06/02/09 平成18年2月9日先進医療専門家会議議事録  06/2/09 平成17年度第8回先進医療専門家会議議事録 (1)日時  平成18年2月9日(月)15:00〜 (2)場所  厚生労働省18階 専用第22会議室 (3)出席者 猿田享男座長 吉田英機座長代理        越智隆弘構成員 片山容一構成員 金子剛構成員 佐伯守洋構成員        笹子充構成員 田中憲一構成員 田中良明構成員 谷川原祐介構成員        辻省次構成員 福井次矢構成員 渡邊清明構成員 <事務局> 企画官 薬剤管理官 他 (4)議題  ○先進医療の科学的評価(12月受付分)について ○先進医療の届出状況(1月受付分)について ○その他 (5)議事内容 ○猿田座長 時間がまいりましたので、第8回先進医療専門家会議を始めさせていただき ます。委員の先生方、お寒い中、お忙しい中を御出席いただきましてありがとうございま す。まず、構成員の出欠状況ですが、赤川構成員、飯島構成員、竹中構成員、坪田構成員、 寺岡構成員、永井構成員、樋口構成員が御欠席です。あと、2、3の先生方がおくれて到 着されると思います。  それでは、早速ですが議事に入らせていただきます。12月に届出のありました新規技術 に関する審議に移りたいと思います。今回提出されております先進医療の内容及び事前評 価をお願いしていた先生方の御意見が事務局に届けられておりますので、その状況につき まして、事務局より説明をお願いします。 ○福田企画官 それでは説明させていただきます。資料の先−1「先進医療の届出状況に ついて(12月受付分)」をごらんください。  12月受付分は、整理番号20番と21番の2件でございます。  まず、整理番号20番は先進医療名は「気管・気管支周囲病変に対するコンベックス走査 式超音波気管支鏡ガイド下針生検」で、適応症は「気管・気管支周囲病変の診断」で以下、 即ちということで大きく3つのカテゴリーに分けて届出が出されてございます。費用の内 訳は、先進医療の関係部分として6万5千円、そして、保険から給付される特定療養費に 係る部分として、これは入院33日間126万4千円という形になっております。これは生検を した後、肺がんの手術をしているということでその部分を含んでおりますので、非常に大 きな数字になっているようでございます。これは届出の書類を見るとそのような内容にな っておりました。  それからもう一つの方の整理番号21番は、届出医療機関からの先進医療名としてはこち らに書いてあります長い名前になっていますが、具体的には、ヘリコバクター・ピロリの 耐性の遺伝子検査に基づくテーラーメイドのヘリコバクター・ピロリの除菌療法というこ とでございます。適応症につきましては、ここに書いてございますが、「ヘリコバクタ ー・ピロリ感染を伴う胃潰瘍等」ということでございます。また、ヘリコバクター・ピロ リの除菌が有効である特発性血小板減少性紫斑病、を適用として書いてございます。費用 は、先進医療費用として1万6千円。そして、特定療養費分として5万9千円、これは通 院3日間の内容ということです。  2ページをお開きいただきますと、具体的な技術的な評価につきまして後ほど構成員の 先生方にお願いをすることになるかと思いますが、概要を整理したものが2ページ目でご ざいます。20番は気管支鏡のガイド下生検ですが、こちらについては、その他のところを ごらんいただきますと、事務局の事務的対応ということで、すでに保険適用されている技 術であるということを確認させていただいたということでございます。  基本的には超音波がついて、周辺組織を超音波によって物が確認できるというところ、 そこの機能が付加されたところでの気管支鏡によるガイド下生検、そこの超音波の部分が プラスアルファの部分であるという届出であったわけですが、これについては既に平成16 年に保険適用の届出が出されておりまして、A2区分でファイバースコープについてもそ ういう対応が既になされていると。技術料の方はそういった中で、既にそれに関連する技 術料が出ておりますので、そういった形でこの技術については保険を既に適用されている 技術であるという形で現時点では整理をさせていただくのが適当ではないかということで ございます。  ただ、こういった超音波で周辺組織をいろいろ見ながらやれるという部分、これについ てはさらに付加的な加算とか、技術的な面での評価があり得べきものである、ということ になりますれば、これは既存技術の評価、再評価という枠組みの中で医療技術評価分科会 なり、そちらの方でいずれその必要があれば御審議をいただくといった流れになるのかな と、事務局としては整理をさせていただいておるところでございます。  それから、21番でございますが、ヘリコバクター・ピロリの除菌療法に係る遺伝子解析 ということでございます。こちらの方は総評としては「適」となってございます。詳細に つきましては、後ほどということでございますが、その関係の資料が3ページ以降、別紙 としてつけさせていただいているところでございます。  事務局から12月受付分の届出状況についての概要の説明は以上でございます。 ○猿田座長 どうもありがとうございました。今お話ありましたように、12月受付分は20 と21ということで、今、福井先生お見えになりましたけれども、整理番号の20は今お話あ りましたように、新しい部分としては、コンベックス走査式の超音波気管支鏡ガイド下、 ここの部分だけであって、ほかのところは既に保険適用の技術として認められているとい うことですが、福井先生、よろしいですか。何か意見がございますか。先生方もこれはよ ろしいでしょうか。そういった形で、特殊な超音波の検査のところだけの部分で、もし、 それを特殊に扱っていくとすれば、また別に検討していこうということで、今のところは 技術としては保険適用をとられているところの生検ということでいけるそうですので、福 井先生もそういうことでよろしければ、その形で処理をさせていただきます。  そして、21番のピロリ菌の方は私が担当したものですから、早速御意見をいただきたい と思いますけど、次のページを見ていただきますと、皆様方御存じのとおり、ピロリ菌は ここに書いてあるとおり、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃ポリープ、最近では、特 発性の血小板減少症にも、このピロリ菌感染症が関係しているということで、全体とする と、ここにありますように、ピロリ菌の感染症という形での適応症になると思います。  そして、一番は治療ということで非常に問題になるわけですが、これまでの治療という と大体三者併用ということで、クラリスロマイシンと、アモキシリンと、それからプロト ンポンプインヒビター、その3つの併用ということで治療効果を上げていましたが、最近 になってだんだん耐性というか、効きが悪くなっているものがかなりあると。それでいろ いろ調べていくと、今申し上げましたクロリスロマイシンに対する耐性の問題と、それか らもう一つは、プロトンポンプインヒビターの代謝に関係する酵素の遺伝子多型を見てい くとそこのところでのかなりの違いがあって、その2つのところのかみ合わせで除菌の問 題が変わってくるということに気がつかれて、いろんな先生方が検討されたんですが、そ こでこの新技術の先進性というのは、現在保険で認められている標準療法と異なって除菌 不成功の要因を遺伝子検査で、事前に検査して、個別化した治療を行って除菌率を上げる 点で先進性があるということです。実際に全国の消化器をやっている方々のところでは、 少しでも菌に対する耐性をつくらないということもあって、そういった遺伝的な検討をや られています。これまで、自分の研究費などでずっとやっておられるということでござい ます。  そういったことで、遺伝的な検査をするということで、先進性があるということです。  概要でございますが、現在の標準療法での除菌不成功の要因は、ピロリ菌のクラリスロ マイシン(CAM)の耐性と、プロトンポンプインヒビター(PPI)の代謝酵素であるCYP2C19の遺 伝子多型のところにある。そこで、ピロリ菌の23SrRNAの遺伝子変異又は培養法において、 ピロリ菌のCAM耐性を調べて抗生剤の選択を行うことと、代謝酵素であるCYP2C19の遺伝子 多型に応じてPPIの量を設定して個別化した除菌療法を行うことで、合理的な治療ができる ということです。  やることは、内視鏡の検査下で採取した胃粘膜生検組織より、培養法にてCAMへの薬剤感 受性試験を行うこと。また、インベーダー法においてピロリ菌の23RsRNAの2142、2143位の 変異を調べて、ピロリ菌がCAM耐性か否かを調べるということです。さらに、胃粘膜生検組 織、又は血液より抽出したDNAよりCYP2C19の遺伝子多型を検査して、その患者さんにお いて、この代謝が速い(RM)、中間(IM)、代謝が遅い(PM)の3つに分類し、それによ ってPPIの投与量を調整することができるということになるわけです。  ピロリ菌がCAM感受性ならば、アモキシシリン(AMPC)は1.5g、CAMは0.6gを投 与し、PPIはRMではランソプラゾール90mg、IMでは45mg、PMでは30mgの1週間投与で 効率的に治療できるということです。ピロリ菌がCAM耐性であればAMPC2.0gに加え て、RMではランソプラゾール120mg、IMでは60mg、PMでは30mgを2週間投与する。と いう、投与量と投与期間の両方を調節することによって、効率的に治療できる。  こういったことでやりますと、標準療法と異なりまして、90%以上の除菌率が得られる ということ。さらに、PMという遅い代謝のものでは薬剤用量が節約できますから、1例 除菌成功例を出すのに必要な薬剤費を標準治療よりも低く抑えることができるというメリ ットも出てくるということで、先進医療に係る費用としては、自己負担が約1万6千円、 特定療養費が5万9千円という形でございまして、これまでいろんなところでやられてい るのも大体こういった形で遺伝的には確かに行えるということで、効率のいい治療で先進 医療として認められるだろうというのが多くのところの御意見で出てきております。  次のページに移っていただきまして、先進技術としての適格性でございます。  先進医療の名称が「ピロリ菌除菌療法に係る遺伝子解析」で、先ほど申し上げたように、 これは感染症となっていますが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、あるいはリンパ腫といっ たものが入ってきますが、適応症として出てきているものはすべて妥当なものです。  有効性は、A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効である。  安全性は、内視鏡ができれば胃の粘膜をとるということ。そして、血液でのDNA抽出 ということですから、余り問題はないだろうということで、A.問題なしとしています。  技術的成熟度は、この分野を専門として経験を積んだ医師又は医師の指導下であれば十 分行えるものであるということで、難しいのは内視鏡の部分ですが、これも専門的な方で あれば問題ないということで、A.とさせていただきました。  社会的妥当性も、A.倫理的に大きな問題はないだろうということです。  現時点での普及性は、罹患率、有病率から勘案して、今どんどん普及してきているので、 全国の消化器専門のところに聞きますと、かなり一生懸命やっているところがあるという ことでございまして、B.ある程度としてありますけども、かなり普及していると考えて いいと思います。  効率性については、B.やや効率的、ということでよろしいかと思いますし、将来の保 険収載の必要性は、当然こういった症例も多いものですから、先に行けば、A.将来的に は保険収載を行うことが妥当であろう。  ということで、総合的には、この技術に関しては「適」とさせていただきまして、将来 的にはテーラーメイド医療の確立ということで保険に導入されるべき技術と考えられると 思います。  次のページに移っていただきまして、この技術の医療機関の要件でございますけども、 「診療科」に関しては、先ほど申し上げましたように、胃の内視鏡をやっているところが 中心になりますので、消化器科、消化器内科、消化器外科、そういったところが中心とな ります。 「資格」は、日本消化器病学会の専門医、日本外科学会の専門医であればよろしいのでは ないか。要するに、内視鏡の技術ということになりますので、ここのところが資格になる かと思います。 「診療科の経験年数」は、伺うと大体1年あれば大丈夫であろうということと、この技術 に関しましても1年やれば大丈夫だということで、1年とさせていただいています。 「技術の経験症例数」ですが、これは多ければ多いほどいいかもしれませんけど、一応3 例あればいいのではないかということで、3例とさせていただいております。  次に医療機関の要件ですが、「実施診療科の医師数」は当然ある程度必要ですので 「要」とさせていただいて、「他診療科の医師数」これは問題ないだろうということで 「不要」。「看護配置」も、外来でできることですので「不要」となっております。 「その他の医療従事者の配置」これも一応こういった遺伝的な技術の問題があるというこ とで、「要」臨床講学技士1名以上ということにさせていただいております。  外来でできますから「病床数」のことは、内視鏡がしっかりできれば問題ないだろうと いうことで「不要」としてあります。 「診療科」の条件は、先ほど言ったような、消化器科、消化器内科、外科という形で、あ と外来ですから「当直体制」も「不要」です。「緊急手術の実施体制」もまず今のところ では問題ないだろうということで「不要」としてあります。 「他の医療機関との連携体制も「不要」であって、「院内検査(24時間実体制)」も「不 要」ということです。  しかしながら、「医療機器の保守管理体制」は「要」、それから「倫理委員会による審 査体制も「要」であり、「医療安全管理委員会の設置」も「要」です。「医療機関として の当該技術の実施症例数」は3症例以上。  その他の要件として、「頻回の実績報告」は必要ないであろうと。結局、今申し上げた ような形で総合的にはこの技術は「適」とさせていただいて、医療機関の条件も今申し上 げたとおりということでございますが、御意見のほど、よろしくお願いいたします。 ○笹子構成員 この遺伝子解析ですが、もう完全に確立されたものなのか、研究的側面を ある程度持っているのか。つまり、これはジャームラインの遺伝子解析で、遺伝子解析で 倫理指針の適用になるのかどうか、その辺のことを伺いたいと思います。 ○猿田座長 私が当たりました2、3の施設においては大体同じようなやり方をとってい て、まずほぼ確立した形でやっているということでございます。 ○笹子構成員 研究的側面はなくて、一応臨床。 ○猿田座長 はい、これまではそういった形でやられてきて、それで積み重ねて来られて、 今そういったところまで来ているということでございます。 ○渡邊構成員 小さいことですけど、この適応症の中にピロリ菌の除菌が有効である特発 性血小板減少性紫斑病とあるんですが、これは有効でない場合はどうなるんですか。 ○猿田座長 これは、今出てきているのは90数%の有効率が得られたということになって いるんですね。一部、有効でなかったときの処置についてはっきりは書かれていなかった んですね。 ○渡邊構成員 僕らも出すんですけど、必ずしもそうでない場合があるんですね。そうす るとこれ、事前にわかって全部100%ならいいんですが、そういう患者さんがいらっしゃる ので、その患者さんは例えば、先進医療でなければ、病院負担とかになっちゃうと、そこ がどこからというのがなかなか難しくなってくるんじゃないかと思いますし、初めに患者 さんに説明するときに……。 ○猿田座長 どこくらいかということですね。ありがとうございます。重要な点で、何か ございますか、そのあたり。 ○福田企画官 先ほど御説明いただいた部分、5ページをごらんいただければと思います が、適応症のところ、今、渡邊先生からお話のあったようなこともある意味で踏まえられ てのことかと思いますけれども、ヘリコバクター・ピロリの感染症という形で整理をされ てございますので、そういった意味では、医療機関からの届出では目的をかなり明確にし てこういう趣旨ですよということで書かれているわけですが、今回の先進技術の部分につ いて言えば、ヘリコバクター・ピロリに感染しているというところであれば、という形で の整理になっているというふうに御理解いただいて、その上で御議論いただければという ように思います。 ○渡邊構成員 ピロリ感染でもこういうふうに耐性になっているかどうかわからないわけ ですよね、感染があるということがわかっても。だから、実際に患者さんはピロリ菌があ って除菌して、治らない場合はどうかという質問だったんですけど。 ○福田企画官 ですから、そういう意味では、適応症で感染症という形で整理をされてい るという考え方を御了解いただければ、事実上、仮に効かなかった場合であってもこれは 治療行為の一環として既に行われているということですので、そこのところは今、先生の 御懸念であります、結果的にこの枠から外れてしまうのではないかというところはクリア されて、先進医療の枠組みの中で進められることが可能と理解できるのではないかと思い ます。 ○渡邊構成員 この有効というのは特発性血小板減少性紫斑病に有効であるという意味で すよね。 ○猿田座長 そうです、おっしゃるとおりですね。 ○福田企画官 縦長の5ページのところをごらんいただければと思いますが、そこのとこ ろで最終的に、今、猿田先生からも御説明がありましたけれども、届出のあった技術の部 分について、最終的にこの会議ではこういう形でとらえたらいいのではないかということ で整理をされているということでございますので、適応症も含めて整理のぜひをこの場で 御審議いただくというのがある意味で今回のこの会議の意味でございますので、そういっ たことも含めて、逆に言うと、適応症というのがこれでいいのかどうか。つまり、これで すと、広すぎるのではないかというご意見もあろうかと思いますので、そういったことも 含めてこの場で御議論をいただければと思います。ただ、最終的に、届出医療機関から出 てきている内容とかも踏まえて、構成員というお立場での猿田先生に全体を整理していた だいたのが、この資料でいきますと、先−1の4ページ、5ページでございますので、こ ういった形でこの技術については整理をした上で先進技術として適用していけばいいので はないかという、ある意味ではそういう整理の御提案でございますので、それぞれの部分 について御意見とか、明瞭性の部分についてもう少し確認をしたいということであれば、 まさにこの場でしていただくという形になろうかと思います。 ○猿田座長 ありがとうございます。資料の1ページに挙げてあります、出された施設で 書かれた適応症、これは大体今ピロリ菌に対して関係していると言われているのをすべて 書いてあるんですね。これでいくと、先生おっしゃったように、特発性血小板減少症の場 合とか、かなり違っているんですね。そういったことで、全体としてピロリ菌の感染症と してとらえているという形をここではとらせていただいているということでございます。 例えば、リンパ腫の問題でもかなり難しいところがありますけれども、一応はみんな言わ れていることなんですね。それを全部出してきたものですから、こういった形で整理した ということです。  ほかにございませんでしょうか。 ○越智構成員 また違ったことですが、今出されております技術というのが、一応、遺伝 子多型の検査ですけど、事実上、技術的には内視鏡を前提とした技術と。5ページにあり ます当該技術、あるいは経験症例数、年数というのは内視鏡の経験年数とかが書かれてい るなと。例えば、施設に関しましても、臨床工学技士がいること、これは内視鏡だろうな と、ということだと思いますが、それだったら、資格というのが、消化器の専門医であれ ばいいのか、そうでなくて、むしろ内視鏡の専門医であるべきではないのかなという気が するんですが、これでいいんでしょうか、資格は。 ○猿田座長 実はそこのところがちょっとはっきりしなくて、消化器内科、消化器外科で すね。消化器科としたのはそういう意味なんです。多くのところでは実際に内視鏡センタ ーでやっていますね。もし、そうであれば、ここにそういう形を加えさせていただければ と思いますけども、どうでしょうか。診療科のところですが、これは内視鏡専門医という 形にしておいた方がいいですかね。 ○越智構成員 その方が無難なような気がするんですけど。内視鏡で時々事故が起きてお りますので。 ○猿田座長 どうでしょう、事務局、これは内視鏡専門医も加えた方がということですが。 よろしいでしょうか。ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。 ○谷川原構成員 結論的に、この遺伝子検査を用いて薬剤投与を個別化というのは今後の 方向性だと思いますので、少なくとも、このプロトンポンブ阻害剤によるピロリ除菌治療 に関してはかなりのエビデンスがあると思いますので、それに対しては私も賛成するんで すが、ただ、この申請書類を読ませていただいたときに、少し内容に矛盾があるんです。  と言いますのは、この申請書類は、クラリスロマイシンの感受性耐性に基づいてレジメ を変える。もう一つはPPIの代謝酵素のCYP2C19の遺伝子多型に基づいて用量を変えるとい うことで、ランソプラゾールが90mg、45mg、30mgで、ラピッドメタポライザは120mg、60mg、 30mgというふうに書かれてあるんですが、申請書の実績のところの有効性が認められた事 例が7例挙がっているんですが、この7例のうちの3例はラベプラゾールを使っていまし て、ランソプラゾールを高用量使った例というのは3例だけなんですね。今、プロトンポ ンプ阻害剤は3剤ありますけど、ピロリの除菌で保険適用というか、薬事法上の承認が得 られているのはランソプラゾールとオメプラゾールだけでして、ラベプラゾールというの はピロリの除菌の適用は今はないと思うんですけども、で、その適用のない薬剤がその実 績として報告されることと、あと、同じ1枚めくって、新規技術の根拠となる先進医療に 関する文献リストを見ますと、やはりそのうちの添付した論文の英文の2つは、ラベプラ ザールとアモキシシリン、いわゆるパリエット、アモキシシリンの併用レジメに関するも のを根拠としているんですが、ですから、根拠としている方はラベプラゾールで、申請し ている方はランソプラゾールというふうになっていまして、内容に若干齟齬があるような。  あと、ランソプラゾールに関して、代謝が速い、ラピットメタポライザの場合は最大120 mgという用量になっているんですが、これは一応、薬事法上で承認された用量よりもはる かに高いんですけども、そういうのもこういう先進医療に含めてよろしいのかどうかとい うところが少し疑問に感じました。 ○猿田座長 ありがとうございました。薬剤学の立場から谷川原先生、専門ですけれど、 実はここの症例、全部で270数例やっているんですね。確かに先生おっしゃったここに出し てきている症例が保険適用の薬とそうでない薬と両方入っている。おっしゃるとおりなん ですけど、僕はちょっと読んだときに、両方の形でそれだけの症例をやっていたものです から、その点はいいのかなと思ったんですけど、どうでしょうか、事務局、その保険適用 の問題、かなりの例数やっているので、確認いただけますでしょうか。それから、先生が おっしゃったように、私も論文を読んだところ、確かに違うところが出ているんですけれ ど、事務局の方どうでしょうか。 ○福田企画官 きょうは薬事担当部局から担当者来ておりませんが、そういった意味で堅 い部分の判断だけさせていただきますが、一つは薬事法の適用外の部分のラベプラゾール の部分については、少なくとも、今までの先進医療の技術で御議論いただいた際には、医 薬品であっても、医療機器であっても、基本的には薬事法の承認を受けているということ が前提であるということでございますので、266例中、適用を受けている方のランソプラゾ ールの方がどうなのかというところで、ここに症例として出てきていますのは、先ほども 谷川原先生からありましたように3例という形になっておりますが、266例中、そういった ものも既に3例あるということもあって、御判断をいただければ、基本的に、適用の範囲 の中で先進医療としては認めていくという形になろうかと思います。  また、用法用量の部分はなかなか難しい部分があろうかと思いますけれども、薬事法の 承認に沿った形というところがまず基本になるということでございます。 ○猿田座長 谷川原先生がおっしゃるように、これはかなりクリアカットになっているん ですよね、代謝が遅い、中等度、というのは。 ○谷川原構成員 私もこの研究をやっていましたので、よく存じ上げているんですけど、 ちょっと懸念していますのは、もしこれが将来公開されたときに、筋がちゃんと通ってい るような申請書にしておいていただかないと後々の前例になりますし、最初のクレームし ているところがランソプラゾールの用量設定のための遺伝子診断であるということである ならば、その根拠にラベプラゾールが入っているというのはちょっと違うかなと思って。 そこはよろしいんですか。そのあたりいずれ公開されますよね。 ○猿田座長 ラベプラゾールの代謝とランソプラゾールの代謝はともにCYP2C19を介すると 考えてよいのでしょうか。 ○谷川原構成員 違うんです。 ○猿田座長 かなり違っていますか。 ○谷川原構成員 はい。CYP、恐らくこれはラべプラゾールはCYP2C19に関わらないので、 ですから、ラピッドメタポライザのときはランソプラゾールが高用量必要ですけども、ラ ベプラゾールにしたら通常用量で除菌できるというような、要するに代謝構想が速いいに はその代謝構想に関わらない薬剤を選ぶという、そういう意味でのオーダーメイド医療の 考え方ですから。 ○猿田座長 わかりました。そうすると、この点は再検討する必要がありますね。 ○谷川原構成員 いや、治療法としては例えばリーズナブルなんですけど、現実に現時点 で3剤ともピロリの承認が得られているわけではないですから、そこがちゃんと3剤とも 承認が得られていれば全く問題ないと思うんですが、そのあたりの調整をどうされるのか なと思いましてね。 ○猿田座長 ありがとうございます。そこは非常に大切なポイントだと思います。 ○福田企画官 この会議自体、一つ一つの御審議をなるべく速いスピードでやっていただ いて、今御指摘いただいたようなそういった点も専門家でないとわからない部分でござい ますので、そういった点を御指摘を受けた場合、今お話をお聞きしておりますと、関連す る資料についてはそういった観点からもう一度整理をし直していただいて、そこで今回お 示しいただいた内容について改めて確認をさせていただくという形が事務局としては一番 リーズナブルかなと思っておりますけれども、先生方の御意見を伺えればと思います。 ○猿田座長 どうでしょうか。 ○谷川原構成員 私もそう思うんです。診断と治療まで含めた形で申請されてきましたけ ど、最初の遺伝子診断のところだけに先進医療というのを絞った方がすっきりするんじゃ ないかと思うんですが。 ○福田企画官 その点も、過去にも別の例で似たようなお話がございましたけれども、ど の部分まで含めた形で整理をするのかというところも御議論になるかと思います。その部 分を今回ここの場で、例えば、「ここまでをこういうふうに整理します。」それで承認し ますという形で御整理いただくのか、再度、届出の医療機関として診断と治療のどの範囲 までを届出内容とするかを考えられた上で次に対応されるのかというような、2つのとり 方があるのかなと思いますので、そこのところを御議論いただければありがたいと思いま す。過去にも似たような例があったと感じております。 ○猿田座長 確かに先進性ということを考えますと、これはテーラーメイドの方向で行く ものですから、そこのところはそこまで含めた方がこの会としてはいいんじゃないか。そ れからもう一つは、先ほど先生おっしゃったように、プロトンインヒビターの濃度の高い 低いによって胃液の酸度が変わってきますから、それによって抗生物質が速く壊されるか 壊されないかというところがありますから、ほんとはそのあたりも全部検討されてあれば いいんですけど、そこまでの細かいデータが読み切れなかったんですね。もう一度データ を整理し直していただきます。 ○谷川原構成員 クラリスロマイシン耐性と、CYP2C19の遺伝子診断をやるということは今 後のテーラーメイド医療に対して非常に重要だと思いますから、ぜひ先進医療で取り入れ ていただきたいと思います。ですから、そこに治療法まで入ってしまうと、その中に適用 外の薬剤が入ってくるとまた難しくなりますから。 ○猿田座長 そこは外さないとまずいと思います。 ○谷川原構成員 やはり診断のところだけに絞った方が先進医療としてはそういう問題を 回避できてよろしいのかなと思います。 ○猿田座長 そうなんですが、将来の発展性、いわゆるテーラーメイドとしての確立とい うところを見ていくと、治療の方まで持っていければベストはベストですね。○谷川原構 成員 手続き上に問題がなければ、全部入っている方がよろしいかと思うんですけども。 ○猿田座長 そこはどうですか。ともかく整理してもらいます。 ○福田企画官 まさに届出医療機関も多分基本的にはセットで考えていらっしゃると思う ので、つまり、診断技術とそれに基づくテーラーメイド的な治療法。ただ、ここで御指摘 ございましたように、具体的には根拠となるものについては、薬事法の承認の範囲の中で どのようなデータがきちっと出ているのかということも併せてお示しいただかないと、結 果的に診断から治療までというところを含んだ形になりにくいものですから、そういった 観点から、この趣旨の確認と、それから薬事法の範囲内で根拠となる症例と関連する論文 についてもう一度関係する書類を再提出していただいて、その結果をもう一度ここで御審 議いただく。その際、全体がパッケージで出るような中身であればもちろんそういう方向 になりましょうし、そこまで行かないというところであれば、それは届出医療機関がそも そも出して来られるかどうかということも含めての御議論になるかと思いますので、そう いった形で対応するというのが、今のお話をお聞きした限りにおいては、届出されている 医療機関の御意志もまずあるわけでございますので、そういったことも含めて対応させて いただければありがたいと思っています。 ○猿田座長 どうもありがとうございます。谷川原先生、そういう形で機関に当たらせて いただいて、先生おっしゃった診断の部分のところはいいだろうと。その後のところ、も う一回症例をきちんと検討していただいて、再提出させていただきます。 ○谷川原構成員 書類として整合性があるような形でやっていただくと、これからの前例 として非常にありがたいかなと思います。 ○猿田座長 ありがとうございました。では、よろしければ、その形で提出いただいた機 関に、症例及び薬のこと薬事法との問題がありますから、整理させていただくということ で、いきたいと思います。ほかに御意見ありませんでしょうか。  もしございませんようでしたら、これは一時的に保留という形にさせていただいて、再 検討させていただきます。ありがとうございました。 ○谷川原構成員 すみません、少し追加させていただきますと、先進医療というのは、現 在の保険の枠組みから少しはみ出す部分はどうしてもありますので、私の気持ちとしては そのあたりはもう少しフレキシブルにしていただいた方がよろしいのかなと、本心として はそういう気持ちがあるんですけど。余り薬事法の範囲内でがちがちに縛られるとなかな かやりにくくなりますし、その辺、どのあたりまでこの会議体の議論がフレキシブルなと ころで考えていけるのかということも併せて事務局の方にこういう機会にお考えいただけ ればと思いますが。 ○猿田座長 そうですね。そのあたりも次回までにきっちり整理させていただいて、それ から、実際にやられた症例のことに関しましても整理してもう一回出させていただくこと で、よろしいですね。ではそういう形でいきます。どうもありがとうございました。谷川 原先生、どうもありがとうございました。  実はきょう検討する12月の提出はこの2つだけでしたので、これだけということです。 次へ進ませていただきます。1月分について。 ○福田企画官 それではお手元の資料の先−2でございますが、1月受付分の先進医療の 届出状況は、該当なしということでございます。 ○猿田座長 今、保険改正のいろんな問題があってか、新しい技術が出て来ないんですね。 そういったことで、もうしばらくすると出てくると思いますが、1月は提出がなかったと いうことでございます。 それでは次に事務局からホームページについてですね。 ○福田企画官 それではお手元の資料の先−3をごらんいただきたいと思います。  この件は既に中医協の1月25日の総会に御報告をさせていただいた件でございます。 「厚生労働省のホームページにおける先進医療の一覧について」ということでございまし て、現在、この資料の1ページにお示ししているようなことも含めた形で厚生労働省のホ ームページの中で先進医療のページをつくっておりまして、どのようなところでどのよう な技術が行われているか。その技術の概要、技術の基準、それから実施している医療機関 がごらんいただけるような形になっております。これはこちらの先進医療専門家会議での 御議論も踏まえて、日々改善していくという前提の下で今進んでいるところでございます が、中医協の総会、それからこちらの先進医療専門家会議の場でもとにかく費用の問題を きちんと公表していくべきであるということでございましたので、まずはということで、 これからさらにこちらでも、もう少し詳しいものとか、そういうことも御指摘いただいて おりますので、これからまたどんどん変わり得るものであるというふうには考えておりま すが、まずはどのぐらいの費用ということで、要する費用の額をホームページの先進医療 の一覧のところに載せるという形で報告させていただいたということでございます。  具体的には、お手元の資料、別紙という形で2ページ以降で例をお示ししてございます。 現在の形と今後ということで、金額の部分を入れさせていただいているということでござ います。例えば、3ページなど、一部既に専門誌等では紹介されておりますが、こういっ た形で複数の医療機関でやられている場合にはこういった費用についての情報もいろいろ な意味を持ってくるというようなことで、まずは中医協での御意見、そして、この先進医 療専門家会議での御意見も踏まえまして、これは全体額でございますが、個別の要素まで どういうふうに出すかということでございまして、まずは先進医療に要する費用という形 で出させていただいたということで、これは報告でございます。  中医協の場でも、費用の部分の読み方の問題とか、読んだ方がいろいろ疑問に思うこと もあるだろうから、そういったこともよりわかりやすくどんどん改善していくべきである という御意見もいただいております。この資料をごらんいただきまして、さらにこういっ た点を改善すべきであるというような御意見等いただけしたら幸いということで、ご報告 をさせていただきます。 ○猿田座長 ちょっと待ってくださいね。今のところで特に3ページを見ていただきます と、先進医療に対する費用、各施設でかなり違いがあるんですね。これはしょうがないん ですか。 ○笹子構成員 しょうがないですね、自由競争ですから。 ○猿田座長 ということで、ですから、出していただくときに、先進医療にかかる費用と いうのはしっかり、どういうふうに考えて出すかということが重要な点かもしれません。 ともかく、三重大学と一番高いところではこれだけ、倍以上の違いがあるということでご ざいます。ありがとうございました。どうもすみません。 ○佐伯構成員 これは自己負担分ですよね。そうすると、そのことをはっきり書いておい た方がいいんじゃないでしょうか、自己負担分というような具合に。いかがでしょうか。 ○福田企画官 そういうことも含めて先生方からいろいろ御意見をいただきたいなと。つ まり、ごらんになった方の立場から見たときにどういうふうに思うのか。いわゆる、保険 分と先進医療分と合わせた方がいいのか。それから、それぞれ個別に出した方がいいのか とか、次の課題はあるなあと思っておりますので、今の御意見も合わせまして、次のバー ジョンアップのときには参考にさせていただきたいと考えております。 ○猿田座長 ほかに御意見ございますでしょうか。こういう形で今ホームページで出させ ていただいているということでございます。 ○田中憲構成員 費用のことは、そのまますべて出された方がいいんじゃないかと思いま す。自己負担分と保険分とトータルとですね。お金のことですから、そのままディスクロ ーズした方がいいんじゃないかと思っております。 ○猿田座長 わかりました。ほかにございませんでしょうか。 ○吉田構成員 きのうの中医協でも問題になった情報公開の件。これは先進医療を実施し ている医療機関について表示する必要があるんですか、きのうしつこく出ていましたね。 ○福田企画官 できる限り情報公開をすべきであるという御意見もございますし、そのと きに、公開する情報についての範囲とか、その持つ意味とか、そういったものを精査した 上でやるべきという御意見もございます。  基本的には、患者さんが選択をしやすい形に資するという観点からいずれにしても検討 されるべき問題だとは思っておりますけれども、そういった御議論が昨日の中医協でもあ ったということだけ御報告をさせていただきたいと思います。 ○猿田座長 ありがとうございました。ほかに何か御意見ございますでしょうか。きょう は申し訳ないんですけど、1件だけということでございますので、もし特に御意見ないよ うでしたら、先ほどのピロリ菌の問題はちょっと調べさせていただくということで、きょ うの会議は、早いですけど、これで終わらせいただきたいと思います。どうもありがとう ございました。                           −了−       【照会先】        厚生労働省保険局医療課医療係         代表 03−5253−1111(内線3276) 16 15