06/02/03 第7回石綿に関する健康管理等専門家会議議事録 第7回石綿に関する健康管理等専門家会議 日時 平成18年2月3日(金) 13:00〜 場所 厚生労働省共用第7会議室 ○労働衛生課長 定刻になりましたので、第7回石綿に関する健康管理等専門家会議を 始めさせていただきます。  いつものことですが、傍聴の皆様にお知らせします。傍聴に当たってはいつもお配り しております注意事項をお守りくださいますように、お願い申し上げます。  昨年8月から始めてまいりましたこの専門家会議ですが、今回で最終回としたいと考 えております。報告書(案)もだいぶ煮詰まってきましたので、最終回ということをま た意識し、先生方からも最終的なご意見を承りたいと考えております。どうか、よろし くお願いいたします。カメラの方は、これで退席をお願いいたします。それでは、土屋 座長、進行をお願いいたします。 ○土屋座長 第7回の専門家会議を開かせていただきます。大変長い時間をかけてご討 論いただき、ありがとうございます。  それでは、早速議事に入ります。まず、事務局から配付資料の確認をお願いいたしま す。 ○労働衛生課長 今日は専門家会議の最終回と考えておりますので。まず、1枚めくっ ていただきますと、会議の委員名簿が資料1です。そのあとが報告書(案)です。右上 に「未定稿」とありますが、これが資料2です。これが23頁あります。そのあとに「調 査票作成に関する要点(案)2006年2月3日」とあり、これが資料3です。このあとに 「石綿自記式簡易調査票(案)」、26頁以降に「石綿ばく露歴調査票」、右上に「2次問 診票」と書いたものがあります。最終が28頁になっています。以上、ご確認いただきた いと思います。 ○土屋座長 どうもありがとうございます。本日は報告書をまとめるとのことで、逐次 事務局で各段落ごとに読み上げていただき、確認をしてまいりたいと思います。最後に、 資料3にあったように、調査票ならびに2次問診票の修正案について議論をいただきた いと思います。  それでは早速、資料2に沿ってまいります。事務局で読上げをお願いいたします。 ○労働衛生課長 全部読み上げると申しますよりも、初回からほぼ変わらない部分につ いては、簡単な説明だけをさせていただきたいと思います。  3頁、I章、「序論」です。これは、やり方、会議の開催状況についての記述です。4 頁に開催要綱が掲げてあります。本文5頁、第II章です。一部、説明させていただきま す。  5頁のII章1、「国民に対する情報提供の推進」です。いろいろな情報提供ソースがあ るわけです。修正部分は上から9行目、「従来からアスベスト関連のNPOがホームペー ジを公開し、相談窓口を設置している所もある」とあり、NPO等の活動についても言 及している部分です。6頁の上から4行目、「地域保健関係機関、労働基準監督署、産業 保健推進センター、労災病院とアスベスト関連NPO」の所で「アスベスト関連NPO」 という民間の情報提供のリソースも記述しております。  2、「自記式簡易調査票の導入と活用」です。2の6行目、「結核健診、肺がん検診等 の機会を活用し、不安を持った住民等に対し当該調査票を配付することにより」、ここが 先生方のご意見、事務局等のすり合わせにより新たに入った部分です。このような調査 票をいろいろな検診の機会に活用して使うというところです。  そのあとに資料3「自記式簡易調査票」があります。これは先ほどの資料3の部分で す。これは後ほどご討論いただきます。II章はそこまでです。 ○土屋座長 ありがとうございます。II章に関して、何かご意見はありますか。自記式 簡易調査票については、先ほど申し上げたように後ほどまとめて討論したいと思います が。いま追加を2カ所ご指摘いただきましたが、よろしいですか。 ○労働衛生課長 少しご説明します。5頁の表1、事業場周辺における臨時健康相談実 施状況です。これについては一応今月の1月までにまとめたものがあります。大体、事 業場でちょっと問題になったような場所で鋭意やってまいりましたが、ほとんどのエリ アで臨時健康相談、講演会等の数が少なくなってきました。したがって、今後は、よほ どの希望がなければ基本的には特別に開催することはせず、我々の労働基準監督署、産 業保健推進センター、労災病院等の通常の相談窓口をご利用いただくということにした いと考えております。最終的には、最後までやった人数を追加をし、お出ししたいと考 えております。 ○土屋座長 では、またその集計は、よろしくお願いいたします。よろしいですね。そ れでは、第III章へいきます。 ○労働衛生課長 III章は「石綿ばく露に関する健康管理の考え方と手法」です。1は、 6頁の中段の「石綿ばく露の機会の把握について」です。ここは当初からほとんど変わ りがありません。  8頁の8行目、「特に職業性ばく露については、学生時代の短期のアルバイトも含め、 聞き取ることが大切である」。そのあとは、重要部分ですので読み上げさせていただきま す。  その際に詳細に書かれた問診票(二次問診票)を併用するのも有用である(別紙二次 問診票)。調査票や問診票については、専門家のほか保健所職員、一般の開業医、産業保 健従事者等が使用することも考えられるが、必要な情報が的確に把握でき、絞り込みが 容易にできるものであることが望まれる。  ここで前回、マニュアルが必要ではなかろうかといったご意見があったかと思います。 ここでは書いておりませんが、研修等で専門家を育てることも重要です。したがって、 私どもとしては今後、名取委員、岸本委員などとご相談をさせていただき、二次問診票 とそれをいかに使うかというマニュアルを作成していこうと考えております。この部分 を記載するかどうかのお話があるかもしれませんが、基本的にはマニュアルを作成する 予定であると申し上げておきます。 ○土屋座長 前回も話題になりましたが、やはり的確に使われるにはご本人の自記式と はいえ、マニュアルでの指導が是非必要であろうといったお話でしたね。ここにマニュ アルに関しても書いておいたほうがよろしいかどうか、いかがでしょうか。 ○労働衛生課長 これは専門家が、聞くほうが使う話ですからあえて入れる必要がある かないかという話になるかと思いますが。あとで相談させていただければよろしいかと。 ○成田委員 細則のようなものなので、マニュアルに取り立てて書かなくてもいいと思 います。 ○土屋座長 これは、マニュアルを作る方向で合意ということでよろしいですね。 ○労働衛生課長 はい、お願いします。8頁の下に資料3「二次問診票」とありますが、 これはあとでまたご意見をいただくわけです。これは、専門家が使うという部分で非常 に細かく精緻なものになっています。かなり難しいのでマニュアルは必要かなというこ とです。  9頁、2「石綿関連疾患に関する診断方法について」です。(1)が「石綿関連疾患に 関する診断方法の現状」、(2)が「胸部エックス線撮影等の検査の特徴と放射線被曝の リスク」です。ここはいままでの科学的な知見を淡々と述べているといった感じの所で すので、中身について問題となるような所はあまりなかろうかと思います。イ)が「胸 部エックス線直接撮影」、10頁に入りますが、ロ)が「胸部CT」です。ハ)が「放射 線被曝のリスク」です。「放射線被曝のリスク」の所から6行目に「胸部エックス線直接 撮影のCT検査での被曝量は、胸部のエックス線直接撮影の被曝量の10ないし500倍と なる」というセンテンスがあります。前回まではそのあとにがんの死亡率についての記 載がありましたが、50mSv以下の場合は、ICRPなどの話で本当にリニアかどうかま だ議論があるとのことで、ここの部分はカットしております。その次は「直接どのよう な検査にも被検者にとってのメリットとデメリットの両面があり」となっています。そ の次が別紙、「放射線関連資料」です。11頁から12頁に関連資料を掲載しております。  大事な所ですので読み上げさせていただきます。13頁、上から10行目です。その少 し前から読みます。  石綿関連疾患を発見するために、罹患率が相当に低いと考えられる集団に胸部エック ス線検査を実施した際の発見率のデータや医療費抑制・死亡率抑制等に関する効果につ いての知見の集積がなく、現時点で積極的に石綿検診を指示する理由は見い出されない。 しかしながら、石綿ばく露についての聞き取り調査によって過去に石綿ばく露があると 判断された者は、将来的に石綿関連疾患を発症する可能性の高いハイリスク者であるこ とが予想される。そのような者に限っては、胸部エックス線直接撮影による健康管理を 実施していくことが望ましいと考えられる。  要するに、ハイリスク者にやっていくのは良いという考え方でやっております。  13頁4番、「石綿関連疾患を発見するための手法」です。図1に、コンパクトに整理 させていただきました。「石綿関連疾患を発見するための手法」というフローチャートを 書いております。  14頁です。(1)が「自記式簡易調査票や相談窓口を活用した石綿ばく露のチェック」、 (2)が「専門家による絞り込み」、(3)が「胸部エックス線検査等の実施」となって います。(3)は重要ですので読み上げさせていただきます。  専門家による石綿ばく露の聞き取り調査の結果、石綿のばく露があると判断された場 合には、胸部エックス線直接撮影を実施し、胸膜肥厚斑などの石綿ばく露を証明する医 学的所見の有無について精査する。所見が見つかった場合には、所見のない場合と比較 して肺がん等の発症リスクが高いと報告されていることから、定期的に検査を受けて、 石綿関連疾患の発症が起こっていないかどうかなどを確認することが有用である。放射 線被曝に配慮し、定期的な経過観察は原則的に胸部エックス線直接撮影で行い、必要に 応じて胸部CT撮影を実施する。専門医により石綿のばく露があると判断された労働者 以外の住民については、石綿を常時取り扱っている労働者と比して石綿のばく露量は少 ないことが予想されるため、労働者と同様の方法で胸部エックス線撮影を実施するべき か否かについては、住民の石綿ばく露の程度や放射線被曝のリスク等を慎重に判断した 上で決定する必要がある。  また、石綿ばく露歴がある者が喫煙習慣がある場合、石綿ばく露歴がある喫煙習慣の ない者に比して肺がんの発症リスクが高まるという報告もあることから、禁煙を勧める ことも大変重要である。(4)も重要ですから、全文を読み上げさせていただきます。  (4)「不特定多数の住民に対する検査について」。次に、不安を感じている不特定多 数の住民に対し、健康障害の有無を確認するためいわゆるマス・スクリーニングとして 胸部エックス線検査を実施することの可否について検討する。3で述べたように、罹患 率が相当に低いと考えられる集団に胸部エックス線検査を石綿検診として行うことを支 持する理由はないことが基本となる。住民の感じている不安は、「自分の周りにはどこに でも石綿があり、少しでも石綿を吸い込めば、たちまち不治の病にかかってしまう」と いう誤解から生じていることがしばしばある。一方、アスベストに関する知識が乏しく リスクコミュニケーションを知らない担当者が「この程度ならばく露はほとんどなく神 経質」等と発言し、住民及び関係者の不信感を招くこともしばしばある。  これらの不安の解消のために相談窓口等を活用することを推奨し、住民が石綿にばく 露している可能性がある又は過去にばく露する可能性のある環境にあったかどうかよく 状況を聞き、「この程度ならばく露はほとんどない、もしくはわずかだがある」というこ とを評価し、正確な知識と心理的配慮を含めてリスクコミュニケーションを理解した上 で、説明することが重要である。  この部分では、「リスクコミュニケーション」と「心理的配慮」が新たに加わっていま す。  胸部エックス線検査の「異常なし」という所見をもって不安を解消するために、石綿 ばく露の有無を確認せずに初めから放射線被曝を伴う胸部エックス線検査を行うことは、 避けるべきである。なぜなら、マス・スクリーニングとして住民に検査を実施した場合、 ほとんど所見を認めないと予想されるが、胸部エックス線検査で所見を認めないことは、 石綿ばく露がなかった証明にはならないからである。偽陰性(実際には所見を有するに もかかわらず検査で異常を指摘できないこと)の可能性や所見の出る前の段階で今後所 見が現れる可能性も否定できない。重要なのは、石綿のばく露の可能性が高いか否かで あり、高い場合には、所見が見られなくとも継続的に検査を受けるようにすることが望 ましく、その際の目的やメリット・デメリットについて住民にわかりやすく説明を行う 必要がある。  なお、職場の一般健診、結核健診、肺がん検診、人間ドック、医療機関を受診した際 など、胸部エックス線写真を撮影する様々な機会がある。こうした機会に偶然、石綿関 連所見が得られることもあることから、石綿関連疾患の対策を進めるに当たっては、こ れらの既存の事業等との連携にも配慮することが望ましい。  5、「疫学的手法による健康調査の実施」。聞き取り調査によって石綿ばく露があると 判断された者だけに検査を実施した場合に、聞き取り調査でばく露がない、ほとんどな いとされた者や、そもそも相談窓口に相談をしていない者に、有所見者がいるかどうか が不明である。石綿のばく露の可能性が高いと考えられる地域や集団に対して、集団と しての健康障害を評価する、いわゆる疫学調査を実施し、本当にその地域・集団のリス クが高いのかどうか、評価を実施するとともに、有所見率のエビデンスの集積を行い、 今後の健康管理に資することが重要と考えられる。  現時点では、石綿を取り扱っていたいくつかの事業場周辺に居住している住民や石綿 の作業着を洗濯していた家族に健康被害が発生しているという断片的な情報がある。こ れらを科学的に判断するために、例えば事業場の周辺住民あるいは石綿取扱い労働者の 同居家族に対する胸部エックス線検査を実施し、問題のある所から遠い所を対照集団と して比較し、有所見率が有意に高いかどうかを検討することが考えられる。このような 疫学的な調査を実施することによって、現時点でばく露の可能性が高いと考えられる集 団に対して正確な情報を提供することができるため、住民にとっては不安の解消になる。 また、胸部エックス線検査における石綿関連疾患の発見率や調査票・質問票の有効性等 に関するエビデンスも蓄積される。調査の結果、その地域や集団のばく露リスクが高い と最終的に判断された場合には、その集団に属する胸部エックス線検査で所見の見られ ない住民にも一定のリスクがあると推測され、そのような住民に対しても継続的な検査 を勧める動機付けができる。逆に有意差が無く、集団としてのリスクがないと考えられ れば、その集団に属している者に対して、不安の解消となる。  以上ですが、ここの部分は非常に大事ですので、説明させていただきます。疫学的手 法による健康調査の実施等について環境省ならびに厚生労働省健康局、労働基準局等の 関連部局がいろいろ協力いたし、今後、この提言にあるようなしっかりとした調査、疫 学的調査を兼ねた検査を増やしていくということで、現在、研究計画につき調整中です。 ○土屋座長 ありがとうございます。大変長文のところ、ありがとうございました。最 初に、10頁目の所が一部削除となりました。本田委員、ハ)の放射線被曝のリスクの記 載についていかがでしょうか。 ○本田委員 それは十分知られていることですので、削除されるのはよろしいかと思い ます。 ○土屋座長 あと、11、12とその資料が使われています。いちばん問題なのは、14頁の 胸部エックス線検査等の実施です。この点について皆様のご意見をもう一度聞いておき たいと思います。特に(3)胸部エックス線検査等の実施のセンテンスについてご意見 がありましたら、お願いいたします。これは、この検査をやられてさらに知識が蓄積さ れ、また見直しも必要になろうかと思いますが、当面、始めるに当たってこれでいかが かということですが。名取委員、いかがですか。 ○名取委員 教えていただきたいのです。いろいろな所で医師からいちばんよく聞かれ る質問は、「胸膜肥厚斑の人がいます。レントゲンを撮ってCTを撮って明らかです。何 歳からどのくらいの頻度でフォローすればよろしいのでしょうか」ということですが、 いつも「いま検討中ですから」という曖昧な答をしているのです。12頁の放射線発癌の リスク評価の2つの論文を少しご説明いただき、その辺りの回答の参考にさせていただ ければと思うのです。 ○本田委員 12頁のこの2つの表のことでしょうか。 ○名取委員 はい。 ○本田委員 この上にあるのは、以前申し上げた広島・長崎の被ばく者の疫学データで す。10歳・30歳・50歳で、男性・女性で、0.1Svですから、100mSv被曝したときの発 癌のリスクということです。  その下にあるのは、がんによる死亡のリスクです。年齢が高くなるとだんだん発生頻 度が高くなり、最終的には0になってしまうということです。  ここの真ん中辺りに先ほどの質問が書いてあります。  疫学データにおいて放射線による発がんの増加が観察されている最少検出線量は10 −50mSvとされている。これ以下の低線量については、疫学的データからは解決できず、 様々なリスクモデルを用いた評価が行われている。したがって、診断レベルの医療被ば くにより、どの程度がん発生率が増加するかは、あくまでもモデルからの類推であり、 リスクモデルによって異なる。  このように先ほどお話されたことの裏付けを一応記載し、出させていただいておりま す。 ○土屋座長 よろしいですか、なかなか何歳と特定はしにくいですが。この場合にはや はり、個々の対象者によって閉経の前であるとか後であるとか、いろいろこまめに臨床 科の目も必要になりますか。基本的なデータとしてはこのようなものがあるということ ですね。また、個々にそれぞれ対応を慣れた方にやっていただく必要があると思います。 よろしいでしょうか。 ○主任中央じん肺診査医 事務局から質問というのは大変恐縮ですが。14頁の所は、い ま名取委員から質問があったように、プラークや有所見だった方のその後の経過観察の ようなものをやっていこうということは考えられるのですが。では、胸部エックス線な ら具体的にどの程度の頻度なのかということで、ここは非常に慎重にと言いますか、私 どもは根拠もないので明確に書いておりませんが。労働者の場合ですと、健康管理手帳 は年に2回あります。では、一般の住民でプラークのあった人はそれ並みに必要なのか、 あるいは、一般の肺がん検診は年に1回ぐらいなのでそのぐらいなのか。その辺を現時 点でどのように考えればよろしいのか、お考えを伺えればと思います。 ○労働衛生課長 その件に関して付け足しを1つ申し上げたいのですが。いま、健康管 理手帳は確かに年に2回やっております。これは、所見のある人を全部くるめて年に2 回やっているわけです。ただ、ばく露確実で所見のない人をどうするかというここにも ある問題とともに、フォローの仕方はそれでいいのかということについてはなお、私ど もも実は検討の余地は相当あると考えております。それらについては現在、今般の国会 等でもいろいろ研究班を走らせておりますので、そこの知見を基にし、少しでも良い方 向に修正しようということで、今後、新年度早々検討会等を立ち上げてやってまいりた いと考えております。一応ここの専門家会議はそれをどうするのかというところで、い ま主任中央じん肺診査医から質問が出たと思います。 ○土屋座長 皆さんは、現時点で科学的根拠に基づいた答をと言われると困ってしまう と思うのです。現実的にどう対応しているかといったところでしょうか。名取委員、い かがですか、実際、委員の病院にいらっしゃった方で所見があった場合、はっきりしな いが疑わしい場合等。 ○名取委員 私は、何歳から石綿にばく露されていたかを加味しながら判断しています。 環境ばく露で0歳、1歳からずっとばく露を受けてきたような尼崎にお住いだった方で 東京に来ている方の場合ですと、40歳代でプラークがあるのです。その方については、 胸部単純レントゲン写真ですが、年に2回から3回のレントゲン写真でフォローしてい ます。そこは、ご不安の程度を見ながら若干回数を変化させています。CTは1回、最 初に撮るだけにしていて、CT写真の方法は変わらないです。  20歳ぐらいからばく露された方の場合は、逆に言うと、40歳代の検査はお勧めせずに、 潜伏期を加味して30年後からというぐらいで、50歳代ぐらいからという辺りをお薦め しています。しかし、年に2〜3回の胸部単純レントゲン写真と、何かあるときはCT といったやり方を実際上はしています。 ○労働衛生課長 実際上は確かにそのようですね。潜伏期間がかなり長いですから、そ の間をどのように見ていくかによってやり方は変えていかなければならない。ただ、き ちっとした知見がないので、今後、それをここの提言にあるような調査を兼ねた検査を きちんとやっていく。と言うと、やはり知見を積み上げていかなければいけないと思う のです。私ども行政の立場から申し上げますと、当面でもとりあえずどのぐらい最低限 でやっていくべきかといったものを何かお示しいただいたほうがやりやすいのかと。細 かいやり方やいろいろなケースによってどのようにするかはまた検討会でやっていくに しても、例えば最低年1回は診てほしいなどといったことは書けないでしょうか。 ○土屋座長 年1回はかたいでしょうね。 ○成田委員 年1回というのがいいのではないですか、はっきりした陰影がないかぎり は年に1回がいいのではないですか。こういうことは学問的には外れるのですが、臨床 で患者さんを見ていると、個人個人によって対応がだいぶ違ってくると思うのです。大 丈夫だと言っても安心してくれない人もいるし、しっかり頑張って診ましょうと言って も全く来ない人もいるのです。ですから、最低年1回と決めておいて、私は2回がいい と思うのですが、そうしてしまうと非常に神経質になって来る人もいるので1回から2 回で、あとはケース・バイ・ケースでやるというのがいいのではないかという気がしま す。逆に言えば、行政としては1回から2回というのは困りますか、1回にするか2回 にするかという。 ○労働衛生課長 書き方の問題はあると思うのです。例えば、当面の間は原則として年 1回とか、それはケース・バイ・ケースでフォローの仕方をきちんと変えなければいけ ないというのがそれです。また、それをどのようにシステム化するかという話になると、 知見がまだ全然足りないだろうと思いますので、まずは1回やってみてというところで、 私どもの立場からすると、当面は年1回、あるいは原則的にきちんと診ると。つまり、 そこから外れないでください、全然診ない人が出ないように、と。あとは、そこで診た 上で何かあればそれは医師やその医療者の判断としてまた別の検査を導入するなど、や り方はいろいろあると思うのです。最低きちんとフォローするところは押さえておくた めには、そのような書き方をさせていただければいいのかなと思っています。 ○鏡森委員 それに賛成なのですが、現場でどのようなことが起きているかと言うと、 私は産業保健推進センターで相談を受けていますが、そこへ来ますね。一方、富山労災 病院があります。その行き先々によって検査の指示が違ってくるわけです。あちらへ行 った人たちは年2回と言ってくるし、うちへ来る人たちは、いまおっしゃったように、 現在の制度の中で普通どおり定期的なものに参加しなさいということで治めるのです。 しかし、委員がおっしゃったように、臨床の先生たちはプラークがあると、ニュアンス として2回ぐらい必ず受けろということになっているのです。事例が増えてくると、そ このすり合わせがだんだん大きくなってきて、実は困ったなと思ってはいるのです。 ○土屋座長 岸本委員、いかがですか。 ○岸本委員 皆さんのおっしゃるとおりで、年2回はエビデンスも何もないということ ですね。一般住民の方も、年2回やると問題もいろいろ出てくるし、いま成田委員が言 われたように、むしろ一般住民の非常にリスクの低い人がナーバスになってデプレッシ ブになる方もいるとなると、労働衛生課長がおっしゃったように、全然放っておくのは よくないので、最低1回はやる。ただ、名取委員がおっしゃったように、私も思ってい ますが、0歳からばく露された人は40歳代でプラークがあるのです。ですから、場合・ 場合によってチェックのグレードを上げていく、そのような形でやっていくのがいちば ん理にかなっているのではないかと思います。ですから、年1回は確実にフォローアッ プするというところで今回は留めておき、また、それに関しては詳細な検討を症例ごと に決定する、そのようなニュアンスを残してはいかがでしょうか。 ○土屋座長 実際の現場を併せると、年1回は是非受けてほしいというところですね。 当然、現場の判断によって2回、3回とやっていくということですね。「2回」と書いて おき、かえって受けない方が増えてしまっても心配だという点があるかと思います。 ○労働衛生課長 いちばん怖いのは、何もしないでそういう経過観察から抜け出てしま うということ。 ○土屋座長 そうですね、それがいちばん怖いですね。 ○労働衛生課長 検診や何かで行政がやると言っても、大体年1回で回っていく。それ で、何か所見があって医師の判断などがあれば必要な検査を必要なだけ加える。そのよ うな形で原則として年1回は胸部CTを行っていくべきであるが、ケースその他・・・ ○岸本委員 いや、(CTでなく)レントゲンで良いと思います。 ○労働衛生課長 「知見によって今後の精密な経過観察の手法等を検討する必要がある」。 そのような書き方であとで整理させていただいてよろしいでしょうか。 ○土屋座長 共通の認識として年1回は皆さんにお勧めしたい、ということですね。 ○環境省保健業務室長 1つ教えていただきたいのです。一般環境ばく露している方は、 職業ばく露に比べるとばく露量的にはおそらく桁違いと言いますか、かなり違うのでは ないかと思うのです。職業ばく露している方たちと比べ、年2回放射線を浴びるという ことのリスクと発見されるというベネフィットは違うものなのでしょうか。 ○土屋座長 おそらく、科学的根拠に基づいて返事のできる方がいないのではないかと 思います。 ○名取委員 発見されるベネフィットというか、発見率がいくつとかまだわからないの で、わからない人たちの集団を診ていくしかないので、現時点では言えないということ だと思うのです。 ○本田委員 ダブリングタイムはどのぐらいですか。大体、検診をするときにはそのダ ブリングタイムからどのぐらいの期間でチェックをしていけばどのぐらいの大きさの間 で引っかかるからということでエビデンスを出していたような気がするのです。例えば 肝細胞がんの場合には、超音波で3カ月に1回すれば1から2センチで必ず見つかるだ ろうということで、3カ月に1回ずつ超音波検査をして経過を観察する。 ○名取委員 今回の場合は胸膜中皮腫と肺がんですね。 ○本田委員 はい、ですからどちらに絞るかによると思いますが。 ○岸本委員 肺がんはある程度知見がありますが、中皮腫はないと思います。中皮腫ほ どヘテロジェナイティーの大きな腫瘍はないと思います。もちろん上皮型と肉腫型と二 相型と3タイプもありますが、上皮型と肉腫型は同じ腫瘍とは思えないようなダブリン グタイムであり、肉腫型の予後は悪い。 ○本田委員 他の腫瘍でも、サルコウマタイプが悪性度が高いというのはわかっている と思います。私は何らかのエビデンスがあったほうが、何となく1年に1回、1年に2 回ではないのではないかと思います。 ○岸本委員 おそらく中皮腫は、まだ明らかにされていませんが、早期の胸水だけの際 に、我々が診断ができていないラジェントな時期があります。その時期はそれほどラピ ッドグローイングではないと思うのですが、一度腫瘍として特徴が出てくるとかなり早 いことは間違いないのですが、それが本当に腫瘍かどうかが判らないので難しいという ことです。それで結局は何回がいいかが決定できない、そういうことになるのではない でしょうか。 ○労働衛生課長 去年の『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』にも 出ていたと思うのですが、基本的にプラークの有無と発がんは乖離しているのです。で すから、プラークがある者をどのような期間でフォローしていればつかまえられるかと いう話も、あるいはプラークがないからいいのかという話も実は、いまここでサイエン ティフィックに全部やっていくのは無理ではなかろうかと思います。ですから私どもの 考えとしては、そのようなことを了解していただいた上でとりあえず年1回はきちんと フォローし、あとは医療の判断なり、それについてはまた別途検討するということでさ せていただきたいと思っています。 ○土屋座長 多くの方がきちっと経過を追っていただくということがまず優先されるの でしょうね。よろしいでしょうか。「心理的配慮とリスクコミュニケーション」という言 葉を入れたいということですが、これは前回だいぶ議論になりましたので、よろしいで すね。16頁の最後の所に「疫学的な調査の実施」が出てきます。この点に関して何かご 意見はありますか、このような表現でよろしいかということですが。祖父江委員、いか がですか、具体的な方策はこれから考えるとして。 ○祖父江委員 ちょっと細かいようですが。16頁の上の段落のいちばん下というか真ん 中というか、「その地域や集団のばく露リスクが高いと最終的に判断された場合には」と いう記述があります。リスクとはやはり病気に対するリスクを言うので、ばく露リスク は少し変な表現かなと思います。 ○労働衛生課長 わかりました。修正します。 ○土屋座長 ここは書き直してもらえれば。鏡森委員、この辺はいかがでしょうか。 ○鏡森委員 大体前回お話したことが入っていると思って見ております。 ○土屋座長 では、この章についてはよろしいでしょうか。では第V章を。お願いしま す。 ○主任中央じん肺診査医 事務局から申しわけございません。いまのご議論を伺ったと ころ、プラークや有所見の方の経過観察を非常に丁寧にやらなければいけないというこ とだろうと思うので、そういう意味でそういう所をもう少し強調して書きたいと思って おります。(4)の次に(5)ぐらいでそのような有所見者の経過観察として1つ書かせ ていただき、(3)のいちばん最後に「禁煙を勧めることも大変重要である」と書いてあ りますが、これも経過観察の中でのお話だろうと思いますのでその辺を少し整理し、(5) で経過観察は重要であるといったことを書かせていただければと思います。 ○土屋座長 いまの有所見の場合の、いかがでしょうか。ただ、課長が言われたように プラークと悪性中皮腫との間に乖離があるので、名取委員も岸本委員もなかなか断定し にくいのではないかと思うのです。有所見があるから必ず悪性化するから頻回に診なけ ればいけないとはおっしゃっていないと思うのです。心配を解消するには頻回に経過を 診て差し上げる必要があるのではないか、あるいは、お話を聞いてあげる必要があるの ではないか。それで悪性のものが早期発見できるという根拠は、残念ながらいまはない ですね。ですから、そこが別立てして強調するのがかえって不安を増長させるのではな いかというのが多分、臨床科側の危惧ではないかと思うのです。私はそのような解釈で いたのですが。ですから、そこが根拠があればかなり強調しなければいけない所なので すが、そこはむしろ乖離しているのではないかという指摘があるので、あまり有所見を 強調すると、それが皆がん化するのではないか、前がん病変ではないかという捉え方を されると、かえって不安を増長させるだけかなという気がいたします。 ○鏡森委員 そう思います。プラークはその集団の石綿ばく露の客観的な指標によく使 われるのですが、個々の人たちに、いまおっしゃったように、がんのリスクがあるかど うかという話は分けて考えなければいけないのです。そこを逆に書くと、それだけが一 人歩きしていまおっしゃったような危険が出てくるので、それはまた困ったことだと思 うのです。ですから、全体として現在の体制で使えるものを使って管理していくという ところに留めておかないと、そこをあまり書かれますと、プラークが一人歩きするので はないでしょうか、プラークそのものは悪性所見ではないので。 ○名取委員 ですから実際は、有所見の方がいらっしゃいますね。その時に私が伺った りするのは、「同僚の方を連れてきていただけませんか?」、「同じ居住環境の方はいませ んか?」と聞いていくと、同じ集団の友人を連れてきて下さり、プラークの方がだんだ ん出てきたりするという感じの広がりを見せていくのです。そのときに、検診に来たけ れどもプラークがなかった方から、「今後どうしたらいいのですか?」と聞かれたときに、 「あなたも胸膜肥厚斑が有る方と同じ集団にいるので、似たぐらいの頻度で来たほうが いいから、やはり年2回ぐらいレントゲンに来たほうがいいですね。」と言っています。 ちょっと不安になられている場合も多いので、そのようなことを実際的にやっていると 思うのです。ですから、有所見者がいる方と同等のばく露がある集団への経過観察の仕 方というまとめ方が正しいのではないかと思うのです。そういう所に禁煙であるとか、 いくつかのレントゲンの推奨される経過観察の仕方などを書いていくことはいいのです が、プラークのある・なしではないところが難しいと思うのです。 ○鏡森委員 もう1つ追加して、全く賛成なのですが。現場にいると、同じ職場であり ながらプラークのある人たちだけがスケープゴートになっていくのです。ない人たちは、 下手をすると、自分たちには関係ないということが起きてくるのです。ですから、プラ ークの頻度を求めるというのは、あくまでも同じ集団として同じようにばく露があると いう、その指標なのです。そこを知らずに下手にそれをやると、本当にそのようになっ てしまいますので。 ○土屋座長 その辺が、レントゲン写真も大事ですが、調査票が大変大事であるという ところにもつながってくると思います。 ○環境省保健業務室長 前回までのご議論でいまの議論があったかと思うのですが。プ ラークがあった方たちだけでなく、問診等によってばく露が強く疑われると言いますか、 どの程度なのかあれですが、疑われた方についてはその経過を追って定期的に診ていく ことが重要だというご議論があったと思います。そのような趣旨の内容は、きちんと書 いて残しておいていただきたいとは思っています。 ○土屋座長 そこは読みとれるような形でここの章をまとめたいと。よろしいでしょう か。 ○労働基準局長 そうした場合に、集団の括り方というのは何か自ずと決まるわけでし ょうか。例えば、ある事業場から労働者が出てきた。そうすると、そこの事業場の労働 者はみな1つの集団で、プラークが出ていない人も同じようにばく露ですね、このよう に考える話なのでしょうか。 ○土屋座長 私も細かいところまではよくわかりませんが、その工場でも職種あるいは 職場によって随分違うところがありますね。ですから、同じ職場にある同じ職種に就い ている人たちは、同じ扱いを受けるだろうと思うのです。しかし、同じ工場内でも、事 務所にいる方は全く別になるでしょう。 ○労働基準局長 しかし、それが別の集団かもしれないわけですね。その辺は自ずとわ かる。 ○土屋座長 それがやはり、いま周辺住民が、ですとこの調査票がかなり専門的知識で 聞いていただかないとその振り分けが難しいのではないかといったことだと思うのです。 ○名取委員 いまおっしゃる辺りが結局、実際やっていくと、その工場で何年から何年 ぐらいまでどういう製品が扱われた時期があって、そこに濃厚に吸引された集団は何十 人ぐらいという形を聞き取った上でようやく言えることなので。そこは産業医の先生な どのチェックも入れながらでないと難しい話に、なる場合はなりますよね、職場環境で。 ○岸本委員 そうですね。それにあと、間接ばく露という問題もありますから、一概に 集団を決めてしまうのは非常に難しいのです。ですから、個々の方々から詳細な仕事内 容を聞き取り、判断することになるだろうと思います。事業場でも仕事の内容を聞いて も、その周りも問題になると、間接ばく露という概念もありますから、その辺りは個別 に考えていったほうがいいのではないかと思います。 ○土屋座長 よろしいでしょうか。なかなか歯切れのいい回答ができません。ここまで はよろしいでしょうか。では、第IV章「今後さらに進めていく対策」の所をお願いしま す。 ○労働衛生課長 IV章、「今後更に進めていく対策」。1中皮腫登録。ここも少し読ませ ていただきます。  中皮腫症例の情報を登録し、1カ所に集中させることにより職業歴や生活歴について の情報も整理され、石綿による健康被害の実態をはじめとした様々なデータを分析する ことが可能となる。中皮腫の診断は非常に難しいと言われているが、中皮腫が疑われた 者を登録し、登録した症例を持ち寄って担当医と複数の専門家が診断についての協議を 行う診断パネルを開催することにより、診断精度の向上を図ることが可能となる。一施 設では症例数の集積が少なく得られにくかった知見も、一カ所に症例を集積することに より知見が得られやすくなり、治療中の症例へ新たな知見を早期に還元することができ る可能性がある。  また、疾患が発生する前の胸膜肥厚斑等の石綿関連所見が発見された時点で登録を行 い、経過を追うことが重要という意見もある。登録制度を考えるに当たり、石綿のばく 露歴及び中皮腫の診断精度(手術や解剖の病理所見、アスベスト小体や肺内アスベスト 繊維の測定結果等の収集による)を正確に把握することに加えて、届出システムの整備 や死亡情報等を活用して症例の把握漏れをチェックできる仕組みを組み込むことが重要 となる。  国、自治体、研究班、学会などが連携し、今後、どのような登録が望ましいのか、中 皮腫登録のあり方について検討を行う必要がある。  ということで、要するに中皮腫登録制度を作るべしという意見です。 ○土屋座長 まず、「登録」の所からいきましょうか。 ○労働衛生課長 したがって、これも準備中です。これも読ませていただきます。  「石綿含有建材等からの飛散状況の把握」。日常の生活環境の中でどの程度石綿にばく 露されているのかを明らかにするために、現に吹き付け石綿がある施設や石綿含有建材 が使用されている施設においてどの程度石綿粉じんが飛散しているのか、代表的な例に ついて石綿濃度を測定することが重要である。現在規制のない環境や建物内のこうした 濃度測定結果等を踏まえ、空気中の石綿(濃度等)の管理指針を新たに定めることが必 要である。この知見を得ることにより、石綿濃度の高い環境については早期に対策を講 じ、新たなばく露による健康被害を予防することができると同時に、住民の漠然とした 不安に対して相談を受けた者が科学的に回答することができ、住民の不安の解消に繋が ると考えられる。  3、「石綿関連疾患を的確に診断できる医療従事者の養成、研修」。これは、最後の所 だけを読みます。18頁の5行目から。  しかし、石綿関連疾患は必ずしも症例数が多くないため、臨床や健診等の現場におい ては、いままであまり意識されることはなかった。今後、石綿関連疾患が増えることが 予想されるため、石綿関連疾患を的確に判断できる医療従事者を全国的に増やしていく 必要がある。診断水準の向上と均てん化を図るため、医療従事者に対して石綿ばく露リ スク評価を行う際のポイントや画像による診断手技などについて自治体、医師会、医療 機関などが連携をしながら研修会を実施し、石綿関連疾患に関する啓発に努めることが 重要である。 ○土屋座長 どうもありがとうございます。16頁に戻り、まず中皮腫の登録からご意見 を伺いたいと思います。この件はいかがでしょうか。やったほうがいいというご意見は 皆さん、大賛成だと思うのですが、私が指摘したいのは、診断パネルの所で、例えば労 災のときに判定する。これはもちろん臨床的診断だけで構わないと思うのです、これは 悩める方をお救いすることが優先ですので。ところが、これをさらに早期診断・早期治 療に結び付ける研究へ持っていくための登録ということからいくと、17頁にこの文献16、 17が出ていますが、これはいずれも森永先生の病理、Cargleさんのもバイオプシーとあ るように、明確に病理診断ができたものについてしっかりした登録制度をやって解析し ていかないと、将来的な治癒という点への研究に結び付かないだろう。ここは、大きく 区別して考えておく必要があるだろうと思うのです。現実にばく露を受けてご病気で悩 まれている方は、逆にバイオプシーまで全部取る努力をしろというのは酷な話で、これ は臨床診断の段階でもある程度保証がされないといけないだろう。  しかしながら、そういう方が将来的に治癒する方向を、今、無いのをつくり上げてい くという点では、学問的な裏付けの下でやっていく。そこの区別を明確に付けられるよ うにしておいたほうがよろしいかな、というのが私の印象です。いかがでしょうか。名 取委員、いかがでしょうか、現場でいちばん苦労されている。 ○名取委員 そういうことでいいのかなと思っております。 ○土屋座長 よろしいでしょうか。 ○名取委員 「登録を行い、経過を追うことが重要」という意見とは、この疾患が発生 する前の石綿関連所見が発見された時点での登録を行いという意見もあるのですか。 ○土屋座長 これを全部扱うと大変。 ○労働衛生課長 これは先ほどの健診やあれで引っかかった人たちをフォローしようと いう話になって、いまの話とは少し違うのではないですか。 ○岸本委員 違いますね。 ○労働衛生課長 中皮腫。 ○土屋座長 健診をしていくという。 ○労働衛生課長 中皮腫登録とは違いますね。 ○土屋座長 ここは省いてもいい。いま言った厳密な意味での登録は非常に必要だと思 うのです。是非、早く実現。 ○労働衛生課長 これ、どうしましょうか。これは先ほどの例えば経過観察のような話 なのですか。 ○土屋座長 そうですね、これは経過観察のほうへ入れていただいたら。 ○労働衛生課長 それでは、経過観察のほうへ移して、書き振りを座長にあとで相談さ せていただくということでよろしいですか。 ○岸本委員 これは前向きの検討がされていませんので、私の研究班は後ろ向きの研究 なのですが、前向きの研究もやはり今後必要だという、そういうニュアンスでお書きに なっているのだろうと思うのです。 ○土屋座長 ほかによろしいですか。それでは次の「石綿含有建材等からの飛散」につ いて、いかがでしょうか。これについて濃度測定等が早くできるとよろしい、この表現 でよろしいですか。では、3、「石綿関連疾患を的確に診断できる医療従事者の養成、研 修」。いままで認識が十分でなかったところがベースですかね。この必要性については皆 さん、特に異論はないと思いますが、よろしいでしょうか。 ○労働衛生課長 細かい言葉の使い方ですが。「画像による診断手技」というのは何か変 な感じがするのですが。手技ですか、画像を診断するのは。 ○成田委員 診断のほうがいいのではないですか。 ○労働衛生課長 診断でいいですね。 ○健康局 細かい話ですが。診断パネルという言葉は、普通は症例検討会になるのです が、あえてこの診断パネルという言葉を使わなければいけないようなあれがあるのか。 あまり耳慣れない言葉を。 ○成田委員 これはたしか、最初に使った人がパネル、パネルと言ったのでこうなった というような記憶があるのです。 ○健康局 いや、ほかの医療の世界ではあまり使わないのです。 ○成田委員 使わないのですが、最初、森永先生などが中皮腫パネル、中皮腫パネルと 盛んに言っていたのです。 ○健康局 19番の文献で大阪中皮腫パネル。 ○成田委員 そうです、彼が最初に佐々木先生などと始めて、瀬良先生などと初めてそ のときに。 ○健康局 肝臓の人たちが犬山コンファランス、コンファランスと言うのと同じような あれだと思うのですが、あまり。 ○土屋座長 中皮腫はパネル。 ○成田委員 パネルという言葉、最初に使った人の言葉がその後続くのですね、不思議 と。 ○岸本委員 たしか、ヨーロッパではパネルという言葉が使われていたように記憶して いるのですが。 ○__ 確かに外国文献ではパネルという言葉は出てきます。 ○鏡森委員 イギリスではパネルです。20数年前からパネルでずっとやっています。そ れを使ったのだと思います。北川先生が日本でやりました。 ○成田委員 はい、北川先生が。あのときにパネルという言葉を使われました。 ○鏡森委員 ブリティッシュ・カウンシルに行っていましたから、そこで中皮腫の登録 制度としてのパネルのことも見聞されたのだと思います。 ○土屋座長 どちらがよろしいですか。日本は日本語でいきますか。定義が明確でない ですから、むしろ日本語で「検討会」としておいたほうが誤解を生まないですかね。よ ろしいでしょうか。参考の所はよろしいですか。 ○労働衛生課長 よろしいかと思います。 ○土屋座長 先ほど問題になった調査票については、名取委員、岸本委員にご努力をい ただきましたが、資料3について説明をお願いできますか。 ○名取委員 岸本委員と事務局の方とご相談した上で作ることにしたのですが、昨日の 夜に完成したので、皆さんに十分見ていただいてない段階のものをお見せすることにな り、申しわけありません。まとめていく中で調査票、2次問診票、さらにマニュアルを どのように位置づけていくかをいくつかまとめたものが要点です。  まず、最初の自記式のものです。これは本人が書く場合も多いですし、ご家族やご遺 族が書くこともあるのかなという気もしたのですが、最初に記載するスクリーニング用 のものなので間違いなくいい表現を取る必要があることと、逆に石綿ばく露のチェック で多めに取ると言いますか、漏れが生じないようにしたほうがいいということです。  実際、こちらの健康管理の流れですと、これで無いとした場合は、無しという安心の ほうになっているのですが、実際問題、無いと言う方の中に実はあるという場合が多い のが現実です。本人及びご家族は石綿の製品に対する情報が乏しく、現実には石綿を使 用する作業に携わっていないことも多いため、自記式の調査票は調査の開始と位置づけ ておかないとまずい、ここでなかったら無しでいいとはならないということを書き加え させていただきました。  職業性ばく露の順番としては、石綿ばく露の濃度で高濃度、中濃度、低濃度と言われ ているもの、その産業人口の多さを勘案してみた順で人数的に発症が非常に多いような ものを総合して並べるようにいたしました。  職業ばく露、家族ばく露、環境ばく露、それに今回付け加えたのは、正しいかどうか わかりませんが、何か石綿製品の知識を聞くことを設けていただき、この方の認識はか なりよくわかっていらっしゃらない方かもしれないというのをチェックする項目を作っ たほうがいいのかと思い、これを付けています。  例えば私の経験でいきますと、屋根材をパッと見て石綿は入っていないと本当に思っ ている建築関係者は案外いらっしゃいます。石綿を扱ったことがないと言われたりしま すが、実際現物の写真を見せると、これなら使っていますということがあるので、何か そういうふうなところを問診票に入れて、その方の記載自体のチェックをするという部 分が必要なのかと考えて、今回新たに付け加えています。  2次問診票につきましては、自記式調査票を見ながら聞き取るもので、2次段階は最 初は医師というお話だったのですが、その後保健師の方、監督署の職員も記入・聞き取 りもしながら記入するとなりました。自分で全部書かれるのではないというお話もあり ましたので、石綿の吸入の事実をより明確化して、極力内容・製品・吸入した期間・頻 度が判明するようにするのが望ましく、少なくともレントゲン写真の撮影が必要かどう かの判断を行うに足る必要があるということです。  実際に石綿吸入歴の聞き取りですが、最初の案は1回目で全部聞き取れることを前提 としていたように思うのですが、まず1回の聞き取りですべて答えた方はいないのが現 状です。つまり、1度聞き取った内容をしばらく経ってレントゲン写真・CT写真等の 撮影が終了して説明をする時期、もう1回いらしたときに、そう言えばこういうことを 思い出しましたというふうに追加される事がほとんどです。たぶん最初は不明と言われ た方が2度目に追加のお話をされたり、前回こう思っていたけれども実はこういうこと もありましたというのが実際的かと考えられますので、記入日の欄を1回だけにしない という形を考えています。  本来は高濃度・中濃度・低濃度とばく露の回数の頻度を把握して、それによってのラ ンク付けが望ましいのはよくわかるのですが、現実の経験上からは、これを明確にお答 えいただく、もしくは聞き取れるのは案外困難であるのがこの間の現状かと思っていま す。そのためにそこの精度を上げようとすると、極力2次問診票マニュアルを作ってい くしかなくて、現実問題としては聞き取りの方向けのマニュアルがあって、その方が補 いながら聞いていけるようなものが必要と思い、ここにはマニュアルのは書いていませ んが、基本的に過去の石綿の製品の一覧、もしくは写真、そういうものとこういう産業 ではどういう工程でどのような製品を使ってこういう発症例の報告がされている、とい う5、6行、200字程度のまとめを付けたものをさらに作れればうまく機能するのかと 考えています。  その考えを基に作りましたのが石綿の自記式簡易調査票と2次問診票でして、一応 A・B・C・Dとなっています。Aは作業についてです。作業および作業場所について チェックを付けていただくということで、石綿の製品の作業から始まって、あまりそれ がない作業まで並んでいます。すべての作業をここに列記するのはとても無理ですので、 その他石綿製品に関連する作業というところで19を設けてご自分でご記入いただく。も しくはよくわからないという方が必ずいるので、作業はわかるけれども覚えていない・ わからない・不明というのを付け加えました。  Bについては、これは家族ばく露もしくは家庭内ばく露を問題にする所でして、少し 詳しい記載を減らして、家族ばく露・天井・石綿製品作業・わからないにしました。  Cの近隣の居住におけるばく露としては、工場・造船所・建材置場・修理工場・廃棄 物・吹つけ石綿などの建物・わからないとしています。  Dの石綿製品に関する質問については、2つが適当かと思っており、今回の案は難し くて適切ではないかと思います。要するに、石綿の飛散性と浮遊してなかなか落下しな いという性質をよく理解していただいているかということと、写真をいくつか見ていた だいて、このくらいのことはわかっている人だからだいぶよく知っていらっしゃるとい う判断をしたほうがいいのかという項目を付けて、逆にDの1、2が非常に間違えてい らっしゃる方の場合は、この自記式の部分がなかなか正確でないかもしれないというふ うに2次問診票を見る方が参考にするのもよろしいかと思って、付けています。下の部 分も相談窓口で使うこと以外に、これでなければ、ばく露はないのだという判断はしに くいと思いまして、不明やわからない等の総合的に勘案して2次に進んでいただくとし ておいたほうがいいかと思います。  続きまして2次問診票です。聞き取りの部分で日付を2つにしたことと、順番を変え まして、学校から卒業してから現在に至るまでの職業を書く欄をいちばん上に書き、そ の上で先ほどと似ていますが、やや詳しくした従事歴、ばく露の作業環境における職歴 を書かせていただいて、最初は詳しいものがいちばん前にあったのを、それを外しまし た。  IIIとしては実際の製品については以前のものと同じものにしており、一応ここについ てそれぞれ写真をお示しし、場合によってはこういうものをと言いながらお見せできる ようにしたほうがいいと思っています。  IVが家族ばく露です。家族ばく露がある方については、少し詳しく聞き取るようにし ています。  VもIIIとダブっている項目ですが、Vについてそういうものはそのまま残しています が、若干ほかの製品とダブっているようにも思えますし、私自身もよくわからない製品 名があるので、ここについてはまた詳しい専門家の方のご助力を得てここを変更すれば と思っています。  VIは病気、VIIはただ喫煙について伺って、最後に詳しい産業別の項目をここに持って きていますが、これは今後統計を取るとかそういう目的のためにおそらくお使いになる 参考なのかとは思っていますが、現実的にはおそらくVIIIをするのは非常に現場の人にと っては厳しい。ただ、VIIIを一応置いておいて、VIIIに関しては非常に詳しいマニュアルを 付けてご参考にしたほうがよろしいのなら、それに応じたものを作るというあたりが現 実的かと思っていますので、ここら辺はたぶんVIIIは全くすべてを網羅してということで ある項目だと思いますので、この扱いをどうするのかは、ここに載せずにマニュアルに、 VIIIを項目として最後に載せるというやり方もあろうかと思いますので、そこら辺ご意見 をいただければと思っています。 ○土屋座長 どうもありがとうございました。岸本委員、何かご追加は。 ○岸本委員 名取委員のおっしゃられるとおりだと思います。日本の中皮腫と石綿ばく 露の関係が非常にパーセンテージ的に低いのは、石綿ばく露歴を聞き逃がしているので はないかということで、とりあえずVIIIにあるような作業ではアスベストが使われる場所 でがあるということで、取り漏れ、取り逃がしを防ぐための最後の砦という形でこれが あるわけなのです。順番を変えて、名取委員は非常にわかりやすい、書きやすい2次問 診票にしていただいたと思います。  名取委員、1つ質問があるのですが、教員はアスベストばく露歴有りと考えるのでし ょうか。これは実は教員で中皮腫が出た症例がありまして、症例報告があって、白墨の 中にアスベストが混じっているからという説明があり、これは非常にいつも、実は教員 の方で、私も中皮腫の経験があり、非常に迷って、実は解剖させてもらったり手術をし てもらったりした例の中では、石綿小体はでないのだけれども、白石綿だから出ないの だろうとも思っています。いままでの問診票には教員は入れてなかったのですが、これ、 名取委員が入れられたのだと思って見ていました。いかがでしょう。 ○名取委員 たぶん前の問診票を作られたのは1990年代ぐらい、初期だと思うのですが、 まずフランスが結局、教員の方の中皮腫が実際出て、建物由来のあたりのことを着目さ れたということがありますし、その後もオーストラリア等の教員の発症例が出てきてい まして、実際、吹き付けのもとでずっと職業に従事されている方が多いものですから、 正直言って日本でもそろそろ懸念される時期に入りつつありますので、ここは追加して おいたほうが、諸外国の動向などからここはいいだろうと思って付け加えました。 ○岸本委員 落下石綿であって、白墨のばく露とは違うのですか。 ○名取委員 そうですね。ですから、教員とか、ここに書かなかった、図書館の司書の 方とか吹き付けのある中にずっと長時間いらした方がそろそろ潜伏期を過ぎていらっし ゃるので、これは入れておいたほうがまずよいのではないかと考えています。 ○労働衛生課長 教員・船員、例えば漁業者とかそういうのは要らないのですか。そう いうのも書く必要はないのですか。 ○岸本委員 船員はでてきていましたね。 ○名取委員 船員は一応21に入れています。まだこれは全部網羅はしていませんので、 おそらく。 ○労働衛生課長 私もここは、ほかは全部「作業」と書いてあるのに教員だけはポンと 「教員」と出ている。 ○鏡森委員 そのあたりは難しいですね。私はアスベストが吹き付けられていた倉庫で 長年働いていた事務員の例を持っているのです。そうしたら事務員もここへ入ってきま すよ。 ○成田委員 ですから、そうやっていくと何でも入ってしまい、大変難しくなるのでは ないでしょうか。 ○鏡森委員 これはどうなのですか。これは作業にかかわるものを見つけるためなのか、 ばく露全体を見つけるためのものか、そこによってコンセプトが違ってきますから、委 員がおっしゃるようにばく露をすべてのものでやれば、申し訳ありませんが全職業人、 ホワイトカラーも全員対象ということになってしまいます。 ○名取委員 どこまで網羅するのかを含めて検討したいと思います。 ○岸本委員 教員が論文に出ていますよね。昔はそうでないと言っていた時代がありま して、最近になって名取委員が言われるような方向に向いてきていることは間違いない と思います。 ○名取委員 それは船員・教員がだんだんいま出てきています。そこだけ付け加えたの です。 ○土屋座長 そうすると、目の前の方が過去のばく露歴がどうかと聞く場合には、現時 点ではあまり教員は重要視されないけれども、将来的にということになると、皆さんの 職業歴というか、それを万遍なく聞いておくことが必要ですか。あとの調査のためにや るのですね。ただ、現在この方がばく露がどうかということについての職業はどこまで 入れるかと、こういうところで線引きをしておいたほうがいいかもしれないですね。 ○名取委員 そうですね。ですから、ここの所は個別列挙を全部していくとどこまで行 ってしまうかというのがあって、いま座長が言われたようにかなりたくさんの量になっ てしまうので、そこの書き方はどうしようかというのは要検討のところがありますね。 ○土屋座長 現時点ではわが国では、ばく露が強いと考えられる職種はこれだという線 をどこかで決める。将来的にはまた取り上げられる職業が出てくる可能性はある。 ○鏡森委員 頭が混乱しているのですが、例えばこれは保健所で相談していますよね。 保健所は住民が行きますよね。この人たちもここへ入っていくわけですね。 ○土屋座長 自記式はそうですね。 ○名取委員 たぶんIVの項目等で家庭生活の部分でのチェックでチェックが付く方々で はあると思います。 ○鏡森委員 そうすると、これはパラオキュペーショナルではなくて、もろにここから 入っていく人も、このアンケートでカバーするということですか。 ○名取委員 もともとそういうことだと。 ○岸本委員 オーバーオールでという事ではないですか。窓口ということですね。 ○成田委員 自記式の簡単なもののDの1は、委員、これは難しくありませんか。 ○名取委員 難しいです。 ○成田委員 だから、それだったら、例えば写真を10種ぐらい増やすほうが私はいいと 思いますがね。 ○岸本委員 難し過ぎますね。このままでは使用できない。 ○成田委員 私はこれはちゃんと書ける人はあまりいないと思います。これは対応でき ないでしょう。 ○名取委員 ……写真のほうがいい。 ○成田委員 だから、写真を5種と書いておられるのを、例えば10種ぐらいに増やす方 がよいでしょう。 ○名取委員 写真は聞きながら、質問しながら、実はこうなのですと説明をしながらす るときだけに使うものですので。質問の1は難しいので使用しない事にします。 ○労働衛生課長 必ずA判1枚にまとめる必要はないと思うのです。例えば、折り込み のアスベスのいろいろな知見を入れた形のパンフレットみたいなものでもいいかもしれ ませんが、たぶんこれ1枚に全部とじ込める必要はないと思います。 ○土屋座長 うちでやりますと、本人に書かせると裏表にすると表の頁しか書いてこな いのがいっぱい出てくるのです。アンケートは大概そうなのです。できればご本人に書 かせるのはこのぐらいのこのほうがいいかと、現実的にですね。あとでしまったという アンケートが結構出てきます。  確かに委員がご指摘のようにDの1はまさに石綿というので、目に見えるという認識 で、我々も言いましたし、一般の方がそう思っているのが、実は放射線的に目に見えな いばく露が、認識してない所でばく露していたのだというところが、また今回の新たな 視点ではないかと思うのです。ですから、そういう意味でご本人は認識してないけれど も、あるのだというところがつかめれば自記式のほうがよろしいかという気がします。 ですからDの2、ここはかなり技術的にはよいクエスチョネアではないかという気がし ます。 ○成田委員 これはいいと思います。 ○中央じん肺診査医 事務局からですが、いま名取委員からこの簡易調査票を使って、 ここでチェックが無しなら安心とは必ずしも言えませんよという貴重なご指摘をいただ いたのですが、そうなりますと資料2の13頁の「石綿関連疾患を発見するための手法」 という流れ図がありますが、それを一般の方が見て誤解のないように、場合によっては 少し修正を加える必要があるのかと思いながら聞いていましたが、この点についてもし このように修正したほうがよいというご意見等がありましたら、よろしくお願いします。 ○成田委員 このほうがいいです。例えばこの表で全部無しになっていたから、ばく露 が無しというのではなくて、それを専門家が見て、ひょっとしたらあるのではないかと いうのを判断して、無しかありかを判断するわけですから、これ一枚だけで、判断する わけではないでしょう。ここはそうあまり神経質になられずともいいのではないでしょ うか、と私は思うのですが。 ○土屋座長 これですから相談窓口の中に自記式簡易調査票が括弧で入っていますね。 ですから、何となく簡易調査票だけで判断されると理解されるといけないというのだと 思うのです。むしろ枠の外に「調査票の提出」と書いておいて、相談窓口というフィル ターを通ってばく露の疑いがある・なし、そうすればあまり誤解を生まないのではない かと思います。 ○成田委員 いま座長が言われたように、いちばん上に自記式を書いて相談窓口へ矢印 をすれば、そこでふるい分けということになりますから、いいと思います。 ○名取委員 あくまでこれをどなたかが見られるわけですよね。 ○土屋座長 出したものを見る方がいて、その方が判定するという形を取ってある。 ○中央じん肺診査医 はい。 ○土屋座長 このままだと誤解を受けるかもしれないです。いいご指摘でありがとうご ざいました。2次問診の3頁目、確かにこれは難しくて、ただ後々調査というか、それ と私はこれが自分で使うときにはペーパーとしては置いておいたほうがいいと思ったの は、ご本人にこれを見せることで、ハッと気がつかれるというきっかけになるかと。こ ういう職種もそうなのかと。ですから、厳密にこれを全部チェックしろということでは なくて、さっと見たときに、それは気がつきませんでした。例えばプラスチックなどは 最後のほうにありますが、そういう方が全く考えてなくて来られた方が、「先生、これも そうですか」というきっかけになれば大変よろしいのではないかと思います。そういう 利用の仕方がよろしいかという気がします。  ほかによろしいですか。大変な作業ですが、さらにこれをもう一度ブラッシュアップ をお願いして、また皆さんご意見があればメール等で名取委員にいろいろお知恵をお貸 しいただければ、ありがたいと思います。 ○労働衛生課長 あるいは事務局にお知らせいただければ。 ○土屋座長 名取委員だけ使ってしまうと申し訳ないので、事務局のほう、よろしくお 願いします。いくつかの点、また調査票をはじめマニュアルの点、マニュアル作りもま だ課題で残りましたが、報告書の基本線はご了解いただけることで、また私のほうで事 務局とご相談して、さらに文言、今日ご指摘いただいたのを直して、皆さまにお目通し いただいてご報告という形にしたいと思います。  最後に事務局でお願いします。 ○労働衛生課長 一応、今回は座長にお預かりということにしまして、私どもは最後の 修正等にかかり、その結果を各委員にまたきちんとお示しした上で、最終報告案として 提出をいただくということにしたいと思います。どうもありがとうございました。最後 に労働基準局長からご挨拶がありますので、よろしくお願いします。 ○労働基準局長 委員の皆様方、大変お忙しい中、大変熱心に、しかもこの夏の非常に 大変な問題となりまして以来、7回もこの検討会議を開催していただきまして、熱心に ご議論いただきましてありがとうございました。この報告をここでまとめていただきま して、一般住民に対する健康管理の考え方、あるいは対処、そういったものについて整 理ができたのだと思います。今後、私どもとしては行政としていろいろな調査、あるい は健康診断の実施、そういったことに大いなる基礎資料になるだろうと思いますし、思 い起こせば去年の夏以来、大変な国民の皆さま方に不安になったことに対する思いに対 して、そういった不安の解消に大いに役に立つのではないかと思います。政府としても 関係閣僚会議をはじめ、挙げて対策を講じている。その中の1つとして位置づけていけ るものだと思っています。引き続き私どもとしてはアスベストに対する健康被害、防止 対策、そういったものを一生懸命努めてまいりたいと思います。本当にありがとうござ いました。 ○土屋座長 最後になりますが、この間、特に事務局の方を中心に関係者の方、多大な ご努力をいただいて、座長としても感謝をいたします。また、委員の方々には本当に回 数を重ねて、座長のナビゲーションがあまりよくないものですから回数を重ねましたが、 あきずにご協力いただいてありがとうございました。  また報道関係の方は、この間大変抑制の効いた報道で、的確な情報を提供していただ いた。それとまた一般の方の注意を喚起していただいて、私どもは臨床家としても前に も中でお話しましたが、過去に亡くなった方がこの報道をきっかけに、そういえばうち の主人がしつこく職業歴を聴かれたけれども、そうだったのかということで、職場と話 してみたら、確かに労災の申請の適用であったと。私たちの施設だけでもお二方経験が ありました。これはこの委員会、あるいは関係者のご努力とともに報道関係者の的確な 報道が欠かせなかったと思いますので、座長として改めてお礼を申し上げてこの会を締 めくくりたいと思います。どうもご協力ありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課(内線5493) 1