06/01/24 第1回集中治療室(ICU)における安全管理指針検討作業部会第1回議事録 第1回集中治療室(ICU)における安全管理指針検討作業部会          日時 平成18年1月24日(火)          10:00〜          場所 厚生労働省専用第21会議室 ○医療安全推進室長(田原)    ただいまから「第1回集中治療室における安全管理指針検討作業部会」を開会いた します。委員の皆様にはお忙しい中ご出席くださいまして、誠にありがとうございます。  それでは、議事に入る前に、事務局から委員の皆様をご紹介したいと思います。資料 1の別紙に作業部会委員の名簿があります。 練馬総合病院院長の飯田修平委員。 東京逓信病院薬剤部長の内野克喜委員。 千葉大学大学院医学研究院助教授の織田成人委員。 東邦大学医学部麻酔科教授の落合亮一委員。 三井記念病院MEサービス部の加納隆委員。 日経BP社日経メディカル編集委員の北澤京子委員。 名古屋大学大学院教授の武澤純委員です。 大阪大学病院中央クオリティマネジメント部病院教授の中島和江委員は少し遅れていら っしゃいます。 次に、日本医師会常任理事の野中博委員。 部会長をお願いしている千葉大学大学院医学研究院教授の平澤博之委員。 山口大学医学部教授の前川剛志委員。 日本看護協会看護教育研究センター看護研修学校副校長の道又元裕委員です。  続いて事務局を紹介いたします。医薬食品局安全対策課安全使用推進室長の山田です。 私は医政局総務課医療安全推進室長の田原です。同じく医療安全推進室担当の平野です。 なお、医政局長の松谷、それから審議官の岡島、医政局総務課長の原は、所用により遅 れて出席の予定です。どうぞよろしくお願いします。  作業部会の部会長については、ヒューマンエラー部会の部会長である堺部会長と相談 して、平澤委員にお願いしておりますので、議事進行をよろしくお願いします。 ○平澤部会長   それでは議事に入ります。  資料にもありますが、本作業部会は医療安全対策検討会のヒューマンエラー部会の下 に設置されています。それでは議事次第の第1番目の本「作業部会」について、検討事 項や今後のスケジュールを含めて、事務局からご説明をお願いします。   ○事務局   議事次第1の「集中治療室における安全管理指針検討作業部会について」ということ で、この作業部会の位置づけについて説明いたします。まず、資料1と資料2を併せて ご覧ください。資料1は、作業部会の開催要綱で、「目的」にありますように、「集中治 療室における具体的な『医療安全管理指針』の検討を目的として、医療安全対策検討会 議ヒューマンエラー部会及び医薬品・医療機器等対策部会の下に『集中治療室(ICU) における安全管理指針検討作業部会』を開催する」というものです。  資料2に会議の全体像があり、一番上に「医療安全対策検討会議」があります。ここ では高久委員が座長を務めております。その下に「ヒューマンエラー部会」と「医薬品・ 医療機器等対策部会」があります。この下に各種作業部会がありますが、ここにおきま して集中治療室における安全管理指針の作業部会を開催いたします。委員名簿は資料1 の別紙にございます。  参考資料1に「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」というのがあります。作業 部会の設置の経緯について若干触れますと、厚生労働大臣の医療事故対策緊急アピール は、平成15年12月に、医療安全対策の充実と強化を図るということで出されておりま す。  この医療事故対策緊急アピールについては、「人」、「施設」、「もの」という3つの柱で 対策を立てていますが、そのうち「施設」に関する対策として、2頁の(2)「手術室や集 中治療室などのハイリスク施設・部署におけるリスクの要因の明確化を図り、安全ガイ ドラインの作成を進める」としております。この後、平成16年度、本年度を含めて、 前川委員に厚生労働科学研究でご研究をいただいており、その研究を踏まえて、本日検 討部会を開催し、安全管理指針の検討を具体的に進めることにしています。  その他、医療安全対策については、参考資料2、「今後の医療安全対策について」とい う、昨年の6月に取りまとめた医療安全対策検討会議の報告書があります。これに基づ いて、将来像のイメージ、当面取り組むべき課題について整理し、今後の具体的な検討 課題を整理したものです。医療安全対策については、これを基に必要な法律の改正につ いて、現在開催している通常国会にて審議される予定です。  参考資料3、医療安全対策については、医療制度構造改革の一環として実施するもの でして、「患者の視点に立った、安全・安心で質の高い医療が受けられる体制の構築」と して、医療情報を十分に得られるようにする、あるいは安全で質の高い医療を安心して 受けられるようにする、早期に在宅生活へ復帰できる、という目標でそれぞれの施策を 掲げています。その基盤整備として、医療安全の確保があります。2枚目には、医療安 全の確保について具体的な内容がありますが、詳細については省略いたします。  以上が作業部会の開催に至った経緯です。資料3により、作業部会の今後のスケジュ ールについて簡単に説明いたします。本日は第1回目の開催ですが、現状や研究状況に ついて説明し、検討の進め方についてご議論をいただきたいと思います。その後、必要 な回数で検討を行い、今年の秋ぐらいに報告書をまとめていただければと思います。た だ、かなり幅広い議論になる可能性がありますので、必要に応じて作業部会を開かせて いただきたいと考えております。作業部会の開催の経緯、あるいはスケジュール等につ いてご説明いたしました。以上です。 ○平澤部会長   どうもありがとうございました。  ただいま事務局から、作業部会の必要性や位置づけ、ここに至る経緯、これからのス ケジュール等についてご説明いただきましたが、ご質問等はありますか。よろしければ、 議題2に移ります。「集中治療室における医療事故等について」、事務局よりご説明をお 願いします。   ○事務局   資料4により、集中治療室における医療事故等についてまとめたものをご説明します。 現状、ヒヤリ・ハット事例や医療事故の事例について、我々で把握しているものをまと めたものです。  1枚目の「参考」、「医療事故情報収集等事業について」の説明をいたします。この事 業により、上の1、2、3の情報をまとめたものです。この事業は医療事故の発生予防・ 再発防止のために、日本医療機能評価機構のほうで、医療機関における事例を収集・分 析し、情報提供を行っているものです。  1つはヒヤリ・ハット事例収集です。これは任意参加の医療機関からコード表に基づ いた報告をもらうものと、記述的な様式に則って情報収集するものと、大きく2つに分 かれています。また、医療事故情報収集については、平成16年10月から特定機能病院 等、現在272施設ありますが、医療事故の報告を義務づけており、その結果をまとめて 情報提供をしているものです。  まず、ヒヤリ・ハット事例収集事業の内容は、2頁に「全般コード化情報」というこ とで、病院でコード表に従って記入して収集した情報ですが、発生場所をまとめたもの です。一番多いのは病室で、3カ月で約2万4,000件あります。ICU、CCU、NI CU、その他の集中治療室で合計2,600件足らずの件数です。一見してICU等は少な いように思われるかもしれませんが、これは患者数、病床数等によって患者1人当たり を考え、病室で一般のベッド、ICUのベッドの差を考えますと、ICUにおけるヒヤ リ・ハットの事例は相当な数ではないかと考えています。  3頁は、公開されている記述情報で、その中からICUに関連するものを抜粋したも のです。3頁にあるのはCCUで発生したもので、人工呼吸器に関するものです。医療 機関からの報告と、専門家からのコメントとして、記入方法や改善策に関するコメント があります。  5頁は、ICUにおける挿管時の抑制不足による自己抜去の事例です。これについて も専門家からのコメントということで、具体的な薬剤について、あるいは患者の意識状 態、認知レベルの評価等についてコメントされています。  3番目は医療事故の情報を取りまとめたものです。これは8頁からですが、9頁をご 覧ください。やはり発生場所として、病室が最も多いのですが、次に手術室、そしてI CU等が続いて発生しています。これも病床数、あるいは対象となる患者の数を考慮す るとかなり多いのではないかと考えています。  10頁は、その発生場所と事故の程度をクロスにして表にしたものです。これも比較的 ICU等での死亡事故が多いのではないかという印象を受けています。また、ご質問、 ご議論いただければと思います。  11頁以降は医療事故の情報について、ICUではなく、全体の医療事故に関連してで すが、個別テーマについて医療機能評価機構で検討された内容をまとめています。11頁 は薬剤に関連した医療事故です。詳細については省略いたします。  16頁には「医療機器の使用に関連した医療事故」があり、具体的に人工呼吸器に関す る事故が多かったということで分析が行われています。医療事故事例、ヒヤリ・ハット 事例を見ると、回路に関することが最も多かったという分析の内容です。  18頁は、「今後の検討課題」をまとめています。19頁は、「人工呼吸器に関する医療 事故の発生分類」として、発生場所も明記していますが、CCUやNICUで発生して いる状況です。この他、21頁は「共有すべき医療事故情報」として、個別の事例を示し ていますが、現時点でICU等に関係したものは見当たりませんが、先生方のご経験等 でご議論いただければと思います。以上、ICUにおける医療事故等についての現状を ご説明いたしました。 ○平澤部会長   ただいま医療事故全般の報告の中で、特にICUに焦点を当てて報告をいただきまし たが、ご質問、ご意見がありましたらお願いします。   ○武澤委員   ICUやNICUとありますが、定義は何ですか。特定治療加算を算定しているIC U、あるいは加算を算定しないで、ICUと名乗っている所を含むのか。また、人工呼 吸器に関する事故がICUで多いとおっしゃいましたが、病棟での人工呼吸器に関する 事故と、ICUでの人工呼吸器に関する事故と、どちらが多いのか。その辺のデータを 教えてください。   ○事務局   まず後者については、詳しい分析はなされていません。前者については調べないとわ かりませんが、おそらく、診療報酬上の施設基準を満たしている所ではないかと思いま すが、調べさせていただきたいと思います。   ○武澤委員   施設基準を満たしていないと、おそらくスタッフ数は足りないので、そこと全部一緒 にしてICUという形で分析した数字が出てくると良くないと思います。  それから、日本呼吸管理学会に入っている病院の調査では病棟で人工呼吸器を使って いる患者と、ICUで人工呼吸器をしている患者の数はほとんど一緒なのです。1対1 なのです。ですから、病棟、あるいはICUで一体どれだけ事故が起こっているか、リ スクがある患者はどちらが多いのかということを明らかにしておかないと、ICUだけ が人工呼吸器の事故が多いという認識をされるのは間違いかと。 ○平澤部会長   前川委員、日本集中治療医学会か何かで、ICUの中での事故だけに特化した統計は 取っていなかったのですか。   ○前川委員   全体に関しては危機管理委員会というのがあり、そちらで本年度、全般的なところは アンケート調査をしています。   ○平澤部会長   資料4の2頁の全事例数の生のデータでいくと、もちろん病室が圧倒的に多いのです が、病床数から換算して、病床当たりのいろいろなインシデントということになれば、 ICUやCCUで行われている医療が高度化されて複雑化していて、器具をたくさん使 っておりますし、投与する薬剤も多岐にわたりますので、頻度といいますか、割合が高 くなるのは当然のことだと思います。他に何かありますか。加納先生、今のご報告につ いて、臨床工学の面から何かコメントはありますか。   ○加納委員   ICUは確かにたくさん医療機器が使われているということはあるのですが、ただ、 スタッフの密度が高いので、そういう部分の安全性はあると思います。病棟の場合は、 医療機器の数は少ないですが、スタッフの数が十分ではないのでリスクはむしろ高いと いうこともいえます。以前私は、厚生労働科学研究でアラームのことでかかわったので すが、そのときの調査の結果でも、アラームがうるさいから切ってしまうとか、アラー ムが鳴っていても聞こえないといったことがあります。同じ人工呼吸器でも病棟とIC Uのように使用場所によって随分使用状況が違いますし、抱えているリスクの内容が違 ってくると思います。   ○前川委員   ICUというのは本当に特殊な場所で、対象の患者が非常に重症です。一度事故が起 こると重要な事故につながるという、生命維持装置がたくさん付いているという背景が ありますので、他とは状況が少し違うと思います。  ICUに関してはヒューマンのところがかなり関係があります。特にICUで働くナ ースの人たちは、専門看護師が望ましく、少数はおられます。しかし、現実的には長く ICUで勤務するナースがいることが望まれますが、それぞれの病院では難しいようで、 非常に入れ替わりが激しい。新人を教育してやっと使える状況になり、慣れたところ、 すなわち3年とか4年で入れ替わるという、医師とはまた違う背景もあります。また、 非常に分野が多岐にわたるという意味合いでも、他の医療安全とは様相を異にするとい う背景があると思います。 ○平澤部会長   武澤先生、先ほど病室でベンチレーターに乗っている人の数と、ICUの中で乗って いる患者の数は大体1対1ぐらいだとおっしゃいましたが、事故は目が届かないという ことで病室のほうが多発する傾向にあるとか、そういうデータはあるのですか。   ○武澤委員   そういうデータは日本にはないでしょう。先ほどお聞きしたのは、医療医療評価機構 への報告では病棟とICUで分けてデータが収集されていて、分析されているのかと思っ てお聞きしたのです。   ○平澤部会長   実際にICUで日常的に患者を診ている先生方で、やはりICUでは他の所より事故 が起こり易いかどうか、ヒヤリ・ハット、インシデントが起こり易いかどうか、もし起 こり易いとすれば、どういう要素があるか。いま複雑化していると言われましたが、一 方ではマンパワーが十分なので目が届き易いということもあると思います。しかし、I CUで目が届き易いと言っても、そのICUがどういう形で運営されているかによって 随分違うのです。例えば、よくあるパターンとして手術場とICUが隣接していて、麻 酔科の先生を非難しているわけではないのですが、麻酔をかけながらICUを時々スー パーバイズしている形で運営しているICUも多いのです。そういう所ですと、ICU と言っても必ずしも医師としての目がしょっちゅう届いているかというと、なかなかそ うもいかないという部分もあるのです。   ○加納委員   臨床工学技士の立場から付け加えますと、臨床工学技士の場合も同様なことがいえま す。手術室には人工心肺のような臨床工学技士がつきっきりの装置があります。そうい う患者が術後ICUに移ってきて、最初の生命維持装置のセットアップにはもちろん複 数の技士がかかわるのですが、一旦落ち着くと、他の仕事があって、またICUから出 て行ってしまうケースが多いのです。  ICUに常駐の臨床工学技士がいる所はかなり少ないと思います。いろいろなことを 兼任しながら、必要に応じて人工呼吸器やPCPS・IABPといった補助循環装置、 それに透析つまり血液浄化関係の装置の様子を見に出向きます。さらに、何かあったら 駆けつけて来るという態勢は、ある程度の規模の病院にはあるのですが、常駐している わけではないので、細かい所に目が届かないことがある。マンパワー的な意味でも、落 とし穴はあると思います。そもそもICUで使用される機械は多いわけですから、それ だけリスクが発生するチャンスも多いのではないかと思います。 ○平澤部会長   現在の特定集中治療管理加算の申請をする要件の中に、別に臨床工学技士が常駐して いるということは入っておりません。看護師の数が2対1ということは入っていますが。 ですから、全国的に見ても臨床工学技士が配置されている、ましてや常時配置されてい るICUというのは少ないのです。  ICUで日常的に診療しておられる落合委員や織田委員、ICUの中での事故の特質 性、頻度などで何かありますか。 ○落合委員   ここ数年感じていることは、具体的な数字ははっきりわかりませんが、急性期を扱っ ている病床数が、たぶん40%ぐらい減ったのではないかと思います。ですから、手術室、 あるいはICUといった急性期医療の中心となる施設の負担が倍増している可能性が非 常に高いのです。日本全国通して考えますと、同じスタッフの数で扱っている症例数は 2倍近くに増えているような感じがします。ですから、相対的な医療スタッフ不足は、 こういった背景にあるのではないかと感じています。   ○平澤部会長   事故は増える可能性がある、目が届かなくなる可能性があるということですか。   ○落合委員   日本の医療において、医師の数も含めて医療スタッフの数は圧倒的に少ないので、こ れは政策上の問題ではないかと感じています。同じような医療レベルを維持するのであ れば、欧米並みとは言いませんが、それぐらいの医療スタッフを抱えられるようなシス テムにすべきではないかと思います。   ○織田委員   私は現在、病院の安全管理委員も務めておりますが、現場で働いていて感じることは、 医療事故がないようにかなり目を光らせていますが、やはり起こってしまう。ICUと 一般ベッドのヒヤリ・ハットの違いは、起こってしまうと危険性をはらんでいることと、 転倒・転落といったものはICUでは非常に少ないのですが、機械の誤操作や輸液関連 のトラブルはどんなに注意しても起こってしまう。その多くは、ヒューマンエラー的な 要因が非常に強く、そういったものの数だけ見ても、どんなに病院で一生懸命活動して いても、なかなかその数は減ってこないのが現状だと思います。  その対策を立てるに当たっては、分析だけではなく、根本的なところを変えていかな いと、なかなか減ってこないのではないかという印象を持っています。 ○平澤部会長   いろいろご意見をいただきましたが、またあとで出てまいりますので、議事2につい てはそこまでにしておきます。それでは、本日の主たる議題である議事3に移ります。 「集中治療室における医療安全管理に関する研究状況について」ということで、これは 研究班を立ち上げて研究をなさっている前川委員よりご説明をお願いします。   ○前川委員   少しスライドを使って説明をいたします。資料No.5以降になります。  平成16年度と平成17年度の2年間で検討してきました。概略はアンケート調査と実 地調査の2点からなっています。 ○事務局   補足しますと、前川先生の方で使用される資料は資料5の「指針策定に関する研究」 で、これは平成16年度の報告書です。資料6にスライドの資料があります。  次に「医療安全管理指針策定に関する研究」として、少し分厚い資料がありますが、 これが平成17年度の報告書です。この中に前川先生のほうで「医療安全管理指針(案)」 をまとめていただいております。  もう1つは最後のほうに、「ICUにおけるヒヤリ・ハット事例に関するアンケート調 査」がありますので、それも併せてご覧ください。 (スライド開始) ○前川委員   この報告書はまだ作成途中段階です。取りあえず今回のためにまとめたものなので、 最終的には少し変わっていくと思います。  これは資料5になります。今回の班員は私が主任研究者で、分担研究者としては大阪 大学でずっとICU関係をやっておられた宝塚市立病院の妙中先生。岡山大学の氏家先 生は、救急部ですが、ずっとICUで勤務しておられました。行岡先生は大阪市立大学 の救急部のICUです。眞鍋様は岡山大学のICU、ハイケアの師長さんです。境美代 子様はICU学会の危機管理関係のことをしておられる方です。加納先生は、三井記念 病院のMEサービス部です。大西さんは徳島大学のICUです。中島様はリスクマネジ メント関係に非常に詳しい方です。私の所のME部にいる松山法道(臨床工学士)に仕 事を手伝ってもらいました。  ICUの安全管理というのは非常に範囲が広く、それを全部カバーすることはなかな か難しいと思います。最終的にどのようにまとめていけばいいのか難しいようにも思い ますが、いろいろな要素をまとめながらやるしか仕方がないと思っています。  全体的なところですが、ICUのインシデントの事例が多い理由、その原因、その背 景の原因による因子、これらのものからなると思われます。  これは厚労省が1973年にICU研究会と麻酔学会が背景となって作られたものです。 厚生労働省から発令されているものがあり、施設的には非常に高度化した状況では少し 手狭になりつつあるということです。これは2000年の日本集中治療医学会の機関誌に 掲載されたもので、妙中先生が研究班を立ち上げて、ICU学会で取りまとめたもので す。かなり理想的な形のもので、現状の施設とは少し様相が違っています。  ICUは医師と看護師の連携がうまくいかないと安全管理ができない。最近、臨床工 学技士の人達に入っていただいたので、全体的にはかなりやりやすくなっていると思わ れます。場所によっては、ICUに薬剤師が少人数入っています。クラークさんがおら れるというICUもあります。  責任体制がしっかりしている所は、ヒヤリ・ハット的なものが少ない。アンケートの 結果からは、そのように考えられます。  各病院で安全管理委員会はありますが、ICUで独立したものを持っている所はなか なか無いように思います。つくるのが理想で、中島先生からご指摘はいただいておりま すが、実際には難しく、たぶん副師長や、それに相当するレベルの人できちんとまとめ ていくことが必要かと思います。  医療機器に関しては、加納先生のほうでかなり詳しく、特に生命維持装置に関しての まとめをしていただきました。かなりポイントを得た形で、具体的に使える内容になっ ています。  医師や看護師の育成は教育の部分になってきます。看護師達は日本看護協会が集中治 療の専門看護師、救急の専門看護師を認定しています。救命救急センターもICUを持 っていますので、専門看護師になっておられる方も少数在籍し、かなり知識レベルが高 いと思います。ところが、そういう方も何年間かいますと、ICUから離れていくこと が、最近起こりつつあります。折角、指導的な立場で教育の部分をやっていただいてい るのですが、それがなかなか居ついていただけない。若い人たちも長くて数年、10年選 手というのは非常に少ないように思います。そういうことによりICU教育が継続して いかない。特に交替の激しい集中治療室・集中治療部に関しては、その教育だけでも大 変ということが現場で起こっています。  教育内容には人工呼吸器、ポンプ関係、与薬、その他多くの項目があります。これは 詳しく検討する必要があると思います。  コミュニケーションの部分は、ICUというのは各診療科の医師が出入りするという 背景もありますので、特にコミュニケーションがきちんといくかいかないかは、リスク マネジメント上、非常に大きな要素になっています。  患者、その家族への情報提供ですが、それなりに丁寧に現場ではできていると思いま す。これは全体を通して思うことですが、日本の医療制度というのは、諸外国を考えた 上で見ていくと、非常によくできています。クリントン前大統領の奥様が日本の医療制 度を導入したいとうらやましく思われるほど、日本の医療制度はすばらしいと思います。 ところが、国民のほうは、あまりありがたいと思っていない。そういう要素も多少あり ますので、これは行き過ぎの部分があるかもしれませんが、やはりいろいろ説明して、 日本の医療はしっかりと頑張ってやっていることも、国民の人達にもご理解いただきた いと思いました。  これから後は、看護師の部分とか、臨床工学技士の具体的な生命維持装置のところで すので、看護のところは看護のところで検討すれば良いと思っております。生命維持装 置に関しては、加納先生のほうでまとめていただきまして具体的なことがきっちり書い てありますので、これはこのまま使えると思います。  これは今年の日本集中治療医学会の危機管理委員会と、看護部会で検討したものです。 190施設でICUにおけるヒヤリ・ハット事例についてのアンケート調査を行い、65% の施設から回答を得ました。90%以上の施設がヒヤリ・ハット事例をすべて記録・保管 しています。医師の報告の割合が少ないのですが、医師は人数的に少ないのと、兼任を している施設も結構ありますので、圧倒的にナースが多いようです。  ヒヤリ・ハットはパーセント的に非常に少ない施設から多い施設まであります。これ は施設によって随分違います。これは報告をするかしないかに起因するところがあると 思います。安全管理上、それなりのパーセントが出て、内容的に理解ができる、そうい う報告が出ているのがいちばん良いのかと考えられます。  生命維持装置に関しては、重篤な事故が発生したという報告は、今回はありませんで した。これに関しては、具体的には円グラフで示しております。先ほども示しましたが、 各施設での具体的な発生の状況が文章になっています。  研究班で16年度もスタッフの数など含めて、アンケート調査を行いました。内容的 には少し異なり、かなり限られた施設で行いました。21施設のICUを選び、インシデ ント、アクシデントの調査を行い、19施設から返事がありました。アンケート結果に関 しては、インシデント発生件数が結構ありました。人工呼吸器関連、それから輸液関係、 与薬、生命維持装置の関連、看護師のケアの関連などです。  感染に関しては、プリコーションができるかどうか、それから医療の質にもある程度 関係してくるのではないかという印象もありました。  医療機器関連、実際の事例です。全体的に広く調べた背景になるようなデータを平成 16年度は取れたと思います。  平成17年度は、ヨーロッパでは、オランダのエラスムス大学(ここは2,000床ぐら いある病院です)、スウェーデンのカロリンスカ大学、ドイツのシャリティ大学で、すべ て大学病院ですがこの3施設を現地調査しました。アメリカ・カナダでは3施設を現地 調査しました。アメリカ・カナダとヨーロッパでは、対応の仕方が違います。例えばイ ンフォームドコンセントも、アメリカは非常に細かく取っていくのですが、ヨーロッパ の場合は、入院する時にきちんと説明して、あまり細かくは取っていかない。これは医 師と患者サイドの信頼関係という背景なのか、文化の違いなのか。特にアメリカの場合 は医療訴訟ということが背景にありますので、その辺の違いが非常に明らかなように思 いました。  平成16年度と平成17年度の研究班の結果を全国の医療安全週間が開かれたときに報 告いたしました。これは2004年のアンケート調査の内容ですが、ICUの運営につい て、年間の入室患者数、人工呼吸器使用患者数、リスクマネジメント委員会、ICUに おけるインシデント云々という内容です。  これはICU運営状況ですが、病院全体のベッド数は300床から800床ぐらいの所で す。ICUのベッドは6、7床、少ない所で4、5床の病院もありますが、10床以上の 所も35%あります。アメリカ、ヨーロッパに関しては、大体病院のベッド数の約1割弱 のICUがあります。日本の場合はICUの数が全体的に少ないようです。ICU入室 患者数は300人から800人以上という状況です。その内で救急患者の割合もいろいろで す。基本的には、対象となった施設は、院内のICUが多かったと思いますが、救命セ ンターのICUも入っています。  スタッフ数は非常に少ない所から、10人以上いる所までありました。日本集中治療医 学会の専門医指定施設に関しては、専門医が1名以上いないといけないのですが、0名 (兼任)から多い所は6名以上の所もありました。各病院内にいるICU専門医はもう 少し多いようです。看護師数は20人未満が14%で、多い所では40人以上の所もあり ます。ICUの大きさ、ベッド数によって違います。  人工呼吸について、適応患者数は年間150人から、多い所では350人以上です。そう いう中で、自己抜管というのは患者が半覚醒の状態で、人工呼吸のために気管挿管をし ていますが、それを自分で抜いてしまうという、ある意味のインシデント・アクシデン トです。非常に少ない所から、非常に多い所まで、施設によってかなり違います。これ は鎮静の方法によっても違います。また、昔は人工呼吸は筋弛緩薬を使って、動かない ようにしていたのですが、それでは人工呼吸をする日数が非常に長くなり、予後も必ず しも良くないことがわかりました。半覚醒というか、そういう状況で人工呼吸をする形 が予後が良く、非常に増えてきたために自己抜管の起こる確立が増えました。時代の流 れを反映しています。やはり夜勤帯がどうしても多くなります。生命維持装置は、ある 程度の大きさのICUではほぼ同じようなものがあります。調査した内容は、人工呼吸 器、血液浄化装置、ペースメーカー、除細動器、IABP、PCPSというものです。 次は看護体制やインシデントの調査、ヒヤリ・ハットです。看護師の経験年数で2年未 満が多いようです。ベテランになればなるほど少ないです。  平成17年度に関しては、190施設にアンケートを出して、123施設からデータをいた だいています。10床未満が64%、専門医師数が1から3名の施設が53%、看護師数30 人未満が60%です。勤務交替は3交替が93%です。施設によっては2交替でやってい る所もあります。  ヒヤリ・ハットの発生数は総発生回数を患者数と日にちで割って、それを100倍する という計算式でやっています。ヒヤリ・ハットの報告者は、看護師が多いようです。医 師の報告は非常に少ない。発生時間帯はどちらかというと夜勤帯に多い。記録・保管を しているかとの質問では、中にはしていない所もあり、ちょっと問題かと思います。発 生率は、先ほどの計算式によると、非常に少ない所から、10%以上とか、6〜10%以上 とか非常に多い所もあり、こういう所は教育などの点で再チェックが必要と思います。 たぶん、自分の病院のICUだけでは対応できないかもしれないので、こういうのは相 互チェックが必要なICUかもしれません。内容的には呼吸器関連、注射、点滴などが 非常に多いようです。これは加納先生からいただいたように、いろいろなことが起こり 得るということです。  発生率ですが、医療機器関係で、これも非常に少ない施設から多い施設まであります。 人工呼吸器の回路接続不良や閉塞は生命にかかわりますので、起これば危ないという内 容です。血液浄化装置の停止というのも時にはあります。心筋梗塞のときに使うIAB Pのカテーテルが破損したというのも少しありました。  ME機器安全ガイドライン策定ということで、いろいろ方針を立てて、皆さんにお配 りしているようにかなり具体的な形で作ってきました。先ほど申し上げましたがヨーロ ッパではオランダのロッテルダム(エラスムス大学)、ストックホルム(カロリンスカ大 学)、ベルリン(シャリティー大学)です。アメリカではニューヨークのウエストチェス ター大学、アルバートアインスタイン大学、カナダのカルガリー大学といったところを チェックしています。  内容的にはいろいろあります。危機管理用のマニュアルがあり、例えば心臓関係で致 死的不整脈がもし発生したら、これは部屋の中にきちっと書いたマニュアルがありまし たので、すぐに対応ができるということです。人工呼吸関係も非常にきれいに管理され ています。これはMEの人たちがいる部屋ですが、各ICUに1人ぐらいはこういう人 がいて、すぐに対応ができます。生命維持装置に関しては特にそういうことです。いろ いろなラベル関係とか、退室時にも手洗いをきちんとしなさいとの表示があったので、 ちょっとこれも興味をひかれました。コンピューターの中に安全管理に関するソフトが かなりあって、そういうものを常に見られる。施設間での情報交換もやられています。 アメリカも始まったばかりですが、医療安全に関する情報交換が行われていました。  これが最終的な私たちの考え方です。ICUにおける安全の構築をしていく上で、基 本概念としては安全なものは何もないという考え方でやる必要があると思います。医療 者個人の感性のトレーニングは、マニュアルとかいろいろなものを一生懸命作っても、 結局、マニュアル人間になってしまい、培うことができません。物を考えないと、何か 起こったときにその対応がすぐにはできない。非常に複雑な場所ですから、常に医療ス タッフには考えながら物事をやっていただく必要性があり、それぞれ個人個人の感性の トレーニングが非常に大切になるわけです。  もう30年近く前ですが、看護師たちは新人のときに感性トレーニングというのを1 週間ぐらい合宿してやっていたのです。今の時代、特に子供たちは、マニュアル化され てコンピューターで育ってきます。若い医療スタッフは、色々な感性はあるのですが、 安全管理という感性はちょっと欠けていると思います。日航の安全管理をされているト ップの方とお話することがあったのですが、感性トレーニングがきっちりできていると いいのだと言われていました。  責任の明確化と総合的な安全管理をやっていく。患者、家族も参加していただく。シ ステムエラーに関しては問題を解決するためのアプローチをして、マニュアルはできる だけ最少化、単純化することが必要だと思います。職員間の連携ミスはヒューマンエラ ーにつながると思いますが、申し送りやスタッフ会議とか、転記をできるだけなくす、 チームナーシングをするなど、いろいろなことで連携ミスをなくします。これは先ほど も言いましたが、ICUには各診療科の先生方がどんどん入ってきますので、そういう ところでの連携も非常に必要になってきます。  人・モノ・環境に関しても、これは基本的には複雑系ですので、それぞれにどう対応 するか。これは医療機器などに関しても同じで、安全なものはないということで対処し ます。複雑になればなるほど単純化するということを背景に考えないといけないと思い ます。  職員のヒューマンエラーのところでリスクの予測と回避は、どうしても再教育をどん どんやっていくしか仕方がないかなと思います。自己の健康管理に関しては労働基準法 を守るということで、具体的にはナースのほうは比較的守れていると思いますが、医師 のほうはなかなか難しいというのが現状だと思います。全体的なところは以上です。 ○平澤部会長   いろいろなことをお話いただいて、私も全体的にフォローできなくなりかけたのです が、厚生科研費で2年間おやりになり、その最終的な目標というのは医療安全管理指針 を策定することですが、そこまでの過程で、例えば外国に行かれたのは2005年、アン ケートを取られたのは2004年と2005年です。そういうことも含んだ上での安全管理指 針の策定というのは、最終的にはできているということなのですか。それともコンセプ トが、資料6の一番最後のスライドに凝縮されていると解釈していいのでしょうか。  ただ、最後のスライドが少し違っていて、先生が一番重点を置いてご説明になった感 性トレーニングとか、責任の明確化ということが入っていないスライドなので、そこは わかりにくかったのですが、その時系列的な流れというのは、どこまできていると思え ばいいのでしょうか。 ○前川委員 研究班としては、まだ完全なものは出来上がってはいないのですが、基本 的なコンセプトに関しては実際の現地を見たり、アンケート調査その他をみて、出来つ つあるという現状です。たぶん班会議をもう一度ぐらいやって、最終的なものを煮詰め ないといけないとは思っていますが、大まかなところでは、行けるのではないかと思い ます。臨床工学技士の部門での生命維持装置に関しては、ほぼ出来上がってきたかなと は思っています。 ○平澤部会長   わかりました。ご質問を受ける前に、班の構成員にも加わっていただいている中島先 生、いまの報告に何か補足するようなことはありますか。強調なさりたいようなことが ありましたらお願いします。   ○中島委員   私は病院全体の医療安全が見える立場にありますが、私の印象では病院全体の中でI CUが、医療安全上は最も安全な場所と感じています。  ICUは患者の重症度と行っている医療の濃厚さ、高度さから見ると、事故等の発生 するリスクが非常に高いわけですが、その一方で、院内では相対的に安全な場所です。 なぜならば、ICUが単なる場所だけではなくて、専任の医師がずっと張り付いている、 そして看護師も2対1と言いながら、それは常に24時間ベッドサイドに張り付いてい るということ。医療機器等に関しても、ICUでは患者安全を考慮された最新のものを 他の病棟よりも優先的に配置しており、臨床工学技士も配置されていて、血液浄化など の担当をしたり機器のメンテナンスを行っています。さらに、病棟での急変患者に対し CPR(心肺蘇生)の応援に出向き、患者をICUに収容して救命するということがで きている場所です。  しかし、言い換えると、逆にそれだけの人や設備がない状況で、いわゆるICUと称 せられる場所で、集中治療を行わなければならない現状が我が国の医療機関にあります ので、そこのところの事故防止を一体どうするかということが、ICUの医療安全を考 えるときには非常に大切であると思っています。  もう1つ、ICUの特殊性というのは、通常の病棟であれば、医師は口頭指示が禁じ られており書面で指示を出して、看護師はそれを実施し記録に残すということをやって いますが、ICUでは患者の病態が刻々と変わり、それに従って口答で医師の指示が出 され、看護師は特殊なチャート方式で情報伝達や更新をするという特殊な状況がありま す。このような他の部署と違ったルールの中で、適切な情報伝達と実施確認を行い患者 の安全を確保するのにはどうすればいいかということも課題ではないかと思っています。 ○平澤部会長   加納先生も班員としてご参加いただいて、前川先生のお話では生命維持装置に関して はかなり優れたマニュアルと言いますか、安全の指針が打ち出されているということで すが、この安全の指針というのは先ほど申し上げましたけれども、アンケートや外国に 見学に行かれた結果も踏まえて作られたということなのですか。   ○加納委員   もちろん参考にしましたけれども、ただ、日本と欧米では臨床に関わる技士というこ とを見ても大分違うのです。日本の臨床工学技士のような国家資格というのは世界的に もないです。全くユニークな存在で、何がユニークかというと、欧米だとメンテナンス はメンテナンスの専門家がいます。血液浄化は血液浄化、呼吸は呼吸、人工心肺もそう ですが、それぞれ専門化しているのです。それだけしかやらないというのが欧米のスタ イルで、日本の臨床工学技士というのはそれを全部やるのです。もちろん一個人が全部 やるわけにいかないし施設差もあるのですが、部署として大方全部関っているというと ころがあります。裏を返すと、それだけ専門性の深さは場合によっては十分ではない。 特にエネルギー的に及ばないという面はあり得ると思います。  そんなことも含めて、この指針でいろいろと医療機器に関するものを、特にICUで 重要だと思われるものに関してガイドラインを作りました。まだ完成品だと思っていま せんが、それでも、それぞれの機械について考えられる重要な注意点は網羅したつもり です。最後のほうに必ず付け加えているのですが、1つは教育と、あとマンパワーの充 実ということを繰り返し書いています。まだまだ全体のスタッフ数が少ないこともあり、 先ほども少し言いましたが、ICUに常駐できる臨床工学技士がいる施設は極めて少な いのが実態です。  あと教育の問題というのは、臨床工学技士は生命維持装置に対して責任を持って運営 する立場にいるのですが、実際、例えば人工呼吸器に何かトラブルがあった場合、それ を第1発見者として対応するのは多くの場合は看護師です。ですから、そういう意味で の看護師に対する教育の問題があります。それを臨床工学技士による院内教育で臨床工 学技士が十分やれている施設もあるとは思いますが、アンケートを取ると、実はやれて いない施設もまだまだあることが分かります。病院の規模にもよりますが、特に中小の 病院では臨床工学技士がいない施設が圧倒的に多いわけですが、それでも人工呼吸器を 使ったり血液浄化をやっているわけです。そういったマンパワーの問題と、教育の問題 というのは非常に大きいのではないかと思っています。  ガイドラインの中では、それらのことに関して詳しく書いているわけではないのです が、このガイドラインをどういう形で実際に現場に活かせるかというところも、これか ら検討しなければいけないと思っています。 ○平澤部会長   前川先生たちの研究班の目指している医療安全管理指針策定ということと、この作業 部会の安全管理指針検討委員会というのは、目指すところは同じようなところがあると 思いますが、その中での先生方の研究成果の位置づけというか、それはどうお考えです か。かなり完成されたものだから、これに基づいていってくださいとおっしゃっている のか、参考にしてさらにということなのか、カバーすべきところが両者で違うのかもし れませんが、どういうお考えなのですか。   ○前川委員   まだ完成していると思われませんし、やり始めていろいろ感じたことは非常に範囲が 広いのです。それともう1つは、集中治療ですので医療の質の担保というのはなかなか 難しいです。ICUの実際の治療に関しては、概念が変わってくれば人工呼吸の方法そ のものが変わってくる。昔は、正常な血液ガスの状態に近づく呼吸管理をしないといけ ないと言われていたのが、今はできるだけ肺にやさしい人工呼吸管理をやるというよう な、そういう医療の質そのものにも関係してきます。  人工呼吸管理でもう1つ言うと、昔は患者を仰向けにして人工呼吸をしていました。 いまは100kgある患者でも仰向けだけでなく、うつ伏せにもして人工呼吸します。その 方が人工呼吸をする日数そのものが減るというように、根本的に変わってくるところも あります。だから、そういう医師サイドの医療の内容そのものにも関係してきますので、 これは順次、ある間隔、5年とかで繰り返し繰り返し見直しは必要だと思います。です から、たぶん完成というのは非常に難しいと思います。しかし、基本になるところはき ちんと作るべきだと考えます。 ○平澤部会長   あとで、この検討委員会で検討すべき範囲をご議論いただきたいと思いますが、先ほ ど中島委員が言われた、ICUの外で集中治療が行われている所のほうが事故が多いの だからということになると、この作業部会は集中治療室におけるということになるので、 そこをどうするか。例えば第1条として、集中治療をやるならば、すべからくICUに おいて行うことが事故を減らす第一義であるということになってしまいます。   ○中島委員   それは私の説明がよくなかったかもしれません。私が申し上げたかったことは、同じ ICUと言っても、専属の医師の配置の有無など人や設備の充実状況にかなりばらつき があるということが、前川先生の調査等でもわかっていますので、医療安全を考えると きには、うっかりミスを減らすためのマニュアルやルール作りという小手先の対策だけ でなく、このような構造的な問題も切り込んでいかなければならないということです。   ○落合委員   このアンケート調査では、設備、人のばらつきが事故率に直結しているのですか。   ○前川委員   そういう統計処理はまだしていません。必要だったらできるかもしれません。   ○落合委員   興味があるのは、資料8のいちばん最後の頁に、集中治療室の日本全体の構成割合が あるのですが、645施設が認められている何らかのICUを持っているのです。日本の ICUの専門医は確か1,000人ぐらいしかいないですから、単純に割っても1人いるか いないかです。そうすると集中治療の専門医が常駐している施設と兼務している施設で、 事故率に差があるのかないのか。ガイドラインというのは、それを導入することによっ て何かの問題を解決するというのがガイドラインですから、そこら辺はどうなのでしょ うか。   ○武澤委員   そういうデータはアメリカで出ているのです。Johns Hopkins のPeter Pronovostが 出したデータです。クローズドで、しかも専門の集中治療医がいるICUは患者の予後が 全然違う。しかも保険会社が、集中治療医や専門看護師を十分配置していないICUの 医療費は、保険では支払いませんよというのです。アメリカでは、そういうデータはオ ープンになっているのですが、日本での実態は全くわからないのです。  最初に聞いたのは、ICUの施設基準を満たしている施設を対象にするのか、それとも、 そうでなくて自称ICUも含めて、この委員会で対象とするのかを、まず決めなければ いけないわけです。 ○落合委員   全く同意見です。 ○平澤部会長   わかりました。 ○武澤委員   もう1つ、前川先生のガイドラインの位置づけですが、私はこれは単なるスタートだ と思います。悪いのですが、とても完成品と思えないのです。そのことを飯田先生にお 聞きしたい。全部読んでいないかもしれませんが、飯田先生はこういうことのプロです から、一体どういうふうに見られたのか、感想をできたらお聞きしたいと思います。   ○平澤部会長   先生、みんな読まれましたか。   ○武澤委員   次回でも結構です。   ○飯田委員   いまのコメントですが、我々民間病院では人の配置もなかなかできないし、いま落合 先生が言われたように、古いデータですけれども約600施設で、しかも5,000床です。 160万床のうちの5,000床しかないわけです。大部分がそのほかでやっていますし、私 ども中小規模の病院だとICUを持っていません。大きな手術はやっているし術後のイ ンテンシブケアもやっていますけれど、そういうものを対象から外すのであれば、大部 分の医療はカバーしないということになります。  ですから、指針を出すのであれば私は2種類必要だと思っています。このデータが十 分かどうかという話の前に、武澤先生のおっしゃるとおりで、この検討会として何をカ バーすべきかです。私は両方カバーしなければ意味がないと思っています。 ○平澤部会長   わかりました。先生方のご議論が検討事項というか、4番の「本部会における検討事 項について」ということに自然に移っていますので、そのことについて資料に基づいて ご説明をお願いしたいと思います。確かに先生方のおっしゃることはもっともで、例え ば運営の仕方によっても、クローズドICUかオープンICUかによって事故の発生の 形態も違ってくるし、要因も違ってくると思います。   ○武澤委員   日本で実態はわからないのです。   ○平澤部会長   いろいろな要素があると思いますが、それでは時間の関係もありますので、第4番目 の議事について、資料に基づいて説明をお願いしたいと思います。   ○事務局   資料7によりましてご説明したいと思います。  資料7は、これからの作業部会において、どういうふうに検討を進めていったらいい のかということを、この場でご議論いただきたいのですが、何もないと議論が始まらな いと思いまして事務局で用意しました。もちろん、これにこだわる必要はありませんの で、いろいろとご議論いただければ、検討事項を増やしたり、あるいは検討の進め方を 考えていきたいと思います。  用意したものは、今ご議論にもありましたように「指針の目的」をどういうふうにす るのか。理想的なものにするのか、あるいは最低基準にするのかといったこともあろう かと思います。  「指針作成に当たっての基本的な考え方」ですが、先ほど前川先生からご指摘があり ましたように、事故が起こる、非常に危険だということを前提にやっていかなければい けない。あるいは、もう少し表現をきちんと整理しなければいけないかもしれませんが、 そういう基本的な考え方を整理しなければいけないでしょう。  「想定されるヒヤリ・ハット事例、医療事故」は、具体的にどういうものがあるのか。 これをターゲットにして減らしていこうという、具体的な目標があったほうがいいので はないかということ。  4番目として、今まさにご議論いただいていた「指針の対象となる医療機関の範囲」 として、大学病院クラスの非常にスタッフの充実した、あるいは重症患者のいる所を対 象にしてやるのか、それとも非常に規模の小さい所についてもやるのかどうか。こうい ったところが議論になるかと思います。  そのほか個別項目については、スタッフ、環境・設備、医療機器、医薬品、感染制御、 情報共有、コミュニケーションの部分等、こういったものが項目として考えられるので はないかということで用意しています。  併せて資料8をご覧いただきたいと思います。資料8は、現在の集中治療室に関する 施設基準で、診療報酬における基準と集中治療医学会のほうで公表している指針とを用 意しています。診療報酬における施設基準については全部で4項目ありますが、1枚目 をめくっていただくと、「特定集中治療室管理料の施設基準」ということで、告示部分と 通知部分がありますが、通知の(1)にありますように、専任の医師が常時ICU内に 勤務していることと、大きさ等が規定されています。常時備えている医療機器等につい ても明記されています。そのほかNICUや総合周産期の集中治療室、あるいは熱傷の 集中治療室管理料の施設基準も用意していますが、こういった特殊なところについても ご議論いただくのかどうか、併せてご検討いただければと思っています。  5頁には、こういった施設基準を算定する施設数について、少し古いですが平成14 年の医療施設調査により、わかっている数字を示しています。ご覧いただきますように、 大体160万床ある病院のうち、特定集中治療室があると答えている医療機関が645ほど あり、その病床が5,194ということです。平均が大体1施設当たり8床ということです。 300床以上の大きな所はそのぐらいですが、100床よりも小さい所についても、こうい う基準をとっているところがあるということです。NICUのところについては、ご覧 のとおりで説明は省略します。  このほか集中治療医学会が公表している指針として、集中治療部設置のための指針と、 CCUの設置基準を別添で用意しています。一緒に綴じていますので参考としてご覧い ただければと思います。以上です。 ○平澤部会長   事務局に叩き台として用意していただいた検討事項というのがあります。いま説明い ただきましたが、指針の目的というのは、安全を確保して医療事故を防止するというこ とに尽きるのではないかと思いますけれども、特に先ほどの説明の後の委員の先生方の 検討を踏まえ、まず指針の対象となる医療機関の範囲を少し明らかにして、それから、 それならばどういうことをするかということにしたいと思います。先ほど飯田先生が言 われた、医療機関というのを大学病院みたいな所と民間病院の二本立てにするのかとい うことと、もう1つは、ICUと言ってもgeneralICU、NICU、pediatricICU、 CCUというのがあります。ここで扱う集中治療というのは、いわゆるgeneralICU ということに限ってやればいいのかということについてご意見をいただいて、そのこと から固めておきたいと思います。いかがですか。   ○飯田委員   先ほど少し申し上げたのですが、大学あるいは大きな基幹病院と中小規模の病院と2 つありますが、それだけではなく、私がいたのは何十年も前ですから変わったかもしれ ませんが、大学にもICUがありますが、病棟に戻ってきてそこでインテンシブケアも やっていました。いまは現役ではないですが私も肝臓外科をやっていて、自分たちが管 理したほうがしやすいということもあり、ICUを出てから自分たちが病棟で、いわゆ る術後部屋で本当のインテンシブケアをやっていましたから、大学においても私はある と思います。  ですから、大学の中あるいは大病院の施設基準を取ったICUと、取っていない重症 患者と、もともとICUもない病院と3つあるかもしれません。大学での施設基準を取 っていない重症患者と、我々とほぼ同じだと思っています。 ○平澤部会長   わかりました。先生がいま言われたのは、いわゆるステップダウンユニットとか、ハ イケアユニットとか呼ばれているところだと思いますが、どうなのでしょうか。そうす ると一般病院でのICU、高度先進医療をやっているような大学病院のICU、そして、 そういう大学病院のようなICUの患者たちが少し良くなって一般病棟に帰る前に、あ るいは一般病棟の中で、集中治療に準じているような治療を受けているステップダウン ユニット、あるいはハイケアユニットというものまで含めて、それを対象に作るという ことなのか。いろいろあると思いますが、このことについて先生方のご意見を伺いたい と思います。武澤先生、どうですか。   ○武澤委員   作業部会としては、施設基準を満たしたICUをテーマにするということで一応は限 定されていたのでしょうけど、ICUにおいて問題なのは、皆さんが先ほど人工呼吸だ と言われたのですが、人工呼吸を実施していてリスクがある所というのはICUだけで はないと思います。在宅医療だって危ないので、どこまで集中治療という名の安全を考 えるのか。集中治療を対象とした安全管理であればICUをはみ出ていくわけですから、 それは行政側が一体どこまでカバーしたいかという意向にかかるのではないですか。I CUに限定してICUさえ指針を作成すれば、ICU以外のところはほかの作業部会が ちゃんとやりますよと、ここはICUだけに限定してくださいというのであれば、特定 治療加算を算定しているICUに限定するので良いと思います。  ただ、施設認定を受けているICUは少ないので、ICUもどきや、危ないICUが相 当数ある。病棟も危ない。ハイケアユニットも危ないかもしれない。というようにリス クのある箇所が、人工呼吸ということで考えればたくさんあるわけです。ではどこまで カバーするかというのは、この委員会としてはICUという命題を与えられているわけで すから、そこからはみ出していいのかどうかは行政側の考えで、はみ出せということで あれば、喜んではみ出しますけれども、ICUに限定せよというのであれば、もちろん それでも仕事はできます。 ○平澤部会長   本当の意味でのICUを対象にした指針を作って、もっと重症度の軽い所とかICU でない所も、それを守っていただければ安全は確保できるということはあるわけです。   ○武澤委員   だけど、実際には守るような人員が確保されていないのでしょう。人員もないし教育 も不十分。だから、そういう状況も鑑みて安全を確保するということになるので、ただ、 こうやりなさい、安全にやりなさいと言って指針を作っても、はっきり言って意味がな いわけでしょう。実際に人員が配置されていないわけだから守りようがありません。   ○平澤部会長   意味がないということはないと思います。ものがあって形として表われれば、それを やってくれるかどうかというのは、その後のいろいろな努力とか、あるいは経済的な裏 付けということもあると思います。   ○前川委員   やはり何もないのです。安全管理のガイドラインというものが何もないところから、 少なくとも何か1つの雛形を作り上げないと、ステップダウンするにしてもそれがない と話にならない。今回、正直言ってこれが十分まとまらなかった1つの背景は、どこを どうしていいのか何もわからないところからスタートして、諸外国というのも行ってみ ないとわからないということでしたが、諸外国にあるのかというと実働しているものは あまりないのです。ですから、それでガイドラインを出して効果が出てきたものがある のかと言ったら本当にないのです。でも、できなくはないと思います。日本人は本当に 几帳面な要素を持っていますので、一応、こういうものはいかがでしょうかという提示 をすれば、結構守っていただけるというところがありますので、いかがでしょうか。   ○平澤部会長   そうすると、先ほど私が投げかけた設問に対して先生は、とりあえずはICUという ことを対象にして作ればいいという、そういうお考えだと受け取っていいですか。   ○前川委員   そうですね。飯田先生が言われたように、1つのものにするのか2つぐらいの種類に するのか。いちばん上のものを作れば、もう少しステップダウンしたものに関しては、 それをベースに、もう少しここは緩めたほうがいいというものはできると思います。   ○飯田委員   違うと思います。物的・人的配置が全然違う所では仕組みが違うのです。いいですか。 だからステップダウンなんていう話はないのです。要するに、これだけの施設基準で人 的配置ができるICUと、そうでなくて、しかも同じようなインテンシブケアが必要な 施設はたくさんあるわけです。全然違うのです。だから品質管理の言葉では層別化と言 います。層別した議論をしなかったら、これをモディファイできるという問題では全然 ありません。発想が全く違うのです。同じ仕組みはできません。  大体こういうものの定番は、安全のためのダブルチェックを行って、などとなります が、これは無責任体質なのです。誰が責任を取るのか。バーコードを使いましょうと。 実際に議論ができない。私もいくつも見に行きました。きちっとできている病院はない のです。それはなぜか。できないことをやっているからです。建前上はいくらでもでき ます。指針はいくらでもできます。できないことを作ってもしようがないのです、実現 可能な対策でなかったら。せっかくやるのですから是非お願いします。 ○平澤部会長   確認ですけど、この作業部会では施設基準を作るわけではないのです。施設基準でな くて、いろいろな形で行われている集中治療室あるいはICU、あるいはICUという 形を取っていない所であっても、集中治療が行われているような所での安全管理を確保 するためには、どういう指針が必要かということで作るのですが、それでも1つのもの では駄目ということなのですか。   ○飯田委員   ですから前提条件が違う所で、同じ対策は打てないわけです。きちんと要因分析して、 どういう状況か見ればわかるわけですから、打つ手が変わってくるわけです。専門医が いて看護師がたくさんいて、施設もあって、そこでやる対策と、そうでない所とでは全 然違うのです。そこでは手術をやってはいけないというのであれば話は別です。そうで なければ、そういう所が大多数なのですから、大多数に対する対策ができなかったら、 指針というのは意味がないのです。両方必要だと思います。   ○平澤部会長   何かご意見がありますか。   ○事務局   先ほど武澤先生からご質問のあった検討の範囲ということですが、最初にご説明しま したように、この作業部会というのはハイリスク部署の安全ガイドラインを作っていこ うということです。その一事例としてICUということで始まったものです。したがっ てICUが中心的テーマになるわけですが、ハイリスクの部門というのがもしあれば、 そういう所についての安全ガイドラインは次々と作っていかなければいけないのだろう という考えは持っています。  では今回、この作業部会で、どういうところをターゲットにして検討するのかという ことについては、もちろんICUを中心にするのですが、それ以外の周辺の部分、人工 呼吸器ということであればICU以外のところについても、あるいは在宅についてもと いうことで幅が広がるのであれば、そういうことについてはご議論していただいてもよ ろしいのではないかと思います。  ただ、指針を作るという意味では、ICUにターゲットを絞って、それを議論する中 で、こういうところがより問題がありますよということに言及していただければ、それ はそれで、また次のステップで検討ができると考えています。 ○平澤部会長   武澤先生が言われた、例えばベンチレーターの事故がいちばん多いというのは、必ず しもそうでないところもあると思います。薬剤の誤投与とか血液浄化法の事故とか、そ ういう体外循環を伴っているインシデントというのも相当多いですからね。  いま言われたのは各種作業部会の1つとして、第1弾として厚生労働省としても安全 対策の指針を策定するということは、私がお聞きした範囲では初めてのことだと言って いたので、たぶんそのうちに、例えばハイケアユニットにおける安全管理指針の策定と か、もっと幅広に、ベンチレーターを使うことに関しての安全管理指針の策定とかいう のは、これがうまくいって実が上がれば、どんどん次々に出てくるのではないかと思い ます。そういうことを考えれば、とりあえず私は、範囲のこともありますので、一般の 人がイメージしているICUというところにおける安全管理指針ということの、それだ けでも大変な作業だと思いますから、それをやって、その次に先生の言葉によると、I CUでないところで盛んに行われている集中治療も多いと言われますが、第2弾として そういうところとか、そういうことになるのではないでしょうか。いかがですか。 ○北澤委員   ということは、ここでこれから安全管理指針というものを作っていって、これはむし ろ行政に聞きたいのですが、それを最終的には行政の、例えば通知とか、そういうよう な形にして、それで全国の医療機関に守らせると。あるいは、それにはもしかしたら診 療報酬やお金のことも関係してくるのかもしれないですが、そういったものの根拠とな る行政文書のもととなる管理指針、ガイドラインというものを、これから作っていこう と、そういう考えでよろしいのでしょうか。 ○平澤部会長   議論の途中ですが、局長がお見えになりましたので、ご挨拶をいただきたいと思いま す。 ○医政局長(松谷)   お話の途中、大変申し訳ございません。医政局長の松谷でございます。遅れて参った 上に、実は12時からまた国会に行かなければいけません。国会が金曜日から始まりま して、忙しく大変恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。  先生方には大変お忙しい中、作業部会のメンバーになっていただきまして本当にあり がとうございます。医療安全につきましては、かねてから我が国の国民の関心事として 大きくクローズアップされて、厚生労働省としても1つ1つ対策を積み上げてまいりま した。  今回、お願いしているICUにおける医療安全管理指針につきましては、厚生労働大 臣アピールの中でも取り上げられた項目でございまして、是非、良いものを作っていた だきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思っております。  医療安全につきましては、時々いろいろなことが起きますけれども、現場の方々のそ れぞれ真摯な取組みによって、少しずつ改善されている状況が見られると私どもは考え ています。しかしながら気を緩めることなく、1つずつやるべきことをやっていくこと が大事ではないかと思っています。当作業部会でのご審議にも大いに期待をしたいと思 っています。私どもも努力しますので、是非、先生方もよろしくお願い申し上げたいと 思います。審議の途中で申し訳ありません。よろしくお願い申し上げます。 ○平澤部会長   それでは北澤委員のご意見に戻りたいと思います。コンセプトとして、安全対策全般 に対する会議があって、ヒューマンエラー部会があって、その下に各種作業部会があっ て、この各種作業部会の中の第1番目として、この作業部会が立ち上がりましたので、 それをいろいろなことから考えて、事故が多く起こる可能性もあるし、いろいろな関心 もあるところなので、とりあえず第1弾として集中治療室における指針を作ろうではな いかというのが、この作業部会の位置づけではないかと思います。  決してICUだけ安全になっても、医療事故は減るわけではありませんから、その後 にまた必要に応じて、例えば手術場の中における安全管理とか、そういう部署別のもの もあるかもしれませんし、よくわかりませんけど、例えばベンチレーターがいちばん事 故が多いというのだったら、部署を横切って、ベンチレーターを使用する場合の安全管 理のための指針というものも作られるかもしれません。そういうことを踏まえて、とり あえずは先ほど申し上げたように集中治療室について、私のイメージではNICUとい うのはちょっと特別ですよね。ですからCCU、generalICUというのをイメージして、 そこにおける安全管理指針を作るというのが、この作業部会のやるべき仕事ではないか と思います。いかがですか。 ○武澤委員   要するに、行政が本気になって実行しないと、医療安全は獲得できないのだというの が欧米の考えですよね。そういう意味では、それは指針になるか法律になるか、保険に どう反映するかわからないけども、少なくともそういう流れの中で、行政も専門職集団 も一体となってやらないと駄目です。医療の専門職だけに任せておいたのでは医療安全 は獲得できなかったということはIOMの報告書に出ているわけだから。そういう意味 では我が国でも行政が本気になったということで、その中で指針を作っていこうという ことですから、それは全然問題ないと私は思います。行政がやるから規則で縛られると か考える必要はないと思います。  もう1つ問題なのは「指針」という言葉で、すごく抵抗があるのです。「指針」という のは、要するに人工呼吸器を使う前は点検しましょうとか、インフュージョンポンプの 操作をするときにはダブルチェックをしましょう、とか。「指針」というのは医療安全を どうやって獲得するかという、全体のフレームワークというように取れば問題ないので すが、ここに書いている「指針」というのは、スタートとしては私は良いと言いました けど、マニュアルとなってこれを守ることを強制するだけでは駄目だと思います。報告 システムもなければいけないし、教育システムもあるし、いろいろあると思います。そ れらの全体を含めて「指針」という形でここの委員会で提案しないと、1.何とかしまし ょう、2.何は止めましょう、3.点検は3カ月ごとにやりましょうという「指針」では 不十分です。少なくともこういう「指針」だけでは安全管理はできないとIOMの第2 報告書で言われているわけでしょう。  だから、システム的アプローチをしなければいけないということを確認していただい て、その中での安全管理であり、そういう意味の「指針」だと理解していただかないと、 項目を立てて、法律みたいに作れば良いというのではないと。 ○平澤部会長   そうすると先生がおっしゃっていることは、これから策定する安全管理指針の第1条 にでもくるべきことですかね。以下の指針は、全体の医療安全のためのシステムの中で ここからスタートすることであって、そのほかにいろいろな要件が満たされないと安全 は確保できませんよと。だからこれに準拠することは、必要条件の1つであるけれども 十分条件ではないということですね。 ○武澤委員   やさしく言えばそうです。 ○平澤部会長   みんなにわかるように、やさしく言ってください。   ○武澤委員   厳しく言うと、優しい言い方ではあまり役に立たないということもあるかもしれませ んけど。 ○事務局   いま武澤先生から、「指針」という名称はどうかというお話もありましたが、名称はと もかく、ハイリスクの部署でどういうことをやったら安全が確保できるのかということ を、我々としては目標にしていますので、そのための方法論として医療現場で使えるガ イドライン、指針を作るのがいいのか、あるいは制度などに対して、こうあるべきだと いうふうにご議論いただくのがいいのか、それも少しご議論いただければいいと思いま す。ただ、いま目の前のテーマとしては、このICUにおける安全管理指針を作るべき ではないかということで我々は進めていますので、幅広くご議論いただきながら、少し ずつ議論を収束していただければと思っています。  そういうものが出来たときに、行政的にどういうふうな取扱いをするのかと北澤委員 からご質問がありましたけれども、それは実際に内容とかなり絡んできますので、ご議 論の経過を踏まえながら、どういうふうな形で現場に周知をしていくのか、どういう行 政的な位置づけにするのかというのは、我々のほうでも考えていきたいと思っています。  ただ、中身がなければ、どういうふうに取り扱うのかなかなかはっきりしてきません ので、先生方にはICUで安全を確保するためには、こういうふうにすべきだというこ とをご議論いただければと思っています。そういうのができて現場で実績を積んでくれ ば、診療報酬云々といったようなことにもつながっていくのではないかと期待していま すが、それは部局が違ってまた別の観点で見ていますので、まずそういう内容について、 この場で検討いただければと思っています。 ○平澤部会長   ただ、それは鶏が先か卵が先かという感じもあって、強制力を持つものすごくガチッ としたものを作ってしまうと、にっちもさっちもいかないというところもあるような気 もします。でも、基本的に事務局のお考えとしては、とにかくいいと思うものを作って くださいと。それがどういう拘束力を持つかということに関しては、その後の内容とか によって他の部署ともということですか。 ○事務局   まずここで作っていただくということが大事だと思っています。強制力を持たせると いうような話はなかなかすぐにはできないと思いますので、ご議論にもよると思います けれども、任意のこういうふうにしたらいいのではないかというような内容になるので はないかと思っています。それも含めてご議論いただいて、例えばそれが周知されれば 次のステップとして、こういうところは義務付けたほうがいいのではないかとか、そう いう話が出てくるのではないかと思います。皆さんが全く海図がない所で航海をしてい くという感じになっているように受け止めていますので、まずそういう地図を作って医 療現場に提供していただくということを、我々としては考えています。 ○平澤部会長   先ほどちょっと申し上げましたが、安全管理の指針というようなものを策定するのは 初めてのことですので、出来上がったものを見てみないと、それから後のことはなかな か分からないということがあります。北澤委員、武澤委員のお話はそれでよろしいです か。とにかくまず形のあるものを作ってみようということです。拘束力、強制力という のは、またその後のことだということです。  資料7ですが、私の感じでは、きちっとある程度コンセンサスを得たのは4番という ことになります。では、1番の「指針の目的」について、いかがお考えですか。 ○道又委員   コンセンサスを得られたという感じがありますが、もう一度確認させていただきます。 集中治療室というのは、先ほど来からお話が出ていますけれども、集中治療を自称で行 っている場で集中治療という看板を掲げている所がたくさんありますから、集中治療室 というのを厳格に、何をもって集中治療室と言っているか、はっきりさせなければいけ ないのではないか。いわゆる集中治療室となると、「私の施設も自称の集中治療室を持っ ているのです」となるのだと思います。そうすると、そのような範疇まで入れてしまう と、マンパワーの配置や構造から全然違ってきます。だから集中治療室はかなり厳格に 明確にしたほうがいいと思います。つまり、集中治療室といっても幾つかのパターンが あると思うので、いわゆる集中治療室という一括りではなく、区別すべきだと思います。 ○平澤部会長   明確にすると、なかなかないと思います。前川先生、いかがですか。 ○前川委員   難しいとは思います。ですから、ある意味では保険診療加算を取っている所という1 つの線は引けると思います。 ○平澤部会長   そういうことに限定してということで、よろしいですか。 ○前川委員   それがあるから、ある意味では保険診療加算が取れているわけです。だから、どこま できつくガイドラインを作るかというところはどうとでもなると思いますけれども、ど こかに線を引かないと中島先生が言われたように、大学病院の集中治療室というのは本 当に特殊だと思います。人の余裕という意味でも大学病院は特殊です。しかし、医師に 関してはかなり厳しく、ICUの専門医がなかなかいないし、指導医認定施設になれな い大学病院のICUもないわけではありません。いずれにしても特殊な所をベースには 考えられないと思いますけども、安全を確保しているという意味での参考にはなります。 理想と現実の違いはありますが、線を引くとしたら診療加算を取っているというベース で考えていただいたらいいと思います。 ○平澤部会長   前川委員のいまのご意見は、集中治療室というものはいろいろあるので、今回、安全 管理指針の対象となるのは、特定集中管理料加算を取っているICUということでどう かという意見です。 ○事務局   いまのご議論ですが、この場で今回決める必要はまずなくて、そういうご議論をいた だければよろしいかと思います。ここでの議論は、そういう加算を取っている病院を対 象にするということではなくて、どちらかというと本来あるべき集中治療室というもの をイメージして、そこで安全確保のためにはこういうものを遵守すべきだという指針を 作っていただいて、それが逆に診療報酬等に反映されるのではないかと思っています。  ただ、検討する上で対象がはっきりしないということであれば、例えば、加算を取っ ているような医療機関を対象にして、それをそのまま診療報酬の基準を持ってくるとい うことではなく、むしろ集中治療室でのあるべき姿というのを、こちらのほうでご議論 いただきたい。それがまず最初であって、診療報酬というのはあくまでもひとつの参考 にしていただく、という程度でよろしいのではないかと考えています。 ○平澤部会長   確かに特定集中管理料を取っているICUだって、いろいろあると思います。ですか ら、先ほどの議論に戻りますが、いわゆるICUということになりますかね。 ○道又委員   集中治療が行われている場ということですか。 ○平澤部会長   そうすると、例えば何をもって集中治療とするかというのがまた難しいですけれども、 例えばナースステーションの隣にあって、外科の先生がリカバリーを診ているという所 は、集中治療は行われているけれどもICUではないと思います。全体として、集中治 療医学会でも集中治療室の定義ははっきりしていないのですが、病院全体の中心部門と して各科の重症患者がそこに集められて、集中治療が行われているような場所というイ メージでICUをイメージしていただいて、そこにおける安全管理指針というのを策定 するということにしたらいかがかと思います。野中先生、医師会として実態を踏まえて 何かご意見がありますか。 ○野中委員   先ほど飯田先生のお話にもありましたように、いわゆる病院のスタッフやそこの先生 の熱意や技能によって、いろいろな段階で集中治療が実施されているのが現状と思いま す。それが集中治療として国民の信頼を得るためのあるべき姿を、まず考えていくので あれば、あるべきICUとはこういうものであって、それに皆さんの所が近づく努力を してくださいという呼び掛けのほうが、本当の形になるかなと思います。  ただ、先ほどの飯田先生のお話を聞いていて、現場でそういう治療ができるICUを 作れないという現状では、そこでは治療をしてはいけないとの結果になってしまうと困 るので、心も揺れる部分があるのです。でも医療に対する信頼をつくるには、あるべき 姿をまずここで考えていただいて、それに対してどう近づいていただくかどうかを検討 する必要があると思います。  先ほど、例えば人工呼吸器の抜管の話も夜間が圧倒的に多いというデータが先ほど示 されましたが、夜間に圧倒的に多いということがわかっていて、夜間にどれだけの人員 配置をしているのかと考えると、そのことをきちっと考えてやっているのか、やってい ないのかという部分が、いわゆる専門外の人間にとってはまた違ってくると思います。 そう考えると、私はあるべき姿をまず想定し、こういうふうなことでまず考えていきま しょうかというのが、1つの方法と思います。 ○平澤部会長   あるべき姿ということになってしまうと、ICUで行われている集中治療のクオリテ ィアシュアランスというか、医療の質ということだってありますよね。ですから、ある べき姿というのは安全であることもあるべき姿の1つでしょうし、そこで行われている 医療というものの一定の質がないと、あるべき姿にはならないと思いますので、なかな か難しいと思います。あるべき姿まで、たかだかこのぐらいの人数の作業部会でやれと 言われても、それはなかなか難しいと思います。武澤先生、どうですか。   ○武澤委員   どの程度重症な患者を、どの場所で、どの程度の人員と設備で診るべきかということ、 それが要するにビジョンになるでしょう。今は設備も不十分で人員も少ない状態で診療 しているというのが現状であるわけです。施設基準もいい加減なところがあるわけです。 実際には、この程度の重症の患者がどのくらい日本にいて、どの程度のモニタリングと 治療を必要としていて、そのためにはどういう範囲の地域にどのぐらい施設を配置しな ければいけなくて、そのための集中治療の専門職は何人要るかという、そういう観点か ら話しましょうということなので、私はいまのご意見に大賛成なのです。  理想を言っても、いま何ができるかということはありますけれど、最終的にはここに 到達するのだということを示していく必要があります。そういう意味では、あるべき姿 を出すということは大事なことだと思います。 ○平澤部会長   先生がおっしゃることは総論的な理想論だと思いますが、でもこの検討委員会の全体 のスキームの中でのこの作業部会の位置づけを見たときに、それは先生、ビオンド・ア ウワ・タスクと言いますか、そういうことだと思います。   ○武澤委員   だけど、そしたらその仕事は誰がするのですか。先生はICUの専門家ではないです か。   ○平澤部会長   私は専門家ですけれども。   ○武澤委員   行政の人に全部任せるのですか。   ○平澤部会長   議論がそんなに飛んでは駄目です。   ○武澤委員   一緒にやらなければ駄目ではないですか。   ○平澤部会長   ですから、それはそれで、もっと多方面からの検討が必要だと思います。   ○武澤委員   だから皆さん、それぞれの業界の専門家の方がいらしてくれて話しているのだから、 ここでビジョンを出さなかったらどこで出すのですか。   ○平澤部会長   それは大変だと思います。作業日程とかも勘案して物は考えないといけないと思いま す。その総論のところまで立ち返ってやるということを、我々に期待しているのか、逆 に言うと許してくださるのかということですが、どうなのでしょうか。   ○事務局   そういう「あるべき論」まで詰めていくというのは、短い時間ですし、こういうスタ ッフでは難しいのではないかと思っていますが、ただ、そういうものを念頭に置きなが ら、指針を作っていくということは必要ではないかと思っています。具体的に次回以降、 本日のご意見を踏まえてどういうふうに検討していくのか、そしてどういう資料を用意 するのかというのは、また部会長とも相談をしてまいりたいと思いますので、よろしく お願いしたいと思います。   ○平澤部会長   それは考えながらやるというのは当然ですけど、とにかく集中治療室における安全管 理指針検討作業部会ですから、安全にやるためには理想のものがなければ安全にできな いというのはそうですけれども、それは頭の隅に置きながら現実路線でいくよりしよう がないと思います。   ○落合委員   交通事故死を防ぐためにシートベルトが導入されてきたわけですが、その最初のとき にそのデータをどうしたかというと、車の中でも、乗用車に限定してデータを集めてき て、それが非常に有効だということで義務化され経緯があります。今回のガイドライン も同じだと思います。私たちはデータを基にして考えなければいけないので、データが きちっと集まっている部分、それを対象にした検討をすべきではないかと思います。そ うすると前川先生のデータとか、あるいは病院機能評価でしたか、そういったデータが ターゲットになって、まずガイドラインが作られて、それをジェネラライズするという のが、方法として順当ではないかと思いますが、いかがですか。   ○平澤部会長   いろいろな意見が出ましたが、いかがですか。飯田先生、皆さんの意見を聞いていか がでししょう。 ○飯田委員   皆さん、同じことを言っているのだと思います。私はあるべき姿を描いてはいけない なんて一言も言っていないのです。すべきなのです。ただ現実があるわけです。ですか ら層別化しなさいと私は言っているだけです。両方必要なのです。ここの検討部会で時 間があるとかないとか言っていたら、どこでもないわけで、できるところまでやるべき だと思います。ですから私は、あるべき姿で施設基準のICUをやるべきだと思います。 施設基準を取っていなくても、同様のことを施設基準がない所がやっています。中島さ んがおっしゃるように、もっとリスクの多い所でやっているわけですから、そっちのほ うが危ないわけです。それに対して何も手を打たなかったら、何のためにこれをやるの ですか。いちばんマネジメントができやすい所で、楽な所でやっても、それだけではし ようがないと私は思います。  データも大事だし、実際に今どうなっているか、層別化して両方やってほしい。第1 条に、この検討会の指針はこういうことをカバーしますと、それはいいですよ。では、 実際に施設基準がある所とない所でどうしましょうかということまでやっていただかな いと、みんな困ってしまいます。ではどうしたらいいのか。麻酔医が足りないではない かと。一遍に5,000人増やせといってもできないわけです。現場はどうしたらいいので すか。それでは患者の信頼は得られません。できる所だけやってもしようがない。でき ない所はどうするのですか。患者の心配なのは、むしろできない所ですから、私が患者 だったらそう思いますね。是非、両方やってほしいと思います。 ○平澤部会長   よろしいですか。   ○事務局   先ほど申し上げましたように、ただいまのご意見を踏まえて、次回以降の進行につい て、部会長とも相談しながら準備をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いし ます。  次回の日程について少し調整させていただきたいと思います。次回は3月16日(木)、 15時から17時で仮決めさせていただき、また改めて日程をお配りしてご都合のよい日 がもしあれば、4月上旬ぐらいまでに1回開催するということで進めたいと思います。 よろしいですか。  次回提出資料の作成にあたっては、事前に何人かの先生方にご相談させていただくこ とがありますので、よろしくお願いします。各先生方のほうからも、必要な資料がござ いましたら事務局のほうにご提供いただければと思っています。以上です。 ○平澤部会長   ありがとうございました。本日はこれで閉会したいと存じます。大変お忙しいところ ご出席いただきまして誠にありがとうございました。 (紹介先) 厚生労働省医政局総務課医療安全推進室  医療安全対策専門官 小林、平野 03−5253−1111(2580)