06/02/23 労働政策審議会労働条件分科会 第51回議事録 第51回労働政策審議会労働条件分科会 日時 平成18年2月23日(木) 15:00〜 場所 厚生労働省17階専用第21会議室 ○西村分科会長 ただいまから、第51回労働政策審議会労働条件分科会を開催いたし ます。本日は久野委員、渡辺章委員、石塚委員、奥谷委員、平山委員が欠席されており ます。それでは、本日の議題に入ります。本日は労働契約法制の関係について御議論い ただきたいと思います。労働契約法制の関係につきましては、労働関係の実態をどのよ うに認識しているのか、また、その認識に立って労働契約法制を必要と考えるのか否か ということを中心に御議論いただいておりますが、先に委員より資料の追加等について 御指摘もされたところです。御指摘があった事項について事務局で資料を準備していた だいておりますので、その説明をお願いするとともに、前回、1月19日「有期労働契約 等」についてその資料を説明していただきましたが、日が経っておりますので、この点 につきましても、もう一度簡単に説明をお願いいたします。 ○大西監督課長 お手元の資料No.1ですが、これは前回1月19日に提出して御説明だけ で終わってしまいましたので、繰り返しにはなりますが、簡単にもう一度御説明させて いただきます。1頁は統計で、我が国の雇用者数に占めるパート、アルバイト、契約社 員、嘱託等の比率が増加傾向にあって、平成17年においては、正規の職員・従業員では ない者の数が32.2%になっているというものです。  2頁の最初のグラフですが、有期契約労働者も増加傾向にありまして、平成16年のこ の調査結果では13.9%となっております。労働者の数はその2段目の表にありますよう に、746万人ということです。  3頁のグラフですが、上のグラフが使用者に対して有期契約労働者を雇用する理由を 聞いたものです。有期パートタイマー、臨時に雇っている方、契約社員、その他有期の 方ということで分けて書いてありますが、「人件費節約のため」が棒グラフで67.6%と、 有期のパートタイマーではこういう理由が多い。ただ、臨時雇では42.5%に下がってい るとか、形態ごとに多少違っております。例えば、臨時に雇われている方では「臨時・ 季節的業務量の変化への対応」が57.8%と棒グラフが長くなっております。  また、一方で、有期のパートタイマーでは「一日、週の仕事の繁閑に対応する」が 41.1%ということで棒グラフが伸びておりますし、契約社員では「専門的な能力の活用」 とか「経験等を有する高齢者の活用」の棒グラフが伸びております。  一方で、有期契約労働者が期間を定めて就業している理由が3頁の下のグラフですが、 これにつきましては「期間中は雇用が保障されるから」が28.4%で、「現在従事してい る仕事は有期契約が一般的だから」が28.3%と、こういうところが多くなっております。  4頁の上の棒グラフですが、有期契約労働者が就業している理由ということで、これ は平成11年の少し古い別の調査ですが、こちらでは「勤務場所の都合がよかった」の 39.7%が多くなっています。また、これは別の調査で4頁の下の欄ですが、パートを雇 用する理由ということで、使用者がパート労働者を雇用している理由を聞いてみると 「人件費が割安だから」の66.5%がいちばん多かったということです。  5頁の上の段は、この4頁と同じ調査ですが、逆に、パートの方にパートを選択した 理由を聞くと「自分の都合のよい時間に働きたい」が42.7%、「勤務時間・日数が短い」 が42.4%というところが多くなっています。5頁の下のグラフですが、有期契約労働者 の平均契約期間は13.3か月で、平均契約更新回数は4.9回、通算勤続年数は5.7年とい う結果が出ています。  6頁ですが、真ん中のグラフは有期契約労働者の契約更新回数です。全体の平均が4.9 回で、それぞれの類型ごとに分けて書いてあります。長時間のパートタイマーが8.8回、 短時間のパートタイマーが6.8回。逆に、嘱託社員が2.5回というばらつきがあります。 下の段は通算勤続年数で、同じように形態ごとに分けて書いてあります。こちらは嘱託 社員が7.5年と長くなっているという結果になっております。  7頁ですが、契約期間を書面で有期契約労働者に通知している事業所は、契約社員に ついては95.5%と多くなって、嘱託が93.3%、短時間パートタイマーが88.9%、長時 間パートタイマーが87.6%ということで、いずれも比較的多いのではないかと考えます。 7頁の下の段ですが、現在の契約終了後のことを聞いています。「引き続き有期労働契約 で働きたい」が50.1%、「正社員として働きたい」が19.8%ということで、こういうと ころが多くなっているということです。  8頁の上の段ですが、「会社は契約を更新するつもりだと思う」が87.0%で、そうい う方が多いと言えるのではないかと思います。8頁の真ん中の段はその有期契約労働者 の仕事の行い方です。全体の棒グラフがあるのですが、左の26.9%が正社員の指示に従 って仕事を行う、真ん中の濃い網掛けの41.4%が正社員の指示と自主的な判断の両方が ある、右側の30.6%が本人の裁量でやっているというものです。下の段は役職です。左 側の61.5%が役職に就いていない方です。真ん中の8.2%が部課長あるいは部課長代理 クラスで、そういう役職の方も一部いらっしゃるという結果が出てきています。  9頁ですが、上の段は賃金です。契約社員では正社員の8割ぐらいの事業所が多く、 嘱託、短時間のパートタイマー、長時間のパートタイマーは正社員の6割から8割とい う事業所が多くなっております。下の段はパートタイム労働者と一般労働者の賃金格差 のグラフですが、これは経年でとったものですが、近年は女性の場合は65.7%、65.7% と続いている。男性は50%という感じになっています。  10頁ですが、その働き方について不満・不安を感じることがあるかどうかということ です。感じるのが48.6%、感じないというのが49.7%です。そこにある棒グラフは、そ の感じることがある48.6%の方に対して「何を感じていますか」と聞いたのですが、上 のほうから「昇進・昇給がない」「賃金が低い」「退職金がない」「賞与がない」「契 約が更新されるかわからない」「正社員になれない」「正社員と比べて処遇差が大きい」 という順番で不満があるという感じになっております。  次は、有期労働契約の契約期間の上限延長に伴う労使間のトラブルについて監督署等 に相談いただいた方の件数ですが、全体で74件です。その中では期間の定めのない労働 契約を締結している労働者について使用者が有期労働契約への契約変更を申し入れたこ とによるトラブル例が57件ありました。  11頁の下ですが、今度は少し話が変わりまして、正社員、正規従業員を採用するに当 たり、その能力等を判断するため有期労働契約を締結している事業場をアンケートした ところ、全体の26.8%であったということが出ております。50人未満だと28.4%で、 1,000人以上だと19.7%という結果が出ております。  12頁から後になりますが、個別労働紛争での雇止めと言われているものの相談件数が 5,242件、あっせんを249件受理したという結果です。具体的な例は13頁から16頁に わたっております。簡単に御説明しますと、13頁の上の段は、就業規則には65歳まで の再雇用が規定されていて、他に62歳以上の労働者も多くいるにもかかわらず、自分の みが1年契約で更新されないのは納得がいかないということで、4年分の賃金相当額の 補償金の支払いを求めたものです。これに対して会社側は、当該労働者について指導を しても業務の改善が見込めないから退職してもらうことにして、本人も引継ぎをしてい るのだから合意をしていたと思っていた、という議論になったケースです。  真ん中の段は、1年契約を更新して3年勤務していた方が契約満了時に雇用を終了す るということで通告された。労働者の方は営業成績も良く、残業もやってきて雇止めに なることは納得がいかないということで復職または補償金の支払いを求めたものです。 会社は、理由がなくても期間満了で終了と会社が決定したのだから更新はないと言って 頑張ったというケースです。  下の段は、勤続4年になる労働者が、会社側から1年契約の契約期間の満了による雇 止めの通知を受けた。会社は期間満了だと言っているのですが、労働者は期間満了では なくて解雇ではないかと言っているものです。これは、話を聞くと、労働者の方は雇入 れ通知を年度ごとに交付されていた。初年度はサインをしたのだけれども、翌年度以降 は年度が始まった後に渡されてサインもしていないと言っている。会社は、1年契約の パートタイマーなのだから1年経ったら終わりですよ、という具合に議論をしたという ことです。  14頁から16頁は判例ですが、14頁のものは東芝柳町工場事件です。これは、結論だ けで恐縮ですが、「本件各労働契約は、当事者双方ともいずれかから格別の意思表示が なければ当然更新されるべき労働契約を締結する意思であったものと解するのが相当で あり、したがって、期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と 実質的に異ならない状態で存在していたもの」と本件の場合は言えるだろうということ で「本件各雇止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたのであ るから、実質において解雇の意思表示にあたる」という原判決を適当と認め、「そうで ある以上、解雇に関する法理を類推する」という最高裁の判決が出ております。  15頁は、昭和61年の日立メディコ事件です。こちらは期間2か月の労働契約を5回 更新した労働者について、会社は不況に伴う業務上の都合を理由に契約の更新を拒絶し たということで、結論として「雇止めを有効とした原判決を認容した」という事例です。  次は、試行雇用契約に関するあっせんの事例です。これは「当該契約期間満了の5日 前に、会社側から翌月以降の雇用継続はできない旨を通告された」というものです。労 働者側は入社後も長期間の継続雇用を希望していることを主張していて、会社側として はあくまでも契約期間は2か月の有期労働契約であるということが議論になったもので す。これは、最初のところで入社直後に2か月間は試用期間であると告げられ、また、 就労開始後約1か月を経過した時点で、就労開始日から2か月の有期労働契約であると する内容の契約書に署名、押印を求められてそれに応じたという経緯があって紛争にな ったものです。  16頁の裁判例は平成2年の神戸弘陵学園事件のものです。結論だけで恐縮ですが、 「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合におい て、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、 右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立して いるなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試 用期間であると解するのが相当である」という判決です。以上が資料No.1でございます。  資料No.1の参考資料1は募集・採用から解雇・退職までのものを編綴したものですの で、議論の参照にしていただければありがたいと思います。資料No.1の参考資料2は 「参照条文等」です。これは前回と同じですので省略いたします。資料No.1の参考資料 3は「諸外国の有期労働契約に係る法制度の概要」ということで、ドイツ、フランス、 イギリス、アメリカの4か国について概要をまとめているものです。こちらも簡単に御 説明いたします。  最初に、ドイツについて有期労働契約の利用の制限ということで、有期労働契約の期 間の定めは、客観的な理由により正当化される場合に許容されている。客観的な理由に よらない有期労働契約については、2年間までは客観的な理由が存在しない有期労働契 約を締結することができる。2年間の期間内であれば契約の更新は3回まで可能である ということで、こういうことが述べられております。3番目は書面性の要件ということ で、有効な期間設定は書面によらなければならない。無効な期間の定めの効果について は、期間の定めが無効である場合、有期労働契約は期間の定めなく締結されるものとし て取り扱われる。有期労働契約の終了ですが、これについてはいろいろと細かく具体的 な例に沿って書かれております。6番では、平等取扱原則ということで、有期契約労働 者は、労働契約に期間の定めがあることを理由に、期間の定めなく雇用された比較可能 な労働者に比して不利益な取扱いを受けてはならない。ただし、客観的な理由により異 なる取扱いが正当化される場合はその限りではないということが定められております。 7番では、使用者の情報提供義務が定められているということで、使用者は有期契約労 働者に対して、補充される期間の定めのない労働ポストに関する情報を提供しなければ ならないということが定められております。  フランスです。有期労働契約の利用の制限です。フランスでは、期間の定めのない契 約を締結することが労働契約締結の原則とされている。有期労働契約は、いかなる理由 であっても、企業の通常かつ恒常的な活動に関わる職務に継続的に人材を供給すること を目的としてはならず、また、そのような効果をもたらしてはならないということも併 せて定められております。有期労働契約の期間及び更新等の制限ですが、原則として最 長18か月が定められています。書面性の要件としては、書面によって締結され、その利 用目的を明確に定めたものでなければならないとされております。有期労働契約の終了 につきましては、有期労働契約は、期間満了により当然に終了する、などのことが書か れております。平等取扱原則につきましては、明示の立法規定がある場合及び労働契約 の解消に関する規定を除いて、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に適用 される立法及び労働契約の規定並びに慣行から生じる規定は、有期契約労働者にも適用 されるという具合にされております。6番では、有期労働契約の利用に関する報告等に ついて一定の義務付けがなされております。違法な有期労働契約の効果としましては、 上記の大きな1〜3の法規制に違反した場合には期間の定めのない契約が締結されたも のとみなされる、ということがなされております。  イギリスですが、有期雇用契約の反復更新の制限ということで、期間についての制限 はない。ただし、有期雇用契約をはじめて締結したときから4年を経過した後に当該契 約が更新された場合、また、新たに有期雇用契約が再締結された場合には、客観的な理 由に基づいて正当化される場合を除き、新たな契約における期間の定めは無効となり、 当該被用者は期間の定めのない被用者となるとされています。有期雇用契約の終了につ きましては、不公正解雇との関係では、有期雇用契約の期間満了による雇止めは解雇と して取り扱われる。したがって、雇止めは公正でなければならないとされております。 平等取扱いの原則につきましては、客観的な理由に基づいて正当化できない場合、有期 契約被用者に対して、有期雇用契約であることを理由として、比較対象可能な同等の地 位にある常用被用者と比較して不利益な取扱いをしてはならないとされております。ア メリカですが、連邦法においてこういったことを禁止する規定は設けられていないとい うことです。  最後の資料の参考資料4です。今回初めてお出しする資料はここからなのですが、1 月17日、前々回に、正規従業員を解雇する際、労働組合や従業員代表の間で協議を行っ たかという話があって、その協議を行った場合と協議を行っていない場合に仕分けした 上でどういう手続を行ったかということを示してほしいという御指摘がありました。こ れを分けて調べましたところ、下の表の右の列と左の列で、何らかの協議を行っている 企業と、特に協議をしなかった企業で、解雇理由を明示したとか解雇日の明示、あるい は退職金その他のことを聞いたのですが、解雇理由の明示は96.0%対85.9%で両方とも 多いのですが、何らかの協議を行った企業のほうがより多かった。ほかの所もポイント はそんなに大幅には変わっていないのですが、何らかの協議を行っている企業が全体的 に多くなっているという感じでした。また、解雇にあたってどの程度手続を踏んだかと いうことで、ひとつもやっていない所があるのですかという話なのですが、これは、ど れがというところまでは分析できていないのですが、1つもやっていないのが左端の箱 で4.1%、右側はどれかをやったということで、1つやった、2つやった、3つやった という具合になっていますが、そういう集計をさせていただきました。  3頁は、正規従業員を解雇する場合に、労働組合等との協議の有無と、個別の労働者 との紛争の有無との関係はどうなっているのかというものです。これは再集計した結果、 紛争があったというのは、労働組合と協議した場合は9.8%、労使協議機関で協議をし た場合は0.2%、従業員代表を選んでもらい協議した場合は19.4%、特に協議しなかっ た場合は10.6%ということで、こういう結果が出ています。  4頁ですが、解雇無効判決を得た労働者の復職状況を解雇事由別に分けるとどうなる かということです。ただ、これは母数が少ないので気をつけなければいけないのですが、 整理解雇の場合、復職してそのまま勤務を継続している33.3%というのは3件のうち1 件ということですが、そういう結果になっています。懲戒解雇だと50%で10件のうち 5件です。普通解雇は50%で14件のうち7件になっています。全体だと51件のうちの 41.2%で22〜23件ということです。解決金の支払状況ですが、これも全体が28件しか ないのですが、懲戒解雇の場合は5件のうちの8割、普通解雇の場合は6件のうち3分 の2という感じで、その他は理由がわからないところで、解決金があったという具合に なっています。  5頁は正社員になれないことを不満に思っている有期契約労働者の属性ですが、これ はあまりうまくクロスがとれなかったので、統計的にはこれはクロスとは言わないのだ と思うのですが、参考になるという程度でお出ししたのですが、不満がある者を男女別 で分けると、不満があると答えた方の男女の比率は女性が73.3%です。ただ、母数は女 性が55.3%なので、不満を持っている女性のほうが多少多いと言えるかもしれないとい うことでお出ししました。就業形態別で見ると、どういう方が不満を持っているのかと いうものを見ると、契約社員の方が51.7%で増えているとか、長時間のパートタイマー が24.3%いるとか、こういう方に不満であると手を挙げた方が多いということです。年 齢階層別に見ると、比較的母数に比べると不満のある方は若い方のほうに寄っていると いう結果が出ています。6頁の下の有期契約での勤続年数別の表では多少凸凹がありま すが、どこの年数でも不満は大体あるという結果ではないかと思います。以上、簡単で はございますが、資料の御説明をいたしました。 ○西村分科会長 前回は時間の都合で議論をしていただかなかった有期労働契約等の資 料について御意見等をお伺いしたいと思います。 ○田島委員 1頁の正規の職員・従業員数のところの非正規といいますか、雇用形態の 多様化が進んでいることに対して、いま、国会の場でも2極化などが随分議論されてい ます。この非正規といいますか、あるいは非典型と言われる部分がこの10年間急激に増 えてきているという問題は、労働者の働き方にとって極めて重要問題だろうと思うので す。厚生労働省ではこれについてどのように分析しているのか。例えばここにはトータ ルしか出ていないのですが、男女比で見れば女性の場合には5割を超えているというこ とが一般的に言われています。では男が少ないのかといえば、平均値では16%ぐらいで すが、年齢別で見ると25歳未満の男性だと4割を超えているというデータもあるわけで す。そうすると、いまの矛盾そのものが女性や若者に集中しているのではないか。これ そのものが今回の問題に影響を及ぼしているという意味合いで、男女の問題とか年齢別 のデータも必要ではないか。  もう一点、参考資料3でドイツ、フランス、イギリス、アメリカが出されましたが、 この10年間で、グローバリゼーションとか何とか言われた形で非典型化が進んでいるの ですが、ドイツなりフランスなど有期について一定の入口の規制なり均等処遇をしてい る国では、データとしてどうなっているのかということも参考資料として示していただ きたい。これから対策をとるのに極めて重要だろうと思うのですが、その点についてお 伺いしたいと思います。 ○大西監督課長 委員御指摘の部分で、私どもとしても分析を進めている部分と、少し 資料を補充していかなければいけない部分もあります。その有期の問題をいろいろ御議 論していただく上で、私どもとしてはそういうデータを集めて御提示させていただきた いと考えております。 ○今田委員 御紹介いただいた参考資料4の5頁の上の表なのですが、これは有期雇用 の男性、女性の中で正社員になれないことを不満に思っている人の比率を出せば、より クリアになるのではないでしょうか。これは有期雇用者の不満のある人の男性と女性の 比率で、不満のある人の中の男女の比率を出していますよね。そうではなく、有期雇用 者の中の不満に思っているということについて、男性と女性と別々に出して比率を出せ ば、男性の場合より女性のほうが有期雇用者の中で正社員になれないことを不満に思っ ている傾向が強いとか、男性のほうが強いとか、そこがはっきりするのではないでしょ うか。 ○秋山調査官 取れるかどうかも含めてもう一度見てみたいと思います。 ○田島委員 不満に思っている人とは別にこれは松井審議官が中心になって一昨年まと めた「仕事と生活の調和に関する検討会議」でも、有期問題についてデータを出しなが ら熱心に御議論されているのですが、そこに「平成15年就業形態の多様化に関する総合 実態調査」で正社員に変わりたいかということを、非正社員に聞いたものに対して、変 わりたいと回答した労働者の割合は、契約社員が92%、派遣労働者が88%、パートタイ マーは85.9%というデータがあります。そういう意味では、本人の意思に反してパート とか有期とかの選択をせざるを得ない労働者の中で正社員になりたいけれどもなれない というデータもあると思うのです。単に不満だけではなくて、自分自身の本意でないと いうところがいちばん問題だろうと思うのです。  経営者団体の方も、雇用の多様化ということをよく言われるけれども、その多様化の 選択権が本当に労働者にあるのかないのかというのがこの問題でいちばん重要だろうと 思うし、労働者本人に選択肢がなくて結果的には有期しかない、あるいはパートしかな いということだと、これからの働き方としていかがかと思うのです。そういう意味では、 前回の仕事と生活の調和に関する検討会で示された資料はなかなかいいデータがそろっ ているので、是非、関係のあるものは出していただければと思います。 ○今田委員 いまのデータは、パートの人、非正規の人が一般的に正規に変わりたいで すかというデータで、それは確かにそれぐらい高い比率です。もう一方の別の調査で、 いま有期やパートで働いている人がその職場で正規に変わりたいですかと言ったら、か なり比率が落ちるというデータがあるのです。そのことでかなりの情報量があるので、 両方のデータを出していただければと思います。 ○西村分科会長 関係があるのは資料No.1の7頁の6番ですか、有期契約労働者の現在 の契約期間満了後の希望としては、引き続き有期労働契約で働きたいとする者が50.1% である。正社員として働きたい者が19.8%という、このように低い数値を示すものもあ るのですね。いまおっしゃったものは随分高いですよね。 ○田島委員 ただ、その分析結果をまた議論しなければいけないと思うのです。いまは 正規の労働者が、例えば賃金不払残業が摘発されるような形で長時間労働化しているの ではないかという問題も併せた形で議論していかないと、正社員への意向が低いからい いのだということにはならないと思うのです。 ○長谷川委員 この7頁の6は読み方によるとわからない数字に思えます。例えば、現 在の契約を更新して引き続き有期労働契約で働きたいのが50.1%、半分の人は引き続き 働きたいと思っているのですね。では、正社員として働きたいと思っているかと聞くと 19.8%ということで、引き続き契約は更新してほしいのが半分ぐらいということはそこ で働きたいということなのだけれども、正社員として働きたくないというのがあるのは 何なのか、ここはもう少し知りたいところですよね。  もう一方で、「また」以下で会社が契約を更新するつもりだと思っている人が87.0% いるわけです。だから、もう少し細かい調査がないと分析ができないという気がします。 きっと87.0%はこのまま反復更新をしてくれると思っている、働きたいと思っているの も50.1%いる。一方では正社員として働きたくないということだから、よほど正社員に 魅力がないということを逆に突き付けられているという気もする。だから、ここの分析 はもう少し必要ではないかと思います。なぜ正社員は嫌なのかというと、おそらく、有 期の人は残業などはさせないのだと思うのです。「あなたは8時半から5時半でいいです よ」とか、あとは所定が1日7時間ということが考えられます。多くの場合、パートと 有期契約はくっ付いているし、絶対にあの残業はやりたくないというのは特に女性では 多かったりするので、この辺は理由が知りたいと思います。  ヨーロッパの有期に対する法制度の概要を見せていただき、ドイツとフランスとイギ リスの話がここに出ているのですが、ヨーロッパは有期に対して有期労働契約の利用の 制限とか原則が書かれています。そういう意味では、我が国の労働基準法の14条とは少 し違うような感じもするのです。ヨーロッパは有期に対して利用の制限をしたり、原則 は期間の定めのない雇用とするのは、どういう理由なのかお聞かせ願いたいと思います。 ○荒木委員 ヨーロッパ諸国では解雇について正当事由が必要だという制限立法をして おります。それに対して、有期契約の場合には期間満了で終了するのはイギリスを除い て解雇ではないと考えておりますので、有期契約の満了による雇用関係終了は解雇制限 法の規制を受けないことになります。したがって、片方で雇用を保障する、正当事由が なければ解雇できないと言いながら、有期契約を規制しないということになると、折角 定めた解雇制限の実効性がなくなるという考え方から、ヨーロッパでは、有期契約につ いてもやむを得ない事由とか臨時的な必要に対応するため、期間を定めて雇用する必要 があるという客観的な事由がある場合に限って利用を認めよう、とする考え方が生じて きたということだと思います。  ただ、それに対する問題点もありまして、その結果、雇うとすれば正規で雇いなさい という大まかなポリシーなのです。そうしますと、ヨーロッパは、オイルショックの後、 失業が高まりましたが、正社員で雇うと、次に解雇も法律で非常に厳しい制限がされて いるということで、結果として非常に高い失業率になってきて、外部労働市場が非常に 硬直的ではないかという批判が生じてきまして、ドイツなどでは有期契約の制限を緩和 する方向で法改正がなされてきております。フランスでも、一時、ミッテラン政権のと きに緩和の方向に行ったのですが、その後、また制限を強化する方向に移ったりという、 政治状況に応じて少し動きがあるということではないかと思っております。 ○西村分科会長 関連してなのですが、解雇制限立法との関連で有期契約が制限されて きたということですか。昔は、期間雇用も、期間の定めもないものも、基本的にはどち らも自由であったということですか。民法上はそうですね。 ○荒木委員 そうです。もともと、解雇制限法などはそれほど古いものではなくて、ド イツでも最初にできたのが1950年代ですから、それ以前のところになると全く自由な世 界でありまして、有期であろうが無期であろうが、自由に結んでよろしい。しかし、社 会福祉国家の理念の下でその解雇を制限しようということになってくると、それに呼応 して有期契約というものも制限しないと問題ではないかと。そういう考え方から有期契 約の制限という考え方が出てきたのだと思います。 ○田島委員 それで現在ではEU指令という形があると思うのですが、労働関係の有期 問題について今はどうなっているのですか。 ○秋山調査官 たまたま、個人的に一昨年までEUの日本政府代表部におりました関係 もありまして、知っている範囲で御説明させていただきたいと思います。労働分野に関 しましては、EUでも指令がかなりできています。ただ、有期契約の分野に関しては、 どちらかというとドイツ、フランスはEUの指令ができる前から法律ができていた。E Uの指令に関しましては、1999年にヨーロッパレベルで労働組合と使用者団体が協約を 結びました。その協約の中で、有期契約労働者についても無期契約の人と比べて均等待 遇をしなければいけないということとか、加盟国で濫用防止措置を講じなければいけな いという内容の協約が結ばれました。そのヨーロッパレベルの、組合と使用者団体の協 約をそのままEUの理事会、つまり大臣の会合で承認して、EUの指令として法的効果 が与えられているということです。そのEU指令で有期契約についての均等待遇ができ たのを受けて、イギリスでは法律もさらに整備したという話をしておりますが、経緯的 にはドイツ、フランスについてはEU指令の前からそういう立法があったと承知してお ります。 ○山下委員 別の質問ですが、この資料にもありますとおり、日本における有期契約労 働者については契約期間等、いわゆる雇用の条件の内容について書面もしくは口頭等で かなり頻繁な、要は有期なので1年に1回とか、そういう形で契約内容が必ずレビュー されて、それを承認した上で更新するというプロセスがとられているかと思うのです。 そういう意味において、労働条件の内容が労使ともに非常に明確な労働者の集団だと思 うのですが、このグループの人たちにおけるいろいろな解雇の部分を含めての紛争の数 もしくは伸び率と、必ずしもそのようなプロセスを頻繁にはとっていない正社員のグル ープの紛争の数もしくは伸び率を比較したような資料をいただければ、ある意味で、そ ういうコミュニケーションの頻度とか、契約条件の内容がいかに伝わっているかという ことが、紛争の数と何か関連があるかどうかということが見られるのではないかと思う のですが、いかがでしょうか。 ○大西監督課長 御指摘の点は比較できるかどうか、少し検討させていただいて、また お示しさせていただきたいと思います。ただ、先ほど御紹介しましたように、13頁の3 番目の事例で、私どもとしてはこれは有期の議論であるということで分類しているので すが、1年の契約の書類が、途中から来たり来なかったりしたのはどっちに分類される かとか、そういう話もあろうかと思いますので、少し勉強させていただきたいと思いま す。 ○秋山調査官 手元にある限りで御説明させていただきますと、手元には第46回の分科 会で一部提出させていただいたものしかないのですが、都道府県労働局でやっている個 別労働紛争の相談の事業があります。平成16年では全体で年間大体16万件ぐらいあり ます。これが平成13年度から毎年増えているわけですが、その受け付けた相談件数の中 で、いわゆる正社員から寄せられた相談が、いちばん最初の平成13年度においては、半 年間でしたが、56.7%でした。それが直近の平成16年度におきましては正社員からの相 談が52.1%ということで、若干落ちている。残りの半分近くの人はパート・アルバイト とか派遣の方、期間契約社員の方、その他、不明の方もいるのです。今日の資料にも付 けておりますが、世の中全体で非正規の方が増えている関係もありますので、比率とし て非正規労働者の数に比べて紛争の割合が増えているかというところはまだ分析できて おりませんが、とりあえず手元にある資料ではそのようになっています。 ○岩出委員 12頁の雇止めに関する相談件数や助言に関連して確認したいのですが、労 基法の14条2項ができて雇止めの基準が設定されました。それに基づいて3項で指導が なされていると思うのです。最近、少し気になっているのですが、企業の規定例を見て いると、雇止め基準で本来求められている更新の有無とか、更新しない場合の基準とか、 前にあったものが消えてしまったりしているのです。なぜかと思うと、一つには育児・ 介護休業法で期間雇用の適用が拡大されたではないですか。そのときの要素として、こ れは厚労省のホームページに出ているのですが、書面または口頭で、例えば契約を更新 する場合があるというものでも、更新可能性の明示だと言っているので育児・介護休業 法の適用を受けてしまう。そういうものを回避しようと思って条文を外してしまったの かな、というのが気になっているのです。私はそういう印象を持っているのですが、そ ういう相談事例とか指導事例はないでしょうか。調べた調査などがあればお聞きしたい のです。 ○秋山調査官 特段手元にはありませんので、何かあるかどうか探してみたいと思いま す。 ○長谷川委員 岩出委員の話はこれから起きてくるのではないですか。 ○岩出委員 すでに起きているような気がするのです。 ○長谷川委員 有期契約労働者が育児休業を取得できる場合の要件は複雑で、その心配 はありますね。 ○西村分科会長 単純に、この12頁では、平成16年ですが、雇止めに関する相談件数 が5,242件、助言・指導が179件、雇止めに関するあっせんが249件です。これとの対 比では、解雇に関する受理件数と比べていかがなのですか。 ○大西監督課長 件数だけで恐縮ですが、分厚い資料の79頁に解雇に関する民事上の個 別労働紛争の相談件数がありまして、5,242に対応する数字がこの49,031ということで す。そうすると、平成15年と平成16年を単純にこれで見るだけでは、解雇の相談件数 47,177から49,031ということで、伸び率で言うと4%です。こちらが4,270から5,242 ということで、多少、伸び率は雇止めのほうが多いような感じです。あと、あっせんの 件数が81頁にあります。平成15年度が2,471件、平成16年度が2,519件で、解雇に関 するあっせんの申請受理件数ということです。これは単純に比べると雇止めの申請に対 応するところが213から249ということで、率で言うと雇止めのほうが少し伸びている ということです。ただ、解雇でも、よく見ると普通解雇は1,867から2,050でこちらも 少し伸びていて、これと比べると大体同じぐらいなのかなと。分析ではなくて数字だけ ですが、このような関係になっております。 ○西村分科会長 単純な数字だけだと解雇に関するものが圧倒的に多いですね。 ○山下委員 伸び率はそんなにないということですね。 ○小山委員 有期労働契約についてはさまざまな調査があり、調査対象なり調査条件が さまざまなので、よくわからないのですが、例えば私どもの所は製造業なのですが、製 造業の現場でいちばん増えているのは業務請負による偽装派遣の労働者が増えているわ けです。その人たちも有期労働契約の労働者の場合が多いと思うのですが、こういう調 査はそういう人たちも対象にされて調査しているのでしょうか。  もう一つは、派遣法に基づく派遣労働者も有期契約の一つの形態だと思うのですが、 そういう人たちもこの調査の対象になっているのでしょうか。それぞれによって違うの でしょうけれども、わかったら教えていただきたいと思います。 ○秋山調査官 例えば、平成17年のUFJ総研の調査ですが、事業所に配付しまして、 その事業所で有期契約の方について答えてくれということですので、例えば偽装請負と か、そういうものがどれだけ入っているのか調査元ではわからないということです。 ○小山委員 5頁の調査等を見ると、有期労働契約といってもかなり勤続年数が長いと か更新回数も多いという実態が明らかにされているのですが、もともと、有期契約は何 のために必要かということをどう理解したらいいかなのですが、その前の頁等の調査で 見ると人件費の節約のためが非常に多いのです。仕事そのものに有期でなければならな い理由がきちんとあって有期契約をしているのか。そういう有期契約という名目で雇う と賃金を安くできるから有期労働契約にしているのか。そこのところの峻別がこれらの 調査からよくわからないのですが、その辺についてはどのように理解したらよろしいで しょうか。 ○西村分科会長 使用者側の委員の方、いかがですか。 ○渡邊委員 私どもも製造業ですが、普通、製造業はすごく波がありますよね。ですか ら、ある程度のコアのところは正社員でやっていて、波のところは、私どもだと大体3 か月先ぐらいから何か月までが忙しいということがわかりますので、そういう所は有期 の派遣なりパートを増やす形でやっているのが実情です。安いからではなくて、その波 のところの上のところを有期の方にやってもらっているのがうちの現状です。 ○山下委員 私の会社も同じです。基本的には、恒常的にある仕事は正社員、季節要因 もしくはプロジェクトベースで何かの仕事が短期的に発生しそうだというところについ ては、補充を有期の労働力で補うことを原則にやっております。 ○小山委員 本当にそういう意味で一定の期間必要な仕事があって、そこに人を採用す るということで有期契約をするのはよくわかるのですが、そのわりには、このデータに 出てくる実態は必ずしもそれを反映していないのではないか。むしろ、何回も契約更新 をする。これも1年契約だったらいいのですが、最近は3か月で契約更新という例が非 常に増えているわけです。そういう実態からいって、短期の必要性ではなくて賃金を安 くできる、あるいは雇止めという名目をとれば事実上の解雇がいつでもできるというよ うに悪用されているのではないかと推測されるのですが、そのように考えてよろしいで しょうか。 ○谷川委員 私どもでもいろいろな仕事がありまして、おそらく、労働の対価のあり方 をどのようにすべきかということで、どの企業でもそうだろうと思いますが、職務を中 心にある評価をして労働対価を決めていこうという流れになっているのだと思うのです。 そういう中で、長期雇用をするのは長期的に育成をし、技術修得をしていくようなもの に特定していきたい、ということは一つの流れとしてあるのだろうと思うのです。その ほかに、非常に技術的に短期に修得ができて、なおかつ期間を特定することができるよ うな仕事の内容は外部に委託するか、あるいは短期間の有期契約で対応していきたいと いうことだと思うのです。結果として仕事の質によって賃金が決まっているということ で、当社の中の実態を見ていると必ずしも有期だから安いということではないですね。 ○新田委員 3頁のグラフでは、「人件費節約のため」というのが群を抜いている。も ちろん、いまのお話のように季節あるいは臨時ということで57.8%というのもあるわけ ですが、人件費節約のためにということで雇用しているとか、パートを雇用する理由が 人件費が割安だからというのは、どんな業種なのですか。製造業でもそんなことはない というお話をされていますが、どんなところに集中しているのですか。業種とか、ある いは、先ほど話があったけれども、女性とか年齢とかもあると思うのですが、どんなと ころでしょう。 ○秋山調査官 それは手元の資料にありませんので、あるかどうか見てみたいと思いま す。 ○新田委員 もう一つ、労働相談とか、全般的にいろいろな所で聞いてみても、こうし た非典型の働き方をしている人たちの不満は個別ですよね、個別本音ですよね。ところ が、この調査は理路整然とした選択肢であるので、これ以上選びようがなかったとか、 あるいは、現在従事している仕事は有期契約が一般的だからとかものすごくきちんとし た答えです。しかし、例えば賃金の格差とか、不満や不安はものすごく個別的な思いが あると思うのです。その辺のところを本音のところでとっていかないと、これからのこ うした非典型の人たちに対する対応というものを考えていくときに大括りで平均で、と いうことで対応していくと、有効な手立てが打てないものになってしまうのではないか という気がしてしょうがないのです。その辺のところはデータとしてもどうなのでしょ うか。今までよく言われた扶養手当の問題も、扶養手当はなくなっていくからそれは変 わっていくのでしょうが、扶養手当や税金の問題でこれ以上働けないのだというのはど うなのか。また厚生年金に入りたいけれども、経営者は単価が高くなるから避けたがる というようなことは、データとしてどうなのかということも知りたいです。一概に人件 費が安くつくからと言われているけれども、ひっくるめて安くついているかどうかとい うのはあると思うのです。それは保険料を負担しなくて済むから安くて、保険料を払う のだったらこんな雇い方はしません、ということなのかどうかというのも知りたいとこ ろです。 ○大西監督課長 いま直ちに委員御指摘の点に対する答えをさせていただくわけではな いのですが、3頁の資料にあるように、例えば上のグラフを見ていただくと有期パート タイマー、臨時の方、契約社員、その他の有期ということで、有期の中で大括りで分け ただけでも、それぞれ棒グラフの色付きによって山の高さが違っているということで、 確かに、御指摘のようにいろいろなパターンがある。あと、13頁以降の個別労働紛争と いうことで載せている事例を見ても、雇止めといってもいろいろなパターンがあるとい う形です。当然、こういうことを分析していって、どういうことをするのかしないのか という議論になってくるわけですし、例えば何かのゴールに対して山登りをして、こう いうコースから登っていくという場合でも、一般的にこういうパターンのとき、あるい は個別のときにはどう対応するとか、そういう組合せも含めて非常に多様な答えが導か れるのではないかと考えております。そういう意味で、本日、委員の皆様からいただい た資料等も、私どものほうで整備しつつ御議論を深めていただければ、大変ありがたい という具合に感じております。 ○岩出委員 こちらの解雇における手続移行状況、資料No.1の参考資料4の3頁なので すが、解雇の際の労働組合等との協議と紛争の有無ということで全体があって、下に組 合協議とかに分かれているのですが、それぞれの全体の中での割合が書いてないのです。 それを先ずお聞きしたいと思います。それから、労働組合と協議したということと、労 使協議機関で協議した場合に、例えば労働組合で労使協議会を設けている場合と、労働 組合がない場合の労使協議会があります。それの分け方が決まっているのか、混在して いるのか、労働組合以外の場合のことを言っているのか、わかればそれも確認したいの です。 ○秋山調査官 本日お配りしている資料の参考資料1の中の75頁、これも前回お出しし た実態の退職・解雇の部分です。この75頁の8番ですが、前回、この8番としてお出し したものと、もう一つ特別の手続の関係、クロスということで今回さらに追加してお出 ししているものですが、この8番の下のグラフの計の所に3.9%とか2.8%という数字が あります。いちばん左から3.9%、これが労働組合と協議をしたところですが、今回新 たにお出しした追加分の3頁で言いますと、労働組合と協議をしたというのが全体から 見ると3.9%、労使協議機関で協議したというのは分厚い資料で言うと左から2番目の 2.8%で、3頁で言うと上から2つ目です。3つ目の従業員代表を選んでもらって協議を したというのが11.1%。特にこういった代表とは協議しなかったというのが69.2%です。  もう一つ、労働組合等の協議と労使協議機関との協議の関係ですが、これは、組合を 除くとか除かないとか、特に項目上限定はかけていなかったということで、このとおり の質問をして、このとおりの答えが返ってきたということだったと思っています。 ○今田委員 皆さんの御議論を伺っていてコメントさせてもらいたいのですが、おそら く、いろいろな御意見が出た最大の理由は、有期雇用の働き方そのものが非常に多様化 しているということなのだろうと思うのです。このデータで見ても、平均値で有期雇用 の状況を議論するのと、平均値でも結構長いという指摘はできるのですが、個別に見る と勤続年数が非常に長い人もいるわけです。仕事の内容で見ても、ここにあるように、 社員に指示されずに独自でやっている人もいる。そういう意味で、使用者側の委員の御 意見は短期かもしれないけれどもかなり期待をしているというか、ハイレベルの仕事も 有期の人たちに期待をしていて、決して単純な一時的な仕事ではないようなニュアンス が伝わってくるという、どの有期の働き方に視点を置くかによって像も違うし、議論も 違うし、そこにある問題点も違うと思うのです。ここでも、労働契約法制全体の中での 有期雇用の位置付けは非常に重要ですが、その有期雇用も、いま言ったように、平均像 で見るのか、非常に多様化した像としてとらえて、それぞれの問題として考えていくの かによって、ストラテジーがかなり違ってくるのではないか。私なども、パートタイム もそうですし、有期雇用の育児休業の問題も勉強しましたし、この分科会では有期雇用 の期限を3年に延ばすという議論もある。その中で、確かな議論としてあるのは、有期 とかパートの中でかなり戦力化した部分があって、そこが拡大をしているという動きに 呼応した制度改革という位置付けもあったりする。その平均で議論をして、単純な職務 とか不安定という議論と同時に、そうした有期雇用における戦力化された部分が拡大し ているという事実と、総合的に有期の問題をとらえていかないと難しいのではないかと 思います。 ○小山委員 今田委員がおっしゃるとおりだと思うのです。そうすると、多様化と一言 で言ってしまえば様々な形態があるのでしょうが、いま言われた専門化した有期として 増えている分野は例えばどんなところがあるのでしょうか。 ○今田委員 企業の中で我々がやった調査を見ても、パートや有期の人たちの中で専門 職種とか、正社員とほぼ互角のような、かなり責任の重い職務とかきつい仕事をやって いる人もいる。そういう仕事に割り当てているという事業主も3割ぐらいいたか、もっ といたのかもしれないです。実際に働いている人もかなりいますし、3割以上ですかね。 事業所単位で見ても、多くの事業所でそういう働き方が一般化している。その職種にお いても、販売とか技術職とかそういうレベルの、有期で時間を切って働いている例もあ って、企業の戦略はかなり着々と進んでいると考えてもよろしいのではないでしょうか。 データでも出ていると思います。 ○小山委員 業種で言うとどういうところですか。 ○今田委員 販売、サービスもそうです。 ○小山委員 要するに、パートであっても決して有期にする必要はないわけであって、 最近は短時間の正社員という雇用のあり方も出ているわけですから、なぜ有期にするの かということなのです。いまのように戦力化すると言うけれども、なぜ有期にするかと いうところをもう少し分析していかないと、本当に一時的な仕事量の変動に伴う対応な のか。なぜ正社員ではなくて、その戦力化されたところを有期にしているのかというこ とを分析していかないと、先ほど私が申し上げた悪用しているのではないかというとこ ろをクリアにできなくなるのです。ともすると、賃金が安くていいのだということで終 わっている部分があるのではないか。また、いつでも解雇しやすくなる、雇止めしやす くなるというところに悪用されているのではないかということをきちんと分析しないと。 多様化していることが良いことのようにだけ言われると、そこは実態と違うのではない かということが一つです。  それから、私どもは製造業だからサービス業の実態はよくわからないのですが、製造 業の分野では有期で専門的な分野は、ごく限られたプロジェクト的なところに専門的な 人が携わること以外はほとんど想像ができないのです。世の中の実態全体の中でいろい ろな分野がありますから、そこのところは特定のところがこうだからといって一般化で きないということもあり、慎重な分析が必要ではないかと思いますので、より正確なデ ータがあったら提供していただければありがたいと思います。 ○新田委員 例えば3頁の調査で言えば、使用者が答えておられる専門的な能力の活用 とか正社員の確保が困難ということと、労働者が答えている理由の1番目は有期のほう が待遇がいいからというのは折合いがつくのですが、それにしても人件費節約のためと いうのが群を抜いているのが疑問になるわけです。自分の持つ力と見返りの処遇との折 合いがつくのであれば、あちこちでいろいろな相談がかかるようなことにはならないと 思うのです。そうしたところを、これからの実態の把握の仕方として、業種とか、その 種のものを改めてきちんととる必要がある。要するに、それだけ必要なところがあると いうことが片方でありながら、実態ではどうなのだというのはいまのお話を聞いても、 疑問として膨らみますね。 ○田島委員 先ほどの今田委員の発言で、戦力化しているというのは本当にそうだろう と思うのです。それでなぜ有期なのか。有期の人たちが非常に不安に思うのは、例えば 1年の更新の人たちは、1年後に自分がそのまま雇われ続けるのかどうかという、もの すごい不安があるのです。有期で勤めていると、4月更新だと3月は配偶者が結構不機 嫌な雰囲気の家庭もあると。有期雇用はそれだけ精神的な圧迫感があるわけです。それ が本当に戦力化している労働者なのですか。戦力化しているのであれば有期でなくても いいでしょうということでやっていかないと。どんどんこういう形で急激に増えていき ますよ。仕事量の繁閑は当然あるだろうけれども、本音としては安くて済みますよ、雇 用調整が容易ですよと、便利な労働者として広がっているのではないか。ここはヨーロ ッパ的な形での入口の問題、あるいは均等処遇の問題をしっかり考えていかないと、今 のまま広がっていってしまうと日本社会そのものがおかしくなるのではないか、という 危惧を持っているのです。そういう分析といいますか、いまは国会論戦でも2極化云々 なのですが、厚生労働省の意見としてはどうなのですか。 ○大西監督課長 非常に大きな問題ということで、いま国会でも確かに聞かれておりま すし、私どもとしても現在どういう方策があるのか検討しているところです。いまの時 点ではそういう状況であるということです。確かに、私どもの中で議論をしていまして も、有期の方の話が出ると必ずパートという切り口もあるし、派遣という切り口もある し、あるいは請負という切り口もある。ただ、一方でボールが4つぐらい並んでいると 1個をキュッと絞ると、ほかが膨れたりという効果があるのではないかという議論もあ るし、その中でもいろいろな色合いが違うということもありまして、これが答えですと いうものをいまここでスパッとお示しすることはできないのですが、問題意識としては あるということで御理解いただきたいと思います。 ○山下委員 補足なのですが、いまは有期労働者の弊害が多くなっているという話もあ るのですが、企業側としては優秀な人材を確保するという側面から、あらゆるソースか らいい人がいれば正社員化を図っていくという努力をやっています。例えば、私のいる 会社では派遣社員から契約社員になり、契約社員から正社員に登用したという例もたく さんあります。これはホワイトカラーもそうですし現場のオペレーターの方でもそうい う例があります。ですから、有期社員の人たち全員が非常に苦しい思いをしているわけ ではなく、優秀な人材であれば会社側としてはより良い条件で、それこそコストの面も 含めてということになりますが、人材を確保することは行われていると思いますし、実 際にそういう例もかなりの数あるということを付け加えさせていただきたいと思います。 ○八野委員 私はサービス流通連合なものですから、組合側からいろいろ意見が出てい て、自分たちの周りから見ていくと私たちの業種のところではパート、契約社員の人た ちが非常に多く働いています。生産性本部の全労生で新しいワークスタイルを考えると いう特別委員会を開いているのですが、そこでいろいろな業種の方たちとお話をすると、 パートや契約社員の位置付けがそれぞれの業種・業態によってかなり違いがあるのだと いうことは認識しています。ただ、全体の傾向としてはここに出てきているような傾向 はあるのではないかと思います。例えば、2頁、3頁を見ていても、平成11年に人件費 節約のためというところが非常に多くて、平成17年も人件費の削減のため、人件費が割 安だから、というところで非常に大きな数字が出ています。ここについては一つの労働 者の単位ということで見ていくと非常に問題はあるのではないかと思います。ただ、我々 の所で見ていくと、有期契約の方たち、パートタイマーや契約社員の人たちの1人当た りの人件費は決して安くないということを述べておきたいと思います。  いまは徐々に均衡・均等待遇という形で労働条件全般の見直しをしようとしておりま す。これは賃金だけではなくて、人事制度を含め、また、共済関係も含めてやろうとい う動きが出ていますし、教育に対してもそれを進めていこうという形でやっています。 それと、契約社員から正社員へ、またはパートタイマーから正社員への転換も少しずつ 始めてきているというところがありますので、そういう面から見ると、先ほど今田委員 が言われたようないろいろな業種のところでの有期契約社員のあり方、それと全体とし てどうなのかというところは見ておく必要があると思います。ただ、先ほどから労働側 からも出ているように、人件費節約のためというところが多く出ていることについては、 一度、きちんとこの場でも議論をしておく必要があるし、今後の多様な働き方を声高に 言っていく、また、均衡、均等ということも言っていくのであれば、ここは重要なポイ ントだと感じています。 ○長谷川委員 3頁の図を見ると今田委員が言ったようなことが見えるのではないかと 思っています。例えば、専門的な能力の活用は、契約社員のところで49.6%と多いわけ です。おそらく、企業の中で非常に専門的な能力が欲しいときに有期でということがこ ういうところに現れているのだろうし、高齢法との関係も出てくるのですが、60歳以降 の年金支給開始年齢までのところは有期雇用を使っていく所が結構あります。だから、 ここでも経験等を有する高齢者の活用のところで契約社員という形で出てきているのだ と思うのです。これらのところの処遇はどうなのかという分析はきちんとする必要があ るだろうと思います。  それで、景気変動の対応とか臨時季節的業務への変化の対応というところでは臨時雇 いが多い。人件費節約のためのところで圧倒的なのが有期パートタイマーなのです。こ れを見ると、有期がどういうところで使われているのかというのが見えるのではないか。 これらの中で有期契約に対する労働者がどういうことを望んでいるのかという、その分 析が必要なのではないか。私は有期をいちばん活用しているのは研究者のところだと思 っているのです。大学がいちばん活用して、有期の前回の改正でいちばん活用したのは 大学ではないかと思っているのです。一方で有期のパートのところではいろいろな問題 を抱えているのではないかという気はします。  それと、2頁で有期労働者の就業理由として勤務場所の都合がよかったというのが 39.7%あるのですが、これは何なのだろうと。この理由がよくわからなくて、どういう ことなのかという感じがしています。ここはもう少し事務局から聞きたいと思います。 あと、11頁で、連合でも労働相談を行うと、必ず1日は私も電話で労働相談を担当する のですが、この労使間のトラブルのところの74件のうち57件も占めている、期間の定 めのない雇用から期間の定めのある雇用への変更申立てというのは、電話相談をやると すごく多いのです。私は、毎年、電話相談で1件か2件はこれに当たるのですが、契約 社員になってくれと言われたとか、契約社員になったら次はパートタイマーになってく れと言われたとか、そういう相談が多い。これはどうしてこういうことが起きているの かということと、こういう問題に対してどうしていくのかということは、契約法制など を考えるときは重要なのではないかと思っています。だから、有期の問題というのは、 有期がどういうところで使われていて、どういうところで問題があるのかということを もう少し分析しなければならないと思います。14条は前回改正したのですが、それ以降、 有期に対して大臣告示などで契約時における書面の厳格化をしたのですが、私自身はあ れは良いことをやったと思ったのですが、後であのお蔭でこま切れ契約が増えたという ことも言われていますし、そういう調査などは必要なのではないかと思います。 ○松井審議官 今までの議論を聞かせていただいての感想なのですが、言われたような 実態をこれからしっかり分析して、どういった制度が要るかということを議論しなけれ ばいけないことになると思うのです。その際、アプローチの仕方なのですが、いまは有 期と労働時間が短いという2つの特性を持った働き方をしているグループがおられて、 その方々を有期パートと名付けたり、臨時雇用と名付けたり、契約社員と名付けたり、 あるいは派遣社員と名付けたり、いろいろな形でやっています。その特徴は、処遇を除 くと、所定労働時間が普通の方より短い、期間に制約がある、という2つで構成されて いると思います。  そうすると、有期にするとか所定労働時間を短くするという働き方を我が国で認める 際に、例えば有期の期間を3年にするか5年にするか1年にするかという議論をすると きに、頭の整理として、仮にこういう働き方をするとしても、通常の方と均衡の処遇を しなければいけないという条件が整ったときに、本当にこういう制度が要るのかどうか というアプローチの仕方なりをしないと物事が混同すると思うのです。仮に処遇が均衡 されるような場合であっても、先ほど荒木委員が言われたように、処遇のことを除いて、 無期のときはいつまでも働ける契約だから、それを終わらせるためには合理的な理由が 要るというシステム、有期のときはあらかじめどれだけ働くかを決めるから、自動的に 雇用が終わるスタイルの契約。そういう2つのコースがあっていいのではないか。その ときに、長さはどれぐらいかという議論で純粋に議論していいのではないかと思うので す。  そういうものがあるからといって、例えば3頁の調査にあるように、それを人件費節 約のためにフルに使うことが本当にあるとすれば、対策として均衡処遇をするようなこ とをしながら、そういう理由付けができないような世界をつくるとか、均衡処遇をやり ながらこの枠組みが本当に要る、そのためにはどういった調整がいるか、こういうよう に最終的に考えていけないかと。そうでもしないと物事が解決しないと思うのです。そ して、この3頁の見方なども、マルチアンサーですから、見ていただくと傾向値がわか ると思うのですが、有期のパートの方に関しては人件費節約のためというものがいちば ん多くなっており、その後には1週間、1日の仕事の繁閑に対応する。だから、こうい う名前をつけたときの使用者像のイメージがあるのです。この方はこのように使いたい と思っていると。ところが、臨時雇用の場合はここで説明されたような要素が多くて、 臨時季節的業務量の変化に対応するというのがいちばん多いのです。それでも人件費は 結果として節約になるという2番目の理由がかかります。  しかし、本当に季節繁閑に対応した人たちということでやると、今は臨時雇用という ネーミングをつける。さらに、専門的な仕事ということでやろうとすると、有期と労働 時間が短いという組合せの方々のネーミングは契約社員としているとか、こういう見方 もできないか。そして、それらのネーミングをした方々をどの業界がどのぐらいたくさ ん使っているかというように分析して、それらが本当に処遇格差とか差別をするために だけ使っているのかどうか。差別がない世界のときに本当にそういうものが要るのかど うか。本当に分析するのであればそこまで狙うというか、そういうことを考えながらや っていただけないかと思います。  そうしないと、話がグルグル回りしてしまって、どこを糸口にしていいかわからなく なるのではないかという気がしているのです。ですから、契約を議論するときに、その 契約で、例えば労働時間についてどのように取決めをするのがこの問題の解決の糸口に なるかという話と、もう一つ、最終的には一緒になるのですが、それに対する処遇につ いてのバランスをどうするのかということを区別して議論することが有意義ではないか と思うのです。 ○山下委員 それの御参考になるかどうかわかりませんが、弊社の中国のオペレーショ ンでは、正社員なのですが皆さん有期社員です。3年ごとの契約で、3年置きに必ずコ ントラクトにサインをし直すことをやっています。でも、私たちはこういう人たちを正 社員と呼んで、日本で言う正社員と同じように退職金も含めた処遇制を行っています。 ですから、中国全体がそうかどうかはわかりませんが、日本で言う正社員と契約社員と いう区別はない。要は有期の正社員という雇用体系をとっています。 ○原川委員 今までの議論を聞いておりまして、例えば4頁の人件費が安いから使うと か、2頁の上の表にもありますが、4頁の調査を見ると我々も非常に陥りやすいことな のですが、複数回答なのです。つい聞きやすいものですから、人件費というのは我々も 入れるのですが、いまの議論からすると、第1順位かそうではないかということで大き く違うと思うのです。要するに、全く労働者の質とか仕事の内容を考えずに、賃金だけ のことを考えて雇う人はいないと思うのです。例えば先ほども出ましたように、期間的 な仕事、あるいはルーティン的な仕事は正社員にやらせるしかないですから、むしろ代 替の人を調達することが非常に難しいというのが中小企業の特徴なのです。そうすると、 安ければいいというような単純な発想で経営ができるものかということを私は非常に疑 問に思うのです。  こういうフワッとした調査で、これがいちばんだからこうだということは非常に早計 にすぎるのではないか。先ほど言いましたように、第1順位なのか、あるいは、仕事が 補助的な仕事なのか、あるいは繁忙期の仕事なのか。中小企業などは特に短納期発注と か納品ということが多いですから、普段から余分な人員を抱えていることはないわけで す。それは非常にコストアップにつながります。適正な人員でそれ以上の仕事があると きには人を調達しなければならない。そうすると、その人たちに正社員ということで待 遇することに見合う仕事かどうかということを考えるわけです。補助的な仕事だからパ ートの人に頼もうということになった場合に、結果としては人件費の節減になるかもし れない。ですから、調査の仕方をもう少し考えなければいけないと思うし、そういうフ ワッとした問いに乗った答えが多いからといっても、もう少し根源を掘り下げないとい けない。もう一つは、これは平成11年ですから、景気の問題があると思うのです。そう いう経済情勢のことも考えないといけない。ここは非常に注意を要することがあるので はないかと思います。 ○西村分科会長 今回で労働関係の実態についての御議論は一応終わりまして、次から は新しいテーマでということなのですが、今日配った資料以外に今まで出ていた資料が あると思います。今までの労働関係の実態に関して十分御意見を言いきれなかったとこ ろがありましたら、御発言いただきたいと思います。この有期労働契約の問題以外の点 についてでも結構です。特にないようでしたら、本日はここまでにしたいと思います。 次回の分科会は労働時間法制のあり方について御議論いただくことにしたいと思います。 次回の日程につきまして事務局から説明をお願いいたします。 ○大西監督課長 次回の日程について御説明申し上げます。次回の労働条件分科会は3 月15日水曜日10時から12時まで、場所は厚生労働省5階共用第7会議室で開催する予 定でございます。よろしくお願いいたします。 ○西村分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。議事録の署名は島 田委員と紀陸委員にお願いいたします。ありがとうございました。                    (照会先)                     労働基準局監督課企画係(内線5423)