資料3−2
WHO−FICネットワーク会議の主な検討内容

  国際疾病分類(ICD)について
(1) ICDの普及について(普及委員会)
 ICDの導入評価調査の実施や、普及促進のための新たな協力センター(ナイジェリア、インド、タイ及びマレーシア)の設立が検討され、専門家名簿の作成、ICDに関するトレーニングツール(ICD in a box)の構築等に関する検討が行われた。

(2) ICDの改正(アップデート)について(分類改正委員会)
 ICDの改正内容について、44の案件が審議され、28が受け入れられ、9つが取り下げられ、7つが継続審議されることとなった。今回は、"avain flu"について、J09の新コードを設置し、2006年から適用しその早期普及をプレスを通じて促すことにした。
 2007年に導入することが承認された変更については、2006年始めにWHOのウェブサイトに掲載される予定である。
 注)WHOはICD-10の範疇での内容の更新をアップデート(改正)と呼んでおり、ICD-10から11への改訂を示すリビジョン(改訂)と用語を区別して使用している。

(3) 死因分類改正グループ(MRG)について
 56の事項が議論され、その内29についての決定がなされ、2006年URCへの勧告が決定された。
 MICARとACME処理に基づく国際ツール(IRIS)のための作業が各協力センター(フランス、スウェーデン、アメリカ、ドイツ)及びハンガリー統計局によって行われている。
 MRGは、死亡データの質の向上の推進のため、新生児データの分類、妊産婦死亡などに取り組み、XX章の見直しに参加している。

(4) ICDの教育について(教育委員会)
 診療録協会国際連盟(IFHRO)との合同委員会を開催し、教育のためのコアカリキュラムの検討などに関する報告がなされた。また、今回は、初の試みとして、ネットワーク会議に初めて参加する者のためのオリエンテーションを開催し、各委員会の説明や活動報告などを行った。今後はWHO-FICのウエブサイトに活動報告などを掲載する予定である。また、それらの活動の資金確保のための作業班が設立された。

  国際生活機能分類(ICF)について
(1) ICFの普及について(普及委員会)
 ICFの普及、利用、教材等に関する情報を共有するためのICF知識ネットワークについて議論された。情報共有についての枠組みは、WHOのウエブサイトに掲載され各協力センターにもリンクされる。

(2) ICFの訓練と教育について(教育委員会)
 トレーニングツールの開発について報告がなされた。今後は教育的戦略と普及戦略を連携させながら進めていくべきであるとの勧告がなされた。また、2005年5月にタイで行われたICFワークショップが国際的なトレーニングの可能性のモデルであると紹介された。

(3) 国際生活機能分類小児青年版(仮称)ICF Children and Youth version
 ICF-CYの作業班によるフィールド試験の実施後、WHOは各センターに対する照会のプロセスに入った。
 出来上がった分類は、WHO-FICの派生分類として位置づけられる予定である。

(4) ICFの改正について
 保健ケアの管理には、結果を監視及び評価するための多次元ツールが必要である。ICFは、保健活動結果を評価する上で大きな可能性がある。
 保健調査や障害調査の共通枠組みとして利用する可能性や、国民健康評価のまとめなどに使用する簡易書式などの検討、また、ICF改正のメカニズムの必要性が討議され、ICFのためのWHO-FIC改訂ソフトウェアプラットフォームの適用を勧告した。プラットフォームはWHOのウエブサイトに掲載され、ICF関連情報はこの共通のメカニズムを通じて集められる。

  医療行為の分類(ICHI)について
     WHOは、ICHIベータ版のフィールド・テストを実施し、国際的な医療行為の分類の必要性について、総合評価を実施することが重要であることを強調した。最先進国には独自の医療分類体系があるが、途上国の多くはそうした分類がない。フィールド・テストではICHIについて強いニーズがあることが示された。

  ラウンドテーブルでのディスカッション
(1) ターミノロジーとのリンク
 用語と分類の有用性をはっきりと識別する必要がある。分類と用語は代替的なものではないが、互いに補完的なものであり、既存の科学的知識に基づいた適切なリンケージで結合し、使用されるべきである。

(2) DRG/DPC
 国際的なケースミックスの専門家によって、現在の使用の評価、促進の方法、システムについて議論された。国際的な比較可能なものにするための作業班が形成される予定である。

  ICDの改訂について
   WHOはICD-11に向けてのプロセス案を発表した。
 ICD-11向けては、以下の3つの観点から現行のICDを見直し、必要な修正を図りたいと考えている。

(1) 科学的流れ(Scientific Stream)
 根拠に基づいた見直し、調査、バリデーションスタディ等を含む科学的見地からICDの見直しを行う。

(2) 臨床的流れ(Clinical Stream)
 臨床的に有効活用でき、また治療への反応性といった側面にも対応できるような観点からICDの見直しを行う。

(3) 公衆衛生的流れ(Public Health Stream)
 保健医療制度(サービスの提供、資源管理、償還、会計、情報技術への適用等)への影響を評価する観点からICDの見直しを行う。
 ICD-11に向けての改訂プロセスの原案がWHOからプレゼンテーションの形で示されたが、より具体的な方針等については、今後企画実行委員会において検討される予定である。

  WHO-FICネットワークの今後の活動について
(1) ネットワーク構成の再編
 現在ネットワークは、5つの委員会と1つの小委員会(MRG)から構成されているが、それぞれの委員会に横断的に関与する作業班を構成する旨の組織改革が提案された。
 (1) Mortality Reference Group 死因分類改正グループ(既存)
 (2) Morbidity Reference Group 疾病分類グループ
 死因についてのデータ精度の向上を目指すMRGと同様に、疾病のデータ精度向上を検討するためのグループの構築さて、ケースミックス、病院データなども検討の対象となる予定である。
 (3) Functioning and Disability Reference Group 機能および障害分類グループ
 標準化されたICFのアプリケーションを確立することにより、利用を促進し、また機能及び障害データの国際比較可能性を高めることを目的とする。
 (4) Terminology Reference Group ターミノロジーグループ
 今後ドイツと北欧のセンター長がWHO本部と共にグループの構築に働くことが確認された。
 この組織改革により、これまでURCの下で活動していたMRGは、全ての委員会に横断的に関与することになる。新たに設立される他のグループも同様に横断的な活動が期待されている。

(2) ビジネスプランとワークプラン
 (1) ビジネスプラン
 WHOはWHO-FICネットワークの活動全体に関するビジネスプランを作成している。2006年5月に、企画委員会メンバーと外部アドバイザーによる年次評価会合が開催される予定である。

 (2) ワークプラン
 ビジネスプランに基づき、より具体的なワークプランが作成され、全体会議で発表された。
 新規業務、作業者、締め切り等が更新された。

(3) 今後の予定
 2006年の年次会議はチュニジアで開催されることが勧告された。年次会議は毎年10月に開催されることになっており、企画調整委員会において、当初10月22日〜28日の日程での開催が決議されたが、ラマダン(断食月)との関係で現在再調整しているところである。2007年の年次会合はイタリアで行われる予定である。


サマリーはWHOのウェブ上で公表されている。
http://www.who.int/classifications/network/meeting2005/en/index.html

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