いいたします。既に高血圧の適応になっている薬 ですので、今回の適応拡大がどういう位置付けになるのかについて御説明いただけます でしょうか。 ○機構 高血圧症の適応があるということで、今回、高血圧及び尿蛋白を伴うと規定さ れておりますので、一見してこれまで高血圧症として使われていた患者さんについて、 特に何の変わりもないようにも思えますが、糖尿病性腎症の患者においては、一般の高 血圧症で推奨される140/90mmHgという介入ポイントよりも低い血圧への厳密な管理が 要求されておりますので、これらの患者さんについて適切に使用されるということもあ ります。それから今回RENAAL試験の結果から、新たに糖尿病性腎症患者における注意喚 起についての情報が得られましたので、これを適切に情報提供することで、今使われて いる患者さんについても若干位置付けが変わってくるものと考えております。 ○永井部会長 RENAAL試験の問題点としては、日本人の症例数が少ないということが指 摘されております。しかし、アジア人全体で見ると、ある程度の有効性があったと判断 してよろしいということでしょうか。 ○岩崎委員 専門委員だったのでよく知っているのですけれども、RENAAL試験について は論文で公表されていて、当該領域の先生方は見ておられると思うのですが、余り詳し く見ておられないような気もして、RENAAL試験で有効性が示されたのでという形で割と 期待されている人もいると思うのです。ところが見れば分かりますように、アジアでの 成績は良かったのですけれども、欧米、特に米国ではほとんど差がないということで、 このRENAAL試験そのものの解釈は多少問題があるかと思います。  もう一つは先ほどありましたように、日本での症例数は少ないわけですので、過度の 期待を余り持たないように、市販後にきちんと情報を集めていただきたいと思います。 ○永井部会長 よろしければこのまま進めさせていただきたいと思います。それでは分 科会に報告させていただきます。ありがとうございました。  それでは、議題2のヒューマトロープの輸入承認事項について、機構から説明をお願 いいたします。 ○機構 議題2、資料2、医薬品ヒューマトロープC6mgほかの輸入承認事項一部変更 承認の可否などについて、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。本剤は、 内因性ヒト成長ホルモンでありますソマトロピン(遺伝子組換え)を有効成分として含有 する注射剤です。日本イーライリリー株式会社が、1985年から下垂体性小人症を対象と して本邦での臨床開発を開始し、審査報告書3ページに記載されております、下線部以 外の効能・効果につきまして既に承認を取得しております。成長ホルモン(GH)は、小 児期のみならず、成人期においても継続して分泌されているホルモンでして、蛋白質、 糖質、脂質、骨の代謝などを制限し、体組成の維持など、代謝調節に関連するホルモン であることが知られております。  本申請は、重症成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)患者に対するGHの補充療法 に係る効能・効果を追加する一部変更承認申請です。なお、平成11年3月にGH製剤に よるAGHDに対する治療について、日本内分泌学会より要望書が提出されております。 AGHDの効能・効果について、1995年にオランダで承認されたのを始めとして、米国、 英国、ドイツを含む62か国で承認されております。本品目の専門協議では、本日の配付 資料11にお示ししますような方々が専門委員として指名されております。  本剤の品質、薬理、薬物動態及び毒性については、既承認申請時に評価されており、 新たな資料は提出されておりませんので、臨床試験成績について述べさせていただきま す。まず有効性についてですが、重症と分類されるAGHD患者65例を対象とした国内 第III相臨床試験において、本剤0.021mg/kg/週を開始用量として4週間、その後8週間 は0.042mg/kg/週、最後の12週間は0.084mg/kg/週まで漸増し、通算24週間皮下投与し たとき、主要評価項目である投与後24週における除脂肪体重(LBM)変化率は、本剤群 4.7%、プラセボ群−0.5%であり、プラセボに対する優越性が検証されました。LBM の増加について、それ自体の臨床的意義は明確ではありませんが、本剤におけるGH補 充療法として、AGHD患者の病態を全体的に改善の方向へ向かわせる底上げ的な治療 と考え、臨床的意義のあるものと判断しました。  安全性に関してですが、本剤が成長因子であることから脳腫瘍の発現リスクを上昇さ せるおそれもありますが、現時点でリスクを上昇させている兆候は海外の市販後の調査 からも認められておらず、その他の有害事象については特に臨床的に問題となるものは 見られませんでした。なお、脳腫瘍の既往のある患者に本剤を投与する場合には、定期 的に画像診断を実施し、脳腫瘍の発現や、再発の有無を注意深く観察するなど、添付文 書において注意喚起しております。市販後において、長期投与に係る調査を実施するこ ととされており、脳腫瘍の再発、発現のほか、臨床的有効性のさらなる確認として体組 成、脂質代謝などの心血管疾患の危険因子の変化などについて評価する予定となってお ります。なお、本調査は欧米を中心に実施中の約8,000例規模の国際調査に参画する方 向で検討中とのことです。  効能・効果について、重症のAGHDに該当する患者に限定し、本剤の適応を承認す べきであると判断しており、本剤の適応患者が明確になるように、厚生労働省難治性疾 患克服研究事業間脳下垂体機能障害調査研究班の「成人成長ホルモン分泌不全症の診断 の手引き」に準じ、重症AGHDと診断する際のGH分泌刺激試験の種類やGH頂値の カットオフ値などについて、添付文書の「効能・効果に関連する使用上の注意」の項に 記載して注意喚起しております。また、本疾患の治療に際しては、適切に診断がなされ た患者に対し、注意深く用量調整を行いながら投与される必要があることから、添付文 書の重要な基本的注意の項において、内分泌専門医若しくはその指導の下に適正に使用 するよう注意喚起しております。  以上のとおり、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、本剤の投与対象を重症の成 人成長ホルモン分泌不全症患者に限定した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬 品第一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。なお、本申請効能に係る再審 査期間は4年と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議の ほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 御質問、御討論をお願いいたします。 ○村勢委員 私は専門委員としてかかわっておりましたので、そのときの状況も含めて 御説明いたしますと、幾つか問題点を議論しました。一つにはGHの位置付け、それか ら適応の基準について、生理作用として、あるいは有効性の目安となるようなメルクマ ールがはっきりしないこともあり、適応の基準と何をもって投与量のモニターをするか という辺りが問題とされました。本剤はGHでありまして、基本的には補充療法に当た るということで、そういう位置付けでよろしいのではないかということ。  それから、適応の基準としては内分泌学会での診断の基準にのっとって、重症と判断 されるもの、判定されるものを適応とするということで大体コンセンサスは得られまし た。検査のモニターとしては、IGF-Iを測定することによってモニターするというこ とで、専門委員の間ではコンセンサスが得られておりましたことを付け加えておきます。 ○永井部会長 診断はそれほど難しくないのでしょうか。 ○村勢委員 インスリンとかアルギニンなど、幾つか刺激試験でありますので、幾つか の基準があると思いますけれども、それを使って診断するということで、診断基準にの っとって診断すればそれほど難しいことではない。専門医が診断するならば問題はない と思います。 ○岩崎委員 基本的にLBMはサロゲートエンドポイントだと思うのですけれども、市 販後等で真のエンドポイントはきちんと見ていくことになるのでしょうか。 ○機構 市販後についてですけれども、国内で4年間調査することとされております。 海外では10年間を予定しております。そちらでは副次ではありますけれども、真のエン ドポイントと考えられます心血管疾患の危険因子について確認をしていくということ で、本邦でもそちらに参画していく方向で検討しているということでございます。 ○永井部会長 安易に使用しないことが大事だと思いますが、これは内分泌専門医が治 療を行うことが規定されております。長期的な効果と副作用のモニターで、心血管系で も末端肥大症の方はよく心不全を起こしてきますので、そういう点についてはまだ十分 検討されていないと思いますので、市販後調査の中でしっかり見ていただくことになる かと思います。よろしければ分科会報告とさせていただきます。ありがとうございまし た。  続きまして議題3、ベシケア錠の製造承認の可否について、機構から説明をお願いい たします。 ○機構 資料3、医薬品ベシケア末、ベシケア錠2.5mg、同5mgについて、医薬品医療 機器総合機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるコハク酸ソリフェナシンは、 山之内製薬株式会社(現 アステラス製薬株式会社)により開発されたムスカリン受容体 拮抗薬です。  本剤は過活動膀胱を対象に、1日1回投与の錠剤として開発されました。過活動膀胱 は尿意切迫感を必須とし、通常は頻尿及び夜間頻尿を伴い、切迫性尿失禁を伴うことも ある状態と定義されている症状症候群です。従来、本領域の疾患の診断には尿流動態検 査等の専門的な検査が必要でしたが、過活動膀胱という疾患概念により、自覚症状に基 づいて診断がなされるようになりました。  本薬は、海外では平成17年12月現在、欧米を中心に33か国で承認されています。本 品目の審査に関しまして、専門委員として資料11に記載されております委員が指名され ました。  次に、機構における審査の概略を御説明いたします。品質、毒性、薬理及び薬物動態 については、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に問題はないと判 断いたしました。臨床試験について、国内で実施された第III相試験は過活動膀胱患者を 対象とし、主要評価項目とした観察期から最終評価来院時の24時間当たりの平均排尿回 数変化量の成績について、プラセボに対する本薬1日1回5mg投与及び10mg投与の優 越性並びに対照薬である塩酸プロピベリン1日1回20mg投与に対する本薬1日1回5 mg投与及び10mg投与の非劣性が示され、本薬の有効性は示されたと判断いたしました。  本薬の安全性プロファイルは塩酸プロピベリンと大きく異なるものではなく、本薬1 日1回5mg投与の安全性は塩酸プロピベリンに劣るものではないと考えますが、第III相 試験において、本薬1日1回10mg投与は塩酸プロピベリンと比較して有害事象発現率が 高く、抗ムスカリン作用と考えられる有害事象は用量依存的に出現しておりましたこと から、10mg投与は慎重にされるべきであると判断しております。肝機能障害患者及び腎 機能障害患者では本薬の血中濃度が上昇するため、その重症度に応じた適切な開始用量 を選択した上で投与する必要があり、同様に高齢者においても開始用量を1日1回5mg とし、慎重に増量されるよう適切な注意喚起を行う必要があると判断いたしました。  なお、過活動膀胱は自覚症状に基づく症状症候群であることから、類似の症状を示す 疾患の除外診断が重要であること、過活動膀胱の症状を明確に認識できない認知症、認 知機能障害患者は本薬の投与対象とはならないことなどの注意喚起が必要と判断し、添 付文書における記載を整備しております。また、製造販売後には本薬の認知機能への影 響や、肝機能障害患者及び腎機能障害患者並びに高齢者における安全性及び有効性等を 重点調査項目として調査を行う予定としております。  以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬 品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。原体は毒薬 に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、再審査期間は6年、薬事分科会 へは報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは御質問、御討論をお願いいたします。以前にも似たような薬が 出ていたかと思いますけれども、それとの違いは何かありますか。 ○機構 基本的には適応症は同じで、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性 尿失禁となっております。1月部会で御審議いただきましたデトルシトールについては、 製剤学的に工夫して徐放性製剤としておりましたが、本剤については本薬自体の半減期 が約40時間と長いこともあり、特に製剤学的に工夫せずに1日1回投与となっておりま す。 ○井上委員 これはM3のスペシフィックなブロッカーということで、副作用が減るの ではないかと期待されたのですけれども、それほどではなかったですね。その点はいい のですけれども、過活動膀胱という概念がきちんと認められたのは2002年です。そうな ったおかげで、きちんとしたエビデンスというか、測定値をベースにした処方ではなく て、これまではそうだったのですけれども、これからは患者さんの主観が第一になって 処方されるわけです。機構の方もきちんと説明されていましたけれども、当該領域の臨 床分野で過活動膀胱の認識はきちんと把握されているのでしょうか。現状はどうなって いるでしょうか。 ○機構 審査報告にも書きましたが、既に学会からガイドラインが出ておりますので、 専門家の間ではかなり認識されていると理解しております。本剤は、広く使われる可能 性のある薬剤ですので、先般のものもそうですが、添付文書では鑑別診断の問題等につ いてはかなり入念に記載整備をしております。 ○永井部会長 確かに御懸念のとおりで、例えば前立腺肥大、あるいはがんの方で非常 に頻尿になる、少し失禁もされるような場合だと、ちょっと似たような状態になり得る と思うのです。かなりしっかりした診断基準を示しておかないといけないのではないか と思います。ただ、泌尿器の専門医が診ればこれは難しい疾患概念ではないということ なのですね。 ○新薬審査第二部長 今御指摘のあったことについては、1.8の添付文書(案)の17ペー ジを見ていただくと分かりやすいかと思います。1.8の17ページの効能・効果に関連す る使用上の注意等において十分な問診とか、前立腺肥大症を合併している場合等につい て注意喚起をしております。効能・効果に関連する使用上の注意以外のところでも、添 付文書の各項目において注意喚起をするようにしております。 ○永井部会長 添付文書の設定理由の10ページには、前立腺肥大を合併している患者も 存在するのだと。だからといって、前立腺肥大のある方に使ってはいけないということ でもなくて、使わざるを得ない場合もあるということを認めているわけです。低用量か ら始めるとか、慎重な投与が必要であるということで、そういったことも添付文書には 十分記載してあるように思います。 ○岩崎委員 用量の選択なのですけれども、通常は5mgで、いろいろな場合には2.5mg からとなっていると思います。2.5mgよりも5mgの方がいいというエビデンスがそう明 確ではないと思ったのですが、そういうことはないですか。少なくとも第III相では5mg しかやっていないですね。 ○新薬審査第二部長 基本は5mgです。2.5mgは減量した場合ということになっており ますので、用法・用量本体としては通常は5mgということで、適宜増減ということでそ の範疇が2.5mgということです。用法・用量に関連する使用上の注意で、肝機能や腎機 能が障害した場合、薬物動態から2.5mgという用量が出てくるという整理です。ですか ら、市販後には2.5mg投与に関する情報も取るということは一つのポイントになってお ります。 ○岩崎委員 今、言ったようなことがない普通の人は5mgであって、2.5mgだとちょっ と効果が薄いというエビデンスなのですか。 ○新薬審査第二部長 基本的に通常用量は5mgという成績になっております。 ○谷川原委員 説明がなかったので、相互作用のことで伺います。この薬剤、主たる代 謝酵素がCYP3A4ということでしたが、ヒトにおいて相互作用試験はケトコナゾールの併 用試験だけなのですか。ほかはないのでしょうか。 ○機構 ケトコナゾールとの相互作用以外には経口避妊薬、それからワルファリンとの 相互作用、あとはジゴキシンとの薬物相互作用試験も実施されております。 ○谷川原委員 CYP3A4が関連するので、ケトコナゾールが一番影響が大きいので、仮に 2.8倍になっても安全性には問題ないのでしょうか。その質問の意図は、ケトコナゾー ルの内服は国内にはないのですけれども、同じようにイトラコナゾールや、同じCYP3A4 の阻害作用がある薬剤があります。  もう一つ概要の中で、薬物の濃度が上がると抗コリン作用の副作用とかQT延長の頻 度が上がるというデータがありました。ですから、高用量・高濃度になったら、抗コリ ンの副作用とかQT延長が出るみたいです。いわゆる目いっぱい相互作用を起こして、 2.8倍になっても、なおかつまだ余り問題にない安全域にあるのかをお伺いします。 ○機構 相互作用については添付文書に、例えばアゾール系の抗真菌剤、あるいは抗コ リン薬等の併用については減量するなどの注意喚起を行っております。増量した場合の 安全性ですが、10mgを超えるというか、用量を増量すると、例えば抗コリンに係る有害 事象が用量依存的に増加してくることがあります。本剤のように抗コリン作用を有する 薬剤で大きな問題となる一つとしてQTの延長ということもあると思います。本剤につ いてQTの延長は、10mgではほとんど影響はないのですが、30mgでも特段臨床上大きな 影響は出ておりません。資料の2.7の61ページに、QTcの試験結果が出ていますが、 10mgではほとんど影響はなく、30mgでもそれほど大きな影響ではないというデータも示 されております。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしければ承認を可ということで、分科会 報告にさせていただきます。  議題4はフエロンの製造承認事項一部変更承認の可否についてです。機構から説明を お願いいたします。 ○機構 議題4、資料4、医薬品フエロンの製造承認事項の一部変更承認の可否及び再 審査期間の指定について、機構より御説明申し上げます。本申請は、C型肝炎ウイルス セログループ1かつ高ウイルス量患者を除くC型代償性肝硬変患者におけるウイルス血 症の改善を目的とした新効能・新用量医薬品の申請です。  フエロンは、ヒト正常二倍体線維芽細胞由来の天然型インターフェロンベータ製剤で あり、本邦においては1985年4月に皮膚悪性黒色腫及び膠芽腫を始め、これまで髄芽腫、 星細胞腫、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎について承認を取得しております。C型肝硬変 はC型肝炎ウイルスの感染により引き起こされる慢性肝疾患です。C型慢性肝炎から徐 々に線維化が進行し、20年から30年を経てC型肝硬変へと進展し、肝細胞がんを発症 するとされております。  C型肝炎ウイルスはその遺伝系により、Genotype1〜6に分類されておりますが、本 邦及び米国ではGenotype1がその全体のおよそ70〜75%を占めております。残りの大半 は、本邦ではGenotype2、米国ではGenotype2及び3が占めております。  米国及び欧州では、代償性肝硬変を含むC型慢性肝炎患者に対してインターフェロン 製剤によるウイルス血症の治療が承認されておりますが、本邦においてはこれまで肝硬 変患者は病態の重篤性からC型慢性肝炎患者と区別してインターフェロン製剤の適用除 外とされてきました。  本申請は、C型代償性肝硬変のうち、難治性であるセログループ1かつ高ウイルス量 を除いた患者におけるウイルス血症の改善に係る効能追加の申請です。なお、本剤は平 成18年1月現在、国内のみで開発承認されており、海外では承認されておりません。本 品目の専門協議では、本日の配付資料11に示すような先生方に専門委員として審議して いただいております。  フエロンにおいては臨床に関する資料のみが提出されておりますので、以下臨床試験 成績について述べさせていただきます。II相試験及びIII相試験がそれぞれ1試験、合計 2試験が評価資料として提出されております。まず有効性については、日本人の低ウイ ルス量、あるいはセログループ1以外のC型代償性肝硬変患者を対象に、本剤の投与回 数における有効性及び安全性を検討する目的で、多施設共同無作為化非盲検並行群間比 較試験が実施され、主要評価項目の一つである投与終了後6か月目の陰性化率は、42回 投与群で14.6%、84回投与群で28.9%、126回投与群で38.8%でして、84回投与群及 び126回投与群で、95%信頼区間の下限値が事前に設定した15%を上回りました。もう 一つの主要評価項目である陰性化率の用量反応性については、投与回数を説明変数とし たロジスティック回帰モデルにおいて、オッズ比1.882ということで、本剤の投与回数 が増えることにより、投与終了後6か月目の陰性化率は有意な増加を認めております。  安全性に関しては、III相試験において有害事象は全例において認められておりますが、 C型慢性肝炎に認められる有害事象と比べて、特に新たなものは認められておりません。 C型慢性肝炎患者に比べて、高齢で合併症を多く認め、臨床検査値の血小板数、白血球 数、血中アルブミンが低値の患者集団であることから、血小板数減少、好中球減少、血 中アルブミン減少がC型代償性肝硬変患者で多く見られる傾向がありました。このため 添付文書の使用上の注意において、重要な基本的注意として、頻回な検査を実施するこ とを記載し、市販後も本注意事項の周知徹底を図ることといたしました。  効能・効果については、第III相試験で有効性が確認されたHCVセログループ1の血 中RNA量が高い場合を除くC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善が適当であ ると判断いたします。  用法・用量に関しては、第III相試験におけるセログループ1以外かつ高ウイルス量患 者における投与終了後6か月目のウイルス陰性化率が18.8%と、低ウイルス量患者に比 べて低かったこと、また患者の安全性確保のための減量基準の整備が不十分であったこ とから、安全性への懸念があり、用量が低めに設定されている可能性が残されていると 考えられており、至適用量が十分に探索されていない可能性があるものの、対象患者全 体としては投与終了後6か月目の陰性化率は38.8%と評価し得る値であったことから、 第III相試験の用法・用量を基調に用法・用量を設定してあります。なお、市販後に用量 のさらなる探索を行うことを予定しております。  以上のとおり、機構での審査の結果、HCVセログループ1の血中RNA量が高い場 合を除く、C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に関して承認して差し支えな いと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当であると判断いたしました。なお、 再審査期間は4年と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審 議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは御討議をお願いいたします。これまで肝硬変は適応でなかった わけですけれども、今回は少し拡大したということです。最終的には肝がんの発現抑制 がエンドポイントだと思うのですが、今そこまでのデータはないけれども、検査所見で は改善が見られるということでしょうか。 ○機構 追加して御説明させていただきます。御指摘のように、肝がんの発生について は真のエンドポイントとして、現在III相試験の継続試験という形でインフォームド・コ ンセントの取れた患者さんを対象に、継続して5年間肝がんの発生率を追っている試験 の継続中です。先週の□月□日現在のデータでは、全体で投与終了時から平均□年の追 加調査が完了しておりまして、あと□年ほどですべての肝がんの追跡調査は完了します。 いずれにしても、その後の治療等については影響がありますので、これで完全に把握で きるということではないですけれども、少なくともIII相試験のウイルスの陰性化率とい うところでは38.8%ということで、今までの肝硬変効能がないことを考えると、有効な 治療になり得るだろうと判断しております。 ○永井部会長 これは「フエロン」で、「フェロン」と呼んではいけないのですか。 ○機構 「フエロン」でございます。 ○永井部会長 何か間違いは起こらないでしょうか。恐らく皆さん「フェロン」と使う ようになると思うのです。英語も「Feron」になっていますが、土屋先生その点はいかが でしょうか。 ○土屋委員 それがために、名称では通常読まれる言葉と違う言葉が正式な、これだと 本当は「ェ」が小さい文字になっていますから、類似性のチェックのときに、大きい「エ」 と、小さい「ェ」の両方を判断するというようなことをやっています。現実には、「フ オイパン」も、一般には「フォイパン」と言われておりまして、その辺が名称としてい かがかと。本当は「フェロン」と言った方がいいのではないかという気がいたします。 ○永井部会長 「フェロン」という名前にした方がいいようにも思います。メーカーと も相談していただいて、これはまず「フエロン」とは読まないです。コンピューターで 「フェロン」と入力してしまうと出てこないということが起こると思います。 ○機構 恐らく「フェロン」にすると、「インターフェロン」の語感をそのまま使った 形になってしまうので、それを避けたのではないかと推測はしています。それでも、語 感である一般名である「インターフェロン」の「フェロン」の方がいいという御指摘で しょうか。 ○永井部会長 コンピューターで出ないと思います。皆さんが「フェロン」と言い出す と、「fe」と入力するわけです。これは「hue」と入力しないと出てこないです。そうい う混乱がちょっと心配なのです。 ○新薬審査第一部長 確かに御指摘はそうなのですが、この製品は1985年に収載されて もう20年ぐらい現場で使われております。確かにそういう問題はあるかと思うのです が、ここで変えるとそれによる誤用が出てくることもあります。一応現場に定着してい る現状で見守るかと考えておりまして、御理解いただきたいと思います。 ○永井部会長 現場では何とかクリアしてやっているのだろうと思います。 ○土屋委員 99%以上は「フェロン」と。ほとんど100%は言っていると思います。た だ、その辺がこの小さな文字の扱いというのはすごく困るわけで、何点かあるのです。 ○永井部会長 既に実績がある薬だということですのでよろしいでしょうか。 ○谷川原委員 位置付けを教えていただきたいのです。審査報告書にも書かれています が、C型慢性肝炎の場合はペグインターフェロン単独、もしくはプラス、リバビリンと いうのが標準治療ですね。それらの治療により、ウイルス排除を得られなかったときに こちらに来るということなのですか。それとも肝硬変の進行している場合にこの薬剤、 フエロンの方に来るのでしょうか。肝硬変というのは、基本的にペグインターフェロン は使えないということですか。 ○機構 御説明を追加させていただきます。これは効能の範囲内ということで、ペグイ ンターフェロンとリバビリンの併用といった標準的治療については薬効メカニズム的に は効くであろうと考えられます。しかし、先ほど御説明いたしましたが、日本において は肝硬変は特に重症化した患者群として切り分けて扱う歴史があります。現時点におい てC型肝硬変に関しては承認を取得した品目はありません。ですから、ペグインターフ ェロンあるいはリバビリン併用といった療法は、正式には肝炎までの効能範囲というこ とになります。  したがって、当然肝硬変についても効くであろうという薬効メカニズムについては臨 床試験、あるいは承認を取得して適応拡大という形になろうかと思います。今回の「フ エロン」に関しては無治療で肝硬変になった患者、あるいは肝炎のステージで治療を受 けてきたのだけれども、結果的にステージアップしてしまって肝硬変まで至った患者さ んも中にはいるのではないかと考えております。 ○谷川原委員 確かにセロタイプ1で、高ウイルスタイプで多くの難治性の場合はリバ ビリン併用療法になります。こちらの肝硬変で進行した方が、いわゆる弱い方の治療法 が適用になっているというのが、効能・効果の範囲内での解釈ということなのですか。 ○新薬審査第一部長 補足させていただきます。肝硬変の患者さんの場合、まずデフォ ルトで凝固因子が減っている、それから血小板も減っている。また、例えば食道静脈瘤 が形成されていることがよくあります。要するに出血のリスクが非常に高いのです。そ ういう対象患者にインターフェロンの治療を積極的にやった場合のリスクはまだ十分分 かっていないと思われます。  確かに御指摘にありましたように、ペグ化製剤とリバビリンとの併用を、肝硬変のス テージになったところまで使えないかというのはもともと課題でありました。それから、 C型肝炎自身の病態として、ここから肝硬変というふうに余りきれいに分かれていない ということが分かってきています。今のように、肝炎と肝硬変を分けておくことが本当 に意味があるかということも確かにあります。  ただし、明らかに肝硬変のステージになると、対象患者のリスクは相当高い。それか ら、リバビリンを併用している場合の問題として脳出血の話などで大分騒ぎになったこ ともありますので、そういう出血リスクを考えると、治療内容としてどれぐらいまでい けるのかというのを慎重に今見極めている状況です。恐らくリスクベネフィットのバラ ンスで、今後幾つかあるインターフェロン治療が、肝硬変のステージになっても使える ものも出てくると思います。今、そのための臨床試験をいろいろ工夫してやっていると ころですが、例えば、対象患者に注射してそこの場所からの出血が止まりにくいという こともあって、かなり苦労をしつつ慎重にやっているというのが現状です。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにないようでしたら、承認を可ということで 分科会報告にさせていただきます。議題5は、ラニビズマブの希少疾病用医薬品として の指定についてです。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料5に基づいて御説明申し上げます。希少疾病用医薬品の指定についてで す。資料5の一番上の耳の「事前評価報告書」を御覧ください。今回の品目はラニビズ マブという製品で、対象疾病が中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症という眼 の疾患です。  本剤ラニビズマブは、遺伝子組換え技術により作られた血管内皮増殖因子(VEGF) に対するヒト化抗VEGFモノクローナル抗体のFabフラグメントです。すべての長 さのヒト化抗体と比較して、網膜への浸透性が高いという特徴を有しております。オー ファンドラッグの指定の基準である対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点 に関して御説明申し上げます。  まず対象患者数です。本申請の対象疾患の患者数は、1993年時点で厚生労働省の研究 班で実施したアンケート調査があります。そちらでは、1万4,400人前後という推計が あります。また、申請者の市場規模予測結果を考慮いたしますと、その後少し増えてい る可能性がありますが、2004年時点での滲出型のAMD患者数が約3万1,000人前後と いう推計です。そのうち、今回のこの品目の対象患者というのは、中心窩に脈絡膜新生 血管(CNV)を伴う疾患を対象にしておりますので、そうしますとさらに少なくなって、 約1万9,000人前後という推定です。以上のことを考えると、指定要件である5万人以 下というのは満たすということです。  医療上の必要性については、加齢黄斑変性症(AMD)は、高齢者における失明の原因 の一つです。放置すると失明に至り自然治癒が望めないことから、病気の進行が不可逆 的、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患と判断しております。現在使用可能な医薬品等 との比較として、ベルテポルフィンという医薬品で、販売名をビスダインというもので すが、こちらが承認されております。ただ、こちらの薬はレーザー照射が必要となると いうことで、患者さんの負担が大きい状況にあります。  それから開発中の薬として、こちらもオーファン指定をさせていただいておりますが、 ペガプタニブナトリウムというものがあります。この薬は本剤と作用機序的には似てい るのですけれども、本剤の方がより広範囲の抗血管内皮増殖因子作用が予想されますの で、海外の臨床試験において視力の維持、又は改善の効果が本剤の方が示されていると いうことで、より高い有効性を示すことが期待されているということです。以上から対 象疾病の重篤性、既存の治療法と比較して有用性が期待できるということです。  3の開発の可能性は、海外で臨床試験が先行しており、今有用性が示されております。 国内でも□□年□月から臨床試験が開始されております。海外でも視力の改善効果が認 められているという試験結果が得られておりますので、開発の可能性はあると判断して おります。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えると、本剤について は希少疾病用医薬品としての要件を満たすという判断をしております。以上でございま す。御審議をよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは御質問、御討論をお願いいたします。海外での試験は加齢黄斑 変性症のみでしょうか。 ○事務局 国内と同じ対象です。 ○永井部会長 VGFとかFGFを血管新生に使おうということで、遺伝子治療なども いろいろ試みられていますが、こういう方で例えば閉塞性動脈硬化症があると、増悪さ せるのではないかという懸念も出てくるかとは思うのです。その辺についても十分注意 してということでしょうか。がんの血管新生などは抑えるのではないかということも期 待されるかもしれませんが、いろいろな作用がありますね。気をつけて使えば問題ない ようにも思います。 ○事務局 本剤については使い方が注射なのですが、硝子体内に投与するという局所の 投与です。 ○永井部会長 そういうことであれば、全身的な作用は心配要らないということですが、 よろしければ指定を可ということで進めさせていただきます。では報告事項が4件ござ います。事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは議題1、アミグランド点滴静注用及びパレセーフ点滴静注用の製造 承認について、及び議題2、ビーフリード点滴静注用の製造承認について、併せて御報 告いたします。資料6及び資料7を御覧ください。これらの品目は、末梢静脈栄養輸液 剤にビタミンB1を配合したキット製剤である医療用配合剤です。総合機構における審 査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。  続きまして議題3、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料8「医 薬品再審査確認等結果通知書」の酢酸ナファレリンを御覧ください。本品目について、 市販後の使用成績調査の成績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果薬事法第14 条第2項各号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効 能・効果、用法・用量等の承認事項については変更の必要はない「カテゴリー1」と判 定したものであります。 ○事務局 続きまして資料9、「優先審査品目指定の審査結果について」を御報告申し 上げます。優先審査の取扱いについては、資料9の2ページにその概要を示しておりま す。指定に当たっては適応疾病の重篤性と、その薬の医療上の有用性を評価して判断す るということでございます。  1ページにお戻りいただきまして、今回指定を御報告いたします品目はアリクストラ 皮下注、成分名はフォンダパリヌクスナトリウムです。申請効能は静脈血栓塞栓症の発 現リスクの高い下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の予防です。本薬は、 ヘパリンの活性部位であるペンタサッカライドを化学的に合成した抗凝固薬です。ヘパ リンとは異なりトロンビン活性そのものをほとんど阻害しないことから、ヘパリンと比 べて出血助長作用の軽減が期待されています。いわゆる低分子ヘパリンと位置付けとし ては似ているのですけれども、こちらの方は先ほど申し上げたように化学合成した抗凝 固薬であるということです。  静脈血栓塞栓症は外科手術後などに多く発症することが知られておりまして、肺血栓 塞栓症を発症した場合の死亡率が高いなど、生命に重大な影響がある重篤な疾病である という判断をしております。それから本剤については、下肢整形外科手術患者を対象と した国内での臨床試験において、深部静脈血栓症の発現リスクを有意に低下させるとい う試験成績が得られていることなどを判断し、本剤の医療上の有用性を総合的に評価を して、優先審査品目に指定することとしたということです。以上でございます。 ○永井部会長 御質問はございますでしょうか。よろしければ御確認いただいたという ことで進めさせていただきます。議題は以上ですけれども、そのほかに何かございます でしょうか。では事務局から何か連絡がありましたらお願いいたします。 ○事務局 次回の医薬品第一部会は既に御案内を差し上げておりますように、4月20 日木曜日の午後2時から開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは本日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうござ いました。   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -