06/01/11 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成１８年１月１１日議事録


０６／０１／１１　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第７９回診療報酬基本問題小委員会議事録　

(1)日時　　平成１８年１月１１日（水）１０：１７～１３：２２
(2)場所　　厚生労働省専用第１８会議室
(3)出席者　土田武史委員長　遠藤久夫委員　室谷千英委員　小林麻理委員
　　　　　 対馬忠明委員　小島茂委員 　宗岡広太郎委員　大内教正委員
　　　　　 松浦稔明委員
　　　　　 松原謙二委員　青木重孝委員　石井暎禧委員　黒﨑紀正委員
　　　　　 山本信夫委員　
           岡谷恵子専門委員　白石小百合専門委員
           西岡清DPC評価分科会長
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 水田保険局長　宮島審議官　麦谷医療課長　石原調査課長　福田企画官　
           堀江保険医療企画調査室長　水谷医療課課長補佐　他
(4)議題　　○　ＤＰＣについて
　　　　　 ○　平成１８年度診療報酬改定について
(5)議事内容

○土田小委員長
　ただいまより、第７９回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題
小委員会を開催いたします。
　まず、委員の出欠状況についてですが、本日は、全員が御出席です。
　それでは、議事に入らせていただきます。
　まず、「ＤＰＣ」について議題としたいと思います。
　本日は、ＤＰＣ評価分科会の西岡分科会長に御出席をいただいております。
　最初に、西岡分科会長より、「新規にＤＰＣ対象となる病院の基準」及び「包括評
価の範囲の見直し」について、御説明をお願いいたします。

○西岡分科会長
　西岡でございます。よろしくお願いいたします。
　お手元の資料の診－１をごらんいただきたいと思います。ＤＰＣ評価分科会におき
ましては、平成１７年１１月１６日に開催されました診療報酬基本問題小委員会の付
託を受けまして、１１月３０日及び１２月２１日に評価分科会を開催いたしました。
そこで、「新規にＤＰＣ対象病院となる病院の基準」及び「包括評価の範囲の見直
し」について検討いたしましたので、御報告申し上げます。
　まず、「新規にＤＰＣ対象となる病院の基準」でございますが、これにつきまして
は、この四角で囲みましたところにございます「ＤＰＣ対象病院となる希望のある病
院であって、下記の基準を満たす病院。」ということでございます。これには３項目
基準がございまして、１つは、「看護配置基準　２：１以上であること。」。現在、
試行病院などで２対１を満たしていない病院などもございますので、平成２０年度ま
でにはこの基準を満たすべく計画を策定することとしております。それから２つ目の
基準は、「診療録管理体制加算を算定している、又は、同等の診療録管理体制を有す
ること。」。ＤＰＣに関しましては、診療録の管理というのが非常に重要になります。
それともう１つ、３点目でございますが、「標準レセ電算マスターに対応したデータ
の提出を含め「７月から１０月までの退院患者に係る調査」に適切に参加できるこ
と。」という、この３点を基準といたしております。
　これに加えまして、ＤＰＣ病院での医療の質、あるいは急性期病院としての特徴と
いうことで、「下記の基準を満たすことが望ましい。」ということで５点挙げており
ます。それは、集中治療室管理料の算定、救命救急入院料を算定、病理診断料を算定、
麻酔管理料を算定、画像診断管理加算を算定していることが望ましいということで基
準をつくらせていただきました。
　次のページでございますが、「包括評価の範囲の見直しについて」でございます。
ここでは、現行の包括範囲であってドクターフィー的要素が強い項目、あるいは現行
の包括範囲外であってホスピタルフィー的要素が強い個別の診療報酬項目につきまし
て、関係学会等の要望を踏まえた技術的な検討を行いました。その結果、その下に四
角で囲んでございますようなことが妥当であろうという結論を得ました。１つは、
「画像診断管理加算について、包括評価の対象外とする。」。これは、ドクターフィ
ー的要素が強いものでございます。それからもう１つは、「手術前医学管理料および
手術後医学管理料について、包括評価の対象とする。」。これは、むしろ検査等が含
まれておるものでございまして、ホスピタルフィー的要素が非常に強いということが
考えられますので、これを包括評価の範囲内にしてはどうかという結論を得ました。
　以上でございます。

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞお願いしま
す。

○石井委員
　「新たにＤＰＣ対象となる病院の基準について」というこの内容なんで
すが、「希望のある病院であって、下記の基準を満たす病院」については、これから
この程度は満たしてもらいたいという、これは分かるのですが、その下の「下記の基
準を満たすことが望ましい。」ということの意味が、正直言って分からない。
　といいますのは、我々の日病協でもこのところを議論しまして、特殊な病院だけを
ＤＰＣの対象にするという考えでは、ＤＰＣの本来の役割は果たせないのではないか、
日本の急性期における標準的な医療の在り方、適正な医療の在り方を全国的にかさ上
げして持っていく、そのためにこそＤＰＣは必要なので、単に定額にするとか、特殊
な病院に該当するというものであってはならないという意見が、きのうの日病協の中
で出されておりました。そういう点から考えますと、例えば救命救急入院料など救命
救急センターだけがとっているような内容をこれから急性期病院の一般的な形として
考えられているのか。我々は急性期の一般病院というものの概念は広いのではないか
と考えますので、これは「下記の基準を満たすことが望ましい。」というのがこれか
らのＤＰＣ対象病院の要件にしていくという考え方であるならば、問題であろうと思
います。

○西岡分科会長
　ありがとうございます。
　これに関しましては、委員会でもかなり議論がございました。まず、この急性期医
療ということになりますと、まず集中治療室は完備していないといけないのではない
かということが一つの努力目標になろうかと。また、救命救急は、これは御指摘のと
おり、地域で決定されるものでございますので、必ず救命救急がないといけないとい
うことにはならないだろうというふうに考えております。
　また、非常に専門的な病院の場合には、こういった施設がなくても十分ＤＰＣのシ
ステムの下で医療が行われるということは当然ございますので、これは、こういうも
のに相当するような施設の方たちはこういうものをとっていただきたいというのが一
つの目標でございます。特に病理診断料、麻酔管理料、画像管理料、これは医療の質
がかなり重要なものになりますので、やはりＤＰＣ病院といたしましては、質の高い
医療を提供する病院という形での御努力をお願いしたい。
　ですから、この５項目はすべて満たしているというものではございません。こうい
うもののうち、それぞれの分野の病院で必要な部分を満たしていただくように努力し
ていただきたい、そういった形での要望でございます。ですから、ＤＰＣの対象病院
になるという基準は、上の３項目でございます。

○宗岡委員
　石井先生の方から、ＤＰＣについての積極的な御意見を伺えたというこ
とで、非常に印象的な御意見でございまして、１号側の一人として、このＤＰＣをい
い意味で拡大していくという意欲を持っておられることに大いに敬意を表したいと思
います。そういう意味で、今のような専門的な議論についてはこれから深めていって、
ＤＰＣというものの考え方が我が国の医療の全体のレベルを上げるように、中医協と
しても努力をしていくべきだろうというふうに思っております。
　以上です。

○青木委員
　私は、反対の立場から意見を述べさせていただきます。
　過去何年かのＤＰＣの実績といいますのは、６．９％ぐらいの医療費の増をＤＰＣ
の中だけでは来しております。昨今、今回の改定のように、全体で３．幾つ下がると
いう状況の中でこういうことを拡大していくということは、現実の問題としては実情
に合わない。多くの医療関係者にとって容認のできないことだというふうに思います。
　それから、現在ＤＰＣを行っている病院、これの実情調査というのは大変数は少の
うございますが、行われております。最近、粗診粗療、過剰診療、こういうものが行
われておるというＤＰＣの悪い面というものも出ております。こういうことがきちっ
と委員の間だけでも公表されるというようなこと、そういうことがなければいけない
のではないか。そういうことがないままにこういう話が進んでいくということは、非
常に問題だというふうに考えます。
　それから、百歩譲って、これは例でありますが、特定機能病院等でこういうＤＰＣ
を行っていくということであれば、これはまだ教育、研究、診療というような多くの
分野の仕事をしなければならない使命を持った施設が、こういう形である部分保護さ
れていくということは大事なことかもしれません。ただ、一般の病院の中にこういう
形でこれを広げていくということは、現状においてはやってはならぬことだというふ
うに私は思います。
　以上です。

○石井委員
　ただいまの発言は大変事実誤認があると思います。６％ＤＰＣによって
上がったというような言い方は、何の根拠もない問題だと思います。実際、各々の病
院で、例えば調整係数について言えば、在院日数が短いところが高くなる、これは当
たり前のことで、今の出来高払いであっても、在院日数が短い病院は上がるわけであ
って、ＤＰＣによって、全体的に言えば在院日数も短くなっていくという状況が見え
ますから、そこは１日当たりの単価が上がるのは当たり前であって、そういったこと
をもって全体的な医療費が上がったと言う根拠は全くない、明らかに間違いであると
思います。
　それから、特定機能病院だったらいいけれどもと言うのも、またこれは基本的に間
違いだと思います。これは、ＤＰＣを既にやられた病院で、特定機能病院との比較調
査をこの間データを出されておりますように、むしろ特定機能病院については、ＤＰ
Ｃがなかなかうまく当てはまらない面が今のところではある。それより一般病院の方
では、標準的な医療ということの標準がある程度できる。しかし特定機能病院の場合
には、そういうところでなくてはできないような重症だとか合併症、そういう難しい
疾患を診ているためにＤＰＣにうまく当てはまらないと言われているので、ただいま
の青木委員の発言は、やはりこれについても事実誤認であると思います。
　以上です。

○松原委員
　続けてで申し訳ございません。
　今医療費の総額がどうなっているかという２人の意見がありました。これは、ぜひ
調査課長から、現在出来高で取っている一般病院とＤＰＣの病院の間に乖離があるの
かないのかについて御説明いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○事務局（石原調査課長）
　御指名ですので。以前から、ＤＰＣについては医療費動
向を報告させていただいておりまして、また、次回にでも機会を設けて、もう一度直
近までの動向を御説明申し上げたいと思いますが、基本的にはＤＰＣの導入によって
医療費の１日当たりの単価が一般病院に比べてかなり上がっているということは、以
前から御報告申し上げているとおりでございます。
　ただ、６％とかその辺の数字については、当方から申し上げているわけではありま
せんが、基本的には、全体の医療費の動向に比べて、１日当たりの医療費を中心にし
て、ＤＰＣ病院について医療費がかなり上がってきているというのは事実でございま
す。
　以上です。

○松原委員
　今御説明いただきましたように、そういったことで上がっているのは確
かでございます。ただ、私どもも特定機能病院のような機能を発揮すべき病院におい
てはそれなりの評価をすることは適切だと考えております。そういったことから、日
本の医療の質の向上を図るためには、むしろここに書いてある「下記の基準を満たす
ことが望ましい。」これを強く希望いたします。こういった形で非常にいい医療が受
けられる、これを担保するということでございましたら、私はぜひこれを対応すべき
だと思っております。

○青木委員
　私は、ＤＰＣというのは、恣意的操作がより可能であるということにお
いて大変危険なものである、私の立場からして考えるという基本でお話を申し上げて
おるということでございます。

○土田小委員長
　西岡先生、いかがですか。ただいまの議論について一言お願いしま
す。

○西岡分科会長
　医療費に関しましては、私は細かいデータを持っておりませんので
何とも申し上げられませんが、ＤＰＣそのものは、医療の質を向上させる、あるいは
医療の効率化、標準化といったものが目標でございます。この席で、また分科会の席
でも、過剰診療になっているのではないか、あるいはアップコーディングになってい
るのではないかといったようなことがところどころ指摘されてございます。今回の見
直しのところで、アップコーディングがなかなかできにくい形ということで、ＤＰＣ
の見直しを行っております。
　私どもの正直なところ、もしそういう施設が委員の方々の中でお気づきでございま
したら、私たちに御教示願いたいというのが本当の気持ちでございます。本来はそう
いった不適切な行為を行われることは、日本の医療を破壊することではないかという
ふうに私は考えておりますので、むしろそういう御指摘がありましたら、どこどこ病
院がこうなんだといったようなことをお教えいただきましたら、分科会の方でその
方々に来ていただきまして、その実態を調査するといったようなところまでやらせて
いただきたいというのが私どもの気持ちでございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。非常に大事な発言だと思います。

○対馬委員
　西岡分科会長の発言、大変感銘を受けました。このＤＰＣを推進してい
くことによって日本の医療の質が上がっていくということでの御努力を、今後ともぜ
ひよろしくお願いしたいというふうに思います。

○小島委員
　支払側としては、このＤＰＣの適用拡大について従来から強く求めてい
たところでありますけれども、今、診療側で２つ反対の意見が出されましたけれども、
基本的には、西岡分科会長が指摘されたように、このＤＰＣの目的というのは、やは
り医療の質の向上あるいは標準化を図るということでありますので、それをどう拡大
していくかということで、そういう方向で検討して、青木委員が指摘されたような問
題があれば、では、ＤＰＣで行っている医療行為、診療内容をどう評価するかという
中身の問題をこれから早急に検討していくということで、このいわば前向きの方向で
進めていけばいいのではないかというふうに思っております。

○松原委員
　今分科会長から御説明いただきましたように、まだ私は、このアップコ
ーディングの問題も含めて、完全なシステムになっていると思っておりません。そう
いったことは十分に検討して改善してから、多くの病院に対応していくのが本来の筋
ではないかと考えております。
　また、この調整係数があるという点において、先ほど青木委員が説明申し上げまし
たように、非常に高い点数になっているところがございます。この調整係数の仕組み
につきまして、私どもは厚生労働省から説明を受けたところによりますと、努力して
削減したものの評価というのも大事でございますが、実質上は導入前の出来高を保障
するという調整係数のシステムによって、６．数％、やはり高くならざるを得ないと
いうことでございます。
　それについては、事務局、いかがでございますか。また、調整係数をなくしたとき
に、非常に下がると思いますが、この対応をいかがなさるのか、そういったことにつ
いてお聞き申し上げたいと思います。

○土田小委員長
　調整係数については、後でまた議論が出てきておりますが、企画官、
今答えますか。

○事務局（福田企画官）
　まず、調整係数の事実関係につきましては、以前の中医協
の際にも資料としてお出しいたしてございますけれども、調整係数については、ＤＰ
Ｃ制度の円滑導入という観点から設定をされている、いわゆる激変緩和的な意味合い
もございますし、そういった形で、ある意味では前年度の包括範囲の出来高相当部分
のものを保障するというような、そういった形で整理をされているというものでござ
います。
　今１．０６等というような具体的な数字が出てまいっておりますけれども、全体が
どうかというところは置きまして、この調整係数自体は各医療機関ごとに実際は設定
をされているものでございまして、現時点では、高いところは１．１を超えておりま
すし、また、低いところは０．幾つということで、実際１を切っているというような
ものもございまして、そういった形で、それぞれの医療機関の診療実態というものを
ある程度反映させながら、その円滑導入の観点から導入をされているというふうに考
えてございます。
　中医協の過去の議論でも資料として提出をして、そこで御議論いただいております
けれども、この調整係数の部分につきましては、ＤＰＣ制度を導入した平成１５年以
降、５年間の改定については考え方として維持するということとしておりますけれど
も、平成２２年度の改定時には、医療機関の機能を評価する係数として組みかえるな
どの措置を講じて廃止することを検討してはどうかということでございまして、現時
点では、まさに先生方それぞれおっしゃってございますけれども、このシステムをい
かに完全なものといいましょうか、よりよいものにしていくかという、そういう検討、
検証の途上であるということでございますので、そういった観点の中で、この調整係
数の在り方というものもある程度時限を切って、そういう中でより違う機能を具体的
に反映したような、そういった形のものに切りかえていくこと、そういう形で中医協
の場でも御議論いただいているものというふうに認識をいたしてございます。
　以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○松原委員
　もう１点だけ。ＤＰＣの導入以前に、出来高を非常に大きく膨らませて、
それを保障の下にＤＰＣの対応になったときに大変大きな金額にするという方法があ
るとお聞きしています。これをやっておられる病院があるかどうかは、私は分かりま
せんけれども、実際にシステム上そういうことは可能なのでしょうか。つまり、過剰
診療を行って、その後でＤＰＣに入れば非常に高く評価されるということがまことし
やかに言われておりますが、そういうことは起き得るのでしょうか。企画官にお尋ね
します。

○事務局（福田企画官）
　そこのところは、私どもの方からどうかとなかなか申し上
げられませんけれども、ただ、通年のいろいろなデータを別途とってもございますし、
そういった中で、中医協の基本小委の御指示があれば、いわゆる特別調査、そういっ
たような中で、実際の動向がどうなのかというようなことも含めまして、これから調
査なり検討をしていくということは十分可能であるというふうに考えております。

○対馬委員
　出来高で膨らませて、それでＤＰＣを導入するということで、あたかも
ＤＰＣというのは極めて問題あるかのような発言ですけれども、出来高でもって膨ら
ませるということもできるということ自体がおかしいのではないでしょうか。それは
極めて問題だというふうに思いますし、また、今日御議論するのは大いに結構ですけ
れども、たしか前回いろいろ議論して、松原委員の方からも、病院側の委員からそう
いった意見があるのであれば私どもとしては反対はしません、こういう大枠の議論が
あったというふうに思うのです。
　したがって、議論の中では、例えば一般病院に広げていくということはやってはな
らないことだというような発言もあるのですけれども、この前の議論のやや蒸し返し
といいますか、議論してそこでもって一応の答えが得られたものは、そこをベースに
しながら、またさらにいろいろ議論していくのはいいのですけれども、前に戻るよう
な議論というのはいかがなものかなと、こういうふうに思うのです。

○松原委員
　前回、病院の大多数がこれを賛成しているという石井委員の意見がござ
いましたので、大多数の病院がそのように御理解しているのであれば、これは考える
べきであると発言を申し上げました。しかし、アンケート調査で、有効回答率が非常
に低くて、このアンケート調査が十分な信頼性がないと私は申し上げました。そこで、
私ども日本医師会として、今アンケートの準備をしております。ぜひ病院全体の意見
をきちっと把握した上で考えたいと思います。したがって、対馬委員がおっしゃった
点については、その事実の根拠が非常に薄かったと考えております。

○土田小委員長
　ほかに御意見ございますでしょうか。
　このＤＰＣについては、基本的には拡大していくということで一応の合意は得てい
ると思います。それで、先ほど企画官から話がありましたように、これは完成途上と
いうことでいろいろな試行錯誤をしながら進めているわけでございますが、そういう
中では、今青木委員及び松原委員から発言がありましたように、全面的に賛成ではな
いというような意見も、それはそれなりとして尊重すべき意見だろうと思います。そ
ういう意見を踏まえながら、むしろそういう意見があるからこそ慎重に進めていくと
いうことで、ただいま分科会の方から報告がありましたこの２つの点について、基本
小委として承認したいというふうに考えておりますが、よろしいでしょうか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土田小委員長
　よろしいですか。どうもありがとうございました。
　それでは、もう一回繰り返しますが、「新規にＤＰＣ対象となる病院の基準」及び
「包括評価の範囲の見直し」について、基本小委としては承認したということにさせ
ていただきます。どうもありがとうございました。
　西岡分科会長におかれましては、長い時間、どうもありがとうございました。
　　　　　　　　　　　　　　　〔西岡分科会長退席〕

○土田小委員長
　それでは次に、「平成１８年度診療報酬改定」について議題とした
いと思います。本小委員会において、昨年の秋以来、平成１８年度診療報酬改定を視
野に入れて議論を進めてきたところでございますが、事務局の方で、「これまでの議
論の整理」ということで資料をまとめていただいております。
　最初に説明をお願いいたします。

○事務局（麦谷医療課長）
　資料、中医協診－２－１を御参照いただきたいと思いま
す。これは、これまで中医協の場で議論していただきました１４回の議論を踏まえて
私どもで整理をしたものでございます。
　目次が書いてございますが、この目次のローマ数字の各項目は、別添中医協診－２
－２という資料がついてございます。先ほども説明いたしましたが、社会保障審議会
の２つの部会から出てきた基本方針をそのままここに掲げてございます。いただいた
議論をその４つの基本方針の下に整理しまして、議論の整理としてここに提出をさせ
ていただきました。
　内容は非常に重要な項目が多うございますので、略して説明するよりも、ちょっと
長いですが、朗読をさせたいと思いますので、私どもの方から読み上げたいと思いま
す。

○事務局（水谷医療課課長補佐）
　それでは、２ページの本文のところから朗読させ
ていただきたいと思います。
　　　　　　　　　　　　　　＜資料診－２－１朗読＞
　以上でございます。

○事務局（麦谷医療課長）
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。お疲れさまでした。
　ただいま朗読していただきましたが、IからIVまで大きく分かれております。それ
で、議論として一度にやると混乱いたしますので、この大きい枠組み、I、II、III、
IVという枠組みごとに議論を進めてまいりたいと思います。
　最初は、「患者から見て分かりやすく、患者の生活の質（ＱＯＬ）を高める医療を
実現する視点」ということで５項目ございますが、これにつきまして御意見、御質問
等ございましたら、どうぞ。

○対馬委員
　全体についての意見でもよろしゅうございますか、全体を通してという。

○土田小委員長
　はい。

○対馬委員
　今回の「議論の整理（案）」というのは非常に重要だと思うのです。今
回やって、また来週やって、それから、今度はいわゆるパブリックコメントという手
続に入るのでしょうから、そういう意味からしますと、中身を今ざっと早口で説明が
あったのですが、４点ほどちょっと申し上げておきたいと思うのです。
　１点目は、これは当たり前と言えば当たり前のことですけれども、今回改定の基本
方針、１１月２５日でしょうか、それでありますとか、ないしは１２月１日の大綱も
出されているわけです。ですから、それは当然踏まえた形で整理をする必要があるだ
ろうというのが１点目です。
　それから２つ目ですが、１号側、２号側、かなりこれまで激しい議論をやってきま
した。その中で、なかなか一致点を見出していない問題もあります。例えば手術の施
設基準の問題など、そういった問題については、あまり一方に偏したような形での表
現の仕方はいかがなものかなというのが２点目です。
　それから３点目ですが、事務局の方からこれまでの資料は出されているのですけれ
ども、かなり押し迫った日程の中でやりましたので、相当大きな影響があるものにつ
いても、実際には議論としてはほとんどされていないという問題があるのです。例え
ばですけれども、今回説明もありましたけれども、２００床以上の病院についての初
診料を大幅に引き下げるのだと、特定療養費でもって対応するのだと、こういった問
題についてほとんど議論されていない。むしろこのときには、初診料における評価を
すべきだということについての表現上の問題で随分いろいろ議論があって、そこでこ
れは事務局は行き過ぎではないか、こういった議論もあったのですけれども、例えば
そういった問題がある。そこについては、今回大きくかじを切るということについて
はやはり慎重な対応が必要ではないかというのが３点目です。
　それから４点目ですが、これまでの議論の中に全く出てきていないのが、今回のこ
の整理の中では出てきているものがある。例えばですけれども、在宅医療についての
議論はしてきたのですけれども、「在宅療養支援診療所」という概念などというのは
今回初めて出てきているわけですし、また、医療安全についても随分議論はしたので
すが、今回のような整理の、医療安全についての専任がいればそれを評価してはどう
かといったものについては、資料としても出てきていないし、また、そういった議論
にはなっていないだろうというふうに思うのです。そこのあたりについては、これも
慎重な議論が必要ではないか、こういうふうに思います。
　あと、個別については、また今から御議論させていただく個別のところでお話しさ
せていただきたい。

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　ただいま対馬委員から全体の枠組みについて御意見がありましたが、非常に重要な
視点だと思います。これにつきまして最初に議論したいと思います。

○松原委員
　私どもも少し全体についてお話し申し上げたく思います。
　４年前の本体マイナス１．３０％の改定があったわけでございますが、それでさま
ざまな問題が起き、後の対応に大変苦慮した経緯がございます。今回も本体でマイナ
ス１．３６％、これも医療機関にとっては大変なマイナスでございます。こういった
ことを私たちの主張する医療の安全と質のための３．２％を全く無視した形で政府が
お決めになったことに対しては、これまでと同じように非常に遺憾であると考えてお
りますし、心配しております。
　その中で、さまざまな問題点が出てくるのではないかと思っております。今回の御
提示いただいた内容については、一つ一つ議論をしていく必要があると私も考えてお
ります。また、２回にわたってマイナス改定を行うということでございますが、今後
の消費税の問題も含め、消費税が３％の導入のときに０．７７％、３％から５％のと
きに０．７６％、私どもは診療報酬をその分上げていただいておりますが、今回２回
にわたって合計の１．５３％よりもはるかに大きい金額を下げられ、実際上はある意
味の見方からすれば、私どもはすべて損税の扱いで対応しているという実情がござい
ます。そんな中で、何とか医療の質を保ち、安全を保つために、今後努力する所存で
ございますが、そのところには限度がございます。細かい点につきましては、十分な
意見を、医師として、医療を行っている者として申し上げてまいりたいと思っており
ます。
　以上です。

○石井委員
　今回の改定、全体的に引き下げということなので、大変難しい改定だと
我々も理解しております。その中で、診療報酬体系の簡素化等全体的な体系の見直し
というような形でもって対処しようとされているわけですが、これはぜひどういう方
向に医療を持っていくのか、筋を通していただきたい。単純に引き下げのための簡素
化であったり、または組みかえであってはならないと思うのです。
　どういう医療をこれからやっていくかという方向の筋を通した場合、各々について
あまり上がらなかったり、また大きく下がったりということは、実は我々病院団体こ
そ、調整が困難です。診療所の皆さんと違って、こういった問題については非常に幅
がある団体ですので、いろいろな意見が日病協の各団体にありますが、日病協として
の統一要望は、項目をしぼって出してあります。今回、療養病床などは非常に打撃を
ある意味では受けるのですが、これは日本の医療のあるべき姿を目指すという点では、
忍びがたきを忍んでこれをある程度認めていこうという意見が出されているわけなの
で、今回のこれらの改定に関しては、そういう医療的な筋というものをぜひ貫徹して
いただきたいということをまず全体に要望したいと思います。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○松原委員
　後でまた議論するところですけれども、今石井委員が、療養病床のとこ
ろは仕方がないとおっしゃったわけですけれども、現実問題として、ここのところは
あまり過度に行いますと、ここに入院できないような方が出てまいります。そういっ
た方の対応を十分に考えなければなりませんし、医療の質を担保する上で、あまり過
酷なことをするのは正しくないと私は思っております。全体の意見としての中の一部
の療養病床の件でございますが、しかし、十分適切にしなければ、筋を通せば済むと
いう話ではないと私は思っております。現場が混乱しないようにするという視点も大
事ではないでしょうか。

○土田小委員長
　ほかに全体にわたる御意見ございますでしょうか。
　よろしいですか。
　それで、先ほど対馬委員の方から４点出されました。重要な御意見だと思いますが、
つまり、第１点は、いろいろな基本方針に沿った組み分けになっているかどうかとい
う問題、２点目は、１号、２号が一致していない点について、言葉があれですが、一
方に偏しているのではないかという御意見、３点目は、初再診料あるいは「在宅療養
支援診療所」等々についてはまだ十分な議論が行われていないということ、４点目は、
全く今まで議論が出ていない新しい枠組みが出てきているという指摘があったわけで
ございますが、これについて医療課長、説明してください。

○事務局（麦谷医療課長）
　大綱、それからこれまでの御議論を踏まえるのは、これ
は当然でございます。また、１号側、２号側、よく御議論いただいて、それが一方に
偏しているのではないかというような御意見、できるだけそのようなことのないよう
に書いたつもりではございますが、もしそのようなことがあったらぜひ御指摘をいた
だいて、訂正というのでしょうか、文言を変えるということはもちろん事務局として
は当然いたします。
　それから、全く議論していないもの、つまり、こなれていないものが出ているので
はないかというような御議論、これは甘んじて受けとめなければいけませんが、私ど
もとしては、出さないとさらに議論が進まないのではないかというようなこともござ
いますので、そこは御理解いただいて、ぜひここで御議論いただきたいと思います。
　それから、全くこなれていない以前の、一度も議論していないものまで出ているの
ではないかというような御指摘でございますが、これは一方では、何もかも８，３０
０項目すべてを従前の１０数回で御議論いただくということは不可能でございますの
で、また一方で、私ども事務局に対して全国から１，０００を超える要望書が来てお
りますので、その中で、ぜひ中医協で御議論いただきたいものをあえて掲げてござい
ます。そこはぜひここで議論していただきたいと思います。
　また、事務局で勝手に取捨選択したわけではございませんで、技術評価分科会での
御議論とか、高度先進医療専門家会議での御議論、そういったものを踏まえて、私ど
もで優先順位をつけてここに掲げてございますし、また、一番最後のページの最後に、
バスケットクローズのように、「上記以外の項目についても、必要な見直し」と書い
てございますので、そこは御議論の中でぜひ特出ししたり、あるいは議論の俎上にの
せていただきたいと思っております。
　以上です。

○土田小委員長
　分かりました。

○松浦委員
　今回マイナス１．３６％ということがあるんですが、これだけ一つ医療
費を減額するとなりますと、どの診療項目にも共通して下げなければならぬという考
え方は出てこないのでしょうか。特定の医療項目だけプラス加点、それから減点とい
う形で下げ切れるものかどうか、その辺は、私は特定のそういうやり方だけでなくて、
共通してみんなで耐えていくという部分もなければいかぬのではないかと思います。

○土田小委員長
　それはこれから決めていくことですが、基本的には、加点、減点と
いう形のメリハリの効いた改定になるだろうというふうに私は思っておりますが、医
療課長、いかがですか。

○事務局（麦谷医療課長）
　それぞれの診療行為にはシェアがございますので、すべ
てについて例えば３．１６％下げるということは事実上不可能でございますし、ピン
ポイントで下がったところは、当然そこだけが沈むということになりますので、５，
０００億円とか、あるいはトータルで１兆円を出す減額ということになりますと、薄
く広くというようなことはどうしても考えなければいけない。その中で加点すべきも
のはするということになりますと、さらに深掘りをするということでございますので、
ピンポイントで大きく沈むということのないようにしつつ、広く薄く下げるという技
術が必要かと思います。

○土田小委員長
　非常に巧みな回答だと思います。

○松浦委員
　私が今申し上げたのも、そういうことなんです。

○土田小委員長
　分かります。今松浦委員のおっしゃったことも同じ趣旨だろうと思
います。
　それでは、時間も押しておりますので、具体的な議論に入りたいと思います。先ほ
ど申しましたように、最初のIの項目が５つございますが、これにつきまして御意見、
御質問等をお願いします。

○宗岡委員
　この１項目めの最初の箱の中に、「患者から見て分かりやすく」、ある
いは「患者のＱＯＬ」と書いてありますけれども、今回の中医協では、我々は随分患
者の視点とか患者に対する情報提供ですとか、それによって医療の質を高めるという
議論をさせていただいたというふうに思っております。そういう視点で、そこのとこ
ろは、今日、今のところあまり議論は出ておりませんけれども、ぜひそこを強調して
おきたいと思います。
　そういう視点で、Iの項目について何点か申し上げたいと思います。まず１つ目は、
I－２のところでございますけれども、領収書の発行でございます。これは、「患者
から求められたときは」という表現がありまして、もう１つは、「診療報酬上の算定
項目」と書いてあります。これに対して、我々は非常に疑問を持っております。とい
いますのは、我々は政府・与党の改革大綱の中にもありますように、医療費の内容の
分かる領収書の発行を義務付けるという、そういう枠組みで議論をしているというつ
もりでおりますけれども、「患者から求められたとき」という前提でのこういう種類
のものの提供というのは、明らかにそれから後退していると言わざるを得ないという
ふうに思います。
　もう１つは、算定項目ということも我々としては問題でして、我々は従来からずっ
と主張しておりますのは、医療の内容全体の明細の分かるということを申し上げてお
りまして、そういう視点でこれは後退をしているということでございます。
　それから、２つ目の丸のところにあります「一定の経過措置を設ける方向で」、こ
れはやむを得ないと思いますけれども、これがずるずるいくということを非常に心配
をしておりまして、経過措置はある程度設けるとしても、できれば４月から義務付け
る、そういうふうなことをぜひやっていくべきだろうというふうに思っております。
　２つ目の問題は、I－４のところの生活習慣病の問題ですけれども、ニコチン依存
症というのが出てまいります。これは前回たしか１度だけ事務局の方から問題が提起
されておりまして、今日の対馬さんの問題提起ですと、３番目に当たる、実質的な議
論が何にも行われていないということだと思っておりまして、そもそもこういうニコ
チン依存症のようなものについての対応の在り方について基本的な議論が欠けている。
本人の嗜好にかかわるというふうな問題でもありますし、これを医療費の非常に厳し
い中で新たに取り入れるということに対しては時期尚早であろうというふうに思って
おります。
　それから、生活習慣病の管理指導料についてはほかの方がおっしゃると思いますの
で、もう１つ申し上げたいと思いますのは、４ページの一番下の「I－５　手術に係
る評価について」の項目です。これも、これまで議論をさせていただきましたように、
そもそもこの制度ができたのは、医療の質を担保して、地域の医療の機能を上げて、
医療の質を高めながら効率的な医療提供をしていく、それが患者のためであり、地域
のためである、そういう物の考え方で制度ができたわけです。それに対して問題提起
がされて、見直そうということですけれども、私の視点は、これが導入された物の考
え方自体はしっかりと残すという前提をまず１つとりたいと思います。
　もう１つは、いきなりゼロにしてしまうというのはいかがなものかということでご
ざいます。今後、この案のベースになっておりますのは恐らく外保連の調査だったと
思うのですけれども、そういったような当事者の方の調査ではなくて、第三者による
公平な調査を行った上で、意味のある調査を行った上で、本件が前進するような改定
をする、それもある程度時期を定めて実際に改定が行われるようにする、そういう視
点で、いきなりゼロにするということについてはいかがなものかということを申し上
げておきたいと思います。
　以上、数点申し上げました。

○土田小委員長
　それでは、１号側でほかに御意見ございますか。

○小島委員
　今宗岡委員が発言されましたので、なるべく意見は重複しないようにし
たいと思います。
　領収書発行について、社保審の医療部会あるいは医療保険部会で取りまとめていた
だいた基本方針で、「医療費の個別単価など詳細な内容の分かる領収書の発行を義務
付けることを視野に入れて」ということになっています。それからすると、今回のこ
の表現では相当後退あるいは逸脱した内容になっているのではないかと思います。基
本方針に沿った内容にすべきだということを強く発言したいと思います。
　それから、４ページのI－４の生活習慣病のところです。１つ目の丸の生活習慣病
指導管理料の問題、これについては、これまでも何度か問題点を指摘をされておりま
す。指導管理料を評価するに当たって、「療養計画書の様式を変更する」ということ
だけで、果たして患者が納得できるのかどうかということです。療養計画書について
は、現行も患者の同意と署名が前提になっているということですので、それをレセプ
ト等に添付するような、仕組みもあわせて検討すべき。より患者に理解、納得してい
ただくということでの改善が必要だと思います。
　それから、I－５の手術に関する施設基準については、これまでにも宗岡委員と同
じ視点で発言しております。５ページの上から１つ目の丸、ここで、患者に対する情
報の提供ということで、年間の手術症例数の院内掲示を算定要件とすべきと書いてあ
ります。これは、施設基準の廃止が前提となっております。これは引き続き施設基準
は残した上でも、指摘されるようなことは、患者が選択するための情報ですので、き
ちっと院内掲示をすべきです。それから、単に手術の件数だけではなくて、院内掲示
の情報の項目あるいは内容ということについても一定の様式を定める必要があるので
はないかと思います。

○大内委員
　I－４の生活習慣病の件でございますが、今小島委員も触れた点でござ
いますけれども、ここに書かれている内容そのものは、これはこれで、そうだろうと
いうふうには思っております。ただ、前にもこの場で私の方から発言をさせていただ
きましたけれども、運用実務としてこの辺がきちっとやられているかどうかというこ
とになりますと、この辺は全く患者が認識しないような状態の中で問題が発生をして
いるということでありまして、生活習慣病の指導ということで、ドクターから患者が
きちんと指導管理を受けているという認識があれば、診察請求に関しては納得するの
だろうというふうに思うのですけれども、この辺がどうもあいまいな形になって、指
導管理されたかされていないか分からないような中でこの指導管理料の請求をされる
という状況が運用実務として生じている、こういうことでございます。これはこれで
結構だと思うのですけれども、そこの辺のところを患者がきっちりと認識できるよう
な中での歯どめ措置といいますか、その辺ができるような形を実務的にとっていくと
いうことが出てこないと、これはいつまでたっても表現を変えただけであって、実態
が伴わない、こういうことになりかねないというふうに思いますので、このままでは
私としては問題がまだまだ残っていくというふうに思いますので、この辺をもっと明
確にすべきだというふうに思います。
　以上であります。

○土田小委員長
　１号側、よろしいですか。
　それでは、２号側。

○松原委員
　幾つか御指摘を受けているわけでございますが、まず、領収書の発行で
ございます。これは、患者さんの中には、そのような説明が要らないと言う方も多数
ございます。実際上私どもが聞いてみますと、９９％の患者さんは、そのようなもの
は要らないと言っておられるように思っております。というのは、本来領収書という
のは、民法上はお金を受け取ったことの証明で、だからこそ無償なのであって、これ
についての内容については、本来は診察場でインフォームド・コンセントとして説明
をすべきものだと私どもは思っております。そういったことは常々やっていかねばな
らない当然の義務として私たちはやっているわけでございますので、この受け取りの
証拠たる領収書でこれを行うということ自体がどうもしっくりしません。こういった
義務化は反対でございます。
　また、こういったものを出すということは大変なエネルギーが要ります。例えばレ
セコンのソフトを改造したり、あるいはレセコンを完全に導入したりしないとできま
せん。そういった費用を全く負担することなくそうおっしゃるわけですけれども、民
法上の本来の受取であるところの領収書と同じような概念でこれを導入すること自体
は間違いでございます。
　また、この「手術に係る評価について」は、十分議論しております。宗岡委員は、
何度私どもが説明してもお分かりいただかないのは残念でございます。また、私ども
が出した資料が当事者が出したから信用できないとおっしゃるわけでございますが、
ただ、これを実際にできるのはやはり当事者たちだけです。そういったことも理解い
ただけないまま、とにかくこれに固執されるということ自体私は非常に疑問に思って
おります。概念自体は私たちも残し、さらに検討してこれを対応する、さらに、患者
さんに対しての情報を提供することについてはやぶさかではないと申し上げ、そのシ
ステムを残す方向で事務局案をつくっていらっしゃるわけでございますが、これにつ
きましても十分に議論しなければならない要素があると、実際上は思っております。
　生活習慣病の管理指導料でございますが、これは丸々包括でございます。療養の指
導だけではなくて、薬剤の費用、また検査の費用、すべてこの中に包括されておりま
す。療養の指導をしただけでこの費用全体が請求できるわけではございません。そう
いったいろいろな難しい問題がございます。先ほど勝村委員がお話しされましたよう
に、この内容が分からないまま議論しろというのは難しいとおっしゃっているわけで
ございます。ただ、これを隠しているわけでもなく、この青本と呼ばれる診療報酬を
書いた本が非常に難解であるというところに問題があり、そういった難解であって理
解しがたい点が多々あるということを改善せずに、先ほどの話に戻しますと、領収書
を出せ、明細書を出せとおっしゃるのは非常に難しい問題で、私たちはこれができな
いと申しているわけでございます。ただ、少しでも患者さんに分かりやすいような形
にするという努力は私たちも十分にしなければならないと考えております。
　ニコチン依存症につきましては、これは国際的には喫緊の問題でございます。これ
をやらずに喫煙を野放しにするということ自体は、最終的には心筋梗塞や肺がんのリ
スクを抱えたまま放置しているということでございますので、できれば最終的にこの
ニコチン依存症の治療は全体の診療報酬の中でこれを適正化する方向に動きますので、
御理解いただきたいと思っております。
　最後に、セカンド・オピニオンにつきましては、私は前回発言をしております。セ
カンド・オピニオンを求められたときは、これを適切に行うのは医師の義務だと思っ
ております。自分の判断が適切であることをみずから証明することも私は医師の義務
だと思っておりますので、こういったことを推進されるのは非常によろしいかと思い
ますが、実際上セカンド・オピニオン外来をやっているところとやっていらっしゃら
ないところがあります。患者さんから求められて、ぜひここで意見を聞きたいという
ときに、保険の適用になるのかならないのかという問題が生じてまいります。
　これは事務局にお聞きしたいのですが、そういった判断ができないところでこうい
ったことをセカンド・オピニオンとして出す、私どもはこれについて前向きに努力し
たいと思っておりますが、具体的に患者さんが、セカンド・オピニオン外来をやって
いないところ、あるいは保険診療しかやっていないところに行ったときに、これは十
分に対応していただけるのでしょうか。本来医療機関がこのように対応したときには、
それを受け手側の状況によって医療機関がペナルティーを受けることのなきようにし
ていただかなければこういったことはできないと思うのですが、いかがでございまし
ょうか。

○土田小委員長
　みなさんの意見を聞いてから、後でまとめて質問に答えてもらうこ
とにします。
　ほかに２号側で御意見ございますか。

○石井委員
　領収書の発行それ自身については、大枠での一致は昨年の議論でなっていると思う
のです。我々は明細な領収書であっても別に構わない。もちろん、患者さんに内容的
には説明をするのであり、それを領収書に書いても、これは一向問題はないのです。
問題は、事務上の問題であり、コストの問題である。これの方が本質的な両者の対立
点であろうと思うのです。実際これはなかなか難しい点があるので、この点は１号側
にも理解いただきたいし、また、単純に一定の経過措置ということでこれが可能かに
ついても、厚労省側の御意見もお聞きしたいところです。どこまでの内容かによって
はどの程度の時間とコスト、事務量を現在の医療財政の下で、できるかがむしろ本当
は議論されないと、現実的な議論にならない。総論賛成、各論反対になってしまうの
で、そういった具体的な議論が詰められるような内容なりデータを出していただきた
いと思います。
　それから、今ニコチン依存症の問題が出されましたけれども、これが問題なのは、
喫煙に関しては、明らかに高齢者の呼吸器疾患、それから循環器疾患の非常に大きな
ファクターであることは、これは医学的に、世界的には常識ですので、これは医療財
政の問題からいっても、何とかしていかなければいけない。生活習慣病の中でも、現
実に取り組める一つの問題で、これを病気として扱うことは重要だと思うのです。し
かし、正直言って、診療報酬上の評価をつけても大した額にはならない。現状ではネ
グリジブルスモールだと思うのです。むしろ診療報酬上に影響するほどであったらう
れしいなと思うくらいです。これはむしろ一種のアピール効果といいますか、単純に
禁煙、禁煙と言うのではなくて、これは病気なんだという意識を植えつける意味で重
要だろうと私は思っております。
　それから、手術評価に関して、これも１号側の御懸念は分かるのですが、少なくと
も現状でエビデンスに基づかない物事の進め方というのはまずいわけで、これについ
ては、まずエビデンスが出て初めてそういう問題が出るので、今のところエビデンス
については否定されているということです。ということをまず我々は重視しなければ
いけないので、それが今までの議論とは違った結果が出たからといって否定されては、
これからの調査はできないし、それから、だれが調査するかということに関しては、
外保連だからというお話でしたけれども、現実的に進めるとすれば、外保連の協力を
得ずしてやることはできません。それを外保連だけに任せていいか悪いかというのは
別問題です。しかも現状で外保連について言えば、さまざまな団体から構成されてお
り恣意的なことができるはずはないので、この結果は信頼していただいた方がいいの
ではないかと思います。
　そういう点では、結論については重複しますから言いませんが、これがこのような
形でまとめられたことで、患者さんに対しても当該手術に関する実績に関しての掲示
がありますので、患者さんに対するアピールも可能であると思いますので、これでよ
ろしいのではないかと思います。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○青木委員
　I－４の丸の３つ目について意見を言います。がん診療連携の拠点とな
る病院に対する点数をつけるということでございますが、現在、医療部会で、地域医
療の提供体制について随分議論をしていただいておる最中で、がん診療の拠点病院と
いう構想も、各種の拠点病院化の中の一つだと私は理解しております。しかも、現在
がん診療拠点病院という名称すらまだ仮称だというふうに理解しておりますので、医
療法が改正されるというか、もう少し全体像がきちっと見えたときに、全体の中でこ
の部分がどうあるべきかと考えることであって、３．幾つ下がるときに、早取りをし
て考えることではないのではないかというふうに思います。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　はい。

○土田小委員長
　ちょっとお待ちください。
　実は、実はということもないんですが、この４つの項目がございますが、今日、全
部やってしまわなければなりません。最初の予定ですと、１項目１５分ぐらいかなと
考えていたのですが、もう既に２０分以上たっておりまして、このスピードでいきま
すと１時になってしまうというふうに考えられます。そこで、大変恐縮ですが、議論
はどしどしやっていただきたいんですが、的確に短くお願いいたします。対馬さんの
ときにいきなりこういうことを言って恐縮ですが、ちょっと時間が押しておりますの
で、できるだけ短くお願いいたします。

○対馬委員
　短くします。

○松原委員
　委員長、まず私の質問に対して答えていただきたいのですが。

○土田小委員長
　ちょっとお待ちください。対馬委員は第I項目だけにしてください。

○対馬委員
　それでは、I項目だけに絞ります。
　手術の施設基準ですけれども、宗岡委員がと言われましたけれども、そうではなく
て、我々１号側委員の全員の見解だということが１つと、あとエビデンスということ
ですけれども、エビデンスとして、実際これはエビデンスがないといったものについ
ての見直しまで否定しているわけではありません。逆に、一部人工関節置換術あたり
についてはやはりエビデンスがあるんだと、こういうこともあるわけですから、それ
をすべて枠組みからなくしてしまうということに対して反対している、こういうこと
であります。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　それでは、先ほど松原委員から質問が出ておりますので、医療課長、お願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　先ほど松原委員からのセカンド・オピニオンの御質問で
ございますが、セカンド・オピニオンの費用をここに評価してはどうかといいますの
は、患者さんが自分の主治医に対してセカンド・オピニオンを求めることを促しやす
い診療形態にしてはどうかということでここに書いてございます。したがいまして、
患者さんが求めた場合に、主治医が診療録の写しですとか、画像、検査データを添え
て患者さんに渡す。患者さんはそれを持って、例えば国立がんセンターに行ってセカ
ンド・オピニオンを求めると。そうすると、今のところ、国立がんセンターはセカン
ド・オピニオン外来というのがございますので、そこで患者さんはセカンド・オピニ
オンを受けて、自分のがんの診療方針を決めるか、あるいは主治医に伝えるというこ
とになります。その場合、がんセンターでは、３０分幾ら、１時間幾らという料金を
設定しておりますので、それは御自分で自費で払っていただきます。これは、そのよ
うなことで完結すると思います。
　松原委員が御指摘になったのは、そういったがんセンターのようにセカンド・オピ
ニオン外来をやっていないところ、そこに患者さんがぜひそこの先生に求めたいと言
った場合、保険証を持って初診から始まる保険診療になると思います。それはやむを
得ないと思います。

○松原委員
　ということは、セカンド・オピニオンを求められたときに、それを適切
に行うということの問題点はないということですね。

○事務局（麦谷医療課長）
　私どもではそのように理解しております。

○松原委員
　あとは、受け手側の問題であると。

○事務局（麦谷医療課長）
　私どもではそのように理解しております。

○松原委員
　分かりました。

○事務局（堀江保険医療企画調査室長）
　明細の分かる領収書の関係のことで幾つか
御議論もございましたものですから、ちょっとだけ整理させていただきたいと思いま
すけれども、大綱の方には、保険医療機関に医療費の内容の分かる領収書の発行を義
務付けるというのは、これは政府・与党の内容だったわけでございまして、それから、
診療報酬改定の基本方針の方には、医療費の内容の分かる領収書の発行を受けること
ができるよう、診療報酬体系を患者にとって分かりやすいものとする取り組みとあわ
せて、領収書の発行を義務付けることを視野に入れて行う、こういうことだったわけ
でございます。
　今回御指摘の中で、「診療報酬上の算定項目の分かる領収書を無償で交付しなけれ
ばならない」というところがございまして、そこのところの一つとして、「無償」と
いうところは、これまでも一つの議論としてあったのでそこを明確にしたことと、そ
れから「診療報酬上の算定項目の分かる」というところは、医療費の内容の分かると
いうところの抽象度という部分がなかなか概念があまりはっきりいたしませんで、こ
れは行く行く療担規則の中で義務付けをしていこうというようなことからすると、こ
ういう方がかえって具体的にできているのかなというような観点も含めて書かせてい
ただいているところでございますし、それから「患者から求められたとき」という部
分は、患者の求めに応じてということでございますので、患者さんの求めがあれば当
然に出していただけるようにするというようなつもりで書かせておいていただいてお
ります。
　それから、コストの点につきましては、直接的にこれは無償の取り組みとして義務
化するわけでございますけれども、医療費のＩＴ化に関する評価の中で、「算定項目
の分かる領収書の発行」も一つの要件としつつ、ＩＴの加算というのができるような
仕組みというのも今回盛り込ませていただいているところがIII－６にございますが、
後ほどまた御議論いただきたいと思います。

○大内委員
　先ほどの生活習慣病のお話でございますけれども、先ほど松原委員の方
から包括というお話もございました。言うならば、適正な診療報酬ということの観点
もあるわけでございまして、そういうことからしますと、生活指導管理ということで、
患者がドクターとの間の中で指導管理ということを認識をしないままに請求をされて
くるということが、やはり患者としてはなかなか納得できない。
　その辺で、私もちょっと調べてみたわけですけれども、聞いてきますと、お酒をち
ょっと控えなさいよと、そういうことを後で追及をしていったら、それが指導管理料
だと、こういうお話になっていまして、それは、ここの中で療養計画書ということが
きちっと示されて、それでもって指導管理をしていただけるのだったら、それは支払
いをするということはやぶさかではない。ただ、そういうこともないままにそういう
ことまで請求をされてくるということについては、これは診療報酬の適正化というこ
とから考えますと、ぜひそういう形で取り組むべきだろうというふうに思っています。
　以上です。

○松原委員
　一言だけ。患者さんに治っていただくために、あるいは維持するために、
私どもはいろいろな計画を立て、そして、どのようにしたらいいかということを十分
に考えた上で、その中で必要な指導を行うわけです。そのところで、指導を行った、
行わないというものではなくて、むしろその患者さんがどのようにしたら健康を保て、
取り戻せるかということに主眼を置いて治療をしているわけでございますので、その
中の一つのツールとしてこういうことをしていただきたいと申しているわけですから、
そのあたりは御理解いただきたいと思います。
　そして、お酒を飲むのを控えろとおっしゃったというので何点という話ではなくて、
その方が健康を維持するためにどうしたらいいかという中の１つの項目としてそう申
しているわけでございます。いろいろな話を私どもは診察していて行います。いろい
ろな話をした中で、そうか、これはお酒を飲むなと言ったことでこんなに取られるん
だという話ではございません。全体的にその方が健康を維持するためにいろいろな話
をして、その中の１つとして必要なことを申し上げているわけで、その１個だけで取
っているわけではございませんので、そこは御理解いただきたいと思います。

○土田小委員長
　それでは、Iの項目については意見がほぼ出そろったと思います。
　次のIIの方に移らせていただきます。次は、「質の高い医療を効率的に提供するた
めに医療機能の分化・連携を推進する視点」ということで、６項目ございます。
　これにつきまして、それでは、先ほどと同じように、１号側から御意見、御質問等
ございましたら、どうぞ。

○松浦委員
　私は、今回は、病院の管理者としての立場からの発言をさせてもらおう
と思います。
　「II－２　初再診に係る評価について」、「病院及び診療所の機能分化及び連携を
推進する観点から、２００床以上の病院において、他の病院又は診療所からの文書に
よる紹介なしに初診が行われる場合については」、「大幅に引き下げる」、こういう
文言が入っております。私は、これはどういう理論を組み立てて反対しようかと思い
まして、実は夕べ、あまり眠れなかったんです。
　私は当然病院の院長にも命じまして、今の市立病院の実態と、こういう方向になる
ぞということについてどういう危機感を抱くか、こういうことをまとめさせてもみた
のです。これは読みますとまた時間が足りませんから、ざっと申し上げますけれども、
まず、これをやりますと、病院への受診が抑制されて、多くの病院は外来収入減とな
る、これが１つです。外来患者が減少して、一見勤務医の労働が軽減されそうである
けれども、実際には収益が低下した職員を引き続き確保するほどの体力がある病院と
いうのはそうたくさんはないだろう、こういうこと。それから、勤務医の所属機関自
体の存在を脅かす。我々は、むしろ開業医の先生方よりも勤務医の方が冷遇されてい
るのではないか、そういう視点からずっとここで議論してきたつもりですが、これが
入りますと、その根底を揺るがしかねない、こういう危機感を持っているのです。も
う１つは、患者の希望、患者が行きたいというところに行けなくなる。そういうイン
センティブが働くようなものが果たしてこれからの日本の社会に対する合理的なもの
なのかどうか、こういう問題です。
　私は、こういうところから考えまして、特に私のところは、院長は小児科なんです。
小児科の夜間診療もずっとやっているわけです。それでは、小児科の診療所が幾つあ
るかというと、２つしかないんです。産婦人科もやっているわけですが、産婦人科は
診療所は１院しかないんです。そういうところから行って紹介を受けてくる、こうい
うような流れを仕向けていくということが現実的なのかどうかということをぜひお考
えいただきたいし、そういう点から、私どもはぜひ石井先生の意見も聞いてみたいの
だけれども、絶対にこういうことは私は反対をいたします。むしろ２００床という切
り口から議論するのではなくて、例えばこういう診療科目についてはこういうことも
合理的でしょうと、診療科目の切り口からむしろ見る、そういう視点も必要ではない
か、そういう気がしておりますので、強い意見を申し上げておきます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　２号側として非常に心強かったのではないかと思いますが、１号側でほかに御意見
ございましたら、どうぞ。

○対馬委員
　二、三です。簡単にします。５ページ目の下の方の、冒頭もちょっと申
し上げましたけれども、「在宅療養支援診療所」についてですけれども、中小を中心
に病院の先生方でもこういった活動をされている方も随分もおられるというふうに伺
うので、なぜ診療所だけなのかということ、それから、こういった仕掛けが本当に機
能するのかどうかというところが懸念されているというのを１点申し上げたい。
　それからあと初診料の問題、８ページ目です。松浦委員が言われたのは、私も同様
に、今回大幅に引き下げるというところは、まだ議論もされていない中では書き過ぎ
ではないかと、こういうふうに思います。
　それから、８ページ目のその次の初診料と再診料の関係ですけれども、初診料は点
数を統一して、再診料は格差を是正するというのは、これはどうも考え方がよく分か
らない。全体的に統一する方向である。ただし、全体の点数というのでしょうか、財
源というのでしょうか、そういう中において必要な調整を行うということであればよ
く分かるのですけれども、ちょっとここの考え方が分からないので、いかがなものか
と、この２点です。

○松浦委員
  すみません。ちょっと私のところのいわゆる紹介率ですが、小児科が３．
８％、婦人科が９．９２％、ほとんど飛び込みでやってきておるわけです。そういう
ことの実態もあるということをぜひ御理解いただきたい。

○宗岡委員
　繰り返しを避けますけれども、最初のII－１の在宅医療のところの「在
宅療養支援診療所」の件ですけれども、２４時間往診が可能な診療所というのは現実
的にはなかなか難しいと思うのです。そうすると、恐らく何人かの方とか、あるいは
ほかの病院と連携するとか、何か形をとらないと、２４時間一人の人がやっていたら、
もう身がもたないはずですよね。そう考えると、診療所だけに限定するということに
そもそも無理があるのではないか。紹介だけして終わるというだけのこういう診療所
では困るわけで、そういう意味でも、病院との関係をもう少しよく整理する必要があ
るのではないかというふうに思います。
　それから、初再診の問題ですけれども、１号側からこれだけ強い反対が出るという
のは極めて異例なことかもしれませんけれども、いずれにしても、全体として唐突の
感があったということもありますので、やむを得ないと思うのですけれども、枠組み
としては、やはり双方ともその初再診の点数格差をなくしていくということによって
解決をするということと、もう１つは、やはり全体として病診ともに包括化すること
によってこういうことを下げていくというふうなことも一方で必要だろうということ
をあえて申し上げたいと思います。
　それから、８ページにありますＤＰＣについては、全体として前進しているという
ことで評価をしたいと思います。
　以上です。

○土田小委員長
　ほかに１号側、よろしいですか。
　それでは、先ほど１号側から「在宅療養支援診療所」について質問が出ましたが、
これは後でまとめて答えてください。
　それでは、２号側で。

○松原委員
　まず、この松浦委員から心強い意見なのか心強くない意見なのか、非常
に難しいところでございますが、御意見いただいたのですが、これが出たのは、結局、
大きな病院の外来が大変忙しくて、その結果として、病院に勤めている先生方が疲弊
するという現象が一部確かにあります。これに対応するにはどうしたらいいかという
ことでございますが、私も、本当にこれをしてそれが改善されていくのかどうか、非
常に疑問に思っております。むしろ混乱を起こすだけではないかという問題がござい
ます。特定療養費を取れるとしても、自治体の病院の中には、なかなか議会が通らず
に、これが徴収できないところも多いように思います。その中で、制度としてこれを
入れて特定療養費を拡張することについては、甚だ疑問に思っております。
　ただ、初再診につきましては、これは私は何度も申し上げておりますが、甲乙一本
化のときに、病院に入院料を手厚く給付するということを実行した見返りとして、こ
の差が大きくつくっているわけございます。もしこれを一本化するのであれば、当然
病院の入院給付費のところをかなり削らねばなりません。しかし、マンパワーが重要
な病院の入院基本料のところを現在でもマイナス改定の中でさらにこれを戻すために
マイナスすると、私はこれは非常に危険ではないかと思っておりますので、こういっ
たことを一括して今回できる話ではないというように思っております。
　また、初診料・再診料というものは、診療所にとっても、また外来をやっている病
院にとっても非常に基本的なものです。この中に、実際のところは事務員の給料も入
りますし、簡単に言えばボールペン一本の費用も全部入って含まれているわけでござ
います。そういった基本的なものに、ドクターフィー、あるいは、ここで外来で働い
ていただいている他の職種、看護師さんや事務員の方の給与もここですべて出してい
るわけでございます。最もフレームとして基本的なところをあまりいじるということ
は、私は断固として反対でございます。ここのところを下げれば、１号側としては、
費用を安くという気持ちは分かりますが、私ども専門家としては、建物の鉄筋をどん
どん抜けとおっしゃっているようにしか聞こえません。あくまでも非常に基本的なと
ころでございますので、十分に御理解いただきたく思います。
　初診料・再診料を合わせろという話については、私たちはもともとのところを改善
して、入院基本料のところの修正を行わない限りできないと思っておりますし、一遍
にラジカルにやりたいとおっしゃっているわけございますが、無理だと申し上げてい
るわけでございますし、再診料を引き下げることも反対でございます。また、初診料
引き下げも、もちろん反対でございます。
　さらに、ＤＰＣにつきましては、先ほど申しましたように、調整係数のところでも
う少し厳格に運用していただかないと適切な費用にならないと思っております。先ほ
ど統計の課長から報告がありましたように、実際問題として、数字を見ていても私た
ちが見ている限り、５％弱の乖離がございます。ここのところを修正していただくと
申しているわけでございますが、この点に関しましては、不思議なことに、私どもが
引き下げろと、１号側はそのままにしろとおっしゃられるわけでございますが、適切
な形にしていただかなければならないと思っております。結論は、調整係数をもう少
し厳しく見て、そこのところの対応をきちっとしていただかなければならないと考え
ております。
　また、リハビリテーションの件でございますが、これにつきましては、ぜひ整形外
科医会と臨床整形外科医会、リハビリ学会の了承をきちっと取りつけているのかどう
かをお聞きしたく思います。リハビリテーションについて適切に行いませんと、整形
外科の先生方が行っている患者さんの求めに応じた痛みを取る処置、あるいはリハビ
リによって筋の萎縮を予防する処置ができなくなってしまいます。患者さんは、痛み
があるからこそ、そういった診療所に来て何とかして治してほしいとおっしゃるわけ
でございますので、それを完全に閉ざしてしまうこと自体は非常に危険なのではない
かと思っております。やはり、消炎鎮痛処置の対応等を含めて、これを十分に御議論
いただき、対応していただかねばならないのではないかと思っております。
　以上です。

○石井委員
　まず、在宅医療に係る評価についてですが、「在宅療養支援診療所」の
機能を評価する、これは私も大賛成です。ただし、この２４時間というのは、これま
でもこの辺の問題がありまして、それは、自分のところで２４時間できなければどこ
かと連携してという要件であります。実は病院は診療所の先生から、これの連携施設
になってくれという申し出が随分あります。病院はときにはその求めに応じているわ
けですが、そうなるとこの場合は、そういう在宅医療機関はいいのですが、その連携
する方のもう１つの診療所であれ、また病院であれというところについての評価をど
うするのかについては、これに全く書かれていないので、これについてもどうするの
かということを考えていただかないと、昼の在宅医療はやるけれども夜はどこかに全
部お任せということですと、夜だけ任された方はたまったものではないので、そっち
は全然評価しないとすると、やはりそれは断るという形になってきます。自分のとこ
ろでやるのが原則なんだということになってきますと、実際上の連携をむしろ阻害し
てしまうので、ここら辺の評価も含めて、実際、実効力がある体制について御提案を
いただきたい。
　それから、初再診に係る評価についてというのは、これ、内容に関しては、ここに
出されているのは、２００床以上においてという内容は、我々は絶対に反対です。た
だ、反対の理由については、経営的なということで議論すべきではないという点で、
１号側の委員とは多少反対の理由は違います。
　第１に、何といっても特定療養費の拡大ということが一番問題だと思います。実質
上、特定療養費を強制するということですので、患者の選択によるという建前である、
選定医療として書かれていた特定療養費が、完全な「混合診療」として、診察料の
「混合診療化」という形になります。実際上は、紹介がない患者さんが相当多くおり
ますし、患者さんがけしからぬとか、患者さんの選択だとは言えない面が地域医療と
いう点で確かにあります。おっしゃるとおりです。我々の近辺にも、比較的東京に近
い私の病院でも、ある特定の科についてはそういうことが言えます。
　それからもう１つは、病院、やはり入院が必要という場合には、開業医のところに
行って、それから病院に行くとはならないで、自分が入院が必要だと思うときに病院
を選択して行く、この選択が、あまり間違った選択ではないのです。これはこれまで
のいろいろな研究でも、日本の患者さんは、インテリジェンスが高いといいますか、
売薬か診療所・病院に行くか、各々自分でチョイスしているのが結構国際的なスタン
ダードからいっても適切であるというデータもありますので、直接病院に行くのは、
自由選択とはやはり言えないだろうと思います。一概にこういうふうにやってしまう
と、特定療養費を強制するのか、または、多くの市立病院や、地域病院の場合には自
費を取ることが非常に困難だという現実がございますので、むしろ病診の機能分化を
促進するための施策が逆になって、、初診は病院にということを強める形になってし
まうことが十分に考えられます。
　そういう点からいうと、この特定療養費の無原則の拡大であると同時に、現実的な
機能分化には実際上寄与しないのでこのような形での扱い方はやはり誤りであろうと
思っております。
　それから、初再診の点数格差について、これは病院団体としては同じ技術であるの
で、基本的に一本化の方向という、意見を持っております。ただし、これまでの格差
が非常に大きいわけですから、診療所で大きく下がるので、この分については、慢性
疾患の指導とか、診療所が中心になって行うべき診療の点数を増加させる等々で調整
は可能だろうと思いますので、基本的には一本化の方向を進めていただきたいと思い
ます。
　それから紹介率の問題ですが、これは今回は紹介率による加算の廃止という形で出
されました。我々は病院団体としては、紹介率による加算の廃止ではなく、紹介率の
計算式の改善ということを要望いたしておりました。なぜかといいますと、紹介率に
は、問題があり病診連携にどの程度寄与しているかは必ずしも明らかでないのはその
とおりです。しかしながら、紹介による病診の連携を推し進めるという点と、救急医
療をどんどんやっていくことによって急性期病院の機能というものを評価するという
意味では一定の寄与をなしていたことも、また間違いありません。ですから、どの程
度か分かりませんが、これを廃止するというのは、そういった機能を評価しないとい
う方向であるという形になりますとやはり問題です。しかも、これまで昨年からの議
論の中でもって、今急性期の病院、救急をやっている病院で非常に負担が多くなって
いることが指摘されています。そういう中で、急性期をどう守っていくかが一つの問
題だったのですが、この紹介率による加算は、実際上は急性期加算、急性期特定加算
という、急性期病院の入院に対する評価なのです。ですから、これを外来の紹介率と
連動させるのは確かに無理があるのですが、そういった病院の急性期の機能をここで
担保されていた加算が廃止されると、現実に救急の引き受け、それから紹介での重症
のその日の入院とか、そういった現実的に機能しているものについては評価をしてい
ただかないとまずいのではないかと思います。
　それから、ＤＰＣに関して言いますと、先ほどから１日当たりの単価ということは
問題にされていますが、在院日数についての格差については何もここでは議論されて
いないので、その両者を見ないと、このどちらが高いとか低いとかは言えないので、
やはり同じ疾病において１入院当たりで果たしてどちらが高いのか低いのかを見ない
と、これの評価はできないのだろうと思います。ですから、そういうことを論議する
のでしたら、そういう分析を含めて議論していただきたいと思います。
　それから、それに関連しまして、ＤＰＣにおける調整係数ですが、ここで「他の診
療報酬点数の引下げ状況を勘案し、調整係数を引き下げる方向で検討する」と書いて
ありますが、これは非常に不十分だと思います。なぜならば、今回の改定において、
確かに全般的には調整係数が引き下げられる、これはもう当然引き下げられるわけで
す。一つ一つの項目についてどう影響があるかということについてやって引き下げら
れるので、このことに関しては、我々は別に何も文句を言うつもりはありません。
　しかし、例えば小児については重点的に評価するというようなことがありますので、
小児病院等については必ずしも調整係数が低くなるという方向で行くとは限らない。
むしろ高くなる可能性があるわけです。今回については、どうしても必要なところに
ついては引き上げ、そして全体的には引き下げるということである以上、引き下げを
勘案し、調整係数をやはりそれに合わせて調整するということだったらいいのですが、
単純に引き下げるとなると、小児病院まで引き下げるということになりますので、こ
ういったことについては、やはりもう少し個別に考えていただいて、一般的な調整係
数として議論すべきではないだろうと思います。
　以上です。

○青木委員
　まずリハビリテーションのことですが、今松原委員が申し上げましたが、
基本的には維持期のリハというものが担保されていない状況になっておると考えられ
ます。ですから、維持期のリハというものの観点で再考をお願いしたい、こういうこ
とでございます。
　続いて、日本精神科病院協会の要望について申し述べておきます。ページ１１、２
つ目の丸でございます。「精神療養病棟入院料１について、医療法上の人員配置標準
を満たさない場合の評価を引き下げる一方、満たす場合には現行の評価水準を維持す
る」。このあたりについて、激変がないということは大事なことだと思いますので、
その点を、激変がないということについて御配慮をお願いしたいと思います。それか
ら３つ目の丸、精神科専門療法の２つ目のぽつですが、「精神科作業療法について、
入院後早期の評価を引き上げ、それ以降の評価を引き下げる。」ことについては、財
政イーブンで行っていただくことを希望いたします。あと、重度認知症デイ・ケアに
ついて、介護の方にというお話でございますが、このことにつきましては、できるだ
けここにとっておいていただきたいということでございます。以上が、日精協の要望
でございます。
　１２ページに参ります。「II－６　その他」、これは私どもの意見でございます。
地域連携クリティカルパスを活用するというようなことについての評価でございます
が、このことは、医療計画上は２年後の平成２０年をめどに実施するということがほ
ぼ決まっておることでございますので、現時点でやはりここに取り入れてくるのは理
屈に合わないと私は思います。ですから、これは時期が早すぎるということで、ない
方がいいのではないかと考えます。
　もう１つ、１つ飛んで３つ目の丸ですが、「臨床研修病院に係る評価を充実する観
点から、評価を引き上げる方向で検討することとしてはどうか。」ということであり
ますが、臨床研修病院は、ある意味では、現在、研修生も集まって、経営的にも医療
経済実態調査においても一番余裕のあるところだというふうに考えられます。この、
同じことを何回も申しますが、３％下がるときにつける話ではない。もっと切実なと
ころがいっぱいあるという意味で、これは悪いことではないわけですが、これも加算
はやめにしたらどうかというふうに考えます。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○山本委員
　在宅医療に係る評価の部分で、診療報酬に係る部分ですので、私どもが
あまり申し上げるべきことではないのかもしませんが、現状だけ御理解いただきたい
のは、この５ページから始まりますII－１に書いてある部分を拝見しますと、確かに
さまざまな新しい仕組みがつくられていくわけでありますけれども、そうした仕組み
をつくる場合に、現状、現実に地域の中で在宅医療を提供する場合には、医薬品の供
給をどうするのだという議論が必ず出てまいります。ここには薬局というものは出て
きませんが、現実に薬局から患家へ訪問して薬剤管理指導しているというケースもご
ざいますので、そうしたことを踏まえて考えると、連携先として薬局というものも実
際にはあるわけですので、そうした点も御考慮いただきたい。医療部会等の議論の中
で、ターミナルケアであったり、あるいは在宅であったり様々な場所での医療提供体
制の中で、薬局の役割というものが議論されておりますので、こうした新しい仕組み
をつくる場合には、そうしたものを十分に考慮した仕組みをつくっていただきたいと
思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○岡谷専門委員
　在宅医療のところなのですけれども、先ほどから御意見がいろいろ
出ているのですが、私もこれを見て、この「在宅療養支援診療所」というのが仮称で
初めて出てきておりまして、これがどういった機能を有していくのか。特に訪問看護
との関係の中では、この「支援診療所」が関連していれば評価を引き上げるとか、そ
のようなことが書かれておりまして、それが具体的にはどういうことなのかというこ
とがよく分からないことと、それから、訪問看護で言えば、病院などが訪問看護ステ
ーションを併設していますが、そういう場合に、病院はこの「支援診療所」に該当し
ないというようなことになると、その病院の入院患者さんを対象にして、その病院の
診療圏の中で訪問看護等を、在宅医療を推進しているような訪問看護ステーションの
訪問看護療養費というのはどういうふうに影響してくるのかというようなことがあり
ますので、そういうところをもう少しきちんと議論をしていっていただきたい。それ
から、緊急の場合に、往診または訪問看護で加算を新たに設けるということで、これ
も、この緊急の訪問看護に対する加算というのが、どういったようなことが算定要件
になるのかというようなこともまだ分からない状態ですので、そういったことも明ら
かにしていっていただきたい。

○青木委員
　このいわゆるスーパー在総診の考え方ですが、基本的には、開業の先生
方が昼間だけ診療をして夜間働いてはいない、そのしわ寄せが病院に行っているとい
うような今の日本の事態、こういうものを何とか開業の先生がしっかり夜も働けと、
こういう意味でつくり出した一つのシステムだと。だから、看取りの段階で、夜間に
病院の先生だけ行って、この主体になっている診療所の先生がそこには行かないのだ
ということになったら、その点数は当然いただけないのだし、そういう実績が少なか
ったら、これは診療所、全くだめではないかという話になる話なのです。ですから、
そういう観点でこれを見ていただくということが私は正しいのではないかと思います
が、課長さん、どうでしょうか。

○土田小委員長
　それでは、大体１号側、２号側の意見が出たと思います。

○松原委員
　ちょっと待ってください。私は、これ今回この単語、初めて突然出てき
たのでびっくりしているところもございますが、概念としては、今現在開業医の中で
最期の看取りまで責任を持ってやっている先生はかなりいらっしゃいます。グループ
を組んで行ったり、診療所・病院と連携してやったり、看護ステーションと連携して
やっている。大変努力している、看取りまで頑張れる診療所のメンバーを応援する意
味で、厚生労働省からこういったことが出てきたのだなと理解しておりますので、こ
れは私は適切なのではないかと思っております。こういった、どういう見方かという
点において、開業医がそういうことをしていないと、けしからぬと、今青木委員から
御指摘がございましたが、実際上はやっております。それをさらに応援して、最終的
に、患者さんの個人の尊厳を保つべく、どうしても在宅で最期亡くなりたいとおっし
ゃる人をどうやってサポートしていくかという一つのツールとして御提案いただいて
いるのであれば、その方向で理解したいと思っております。
　また、これは前回松浦委員から御指摘があった項目ではないかと思いますが、国家
公務員給与の調整手当の支給地域でこれをやり直すということは本当によろしいので
しょうか。私は、国家公務員の給与ですべてが決まるわけではないので、少し問題が
あるのではないかという認識を持っております。こういったことが診療報酬の中で適
切に評価されていかねばなりませんので、そのあたりはまだ議論が要るのではないか
と思っております。
　それから、私の先ほどの質問、今回のリハビリテーションはまだ不備なのではない
かと思いますが、ぜひそれについてお答えを願いたいと同時に、必ず学会の了承の下
に行っていただきたいと思っております。

○土田小委員長
　以上、意見が出ておりますが、質問が２つほどございます。課長、
よろしいですね。

○事務局（麦谷医療課長）
　まず、在宅医療の御質問で、書きぶりがなかなか詳細に
具体的に書いてありませんので誤解を招いたかと思います。在宅療養を行う診療所と
いうことで、窓口機能をここに持たせようということで、この名称ももちろん仮称で
ございます。したがいまして、この「在宅療養支援診療所」と、なぜ病院ではないの
かという御質問でございますが、これは診療所もしくは有床診療所、これは患者さん
から見て、どこが窓口として一番いいかということでございます。多くの患者さんに
とって身近にある診療所あるいは有床診療所がいいのではないかということで、そこ
を窓口にするということであって、病院の連携、病院の介入、病院の手伝いを妨げる
ものではありません。電話は２４時間そこで受け付けますが、そこから行く人は必ず
しもこの「在宅療養支援診療所」の従業員といいますか、医師・看護師でなくてもい
い。連携した病院の方々の往診をもちろん妨げるものではございません。
　それから、先ほど岡谷専門委員からも御指摘ございましたが、これも、この診療所
を窓口にするということでありまして、病院に併設された訪問看護ステーションの訪
問看護を妨げるものではありませんので、あくまでもこれは窓口機能をここに持たせ
るということで、名前が悪ければ、どうぞ変えていただいて結構ですし、窓口を明ら
かにするような名前であれば、私どもは何でもいいと思っております。それが「在宅
療養支援診療所」のお答えになっているかと思います。
　それから、初再診でございます。事実だけを簡単に申し上げますと、例えば２００
床程度の自治体病院の今の初診のお金というのは２，５５０円だと思います。そうし
ますと、２，５５０円の３割負担が当然生じますが、今度どうなるかと申しますと、
新しい点数は決まっておりませんが、自治体病院に市民が初診で訪問することは全く
妨げるものではありませんが、何も紹介状がなくて手ぶらで自治体病院に行った場合
は、従前よりも２，０００円ほど余計に払っていただくと、いうことだけでございま
す。近所の診療所に行く必要はなくて、自分で、とにかく自治体病院に最初から行き
たいのだと思った方は、今までよりも２，０００円余計に払っていただくというふう
に御理解いただきたいと思います。それがいいかどうかは別ですが。
　それから、初再診のことはちょっと省略いたしまして、リハビリテーション関連で、
学会でございますが、これは御指摘の整形外科学会、それから臨床整形外科医会、運
動器リハビリテーション学会等々とは当然協議をしておりますし、最終的な点数の形
態につきましては、このような学会と話をして了解をとりたいと思っております。

○松原委員
　私は、このもう１つ、集団療法を果たして簡単に廃止していいのかどう
かということについて、ぜひ十分に学会と打ち合わせていただきたいと思います。私
はこれを廃止することには反対でございます。

○松浦委員
　ちょっと一つ。今課長さんが坂出市立病院にどうしても行きたい人はと、
こういうことをおっしゃったのですが、私は先ほども申し上げましたように、小児科
の場合はないのです。だから、紹介率が３．３％というような状況なのです。だから、
これは地域によっていろいろあります。小児科というのは、今厚労省でも少子化問題
は非常に頭を抱えて全庁的に取り組まなければいけない問題ですよ。そういう問題を
抱えながら、その一方で、働く、本当の今子供をつくる適齢期にあるその皆さん方に
そういうふうに負担を求めていくというのは、これは厚労省の方も、政策が一貫して
いないと思いますよ、こういうことやったら。だから、私はこれをあえて強く申し上
げて、もっと調査の仕方があると思いますので、調査をして、それで、どうしてもこ
の方法でなければいかぬという結論になるのならあれだけれども、今回の改定には僕
はもう含めるべきではないと思います。これから２年かけて次回の改定にというので
あれば、調査はいろいろ方法があると思います。先ほど申し上げたように、例えば診
療科目が、特定療養費制度の初診料を対象とすることによってどう変化していってい
るか、こういう調査もすれば、おのずからまたそれに従った糸口も見出せると思いま
すので、私はぜひひとつ、このことについては、あえて坂出市立病院という声がござ
いましたので、ちょっと反論をさせていただきます。

○事務局（麦谷医療課長）
　固有名詞を申して申し訳ありませんでした。おわび申し
上げます。
　説明がちょっと足りなかったのですが、一つのある病院の周囲に、その紹介状をも
らう診療所がないといったような場合については、別途考慮するようなことを考えて、
それをしゃべらなかったので、すみません。

○松浦委員
　いや、私もこれはしゃべらなかったのですけれども、それでは門前診療
所をつくるのですか。

○事務局（麦谷医療課長）
　いや、そういう短絡的なことではなくて、そのような、
自分の家の半径何キロに紹介してもらう診療所が全くないというところがありますの
で、そういうようなものについては考慮するというようなことを考えておりますので、
詳しくはまた、そういう紙を出して御説明したいと思っています。

○松原委員
　今、門前診療所という単語が出ましたので申し上げたいのですけれども、
やはり同一経営者が経営のためだけに門前診療所をつくるということは大きな問題で
ございますし、やるべきでないと思いますので、ぜひ厚生労働省としても適切に対応
していただきたく思います。これは以前、門前薬局のところで、同一の経営者ができ
ないような形にできたわけでございますので、なぜそれをきちっとされないのか、ぜ
ひしていただきたいと思います。

○松浦委員
　それから、今やはり課長さんの発言を聞いていますと、いろいろなこと
をやってでもとにかくやっていくのだというのは、僕はこの「２００床以上」という
ような言葉がこれはどうも気にかかるのですよ。２００床というのはどこに根拠があ
るのか。これは、それでは２５０床にしますというような問題でもないのです。１８
０床にしますという問題でもないのです。こういう切り口でやるというのは、この日
本の医療にとって極めてまずいですよ。もっと理論的に、さっきも言ったように、せ
っかく特定療養費に初診料を絡めていったのですから、それによってどういう変化が
起きているかというようなことも調べながらやる方が私は学問的でいいと思います。

○土田小委員長
　同じような発言が先ほど石井委員からもございました。検討させて
いただきたいと思います。
　それでは、IIIに移ってよろしいでしょうか。「III　我が国の医療の中で今後重点的
に対応していくべきと思われる領域の評価の在り方について検討する視点」というこ
とで、大分項目が多いのですが、８項目ございます。
　これについて御意見を伺いたいと思います。１号側委員。

○宗岡委員
　幾つかまず申し上げたいと思います。１つは、１４ページのところにあ
ります急性期の評価の問題で、看護配置の問題ですね。これは、従来から、メリハリ
をつけて看護の機能に応じて評価をするということで発言させていただいております
ので、マクロ的には結構だと思うのですけれども、区分Ａの例示がありますけれども、
それ以外のところがどうなるかということについての事務局の見解をお聞きしたいと
思います。
　それから、有床診療所について書かれているところがあります。これについて、
我々何回か申し上げておりますけれども、有床診療所については、実態の詳細につい
て我々まだよく把握させてもらっていないと。したがって、有床診療所はどういう役
割を果たしているのか、どういう機能を果たしているのかということについて、しっ
かりと調査をした上でこの議論をすべきだろうということをずっと主張しておりまし
て、そういう観点からいいますと、そういう議論を終えて、評価をしっかりした上で、
有床診療所を十把一からげ全部という議論ではなくて、有効な有床診療所に光が当た
るような構造でこれをやっていくべきだろうということを申し上げたいと思います。
　それから、１５ページのところにIII－６のＩＴ化がございますけれども、これは先
ほど領収書のところで申し上げた内容と全く同じでして、１行目にあります「個人情
報の保護に配慮し」とか、そういうことがブレーキになってくるということがないよ
うにと思います。ｅ－Ｊａｐａｎの構想の中で政府のＩＴ戦略会議でも、この情報の
セキュリティーの問題についていろいろ研究をしていらっしゃいます。そういうとこ
ろも含めて、全体として診療内容が患者に明示されるということを目指して努力して
いくべきだろうということをあえて申し上げたいと思います。
　以上です。

○小島委員
　では、私も簡潔に幾つか。１２ページの小児医療について、これを重点
化するということで、これまでの議論してきた内容が反映されていますので、おおむ
ねこういう方向でいいのではないかと思っております。
　１３ページ、それに引きかえ産科医療については、見直しの方向が１つしか増えて
いないといったようなことがあります。確かに今正常妊娠・分娩について保険適用に
なっていないということで、診療報酬上の見直しというのは、少ないということなの
でしょう。今回指摘されているようなハイリスクの分娩に対し診療報酬上の新たな評
価を行うということであれば、これまで勝村委員が何度か指摘しているように、分
娩・出産に伴うさまざまな事故が起こっておりますので、利用者がその医療機関を選
択できるような情報を院内に掲示すべきです。出産の件数、陣痛促進剤の使用頻度、
あるいはハイリスク等の手術件数といったようなことについて院内掲示を義務付ける
ことがまず必要ではないかと思います。
　それから、１４ページのところのIII－５の２つ目の丸、有床診療所の問題、これに
ついても何度か発言をしてきております。そもそも有床診療所の４８時間規制をなく
すということ自体が問題だと指摘をしております。宗岡委員も実態を把握して慎重な
検討が必要だということでありますので、どうしても４８時間をなくすということで
あれば、有床診療所の短期入院ということの特性を十分踏まえ、短期入院を評価をし
て、長期入院については、思い切って引き下げというメリハリが必要だろうと思いま
す。
　それから、次の１５ページのIII－７のところの医療安全の点です。これの評価につ
いて、「医療安全管理者を専任で配置し、組織的に医療安全対策を実施している場合
の加算を新たに設ける方向で検討する」ということになっています。しかし、単に専
任を配置しているということだけでは不十分だと思います。実際に具体的に医療安全
対策をどう実施しているのか。例えば安全対策方針を策定して、それに基づいて行っ
ていることを届け出るなどを前提にしない限り、新たな報酬をつけるのは問題がある
と思います。
　それから最後、１６ページのIII－８、脳死による臓器移植について、これは全く新
たな課題であります。これについては、今の実態を十分把握した上で、本当に保険適
用にするかどうかを慎重に検討する必要があると思っております。

○土田小委員長
　１号側、ほかにございますか。

○宗岡委員
　ちょっと繰り返しになりますけれども、申し訳ございません、時間のな
い中で。１５ページのＩＴ化のところの書きぶりなのですけれども、１行目に、「個
人情報の保護に配慮した診療報酬明細書のＩＴ化」で切ってありまして、その後、
「及び診療報酬上の算定項目の分かる領収書」というふうになっております。私ども
が終始一貫して申し上げておりますのは、領収書も診療報酬明細書がついたものとい
うふうに申し上げておるので、この２つが別のものとしてかかっていること自体にも
我々は大きな違和感を持っているということをあえて申し上げたいと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　それでは２号側で。

○松原委員
　今の領収書と請求書という話でございましたが、請求書と領収書は全く
違うものでございます。そこのところが十分に御理解いただけていないのではないか
と思っておりますので、先のところに戻りますと、それなりのものを出す以上は、無
償ということ自体も考え直すべきだと思っておりますし、そういったことについて、
十分対応ができないのに義務化するのは反対だということと同時に、このＩＴ化につ
きましても、前回ＩＴ化することについて診療報酬の点数をつけるかつけないかとい
うところの話が終わっておりません。私どもは、こういったものはあくまでも国の政
策として、別予算、あるいはどうしても１号側がこれを推進したいと言うのであれば、
別会計で行っていただきたく思います。というのは、１人について何点という形でこ
れを対応することは本来無理でございます。例えばＩＴ化をする上で、そこの投資と
いうのは、一診療所・一病院において行われるものであり、数のものだけで決まるも
のではありません。どの病院もどの診療所も、それを置かなければ仕事になりません
ので、患者さんが来られようと来られまいと、それだけの負担をしなければならない
という点がございます。
　さらに、診療報酬明細書には病名がありますので、これは最大に注意しなければな
らない個人情報でございます。この保護が十分にできずにインターネットで使うとか、
そういったもので対応するとかということは、前回主張しましたように、絶対に無理
でございます。現在介護保険で、ＩＳＤＮで専用回線で送っているわけでございます
が、そういったものにおいても、さらに診療の医療に関しては病名が入るわけでござ
いますので、病名を抜いて請求をしてよいとおっしゃるのであれば、それはまた考え
ますが、しかし、病名があって個人の名前がある以上、最大限の守るべき個人情報だ
と私は思っております。全体的にこのＩＴ化において診療報酬の点数をつけること自
体、私は認められないと思っております。
　さらに、急性期の入院医療に係る評価でございますが、１．４対１と、端数が非常
に変な数字でございます。あとは１．５とか２とか３とかになっている。これは理由
があるのだと思いますが、やはりここのところは、この比率においても十分に検討し
た上でお決めいただかなければならないと思います。
　さらに、再診料・初診料のときの話でしましたように、当然それをフラットにする
ような方法で考えるのであれば、もともとここに上乗せしたものを戻していただかな
ければフェアでございません。そういったものを御理解いただいた上で対応しなけれ
ばならないと思っておりますし、今回大変なマイナス改定でございますので、これを
あまりに過度に行いますと、私は医療の安全が損なわれるのではないかと思っており
ます。
　ただ、１．４対１あるいは１．５対１の看護ができることについては、前回も私は
申しましたように、重症な方に十分な介護が、看護が給付できることが当たり前のこ
とでございますので、その対応をするのは賛成でございます。
　また、有床診療所につきましては、この前十分に御説明したつもりでございますが、
やはり十分なものがないと、また委員から御指摘がございます。私たちとしては持っ
ている資料と、そしてあるべき姿としてお話ししたつもりでございます。特に有床診
療所は地域で頑張っております。その有床診療所の頑張りを評価するということでご
ざいますし、短期入院をさらに手厚くするということにつきましては賛成でございま
す。さらにこれを１人でなく２人で対応するときに非常に点数が低うございます。こ
れも十分に御理解いただき、評価していただきたいと思っております。
　産科の医療につきましては、正常分娩は保険適用でございませんので、こちらの中
医協で議論することではございません。これを保険をすべて適用するというお話であ
れば、また考えねばなりませんが、現在のところは異常分娩について保険が適用にな
っているという現状がございますので、ここのところは一番大事なハイリスクの方々
をどう厚く対応するかということでございますので、適切だと思います。
　小児科の先生方は、大変これまで冷遇されているという意見がございます。私も、
小児科の先生方の数が増えて、積極的に治療をしていただきたいと思っておりますの
で、点数上、包括の点数も含めて、優遇していただくことについては賛成でございま
す。
　以上です。

○青木委員
　まず最初に、有床診のことをお願いしたいと思うのですが、私ども中医
協は、有識者会議の結論から、医療部会・医療保険部会で示された基本方針にのっと
ってというような文章があったと思います。有床診の４８時間の規制の撤廃は、医療
部会マターでございました。私どもはそれに引き続き診療報酬を考えるという立場だ
というふうに理解しております。その中で、入院基本料を最初のところは、要するに、
早期の部分は少し厚くつけるけれども、あとは低いよと、財政はイーブンに近いので
すよという話と聞いております。それはやはり大分不満な話でありまして、もう少し
考えていただいたらどうだというぐらいに考えておることでございますので、どうぞ
よろしくお願いいたします。
　それから、次の１５ページのIII－７の医療安全と、それから褥瘡管理の最後の２つ
の丸でございますが、医療安全も褥瘡の問題も非常に大事なことだと認識をいたして
おります。ただ、さっきから同じことを申し上げて恐縮ですが、この減点の中で、１．
４対１がつくり出されて、それを頑張っているわけですね。１．４対１というのは、
２対１に比べたら、５０人の病床だったら何人の看護師さんが増えるか、単純計算し
て、夜勤がぐんと人が少なくても１看護単位で１１人増えるのです。これに夜勤の加
算を増えていくと、さらに２名ぐらいは増えるわけです。それだけの人員をここで何
とか確保しようという努力をこの減点の中でやっているわけですから、医療安全の推
進の責任者、専任の方とか、褥瘡管理の部分というのは、そういうところで点数的に
は見ていけばいいのではないかと、私はそういうふうに考えます。ですから、こうい
う新しい項立てをして点数をつけていかなくていいのではないかというふうに考える
ということでございます。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○山本委員
　医療安全の部分でありますが、今青木委員のおっしゃられた部分とちょ
っと重なってしまいますが、実態をちょっとお伺いしたいのですが、３番目の丸の
「医師又は褥瘡対策に係る専門の教育を受けた看護師等」という「等」の中には何が
入っているのでしょうか、事務局にお伺いしたいのですが。何を想定しておられるの
でしょうか。

○土田小委員長
　ほかにも質問がありますので、まとめてよろしいですか。

○石井委員
　医療安全に関してですが、まず、医療安全を高めていかなければいけな
いというのは、コンセンサスができているのだと思うのです。実際上は、人手の問題
であるのは確かです。看護基準の上の方にして１１人増やせばいい、それで賄えとい
う意見がありましたが、それは１１人増やせるところはいいのでしょうが、やはり１
人でもそういった専任者をつくって専門にやっていくことを我々は評価したいという
ことですので、これはこのままにしておいていただきたい。
　今までもこういった専任者を設けたりして、それなりの加算がついていたところで
つかなくするということは、医療安全に関しては中医協として無視するような、評価
しないというアピールになると思うので、これまでの議論からすると、やはり方向が
逆だと思います。どういう形であれ医療安全についてプラスの評価をしていくという
方向が絶対に必要だろうと思います。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　質問が出ておりますが、どなたかお答えください。

○事務局（麦谷医療課長）
　山本委員からの御質問で、褥瘡管理の「看護師等」の
「等」は何かという御質問でしたが、これは既に中医協で御存じかと思いますが、医
療技術評価分科会で、褥瘡の管理の研修を行った看護師さんの調査報告がございまし
て、それを受けてこれを設営したものでございますので、現在その研修の対象となっ
ている従事者は看護師だけでございますので、今は看護師だけです。将来もし広がる
ことを想定して「等」を入れただけで、これは取っても別に特に支障はございません。

○山本委員
　いや、取っていただきたいという話ではございません。この医療安全の
中に褥瘡というのが並ぶのが何となく奇異な感じがするのですが、それはそれとしま
して、現実に褥瘡対策には医薬品が必要だという話は前回から出ております。報告書
もありますので、そういう観点からすると、確かに現在は「専門の教育を受けた」と
いう範囲では、もちろん看護師ということは承知していますけれども、薬を供給する
という観点からすると、薬剤師というのは一体どこに行ってしまうのかなという思い
がします。そのあたりはいずれ入れてあげる、しかし、今ないから取ってしまうよと
いうことでなしに、具体的にその「等」の中に読み込んでいただけるなり、あるいは
もしできればきちんと書き込んでいただくぐらいの方法がとれないものかなという気
がします。
　ただ、これは実際は、先ほど青木委員がおっしゃったように、費用がかかる部分で
ありますので、容易ではないことは十分承知していますので、その辺のことも御配慮
いただければと思います。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。

○岡谷専門委員
　今の褥瘡の管理対策のところでございますが、先ほど青木の方から
は、増やした１１人の中でということでございましたが、やはり１．４対１がとれる
病院ばかりではございませんし、特に入院期間が長くなっているようなところでは、
褥瘡のリスクもかなり高くなっておりますので、こういうきちんとした専門的な教育
を受けた者がちゃんとケアをするということでの評価はぜひお願いしたいというふう
に思っています。
　実際に技術評価分科会の調査でも、やはりこういう専門的な教育を受けた者のケア
によって治癒が促進されて、費用対効果が２倍になるというようなことが出されてお
りますので、ぜひこれは残していただきたいというふうに思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　もう１時になりましたが、先ほどから時間のことは言わないようにしておりました。
というのは、大変今重要な議論が、意見が出ておりますので、今はかなり時間を無視
してやっているということでございます。
　ようやく最後の項目になりました。お疲れかと思いますが、最後のIVの方に移りた
いと思います。「医療費の配分の中で効率化余地があると思われる領域の評価の在り
方について検討する視点」ということで出ておりますが、これにつきまして、１号側
から御意見等をどうぞ。

○宗岡委員
　私の方から１つだけ特に強調させていただきたいのですけれども、２１
ページの「IV－７　その他」のところの後発医薬品の問題です。ここの３行目に、
「処方せんの様式例を追加する方向」とありますけれども、これは私どもの考えてい
ることと相反しているということをあえて申し上げたいと思います。この問題は、後
発品の使用促進のために患者の選択肢の拡大ですとか、あるいは薬剤師の役割を明確
にする、そういうことも含めて処方せん様式を見直すべきだということを何回も申し
上げておりまして、今回の案では、この「様式例」になっておりますけれども、私ど
もはあくまでも様式そのものを変更して、後発品への変更の可否についてドクターが
チェックできる欄を設けるようにすべきだと。あくまでドクターの判断ということは、
我々も理解し、了解しておりますけれども、様式自体を選択するということではなく
て、様式の中でお医者様がその選択をするという形にすべきだということを強く主張
したいと思います。その処方せん様式を変更するということは、政府・与党の方針だ
ということも伺っておりまして、こういう点についてぜひ一歩前進するように、特に
主張したいと思います。
  以上です。

○松浦委員
　一番最後の２２ページの一番上の丸の「これまで経過措置が延長されて
きた経緯にかんがみ、実情を調査した上で廃止する方向で検討することとしてはどう
か。」ということがあるのですが、これはやはり地域に、辺地等はなかなかこれを廃
止されるとちょっと非常にまた経営的にも困るというような問題があるようでして、
ですから、そういう地域性ということを、私は反対したのですが、地域加算というも
のをおやりになるのなら、いわゆる辺地・へき地、こういったところをやはり考えて
いただきたい。だから、いわゆる人件費の地域加算に賛成するというわけではないの
ですよ。ただ、そういうぐあいに考え方があるとすれば、こういうへき地についての
加点・減点は考慮をしていただきたいと、こういうふうに思います。

○土田小委員長
　ほかに１号側ございますか。

○対馬委員
　今と同じことを言っているのかもしれません。２１ページの一番下のと
ころですけれども、診療報酬におけるいわゆる標欠と言っている部分ですね、これに
ついて一般的に欠いている場合に、一定の比率で欠く場合にも、「現行の取扱いを改
める」と書いていますけれども、確かにへき地とか何かの対応は極めて重要なので、
これでいいと思うのですけれども、一般的な意味でのこの表現というのはいかがなも
のかと。やはりへき地とかそういった医師の偏在等々のところに限定すべきではない
かと、こういうふうに思います。

○土田小委員長
　ほかに１号側ございますか。
　それでは２号側で。

○松原委員
　まず、慢性期の入院医療でございますが、このような形で過酷にして行
き場所がなくなるような方が出るのではないかと考えております。非常に危惧してお
ります。そういう意味から反対でございます。ただ、先ほど石井委員が、筋を通して、
しわ寄せになっても構わないとおっしゃられていたように聞こえましたが、やはり私
は、行く場所がなくなるようなことにならないように十分配慮しなければならないと
思っております。
　２番目は、コンタクトレンズの件でございますが、不適切にコンタクトレンズの検
査が行われているということが改善することには賛成でございます。ただ、目という
ものは屈折異常という病名がございます。例えば、高血圧の方があって、それをコン
トロールするために血圧を下げる薬を出します。その薬が副作用が出るので、時々肝
機能検査をして、大きな問題が起きないように考えているわけございます。このコン
トレンズが屈折異常という病名があって、病態があって、それを補うために眼鏡なり
コンタクトレンズというものを使って、それが副作用を起こさないようにきちっと対
応するということも、私はこれは非常に必要なことではないかと思います。今申し上
げました、高血圧を治療して肝機能の検査をするということともつながるものでござ
います。
　ただ、先ほど申しましたように、不適切に行うことを十分に修正することには賛成
ですが、患者さんの中には、自覚症状がなくても大変角膜に障害を来す方がいらっし
ゃいます。例えば、今回報道でも問題になりましたように、レンズに度が入っていな
いものは厚生労働省の対応の範疇外だから、野放しになっております。これで失明し
ている例がアメリカで多発しております。つまり、症状がなくても大変な状態になる
ということは多々あることでございますので、屈折異常に対して対応しているという
ことがコンタクトレンズですので、これを全く保険診療として認めないというよりも、
適切に眼科医が判断して、大きな問題がならないように、コンタクトレンズなり眼鏡
なりを処方して、これを管理していくことは、十分に考えられることだと思いますの
で、ここのところは、適切に管理している眼科医にやっていただくのは当たり前のこ
とだと思っております。完全に保険給付外と言い切ること自体問題なのではないでし
ょうか。
　さらに、後発品の医薬品でございますが、これは、処方する医師の裁量に任され、
考え方に任されたものでございますので、適切な方向かとも考えますが、これを強制
的に変えることについては反対でございますし、また、薬について一括してすべて変
えていいということについては反対です。やはり薬それぞれの特性がございますので、
各々のものについて変えられるかどうかということが大事だと思っております。後発
品と先発品と内容が同じだとおっしゃいますが、しかし、実際に使ってみて、切れ味
が違う、あるいは溶け方が違う、吸収の仕方が違うということについては、この中で
触れられていない部分もございます。あくまでも、使う医師の判断に任せて、その責
任はすべて医師が負う、そういう形が望ましいのではないかと思っておりますので、
これは先ほどの宗岡委員の意見には反対でございます。
　さらに、透析医療にかかわる評価でございますが、ここのところで、夜間及び休日
加算というのは、この透析を行っている医療機関にとっては大きな収入のもとであり、
かつ、これがあるからこそ、夜の診療にも、看護師さんの給料も出せて対応できてい
るという問題もございますので、あまりここのところを締め過ぎるのはいかがなもの
かと考えております。
　最後に、この「上記以外の項目についても」ということでございますが、これは、
診療報酬点数表にあるものについては十分に議論して、その中で必要なものを対応し
ようという形だと思いますので、これは入れていただくことには賛成でございます。

○青木委員
　療養病床のことでちょっと一言。療養病床は、今回の改正では大変大き
な問題になるのではないかと思います。社会的に影響が非常に大きいと思うわけです。
介護保険で、何年か後で療養病床を廃止するという方向性が出されて、それで、医療
の方で、医療度１、２、３と分けて、医療度、ほとんど必要としない人というのは、
うんと１カ月の基本料を下げる、そこのところはいいと思うのですが、下げた上で、
今度は施設基準をきつくすると。医療度の高い人については施設基準を高くして、そ
こをセレクトした分野にさせて、１の方は将来的には、というより、事実上、それで
はやれないよという形をとっていこうと。そうすると、老健局も保険局も、ここのと
ころはもう見放したという話になって、社会不安といいますか……。お年寄りで、胃
瘻をつくっているわけでも、気管切開をしているわけでもない、ただ体はやはり動か
ないというような状態になってきた方が、おうちがあってみんなで見られればそんな
人は入院していないわけですから、そういう人が本当に今の介護の施設だけでいける
のかという話になってくると、物すごくここが問題ではないかというふうに私は思い
ます。
　やはり、医療においても、今までの経過を踏まえて、大きな変化がないように、順
番に事が進むようにという考え方で対処をしないとちょっとまずいのではないかとい
う気持ちを非常に強く持っております。自分の中できれいに整理できたわけではない
のですけれども、そういう意見を持っております。
　以上です。

○石井委員
　慢性期入院医療に関しては、ここでの発言ですので、これまで意見を言
っていなかったのですが、松原委員は、私の発言を大変曲解されていたので、もう一
度ここのところではっきり言っておきたいと思います。
　慢性期医療について私が言ったのは、現在の療養病床の方々も、入院医療は医療保
険で、そして介護は介護保険でという大きな流れについては受け入れた上で、どうこ
れに対処していくかということで、大変頑張っていらっしゃいます。であるから、こ
ういう人たちの現実的な大きな激変は避けるべきだと僕は思います。むしろ、ここに
おいてちゃんと激変緩和の方針を私は書いてもらいたいと思います。というのは、慢
性期入院医療に関して言いますと、当面の間は介護保険の療養病床もありますので、
現実的には、医療保険療養病床の中の医療依存度の低い方が介護保険病床の方に行き、
介護保険の中における医療依存度の高い方が医療保険の方に来るという入れ換えは
徐々に行われていくだろうと思います。しかし、４月１日からぽんと入れかわること
は絶対できないわけで、それに応じた体制を徐々につくっていかなければいけない。
　介護と医療の関係については長らく議論されてきましたが、昨年急速にこの問題に
ついてのある種の結論がだされたのは、保険局と老健局の対立を乗り越えて一つの方
向が出されたということだと思います。こういった一つの筋が通ってきたということ
は、我々も評価したいと思うのですが、同時に、これが今まで長くできなかったとの
に、それなりの歴史的事情、そして現実の病棟の状況であるので、これが一挙にでき
るわけはないと考えます。ですから、これの移行形態をどうつくっていくかというこ
とについて具体的な内容がないと、まずいのです。社会的混乱というよりも、とにか
く急性期の入院から慢性期へ、そして在宅へ、またはいろいろな施設へというこの流
れを、どの程度の施設が必要なのかということをも含めながら考えていかなければい
けない。現状、療養病床がそこの中で一定の役割を果たしていることは事実ですし、
これをすぐなくすわけにいかないので、これらの転換も含めて、具体的な転換の支援
策等々がなされていかないと、社会的混乱を招くだけです。この辺をちゃんとやって
いただきたいと私も思っておりますし、または激変緩和措置、昨年決まってから間が
ないので、ある程度の猶予期間が僕は必要であろうと思っております。
　筋を通して過激にやれとは私は一度も言ったことがないので、この点については誤
解のないようにしていただきたいと思います。
　それからもう１つ、次の１７ページですが、ここに、特殊疾患療養病棟について、
療養病床でも「対応可能な患者が相当数入院している実態を踏まえ」てとなっていま
すが、あくまで「相当数入院している」この人たちを療養病床でもって対応すべきで
あるというのはいいのですが、対応可能でない患者もいるということを、考えていた
だきたい。現実に、大学等で特殊な疾患について、割合集中的に扱っている病院等に
おいてこれをなくしてしまって、大丈夫なのか。病態一般論ではなくて、具体的に検
討していただきたい。現状が相当の部分がそうであることは認めますが、そうでない
患者さんも相当いらっしゃるので、そういった患者さんをどうするのかが、特に大学
病院等から問題として出されておりますので、これはぜひお考えいただきたい。「一
定の経過期間」と書いてありますが、単純にこれは経過期間の問題ではなくて、機能
の問題としても、どうするのかということについて全く検討がなされておりません。
単純に大多数だということで、これは療養病床へということで処理していただきたく
ないと思います。
　以上です。

○山本委員
　調剤報酬の部分について一言申し上げたいと思います。現在ここに挙げ
られております４つの項目につきましては、さまざまな調査の結果がございますけれ
ども、個々の薬局ではそれぞれに費用がかかっている部分でありまして、その部分を
下げるということにつきましては容易に納得できるということではないということを
まず申し上げた上で、そうは申しましても、マイナス改定での諮問が出ておりますの
で、その中で考えますと、現在ここに挙げてあります４つの範囲ということであれば、
私ども薬剤師としてはまさに苦渋の選択ではありますが、やむを得ないというふうに
判断をいたしております。
　その中で、今後、今回のテーマであります分かりやすい診療報酬体系ということか
らしますと、明細の分かる領収書を発行せよという御要望もありますので、そうした
ことも踏まえて、今後とも国民あるいは患者にとって分かりやすい報酬体系にするた
めに、あるいはそれを目指した議論に参加をしたいというふうに申し述べたいと思い
ます。
　以上であります。

○小島委員
　すみません、時間がありませんので一言。１６ページの慢性期入院医療
の患者分類による役割分担の明確化の点ですけれども、これについては、基本的にや
はりこういう方向で進めるべきだと思いますし、それから、そのためには具体的な移
行措置なり激変緩和というのを、具体的な検討が必要だろうと思います。
　それと、患者分類による分類の仕方のところでぜひ配慮していただきたいのですが、
これは難病患者の皆さんから要望が出されていると思いますけれども、難病の扱いを
どうするかという、それが患者分類の中でどう反映するかということも、ぜひそこは
難病患者の皆さんの意見も十分聴いた上で検討していただきたいというふうに思いま
す。
　以上です。

○岡谷専門委員
　今の慢性期の入院医療のところなのですが、基本的に患者分類を用
いて包括評価を行うということはいいと思うのですけれども、ただちょっと１点懸念
しているのは、医療の必要性の高い患者さんを一定程度受け入れている病棟で、看護
職員の配置が４対１ということになっておりますが、この４対１で本当に十分かどう
かということで、結構大変な今の難病の患者さんなんかも含めて、非常に医学的な管
理が必要な患者さんというのが池上先生のデータなどでも出てきておりましたので、
特に夜間ですね、やはり看護師が２人できちんと夜勤ができるというようなところが
担保されるような配置というのが必要ではないかというふうに思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○松浦委員
　これは診療側の方から声が出ませんので。初診料・再診料を廃止すると
いう、これは医科だったら大ごとになると思うのですが、歯科は大丈夫なんですか、
これ。歯科の初診料かかりつけ。

○土田小委員長
　「か初診」の廃止ですね。

○松浦委員
　これは大丈夫ですか。１９ページです。

○黒崎委員
　いろいろ話題になりましたかかりつけ初診については、かかりつけ歯科
医初診料とそれからかかりつけ歯科医再診料については廃止をするということで、初
診料・再診料ではございませんので。

○土田小委員長
　かかりつけ歯科医の初診料廃止ということですから、普通の歯科医
の初診料・再診料とは違います。

○松浦委員
　普通の初診料・再診料と別にあるわけですか。

○黒崎委員
　そうです。

○松浦委員
　なるほど、そうですか。

○土田小委員長
　どうも大変長い間ありがとうございました。非常に長い時間がかか
りましたが、非常に重要な意見が多数出まして、時間を延長したことに十分値する内
容であったというふうに思っております。
　今回皆様方から多数の意見を出していただきましたが、この意見を踏まえまして事
務局において再度整理していただきます。それで、次回１月１８日ですが、この基本
小委にもう一度提出して、皆様からの御意見を賜りたいというふうに思っております。
　スケジュールとしましては、１８日の小委員会において検討した後で、「平成１８
年度診療報酬改定に係る検討状況（現時点の骨子）」ということで取りまとめまして、
総会にかけたいと思います。総会で了承が得られましたら、その「現時点の骨子」を
今度は２７日の公聴会にかけ、また、ホームページ等で国民の皆様からの意見を徴集
するということで、最終的な取りまとめに向かいたいというように考えております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
　それでは、本当に長い時間かかりまして恐縮でございます。後ろの傍聴の方、ずっ
と立っていらした方が見えましたが、今度はなるべく椅子を用意するようにいたしま
す。どうもありがとうございました。
　それでは、本日の小委員会はこれで終了にしますが、その前に、次回の日程につい
てアナウンスをお願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　次回は１８日水曜日、２５日水曜日、あと公聴会の２７
日金曜日でございます。

○土田小委員長
　それでは、本日の中医協はこれで終了いたします。ありがとうござ
いました。


【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）



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