06/02/20 第9回社会保険新組織の実現に向けた有識者会議平成18年2月20日議事録 第9回 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議                      日時:平成18年2月20日(月)                         18:00〜20:00                      場所:厚生労働省 専用第15会議室  佐藤座長 ただいまより第9回目の「社会保険新組織の実現に向けた有識者会議」を 開催させていただきます。本日の委員の皆様方の出欠につきましては、岸井委員、袖井 委員が欠席でございます。あとの皆さんは御出席ですので、早速開催させていただきま す。  昨年12月の前回の会議で組織改革の在り方について意見を取りまとめさせていただ きました。これを受けまして事務局において法案作成の作業を進めておりますが、本日 はまず今後の有識者会議の検討スケジュールを御提示申し上げた上で、後ほど、「改革関 連法案」及び「業務改革に関するフォローアップ」について御議論いただきたいと思っ ておりますので、よろしくお願いします。  それでは、まず「新組織実現会議の今後のスケジュール」につきまして、事務局の方 から御説明をお願いします。  清水参事官 資料1をご覧いただきたいと思います。本日2月20日を含めました今後 のスケジュール案です。本日は改革関連法案の概要を用意しておりますので、これに基 づいて御議論を賜り、方向づけをしていただきたいと思います。私どもといたしまして は、本日の御議論を経て、その後また関係方面とも調整した上で、3月10日の閣議決定 を目指していきたいと思っております。また本日の2点目ですが、昨年来お願いしてお りました業務改革、その第1回目のフォローアップをお願いしたいということでありま す。本日はこの2点を議題としてお願いしたいと考えております。  4月ですが、ここに書いてありますように、システム改革、地方組織改革、新人事評 価制度、業務改革のフォローアップ第2回目などについてお願いしたいと考えておりま す。新人事評価制度につきましては昨年10月からの試行、本格実施につきましては、実 際の評価の山が9月ですが、対象期間は本年の4月からですので、早目にこの時期に御 論議をお願い賜りたいと考えております。  その後ですが、この場での御論議を経て法案が国会に出されますと、ここでの審議を 踏まえた御論議というものをお願いできるのではないかと期待しているところでありま して、7月に改めて御議論をお願いしたいと思っております。国会での審議状況も踏ま えてということでありまして、改革の具体的進め方、フォローアップの第3回目などを お願いしたいと考えております。以上が今後のスケジュールについての説明です。  佐藤座長 ありがとうございます。今後のスケジュールにつきまして御説明がござい ましたが、これでよろしいですか。こういうことで進めさせていただきます。  本日の議題ですが、一つは今国会に提出いたします社会保険庁改革関連法案の検討を した上で、その後、業務改革のフォローアップについて御検討いただきたいと思ってお ります。  最初に社会保険庁改革関連2法案につきまして、事務局より御説明ください。お願い します。  清水参事官 資料をご覧いただきたいと思います。資料2−1、A3のものと資料2 −2、A4のものが組織改革関連法案関係の資料です。資料3−1、A3、資料3−2、 やはりA3のもの、資料3−3、A4のもの、これが業務改革関連法案関係の資料です。 社会保険事務所を設置することにつきましては国会の承認が必要であります。社会保険 事務所を3カ所廃止して新たに3カ所新設する、再配置をしたいと考えておりますが、 その関係の資料が資料4、1枚紙でございます。これらにつきまして、参考資料という ちょっと厚いものも参照しながら、社会保険庁総務課長から説明をさせていただきたい と思います。  石井総務課長 社会保険庁の総務課長です。私の方から、今紹介がありました2法案 について順次説明させていただきたいと思います。  まず資料2−1をご覧いただきたいと思います。若干レビューという感じであるわけ でありますが、まず組織改革関連法案の概要について説明をいたします。20年10月に 社会保険庁は政管健保の運営を担当する「全国健康保険協会」、この絵でまいりますと右 のやや上の方ですが、「全国健康保険協会」という名称の組織と、年金につきましての「ね んきん事業機構」、この2つの組織に大きく分かれるわけであります。なお、この「全国 健康保険協会」の扱いでありますが、既に別途、医療制度改革を目的といたしまして、 健康保険法の改正案等が取りまとめられ、国会に提出されておりますが、この協会に関 する規定はそちらの法案の方に盛り込まれているところであります。そこで、ここでの 御説明は「ねんきん事業機構」に関する事柄を中心に御説明申し上げたいと思います。  資料2−2の方をご覧いただきたいと思います。まず法案の名称ですが、「ねんきん事 業機構法案」、こういう名称を予定しております。なお、これから御説明申し上げる中身 でありますが、昨年の12月にこちらの新組織実現有識者会議の皆様によりまして取りま とめられた御意見、これをそのまま受けとめて具体化しようということで整理をさせて いただいております。  まず基本理念ですが、ここにありますように、国民の意見を反映し、事務処理の効率 化、サービスの向上を図るとともに、公正性、透明性の確保に努めるということを規定 いたします。  組織の方ですが、組織そのものも、御議論いただきましたように、厚生労働省の特別 の機関として設置するということでありまして、その長は「代表執行責任者」と称する こととしております。地方組織ですが、数は未定でありますが、想定的には8つから9 つのブロックそれぞれに地方年金局というのを設置し、そのもとに年金事務所というの も配置する見込みとしております。その職員ですが、これは代表執行責任者が任命する。 その任用に当たりましては、国家公務員法に基づく通常の服務の宣誓のほかに、厳正な 服務の宣誓を行うとことにしたいと思っております。  事業運営を確保するための措置ですが、年金運営会議であります。代表執行責任者が 重要事項について決定しようとするときはこの会議の議を経なければならないというこ とでありまして、その構成メンバーにつきましては、代表執行責任者と委員4名以内。 現時点においては、私どもとしましては4名というものを想定しており、5名で組織す るというイメージであります。その委員の条件でございますが、厚生労働省のOBでは ない者で、公的年金制度等、ここにございますような分野において優れた識見を有する 外部の専門家の方から厚生労働大臣より任命させていただくという形であります。  2ページですが、その4名以内の委員のうち1名は常勤となっていただくこととして おります。また会議の運営につきましては速やかに公表するというようなことで、透明 性を高く確保していこうということであります。  特別の機関ということでの特徴の2点目になりますが、特別監査官でありまして、代 表執行責任者は、会計監査と業務監査それぞれについて特別監査官に行わせるというこ とでありまして、この特別監査官につきましても厚生労働省のOBではなく、かつ、財 務管理、あるいは経営管理に関して優れた識見を有する外部の専門の方から大臣が命ず るということであります。大臣が命ずるというこの特別監査官の任命の方法につきまし ては、年末の取りまとめの際に委員の方から御指摘がありました。長が任命するのでは なく、大臣が任命するのが筋ではないかということをそのまま認めさせていただいての 修正ということになっております。  監査官は監査結果を報告書として取りまとめまして、代表執行責任者を介して年金運 営会議に報告し、そして公表するということであります。また、その権限といたしまし て、必要があると認めるときには運営会議に出席し、意見を述べなければならないとと もに、代表執行責任者に対し、年金運営会議の招集を求めることができるということで あります。  被保険者等の意見の反映といたしましては、代表執行責任者において、それに見合う 必要な措置を講じなければならないものとするということであります。  「ねんきん事業機構」の事業に関しまして、厚生労働大臣は毎年度達成目標を設定し、 かつ、終了時点におきまして、その目標に対する実績を評価し公表すると。こういう扱 いであります。  年金個人情報の関係では、大変多くの申しわけない事態を発生させたわけですが、こ れに関するきちんとした規律を定めることといたしておりますとともに、現在、社会保 険委員などのボランティアなど、地域における協力者がいるわけですが、この新組織発 足を機に、これらの方々を再編させていただきまして、法律上の制度ということで、年 金委員という形で委嘱の制度を設けたいと考えているわけであります。  3ページでございます。経過措置、検討規定についてですが、第1点といたしまして は、これも御議論いただいておりますように、法律が成立した後の施行日前においても、 例えば年金運営会議など先行実施をしたいというふうに思っておりますが、そういう事 柄も含めて円滑に事業を開始することができるよう必要な措置を講じるものとするとい う規定であります。  2つ目の丸ですが、これは昨年5月に自由民主党において庁改革に関する意見の集約 がなされました。その中に1項目ございます。すなわち新組織発足後、1年程度経過し た時点において、ここにございますような重要な事業パフォーマンスなどについて評価 して、これが非常に思わしくない場合には組織のあり方を含めて見直すという趣旨のこ とが記載されていたわけですが、その趣旨を受けて検討したということで、その趣旨を 具体化させようという規定であります。  3つ目の丸は船員保険制度についてでありまして、18年度を目途に検討いたしまして、 結論を得、そして22年度を目途に一般制度に統合すると。こういうことも検討規定とし て盛り込むということです。  このほか関係法律の一部改正ということで、厚生労働省設置法から「社会保険庁」と いう組織を削除すると。現在、厚生労働大臣より一般行政事務として社会保険庁に事務 委任されております保険医療機関等に対する指導等の事務でございますが、新組織の発 足に伴ってこれは本省に一たんお返しし、地方厚生局において実施するものとするとい うことであります。  このほか共済組合の関係で、社会保険職員の加入する先を厚生労働省共済組合へ統合 するなどの規定整備を行うこととしておりまして、施行期日については、20年10月1 日を予定しております。これが組織改革関連法案の概要です。  次に資料3−1の方をご覧いただきたいと思います。こちらは業務関連改革法案の概 要ということになります。まず業務改革の全体像ですが、昨年の9月、この有識者会議 の方で御論議いただきまして、120項目にわたります業務改革プログラムというのを御 承認いただきまして、目下、私どもはこれに取り組んでいるわけであります。その中の 主なものを主な分野ごとに整理したものがこちらでありますが、真ん中の黄色の箱のう ち右側の部分が、実施予定の項目のうちの主なものでございます。  サービスの向上、保険料徴収の徹底、予算執行、個人情報、それぞれに分けておりま すが、アンダーラインが付してある項目、これが業務改革関連法案に改正事項として盛 り込もうと考えている項目ということです。ご覧いただくとわかりますように、国民年 金の保険料の徴収ということの強化に向けた項目が数としても多くなっているわけであ ります。  この部分を全体像という形で整理いたしましたのが資料3−2です。ご覧いただきま すと、左側ですが、まず納めやすい環境づくりの整備という部分があります。この部分 も2つの取り組み、任意加入者の口座振替の原則化、クレジットカード納付の導入、こ の2点について法案に盛り込みたいと考えております。また未納者につきましては、市 町村からの所得情報に基づきまして、所得の高低に応じて、ここに記載してあるような 取り組みを現在進めているわけでありますが、このうちの低所得の方々について、免除 などの周知・勧奨というものが非常に重要な意味を持つわけでありまして、ここの取組 みにつきましても、法定免除手続の簡素化、学生納付特例の申請手続の簡素化、こうい った取り組みを法的に盛り込んでいきたいと思っているわけであります。  さらに今回の効率的な取り組みの一つのポイントですが、この下の方に、連携という ことで3つの枠囲いがあります。1つは事業主との連携、2つ目が国民健康保険(市町 村)との連携、それから社会保険制度内の連携ということでございまして、国民年金制 度を取り巻く関係の方々との連携関係を構築する中で、収納体制の強化ということをさ らに進めていきたいと考えております。  個別の項目ですが、資料3−3の方をご覧いただきたいと思います。まず法律案の題 名ですが、ご覧いただいたようなことで、国民年金事業に重点を置かせていただいてい るというようなことから、「国民年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部 を改正する法律案」という名称で呼びたいと思っているわけであります。  まずサービスの向上関係ですが、被保険者などの方々の氏名・住所の変更があった場 合、現在は届け出をしていただくことが原則となっているわけですが、そうした場合の 負担の軽減、記録の的確な管理という観点から、住民基本台帳ネットワークと接続させ ることによって、そうした取り組みの実を上げようということで、年金2法、住民基本 台帳法、それぞれ表裏一体の関係での改正を行おうということであります。それから社 会保険と労働保険との連携の推進のための取り組みと。  2ページに参りまして、保険料の収納対策の強化関係ですが、1の(1)、(2)は先ほど若 干御説明いたしました。また(3)の保険料免除等の手続きの簡略化ということで、法定免 除の対象である生活保護受給者について、情報を得ることができるような措置、大学な どにおいて、学生に成りかわって納付特例の申請が代行できるようにするような措置を とるということであります  次に、大きな柱の2といたしまして、社会保険制度内における連携によって、保険料 納付の促進を図りたいということであります。国民健康保険との連携でございますが、 まず取り組みの前提といたしまして、市町村の御判断で、国民年金保険料の未納者に対 しまして、通常より短期の被保険者証というのを交付していただいて、被保険者との接 触の機会を設けることによって勧奨を図るという仕組みを設けた上での話でありますが、 上の丸に行っていただきまして、そのような対象となった方が納付をしようという場合 に、市町村がこれを受けることができるように納付受託機関として指定することができ ることとするということであります。  (2)でございますが、社会保険制度内の連携ということで、保険医療機関、薬局、指定 訪問看護事業者、介護関係者、社会保険労務士と、いずれも社会保険に密接にかかわる 皆さんであるがゆえに、そういう立場にあるからこそ、社会保険料の自主的な納付を促 させていただくということで、特に長期にわたって自主的な納付がない場合には、事業 者としての指定、あるいは更新を認めないという措置を講じたいと考えております。あ わせて国民年金保険料について、関係団体を通じた納付勧奨を可能として、全体として 自主的な納付を促進させていただきたいということであります。  3でございますが、事業主との連携による保険料納付の促進ということで、厚生年金 の適用事業所などにおいて、厚生年金の適用がない、いわゆるパートさんなどの従業員 の国民年金保険料の納付を促進するなどのために、必要な情報の提供、あるいは必要な 協力を求めることができるというように、緩やかな取り組みをしたいということであり ます。滞納処分のための資料の提供要求が可能となるような法的な整備も考えておりま す。  4ページですが、国民年金事業等の公正・透明・効率的な運営の確保ということで、 第1点目は事務費の国庫負担の見直しでありまして、現在、本則において事務費は全額 国庫負担ということになっているわけですが、一方で平成10年度より17年度まで特例 措置として保険料の適用、徴収、相談、給付、こうした事柄に関連する部分につきまし ては保険料財源が充当されてきているわけですが、そうした区分というものを受益と負 担の明確化という観点から、恒久措置として定めていきたいということであります。  2点目が福祉施設規定の見直しであります。その他の事項といたしまして、被保険者 資格に関する情報の取得、基礎年金番号の法定化などでございます。  その他といたしまして、事務費国庫負担の見直しでありますが、国家公務員共済組合 等におきましても同様な手当てが必要となりますので、そのようなことを行うほか、関 係の特別会計法の規定の整備を行いたいというのがこの業務改革関連法案の内容でござ います。  資料4ですが、先ほども説明がありましたように、国の出先機関を地方に設置する場 合には地方自治法上、国会の承認を求めるということがルールとして定められておりま す。今回、緊急の配置是正措置といたしまして、管轄人口が100万人を超える超大規模 事務所について、3カ所でありますが、新たな社会保険事務所を設置したいと考えてお ります。新設の社会保険事務所は越谷、市川、青梅でありまして、これに見合う統廃合 の場所といたしまして、下の参考の表にありますように、1つの区に2カ所あるところ を統合することで3つの財源を出していく。それで3減3増ということで処置をしてい くということであります。これも設置予定時期は10月ということでありまして、今申し 上げました2つの法案と、この国会承認を求めさせていただく件、一括という形で国会 の方に提出したいと考えております。以上です。  佐藤座長 ありがとうございます。1つは組織関連法案、それから業務改革法案、2 つの法案の考え方、これは私どものこれまでの議論を前提にして準備していただいたも のですが、この後、委員の先生方の御意見を承った上で取り扱いを決めていきたいと思 っております。どうぞ、御意見があればよろしくお願いします。  稲葉委員 資料2−2、ねんきん事業機構法案の概要というペーパーについて2点質 問をしたいのですが、1点目は、通常の国の行政機関、省庁でありますと、任務及び所 掌事務を定めるという形になるわけなんですが、この年金事業機構についての任務規定 と言いますか、任務に当たる部分というのはどういうふうに理解したらよろしいのかと いうことです。  もう一点は、2ページ目の5のところに、年金個人情報の利用及び提供の制限という のがありますが、行政機関個人情報保護法との関係はどういうふうに整理されているの かという、それよりも厳しい制限を設けるものなのか、あるいは個人情報保護法と同様 な規定を確認的にと言いますか、この年金個人情報について明確にする趣旨で規定して いるということなのかどうかという点であります。その2点、よろしくお願いします。  吉岡改革事務局次長 まず1点目の任務などの規定をどうするのかということでござ います。現在、細部につきましては内閣法制局と相談中ですが、ねんきん事業機構の任 務という部分につきましては、いわば厚生労働省全体としての、任務が厚生労働省設置 法に規定されておりますので、今回の法律の中で機構だけの任務の規定は必要ないので はないかと考えています。一方で、当然ながら、この機構の所掌事務ということにつき ましては、今回の新しいこの法律でもって規定をするという形になるだろうと考えてお ります。  もう一点、個人情報保護法との関係でありますが、私ども、様々な御批判をいただい た中で、行政機関個人情報保護法よりもさらにそれを具体化し、限定するような形での 利用制限の規制というものをこの法律の中に盛り込んでいきたいと考えております。  稲葉委員 後者につきましては、そういう趣旨であれば結構かと思います。任務に関 しては、基本理念というところで実質的に書かれているという理解もできるかと思いま す。  小林委員 今の稲葉委員の御質問の延長ですが、例えば年金運営会議のミッションと 言いましょうか、役割は何かとか、重要事項について決定とありますが、その重要事項 とは何かとか、あるいは特別監査官は会計監査と業務監査をやるとなっておりますが、 会計監査はわかりますが、業務監査とは具体的に何かとか、その辺のところは何かに書 かれることになるのでしょうか。  吉岡改革事務局長 まず、年金運営会議の議を経なければならないとされる重要事項 でありますが、これは昨年末にこの会議において取りまとめをいただいた中に具体的に 記述化されておりますので、その趣旨をそっくりそのままこの法律の方でも規定できれ ばと考えているところであります。具体的には、事業運営の基本的な方針に関する事項 でありますとか、この機構の定員に関する事項と予算に関する事項、あるいは事業運営 の改善に関する事項といった重要事項というものについて、この会議の議を経なければ ならないというようなことで規定したいと考えております。  特別監査官の業務のうち、今御指摘のありました業務監査についてですが、当然のこ とながら業務についての監査ということであります。この会議でも会計監査と業務監査、 それぞれについて特別監査官を置くという整理をいただきましたので、そういう考え方 に立ってやっていきたいと思います。また、その業務監査の中には個人情報の管理監査 というものも含まれるということも規定をしたいと考えております。  佐藤座長 ありがとうございます。関連してもしあればどうぞ。  陶山委員 単純な質問ですが、資料2−2の3ページになりますが、見直し規定につ いての部分の記述があります。最近の法律では、法律の施行後、一定期間を経た段階で 見直しをして、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという趣旨のいわゆる見直し規 定を附則に定めるという例が多いわけでありますが、今回、この新しいねんきん機構が 新組織として業務運営を開始して、どれぐらいの期間で見直しをするかということは、 少しくいろいろな観点から考える要素があるのではないか。  具体的に申し上げると、見直しの期間が余り短いと、業務運営の検証という観点から 必ずしも実のある内容の見直しと言いますか、検証ということがなかなか難しいことも あり得る。そこで、ある程度の期間を経て検証をするということが恐らくは要請される のではなかろうかと思うのですが、今の御説明によれば、少しく聞き取りにくかったの ですが、1年程度というふうなお話だったかと思いますが、1年というのは、いわゆる 見直し規定の例としては非常に短過ぎると申しますか、余り例がないのではないか。政 府案として、例えば5年後見直しという原案について、国会の御審議でもう少し早く検 証作業をしろという意味から、例えば施行後3年というふうに短縮されるというような ケースはよくあるわけであります。しかし1年というのは、もしそれが本当なら、現在、 法制審査については、細部について調整中であることは重々承知しておりますが、事務 局のお考えとして、念のためになりますが、お聞かせいただいておきたいということで あります。  吉岡改革事務局次長 ただいま陶山委員御指摘の、見直し検討規定の期限を設けるか どうかということにつきましては、私ども、るる検討させていただいたわけであります が、先ほど、総務課長から申し上げましたように自民党の指摘では、新しい組織が発足 して、おおむね1年を経過した時点で評価をし、再検討するとされております。  私ども、結論から申しますと、この法律ではそういう時期を明示しないという形にし たいと思っているわけであります。すなわち、ある一定の時期が過ぎれば、ではその後 はもうそれでいいのかということでありますが、私ども、さまざま御批判をいただいて きたわけでありまして、未来永劫、緊張感を持った事業運営を行っていくという観点か ら、そうした期限は設けないという形での検討規定にしてはどうかと考えております。  当然のことながら、自民党の方から、おおむね1年を経過した時点ということでも御 指摘いただいておりますので、与党との関係におきましては、その1年後の時点での再 評価を受けるということは当然のこととしてやっていきたいと思っています。  陶山委員 ありがとうございました。  大山委員 3点ほど質問をさせていただきたいと思います。その前に、今回やっとと 言いますか、住民基本台帳ネットワークシステム情報の活用という話がはっきりと出て くることになり、住基ネットにずっとかかわってきたものとして、やっとこれで世の中 に、なぜつくってきたかを示せるのをうれしく思います。同じような意味で、喜んでい いのか、悲しむべきかよくわからないところがありますが、社会保険庁さんが、今のよ うに非常に前向きに対応していることを非常にありがたいと思います。さらに電子政府 の最適化から見て、社会保険庁さんが極めて重要な役割を果たすと期待されることから、 3点質問をしたいと思います。  最初に、資料3−3の2ページ目にありますが、1の国民年金法関係で、(1)クレジッ トカードによる保険料納付という話が書いてあります。クレジットカードによる保険料 納付は、もちろん年金の収納率を向上するために重要なことはよくわかっていますが、 それ以外にも地方自治体、あるいは中央政府、どちらについても申請申告に伴う手数料 があります。以前からクレジットカードで払えるようにしたら良いのではないかと申し 上げてきたのですが、うまく実現できない理由がありました。  この理由をここで述べるのが良いかどうかは別ですが、私が質問したいのは、クレジ ットカードで保険料を納付する時の手数料と決済のやり方に関することです。これは郵 便局の簡易保険などとも絡んでくると思いますが、新しい組織になるからクレジット払 いができると判断しているのか、あるいは国の手数料や保険料などの納付そのものがク レジットカードで可能になるのかを聞かせていただきたいと思います。  2つ目は、前にも申し上げたことですが、インターネットによる年金加入記録の即時 提供が始まることに関することです。このサービスは非常に良いのですが、繰り返し申 し上げているように、フィッシング詐欺等によってパスワードが盗られると大変なこと になるので、ぜひサービスを始めるときに、社会保険庁側からも、はっきりとパスワー ド等の管理の重要性と危険性があることを広報していただきたいと思います。  先日、新聞で見たときには全く危険性について触れず、便利になることだけが書かれ ていました。ITには常に光と影があり、光の部分を強調するだけではなく、影の部分 が予測されているのですから、ぜひ対応いただきたいと思います。私の質問は、このよ うな危険性に対して、どのように対応しているのかということです。  3つ目は次の3ページ目にある国民健康保険(市町村)との連携のところです。市町 村の判断で通常より短期の国民健康保険被保険者証を交付しと書いてありますが、今の 状況でこうなるのはいたし方ない面があると私も理解しますが、本質的な解決策になっ ていないと思います。  というのは、もともと国民健康保険との連携は十分あり得るということを、この会議 の前の有識者会議のときにも申し上げました。具体的には年金を払っていない方に対し ては、国民健康保険をその場で一時的に停止し、その場では本人が全額を負担します。 その後、年金の未納が解消されたら、過去にさかのぼって例えば7割返すというやり方 です。保険で負担する分を後払いするのは、同じ国民皆保険のドイツに前例があります。  健康保険証の有効性は、オンラインによるリアルタイム確認が必要ですが、これには ほかにも数々の利点があります。もちろん、本件についてはいろいろな意見があるよう ですが、年金と医療保険はどちらも法律で社会的に保障する一方で、毎月の掛け金を要 求しています。ところが、国民健康保険は、例えば払わなくても保険診療を受けられる という判断を市町村にゆだねているように思われます。このようなところが、一般国民 から見るとよくわからないのではないでしょうか。  要するに、払わなくて良いのか、払わなければいけないのか良くわからないので、こ ういう中途半端な判断が出てくると危惧します。すべての国民がすっきりと理解するた めには、国民が社会保障を受ける条件を明確にすべきであると考えます。  もちろん国民皆保険は、日本が世界に誇れる制度であると思います。この制度は可能 な限り堅持すべきと考えます。このことを踏まえるからこそ、後払いにしたらどうかと 思うのです。医療を含めた社会保障全般のあり方については、いろいろ検討されている と思いますが、一つ一つの項目を見るのではなく、国民を中心にして、国民の立場から 見たときにどうあるべきかをしっかりと考えていただきたいと思います。この場は厚生 労働省さんの外局である社会保険庁さんの会議ですので、グランドデザイン的なものが 必要であると指摘させていただきます。私は今申し上げたように考えていますが、国民 健康保険証との連携を市町村の判断に委ねることに関する経緯をお聞きしたいと思いま す。以上3つです。  佐藤座長 ありがとうございます。かなり重要な問題のようですが、3点ありますが、 よろしゅうございますか。  鈴木年金保険課長 今、大山先生から御指摘いただいた3点のうち1点目と3点目を 先にお答えさせていただきます。1点目のクレジット払いでございますが、これは基本 的に年金以外のいろいろな公金にも広げたいという、そういういろいろな御要望はいろ いろな各方面からもいただいているところだと思いますが、そういった公金全体をどう するかというのはいろいろな御議論がある中で、まず年金について、特に国民年金保険 料について、納めやすい環境の整備の一環としてまずは先頭を切ってやらせていただい たということではないかと私どもは考えております。  その中で、この仕組みでございますが、要するにこれはいたって単純な話でありまし て、クレジットカード会社が被保険者の払うべきものの立替え払いをすると。クレジッ トカードは立替え払い型と債権譲渡型とございますが、ここは立替え払い型という非常 に簡素で効率的なやり方を採用しているということであります。手数料ですが、これは 法律の通った後、いろいろと戦略的な話もありまして、ここで幾らとなかなか申し上げ にくいところもありますが、今、例えば口座振替とか、コンビニエンスストアでの納付 受託とか、いろいろな機関を活用していますので、そのあたりとのバランス、それから 実際にかかる費用、そういうものを見ながら総合的に、法案が通った暁にまた判断させ ていただくということになるかと思っております。  3点目の国民健康保険との関係ですが、これは先生から御指摘いただいた趣旨は非常 に私どもよくわかるつもりであります。一つ、年金は年金、医療は医療と別々のことで はなくて、両者の観点からいろいろな総合化を図っていくと。これは必然的に高齢化が 進む中でそういう傾向にあるだろうと私どもは思っておりまして、その中でどういった 連携をとってやっていくかということでございますが、今、現行制度の中では、連携と 申しましても、直ちにこれだというようなものはありません。  その中で、今、先生から御指摘いただいている点でいきますと、例えば国民年金の保 険料を払っていなければ、国保の給付をとめると申しますか、全額、窓口では一旦お払 いいただくということも政策論的にはあろうかと思います。今、市町村が国民健康保険 の方も保険料を払っていない方にどういう手順でそういったお勧めをしていくかと言い ますと、まず有効期間の短い保険証を出して、そこで市町村の窓口に来ていただいて、 保険証の更新をするのであれば、国民健康保険も払ってくださいということをまずお勧 めされています。その上でまだなかなか払っていただけない場合に、今度は資格証と申 しまして、今先生から御紹介のありました、窓口では全額払わなければいけないような 証書を出すと。段階的な手順をとっております。  私ども今回、国民年金の徴収の効率化というのを考えましたときに、まずは社会保険 制度内での連携の一環としては、順を追って段階的にやっていくのではないかなと。何 もない段階から始めましたので、まずは市町村の方の御判断で、国民年金の保険料の徴 収率の向上に協力をしてやろうという方がいらっしゃった場合には、この第1段階であ りますところの短期証の交付をまず行う。これを今回提案させていただきたいというこ とであります。  ちょっと立ち入った話になりますが、その後、いろいろな状況なんかも見まして、な お、さらにいろいろな手段が必要だという御議論になれば、またそのときにそういうふ うな判断もあるのかなと思っております。  青柳運営部長 インターネットを活用した年金個人情報提供ということについての御 回答ですが、私ども、来月の下旬にこのインターネットを活用しました年金個人情報提 供サービスを開始させていただく予定で、現在準備を進めているところであります。そ の件につきまして、前々から大山委員の方からセキュリティ面での憂慮を十分するよう にという御指摘をいただいているところであります。  このインターネットを御利用いただく際には、私どもの方にそれぞれの被保険者の方 からお申し込みをいただきまして、私どもの方からID・パスワードを御自宅の住所ま でお送りするということで、その上でこのID・パスワードを使って私どものシステム に入ってきていただきまして、その方の記録を閲覧ができるというような環境をつくっ ていきたいと考えているわけであります。  最近、報道等でもフィッシング詐欺という具体的な事例について報道がなされており ます。現時点ではフィッシング詐欺という形でID・パスワードを盗まれますと、金融 機関等のサービスにつきましても、具体的な被害が発生するという可能性がありますし、 この問題を完全に排除するのは困難であると私どもは認識をいたしております。他方で、 このサービスによりますサービス利便との均衡であろうかというふうに判断をいたしま して、私どもはこういった仕組みで当面解消させていただこうと思っております。  一番重要な点といたしましては、利用者の方に、前回大山委員の方から御指摘いただ きましたように、ID・パスワードを決して盗まれてはいけないと。これは重要なもの だということを十分御認識をいただくという点だろうと思っております。そのために、 私どもの方で今つくっております、アクセスをしていただくホームページ上、それから 御本人にお送りいたしますID・パスワードを御連絡する際の文書の中でも、この具体 的なフィッシング詐欺等の問題に対する注意の喚起を徹底して行っていくという形で十 分その点について御利用者の方に御理解をいただくと。そのことによってサービスの提 供を円滑に進めていくんだと思っております。  また将来的に、セキュリティの面での評価、これは大山委員のアドバイスもいただき ながら、さらに検討してまいりたいと思います。  木村委員 資料2−2ですが、法案の中の3と6について、被保険者等の意見の反映 ということで、代表執行責任者は、〜等の意見を反映させるために必要な措置を講じな ければならないということで、代表執行責任者の義務という、そういう書き方がされる と思うのですが、ここで必要な措置と意見を反映という、この意見の求め方と必要な措 置の講じ方ということなんですが、厚生労働大臣が、6に書いてあります年金委員を委 嘱して、そこで相談に応じる等の活動を行うということがありますので、むしろこちら の方からのそういう意見、あるいはどういうところが国民の求めているものかというよ うな、そういうニーズを反映して、それが代表執行責任者の必要な措置につながる、こ ういう形も一つあろうかと思うのですが、このあたりの3と6の関係について考え方を お尋ねできればと思います。  吉岡改革事務局次長 まず3番目の被保険者等の意見の反映についてですが、これも 昨年末に取りまとめていただきましたように、今後、この組織が発足いたしますと、様々 な観点から被保険者、事業者、受給権者の方々の御意見を考慮しながら事業運営をやっ ていきたいということでありまして、具体的にはこうした方々がお集まりになる運営評 議会というものをこちらの本部でつくる、それからまた地方ごとにも地方の運営評議会 をつくるということをまず念頭に置いているわけでございます。そのほかにも現在、長 官へのメール、長官への手紙という形で国民の皆様方から直接御意見をいただいており ますが、そうした取り組みを行う。あるいは、様々な事業の細かな点での改革に当たり ましても、第三者の方々の御意見を聞いて改革していこうと。そうしたことを念頭に置 いているものであります。  一方で、6番目の年金委員でありますが、これにつきましては、年金制度についての 啓発をしていただく、あるいは被保険者の方々からも相談をいただくという役割を持つ ものとして考えているところでありますが、現在、いわば年金委員の先行的なものとし て社会保険委員さんに役割を担っていただいているところですが、先般、業務改革プロ グラムに位置づけていただきましたように、社会保険委員さんと私どもの間での双方向 でのメールのやりとりができるような仕組みというものを今検討しているところであり ます。  したがいまして、そうした年金委員さんのいろいろな声というものも、私ども、しっ かりと拾いながら、業務改革にこれもつなげていくということで考えていきたいと思っ ております。  木村委員 運営評議会は法律上でも出てくるのでしょうか。  吉岡改革事務局次長 具体的に運営評議会というものはアドホックな形で設置をする ものですから、法律で運営評議会という具体の名称を書くというよりも、この3番目に ありますように、こうした被保険者等の方々の意見を反映しなければいけないというこ との一環として運営評議会の運営を行うということで考えております。  佐藤座長 今ちょうどいいやりとりだったのですが、ここで書いていただいているこ とと、今度、法案の書きぶりと両方見ないと、その上で、もう一つは運用レベルで対応 する、多分そういうことになるのではないかと思うんですね。ですから、今日、伺った ことをまた承って、法案の書きぶりまである段階で御説明いただける機会があると思う んですよね。そういうことですので、今日はいろいろ御意見を承っておいた方がいいと 思います。  陶山委員 資料2−2の方に組織の名称の問題がありますが、改めて地方組織の名称 についてお願いと申しますか、要望をしておきたいと思います。いつか地方組織につい ては法律上の正規の名称とは別途に愛称を検討すべきではないかということを申し上げ ました。今回、「ねんきん事業機構」という、法律上の正規の名称が平仮名というのは恐 らく国の行政組織としては初めてであろうと思いますし、大変いろいろと苦労されてい ると申しますか、鋭意検討の結果、最終的にこういう名称になったと承知しております が、親しみやすさという意味から言えば、平仮名名称というのはソフトで親しみやすい という点では確かにメリットがあると思うわけです。  地方組織につきましても、法律上の名称は、ここにもありますように、恐らくはこう いうことしかないと思うのですが、多くの国民の方々が届け出とか、相談とか等でしょ っちゅう出入りするところですから、わかりやすい、親しみやすい、そういう愛称をぜ ひ真剣に検討していただいて、それを定着させるように努力をしていただくということ が社会保険の仕事について、公的な社会保険について、国民の多くの人たちの関心を少 しでも強く持ってもらう、そのことによって組織運営全体に裨益するところはプラスに なるということだろうと思いますので、愛称は単なる表現上簡単にというだけのことで はなくて、関心を持ってもらうためにもぜひいろいろな観点から検討していただく価値 があるだろうと思います。  ちなみに、この場で申し上げていいのかどうかわかりませんが、最近、行政学とか、 法律学の、ここにも大学の先生がいらっしゃいますが、そういう研究者の学者の方々か ら、たまたま私の属している団体がそういう系統の専門の先生方と接触が多いものです から、そういう意味で申し上げるのですが、社会保険の新しい政府としての方針が今い ろいろ検討されているということは皆さんよく御承知ですから、そういうことについて 資料的なものがあったらぜひ欲しいという、実は私のところへ照会があるんですね。そ れは本来、社会保険庁とか、厚生労働省がおっしゃっていただく話なんだけれども、た またま接触が多いものですから、そういう意味で、かつ、私はこういう有識者会議とい うところのメンバーになっているということがどうもマスコミに報道されたということ が原因のようですが、何人かの先生方から照会がありました。この場でいただいたよう なものをコピーして差し上げますと、大変喜ばれるんですね。  これは恐らく、学者のそういう行政法とか、行政学とかの勉強を専門的にやっていら っしゃる方々が関心を持って、いろいろなことをまずは勉強したいと。その上で、学者 としてのいろいろな意見や分析をされるための材料にされるということであろうと思い ますので、大変結構なことだと思うんですね。そうした専門の研究者の方々からの意見、 提言というものが今後だんだんと、これまでももちろんありましたが、すそ野を広げて 出てくる、膨らんでくるということが制度全体のよりよい発展のためにも有意義なこと だと思いますので、そういう意味でも一般の国民の方々に社会保険の仕事に対して、こ れは文字どおり自分たちの利害に関することになりますので、より一層関心を持っても らうためにも、ネーミングの問題ということは、単なる言葉以上の価値があると思いま すので、改めて今後の検討を要望しておきたいということであります。  杉山委員 ちょっと質問もかねてなんですが、この『知っていますか?「国民年金」 って、実は…』というパンフレット、幾つかあって、説明を伺ったときにはできるだけ 混乱のないように一つのパターンで同じような情報を、国の社会保険庁からも出ている し、社会保険事務所からもつくるというようなことはもうしないというようなお話は伺 っていて、それはいいなと。シンプルな方がいいと思いますし、メッセージは的確な方 がいいと思うのですが、ちょっと確認したかったのが、特にこれから加入する若い方た ちで、私たちもそうなんですが、本当に受け取れるのみたいな、そういう不安とか、そ ういうことをいつも思っているわけですね。「メリット」というふうにバッと出たときに、 「国民年金は経済の変動にも負けません」というのは確かにそうかと思うのですが、少 子化に負けないのかどうかみたいな、そういう世代間の支えをやっていることのリスク という部分もあると思うんですね。そのあたりも、できればいいことばかりではなくて、 伝えて、そういうこともあるから、だから年金部会とか、いろいろなところで定期的に 改正を行いながら、すべての世代において公平であるように議論しているんですよとか、 そういうような説明もあっていいんじゃないかなという気がしています。  年金を受け取る方たちに向けてのメッセージとかもあるのですが、「あなたの年金は 若い世代の保険料で成り立っています」とか、そういった支えでなっているんですよみ たいなことが伝わるような仕組みというか、そういうメッセージを、できれば今現在年 金を受け取っていらっしゃる方にも伝えていただけたらなというふうに思いました。も うちょっとそのあたりをおやりになるおつもりというか、御予定があるのか、そうでは なくて、普通の民間の保険会社と同じように、メリットだけを言っておくんですよとい うことなのか、そのあたりも教えていただければと思います。  鈴木年金保険課長 今、杉山委員から御指摘いただいたことは、今の年金制度のあり 方ということに非常に基本的な重要なアイテムになると思っておりますので、私ども、 このパンフレット自体はいろいろな現場なり、各界の御意見をいただきながら、逐次改 良してまいりたいと思っておりますので、改良の折には今いただいたようなことも踏ま えて検討してみたいと思っております。  小林委員 質問ですが、資料3−3の3ページの真ん中辺、(2)というところでござい ます。社会保険制度内の連携というところで、ここに書いてあるような事業者等は立場 上、こういう社会保険のスキームにきちんと協力してくださいという趣旨ですね。そう いう立場にあるにもかかわらず協力できないのであればペナルティを与えるということ ですよね。これは気持ちは非常によくわかるのですが、法的に何か問題は生じないので しょうか。ある意味、ちょっといい言葉が見つかりませんが、ある特定の仕事をしてい る人たちに対する差別的な扱いでございますよね。  例えば、税理士がこういうことをしてもそれは問題ありません。公認会計士も問題あ りません。しかし社会保険労務士がこういうことをすると、それは資格剥奪ですよと。 こうなりますよね。そういうことは何か法的制約はないと考えてよろしいのでしょうか。 何となく気になるのですが。  鈴木年金保険課長 ただいま御指摘いただいた点でございますが、お手元の分厚い参 考資料の25ページ、26ページをご覧いただければよろしいかと思います。私ども、こ ういった保険機関なり、介護事業者、あるいは社会保険労務士さんというものがいかに 関係が深いかということだけでこういった措置をとるということではなくて、例えば現 在、保険医療機関なり、介護事業者というのは、診療報酬なり、介護報酬というものを 得て、社会保険の中で事業に参画をしているという立場の方々だと思います。そういっ た診療報酬、介護報酬というのは間違いなく保険料でありますが、例えば介護の保険料 の80%は年金から天引きをされておりますし、今回の医療改革の中で、高齢者医療制度 なり、前期の高齢者の国保の保険料が年金から天引きされるようになったと。こういっ た、ある意味年金が高齢者の生活の主たる財源で、そこからきちんと払っていただいて、 社会保障というものを成り立たせると。今後ますます高齢化が進むと、そういった年金 と医療との結びつきというのは強まっていくだろうと思っています。  そうした中で、こういった社会保険の中で事業をしておられる方々が、例えば自分の 年金の保険料を支払わない。一方でそれを放置しておいて、介護報酬なり、診療報酬と いうのを受けているという状態が続くということが国民の公平感なりにどういうふうに 影響するのかということでありまして、私ども、例えばこういった保険医療機関、介護 保険事業者、あるいは社会保険労務士さんが、ある意味確信的に長期に未納を続けてい る場合、具体的には滞納処分を受け、差し押さえを受けたにもかかわらず、なおかつま だ未納を続けていらっしゃるような場合には、これはある意味ルールを破っているとい うことで、そういう場合には事業の参加資格というものについて一定の御遠慮をいただ くということは成り立つのではないかということを検討してまいりました。そういう一 定の条件下で関係が説明できる方々であれば、それは事業の参加資格という、そういっ た措置が成り立つのではないかという検討結果を得まして、そういう結論をさせていた だいたということであります。  一点つけ加えさせていただきますと、社労士さんと税理士さんの比較ですが、税理士 さんの場合には今、例えば入り口の税理士の登録のところで、税金を払っていらっしゃ るのを不正に免れているという場合には、税理士の登録はできないという規定がありま すが、社会保険労務士の法律にはそれがありません。そういったような若干のアンバラ ンスもありまして、この際、そういったものを是正するという意味を含めて、こういう 措置をとらせていただいたらどうかということであります。  小林委員 考え方はよくわかりますが、法的にも問題ないということでよろしいです か。  鈴木年金保険課長 問題はないと承知しております。  佐藤座長 気になるところですよね。制度上既に先行の事例があるというふうにも伺 っていますのでね。ほかにございますか。  まだいろいろおありかもしれませんが、今日いただいたいろいろな御意見を前提にし まして、これから法案化の作業を進めさせていただいて、ある程度の成案が得られた段 階で、御意見をいただく機会があると思うんですね。その間に当然、政府与党との調整 もありますでしょうし、関連機関との調整もあるかと思います。それを踏まえた次の段 階でまた御説明いただきます。よろしくお願いします。  清水参事官 一点だけでございますが、できましたら本日、この場で法案について、 方向について御了解を賜れば大変ありがたいと考えております。先ほど申し上げました ように、3月10日閣議決定というスケジュールの中で考えますと、いろいろ調整の結果、 変更になりました点につきましては個別に各委員の先生方にお話を申し上げるといった ような形にさせていただければ大変ありがたいと思っております。  佐藤座長 ありがとうございます。したがって、本日の資料のナンバー2、ナンバー 3、ナンバー4、この内容につきまして、本日いろいろ御意見がございましたが、基本 的にはこの方向で確認をさせていただいて、作業を進めたいということですが、よろし いですか。そういう扱いでよろしいですね。  それでは、先ほど既に申し上げましたが、今後、法案化の作業に入りますが、政府与 党、あるいは関係機関との調整はあるかと思います。それはまた次回にでも御報告でき ると思います。  それでは、厚生労働大臣が御退席になると伺っておりますので、もし御発言があれば よろしくお願いします。  川崎厚生労働大臣 今日もまた熱心に御論議をいただきましてありがとうございまし た。特に3月10日、法案提出期限というものを控えた中で、法案について積極的な御議 論をいただいたところでございます。私も先週でしたか、予算委員会で、新聞報道が先 になったと、野党はもちろん、与党も聞いていないという話で随分お叱りをいただきま した。法案提出に向けて与党、関係省庁、また皆様方と最終の詰めを一つずつしていか なければならない。マスコミはどうしても知りたいわけですから、その辺の温度差がご ざいまして、いろいろ先生方にも御迷惑をかけることになろうかと思いますが、いずれ にせよ、期限は切られております。今日、大筋御了解ということをいただきました。そ の都度御連絡をさせていただきながらやらせていただきたいと思いますので、どうぞよ ろしくお願いしたいと思います。  「ねんきん事業機構」という名前につきましては、1月4日に総理が伊勢参拝をされ るときに、総理と話し合いをさせていただいて、決めさせていただきました。そういう 意味ではトップダウンの最終名称決定になりました。愛称につきましては御論議いただ いていますとおり、できるだけ国民の皆様方一人一人の御意見を聞きながら決めたい。 そういう意味では、社会保険庁のこの法案自体が与野党の対決法案にもなってまいると 思いますので、法案が成立するのを前提に名前を決めてしまうということになりますと、 国会に影響も出るかもしれませんので、法案を通した上で、インターネット等、広く御 意見をちょうだいして、愛称を決めたい。  私もこの間、社会保険庁のある事務所を見にいきましたが、正直言って、看板も明確 でございませんので、やはりどういう看板にするか、どういうネーミングにするかとい うのは、事業をしていく者にとってまさに心臓部分であろうと思っております。陶山委 員の御意見にありますとおり、まさに決め手のうちの一つになろうかと思いますので、 しっかりやってまいりたいと思っております。  年金制度全体につきまして、先ほど杉山委員からお話がございましたように、与野党 間での激しい対立、その後の参議院選挙を経ておりますので、年金自体の内容について 十分御理解をいただいていない面が多いのだろうと思います。社会保険庁の不祥事から 始まり、国会議員の未納問題、また、内閣の中で責任をとられる方もいらっしゃった。 野党の党首までおやめになったという中での法案成立でございましたので、国民全体の 関心がそちらの方に行っていて、国民年金制度全体の信頼性というものを国民にしっか りピーアールが届いていない。したがって御指摘いただいたような話なんだろうと思い ます。  そういう意味ではもう少しこの年金制度の信頼性、もちろん昨年から我が国は人口減 少社会に入りました。そういったものも踏まえてしっかり国民にピーアールをして、年 金というものを御理解いただくということが大事だろうと。そういう意味では厚生労働 省として一番大事な仕事であろうと思っております。あわせて信頼と公平性をどう担保 していくか。まさに社会保険庁改革によって国民からの信頼をもう一度取り戻すという のが第一であり、公平性という面におきましては、4月末を目途にいたしておりますが、 共済年金と厚生年金の統合、サラリーマンの皆さん方はどこへ勤めようが同じ負担、同 じ年金をもらうという形で整理をしていきたいと。その考え方も4月末にはまとめます ので、多分この社会保険庁の法案を御審議いただくときに、半分ぐらいはこの共済・厚 生年金の統合問題というのは国会の場で論争をいたすことになるのであろうと思ってお ります。  そういった意味では、2年前に成立いたしました法案のピーアールから始まりまして、 今年また国会の議論を通じながら国民に年金というものを御理解いただけるよう、政府 としても賢明に努力をしてまいりたいと思っております。  併せまして、法案の作業が続く一方で、業務改革と職員の意欲という問題が事業の前 提でございますので、その問題をまた委員の皆さん方のお知恵を借りながら中身を詰め ていかなければならない段階を迎えてきているのだろうと。そういう意味では、並行し ていろいろなものが走ってまいりますだけに、大変忙しい作業になると思いますが、い ずれにせよ、国民の期待にこたえるものにしていかなければならないということで、ど うぞ今後とも御指導を賜りますようお願い申し上げまして、御礼にかえさせていただき ます。どうも今日はありがとうございました。それでは会合があるので失礼します。  佐藤座長 それでは、私どもは引き続きまして、業務改革のフォローアップに関する 検討に移らせていただきたいと思っております。まず事務局より資料の御説明をいただ きましょうか。  清水参事官 業務の改革、議題の第2でございます。既に御承知のとおり、業務改革 につきましては、緊急対応プログラム、業務改革プログラム、この2つのプログラムに 基づき、合わせて120項目にわたりまして取り組みを進めているところでございます。 また、業務改革プログラムの中には四半期ごとにフォローアップを行うという旨を盛り 込んでいただいているところでございます。  本日は、昨年来から申し上げてございますように、業務改革のフォローアップをお願 いしたいということであります。お手元の資料、横紙、資料5−1、5−2ですが、時 間も大分詰まっておりますので、説明は簡単に申し上げまして、また御論議を賜りたい と思います。  吉岡改革事務局次長 お手元、資料5−1が業務改革の取組状況の概要、5−2が120 項目の項目ごとに整理をしたものでございます。資料5−1の概要に沿って、ポイント のみ説明させていただきます。  まず1ページ目ですが、1つ目の柱、国民サービスの向上であります。お客様の声に 対応していないと言われていたサービスですが、長官への手紙、長官へのメールという ことも実施してまいりました。300件を超える手紙、6,000件を超えるメールをいただい てきたわけでありまして、一番下、実施状況にありますように、こうして寄せられまし た具体的な御批判、御意見につきましては、その対応状況をホームページで定期的に公 表いたしております。そしてしっかりと業務改善につなげる取り組みを徹底してきたわ けであります。その結果ですが、(3)にありますように、定期的な「お客様満足度アンケ ート」の調査結果を見ますと、「満足」あるいは「やや満足」と答えた方が年金相談窓口 では89%、総合相談窓口では83%というような状況になっているところであります。  2ページ目ですが、年金相談体制であります。右側の実績にありますように、毎週月 曜日の時間延長、毎月第2土曜日の休日相談、あるいは年金電話相談センターや中央電 話相談のブースを増やす、「ねんきんダイヤル」というものを設けるといった取り組みを 行ってきたわけです。  その結果ですが、年金相談窓口の待ち時間、15分未満が76%というふうに改善いたし ております。30分以上がまだ9%ありますので、さらに短縮に努めていきたいと考えて おります。また電話応答率ですが、20.5%という非常に低いレベルでありましたが、昨 年12月の結果を見ますと91.3%ということで、飛躍的に充実をしているところであり まして、今後、その定着を図っていきたいと考えております。  3ページ目、年金個人情報の提供ですが、これまでインターネットによる年金見込額 試算、あるいは58歳到達者に対する年金加入記録のお知らせ、また希望者への年金見込 額のお知らせ、裁定請求書の事前送付というものにつきまして、ご覧のとおりの件数を 実施してきたところであります。今後さらに、一番下にありますように、見込額試算の 対象年齢を引き下げ、またインターネットにつきましても、大山委員御指摘の点への配 慮も十分に行いながら、年金加入記録の即時提供というものを行っていく。それから中 間点通知、ポイント制の導入と着実に実施をしていきたいと考えております。  4ページですが、この会議でも様々な御指摘をいただきました通知書類の見直しであ ります。発送件数等の多いものから優先的に見直しを行ってきたわけでありまして、こ れまで被保険者関係につきましては33のうち15種類、受給者関係につきましては56 種類すべてで実施済みという状況です。今後、第三者によるモニター制度を活用して、 より利用者の視点に立った見直しを行っていきたい。それからまた、様式、添付書類の 統一化につきましては、全国共通の「業務マニュアル」というものを作成する必要があ りますので、そういう作業とともに進めて、18年の10月からは新様式への統一化を図 っていきたいと考えております。  次に5ページ目ですが、事務処理のスピードアップを図るために「サービススタンダ ード」を設定しております。実績につきましては右側の欄にありますように、84%から 98%というような到達状況であります。平成17年度の達成状況全体を今年の5月に公表 する予定ですので、その際あわせて、どういう点が問題なのかという点を精査の上、改 善に向けた対策を改めて徹底していきたいと考えております。  保健事業につきましては全国で新たに128の医療機関を健診機関として指定をし、拡 大するという取組みも進めております。  6ページ目ですが、2つ目の大きな柱、年金制度の周知徹底ということであります。 その下、今後の取組みにありますように、総合カタログ、あるいは目的別のパンフレッ トというものを作成いたしまして、お手元に配布しておりますが、先ほど杉山委員の方 からも御紹介のありましたものをつくらせていただいております。こうしたものを事務 所での窓口配布、あるいは戸別訪問の際の配布を行っているわけであります。さらに今 後、市町村窓口での配布の拡大を検討する、あるいはその内容につきましても、先ほど 御指摘いただいたような点を含めて改訂をしていくということで、より幅広い利用を進 めていきたいと考えております。  また、公開講座、あるいは大学生向けの年金セミナーにつきましても、順次全国展開 を図るなど、ご覧のように、18年度、19年度もさらに取組みを進めていきたいと考えて おります。  次に7ページですが、3つ目の柱は保険料収納率の向上であります。15年度から18 年度にかけまして、ご覧のような取組みを進めてきているところであります。特に平成 16年10月から、市町村からの所得情報の取得開始、あるいは行動計画の策定というこ とで、以後本格的な取組みを行ってまいりました。特に平成17年度、様々な取組みを徹 底した結果でありますが、17年12月時点で見ますと、対前年度比2.9%増ということで、 確かな改善が見られるような状況になっているところであります。  次の8ページ目からが収納率向上のための具体的な取組みであります。まず保険料を 納めやすい環境の整備ということでは、実績の欄にありますように、コンビニエンスス トア、あるいはマルチペイメントによる納付はそれぞれご覧のような数字の状況であり ます。今後、先ほど法案の説明にありましたように、クレジットカードによる納付とい うものを可能とし、(2)にありますような口座振替率、クレジットカード払いと合わせて 50%にするという目標に向けての取組みというものを進めていきたいと考えております。  次に9ページ目ですが、強制徴収の拡大等ということですが、これまで、15年度で1 万件、16年度で3万件という状況でありましたが、17年度につきましては14万件と大 幅に拡大して進めているところです。  中ほどの実施状況のところにありますように、これまで最終催告状を、17年度で12 万件余り出しております。17年度の状況を見ますと、その過程におきまして、納付・一 部納付となった方が2万4,000件余りという状況につながっているところでございます。 なお、これにつきましては12月末現在の途中経過の数字ですので、今後さらに増えてい くことになるわけであります。  今後ですが、18年度は最終催告状を35万件とし、近い将来にはそれを60万件にまで 拡大することとしております。  10ページですが、年度別の行動計画につきましては、19年度の目標80%に向けて各 社会保険事務所におきまして具体的な行動計画を策定しながら、取り組みを進めており ます。その際、民間委託として、市場化テストのモデル事業を活用するということで、 18年度につきましては17年度の5カ所から35カ所に大幅に拡充する。また現在、公共 サービス効率化法、市場化テスト法というものが国会提出をされているところであり、 モデル事業終了後には、この法律に基づき市場化テストを実施していくということで考 えております。  11ページ目が4つ目の柱、予算執行の無駄の排除ということでありますが、3つ目の 丸のところにありますように、調達委員会の設置ということで厳格な審査を行い、これ まで89億円余りの予算の削減を図ったところであります。当初計画額にいたしますと約 9%の減ということですが、一番上にありますように、17年度の削減目標は10%以上と いうことでございますので、引き続きこの達成に向けて努力をしていきたいと考えてお ります。  12ページ目が5つ目の柱、個人情報保護の徹底です。これまで(1)、(2)、(3)のような取 組みというものを順次進めてまいりました。また昨年12月には職員に対する処分という ものを行ったところでありまして、これをいわば生きた教材として、さらに実施の徹底 を図っていきたいと考えております。  6つ目の意識改革の徹底ですが、この会議の議論を経て、人事評価制度を導入いたし ました。19年度の全職員を対象とする本格実施に向けまして順次進めてまいりたいと考 えております。また、(2)にありますように、内部改善提案制度につきましては、職員か ら1,000件を超える提案がなされております。今後さらに、現場の声をもとに業務の改 革というものをきちんと進めていきたいと考えております。  最後に13ページですが、業務改革の全体の進捗状況を整理いたしておりますが、120 項目のうち86項目が今年度までに実施予定とされているものであります。このうち71 項目につきましては1月末現在で既に着手済みということでありまして、残りの15項目 につきましても早期の実施に向けて現在検討中という状況です。また次回の会議では2 回目のフォローアップ結果というものを御報告し、御議論いただければと考えておりま す。よろしくお願いします。  佐藤座長 ありがとうございます。第1回目のフォローアップということでございま すので、いろいろ御意見はおありかと思いますが、いかがでございますか。  陶山委員 年金相談体制の問題ですが、短い期間にかなり体制面で充実を図ってこら れたということが理解できますので、大変結構なことだと思いますが、ここで教えてい ただきたいのは、実績の全国共通の電話番号による「ねんきんダイヤル」、これは民間の 大きな会社では、消費者センター的なところは全国共通の番号で対応しているというと ころはかなり多いわけでありますから、ある意味では当たり前でありますが、これは具 体的には、この電話番号にかけたときに、高井戸のセンターとか、あるいはそれぞれ地 域ごとにある電話相談センターとか、そういうところにつながるという、そういうふう に理解してよろしいわけですか。  青柳運営部長 お答え申し上げます。この共通電話番号に電話していただきますと、 例えば、この下に書いてあります年金をお受けになっている方の御相談というところが あります。こちらの方におかけいただきますと、基本的には高井戸にあります社会保険 業務センターの方に第一次的にはつながります。ただ、そちらの対応状況が、電話がい っぱいであるという状況の場合には、地方の電話相談センターに転送されるといったよ うな形になっております。  陶山委員 請求の方はどうですか。  青柳運営部長 年金請求などの御相談ということで、こちらの05の番号の方でござい ますが、こちらの方は基本的に地方の事務局に設置しております電話相談センター、そ ちらの方に第一次的に着信をすると。そういった分担の中で双方補いながら、全体とし ての電話相談をしております。  木村委員 今御説明を伺っていますと、電話の応答率もそうですし、収納率もそうで すし、かなり大幅な向上が図られて、非常に望ましい方向に向かっているなという感じ が非常にいたします。前との比較ですから、例えば応答率なんかは前が悪過ぎたという こともありまして、普通になったかなというところなんですが、ブースの増加ですとか、 あるいは率の向上でも、どういう点が向上に一番寄与したか、こういうようなことをチ ェックしながらさらなる向上に向けて対応を図っていく、こういうところをきちんとや っていけば、もっとそれぞれの数値は向上していくのではないかと思います。以上です。  佐藤座長 だめだったというのもあるんでしょうね。やってみたけど、結果として見 たら余り意味がない。  木村委員 なかなか難しいんですけどね。わからない要素もありますので。  青柳運営部長 若干補足させていただきます。応答率については昨年の水準からする と改善の傾向が見えるわけでございます。それに加えまして、このネットワーク化をし たことによりまして、全国のセンターがそれぞれどのように稼働しているのかというこ とについて私どもで把握ができるようになってまいりました。そういったことの分析も 踏まえながら、今後、応答率のさらなる改善も検討してまいりたいと思っております。 これも季節変動がございますので、ここに出ている数字が通年でこういう数字が出ると いうことではないと思っております。今後さらに改善していきたいと思っております。  さらに応答の質そのものでございますが、電話相談につきまして、私どもモニター調 査を実施することにしております。覆面モニターを実施いたしまして、応答の状況、内 容等について、適切かどうか評価をした上でさらなる改善を図っていくと。こういった ようなことも取組んでいきたいという予定にいたしております。  佐藤座長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。  杉山委員 6ページの年金制度の周知徹底のところなんですが、ずっと私はこだわっ ているのですが、教育というのはすごく大事、年金教育はすごく大事だろうと思ってお りまして、先ほどの発言とも関連するのですが、制度に対する不信感というのが若い人 を中心に根深く残っているところをしっかりと理解していただいて、強制徴収されてし ぶしぶ払うのではなくて、これは国民として払うことなんだということを納得して支払 ってもらえるような、そういう働きかけというのは実は物すごく大事なんじゃないかと 思います。  片手間というか、忙しい仕事の合間に、そういえばホームページやらなきゃねとか、 教育のことを考えなきゃねというのではなくて、一つの大きな柱としてこの年金教育を どうしようかということを考えていただけたらなと思います。  それに対して具体的な提案としては、中学生とか高校生ぐらいの子供たちに年金につ いてきちんとおもしろ楽しく、わかりやすく伝えることができる担当者という人を2人 とか、1人じゃなくて5〜6人ですかね。ちょっと養成していただいて、何人でもいい のですが、そんなに何人もいても仕方ないかもしれませんが、とにかくそういうことが できる人というのを養成していただいて、子供にわかるということは多分大人にはきっ ちり伝わると思いますので、前段のお話で、授業に1コマもらって行くことがあります とおっしゃられたのですが、多分子供たちは忘れていると思います。「いや、そんなこと はない」というんだったら反論していただけたらと思うのですが、それぐらい丁寧にカ リキュラムをつくっていただけないかなと。  文部科学省を当てにしてはいけない。ここにいないのでいいのですが、ちゃんとつく ってほしい。それがないと、ホームページ上にキッズページをつくりますとか書いてあ りますが、そういうのが全然生きてこないと思うんですね。少し当面大変かとは思うの ですが、それをやっていただいて、信頼を回復するための教育みたいなところを考えて いただけたらなと思います。以上です。  鈴木年金保険課長 ありがとうございます。従来からありがたい御指摘をいただいて おりまして、私ども、それは頑張りたいと思っております。一つは、中高生を相手にわ かりやすく、できればおもしろおかしく教育をする方ということでありますが、今、各 地で学校の先生のOBを専門員に任命して、そういった教育も進めていただく取組みを 進めておりまして、そういった専門員の人材の中で、先生がおっしゃったような、わか りやすくおもしろく教えられるような方などにも目配りしながら進めていきたいと思っ ております。  学校教育の中にありますと、文部科学省の御協力がどうしても欠かせませんので、こ れは私どももまた粘り強く文部科学省にもお願いしつつ、ただ文部科学省頼みというの ではなくて、私ども自身もまた努力をしてまいりたいと思っております。  佐藤座長 NHKの子供ニュースがあるでしょう。ああいうところに取材してほしい ですよね。NHKさんに協力していただいて。その影響力は大きいと思うんですよね。 そうすると子供の目で見る。私どもが大人の目線で考えて理解して欲しい点などを与え ても、大人は結構ひとりよがりだから、なかなか通じないということがございますので、 ひとつまたよろしくお願いします。ほかにどうでしょうか。  小林委員 強制徴収のところ、9ページで、かなり実績を上げていらっしゃるわけで すが、ここに「十分な所得や資産がありながら度重なる納付督励にも応じない」とあり ます。この辺はやはり恣意的にやるわけにもいかないんだと思うのですが、「十分な所得 や資産」というのは定量的にどういうレベルなのかとか、あるいは「度重なる」という のはどのくらいなのかとか、督促にもかかわらず払わない人に対して差し押さえ予告を するというのはどういう場合なのかとか、予告をしながら差し押さえをしない人もいる ようですので、予告をしたうち、どういうレベルの人を差し押さえるのかといったこと につき、定量基準があるのかないのか、大体イメージとしてどのくらいのレベルなのか、 もしわかれば教えていただきたいと思うのですが。  鈴木年金保険課長 所得ですが、私ども、一つの今の目安といたしましては、各地の 県民所得の平均程度以上ある方というものを目安にさせていただいております。基本的 には、免除の方以外は納付期限があるので、そういった方々には基本的に勧奨して、応 じていただけない場合には強制徴収というのが本来の姿でありますが、これまでも何度 か御議論いただきましたように、今の人員体制に限界があるのも事実ですので、一つは そういった基準をつくりながら、なるべく未納者全体を減らしていって、そういった所 得の料金をより緩和していくと。未納期間の問題についても、今は長期にわたる未納か ら重点的に強制徴収しておりますが、また期間についても緩和していきたいということ で、エリアを広げていくということはしていかないとならないと思っております。  そのほかで、「度重なる」ということですが、もしよろしければ、先ほどの法案の関係 の参考資料の17ページ、後でご覧いただいても結構でございますが、私ども、強制徴収 に至る前に、まず最終催告状の送付というものを出しておりまして、それでなおその指 定期限までに納付がない方について督促状を送っております。督促状の御案内にも当然 指定期限がありますので、その指定期限にない場合には今度は差し押さえる予告をいた しまして、その間に財産調査をいたしますが、口座等をそこで調べて、期限までに納付 がない場合には差し押さえると。こういうことになっておりますが、この間、単純にと にかく差し押さえを目指してやるものではなくて、きちんと自主納付をしていただくと いうのがまず目的ですので、そういった確約をいただいた方には、では具体的にどうい う計画で納付をしていただくのかということを明らかにしていただきながら、それがは っきりと確保できれば差し押さえには至らないと。こういうような基準でやらせていた だいているということであります。  稲葉委員 12ページの意識改革の徹底のところの「能力主義・実績主義に立った新た な人事評価制度の導入」に関してですが、昨年の10月から試行を管理職等を対象に始め て、いよいよ18年の4月から本格実施を管理職に対してするということなんですが、そ れしかとりあえずはここには書かれておりません。実際にその意識改革にどういう形で つながっているのかということをどういうふうにして検証していくのか。あるいは試行 ということですので、とりあえず試行してみての評価と言いますか、そういうものにつ いてどういうふうにお考えになっているのか。例えば現に試行の対象となった方々から 意見を聴取するとか、そういうことをやられているのかというような点をお話しいただ ければと思います。  石井総務課長 試行に入っていく中での試行対象者、この者を中心とする受けとめの 状況を、御報告申し上げたいと思います。試行そのものの、そのやり方も含めてですが、 既に1回、対象者に対してアンケートを行っております。それは昨年の10月から11月 にかけてでありますが、全国、管理職にある4,700名が試行の対象になっているわけで ありますが、全員に10月から11月にかけて、いわば目標の設定というのをしてもらっ ております。  目標の設定に関しましては、この会議でも御報告申し上げたように、いわば1次評価 者との面談、その結果を2次、3次の評価者に報告をするというようなことを通じてや ったわけですが、これら一連のものが全国的に行われて、若干の時間を置いたところで 実際、目標設定というものを初めて経験したわけでありますが、やってみてどういうよ うな印象、あるいは問題意識を持ったかということについてのアンケートを、昨年の年 末にやっておりまして、現在、集計中ですが、おおよそのところをまとめてきていると ころであります。  さらに、3月末まで待つわけにもまいりませんので、実は少し時期的に前倒しという ことで、年末に到達するであろう状況というものを想定してもらった上で、一応評価期 間が終わったという仮定のもとに、今度は達成状況についての面談、ヒアリングという ものを行っております。  予定ですが、今月中にその点についてのヒアリング、そしてアンケートを行いまして、 その結果を3月、できるだけ早く取りまとめていこうと思っております。この目標設定 の段階、目標評価、設定された目標に対する実績評価、そういうものについての実際と アンケート調査の結果、これをセットにいたしまして、それで組織の方にフィードバッ クするなりして、そして本格実施に向けての参考にしようと。  また、こういうような取組みと並行いたしまして、本庁、地方支分部局の一定の幹部 で10名程度からなる人事評価制度運営会議というものを近々立ち上げることにしてお りまして、ここにもそういうようなレビューも含めた報告をし、それから本格実施に向 けた提言もこの場面でももらっていくというようなことで、両様相まって本格実施に向 けていきたいと思っております。  意識改革にどのくらいそのような取組みが有意義に反映したか、その点についての御 報告ですが、今日の資料1にも書かせていただいたわけでありますが、次回、4月のこ の会議において、そうしたことについての御報告をぜひともさせていただきたいと思っ ております。  稲葉委員 私が申し上げたのは、今の時点でもう既にこういうふうに意識が変わりま したというようなことを聞こうと思ったわけではなくて、それをどういうふうにして検 証していくのかということをお聞きしたので、今のお答えで結構です。  佐藤座長 いかがでございますか。ほかに関連してございますか。あるいは何でもよ ろしいですが。御質問はよろしいですか。  大山委員 直接今の話とは関係ないことで申しわけありませんが、今後の予定を見る と次回ぐらいにシステムの話が出てくるようですので、一つ確認をさせていただきたい と思います。年金局長もいらっしゃいますので、確認をさせてください。  従来のやり方ですと、制度の変更が決まるとすぐに、変わった制度に対応したシステ ムを動かしていたと思います。このやり方では、システムの刷新化によりオープン化し てシステム自身を柔軟にしても、新たなソフトウェアの作成は間に合わないと危惧され ます。、今回、法律等に関する話が出てきていますが、制度変更が決まってからシステム を稼働させるまでの時間的な猶予がなければ、前もってソフトウェアを開発しなければ ならないため、無駄な大幅な変更がありえることとなり、結果として大きなコストダウ ンは望めません。このことに関する対応は、法令等に関係するのか、あるいは運用だけ で何とかなるのかは未だ判断できませんが、基本的な考え方が出てきたときには間に合 わない可能性があるので、この場で確認をさせていただきたいと思います。  渡邉年金局長 年金制度改革とシステムの更新なりとの業務サイクルをきちんと両面 にらんでタイムスケジュールを立てるべきだというのはおっしゃるとおりだと思います。 ともすれば、ずっと私ども、今までの行政、長いこと振り返ってみれば、法律制度なら ずとも、政省令・告示に至るまで、変えて即、と言っても1カ月後ぐらいに実施という ようなことで、システム系統に非常に負荷がかかった、あるいは誤りも発生したとか、 そういうことは昔はよく見られたように思います。  少なくとも年金改革に関して言いますと、そういう要素がなかったと振り返って言い 切れるほどの自信はございませんが、今般の16年改正にしましても、8段階に分けて最 も早い実施の場合でも、保険料率の引き上げというシンプルなところだけが3カ月後ぐ らいに始まって、大変システムに負荷がかかる離婚分割のようなものについては平成19 年、平成20年ということで、3年、4年置いて、その間に順次システムの整備をしてい く、こういうことをさせていただいております。  今般、国民年金事業の改善のための収納対策等含めた法律案も組織改革法と合わせて 出しますが、この中の個別の項目につきましても、平成23年と書いてあったり、20年 と書いてあったり、やはり私どもの業務センターのシステム関係の事情もよく聞きなが ら、他方、余り漫然と関係の企業その他と相談をして、時間がたっぷりあり過ぎるよう なことというのもよくないのですが、そこはお互い緊張感を持ちながら、しかし1カ月 や2カ月ですぐ実施というような、今のシステムの常識からするととても無理というよ うなことは決してしないように配慮してきているつもりでありますが、引き続きそれは 強く意識していくところだと考えておりますので、改めて個別具体の話も含めて今後御 指摘いただきたいと思っております。  佐藤座長 特に注意を喚起されたと思いますけれどもね。よろしくお願いします。い かがでございましょう、ほかに御意見はございますか。今日のところは大体よろしいで すか。  それでは長官、御意見があればどうぞ。  村瀬社会保険庁長官 大臣が先に失礼させていただきましたので、私の方から皆さん 方にお礼を申し上げたいと思います。今日は様々な形で御議論賜りまして、まことにあ りがとうございます。先ほど大臣からお話がありましたように、3月10日閣議決定とい うことで、組織法と業務改革法を提出する必要があります。これから最終詰めに入りま すので、また法案がまとまった段階で皆様方の御意見、個々にですが、お伺いをしたい と思います。  社会保険庁の改革、解体的な出直しということで、最終的に残る部分が組織の部分で ありますが、本来、職員の意識と業務の改革、これと組織と、この3点があって初めて 改革はできるんだろうと思っております。その絵姿が今回御議論いただいた部分だと思 います。  その中で、特に国民年金の収納という観点も含めて、業務改革法の中で、本来社会保 険庁が従来の仕組みの中でしっかり業務をやるのに加えて、さらに収納率が上がるよう な仕組みを加える、また事務処理面でもさらに効率化をするために、現在、保有されて いるデータをうまくシステム上使うという、こういうものも中に入れた上での改革法案 という形になっていると思っております。この法案の趣旨を生かしながら、我々として は現在の業務をしっかりやっていくということが極めて大切だろうと思っております。  特に我々、実施庁ですので、現場が極めて大切であります。現場が使命感を持って仕 事できる組織になり得るかどうか、これが一番のポイントだろうと思っておりまして、 その点では、先ほど申し上げました職員の意識改革と業務改革、これが一緒になって変 わらないと、意味がなかろうと思いますので、4月にもまた御報告申し上げて御議論い ただきますし、7月でもまたいただけるということで、ここは極めて私自身大切だと思 っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  本日は本当にありがとうございました。  佐藤座長 それでは予定の時間が参りましたので、これで閉会させていただきますが、 次回につきましては、先ほどご覧いただきましたように、4月、連休前あたりを想定し ておりますが、改めてスケジュール調整をすると思います。ひとつよろしくお願いいた します。  それでは長時間にわたり本日はありがとうございました。 (了) 【照会先】  政策統括官付社会保障担当参事官室   津曲、川島   03−5253−1111   (内7702、7708)