06/01/27 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成18年1月27日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年1月27日    14:00〜 航空会館第703会議室 2.出席委員(13名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 折 笠 秀 樹、 守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、    川 嵜 敏 祐、 後 藤   元、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、    早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、    吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理    他 参考人1名   欠席委員(3名)   上 原 至 雅、 岡   慎 一、 山 口 一 成、  3.行政機関出席者   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○事務局 定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させて いただきます。先生方、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。 本日は当部会委員数16名のうち11名の委員に御出席いただいておりますので、定足数 に達しておりますことを御報告申し上げます。御欠席の委員は上原委員、岡委員、神谷 委員、山口委員でございます。それでは池田先生、以後の進行をよろしくお願いいたし ます。 ── 後藤委員着席 ── ○池田部会長 委員の先生方、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうご ざいます。それでは、いつものように事務局の方から配付資料の確認と、資料作成に関 与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは本日の配付資料の確認をさせていただきます。机上に議事次第、座 席表、委員名簿を置かせていただいております。議事次第にございます資料1〜9まで があらかじめお送りした資料でございます。本日の席上資料は、資料3-2としてファン ガードの添付文書の差し替え版、資料10として横置きの整理の表、それから資料11と して専門委員のリストを配付いたしております。平成13年1月23日の薬事分科会申合 せに基づく資料作成に関係された委員の確認でございますが、審議事項の議題3、ファ ンガード点滴用について岡委員が関与されておりますけれども、岡委員は本日御欠席で ございます。それから本日は議題2、エポジン注の審議における参考人として、産業医 科大学医学部小児科学教室教授の白幡聡先生にお越しいただいておりますので、御紹介 申し上げます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございます。お手元の議事次第にありますように、本日は審 議事項が4議題、報告事項が4議題、そしてその他が1議題でございます。  それでは議題1、リレンザの輸入承認事項一部変更承認の可否について、機構の方か ら審査の概要を説明してください。 ○機構 議題1、資料1、医薬品リレンザの承認事項一部変更承認の可否及び再審査期 間の指定について医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。本剤はグラクソ・ スミスクライン株式会社により開発された抗インフルエンザウイルス薬であり、A型及 びB型インフルエンザウイルスの表面に存在するノイラミニダーゼの活性を選択的に阻 害することにより有効性を発揮するとされております。本日机上にお配りしてあります が、剤型は吸入剤でございまして、専用吸入器を用いて吸入することによりインフルエ ンザウイルスの主な増殖部位である気道粘膜上皮層においてウイルスの増殖・遊離を阻 害する薬剤でございます。  なお、本邦において本剤はA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療薬とし て1999年に承認されておりますが、この際には本剤の有効性が明確に検証されておら ず、その後に実施された市販後調査において有効性を確認し、その結果については平成 17年4月の当部会に御報告申し上げたという経緯がございます。今回の申請は小児の用 法・用量を追記するためのものでございます。  本剤の小児を対象とした臨床開発は、海外では19□□年1月から、本邦では2001年 1月から開始されておりまして、米国においては2000年に承認され、現在世界18か国 にて承認されております。  本剤の専門委員は、資料11にございます3名の委員を指名し御意見を賜りました。  今回の申請に際して提出された資料でございますが、国内成績としては第III相試験が 1試験、海外試験としては第III相試験が1試験提出されました。国内第III相試験は本剤 投与群と抗インフルエンザ薬を投与せずに経過観察を行う調査群との比較として、安全 性の確認及び薬物動態を中心に実施されました。本剤投与群には146例、調査群には66 例が登録され、安全性上特段の問題点は検出されておりません。また、参考として有効 性について検討がなされましたが、いずれの群においてもインフルエンザ主要症状が軽 減するまでの時間は4日間という結果になっておりました。安全性についてのパーセン テージでございますが、有害事象発現率として本剤群34%、調査群35%と同程度でござ いました。またその症状についても、ほとんどがインフルエンザ症状に合致したもので あったとされております。  海外においてはプラセボ対照比較臨床試験が実施され、インフルエンザ主要症状軽減 までの日数は本剤群4日間、プラセボ群5.25日であったことが示されております。よっ て、提出された資料から、本剤は小児に対しても成人と同じ用法・用量にて有効性、安 全性が期待できると考えられ、小児に対する用法・用量を承認して差し支えないと判断 いたしました。  本申請は小児に対する用法・用量を新たに定めることになったため、再審査期間は4 年とすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しておりま す。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ── 説明中、安全使用推進室長着席 ── ○池田部会長 ありがとうございました。リレンザの小児の用法・用量について新たな 承認をお願いするということで、委員の先生方から御質問を頂きたいと思います。いか がでしょうか。我が国では国内で第III相の非盲検非対照試験が行われていて、146例が 登録されており、安全性については問題がないということです。ただし解熱までの日数 の中央値に関しては余り差がなかったと。いかがですか。 ○堀内部会長代理 二つあります。一つは、アマンタジン等だと耐性株が極めてたくさ んできておりますけれども、リレンザの場合はどのぐらいの割合になっているのかとい うことです。  それからもう一つは、審査報告書の4ページにありますが、小児の適応症に対する申 請は大分前に出ていると思うのですけれども、先ほどの話でも成人に対する有効性がま だ確認されていなかったということがありまして、これは一応ここで承認しているわけ ですね。ですから、小児についての適応というのは大変重要なことだと思うのですが、 それが審査に入らないで2005年からスタートしているというのは、もっと早くやっても いいのではないかと思うのですけれども、その辺のところをどうお考えか教えていただ きたいと思います。 ○池田部会長 機構の方から何かございますか。どうぞ。 ○機構 まず耐性の方についてお答えいたします。概要の薬理のホ-3ページに掲載され ている表ホ-2が耐性に関する情報でございまして、具体的にパーセンテージが出せるほ どの数字にはなっておりませんが、耐性株についてはこういうものが認められていると いう状況でございます。 ○堀内部会長代理 耐性株があるというのは分かるのですが、全体として大体どのよう な感じになるか、大体どのぐらいの割合かというのは余り掌握していないのですか。 ○機構 臨床レベルの頻度に関する情報は今のところ把握しておりません。試験管レベ ルの話であれば、基本的にはアマンタジン等に比べれば選択頻度は著しく低いとされて おります。 ○堀内部会長代理 これを見てみますと、特にノイラミンベースに対する遺伝子変異が 起こっているケースが多いですね。 ○新薬審査第一部長 補足させていただきます。実際に耐性株なり耐性事例の報告とい うのは、臨床的に症例として報告されるものに我々は注目しております。この観点では 先だってタミフルに対する耐性の症例報告がNewEngland Journal of Medicineにも載っ ていますが、ただ、これはH5N1タイプの新型インフルエンザでの変異例の話です。 それ以外は、小児のケースでタミフルを使っている中で耐性化が最大3割、これはその 後2割ぐらいだと言われていますが、そういった報告は出ております。ただし、これは 使用例が多い場合にそういう話になるということで、リレンザは実際の使用量が非常に 少ないものですから耐性化のチャンスも少ないようです。私どもが審査をしている過程 でも耐性化の報告については申請者に求めておりますが、少なくとも有意な耐性化のケ ースの報告は受け取っておりません。それから、最近CDCが先生御指摘のアマンタジ ン、リマンタジンに対する耐性の急速な進展について警告を発しているのが1月14日ぐ らいに載っています。このときの警告でもアマンタジン、リマンタジンは使うべきでは なく、その代わりにノイラミニダーゼ阻害薬のリレンザやタミフルを使うようにと勧告 されておりまして、今のところ耐性の問題を懸念して使用を制限するというような話は 出ておりません。こういった状況からしますと、御懸念の部分は今のところは大丈夫か と思います。  それから小児適応の審査開始時期については、確かにもっと早くやれなかったのかと いう御指摘はごもっともな点もありますが、日本における成人の最初の承認のときはこ の部会で御審議いただいたと思うのですけれども、日本のプラセボ対照の試験で統計的 に有意な差ではなかったものですから、海外の成績を元にして、いわゆるパンデミーと いったことも想定して薬剤として出しておくべきだという判断はしました。しかし、有 効性については科学的には認められていないという判断でしたので、その後市販後の症 例集積、有効性について更なる検討を命じて3年後に再検討するという約束になってお りました。その結果が昨年当部会に報告され、一応有効性は認められるということで、 ようやく成人の方について日本国内で使っても有効であることが明らかになったとして 小児適応についての審査を再開したという経過でございます。日本では一応タミフルの 小児用製剤がありましたので、医療現場で著しく困難ということではなかったようです し、この製剤自身が吸入剤なので、なかなか使いにくいと。あるいは、お子さんでもす ごく個人差がありますから、今回の試験成績でもやはり効くケースと効かないケースで かなりばらつきがあります。そういう状況でございましたので、私どもとしては今回で きるだけ早く審査を終えて、速やかに現場に提供したいとは思っております。 ○池田部会長 よろしいですか。それでは川嵜委員、どうぞ。 ○川嵜委員 これは小児ということですが、対象となる年齢は5歳からという試験をや ったということですけれども、0歳からという海外の試験結果も載っているようですが、 これは0歳からということなのですか。 ○機構 年齢のところについては審査報告書の20ページにもございますとおり、私ども 専門協議の席においてディスカッションいたしました。と申しますのは、米国において は7歳以上と書かれておりましたが、本当に7歳と限定する必要があるかという点につ いて専門委員にも御意見を賜りました。その結果といたしましては、海外臨床試験成績 等において5歳以上の症例についても報告があること、また年齢によって特に有効性、 安全性に違いがある傾向は認められていないこと、それから7歳以上であっても吸入剤 がうまく使えないお子様がいらっしゃることから、年齢によって規定すべきものではな く、吸入が適切にできると考えられるお子様に対しては使用していただいて構わないの ではないかと考えました。したがいまして、日本の添付文書には年齢の区切りではなく、 吸入剤が適切に使えると考えられるお子様に対してはお使いくださいというスタイルで まとめております。 ○川嵜委員 基本的には0歳から使えるということになるわけですね。 ○機構 主治医の先生が吸入ができるとお考えであればという形にはなっております。 ○川嵜委員 自分でできなくても母親がやるといったことも含めて、吸入が使えればい いということですね。 ○池田部会長 ただし添付文書では、小児等への投与で「低出生体重児、新生児、乳児 又は4歳以下の幼児に対する安全性は確立していない」ということが明記してあるわけ ですよね。 ○機構 左様でございます。と申しますのは、ここの部分については臨床試験成績にお いてこれらの年齢層に該当するお子様のデータが得られていないことからこのように記 載しておりますが、使用を否定するものではないと私どもは考えております。実際、使 用実態としてどのぐらいの年齢のお子様に使用されるのかについては市販後調査を実施 するように指示しておりますので、その中でも状況を観察しながら、何らかの問題が検 知されたらいち早く対応するようにしていきたいと考えております。 ○池田部会長 川嵜委員、よろしいですか。そのほかに委員の先生方から何か御意見ご ざいますでしょうか。今見て、私もどうやって使うのかなと思いました。堀内委員とも 話していたのですけれども、やはりもっと使いやすいタイプの吸入器具にしていただか ないといけないのではないかと思います。恐らくここの委員の先生方は皆さんそうだろ うと思うのですが、そういう意見が出たということを是非企業の方に伝えていただけた らと思います。そのほかよろしいでしょうか。それでは承認を可としまして薬事分科会 に報告をさせていただきたいと思います。  それでは続きまして議題2、エポジンの製造承認事項一部変更承認の可否等について 機構から審査概要を御説明ください。 ── 白幡参考人、参考人席に移動 ── ○機構 議題2、資料2、エポジン注アンプル及びシリンジの製造承認事項一部変更承 認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。本剤は遺 伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤でございまして、今回、未熟児貧血の効能を追加 するものでございます。同種同効薬のエポエチンアルファ製剤であるエスポーは既に未 熟児貧血の効能を有しており、本剤の用法・用量もエスポーと同様になっております。  当初、本申請はアンプル製剤のみのでしたが、エスポーではシリンジ製剤も未熟児貧 血の承認を取得していることから、本剤においてもシリンジの目盛りのバリデーション を評価し、それを踏まえてシリンジ製剤も追加で申請がなされたものでございます。  本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、本日お越しいただいている白幡委 員を始めとする3名の委員でございます。なお、この領域は専門家が少なく、国内のほ とんどの専門家が本治験に携わっていたことから、例外的な対応として専門委員のほか に資料11のリストに「*」印を付けている専門家からも御意見を頂いております。  有効性に関しましては、第III相試験で200IU/kg投与群における最低Hb濃度、輸血回 避率共に非投与群に比較し有意に高値でした。なお、開発の過程では第III相試験終了後 に再度第II相試験が実施されました。そこで100、200、400IU/kgが投与され、400IU/kg までの用量反応性が認められましたが、400IU/kgを投与した症例が少数で対象が明確に なっていないこと、第III相試験は200IU/kgで実施され、主な対象となる出生体重1000 g以上、在胎期間28週以後の症例においては十分な有効性が示されていること等から、 200IU/kgを通常用量とし、症状により適宜増減とする用法・用量が設定されました。た だし、出生体重1000g未満、在胎期間28週未満などで通常の用法・用量で効果不十分 と思われる症例が認められていることから、本剤の増量を判断する指標の検討及び安全 性情報の収集を目的とした製造販売後調査を行うこととされました。安全性については、 臨床上問題となるような重篤な副作用は認められませんでした。  以上のような審査の結果、本剤の未熟児貧血に対する有用性が認められたことから承 認して差し支えないと判断いたしました。また、本剤は新効能医薬品であることから再 審査期間は4年とすることが妥当と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定して おります。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方の御意見を伺う前に、 まず参考人として御出席いただいている白幡先生の方から御発言をお願いしたいと思い ます。 ○白幡参考人 今御説明にありましたけれども、専門協議で問題になったのは100、200、 400IU/kgの3用量の間で、特に400IU/kgで理論的な輸血回避率で優れていたことから、 現在販売されているアルファ製剤に関しては200IU/kgを週2回なのですが、症例によっ てはこれに加えて400IU/kgを上限とするという文言を加えるかどうかで議論がありま した。400IU/kgに関しては症例が少ないことや、もともと比較対象試験ではなく安全性 を確かめてドーズアップしていくような試験で、在胎期間とか投与開始時の体重といっ た効果に影響するようなバックグラウンドに差があったこともありますので、記載とし ては従来のアルファ製剤にのっとって200IU/kgを週2回、適宜増減という表現に落ち着 いたということでございます。  もう一つは、私達はやはり未熟児網膜症のことがどうしても気になりまして、これに 関して文献的な考察を含めて議論いたしました。未熟児網膜症についてはある程度文献 的な成績を注意書きとして載せるにしても、今回の治験あるいはそれ以前に認可されて いるアルファ製剤のエスポーでも問題にならなかったということで、この未熟児網膜症 以外は薬の認可に影響を及ぼすものではないと判断させていただきました。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問を受けたい と思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。 ○堀内部会長代理 一つ教えてください。承認自体は問題ないと思うのですが、ただ従 来の剤型のもので未熟児に適応ということになりますと、使用量として見ると極めて少 量だと思うのです。保険上の話で恐縮ですけれども、一般的に言うと半量以上使わない と査定されたりすることがあるわけですが、この未熟児の適応症が付いたということは、 1回に750単位(IU)製剤を1本使ったと見なして構わないのか…。使用量から言うと 場合によってはかなり高いものになってしまうので、これに合わせた剤型を作るのが一 番妥当だと思うのですが、その辺のことについてはいかがでしょうか。 ○池田部会長 機構の方、どうですか。 ○機構 最初の御質問の保険上の扱いですが、実態がどうなっているかも含めて、こち らの方でも少し調査させていただきたいと思います。こちらでは半分使えばオーケーだ といったことまで明確なお答えができないものですから、ちょっと検討させてください。 ○堀内部会長代理 これは追加ですから、薬価算定組織などは関係ないので出てきませ んよね。 ○機構 そうですね。 ○堀内部会長代理 ですから、具体的にこのまま行って実際に使われ始めるといろいろ な問題点が生じてくる可能性があるので、是非よろしくお願いいたします。 ○機構 ただ、投与量としては体重当たり換算ですので、非常にいろいろなバリエーシ ョンが考えられます。例えば増量で400IU/kgで体重がかなり重めの子供ですと、ほぼ今 の剤型を使いきるようなケースもございます。しかし少なめの子供の場合は、やはり 1000gで200IU/kgに投与しましても200IUですから、先生御指摘のとおり、かなり余り が出るのは事実でございます。 ○池田部会長 白幡先生、その点については実際に使う立場の小児領域では何か不都合 がありますか。 ○白幡参考人 実際には残量破棄という形でエスポーは最小の規格用量を使っているも のですから、堀内委員の御指摘のとおり、もう少し小さいものがあればそれはそれでい いのだとは思うのですが、それで私達医療者の立場での不自由は特にありません。 ○堀内部会長代理 1回でかなりの量を捨ててしまっても余り問題は起こっていないと 考えてよろしいのですね。 ○白幡参考人 はい。 ○池田部会長 守殿委員、どうぞ。 ○守殿委員 ちょっとお教え願いたいのですが、未熟児での赤芽球系前駆細胞にエリス ロポエチンをどんどん投与することによって、将来的に骨髄細胞の枯渇というか、成熟 障害といったことは起こらないのですか。 ○白幡参考人 実際に未熟児貧血にエリスロポエチン製剤が使われるようになったのが 1990年ですので、もう15年以上たつかと思います。赤芽球に対するインヒビター発現 の問題がもう一つあるかもしれませんけれども、インヒビターが発生して、あるいは骨 髄細胞が枯渇して赤血球系の造血異常による貧血が起きたという報告は現在まで全くな いと思います。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 少量の場合のシリンジの目盛りの件です。シリンジの細かい目盛りは余り 見ていないのですが、これはきちんとある程度の刻みでは入っているのでしょうか。 ○池田部会長 機構の方からどうぞ。 ○機構 入ってございます。資料概要のイ-5ページにシリンジの排液量試験の結果を示 しておりますけれども、エポジンシリンジの目盛りは0.05mLごとに付いております。バ リデーションは今回治験で用いられた小児の投与前と投与後の平均体重から算出して、 その中央値で排出した液量で精度と真度を確認しております。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。折笠委員、どうぞ。 ○折笠委員 最初に輸血をされている症例を除いた場合に、輸血回避率のところで差が かなり縮まってきていると。つまり、まだ輸血をされていない症例に関してはこういう ものでヘモグロビンを保って輸血を回避できるというデータのように見えたのですが、 既に輸血されている症例に関してはエポジンを使っても余り効果はなさそうに見えたの です。適応として既に輸血をされている症例には余り効果がないといったことは必要な いのでしょうか。 ○池田部会長 いかがでしょうか。 ○機構 今のお話ですと、審査報告書の29ページにある前期第II相試験の層別解析を行 った結果の表になるかと思います。「開始前の輸血」の「あり」、「なし」というとこ ろですと、「あり」の方が症例数がかなり少ないこともあって、開始前に輸血していた 場合に余り有効ではないとまで言えるかどうかは何とも判断がつかないところだと理解 しておりました。 ○折笠委員 私が見ていたのは審査報告書の18ページです。上の方に「輸血回避率は、 投与群79.5%(31/39例)、非投与群56.8%(21/37例)」とあって、こちらのはよさそう なのですが、その次の最初に輸血している症例で、「輸血回避率は、投与群81.3%(26/32 例)、非投与群73.1%(19/26例)」…、これは逆ですか。輸血していない症例ですね。す みません、私は逆を言ってしまったかもしれません。輸血していない症例で逆に差が縮 まってしまっていて、これはどうしてなのかと思ったのです。37例と26例ですから症 例数は大体同じぐらいありそうなのですが。偶然と言えば偶然かもしれませんけれども。 ○機構 症例数が分からないので、背景等を精査して後ほど説明させていただきたいと 思います。 ○折笠委員 既に輸血をされている人とされていない人で、再輸血をするというのは余 り関係ないのですか。何回も輸血する人は輸血するとか…。 ○機構 恐らく必要に応じてやらなければいけない場合はそういうケースが出てくるの かと推察しております。 ○折笠委員 ということは、ヘモグロビンが下がってきて輸血をして、そのヘモグロビ ンはまた下がる人は下がると。そういうことがあるかどうかですね。 ○機構 ただ、そのような場合になるべく再輸血を防ぐためにもエポジンを併用すると 言いますか、用いていると私どもは考えております。 ○折笠委員 そうですか。 ○池田部会長 これは一般には実際にどのレベルで輸血をしようと考えるか、あるいは エポジンの適応を目安として大体どのぐらい置いておくかというのはなかなか難しいと 思うのですが、これで見ますと、一つにはヘモグロビン濃度が10g前後で、臨床症状が 安定した場合は投与しなくてもいいのではないかということが書いてありますね。それ と同時に投与対象は大体12g未満を目安として、かなり急速に低下することがあるので 早めに手を打っておいた方がいいということもございますね。一方、13g以上だったら やめた方がいいと。その辺の数が出ているのですが、実際には先生方はどのレベルを考 えてエポジンの投与を開始するのですか。やはり個々の症例によって違うのですか。 ○白幡参考人 合併症がないケースでは8g/dl以下で輸血を考慮するというのが昨年 出た厚生労働省のガイドラインで出ています。ただ、生まれたときの体重が1,500g未 満と少ない極低出生体重児は呼吸障害や循環障害を持っていますから、呼吸循環障害が あれば当然ヘモグロビンをより高値に保たないと酸素化障害を来しますので、そういっ たケースについては大体12g/dl以上必要な場合もあります。呼吸障害の程度によって も変わりますので一概には言えないのです。後は先生がおっしゃったようにエリスロポ エチンを使い始めてすぐにヘモグロビンが立ち上がってくるわけではないので、大体下 がってくるというのは今までの未熟児の生理的、病的と言うのでしょうか、そういった 経過から分かっているので、一応12gを切った辺りでエリスロポエチンの投与を考慮し ます。ただその場合に今言った呼吸障害も合わせて、更に待ってもう少し下がってから 使う場合もあると思いますし、それはそこでみている主治医の裁量だと思います。 ○池田部会長 それから、未熟児のほかの症状なども踏まえて考えると、一応一つの目 安として12g未満ぐらいと考えればいいといったことでしょうか。 ○白幡参考人 そのとおりです。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかいかがですか。これは投与すれば必 ず上がるのだろうとは思います。ただ、投与した場合に短期の有害事象その他は全くな いわけですけれども、先生が言われたように長期的に見てどういうことがあるかという のは、十数年の歴史を見て特に何も報告はないということです。そういうふうに投与し たお子さん達は今の時点では15〜16歳になっているわけですが、特にないということで あれば安全性に関しては問題ないかと思います。後は最小限で済ませるにはどのレベル で使うかというところになるのだろうと思いますが、なかなか線を引くのが難しいです ね。いかがでしょうか。 ○白幡参考人 一つだけいいですか。長期予後とはとても言えないのですが、エポジン に先行している方のアルファ製剤で、3歳の時点で神経学的な所見やワクチン接種のと きのアレルギー歴を詳しく調べた際には問題は見付かりませんでした。 ○池田部会長 3歳児、3年後ですね。いかがでしょうか。よろしいですか。もし特に ございませんでしたら、このエポジン注の製造承認事項の一部変更についても可として 薬事分科会に報告させていただきたいと思います。白幡先生、どうもありがとうござい ました。  それでは議題3、ファンガード点滴小児用でございます。これも機構の方から審査の 概要を説明していただきたいと思います。 ── 白幡参考人、参考人控え席に移動 ── ○機構 議題3、資料3、医薬品ファンガード点滴小児用25mgの生物由来製品又は特定 生物由来製品の指定の要否、製造承認の可否、再審査期間の指定、毒薬及び劇薬の指定 の要否並びに既存製剤であるファンガード点滴用50mg、同75mgの製造承認事項一部変 更承認の可否及び再審査期間の指定について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し 上げます。本品目については添付文書に更新があったため、本日資料3-2としてお手元 にお配りしております。  本剤は藤沢薬品工業株式会社(現:アステラス製薬株式会社)により開発された抗真菌 薬でございます。本邦においては2002年にアスペルギルス属及びカンジダ属による真菌 血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症の効能・効果にて承認されております。今回の申請 は小児の用法・用量の追加、並びにそれに伴う25mgという小用量製剤の追加の二点でご ざいます。  本剤は本邦のほか、米国及びヨルダンにおいて承認されておりますが、小児の用法・ 用量が承認されている国はございません。小児を対象とした臨床開発は海外では1998 年11月から、本邦では2003年2月から開始されております。  本剤の専門委員といたしましては、資料11にございます4名を指名し御意見を賜りま した。  今回の申請に際して提出された資料でございますが、国内成績としては第III相試験が 1試験、海外成績としては第III相試験が4試験提出されております。国内第III相試験に は乳児を含む20例が登録され、その有効性が確認されております。安全性については、 小児においては成人に比して肝機能障害が多く報告されるという試験成績になっていた ことから、肝機能障害を中心に議論を行いました。その結果、総発現率は小児の方が成 人より多い値になっているものも多いけれども、その程度は軽度であり、重篤な副作用 や投与中止に至った事例の頻度については成人と小児の間に差が認められていないこ と、また実施されている国内臨床試験成績の評価症例数は20例と少ないことから、パー センテージのみを比較する意義は低いと考え、安全性についても承認を非とするような 大きな問題ではないと判断いたしました。  また、今回の審査中に本剤の初回申請時に指示事項とされていた毒性試験の結果が提 出されております。これについては審査報告書の39ページに記載しておりますが、肝変 異細胞層の腫瘍化が報告されているというものでございます。この結果も踏まえまして、 今回の審査においては、本剤の使用に際して肝機能をモニターしながらその使用期間を 最低限にとどめることについて十分注意喚起をする必要があるという結論に至っており ます。また、小児に対する安全性については市販後調査においても情報収集することを 指示しており、会社の方も了承し、現在その詳細について詰めております。  以上のような審査の結果、提出された資料から、本剤は小児に対しても安全性、有効 性が期待できると考えられ、小児に対する用法・用量を承認して差し支えないと判断い たしました。本申請では小児に対する用法・用量を新たに定めたことから、再審査期間 は4年とすることが適切であると判断しております。なお原体、製剤とも劇薬に該当せ ず、また本剤は生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断いたしておりま す。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。ファンガード、ミカファンギンの小児用の承 認の可否についてでございまして、本日は小児のものが多いのですが、先生方の御意見 を伺いたいと思います。 ○折笠委員 お聞きしたいのですが、国内の20例の試験なのですけれども、そちらの血 中濃度のデータの取り方が投与1〜5時間後に1回と24時間後に1回という二点だけ のデータで取られていて、ポピュレーションファーマコキネティクスというモデル解析 で20例でクリアランスやCmaxを推定して米国のデータと比較しているのです。懸念と しては、20例でポピュレーションファーマコキネティクスで推定できるのかということ と、二点しかデータを取っていなくて、一点は24時間後に取っていますが、一点は1〜 5時間後という取り方になっていまして、結構ばらけていたのか、余り固まっていると そううまくは推定できないような気がするので、その辺のところをお聞かせ願えますか。 ○池田部会長 いかがですか。 ○機構 ポイント数については、もちろんPPKをやるためにはもっとポイント数が多 いに越したことはないと機構の方でも考えております。しかしながら、本薬剤が投与さ れるような小児の患者においては、かなり状態の悪い方も多く、なかなかサイエンティ フィックペースを思うように採血できないのも実情かと考えております。実際ポイント がどのぐらいばら付いていたかについては、やはり1〜5時間ということである程度偏 り等はございますけれども、海外の薬物動態と日本の小児における薬物動態をある程度 は推測できる範囲でデータは得られていたと考えております。 ○折笠委員 アメリカの小児の第I相試験は人数も多いし、しかも7、8点ぐらい取ら れているのです。どうして日本でそういうことは不可能なのかと思ったのですが、無理 なのですか。 ○池田部会長 その点はいかがですか。 ○機構 先生のおっしゃることはごもっともではありますが、先ほどのリレンザのとき もございましたように、海外ではリレンザもプラセボ対照で小児で臨床試験が実施され ているという状況でして、小児における臨床試験の実情のは国内外でかなり違うところ があるかと思います。私どもも小児科領域の先生方といろいろ意見等を交わしましたが、 現状の日本においては、例えば1時間置き、2時間置きといった形でこういった患者さ んから何ポイントも採血することはなかなか困難だろうと。かといって、では日本の小 児に薬がなくていいかという狭間でどのように考えていくかが大変難しいところでござ います。私どもといたしましては、今得られているデータで、特に日本人の小児におい て外国人の小児と大きく異なる点が見出されてはいないこと、またこの薬剤のニーズを 考えると、この薬剤をいち早く適切な用量で必要とされている患者さんのお手元に届け ることは意義があると思いました。したがいまして、取りあえずはこのデータで承認を し、それで終わりということではなく、市販後調査において実際投与した患者さんにど のような投与量でどのような形で効いているか、どのような副作用等が出ているかとい うことを手厚くウォッチすることによって、必要に応じて例えば用法・用量の変更にな るのか、使用上の注意等の改訂になるのかといったことを検討していきたいと考えてお ります。 ○池田部会長 折笠委員、いかがでしょうか。よろしいですか。 ○折笠委員 つまらないことをお聞きしますけれども、血中濃度を調べて体内動態を調 べている国内の小児第III相試験と書いてあるのですが、こういうときには第I相試験と は呼ばないのですか。 ○新薬審査第一部長 個々の臨床試験の呼び名に関しては試験の目的をどういうところ に置いていたのかということを基本に考えております。この試験は、臨床効果をきちん と見るのが主目的で、血中濃度の評価は副次的にやっているということなので、実際の 臨床のシチュエーションに近い患者を対象にしているということです。つまり、便宜的 に第III相と呼ぶしかないのではないかと考えます。この部分はストリクトな定義でフェ ーズを規定することは最近は余りやらなくなっておりますので、おおよそ第III相に相当 するような実地臨床で遭遇するような患者さんをある程度緩やかに入れてやっている試 験で、そこで臨床的有効性、安全性を評価しましたということで、第III相と呼んで余り 支障はないだろうと考えております。現実にそういう試験の中で薬物動態データを取る ことも最近は一般的に行われているようになってきていますので、これを必ずしも第I 相と呼ぶ方がふさわしいとは思っておりません。 ○折笠委員 血中濃度のデータばかり載っていたので、臨床効果は…。 ○新薬審査第一部長 先ほどの御指摘のお話については、今回の概要は非常に分厚くて 見にくいのですが、「CTD 第二部」の後半に「2.7 臨床概要」というのが付いており まして、その「2.7.2 臨床薬理の概要」の2〜3ページに実際のデータをグラフ化した ものをお示ししております。ポイント数がかなり少ないのは御覧のとおりですが、一応 用量に相応した格好でそれなりのまとまりを見せている形になっております。19例で延 べ26例の測定になっておりまして、2ないし3ポイントの測定でやった結果がこれでご ざいます。右側のグラフを見ると比較的まとまりがいいので、余りトリッキーな格好で はないように見えます。リアルなデータを見るとそういうことでしたので、これを出発 点にして今後市販後にいろいろな症例のデータを更に集めていただくということでよろ しかろうと考えております。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。守殿委員、どうぞ。 ○守殿委員 イヌの実験成績で、精巣への精細管萎縮、精巣上体中精子数の減少、この 辺はなかなか難しい問題なのですけれども、多分薬をやめれば可逆性に回復するのだと は思うのです。基礎データを詳しく読んでいないものですから、精細管内のどの辺の細 胞が最初に障害されるのかと思いまして、もし記録がありましたらお教えください。  それから「精巣上体中精子数」というのは、精細管が萎縮したら当然精巣上体への精 子の移行は減少するわけですから、これは精細管内の状態を反映しているだけだと思い ます。実験データの一応の指標として、精巣上体中精子数という表現があるかもしれま せんが、臨床的には余りこういう表現は使いません。  前半の精細管萎縮というのはどの辺の細胞…、精母細胞なのか、精子に近づいてから の細胞なのか、繰り返しになりますが、その辺がもし分かっていましたら教えてくださ い。記載はありませんか。 ○機構 申し訳ございません。本日毒性の担当が別の会議に出ておりまして、確認した 上でお答えしたく存じます。 ○池田部会長 よろしくお願いいたします。それでは、後ほど調べて先生にお伝えする ということにさせていただきたいと思います。委員の先生方、そのほか何か御質問ござ いますか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 投与量と体内動態の件ですけれども、審査報告書等を見ますと米国 での例が出ておりますが、これはドーズディペンデンシーというか、例えばAUC0.75 mgで16.5で、1.5倍になると44.1と3倍ぐらいになってしまっているのです。今回の 投与量の設定では1から最大6mgということになっていますけれども、その辺のところ は特に問題はないと判断してよろしいのですね。 ○機構 堀内委員が御指摘のとおり、動態については今お話いただいたような状況にな っていることは私どもも拝見いたしました。ただ海外の試験等も含めて、少なくとも今 の段階では高暴露を受けた患者さんと低暴露の患者さんの間で安全性のプロファイル等 に違いなどは見えておりません。またアスペルギルス属、カンジダ属といってもその中 にはいろいろな菌種が含まれ、菌種によってはMIC値が高い菌種もあることから、必 要と思われる症例に対してはマキシマムドーズで投与していただくことも重要かと思い ましたので、こういった形で6mgまでは投与可能としております。この設定根拠として は、成人における現在の用量のマキシマムと同程度ぐらいまではいいだろうということ でございます。 ○堀内部会長代理 6mgをやったときの血中のAUCやTmaxはどうなっていますか。 問題ないと考えていいのですか。 ○機構 実際小児に対して6mgを投与したデータもございまして、特にT1/2ですとか、 そういったパラメータについて、クリアランスなどは低容量のときと大きく変わるとい うようなデータは得られておりません。後は先ほど申し上げたような臨床的な安全性の ところから特段の問題はないだろうと判断いたしました。 ○池田部会長 よろしいですか。守殿委員、どうぞ。 ○守殿委員 今日新しく加えられている資料3-2の3ページの右下の(2)です。先ほど の「精巣上体中」という記載なのですが、実際の添付の説明書にも実験病理としての記 載が必要だという形で書いておられるとは思いますけれども、臨床医から見て「精巣上 体中精子数」という言葉は余り使いません。何か特別なことがあるのかなという変な誤 解、特に泌尿器科的な考え方のできる人以外の方にかえって混乱を招くのではないかと 思いますので、できたらこの辺は消してもらって、「精細管萎縮」だけでいいのではな いかと思っております。 ○池田部会長 イヌの長期反復投与試験の記載の仕方ですね。いかがですか。 ○機構 御指摘ありがとうございます。そのようにさせていただきたいと存じます。 ○池田部会長 それ以外に何か御質問ございますでしょうか。これはアスペルギルスに も非常によく効くということで、とても有用な薬であることは間違いないと思いますが、 いかがですか。それでは、今幾つか御質問があった点は確認をしていただきたいと思い ます。もしそれ以外に特に委員の先生方から御質問がございませんでしたら、承認を可 として薬事分科会に報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは続きまして議題4、ゾメタの輸入承認事項一部変更承認の可否についてでご ざいます。これについて機構の方から審査の概要を説明してください。 ── 田島委員退席 ── ○機構 議題4、資料4、ゾメタ注射液4mgの輸入承認事項一部変更承認の可否等につ いて、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本薬ゾレドロン酸水和物は、スイスのノバルティス・ファーマ株式会社により合成さ れたビスホスホン酸でございます。既に悪性腫瘍による高カルシウム血症という効能・ 効果で平成16年10月に承認されておりますが、今般、固形癌骨転移及び多発性骨髄腫 による骨病変の効能・効果及び用法・用量の追加申請がなされました。  本薬は、多発性骨髄腫及び固形癌の骨転移に伴って生じる骨折等の骨関連事象に対し て有用であるというエビデンスを有し、現在米国を始めとしてEU諸国等90か国以上で 承認されており、その有用性については国内外の診療ガイドライン等においても記載さ れております。  今回、乳癌、前立腺癌を含む固形癌並びに多発性骨髄腫を対象とした臨床試験成績が 国内1試験、海外4試験提出されました。  本薬の専門委員としては、資料11にあります8名の委員を指名しております。  本薬の有効性については、国内の臨床第III相試験において、溶骨性骨転移を有する乳 癌患者を対象としてプラセボ群と比較した試験の報告から、本薬はプラセボと比較して 骨関連事象が有意に抑制されることが示されております。また海外第III相試験において も、本薬は類薬パミドロン酸との非劣性、あるいはプラセボに対する優越性が示されて おります。  安全性については、その副作用プロファイルは既承認効能での内容とほぼ同様と考え られておりますが、今般の申請効能では本薬が投与される患者の血清カルシウム値が高 値でないことから、低カルシウム血症の発現が高くなる可能性があります。また既承認 効能とは異なり、がんの終末期以外の患者が多く含まれ、本薬が比較的長期に使用され ることが想定されるため、腎機能障害並びに顎骨壊死の発現が増加する可能性があり、 これらの点について添付文書等で注意喚起を行っております。  以上のことから、機構での審査の結果、多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移 による骨病変という効能・効果で承認して差し支えないと判断いたしました。なお、本 申請の再審査期間は残余期間である平成22年10月21日までとすることが適当であると 判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問をお受 けしたいと思います。いかがでしょうか。吉田委員、何かございますでしょうか。 ○吉田委員 今回の一部変更は長らく待たれていた適応追加であります。今までは高カ ルシウム血症には使えないために臨床上かなりinconvenientということがありまして、 実際に現場からも強く要望のあったところではありました。  一つ伺いたいのは、この適応拡大に伴って条件として市販後の指示というのはあるの でしょうか。 ○機構 審査報告書の43ページに市販後に関連する議論の記載がございまして、いわゆ る承認条件という形ではありませんが、こちらの下の段に再審査にかかわる指示事項が ございます。内容としては、低カルシウム血症、腎機能障害、顎骨壊死といった副作用 の発現を重点的に調査すること、また長期に使用されるということの使用経験を確認し ていこうと考えております。 ○吉田委員 そこは読ませていただいたのですけれども、例えば全数調査などといった ことはしないということですね。分かりました。 ○池田部会長 今のところの二番目ですが、「造骨性骨病変に対する本薬の作用機序の さらなる明確化について検討し、情報提供すること」というのは、具体的には今どのよ うなことを指示しているのですか。 ○機構 メーカーとの議論の中では、非臨床のデータを中心にメカニズムを解明してい っていただきたいということでした。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。何かございます か。これは外国の臨床試験の成績でパミドロン酸90mgを対照として非劣性というか、こ のゾメタの4mgは同等であるということですね。これで骨転移、多発性骨髄腫にも使わ れるということになると、パミドロン酸の投与量90mgもそういう格好で使っていくこと になるのですか。 ○機構 その点はメーカーとも議論はしております。先生の言われた感じではないので すが、90mgの方は全世界的にもやめていく方向に考えていると伝わっております。ゾメ タは利便性も高く、15分という短い時間での投与法ができるということもあって、メー カーの開発方針と言いますか、類薬も同じメーカーでございますが、パミドロン酸の方 は終息と聞いております。 ○池田部会長 そうすると、この4mg、15分という非常に短いところで、大体臨床的に は収束すると考えてよろしいということでしょうか。そういうことだそうです。非常に 短い時間でやれるというのはとても便利だと思いますが。 ○新薬審査第一部長 補足ですけれども、今のくだりは審査報告書の35ページに記載が ございます。本薬に置き換えて、将来的には承認を整理する方針で検討を進めるという 企業からの回答を得ておりますことを御紹介しておきます。 ○池田部会長 ありがとうございます。多発性骨髄腫などはもともと疾患として5年、 10年を経過する症例も多いと思いますが、恐らく非常に病初期の段階、小児の段階でも う骨病変があるものもあります。こういう大変長期にわたって使ったようなデータと言 いますか、その安全性についてはどうなのでしょうか。 ○機構 御指摘の点については我々も議論をしておりまして、実際としてデータは2年 手前ぐらいしかありません。調査の中でもそこを意識するようにという指示はしており ますが、十分なデータはないというのが現状でございます。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。先ほど吉田委員が 言われたように、臨床の側からは非常に要望が高かった薬ということで、がんの患者さ んにとっては大変大きな福音になるのではないかというふうに期待されるわけですけれ ども、特にございませんか。よろしいですか。もしなければ先生方にお認めいただいた ということで承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきたいと思います。ありが とうございました。  審議事項は以上の4議題でありまして、次に報告事項に移りたいと思います。事務局 から順次説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは報告させていただきます。議題1、資料5、「医薬品ガチフロ錠100 mgの製造承認事項一部変更承認について」。議題2、資料6、「医薬品クラリス錠200、 同50小児用、クラリスドライシロップ小児用及びクラリシッド錠200mg、同50mg小児 用、クラリシッド・ドライシロップ小児用の製造承認事項一部変更承認について」。議 題3、資料7、「医薬品シプロキサン注200mg、同300mg及びシプロキサン錠100mg、 同200mgの輸入承認事項一部変更承認について」。議題4、資料8、「医薬品クラビッ ト錠、同細粒の製造承認事項一部変更承認について」。以上をまとめて報告させていた だきます。  これらは社団法人日本化学療法学会より、レジオネラ肺炎に対する適応拡大の要望が なされたことを受け、平成11年2月1日付け研究開発振興課長・審査管理課長の2課長 通知「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」に基づき、医学薬学上公知と して効能追加の一部変更承認申請がなされたものございます。 総合機構における審査の結果、これらの申請を承認して差し支えないと判断いたしま した。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から何か御質問がございますでし ょうか。守殿委員、どうぞ。 ○守殿委員 本題から離れるのですが、ガチフロは発売時に既に淋菌に対してはほとん どMICが耐性の領域に入っていました。臨床治験時には効能書きに書いてあるとおり 90何%有効でした。今回のようにレジオネラに効くからという形で効能が追加されるも のがあれば、一方で耐性菌だから除外されるものもあっていいのではないかと思うので す。そういう意味ではガチフロだけでなく、ほかのシプロキサシン、クラビット等、い ずれもそうだと思うのです。淋菌についての治療法の原則は、STDというのは言葉は 悪いですけれども、短期間の一発療法的なものが中心になっています。再診しない患者 が結構多いものですから。この薬で6〜7割治っても3〜4割が中途半端に放置される ことがありますと、それがまた感染源になります。そういうことを考えますと、それこ そ最近市販後調査が多いようですが、そういうような調査をさせて、効能を考え直すと いう形もあってもいいのではないかと思いました。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に重要な御指摘だと思いますけれども、 機構の方はいかがでしょうか。何か御意見ございますか。 ○守殿委員 一つ付け加えておきますが、化学療法学会並びにSTD感染症学会のガイ ドラインからは、いわゆるキノロン系抗菌薬の淋菌への適応はありません。 ○新薬審査第一部長 大変重要な御指摘だと思いますので、企業には本日の御指摘を伝 え、直近のそういった感受性の状況について調べて、結果をまた考慮して対応を考えた いと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。やはり適応 菌種もあるからということで使うことによって、逆に医療上非常に不利益になるような ことも多々あるように思いますので、そちらの方から是非企業にフィードバックしてい ただいて、なるべく早い時期に対応ができるようにしていただきたいと思います。  そのほかいかがでしょうか。後藤委員、どうぞ。 ○後藤委員 臨床上非常に重要なレジオネラ肺炎に対して、こういう形できちんと適応 疾患として承認していただくということは、臨床現場で治療を進める医師としては有り 難い状況でございます。しかし感染症領域には、同じように有効性が確認されているに もかかわらずまだ承認されていない薬剤はかなり多いわけです。例えばニューモシスチ ス肺炎に対するST合剤ですが、これは非常によく使われている薬剤だけれども、まだ こういう形にはなっていません。そういう中で、この薬剤に関しては2課長通知での承 認という形に持ち込んでこられたわけですけれども、こういう取扱いをする基準といっ た辺りについて、もし分かったら教えていただきたいと思います。 ○池田部会長 いかがでしょうか。これも重要な御質問だと思います。感染症となると やはり耐性ということ、その都度時代によって変わってくるということもございますの で、その辺の考え方あるいは抜けたものをどうするか。 ○事務局 今御指摘いただいた2課長通知のスキーム自体は平成11年に表に出させて いただきました。一般的には、まず関係学会の方から効能追加の御要望を頂いた後に、 私どもの研究開発の担当部署から承認を持っている企業に対して学会から要望があった ことを伝え、効能追加に向けての検討を要請いたします。その段階で、その企業に要望 元の学会とも御相談いただきながら、既存でどのような資料があるのかを調査・検討し て私ども審査課の方にフォードバックしていただき、実際にその品目について行けるか 行けないかということを判断させていただいております。抗菌薬の領域もそうですが、 ほかの部分も含めて今後またそういう御要望がありましたら、こちらの方もなるべく御 要望に添うような形で検討させていただきたいと思っております。 ○後藤委員 エビデンスがはっきりしているものに関しては、是非臨床現場の実情に添 うような形できちんとした取扱いをするよう、前向きに検討していただければ思います。 ○池田部会長 そうですね。非常に重要な御指摘だと思いますので、もし感染症学会等 でそういうエビデンスなりが蓄積されましたら、それを元に情報公開していただいて、 よりよいものを作っていくという格好がよろしいのではないかと思います。よろしいで しょうか。報告事項1〜4について、そのほかございますか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 薬剤そのものの話ではないのですが、今回で言えばクラビット錠や細粒、 そのほかのクラリシッド・ドライシロップの小児用など、一昨年の6月2日の通知で医 療安全のために規格含量などの3要素を必ず入れろと言われているにもかかわらず、こ れらの後ろ向きの会社と言いますか、未だに変えていないところがあるわけです。そう いうときに、製薬会社はいつも1年に1回しか審査してもらえないからだといったこと を理由にしているというのがあるのです。せっかくこういう申請が出てきたときには、 ついでにそういうことをきちんとやれと言うことも必要ではないかと思うのですが、こ れは入り口が違うから駄目だといった話なのでしょうか。 ○池田部会長 いかがですか。 ○事務局 ただいまの販売名に規格含量を入れていくということは重要な御指摘でござ いまして、そちらはすべて対応はしているのですが、結局、販売名が変わると保険の段 階で薬価にもう一回その名前で収載しなければいけないというところが、通常の効能・ 効果だけのものと扱いが違ってきます。そこが企業に、例えばこういった効能・効果の 変更に併せて一緒にやることを少し躊躇させているかなと思っております。その辺りは、 医療事故防止のための販売名の変更申請の場合には、薬価収載の頻度を少し高めるとい う対応も最近しておりますので、その中で既存のものについてもできるだけ早い時期に できるように検討したいと思っております。 ○土屋委員 ここがもう出しているのかどうかは分かりませんけれども、出していてま だできていないということだったらいいのですが、少なくともそういうチェックをかけ てやることが…。最近、販売名については入り口で随分うるさく言うことになったので すけれども、既存のものに対して早く環境整備をしていかなければいけないのに、現実 としてなかなか進まないと。これは先発メーカーであってもなかなか進んでいないとい うのが現状なのです。認める時期が違うのは全然構わないのですが、やはりこういうこ とがあったときに、そこら辺を向こうに一言きちんとアドバイスしてあげないといけな いのではないかという気がするものですから、それをよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほか特にございませんでしょうか。堀内 委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 この四つの議題に直接関係はないのですが、クラリスの審査報告書 の26ページの「(3)その他」に、英国における申請資料の入手について、大正製薬とア ボットジャパンが共同申請だったけれども、そこの連携がうまくいっていなくて、デー タが手に入らないという話があったと書かれております。最近、往々にして販売会社が 変わるということがあります。ついこの間もカプロシンというヘパリン製剤が日本シェ リングから沢井製薬に変わっておりまして、情報を手に入れようと思ったら、アボット は移して1か月もたっていない時期だったのですけれども、我々のところでは情報提供 するわけにはいかないという話になって、沢井製薬の方はまだ十分な情報を持っていな いということがありました。これも一つの例だと思うのですけれども、頻繁にそういう ことが起こりつつあるので、連携、あるいは前の会社から新しい会社に移行するときの 措置といった問題を十分にやっていただきたいと思います。ちょうど報告書の中にその ような例が出ていたものですから、是非お願いしたいと思います。  ○池田部会長 よろしいでしょうか。その点もお願いいたします。今日は少し時間があ るものですから、先生方から非常に貴重な御意見を頂けたと思います。よろしくお願い したいと思います。  それでは最後の議題ですが、承認条件に係る結果について報告をお願いいたします。 ○事務局 最後にその他ということで、資料9に基づいて簡単に御報告申し上げます。 本日は議題1でリレンザを御審議いただきましたけれども、こちらはタミフルのカプセ ルでございます。  1ページおめくりください。タミフルについては平成12年10月に承認いたしました が、その際に承認条件を幾つか付けさせていただいております。今回はその中の「2. 国内での高齢者における本薬の薬物動態を明らかにすること」についてデータが出され てまいりまして、機構での審査も終わりましたので、御報告させていただきます。  2ページを御覧いただきますと、今回出された結果の概要が記載されております。 「(3)実施された試験の概要」でございますが、5例の80歳以上のインフルエンザウイ ルス感染症非罹患高齢者を対象としたPK試験が得られたということでございます。主 なパラメータについては下の表に記載しております。承認時に出された成人とのパラメ ータの比較をしておりますけれども、高齢者では健康成人、非高齢者に比べてCmax上 昇、Tmax、T1/2の遅延、AUCの2倍程度の増加といったPKのパラメータが得られ ております。   そのほかの情報として3ページでございますけれども、この濃度の上昇について企業 の方は、海外で実施された第II相試験で150mg2回投与という暴露量のデータがあり、 その量を上回るものではなかったと考察しております。それから3ページの中ほどでご ざいますけれども、これまでの市販後調査において、80歳以上の高齢者22例が集積さ れました。幾つか副作用が出ていますが、大きく問題になるようなものは今のところ出 ていないという情報も併せてこちらに出されております。  機構の審査でございますが、先ほど申し上げた非高齢者に比べて高齢者で暴露量が増 大することについては、この試験の結果を記したお知らせ文書の配布、添付文書への反 映といった情報提供を今後していくということでございます。  それから最後の4ページの辺りでございます。一方で安全性の情報については、今ま で集積された22例では評価はまだなかなか困難ということですので、今後も引き続き高 齢者に対する安全性の情報を収集するように企業に指示しております。  結果のところですけれども、先ほど申し上げた承認条件に対する試験は一応実施され たということですが、この結果を十分適切に情報提供すること、また今後も引き続き高 齢者における安全性情報について収集し、情報提供していくといった対応を考えている ところでございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいまの御報告について何か御質問はあり ますでしょうか。ちなみに、これから高齢者というカテゴリーの方達の対策がものすご く重要になってくると思うのですが、例えば高齢者に対して一応調べようというときに はやはり80という年齢を想定しているのですか。 ○新薬審査第一部長 何歳から高齢者であるかは余り定まった基準というのはないよう に思います。一般的に高齢者で65歳以上というのがよく使われていて、さらに晩期高齢 者で75歳以上と言われることも時々あります。ただ、我々がこうしたいろいろな審査を やっている中で、専門協議等で病院の薬剤部等の専門の先生などから80歳を超える患者 はたくさんいるのだという御指摘もありました。今回は実際にそういった患者さんがあ る程度集まることが想定されたということで、80歳というのが一つのメルクマールにな っているようです。ただ、それを一般的な基準として全般にそういうふうにやるのがふ さわしいかどうかというのは、なかなか難しいと思っております。 ○池田部会長 そうですね。65だと、これはもう大変ですね。 ○守殿委員 この対象の80歳以上の方は、皆さん腎のクリアランスが90近くあります から、すごく腎機能がいい方ですよね。もう少し低いデータの方もおられると思います が。 ○堀内部会長代理 そういう腎機能のいい人を対象にしたとしても、これだけ大きな差 があると。今回については特に予防的投与をするということで調べたのだろうと思いま す。したがって、特に有効濃度域とか副作用発現濃度域といったものの近いような薬に ついては、やはり今後かなりきちんと調べて審査のときにもデータを出していくことが 必要だということを正に示している大事なデータだろうと思います。Cmaxがかなり高 くなって、AUCが倍にもなっていることを考えると、その辺はやはりこれだけではな くて、今後の問題として是非よろしくお願いします。 ○池田部会長 そのほかよろしいでしょうか。それでは、ただいまの承認条件に係る結 果についても先生方に御確認いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとう ございます。守殿委員、どうぞ。 ○守殿委員 最近は市販後調査という形が多いと思います。添付文書にも市販後調査と いう項目がありますけれども、臨床家はそこまで目を通さない場合が極めて多いと思い ます。これはいけないことなのですが、薬剤師さんやメーカーにそういうことがあると いうことについて何か指導はされているのでしょうか。我々現場では、添付文書にこう いう記載があれば、やはり現場の人達にこういうことがあると把握させて、場合によっ ては、それに関連する事項なら同意を取るときにもある程度のことは言わないといけな いといったことも感じるのですが、その辺の指導などはどうなのですか。それは我々現 場の人間の責任なのでしょうか。そこがどうなっているのかお教え願いたいと思います。 ○新薬審査第一部長 なかなか解説が難しいところもあるのですが、基本的に最近では 最初に承認する段階で市販後の課題についてはどの品目でも必ず議論します。ターゲッ トを絞れるものは絞る。また対象範囲をどこまでにするか、全数調査が一番厳しいとし て、そこまで行かないにしても、ある程度重点的な調査を施設を選んで実施する必要が あるとか、そういったバリエーションをいろいろと考えます。その上で、市販後の取組 についてはなるべく早いうちからクリアにして決めてまいります。その場合、当然現場 の御協力をきちんと頂かないと目的を達することができません。特に病院に対する情報 提供には直後調査という制度がございまして、適正使用について承認・発売から半年ぐ らいのうちに集中的に施設を訪問して、情報提供させていただく仕組みがございます。 この中で、市販後の課題等について企業からきちんと説明するようにというのが大きな 枠組みになります。特に全数調査が必要なものの場合は、必ずその中でどのようなこと をお願いするべきなのかについて詳しく説明するように最近ではなっているかと思いま す。それとともに、調剤薬局に処方せんが出るような経口剤の類については、病院だけ ではなくて保険調剤薬局にもそういった処方が行くということで、薬剤師会にも御理解 いただいて、お願いをして歩いているということが実際の例で幾つかございます。今は そのようになっております。  今日の御指摘に関しては、私どもも市販後調査について実際に審査の中でいろいろと 条件付けを求めておりますが、協力していただく現場に懇切丁寧に説明するようにとい うことをまた企業に対して入念に求めるべきだと思いますので、今後もそのようにさせ ていただきたいと思います。 ○池田部会長 これは一般的な話ですけれども、添付文書の改訂、例えば市販後臨床試 験で新たなエビデンスが出てきて、今守殿委員が言われたように、それがどうしても患 者さんに処方するときに使って説明することが必要な大事なエビデンスだとすると、エ ビデンスとして得られてから添付文書に載るまでに実際平均的にどれぐらいの時間が掛 かると考えたらいいのでしょうか。物によって随分違うと思うのですけれども、大体ど のぐらいですか。急に難しいことを質問して申し訳ないのですが。 ○安全使用推進室長 安全対策課でございます。そのエビデンスがどういうレベルで、 どういうルートで入ってきたものかによりますので、一概にはなかなか言えないのです が、私どもは市販後の副作用情報がある程度集積して、検討しなければいけないだろう という判断に至ってからは、概ね1〜2か月ぐらいで添付文書の改訂の指示をいたしま す。私どもから添付文書改訂の指示をした場合には、企業の方は1か月以内にその情報 をすべての医療機関にお伝えするようにと指示しております。 ○池田部会長 そうすると、やはりかなり短い期間に添付文書に載って、それを我々が 見てということになるわけですね。ありがとうございました。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 先ほどの全数調査などの市販後調査の件ですが、現実として全数調査とい ったときに、やはり日本薬剤師会では非常にいろいろな意味で困難がある場合もござい ます。調査そのものには協力するようにというFAXを流すのですが、例えば専門医で あることとか、そういうのがもともと使われるところに入ってきますと、その先生が本 当に専門医かどうかというチェックは全くできません。それから、その判断はやるから、 処方せんを受けたときにはそれがどこの医療機関のだれからなのかを知らせろというよ うなことを製薬会社から言われることがございます。そうすると、やはりそこら辺は一 体どこまで情報を開示していいのか、もし専門医でなかったときなどはどうするのかと いう問題があります。かといって、薬価に収載されたものが一部の医師だけで使えて、 なおかつそれの資格審査は当然しようがないということから言いますと、そこら辺が非 常に難しい。できる限りの協力をしているのですが、それがうまくいかない場合という のは当然あり得ることでもございます。そこら辺で、やはり今の制度の中でいろいろな 意味で難しいところが存在はしているということです。 ○池田部会長 ありがとうございました。本日は先生方から非常に貴重な御意見を聞か せていただきまして、ありがとうございます。本日の議題は以上ですけれども、事務局 の方から何か報告はございますでしょうか。 ○事務局 どうもありがとうございました。次回の予定だけ御報告申し上げます。既に 御案内しておりますが、次回の医薬品第二部会は来月の2月22日水曜日の午後2時から 開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 それでは、これで本日の第二部会を終わりたいと思います。先生方、お 忙しいところありがとうございました。 ( 了 )      連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -