資料4

モデル事業評価委員会(第1回〜第3回)における
主な意見(教育・保育の内容に関するもの)


 総論

 総合施設には柔軟性も必要であり、モデル園の教育・保育内容はかなり様々である。様々なものがあって良いが、基本的なものは押さえていることが必要。

 総合施設における教育・保育の内容については、幼児教育要領や保育所保育指針を踏まえた上で、合同活動や子育て支援といった総合施設に固有の事情を踏まえた何らかのガイドラインが必要ではないか。

 何らかのガイドラインを作成する場合には、最低限の歯止めをかける部分と同時に、良い取り組みを紹介して促すような部分があるのではないか。


 教育・保育の概念整理(早期教育等の懸念)

 資料では「教育・保育」と当たり前のように使われている、そもそも「教育とは何か。どう捉えるのか。」を整理していくべきではないか。「教育」の中身をはき違えると、幼児に無理をさせることにつながり子どものためにならない。

 総合施設になれば1歳から英語やコンピューターを教えようとする人もいる。「(幼児)教育とは何か」を明らかにしなければ、他の幼稚園・保育所が迷惑をこうむる。
 外国語教育等を全く否定しているのではなく、本来の教育要領や保育指針に基づく内容をしっかり行った上で「+α」として盛り込むのであれば構わない。ただし、早期教育を「売り」に総合施設に参入しようとする動きが見られることには、何らかの警鐘を鳴らしていく必要があるのではないか。


 教育・保育時間

 子どもの立場に立ち、長時間保育の標準は8時間程度であるべき。次世代育成支援のために働き方の見直しが求められている今、11時間、12時間といった保育時間を標準とすべきではない。

 長時間の保育の中で短時間の保育では見られない子どもの成長を認めることがある。無理に保育時間を長くすることはないが、ある程度の時間の長さの保育の中で現れる長所も踏まえた上で指導のあり方などを考えていくべき。

 保育時間について国の基準として踏み込めるかは、やはり地域の実情や親の状況がある中では微妙。

 総合施設については「子どもの最善の利益を保障」、「親の子育て力を養う」、「排除の論理に立たない」という形であるが、保育機能についても家庭の教育機能を持っていることを併せて検討すべきではないか。不定期に週に何日か預かるような不定期的機能や、親子登園の機能のように、一石二鳥の機能もある。
 「幼稚園と同様の4時間」、「保育所と同様に8時間」との考えについては、子どもの在園時間と考えたらそのように割り切らなくてもよいのではないか。4時間・8時間という数字が一人歩きするのが怖いと考える。就労形態もフレックスやワークシェアリングなどがあり、柔軟性をもち、排除しないということが必要ではないか。

 柔軟性をもつのは賛成、ただし、逆の心配もある。8時間に縛られる必要はないが、病児保育や0歳児保育について、すでに一定の対応が取られている地域にあって、さらに自治体が推進するようなことになれば、無限定なサービス拡大になる恐れがある。
 そういったことが一般化すると、地域のニーズともずれるし、また、企業がそういったものを当てにして、どんどん利用しろと、企業の子育て支援責任を放棄する危険性もある。

 「4時間」・「8時間」については既成の幼・保の枠組みであり、総合施設は家庭を中心に、地域の協力を含めて求めていくものである。「4時間」・「8時間」という表現は典型としての表現と考えられるし、モデル事業ではその配置だと言うが、モデル事業園はまだ実施を開始したばかりで、現在そうであるというだけのことではないか。

 既成の制度からあまり離れるとかえって柔軟性を縛ることにならないだろうか。それに、援用するベースがなくなってしまう。

 保育ニーズの地域偏在が多い中で、長時間保育などは足りない地域もあり、そういったところでは対応していく必要がある(ちなみに公立園の多い地域では延長保育への対応が鈍い傾向がある。)自治体が自覚と責任を持つようにすればよいのではないか。

 保育時間をどうすべきについては、ニュアンスの違いがある。私が言いたいのは、合同検討会議の審議の記述を守る必要がある、つまり、地方の裁量は当然あっていいが、従来対応してきた枠組みを安易になくすと、本来の子どもの利益が損なわれることになる。これは、(次世代育成支援の観点から)長時間保育に流れるなど、親の働き方の見直しなどが議論されている中で、逆行することにもなりかねない、ということ。

 4時間・8時間をなくすべきとは考えない、両方の指針に基づいているものでも実際には違う、ただ、4時間・8時間にこだわって排除してはいけない。「開所時間=保育時間」ではないので、誤解を受けない記述をする必要がある。


 同一年齢保育と異年齢保育

 クラス制(同一学年原則)と異年齢保育については、かなり検討が必要。保育所ではかっては同一年齢でクラスを編成されていたが、社会の変化の中で異年齢保育を積極的に行う流れになっている。

 幼稚園と保育所のカルチャーの違いの典型がクラス保育と異年齢保育であるが、総合施設においては両方を取り入れるべき。

 クラス制は、園構成の基準としての使われ方、教育編成の要素、教育内容の要素の3つのレベルで切り分けて議論することが必要。実際には個別の活動の中で、同年齢・異年齢の組み合わせはそれぞれの園の工夫の問題であり、国レベルで統一することには疑問。

 保育所の基準は子ども一人ひとりの個に着目した要素が多く、幼稚園の基準はどちらかといえば集団教育的な発想で学級という形になっている。総合施設の場合、個と集団のバランスを年齢や発達段階に応じてどのように考えるか。


 職員体制、研修等

 幼・保では、指導計画作成などの時間のかけ方が違う。時間の確保についての在り方を示した方がよいのではないか。これは研修についても同様。

 モデル事業において、園外研修の際に既存団体から支援を受けられないといった話があった、園外研修について既存団体においても受け入れるというような記載はできないだろうか。


 障害のある子への特別支援

 障害のある子への配慮を何らかの形で記載できないか。被虐待児や、ひとり親家庭への配慮事項なども同様。

 ちなみに(障害児やひとり親家庭への配慮は)、昨年の合同会議審議のまとめにおいて記載されている。

 特別支援教育については、中教審の特別委員会でも審議されているが、支援対象が今は小学校止まりなので、障害のある子の教育について触れられることは賛成。

 修学前の特別支援教育については文科省・厚労省で現在検討中であるが、総合施設で先取りするのはよいだろう。

 総合施設については直接契約となるので、障害のある子どもなど、自治体から今まで何らかの配慮がなされていた子どもについて、セーフティネットが必要。


 指導要録送付等、小学校教育との連携

 幼稚園では小学校へ指導要録を送付するが、保育所にはこうした仕組みがなく、総合施設ではどうするかの検討が必要。  

 保育所も記録は十分行っているので対応はできる。


 その他

 保育所の場合、年度途中入所があるが、それを踏まえた上での総合施設における教育等のあり方を検討してほしい。

 幼稚園と保育所で合同活動を行う場合には、施設の理念や組織といった点について統一的なものを確立することが求められる。

 午睡や給食のあり方、長期休業期間の有無、保護者の参加、行事のあり方などについて検討が必要。合同活動については、少人数ではうまくいっても、多人数では難しいこともある。施設の規模に応じて考える必要があるのではないか。

 保護者の意識に微妙に差があるため、苦情解決あるいは何らかの外部評価、積極的な情報公開といったアカウンタビリティを果たす仕組みが必要ではないか。

 長時間児については投薬(投薬管理)の問題がある。

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