最終まとめ案(教育・保育の内容について)
総合施設で行われるべき教育・保育の内容については、モデル事業園の調査結果及びこれまでの審議を踏まえ、中間まとめの「1 総論」について追加的な記述を行うとともに、「5 教育・保育の内容について」及び「6 子育て支援について」について、次のとおり整理してはどうか。
1 総論 (抜粋)
○ | 総合施設については、乳幼児期が人間形成の基礎を培う重要な時期であることに鑑み、合同検討会議の「審議のまとめ」において提言されたとおり、小学校就学前の子どもの育ちを一貫して支える観点から、子どもの視点に立ち、「子どもの最善の利益」を第一に考え、次代を担う子どもが人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付け、また、保護者や地域の子育て力を高めるために各種の支援を行う施設であるべきである。
こうした理念を踏まえれば、総合施設は、親の就労の有無・形態等で区別することなく、就学前の子どもに適切な幼児教育・保育の機会を提供する機能とともに、すべての子育て家庭に対する支援を行う機能を備えるものである。 |
(「1」における以下の記述省略)
5 教育・保育の内容について
○ | 利用時間の相違や幼稚園児・保育所児の別にかかわらず一貫したカリキュラムが必要であると考えられ、多くのモデル事業実施施設においてもこうしたカリキュラムを既に用いている。
従って、総合施設における教育・保育の内容については、幼稚園教育要領及び保育所保育指針を踏まえながら、子どもの1日の生活のリズムや集団生活の経験年数が異なることなどの総合施設に固有の事情も盛り込んだ総合施設の教育・保育の内容や運営に関するガイドラインを定めることが適当であると考えられる。
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○ | ガイドラインに盛り込むべき事項は、以下のとおり。 |
(1 | )総合施設における教育・保育の基本・目標
・ | 総合施設における活動は、0歳から就学前までのすべての子どもを対象とし、一人一人の子どもの発達の過程に即した援助の一貫性や生活の連続性を重視しつつ、すべての子どもに対する学校教育法所定の教育の目標の達成と、家庭において養育されることが困難な子どもに対する保育の機会の提供という双方の機能が一体となって展開していくべきである。
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・ | したがって、いずれの施設においても、以下のような幼稚園教育要領と保育所保育指針の目標・方法等を踏まえた教育・保育を提供する必要がある。
(1) | 十分に養護の行き届いた環境の下、生命の保持及び情緒の安定を図る。 |
(2) | 基本的な習慣や態度を育て健全な心身の基礎を培う。 |
(3) | 自立と協同の態度及び道徳性の芽生えを培う。 |
(4) | 自然などへの興味・関心を育て、豊かな心情や思考力の芽生えを培う。 |
(5) | 生活の中で言葉への興味・関心を育て話し聞く態度や言葉の感覚を養う。 |
(6) | 多様な体験を通じて豊かな感性を育て創造性を豊かにする。 |
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・ | 保育者は、子どもの発達等に応じて教育・保育の目標を達成するために、より具体化したねらい及び内容を定め、子どもの主体的な活動を促し乳幼児期にふさわしい生活が展開されるように環境を構成し、子どもが発達に必要な体験を得られるようにする。 |
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(2 | )総合施設に固有の事情として配慮すべき事項
・ | 0歳から就学前までの一貫した教育・保育 |
・ | 子どもの1日の生活リズム |
・ | 3〜5歳児の4時間程度の共通の時間 |
・ | 利用時間の長短・登園日数 |
・ | 集団生活の経験年数 |
・ | 地域の子育て支援の実施 |
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(3 | )総合施設における教育・保育の計画等及び指導計画
・ | 教育及び保育について、総合施設に固有の事情を踏まえつつ、園として目指すべき目標・理念や運営の方針を明確にするとともに、総合施設としての一体的運用の観点を踏まえた教育課程と保育計画の両方の性格を合わせもつような教育・保育の全体的な計画を編成し、また、年間指導計画、月・週の指導計画、日々の指導計画を作成し、教育・保育が適切に展開されるようにする。
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・ | 利用時間の長い子がいることから、指導計画の作成に当たっては、一日の生活時間の流れに配慮し、活動と休息、緊張感と解放感などの調和を図る。
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・ | 利用時間の短い子もいることから、3〜5歳児の共通の時間における教育・保育内容については、幼稚園教育要領・保育所保育指針に基づき実施し、子ども一人一人の行動の理解と予測に基づき計画的に環境を構成するなど、指導計画に定めたねらいや内容が達成されるようにする。
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・ | 同一学年の幼児等での学級を単位とする集団活動に加え、異年齢児とかかわる機会が減少していることから、低年齢児も含めた異年齢児との自然な触れ合いを重視する。
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・ | 受験などを目的に単なる知識の早期獲得のみを目指すような、いわゆる早期教育となることのないように配慮する。 |
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(4 | )日々の教育・保育活動における留意点
・ | 0歳から就学前までの子どもの発達の連続性について十分理解した上で、生活や遊びを通して総合的な指導を行う。さらに、幼児の発達は個人差が大きいことや集団生活の経験の差を踏まえ、一人一人の子どもの発達の特性や課題に十分留意する。特に低年齢児の集団生活への円滑な接続に十分留意する。
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・ | 1日の生活のリズムや利用時間が異なる子どもが一つの施設で過ごすことを踏まえ、子どもに不安や動揺を与えないようにするなどの配慮が必要である。
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・ | 3〜5歳児の4時間程度の共通の時間における教育・保育内容について、同年代の子どもとの集団生活の中で遊びを中心とする活動を通して子どもの発達を促す経験が得られるように、環境の構成や保育者の指導などを工夫する必要がある。
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・ | 食事は、子どもの健やかな発育・発達に欠かせない重要なものであることから、食事に関する生活習慣の獲得を促すとともに、年齢に応じた食事、食物アレルギーへの適切な対応に配慮し、また、楽しく食べる経験等を通して食を営む力の基礎を培う食育の取組を行う。
加えて、利用時間の違いにより食事をとる子とらない子が存在することにも配慮する。
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・ | 午睡は生活リズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる環境を確保するとともに、利用時間に違いがあることや、睡眠時間は発達や個によって差があることから、一律とならないよう配慮する。
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・ | 健康や発達、家庭等の状況から特別に配慮を要する子どもについて、一人一人の状況を的確に把握し、専門機関との連携を図ることも含め、適切な環境の下で健やかな発達が図られるよう留意する。
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・ | 子どもの健全な心身の発達を図るためには、家庭に園での様子を確実に伝えたり家庭での状況を把握するなど、十分な連携を図ることが必要である。その際、職員の協力体制を築き、信頼を得られるようにする。
また、総合施設における行事や教育・保育活動に対する保護者の積極的な参加を促す際には、保護者の生活スタイルが異なることを踏まえ、すべての子どもの保護者の相互理解が深まるように配慮する。 |
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(5 | )環境の構成
・ | 0歳から就学前までのさまざまな年齢の子どもが利用することから、発達の連続性の観点を踏まえ、園舎、保育室、園庭、遊具、教材等の環境の構成について、同年代の子どもによる集団による活動の充実、異年齢交流、低年齢児の安全の確保等に配慮することが必要である。
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・ | 利用時間が異なる多様な子どもが在園することから、生活の連続性の観点を踏まえ、一日の生活のリズムに配慮し、特に3〜5歳児については、集中して遊ぶ場と家庭的な雰囲気の中でくつろぐ場とが適切に調和するなど環境の構成を工夫する。
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・ | 3〜5歳児については、集団とのかかわりの中で、自己を発揮し、子ども同士の学びあいが深まり広がるように環境の構成を工夫する。
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・ | 保育者は子どもにとって重要な環境となっていることを念頭に置き、信頼関係を十分に築き、子どもとともによりよい教育・保育環境を創造するよう努めるものとする。 |
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(6 | )小学校教育との連携
・ | 子どもの発達や学びの連続性を確保する観点から、小学校教育への円滑な接続に向けた教育・保育内容の工夫を図り、連携・接続を通じた質の向上を図る。
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・ | 地域の小学校等との交流活動等や小学校教員等との合同研修などを通じた園児・児童及び職員同士の交流を積極的に進めるとともに、指導要録等の送付で連携するなど、情報の共有と相互理解を深め、就学前から小学校への育ちの確保を図る。 |
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(7 | )保育者の資質向上等
・ | 保育者の資質は、幼児教育・保育の要であり、自ら資質向上に努めることが重要である。
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・ | 職員間、特に幼稚園教諭と保育士の協力体制をつくり、子ども理解などの情報共有と、教育・保育内容の相互理解を進める。
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・ | すべての職員について、職員研修・交流など園内における研修に加え、園外での適切な研修も含めた研修計画を作成・実施するなど、研修の機会を確保できるよう、勤務体制の組み立てなどに配慮する必要がある。
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・ | 園長には、一つの園として多様な機能を一体的に発揮させる能力が求められるので、そうした資質を備えることが必要である。 |
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(8 | )その他
・ | 自己評価・他者評価など子どもの視点に立った評価と改善を行い、その結果の公表を通じて教育・保育の質の向上に努める。
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・ | 総合施設の教育・保育内容のガイドラインについては、幼稚園教育要領又は保育所保育指針が改訂された際には、その改訂内容を踏まえ、適宜見直しを行う。 |
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6 子育て支援について
○ | ほぼすべてのモデル事業実施施設が何らかの子育て支援を実施しているが、その利用者からは「親子とも友だちをつくることができた」「職員への相談や、母親同士の会話を通じて子育ての悩みが解消された」など肯定的な評価が極めて多い。地域の子育て世帯全世帯を訪問している施設もある。
このように、園児のみならず、在宅の子育て家庭を含めたすべての子育て家庭に対する支援の充実が求められており、子育て支援は、地域の様々な人々の参加も得つつ、総合施設が自ら取り組むべき必須の機能とすべきである。この際、合同検討会議の審議のまとめにおいて提言されたとおり、単なる親(保護者)の育児を肩代わりするのではなく、子育て相談や親子のつどいの広場など、親への支援を通して、親自身の子育て力の向上を支援するものとすることが必要である。
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○ | モデル事業実施施設における子育て支援については、各施設で開催日数などにばらつきがあるが、保護者が利用したいと思ったときに利用可能な体制の確保が期待される。
その際、教育・保育に従事する職員が子育て支援に必要な能力を涵養していくことが望まれるが、同時に、地域の子育てボランティア、子育て支援NPOと連携するなど地域の力を活かしていくべきである。 |