06/01/18 第5回ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキンググループ議事録 第5回ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキンググループ 平成18年1月18日(水)14:00〜15:45 経済産業省別館827号会議室 ○事務局  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第5回ヒト幹細胞治療臨床研究指針 の策定に関するワーキンググループを開催いたします。本日の会議の出席状況でござい ますが、委員全員に御出席をいただいていることを御報告申し上げます。それでは以降 の進行を高坂座長にお願いいたします。   ○高坂座長  ありがとうございました。いよいよきょうは、最後のワーキンググループにしたいと 思いますので、御協力方よろしくお願いします。始めます前に資料確認を、事務局の方 でよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは資料確認をいたしたいと思います。まず議事次第がございます。  そして資料1、遺伝子治療臨床研究に関する指針に基づく手続きの流れという図がご ざいます。  資料2、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針についての検討状況(案)がござ います。  資料3、小さく真ん中の方で、資料3の場所がわかりにくいかもしれませんが、資料 3、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針、草案作成のためのたたき台というもの がございます。枚数といたしましては、37ページまでございます。  参考1、ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する指針(案)(未定稿)、いつも未定 稿と申しているものでございます。  参考2、いつも使っておりました、3つに欄が分かれておりますものでございます。 ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(案)対照表でございます。  参考3、高度先進医療についてでございます。1枚紙でございます。  参考4、ヒト幹細胞を用いる臨床研究について、(流れ図)(たたき台)でございま す。  机上配布資料といたしまして、委員の皆様方の机の上には、北村委員からの御意見と いう1枚紙と、もう1つ上の方に小さく書いてございますが位田委員からの御意見とい う形で、たたき台に位田委員の御意見が入ったものをつけておりますので、御確認いた だければと思います。以上が資料でございますが、お手元にないようでございましたら、 また乱丁等ございましたら、おっしゃっていただければと思います。以上でございます。 ○高坂座長  ありがとうございました。資料を御確認いただいたと思いますが、おそろいでしょう か。それでは始めたいと思います。きょうは5回目になるわけですが、過去4回このワ ーキンググループを開催させていただいております。それぞれの回につきまして、いろ んな議論をしていただいて、こうした方がいいのではないか。あるいは文言をこうした 方がいいのではないか。あるいは順番を入れかえた方がいいのではないかと、いろんな 意見をいただいて、結局皆様方が持っておられる対照表を見ていただいておわかりのよ うに、ほとんどの文面が真っ赤になってしまいました。それぐらい直したということに なります。  きょうは、今まで御意見をいただいたものがすべて一応訂正した形になっていますの で、こちらの素案作成のためのたたき台、こちらの方で議論を進めていきたいと思いま す。今このたたき台の方で直っているものは、先ほど申し上げましたように、過去4回 にわたって皆様方で御議論をいただいたものがほとんど直っているという点。それから 机上配布でお配りいたしております、北村先生からの意見。例えば第三者提供と書いて あるのが第三者への提供の方がわかりやすいのではないかといった文面も、一応妥当で あるというふうに判断したものは、すべてここに訂正しております。  それから位田先生から御丁寧に直していただいたものについても、一部直してあるん ですね。一部についてはまだ直っていませんけれども、一部訂正をしたものを、こちら の方の新しい資料3として出しております。  こういった中で、まだこれまでの議論が不十分である。あるいは十分このたたき台の 中で直せていないといったものについて、きょうは少し議論をしたいと思います。  第1点としては従来の審査体制です。従来中央審査と呼んでいたところですが、その 審査体制について厚生労働大臣の意見を求めるというようなことになったと思います。 それについて遺伝子治療に関する臨床研究をたたき台にしていただいたということだっ たのですが、前回その資料が十分出ていなかったということがありましたものですから、 今回はそれについて少し補足をしていただきたいというふうに考えています。では、こ れはどなたから御説明いただけるのでしょうか。   ○厚生科学課課長補佐   お手元の資料1に遺伝子治療の臨床研究に関する指針に基づく手続きの流れという 図を、本日資料として配付させていただきました。ごらんいただきますと、四角が2つ 分かれてございます。上の方がいわゆる研究の実施施設側と、それから下の四角の方が 国、いわゆる厚生労働省側の流れという形になってございます。  まず研究実施施設は、これは一般の研究と同じような流れをとっているわけでござい ますけれども、総括責任者、これは通常の研究ですと研究責任者と呼ばれている者でご ざいます。そちらから研究計画書の提出でございまして、それは一旦実施施設の長の方 に提出がございます。  それを倫理審査委員会に諮りまして、それに対する審査結果が実施施設の長に返って まいります。その了承とされたものにつきましては、実施施設の長から、次は厚生労働 大臣の意見を聞くという手続きとなってございますので、厚生労働大臣の方に実施計画 書の提出がございます。  それを受けました厚生労働省といたしましては、まず研究に対しまして、新規性があ るのかどうかという判断を行います。その判断につきましては、指針においては複数の 有識者で当たるということになっております。今現状大体3名程度の有識者に御意見を 伺いしているところでございます。  資料の点線のところで囲まれているところでございますけれども、(1)(2)(3)(4)といった ような要件を判断いたしまして、新規性があるのかないのかということに基づいて、次 のステップに移るわけでございます。新規性がないと判断された場合につきましては、 これは30日以内にその御意見を、ここにある(7)というのが実施施設の長のところに向か う矢印になりますけれども、お答えをお返しするということになってございます。  一方、新規性があると判断された場合につきましては、厚生科学審議会の会長に諮問 を行います。そして厚生科学審議会の会長から、科学技術部会が遺伝子治療臨床研究を 担当しておりますので、そちらの方に付議いたします。なお、科学技術部会の下にさら に遺伝子治療臨床研究作業委員会というのを設けてございます。こちらは主に専門家の 先生方に集まっていただきまして、科学的な事項の論点の整理をお願いしてございます。  またこの作業委員会ですが、遺伝子治療にはいろいろな分野がございます。例えばが んであるとか、小児免疫不全であるとか。そういったような分野に応じて、今4つの作 業委員会をつくりまして、必要な分野の作業委員会に御意見をお伺いしているところで ございます。  そして、作業委員会の方で、科学的な整理をいたしまして、それを再度科学技術部会 に戻しまして、こちらの方で総合的に御審議をお願いいたしまして、最終的に審議結果 が審議会会長に報告され、会長から答申という形で、厚生労働大臣に返ってまいりまし て、その答申を受けて厚生労働大臣から実施施設の長に、意見を回答するというような 形でお返しをするという手順となってございます。  参考資料の4を見ておりますと、重大事態の報告というところがございます。私ども 本日のご説明は審査までの手続きということで考えておりましたので、その点が抜けて おりましたが、やはりそれも同様に、厚生労働省に御報告をいただきまして、一旦事務 局が受けるわけですけれども、その情報を作業委員会の先生方にお知らせし、それによ って作業委員会の開催が必要であるのかどうか、必要であれば、作業委員会で御議論い ただいて、その上で科学技術部会に、御審議をお願いするというように進めているとこ ろでございます。  一応簡単ではございますが、現状行われている手続きは以上でございます。 ○高坂座長  ありがとうございました。今の御意見を、たたき台の何ページに反映させていただい ているのか。28ページですか。  ○事務局  1カ所にすべて書かれているわけではございません。それぞれ研究責任者の責務、研 究機関の長の責務、倫理審査委員会、厚生労働大臣の意見というふうなところに分けて 記載しております。それらをページ数で申し上げますと、まずは研究責任者の責務の中 に研究の手続きについて記載しておりますのが、15ページの(7)からが研究計画に関 することが書いてあります。研究機関の長に対する定期報告等、重大な事態等に関して は16ページの(10)以降、重大な事態等については赤がいっぱいで見づらいですけれど も、(11)のところに速やかに研究機関の長に報告しなければならないというふうに書 いてあります。これが研究責任者のスタンスからの切り口で記載してあるところでござ います。  次に研究機関の長の責務のところが21ページから始まりますけれども、ここで倫理審 査委員会の付議ですとか、研究機関の長による臨床研究の許可、研究責任者からの報告 聴取、倫理審査委員会及び厚生労働大臣への報告等が21ページ以降記載されておりま す。  もう1つが倫理審査委員会、これが26ページからの(7)のところで記載されており ます。厚生労働大臣等の意見は27ページから28ページ、29ページにかけて記載してお ります。これがページに分けて記載されておりますので、ちょっと見づらくはなってお りますが、今のところこのように記載しているところでございます。 ○高坂座長   前回も少しこれを議論して、新規性があるかどうかといった点というものを、例えば 有識者からなる小委員会みたいなもので議論をして、そこで新規性があると判断された ものについて、あるいは特殊な事情を抱えているような事例については、厚生科学審議 会の方に回していくというふうな議論があったと思います。これについて、位田先生、 御意見がございますでしょうか。 ○位田委員  遺伝子治療臨床研究の厚生労働大臣の意見を求める手続きの中で、新規性の判断のと きに「複数の有識者」という形になっているんですけれども、これはどこに属するとい う形で、どなたがなられているということははっきりわかっているものでしょうか。   ○厚生科学課課長補佐  規定上どこのものでなければならないという決まりは、指針にはないのですが、現状 部会、もしくはその下の作業委員会の先生の中からお願いをしているところです。   ○位田委員  恐らくこれは臨床研究にしろ何にしろ、研究計画をやっていいかどうかという判断な ので、複数の有識者という形ではなく、むしろ遺伝子治療臨床研究作業委員会に投げる のがよいのではないか。つまり、厚生労働厚生労働大臣の意見が求められれば、これか らつくる制度としては厚生科学審議会に、厚生労働大臣の意見を求められたものは、全 部投げて、その中で特に審査をするかどうかについての判断をスクリーニングをして、 それから審査をするものは審査をする。そうでなければ、そのまま厚生労働大臣が意見 を出すという方が、手続きとしては透明性が確保されるような気がするんですけれども。 遺伝子治療の方はもうこれで進んでおられると思うので、それ自体は問題はないと思う んですけれども。実質的には申し上げたのと同じようなことをやっておられるのだろう と。   ○厚生科学課課長補佐   今位田先生から御意見がありましたように、実は当初はそういったような流れで遺伝 子治療もやっていたのですが、手続きの迅速性などをかんがみまして、今現在はこのよ うな形で運用しているところでございます。 ○位田委員  もちろん恣意的な判断をされるとは思っていないのですが、やはり複数の有識者とい うのは、手続きとしては若干不明瞭というか不透明かなと思うので、一体だれがどうい う資格でやるのだということはあると思うんです、外から見ていると。  だからヒト幹細胞については先程申し上げたようにしたらどうかというのが私の提案 なのです。実質的には変わらないと思います。それが厚生労働省の中で、非常に煩雑な 手続きが出てくるというのであれば、それはそれでもうちょっと何か複数の有識者では なくて書き方がないかなと思います。それ用の委員会を事務局なら事務局の中に置くと。 スクリーニング委員会でも何でもいいですけれど。それを事務局の中に置いて、その委 員会を任命するときに、このヒト幹細胞作業委員会でしょうか、その中のメンバーを選 ぶか、もしくは作業委員会の委員長と2〜3人の委員が、スクリーニング委員会として 作用するとか。そういう形の方が手続きとしてはきれいかなと思いますけれども。   ○高坂座長  いかがですか、事務局は。どちらに。 ○事務局  遺伝子治療の方で私が認識しているのは、迅速に行うために新規性というふうな審査 が、途中から入りました。新規性があるものについては審議会にかけるというのが、そ れがなかったんです。前は全部審議会にかけていたのが、新規性というところでどうか というふうなことを、厚生労働省で決めるときに、厚生労働省だけで決めていいかとい うことで、複数の有識者の意見を踏まえというふうなことが入っているのですが。  ただその言葉が入っていなくても、私どもは先生方にお伺いしないと新規性について の確認というのはわかりかねますので、書いても書いていなくてもどちらにしろ、踏ま えてのことで新規性は確認するというふうにも読み取れるかと思います。  たたき台の方では、位田先生の御意見を反映させていただきまして、複数の有識者の 意見を踏まえ、は赤字で消させてはいただいてはおります。   ○位田委員  私も直すときに逡巡したんですけれども、消してしまうと、今度は事務局限りで判断 ができると、それが正しい判断がどうかという判断もできないわけです。表に出てこな いわけです。だからそれだったら小さなスクリーニング委員会、複数のというのがどれ ぐらいかわかりませんが、2〜3人の委員会をあらかじめつくっておいて、出てきたら そこがスクリーニングをして、厚生科学審議会に回すものと回さないものを判断すると。 やはり事務局もしくは厚生労働大臣がやるというよりは、そういう小さな委員会をつく っておいた方が、手続きとしては透明性が確保できるかなという気がするんですけれど。 ○高坂座長  ここのたたき台28ページでは、位田先生に最初に直していただいたそのままの文章が 採用してありますが、今の御意見にもありましたように、むしろこの言葉を残して、し かるべき委員会とか有識者から成る委員会の意見を踏まえというような文面にされては いかがかというようなことだと思います。これは運用上の問題だから、問題はないので はないでしょうか。 ○事務局  そのつもりでございましたので、ただあえて書く必要はないだろうというだけで落と しているので、有識者の御意見は聞くつもりでございます。ですから、要はその有識者 に対して肩書をしっかりつければいいという形でございますね、こういう形で会議を毎 回開くべきというまでを言っているわけではなく、持ち回りの資料でもいいでしょうし という形ですね。   そうすると私たちの考えとしても、30日以内に早目にできるだけ、またたくさんある 審査のものを処理しなければいけないと思っておりましたので、それに対して障害とな らない、つまり考えている現状と同じであれば、先生の御意見のような形で、何がしか の肩書をつけるような方向では検討できると思います。ただ文面としてはこのままでよ ろしいでしょうか。それともやはりしっかりそういう。 ○位田委員   もちろん結構です。だからだれがそのスクリーニングをやっているかということが、 手続き上わかればいいわけです。事務局がおやりになるのだったらそれでもいいですし。 そのときに事務局だけでやっていくのか、だれか有識者なり委員なりがいるのかと言わ れたときには、実はこういうワーキングをつくっていますと。どうせその結果は報告か 何かで上がってくるでしょうから。事務局だけがやりましたというのは、恐らく問題が 生じると思うのです。 ○高坂座長  この資料1についておりますように、フローチャートの中にきちんと新規性の判断と して複数の有識者というのが入っていますから、委員会という名前をつけるか、あるい はそれはお任せしますので、基本的にはこの文言を残すという方向で。 ○位田委員  その複数の有識者というのがはっきりしないなと、僕は文言上は思っているのです。 スクリーニング委員会なら委員会と書いておけば、こんな委員会があるんだというのが わかるんだけれども、複数の有識者というとじゃ一体だれだと。そのたびそのたびに人 が変わるかもしれないねという話になるかなと思うし。ここはもう文言だけの話なので、 運用でされるのだったらそれでいいと思いますが。 ○高坂座長  よろしいですか。 ○岡野委員  今の位田委員の御意見は何らかの形でお考えいただくとして。新規性あり云々のこと を、今回もし入れるとすると、始まったばかりですから新規というと、今まで何も承認 されたとかそういうものではないわけですので、そこは多少は新規性というところにつ いて、ちょっと説明はいるかもしれません。全部新しいことになりますと、全部やって いると、これまた大変なことになりますので。そこは事務局側として何か対策はお考え でしょうか。 ○事務局  この指針の適用範囲というのがございますが、まずそもそも用語の、まずヒト幹細胞 かとかそういうところの御判断になると思います。その適用範囲に当てはまるかとか。 そこの判断をして、そこで新規性というところも入ってきたと思いますが。そういう条 件を見てスクリーニングをしたいというふうに。 ○岡野委員  では運用面でそこら辺を考えてスクリーニングをするから、特に説明はいらないと。 わかりました。 ○事務局  先ほどの位田先生の御意見に対しましても、資料1にございます厚生科学課がつくっ ていらっしゃるスキームというものを私たちも参考にしたいと。この真ん中にあります 新規性の判断(複数の有識者)のところにどのような肩書きを入れるかということだと 思っておりますので、この点に関しては今後Q&Aとかそういうところで明確にしてい きたいと思います。 ○高坂座長  わかりました。ではそのようにさせていただきます。それでは最初の残された議論の 第1番目はそれで終わりという形にさせていただきます。  第2番目については、指針の対象とする研究の範囲です。これについてが、岡野委員 からの御質問ですか。 ○事務局  最初のときに、先生が、これは最後にもう1回、大事だからペンディングにしておき ましょうという話があったと。 ○高坂座長  そうですか。どういう研究を対象とするか、新しいやつで4ページ、7ページ、8ペ ージですか。事務局の方でもう1回を論点を整理していただけますか。 ○事務局  先生方から御意見をいただきました4ページ用語の定義というところにおきまして、 ヒト幹細胞というものを(1)で定義させていただいております。読み上げさせていた だきますと、「ヒト幹細胞」とは、ヒトから採取された細胞又は当該細胞の分裂により 生ずる細胞であって、多分化能を有し、かつ、自己複製能力を維持しているもの又はそ れに類する能力を有することが推定されるもの及びこれらに由来する細胞のうち、細則 に規定する細胞をいう、ということで細則につきましては、また下に書いてございます。  今回もまた御意見をいただきました点につきましては、赤字で加えさせていただいて おります。これは中畑委員からの御意見だったのかと思います。  このような形で今まとまっておりますので、現時点でこのような形でよろしいでしょ うかということを、再度御議論いただければと思います。 ○高坂座長  4ページですね。特に細則のあたり。これもアンダーラインを引いていただいている のは、中畑先生の御意見ですね。 ○事務局  あと岡野先生からも。 ○高坂座長  岡野委員からもいただいているということです。 ○岡野委員  北村委員の御意見で、 間葉系幹細胞が骨髄由来以外にもいろいろ脂肪細胞とかありま して、そこら辺を除外されると困るということで、間葉系幹細胞というのを入れたんで すけれども、骨髄間質細胞と重複する。あまり文章的にきれいではないんですけれども、 これぐらい念を押さないといけないかなと思って、ちょっと私はあまり。皆さんにお諮 りしていただきたいということでとりあえず事務局と話して、こういう形できょう提出 させていただいたというところです。そこは特に中畑先生あたりに御意見をいただきた いなと。神経幹細胞の次に、間葉系幹細胞と入れて、さらにそこは脂肪細胞由来の云々 と入るわけですけれども、そこは比較的幹細胞という概念があるんです。ところが後ろ の臍帯血といったものは、組織からそのままとってきたというニュアンスでありますの で、ちょっと違うんです。培養を介しているやつと、そうでないと。  だからニュアンス的に違うというのを盛り込んだつもりなんですけれども、文章上ち ょっと重複があるように見える。そこをどうするかということです。 ○高坂座長  中畑先生、いかがですか。 ○中畑委員  確かに最初僕も間葉系幹細胞は割と広く使われている言葉なので、それを入れた方が いいかと思ったのですが、後の骨髄間質細胞と重複するということです。間葉系幹細胞 ということで代用させるのがいいのが、骨髄間質細胞という形にした方がいいのか、そ この判断にもなると思うんですけれども。  確かに最近脂肪組織とか、あちこちから間葉系幹細胞のもとの細胞をとってきて、そ れを利用するというようなことも盛んになってきています。骨髄間質細胞というとかな り骨髄に限定されているという印象を持つかもしれないので、そういう意味では間葉系 幹細胞という文章の方がいいかなともちょっと思うんですけれども。   ○岡野委員  それはもう入れた案をきょう出したわけです。そうすると間葉系幹細胞というのは神 経幹細胞の次に出てきて、最後にまた骨髄間質細胞と、二度似て非なる細胞が出てきて しまっている。 ○中畑委員  きょうのこの未定稿には入っていないんです。間葉系幹細胞は。 ○事務局  本日の4ページには、間葉系幹細胞は一応落としております。 ○中畑委員  それはその前のやつでしょう。一応間葉系幹細胞という言葉は入れておいてもらった 方がいいのではないかと思います。 ○高坂座長  そうすると北村先生からの御意見を採用してということですね。細則に規定する細胞 とは、組織幹細胞、例えば造血系幹細胞、神経系幹細胞、その後に間葉系幹細胞を入れ るということでよろしいですか。 ○中畑委員  そこに入れて、さらに後ろに骨髄間質細胞と入れると、ちょっと確かに重複すること になるので。 ○北村委員  重複してもいいんじゃないですか。 ○岡野委員  入った状態で、後半はどうするんですか。 ○北村委員  私は後半も別に入れておいていいと思います。 ○岡野委員  同感です。多少くどいけど、ちょっと違う細胞、ちょっとずつニュアンスが違うので。 ○北村委員  最近話をしていた時も、脂肪細胞からとった間葉系幹細胞は骨髄からとったのではな いから違うと言っている人があったものですから。そういうことを言われると具合が悪 いので、くどいぐらいの方がよいと思います。 ○事務局 先生くどくてすいません。先生が最初に言われた位田先生の御意見のやつを見られた ら、入っていたという形ですよね。今回の事務局案として落としたものでございます。 その落とした理由としては、並びとして造血神経、隔膜、皮膚という形だったものです から。ちょっと並びとしてもいかがなものがあるというところで、1回落とした次第で はございましたが、入れるという形で。 ○岡野委員  だから対照表のとおりになったと。 ○高坂座長  確認いたしますと、括弧のところです。例えば造血系幹細胞、神経系幹細胞の後に、 これは間葉系ですね。間葉系幹細胞、それから角膜幹細胞へ続くですね。を入れる。そ れから括弧を閉じて、及びこれを豊富に含む細胞集団。例えば造血系幹細胞、これも生 かすということですね。を含む全骨髄細胞をいうと。それでよろしいですか、今回最後 につけ加えていただいた体外で上記の細胞を培養して得られた細胞も含まれるものとす る。これも生かすということでよろしいですか。かなりくどいけれどよろしいですね。 わかりましたそれでは、念には念を入れてくどく、そこで定義をしておきましょう。 基本的な概念はそれでいきますので、事務局でもしテニヲハ少し直した方がいいという ことがあれば、またお考えおきください。ではくどいけれども入れます。間葉系幹細胞 を挿入すると。 それが4ページでした。あと7ページは何ですか。 ○事務局  7ページは適用範囲でございます。ここにおきましては岡野先生から高度先進医療は 入るのかという御質問が入っておりましたが、この点に関しましては、高度先進医療は、 (1)診断または治療のみを目的とした医療行為、この医療行為に関する細則でございます が、安全性及び有効性が確立されて、一般的に行われている医療ということで、保険局 に確認しましたところ、高度先進医療は安全性、有効性が確立されたというふうに考え るものだということですので、研究の範囲からは落ちるであろうというふうに考えてお ります。 ○高坂座長  高度先進医療も含めた医療行為、これは指針の対象とはしないということですね。 ○岡野委員  中畑先生はいかがですか。高度先進医療の中でも結構怪しいものもあると、僕は思っ ているんですけれど、申しわけないんですけれども。 ○高坂座長   それは怪しいのかという話になったら、話はちょっと違うので、ここで議論すべきで はないです。 ○事務局  それは先生、高度先進医療の方の議論をする審議会の方になりますので、 ○岡野委員  ですからそういったものがもし上がってきたら対象としてもいいのではないかと思う んです。IRBか。 ○高坂座長   ただこれはあくまでも臨床研究の指針であって、高度専門医療として医療行為として 認められているものについては外すというスタンスでいかないと、そこまで我々が踏み 込むことはできないんです。 ○中畑委員  高度先進医療にいくとしても、申請をする前には何例かのそういう臨床、治験ではな いですけれどそういうトライアルがあった上で、その上で高度先進医療として申請をす るということですので、最初のステップの段階で、高度先進医療にいく前の患者さんに いろいろな医療行為をするものについては、当然この指針の対象になってきます。そこ の指針を通り抜けて、幹細胞を使った再生医療を何例かやって、その上で高度先進医療 として申請をするという手続きになります。高度先進医療までいっちゃったやつは、も うこの指針に含めないということで、僕は矛盾はないと思います。厚生労働省、事務局 はどうでしょう。 ○事務局  私たちとしては、その判断でございます。 ○岡野委員  そういうお考えだったら結構だと思うんですけれども、私は個人的には不満はないわ けではありません。それは議事録に残しておいてください。 ○中畑委員  先生がおっしゃっていることは、今までこういうスクリーニングがなされないまま、 高度先進医療としてもう走っているようなものもあるので、それについてはどうかとい うことですか。 ○岡野委員  その中で必ずしも理想的な形で行われていないものもないものではないと、私は個人 的に判断するものもありますので、多少それはまた議論の俎上になってもいいのかなと 思ったんですけれど。今までの管理体制以上あまりよくないと。それは非常に混乱を招 くということでしたら、まあしょうがないかなと思います。 ○位田委員  医療行為ということは、もう臨床研究の段階は終わっているという判断ですよね。そ れがもう制度上確立していて、したがってこの参考4の説明のところに書いてあるよう に、一般の保険診療にも取り入れられている。普及性の高いものはそうなっている。我 々が議論をしている臨床研究というのは、まだそこまでいかないもの。内容はどうであ れ、私はそこまで判断はできませんけれども、医療にまだそこまでいっていないものに ついて、臨床研究をやるという話なので、一たん国の制度上、先進医療行為であると、 先進がつくつかないにかかわらず、医療行為であると認められたものについて、またこ こでもう1回臨床研究をやれというのは、今までの制度を全くひっくり返すことになる と思いますので、現実には無理だと思います。  いろいろ問題はある、それは例えば医療行為のやり方とか、それまでの先進医療行為 だと認めたそのプロセスに問題はあるかもしれないけれども、それは一たん決めた以上 は、それをひっくり返すというのは、最初のプロセスのところからひっくり返さないと いけないでしょうから、ここでの話ではないのではないかというふうに思います。 ○岡野委員  では確認だけよろしいですか。流れとしては理解せざるを得ないというところなので すが。例えばある大学で高度先進医療として、もう既に走っていると。ところが他の施 設が同じようなことをやろうとしている場合に、IRBに出すようなこともあるんです。 それは実際問題として。特に言ってみれば、バージャー病なんです。はっきり言わせて いただければ、バージャー病の治療ということで、ある施設では経験があるけれども、 ある別の施設では全く初めてのトライアルであると。だから倫理委員会に出てくる。  倫理委員会に出てくるけれども、他施設で高度先端医療として認められているから、 この指針に当てはめずに審査をしていいということなんでしょうか。それだけ確認させ ていただきたいと思います。 ○中畑委員  全く初めてバージャー病に対して、骨髄細胞を打つというようなトライアルをやる施 設は、ほかの施設が、高度先進医療としてもう通っていたとしても、その施設としては 初めてのことですので、それは当然この委員会に出てくるんですね。それは当然その施 設の倫理委員会にかけて、そこでまた高度先進医療という形には当然ならないわけです ので、その施設の倫理委員会に通って上に上がってきて、こちらから最終的に厚労働大 臣の許可がいる。許可というか意見がいって。その上で何例か、5例なり10例なり、ト ライアルをして、その上で今度高度先進医療として申請をするという手続きになるわけ ですね。だからほかの施設で、その治療が高度先進医療として、高度先進医療というの は保険で認められている一般医療とはちょっと違うので、そこはやはり一たんここに上 がってくると思います。   ○事務局  医療技術としては確立をされているが、注釈がございまして、普及はまだされていな いレベルというふうに。ですから一部の医療機関だという話になっているものでござい ます。医療技術としては確立されている治療行為であると、臨床研究ではないというふ うに、保険局に確認した次第です。臨床研究の範囲からは落ちるであろうと、私たちは そのように考えた次第でございます。事務局としては。 ○中畑委員  それは一応高度先進医療の範疇だから、もうほかで認められているからということで、 通ってしまうということですか。 ○事務局  オールジャパンとしては医療行為であろうというふうに考えられる。ただその施設に おいての判断だとは思います。これを使うのか、その施設の判断かもしれませんが。私 たちとしてオールジャパンとして考える場合には、臨床研究というふうにはみなしよう がないということになると思います。 ○位田委員  だから医療行為としては確立しているけれども、ある特定の施設について、その技術 が確立しているかどうかという判断の問題なので、ここでやっているのは、ある病気に、 幹細胞を使ってどうなのかという。こちらは病気の話をしているわけです。だからちょ っとケースが違うと思うので、ここには上がってこないだろうと思います。  つまりある病院で高度先進医療をやっていいかどうかという判断をする。それはここ の判断ではなくて、どこか別のところの判断ではないでしょうか。ちょっと高度先進医 療をある特定病院でやっていいかどうかという判断をどこがやるのかわかりませんけれ ども、どの病院でもやりたければやっていいという話なのか。何らかの形で、この病院 だったらやってよくて、ここはまだちゃんと確立していないから、もうちょっと練習し てからやりなさいという話なのか。そこが私はよくわかっていないんですけれども。 ○事務局  そのとおりでして実績がなければ、その病院では高度先進医療として実施してはいけ ないということです。厚生労働省の保険局でそれぞれの施設から申請が上がってきたも のに関して、認める、認めないというふうに審議されているところです。 ○岡野委員  わかりました。私としてはそういうフィルターがかかっているのだったら、しょうが ないかなという気がしますが。何らかのフィルターなしで、ほかがやっているからとま ねをするというのは、認められている仕組みはあるということですね。ではしょうがな いですかね。ただそれは多少なりともmodifyしているやつに関してはこの対象になるわ けですね。ちょっと細胞の調整法が違うとか。 ○事務局  その辺になると今度は新規性とかその辺がまたあり得ると思います。この指針にのっ とって上がってきた場合。 ○岡野委員  だから新規性がある場合には、もちろん当然こちらになるわけですね。 ○高坂座長  当然というか高度先進医療を承認する方の側で、これは少しmodifyしているなという ことが読み取れれば、もう一遍新しく審査されるわけでしょう、現実問題として。技術 としてこれは少し新しいよということで。 ○岡野委員  現場のIRBとして高度先進医療といって出てきたプロトコールがかなりmodifyし たとなると、どう判断していいか混乱すると思うんです。これにのっとってやるのか。 新規性ありとIRBが判断したら、これにのっとってやって、厚生労働大臣の意見を受 けて、新規性があるとなったら、また厚生科学審議会が開かれるというスキームになる わけですね。  先進医療をやったことのない病院が、高度先進医療だといってやろうとしてきて、も し多少modificationを加えていると。それが原因かどうかということで、IRBにもし かけたとすると、IRBが新規性があると判断すると、高度先進医療ではありませんと。 だからこれは使っている細胞、対象疾患から考えると、どう考えてもこれに相当します と。そうするとこれにのっとってもちろん新規性があると判断された場合は、当然これ になるわけですよね。 ○高坂座長  各研究機関が、IRBがそう判断すれば、これは高度先進医療ではなくて、むしろ臨 床研究の類に属しますよということが判断されれば、こちらに必ず来ます。そうでなけ れば、こちらには来ないです。 ○岡野委員  わかりました。 ○高坂座長  それはもうやむを得ないと僕は思うんです。 ○岡野委員  実際境界領域的なのがいっぱい来るんです。本当に現場は大変なんです。多少道筋を つけておいてもらわないと、本当に困るんです。大体わかりましたけれども、Q&Aで ちょっと補充しておいていただきたいと思います。 ○事務局  では即答はしきれませんけれども、原則は先ほど申したような形で、高度先進医療は 臨床研究外という形でお願いいたしたいと思います。 ○中畑委員  例えば臍帯血を体内で増幅して患者さんに戻すと。それが高度先進医療として、ある 先端的なところでやって、その高度先進医療になる前に当然この委員会で、いろいろな 審査を経て、最終的にOKということになって、ある施設でそういう治療を始めたと。 それはもう高度先進医療としてやられているからということです。全くクリーンな状態 で培養するような施設もないようなところで、同じように細胞を培養して、患者さんに 戻すということが起こってしまったら、それは大変なことになるわけです。だからそう いったことは絶対に起こらないという仕組みにしておかないと、まずいと思います。  だからアメリカのFDAなんかもグレーディングを分けて、外で細胞を培養したりす るのは非常に厳密なところで処理したものを患者さんに戻すということしか認めていな いわけです。  その辺日本の今までの医療というのが、要するにどこのいなかの、どんな小さな病院 であっても、同じような医療をしてもいいというような形で、今までの医療が進んでき てしまったわけです。どんな小さな病院でも、例えば骨髄移植にしても、日本での移植 施設の数は世界中の施設と同じぐらいあるという、とんでもないことになっているわけ です。  だからそういったこと、やはり特に細胞を培養したりしたものは、ほかある施設で高 度先進医療として通っていたとしても、新たにやろうとする施設というのは、どこかで ちゃんとチェックをされて、絶対にやってはいけないというような仕組みになっていな いと、ちょっとまずいと思うんですけど。 ○位田委員  私は理解が必ずしも十分ではありませんけれども、高度先進医療をできる施設という のはスクリーニングがあって、どこでもできるという制度ではないんですよね。この施 設だったらやってよろしいという制度ですから、それ以外の施設でやりたいときは、そ の基準を満たさないといけない。厚生労働省で認定か何か知らないけれど、高度先進医 療をやっていい施設ですよという判断が出ていないと無理ですよね。  そうすると問題は、ある病院が高度先端医療をできる病院ではないんだけれども、や りたいと思っているときにどういう手続きがあるかというそこの問題です。中畑先生が おっしゃったのも恐らくそこの部分だと思うんです。  ただ、少なくとも今の段階では私のところでやりたいからやってみましょうというシ ステムにはなっていない。でもやりたいという病院が出てきたときにはどうなるんです か。   ○事務局  私たちの確認不足ではありますが、基本的には高度先進医療のシステムの問題でござ います。普及のレベルの話ではございません。ここで御議論するものではないかという ふうに考えております。申しわけありませんが。 ○高坂座長  直接議論をする場所ではないと思いますけれども、もし今のQ&A等でそういったも のに触れることができれば、確かにそれに超したことはないですね。臍帯血の問題もあ るし。先生、今御心配されているのは、バージャー病ですか。 ○岡野委員  バージャー病でもステージが違ったり、ちょっとバージャー病と別のやつが合併して いたりとか細胞の数をちょっと変えたとか、培養法をちょっとだけ変えているとか、似 て非なるのがいっぱい出てくると、これは困ったと。現場ではあるんです。Q&Aで対 応してください。 ○高坂座長  あと1点、P8というのは何ですか、事務局。 ○事務局  8ページのところに赤字で細則を加えてございます。ヒト幹細胞臨床研究において、 採取、調整及び移植又は投与は基本的には同一期間内に実施されるものであると。これ は薬事法の問題でございます。例えば、研究者がみずからの患者への投与を目的として、 調整機関に赴いて調整する場合等というのが、薬事法の治験にはこの指針は適用されな いが、治験以外で一連の上記課程を複数の施設で実施する場合もあるというのを、この ページで示しております。一応御確認という形で。 ○高坂座長  責任者が別の施設に行ってきちんと責任を持てば、そこで細胞調整もできますよとい うようなことをきちんと明文化してほしいという。そういうことがありました。それに 対応していただいたということですね。よくわかりました。それを細則としてつけ加え ていただいたということになります。ここはよろしいですか。  それでは次の議論に移りたいと思います。私の手元にある資料に、2番、3番は少し 飛ばします。議論を一番最後に持っていきます。4番のプリオン対策等について。これ は33ページです。この前BSEをどうするかとか他家はだめで、異種と他家の血清はだ めで、自家血清だけいいということだけが議論されたのですが、BSEだけに特定して いいのだろうかという疑問もあるということです。事務局の方で少し整理をしていただ きました。33ページを御説明ください。 ○事務局  33ページでございますが、細菌、真菌、ウイルス等の汚染の排除というところでござ います。そこに細則という形で加えさせていただきました。前回の御議論を踏まえまし て、事務局なりにいろいろと考えましたが、先生方の御意見を踏まえまして、ヒト由来 細胞組織、加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針というものがございます。 先生方のお手元にファイルでされているものでございます。青いファイルの171ページ に、先ほど申しました指針の中で、血清成分というものがございます。そこの部分を抜 き書くことによって、いろいろな御議論に対して答えることができるのではないかとい うふうに考えた次第でございます。  読み上げさせていただきます。血清は細胞活性または増殖等の加工に必須でなければ 使用しないこと。(ただし自家血清を除く)ここの(自家血清を除く)だけは指針よりも 詳しく、より意図としてこちらの方で加えたものでございます。  続きまして血清使用が避けられない場合には、以下の点を考慮し、血清からの細菌、 真菌、ウイルス、プリオン等の混入伝播を防止することということで、BSE以外のこ とにもこれで触れることができるというふうに考えています。  (1)由来を明確にする。  (2)牛海面状脳症発生地域からの血清を避けるなど、感染症リスクの軽減に努める。  (3)由来動物種に特異的なウイルスやマイコプラズマに関する適切な否定試験を行 い、ウイルス等に汚染されていないことを確認した上で使用する。  (4)細胞の活性化、増殖に影響を与えない範囲で、細菌、真菌、ウイルス等に対す る適切な不活性化処理及び除去処理を行う。例えば潜在的なウイルス混入の危険性を避 けるために、必要に応じて加熱処理、フィルター処理、放射線処理、UV処理等を組み 合わせて行う。  (5)培養細胞でのウイルス感染のモニター、患者レベルでのウイルス性疾患の発症 に対するモニター、異種血清成分に対する抗体産生等の調査のために、使用した血清の 一部を保管すること。以上でございます。 ○高坂座長  ありがとうございました。その出典については今御説明にありましたように、これは 細胞由来でしたか。 ○事務局  はい。ヒト由来細胞組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針でござい ます。その中の171ページ。 ○高坂座長  ヒト由来細胞組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針ですね。これの 171ページの血清成分のところから引用していただいたということになります。これが 適用できるのではないかということで整理をしていただきましたが、いかがでしょうか。 BSE発生の地を避けるのか、いろいろとこの前議論していただきましたが。 ○中畑委員  FDAから出ているのはウイルスの名前まで全部列記しているのもあるのですが、こ ういう形で、由来動物種に特異的なウイルスに関する適切な否定試験を行い、ウイルス 等に汚染されていないことの確認ということでくくっちゃっていいのではないかと思い ます。 ○岡野委員  その点ではいいのですけれども。そうすると結局何度も繰り返しますけれども、我が 国、カナダ、アメリカの牛は未来永劫使えないということになるのでしょうか。全頭検 査をしていてもだめかと。ここはちょっと議論が欲しいところです。そこまで恐らくキ ャッチアップをしていなかった時代につくられている可能性があります。全頭検査をし ている。ここまで厳密にやっていたら、かなり科学的に厳密なはずなんです。ところが BSEが発生していないというのは、たまたま調べていないから発生していないことに なっているのか。どちらが安全かというと、本当にそんな文言だけで、指針を決めてい いのか。私は多少疑問があるんです。それぞれの国によってどれだけ厳密にやっている かということを知らずにして、そういったような国だけでくくっていいのか。そこは多 少御議論いただきたいと思います。 ○中畑委員   そこは非常に難しい問題です。今のBSEの検査で100%のBSEが否定されるので あれば、例えばウエスタンブロット法でBSEが否定されている血清というようなこと で表現できるのですけれども。ちょっと僕もいろいろ聞いたりしたところでは、なかな か今の検査ではそこまで否定はできないということです。  だから今全頭検査というのでもある程度の量のプリオンがあるような牛であればもち ろんひっかかるんだけれども、検出限界以下のプリオンはひっかからないで、BSEは ネガティブとしているわけです。  そういうことからすると全くBSEの発生していない国、もう残された国は非常に少 なくて、オーストラリアとかニュージーランドあたりになるんですけれども、一応今F DAの方もそういったBSEの発生していない国ということを1つのあれにして。だか らオーストラリア産の牛を推奨しているわけです。  だからもちろんBSEが検査で100%ひっかかるのであれば、それを入れるべきだと 思うんですけれども、その辺はちょっと岡野先生、情報がありますか。 ○岡野委員  今ELIZA法だと、BSEが感染した動物の脳脊髄中のやつだと十分ディテクトで きる感度には、今のELIZAは当然なっているんですけれども。大体10の5乗くらい のレベルだとすると、血清中というのは10とか、10の1乗とかというレベルで、1万 分の1になって。たとえ感染している牛であっても、今のELIZAでは無理であると。  ただ実際に脳脊髄液中のやつがネガティブであれば、十分安全である可能性もあるわ けですけれども、まだそれがグレーゾーンだとすると、感染したプリオンは一切だめと するというお考えでしたら、私は賛成しますけれども。具体的にはオーストラリアとか そういうところが推奨できるというふうな具体的な事例について議論するということが あれば、そういうキャッチアップシステムというか、バックアップシステムがあればい いんですけれども、あまり聞いたことがない。  具体名を出すと差し障りがありますけれども、ちょっとあまり検査をしていない可能 性があるような国からのやつを使っているのであれば、具体例として多少は議論させて いただくこともあるというのは、具体的な運用面でやればいけるかもしれません。 ○高坂座長  基本的には前回議論していただいたよりも明確になっていると思うんです。むしろ由 来を明確にするとか、BSE発生地からの血清は使わないでくださいということを明文 化していますので。  ただ今後はどうなんでしょうか、オーストラリアで発生したとかというようなことが、 もし情報としてあった場合には、例の重大なことが起こったという事例に一致するわけ ですね。直ちにこれは情報が入ってきて、倫理審査委員会でストップをかけるというよ うなことがあるわけです。そういう情報が入ったときは。そうでない限りはちょっとや むを得ない感じがします。  実際ヒト由来細胞組織加工医薬品等の品質というのが、今使われているのですか、ど ういったところで、指針が使われているのですか。 ○事務局  目的のところに書いてございますが、確認申請に当たって添付するべき資料について。 ○高坂座長  製薬企業等は今現実的には、血清はどういうのを使っていらっしゃるのですか。 ○事務局  それについては医薬品に関しましては、生物由来原料基準が同じファイルの2つ目に 入ってございます。これの18ページにも、反すう動物に由来する原材料を医薬品等に用 いる場合というのは、次に掲げる国でなければならないということで、アルゼンチン以 降数カ国記載されておりますが、18ページでございます。これらの国のリストアップに つきましては、BSEの発生がない国、また恐れもない国ということでポジティブリス トを医薬局の方では作成されているところと。いわゆる医薬品の審査にかかる生物由来 原料基準です。  ヒト由来の方はヒト由来細胞を培養する際に用いる血清に関する確認申請に当たって 添付するべき資料の内容として記載されているところです。 ○位田委員  今のヒト由来のやつと生物由来のやつと、この細則に名称を記載する必要はないです かね。内容的にはこのとおりですけれど、どうしてこういうのが出てきたのかなという のがわかりにくいかなという気がします。ヒト由来云々の指針及び生物由来云々の指針 に基づき対応すると。それでこの下の文章を入れておく方が、見る方としては最終的な リファーはこちらへ来ないといけないのでしょうから、その方がいいと思います。 ○高坂座長  出典がわかるように。 ○事務局  わかりました。 ○岡野委員  この18ページ、19ページに指定した国が合格とした根拠というのは。今例えばアメ リカでしたら、このオの国と他の国はいいと書いてありますね。オで始まる国はOKだ ということなんですが、ほかの国が合格とした科学的根拠は本当にどこまであるのかと いうのは、本当にちゃんと検査をしているんですかというところなんですけれど。その 場合にやはり実務的には上がってきたやつで、どこの国から輸入したかというのをちゃ んと明記していただいて議論する。ここで入っているからよしとしないというような体 制は考えておいた方がいいのではないかと思うんですけれど。 ○高坂座長  今からそれを言っても困るというところもあるんですけれども、要するに由来を明確 にしておくということでしょう。これをきちんとしておけば問題はない。何かあっても すぐとめることができるということ。 ○岡野委員  由来を明確にして、運用的にいろいろな状況に応じて。これは状況がどんどん変わり 得る話ですから。先ほど言いましたように、重大な事項があったときにはすぐにこの国 はだめと。 ○高坂座長  それは直ちに情報を流してストップさせる。 ○岡野委員  そういう意味で位田先生の国の名前を列挙するというのは、どうなんですかね。国の 名前を列挙でなくてこの出典を列挙しておけばいいのですか。。 ○位田委員  だから、他の2つの指針をここに書いておいた方がいいのではないか。 ○岡野委員  でしたら結構です。 ○位田委員  そしたら具体的にどの国からというときには、ここにリファーできるわけです。それ とちょっとつけ加えると、要するにこういう基準を満たしていると考えても、いずれに しても倫理委員会には出てきますし、厚生労働大臣のところに意見を求められてくるわ けですから。そこで問題が仮にここのアからヌまでの国であっても、この指針をつくっ てこのリストアップをした時点ではよかったけれども、危ないなと思えば厚生労働大臣 の意見で、それはだめだとストップすることができる。何らかの情報が入っていれば。 何らかの危険な情報が入ってきて、この指針が改正される。少なくともその国の名前が 変わるまでの間にタイムラグがあるでしょうから、そこはもう厚生労働大臣のところで とめると。それでやらないと実際にはできないと思うんですけれども。 ○高坂座長  これでよろしいですが、これを生かして出典がわかるようにするということにしてく ださい。  それでは次の問題に参ります。次は少し重い問題です。北村委員から御指摘がありま して、脳死の問題です。脳死のドナーからも採取できるのかという。この点がまだ議論 されていないようですという非常に重い御指摘がありました。  31ページあたりだと思います。これも実は非常に難しい問題を多く含んでおります。 脳死ということです。この方々からこういった幹細胞を採取できるかどうかということ で、なかなか難しいことがあります。事務局の方でお調べをいただいた点について、御 説明ください。 ○事務局  はい。脳死に関しまして事務局で調べたところでございますが、現在脳死に関しまし ては、臓器移植に関する法律に基づく法的脳死判定というものがございます。ただしこ の法律に記載されています対象としては、臓器という形で明言されているというところ でございます。そもそもこの幹細胞などが対象となり得るかというところの議論もある かと思います。  またそうなりますと、意思表示の問題というものもございまして、この点、運用上の 議論の余地があるという形でございます。現時点において、単純に脳死者を対象とする というのは難しいというふうに考えているところでございます。以上でございます。 ○高坂座長  というような御指摘がありましたが、ちょっと御議論をいただいてもいいかもしれま せん。5〜6分、位田先生、御意見をいただいているようですが。 ○位田委員  法律によれば、脳死を人の死と認めるのは、臓器提供の意思表示があらかじめあって、 臓器を提供するというケースに限られている。したがって臓器移植法では摘出できる臓 器が決まっていて、その中には当然ヒト幹細胞は入っていないわけです。ですから臓器 移植法に基づく脳死状態になったからといって、自動的にヒト幹細胞もとっていいとい うことにはならない。  ただ臓器移植する際に、脳死と判断される。先ほど法的脳死とおっしゃいましたけれ ども、法に基づいて判断されたときに、臓器をとった後、その人はどう取り扱うのかと いうと、現実の取り扱いは、私はちょっとよくわからないのですが。死体として取り扱 うのか、もしくは、まだ生きた、心臓死までのごく短い時間だと思いますが、心臓死ま では、摘出できる臓器以外は生きているというふうに考えるのか。その辺ちょっと私も 不案内なところがありますので、少なくとも法律に基づいて摘出できるのは、法律に書 かれている臓器に限られているということだけははっきりしています。 ○北村委員  現実的には幹細胞を、臓器移植法に基づいた脳死者からはとってはいけないというこ とですね。 ○位田委員  ですからあとは、脳死で臓器移植が行われたときに、その残っている人体というか、 つまり脳死状態にある人の身体をどういうふうに考えるのか。それも死体と考えるのか です。臓器移植法の範囲からは離れると思うんですけれども、ただ実際の取り扱いは、 恐らく死体として取り扱うんだろうと思いますが。私はちょっと法律だけしか見ていな いので、法律ではそこまでは書いていないと。そういうことです。ただ施行規則とかガ イドラインとかいろいろ細かいのがあって、そこまで自分は見ていませんので。それは それで厚生労働省の方で取り扱いがあるかもしれませんので、むしろそちらではっきり していれば、そうされる方がいいのではないかと。  実際にそれまで考えてヒト幹細胞をとらないといけないものかどうかいうのがちょっ と。どうせ時間的には短いですので、脳死状態でとった方が絶対にいいということがあ るのかどうかです。私はその辺がよくわからないので。 ○北村委員  脳死者の臓器をもらったときに、例えば肝臓をとったときに、膵臓から膵臓細胞をと って、それから膵島のランゲルハンス細胞をとってもいいものかと思ったんですけれど も、臓器移植法で定められた臓器として移植しないといけないわけですね。 ○高坂座長  というか31ページをごらんいただくとおわかりのように、現状で提供者が死亡してい る場合というのを以前議論して、生前にやはりその方が幹細胞を提供するということを 拒否していない場合に限り、これを行うことができるとなっているんです。ということ はやはり生前に、とってもいいよという、何かカードみたいなものを出してくるんです か。そういうことでないと、死体からとれないということです。 ○北村委員  それは拒否していない場合ですから。実際には幹細胞をとってはいけないといって拒 否をしている人はいないと思うんです。 ○高坂座長  これはそういう文面ですか。 ○中畑委員  この出典は。 ○事務局  今中畑先生がおっしゃったのは、もともと未定稿に記載されていたものなんですけれ ども、ドナーが死亡している場合、これはファイルの一番最初の細胞組織利用医薬品等 の取り扱い及び使用に関する基本的考え方の、ドナーが死亡している場合、3ページで ございます。この場合は、生前に拒否していなくて、かつ遺族に対して説明事項に関し て説明をして同意を得ていこと。こちらの条件が出そろった場合は、ドナーが死亡して いる場合についても、採取することができるというふうなことなんですが。  これの基本的考え方は、1ページお戻りいただきますと、定義のところでドナーとは 臓器の移植に関する法律に基づいて脳死と判定された人からの提供は想定していないと いうふうになっていますので、死亡に関しては3ページに書いてあるとおりで確認をさ れているものがあるのですが、脳死に関してはここでいうドナーからは除外されている のが、この基本的考え方でございます。 ○高坂座長  ということは現状では脳死の方は対象としないということになります。それでよろし ゅうございますか。 ○岡野委員  やめた方がいいです。 ○高坂座長  ということはこれは現状では対象としないということにしましょう。それを文言に生 かしてください。  それで大分終わってまいりました。最後に1つこれもちょっと重い問題があります。 これでほぼ指針ができてきたと思いますが。この指針に関してどこまで適用させるか。 すなわち現状もう既にある程度走っている、現在既に進行中である臨床研究については、 この指針の適用をどうするか、これは岡野委員から御指摘がございました。その点につ いて、確かに難しい問題でございますので、きょうは結論が出ないかもしれません。少 し、10分あるいは15分フリートーキングの形で御議論いただいて、終わりにしたいと いうふうに考えています。まず事務局から何か御意見はございますか。 ○事務局  この点に関しましては8ページに適用範囲に関する細則というものがございます。小 さい字でございますが、真ん中のところに、その1でヒト幹細胞臨床研究に関する指針 が、施行される前に既に着手され、現在実施中のヒト幹細胞臨床研究に関しては、この 指針は適用しないが、可能な限りこの指針に沿って適正に実施することというふうに言 っております。前回までは望ましいと書いてありましたが、より強い意図を込めまして 実施することというところで体言止めをさせていただいているところでございます。以 上でございます。 ○高坂座長  要は既に走っているものについても、この指針に沿って適正に実施することというよ うな文言を加えていただいているようですが。岡野先生、何か御意見はございますか。 ○岡野委員  きょうお休みですけれども、課長から私は言われて、これを考えておいてくださいと 言われましたので、私は提言させていただいたんですけれども、既に走っているやつを どうするんですかと。確かに非常に大事な問題で、比較的いい加減と思われる、あるい は安全性を大して確認していないと思われる臨床研究が既に走っているというのは、こ れはアンケートから見て明白でございます。それに関しまして、何らかの抑止力を持た せるというのは、これぐらいの書き方しかできないのではないかと思いますので、私は 結論とすればこれでよろしいのではないかと思います。  実際は本当にやめさせるということを強制するのは、多分指針ということの性質上難 しいと思います。実際今も治療が続いてる方に関してやめることは、本当にその患者さ んにとっていいことかどうかというのは、非常に疑問視されますので、そこはこの程度 の書き方ということになるのではないでしょうか。  またQ&Aです。少し工夫しないといけないかもしれません。新しい症例にやってい いかとか。 ○事務局  その点についてもう1つ御説明させていただきます。ですから指針は適用されません が、できるだけ指針を使ってくださいとこちらから申した以上、重大な事故が起きた場 合には、報告が上がってくるであろうというふうに考えています。ただ重大な事故が起 こった場合にそれに対して、こちら側から厚生労働省側から適切な意見を短時間でとい うか、適切な時間でお渡しできるかというのは事前に審査していませんので、できませ んので、そこまでは担保できないだろうということです。報告を受けるというだけでと めたいというふうには考えております。Q&Aレベルで、その辺を書きたいというふう に考えています。 ○高坂座長  何か起こってから以降というのは、新しく起こってきた事象と考えてもいいわけです ね。ということはそれ以降はもうこの指針に乗せるというふうに、強制力を持たせても いいかもしれないですね。無理ですか。 ○位田委員   それは無理でしょう。 ○事務局  研究計画の変更ということになる。 ○高坂座長  何か特別な重大な事故が起こったということ以降でです。それは無理ですか。 ○位田委員  要するにこの指針は、この指針にのっとって研究計画が出された場合に、重大な事故 が起こったときは、こうしなさいと書いてあるのであって。もともとそれが乗っかって いない以上は、重大な事故が起きたときにはもともと対象にはなっていない部分ですか ら。それはそれで別の対策を考えられた方がいいのではないでしょうか。 ○高坂座長  わかりました。やむを得ないと。 ○岡野委員  別の対策として重大な事故が起きた場合報告することが望ましいというのは、どうで すか。指針として載せられる文になるんでしょうか。 ○位田委員  中身は一緒ですよね。だから適切に「できるだけこれに従い」と書いてあるわけです から。 ○事務局  研究者側にはそうと申しますが、厚生省側からそれに対しての意見は言えませんよと いうレベルになります。 ○位田委員  だから意見を言っても構わないけれども、この指針に基づいていう意見ではなくて、 厚生労働省が適切に判断をして意見を出しましたと、こういう話ですよね。 ○高坂座長  このぐらいの文章が目いっぱいなんですかね。先生、いかがですか。北村委員、よろ しいですか。では皆さんの御意見としてこの文書でやむを得ないだろうと。目いっぱい であると。 ○岡野委員  具体例で何年間で10例やることとするということになると、今からした場合というの は、その10例が終わるまでは、このままやるというふうにみなされても、それはしょう がない。 ○高坂座長  それはしょうがないでしょうね。 ○岡野委員  3年間で10例やるというのがもしプロトコールが提出されてIRBで通ってやって いたとします。既にスタートしている。まだ10例やっていない、5例ぐらいしかやって いない。残り5例はやってしまうということになりますね。 ○位田委員   それは研究計画の中の話だから。 ○岡野委員  ということもあり得るということですね。 ○高坂座長  あるいは各機関のIRBが独自にこれはこういう指針が出たから従って、もう一遍研 究計画を出し直ししなさいということも、あり得るかもしれない。 ○岡野委員  性善説に従えばそんなところですね。期待せざるを得ない。 ○高坂座長  では基本的にはこの文書でいくということで、よろしゅうございますか。 ○中畑委員  そういう形で一般の医療機関まで知らしめるということですか。 ○事務局  まだ明確にスケジュールをこちらで詰め切ってはございませんが、基本的にはこちら の方から公布して、施行期日を示してきちんと周知をしたいというふうに考えておりま す。 ○岡野委員  それはやはり再生医療学会とか、簡単に我々でできることの周知はしたいと思います けれども、もし我々が事務局にお願いをすれば、どなたか来ていただいて説明会とかを やってほしいんです、我々としては。やはり厚生労働省の方が来て、淡々とこういうこ とになりました、よろしくお願いしますというような、もし必要があればやっていただ きたいなと思うんですけれども。 ○事務局  周知に必要である場合には努力したいというふうに考えております。できればでも先 生方の方が詳しいかというふうに考えています。 ○高坂座長  それではどうもありがとうございました。一応5回のワーキンググループを終了いた しまして、ほぼたたき台ができたのではないかというふうに思っております。次回から はいよいよ親委員会にお返ししするということになりますが。それまでの間のスケジュ ール、今後のスケジュールについて、事務局の方で御説明をしてください。 ○事務局  先生、もう少し位田先生の御意見とかを反映していない点とか一部あったりしますが。 ○高坂座長  先ほどちょっとお話をしていたのですが、大体これに溶け込ませてはあるのですけれ ども、文言整理とかそういった細かいところがまだ少し十分直り切っていないところも ありますので、位田先生の方からそれは御指摘いただくことにしたいと思います。そう いったことを踏まえて、次回最終版としてお出しいただきたいというふうに思います。 ○事務局  専門委員会に。 ○高坂座長  はい。 ○事務局  何度も申し上げてすいません。1点だけ私たちの方で修正した点がございます。先ほ どこの項目に加えておけばよかったのですが、失礼いたしました。位田先生の御意見を 踏まえてですが、14ページの研究責任者の責務のところ(1)の(2)でございます。研究 責任者という形で、ヒト幹細胞臨床研究を行うことができる十分な経験と知識を有して いることの前に、科学的及び医療上という制限を加えさせております。これでよろしい でしょうか。資格の問題になりますので、一度簡単に御議論いただければと思います。 ○高坂座長  研究責任者の責務ですね。実質上の研究を遂行するトップ、この資格ということで、 ヒト幹細胞臨床研究を行うことのできる十分な、従来は経験ということにしてあったの ですが、その前に十分な科学的及び医療上の経験と知識を有していることと。 ○事務局  ここでさらに細則で条件といたしまして、ただしヒト幹細胞臨床研究を行う場合には、 臨床経験が十分にある医師による適切な助言がなければならない。ただし臨床経験が十 分にある医師が、当該臨床研究に参加している場合にはこの限りではないというふうな 条件も、一応加えております。 ○位田委員  私が直した理由は、十分な経験とは一体どんな経験なのかというのが、外から見てい るとよくわからないので、科学的及び医療上のと書きましたけれども、経験と知識とい う表現を明確にする意味なんです。だから研究責任者が、お医者さんかどうかという問 題もあります。それから新しく臨床研究をされるのでしょうから、必ずしも医療上十分 な経験がなくても、ちゃんとサポートされるお医者さんが研究チームの中におられると いうのであれば、それでいいかもしれない。 ○高坂座長  それで細則をつけていただいたわけですね。 ○位田委員  それは事務局につけていただいた。 ○高坂座長  そういうことですか。 ○事務局  細則のところは臨床研究指針で、臨床研究指針においても研究責任者は、臨床研究を 適正に実行するために必要な専門的知識及び臨床経験が十分にある者でなければならな い、というふうに記載しておりますのが、29ページございます。ただそれに細則がつい ております。それを引用してきたものでございます。 ○高坂座長  いかがですか。こうなると科学的には問題はないと思いますが、医療上の経験という ことになりますと、やはりこれは確実に、MDというかお医者さんということが想定さ れてくると思いますが、それでよろしいですか。投与のところはもちろんこれは医療行 為ですから、これは当然なんですが。ほかの細胞の調整とかも、すべてにわたって責任 を持つということになる立場になるわけですね。それでよろしいですか。 ○中畑委員  研究責任者はすべての過程に対して責任を持つ。 ○高坂座長  ということは医者でならなければならないという意味合いになりますね。 ○中畑委員  医者でなければならないかどうかというところが、ちょっと別の議論が。 ○岡野委員  海外の例、遺伝子治療の場合は少なくともベクター開発に非常にたけた研究者が、医 者ではないんですけれども、非常に医学のこのことを知っている場合、当然その場合チ ームの中にMDがいるわけです。そういう場合は細則によってカバーされているから、 つけてもいいんじゃないでしょうか。  ただ本当に分子生物学のことしか知らなくて、医療のことは知らない人がやってはい けないということに関する抑止力になるという意味においては、よろしいのではないか と思います。  だからある場合、PhDの方がなれるかもしれないんけれども、その場合チームにが っちりとした人がいてということがmustになるという意味合いで入られたのではない かと思いますので、そういう意味においては入れられてもよろしいのではないかと思い ます。 ○高坂座長  確かにそうですね。ただ細則のところで、ここに細則を入れていいのですか。ちょっ と唐突な感じがするのですが。ここは研究責任者でしょう。そこのところにヒト幹細胞 臨床研究を行う場合には、臨床経験が十分な医師による適切な助言を受けなければなら ない。研究責任者は助言を得なければならないということですが、文章のつなぎとして は。 ○事務局  これは御指摘のとおり細則の1行目は、一般論を申し上げておりまして、2行目が3 (1)(2)に関する解釈です。これは臨床研究指針に記載されているものを、ヒト幹細胞 バージョンに変換して記載したものですが、よりわかりよいような言い振りですとかそ ういうことに関しましては、事務局で整理させていただきますので、先生方もいい言い 振りがございましたら御提案いただければ幸いです。趣旨として御納得いただいたとい うことであれば、ありがとうございます。 ○高坂座長  今の御議論を踏まえますと、必ずしもMDでない場合があるわけです。その場合には、 チームの中に臨床経験を十分に持っている医師が参加している必要があるということで すね。でしょう。それが読み取れるような文章にすればいいわけでしょう。適切な助言 を得なければならないというだけでは不十分ですから、はっきり言って。やはりチーム にそういう人がいるということが最低限の条件になると思うんです。 ○北村委員  人に投与するから医師が入っていないと、実際問題としてできないんじゃないですか、 傷害罪になるでしょう。 ○高坂座長  少なくともチームの中にはそういう人がいなきゃいけないですね。それは文言をちょ っと整理していただけますか。 ○岡野委員  これまでの議論でこの指針の対象外ということになった案件なんですけれども、海外 でも、何度か議論させていただきましたけれども、例えばステムセル社というアメリカ の会社が、ヒト神経幹細胞を使った治験でFDAに認可されているとか。ヒトES細胞 に関しましてもジェロン社が提案をしてFDAの承認がかなり近い状況になっている と。今後こういったような案件がどんどん増えてくると思いますけれども、これは明ら かに対象外になってしまった薬事法適用ということになります。薬事法の方での議論に、 プラットフォームはどうなんでしょうか。できているのでしょうか。これはそこはでき ないとみんなそちらの方で、ベンチャーか何かをつくって、そちらの方でやるという方 向になると、また何のためにこれを議論してきたかというところがあります。  ここでの議論をする場ではないと思いますけれども、多少は厚生労働省側として手を 打っていただきたいなと思います。  ですからこれを極力参考にして議論していただくとか、いろいろな手があると思いま すけれども、その辺は何かお考えになっていらっしゃいますか。 ○事務局  省内での調整はもちろん行いますし、先生がおっしゃるようなことは、以前医薬食品 局の監視指導・麻薬対策課からヒアリングをしたときに、岡野先生は御欠席だったかも しれないんですけれども、そのときにぜひ出してもらいたいというふうな形で、医薬の 方、もしも申請が上がってきたら見ていきますというふうなことで言われていました。  それを見る際に全くこの指針に基づいて審査されることは、あり得ないんですけれど も、参考にならないことはありませんので、私どもも省内で調整をしていきたいと思っ ております。 ○岡野委員  結構今出ているやつで、組織工学的な手法を使ってのものがあるんです。細胞シート とか、もともと幹細胞、明らかに幹細胞及びそれに由来する細胞というものでやってい る臨床研究。これはやはりこちらの対象と考えてよろしいのでしょうか。そこは少し。 いわゆる細胞シートとか、組織工学的に幹細胞及びそれに由来すると思われるものにつ いてつくってきたシートとかいうようなものが、この指針の適用になるのか。  医療機器として認めてしまうというような考え方もあると聞いたんですけれども、そ こはちょっと議論をしておかないといけないと思います。 ○事務局  4番の用語の定義と照らし合わせるとどうなるか。 ○岡野委員  十分そういった細胞シートもこちらの適用と考えるのにふさわしいと、皆さんがお考 えだったらそれがちゃんとくまれるような指針でないと、ちょっとまた抜け道ができて しまうなと。僕は指針としてはこれでいいと思うんですけれども、どうしても抜け道が 出てきてしまうところが一番悲しいところなんです。それはやはり押さえておかないと いけないところだと思うんです。 ○高坂座長  現在、細胞シートというのはこれは、幹細胞由来ではないですね、多くのものは。 ○岡野委員  例えば口腔粘膜とかあればかなり幹細胞に近いような細胞でシートをつくって、角膜 移植とかありますから、十分対象になるのではないかと思うんですけれども、そこら辺 が比較的グレーゾーンになっている。そこはちょっと議論をしておかないといけないと 思います。 ○事務局  あくまでも定義としては細胞となっていますので。シートを組織だと考えるのでしょ うか、それとも細胞の集団も、研究の対象となるのか。 ○岡野委員  そこの議論が足りないなと思って、そこはちょっと議論をしておいた方がいいのかな と思って、きょう時間が多少あるようでしたら、出そうと思っていたんですけれども。 ○中畑委員  幹細胞に由来するような、結果的には細胞のシートになって、それがかなり成熟した 細胞だけかもしれないし、その中に未分化の細胞がまだ少し混ざっているかもしれない という判断もなかなか難しいと思います。そういうものは例えばシート上でいろいろな マトリックスの上に細胞が張りつけてあったとしても、一応この指針の対象になるわけ だと思います。先ほどの幹細胞に由来した細胞という範疇には含まれるのではないかと 思います。 ○高坂座長  幹細胞の培養によって得られた細胞ということですね。 ○事務局  細則のところにも先生がおつくりになった文章の中にも、2行目になります。これを 豊富に含む細胞集団というふうにいっておりますので。それが幹細胞由来かどうかは、 先生方に、きちんと御判断を。 ○高坂座長  どうぞ、事務局、何か。 ○事務局  7ページの適用範囲のところで、薬事法に乗っかった機器としての承認申請が上がっ てきた場合は、この適用範囲ではないんですが、省内調整はいたしますので、その指針 が規制を行うようなことができるものではないですけれども、効力はないのですが、考 え方としては、こういうふうなことですよというふうな合意は省内で得ていきます。 ○岡野委員  何らかの申請承認は、もちろん範疇外になるんですけれども、これを使ったような臨 床研究でかなりこちらに近いものだと、当然こちらの未分化の細胞が入ってきている可 能性があるというような部分です。そこは、今の話でくくれるということで、Q&Aか 何かでまた入れておいていただければ、より明瞭になるのではないでしょうか。 ○事務局  すいません。もう1点、項目としてこちら側からつけ加えたいものがあります。修正 のところでこちら側が先生方の御意見にはなかった点で、1点加えさせていただいた点 が、実はもう1つございます。27ページでございますが、先ほどの参考資料4の図を見 ていただければと思います。倫理審査委員会の項目にございます(4)でございますが、研 究機関の長から第2章第1の4(6)(2)で規定する重大な事態等について報告を受けた 場合、倫理審査委員から速やかに、前は厚生労働省に報告することとなっていましたが、 ここに若干文章を加えております。速やかにこれらの原因を分析し、対処方針の検討を して、研究機関の長に意見を述べること、研究機関の長に意見を述べることでございま す。 22の下でございます。同じところになるんです。同じ考え方にのっとっておりますが、 ここの項目が研究機関の長のところでございます。22ページの(6)の(2)でございます が、当該ヒト幹細胞臨床研究における重大な事態等に当たって、速やかに倫理審査委員 会に報告すること。倫理審査委員会の意見を受け、その原因を分析し、対処方針を研究 責任者に留意事項、改善事項、中止等の指示を与えた上、厚生労働大臣に報告をするこ とという形です。今までは単純に報告となっていたところを、原因分析、対処方針、中 止等の指示というものをきちんとした上で厚生労働大臣に報告という形にしたところで す。 その意図としましては、ただ単に報告だけ丸投げというのではなく、みずからのとこ ろできちんと対処方針まで示した上で、私たちに報告していただきたい。それを踏まえ てこちらも意見を言いたいというふうにしたところでございます。 ○北村委員 そういう分析等にものすごく時間を要したら、報告がおくれるということはありませ んか。報告は別個にやられた方が。 ○事務局 その辺は2行目で、一応報告は初めに速やかにというふうにはしたいと思いますが。 正式な報告というものはきちんとこのような形で対処方針まで示したものというふうに したいと思っています。 ○高坂座長  原因を分析するのは研究計画、研究機関で代表者等でいいんですけれども、今おっし ゃった27ページですか。倫理審査委員会が原因分析をし、というのはおかしいのではな いんですか、(4)。研究機関の長から重大な事態の報告を受けた場合でしょう。倫理審査 委員会が速やかに原因を分析しと、倫理審査委員会は現実的にそんな分析はできっこな いじゃないですか。それは明らかに指示を出さないといけないんです。そうでしょう。 機関の長に対し、指示を与えてちゃんと分析をしなさいということを指示しなければい けない。 だからここに原因を分析し、という言葉はちょっと当てはまらない。原因の分析を含 む対処方針を検討するように指示をするということですね。  重大な報告を受けた場合、倫理審査委員会は速やかにこれらの原因の分析、対処方針 の検討など研究機関の長に意見をする、指示をすると、そういう文章でよろしいのでは ないでしょうか。 ○事務局 ありがとうございます。27ページの方の倫理審査委員会の方は指示という形に修正を いたして、それを受けた形で22ページ以降の研究機関の長は、原因を分析し、対処方針 を研究責任者に留意事項等指示を与えたという形で、このままにしたいと思います。倫 理委員会の方を直させていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○高坂座長  ほかに検討事項はありますか。 ○事務局  一応これで。 ○高坂座長  これでよろしいですか。それでは今後の日程について御報告ください。 ○岡野委員  26ページ、これは私がちょっと失念したんですけれども、(2)複数の男性委員及び女性 委員、複数のというのは、女性委員にもかかる複数なんでしょうか。ES細胞指針など では複数の女性委員ということなんですけれども、そのように理解してよろしいですね。    ○事務局  ほかの研究の委員会と同じように理解していただいて。 ○高坂座長  複数の女性委員、両方にかかる。 ○岡野委員  非常にプラクティカルには大事なので、誤解される文書にならないようにした方がよ ろしいかと思います。 ○事務局  ありがとうございます。それではスケジュールの方に移らさせていただきます。スケ ジュールでございますが、このまま専門委員会という形でよろしいでしょうか。修正等 をいたしまして、先生に御確認をいただいた上で、専門委員会と。   ○高坂座長  あとは私の方で、確実に訂正されていただいているかどうかはお任せをいただいた上 で、確認をとった上で、中畑先生の委員会にお返しするというようにしたいと思います。 ○事務局  それでは次回の専門委員会ですが、先生方には、一度2月10日という形で御予定を御 連絡したと思いますが、諸般の事情によりまして延期をさせていただきたくお願いいた したいと思います。予定はもう一度日程調整をさせていただきますが、2月の後半以降 を予定しております。できるだけ可能な限り早くしたいと思いますが、2月後半以降と なることを御了承いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  あとスケジュールではございませんが、もう1つ簡単に御報告という形です。組織要 求の件でございますが、組織要求の結果が内示等受けまして、このヒト幹細胞に関しま しては1人増員が認められました。今後事務等に関しましても、速やかに対応できるよ うになっていくものと考えております。増員の時期につきましては、この日とはなかな か言えませんが、来年度中につくことになりました。以上でございます。 ○高坂座長  中央審査等での事務というのもやっていただけるような方も、できそうであるという ことですよね。大変すばらしいことだ。これは医系がついたのですか、それとも。 ○事務局  医系の補佐クラスのランクの人間がつくことになりました。 ○高坂座長   それはすばらしい。2月の10日は延期になったということですね。    ○事務局  10日は延期させていただきたいといます。よろしくお願いします。 ○高坂座長  それでは長時間にわたってどうもありがとうございました。以上をもちましてワーキ ンググループを終了させていただきます。御協力ありがとうございました。                        ○照会先                         厚生労働省健康局疾病対策課                        tel 03−5253−1111                         担当:野上(内線2353)