資料3

モデル事業のアンケート調査及び実地調査結果から


 アンケート調査における主な意見 (平成17年9〜10月調査)

 モデル事業実施以前から幼保の共用化を進めている施設からは、利用時間等は異なっていても同一内容を経験できるようなカリキュラムを一本化したとの回答が多く寄せられた。

 幼稚園型では、モデル事業の実施に伴い乳幼児が身近にあることで、将来の人間形成の基盤としての乳幼児期の保育の大切さを職員が実感することができたとの声があった。

 保育所型では、長時間利用児と短時間利用児の共通の保育時間の在り方について検討することで、改めて教育保育の在り方を再認識しプラスになったとの声があった。

 施設からは、おおむね幼稚園教育要領及び保育所保育指針を踏まえ、子どもの発達や年齢、生活のリズムの違いを踏まえた無理のない指導計画を、短時間児担当職員と長時間児担当職員が情報共有を図りながら作成しているとの意見が多い。
 また、クラス制を基本にしながら、異年齢で遊ぶ機会を増やすなど、異年齢交流を活動内容に取り入れているとの意見が多い。

 施設長や職員からは、モデル事業の効果として、
(1) 保護者の就労の有無等や子どもの年齢に関わらず、地域の子どもが一緒に過ごすことで、幼稚園児と保育所児、低年齢児と年長児の間で、相互に子どもの育ちに良い影響を与えている。
(2) 職員にとっても自らの教育・保育観を問い直す契機となるなど、職員間の意識啓発・意欲の向上につながっている、との意見が多い。

 施設長等が指摘する課題としては、
(1)子どもの1日の生活のリズムや集団生活の経験の差があることへの対応
(2)職員間の円滑な相互理解・意思疎通
(3)生活スタイルや考え方の異なる保護者の理解、が多く挙げられる。

 保護者からは、「就学前の教育・保育の内容に差がなくなって良い」「異年齢の交流が増えて良い」といった肯定的な評価がある一方で、「幼稚園児と保育園児で教育・保育内容に差がある」「合同活動によりこれまでの教育・保育の内容が変化するのではないか」といった意見も見られる。

 また、保護者からは、子ども・親ともに友だちが増えたこと、きょうだいも少なくなっているので異年齢交流が思いやりの気持ちを育むなど子どもの育ちに良い影響を与えていることを挙げる意見が極めて多く見られた。

 夏休みについては、保護者からは、その期間の短縮などを求める声もあった。また、施設からは、子どもによって登園日に違いがあることを子どもに説明する苦労に関する意見が見られた。

 行事については、「行事の幅が広がった」などの肯定的な評価がある一方で、保護者の生活スタイルが異なる中で、行事の回数や開催日(平日か休日か)、行事のための準備への保護者の参画のあり方などに不満の声が見られた。


 実地調査からの考察 (平成17年10月)

 総合施設として一貫した新しいカリキュラムの作成に取り組んでいる施設が多く見られた。

 研修については、午睡の時間の活用や、夏季休業期間の活用、職員配置の工夫(フリー職員の活用など)によって対応している。

 全ての実施園において、学級を編成しクラス担任を配置している。

 異年齢交流については、多くの施設で取り組んでいる。

 幼保連携施設型のうち、「低年齢児は保育所、年長児は幼稚園」のタイプでは、同年齢の幼児は同一施設に属しているため、同年齢の幼児に対する運営方針等の一体性が確保される。
 「低年齢児は保育所、年長児は幼稚園と保育所」のタイプでは、幼稚園児と保育所児混合のクラス編成を行ったり、職員間の意思疎通を円滑にするための会議や研修の開催など、一体性を確保するためのさまざまな工夫がなされている。

 幼稚園型では、低年齢児への対応や年齢を一貫させた視点での保育などの課題について腐心している様子である。

 保育所型では、短時間利用児を受け入れることに伴い、集団生活の経験の差への配慮、短時間児への保育内容の組み立て、降園時間の違いなどの課題について腐心している様子である。

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